JP6338610B2 - 管路被災予測装置、管路被災予測方法および管路被災予測プログラム - Google Patents

管路被災予測装置、管路被災予測方法および管路被災予測プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP6338610B2
JP6338610B2 JP2016032193A JP2016032193A JP6338610B2 JP 6338610 B2 JP6338610 B2 JP 6338610B2 JP 2016032193 A JP2016032193 A JP 2016032193A JP 2016032193 A JP2016032193 A JP 2016032193A JP 6338610 B2 JP6338610 B2 JP 6338610B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pipeline
information
proof stress
strength
prediction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016032193A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017150193A (ja
Inventor
雅人 若竹
雅人 若竹
陽 伊藤
陽 伊藤
田中 宏司
宏司 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2016032193A priority Critical patent/JP6338610B2/ja
Publication of JP2017150193A publication Critical patent/JP2017150193A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6338610B2 publication Critical patent/JP6338610B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/20Hydro energy

Landscapes

  • Underground Structures, Protecting, Testing And Restoring Foundations (AREA)
  • Geophysics And Detection Of Objects (AREA)

Description

本発明は、地下に布設された管路(以下、地下管路という)の耐震性能を評価する際に用いられる管路被災予測装置、管路被災予測方法および管路被災予測プログラムに関する。
一般的に、地震発生時の地下管路の耐震性評価では、政府等が公表している想定地震による地震動分布等に、過去の地震による地下管路の被災率を重ね合わせることで被災箇所等を想定する手法が使われる。
また、一般的に、地震動に対する地下管路の強度評価は、過去の地震で生じた最大クラスの地震動を、管路に対して直線的に作用させた場合に管路に生じる応力を数値解析することで行われる。例えば図16に示されるように、地下管路は両端のマンホール201、202を結ぶ直線管路200でモデル化される。そして、直線管路200の長手方向に沿って、地震波動203による力204が直線的にかかる場合の圧縮応力および引張応力を数値解析することによって、地下管路の強度が評価される。
また、別の評価手法についての研究も進められている。例えば、非特許文献1には、液状化によって地下設備が振動し被害が大きい傾向があることから、液状化のしやすさを考慮した評価を行うことによって、ケーブル被災率の精度を高められると記載されている。また、非特許文献2には、マンホール等の設備単位で条件を設定し、液状化と震度との関係を示す震度階、および管路の種別毎の必要耐力を導入することで、非特許文献1の技術よりもさらに精度を高められると記載されている。
山崎泰司、他4名、「地下通信設備の耐震性評価技術」、NTT技術ジャーナル、日本電信電話株式会社、2007 Vol.19 No.10、pp.52-55 山崎泰司、他5名、「通信設備の地震時機能性評価技術の開発」、NTT技術ジャーナル、日本電信電話株式会社、2009 vol.21 No.8、pp.75-78 若竹雅人、他4名、「地震時に被害を生じやすい通信管路布設形態に関する分析」、第33回地震工学研究発表会講演論文集、土木学会地震工学委員会、平成25年10月 若竹雅人、他2名、「コンクリート巻き立て管の地震時挙動の定量評価について」、第35回地震工学研究発表会講演論文集、土木学会地震工学委員会、平成27年10月 伊藤陽、他2名、「通信用地下管路における腐食による耐震性能低下の定量化とその予測」、材料試験技術、日本材料試験技術協会、平成26年10月、vol.59 No.4、pp.188-193 国立研究開発法人 防災科学技術研究所、"表層地盤データ記述ファイル規約"、[online]、[平成28年2月17日検索]、インターネット〈URL:http://www.j-shis.bosai.go.jp/map/JSHIS2/data/DOC/DataFileRule/Z-RULES.pdf〉
しかし、これらの技術は、地下管路の被災予測としては精度が十分とは言えなかった。例えば上記の地下管路の耐震性評価では、過去の地震による地下管路の被災率は、ある程度広いエリア単位で提供されることが通常である。そのため、エリア内のどの設備が被災するのかが判断できず、対策の立案が困難であるとの問題がある。特に、想定地震の規模が大きくなると、広範囲の設備が被災すると評価されてしまい、どの管路を優先的に耐震補強すべきかを定める対策の立案がますます困難になる。
また、地下管路の強度評価は、図16を用いた上記の説明のとおり、地下管路を直線管路200でモデル化しており、作用する力204の方向も限定しているため、実際の複雑な布設形態を反映できないという問題がある。
上記の非特許文献1および非特許文献2の技術は、このような一般的な評価手法に比べて精度の高い評価を行うことが可能である。しかし、対策の立案を一層正確に行うために、さらなる精度の向上が求められていた。
例えば、図17に示されるように、大地震の際には以下の箇所で管路に被害が出やすいと考えられる。まず、浅い位置に布設された管路を防護するためにコンクリートを打設した場合には、コンクリート防護210の端部で管路に被害が出やすいと考えられる。また、管路が橋梁211を通過している場合にも、橋梁211の端部で管路に被害が出やすいと考えられる。また、盛土212をしている場合には、盛土212が沈下することで管路に被害が出やすいと考えられる。また、他の管路215および水路216を避けるように布設された場合には、急激に曲がった屈曲部213だけでなく、比較的緩やかに曲がった曲線部214においても管路に被害が出やすいと考えられる。また、軟弱地盤217を管路が通る場合には、不等沈下によって管路に被害が出やすいと考えられる。
