JP2009057595A - 平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 粗面化処理後の外観(粗面)の均一性が優れ、かつ耐熱軟化特性が良好で、しかも板の全幅にわたり、耐熱軟化特性および粗面化処理後の粗面のばらつきがない平版印刷版用Al合金板を提供する。
【解決手段】 Fe0.1〜0.5%、Si0.05〜0.20%、Cu0.005〜0.07%、Mg0.01〜0.15%、Ti0.003〜0.03%、Zr0.0005%以上0.004%未満、Ni、Sn、Beの1種以上を合計で0.001%以上0.01%未満含有し、残部が実質的にAlよりなり、板表面のLi濃度が2ppm以下、板表面での圧延方向に直角な方向の結晶粒平均長さが100μm以下、270℃×10分の熱処理後の板幅方向中央部と端部の耐力差が、熱処理後中央部の耐力値の20%以内、Fe固溶量が0.001〜0.005%である平版印刷版用Al合金板。その製法として、熱間圧延の開始温度を350〜490℃、終了温度を280〜360℃、終了温度における板幅方向中央部と端部の温度差を20℃以内とし、中間焼鈍を行なわずに冷間圧延を行なう。
【選択図】 なし

Description

この発明は、粗面化処理したアルミニウム合金板表面に陽極酸化処理を施し、さらに感光性物質を塗布して形成される平版印刷版に使用されるアルミニウム合金板に関するものであり、より詳しくは、粗面化処理後の粗面外観の均一性に優れ、しかも耐熱軟化特性に優れており、かつ板の全幅にわたり、板幅方向において粗面化処理後の粗面外観および耐熱軟化特性にばらつきのない平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法に関するものである。
一般に平版印刷版としては、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の表面に粗面化処理、陽極酸化皮膜処理などの表面処理を施してなる支持体上に感光性物質を塗布して用いるのが通常である。このような平版印刷版のうちで通常広く用いられているのは、予め支持体上に感光性物質を塗布しておき、直ちに焼き付けられる状態とした、いわゆるPS版である。
このような平版印刷版を実際に印刷版として使用するにあたっては、画像露光、現像、水洗、ラッカー盛り等の製版処理を施す。ここで、現像処理による未溶解の感光層は画像部を形成し、感光層が除去されてその下のアルマイト層が露出した部分は親水性のため水受容部となり、非画像部を形成する。このようにして作られた印刷版は、印刷機の回転する円筒形版胴に巻付けて、湿し水の存在下でインキを画像部上に付着させ、ゴムブランケットに転写して、紙面に印刷することになる。
従来このような用途のアルミニウムおよびアルミニウム合金(以下総称してアルミニウム合金とする)としては、JIS1050、JIS1100、JIS3003等が主として用いられる。通常これらのアルミニウム合金板は、表面を機械的方法、化学的方法および電気化学的方法のいずれか一つ、あるいは二つ以上を組合せた工程による粗面化方法により粗面化し、その後好ましくは陽極酸化処理を施して使用される。
ところで近年は、耐刷性の向上を目的とし、平版印刷版を通常の方法で露光、現像処理した後に、高温で加熱処理(バーニング処理)することによって画像部を強化することが広く行なわれている。バーニング処理は、通常、加熱温度200〜290℃、加熱時間3〜9分の条件で行なうが、このようなバーニング処理時にアルミニウム合金板の強度が低下することがないように、耐熱軟化特性(耐バーニング性)が優れていることが必要である。また一般にこのような平版印刷版は、元板(平版印刷版用アルミニウム合金板)の全幅から、種々の幅に切断して得るところから、元板の全幅にわたり、耐熱軟化特性および粗面化処理後の粗面外観が、板の幅方向に均一であることも必要である。
さらにこの種のアルミニウム合金板については、平版印刷版として、感光層との密着性、およびアルミニウム板の保水性を向上させるために、粗面化処理によって適度な深さ、直径を有しかつそれらの大きさが均一であるピットを、板表面全体に均一に形成し得ることが要求されている。
これらの要求を満たすための方策としては、既に、熱間圧延における各種温度および熱間圧延後の平均冷却速度を規定する事によって、粗面化処理後の外観の均一性、耐熱軟化特性を解決する提案がなされている(例えば特許文献1参照)。
また一方、準安定相であるAlFe系金属間化合物粒子の分布を調整することにより、粗面化処理後の外観の均一性を解決する提案もなされている(例えば特許文献2参照)。
さらに、各種元素の添加量を調整したアルミニウム合金材に対して特定の熱間圧延条件を適用して結晶粒径を制御することにより、粗面化処理後の外観均一性、耐熱軟化性、反復曲げ疲労強さを解決する提案もなされている(例えば特許文献3参照)。
