JP2009065787A - 風力発電機に用いる蓄電池設備 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 風力発電機と並設する蓄電池を備え、蓄電池制御器が、風力発電電力PGとその移動平均値Pcomとの偏差Rを求め、蓄電池残存容量Wbatの目標値との差に傾きαで比例した修正係数Mにインバータ容量CIを乗じて得た修正電力値Pcを偏差Rに加えて蓄電池出力指令値Pbatとするもので、蓄電池制御器の伝達関数モデルを使って、移動平均算定データ数n、傾きα、不感帯幅Dzoneを選択しては風速実測値を使った充放電シミュレーションを行って、設備コストCcap=CBCP+CICWが最終的に最小となる蓄電池容量CB、インバータ容量CIを求めて蓄電池制御器を構築する。CP,CWは蓄電池とインバータの容量当たりコストである。
【選択図】 図1
Description
このため、電力系統に風力発電機を導入するときには、発電電力変動を許容範囲まで平準化する必要がある。特に、大規模風力発電システムを電力系統に導入するためには、何らかの対策が求められる。風力発電機に蓄電池を併設して風力発電電力を平準化することは従来からよく行われている。風力発電システムに蓄電池を附属させることにより、風力発電の発電電力変動を平準化し、電力系統に与える影響を抑制することができる。蓄電池の利用により、風力発電システムの短周期から長周期までの発電電力変動が補償できる。
蓄電池の設備コストや維持費用は蓄電池の充放電特性により左右され、充放電特性は蓄電池の制御器の特性によって決まる。
風力発電機に併設される蓄電池は、発電電力変動の平準化を目的とするもので容量が大きいほど効果があるが、設備コストの観点からはできるだけ小容量の蓄電池を導入することが好ましい。
従来は、蓄電池の充放電による平準化効果を評価する方法は知られているが、蓄電池の制御器特性や蓄電池コストの評価方法について開示する文献は見当たらない。
なお、特許文献2には、太陽電池に蓄電池を組み合わせたシステムの蓄電池容量を決定する方法が開示されている。この開示方法は、太陽電池の容量と価格および蓄電池の容量と価格をパラメータとして、全天日射量の測定データを使ってシミュレーションを行って得たメリットを表した経済性評価図を作成して、これから最も経済的な太陽電池と蓄電池の組合せを決定するものである。
特許文献2に開示された方法は、太陽電池システムを対象とするものであるから、瞬時の発生電力が激しく変動する風力発電に適用することはできない。
また、蓄電池残存容量が目標とする50%から大きく隔たると、蓄電池の出力指令値に大きな修正量が作用するので、蓄電池残量は常時目標値近傍に存在するように管理される。
蓄電池の残存容量は、積分器により、蓄電池出力指令値を積分して算定するようにしてもよい。
さらに、減算器と加算器の間に、不感帯素子を備えて、偏差の絶対値が所定の値に達しない場合に加算器への出力がゼロになるようにしてもよい。
制御器パラメータn、α、Dzoneを設定された範囲内で変化させることにより、範囲内で設備コストCcapが最小となる蓄電池容量CB、インバータ容量CIとそのときの制御器パラメータを求めると、これらの値が最適解となる。
本発明の風力発電機に用いる蓄電池設備は、発電電力変動の許容値まで平準化することを制約条件として、合成出力電力変動が制約条件を満たすと共に設備コストが最小となる最適な蓄電池容量、インバータ容量および蓄電池の制御器パラメータを備えるようにすることができる。
