JP2009058647A - 液晶装置、及び液晶装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学補償フィルムを用いることなく、高コントラストを得る液晶装置、及び液晶装置の製造方法を提供する。
【解決手段】一対の基板10、20間に液晶層50を挟持してなる液晶装置100である。基板10,20の液晶層50側には配向膜40,60が設けられている。この配向膜40,60は液晶分子の配向方向を初期配向状態から変化可能とする低分子蒸着膜40b,60bを含む。
【選択図】図4
【解決手段】一対の基板10、20間に液晶層50を挟持してなる液晶装置100である。基板10,20の液晶層50側には配向膜40,60が設けられている。この配向膜40,60は液晶分子の配向方向を初期配向状態から変化可能とする低分子蒸着膜40b,60bを含む。
【選択図】図4
Description
本発明は、液晶装置、及び液晶装置の製造方法に関するものである。
投射型表示装置に搭載されるライトバルブとして用いられる液晶装置としては、例えば互いに対向配置された一対の基板間に液晶層が挟持された構成を具備し、これら基板の液晶層側にその液晶層に電圧を印加するための電極を具備してなるものがある。この液晶装置においては、一対の基板の液晶層側最表面に、電圧無印加時における液晶分子の配列を制御するための配向膜が形成されており、電圧無印加時、電圧印加時における液晶分子の配列変化に基づいて表示が行われる構成となっている。このように光変調手段として用いられる液晶装置ではコントラストが重要であり、動作モードとしてVA(垂直配向)モードが採用されている。
ところで、従来のVAモードの液晶装置には電界形成により液晶を1方向へ倒すために、電圧無印加状態にて基板の法線方向に対して数度傾いた状態(プレチルト配向)とする必要がある。このように液晶分子にプレチルトを付与すると視野角特性やコントラストが低下する可能性がある。そこで、視野角特性やコントラストを確保すべく、NHフィルムやWVフィルム等の光学補償フィルムを液晶装置の前後に配置する技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2006−330522号公報
特開2005−114918号公報
しかしながら、上記光学補償フィルムは部品コストが高いため、光学補償フィルムを用いることなく高コントラストが得られる液晶装置(ライトバルブ)の提供が望まれる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、光学補償フィルムを用いることなく、高コントラストを得る液晶装置、及び液晶装置の製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の液晶装置は、一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶装置において、前記基板の前記液晶層側には配向膜が設けられており、該配向膜は液晶分子の配向方向を初期配向状態から変化可能とする低分子蒸着膜を含むことを特徴とする。
本発明の液晶装置によれば、例えば配向膜全体としてのプレチルトを0°に設定した垂直配向膜においても低分子蒸着膜により電圧印加時に液晶分子の倒れ角を一方向に制御することができる。このように、プレチルト角を0°に設定することで光学フィルムを不要とすることで低コスト化が図られ、しかも視野角特性の低下やコントラストの低下が防止されたものとなる。
また本発明の液晶装置は、一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶装置において、
前記基板の前記液晶層側には配向膜が設けられており、該配向膜は、所定の表面処理によって形成された表面処理層と、該表面処理層上に設けられ、液晶分子の向きを初期配向から変化可能とする低分子蒸着膜との積層構造からなることを特徴とする。
前記基板の前記液晶層側には配向膜が設けられており、該配向膜は、所定の表面処理によって形成された表面処理層と、該表面処理層上に設けられ、液晶分子の向きを初期配向から変化可能とする低分子蒸着膜との積層構造からなることを特徴とする。
本発明の液晶装置によれば、例えば表面処理層によって配向膜全体としてのプレチルトを0°に設定した垂直配向膜においても低分子蒸着膜により電圧印加時に液晶分子の倒れ角を一方向に制御することができる。このように、プレチルト角を0°に設定することで光学フィルムを不要とすることで低コスト化が図られ、しかも視野角特性の低下やコントラストの低下が防止されたものとなる。
また、上記液晶装置においては、前記低分子蒸着膜は、可視光域において光吸収性を有しない材料からなるのが好ましい。
この材料を用いれば、低分子蒸着膜は光吸収性を有しないので、耐光性に優れたものとなる。
この材料を用いれば、低分子蒸着膜は光吸収性を有しないので、耐光性に優れたものとなる。
また、上記液晶装置においては、前記低分子蒸着膜は、有機無機ハイブリッド材料からなるのが好ましい。なお、前記有機無機ハイブリッド材料は、シルセスキオキサン類であるのがより好ましい。
この材料を用いれば、上述したように液晶分子の倒れ角を一方向に制御可能とする低分子蒸着膜を良好に構成することができる。
この材料を用いれば、上述したように液晶分子の倒れ角を一方向に制御可能とする低分子蒸着膜を良好に構成することができる。
また、上記液晶装置においては、前記低分子蒸着膜の形成材料が、アダマンタン系であるのが好ましい。
あるいは、上記液晶装置においては、前記低分子蒸着膜の形成材料が、パラシクロパンであってもよい。
これら材料を用いることで、上述したように液晶分子の倒れ角を一方向に制御可能とする低分子蒸着膜を良好に構成することができる。
あるいは、上記液晶装置においては、前記低分子蒸着膜の形成材料が、パラシクロパンであってもよい。
これら材料を用いることで、上述したように液晶分子の倒れ角を一方向に制御可能とする低分子蒸着膜を良好に構成することができる。