そのほか、各種元素の添加量および準安定相のAlFe系金属間化合物粒子の分布を調整することにより、粗面化処理面後の外観均一性を解決する提案もなされている(例えば特許文献4参照)。
また、準安定層の金属間化合物粒子を調整して粗面化均一性を解決した例もある(例えば特許文献5参照)。
特開平10−306355号公報 特開2002−088434号公報 特開2004−250794号公報 特開2005−015912号公報 特開2005−002429号公報
前述のような従来の各種の提案のうち、特許文献1に示される提案の場合、熱間圧延工程における各温度の制御だけでは、充分な耐熱軟化性を得ることは困難であり、また平均冷却速度の制御だけでは結晶粒を微細にすることが困難であって、粗面化処理後の外観の均一性も充分とはいえないことが判明している。
また特許文献2に示される提案の場合、準安定相粒子の制御のみでは、必ずしも粗面化処理後の外観均一性が良好とはならず、さらなる改善が必要であると言わざるを得ない。
さらに、特許文献3に示される提案の場合、板表面上に熱間圧延上がりで再結晶していない領域が存在し、この場合、粗面化処理面にストリークが発生して、外観の均一性に劣る問題がある。
そしてまた特許文献4に示される提案による成分組成の調整とAlFe系金属間化合物粒子の制御だけでは、粗面化処理後の外観均一性が必ずしも良好とはならず、さらなる改善が望まれる。
また特許文献5に示される提案では、合金の成分組成を調整すると同時に、準安定相の金属間化合物粒子の制御を、鋳塊に対する均質化処理を行なわないかまたは均質化処理を550℃以下の低温とすることによって実施しているが、この方法では、Feの固溶量が不充分となり、耐熱軟化性が不充分となるとともに、板幅方向に耐熱軟化性がばらついてしまう。すなわち本願発明では、Fe固溶量を0.001〜0.005%の範囲内と規定するとともに、270℃で10分の熱処理を行なった後の板幅方向の耐力差のばらつきを20%以内に抑えることとしているが、引用文献5に記載されている方法の場合は、このような条件を満たすことはできず、そのためバーニング処理時における強度低下が大きくなって、充分な耐熱軟化性を示し得ないばかりでなく、板幅方向に熱軟化性がばらついてしまうのが実情である。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、粗面化処理後の外観(粗面)の均一性が優れるとともに、耐熱軟化性が良好で、バーニング処理により強度が低下するおそれが少なく、しかも板の全幅にわたり、その幅方向に耐熱軟化特性および粗面化処理後の粗面外観のばらつきがない平版印刷版用アルミニウム合金板を提供することを課題としている。
本発明者は、上述のような課題を解決するべく、鋭意研究を重ねた結果、一般の平版印刷版用アルミニウム合金板に含有されている通常の元素の含有量を適切に調整するだけではなく、微量元素のNi、Sn、Beを適切に制御し、併せて板表面に極微量含まれるLiの濃度を適切に規制することによって、前述の課題を解決し得ることを新規に見出し、この発明をなすに至った。
すなわち請求項1の発明の平版印刷版用アルミニウム合金板は、Fe:0.1〜0.5%、Si:0.05〜0.20%、Cu:0.005〜0.07%、Mg:0.01〜0.15%、Ti:0.003〜0.03%、Zr:0.0005%以上0.004%未満を含有し、さらにNi、Sn、およびBeのうちの1種または2種以上を、合計量で0.001%以上0.01%未満含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金よりなり、板表面のLi濃度が2ppm以下であり、かつ板表面における圧延方向に対し直角な方向の結晶粒の平均長さが100μm以下であり、しかも270℃で10分保持する熱処理を行なった後の板幅方向の中央部と端部の耐力差が、その熱処理後の板幅方向中央部の耐力値の20%以内であり、さらに板におけるFe固溶量が、0.001〜0.005%の範囲内にあることを特徴とするものである。