図1は本実施例に係る風力発電機に用いる蓄電池設備の蓄電池制御器のブロック図、図2は風力発電機に用いる蓄電池設備の結線図、図3は蓄電池制御器に用いる適応ゲイン制御器の特性を示すグラフ、図4は1年間にわたる実測風速データを示すグラフ、図5は地表状態と補正係数の対応を示す表、図6は風力発電機の運転特性を表すグラフ、図7は実測風速データから算出した1年間にわたる発電電力変動を示すグラフ、図8は蓄電池とインバータの容量と平準化効果の関係を確認する手順を表すフロー図、図9は充放電シミュレーションにより得られた合成出力電力の標準偏差σxをインバータ容量CI と蓄電池容量CBの座標上に描いたグラフ、図10は充放電シミュレーションにより得られた合成出力電力の最大出力変動量ΔPmaxをインバータ容量CI と蓄電池容量CBの座標上に描いたグラフ、図11は図4をもとに算出した大容量蓄電池で平準化した風力発電機の1年間の合成出力電力変動を表すグラフ、図12は蓄電池とインバータの最適容量と最適な蓄電池制御パラメータをシミュレーションにより決定する手順を表すフロー図、図13は図12のシミュレーションにおけるインバータ容量CI と蓄電池容量CBの最適値を探索する手法を説明する図面、図14は最適解を求めるシミュレーションにおけるパラメータ設定値を示す表、図15はシミュレーション結果を示す表、図16から図19はそれぞれ第1ケースから第4ケースの最適解を適用した蓄電池システムで制御したときの合成出力電力の変動量を示す図面である。
蓄電池12は、発電出力PGが基準値を超えるときは蓄電池12に受け入れて蓄積し、基準値に足りないときは蓄電池12から不足分を補うことによって風力発電機11の出力変動を平準化するものである。
蓄電池12により発電出力PGを平準化する機能は、図1のブロック図で示す蓄電池の制御器で生成される蓄電池出力電力指令値Pbatにより達成される。
蓄電池出力指令値Pbatは、風力発電機11の発電電力の移動平均値Pcomと比較して過剰な分を蓄電池12に蓄え、不足の分を蓄電池12から補充させるように指令するので、系統14に供給される電力は移動平均値Pcomに平準化されて、激しい電力変動を示さない。
このように、蓄電池残存容量Wbatが増加すると放電量Pbatが増加し、蓄電池残存容量Wbatが減少すると充電量Pbatが増える傾向が生じ、蓄電池残容量Wbatは常時目標値近傍に収まるように管理される。
しかし、傾きαの設定を大きくすると、蓄電池12の出力電力変動が大きくなり、発電電力変動の平準化に悪影響を与える。
このためシステム設計上、ΔMを適当に設定する必要がある。
蓄電池12の残存容量Wbatは適宜な測定器から得られる実測値を使うことができるが、積分器9を用いて蓄電池出力指令値Pbatを積分して算定するようにしてもよい。なお、積分器9には、蓄電池容量の上下限値に対応する上下限リミッタを附属させることが好ましい。
不感帯素子3は、風力発電機11の発電電力PGと移動平均値Pcomの偏差Rの絶対値が不感帯幅Dzoneより大きいときに偏差Rを出力する。したがって、大きな発電出力変動が発生したときのみ蓄電池12の充放電を行うことになるので、不感帯素子3を導入することにより充放電回数を抑制して蓄電池12の寿命を延長させることができる。
ただし、電力系統14に供給される合成出力電力Psysは、風力発電機11の発電出力PGと蓄電池12の入出力電力Pbatの和であるため、不感帯幅Dzoneより絶対値が小さい変動が電力系統14に供給されて外乱となる。この外乱は不感帯幅Dzoneを小さくすれば抑制することができる。したがって、不感帯幅Dzoneの大きさを適当に設定する必要がある。
最適値を決定するためのシミュレーションは、本実施例の蓄電池制御器モデルを使って、移動平均算定に使うデータ数n、適応ゲイン制御器の修正係数Mにおける傾きα、不感帯幅Dzoneを設定し、風速の実地データを用いて充放電シミュレーションを行う。
充放電シミュレーションは、制御器パラメータn、α、Dzoneを設定された範囲内で変化させて行い、その設定範囲内で設備コストCcapが最小となる蓄電池容量CB、インバータ容量CIとそのときの制御器パラメータn、α、Dzoneを求めると、これらの値が最適解となるので、得られた値を用いたシステムを構築すれば、設備コストが最小の風力発電変動を平準化する蓄電池設備を得ることができる。
シミュレーションは、図1の蓄電池制御器のブロック図において、発電出力PGについて風速の実測値から算定した風力発電機の発電出力値を相当させて行う。
本実施例の実証試験には、琉球大学工学部2号館屋上で測定した風速データを用いた。測定は、2005年11月から2006年10月までの約1年間行い、10分間平均風速のデータを収集した。
