JP2009068476A - 内燃機関のegr装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】EGRガスの温域を拡大し、且つその温度及び量を好適に制御する。
【解決手段】上流側パイプ331、中央パイプ332、及び吸気管203に連通する下流側パイプ333を備えたEGR装置300において、上流側パイプ331へ供給される排気は二種類あり、一方は、シリンダヘッド内部を含む第2EGRパイプ320を介して供給される低温の排気であり、他方は、第1EGRパイプ310を介して排気マニホールド213から直接導かれた高温の排気である。第1及び第2EGRパイプと上流側パイプ331との連通状態は、第1バルブ機構340により段階的に制御される。一方、中央パイプ332には、EGRクーラ336が設置された冷却通路334と冷却通路334をバイパスするバイパス通路335が形成されており、各通路と下流側パイプ333との連通状態は、第2バルブ機構350により連続的に制御される。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関のEGR(Exhaust Gas Recirculation:排気再循環)装置の技術分野に関する。
この種の装置として、EGRガスを冷却するクーラと、当該クーラをバイパスするバイパス通路とを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたディーゼルエンジン用EGRガス温度制御システム(以下、「従来の技術」と称する)によれば、負荷条件に応じて、EGRガスの流路をバイパス側とクーラ側との間で切り換え、EGRガス温を最適値に制御することにより、NOx(窒素酸化物)及びPM(Particulate Matter:粒子状物質)の両方を低減することが可能であるとされている。
尚、EGR通路の少なくとも一部を、シリンダヘッド内で気筒配列方向に延びるように形成する技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平11−117815号公報 特開2002−285915号公報
従来の技術では、吸気系に循環供給されるEGRガスの温度(以下、適宜「ガス温」と略称する)を制御するに際し、EGRガスの供給経路をクーラ側とバイパス側との間で適宜或いは頻繁に切り換えることとなる。この際、EGRガスの採り得る温度領域(以下、適宜「温域」と略称する)は、クーラ側の経路を通過したEGRガスの温度とバイパス側の経路を通過したEGRガスの温度との温度差に応じたものとなるが、内燃機関の広範な運転領域に対応するには不十分であり、また実際には、バイパス側とクーラ側との切り替えが例え連続的になされた所で、当該温域内におけるガス温の高精度な制御も困難である。特に、エミッションの悪化を抑制すべく圧縮比を相対的に低下させた燃焼形態が採用される場合には、燃料の着火性が悪化するから、気筒内に吸入される吸気の温度(以下、適宜「吸気温」と称する)の制御精度が不十分であると、失火が生じる可能性がある。更には、圧縮比の低い燃焼形態では、EGRガスが比較的大量に必要とされる場合があるが、従来の技術では、EGRガスの供給量が不十分となり易い。即ち、従来の技術には、EGRガスの温域並びに温度及び供給量の制御精度が不十分であることに起因してエミッションが効率的に低減され難いという技術的な問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、吸気系に供給されるEGRガスの温域を拡大し、且つその温度及び量を好適に制御可能な内燃機関のEGR装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するために、本発明に係る内燃機関のEGR装置は、内燃機関の排気の一部を第1のEGRガスとして前記内燃機関の排気系から直接導く第1のEGR通路と、前記排気の一部を第2のEGRガスとして前記内燃機関のシリンダヘッド内部を介して導く第2のEGR通路と、前記第1及び第2のEGR通路と連通し、且つ前記内燃機関の吸気系に前記第1及び第2のEGRガスのうち少なくとも一方を含む第3のEGRガスを循環供給可能に連通すると共に、該第3のEGRガスを冷却可能な冷却手段が設けられた冷却通路と、該冷却通路をバイパスするバイパス通路とを備えてなる第3のEGR通路と、前記第1及び第2のEGR通路と前記第3のEGR通路との連通状態たる第1の連通状態を切り換え可能な第1の切り換え手段と、前記冷却通路及び前記バイパス通路と前記吸気系との連通状態たる第2の連通状態を切り換え可能な第2の切り換え手段とを具備することを特徴とする。
本発明に係る「内燃機関」とは、一又は複数の気筒(又はシリンダ)を有し、当該気筒の各々における燃焼室において、例えばガソリン、軽油或いは各種アルコール等の燃料と吸入空気との混合体である混合気が燃焼した際に発生する動力を、例えばピストン、コネクティングロッド及びクランク軸等の物理的、機械的又は機構的な伝達経路を介して取り出すことが可能に構成された機関を包括する概念であり、例えば2サイクル或いは4サイクルレシプロエンジン等を指す。特に、本発明に係る内燃機関のEGR装置(以下、適宜「本発明のEGR装置」と略称する)は、好適な一形態として、例えば気筒内で混合気が圧縮された(或いは、圧縮された吸気に燃料が噴射された)際に当該混合気(或いは燃料)が自着火して燃焼を生じる圧縮自着火式内燃機関、或いはPCCI(Premixed Charge Compression Ignition:予混合燃焼)又はHCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition:均一予混合燃焼)等、低圧縮比による燃焼を伴う内燃機関に適用されて好適である。
本発明のEGR装置には、例えば排気ポート、排気マニホールド及び排気管(フロントパイプやリアパイプ等といった、気筒配列上生じるものを含む)等を適宜に含み得る概念としての排気系から、例えば好適な一形態として、各気筒からの排気が少なくとも部分的に集約される排気マニホールド或いはその近傍の排気管等から直接分岐する等して、排気の一部を第1のEGRガスとして直接導く第1のEGR通路が備わる。また、本発明のEGR装置には、この第1のEGR通路と、少なくともその構成、好適な一形態として物理的、機械的、機構的又は電気的な構成の少なくとも一部が相違する第2のEGR通路が備わる。この第2のEGR通路は、第1のEGR通路と異なり、内燃機関の排気の一部を、第2のEGRガスとして、上述した気筒を収容する筐体としてのシリンダヘッド内部を少なくとも介して導くことが可能に構成されている。
本発明のEGR装置によれば、これら少なくともその構成の一部が相違する二系統のEGR通路から供給された第1及び第2のEGRガスは、当該二系統のEGR通路の各々に直接的に、間接的に又は限定的に連通する第3のEGR通路に集約される。この第3のEGR通路は更に、例えば吸気ポート、吸気マニホールド及び吸気管等を適宜に含み得る概念としての吸気系に、直接若しくは間接的に、又はEGRバルブ等、EGRガスの流量を制御可能な弁体、弁機構、弁装置又は弁システム或いはそれに類する機構等の状態に応じて限定的に連通する構成となっており、当該吸気系に、第1及び第2のEGRガスのうち少なくとも一方を含むものとして規定される第3のEGRガスを供給可能に構成されている。
この第3のEGRガスは、第1及び第2のEGRガスのうちいずれか一方で構成されるにせよ、両方で構成されるにせよ、またその含有比率が如何なるものであれ、化学的に略不活性(少なくとも燃焼室内において略不活性)のCOを含んでいる。従って、吸気系に導かれる新気と、この第3のEGRガスとの混合体が、吸入空気(即ち、吸気)として気筒内に吸入されることによって、例えば、典型的にはNOx、或いは更にPM(Particulate Matter:粒子状物)等を含む対象物質の発生(即ち、別言すればエミッションの悪化)が幾らかなり抑制され得る。
一方、第3のEGR通路には、第1及び第2のEGR通路から集約された第3のEGRガスを通過させることが可能な冷却通路が形成されている。ここで、上述した対象物質の発生を抑制する観点から言えば、内燃機関の燃焼温度は低い方が、或いは少なくとも当該対象物質の発生量を実践上問題が生じる程度に増加させる程には高くない方が良い。そこで、当該冷却通路には、例えば内燃機関の冷却水循環系を利用した、又は当該冷却水循環系から独立した冷却水循環系を利用した、或いは冷却水循環系を使用した冷却とはその冷却態様の少なくとも一部が物理的に、機械的に、機構的に、電気的に又は化学的に異なる、例えばEGRクーラ等の冷却手段が備わっており、冷却通路を通過する第3のEGRガスは、好適な一形態として、例えばこの冷却手段が設置された区間を通過する際に行われる、例えば冷却手段との熱交換等によって相対的に冷却され、通過以前の温度と較べれば少なくとも幾らかなりその温度が低下した状態で吸気系に供給される。