ここで、非特許文献3には、管路の布設の曲り角度に応じて、地震の際に管路に作用する荷重が増幅され得ることが記載されている。また、非特許文献4には、コンクリート防護端部は、地震の際に管路に作用する荷重が増幅され得ることが記載されている。また、非特許文献5には、マンホールに溜まった水の量が多い環境では、金属製管路の腐食速度が速いことが分かっており、マンホール内の水量に応じて管路の劣化速度が影響され得ることが記載されている。管路がこのような環境下にあるか否かを考慮して評価すれば、さらなる精度の向上につながると考えられる。さらに、地下管路の中には布設から長い時間が経過しているものも多く、経年劣化が考慮されることも好ましい。
このような事情に鑑みてなされた本発明の目的は、精度よく管路の被災予測をすることを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る管路被災予測装置は、予め定められた区画を単位として震災の予測範囲を取得する入力部と、管路特性情報に基づいて、前記予測範囲に含まれる前記区画にある管路を順に選択して演算対象管路とする管路取得部と、前記演算対象管路の特性および管路耐力情報に基づいて初期耐力を演算する初期耐力演算部と、前記管路耐力情報、前記初期耐力および区画水量情報に基づいて前記演算対象管路の耐力予測線を演算する耐力予測線演算部と、前記演算対象管路の地形地質情報に応じた必要耐力と、前記耐力予測線と、現在時刻と、に基づいて、前記演算対象管路の残存耐力を演算する残存耐力演算部と、を備え、前記地形地質情報は、前記区画ごとの地形および地質についての情報であり、前記管路特性情報は、前記区画ごとの管路の特性についての情報であり、前記区画水量情報は、マンホール滞留水の量についての情報であり、前記管路耐力情報は、管路の特性および前記区画水量情報に応じた管路の耐力の値および変動量についての情報である。
また、本発明に係る管路被災予測方法は、数値演算部を備える管路被災予測装置が実行する管路被災予測方法であって、前記数値演算部が、予め定められた区画を単位として震災の予測範囲を取得するステップと、管路特性情報に基づいて、前記予測範囲に含まれる前記区画にある管路を順に選択して演算対象管路とするステップと、前記演算対象管路の特性および管路耐力情報に基づいて初期耐力を演算するステップと、前記管路耐力情報、前記初期耐力および区画水量情報に基づいて前記演算対象管路の耐力予測線を演算するステップと、前記演算対象管路の地形地質情報に応じた必要耐力と、前記耐力予測線と、現在時刻と、に基づいて、前記演算対象管路の残存耐力を演算するステップと、を含み、前記地形地質情報は、前記区画ごとの地形および地質についての情報であり、前記管路特性情報は、前記区画ごとの管路の特性についての情報であり、前記区画水量情報は、マンホール滞留水の量についての情報であり、前記管路耐力情報は、管路の特性および前記区画水量情報に応じた管路の耐力の値および変動量についての情報である。
また、本発明に係る管路被災予測プログラムは、数値演算部を備える管路被災予測装置として機能するコンピュータの前記数値演算部に、予め定められた区画を単位として震災の予測範囲を取得するステップと、管路特性情報に基づいて、前記予測範囲に含まれる前記区画にある管路を順に選択して演算対象管路とするステップと、前記演算対象管路の特性および管路耐力情報に基づいて初期耐力を演算するステップと、前記管路耐力情報、前記初期耐力および区画水量情報に基づいて前記演算対象管路の耐力予測線を演算するステップと、前記演算対象管路の地形地質情報に応じた必要耐力と、前記耐力予測線と、現在時刻と、に基づいて、前記演算対象管路の残存耐力を演算するステップと、を実行させて、前記地形地質情報は、前記区画ごとの地形および地質についての情報であり、前記管路特性情報は、前記区画ごとの管路の特性についての情報であり、前記区画水量情報は、マンホール滞留水の量についての情報であり、前記管路耐力情報は、管路の特性および前記区画水量情報に応じた管路の耐力の値および変動量についての情報である。
本発明に係る管路被災予測装置、管路被災予測方法、管路被災予測プログラムによれば、精度よく地下に布設された管路の被災予測をすることができる。
本実施形態の管路被災予測装置の概略構成を示す図である。 本実施形態の管路被災予測装置の結果表示の例を、従来の手法の結果表示と比較して示す図である。 管路の被災予測に影響を及ぼす要素を示す図である。 早急な対策を要する管路の評価例を示す図である。 計画的な対策を要する管路の評価例を示す図である。 本実施形態の管路被災予測装置の処理(管路被災予測方法)を示すフローチャートである。 仕様上の初期耐力の一例を示す図である。 補正後の初期耐力の一例を示す図である。 現在の耐力の一例を示す図である。 必要耐力に達するまでの期間の演算の一例を示す図である。 必要耐力の計算の一例を示す図である。 図11の計算で用いられる補正係数を示すテーブルである。 図11の計算で得られたεに対応する必要耐力を示すテーブルである。 必要耐力の計算の別の例を示す図である。 必要耐力の計算のさらに別の例を示す図である。 一般的な地下管路の強度評価における応力の数値解析を示す図である。 大地震の際に管路に被害が出やすいと考えられる箇所を示す図である。
以下、本発明の一つの実施形態について適宜図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。
(管路被災予測装置の概略構成)
図1は、本実施形態に係る管路被災予測装置1の概略構成を示す図である。本実施形態に係る管路被災予測装置1は、記憶部11と、入力部12と、情報処理部13と、表示部14と、を備える。
記憶部11は、地形地質データベース21と、地下管路データベース22と、劣化特性データベース23と、地図情報データベース24と、地震情報データベース25と、管路耐力情報データベース26と、を格納する。記憶部11に格納される各情報は、事前の調査に基づいて用意された情報である。ここで、記憶部11は、本実施形態にかかる管路被災予測装置1の各種演算結果を格納することが好ましい。このとき、他の端末から記憶部11が参照可能であれば、複数の端末から被災推定結果を閲覧することが可能になる。記憶部11は例えばネットワーク経由で情報処理部13からアクセス可能なファイルサーバーのハードディスクや不揮発性メモリであってもよい。このような構成であっても、記憶部11は管路被災予測装置1の一部として機能し、情報処理部13は必要な場合に記憶部11にアクセスできる。また、数値演算部41が被災予測の演算を実行する前に、情報処理部13は記憶部11の各データベースの情報をメモリ部42またはハードディスク部43にダウンロードしてもよい。このとき、ダウンロード後は、情報処理部13のメモリ部42またはハードディスク部43が記憶部11として機能する。また、記憶部11は、情報処理部13のメモリ部42またはハードディスク部43に含まれる構成であってもよい。