図4は上記実測した1年間にわたる風速データを示すグラフである。
当該風速データについての観測日数は357日、1年間の平均風速は3.58m/sであった。
Vz=Vh(z/h)1/N (1)
ここで、Vzは風力発電機のハブ高さにおける風速、Vhは観測地点における風速、zはハブ高さ、hは観測地点高さ、Nは補正係数である。
補正係数Nは図5の表に示される通り、風力発電機を設置する場所の地表状態に基づいて決まる係数で、本実施例ではN=2を採用した。
なお、気象観測機を設置した地上高は21.2m、想定した風力発電機のハブ高さは60mである。
風力発電機の発電電力PWは風速Vに対して3乗特性を持ち、下式で表される。
PW=ρAV3η/2 (2)
ここで、ρは空気密度、Aは受風面積、ηは発電効率である。
本実施例で使用する風力発電機は定格出力1MWで、受風面積Aは2,980m2、発電効率ηは機械的損失も考慮すると40%である。また、空気密度ρは日本の平地における年平均値である1.225kg/m3とした。風速Vはハブ高さにおける風速を使う。
ただし、風力発電機は、ごく低速の2.5m/s以下の領域では出力を出さず、所定の風速たとえば12m/sを超える高速領域では定格値で出力が飽和し、さらにたとえば25m/s以上の風速領域では安全のため出力を遮断するようになっている。風力発電機の運転特性は、図6に示す通りになる。
図7は、上記1年間にわたる風速データに基づいて算定した1年間の発電電力変動を示すグラフである。発電電力変動は、10分間平均風速データから得られた発電電力の差分から計算した。
風速データから算出された発電電力変動の標準偏差は63.4kW、発電電力の最大変動幅は981.2kWであった。
発電電力変動が正規分布に従うとすると、±100kWの変動範囲に88.53%の変動データが含まれることになる。
平均演算器1は、発電電力PGの移動平均値Pcomを算出して平準化の目標値とする。移動平均値Pcomは、風力発電機の過去の発電電力平均値から下式を用いて算出する。
Pcom=(Pt+Pt-1+Pt-2+・・・+Pt-(n-1))/n (3)
ここで、Piは時間iにおける発電電力平均値、nは移動平均をとる窓の幅を示す整数である。
移動平均窓の幅nを大きくすると、移動平均値Pcomの変動が小さくなり、平準化効果が大きくなるが、蓄電池充電率の変動は大きい。逆にnを小さくすると蓄電池充電率の変動は小さいが平準化効果も小さくなる。
平準化効果は、最大発電電力変動ΔPmaxの最大値と合成出力電力変動ΔPsysの標準偏差σxの大きさで評価することができる。最大発電電力変動ΔPmaxは、平準化期間T内における合成出力電力Psysの最大値と最小値の差の最大値である。なお、シミュレーションにおいては、電力系統14に供給される合成出力電力Psysは、出力部に設けた加算器6によって、風力発電機11の発電出力PGと蓄電池12の入出力電力Pbatの和を求めることにより生成することができる。
標準偏差σxは、合成出力電力Psys同士の差分から算出した合成出力電力変動に下式を適用して求める。
σx2=n/(n−1)*Σ1〜n(xj−μ)2 (4)
ここで、μは平均値である。
初めに、蓄電池制御パラメータを設定する(Step1)。蓄電池制御パラメータは、平均演算器1において発電電力の移動平均値を求めるときの窓の幅n、適応ゲイン制御器7における修正係数の傾きα、不感帯素子3における不感帯幅Dzone、変動状態を評価する平準化期間Tである。
次に、蓄電池の容量CBを設定する(Step2)。また、インバータの容量CI を設定する(Step3)。
次のインバータ容量CI を選択し(Step5)、ステップ3に進む。
そのときの蓄電池容量CBについて予定したインバータ容量CI の全てを処理したら、次の蓄電池容量CBを選択し(Step6)、ステップ2に進む。
予定した蓄電池容量CBの全てについて処理できたら、最適な蓄電池容量CBとインバータ容量CI を決定して(Step7)、処理を終了する。
このとき、蓄電池制御パラメータは、n=40min、α=0.0002pu、Dzone=0kW、T=10minとした。
