JP2009061732A - 液滴吐出装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】 オペアンプの応答性に依存することなく、高スルーレートでかつ高耐圧電位でインクジェットヘッドごとに駆動することができる液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】 電圧生成部18は、オペアンプ182によって増幅された電圧までコンデンサC1に電荷を充電し、インクジェットヘッドを駆動するための個別電圧Vchnをスイッチング回路11に送る。共通電圧発生回路部16は、インクジェットヘッド共通の共通電圧Vcomをスイッチング回路11に送る。スイッチング回路11は、スイッチング制御回路部12の指示に従って、液滴を吐出させるインクジェットヘッドの電極23には、個別電圧Vchnの第1駆動パルスP1を印加し、液滴を吐出させるインクジェットヘッドに隣接するインクジェットヘッドの電極23には、共通電圧Vcomの第2駆動パルスP2を印加するように切り換える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、記録媒体に液滴を吐出する液滴吐出装置に関し、より詳細には、チャネル個別に駆動電圧を制御可能なインクジェットヘッド駆動回路を駆動するために必要な高い駆動電位を予めチャネル毎に個別の直流電圧を生成して蓄電し、蓄電した電荷を各チャネルの駆動回路に選択的に印加することによって、高速応答性が要求されないオペアンプを用いることを可能とし、オペアンプへの負荷を低減することができる液滴吐出装置に関する。
容量の大きい圧電体を用いるインクジェットヘッドを備えたインクジェット装置は、圧電体に対して電荷の供給および放電を繰り返すことによって圧電体を変形させ、変形によって生じる圧力変化によってインクを吐出する。インクを吐出するためには、高耐圧電位かつ高スルーレート特性をもつ駆動電圧を圧電体に与えることが必要である。従来の評価結果では、高耐圧電位として0〜30V(ボルト)の一定の電位が必要であり、かつ高スルーレート特性として50V/μs(マイクロ秒)以上のスルーレートが必要である。
従来の技術であるインクジェットヘッドの駆動装置は、低電圧のパルスをオペアンプなどの増幅回路でリアルタイムに増幅して出力する回路を用いている。具体的には、可変低電圧源の出力に比例して電流値が制御される2つの停電流源を用いて、コンデンサを充放電し、コンデンサに可変定電流源の出力電圧の電位と零電位との間で変化する電圧波形を生成する。生成された電圧波形を電力増幅器つまりオペアンプで増幅して、インクジェットヘッドの複数の圧電体を制御する構成である(たとえば特許文献1参照)。
特開平7−148920号公報
しかしながら、この構成は、簡単でかつ安価であるという特徴を有するが、電圧波形を直接オペアンプで増幅して駆動しているので、オペアンプの動作電流が大きく、多くの電力を消費する。すなわち、駆動装置の性能がオペアンプの性能に依存しており、高速に駆動するには限界がある。さらに、オペアンプの動作電流が駆動周波数に応じて多くなるので、多チャネルの構成での高速駆動には適していない。
高精細パネルなどの製造に使用されるインクジェット装置においては、吐出する液滴の高精度な均一性が要求される。特に、チャネル間のばらつきを低減させるための制御回路が必要不可欠である。圧電体としてピエゾ素子を使用するインクジェットヘッドを駆動するためには、高電圧かつ高スルーレートの駆動電圧の波形を所定の方法によって、インクジェットヘッドに与える必要がある。さらに、吐出する液滴の均一性を向上するためには、チャネルごとに駆動電圧を制御することを可能とする制御回路が必要である。
インクジェットヘッドの圧電体として容量性の高負荷の圧電材料を用いて駆動するためには、高速応答性、具体的にはスルーレートが50V/μs以上の応答性と、高耐圧電位、具体的には0〜30Vの電位とが必要である。さらに、高精度の着弾を実現するためには、高精度電圧制御の特性を備えた駆動パルス波形が必要である。特に、高速応答性と高耐圧電位との両者は相反関係にあり、従来のオペアンプを用いて両者の機能を同時に実現することは難しいという問題がある。
本発明の目的は、オペアンプの応答性に依存することなく、高スルーレートでかつ高耐圧電位でインクジェットヘッドごとに駆動することができる液滴吐出装置を提供することである。
本発明は、液滴を吐出する複数の液滴吐出ヘッドから記録媒体に液滴を吐出する液滴吐出装置であって、
液滴吐出ヘッドごとに設けられ、各液滴吐出ヘッドを個別に駆動するための個別電圧をコンデンサを用いて生成する複数の個別電圧生成手段と、
前記複数の液滴吐出ヘッドを共通に駆動するための共通電圧を生成する共通電圧生成手段と、
液滴吐出ヘッドごとに設けられ、個別電圧生成手段によって生成された個別電圧と、共通電圧生成手段によって生成された共通電圧とのうちのいずれか1つの電圧を選択して、各液滴吐出ヘッドに供給するか否かを制御する複数の供給制御手段とを含むことを特徴とする液滴吐出装置である。
また本発明は、前記個別電圧生成手段は、前記個別電圧を表す個別電圧データをアナログ電圧に変換するアナログ電圧変換回路と、アナログ電圧変換回路によって変換されたアナログ電圧を予め定める増幅率で増幅する電圧増幅回路と、電圧増幅回路で増幅された電圧まで電荷を充電する前記コンデンサとを含み、
前記供給制御手段は、液滴吐出ヘッドに個別電圧を供給するとき、前記コンデンサに充電された電荷による電圧を個別電圧として供給することを特徴とする。
また本発明は、前記コンデンサは、液滴吐出ヘッドが1滴の液滴を吐出させるために消費する電気エネルギの予め定める倍率以上の電気エネルギの電荷を充電することができる容量であることを特徴とする。
また本発明は、前記予め定める倍率は、1000倍以上であることを特徴とする。
また本発明は、前記個別電圧生成手段および前記供給制御手段は、前記液滴吐出ヘッドのうちの対応する1つの液滴吐出ヘッドごとに1つのユニットとして構成され、液滴吐出ヘッドごとに独立に設けられることを特徴とする。