本発明の液晶装置の製造方法は、一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶装置の製造方法において、前記基板の一方面側に配向膜を形成する工程を有し、該配向膜の形成工程は、蒸着法を用いて液晶分子の配向方向を初期配向状態から変更可能とする低分子蒸着膜を形成する工程を含むことを特徴とする。
本発明の液晶装置の製造方法によれば、例えば配向膜全体としてのプレチルトを0°に設定した垂直配向膜においても低分子蒸着膜によって電圧印加時に液晶分子の倒れ角を一方向に制御することができる。このように、プレチルト角を0°に設定することで光学補償フィルムを用いること無く、視野角特性の低下やコントラストの低下が防止された液晶装置を提供することができる。
また本発明の液晶装置の製造方法は、一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶装置の製造方法において、前記基板の一方面側に所定の表面処理を行って表面処理層を形成する工程と、蒸着法を用いて、前記表面処理層上に液晶分子の配向方向を初期配向状態から変更可能とする低分子蒸着膜を形成する工程とを備えることを特徴とする。
本発明の液晶装置の製造方法によれば、配向膜全体としてのプレチルト角を0°に設定する表面処理層上に低分子蒸着膜を形成しているので、表面処理層によって配向膜全体としてのプレチルトが0°に設定される垂直配向膜を形成することができ、電圧印加時に液晶分子の倒れ角を一方向に制御することができる。このように、プレチルト角を0°に設定することで光学補償フィルムを用いること無く、視野角特性の低下やコントラストの低下が防止された液晶装置を提供することができる。
また、上記液晶装置の製造方法は、前記低分子蒸着膜の形成材料として、可視光域において光吸収性を有しない材料を用いるのが好ましい。
この材料を用いれば、光吸収性を有しない低分子蒸着膜が形成されることで耐光性に優れた液晶装置を提供できる。
この材料を用いれば、光吸収性を有しない低分子蒸着膜が形成されることで耐光性に優れた液晶装置を提供できる。
また、上記液晶装置の製造方法においては、前記低分子蒸着膜の形成材料として、有機無機ハイブリッド材料を用いるのが好ましい。さらに、前記有機無機ハイブリッド材料として、シルセスキオキサン類の材料を用いるのが望ましい。
この材料を用いれば、上述したように液晶分子の倒れ角を一方向に制御可能とする低分子蒸着膜を良好に形成できる。
この材料を用いれば、上述したように液晶分子の倒れ角を一方向に制御可能とする低分子蒸着膜を良好に形成できる。
また、上記液晶装置の製造方法においては、前記低分子蒸着膜の形成材料として、アダマンダン系の材料を用いるのが好ましい。
あるいは、上記液晶装置の製造方法においては、前記低分子蒸着膜の形成材料として、パラシクロパンを用いるのが好ましい。
このような材料を用いれば、上述したように液晶分子の倒れ角を一方向に制御可能とする低分子蒸着膜を良好に形成できる。
あるいは、上記液晶装置の製造方法においては、前記低分子蒸着膜の形成材料として、パラシクロパンを用いるのが好ましい。
このような材料を用いれば、上述したように液晶分子の倒れ角を一方向に制御可能とする低分子蒸着膜を良好に形成できる。
以下、図面を参照して、本発明に係る一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は本実施形態の透過型液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数の画素におけるスイッチング素子、信号線等の等価回路図である。図2はデータ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の構造を示す平面図である。図3は本実施形態の透過型液晶装置について素子領域の断面図であって、図2のA−A’線断面図である。また、図4は本実施形態の透過型液晶装置について複数の画素領域を模式的に示す断面図である。なお、図3及び図4においては、図示上側が光入射側、図示下側が視認側(観察者側)である場合について図示している。
本実施形態の透過型液晶装置において、図1に示すように、画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数の画素には、画素電極9と当該画素電極9への通電制御を行うためのスイッチング素子であるTFT素子30がそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT素子30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線6aに対してグループ毎に供給される。
また、走査線3aがTFT素子30のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線3aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極9はTFT素子30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT素子30を一定期間だけオンすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する共通電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ここで、保持された画像信号がリークすることを防止するために、画素電極9と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。