図から、合成出力電力の最大変動量ΔPmaxと標準偏差σxはいずれも、蓄電池容量とインバータ容量を増加するにしたがって減少することが分かる。インバータ容量が増大すると指令値により忠実に従った充放電ができるので、平準化が容易になる。また、蓄電池容量が増大すると、大きな変動が生じたときにも電力変動分を吸収することができるため平準化が容易になる。
しかし、蓄電池容量が500kWhを超えるとΔPmaxが減少しなくなり、これ以上の容量増加は平準化に貢献しないことから、蓄電池やインバータの容量に最適値があることが分かる。
図11は、設備コストを考慮せず、大容量の蓄電池と大容量のインバータを用いて風力発電機の出力を平準化したときの合成出力電力変化を示すグラフである。
図11は、1MW容量の風力発電機に容量CI =600kWのインバータを介して容量CB=500kWhの蓄電池を並列接続した装置を、図4に表された1年間の実測風力変動下で稼働させて発電電力を平準化するシミュレーションを行って得られた合成出力変動ΔPsysの状況を表す。
蓄電池制御パラメータは、n=40min、α=0.0002pu、Dzone=0kW、T=10minとした。
シミュレーションの結果は、最大発電電力変動ΔPmax=374kW、合成出力電力変動の標準偏差σx=21.43kWであった。すなわち、図7に表された風力発電機の発電電力変動が高度に平準化されて、合成出力では1年間を通して最大±374kWの変動しか発生しないことが確認された。
風力発電機の発電電力変動を平準化する本実施例の蓄電池システムでは、蓄電池の制御器パラメータn、α、Dzoneの値により充放電結果が異なり、蓄電池等の容量の最適値も異なる。
そこで、発電電力変動を要求される水準まで平準化し、かつ設備コストが最小になるように蓄電池設備とインバータの容量を最適化する。このとき、蓄電池の制御器パラメータも最適値を使う必要がある。
目的関数:minCcap=CBCP+CICW (5)
制約条件:ΔPd max≧ΔPmax,σd≧σx (6)
すなわち、制御器パラメータや蓄電池容量等は、合成出力電力Psysの最大電力変動ΔPmaxが管理目標とする変動幅ΔPd max以下であり、かつ合成出力電力Psysの標準偏差σxが目標とする値σd以下であるという条件を満たすことを前提として、蓄電池システムの設備コストCcapを最小にすることを目的とする。
図12は、蓄電池とインバータの最適な容量と最適な蓄電池制御パラメータをシミュレーションにより決定する手順を表すフロー図である。
初めに、発電電力変動の許容条件として、合成出力電力Psysの管理目標とする電力変動幅ΔPd max[kW]、電力変動の変動許容範囲±Pdev[kW]および許容範囲に含まれる確率g(Pdev)[%]、平準化期間T[min]を設定する(Step1)。合成出力電力変動ΔPsysは正規分布すると想定する。ΔPsysは±Pdevの範囲にg(Pdev)以上含まれることが要求される。
変動幅ΔPd maxはステップ1で与えられる。また、標準偏差の管理目標値σdは、電力変動の確率g(Pdev)[%]と変動許容範囲±Pdev[kW]に基づいて、最も妥当な標準偏差値を算定して使用する。
シミュレーションにより、電力系統14に供給される合成出力電力Psysの想定データが取得できるので、このデータから最大電力変動ΔPmaxと標準偏差σxを算定して(6)式の制約条件を満たすことを確認する。
蓄電池容量CBとインバータ容量CIの最適値探索は、図13に示すように、蓄電池容量CBとインバータ容量CIをプロットする平面に粗い格子目を描き格子の交点を測定点に取り、それら測定点が示す容量値をブロック図の要素に代入してシミュレーションし、ΔPmaxとσxを求める。
なお、設備コストが最小となる上位3個の解をそれぞれ細かく詮索することにより局所解に収束しないようにして真の最適解を見落とすことを防止しながら、与えられた制御器パラメータについての最適容量解を決定する。
