JP2009058486A - ケーブル地震被害推定装置及び方法及びプログラム - Google Patents

ケーブル地震被害推定装置及び方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、管路に収容されているケーブルの被害を精度よく予測することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るケーブル地震被害推定装置は、想定する地震情報が入力されると、地下ケーブルの埋設されている地形や地質、その場所の震度階及び液状化ランクに応じた地下管路の変位を予測した継手離脱量発生比率表を地下管路DB24から選択し、ケーブルの変位量に応じたケーブルの被災の有無を測定したケーブル被災領域表をケーブルDB23から選択し、継手離脱量発生比率表とケーブル被災領域表とを対比することでケーブルの被災率を算定することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、地中に埋設されている管路に収容されているケーブルの被害状況を把握する被害予測装置に関する。特に、地震発生前にシミュレーションを行い、設備の悪い箇所に設備補強を行う予防保全対策を支援する被害予測装置に適用して、有効な技術に関する。また、地震発生後にケーブル被害発生箇所をマクロ的に推定し、設備点検箇所の優先順位づけを支援する被害把握装置に適用して有効な技術に関する。
任意の位置での地震情報と地下に埋設された管路の情報と地質や地形の情報とを基に、管路の被害度を推定する方法が、内閣府のWEBサイト等で紹介されている(例えば、非特許文献1参照。)。
従来の管路の被害度を推定する方法は、被害予測にボーリングデータ、地盤図、土地条件図等の地盤情報と設備データをモデル化して入力することにより、力学的解析を行い、被害を予測していた。ボーリングデータの入手や設備データのモデル化入力が必要なため、多大な費用及び稼働、日数を必要としていた。また、実地震による地盤変状発生確率及び実ケーブルの地震耐力に基づいて予測を行っていないので、予測精度が低かった。
「NTT R&D」、日本電信電話株式会社、1991年、Vol.40、No.7、p.1013〜1020
同一区画に建設された管路は、同時期に建設されることが多く一様な被害予測結果となり、耐震対策を実施するための優先順位付けが困難である。また、地震による管路被害に対し、管路に収容されているケーブルは被害発生率が少ないため、サービスに支障をきたすレベルの被害予測を行うことが不可能であった。
そこで、本発明は、管路に収容されているケーブルの被害を精度よく予測することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、想定する地震情報が入力されると、地下ケーブルの埋設されている地形や地質、その場所の震度階及び液状化ランクに応じた地下管路の変位を予測した継手離脱量発生比率表と、ケーブルの変位量に応じたケーブルの被災の有無を測定したケーブル被災領域表とを抽出し、継手離脱量発生比率表とケーブル被災領域表とを対比することでケーブルの被災率を算定することを特徴とする。
具体的には、本発明に係るケーブル地震被害推定装置は、
予め定められた区画ごとの地形及び地質を示す地形地質情報を格納する地形地質データベース、管路の変位に応じた継手離脱発生比率を定める継手離脱量発生比率表を格納する地下管路データベース、並びに、管路の変位に応じたケーブルの被災の有無を示すケーブル被災領域表を格納するケーブルデータベースを格納する記憶部と、
特定の位置での震度階を地震情報として取得する入力部と、
前記入力部の取得する地震情報に応じた震度階を、前記区画ごとに取得する震度階取得部と、
前記入力部の取得する地震情報に応じた液状化ランクを、前記区画ごとに取得する液状化ランク取得部と、
前記地下管路データベースの格納する継手離脱量発生比率表から、前記震度階取得部の取得する震度階及び前記液状化ランク取得部の取得する液状化ランクに応じた継手離脱量発生比率表を、前記区画毎に選択する継手離脱量発生比率表選択部と、
前記ケーブルデータベースの格納するケーブル被災領域表から、前記継手離脱量発生比率表選択部の選択した継手離脱量発生比率表に応じたケーブル被災領域表を、前記区画毎に選択するケーブル被災領域表選択部と、
前記継手離脱量発生比率表選択部の選択した継手離脱量発生比率表のうち、前記ケーブル被災領域表選択部の選択したケーブル被災領域表において被災領域となっている領域の合計をケーブル被災率として算出するケーブル被災率算出部と、を備えることを特徴とする。継手離脱量発生比率表及びケーブル被災領域を対比し、管路の変位の発生比率に応じたケーブル被災率を算出するので、地中に埋設されている管路に収容されているケーブルの被害を精度よく予測することができる。
本発明に係るケーブル地震被害推定装置では、
前記震度階取得部は、前記入力部の取得する地震情報に応じた区画毎の震度階を、前記地形地質データベースの格納する地形又は地質に基づいて算出し、
前記液状化ランク取得部は、前記入力部の取得する地震情報に応じた区画毎の液状化ランクを、前記地形地質データベースの格納する地形又は地質に基づいて算出することが好ましい。ケーブル被災率を算出しようとする区画の震度階及び液状化ランクが不明な場合であっても、正確な震度階及び液状化ランクを取得することができる。さらに、対象となる区画の微地形分類に基づいて震度階及び液状化ランクを算出するので、ケーブル被災率をより精度よく算出することができる。
本発明に係るケーブル地震被害推定装置では、
前記地下管路データベースは、さらに、管路の変位に応じた管路の被災の有無を示す管路被災領域表を格納し、
前記地下管路データベースの格納する管路被災領域表から、前記継手離脱量発生比率表選択部の選択した継手離脱量発生比率表に応じた管路被災領域表を、前記区画毎に選択する管路被災領域表選択部と、