また請求項2の発明の平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法は、Fe:0.1〜0.5%、Si:0.05〜0.20%、Cu:0.005〜0.07%、Mg:0.01〜0.15%、Ti:0.003〜0.03%、Zr:0.0005%以上0.004%未満を含有し、さらにNi、Sn、Beの1種または2種以上を、合計量で0.001%以上0.01%未満含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金を用い、その鋳塊に熱間圧延を行なうにあたり、熱間圧延開始温度が350〜490℃の範囲内、熱間圧延終了温度が280〜360℃の範囲内、かつ熱間圧延終了温度における板幅方向の中央部と端部の温度差が20℃以内となるように熱間圧延を行ない、その後中間焼鈍を行なわずに冷間圧延を行ない、これによって、板表面のLi濃度が2ppm以下であり、かつ板表面における圧延方向に対し直角な方向の結晶粒の平均長さが100μm以下であり、しかも270℃で10分保持する熱処理を行なった後の板幅方向の中央部と端部の耐力差が、その熱処理後の板幅方向の中央部の耐力値の20%以内であり、さらに板におけるFe固溶量が、0.001〜0.005%の範囲内にある平版印刷版用アルミニウム合金板を得ることを特徴とするものである。
請求項1の発明の平版印刷版用アルミニウム合金板は、粗面化処理後の粗面外観の均一性が優れると同時に、耐熱軟化特性に優れていて、バーニング処理による強度の低下が少なく、しかも板幅方向の全幅にわたり、耐熱軟化特性および粗面化処理後の粗面外観の板幅方向のばらつきも小さく、したがって平版印刷版支持体として極めて良好な性能、商品価値を有している。
また請求項2の発明の製造方法によれば、上述のような優れた性能、商品価値を有する平版印刷版用アルミニウム合金板を確実かつ安定して得ることができ、またそればかりでなく、熱間圧延後の中間焼鈍を省略することにより、工程数減少、省エネルギにより低コスト化を図ることができる。
以下、この発明について、詳細に説明する。
先ずこの発明で用いるアルミニウム合金の成分組成限定理由について説明する。
Fe:0.1〜0.5%
Fe量が0.1%未満では、再結晶時の結晶粒径が粗大となって粗面化処理により生成されるピットが不均一となり、粗面化処理後の表面に面質ムラが発生し、外観が不均一となる。一方Fe量が0.5%を越えれば、Al−Fe系、Al−Fe−Si系の粗大化合物が多量に生成されて、粗面化処理後のピットが不均一となり、前記同様に粗面化処理後の外観不均一が生じる。そのためFe量は0.1〜0.5%の範囲とした。なおより好ましくは、Fe量は0.12〜0.29%の範囲内とする。
Si:0.05〜0.20%
Si量が0.05%未満では、粗面化処理後のピットが不均一となることから、粗面化処理後に面質ムラが発生し、外観が不均一となる。またSi量が0.20%を越えれば、Al−Fe−Si系の粗大化合物が多量に生成されて、粗面化処理後のピットが不均一となり、粗面化処理後に面質ムラが生じ、外観が不均一となり、さらには、後述する単体Siの析出が生じやすくなるため、非画像部のインク汚れも生じやすくなる。そのためSi量は0.05〜0.20%の範囲内とした。なお好ましくはSi量は0.06〜0.15%の範囲内とする。
Cu:0.005〜0.07%
Cuは電解粗面化処理性に大きな影響を及ぼす元素である。Cu量が0.005%未満では、粗面化処理後のピットが不均一になり、前記同様に外観不均一となる。一方Cu量が0.07%を越えても粗面化処理後のピットが不均一となり、また粗面化処理後の色調が黒味を帯びすぎて商品価値を損なう。そのためCu量は0.005〜0.07%の範囲内とした。なお、好ましくはCu量は0.005〜0.05%の範囲内とする。
Mg:0.01〜0.15%
Mgは再結晶化を促進するとともに、その大部分がアルミニウムマトリックスに固溶して、耐熱軟化特性を向上させる元素である。またMgは、Mg2Siとしても析出するため、単体Si量を減少させる作用も果たす。Mg量が0.01%未満では、これらの効果が充分に得られず、一方Mg量が0.15%を越えれば、粗面化処理後のピットが不均一になり、外観も不均一となる。なおより好ましいMg量は0.02〜0.13%の範囲内である。
Zr:0.0005%以上、0.004%未満
Zrは、電解粗面化処理時におけるカソード溶解効率を良好にし、粗面化処理により形成されるエッチピットの微妙な形状差に起因する粗面化面の縞模様の発生を抑制する効果がある。Zr量が0.0005%未満では、この効果を充分に得ることが困難である。一方Zr量が0.004%以上となれば、鋳造および圧延の過程でAl3Zrとして析出するため、ストリークの原因となる。ストリークが発生すれば、粗面化処理後のピットが不均一になり、外観の均一性を損なう。そこでZr量は0.0005%以上、0.004%未満の範囲内とした。なおより好ましいZr量は0.001〜0.003%の範囲内である。
Ti:0.003〜0.03%