他方、第3のEGRガスの温度は、燃焼温度に直結する要素の一つであり、内燃機関の燃焼性能に少なからず影響を与える。即ち、ガス温の過度な低下(好適な一形態としては、吸気温の低下と一義的である)は、例えば燃焼温度が低くなりがちな運転領域等において失火に直結し易い。また、このような失火を招かずとも、少なくとも内燃機関の燃焼性能を低下させ易い。燃焼性能の低下は、未燃状態の燃料を生成し易く、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)又はスモーク等の排出量を増加させるため、結局はエミッションの悪化を招き易く、また出力トルクの不足等動力性能の低下をも招き易い。
従って、例えば冷却手段により冷却された第3のEGRガスを吸気系に循環させることによるこの種の不具合が実践的にみて顕在化し得る場合、或いは例えば内燃機関の運転条件(好適な一形態として、例えば負荷及び機関回転速度等によって規定される条件、或いはそれに加えて又は代えて、例えば始動時であるか否かといった限定的な条件、又は外気温や湿度等の環境条件を適宜含み得る)等に基づいて、その旨の実践上の判断を下し得る場合(即ち、そのような不具合が顕在化すると推定される場合)には、第3のEGRガスを冷却することによる内燃機関の総合的な性能の低下を防止する等の目的から冷却手段の使用を幾らかなり制限する必要が生じ得る。
そこで、第3のEGR通路には、好適な一形態として例えば冷却通路と並行するように、冷却通路をバイパスするバイパス通路が形成されている。このバイパス通路の構成は、少なくとも冷却通路をバイパスさせつつ(即ち、冷却手段をバイパスさせつつ)第3のEGRガスを吸気系に供給し得る限りにおいて自由であってよく、例えば、冷却手段下流側(ガスの流れる方向を基準とする方向概念であって、即ち、この場合は吸気系側)において冷却通路と合流して第3のEGR通路を構成してもよいし(尚、バイパス通路によってバイパスされる区間が冷却通路であり、この場合、合流位置下流側の通路は、概念上、冷却通路にもバイパス通路にも該当しない)、冷却通路と分岐したまま再度合流することなく、実質的に第3のEGR通路を冷却通路とバイパス通路の複数系統に分岐させた状態で吸気系と接続されていてもよい。尚、本発明に係る「バイパス通路」とは、EGRガスをして冷却通路をバイパスせしめる通路であり、必ずしも単一の系統に限定されない。即ち、冷却通路をバイパスする通路はその数量によらず全て本発明に係るバイパス通路となり得る。第3のEGRガスがバイパス通路を通過する場合、その温度は冷却通路を通過するよりも高くなり、吸気温の過度な低下を抑制する旨の実践上の利益を得ることができる。
一方、本発明のEGR装置は、冷却通路及びバイパス通路と吸気系との連通状態(各々について、連通しているか否かの二値的な状態並びに連通の度合い、規模、及び比率等といった定量的な状態を含む概念である)として規定される第2の連通状態(第1の連通状態については後述)を、例えば二値的に、段階的に、又は連続的に切り換えることが可能に構成された第2の切り換え手段を備える。この際、冷却通路と吸気系との連通状態、及びバイパス通路と吸気系との連通状態は、相互に独立して切り替えられてもよいし、一方の連通状態が他方の連通状態と何らかの相関を有していてもよい。好適な一形態として、一方における吸気系との連通面積の増加及び減少が、夫々他方における当該面積の減少及び増加に対応していてもよい。冷却通路を通過する第3のEGRガス(以下、適宜「冷却ガス」と称する)の温度とバイパス通路を通過する第3のEGRガス(以下、適宜「バイパスガス」と称する)の温度とは異なるから、第2の切り換え手段の作用により、第2の連通状態が如何なる切り換え態様の下に切り替えられるにせよ、最終的に吸気系に循環供給される第3のEGRガス(即ち、冷却通路とバイパス通路とが合流している場合には、好適な一形態として冷却通路とバイパス通路との合流位置下流側における第3のEGRガス(このようなガスを、以下適宜「出側EGRガス」と称する)、或いは冷却通路とバイパス通路とが合流しないまま吸気系に連通している場合には、吸気系に循環供給されることによって吸気温に影響を与えるガスの総体)の温度は、少なくとも幾らかなり可変となる。尚、これ以降、最終的に吸気系に循環供給される第3のEGRガスを適宜「循環供給ガス」と称することとする。循環供給ガスは、上述したように、好適な一形態として、出側EGRガス或いは出側EGRガスに何らかの後処理を施したガスと等価である。
尚、第2の切り換え手段の構成、とりわけ物理的、機械的、機構的、電気的、磁気的又は化学的な構成は、各種の態様を採り得、例えばバイパス通路及び冷却通路の各々における任意の箇所に、例えば吸気系との連通面積を二値的、段階的又は連続的に可変に変化させることが可能に構成された弁体を備え、各々の内部又は外部に当該弁体を駆動する一又は複数の駆動機構或いは更に当該駆動機構を制御する一又は複数の制御機構を備えた構成をとってもよい。或いは、例えばバイパス通路と冷却通路の分岐位置又は合流位置近傍に設けられ、バイパスガスの量及び冷却ガスの量のうち一方の変化が他方の変化と一対一、一対多、多対一又は多対多の関係を有するように、バイパス通路及び冷却通路の各々と吸気系との連通面積を二値的、段階的又は連続的に可変に変化させることが可能に構成された弁体を備え、第3のEGR通路の内部又は外部に当該弁体を駆動する一又は複数の駆動機構或いは更に当該駆動機構を制御する一又は複数の制御機構を備えた構成をとってもよい。或いは、このような弁体駆動とはその物理的、機械的、機構的、電気的、磁気的又は化学的構成が異なる他の手段であってもよい。
また、第2の連通状態の採り得る一形態として、バイパス通路が吸気系と遮断され且つ冷却通路が幾らかなり吸気系に連通している状態では、第3のEGRガスは、バイパス通路内に一部が滞留するにせよ、ほぼ全量が冷却通路を通過することとなり、反対に、冷却通路が吸気系と遮断され且つバイパス通路が幾らかなり吸気系に連通している状態では、第3のEGRガスは、冷却通路内に一部が滞留するにせよ、ほぼ全量がバイパス通路を通過することとなる。即ち、第2の切り換え手段に係る第2の連通状態の切り換えは、第3のEGRガスの供給経路の切り換えを含んだ概念である。
他方、本発明のEGR装置は、第1及び第2のEGR通路と第3のEGR通路との連通状態(各々について、連通しているか否かの二値的な状態並びに連通の度合い、比率或いは規模等といった定量的な状態を含む概念である)として規定される第1の連通状態を、例えば二値的に、段階的に、又は連続的に切り換えることが可能に構成された第1の切り換え手段を備える。この際、第1のEGR通路と第3のEGR通路との連通状態、及び第2のEGR通路と第3のEGR通路との連通状態は、相互に独立して切り替えられてもよいし、一方の連通状態が他方の連通状態と何らかの相関を有していてもよい。好適な一形態として、一方における第3のEGR通路との連通面積の増加及び減少が、夫々他方における当該面積の減少及び増加に対応していてもよい。
尚、第1の切り換え手段の構成、とりわけ物理的、機械的、機構的、電気的、磁気的又は化学的な構成は、各種の態様を採り得、例えば第1のEGR通路及び第2のEGR通路の各々における任意の箇所に、例えば第3のEGR通路との連通面積を二値的、段階的又は連続的に可変に変化させることが可能に構成された弁体を備え、各々の内部又は外部に当該弁体を駆動する一又は複数の駆動機構或いは更に当該駆動機構を制御する一又は複数の制御機構を備えた構成をとってもよい。或いは、例えば第1のEGR通路と第2のEGR通路の合流位置近傍に設けられ、第1のEGR通路を通過する第1のEGRガスの量、及び第2のEGR通路を通過する第2のEGRガスの量のうち一方の変化が他方の変化と一対一、一対多、多対一又は多対多の関係を有するように、第1のEGR通路及び第2のEGR通路の各々と第3のEGR通路との連通面積を二値的、段階的又は連続的に可変に変化させることが可能に構成された弁体を備え、第1、第2若しくは第3のEGR通路の内部又は外部に当該弁体を駆動する一又は複数の駆動機構或いは更に当該駆動機構を制御する一又は複数の制御機構を備えた構成をとってもよい。或いは、このような弁体駆動とはその物理的、機械的、機構的、電気的、磁気的又は化学的構成が異なる他の手段であってもよい。