次に、図2に基づいて、本実施形態の透過型液晶装置の平面構造について説明する。図2に示すように、TFTアレイ基板上に、インジウム錫酸化物(以下、「ITO」と略す)等の透明導電性材料からなる矩形状の画素電極9(点線部9Aにより輪郭を示す)が複数、マトリクス状に設けられており、画素電極9の縦横の境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3a及び容量線3bが設けられている。本実施形態において、各画素電極9及び各画素電極9を囲むように配設されたデータ線6a、走査線3a、容量線3b等が形成された領域が画素であり、マトリクス状に配置された各画素毎に表示を行うことが可能な構造になっている。
データ線6aは、TFT素子30を構成する例えばポリシリコン膜からなる半導体層1aのうち、後述のソース領域にコンタクトホール5を介して電気的に接続されており、画素電極9は、半導体層1aのうち、後述のドレイン領域にコンタクトホール8を介して電気的に接続されている。また、半導体層1aのうち、後述のチャネル領域(図中左上がりの斜線の領域)に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはチャネル領域に対向する部分でゲート電極として機能する。
容量線3bは、走査線3aに沿って略直線状に伸びる本線部(すなわち、平面的に見て、走査線3aに沿って形成された第1領域)と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って前段側(図中上向き)に突出した突出部(すなわち、平面的に見て、データ線6aに沿って延設された第2領域)とを有する。そして、図2中、右上がりの斜線で示した領域には、複数の第1遮光膜11aが設けられている。
次に、図3及び図4に基づいて、本実施形態の透過型液晶装置の断面構造について説明する。なお、図4ではスイッチング素子等の一部の構成要素を図面の視認性を考慮して省略してある。図3及び図4に示すように、本実施形態の透過型液晶装置においては、TFTアレイ基板(液晶装置用基板)10と、これに対向配置される対向基板(液晶装置用基板)20との間に液晶層50が挟持されている。
TFTアレイ基板10は、石英等の透光性材料からなる基板10Aとその液晶層50側表面に形成された画素電極9、配向膜40を主体として構成されており、対向基板20はガラスや石英等の透光性材料からなる基板20Aとその液晶層50側表面に形成された共通電極21と配向膜60とを主体として構成されている。また、図3に示すように、TFTアレイ基板10において、基板10Aの液晶層50側表面には画素電極9が設けられ、各画素電極9に隣接する位置に、各画素電極9をスイッチング制御する画素スイッチング用TFT素子30が設けられている。
画素スイッチング用TFT素子30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3a、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜2、データ線6a、半導体層1aの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを備えている。
また、上記走査線3a上、ゲート絶縁膜2上を含む基板10A上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5、及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が開孔した第2層間絶縁膜4が形成されている。つまり、データ線6aは、第2層間絶縁膜4を貫通するコンタクトホール5を介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続されている。さらに、データ線6a上及び第2層間絶縁膜4上には、高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が開孔した第3層間絶縁膜7が形成されている。つまり、高濃度ドレイン領域1eは、第2層間絶縁膜4及び第3層間絶縁膜7を貫通するコンタクトホール8を介して画素電極9に電気的に接続されている。
また、本実施形態では、ゲート絶縁膜2を走査線3aに対向する位置から延設して誘電体膜として用い、半導体層1aを延設して第1蓄積容量電極1fとし、さらにこれらに対向する容量線3bの一部を第2蓄積容量電極とすることにより、蓄積容量70が構成されている。
TFTアレイ基板10の基板10Aの液晶層50側表面において、各画素スイッチング用TFT素子30が形成された領域には、TFTアレイ基板10を透過し、TFTアレイ基板10の図示下面(TFTアレイ基板10と空気との界面)で反射されて、液晶層50側に戻る戻り光が、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1a’及び低濃度ソース、ドレイン領域1b、1cに入射することを防止するための第1遮光膜11aが設けられている。また、第1遮光膜11aと画素スイッチング用TFT素子30との間には、画素スイッチング用TFT素子30を構成する半導体層1aを第1遮光膜11aから電気的に絶縁するための第1層間絶縁膜12が形成されている。さらに、図2に示したように、TFTアレイ基板10に第1遮光膜11aを設けるのに加えて、コンタクトホール13を介して第1遮光膜11aは、前段あるいは後段の容量線3bに電気的に接続するように構成されている。
また、TFTアレイ基板10の液晶層50側最表面、すなわち、画素電極9及び第3層間絶縁膜7上には、電圧無印加時における液晶層50内の液晶分子を垂直配向させる配向膜40が形成されている。この配向膜40は、後述する本発明に係る製造方法に基づいて形成されたものである。
他方、対向基板20には、基板20Aの液晶層50側表面であって、データ線6a、走査線3a、画素スイッチング用TFT素子30の形成領域に対向する領域、すなわち各画素部の開口領域以外の領域に、入射光が画素スイッチング用TFT素子30の半導体層1aのチャネル領域1a’や低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1cに侵入することを防止するための第2遮光膜23が設けられている。さらに、第2遮光膜23が形成された基板20Aの液晶層50側には、その略全面に渡って、ITO等からなる共通電極21が形成され、その液晶層50側には、電圧無印加時における液晶層50内の液晶分子を垂直配向させる配向膜60が形成されている。この配向膜60も、後述する本発明に係る製造方法に基づいて形成されたものである。