また本発明は、前記個別電圧は、各液滴吐出ヘッドを駆動する電圧の変化に対する各液滴吐出ヘッドから吐出される液滴の吐出量の変化が実測された実測結果に基づいて、各液滴吐出ヘッドから吐出される液滴の吐出量が予め定める吐出量になるように予め設定された電圧であることを特徴とする。
また本発明は、前記個別電圧は、各液滴吐出ヘッドを駆動する電圧の変化に対する各液滴吐出ヘッドから吐出される液滴の吐出速度の変化が実測された実測結果に基づいて、各液滴吐出ヘッドから吐出される液滴の吐出速度が予め定める吐出速度になるように予め設定された電圧であることを特徴とする。
また本発明は、前記液滴吐出ヘッドは、液滴を吐出するノズルに連通し、圧電材料によって形成される隔壁によって隔てられる圧力室内の液体の圧力を、隔壁を変形させることによって変化させて、ノズルから液滴を吐出させることを特徴とする。
本発明によれば、液滴を吐出する複数の液滴吐出ヘッドから記録媒体に液滴を吐出するにあたって、液滴吐出ヘッドごとに設けられる複数の個別電圧生成手段によって、各液滴吐出ヘッドを個別に駆動するための個別電圧がコンデンサを用いて生成され、共通電圧生成手段によって、前記複数の液滴吐出ヘッドを共通に駆動するための共通電圧が生成される。
そして、滴吐出ヘッドごとに設けられる複数の供給制御手段によって、個別電圧生成手段によって生成された個別電圧と、共通電圧生成手段によって生成された共通電圧とのうちのいずれか1つの電圧が選択されて、各液滴吐出ヘッドに供給するか否かが制御される。
すなわち、液滴吐出ヘッドを駆動するための個別電圧をコンデンサを用いて生成するので、従来のように個別電圧をオペアンプによって生成する必要がない。したがって、オペアンプの応答性に依存することなく、高スルーレートでかつ高速に液滴吐出ヘッドごとに駆動することができる。
図1は、本発明の実施の一形態である液滴吐出装置1の構成を示すブロック図である。
液滴吐出装置である液滴吐出装置1は、インクジェットヘッド部10、スイッチング回路11、スイッチング制御回路部12、描画制御部13、画像データシリアルパラレル変換部14、画像データラッチ部15、共通電圧発生回路部16、電圧データシリアルパラレル変換部17、および電圧生成部18を含む。
図2は、インクジェットヘッド部10の断面図である。インクジェットヘッド部10は、ベース部材24と、図示しない液体供給口が形成されたカバー部材25と、液滴を吐出するノズルが形成された図示しないノズル板とを貼り合わせて形成される。図2に示した断面図は、ノズル板の接着面側から見た断面図である。
図2(a)は、電極23a〜23cのいずれにも電圧を印加していない状態を示している。ベース部材24は、圧電材料によって構成され、複数の溝が形成される。隣接する溝を隔てる隔壁21a〜21dは、分極処理が施されている。各溝は、隔壁21a〜21d、カバー部材25、および図示しないノズル版によって密閉された圧力室22a〜22cを形成する。隔壁21a〜21dには、圧電材料の分極方向と直交する方向に電界を印加するための電極23a〜23cが形成されている。同じ圧力室内にある電極は接続されており、同じ参照符号を付している。インクジェットヘッド部10は、ノズルごとに1つの液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドを形成し、複数のインクジェットヘッドを含む。
図2(b)は、圧力室22bの容積を拡大する方向の電圧を電極23bに印加した状態を示し、図2(c)は、圧力室22bの容積を縮小する方向の電圧を電極23bに印加した状態を示している。以下、個々の隔壁を区別せずにいう場合は、隔壁21といい、個々の圧力室を区別せずにいう場合は、圧力室22といい、個々の電極を区別せずにいう場合は、電極23という。
図2に示したインクジェットヘッド部10は、シェアモード型つまり液滴を吐出するための圧力室を連続的に配置した型のインクジェットヘッドである。このタイプのインクジェットヘッドは、互いに隣接する圧力室22を隔てる隔壁21を変形させて液滴を吐出するので、隣接する2つの圧力室22を同時に動作させることはできない。そこで、並設された圧力室22を、たとえば3つおきにグループ化して、それぞれ異なる吐出可能な期間を設け、グループごとに選択的に駆動させることによって全部の圧力室からの液滴吐出を可能にしている。
図3は、電極23に印加する電圧波形を示す図である。図3(a)は、電極23に印加する第1の電圧波形を示し、図3(b)は、電極23に印加する第2の電圧波形を示す。時間Tは、1つの液滴を吐出するための吐出期間であり、時刻Tsから時刻teまでの時間である。
第1の電圧波形は、時刻t1から時刻t2までの印加時間ALの期間、液滴を吐出するインクジェットヘッドごとに個別に設定された個別電圧Vchnが印加される第1駆動パルスP1の波形である。第1駆動パルスP1を図2に示した圧力室22bの電極23bに印加すると、圧力室22bを形成する隔壁21bおよび21cは、印加時間ALの期間、お互いに離反する方向に剪断変形し、圧力室22bの容積が拡大する。圧力室22bの容積が拡大すると、液体供給口から圧力室22bに液体が流入する。
第2の電圧波形は、時刻t2から時刻t3までの印加時間2ALの期間、各インクジェットヘッド共通に設定された共通電圧Vcomが印加される第2駆動パルスP2の波形である。第2駆動パルスP2を図2に示した圧力室22bの両隣に隣接する圧力室22aの電極23aおよび圧力室22cの電極23cに印加すると、圧力室22bを形成する隔壁21bおよび21cは、印加時間2ALの期間、お互いに接近する方向に剪断変形し、圧力室22bの容積が縮小する。圧力室22bの容積が縮小すると、圧力室22b内の圧力が増加し、ノズルから液滴が吐出する。
第1駆動パルスP1の印加時間ALは、容積が拡大した圧力室22に液体が流入することによる圧力波が、圧力室22の全域を伝播してノズルに達するまでの時間であり、圧力室22の長さを液体中の音速で除算した時間である。これによって、液体の流入によって生じた圧力波を、液滴の吐出に効率的に活用することができる。