前記継手離脱量発生比率表選択部の選択する継手離脱量発生比率表のうち、前記管路被災領域表選択部の選択した管路被災領域表において被災領域となっている領域の合計を管路被災率として算出する管路被災率算出部と、
をさらに備えることが好ましい。地下管路の被災率を推定することで、ケーブルの地震対策と併せて管路の地震対策を行うことができる。
本発明に係るケーブル地震被害推定装置では、
前記ケーブルデータベースは、さらに、前記区画ごとのケーブルの種類、外径又は素材などのケーブルの特性と、前記ケーブル被災領域表に関連付けられるケーブルの特性とを格納し、
前記ケーブル被災領域表選択部は、さらに、前記区画ごとのケーブルの特性に応じたケーブル被災領域表を選択することが好ましい。ケーブルの損傷の有無は、個々のケーブルの変位に対する諸特性によって大きく異なる。このため、ケーブル被災領域表をケーブル特性ごとに選択することで、より正確なケーブル被災率を推定することができる。
本発明に係るケーブル地震被害推定方法は、
記憶部が、予め定められた区画ごとの地形及び地質を示す地形地質情報を格納する地形地質データベース、管路の変位に応じた継手離脱発生比率を定める継手離脱量発生比率表を格納する地下管路データベース、並びに、管路の変位に応じたケーブルの被災の有無を示すケーブル被災領域表を格納するケーブルデータベースを格納する記憶手順と、
入力部が、特定の位置での震度階を地震情報として取得する入力手順と、
震度階取得部が、前記入力手順で取得した地震情報に応じた震度階を、前記区画ごとに取得する震度階取得手順と、
液状化ランク取得部が、前記入力手順で取得した地震情報に応じた液状化ランクを、前記区画ごとに取得する液状化ランク取得手順と、
継手離脱量発生比率表選択部が、前記地下管路データベースの格納する継手離脱量発生比率表から、前記震度階取得手順で算出した震度階及び前記液状化ランク取得手順で算出した液状化ランクに応じた継手離脱量発生比率表を、前記区画毎に選択する継手離脱量発生比率表選択手順と、
ケーブル被災領域表選択部が、前記ケーブルデータベースの格納するケーブル被災領域表から、前記継手離脱量発生比率表選択手順で選択した継手離脱量発生比率表に応じたケーブル被災領域表を、前記区画毎に選択するケーブル被災領域表選択手順と、
ケーブル被災率算出部が、前記継手離脱量発生比率表選択手順で選択した継手離脱量発生比率表のうち、前記ケーブル被災領域表選択手順で選択したケーブル被災領域表において被災領域となっている領域の合計をケーブル被災率として算出するケーブル被災率算出手順と、
を順に有することを特徴とする。継手離脱量発生比率表及びケーブル被災領域を対比し、管路の変位の発生比率に応じたケーブル被災率を算出するので、地中に埋設されている管路に収容されているケーブルの被害を精度よく予測することができる。
本発明に係るケーブル地震被害推定方法では、
前記震度階取得手順において、震度階取得部が、前記入力手順で取得した地震情報に応じた震度階を、前記地形地質データベースの格納する地形又は地質に基づいて算出し、
前記液状化ランク取得手順において、液状化ランク取得部が、前記入力手順で取得した地震情報に応じた液状化ランクを、前記地形地質データベースの格納する地形又は地質に基づいて算出することが好ましい。ケーブル被災率を算出しようとする区画の震度階及び液状化ランクが不明な場合であっても、正確な震度階及び液状化ランクを取得することができる。さらに、対象となる区画の微地形分類に基づいて震度階及び液状化ランクを算出するので、ケーブル被災率をより精度よく算出することができる。
本発明に係るケーブル地震被害推定方法では、
前記地下管路データベースは、さらに、管路の変位に応じた管路の被災の有無を示す管路被災領域表を格納し、
管路被災領域表選択部が、前記地下管路データベースの格納する管路被災領域表から、前記継手離脱量発生比率表選択手順において選択した継手離脱量発生比率表に応じた管路被災領域表を、前記区画毎に選択する管路被災領域表選択手順と、
管路被災率算出部が、前記継手離脱量発生比率表選択手順で選択した継手離脱量発生比率表のうち、前記管路被災領域表選択手順で選択した管路被災領域表において被災領域となっている領域の合計を管路被災率として算出する管路被災率算出手順と、
を前記継手離脱量発生比率表選択手順の後にさらに有することが好ましい。地下管路の被災率を推定することで、ケーブルの地震対策と併せて管路の地震対策を行うことができる。
本発明に係るケーブル地震被害推定方法では、
前記ケーブルデータベースは、さらに、前記区画ごとのケーブルの種類、外径又は素材などのケーブルの特性と、前記ケーブル被災領域表に関連付けられるケーブルの特性とを格納し、
前記ケーブル被災領域表選択手順において、さらに、前記区画ごとのケーブルの特性に応じたケーブル被災領域表を選択することが好ましい。ケーブルの損傷の有無は、個々のケーブルの変位に対する諸特性によって大きく異なる。このため、ケーブル被災領域表をケーブル特性ごとに選択することで、より正確なケーブル被災率を推定することができる。
本発明に係るケーブルの地震被害を推定するプログラムは、コンピュータを、
予め定められた区画ごとの地形及び地質を示す地形地質情報を格納する地形地質データベース、管路の変位に応じた継手離脱発生比率を定める継手離脱量発生比率表を格納する地下管路データベース、並びに、管路の変位に応じたケーブルの被災の有無を示すケーブル被災領域表を格納するケーブルデータベースを格納する記憶部、
特定の位置での震度階を地震情報として取得する入力部、
前記入力部の取得する地震情報に応じた震度階を、前記区画ごとに取得する震度階取得部、
前記入力部の取得する地震情報に応じた液状化ランクを、前記区画ごとに取得する液状化ランク取得部、
前記地下管路データベースの格納する継手離脱量発生比率表から、前記震度階取得部の取得する震度階及び前記液状化ランク取得部の取得する液状化ランクに応じた継手離脱量発生比率表を、前記区画毎に選択する継手離脱量発生比率表選択部、