ここで、上記配向膜40,60は表面処理層40a,60a上に低分子蒸着膜40b,60bが成膜されて構成されたものである。表面処理層40a,60aは、例えばシランカップリング材(飽和炭化水素系シロキサン)等の液晶分子を垂直配向させる機能を有する材料から構成されており、詳細は後述する表面処理装置によって共通電極21及び画素電極9を覆って形成されたものである。
また、低分子蒸着膜40b,60bは、可視光域において光吸収性を有しない材料、例えばシルセスキオキサン系低分子材料等の有機無機ハイブリッド材料から構成されたものである。有機無機ハイブリッド材料とは、同一分子内に有機成分と無機成分とが両方存在しているものであり、無機骨格を有するため、ポリマー材料と比較して耐熱性及び耐光性の高い材料である。
上記表面処理層40a,60aはプレチルト角が0°に設定可能となっていることから液晶分子の倒れる方向を制御することができない。
一方、低分子蒸着膜40b、60bは後述されるような有機無機ハイブリット材料を真空環境にて斜方蒸着することで形成されるものであり、ラビング処理を行うことなく、電極9,21間に電圧を印加した際に液晶分子の配向方向を初期配向状態から変化可能とする配向規制力を発揮するものである。すなわち、本実施形態に係る液晶装置の配向膜40,60は、表面処理層40a,60bにより配向膜40,60全体としてのプレチルト角が0°に保持されつつ、低分子蒸着膜40b,60bによって液晶分子の倒れ方向を制御可能となっている。また、本実施形態の液晶装置は、従来のようにラビング処理を行った場合に膜表面に形成される筋に起因した表示品位の低下が生じることがなく、またラビング処理に伴う歩留まり低下も生じることがないため、液晶装置100の表示品位の向上及び製造効率の向上を図っている。
一方、低分子蒸着膜40b、60bは後述されるような有機無機ハイブリット材料を真空環境にて斜方蒸着することで形成されるものであり、ラビング処理を行うことなく、電極9,21間に電圧を印加した際に液晶分子の配向方向を初期配向状態から変化可能とする配向規制力を発揮するものである。すなわち、本実施形態に係る液晶装置の配向膜40,60は、表面処理層40a,60bにより配向膜40,60全体としてのプレチルト角が0°に保持されつつ、低分子蒸着膜40b,60bによって液晶分子の倒れ方向を制御可能となっている。また、本実施形態の液晶装置は、従来のようにラビング処理を行った場合に膜表面に形成される筋に起因した表示品位の低下が生じることがなく、またラビング処理に伴う歩留まり低下も生じることがないため、液晶装置100の表示品位の向上及び製造効率の向上を図っている。
また、本実施形態においては、上記低分子蒸着膜40b,60bの形成材料として、以下の化学式(1)〜(63)に示す、シルセスキオキサン類の有機無機ハイブリッド材料を好適に用いることができる。
次に、上記液晶装置100の製造方法の一実施形態について説明する。なお、本発明に係る液晶装置の製造方法は配向膜の製造方法に特徴を有しており、それ以外の製造工程については従来と同様であることから、以下の説明では配向膜の形成方法を中心に説明する。具体的には、TFTアレイ基板10が備える配向膜40の形成方法について説明する。なお、対向基板20が備える配向膜60についても本発明の製造方法によって同様に形成することができる。
まず、ガラス等からなる透光性の基板10Aを用意し、これに第1遮光膜11a、第1層間絶縁膜12、半導体層1a、各種配線3a,3b,6a、絶縁膜4,7、画素電極9等を公知の方法で形成する。そして、基板10Aに形成された画素電極9を含む第3層間絶縁膜7上に配向膜40を形成する。
配向膜40は、上述したように表面処理層40a,60a上に低分子蒸着膜40b,60bが成膜されることで構成される。そこで、まず表面処理層40a,60aを形成する工程について説明する。
本実施形態では上述したシランカップリング(飽和炭化水素系シロキサン)を表面処理材料として用い、表面処理装置により上記表面処理層40aを形成する。
本実施形態では上述したシランカップリング(飽和炭化水素系シロキサン)を表面処理材料として用い、表面処理装置により上記表面処理層40aを形成する。
図5は本実施形態に用いられる表面処理装置の概略構成を示した全体図である。
この図に示すように本実施形態の表面処理装置200は、画素電極9を含む第3層間絶縁膜7上に対して所定の表面処理を行うものであり、エバポレータ202と、処理装置203と、真空ポンプ204と、制御装置205とを備えている。なお、所定の表面処理とは液晶分子を垂直配向させる垂直配向膜としての機能が付与された表面処理層40aを製造可能とする表面処理である。
この図に示すように本実施形態の表面処理装置200は、画素電極9を含む第3層間絶縁膜7上に対して所定の表面処理を行うものであり、エバポレータ202と、処理装置203と、真空ポンプ204と、制御装置205とを備えている。なお、所定の表面処理とは液晶分子を垂直配向させる垂直配向膜としての機能が付与された表面処理層40aを製造可能とする表面処理である。
エバポレータ202は、内部に貯留する液状のシランカップリング剤Y1を気化させるものである。このエバポレータ202には、エバポレータ202内にシランカップリング剤Y1の気化に必要なキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給配管206が接続されている。また、エバポレータ202は、配管207を介して処理装置203と接続されている。なお、キャリアガスとしては、エバポレータ202に貯留されるシランカップリング剤Y1の種類に応じて選択され、例えば窒素ガスやアルゴンガスを用いることができる。