第2駆動パルスP2の印加時間2ALは、圧力室22が収縮することによって発生する圧力波が、圧力室22内を往復伝播する時間である。これによって、収縮した圧力室22が復元するときの負圧によって、液滴吐出後の残留振動を効率的にキャンセルすることができる。さらに、第2駆動パルスP2の立ち上がりのタイミングを、第1駆動パルスP1の立ち下がりのタイミングに一致させることによって、圧力室22が収縮したときに発生する圧力波を液滴の吐出に効率的に活用することができる。
このように、第1駆動パルスP1の立ち上がりによって隔壁21に生じる拡大方向の剪断変形による圧力波と、第1駆動パルスP1の立ち下がりおよび第2駆動パルスP2の立ち上がりによって隔壁21に生じる縮小方向の剪断変形による圧力波とによって、圧力室22内の液滴を吐出させる。
供給制御手段であるスイッチング回路11a〜11nは、各インクジェットヘッドの電極23に駆動電圧を印加するか否かを制御する回路であり、インクジェットヘッドごとに設けられる。以下、個々のスイッチング回路を区別せずにいう場合は、スイッチング回路11という。各スイッチング回路11は、スイッチング制御回路部12の指示に従って、インクジェットヘッドの電極23に駆動電圧を印加するか否か、および駆動電圧を印加するときは第1駆動パルスP1を印加するのか第2駆動パルスP2を印加するのかを切り換える。
インクジェットヘッドの電極23に印加する駆動電圧の波形は、第1駆動パルスP1の波形および第2駆動パルスP2の波形のうちのいずれかであり、液滴を吐出させるインクジェットヘッドの電極23には、第1駆動パルスP1を印加し、液滴を吐出させるインクジェットヘッドに隣接するインクジェットヘッドの電極23には、第2駆動パルスP2を印加する。
スイッチング制御回路部12は、画像データラッチ部15からの信号に基づいて、各スイッチング回路11に、各スイッチング回路11に対応するインクジェットヘッドの電極23に駆動電圧を印加するか否か、およびどの駆動パルスを印加するのかを指示する。画像データラッチ部15からの信号は、インクジェットヘッドごとに液滴を吐出させるか否かを示す信号である。
描画制御部13は、たとえば半導体メモリあるいはハードディスク装置によって構成され、プログラムおよびデータを記憶する記憶装置と、記憶装置に記憶されるプログラムを実行する中央処理装置(Central Processing Unit:以下「CPU」という)とによって構成される。CPUは、記憶装置に記憶されるプログラムを実行することによって、スイッチング制御回路部12、画像データシリアルパラレル変換部14、画像データラッチ部15、共通電圧発生回路部16および電圧データシリアルパラレル変換部17を制御する。
描画制御部13は、スイッチング制御回路部12には、スイッチング回路11を切り換えるタイミングの基になる駆動タイミング信号を送る。そして、画像データシリアルパラレル変換部14には、各インクジェットヘッドが描画する画像を表す画像データをシリアル転送で送る。画像データラッチ部15には、画像データをラッチするタイミングを示すタイミング信号であるデータラッチ信号を送る。共通電圧発生回路部16には、第2駆動パルスP2の共通電圧Vcomを表す共通電子データを送る。電圧データシリアルパラレル変換部17には、第1駆動パルスP1のインクジェットヘッドごとの個別電圧Vchnを表す個別電子データをシリアル転送で送る。
画像データシリアルパラレル変換部14は、描画制御部13からシリアル転送で送られる画像データを受け取って、インクジェットヘッドごとの画像データに変換して、画像データラッチ部15にパラレル転送で送る。画像データラッチ部15は、画像データシリアルパラレル変換部14からパラレル転送で送られる画像データを、描画制御部13から送られるデータラッチ信号のタイミングでラッチし、ラッチしたデータをスイッチング制御回路部12に送る。
共通電圧生成手段である共通電圧発生回路部16は、たとえばレギュレータなどによって構成され、描画制御部13から送られる電子データが示す共通電圧Vcomを発生して、各スイッチング回路11に送る。電圧データシリアルパラレル変換部17は、描画制御部13からシリアル転送で送られる個別電子データを受け取って、インクジェットヘッドごとの個別電子データに変換し、変換したインクジェットヘッドごとの個別電子データを対応する電圧生成部18a〜18nにパラレル転送で送る。
個別電圧生成手段である電圧生成部18a〜18nは、電圧データシリアルパラレル変換部17から送られるインクジェットヘッドごとの個別電子データが示す個別電圧Vchnを生成して、各スイッチング回路11に送る。以下、個々の電圧生成部を区別せずにいう場合は、電圧生成部18という。
図4は、電圧生成部18の回路構成を示す図である。電圧生成部18は、インクジェットヘッドごとに設けられ、DAC(Digital Analog Converter)回路181、増幅回路(以下「オペアンプ」ともいう)182、抵抗R1およびR2、ならびにコンデンサC1を含んで構成される。
アナログ電圧変換回路であるDAC回路181は、電圧データシリアルパラレル変換部17から送られるインクジェットヘッドごとの個別電圧データである個別電子データをアナログ電圧に変換する。インクジェットヘッドごとの個別電子データが示す個別電圧Vchnは、各インクジェットヘッドを駆動する駆動電圧と吐出量との関係に基づいて、予め定める吐出量になるように設定された電圧である。各インクジェットヘッドの駆動電圧と吐出量との関係は、インクジェットヘッド部10を液滴吐出装置1に組み込む前に、たとえば「WYKO NT3300表面形状粗さ計測定器」などを用いてインクジェットヘッドごとに実測したものである。
このように、前記個別電圧は、各インクジェットヘッドを駆動する電圧の変化に対する各インクジェットヘッドから吐出される液滴の吐出量の変化が実測された実測結果に基づいて、各インクジェットヘッドから吐出される液滴の吐出量が予め定める吐出量になるように予め設定された電圧である。