前記ケーブルデータベースの格納するケーブル被災領域表から、前記継手離脱量発生比率表選択部の選択した継手離脱量発生比率表に応じたケーブル被災領域表を、前記区画毎に選択するケーブル被災領域表選択部、
前記継手離脱量発生比率表選択部の選択した継手離脱量発生比率表のうち、前記ケーブル被災領域表選択部の選択したケーブル被災領域表において被災領域となっている領域の合計をケーブル被災率として算出するケーブル被災率算出部、
として機能させるためプログラムであることを特徴とする。継手離脱量発生比率表及びケーブル被災領域を対比し、管路の変位の発生比率に応じたケーブル被災率を算出するので、地中に埋設されている管路に収容されているケーブルの被害を精度よく予測することができる。
本発明に係るケーブルの地震被害を推定するプログラムは、コンピュータを、さらに、
前記入力部の取得する地震情報に応じた区画毎の震度階を、前記地形地質データベースの格納する地形又は地質に基づいて取得する震度階取得部、
前記入力部の取得する地震情報に応じた区画毎の液状化ランクを、前記地形地質データベースの格納する地形又は地質に基づいて取得する液状化ランク取得部、
として機能させるためプログラムであることが好ましい。ケーブル被災率を算出しようとする区画の震度階及び液状化ランクが不明な場合であっても、正確な震度階及び液状化ランクを取得することができる。さらに、対象となる区画の微地形分類に基づいて震度階及び液状化ランクを算出するので、ケーブル被災率をより精度よく算出することができる。
従来、予測することが困難であった、管路に収容されているケーブルの被害を精度よく予測することができる。
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。図1は、本実施形態に係るケーブル地震被害推定装置の一例を示す構成図である。本実施形態に係るケーブル地震被害推定装置は、記憶部11と、入力部12と、情報処理部13と、表示部14と、を備える。
記憶部11は、地形地質データベース21、地下管路データベース22、ケーブルデータベース23、地図データベース24及び地震情報データベース25を格納する。記憶部11に格納される各情報は、予め調査しておいた情報である。さらに、記憶部11は、本実施形態にかかるケーブル地震被害推定装置の各種算出結果を格納することが好ましい。他の端末から記憶部11が参照可能であれば、複数の端末から被災推定結果を閲覧することができる。
地形地質データベース21は、予め定められた区画ごとの地形又は地質を示した地形地質情報を格納する。区画は、固定配線区画などの予め定められた区画である。図2に、地形地質情報の一例を示す。固配番号が区画に相当する。液状化ランクは地形や地質によって異なるので、地形地質情報に液状化ランクを予め含めてもよい。
地形は、予め定められた区画ごとの地形である。区画ごとの微地形分類が含まれることで、ケーブルの埋設されている環境を正確に把握できる。地形の具体例が、土地条件図(国土地理院)、土地分類図(国土庁土地局国土調査課)に記されている。地形は、例えば、斜面、山麓堆積地形、台地、段丘、扇状地、自然堤防、砂(礫)堆、砂(礫)、砂丘、砂丘末端緩斜面、砂丘間低地、凹地、浅い谷、谷底平野、氾濫平野、後背低地、旧河道、湿地、泥炭地、三角州、海岸平野、盛土地、高い盛土地、低地の平坦化地、埋土地、旧水面上の盛土地、干拓地、頻水地形又は水部である。
地質は、ボーリング調査データである。ボーリング調査データの具体例は、例えば、粘性土、砂、砂礫、各種の岩等の土質情報、地下水位情報、又は、柱状図情報である。ボーリング調査データは必須ではなく、ボーリング調査データがあることで、さらに正確な震度階や液状化ランクを算出することができる。
地下管路データベース22は、管路の変位に応じた継手離脱発生比率を定める継手離脱量発生比率表を震度階ごとに格納する。継手離脱量発生比率は、予め実測によって求められた確率である。ケーブルの種類、外径、素材等の違いにより、どの程度の外力が作用することでケーブルに被害が生じるかは異なる。このため、ケーブルの特性に応じて継手離脱量発生比率表を作成することが好ましい。継手離脱量発生比率は、震度階、液状化ランク、及び地形地質情報の組合せと対応付けてデータベースに蓄積される。継手離脱量発生比率表は、震度階、液状化ランク及び地形地質情報の組合せに対応して1つの表が求まる。継手離脱量発生比率表は、管軸方向への変位及び管軸直角方向への変位によって管路の継手が離脱する確率を示す。地下管路データベース22は、さらに、管路の変位に応じた管路の被災の有無を示す管路被災領域表を格納していることが好ましい。管路被災領域表を格納していることで、管路被災率を算出することができる。
図3に、管路の模式図を示す。管路51aと管路51bが接続されている。管路51bが管軸方向Lに変位した場合、変位前の管路51bから変位後の管路51b−1までの距離が管軸方向変位となる。一方、管路51aが管軸直角方向Gに変位した場合、変位前の管路51aから変位後の管路51a−1までの距離が管軸直角方向変位となる。
図4に、継手離脱量発生比率表の一例を示す。行方向は、管軸方向変位の発生する確率(%)を示す。列方向は、管軸直角方向変位の発生する確率(%)を示す。管軸直向変位及び管軸角方方向変位の発生する確率を合計すると100%となる。管軸方向変位及び管軸直角方向変位は、10cm未満、20cm未満、30cm未満、40cm未満、50cm未満とした。また、管軸方向変位は、離脱だけでなく、管路の周囲の変動によって継手同士が重なる方向に変位する場合もある。このため、継手同士が重なる方向をマイナスで示した。管軸方向変位及び管軸直角方向変位は、本実施形態に限定されるものではなく、50cm以上であってもよい。