地形地質データベース21は、予め定められた区画ごとの地形および地質を示す地形地質情報を格納する。区画は、固定配線区画などの予め定められた区画である。本実施形態において、予め定められた区画は例えば250m×250mであるが、従来技術の区画(例えば1km×1km)よりも小さく、災害対策の立案を行うのに十分であれば特に限定されるものではない。地形地質情報は、震災を予測する範囲に含まれる区画の地盤がどのような地形および地質であるかを数値演算部41が把握するのに用いられる。地形地質情報は、例えば区画と地形および地質とを対応付けたテーブルとして記憶される。なお、本実施形態において、区画は固有のIDを有しており、記憶部11に格納される各情報は、区画の固有のIDを用いてテーブルを生成する。
ここで、地形地質情報が区画ごとの微地形区分(地形および地質による分類)を含むことで、数値演算部41は管路の布設されている環境を正確に把握できる。微地形区分の具体例を挙げると、例えば、山地、山麓地、丘陵、火山地、火山山麓地、火山性丘陵、岩石台地、砂礫質台地、ローム台地、谷底低地、扇状地、自然堤防、後背湿地、旧河道、三角州・海岸低地、砂州・砂礫州、砂丘、砂州・砂丘間低地、干拓地、埋立地、磯・岩礁、河原、河道、湖沼である(非特許文献6参照)。微地形区分を決定するのに必要な地質の情報は、例えばボーリング調査によって得られる。
地下管路データベース22は、区画ごとの管路の特性を示す管路特性情報を格納する。管路の特性とは、例えば、管路の種類、外径、素材、曲り角度、防護コンクリートの有無、近接構造物の有無、および建設(布設)年度等である。しかし、管路の特性はこれらに限定されるものではなく、例えば亘長、布設場所の縦断勾配、といった情報をさらに含んでもよいし、逆に一部を含まなくてもよい。管路特性情報は、管路の初期耐力を数値演算部41が演算する際に用いられる。管路特性情報は、例えば区画ごとに各管路と、種類、外径、素材、曲り角度、防護コンクリートの有無、および建設年度等を対応付けたテーブルとして記憶される。
劣化特性データベース23は、区画ごとのマンホール滞留水の量を示す区画水量情報を格納する。区画ごとのマンホール滞留水の量は、例えばその区画に存在するマンホールの滞留水の平均値、または中央値から求められてもよいし、その他の統計的な手法で得られる代表値に基づいて定めてもよい。また、マンホール滞留水の量は、例えば水位50cm以上か否かで区分して、「多い」(水50cm以上)、「少ない」(水50cm未満で0ではない)、「無し」で分けられてもよい。区画水量情報は、耐力予測線を数値演算部41が演算する際に用いられる。区画水量情報は、例えば区画とマンホール滞留水の量とを対応付けたテーブルとして記憶される。また、さらにマンホール滞留水の化学的性質(例えば酸性)を区画水量情報として含み、このような情報も区画と対応付けてテーブルとして記憶してもよい。
地図情報データベース24は、表示部14に地図が表示される際に参照される地図情報を格納する。地震情報データベース25は、例えば区画ごとのAVS30、想定地震動等、様々な地震情報を格納する。ここで、AVS30は、地表から深さ30mまでの平均S波速度である。予め地震情報を格納しておくことで、ユーザが地震に関する情報を入力部12を使用して入力することを省略可能にする。地震情報データベース25は、例えば東海地震、東南海地震、南海地震などの代表的なプレート型地震、および中央防災会議などの専門機関で地震発生が危惧されている断層型地震の震源位置、マグニチュード、深さの情報を格納していることが好ましい。
管路耐力情報データベース26は、管路の特性(例えば種類、外径、素材等)および区画水量情報(例えばマンホール滞留水の量)に応じた管路の耐力の値および変動量を示す管路耐力情報を格納する。管路の耐力は、管路が耐えうる力のことであり、例えば単位としてkNが使用される。耐力の値を超える力が加わると管路が破壊され得る。管路耐力情報は、初期耐力、耐力予測線を数値演算部41が演算する際に用いられる。ここで、管路耐力情報は、管路の種類と建設時の「仕様上の初期耐力」(本発明の第1の値に対応)とを対応付けたテーブルを含む。なお、管路の種類だけでは仕様上の初期耐力が定まらない場合、または更に正確さを高めたい場合には、管路耐力情報は、管路の種類、外径および素材と仕様上の初期耐力とを対応付けてもよい。また、管路耐力情報は、マンホール滞留水の量と、腐食による耐力低下率とを対応付けたテーブルも含む。なお、耐力低下率が管路の素材に依存する場合、または更に正確さを高めたい場合には、管路耐力情報は、管路の素材と、マンホール滞留水の量と、腐食による耐力低下率とを対応付けたテーブルとして記憶されてもよい。
入力部12は、区画を単位として震災の予測範囲を取得する。例えば入力部12は、ユーザによって入力された区画の固有のIDに基づいて震災の予測範囲を取得してもよいし、ユーザが表示部14に表示された地図上で指定した区画を震災の予測範囲として取得してもよい。入力部12は、例えばキーボードおよびマウスの少なくとも一方であってもよいし、表示部14と一体となったタッチパネルであってもよいが、特に限定されるものではない。入力部12によって取得された震災の予測範囲の情報は、数値演算部41に伝えられて、例えば管路取得部31が管路を取得する際に用いられたり、残存耐力演算部34が残存耐力を演算する際に用いられたりする。
情報処理部13は、記憶部11を参照して、入力部12から取得した条件における管路の被災予測を行う。情報処理部13は、数値演算部41と、メモリ部42と、ハードディスク部43と、を備える。本実施形態において、情報処理部13は記憶部11にアクセス可能なネットワーク機能を備えるコンピュータ(PC)であるが、これに限定されるものではなく、例えばスマートフォン、タブレット端末等であってもよい。
数値演算部41は、例えば特定のプログラムを読み込むことにより特定の機能を実現するCPUである。本実施形態においては、管路の被災予測を行うためのプログラムを読み込んで実行することにより、数値演算部41は、管路取得部31と、初期耐力演算部32と、耐力予測線演算部33と、残存耐力演算部34と、しての機能を実現する。なお、数値演算部41は、これらの一部または全部の機能をハードウェアで実現してもよい。メモリ部42は、例えば数値演算部41が演算で用いる数値を記憶する。また、メモリ部42はハードディスク部43から読み出したプログラムを一時的に記憶してもよい。ハードディスク部43は、例えば数値演算部41の演算結果を保存する。また、ハードディスク部43は、管路の被災予測を行うためのプログラムを記憶していてもよい。
管路取得部31は、管路特性情報に基づいて、予測範囲に含まれる区画にある管路を順に選択して演算対象管路とする。つまり、予測範囲に含まれる区画にある管路(通常は複数の管路)を抽出して、そのうちの1つを、被災予測の演算を行う演算対象管路として選択し、その演算対象管路について演算を行った後に、まだ被災予測の演算を行っていない管路が残っていれば、別の1つを演算対象管路として選択する。