したがって、各インクジェットヘッドから吐出される液滴の吐出量のばらつきを、各インクジェットヘッドに指示する個別電圧をインクジェットヘッドごとに設定することによってなくすことができ、電圧生成部18を同じ回路構成とすることができる。
電圧増幅回路であるオペアンプ182は、DAC回路181からのアナログ電圧を所定の増幅率で増幅する。DAC回路181から出力されるアナログ電圧では、駆動するために必要な電圧を得られないので、オペアンプ182を用いて増幅する。DAC回路181の出力側には、フィードバック抵抗R1が接続され、フィードバック抵抗R1のDAC回路181への入力側に接地抵抗R2が接続されている。所定の増幅率は、式(1+(R2/R1))によって算出される値である。
コンデンサC1は、片方の端子がオペアンプ182に接続され、多端が接地される。コンデンサC1は、オペアンプ182によって増幅された電圧まで電荷を充電し、インクジェットヘッドを駆動するための個別電圧Vchnを生成する。コンデンサC1によって生成された個別電圧Vchnは、オペアンプ182に接続される端子から対応するスイッチング回路11に送られる。
容量性の負荷となる圧電材料を変形させるためには、コンデンサC1は、高電位でかつ大容量の電荷を保持することができるコンデンサとする必要がある。しかし、駆動電圧を大きく変化させたときに、コンデンサの特性によっては、コンデンサに保持させた電荷がオペアンプ182の入力側に流れることがある。電荷がオペアンプ182の入力側に流れると、オペアンプ182の入力端子がマイナス側に大きく揺さぶられて、入力定格以上の電圧が掛かり、オペアンプ182が誤動作し、最悪の場合は、オペアンプ182が破壊されてしまうことがある。
オペアンプ182の誤動作あるいは破壊を回避することができ、かつ十分な駆動能力を有するコンデンサの容量の決定と種類の選定とを行う必要がある。先ず、コンデンサの容量に決定については、出力電位0〜30V(ボルト)の範囲の個別電圧を安定して保持できるコンデンサの選定を行う。高い電位を保持するためには、その高い電位に見合った大きな容量が必要である。しかし、容量が大きすぎると、オペアンプ182の発振を誘発し、不安定な回路となる。逆に、容量が小さすぎると、所定の電圧を保持することができず、出力電圧が不安定になる。
図5は、コンデンサC1の容量決定のためのシミュレーションモデル30を示す図である。シミュレーションモデル30では、市販されている回路シミュレータを使用している。シミュレーションモデル30は、オペアンプ182に相当するオペアンプ「U1AMC3403」、コンデンサC1、抵抗R1およびR2、スイッチング回路11に相当するアナログスイッチ「VcSW2TTL」および「VcSW3TTL」を含んで構成される。接続する外部負荷としては、液滴吐出装置1で用いるインクジェットヘッドの圧電材料の負荷容量の2倍以上の値である1nFとしている。コンデンサC1の容量を変化させて、オペアンプ「U1AMC3403」の出力電位をシミュレーションする。
オペアンプ「U1AMC3403」に供給される電源電圧V1は30Vであり、オペアンプ「U1AMC3403」への入力電圧V3は5Vであり、抵抗R1は4kオームであり、抵抗R2は1kオームであり、抵抗R3およびR4は45オームであり、抵抗R5は25オームである。アナログスイッチ「VcSW2TTL」および「VcSW3TTL」は、いずれも200kHzで駆動され、アナログスイッチ「VcSW2TTL」の電圧V5およびアナログスイッチ「VcSW3TTL」の電圧V2とも0Vと5Vとの間を変化する。
図6は、シミュレーションモデル30によるシミュレーション結果を示す図である。横軸はコンデンサC1の容量(nF)であり、縦軸はコンデンサC1による出力電位のばらつきの度合いを表す標準偏差値である。実線は実測値を結んだ線であり、点線は近似曲線である。
図6に示したシミュレーション結果は、コンデンサC1の容量として、10nF、100nF、1,000nF、2,000nF、5,000nFおよび10,000nFの6つの容量についてシミュレーションを行った結果を示している。出力電位の標準偏差値は、コンデンサC1の容量が10nFで0.43であり、コンデンサC1の容量が100nFで0.07であり、コンデンサC1の容量が1,000nFで0.06であるが、コンデンサC1の容量が2,000nF、5,000nFおよび10,000nFでは、出力電位の標準偏差値はいずれも0.04であり、ばらつきの少ない安定した結果である。すなわち、コンデンサC1としては、2,000nF以上の容量値のコンデンサを用いる。
次に、コンデンサの種類の選定については、基板の実装密度を向上するために、設置面積の小さいサイズのコンデンサを選定する必要がある。コンデンサの容量が1,000nF以上になると、安価で大容量である電解コンデンサは、特性的にはよいが、部品サイズが大きいために実装効率が悪く、短寿命という欠点がある。タンタルコンデンサは、小形で比較的大きい容量であるが、故障する形態が短絡であることが多く、故障した場合に発熱を伴うので、信頼性に乏しい。積層セラミックコンデンサは、温度特性が電解コンデンサおよびタンタルコンデンサに比べてやや劣るが、周波数特性が電解コンデンサに比べてよい。さらに、小形、安価、比較的大容量、高耐圧仕様、かつ信頼性が高い。したがって、積層セラミックコンデンサを用いることとする。積層セラミックコンデンサの温度特性は、B特性±10%品を使用することで、十分使用に耐えるものとすることができる。
図7は、コンデンサC1として積層セラミックコンデンサを用いて容量を変化させたときの電圧生成部18の出力電位の実測値のばらつきを示す図である。横軸はコンデンサC1の容量(nF)であり、縦軸は電圧生成部18の出力電位の標準偏差値である。