また、エバポレータ202は、不図示のヒータや圧力調整バルブ等を備えている。そして、これらのヒータや圧力調整バルブが制御装置205によって制御されることによって、エバポレータ202の内部雰囲気が制御される。つまり、エバポレータ202の内部の処理雰囲気は、制御装置205によって制御される。
また、エバポレータ202は、不図示のヒータや圧力調整バルブ等を備えている。そして、これらのヒータや圧力調整バルブが制御装置205によって制御されることによって、エバポレータ202の内部雰囲気が制御される。つまり、エバポレータ202の内部の処理雰囲気は、制御装置205によって制御される。
処理装置203は、被処理物である基板10Aが内部に配置されるとともに、配管207を介してエバポレータ202から、気化したシランカップリング剤Y2が導入されるものである。なお、基板10Aは、不図示の支持部によって支持されている。
また、処理装置203は、不図示のヒータや圧力調整バルブ等を備えている。そして、これらのヒータや圧力調整バルブが制御装置205によって制御されることによって、処理装置203の内部雰囲気が制御される。つまり、処理装置203の内部の処理雰囲気は、制御装置205によって制御される。具体的に本実施形態では、処理装置203の処理雰囲気は150℃〜200℃に制御される。
また、処理装置203は、不図示のヒータや圧力調整バルブ等を備えている。そして、これらのヒータや圧力調整バルブが制御装置205によって制御されることによって、処理装置203の内部雰囲気が制御される。つまり、処理装置203の内部の処理雰囲気は、制御装置205によって制御される。具体的に本実施形態では、処理装置203の処理雰囲気は150℃〜200℃に制御される。
また、処理装置203には、配管208を介して真空ポンプ204が接続されている。
真空ポンプ204は、制御装置205の制御の下に駆動され、処理装置203の内部の空気を排出し、処理装置203の内部に真空雰囲気を形成する。
真空ポンプ204は、制御装置205の制御の下に駆動され、処理装置203の内部の空気を排出し、処理装置203の内部に真空雰囲気を形成する。
制御装置205は、上述のように、エバポレータ202、処理装置203及び真空ポンプ204を制御するものであり、エバポレータ202、処理装置203及び真空ポンプ204の各々と電気的に接続されている。
そして、本実施形態の表面処理装置200においては、制御装置205は、エバポレータ202の内部の処理雰囲気と、処理装置203の内部の処理雰囲気とを個別に制御可能とされている。より詳細には、制御装置205は、エバポレータ202のヒータ及び圧力調整バルブを制御することによってエバポレータ202の内部の処理雰囲気を制御し、処理装置203のヒータ及び圧力調整バルブを制御することによって処理装置203の内部の処理雰囲気を制御する。そして、制御装置205は、エバポレータ202のヒータ、エバポレータ202の圧力調整バルブ、処理装置203のヒータ、及び処理装置203の圧力調整バルブを独立して制御可能とされており、これによって、エバポレータ202の内部の処理雰囲気と処理装置203の内部の処理雰囲気とを個別に制御可能とされている。
制御装置205は、エバポレータ202の内部の処理雰囲気をシランカップリング剤Y1の気化に最適な条件とし、処理装置203の内部の処理雰囲気を気化したシランカップ剤Y2による表面処理に最適な条件とする。
そして、本実施形態の表面処理装置200においては、制御装置205は、エバポレータ202の内部の処理雰囲気と、処理装置203の内部の処理雰囲気とを個別に制御可能とされている。より詳細には、制御装置205は、エバポレータ202のヒータ及び圧力調整バルブを制御することによってエバポレータ202の内部の処理雰囲気を制御し、処理装置203のヒータ及び圧力調整バルブを制御することによって処理装置203の内部の処理雰囲気を制御する。そして、制御装置205は、エバポレータ202のヒータ、エバポレータ202の圧力調整バルブ、処理装置203のヒータ、及び処理装置203の圧力調整バルブを独立して制御可能とされており、これによって、エバポレータ202の内部の処理雰囲気と処理装置203の内部の処理雰囲気とを個別に制御可能とされている。
制御装置205は、エバポレータ202の内部の処理雰囲気をシランカップリング剤Y1の気化に最適な条件とし、処理装置203の内部の処理雰囲気を気化したシランカップ剤Y2による表面処理に最適な条件とする。
なお、シランカップリング剤Y1の気化に最適な条件とは、制御可能な処理雰囲気のなかにおいて、最も短時間でシランカップリング剤Y1が気化する条件である。すなわち、本実施形態の表面処理装置200においては、制御装置205によって、エバポレータ202の内部の温度及び圧力が、最も短時間でシランカップリング剤Y1が気化する条件に制御される。
また、気化したシランカップリング剤Y2による表面処理に最適な条件とは、制御可能な処理雰囲気のなかにおいて、最も短時間で表面処理が完了する条件である。そして、表面処理が完了するとは、基板10Aの表面に所定の膜厚のシランカップリング剤が成膜されることと等しい。つまり、本実施形態の表面処理装置200においては、制御装置205によって、処理装置203の内部の温度及び圧力が、基板10Aの表面に最も短時間で所定の膜厚のシランカップリング剤が成膜される条件に制御される。
次に、表面処理装置200を用いた表面処理方法について具体的に説明する。
まず、制御装置205によって、エバポレータ202の内部の処理雰囲気がシランカップリング剤Y1の気化に最適な条件とされる。また、制御装置205によって真空ポンプ204が駆動されることによって処理装置203の内部が真空雰囲気とされるとともに、制御装置205によって処理装置203の内部の処理雰囲気が気化したシランカップ剤Y2による表面処理に最適な条件とされる。