ケーブルデータベース23は、埋設されているケーブルの種類などのケーブル情報を区画毎に格納するとともに、管路の変位に応じたケーブルの被災領域を定めるケーブル被災領域表を格納する。ケーブル被災領域表は予め実測によって求める。ケーブル被災領域は、ケーブル情報から決まるので、ケーブル情報と対応付けてデータベースに蓄積しておくことが好ましい。ここで、ケーブル情報は、外被の厚さ、口径、心線の材質、心線径、心線数、などのケーブルの特性を示す情報である。
ケーブル被災領域表は、ケーブルの管軸方向及び管軸直角方向への変位によってケーブルが被災するか否かを示す表である。図5に、ケーブル被災領域表の一例を示す。行方向は、ケーブルの管軸方向変位によってケーブルが被災するか否かを示す。列方向は、ケーブルの管軸直角方向変位によってケーブルが被災するか否かを示す。本実施形態では、被災する場合を×、被災しない場合を○として示した。ケーブルが被災するか否かはケーブルの特性によって変わるので、ケーブル被災領域表は、ケーブル情報に対応して1つの表が求まる。本実施形態では、一例として、20cmを超える変位では被災する細径光ファイバの例を示した。
地図データベース24は、表示部14に地図が表示する際に参照される地図情報を格納する。地震情報データベース25は、地震のシミュレーションを行うための地震情報を格納する。予め地震情報を格納しておくことで、地震に関する情報の入力を省略することができる。また、地震情報データベース25は、東海地震、東南海地震、南海地震などの代表的なプレート型地震や、中央防災会議などの専門機関で地震発生が危惧されている断層型地震の震源位置、アグニチュード、深さを格納していることが好ましい。
入力部12は、特定の位置での震度階を地震情報として取得する。特定の位置は、例えば震源地である。震源地の震度階を取得することで、震度階取得部31は、区画毎の震度階を算出し、取得することができる。また、ケーブルや管路の被害のシミュレーションを行いたい区画や地域が特定されている場合は、特定の位置は、対象とする区画や地域としてもよい。入力部12は、例えば、キーボード又はマウスである。図6に、地震情報の入力例を示す。地震情報は、例えば、地震種別、震央位置、マグニチュード、深さである。地震種別は、例えば、プレート境界型である。入力部12は、さらに、各種情報の補正値を取得することが好ましい。補正値は、例えば、震度階、液状化ランクの補正値である。震度階及び液状化ランクの補正値は、例えば、地形や地質によって定められる係数である。地震情報は、直接入力してもよいし、地震情報データベース25に格納されている地震から選択してもよい。
情報処理部13は、記憶部11を参照して、入力部12から取得した条件におけるケーブル被災率を算出する。情報処理部13は、震度階取得部31と、液状化ランク取得部32と、継手離脱量発生比率表選択部33と、ケーブル被災領域表選択部34と、ケーブル被災率算出部35と、を備える。情報処理部13は、さらに、管路被災領域表選択部36と、管路被災率算出部37と、をさらに備えることが好ましい。
情報処理部13は、具体的には、数値演算部41と、メモリ部42と、ハードディスク部43と、を備える。メモリ部42は、数値演算部41の用いる数値を記憶する。ハードディスク部43は、数値演算部41の演算結果を保存する。震度階取得部31と、液状化ランク取得部32と、継手離脱量発生比率表選択部33と、ケーブル被災領域表選択部34と、ケーブル被災率算出部35と、管路被災領域表選択部36と、管路被災率算出部37は、数値演算部41に格納される。震度階取得部31と、液状化ランク取得部32と、継手離脱量発生比率表選択部33と、ケーブル被災領域表選択部34と、ケーブル被災率算出部35と、管路被災領域表選択部36と、管路被災率算出部37は、アプリケーションプログラムとして数値演算部41に格納されていてもよい。
表示部14は、情報処理部13の処理結果を出力する。情報処理部13の処理結果は、例えば、ケーブル被災率算出部35の算出するケーブル被災率である。図7に、表示部14の表示する情報処理部13の処理結果の一例を示す。表示部14は、ケーブル被災率算出部35の算出するケーブル被災率を、地図上に表示する。ケーブル被災率は、色で表示されており、青色が0%以上2.5%未満、緑色が2.5%以上5.0%未満、黄色が5%以上7.5%未満、茶色が7.5%以上10%未満、赤が10%以上100%未満を示す。情報処理部13は、記憶部11に格納されているケーブルデータベース23及び地図データベース24を参照して、ケーブル被災率算出部34の算出するケーブル被災率を地図上にマッピングする。
以下、本実施形態に係るケーブル地震被害推定方法について図1及び図8を用いて説明する。図8は、本実施形態に係るケーブル地震被害推定方法のシーケンスの一例である。
入力手順S101では、入力部12が、地震情報を取得する。取得する項目は、例えば、震源位置(緯度、経度)、地震規模、震源深さである。図6に、入力画面の一例を示した。
次に、震度階取得手順S111では、震度階取得部31は、入力部12の取得する地震情報に応じた震度階を区画毎に取得する。入力部12が震度階を取得する場合は、入力された震度階を取得する。地震の後など、震度階が既知である場合に、その区画の管路又はケーブルの被害を推定することができる。ここで、ケーブルの埋設されている区画の震度階は、その区画の地質や地形によって異なる。このため、震度階取得手順S111では、震度階取得部31が、地形地質データベース参照手順S102を実行し、地形地質データベース21を参照することが好ましい。さらに、震度階取得手順S111では、ケーブルの埋設されている区画の震度階をより正確に算出するために、震度階補正値入力手順S103を実行し、震度階の補正を行うことが好ましい。そして、震度階取得部31は、震度階出力手順S121を実行し、震度階取得手順S111で算出した区画別の震度階を、メモリ部42又は継手離脱量発生比率表選択部33に出力する。