また、第1の連通状態の採り得る一形態として、第1のEGR通路が第3のEGR通路と遮断され且つ第2のEGR通路が幾らかなり第3のEGR通路に連通している状態では、第3のEGRガスは、ほぼ全量が第2のEGRガスにより構成され、反対に、第2のEGR通路が第3のEGR通路と遮断され且つ第1のEGR通路が幾らかなり第3のGR通路に連通している状態では、第3のEGRガスは、ほぼ全量が第1のEGRガスにより構成されることとなる。即ち、第1の切り換え手段に係る第1の連通状態の切り換えとは、第3のEGRガスの供給経路の切り換えを含んだ概念である。
ここで、第1のEGRガスは、排気系から直接導かれるため高温であり、実質的には(例えば、第1のEGR通路を通過する過程における冷却効果を除けば)排気温と略等価である。一方、第2のEGRガスは、第2のEGR通路が第1のEGR通路から分岐するにせよ、第1のEGR通路とは異なる取り出し口から排気を取り出すにせよ、シリンダヘッド内部を通過するため、シリンダヘッドを冷却する冷却系統により、少なくとも第1のEGRガスと較べれば積極的に冷却され低温である。従って、第1の連通状態が二値的であるにせよ段階的であるにせよ、また連続的であるにせよ、幾らかなり可変であることによって、第3のEGR通路に集約された第3のEGRガス(即ち、冷却通路及びバイパス通路の上流側に存在する第3のEGRガスであり、以下、適宜「入り側EGRガス」と称する)の温度は、少なくとも単一でない有意な温域を有することとなる。従って、循環供給ガスの温域は、このような入り側EGRガスの温域が単一である場合と較べて少なくとも低温側又は高温側に拡大される。また、入り側EGRガスの温域が可変であるため、第2の切り換え手段を介した第2の連通状態の制御による循環供給ガスの温度制御に係る精度が向上する。更には、第1及び第2のEGR通路は、排気系に排出される排気の一部を取り出しているに過ぎないから、各々が独立の経路であれ一部が共有された経路であれ、また第1の連通状態の切り換え態様が二値的であるにせよ段階的であるにせよ、また連続的であるにせよ、入り側EGRガスの量は幾らかなり可変となる。
このように本発明のEGR装置によれば、第1の切り換え手段の作用により、入り側EGRガスが有意な温域を有し、またその量が可変である。従って、第2の切り換え手段の作用により、循環供給ガスの温域が拡大され、またその温度の調整を高精度に実行することが可能となる。即ち、循環供給ガスの温域を拡大し且つその温度及び量を好適に制御することが可能となるのである。
本発明に係る内燃機関のEGR装置の一の態様では、前記第3のEGR通路における、前記冷却通路及び前記バイパス通路の各々の下流側に設けられ、前記第3のEGRガスの流量を変更可能な流量変更手段を更に具備する。
この態様によれば、例えば第3のEGR通路と吸気系との連通面積を二値的に、段階的に又は連続的に可変に制御すること等により第3のEGRガス(即ち、この場合、上記循環供給ガスの流量)を変更可能な、例えばEGRバルブ等の流量変更手段が備わる。即ち、この態様によれば、本発明のEGR装置は、循環供給ガスの量を調整する手段として、第1の切り換え手段と当該流量変更手段との二種類の手段を有することになる。従って、この態様によれば、入り側EGRガスの温度を可変に制御するに際して、循環供給ガスの量を一定に維持することも、増加又は減少させることも可能となる。即ち、循環供給ガスの量及び温度の制御をより精細に行うことが可能となる。
本発明に係る内燃機関のEGR装置の他の態様では、前記第1の切り換え手段は、開閉状態に応じて前記第1の連通状態を変化させることが可能な第1のバルブを含み、前記第2の切り換え手段は、開閉状態に応じて前記第2の連通状態を変化させることが可能な第2のバルブを含む。
この態様によれば、第1の切り換え手段に第1のバルブが、また第2の切り換え手段に第2のバルブが備わり、各々その開閉状態に応じて第1の連通状態及び第2の連通状態を変化させることが可能である。従って、第1及び第2の連通状態を変更するに際しての物理的、機械的、機構的又は電気的な負荷が比較的軽減され、効率的である。尚、「バルブを含む」とは、当該バルブに加え、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る各種の制御系により、例えば駆動対象たる各バルブの位置変化、形状変化又は運動状態の変化等を生じさせるための駆動力を、例えば物理的、機械的、機構的、電気的、磁気的又は化学的に生成又は供給する或いは発生することが可能な、然るべき駆動装置、駆動系或いは駆動部材等を適宜含み得る趣旨である。
本発明に係る内燃機関のEGR装置の他の態様では、前記内燃機関の運転条件に基づいて前記第1及び第2の連通状態が変化するように、前記第1及び第2の切り換え手段を制御する制御手段を更に具備する。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る制御手段によって、例えば負荷条件等、内燃機関の運転条件に基づいて第1及び第2の連通状態が変化するように第1及び第2の切り換え手段が制御される。この際、制御手段は、第1の切り換え手段を制御する第1の制御系と第2の切り換え手段を制御する、第1の制御系と少なくとも一部が異なる第2の制御系との複合体であってもよいし、単一の制御系であってもよい。
ここで、噴射量等の指標値により好適に規定される負荷条件は、即ち、燃焼温度と相関があり、循環供給ガスの最適量及び最適温度を規定する指標として有効である。従って、運転条件として負荷条件が採用された場合には、循環供ガスの量及び温度を最適化することが容易にして可能となり、エミッションを効率的且つ効果的に抑制することが可能となる。
制御装置を備える本発明に係るEGR装置の一の態様では、前記運転条件として前記負荷条件が所定の低負荷領域に該当する場合に、前記第2のEGR通路と前記第3のEGR通路との連通が遮断されるように前記第1の切り換え手段を制御し、且つ前記冷却通路と前記吸気系との連通が遮断されるように前記第2の切り換え手段を制御する。
この態様によれば、例えば、アクセル開度や噴射量等によって規定される、或いは更に機関回転速度等を考慮して規定される負荷条件が、例えば、循環供給ガス(上述したように、好適には出側EGRガス)の少なくとも一部が冷却ガスにより構成されることによって実践上の不具合が顕在化し得る程度に燃焼温度が低くなり易い負荷領域等として規定される低負荷領域に該当する場合には、第2のEGR通路と第3のEGR通路との連通が厳密に或いは実質的に遮断され、且つ冷却通路と吸気系との連通が厳密に或いは実質的に遮断される。即ち、入り側EGRガスは厳密に或いは実質的に第1のEGRガスにより構成され、循環供給ガスは、厳密に或いは実質的にバイパスガスにより構成される。既に述べたように、第1のEGRガスは第2のEGRガスと較べて高温であり、またバイパスガスは冷却ガスと較べて高温であるから、この態様によれば、燃焼温度が相対的に低い低負荷領域において、循環供給ガスの温度を可及的に高温に維持することができる。即ち、失火及び燃焼性能の低下が回避される。
制御装置を備える本発明に係るEGR装置の他の態様では、前記運転条件として前記負荷条件が所定の高負荷領域に該当する場合に、前記第1のEGR通路と前記第3のEGR通路との連通が遮断されるように前記第1の切り換え手段を制御し、且つ前記バイパス通路と前記吸気系との連通が遮断されるように前記第2の切り換え手段を制御する。
この態様によれば、例えば、アクセル開度や噴射量等によって規定される、或いは更に機関回転速度等を考慮して規定される負荷条件が、例えば、循環供給ガス(上述したように、好適には出側EGRガス)の少なくとも一部がバイパスガスであることによって実践上の不具合が顕在化し得る程度に燃焼温度が高くなり易い負荷領域等として規定される高負荷領域に該当する場合には、第1のEGR通路と第3のEGR通路との連通が厳密に或いは実質的に遮断され、且つバイパス通路と吸気系との連通が厳密に或いは実質的に遮断される。即ち、入り側EGRガスは厳密に或いは実質的に第2のEGRガスにより構成され、循環供給ガスは、厳密に或いは実質的に冷却ガスにより構成される。既に述べたように、第2のEGRガスは第1のEGRガスと較べて低温であり、また冷却ガスはバイパスガスと較べて低温であるから、この態様によれば、燃焼温度が相対的に高い高負荷領域において、循環供給ガスの温度を可及的に低温に維持することができる。即ち、エミッションが低減される。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態に係るエンジンシステム10の構成について説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、図1は、エンジンシステム10を上方から見下ろした上面模式図である。
