JP2009056569A - 振動切削加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】工具を切り替えたり複数工具で同時加工を行う場合に、常に一定の振動をワークの加工部分に付与することができる振動加工装置を提供する。
【解決手段】主軸100の回転によりワークを回転させ、ワークと工具とを相対的に振動させながら工具でワークを切削加工する振動切削加工装置において、振動付与手段200が、主軸100と一体回転し、かつ、主軸100の軸線C方向にスライド自在に主軸に装着される振動体140と、この振動体140を主軸100に対して軸線C方向に振動させる振動発生手段213とを備え、振動体140に前記チャックを一体的に取り付け、振動発生手段200により振動体140を振動させることによって前記チャックを振動させ、前記チャックに把持されたワークを主軸100に対して軸線C方向に振動させる構成とした。
【選択図】図3
【解決手段】主軸100の回転によりワークを回転させ、ワークと工具とを相対的に振動させながら工具でワークを切削加工する振動切削加工装置において、振動付与手段200が、主軸100と一体回転し、かつ、主軸100の軸線C方向にスライド自在に主軸に装着される振動体140と、この振動体140を主軸100に対して軸線C方向に振動させる振動発生手段213とを備え、振動体140に前記チャックを一体的に取り付け、振動発生手段200により振動体140を振動させることによって前記チャックを振動させ、前記チャックに把持されたワークを主軸100に対して軸線C方向に振動させる構成とした。
【選択図】図3
Description
本発明は、ワークと工具とを相対的に振動させながら加工を行う振動切削加工装置に関する。
従来、工具とワークとを相対的に振動させながら旋削,孔空け,中ぐり、面削り等の各種切削加工を行う振動切削加工は、切削抵抗の減少や加工温度上昇の抑制、仕上げ精度の向上、構成刃先の付着抑制、工具寿命の向上等に有利であり、特にマイクロ部品等の微細部品の精密加工に利用されている。そして、前記の振動切削加工を行うことができる振動切削加工装置が既に公知となっている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特開2002−301601号公報
特開2002−528280号公報
特開平7−237199号公報
特開平7―164217号公報
上記の文献に記載の振動切削加工装置は、いずれも工具に超音波振動等の振動を付与するものであり、複数の工具を切り替えながらワークに所定の加工を行う場合には、例えば工具ごとに振動を付与する振動発生手段を設ける必要がある。
しかしながら、工具を高精度に振動をさせようとすると、工具毎に振動させる必要があり、工具の数だけ振動発生手段を設けるため刃物台が大型化するか、刃物台に装着できる工具の本数が制限されるばかりでなく、振動切削加工装置の価格が高額になるという問題がある。また、複数の刃物台を用いて複合加工を行う場合には、刃物台の接近性が悪く微細精密加工に不向きな装置になってしまう問題が生じる。
しかしながら、工具を高精度に振動をさせようとすると、工具毎に振動させる必要があり、工具の数だけ振動発生手段を設けるため刃物台が大型化するか、刃物台に装着できる工具の本数が制限されるばかりでなく、振動切削加工装置の価格が高額になるという問題がある。また、複数の刃物台を用いて複合加工を行う場合には、刃物台の接近性が悪く微細精密加工に不向きな装置になってしまう問題が生じる。
本発明は、 回転自在な主軸と、この主軸の先端に設けられ、ワークを把持するチャックと、前記ワークを加工する工具を装着した刃物台と、前記ワークと工具とを相対的に振動させる振動付与手段とを有し、前記主軸の回転によりワークを回転させ、かつ、ワークと工具とを相対的に振動させながら工具でワークを切削加工する振動切削加工装置において、前記振動付与手段が、前記主軸と一体回転し、かつ、主軸の軸線方向にスライド自在に主軸に装着される振動体と、この振動体を主軸に対して主軸の軸線方向に振動させる振動発生手段とを備え、前記振動体に前記チャックを一体的に取り付け、前記振動発生手段により前記振動体を振動させることによって前記チャックを振動させ、前記チャックに把持されたワークを前記主軸に対して前記主軸の軸線方向に振動させる構成としてある。
この構成によれば、ワークを刃物台に対して振動させながら刃物台の工具でワークを加工することができるので、刃物台を大型化させたり、工具ごとに振動発生手段を設けたりすることなく、自由に工具を切り替えながら振動切削加工を行うことができ、工具の種類や大きさが変化しても常に一定の振動数でワークの加工を行うことが可能になる。また、複数工具でワークの複数個所を同時加工行う場合にも、各加工部位における振動数を一致させた状態で加工を行うことができる。
さらに複数の刃物台を用いて複合加工する場合、刃物台や工具は振動しないため、刃物台の接近性を向上させることができ、微細精密加工を高精度で行うことができる。
さらに複数の刃物台を用いて複合加工する場合、刃物台や工具は振動しないため、刃物台の接近性を向上させることができ、微細精密加工を高精度で行うことができる。