ここで、震度階の算出は、例えば、計測震度及び地表面における最大速度によって算出する(例えば、司宏俊、翠川三郎(1999):断層タイプ及び地盤条件を考慮した最大加速度・最大速度の距離減衰式,日本建築学会構造系論文集,第523号,pp.63−70)。具体的には、IINSTRを計測震度、PGVを地表面における最大速度とした場合、震度算定式は以下で表される。
(数1)
INSTR=2.68+1.72log(PGV
震度階の算出は、震源からの距離と深さ、マグニチュードから震度階を算出し、地形情報により増幅率を求め補正処理することが好ましい(例えば、大西淳一、山崎文雄、若松加寿江(1999):気象庁地震記録の距離減衰式に基づく地点増幅特性と地形分類との関係,土木学会論文集,No.626/I−48,pp.79−91)。具体的には、Mをマグニチュード、rを断層面への最短距離(km)、hを震源深さ(km)、b、b、b、b、bを地震動指標の回帰分析により求められる係数、c 、c 、c を各指標の地点係数とした場合、震度算定式は以下で表される。
Figure 2009058486
Figure 2009058486
Figure 2009058486
次に、液状化ランク取得部32が、液状化ランク算出手順S112を実行し、入力部12の取得する地震情報に応じた液状化ランクを区画毎に取得する。液状化ランクとは、液状化のしやすさを表す指標である。液状化ランクは、アルファベットで表されてもよいし、数値で表されてもよい。入力部12が液状化ランクを取得する場合は、入力された液状化ランクを取得する。地震の後など、液状化ランクが既知である場合に、その区画の管路又はケーブルの被害を推定することができる。ケーブルの埋設されている区画の液状化ランクは、地質や地形によって異なる。このため、液状化ランク取得部32は、地形地質データベース参照手順S102で参照した地形地質情報を利用することが好ましい。さらに、液状化ランク算出手順S112では、ケーブルの埋設されている区画の液状化ランクをより正確に算出するために、液状化ランク補正値入力手順S104を実行し、液状化ランクの補正を行うことが好ましい。そして、液状化ランク取得部32は、液状化ランク出力手順S122を実行し、液状化ランク算出手順S112で得られた液状化ランクを区画ごとの液状化ランクとして、メモリ部42又は継手離脱量発生比率表選択部33へ出力する。
液状化ランクの算出は、例えば、道路橋示方書・同解説書(1996)に準じる方法がある。具体的には、地形地質データベース21に地質の情報が格納されている場合、表層部での地震動計算結果から地中のせんだん応力を求め、液状化対象層ごとに液状化に対する抵抗値(FL値)、地層全体の液状化可能性指数(PL値)を算出する(例えば、表層地盤の液状化計算手法:中央防災会議)。液状化可能性指数の場合、PL値が15よりも大きければ液状化の可能性が大きいと判定する。一方、PL値が5超15以下の場合、液状化の可能性が中程度と判定する。PL値によって液状化ランクを求めることができる。
地形地質データベース21に地質の情報が格納されていない場合、入力手順S101で取得した震度階から地表最大速度を算出し、内閣府中央防災会議等で公開されている微地形分類を利用して液状化危険度を求めることができる。液状化危険度は、地表最大速度が大きいほど高く、液状化危険度が高い順に、A、B、C、危険度なし、液状化は起こらない、となっている。液状化危険度をアルファベット又は数値に置換することで、液状化ランクを求めることができる。
次に、継手離脱量発生比率表選択部33は、継手離脱量発生比率表選択手順S113を実行し、地下管路データベース22の格納する継手離脱量発生比率表から、震度階及び液状化ランクに応じた継手離脱量発生比率表を、区画毎に選択する。この際、継手離脱量発生比率表選択部32は、地下管路データベース参照手順S105を実行し、継手離脱量発生比率表の格納されている地下管路データベース22を参照する。震度階又は液状化ランクが大きければ、管路の継手の変位が大きくなる可能性は高い。さらに、管路の埋設されている区画の地形や地質自体によっても管路の継手の変位は異なる。このように、継手離脱量発生比率表選択手順S113では、地震情報によって条件付けられた震度階及び液状化ランクに応じて選択される。
さらに、継手離脱量発生比率表選択手順S113では、管路の継手の離脱の仕方が管路の構造に依存することを考慮するため、材質、管材厚さ、口径、継手の構造、建設された年代などの管路の情報に応じて選択されることが好ましい。そして、継手離脱量発生比率表選択部33は、図4に示すような継手離脱量発生比率表を選択し、メモリ部42又はケーブル被災率算出部35に出力する。なお、対象となる区画の震度階及び液状化ランクは、入力手順S101において取得した値を用いてもよいし、入力手順S102において取得した震源位置、深さ、規模に基づいて震度階取得手順S111及び液状化ランク算出手順S112で算出した値を用いてもよいし、地形地質データベース21又は地震情報データベース25に格納されている値を用いてもよい。
さらに、情報処理部13は、管路被災率を求めてもよい。この場合、情報処理部13は、管路被災率出力手順S123を実行し、継手離脱量発生比率をメモリ部42へ出力する。例えば、管路被災領域表選択部36は、地下管路データベース22の格納する管路被災領域表から、継手離脱量発生比率表選択手順S113で選択した継手離脱量発生比率表に応じた管路被災領域表を、区画毎に選択する。ここで、管路被災領域表選択部36は、管路被災領域表管路の材質や形状などの管路の特性によっても選択することが好ましい。管路被災率算出部37が、継手離脱量発生比率表選択部33の選択する継手離脱量発生比率表のうち、管路被災領域表選択部36の選択した管路被災領域表において被災領域となっている領域の合計を管路被災率として算出する。すなわち、管路の変位と被災の有無が示された表を地下管路データベース22から読み出し、継手離脱量発生比率と重ね合わせる。そして、被災する管路の変位に該当する継手離脱量発生比率を合計することで、管路被災率を求めることができる。管路の変位と管路の被災の有無は、管路の種類ごとに予め実験を行うことで得られる。