図1において、エンジンシステム10は、図示せぬ車両に搭載され、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)100、エンジン200及びEGR装置300を備える。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、エンジン200の動作全体を制御することが可能に構成された電子制御ユニットである。ECU100は、ROMに格納される制御プログラムに従って、後述するEGR制御を実行することが可能に構成されている。
エンジン200は、軽油を燃料とする、本発明に係る「内燃機関」の一例たる直列4気筒ディーゼルエンジンである。エンジン200の概略について説明すると、エンジン200は、エンジン200の外郭を規定するシリンダヘッド201及び図示せぬシリンダブロックの内部に、4本のシリンダ202が並列配置された構成を有している。そして、各気筒内において燃料を含む混合気が圧縮自着火した際に生じる爆発(膨張)が、不図示のピストンの往復運動を生じさせ、更にコネクティングロッドを介してピストンに連結されるクランクシャフト(いずれも不図示)の回転運動に変換される構成となっている。以下に、エンジン200の要部構成を、その動作の一部と共に説明する。
尚、本実施形態に係るエンジン200は、シリンダ202が図1において紙面と垂直な方向に4本並列してなる直列4気筒ディーゼルエンジンであるが、個々のシリンダ202の構成は相互に等しいため、ここでは一のシリンダ202についてのみ説明することとする。
シリンダ202内における混合気の燃焼に際し、外部から吸入された空気は、図示せぬクリーナを通過した後、吸気管203に導かれる。吸気管203には、吸気の量を調節可能なディーゼルスロットルバルブ204が配設されている。このディーゼルスロットルバルブ204は、ECU100と電気的に接続され且つECU100により上位に制御されるスロットルバルブモータ205から供給される駆動力により回転可能に構成された回転弁であり、ディーゼルスロットルバルブ204を境にした吸気管203の上流部分と下流部分とを遮断する全閉位置から、全面的に連通させる全開位置まで、その回転位置が連続的に制御される構成となっている。尚、エンジン200は、ディーゼルエンジンであり、その出力は、ガソリン等を燃料とするエンジンにおける空燃比制御(吸気量を基準とした燃料噴射制御)と異なり、噴射量の増減制御を介してコントロールされる。従って、ディーゼルスロットルバルブ204を介して吸入される新気の量に実質的な制限はなく、ディーゼルスロットルバルブ204は、エンジン200の動作期間において、基本的に全開位置(図示するディーゼルスロットルバルブ204の位置が全開位置に相当する)に制御される。
ディーゼルスロットルバルブ204下流側には、各シリンダについて共通に設置された吸気マニホールド206が設置されている。吸気マニホールド206に導かれた吸気は、更に各シリンダについて独立に設けられた吸気ポート207に導かれ、吸気ポート207とシリンダ内部とを連通させることが可能に構成された不図示の吸気バルブの開弁時にシリンダ202内に吸入される。シリンダ202内には、筒内直噴型のインジェクタ208から燃料たる軽油が噴射される構成となっており、噴射された燃料が各シリンダ内部で、吸入された空気(以下、「吸気」と略称する)と混合され、上述した混合気となる。
エンジン200において、燃料は、不図示の燃料タンクに貯留されている。この燃料タンクに貯留される燃料は、不図示のフィードポンプの作用により燃料タンクから汲み出され、不図示の低圧配管を介して高圧ポンプ209に圧送される構成となっている。高圧ポンプ209は、コモンレール210に対し、燃料を供給することが可能に構成されている。尚、高圧ポンプ209は、公知の各種態様を採り得、ここでは、その詳細については省略することとする。
コモンレール210は、ECU100と電気的に接続され、上流側(即ち、高圧ポンプ209側)から供給される高圧燃料をECU100により設定される目標レール圧まで蓄積することが可能に構成された、高圧貯留手段である。尚、コモンレール210には、レール圧を検出することが可能なレール圧センサ及びレール圧が上限値を超えないように蓄積される燃料量を制限するプレッシャリミッタ等が配設されるが、ここではその図示を省略することとする。前述したインジェクタ208は、シリンダ202毎に搭載されており、夫々が高圧デリバリ211を介してコモンレール210に接続されている。
ここで、インジェクタ208の構成について補足すると、インジェクタ208は、ECU100から供給される指令に基づいて作動する電磁弁と、この電磁弁への通電時に燃料を噴射するノズル(いずれも不図示)とを備える。当該電磁弁は、コモンレール210の高圧燃料が印加される圧力室と、当該圧力室に接続された低圧側の低圧通路との間の連通状態を制御することが可能に構成されており、通電時に当該加圧室と低圧通路とを連通させると共に、通電停止時に当該加圧室と低圧通路とを相互に遮断する。
一方、ノズルは、噴孔を開閉するニードルを内蔵し、圧力室の燃料圧力がニードルを閉弁方向(噴孔を閉じる方向)に付勢している。従って、電磁弁への通電により加圧室と低圧通路とが連通し、圧力室の燃料圧力が低下すると、ニードルがノズル内を上昇して開弁する(噴孔を開く)ことにより、コモンレール210より供給された高圧燃料を噴孔より噴射することが可能に構成される。また、電磁弁への通電停止により加圧室と低圧通路とが相互に遮断されて圧力室の燃料圧力が上昇すると、ニードルがノズル内を下降して閉弁することにより、噴射が終了する構成となっている。尚、このような構成は一例であり、例えば、燃料噴射プロセスそのものが電子制御化(即ち、圧力を媒体とすることなく燃料を噴射する)されていてもよい。
ここで、インジェクタ208によれば、燃料の噴射量を精細に制御することが可能であり、エンジン200では、個々のシリンダ202において、インジェクタ208を介し、目標噴射量に相当する燃料が、燃料と吸気との予混合を促進するための(無論、燃焼室内の急激な温度上昇を防止する目的もある)一又は複数のパイロット噴射と、目標噴射量とパイロット噴射量との差分に相当するメイン噴射とに分割して噴射される構成となっている。また、燃料と吸気との予混合を十分に行わしめるために、エンジン200の圧縮比は、この種の予混合がなされない機関と較べて低く設計されている。即ち、エンジン200は、低圧縮比型のディーゼルエンジンである。尚、低圧縮比を実現する構成は、特に限定されず、エンジン200として一の圧縮比のみが実現されてもよいし、シリンダ202内のピストンの作動態様を変化させる等して圧縮比が可変とされていてもよい。
尚、高圧ポンプ209、コモンレール210、高圧デリバリ211、及びインジェクタ208は、一体としてコモンレールシステムとして構成されていてもよい。また、高温高圧のシリンダ内に燃料を噴射するための態様は、ここに例示するものに限定されず、公知の各種態様を採ってよい。
上述した混合気は、圧縮工程において自着火して燃焼し、燃焼済みガスとして、或いは一部未燃の混合気として、吸気バルブの開閉に連動して開閉する排気バルブ(不図示)の開弁時に排気ポート212を介して排気マニホールド213に導かれる構成となっている。この排気マニホールド213は、排気管214に連通しており、排気の大部分は、この排気管214に導かれる構成となっている。
尚、排気管214には、不図示のDPF(Diesel Particulate Filter)が設置されている。DPFは、エンジン200から排出されるPM(Particulate Matter:粒子状物質)を捕集可能且つ浄化可能に構成されている。また、シリンダ202を収容するシリンダブロック及びシリンダヘッド201の内部には、LLC等の冷却水を循環供給するためのウォータジャケットが配設されており、当該冷却水が循環供給されることによって、シリンダ202を含むエンジン200全体を冷却可能に構成されている。この冷却水の温度は、不図示の水温センサにより検出され、水温センサと電気的に接続されたECU100により一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
また、エンジンシステム10において、ECU100には、図示する以外にも、エンジン200の、或いはエンジン200が搭載される車両の運転条件を規定する各種の指標値が、各指標値について設置された各種のセンサ(不図示)を介して電気的に入力される構成となっている。例えば、ECU100は、エンジン200の機関回転速度NEをNEセンサから、またアクセルペダルの開度(即ち、アクセル開度)をアクセルポジションセンサから取得することが可能に構成されている。