初期耐力演算部32は、管路取得部31が選択した演算対象管路の特性および管路耐力情報に基づいて初期耐力を演算する。初期耐力は、建設時の演算対象管路の仕様に基づく耐力(本発明の第1の値に対応)を、管路耐力情報の補正値で調整した耐力(本発明の第2の値に対応)である。初期耐力の演算の詳細については後述する。
耐力予測線演算部33は、管路耐力情報、初期耐力演算部32が演算した初期耐力および区画水量情報に基づいて演算対象管路の耐力予測線を演算する。耐力予測線は、演算対象管路の耐力の建設時からの時間変化を示すものであり、通常の場合、初期耐力演算部32が演算した初期耐力から徐々に低下していく。ここで、耐力予測線演算部33は、演算対象管路が布設されている区間のマンホール滞留水の量が多いと判定した場合に、耐力予測線が示す演算対象管路の劣化が早まるように調整する。耐力予測線の演算の詳細については後述する。
残存耐力演算部34は、演算対象管路の地形地質情報に応じた必要耐力と、耐力予測線演算部33が演算した耐力予測線と、現在時刻と、に基づいて、演算対象管路の残存耐力を演算する。ここで、必要耐力は、被災した際に管路が破損しないために必要な耐力であり、主に演算対象管路が布設されている区画の地形地質によって異なる。残存耐力は、現在時刻(通常、年月または年が用いられるが、時分秒まで考慮してもよい)を基準とした、演算対象管路が必要耐力以上の耐力を有していると予測される時間である。個別の管路(演算対象管路)について、残存耐力を演算することができるため、どの管路を優先的に耐震補強すべきかを定める対策の立案が可能である。残存耐力を演算の詳細については後述する。
表示部14は、数値演算部41が演算した予測範囲に含まれる管路の残存耐力等の演算結果を、地図情報と共にユーザに表示する。本実施形態において、表示部14は液晶ディスプレイであるが、これに限定されるものではなく、例えば有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ等であってもよい。なお、表示部14はタッチパネルであってもよく、この場合、表示部14はユーザに演算結果を表示するとともに、ユーザの操作による入力を受付ける入力部12として機能する。
図2の下図は、本実施形態における、表示部14に表示される演算結果(被災予測情報)の一例である。なお、白丸はマンホールであって、実線、二重線、間隔大および間隔小の破線がマンホールを繋ぐ管路である。ここで、図2の上図は、従来技術の管路の被災予測情報の表示を例示するものである。従来技術では、例えば1km×1kmのサイズの区画を演算に用いられており、その範囲にわたる管路(管路ネットワーク)に対して同じ被災予測情報が示される(この例ではリスク大)。そのため、どの管路を優先的に耐震補強すべきかを定める対策の立案に用いるには情報の精度が十分とは言えなかった。一方、本実施形態の管路被災予測装置1の演算では、250m×250mのサイズの区画の地形地質情報を用い、管路を個別に評価する。各管路は、地震時のリスク評価に応じて、実線(リスク大)、二重線(リスク中)、間隔大の破線(リスク小)、または間隔小の破線(リスク無)で表示される。そのため、従来技術のように管路ネットワークに対して同じ被災予測情報が示すようなことはなく、優先的に耐震補強すべき管路を把握可能な程度に細かく被災予測が行われている。しかも、微地形区分によるリスクがある区画(例えば、地盤急変部とある区画)が表示されるだけでなく、配管の経年劣化が大きいことによってリスクがある区画(例えば、腐食速度大とある区画)も適切に表示することも可能である。このように、本実施形態の管路被災予測装置1の演算結果は、災害対策の立案を行うのに適している。
図3は、管路の被災予測に影響を及ぼす主要な要素を示す図である。詳細については後述するが、本実施形態の管路被災予測装置1はこれらの要素の影響についても、管路の被災予測の演算において考慮することが可能である。まず、図3に示されるように、管路に曲がった曲線部があると被害が出やすいと考えられる(a:曲線)。また、管路が浅層埋設された場所では防護コンクリートが使用されることが多く、その端部で管路に被害が出やすい(b:浅層埋設)。また、管路が他の構造物(例えば暗渠)と近接する場合にも、管路に防護コンクリートが使用されることが多く、管路に作用する荷重が増幅されて被害が出やすい(c:近接構造物)。また、マンホールに溜まった水の量が多い環境では、金属製管路の腐食速度が速いため管路が劣化しやすい(d:劣化)。これらの情報は、管路特性情報または区画水量情報として、地下管路データベース22または劣化特性データベース23に格納されている。そして、情報処理部13は、これらの情報を利用可能であり、適切に管路の被災予測の演算に取り込むことが可能である。そのため、本実施形態の管路被災予測装置1は、従来技術と比べて精度よく管路の被災予測をすることが可能である。また、管路を個別に精度よく評価できることから、経済的な設備マネジメント(例えば管路の補強等)および低震度領域における劣化設備等の診断も可能になる。
(被災予測の演算の概略)
図4は、早急な対策を要する管路についての評価、すなわち管路被災予測装置1の演算結果を例示する図である。図4には演算結果(残存耐力)だけでなく、演算の過程もあわせて示されている。図4の縦軸は設備耐力であり、管路の耐力を示す。また、図4の横軸は経過年数であり、管路の建設(布設)時を始点とする時間経過を示す。そして、図4の耐力予測線は時間経過に伴う管路の耐力の変化を示す。
図4の中央部分の破線53は、地盤の影響を考慮した必要耐力である。必要耐力は想定する地震が生じたときに管路が破損しないために必要な耐力である。必要耐力は地盤と想定する震度に応じて変化するように設定してもよいし、地盤だけに応じて設定されてもよい。また、必要耐力の精度を高めるために、情報処理部13は地震情報を用いて地震のシミュレーションを行って、その中で必要耐力について検証してもよい。一例として必要耐力は140kNである。そして、耐力予測線が示す耐力が必要耐力以上である場合、つまり第1の領域にある場合には、管路は地震に耐える耐力を有すると判定される。一方、耐力予測線が示す耐力が必要耐力を下回る場合、つまり第2の領域にある場合には、管路の補強といった対策が必要であると判定される。
また、図4の上部の破線50は一般的に使用される管路の初期耐力(仕様上の初期耐力)である。仕様上の初期耐力は、管路の種類等に応じて定まるものであり、布設状況によらない仕様上の耐力である。例えば、通信用の直径75mm鋼管の仕様上の初期耐力は208kNである。