また、管路被災率は、例えば、対象とする区画の震度階、液状化ランク、地形地質情報、及び、対象とする管路の管路情報に基づいて求めることができる。建設年度、液状化ランク、管材などの管路情報によって過去に起きた被災の状況を管路被災率表として作成しておき、地下管路データベース22に格納しておく。管路の被災率は、液状化ランクや震度算定式中にある最大加速度(PGV)によって異なるため、液状化ランクや最大加速度(PGV)の関数で表すことができる。管路被災率表を作成しておくことで、情報処理部13は、取得した震度階や液状化ランクに応じた管路被災率を求めることができる。
ケーブル被災領域表選択部34は、ケーブル被災領域表選択手順S119を実行し、ケーブル被災領域表を選択する。例えば、ケーブル被災領域表選択部34は、図5に示すようなケーブル被災領域表を選択する。ケーブルの被災領域は、管路の継手離脱量発生比率によって異なるので、ケーブル被災領域表選択部34は、継手離脱量発生比率表参照手順S106を実行し、継手離脱量発生比率表選択部33の選択した継手離脱量発生比率表を参照する。ケーブル被災領域表選択部34は、継手離脱量発生比率表選択部33から入力された継手離脱量発生比率表を参照してもよいし、メモリ部42に格納されている継手離脱量発生比率表を参照してもよい。そして、ケーブル被災領域表選択部34は、ケーブルデータベース参照手順S107を実行し、継手離脱量発生比率表に応じたケーブル被災領域表を、ケーブルデータベース23を参照して選択する。
ケーブル被災領域表選択手順S119では、ケーブル被災領域表選択部34は、ケーブルデータベース23を参照して、対象となる区画に埋設されているケーブルの特性を抽出することが好ましい。そして、ケーブル被災領域表選択部34は、抽出したケーブルの特性に応じたケーブル被災領域表を選択することが好ましい。
ケーブル被災率算出部35は、ケーブル被災率算出手順S114を実行し、継手離脱量発生比率表とケーブル被災領域表を対比する。このため、ケーブル被災率算出部35は、ケーブル被災領域表参照手順S108を実行し、ケーブル被災領域表選択部33の選択したケーブル被災領域表を参照する。ケーブル被災領域表によってケーブルの地震に対する耐力を推定することができるので、継手離脱量発生比率表とケーブル被災領域表を対比し、継手離脱量発生比率表とケーブル被災領域表を重ね合わせたケーブル被災率算定表を作成することで、対象となるケーブルが被災する確率を推定することができる。
そして、ケーブル被災率算出手順S114では、ケーブル被災率算出部35は、継手離脱量発生比率表選択部34の選択した継手離脱量発生比率表のうち、ケーブル被災領域表選択部33の選択したケーブル被災領域表において被災領域となっている領域の合計をケーブル被災率として算出する。ケーブル被災率算定表の作成によって、管路の強制離脱量とケーブルの地震耐力を照査することが可能となり、任意の位置で発生する地震によるケーブルの被害度を評価するケーブル被災率算出処理が可能となる。そして、ケーブル被災率算出部35は、ケーブル被災率出力手順S124を実行し、ケーブル被災率をメモリ部42へ出力する。
図9は、ケーブル被災率算定表の一例である。図4に示す継手離脱量発生比率表と、図5に示すケーブル被災領域表が重ね合わせられている。すなわち、ケーブル被災領域表によって、管軸方向への20cm以内の変位、及び、管軸直角方向への20cm以内の変位については、ケーブルが被災しないので、その変位によるケーブルの被災確率は減少する。このため、図9に示す表の数値を合計した数値が、地震情報によって与えられた条件下においてケーブルが被災する確率となる。本実施形態では、ケーブル被災率算出部が算出するケーブルの被災確率は80.4%となっている。
以上、本実施形態に係るケーブル地震被害推定方法では、ケーブル地震被害推定装置を用いることによって、予測することが困難であった、管路に収容されているケーブルの被害を精度よく予測することができる。
さらに、情報処理部13は、震度階マッピング手順S115を実行し、震度階出力手順S121で出力した震度階を表示部14に出力する。この際、情報処理部13は、地図データベース参照手順S109を実行し、地図データベース24を参照する。そして、表示部14は、震度階表示手順S125を実行し、地図上にマッピングされた震度階を表示する。図10に、表示部14に表示された震度階の一例を示す。
さらに、情報処理部13は、液状化ランクマッピング手順S116を実行し、液状化ランク出力手順S122で出力した液状化ランクを表示部14に出力する。そして、表示部14は、液状化ランク表示手順S126を実行し、地図上にマッピングされた液状化ランクを表示する。図11に、表示部14に表示された液状化ランクの一例を示す。
さらに、情報処理部13は、ケーブル被災率マッピング手順S117を実行し、ケーブル被災率出力手順S124で出力したケーブル被災率を表示部14に出力する。そして、表示部14は、ケーブル被災率表示手順S127を実行し、地図上にマッピングされたケーブル被災率を表示する。図7に、表示部に表示されたケーブル被災率の一例を示す。
さらに、情報処理部13は、ケーブル被災情報保存手順S118を実行し、本実施形態に係るケーブル地震被害推定方法で得られた情報をハードディスク43又は記憶部11へ格納する。ケーブル地震被害推定方法によって実行されたすべてのシミュレーションを行った後、入力部12が保存指示を取得すると、情報処理部13は、ケーブル地震被害推定装置のハードディスク部43にシミュレーション結果を保存する。シミュレーション結果の保存先は、複数の装置から閲覧できるように、ネットワーク上のデータベースであることが好ましい。ケーブル地震被害推定方法で得られた情報は、例えば、入力手順101で入力された地震情報、震度階出力手順S121で出力された震度階、液状化ランク出力手順S122で出力された液状化ランク、管路被災率出力手順S123で出力された継手離脱量発生比率表、又は、ケーブル被災率出力手順S124で出力されたケーブル被災率である。