Tiは電解粗面化処理性に大きな影響を及ぼし、またアルミニウム合金鋳塊の組織状態にも大きな影響を及ぼす元素である。Ti量が0.003%未満では、粗面化処理後のピットが不均一になり、また鋳塊の結晶粒が微細化されずに粗大な結晶粒組織になるため、マクロ組織に圧延方向に沿う帯状の筋が発生して、粗面化処理後にも帯状の筋が残存し、平版印刷版用支持体として好ましくなくなる。一方Ti量が0.03%を越えれば、上記効果が飽和するばかりでなく、粗大なAl−Ti系化合物が形成されてその化合物が圧延板に筋状に分布し、その結果陽極酸化皮膜に欠陥が生じ、感光層の欠陥となって、きれいな印刷が困難となる。そのためTi量は0.003〜0.03%の範囲内とした。なおより好ましいTi量は0.005〜0.06%の範囲内である。
なおまた、一般にアルミニウム合金板においては、鋳塊結晶組織を微細化して圧延板のキメ、ストリークを防止するため、Tiを微量のBと組合せて添加することがあり、この発明の平版印刷版用アルミニウム合金においても、Tiとともに微量のBを添加することは許容される。但しB量が1ppm未満では、上記の効果が得られず、一方B量が50ppmを越えればBの添加効果が飽和するばかりでなく、粗大なTiB2粒子による線状欠陥が生じやすくなるから、Tiに併せてBを添加する場合のB添加量は、1〜50ppmの範囲内とすることが好ましい。
Ni、Sn、Be:合計量で0.001%以上、0.01%未満
Ni、Sn、Beは、いずれも粗面化処理時にエッチングを促進し、均一かつ微細なピットを形成する効果があるから、これらのうちの1種または2種以上を添加することとした。但し、合計量で0.01%以上含まれれば、粗面化処理時に微細なピットが形成されず、外観が不均一になるとともに、耐食性が著しく低下する。一方、合計量で0.001%未満の場合も、上述の効果が充分に得られず、粗面化処理により微細なピットが得られず、外観が不均一となる。そこでこれらの元素は合計量で0.001%以上、0.01%未満の範囲内とした。なおこれらの元素のそれぞれの含有量は特に限定しないが、Niは0.008%未満、Snは0.008%未満、Beは0.001%未満の範囲内とすることが好ましい。
以上の各元素のほかは、Alおよび不可避的不純物とすれば良い。ここで、不可避的不純物としては、JIS1050相当の不純物量(その他合計で0.05%以下)程度であれば、平版印刷版用アルミニウム合金板としてその特性を損なうことはない。
さらに、アルミニウム合金板においては、地金やスクラップに由来して、極微量ながらLi(リチウム)が不可避的に含有されるのが通常であるが、板に含有されるLi、特に板表面に含まれるLiは外観特性に影響を与えるから、この発明の平版印刷版用アルミニウム合金板では、板表面のLi濃度を2ppm以下に規制することとした。板表面のLi濃度が2ppmを越えれば、空気中の水分と反応して腐食し、そのため、コイルの外観上不適切となるばかりでなく、粗面化処理時にピット形成を阻害して、粗面化処理後の外観が不均一となる。そこで板表面のLi濃度は2ppm以下とする必要がある。
ここでLiは、250℃以上の高温雰囲気中に曝されれば板表面に濃化する。しかるに平版印刷版用アルミニウム合金板の製造においては、均質化処理や熱間圧延等の工程において250℃以上に加熱されるのが通常であるため、必然的にLiの表面濃化が起こり、板表面のLi濃度が高くなってしまう。このような板表面のLi濃度を2ppm以下に制御するための具体的方法としては、(1)合金板全体のLi含有量を0.4ppm以下にする方法、(2)表面濃化した板表面を除去する方法とがある。
(1)の方法を実際に適用するためには、合金溶湯の溶製時において、塩素ガスもしくは塩化物系フラックスを吹き込むフラクシング処理等を施すことにより、地金中に通常10ppm程度存在しているLi量を、0.4ppm以下まで低減させれば良い。
また(2)の方法を実際に適用するためには、250℃以上の雰囲気に曝される工程を全て終了した後のいずれかの段階で、アルミニウム合金板の表面をアルカリ等でエッチングして、Liが表面濃化した板表面部分を除去すれば良い。あるいは、冷間圧延ロールの粗度を大きくして、アルミニウム合金板と圧延ロールとの摩擦係数が大きくなるようにすることにより、Liが表面濃化した板表面部分を冷間圧延工程において除去することもできる。
なお板表面のLi濃度の測定は、例えば次のようにして行なえば良い。すなわち、グロー放電発光分光分析装置(GDS)によりLiの深さ方向の濃度分布分析(デプスプロファイル測定)を行ない、表面の最もLi濃度の高いピーク高さ(X)と、板厚方向中心部のアルミ地中のLiピーク高さ(Y)との比(X/Y)を算出する。ここで、板厚方向中心部は表面濃化によるLi濃度の減少が少ないところから、中心部のLi濃度はマトリックス中のLi含有量(合金板全体におけるLi量)と同じとみなし、前述のようにして算出した比(X/Y)と、別途通常の分析方法により測定した合金板全体のLi含有量とを乗じることにより、板表面のLi濃度を求めれば良く、後述する実施例でもこのような手法に従って板表面のLi濃度を測定した。なおLiの深さ方向の濃度分布は、前記のGDSのほか、二次イオン質量分析装置(SIMS)やオージェ電子分光分析装置(AES)等によっても分析することができる。