尚、本実施形態において、エンジン200はディーゼルエンジンとして構成されるが、本発明に係る内燃機関は、ガソリン或いはアルコールを燃料とする、且つ多種多様な気筒配列及び燃焼形態を有する各種エンジンであってもよい。また、図1においては図示が省略されるが、排気管214と、ディーゼルスロットルバルブ204よりも下流側(即ち、吸気マニホールド側)且つ後述する第3EGRパイプ330の合流位置上流側における吸気管203(図1では、紙面の都合上ほとんどスペースが存在しないが、実際には十分なスペースが存在する)とは、排気側にタービンを、また吸気側にコンプレッサを有するターボチャージャにより結合されており、新気を大気圧以上の圧力で吸気管203に導く(即ち、過給することが)可能となっている。
次に、EGR装置300について説明する。EGR装置300は、主として第1EGRパイプ310、第2EGRパイプ320、第3EGRパイプ330、第1バルブ機構340、第2バルブ機構350及びEGRバルブ360を備え、排気の一部を吸気管203に循環させることが可能に構成された、本発明に係る「内燃機関のEGR装置」の一例である。尚、吸気管203は、本発明に係る「吸気系」の一例である。
第1EGRパイプ310は、一端部が排気マニホールド213に接続され、その内部が排気マニホールド213に連通する中空且つ金属製の配管であり、本発明に係る「第1のEGR通路」の一例である。第1EGRパイプ310の他端部は、第1バルブ機構340に接続され、その内部が第1バルブ機構340に連通する構成となっている。
第2EGRパイプ320は、一端部が第1EGRパイプ310とは異なる位置において排気マニホールド213に接続され、その内部が排気マニホールド213に連通する金属製の配管であり、本発明に係る「第2のEGR通路」の一例である。第2EGRパイプ320の他端部は、第1EGRパイプ310と同様に、第1バルブ機構340に接続され、その内部が第1バルブ機構340に連通する構成となっている。また、第2EGRパイプ320は、シリンダヘッド201の内部を各シリンダの配列方向に沿って貫通している(図示破線表示部分参照)。既に述べたように、シリンダヘッド201内部には、ウォータジャケットが配設され、冷却水が循環供給されている。従って、第2EGRパイプ320内に導かれた排気(即ち、本発明に係る「第2のEGRガス」の一例である)は、第1EGRパイプ310内に導かれる排気(即ち、本発明に係る「第1のEGRガス」の一例である)と較べて冷却された状態で第1バルブ機構340に供給される構成となっている。尚、第2EGRパイプ320に係る排気の取り出し口は、第1EGRパイプ310と共有されていてもよい。
第3EGRパイプ330は、一端部が気密結合用のフランジ(符号省略)を介して第1バルブ機構340と接続され、且つその内部が第1バルブ機構340に連通する中空且つ金属製の配管であり、本発明に係る「第3のEGR通路」の一例である。このように、第3EGRパイプ330は、第1バルブ機構340を介して間接的に第1及び第2EGRパイプと連通する構成となっている。また、第3EGRパイプ330の他端部は、ディーゼルスロットルバルブ204下流側において吸気管203に接続されており、その内部で吸気管203と連通する構成となっている。尚、第3EGRパイプ330と吸気管203との接続位置を、これ以降適宜「循環位置」と称することとする。
尚、第3EGRパイプ330は、上流側パイプ331、中央パイプ332及び下流側パイプ333の三ブロックに分割されており、各々隣接するブロック同士が気密結合用のフランジ(符号省略)により連結されているが、その詳細な構成については後述する。
第1バルブ機構340は、第1及び第2EGRパイプと上流側パイプ331との連通状態(即ち、本発明に係る「第1の連通状態」の一例)を段階的に可変に制御することが可能に構成された電気駆動式の開閉弁装置である。第1バルブ機構340は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100の制御により当該連通状態を制御することが可能に構成される。第1バルブ機構340の詳細な構成については後述する。
第2バルブ機構350は、後述する冷却通路334及びバイパス通路335と下流側パイプ333との連通状態(即ち、本発明に係る「第2の連通状態」の一例)を連続的に可変に制御することが可能に構成された電気駆動式の開閉弁装置である。第2バルブ機構350は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100の制御により当該連通状態を制御することが可能に構成される。第2バルブ機構350の詳細な構成については後述する。
EGRバルブ360は、下流側パイプ333に設置され、開閉状態に応じて、上述した循環位置において吸気管203に循環供給される後述するEGRガス(即ち、上述した「循環供給ガス」の一例)の量を可変に制御することが可能に構成された電磁開閉弁である。EGRバルブ360は、ECU100と電気的に接続されており、その開度はECU100により上位に制御される構成となっている。
ここで、図2を参照し、第3EGRパイプ330及びその周辺の詳細な構成を説明する。ここに、図2は、第3EGRパイプ330周辺部分の模式的な断面図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、上流側パイプ331は、第1EGRパイプ310及び第2EGRパイプ320を夫々介して導かれた排気を、第1バルブ機構340を介して間接的に集約する配管部分である。上流側パイプ331において集約された排気は、本発明に係る「第3のEGRガス」の一例たるEGRガスとして中央パイプ332に供給される。尚、上流側パイプ331に存在するEGRガスは、上述した「入り側EGRガス」の一例であり、これ以降適宜当該名称を併用して説明を継続することとする。
中央パイプ332は、入り側EGRガスの循環経路を選択するための配管部分である。中央パイプ332には、本発明に係る「冷却通路」の一例たる冷却通路334と、本発明に係る「バイパス通路」の一例たるバイパス通路335とが形成されている。冷却通路334には、EGRクーラ336(即ち、本発明に係る「冷却手段」の一例)が設置されている。EGRクーラ336は、中空且つ金属製の管状部材で構成されると共に、上述したエンジン200の冷却水循環系統を利用した、EGRガスの冷却装置であり、その外周部には不図示の冷却水配管が張り巡らされている。この冷却水配管には、不図示のインレットパイプから冷却水が流入する構成となっており、また図示せぬアウトレットパイプへ排出される構成となっている。冷却水配管を冷却水が循環供給される過程で、EGRクーラ336内を通過するEGRガスは冷却される。バイパス通路335は、このEGRクーラ336が設けられた冷却通路334をバイパスする通路であり、バイパス通路335を流れるEGRガスは実質的には何ら冷却されない。冷却通路334及びバイパス通路335は、第2バルブ機構350に接続され、第2バルブ機構350を介して下流側パイプ333に連通している。また、冷却通路334及びバイパス通路335は、下流側パイプ333において合流している。即ち、本実施形態では、冷却通路334とバイパス通路335との合流位置において混合されたEGRガス(即ち、上述した「出側EGRガス」の一例であり、以下適宜当該名称を併用する)は、循環位置において最終的に吸気管203に供給されるEGRガス(即ち、上述した「循環供給ガス」の一例)と等価である(EGRバルブ360による流量変化は除く)。
下流側パイプ333は、第2バルブ機構350及び吸気管203に夫々連通し、第2バルブ機構350を介して供給される出側EGRガスを吸気管203に還流させるための配管部分である。
第1バルブ機構340は、入り側EGRガスにおける、第1EGRパイプ310を介して供給される排気と第2EGRパイプを介して供給される排気との比率γ1を段階的に可変に制御することが可能に構成されている。第1バルブ機構340は、弁体341及び駆動装置342を備え、弁体341の開閉状態に応じて、第1EGRパイプ310と上流側パイプ331との連通状態(即ち、本発明に係る「第1の連通状態」の一例)、及び第2EGRパイプ320と上流側パイプ331との連通状態(即ち、本発明に係る「第1の連通状態」の他の一例)を制御することが可能に構成された、本発明に係る「第1の切り換え手段」の一例である。