ここで、従来技術では管路は建設時に仕様上の初期耐力を有するものとして被災予測の演算を実行することが多かった。管路被災予測装置1は、仕様上の初期耐力に対して管路の布設状況に応じた補正を行って建設時の初期耐力を設定する。例えば演算対象管路に曲がった曲線部がある場合、また、例えば演算対象管路が防護コンクリートを有する場合には、その影響に応じた補正率を用いて仕様上の初期耐力を補正し、建設時の初期耐力として設定する(図4の破線矢印51参照)。
また、従来技術では管路の劣化についても管路の布設状況を考慮することなく画一的な扱いをするものが多かった。管路被災予測装置1は、マンホールに溜まった水の量が多い環境か否かによって金属製管路の腐食速度が変化することを考慮して、耐力予測線を演算で求める。例えば、図4の例では、演算対象管路はマンホールに溜まった水の量が多くない環境で布設されており、腐食速度は小さいものとして演算された耐力予測線が示されている(図4の破線矢印52参照)。
管路被災予測装置1は、耐力予測線に基づいていくつかの時間を算出する。まず、現在の年(例えば2015年)から建設時の年(例えば1982年)を引くことで建設時からの経過年数を得る。そして、管路被災予測装置1は、耐力予測線を示す式に経過年数を入力することで現在の演算対象管路の耐力を求める。図4の例では、現在の演算対象管路の耐力はY0である。管路被災予測装置1は、必要耐力とY0とを比較することにより、演算対象管路に耐震補強が必要か、また、どの程度の緊急度で耐震補強が必要か、を評価する。また、管路被災予測装置1は、演算対象管路の耐力が必要耐力に達するまでの期間を計算する。図4の例では、演算対象管路の耐力が必要耐力に達するのは現在よりも前のX0年(例えば2010年)である。そのため、図4の例では、演算対象管路の残存耐力は−5年であり、この管路については早急な対策を要する。
図5は、計画的な対策を要する管路についての評価を例示する図である。重複説明を回避するため、図4の例とは異なる部分について説明する。図5の例では、図4の例と比較して、仕様上の初期耐力に対する補正量は比較的小さい。また、演算対象管路はマンホール溜水量が多い環境で布設されており、腐食速度は大きいものとして、耐力予測線の傾きが図4の例よりも急であるように調整されている。
図5の例では、演算対象管路の耐力が必要耐力に達するのは現在よりも後のX0年(例えば2025年)である。そのため、図5の例では、演算対象管路の残存耐力は10年であり、この管路については10年以内の計画的な対策を要する。
(管路被災予測方法)
以下に、図6のフローチャートを用いて本実施形態の管路被災予測装置1の数値演算部41が実行する処理(管路被災予測方法)を説明する。
まず、数値演算部41の管路取得部31は、入力部12からユーザが設定した被災予測する範囲を受け取る(ステップS1)。被災予測する範囲は区画を単位とするものである。なお、利便性を高めるために、区画ではなく、例えば設備座標の範囲、または特定の設備の住所等をユーザが指定できるようにしてもよい。このとき、入力部12または管路取得部31は、ユーザが指定した設備を含むように区画を単位として被災予測する範囲を設定する。
次に、管路取得部31は、例えば地下管路データベース22にアクセスして、被災予測する範囲に含まれる管路を抽出して、そのうちの1つを演算対象管路として選択する。そして、被災予測する範囲に含まれる管路の全てについて被災予測の演算がされるまで、演算対象管路について続くステップの演算を行う(ステップS2のNo)。なお、被災予測する範囲に含まれる管路の全てが、演算対象管路として選択されて被災予測の演算がされた場合には一連の処理を終了する(ステップS2のYes)。
数値演算部41の初期耐力演算部32は、管路耐力情報データベース26にアクセスして、演算対象管路の種類等に応じて仕様上の初期耐力の値を受け取る(ステップS3)。ここで、図7は仕様上の初期耐力の一例を示す図である。図7の例では、管種は通信用の直径75mm鋼管である。初期耐力演算部32は、管路耐力情報から通信用の直径75mm鋼管に対応する仕様上の初期耐力である208kNを抽出して図7に示される設定を行う。なお、管路耐力情報は、通信用の直径75mm鋼管以外にも、様々な管種に応じた仕様上の初期耐力を有している。
また、初期耐力演算部32は、管路特性情報から取得した演算対象管路の曲り角度に応じて、管路耐力情報から曲り増幅率の値を受け取る(ステップS4)。曲り増幅率は、曲り角度に基づく補正率であって初期耐力の補正で用いられる。例えば、管路の曲り角度が10〜60度であれば曲り増幅率(補正率)を0.1とし、それ以外の角度であれば曲り増幅率(補正率)を0とするように管路耐力情報に記載されていてもよい。
また、初期耐力演算部32は、管路特性情報から取得した演算対象管路の防護コンクリート情報(防護コンクリートの有無を示す情報)に応じて、防護コンクリート増幅率の値を受け取る(ステップS5)。防護コンクリート増幅率、防護コンクリートの有無に基づく補正率であって初期耐力の補正で用いられる。例えば、防護コンクリートが有れば防護コンクリート増幅率(補正率)を0.2とし、防護コンクリートが無ければ防護コンクリート増幅率(補正率)を0とするように管路耐力情報に記載されていてもよい。
そして、初期耐力演算部32は、仕様上の初期耐力およびこれらの補正率を用いて、補正後の初期耐力を演算する(ステップS6)。図8は、補正後の初期耐力の一例を示す図である。補正後の初期耐力Acは、仕様上の初期耐力A0と、曲り増幅率b、防護コンクリート増幅率cとを用いて、以下の式(1)で示される。
c=A0×(1−b−c) … 式(1)
図8の例では、演算対象管路について、曲り増幅率bは0.1であり、防護コンクリート増幅率cは0.2であるので、初期耐力Acは146となる。
次に、数値演算部41の耐力予測線演算部33は、区画水量情報から取得したマンホール滞留水の量に応じて、演算対象管路の劣化速度の値を受け取る(ステップS7)。劣化速度の値は、金属製管路の腐食による耐力低下の度合いを示す補正率であり、耐力予測線の傾きd(耐力低下率)に影響する。例えば、マンホール滞留水の量が「多い」(水50cm以上)場合には0.0037/年とし、「少ない」および「無し」(水50cm未満)の場合には0.00123/年とするように管路耐力情報に記載されていてもよい。そして、耐力予測線演算部33は、後述する耐力予測線の式を決定する。
数値演算部41の残存耐力演算部34は、以下の過程を経て、演算対象管路の残存耐力を演算する。残存耐力演算部34は、現在の年(例えば2015年)から建設時の年(例えば1982年)を引くことで建設後の経過年数を求める(ステップS8)。そして、残存耐力演算部34は、ステップS8で得られた経過年数Xを用いて、以下の式(2)から、現在の演算対象管路の耐力Y0を求める(ステップS9)。
0=A0×(1−b−c)−d×A0×X … 式(2)
ここで、図9は、式(2)に従って得られる演算対象管路の耐力Y0の一例を示す図である。図9の例では、耐力予測線の傾きdは、マンホール滞留水の量が「多い」ため、0.0037/年である。また、経過年数Xは33年である。すると、現在の演算対象管路の耐力Y0は120kNとなる。なお、曲り増幅率bおよび防護コンクリート増幅率cについては図8の例と同じである。