さらにこの発明の平版印刷版用アルミニウム合金板においては、板表面において圧延方向に対し直角な方向の結晶粒の平均長さが、100μm以下の範囲内である必要がある。上記方向の結晶粒平均長さが100μmを越えれば、粗面化処理後の外観が不均一(面質ムラ発生)となる。このような結晶粒径の制御は、後述する熱間圧延条件を制御することによって実施することができる。なお後述する実施例において、上記方向の板表面の結晶粒の平均長さの測定は、板表面をバーカー法によりエッチング後、偏光下で顕微鏡観察して25倍写真を撮影後、交線法により求めた。
またこの発明の平版印刷版用アルミニウム合金板においては、耐熱軟化特性についての板幅方向のばらつきに関する指標として、270℃で10分保持する熱処理を行なった後における板幅方向中央部と板幅方向端部との耐力差を、その熱処理後の板幅方向中央部の耐力値の20%以下の範囲内とすることと規定している。上記の耐力差が板幅方向中央部の耐力値の20%を越えれば、板幅方向に耐熱軟化特性が異なるため、特に板幅方向の端部から切断して得られた平版印刷版の耐熱軟化特性が劣ることになる。またこの場合、粗面化処理後に実施する乾燥工程において板幅方向に強度差が発生してしまい、板幅方向の端部が板幅方向中央部と比較して、より伸ばされてしまって板幅方向端部に歪が発生し、その部分から切断して得られた平版印刷版については現像露光時に焦点ボケが発生して、緻密な画像が得られなくなってしまう。
なお、270℃×10分の熱処理後の板幅方向中央部と板幅方向端部との耐力差は、この発明の実施例では以下の方法により測定した。
すなわち、製品板の板幅方向中央部と板幅方向端部からサンプルを採取してJIS5号引張試験片に加工した後、270℃で10分保持する熱処理を施し、その熱処理後の試験片を用いて引張試験を行なった。そして板幅方向中央部の測定結果(耐力)をYS(c)、板幅端部の測定結果(耐力)をYS(e)とし、その差ΔYS(=|YS(c)−YS(e)|:絶対値)を算出した。そして板幅中央部の耐力値との比率α(=ΔYS/YS(c)×100)を算出した。
またこの発明の平版印刷版用アルミニウム合金板においては、製品板におけるFe固溶量を0.001〜0.005%の範囲内とする必要がある。すなわち、Alマトリックス中に固溶しているFeは、耐熱軟化特性の向上および強度向上に寄与し、製品板におけるFe固溶量を特に0.001%以上とすることにより、300℃付近の高いバーニング温度においても軟化を最小限に抑えることができ、高い耐熱軟化特性を得ることができる。Fe固溶量が0.001%未満では耐熱軟化特性に劣り、一方0.005%を越えれば、素板強度が高くなり過ぎてしまい、平版印刷版を円筒形版胴に巻きつける際に破断してしまうおそれが生じる。すなわち、平版印刷版を円筒形版胴に巻付ける際には、溝に差し込むように巻き付けるため、折り曲げることになり、印刷版の強度が高ければ破断してしまうおそれがある。なおFe固溶量は、後述する熱間圧延条件を制御することにより制御することができる。なおまた、製品板のFe固溶量の測定は、この発明の実施例では、特公平7−69322号記載のフェノール溶解方法により実施した。
この発明の請求項1に係る平版印刷版用アルミニウム合金板は、前述のような合金成分組成条件を満たし、かつ板表面のLi濃度条件、板表面における圧延方向に対し直角な方向の結晶粒条件、270℃×10分の熱処理後における板幅方向中央部と端部の耐力差条件、さらに板でのFe固溶量条件が、前述のような範囲内であれば、その製造方法は特に限定されるものではなく、いずれの製造方法であっても良いが、次に述べるような請求項2に係る製造方法により製造することが、生産工程の簡略化等の点で好ましい。
すなわち、前述のような成分組成のアルミニウム合金を用い、その鋳塊に熱間圧延を施すにあたり、熱間圧延開始温度を350〜490℃、熱間圧延終了温度を280〜360℃とし、かつ熱間圧延終了温度において板幅方向の中央部と端部の温度差が20℃以内となるように熱間圧延し、その後、中間焼鈍を行なわずに冷間圧延を施して、所要の板厚の平版印刷版用アルミニウム合金を得ることが望ましい。
以下にこのような請求項2で規定する製造方法について、さらに詳細に説明する。
前記合金組成範囲に調整されたアルミニウム合金溶湯を、DC鋳造法などの常法に従って鋳造し、得られた鋳塊に対して、必要に応じて均質化処理を施し、熱間圧延を板厚1〜5mmまで施す。均質化処理の条件は、金属間化合物を安定相にするとともに、Fe固溶量を増やし、これにより加熱前後の耐力低下を抑制して、耐熱軟化性を向上させるために、550℃を越え600℃以下の温度範囲で1時間以上(通常は10時間以内)の保持とすることが好ましい。