図7に示した実測値は、コンデンサC1の容量として、1.0μF、2.2μFおよび4.7μFの3つの容量について、電圧生成部18の出力電位を測定したときの出力電位のばらつきの度合いを示す標準偏差値である。出力電位の標準偏差値は、コンデンサC1の容量が4.7μFで0.140であり、コンデンサC1の容量が2.2μFで0.142であり、コンデンサC1の容量が1.0μFで0.159である。
図8は、図7に示したコンデンサC1の容量を変化させたときの電圧生成部18の出力電位の実測値の最大値、平均値および最小値を示す図である。横軸はコンデンサC1の容量(nF)であり、縦軸は電圧生成部18の出力電位(V)である。
図8に示した実測値は、コンデンサC1の容量として、1.0μF、2.2μFおよび4.7μFの3つの容量について、電圧生成部18の出力電位の最大値、平均値および最小値を示す。出力電位の最大値、平均値および最小値は、コンデンサC1の容量が4.7μFでは、それぞれ18.8V、18.3V、および17.9Vであり、コンデンサC1の容量が2.2μFでは、それぞれ18.8V、18.3V、および17.9Vであり、コンデンサC1の容量が1.0μFでは、それぞれ18.9V、18.3V、および17.7Vである。
図7に示した出力電位の標準偏差値は、部品を実際の回路に実装した状態での実測値に基づく標準偏差値であり、外乱等の影響のない図6に示したシミュレーション結果の標準偏差値よりも値が増加しているが、図7および図8のいずれにおいてもコンデンサC1の容量が4.7μFおよび2.2μFでほぼ安定した出力電位が得られている。オシロスコープによる出力電位の波形観測では、コンデンサC1の容量が4.7μFで、他のインクジェットヘッドの出力電位の観測波形に影響が見られるので、コンデンサC1の容量として、2.2μFを選定する。
図9は、電圧生成部18の入出力特性を示す図である。横軸は個別電圧として設定する設定電圧(V)であり、縦軸は電圧生成部18の出力電位(V)である。実線は理想値を示し、ドットは実測値を示す。図9に示した入出力特性は、設定電圧(V)を0〜30Vで変化させたときの電圧生成部18の出力電位(V)を示しており、実測値がほぼ理想値に一致している。理想値は、設定電圧の電位に一致する出力電位である。
図10は、チャネルごとの出力電位の実測値を示す図である。図10に示す実測値は、チャネル番号ch1〜ch16の16個のチャネルについて、設定電圧を30Vとしたときの出力電位を実測した値である。各チャネルの実測値は、チャネル番号ch1から順に、30.02V、30.04V、30.03V、30.02V、30.03V、30.03V、30.03V、30.03V、30.03V、30.04V、30.02V、30.03V、30.04V、30.09V、30.02Vおよび30.03Vである。設定電圧を30Vとしたときの出力電位の理想値は、30Vである。
理想値に対する誤差は、直線性誤差は4mVであり、非直線性誤差は30mVであり、インクジェットヘッド間のばらつきは0.23%である。直線性誤差は、設定電圧をデジタル値で表したとき、デジタル値を1ビット(bit)に相当する値を増加させたときの理想の増加量に対する誤差をいい、1bit誤差ともいう。非直線性誤差は、設定電圧のデジタル値を16進数で、”00”から”FF”まで変化させるとき、設定電圧が”00”時の出力電位と設定電圧が”FF”時の出力電位とを結ぶ理想曲線に対する実測値の誤差をいう。ばらつきは、チャネルごとの実測値のうち最大の実測値と最小の実測値との差の理想値に対する割合である。図10に示した実測値では、最大の実測値30.09Vと最小の実測値30.02Vとの差が0.07Vであり、その差0.07Vを理想値30Vで除算した百分率が0.23%となる。
直線性誤差、非直線性誤差およびばらつきの仕様は、回路が搭載する装置ごとに設定されるが、液滴吐出装置1では、たとえば、直線性誤差の仕様は、100mV以下であること、非直線性誤差の仕様は、200mV以下であること、およびばらつきの仕様は、±2%以内であることであり、上述した実測値に基づく値は、仕様を満足する値である。
さらに、駆動波形の立ち上がり特性は、0Vから18Vに達するのに要する時間が約40nsであり、スルーレートの目標値50V/μsを十分満足する性能を実現することができる。
このように、液滴を吐出する複数のインクジェットヘッドから記録媒体に液滴を吐出するにあたって、インクジェットヘッドごとに設けられる複数の電圧生成部18によって、各インクジェットヘッドを個別に駆動するための個別電圧がコンデンサC1を用いて生成され、共通電圧発生回路部16によって、前記複数のインクジェットヘッドを共通に駆動するための共通電圧が生成される。
そして、インクジェットヘッドごとに設けられる複数のスイッチング回路11によって、電圧生成部18によって生成された個別電圧と、共通電圧発生回路部16によって生成された共通電圧とのうちのいずれか1つの電圧が選択されて、各インクジェットヘッドに供給するか否かが制御される。
すなわち、インクジェットヘッドを駆動するための個別電圧をコンデンサC1を用いて生成するので、従来のように個別電圧をオペアンプ182によって生成する必要がない。したがって、オペアンプ182の応答性に依存することなく、高スルーレートでかつ高速にインクジェットヘッドごとに駆動することができる。
このように、電圧生成部18によって、前記個別電圧を表す個別電圧データをアナログ電圧に変換するDAC回路181と、DAC回路181によって変換されたアナログ電圧を予め定める増幅率で増幅するオペアンプ182と、オペアンプ182で増幅された電圧まで電荷を充電するコンデンサC1とが含まれ、スイッチング回路11によって、インクジェットヘッドに個別電圧が供給されるとき、コンデンサC1に充電された電荷による電圧が個別電圧として供給される。
すなわち、電圧増幅回路つまりオペアンプ182は、コンデンサC1を充電するためにのみ用いるので、オペアンプ182のピーク電流を抑えることができ、低消費電力化を実現することができる。