弁体341は、回転軸を中心として図示矢線方向に回動可能に支持されてなる板状の部材であり、本発明に係る「第1のバルブ」の一例である。弁体341は、その開閉状態を規定する弁体位置として、第2EGRパイプ320からの排気の流入を遮断する第1の遮断位置と、第1EGRパイプ310からの排気の流入を遮断する第2の遮断位置、及びいずれの通路からも圧損を可及的に低下した状態で排気を流入させることが可能な水平位置(図示する弁体341の位置が水平位置に相当する)の三種類の弁体位置を採ることが可能に構成される。
駆動装置342は、モータ、当該モータを駆動する駆動系及び当該モータから出力されるモータトルクの伝達機構等を含む電気アクチュエータである。この駆動系は、ECU100と電気的に接続されており、モータトルクは、ECU100によって制御される構成となっている。このモータトルクは、伝達機構を介して弁体341に伝達される構成となっており、弁体341は、このモータトルクによって上述した三種類の弁体位置のいずれかに位置制御される構成となっている。尚、第1バルブ機構340では、単一の弁体341の開閉状態に応じて、第1EGRパイプ310と上流側パイプ331との連通状態及び第2EGRパイプ320と上流側パイプ331との連通状態が、相互に相関しつつ変化する構成を有している。より具体的には、第1EGRパイプ310と上流側パイプ331との連通面積の増加及び減少が、夫々第2EGRパイプ320と上流側パイプ331との連通面積の減少及び増加に対応する。
また、第1バルブ機構340は、第1EGRパイプ310と連通する第1入力ポート343及び第2EGRパイプ320と連通する第2入力ポート344を備える。即ち、弁体341の位置として、第1の遮断位置が選択された場合には、第2入力ポート344と上流側パイプ331との連通が遮断され、第2の遮断位置が選択された場合には、第1入力ポート343と上流側パイプ331との連通が遮断される構成となっている。
第2バルブ機構350は、冷却通路334を通過するEGRガス(即ち、上述した「冷却ガス」の一例であり、以下、適宜当該名称を併用する)と、バイパス通路335を通過するEGRガス(即ち、上述した「バイパスガス」の一例であり、以下、適宜当該名称を併用する)との比率γ2を連続的に可変に制御することが可能に構成されている。第2バルブ機構350は、弁体351、及び駆動装置352を備え、弁体351の開閉状態に応じて、冷却通路334と下流側パイプ333との連通状態(即ち、本発明に係る「第2の連通状態」の一例)、及びバイパス通路335と下流側パイプ333との連通状態(即ち、本発明に係る「第2の連通状態」の他の一例)を制御することが可能に構成された、本発明に係る「第2の切り換え手段」の一例である。
弁体351は、回転軸を中心として図示矢線方向に回動可能に支持されてなる板状の部材であり、本発明に係る「第2のバルブ」の一例である。弁体351は、その開閉状態を規定する弁体位置が、バイパス通路335から下流側パイプ333へのEGRガスの供給を遮断する第3の遮断位置と、冷却通路334から下流側パイプ333へのEGRガスの供給を遮断する第4の遮断位置との間で連続的に可変に制御される構成を有している。尚、弁体351の図示する弁体位置は、第3の遮断位置と第4の遮断位置との中間位置に相当し、バイパスガスと冷却ガスとの流量比率が1:1となる弁体位置を表している。尚、弁体351が中間位置にある場合の当該流量比率は一義的ではなく、本実施形態では、この場合に流量比率が1:1となるように、冷却通路334及びバイパス通路335の物理状態が決定されているに過ぎない。
駆動装置352は、モータ、当該モータを駆動する駆動系及び当該モータから出力されるモータトルクの伝達機構等を含む電気アクチュエータである。この駆動系は、ECU100と電気的に接続されており、モータトルクは、ECU100によって制御される構成となっている。このモータトルクは、伝達機構を介して弁体351に伝達される構成となっており、弁体351は、このモータトルクの増減制御により、その弁体位置が連続的に制御される構成となっている。尚、第2バルブ機構350では、単一の弁体351の開閉状態に応じて、冷却通路334と下流側パイプ333との連通状態及びバイパスパイプ335と下流側パイプ333との連通状態が、相互に相関しつつ変化する構成を有している。より具体的には、冷却通路334と下流側パイプ333との連通面積の増加及び減少が、夫々バイパス通路335と下流側パイプ333との連通面積の減少及び増加に対応する。
尚、第1バルブ機構340及び第2バルブ機構350共に、弁体位置と各通路間の連通状態或いは各ガスの流量比率との相互関係は、各通路の物理構成(形状、内径、材質及び三次元的な配置態様)等に応じて、スペース上の制約により許容される範囲で自由に設定可能である。
<実施形態の動作>
エンジンシステム10では、ECU100がEGR装置300の動作状態を制御すべくEGR制御を実行する。ここで、図3を参照し、本実施形態の動作について説明する。ここに、図3は、EGR制御のフローチャートである。
図3において、ECU100は、エンジン200の噴射量Qを取得する(ステップS101)。
エンジンシステム10において、噴射量Qは、アクセル開度と機関回転速度NEとにより一義に決定される。ECU100のROMには、予めアクセル開度及び機関回転速度NEをパラメータとし、これら各パラメータの組み合わせに噴射量Qを対応付けてなる二次元マップが格納されており、ECU100は、アクセルポジションセンサにより検出されるアクセル開度とNEセンサにより検出される機関回転速度NEとに応じて、一の噴射量Qを当該マップから選択的に取得することにより噴射量Qを決定する。この決定された噴射量Qは、上述したインジェクタ208の駆動制御に供される。このように、ECU100は、噴射量Qをエンジン200の動作期間中一定の周期で繰り返し決定しており、ステップS101に係る処理においては、最新の噴射量Qが取得される。尚、噴射量Qは、本発明に係る「負荷条件」を規定する指標値の一例であり、噴射量Qに基づいたECU100の制御は、即ち、本発明に係る「制御手段」の動作の一例である。
噴射量Qが取得されると、ECU100は、EGRガスの導入態様を選択する(ステップS102)。導入態様が決定されると、ECU100は、決定された導入態様に従って第1バルブ機構340及び第2バルブ機構350を制御する(ステップS103)。各バルブ機構の駆動制御が終了すると、ECU100は、処理をステップS101に戻し、一連の処理を繰り返す。EGR制御は、以上の如くに進行する。
ここで、図4を参照し、図3のステップS102の処理に係る、EGRガスの循環経路の選択態様について説明する。ここに、図4は、負荷条件と各バルブ機構の動作状態との対応関係を説明する表である。
図4において、左端の項目はエンジン200の負荷条件(即ち、本実施形態では噴射量Q)を表しており、上段から順に低負荷、中負荷及び高負荷となっている。この低負荷領域、中負荷領域及び高負荷領域は、夫々噴射量が相対的に少ない領域、中間の領域、及び多い領域に対応している。尚、低負荷、中負荷及び高負荷の各負荷領域を規定する噴射量の値は、必ずしも固定値でなくてもよく、例えば機関回転速度NEに応じて可変な値であってもよい。図4では、これら負荷条件に対応するように、第1及び第2バルブ機構の動作状態(即ち、各弁体の位置)が示されている。
図4において、負荷条件が低負荷領域に該当する場合(上段参照)、ECU100は、第1バルブ機構340の弁体341の弁体位置を、上述した第1の遮断位置に制御する。また、ECU100は、第2バルブ機構350の弁体351の弁体位置を、上述した第4の遮断位置に制御する。
ここで、図5を参照し、低負荷領域における各バルブ機構の動作状態について視覚的に説明する。ここに、図5は、低負荷領域におけるEGR装置300の動作模式図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付して、その説明を適宜省略することとする。
図5において、弁体341の弁体位置が第1の遮断位置に制御され、且つ弁体351の弁体位置が第4の遮断位置に制御された状態が示される。この状態では、第2入力ポート344と上流側パイプ331との連通が弁体341により遮断されるため、第2EGRパイプ320を介した排気の流れは遮断され、上流側パイプ331に導かれる排気は、実質的に第1EGRパイプ310から第1入力ポート343を介して導かれた排気のみとなる。また、中央パイプ332に導かれた入り側EGRガスは、弁体351によって冷却通路334への流入が遮断され(但し、冷却通路334に一定量のEGRガスは滞留する)、ほぼ全量がバイパス通路335を通過し、出側EGRガスとして下流側パイプ333に供給される。このようなEGRガスの流れが、図示白抜き矢線として表される。