熱間圧延は、350〜490℃の範囲内の温度で開始し、280〜360℃の範囲内の温度で終了させ、かつ終了温度における板幅方向の中央部と端部の温度差が20℃以内となるように制御する。これらの熱間圧延条件を定めた理由は次の通りである。
熱間圧延開始温度:350〜490℃
熱間圧延開始温度が350℃未満では、前述のFe固溶量を得ることができず、耐熱軟化特性が劣るとともに、熱間粗圧延上りで板表面に加工組織が残存して粗面化処理後の表面にストリークが発生して、外観不均一となるおそれがある。また熱間圧延開始温度が490℃を越えれば、熱間粗圧延上りで再結晶した再結晶粒が粗大となり、粗面化処理後の外観にスジが発生し、外観均一性に劣るものとなる。
熱間圧延終了温度:280〜360℃
熱間圧延終了温度が280℃未満では、板表面に加工組織が残存して、粗面化処理後にストリークが発生し、外観の均一性が劣ってしまい、またFeやMgの析出量が多くなって、その結果これらの固溶量が低下し、前述のようなFe固溶量を得ることができず、耐熱軟化特性が劣ってしまう。一方熱間圧延終了温度が360℃を越えれば、再結晶粒が粗大化し、粗面化処理後の外観の均一性が劣ってしまう。
熱間圧延終了温度における板幅方向中央部と板幅方向端部との温度差:20℃以内
熱間圧延終了温度において、板幅方向の中央部と端部との温度差が20℃を越えれば、板幅方向の中央部と端部とで再結晶粒径に差が発生し、粗面化処理後の外観についても板幅方向の中央部と端部とで差が発生し、板幅方向で均一な粗面を得ることができなくなり、また板幅方向でFeやMgの固溶量に差が発生し、その結果耐熱軟化特性についても、板幅方向で差が発生し、前述のような製品板における板幅方向の中央部と端部の熱処理後の耐力差を得ることができない。
熱間圧延後は、常法に従ってコイル状に巻取り、その後、焼鈍を施すことなく冷間圧延によって所要の製品板厚に仕上げれば良い。ここで、熱間圧延を行なってコイルに巻上げた状態では、熱延板の自己保有熱による自己焼鈍によって再結晶が生起されるため、改めて再結晶のための焼鈍を行なう必要がない。また冷間圧延の条件は特に限定されるものではなく、必要な製品板強度や板厚に応じて定めれば良く、通常は圧延率60〜98%で施せば良い。
このようにして得られた平版印刷版用アルミニウム合金板(製品板)を実際に平版印刷版支持体とするためには、粗面化等のための表面処理を施す。この表面処理方法は、特に限定されるものではなく、常法に従えば良いが、代表的な表面処理方法について以下に説明する。
粗面化のための表面処理方法としては、塩酸または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学的粗面化処理方法、およびアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法などを用いることができ、上記いずれの粗面化方法は、単独あるいは組み合わせて用いることもできる。
このように粗面化処理したアルミニウム合金板に対しては、さらに粗面化の第2段階として、酸またはアルカリにより化学的にエッチングするのが通常である。酸をエッチング剤として用いる場合は、微細構造を破棄するのに長時間を要するため、工業的に不利となるが、アルカリをエッチング剤として用いることにより改善できる。エッチングのためのアルカリ剤としては、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を用いることができ、またその濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃であり、エッチング時のAlの溶解量が5〜20g/m2となるような条件を選択することが好ましい。
エッチング後には、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗浄を行なうのが通常である。酸洗浄に用いる酸としては硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸およびホウフッ化水素酸などがある。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去には、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65重量%の硝酸と接触させる方法、及び特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法がある。