そして、残存耐力演算部34は、地形地質情報から微地形区分といった地盤情報を取得して必要耐力を設定する(ステップS10)。ここで、残存耐力演算部34は、必要耐力を設定するのに、さらに地震情報から想定地震動を取得してもよい。なお、必要耐力を求める方法については後述する。
残存耐力演算部34は、建設時を始点として、演算対象管路の耐力が必要耐力に達するまでの期間を演算する(ステップS11)。必要耐力Yを用いると、必要耐力Yに達するまでの期間X0は以下の式(3)で示される。
0={Y−A0×(1−b−c)}/(−d×A0) … 式(3)
ここで、図10の例では必要耐力が100kNである。必要耐力Yは100kNであり、必要耐力Yに達するまでの期間X0は59.3年である。現在までは33年が経過しているので、残存耐力演算部34は、残存耐力が26.3年と計算できる。
数値演算部41は、以上のような演算を被災予測する範囲に含まれる各管路に対して実行する。よって、まだ演算を実行していない管路が存在する場合には、次の管路を演算対象管路として選択して(ステップS12)、ステップS2の処理に戻る。
(必要耐力を求める方法)
必要耐力は、被災した際に管路が破損しないために必要な耐力であり、主に演算対象管路が布設されている区画の地形地質によって異なる。本実施形態の管路被災予測装置1は、地形地質情報から微地形区分を取得して、適切な必要耐力を設定することにより精度よく管路の被災予測をする。本実施形態の管路被災予測装置1は、以下の必要耐力を求める3つの方法のいずれかを選択可能である。
(第1の方法)
管路被災予測装置1は、パラメータεを演算で求めて、パラメータεの大きさに応じて必要耐力を設定する方法を用いてもよい。図11に示されるように、第1の方法では、まず残存耐力演算部34は、演算対象管路がある区画の微地形区分、AVS30、想定地震動SIを、地形地質情報および地震情報から取得する(ステップS21)。
そして、残存耐力演算部34は、微地形区分ごとの補正係数AおよびAVS30を用いて、下記の式(4)で求められる第1の中間パラメータTを計算する(ステップS22)。
T=A/AVS30 … 式(4)
ここで、補正係数Aは図12で与えられる。図12に示されるように、例えば、微地形区分が自然堤防、後背湿地、または旧河道であれば補正係数Aは71.7である。また、例えば、微地形区分が山地であれば、補正係数Aは67.7である。
残存耐力演算部34は、第1の中間パラメータTを用いて、下記の式(5A)〜(5C)のいずれかで求められる第2の中間パラメータLを計算する(ステップS23)。
L=100×T (Tが0.1以上かつ0.15未満) … 式(5A)
L=406×T1.74 (Tが0.15以上かつ2.5未満) … 式(5B)
L=800×T (Tが2.5以上) … 式(5C)
残存耐力演算部34は、想定地震動SIの補正係数ARSを下記の式(6)により求める(ステップS24)。
ARS=max(1,10P) … 式(6)
ここで、P=2.11−0.852log10(AVS30)であり、max(A,B)はAとBとを比較して大きい方を選択する関数を意味する。
次に、残存耐力演算部34は、地震動パラメータSIBを下記の式(7)により求める(ステップS25)。
SIB=SI/ARS … 式(7)
続いて、残存耐力演算部34は、速度Svを下記の式(8A)または(8B)で求める(ステップS26)。
Sv=(SIB/88)×159×T1.3 (Tが0.1以上かつ0.7未満) … 式(8A)
Sv=(SIB/88)×100 (Tが0.7以上) … 式(8B)
残存耐力演算部34は、第3の中間パラメータUを下記の式(9)により求める(ステップS27)。
U=(2×T×Sv)/π2 … 式(9)
そして、残存耐力演算部34は、パラメータεを下記の式(10)により求める(ステップS28)。
ε=(2×π×U)/L … 式(10)
図13は、得られたパラメータεに対応する必要耐力を示すテーブルである。例えば、パラメータεが0.002より大きく、かつ0.003以下であれば、必要耐力は100kNとなる。このように、管路被災予測装置1は、パラメータεを演算で求めて、パラメータεの大きさに応じて必要耐力を設定することができる。
(第2の方法)
管路被災予測装置1は、パラメータεを演算で求めずに、微地形区分と震度階とに応じて必要耐力を設定する方法を用いてもよい。第2の方法は、第1の方法と比較すると数値演算部41の演算による負荷を低減することが可能である。
第2の方法の場合、残存耐力演算部34は、図14のテーブルに従って必要耐力を設定する。例えば、微地形区分が扇状地であって震度階7を想定する場合に、AVS30が310m/s以下であれば、必要耐力は140kNとなる。図14のテーブルは、例えば地震情報の一部として地震情報データベース25に格納されていてもよいし、情報処理部13のメモリ部42またはハードディスク部43に格納されていてもよい。
(第3の方法)
管路被災予測装置1は、微地形区分だけに基づいて必要耐力を設定する方法を用いてもよい。第3の方法は、第2の方法よりも更に、数値演算部41の演算による負荷を低減することが可能である。例えば、埋立地、干拓地、または三角州であれば、必要耐力は140kNとなる。図15のテーブルの格納場所については第2の方法と同様である。
以上のように、本実施形態の管路被災予測装置1は、管路の布設の曲り角度、他の構造物との近接、管路の経年劣化等を考慮して、個別の管路を評価するので、従来技術と比較して、精度のよい管路の被災予測が可能である。そのため、どの管路を優先的に耐震補強すべきかを定める対策の立案にも適している。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
特に、上記の実施例では、区画水量情報は「区画ごとの」マンホール滞留水の量のデータを有していたが、区画に存在する個別のマンホール滞留水のデータを有していてもよい。つまり、個別のマンホール滞留水のデータが、どの管路と接続されているかというデータと共に区画水量情報に記憶されており、耐力予測線演算部33は演算対象管路と接続される個別のマンホール滞留水のデータを用いて耐力予測線を演算してもよい。
また、上記の実施例では、管路被災予測装置1は必要耐力を求める3つの方法のいずれかを選択するが、複数の方法で必要耐力を求めて、ユーザの要求に応じて演算結果を切り替えながら表示部14に示すことができてもよい。
1 管路被災予測装置
11 記憶部
12 入力部
13 情報処理部
14 表示部
21 地形地質データベース
22 地下管路データベース
23 劣化特性データベース
24 地図情報データベース
25 地震情報データベース
26 管路耐力情報データベース
31 管路取得部
32 初期耐力演算部
33 耐力予測線演算部
34 残存耐力演算部
41 数値演算部
42 メモリ部
43 ハードディスク部