このような状態では、EGRガスは、伝達経路上の損失を除けば、排気マニホールド213から取り出されたまま冷却されることはなく、その温度がほぼ排気温と等しい高温の状態で下流側パイプ333に供給される。従って、EGRバルブ360の開度が一定且つ吸入される新気の量が一定であれば顕著に、またそうでないとした所で多くの場合少なくとも幾らかなり吸気温の上昇が促され、エンジン200の燃焼温度の上昇が促進される。低負荷領域では、燃焼温度が総じて低く、燃焼性能の低下及び失火が生じ易いが、このように可及的に高温のEGRガスが吸気管203に循環供給されることによって、少なくとも実践上の不具合が顕在化しかねない程度に燃焼性能が低下する事態が防止される。
また、図4において、負荷条件が高負荷領域に該当する場合(下段参照)、ECU100は、第1バルブ機構340の弁体341の弁体位置を、上述した第2の遮断位置に制御する。また、ECU100は、第2バルブ機構350の弁体351の弁体位置を、上述した第3の遮断位置に制御する。
ここで、図6を参照し、高負荷領域における各バルブ機構の動作状態について視覚的に説明する。ここに、図6は、高負荷領域におけるEGR装置300の動作模式図である。尚、同図において、図5と重複する箇所には同一の符号を付して、その説明を適宜省略することとする。
図6において、弁体341の弁体位置が第2の遮断位置に制御され、且つ弁体351の弁体位置が第3の遮断位置に制御された状態が示される。この状態では、第1入力ポート343と上流側パイプ331との連通が弁体341により遮断されるため、第1EGRパイプ310を介した排気の流れは遮断され、上流側パイプ331に導かれる排気は、実質的に第2EGRパイプ320から第2入力ポート344を介して導かれた排気のみとなる。また、中央パイプ332に導かれた入り側EGRガスは、弁体351によってバイパス通路335への流入が遮断され(但し、バイパス通路335に一定量のEGRガスは滞留する)、ほぼ全量が冷却通路334を通過し、出側EGRガスとして下流側パイプ333に供給される。このようなEGRガスの流れが、図示白抜き矢線として表される。
このような状態では、EGRガスは、排気マニホールド213から取り出される高温の排気が、シリンダヘッド201内部を通過する過程で冷却され、且つ入り側EGRガスがEGRクーラ336により更に冷却されることに起因して、その温度が十分に低下した状態で下流側パイプ333に供給される。従って、EGRバルブ360の開度が一定且つ吸入される新気の量が一定であれば明らかに且つ大きく、またそうでないとした所で多くの場合少なくとも幾らかなり、吸気温の低下が促され、エンジン200の燃焼温度の上昇が抑制される。高負荷領域では、燃焼温度が総じて高く、エミッションの悪化(顕著にはNOx排出量の増加)が生じ易いが、このように可及的に低温のEGRガスが吸気管203に循環供給されることによって、少なくとも実践上の不具合が顕在化しかねない程度に燃焼温度が上昇する事態は防止される。
ここで、図4において、負荷条件が中負荷領域に該当する場合(中段参照)、ECU100は、第1バルブ機構340の弁体341の位置、及び第2バルブ機構350の弁体351の位置を、EGRガスの要求量及び要求温度に応じて可変に制御する。尚、本実施形態において「中負荷領域」とは、高負荷領域(即ち、燃焼温度が高温である)にも低負荷領域(即ち、燃焼温度が低温である)にも該当しない領域の全てを含む趣旨であり、最適な(この場合、「最適」とは、例えば失火を招くことなくエミッションの悪化を可及的に抑制すること等を指す)ガス温が、エンジン200の各種運転条件及び環境条件に応じてその都度異なる運転領域を指す。言い換えれば、EGRガスの温度に係る精細且つ頻繁な制御が必要となる運転領域を指す。従って、中負荷領域においては、各バルブ機構の駆動態様は一義に決定されない。
ここで、図7を参照し、中負荷領域における各バルブ機構の動作状態の一例について視覚的に説明する。ここに、図7は、中負荷領域におけるEGR装置300の動作模式図である。尚、同図において、図5と重複する箇所には同一の符号を付して、その説明を適宜省略することとする。
図7において、中負荷領域における各バルブ機構の動作状態の一例として、第1バルブ機構340の弁体341の位置が上述した水平位置に制御され、且つ第2バルブ機構350の弁体351の位置が上述した中間位置に制御された様子が示される。この状態では、第1入力ポート343及び第2入力ポート344が、夫々圧損が可及的に低下した状態で上流側パイプ331と連通するため、第1EGRパイプ310を介した排気及び第2EGRパイプ320を介した排気が、各々実質的な阻害を受けることなく上流側パイプ331に導かれる。このため、当該水平位置においては、第1及び第2EGRパイプを介して、排気が最大限に上流側パイプ331に供給される。従って、上流側パイプ331に導かれる入り側EGRガスの総量は、上述した低負荷領域及び高負荷領域のそれと較べて顕著に大きくなる。例えば、第1EGRパイプ310と第2EGRパイプとの間で、各々の物理状態(例えば、形状、材質、内径及び三次元的配置態様等)に起因する圧損(即ち、排気抵抗)に有意な差がなければ、入り側EGRガスの総量は、概ね2倍となり得る。また、この場合、入り側EGRガスの温度は、入り側EGRガスをバッファする領域としての上流側パイプ331が実践上十分な大きさ(顕著には、長さ)を有していれば、低負荷領域及び高負荷領域における当該温度を平均した程度の値に収束する。
尚、弁体341の位置を水平位置に制御した場合の、入り側EGRガスの総量及び温度が所望の値となるように、予め第1EGRパイプ310及び第2EGRパイプ320における上記物理構成を設定しておくことも可能である。また、第1バルブ機構340は、弁体341の位置として第1の遮断位置、第2の遮断位置及び水平位置の三種類しか採らない構成であるが、例えば第2バルブ機構350と同様に、弁体341の位置が所定の可動範囲内で連続的に制御されてもよく、その場合、入り側EGRガスの総量及びその温度は、これらの相互間の関係は一義的であるにせよ少なくともその組み合わせとして可変となり、実践上有益である。
一方、図7において、中央パイプ332に導かれた入り側EGRガスは、弁体351の位置が中間位置に制御されることにより、冷却通路334及びバイパス通路335に等しく流入し、出側EGRガスに対する冷却ガス及びバイパスガス各々の比率γ2は、概ね50%程度(即ち、相対比率で言えば1:1近傍)となる。このようなEGRガスの流れが、図示白抜き矢線として表される。
このような状態では、入り側EGRガスの一部は、EGRクーラ336により冷却され、他の一部はバイパス通路335を通過して冷却されずに、夫々下流側パイプ333に導かれる。従って、EGRガスの温度は、図7に示す例では、図5及び図6に相当する状態におけるガス温を平均した程度の値となる。
ここで、本実施形態に係るEGR装置300に対する比較例として、例えば第1EGRパイプ310及び第2EGRパイプ320のうち一方に相当する通路を有さない、或いは両方有していたとして第1バルブ機構340に相当する切り換え手段を有さない等の理由により、入り側EGRガスの温度が一定、且つその量が不変である構成を考えると、EGRガスの温度は、実質的に第2バルブ機構350の駆動制御を介して調整する他ない。第2バルブ機構350の弁体351の位置は、その可動範囲内で連続変化し得るが、実践的にみれば、EGRガスの温度を、燃焼温度を実践上何らの不具合も生じさせることなく制御し得る程度に精細に制御することは困難である。また、入り側EGRガスの総量は変化しないから、吸気管203に循環供給されるEGRガスの量は、EGRバルブ360の駆動制御を介して調整する他ない。従って、顕著にはその最大量が不足し易い。
その点、本実施形態に係るEGR装置300によれば、第1EGRパイプ310及び第2EGRパイプ320の二系統から排気を供給可能であり、また、各々の系統と第3EGRパイプ330との連通状態を切り換える第1バルブ機構340を備える。これらにEGRガスとして排気を供給する排気マニホールド213が実践上十分な量の排気を保持していることに鑑みれば、第1EGRパイプ310を流れる排気及び第2EGRパイプ320を流れる排気のうち一方の量が他方の量に実践上看過し得ない影響を及ぼすことはなく、弁体341の開閉状態が制御されることにより、EGR装置300では、入り側EGRガス300の量が、比較例と同等な量からと概ねその2倍程度の量まで可変となり得る。従って、大量のEGRガスが要求される燃焼形態を有する内燃機関(本実施形態に係るエンジン200の低圧縮比による予混合を行う点において、その種に該当する)においては顕著に、またそうでないにしろ比較例と比べれば幾らかなり、NOx排出量の低減によるエミッションの低減が可能である。