まず、制御装置205によって、エバポレータ202の内部の処理雰囲気がシランカップリング剤Y1の気化に最適な条件とされる。また、制御装置205によって真空ポンプ204が駆動されることによって処理装置203の内部が真空雰囲気とされるとともに、制御装置205によって処理装置203の内部の処理雰囲気が気化したシランカップ剤Y2による表面処理に最適な条件とされる。
そして、キャリアガス供給配管206を介してエバポレータ202にキャリアガスが供給されると、エバポレータ202においてシランカップリング剤Y1が気化する。気化したシランカップリング剤Y2は、配管207を介して処理装置203に導入される。
気化したシランカップリング剤Y2が処理装置203に導入されることによって、処理装置203の内部にシランカップリング剤Y2が充満する。処理装置203の内部には、基板10Aが配置されているため、この基板10Aは、気化したシランカップリング剤Y2に存在する雰囲気中に晒される。この結果、基板10Aの表面にシランカップリング剤が成膜される。すなわち、基板10Aの表面がシランカップリング剤によって表面処理される。なお、上記表面処理は1時間〜4時間行うのが好ましく、これにより基板10Aの表面には約1nm程度の膜厚の表面処理層40aが形成される。この表面処理層40aは液晶分子を垂直に配向させる機能を有し、プレチルト角は0°となる。
気化したシランカップリング剤Y2が処理装置203に導入されることによって、処理装置203の内部にシランカップリング剤Y2が充満する。処理装置203の内部には、基板10Aが配置されているため、この基板10Aは、気化したシランカップリング剤Y2に存在する雰囲気中に晒される。この結果、基板10Aの表面にシランカップリング剤が成膜される。すなわち、基板10Aの表面がシランカップリング剤によって表面処理される。なお、上記表面処理は1時間〜4時間行うのが好ましく、これにより基板10Aの表面には約1nm程度の膜厚の表面処理層40aが形成される。この表面処理層40aは液晶分子を垂直に配向させる機能を有し、プレチルト角は0°となる。
続いて、表面処理層40a上に低分子蒸着膜40bを成膜することで配向膜40を形成する工程について説明する。本実施形態では上述した有機無機ハイブリッド材料を用い、蒸着装置により上記低分子蒸着膜40bを形成する。
図6は本実施形態に用いられる蒸着装置の概略構成を示した全体図である。この蒸着装置300は、上述した有機無機ハイブリット材料からなる蒸着源302と、基板10Aを蒸着源302に対して所定角度(60度以上)傾斜させて配設する基板配設部307とを具備する蒸着室308と、蒸着室308を真空にするための真空ポンプ310と、を備えている。なお、本実施形態の蒸着装置300では、図6(b)に示すように、上記蒸着源302としてライン状蒸着源302aを用いている。
ライン状蒸着源302bを用いることにより、図6(b)に示すようにライン方向(長手方向)に沿って材料が広範囲に拡がるようになっている。したがって、材料が放射状に分布する点状蒸着源を用いた場合に比べ、ライン状蒸着源302bは、ライン方向における材料の分布の均一性が高く、したがってライン方向に沿って材料を均一に成膜することができる。なお、上記ライン状蒸着源302aの長さは、被蒸着体となる基板10Aの幅とほぼ同じとなっている。これにより、上記基板10Aをライン状蒸着源302aに対して、図5(a)中矢印A方向に移動させることにより、基板10Aに上述した有機無機ハイブリット材料からなる低分子蒸着膜40bを形成することができる。
上記ライン状蒸着源302aと上記基板10Aとの間には、ライン状蒸着源302aを挟むようにして相対向する規制板303が一対設けられている。なお、上記規制板303はライン方向、すなわち図6(b)に示したライン状蒸着源302aの長手方向に沿って設けられている。このような構成により、上記ライン方向(長手方向)に直交する方向への蒸着材料(有機無機ハイブリット材料)の拡がりが上記規制板303によって規制される。
また、上記規制板303の外面側にはランプヒータ(図示せず)等の加熱手段が設けられていて、これにより上記規制板303の少なくとも内面側が加熱された加熱面となっている。また、上記加熱手段として、上記規制板303にニクロム線などを埋め込んだ抵抗加熱型のものを採用してもよい。なお、この加熱面の温度としては、上記ライン状蒸着源302bから蒸発した材料(有機無機ハイブリッド材料)が衝突した際に、材料が加熱面に付着しない程度の温度となっているのが望ましい。これにより、上記材料が衝突した際に、材料が規制板303の内面(加熱面)に付着することなく反射される。
続いて、上記蒸着装置300を用いて基板10A上に低分子蒸着膜40bを形成する方法について具体的に説明する。まず、真空ポンプ310を作動させると、蒸着室308が真空化し、さらに加熱装置(図示略)により蒸着源302を加熱すると蒸着源302から有機無機ハイブリット材料の蒸気が発生する。
そして、蒸着源302からの材料のうち、ライン方向に対して直交する方向に拡がった材料は上記規制板303によって挟まれた領域内に拡がる。本実施形態においては、上述したようにライン方向に沿ってのみ規制板303を形成しているものの、蒸着源302としてライン状のもの(ライン状蒸着源302b)を用いているので、規制板を設けなくとも材料はライン方向に均一に拡がる。
上記蒸着源302から拡がった材料が規制板303に衝突する。このとき、上記規制板303の内面側は上述したように加熱面となっているので、材料は規制板303の内面側に衝突した際に付着することなく反射される。
そして、規制板303に挟まれた領域内で、材料の衝突、及び反射が繰り返されることにより、規制板303の直交方向(ライン方向の直交方向)における材料の分布が均一化される。すなわち、材料は、上述したライン方向、及びライン方向に直交する方向の分布が均一となっているので、基板10A上に均質な膜状体を形成することができる。
そして、規制板303に挟まれた領域内で、材料の衝突、及び反射が繰り返されることにより、規制板303の直交方向(ライン方向の直交方向)における材料の分布が均一化される。すなわち、材料は、上述したライン方向、及びライン方向に直交する方向の分布が均一となっているので、基板10A上に均質な膜状体を形成することができる。