このように、前記インクジェットヘッドは、液滴を吐出するノズルに連通し、圧電材料によって形成される隔壁21によって隔てられる圧力室22内の液体の圧力を、隔壁21を変形させることによって変化させて、ノズルから液滴を吐出させるので、シェアモード型のインクジェットヘッドを駆動するときに、オペアンプ182の応答性に依存することなく、高スルーレートでかつ高速にインクジェットヘッドごとに駆動することができる。
インクジェットヘッドごとの個別電圧は、吐出速度が一定になるように設定してもよい。インクジェットヘッドごとの個別電圧は、各インクジェットヘッドを駆動する駆動電圧と吐出速度との関係に基づいて、予め定める吐出速度になるように決定する。各インクジェットヘッドの駆動電圧と吐出速度との関係は、インクジェットヘッド部10を液滴吐出装置1に組み込む前に、たとえばストロボ回路などを用いてインクジェットヘッドごとに実測しておく。
このように、前記個別電圧は、各インクジェットヘッドを駆動する電圧の変化に対する各インクジェットヘッドから吐出される液滴の吐出速度の変化が実測された実測結果に基づいて、各インクジェットヘッドから吐出される液滴の吐出速度が予め定める吐出速度になるように予め設定された電圧である。
したがって、各インクジェットヘッドから吐出される液滴の吐出速度のばらつきを、各インクジェットヘッドに指示する個別電圧をインクジェットヘッドごとに設定することによってなくすことができ、電圧生成部18を同じ回路構成とすることができる。
インクジェットヘッドを駆動したときに圧電材料で消費される電気エネルギPaは、駆動電圧をVk、電気エネルギをPaとするために必要な電流をIaとすると、Pa=Ia×Vkである。必要な電流Iaは、インクジェットヘッドの圧電材料の容量Cpを360pF、駆動電圧Vkを30V、駆動周波数fを100kHz、インクジェットヘッドの数Nchを64チャネルとすると、Ia=Cp×Vk×f×Nch=360×30×100×64=0.06912A(アンペア)となる。したがって、消費される電気エネルギPaは、Pa=Ia×Vk=0.06912×30=2.0736W(ワット;1W=1kg・m・s−3;以下同じ)となる。
液滴吐出装置1では、コンデンサC1として2.2μFのコンデンサを用いるので、駆動可能な電気エネルギPkは、駆動電圧をVk、電気エネルギをPkとするために必要な電流をIkとすると、Pk=Ik×Vkである。必要な電流Ikは、駆動電圧Vkを30V、駆動周波数fを100kHz、インクジェットヘッドの数Nchを64チャネルとすると、Ik=C1×Vk×f×Nch=2.2×30×100×64=422.4Aとなる。したがって、駆動可能な電気エネルギPkは、Pk=Ik×Vk=422.4×30=12672Wとなる。
駆動可能な電気エネルギPkに対する消費される電気エネルギPaの割合は、Pk/Pa=12672/2.0736≒6000である。すなわち、電圧生成部18は、インクジェットヘッドを駆動するために必要とされる電気エネルギPaの約6000倍の電気エネルギを蓄積することができる。
インクジェットヘッドの圧電材料の容量Cpを360pFとして試算したが、圧電材料の容量Cpを1000pFで試算すると、この割合は約2000倍となり、圧電材料の容量Cpを2000pFで試算すると、この割合は約1000倍となる。
したがって、液滴吐出装置1の電圧生成部18に用いるために選定された容量2.2μFのコンデンサC1は、インクジェットヘッドを1回駆動させるときに消費される電気エネルギの1000倍以上の電気エネルギを蓄えることができる。さらに、100kHz以上の高速で駆動を行う場合においても、十分駆動可能であることが分かる。
このように、コンデンサC1は、インクジェットヘッドが1滴の液滴を吐出させるために消費する電気エネルギの予め定める倍率以上の電気エネルギの電荷を充電することができる容量であるので、100kHz以上の高速で駆動を行う場合においても、十分駆動可能である。
このように、前記予め定める倍率は、1000倍以上であるので、コンデンサC1の容量が2000pF以上で、駆動回路を駆動するための電位のインクジェットヘッドごとのばらつきの標準偏差を0.04以下に抑えることができる。
電圧生成部18およびスイッチング回路11は、インクジェットヘッドごとに独立に1ユニットとして構成される。したがって、ユニット間でのクロストークをなくし、各インクジェットヘッドを高精度に制御することができ、多チャネル化および集積回路化に有効な回路構成とすることができる。さらに、1ユニットが故障しても、ユニットごとに独立しているので、他のユニットに影響を及ぼすことがなく、多チャネル化に対する信頼性を向上することができる。信頼性が高いので、液滴吐出装置1は、精度を必要とするカラーフィルタ作成用インクジェット装置、および有機EL(Electro-Luminescence)などの発光インクの塗布装置などに応用することができる。
このように、電圧生成部18およびスイッチング回路11は、インクジェットヘッドのうちの対応する1つのインクジェットヘッドごとに1つのユニットとして構成され、インクジェットヘッドごとに独立に設けられるので、ユニット間でのクロストークをなくし、各インクジェットヘッドを高精度に制御することができ、多チャネル化および集積回路化に有効な回路構成とすることができる。さらに、1つのユニットが故障しても、他のユニットに影響を及ぼすことがなく、部品もユニット単位で交換可能である。したがって、多チャネル化に対する信頼性を向上することができる。
図11は、本発明の実施の他の形態である液滴吐出装置2の構成を示すブロック図である。図1に示した液滴吐出装置1は、1種類の共通電圧を用いて制御したが、図11に示す液滴吐出装置2は、2種類の共通電圧を用いて制御するものである。液滴吐出装置である液滴吐出装置2は、インクジェットヘッド部210、スイッチング回路211、スイッチング制御回路部212、描画制御部213、画像データシリアルパラレル変換部214、画像データラッチ部215、共通電圧発生回路部216、電圧データシリアルパラレル変換部217、および電圧生成部218を含む。