また、第1及び第2EGRパイプのいずれか一方が使用された場合、夫々におけるEGRガスの温度は異なるため、特に、第2バルブ機構350の弁体351の位置が第3の遮断位置に制御された場合の出側EGRガスの温度は、比較例に係る構成が第2EGRパイプ320を有さなければ(即ち、排気を直接導く構成しか有さなければ)、比較例よりも低温側の値を採り得、出側EGRガスの温域が拡大する。また、比較例に係る構成が第1EGRパイプ310を有さなければ(即ち、排気を冷却してから導く構成しか有さなければ)、第2バルブ機構350の弁体351の位置が第4の遮断位置に制御された場合の出側EGRガスの温度は、比較例よりも高温側の値を採り得、出側EGRガスの温域が拡大する。即ち、EGR装置300においては、少なくとも高温側又は低温側に出側EGRガスの温域が拡大される。
また、このような温域の拡大に加え、弁体341及び弁体351の位置制御によって、EGR装置300では、出側EGRガスの温度を精細に制御可能である。例えば、入り側EGRガスを第1EGRパイプ310を介して導かれる相対的に高温の排気のみで構成しつつ、冷却通路334(即ち、相対的に低温側の通路)のみを通過させる、或いは入り側EGRガスを第2EGRパイプ320を介して導かれる相対的に低温の排気のみで構成しつつ、バイパス通路335(即ち、相対的に低温側の通路)のみを通過させる、等の制御によって入り側EGRガスの温度を上述した温域内で可変に制御することにより、出側EGRガスの温度の制御精度が向上する。また、入り側EGRガスを第1EGRパイプ310を介して導かれる排気及び第2EGRパイプ320を介して導かれる排気の双方で構成したとしても(本実施形態では、この場合、ガス量は増大する)、EGRバルブ360の開度を減少させれば、最終的に吸気管203に循環供給されるEGRガス量を一定に維持することも可能である。この場合、入り側EGRガスの温度は、相対的に中間の温度となり、第2バルブ機構350による最終的な温度調整に供すべき入り側EGRガスの温度の選択肢が増えるから、出側EGRガスの温度をより高精度に制御することも可能である。
このように、EGR装置300では、最終的に吸気管203に供給されるEGRガスの温度を制御する手段として、第1バルブ機構340、第2バルブ機構350及びEGRバルブ360を有しており、また、最終的に吸気管203に供給されるEGRガスの量を制御する手段として、第1バルブ機構340及びEGRバルブ360を有しており、それらの制御状態を適宜に組み合わせることによって(即ち、作用としては、排気マニホールド213から吸気管203に至る排気(EGRガス)の供給経路(その配分を含む)として複数の態様を実現することによって)、循環供給ガス(本実施形態では出側EGRガスと等価)の温度及び量を好適に制御することが可能となるのである。
尚、本実施形態では、本発明に係る「第3のEGR通路」の一例として、各々がフランジによって連結される上流側パイプ331、中央パイプ332及び下流側パイプ333から構成される第3EGRパイプ330が示されるが、このような構成は一例に過ぎず、例えば第3EGRパイプ330に相当する部分が一体の管状部材として構成されていてもよい。また、本実施形態において、冷却通路334及びバイパス通路335は、下流側パイプ333において合流するように構成されるが、これら各々は、合流することなく吸気管203に接続されていてもよい。この場合、各々にEGRバルブ360に相当する流量変更手段が設けられていてもよい。尚、この場合、出側EGRガスなる概念は消失し、最終的に吸気管203に循環供給されるEGRガスとしての循環供給ガスは、相互に独立する冷却通路334及びバイパス通路335を介して循環位置において吸気管203に合流した各ガスの総体となる。このような場合であっても、基本的に上述した温域の拡大及並びに温度及び量の制御精度向上に係る利益は何ら問題なく担保される。
尚、上述した各バルブ機構の制御態様は、少なくともEGRバルブ360を閉弁させない旨の運転条件(即ち、EGRガスをいくらかなり導入すべきものと判断される運転条件)におけるものであり、EGRガスを導入すべきか否か、即ち、EGRバルブ360の開度を如何に制御すべきかについては、別途の制御態様が存在してもよい。例えば、エンジン200の始動時には、EGRバルブ360が閉弁され、EGRガスの導入自体が禁止されてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内燃機関のEGR装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の一実施形態に係るエンジンシステムの構成を概念的に表してなる概略構成図である。 図1のエンジンシステムにおける、第3EGRパイプ周辺部分の模式的な断面図である。 図1のエンジンシステムにおいてECUにより実行されるEGR制御のフローチャートである。 図1のエンジンシステムにおけるエンジンの負荷条件と各バルブ機構の動作状態との対応関係を説明する表である。 低負荷領域におけるEGR装置の動作模式図である。 高負荷領域におけるEGR装置の動作模式図である。 中負荷領域におけるEGR装置の動作模式図である。
符号の説明
10…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、300…EGR装置、310…第1EGRパイプ、320…第2EGRパイプ、330…第3EGRパイプ、331…上流側パイプ、332…中央パイプ、333…下流側パイプ、334…冷却通路、335…バイパス通路、336…EGRクーラ、340…第1バルブ機構、350…第2バルブ機構、360…EGRバルブ。

Claims (6)

  1. 内燃機関の排気の一部を第1のEGRガスとして前記内燃機関の排気系から直接導く第1のEGR通路と、
    前記排気の一部を第2のEGRガスとして前記内燃機関のシリンダヘッド内部を介して導く第2のEGR通路と、
    前記第1及び第2のEGR通路と連通し、且つ前記内燃機関の吸気系に前記第1及び第2のEGRガスのうち少なくとも一方を含む第3のEGRガスを循環供給可能に連通すると共に、該第3のEGRガスを冷却可能な冷却手段が設けられた冷却通路と、該冷却通路をバイパスするバイパス通路とを備えてなる第3のEGR通路と、
    前記第1及び第2のEGR通路と前記第3のEGR通路との連通状態たる第1の連通状態を切り換え可能な第1の切り換え手段と、
    前記冷却通路及び前記バイパス通路と前記吸気系との連通状態たる第2の連通状態を切り換え可能な第2の切り換え手段と
    を具備することを特徴とする内燃機関のEGR装置。
  2. 前記第3のEGR通路における、前記冷却通路及び前記バイパス通路の各々の下流側に設けられ、前記第3のEGRガスの流量を変更可能な流量変更手段を更に具備する
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のEGR装置。
  3. 前記第1の切り換え手段は、開閉状態に応じて前記第1の連通状態を変化させることが可能な第1のバルブを含み、
    前記第2の切り換え手段は、開閉状態に応じて前記第2の連通状態を変化させることが可能な第2のバルブを含む
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関EGR装置。
  4. 前記内燃機関の運転条件に基づいて前記第1及び第2の連通状態が変化するように、前記第1及び第2の切り換え手段を制御する制御手段を更に具備する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の内燃機関のEGR装置。
  5. 前記制御手段は、前記運転条件として前記負荷条件が所定の低負荷領域に該当する場合に、前記第2のEGR通路と前記第3のEGR通路との連通が遮断されるように前記第1の切り換え手段を制御し、且つ前記冷却通路と前記吸気系との連通が遮断されるように前記第2の切り換え手段を制御する
    ことを特徴とする請求項4に記載の内燃機関のEGR装置。
  6. 前記制御手段は、前記運転条件として前記負荷条件が所定の高負荷領域に該当する場合に、前記第1のEGR通路と前記第3のEGR通路との連通が遮断されるように前記第1の切り換え手段を制御し、且つ前記バイパス通路と前記吸気系との連通が遮断されるように前記第2の切り換え手段を制御する
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の内燃機関のEGR装置。
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