材料は、上記規制板303に挟まれた領域を通過した後、所定の角度で基板10Aの表面に蒸着される。ここで、上記規制板303を通過した後の材料は均一な分布を有しているものの、各粒子の方向性にはバラツキが生じている。本蒸着装置300では規制板303の端部と基板10Aとを所定の距離だけ離間して配置することで、所望の方向以外の材料が基板10A上に成膜されることがなく、したがって基板10Aの上記表面処理層40a上に所定の方向性を持つ低分子蒸着膜40bを成膜することができる。なお、上記低分子蒸着膜40bの膜厚としては、約5〜10nm程度とするのが好ましい。
以上の工程により、基板10A上には表面処理層40aと低分子蒸着膜40bとの積層構造からなる配向膜40が形成される。このような配向膜40を有したTFTアレイ基板10を形成した後、対向基板20を作成する。この場合、透明材料からなる基板20Aを用意した後、TFTアレイ基板10の製造工程と同様の方法を用いて、基板20A上に遮光膜23や共通電極21を形成するとともに、さらにその上に図5,6に示した表面処理装置200、蒸着装置300を用いて配向膜60を形成し、対向基板20を形成できる。
その後、TFTアレイ基板10と対向基板20とをシール材を介して貼り合わせ、さらにシール材に形成した液晶注入口から液晶を注入して液晶パネルとした後、所定の配線を接続することにより、上述した液晶装置100を製造できる。
以上述べたように、本実施形態に係る製造方法により製造した液晶装置100は、表面処理層40a,60aによってプレチルト角が0°に設定された垂直配向膜をなす配向膜40,60を備えているので、低分子蒸着膜40b,60bにより電圧印加時に液晶分子を所定方向に配向させることができる。このように配向膜40,60全体としてのプレチルト角が0°に設定されるので、プレチルト角に起因する視野角特性の低下やコントラストの低下が生じることがない。よって、NHフィルムやWVフィルム等の光学補償フィルムを用いることなく、高いコントラスト表示が得られ、且つ低コスト化が図られた液晶装置100となる。また、本実施形態に係る製造方法では、従来のように、配向膜を形成する際のラビング処理が不要であることから、ラビング処理を行った場合に膜表面に形成される筋に起因する表示品位の低下を防止することができ、歩留まりを向上できる。また、配向膜40,60が無機蒸着膜から構成されないため、湿度の影響を受け難くすることができる。
また、電圧印加時に液晶分子の配向方向を規制する低分子蒸着膜40b,60bが形状配向ではなく、分子配向であることから、分子間力が強く高い配向規制力を得ることができる。
このような液晶装置100は、後述するような投写型表示装置の光変調装置として好適である。
また、電圧印加時に液晶分子の配向方向を規制する低分子蒸着膜40b,60bが形状配向ではなく、分子配向であることから、分子間力が強く高い配向規制力を得ることができる。
このような液晶装置100は、後述するような投写型表示装置の光変調装置として好適である。
(投射型表示装置)
次に、上記実施形態の液晶装置を光変調手段として備えた投射型表示装置(プロジェクタ)の構成について、図7を参照して説明する。図7は、上記実施形態の液晶装置を光変調装置として用いた投射型表示装置の要部を示す概略構成図である。図7において、810は光源、813、814はダイクロイックミラー、815、816、817は反射ミラー、818は入射レンズ、819はリレーレンズ、820は出射レンズ、822、823、824は液晶光変調装置、825はクロスダイクロイックプリズム、826は投写レンズを示す。
次に、上記実施形態の液晶装置を光変調手段として備えた投射型表示装置(プロジェクタ)の構成について、図7を参照して説明する。図7は、上記実施形態の液晶装置を光変調装置として用いた投射型表示装置の要部を示す概略構成図である。図7において、810は光源、813、814はダイクロイックミラー、815、816、817は反射ミラー、818は入射レンズ、819はリレーレンズ、820は出射レンズ、822、823、824は液晶光変調装置、825はクロスダイクロイックプリズム、826は投写レンズを示す。
光源810はメタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とからなる。青色光、緑色光反射のダイクロイックミラー813は、光源810からの光束のうちの赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、上述の本発明の一例たる液晶装置を備えた赤色光用液晶光変調装置822に入射される。
一方、ダイクロイックミラー813で反射された色光のうち緑色光は緑色光反射のダイクロイックミラー814によって反射され、上述の本発明の一例たる液晶装置を備えた緑色光用液晶光変調装置823に入射される。なお、青色光は第2のダイクロイックミラー814も透過する。青色光に対しては、光路長が緑色光、赤色光と異なるのを補償するために、入射レンズ818、リレーレンズ819、出射レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられ、これを介して青色光が上述の本発明の一例たる液晶装置を備えた青色光用液晶光変調装置824に入射される。
各光変調装置により変調された3つの色光はクロスダイクロイックプリズム825に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投写光学系である投写レンズ826によってスクリーン827上に投写され、画像が拡大されて表示される。
上記構造を有する投射型表示装置は、上述の本発明の一例たる液晶装置を備えたものであるので、例えばラビング処理を施したときのようなラビング筋が表示される不具合がなく、表示品質を長期に渡って維持することが可能な表示装置となる。また、プレチルト角が0°に設定される配向膜40,60を備え、コントラストが重要視される投射型表示装置においても光学補償フィルムを不要とすることができ、低コスト化を図ることができる。