インクジェットヘッド部210、スイッチング制御回路部212、画像データシリアルパラレル変換部214、画像データラッチ部215、電圧データシリアルパラレル変換部217および電圧生成部218は、それぞれ図1に示したインクジェットヘッド部10、スイッチング制御回路部12、画像データシリアルパラレル変換部14、画像データラッチ部15、電圧データシリアルパラレル変換部17および電圧生成部18と同じ構成であり、重複を避けるために説明を省略する。
描画制御部213は、共通電圧発生回路部16には、第2駆動パルスP2の共通電圧および第3駆動パルスP3の第2の共通電圧を指示する共通電子データを送る。他の部位には、描画制御部13と同じ信号およびデータを送る。共通電圧生成手段である共通電圧発生回路部216は、たとえばレギュレータなどによって構成され、描画制御部213から送られる共通電子データが示す共通電圧および第2の共通電圧を生成して、各スイッチング回路11に送る。
供給制御手段であるスイッチング回路211a〜211nは、インクジェットヘッドの電極23に駆動電圧を印加するか否かを制御する回路であり、インクジェットヘッドごとに設けられる。以下、個々のスイッチング回路を区別せずにいう場合は、スイッチング回路211という。各スイッチング回路211は、スイッチング制御回路部212の指示に従って、インクジェットヘッドの電極23に駆動電圧を印加するか否か、および駆動電圧を印加するときは第1駆動パルスP1〜第3駆動パルスP3のうちのいずれを印加するのかを切り換える。
インクジェットヘッドの電極23に印加する駆動電圧の波形は、第1駆動パルスP1、第2駆動パルスP2および第3駆動パルスP3のうちのいずれか1つであり、駆動するグループに含まれるインクジェットヘッドのうち、液滴を吐出させるインクジェットヘッドの圧力室(以下「吐出圧力室」という)の電極23には、第1駆動パルスP1を印加し、駆動するグループに含まれるインクジェットヘッドに隣接するインクジェットヘッドの圧力室の電極23には、第2駆動パルスP2を印加し、駆動するグループに含まれるインクジェットヘッドのうち、液滴を吐出させないインクジェットヘッドの圧力室(以下「非吐出圧力室」という)の電極23には、第3駆動パルスP3を印加する。
図12は、電極23に印加する電圧波形および隔壁21に生じる電位差の波形を示す図である。電極23に印加する電圧波形には、個別電圧Vchnのパルスである第1駆動パルスP1(以下「Vchnパルス」ともいう)の波形、共通電圧Vcomのパルスである第2駆動パルスP2(以下「Vcomパルス」ともいう)の波形、および第2の共通電圧Vnonのパルスである第3駆動パルスP3(以下「Vnonパルス」ともいう)の波形がある。
Vchnパルス波形は、図3に示した第1駆動パルスP1と同じ波形であり、Vcomパルス波形は、図3に示した第2駆動パルスP2と同じ波形である。Vnonパルスは、時刻t1から時刻t3までの時間3ALの期間、第2の共通電圧Vnonが印加されるパルスの波形である。
吐出圧力室の隔壁21に生じる電位差の波形は、Vchnパルス波形の電位からVcomパルス波形の電位を減算した電位差の波形であり、非吐出圧力室の隔壁21に生じる電位差の波形は、Vnonパルス波形の電位からVcomパルス波形の電位を減算した電位差の波形である。
Vnonパルスの電圧は、Vchnパルスの電位およびVcomパルスの電位よりも低くする。したがって、非吐出圧力室の隔壁21に生じる電位差は、吐出圧力室の隔壁21に生じる電位差よりも小さい。非吐出圧力室の隔壁21に生じる電位差を吐出圧力室の隔壁21に生じる電位差よりも小さくすることによって、圧力室の残留振動、および温度の影響を小さく抑えることが可能となり、吐出精度を向上し、誤吐出に対するマージンを確保することができる。
非吐出圧力室の隔壁21に生じる電位差の波形は、吐出圧力室の隔壁21に生じる電位差の波形の相似形になっている。したがって、各圧力室22を駆動するタイミングを同じにすることができ、インクジェットヘッド部210に生じする振動のタイミングは同一になる。
時刻t2における電圧値の変化によって生じる圧力波、つまり拡張された圧力室を収縮させるときの圧力波は、時刻t1における電圧値の変化によって発生させた圧力波、つまり圧力室を拡張するときの圧力波に共振するように設定されている。逆に、時刻t3における電圧値の変化によって生じる圧力波、つまり収縮された圧力室を中立の状態に復元させるときの圧力波は、それら圧力波を相殺する方向に設定されている。Vchnパルス、VcomパルスおよびVnonパルスのそれぞれの電圧の変化量は、生じる圧力波の大きさに関係している。
したがって、Vnonパルスの電圧値を調整することによって、上記共振させる圧力波と相殺する圧力波との配分を変化させることができるので、残留振動の大きさを制御することが可能となる。
Vnonパルスの電圧は、1つの圧力室を連続駆動させた場合と、断続的に駆動させた場合との吐出液滴の速度の差または体積の差が小さくなるように調整する。吐出液滴の速度の差または体積の差が小さくなるように調整することによって、駆動されたことによる圧力室の残留振動および温度の影響を最小化することができる。
圧力室22を駆動した場合、圧電材料のヒステリシス損によって発熱するが、吐出圧力室では、吐出される液滴によって一部の熱量が外部に放出される。したがって、吐出圧力室と非吐出圧力室との温度差を少なくするには、非吐出圧力室の発熱量を、吐出圧力室の発熱量よりも少なくすることが必要である。発熱量は、電圧の大きさにのみ関係しており、電圧変化の方向には影響されないので、Vnonパルスの電圧をVchnパルスおよびVcomパルスよりも低い電圧に設定することによって、吐出圧力室と非吐出圧力室との温度差を少なくすることができる。