以上のようにして処理されたアルミニウム合金板は、平版印刷版用支持体として使用することができるが、通常はさらに陽極酸化処理、苛性処理等の処理を施すことが望ましい。陽極酸化処理は、この分野で従来より行われている方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルフォン酸等あるいはこれらの2種以上を組み合わせた水溶液または非水溶液中で、アルミニウム合金板に直流または交流を流すことにより表面に陽極酸化皮膜を形成することができる。陽極酸化の条件は、使用される電解液によって種々変化するから一概には決められないが、一般には、電解液濃度1〜80%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10〜100秒の範囲とすることが適当である。
以上のようにして得られた平版印刷版用アルミニウム合金板支持体をPS版に仕上げるにあたっては、常法に従って感光層、または中間層と感光層を塗布して乾燥させればよい。
表1の合金No.1〜No.17に示す成分組成のアルミニウム合金溶湯を溶製し、DC鋳造法により厚さ600mmの鋳塊とし、No.16、No.17以外のNo.1〜No.15については、560℃で3時間の均質化処理を施した後、表2中に示す条件で熱間圧延を行なって板厚4mmの熱延板を得、その後中間焼鈍を行なわずに冷間圧延により最終板厚の0.3mmまで圧延した。また合金No.16については均質化処理を行なわず、また合金No.17については均質化処理を450℃×3時間の条件で行ない、それ以外の条件は上記と同様に処理した。なお製品板表面のLi濃度の制御のため、合金No.1〜No.4と合金No.9〜No.11については、フラクシング処理により合金全体のLi含有量を0.4ppmとし、また合金No.5〜No.7、No.12、No.13、No.15については、250℃以上の温度に曝される工程を終了した後の冷間圧延途中で板表面をアルカリエッチングした。
その後、既に述べた方法により、板表面のLi濃度、270℃×10分の熱処理後における製品板の板幅方向の中央部と端部の耐力差、製品板表面における圧延方向に対し垂直な方向の結晶粒の平均長さ、製品板のFe固溶量を測定したので、これらを表2中に示す。
さらに上述のようにして得られた各製品板(平版印刷版用アルミニウム合金板)について、アルカリエッチングおよびデスマット処理を施した後、極性が交互に交換する電解波形を持つ電源を用いて、1%硝酸中で陽極時電気量が150C/dm2となる電解エッチングにより電解粗面化を行なった。これを硫酸浴中にて洗浄した後、以下の(1)〜(3)の要領でストリーク発生の有無、外観の均一性、および耐熱軟化特性の幅方向均一性を評価し、表3に示した。
(1)ストリーク発生の有無
粗面化処理後の外観について目視で観察し、ストリークの発生が認められないものを良好(○印)、発生しているものを不良(×印)と評価した。
(2)外観の均一性
粗面化処理後の外観について板の全幅にわたって目視で観察し、均一性が全幅にわたり良好なものを良好(○印)、劣っているものを不良(×印)と評価した。
(3)耐熱軟化特性の幅方向均一性
270℃×10分の熱処理の後における製品板の板幅方向中央部と板幅方向端部の耐力差を測定した結果、20%以下の場合を良好(○印)、20%より大きい場合を不良(×印)と評価した。
Figure 2009057595
Figure 2009057595
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表3に示すように、本発明例のNo.1〜No.7の例では、ストリークの発生がなく、粗面の外観均一性が優れていて、板幅方向に粗面外観のばらつきがなく、また板幅方向に均一で良好な耐熱軟化特性が得られた。
これに対し、比較例のNo.8の例では、板表面のLi濃度が大きいため、腐食が発生して粗面化処理時にピット形成を阻害したこと、またZr量が少ないために粗面化処理後の外観に縞模様が発生したことから、粗面の均一性が劣り、さらにMg量が多いことから素板強度が高くなり、版切れが発生し、しかも熱間圧延終了温度における板幅方向中央部と板幅方向端部との温度差が大きいため、板幅方向中央部と端部の耐熱軟化特性に大きな差が発生し、板幅方向で均一な耐熱軟化特性が得られなかった。
また比較例のNo.9の例では、Ni、Sn、Beの合計量が多いため、微細なピットが均一に形成されず、そのため粗面化処理後の外観の均一性が劣り、またFe量が低くかつ熱間圧延開始温度が高いため、再結晶粒が粗大となり、粗面化処理後の外観にスジが発生して均一性が劣ってしまった。
さらに比較例のNo.10の例では、Si量が多くて粗大なAl−Fe−Si系粗大化合物が多数存在したこと、およびMg量が低くかつ熱間圧延終了温度が高いために再結晶粒が粗大化したことから、粗面化処理後の外観が不均一になり、また熱間圧延開始温度が高いため、再結晶粒が粗大となり、そのため粗面化処理後の外観にスジ(ストリーク)が発生し、さらにはFe固溶量が多いため素板強度が高くなり、版切れが発生した。