なお、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、低分子蒸着膜40b,60bの形成材料として有機無機ハイブリット材料(シルセスキオキサン類)を用いたが、本発明はこれ限定されるものではなく、可視光域において光吸収性を有しない材料である、下の化学式(64)に示す、パラシクロパンを用いても良い。
例えば、上記実施形態においては、低分子蒸着膜40b,60bの形成材料として有機無機ハイブリット材料(シルセスキオキサン類)を用いたが、本発明はこれ限定されるものではなく、可視光域において光吸収性を有しない材料である、下の化学式(64)に示す、パラシクロパンを用いても良い。
また、低分子蒸着膜40b,60bの形成材料として、可視光域において光吸収性を有しない材料である、下の化学式(65)〜(113)に示す、アダマンタン誘導体を用いてもよい。なお、アダマンタン誘導体を用いて低分子蒸着膜40b、60bを形成する場合には、表面処理層40a,60aを不要とすることができ、アダマンタン誘導体単層のみでプレチルト角が0°であって且つ電圧印加時に液晶分子の配向方向を規制する垂直配向膜を構成することができる。
例えば、上記実施形態ではスイッチング素子としてTFTを備えた液晶装置を例にして説明したが、スイッチング素子として薄膜ダイオード(Thin Film Diode)等の二端子型素子を備えた液晶装置に本発明を適用することも可能である。また、上記実施形態では透過型液晶装置を例にして説明したが、反射型液晶装置に本発明を適用することも可能である。また、実施形態では3板式の投射型表示装置(プロジェクタ)を例にして説明したが、単板式の投射型表示装置や直視型表示装置に本発明を適用することも可能である。
また、上記液晶装置を、投射型表示装置以外の電子機器に適用することも可能である。
その具体例として、携帯電話を挙げることができる。この携帯電話は、前述した各実施形態またはその変形例に係る液晶装置を表示部に備えたものである。また、その他の電子機器としては、例えばICカード、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ等が挙げられる。
その具体例として、携帯電話を挙げることができる。この携帯電話は、前述した各実施形態またはその変形例に係る液晶装置を表示部に備えたものである。また、その他の電子機器としては、例えばICカード、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ等が挙げられる。
10…TFTアレイ基板(基板)、20…対向基板(基板)、40…配向膜、50…液晶層、40a…下地処理層、40b…低分子蒸着膜、60…配向膜、60a…下地処理層、60b…低分子蒸着膜、100…液晶装置
Claims (14)
- 一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶装置において、
前記基板の前記液晶層側には配向膜が設けられており、
該配向膜は液晶分子の配向方向を初期配向状態から変化可能とする低分子蒸着膜を含むことを特徴とする液晶装置。 - 一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶装置において、
前記基板の前記液晶層側には配向膜が設けられており、
該配向膜は、所定の表面処理によって形成された表面処理層と、該表面処理層上に設けられ、液晶分子の向きを初期配向から変化可能とする低分子蒸着膜との積層構造からなることを特徴とする液晶装置。 - 前記低分子蒸着膜は、可視光域において光吸収性を有しない材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。
- 前記低分子蒸着膜は、有機無機ハイブリッド材料からなることを特徴とする請求項3に記載の液晶装置。
- 前記有機無機ハイブリッド材料は、シルセスキオキサン類であることを特徴とする請求項4に記載の液晶装置。
- 前記低分子蒸着膜の形成材料が、アダマンタン系であることを特徴とする請求項3に記載の液晶装置。
- 前記低分子蒸着膜の形成材料が、パラシクロパンであることを特徴とする請求項3に記載の液晶装置。
- 一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶装置の製造方法において、
前記基板の一方面側に配向膜を形成する工程を有し、
該配向膜の形成工程は、蒸着法を用いて液晶分子の配向方向を初期配向状態から変更可能とする低分子蒸着膜を形成する工程を含むことを特徴とする液晶装置の製造方法。 - 一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶装置の製造方法において、
前記基板の一方面側に所定の表面処理を行って表面処理層を形成する工程と、
蒸着法を用いて、前記表面処理層上に液晶分子の配向方向を初期配向状態から変更可能とする低分子蒸着膜を形成する工程とを備えることを特徴とする液晶装置の製造方法。 - 前記低分子蒸着膜の形成材料として、可視光域において光吸収性を有しない材料を用いることを特徴とする請求項8又は9に記載の液晶装置の製造方法。
- 前記低分子蒸着膜の形成材料として、有機無機ハイブリッド材料を用いることを特徴とする請求項10に記載の液晶装置の製造方法。
- 前記有機無機ハイブリッド材料として、シルセスキオキサン類の材料を用いることを特徴とする請求項11に記載の液晶装置の製造方法。
- 前記低分子蒸着膜の形成材料として、アダマンダン系の材料を用いることを特徴とする請求項10に記載の液晶装置の製造方法。
- 前記低分子蒸着膜の形成材料として、パラシクロパンを用いることを特徴とする請求項10に記載の液晶装置の製造方法。
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