継手離脱量発生比率表の作成方法について説明する。地震によるケーブルの被害発生メカニズムは、地震動や地盤変位により、管路の継手部が折損離脱し、離脱した継手部が管軸方向および管軸直角方向に相対的に変位することでケーブルに張力およびせん断力が作用しケーブルが断線する。任意の位置での想定地震による地震動や地盤変位で、管路が折損離脱し、どの程度の比率で継手部の相対離隔が生じるかを予測するために、過去の大地震前後の航空写真測量から隣接するマンホール間の相対変位量から、地震動の大きさ及び液状化の有無別に隣接するマンホール間の相対変位の発生割合を算出した。この算出結果を継手離脱量発生比率表における管軸方向変位とした。
上下方向の相対変位については、航空写真測量では必要精度が得られないことから、現地の測量の実施により精度補足を実施した。地震により折損離脱した管路はマンホールを固定点として地盤の相対変位に追従する。このことから、マンホールを固定点とした地盤の相対変位を継手離脱量発生比率表における管軸直角方向変位とした。さらに、継手離脱量発生比率表のうち、どれだけの変位があったときに管路が被災するか否かを実験的に測定することで、管路被災領域表を作成することができる。
次に、ケーブル被災領域表の作成方法について説明する。ケーブルの種類、外径、素材等の違いにより、どの程度の外力が作用することでケーブルに被害が生じるかを、実際にケーブルに強制変位を加えることで確認した。強制変位によるケーブルの損傷確認は、実際に用いられている管路にケーブルを収容し、マンホール等の固定方法を再現し、管路を強制離脱させることでケーブルの所要性能がなくなる範囲を測定する。通信に用いられる光ファイバーケーブルの場合、細径のケーブルでは、管路の強制離脱によりケーブル全体に異常張力が作用し、マンホール固定位置でデータ伝送に損失が生じる。また太径の光ファイバーケーブルの場合、管路の離脱部でケーブルと管端部が擦れることでファイバ心線が断線することで被災する。図5に細径光ファイバーケーブルの管軸方向および管軸直角方向に10cm刻みでの強制離脱を作用させた場合のケーブル被災領域表の例を示す。ケーブル個々の被災領域を確認することで、あらゆる種類のケーブルに適用可能となる。評価が必要となるケーブルの被災領域を事前に確認し、必要ケーブルの被災領域表を具備することで、地震時のケーブル耐力度評価処理が可能となる。
対象とする区画の震度階、液状化ランク及び地形地質情報の組合せに対応して図4に示す1つの継手離脱量発生比率表を選択し、対象とするケーブルのケーブル情報に対応して図5に示す1つのケーブル被災領域表を選択し、選択した2つの表を重ね合わせることで図9に示すケーブル被災率算定表を生成し、生成した表中の図9の数値領域によって表された被災領域の数値を合計することでケーブル被災率を求めた。
図6に評価を行う地震の震源位置、深さ及びマグニチュードなどの地震情報の入力画面、図2に区画単位での地形地質情報の入力画面を示す。評価を行う管路やケーブルの情報は、設備管理業務に利用されているデータベースから取得したため、管路及びケーブルの種類、径又は材質等の情報を取り込むための区画ごと及びケーブルごとの入力を省略することができた。図10に区画毎の震度階評価結果、図11に区画毎の液状化ランク評価結果、図7に地下管路に収容されたケーブル被災率評価結果の表示例を示す。
ケーブル地震被害推定装置を用いることによって、予測することが困難であった、管路に収容されているケーブルの被害を精度よく予測することができる。ケーブルの被害を予測することで、被害の大きさやサービスの重要度を考慮した優先順位により耐震対策を実施することができる。さらに、限られた予算の中で効果的な耐震対策の実施が可能となる。
地震発生前にシミュレーションを行えば、設備の悪い箇所に設備補強を行う予防保全対策に利用することができる。また、地震発生後にケーブル被害発生箇所を推定することができるので、設備点検箇所の優先順位づけに利用することができる。
本実施形態に係るケーブル地震被害推定装置の一例を示す構成図である。 地形地質データベースの一例である。 管路の模式図である。 継手離脱量発生比率表の一例である。 ケーブル被災領域表の一例である。 地震情報の入力例である。 表示部の表示する情報処理部の処理結果の一例である。 本実施形態に係るケーブル地震被害推定方法のシーケンスの一例である。 ケーブル被災率算定表の一例である。 表示部に表示された震度階の一例である。 表示部に表示された液状化ランクの一例である。
符号の説明
11 記憶部
12 入力部
13 情報処理部
14 表示部
21 地形地質データベース
22 地下管路データベース
23 ケーブルデータベース
24 地図データベース
25 地震情報データベース
31 震度階取得部
32 液状化ランク取得部
33 継手離脱量発生比率表選択部
34 ケーブル被災領域表選択部
35 ケーブル被災率算出部
36 管路被災領域表選択部
37 管路被災率算出部
41 数値演算部
42 メモリ部
43 ハードディスク部
51a、51b 管路
51a−1、51b−1、51b−2 変位後の管路

Claims (9)

  1. 予め定められた区画ごとの地形及び地質を示す地形地質情報を格納する地形地質データベース、管路の変位に応じた継手離脱発生比率を定める継手離脱量発生比率表を格納する地下管路データベース、並びに、管路の変位に応じたケーブルの被災の有無を示すケーブル被災領域表を格納するケーブルデータベースを格納する記憶部と、
    特定の位置での震度階を地震情報として取得する入力部と、
    前記入力部の取得する地震情報に応じた震度階を、前記区画ごとに取得する震度階取得部と、
    前記入力部の取得する地震情報に応じた液状化ランクを、前記区画ごとに取得する液状化ランク取得部と、