出力1MWの風力発電機に併設する蓄電池としてNaS電池を使った蓄電池システムについて、管理目標とする最大電力変動ΔPmaxの変動幅ΔPd max[kW]、電力変動の変動許容範囲±Pdev[kW]とこの範囲に含まれる確率g(Pdev)[%]、および平準化期間T[min]とが異なる4個のケースを対象として、本実施例の手順によりシミュレーションを使って容量最適値と制御器パラメータ最適値を求めた。
なお、NaS電池のkWh当たりコストを700$、インバータのkW当たりコストを1500$と想定した。
ケース1では、ΔPd maxを400kW、g(Pdev)を99.95%、Pdevを100kW、Tを10minとし、ケース2〜4はケース1と比較して1項目ずつ設定値を変えたものである。ケース2はΔPd maxを100kW減らした場合、ケース3はPdevを30kW減らした場合、ケース4はTを10min増やした場合である。
ケース1の容量最適化においては、発電出力の移動平均値をとるサンプル期間nを増加させると、設備コストCcapが増加した。蓄電池残存容量の変動が大きく、満放電、満充電時は発電電力変動を平準化できないため、ΔPmaxが増大した。不感帯幅Dzone<10kW以下では、nを小さくしても不感帯幅以内の発電電力変動がΔPsysに現れてσxが増加し制約条件を満たせないため、解が得られなかった。
ケース1の最適値は、蓄電池最適容量が274kWh、インバータ最適容量が580kW、このときの制御器パラメータn、α、Dzoneはそれぞれ、3、0.0004pu、10kWであり、設備コストは$1,061,800になった。
ケース2は、最大発電電力変動ΔPmaxの許容幅を400kWから300kWに減らしたものである。nを3以下にすると、ΔPmaxを300kW以下にするという制約条件を満たすことができず、最適解が得られなかった。
ケース2の最適値は、蓄電池最適容量が451kWh、インバータ最適容量が675kW、このときの制御器パラメータn、α、Dzoneはそれぞれ、4、0.0002pu、0kW、設備コストは$1,328,200になった。
出力変動幅を抑制しようとしたためケース1と比較するとインバータ容量、蓄電池容量が大きく、設備コストも大きい。ケース1のシミュレーション結果によると、ΔPmaxが300kW以上になるのは、年間数回しかないので、大きな設備コストに見合うメリットはないと評価される。
ケース3は、合成出力電力の99.95%統計的変動範囲Pdevを100kWから70kWに狭くしたものである。発電電力変動の確率的な分布を小さくするためには十分な蓄電池容量が必要になるので、設備コストも増大した。またnを5以上にしないと解が得られなくなる。また、α、Dzoneは十分小さな値にしなければ、設備コストが増大して最適解が得られないことがある。
ケース3の最適値は、蓄電池最適容量が501kWh、インバータ最適容量が574kW、このときの制御器パラメータn、α、Dzoneはそれぞれ、5、0.0001pu、0kW、設備コストは$1,211,700になった。
ケース1と比較すると平準化効果は大きい。しかし、設備コストを抑制するためには、発電電力変動が小さい地域に立地するなどの工夫が必要である。
ケース4では、20分間の変動を平準化させる制約条件の下で最適化を行っている。平準化期間を長く設定すると発電電力変動が大きくなるので、変動を抑制する蓄電池容量が増大し、設備コストが増大した。
ケース4の最適値は、蓄電池最適容量が720kWh、インバータ最適容量が601kW、このときの制御器パラメータn、α、Dzoneはそれぞれ、3、0.0008pu、0kW、設備コストは$1,384,500になった。
全てのケースの内で設備コストが最も大きかった。平準化期間を長くすると蓄電池容量を増大する必要が出てくるので、風車のピッチ角制御や電力系統との協調制御などにより蓄電池の負担を低減させることが好ましい。
図16〜19は、風力発電機に併設した本実施例による蓄電池設備に上記ケース毎に算定された最適容量、そのときの制御器パラメータを適用し、通年の風速実測データから得られた図7の発電電力変動データを入力して求めた発電電力変動平準化効果を示す図面である。図は、風力発電機と蓄電池設備の合成出力Psysの差分から算定した合成出力変動ΔPsysの1年にわたる変動状態を示す。