前記振動体は、前記主軸の貫通孔に挿通される中空軸から簡単に構成することができる。なお、このように形成した前記振動伝達部材の貫通孔に、切削加工装置の後方から供給する長尺棒状のワークを案内するためのガイド部材を挿通させ、加工精度を向上させることが可能になる。
また、振動発生手段を前記主軸の後方に配置してもよい。チャックが主軸の先端に設けられているので、このようにすることで、主軸の前後で重量バランスを取ることができる他、振動発生手段の作動により発生する熱を可及的にチャックから離反させて、加工部分への熱の伝導を抑制し、加工精度を向上させることができる。
また、振動発生手段を前記主軸の後方に配置してもよい。チャックが主軸の先端に設けられているので、このようにすることで、主軸の前後で重量バランスを取ることができる他、振動発生手段の作動により発生する熱を可及的にチャックから離反させて、加工部分への熱の伝導を抑制し、加工精度を向上させることができる。
前記振動発生手段として、前記振動発生手段が、前記振動体と主軸との間に設けた磁歪体と、前記磁歪体の外周に設けたコイルとを有し、前記コイルに電流を流すことにより、前記磁歪体が伸縮して振動を発生させるものを使用することができる。また、前記主軸又は前記振動体に、前記主軸又は前記振動体と一体になって回転し、前記振動発生手段に向けて冷却用の送風を行うファンを取り付けてもよい。このファンからの送風により、振動発生手段を簡単に冷却することができる。
本発明は上記のように構成されているので、ワークに振動を付与しつつ振動切削加工を行うことができる。そのため、工具が切り替わっても、常に一定の振動をワークの加工部分に付与しながら加工を行うことができる。また、複数の工具で複数の加工を同時に行う場合に全ての工具による加工部分に同一の振動を付与することができる。
図1は、本発明の振動切削加工装置の一実施形態にかかり、コレットチャックによりワークの把持させたときの主軸前端部分の断面図、図2は、駆動手段の構成及び作用を説明する拡大断面図で、(a)はピストンが前進してチャックがワークを把持したときの状態を、(b)はピストンが後退してチャックがワークの把持を解除したときの状態を示している。また、図3は、主軸後端部分の断面図、図4は主軸前端部分をさらに拡大した断面図である。
なお、以下の説明において「前」と記載するときには図1〜図4の左方を指すものとし、「後」と記載するときは同右方を指すものとする。
主軸100は、前後に配置された軸受102,102によって、主軸台101に回転自在に支持されている。主軸100の回転は、主軸台101の内部に組み込まれたモータMによって行われる。このモータMは、回転軸を主軸100で構成したいわゆるビルトインタイプである。
なお、以下の説明において「前」と記載するときには図1〜図4の左方を指すものとし、「後」と記載するときは同右方を指すものとする。
主軸100は、前後に配置された軸受102,102によって、主軸台101に回転自在に支持されている。主軸100の回転は、主軸台101の内部に組み込まれたモータMによって行われる。このモータMは、回転軸を主軸100で構成したいわゆるビルトインタイプである。
主軸100には、主軸軸線Cに沿って前端から後端まで貫通する貫通孔100aが形成されている。
この貫通孔100aの内部には、パイプ状の中空軸で形成された振動体としての筒体115が軸線C方向にスライド自在に挿通している。また、筒体115の貫通孔115aの内部には、棒状のワークをガイドするガイドチューブ140が設けられ、その先端が貫通孔115aの内部に設けられた軸受105により筒体115に対して回転自在に支持されている。
この貫通孔100aの内部には、パイプ状の中空軸で形成された振動体としての筒体115が軸線C方向にスライド自在に挿通している。また、筒体115の貫通孔115aの内部には、棒状のワークをガイドするガイドチューブ140が設けられ、その先端が貫通孔115aの内部に設けられた軸受105により筒体115に対して回転自在に支持されている。
筒体115は、主軸100よりも長尺に形成され、前端側と後端側とが主軸100の貫通孔100aから突出している。筒体115の途中部位には、係合手段であるピン115cが径方向外側に向けて立設されている。一方、主軸100の前端には、径方向に貫通形成された長孔状の係合孔100bが形成されている。ピン115cは、この長孔100bと係合している。長孔状の係合孔100bの周方向(短軸方向)の寸法は、主軸100と筒体115とが一体になって回転できるようにピン115cの径とほぼ同じに形成され、軸線方向(長軸方向)の寸法は、筒体115のスライドを許容するように、ピン115cの径よりも大きく形成されている。
筒体115の貫通孔115aの前端には、筒状のホルダスリーブ130が進退移動自在に挿入されている。このホルダスリーブ130内に、ワークを把持するコレットチャック110が進退移動自在に嵌め込まれている。
ホルダスリーブ130の途中部位には係合手段であるピン132が径方向外側に向けて立設されている。
一方、筒体115の前端には径方向に係合孔115bが貫通形成されている。
ピン132はこの係合孔115bに係合している。
係合孔115bは筒体115の先端部分の一部が長孔状に切り欠かれて形成され、周方向(短軸方向)の寸法は、ホルダスリーブ130と筒体115とが一体になって回転できるようにピン132の径とほぼ同じに形成され、軸線方向(長軸方向)の寸法は、ホルダスリーブ130の進退移動を許容するように、ピン132の径よりも大きく形成されている。