    前記地下管路データベースの格納する継手離脱量発生比率表から、前記震度階取得部の取得する震度階及び前記液状化ランク取得部の取得する液状化ランクに応じた継手離脱量発生比率表を、前記区画毎に選択する継手離脱量発生比率表選択部と、
    前記ケーブルデータベースの格納するケーブル被災領域表から、前記継手離脱量発生比率表選択部の選択した継手離脱量発生比率表に応じたケーブル被災領域表を、前記区画毎に選択するケーブル被災領域表選択部と、
    前記継手離脱量発生比率表選択部の選択した継手離脱量発生比率表のうち、前記ケーブル被災領域表選択部の選択したケーブル被災領域表において被災領域となっている領域の合計をケーブル被災率として算出するケーブル被災率算出部と、
    を備えることを特徴とするケーブル地震被害推定装置。
  2. 前記震度階取得部は、前記入力部の取得する地震情報に応じた区画毎の震度階を、前記地形地質データベースの格納する地形又は地質に基づいて算出し、
    前記液状化ランク取得部は、前記入力部の取得する地震情報に応じた区画毎の液状化ランクを、前記地形地質データベースの格納する地形又は地質に基づいて算出することを特徴とする請求項1に記載のケーブル地震被害推定装置。
  3. 前記地下管路データベースは、さらに、管路の変位に応じた管路の被災の有無を示す管路被災領域表を格納し、
    前記地下管路データベースの格納する管路被災領域表から、前記継手離脱量発生比率表選択部の選択した継手離脱量発生比率表に応じた管路被災領域表を、前記区画毎に選択する管路被災領域表選択部と、
    前記継手離脱量発生比率表選択部の選択する継手離脱量発生比率表のうち、前記管路被災領域表選択部の選択した管路被災領域表において被災領域となっている領域の合計を管路被災率として算出する管路被災率算出部と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のケーブル地震被害推定装置。
  4. 前記ケーブルデータベースは、さらに、前記区画ごとのケーブルの種類、外径又は素材などのケーブルの特性と、前記ケーブル被災領域表に関連付けられるケーブルの特性とを格納し、
    前記ケーブル被災領域表選択部は、さらに、前記区画ごとのケーブルの特性に応じたケーブル被災領域表を選択することを特徴とする請求項1、2又は3に記載のケーブル地震被害推定装置。
  5. 記憶部が、予め定められた区画ごとの地形及び地質を示す地形地質情報を格納する地形地質データベース、管路の変位に応じた継手離脱発生比率を定める継手離脱量発生比率表を格納する地下管路データベース、並びに、管路の変位に応じたケーブルの被災の有無を示すケーブル被災領域表を格納するケーブルデータベースを格納する記憶手順と、
    入力部が、特定の位置での震度階を地震情報として取得する入力手順と、
    震度階取得部が、前記入力手順で取得した地震情報に応じた震度階を、前記区画ごとに取得する震度階取得手順と、
    液状化ランク取得部が、前記入力手順で取得した地震情報に応じた液状化ランクを、前記区画ごとに取得する液状化ランク取得手順と、
    継手離脱量発生比率表選択部が、前記地下管路データベースの格納する継手離脱量発生比率表から、前記震度階取得手順で算出した震度階及び前記液状化ランク取得手順で算出した液状化ランクに応じた継手離脱量発生比率表を、前記区画毎に選択する継手離脱量発生比率表選択手順と、
    ケーブル被災領域表選択部が、前記ケーブルデータベースの格納するケーブル被災領域表から、前記継手離脱量発生比率表選択手順で選択した継手離脱量発生比率表に応じたケーブル被災領域表を、前記区画毎に選択するケーブル被災領域表選択手順と、
    ケーブル被災率算出部が、前記継手離脱量発生比率表選択手順で選択した継手離脱量発生比率表のうち、前記ケーブル被災領域表選択手順で選択したケーブル被災領域表において被災領域となっている領域の合計をケーブル被災率として算出するケーブル被災率算出手順と、
    を順に有することを特徴とするケーブル地震被害推定方法。
  6. 前記震度階取得手順において、震度階取得部が、前記入力手順で取得した地震情報に応じた震度階を、前記地形地質データベースの格納する地形又は地質に基づいて算出し、
    前記液状化ランク取得手順において、液状化ランク取得部が、前記入力手順で取得した地震情報に応じた液状化ランクを、前記地形地質データベースの格納する地形又は地質に基づいて算出することを特徴とする請求項5に記載のケーブル地震被害推定方法。
  7. 前記地下管路データベースは、さらに、管路の変位に応じた管路の被災の有無を示す管路被災領域表を格納し、
    管路被災領域表選択部が、前記地下管路データベースの格納する管路被災領域表から、前記継手離脱量発生比率表選択手順において選択した継手離脱量発生比率表に応じた管路被災領域表を、前記区画毎に選択する管路被災領域表選択手順と、
    管路被災率算出部が、前記継手離脱量発生比率表選択手順で選択した継手離脱量発生比率表のうち、前記管路被災領域表選択手順で選択した管路被災領域表において被災領域となっている領域の合計を管路被災率として算出する管路被災率算出手順と、
    を前記継手離脱量発生比率表選択手順の後にさらに有することを特徴とする請求項5又は6に記載のケーブル地震被害推定方法。
  8. 前記ケーブルデータベースは、さらに、前記区画ごとのケーブルの種類、外径又は素材などのケーブルの特性と、前記ケーブル被災領域表に関連付けられるケーブルの特性とを格納し、
    前記ケーブル被災領域表選択手順において、さらに、前記区画ごとのケーブルの特性に応じたケーブル被災領域表を選択することを特徴とする請求項5、6又は7に記載のケーブル地震被害推定方法。
  9. コンピュータを、請求項1から4のいずれかに記載のケーブル地震被害推定装置として機能させるためのプログラム。
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