上述した実施の形態では、吐出圧力室と非吐出圧力室との残留振動の合わせ込みに重点をおいて駆動電圧を設定し、その副次的な効果として、吐出圧力室と非吐出圧力室との温度差が少なくなる場合を説明したが、駆動電圧の設定は、これに限定されるものではない。これとは逆に、温度差を少なくすることに重点をおいて駆動電圧を設定することも可能である。もっとも好ましくは、残留振動と温度差との双方の影響を同時に解消することができるように、あるいは解消することができなくても無視することができる程度になるように、インクジェットヘッドおよびインクなどの液体の特性を考慮して、Vchnパルス、VcomパルスおよびVnonパルスを全体的に調整して設定することである。
本発明の実施の一形態である液滴吐出装置1の構成を示すブロック図である。 インクジェットヘッド部10の断面図である。 電極23に印加する電圧波形を示す図である。 電圧生成部18の回路構成を示す図である。 コンデンサC1の容量決定のためのシミュレーションモデル30を示す図である。 シミュレーションモデル30によるシミュレーション結果を示す図である。 コンデンサC1として積層セラミックコンデンサを用いて容量を変化させたときの電圧生成部18の出力電位の実測値のばらつきを示す図である。 図7に示したコンデンサC1の容量を変化させたときの電圧生成部18の出力電位の実測値の平均値、最大値および最小値を示す図である。 電圧生成部18の入出力特性を示す図である。 チャネルごとの出力電位の実測値を示す図である。 本発明の実施の他の形態である液滴吐出装置2の構成を示すブロック図である。 電極23に印加する電圧波形および隔壁21に生じる電位差の波形を示す図である。
符号の説明
1,2 液滴吐出装置
10,210 インクジェットヘッド部
11,11a〜11n,211,211a〜211n スイッチング回路
12,212 スイッチング制御回路部
13,213 描画制御部
14,214 画像データシリアルパラレル変換部
15,215 画像データラッチ部
16,216 共通電圧発生回路部
17,217 電圧データシリアルパラレル変換部
18,18a〜18n,218,218a〜218n 電圧生成部
21 隔壁
22 圧力室
23 電極
24 ベース部材
25 カバー部材
30 シミュレーションモデル
181 DAC回路
182 増幅回路
C1 コンデンサ
R1,R2 抵抗

Claims (8)

  1. 液滴を吐出する複数の液滴吐出ヘッドから記録媒体に液滴を吐出する液滴吐出装置であって、
    液滴吐出ヘッドごとに設けられ、各液滴吐出ヘッドを個別に駆動するための個別電圧をコンデンサを用いて生成する複数の個別電圧生成手段と、
    前記複数の液滴吐出ヘッドを共通に駆動するための共通電圧を生成する共通電圧生成手段と、
    液滴吐出ヘッドごとに設けられ、個別電圧生成手段によって生成された個別電圧と、共通電圧生成手段によって生成された共通電圧とのうちのいずれか1つの電圧を選択して、各液滴吐出ヘッドに供給するか否かを制御する複数の供給制御手段とを含むことを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 前記個別電圧生成手段は、前記個別電圧を表す個別電圧データをアナログ電圧に変換するアナログ電圧変換回路と、アナログ電圧変換回路によって変換されたアナログ電圧を予め定める増幅率で増幅する電圧増幅回路と、電圧増幅回路で増幅された電圧まで電荷を充電する前記コンデンサとを含み、
    前記供給制御手段は、液滴吐出ヘッドに個別電圧を供給するとき、前記コンデンサに充電された電荷による電圧を個別電圧として供給することを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
  3. 前記コンデンサは、液滴吐出ヘッドが1滴の液滴を吐出させるために消費する電気エネルギの予め定める倍率以上の電気エネルギの電荷を充電することができる容量であることを特徴とする請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
  4. 前記予め定める倍率は、1000倍以上であることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出装置。
  5. 前記個別電圧生成手段および前記供給制御手段は、前記液滴吐出ヘッドのうちの対応する1つの液滴吐出ヘッドごとに1つのユニットとして構成され、液滴吐出ヘッドごとに独立に設けられることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の液滴吐出装置。
  6. 前記個別電圧は、各液滴吐出ヘッドを駆動する電圧の変化に対する各液滴吐出ヘッドから吐出される液滴の吐出量の変化が実測された実測結果に基づいて、各液滴吐出ヘッドから吐出される液滴の吐出量が予め定める吐出量になるように予め設定された電圧であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の液滴吐出装置。
  7. 前記個別電圧は、各液滴吐出ヘッドを駆動する電圧の変化に対する各液滴吐出ヘッドから吐出される液滴の吐出速度の変化が実測された実測結果に基づいて、各液滴吐出ヘッドから吐出される液滴の吐出速度が予め定める吐出速度になるように予め設定された電圧であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の液滴吐出装置。
  8. 前記液滴吐出ヘッドは、液滴を吐出するノズルに連通し、圧電材料によって形成される隔壁によって隔てられる圧力室内の液体の圧力を、隔壁を変形させることによって変化させて、ノズルから液滴を吐出させることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載の液滴吐出装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019001054A (ja) * 2017-06-15 2019-01-10 コニカミノルタ株式会社 記録装置及び記録ヘッド電圧設定方法

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