して顕著な平準化効果を示している。
ケース1は、適度な平準化効果を有し、設備コストはケース中最小である。
ケース2では、ケース1と比較して合成出力電力Psysの変動幅が小さい。しかし、設備コストが大きく、大きな変動が年に数回程度しか生じないので、設備が過重であると判定することができる。
ケース3は設備コストがケース1とケース2の中間になるが、ケース2並の平準化効果を呈している。
さらにケース4では、最もよく出力変動が抑制されるが、設備容量が最も大きく設備コストも最大になる。
さらに、本発明の方法に基づいて、風速の実測データを用いて風力発電機出力に換算した発電電力データを使って、シミュレーションにより所定の条件下で設備コストが最小で最適な蓄電池容量やインバータ容量、およびそのときの制御器パラメータを探索し、実機に設定することができる。
したがって、本発明により、電力系統に出力する合成出力を十分平準化するものであって、最小の設備コストの蓄電池設備を得ることができる。
2 減算器
3 不感帯素子
4 加算器
5 出力リミッタ
6 加算器
7 適応ゲイン制御器
8 乗算器
9 積分器
11 風力発電機
12 蓄電池
13 インバータ
14 電力系統
Claims (4)
- 風力発電機と併設して電力系統に風力発電機と並列に電力供給するようにした蓄電池設備であって、蓄電池とインバータと蓄電池制御器を備え、該蓄電池制御器は、前記風力発電機の発電電力の移動平均値を算出する平均演算器と、該移動平均値から前記風力発電機の発電電力値を差し引いて偏差を求める減算器と、前記蓄電池の残存容量値に対して比例する修正係数を出力する関数発生器と、該関数発生器から入力した前記修正係数に前記インバータの容量値を乗じて修正電力値を出力する乗算器と、該修正電力値と前記偏差を加える加算器と、該加算器の出力を上下限値で制約して前記蓄電池の出力指令値として出力する出力リミッタを備え、該蓄電池出力指令値は、前記風力発電機の発電電力の移動平均値と比較して過剰な分を前記蓄電池に蓄え、不足の分を前記蓄電池から補充させるように指令することを特徴とする、風力発電機用蓄電池設備。
- さらに、前記減算器と加算器の間に不感帯素子を備えて、前記偏差の絶対値が所定の値に達しない場合に前記加算器への出力がゼロになるようにすることを特徴とする請求項1記載の風力発電機用蓄電池設備。
- さらに、出力指令値を積分する積分器を設け、前記蓄電池の残存容量は、前記積分器により前記蓄電池出力指令値を積分して算定することを特徴とする請求項1または2記載の風力発電機用蓄電池設備。
- 請求項1から3のいずれかに記載の蓄電池制御器を表す伝達関数モデルに従って、制御器パラメータである移動平均算定に使うデータ数nと関数発生器の修正係数における傾きαと不感帯幅Dzoneの設定幅を入力し、該移動平均算定に使うデータ数nと傾きαと不感帯幅Dzoneを前記入力した設定幅内において選択し、蓄電池容量CBとインバータ容量CIを順次選択しては充放電シミュレーションを行って、合成出力電力Psysの最大発電電力変動ΔPmaxと標準偏差σxが決められた制約条件を満たすことを前提として、設備コストCcap=CBCP+CICWが最小となる蓄電池容量CBとインバータ容量CIを求めて、前記選択された制御器パラメータn,α,Dzoneにおける最適な蓄電池容量CBとインバータ容量CIとすることを、前記制御器パラメータn、α、Dzoneを設定された範囲内で変化させては繰り返し、該設定された範囲内で設備コストCcapが最小となる蓄電池容量CB、インバータ容量CIを求めて該設定範囲内で最適な蓄電池容量CB、インバータ容量CIとして採用し、そのときの制御器パラメータを採用して風力発電機用蓄電池設備を構築することを特徴とする風力発電機用蓄電池設備の製作方法。ここで、CPは蓄電池の容量当たりコスト、CWはインバータの容量当たりコストである。
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