Claims (8)

  1. 予め定められた区画を単位として震災の予測範囲を取得する入力部と、
    管路特性情報に基づいて、前記予測範囲に含まれる前記区画にある管路を順に選択して演算対象管路とする管路取得部と、
    前記演算対象管路の特性および管路耐力情報に基づいて初期耐力を演算する初期耐力演算部と、
    前記管路耐力情報、前記初期耐力および区画水量情報に基づいて前記演算対象管路の耐力予測線を演算する耐力予測線演算部と、
    前記演算対象管路の地形地質情報に応じた必要耐力と、前記耐力予測線と、現在時刻と、に基づいて、前記演算対象管路の残存耐力を演算する残存耐力演算部と、
    を備え、
    前記地形地質情報は、前記区画ごとの地形および地質についての情報であり、
    前記管路特性情報は、前記区画ごとの管路の特性についての情報であり、
    前記区画水量情報は、マンホール滞留水の量についての情報であり、
    前記管路耐力情報は、管路の特性および前記区画水量情報に応じた管路の耐力の値および変動量についての情報である、管路被災予測装置。
  2. 前記耐力予測線演算部は、
    前記区画水量情報に基づいてマンホール滞留水の量が多いと判定した場合に、前記耐力予測線の傾きが急であるように調整する、請求項1に記載の管路被災予測装置。
  3. 前記残存耐力演算部は、
    前記耐力予測線が前記必要耐力の値と等しくなる経過年数を演算し、現在時刻と比較することにより前記残存耐力を求める、請求項1または2に記載の管路被災予測装置。
  4. 前記管路特性情報の特性は、
    管路の種類を含み、
    前記初期耐力演算部は、
    前記演算対象管路の種類に応じて第1の値を設定し、
    前記演算対象管路の種類とは異なる特性に基づいて、前記第1の値を第2の値に補正して、
    前記第2の値を前記初期耐力とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の管路被災予測装置。
  5. 前記演算対象管路の種類とは異なる特性は、
    管路の曲り角度を含み、
    前記初期耐力演算部は、
    前記演算対象管路の曲り角度に基づいて、前記第1の値を前記第2の値に補正する、請求項4に記載の管路被災予測装置。
  6. 前記演算対象管路の種類とは異なる特性は、
    前記区画ごとの管路の防護コンクリートの有無を示す防護コンクリート情報を含み、
    前記初期耐力演算部は、
    前記演算対象管路の前記防護コンクリート情報に基づいて、前記第1の値を前記第2の値に補正する、請求項4または5に記載の管路被災予測装置。
  7. 数値演算部を備える管路被災予測装置が実行する管路被災予測方法であって、
    前記数値演算部が、
    予め定められた区画を単位として震災の予測範囲を取得するステップと、
    管路特性情報に基づいて、前記予測範囲に含まれる前記区画にある管路を順に選択して演算対象管路とするステップと、
    前記演算対象管路の特性および管路耐力情報に基づいて初期耐力を演算するステップと、
    前記管路耐力情報、前記初期耐力および区画水量情報に基づいて前記演算対象管路の耐力予測線を演算するステップと、
    前記演算対象管路の地形地質情報に応じた必要耐力と、前記耐力予測線と、現在時刻と、に基づいて、前記演算対象管路の残存耐力を演算するステップと、
    を含み、
    前記地形地質情報は、前記区画ごとの地形および地質についての情報であり、
    前記管路特性情報は、前記区画ごとの管路の特性についての情報であり、
    前記区画水量情報は、マンホール滞留水の量についての情報であり、
    前記管路耐力情報は、管路の特性および前記区画水量情報に応じた管路の耐力の値および変動量についての情報である、管路被災予測方法。
  8. 数値演算部を備える管路被災予測装置として機能するコンピュータの前記数値演算部に、
    予め定められた区画を単位として震災の予測範囲を取得するステップと、
    管路特性情報に基づいて、前記予測範囲に含まれる前記区画にある管路を順に選択して演算対象管路とするステップと、
    前記演算対象管路の特性および管路耐力情報に基づいて初期耐力を演算するステップと、
    前記管路耐力情報、前記初期耐力および区画水量情報に基づいて前記演算対象管路の耐力予測線を演算するステップと、
    前記演算対象管路の地形地質情報に応じた必要耐力と、前記耐力予測線と、現在時刻と、に基づいて、前記演算対象管路の残存耐力を演算するステップと、
    を実行させて、
    前記地形地質情報は、前記区画ごとの地形および地質についての情報であり、
    前記管路特性情報は、前記区画ごとの管路の特性についての情報であり、
    前記区画水量情報は、マンホール滞留水の量についての情報であり、
    前記管路耐力情報は、管路の特性および前記区画水量情報に応じた管路の耐力の値および変動量についての情報である、管路被災予測プログラム。
JP2016032193A 2016-02-23 2016-02-23 管路被災予測装置、管路被災予測方法および管路被災予測プログラム Active JP6338610B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016032193A JP6338610B2 (ja) 2016-02-23 2016-02-23 管路被災予測装置、管路被災予測方法および管路被災予測プログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016032193A JP6338610B2 (ja) 2016-02-23 2016-02-23 管路被災予測装置、管路被災予測方法および管路被災予測プログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017150193A JP2017150193A (ja) 2017-08-31
JP6338610B2 true JP6338610B2 (ja) 2018-06-06