また比較例のNo.11の例では、Fe量が多いために粗大な化合物が生成され、かつSi量が低いため、粗面化処理後のピットが不均一となって粗面外観が不均一となり、また熱間圧延終了温度における板幅方向中央部と端部との温度差が大きいため、板幅方向中央部と端部の耐熱軟化特性に大きな差が発生し、板幅方向で均一な耐熱軟化特性が得られなかった。
さらに比較例のNo.12の例では、Ni、Sn、Beの合計量が少ないため、均一微細なピットが得られなかったこと、およびCu量が多いためにピットが不均一となったことから、粗面化処理後の外観が不均一となり、また熱間圧延終了温度における板幅方向中央部と端部との温度差が大きいため、板幅方向中央部と端部の耐熱軟化特性に大きな差が発生し、板幅方向で均一な耐熱軟化特性が得られなかった。
また比較例のNo.13の例では、Cu量が少ないためにピットが均一に形成されず、粗面化処理後の外観均一性が劣り、また熱間圧延開始温度が低くて熱間圧延終了温度も低くなったため、板表面に加工組織が残存し、ストリークが発生した。
さらに比較例のNo.14の例では、Zr量が多いことからAl3Zrが析出して、ストリークが発生し、また板表面のLi濃度が高いため、腐食が発生して粗面化処理時にピット形成を阻害したこと、および熱間圧延終了温度が高くて再結晶粒が粗大化したことから、粗面化処理後の外観均一性が劣った。
そしてまた比較例のNo.15の例では、Zr含有量が高くてAl3Zrが析出したことと、Ti含有量が少ないために、鋳塊組織を充分に微細化することができずにフェザー組織が残存してしまったため、ストリークが発生し、またFe含有量が低いために再結晶粒径が大きくなったことと、Si含有量が高くてAl−Fe−Si系の粗大な金属間化合物が生成されたことから、粗面化面の均一性が劣った。
さらに比較例のNo.16の例では、Cu含有量が少ないためにピットが均一に形成されず、粗面化処理後の外観均一性に劣り、また熱間圧延開始温度が低いため熱間圧延終了温度も低くなり、そのため板表面に加工組織が残存し、ストリークが発生した。
また比較例のNo.17の例でも、Cu含有量が少ないためにピットが均一に形成されず、粗面化処理後の外観均一性に劣り、さらに均質化処理温度が低いため、Fe固溶量が少なくなって、耐熱軟化性に劣ることが判明した。

Claims (2)

  1. Fe:0.1〜0.5%(mass%以下同じ)、Si:0.05〜0.20%、Cu:0.005〜0.07%、Mg:0.01〜0.15%、Ti:0.003〜0.03%、Zr:0.0005%以上0.004%未満を含有し、さらにNi、Sn、およびBeのうちの1種または2種以上を、合計量で0.001%以上0.01%未満含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金よりなり、板表面のLi濃度が2ppm以下であり、かつ板表面における圧延方向に対し直角な方向の結晶粒の平均長さが100μm以下であり、しかも270℃で10分保持する熱処理を行なった後の板幅方向の中央部と端部の耐力差が、その熱処理後の板幅方向中央部の耐力値の20%以内であり、さらに板におけるFe固溶量が、0.001〜0.005%の範囲内にあることを特徴とする、平版印刷版用アルミニウム合金板。
  2. Fe:0.1〜0.5%、Si:0.05〜0.20%、Cu:0.005〜0.07%、Mg:0.01〜0.15%、Ti:0.003〜0.03%、Zr:0.0005%以上0.004%未満を含有し、さらにNi、Sn、Beの1種または2種以上を、合計量で0.001%以上0.01%未満含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金を用い、その鋳塊に熱間圧延を行なうにあたり、熱間圧延開始温度が350〜490℃の範囲内、熱間圧延終了温度が280〜360℃の範囲内、かつ熱間圧延終了温度における板幅方向の中央部と端部の温度差が20℃以内となるように熱間圧延を行ない、その後中間焼鈍を行なわずに冷間圧延を行ない、これによって、板表面のLi濃度が2ppm以下であり、かつ板表面における圧延方向に対し直角な方向の結晶粒の平均長さが100μm以下であり、しかも270℃で10分保持する熱処理を行なった後の板幅方向の中央部と端部の耐力差が、その熱処理後の板幅方向の中央部の耐力値の20%以内であり、さらに板におけるFe固溶量が、0.001〜0.005%の範囲内にある平版印刷版用アルミニウム合金板を得ることを特徴とする、平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法。
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