Family

ID=59739393

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016032193A Active JP6338610B2 (ja) 2016-02-23 2016-02-23 管路被災予測装置、管路被災予測方法および管路被災予測プログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6338610B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7190986B2 (ja) * 2019-08-05 2022-12-16 東京瓦斯株式会社 情報処理システム及びプログラム
JP7356070B2 (ja) * 2020-07-15 2023-10-04 日本電信電話株式会社 被害率曲線作成方法、被害率曲線作成装置、及びプログラム
CN111915281B (zh) * 2020-09-03 2021-02-23 深圳市不动产评估中心(深圳市地质环境监测中心) 基于地质灾害易发分区的区块评估审批方法、系统、智能终端及存储介质
WO2024176414A1 (ja) * 2023-02-22 2024-08-29 日本電信電話株式会社 判定装置、判定方法およびプログラム

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001331559A (ja) * 2000-05-22 2001-11-30 Suido Kanro Sogo Kenkyusho:Kk 管網の耐震化選択システム
JP4819009B2 (ja) * 2007-09-03 2011-11-16 日本電信電話株式会社 ケーブル地震被害推定装置及び方法及びプログラム
JP2010145132A (ja) * 2008-12-16 2010-07-01 Asahi Kasei Engineering Kk 管状構造体の応力解析システム及び応力解析方法
JP5769039B2 (ja) * 2012-03-30 2015-08-26 日本電気株式会社 管路管理支援装置及び管路管理支援システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017150193A (ja) 2017-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Tsinidis et al. A critical review on the vulnerability assessment of natural gas pipelines subjected to seismic wave propagation. Part 1: Fragility relations and implemented seismic intensity measures
Foti et al. Influence of foundation scour on the dynamic response of an existing bridge
Schneider et al. Database assessment of CPT-based design methods for axial capacity of driven piles in siliceous sands
Do et al. Evaluation of factors of safety against basal heave for deep excavations in soft clay using the finite-element method
JP6338610B2 (ja) 管路被災予測装置、管路被災予測方法および管路被災予測プログラム
Wols et al. Modelling the effect of climate change induced soil settling on drinking water distribution pipes.
Ledezma et al. Probabilistic performance-based procedure to evaluate pile foundations at sites with liquefaction-induced lateral displacement
Chen et al. Numerical analysis of ground surface settlement induced by double-o tube shield tunneling
Liu et al. Global sensitivity analysis of tunnel-induced building movements by a precise metamodel
Ebrahimian et al. Application of an evolutionary-based approach in evaluating pile bearing capacity using CPT results
Dadfar et al. Vulnerability of buried energy pipelines subject to earthquake-triggered transverse landslides in permafrost thawing slopes
Tian et al. Efficient and flexible Bayesian updating of embankment settlement on soft soils based on different monitoring datasets
Akbas et al. Reliability-based design approach for differential settlement of footings on cohesionless soils
Giordano et al. Quantifying the value of SHM information for bridges under flood-induced scour
Li et al. Bayesian Approach for Sequential Probabilistic Back Analysis of Uncertain Geomechanical Parameters and Reliability Updating of Tunneling‐Induced Ground Settlements
Tang et al. Seismic soil liquefaction mitigation using stone columns for pile-supported wharves
Scharffenberg et al. Uncertainty in flood wave routing in a lateral-inflow-dominated stream
Jiang et al. Seismic fragility analysis for subway station considering varying ground motion ensembles
Ghiasi et al. Comparing a single pile's axial bearing capacity using numerical modeling and analytical techniques
Kutanaei et al. Application of LRBF-DQ and CVBFEM methods for evaluating saturated sand liquefaction around buried pipeline
Eslami et al. Relevant data-based approach upon reliable safety factor for pile axial capacity
Shao et al. Information feedback analysis in deep excavations
Bao et al. Bridge scour characteristic curve for natural frequency‐based bridge scour monitoring using simulation‐based optimization
Zacchei et al. Shape optimization of double-arch dams by using parameters obtained through Bayesian estimators
Kalliontzis Numerical simulation of submarine pipelines in dynamic contact with a moving seabed

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170726

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180419

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180508

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180508

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6338610

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150