ホルダスリーブ130の途中部位には係合手段であるピン132が径方向外側に向けて立設されている。
一方、筒体115の前端には径方向に係合孔115bが貫通形成されている。
ピン132はこの係合孔115bに係合している。
係合孔115bは筒体115の先端部分の一部が長孔状に切り欠かれて形成され、周方向(短軸方向)の寸法は、ホルダスリーブ130と筒体115とが一体になって回転できるようにピン132の径とほぼ同じに形成され、軸線方向(長軸方向)の寸法は、ホルダスリーブ130の進退移動を許容するように、ピン132の径よりも大きく形成されている。
ホルダスリーブ130の貫通孔130bの底部には、コイルばね111が嵌挿され、コレットチャック110をホルダスリーブ130に対して常時前方に付勢
している。
している。
ホルダスリーブ130の貫通孔130bの前端内周面は、コレットチャック110の前端外周面に形成されたテーパ面110aと摺接するテーパ面130aとして形成されている。そして、テーパ面130aとテーパ面110aが摺接しつつホルダスリーブ130をコレットチャック110に対して前進させることで、コレットチャック110の前端に形成されたチャック爪(図示せず)が径方向に縮径してワークを把持する。
ホルダスリーブ130の前端には、フランジ131が形成されている。
ホルダスリーブ130の前端には、フランジ131が形成されている。
ホルダスリーブ130の後端部分130cは、縮径してガイドチューブ140の前端に挿入されている。後端部分130cの開口孔周縁はテーパ状に形成するとよい。このようにすることで、ガイドチューブ140内を挿通したワークの前端を、スムースにホルダスリーブ130の内部へと導くことができる。
筒体115の前端部分には、キー116によって筒体115と一体に回転できるようにシリンダ底部部材151aが取り付けられている。このシリンダ底部部材151aの前面に筒状のシリンダ本体151bがボルトで一体的に取り付けられている。
シリンダ底部部材151aとシリンダ本体151bとからシリンダ151が構成されている。シリンダ151にピストン150が挿入されている。シリンダ底部部材151aとピストン150との間に形成されたシリンダ室153と、主軸台101の前面に形成された流体供給孔155とは、ロータリジョイント154を介してシリンダ底部部材151aに形成された流体流路152によって連通状に接続されている。流体供給孔155には、高圧エアタンクや油圧ポンプ等の図示しない圧力流体供給源に接続された圧力流体供給管が接続される。
シリンダ底部部材151aとシリンダ本体151bとからシリンダ151が構成されている。シリンダ151にピストン150が挿入されている。シリンダ底部部材151aとピストン150との間に形成されたシリンダ室153と、主軸台101の前面に形成された流体供給孔155とは、ロータリジョイント154を介してシリンダ底部部材151aに形成された流体流路152によって連通状に接続されている。流体供給孔155には、高圧エアタンクや油圧ポンプ等の図示しない圧力流体供給源に接続された圧力流体供給管が接続される。
シリンダ本体151bにはキャップ106が取り付けられている。前記コレットチャック110は、コイルばね111の付勢力により、キャップ106に常時押し当てられている。ピストン150の前方には、筒体115の外径とほぼ同一の内径を有する筒状のピストンロッド150aが突設されている。ピストンロッド150aは、筒体115の先端にスライド自在に外挿されている。ピストンロッド150aの先端には、ホルダスリーブ130のフランジ131が、コイルばね111の付勢力により常に押し付けられている。
シリンダ室153に外部から圧力流体が供給されると、ピストン150及びピストンロッド150aが前方に移動し、ホルダスリーブ130をコイルばね111の付勢力に抗して前進させる。
シリンダ室153に外部から圧力流体が供給されると、ピストン150及びピストンロッド150aが前方に移動し、ホルダスリーブ130をコイルばね111の付勢力に抗して前進させる。
ワークの加工開始前の初期状態においては、図2(a)に示すように、ピストン150,ピストンロッド150a及びホルダスリーブ130が後退していて、コレットチャック110のチャック爪が開状態にある。
ワークの加工を開始するにあたり、ガイドチューブ140を挿通させてワークを前方に送り、コレットチャック110の前端からワークの前端を所定長さ突出させる。
ワークの加工を開始するにあたり、ガイドチューブ140を挿通させてワークを前方に送り、コレットチャック110の前端からワークの前端を所定長さ突出させる。
この状態で、流体流路155,152からシリンダ室153にエア等の圧力流体を供給し、(b)に示すように、ピストン150及びピストンロッド150aによってホルダスリーブ130を前進させる。これにより、ホルダスリーブ130のテーパ面130aとコレットチャック110のテーパ面110aとが摺接してチャック爪を径方向に縮径させ、ワークを把持する。
この後、主軸100を回転させると、筒体115が主軸100と一体的に回転し、筒体115の回転によってホルダスリーブ130とコレットチャック110が筒体115と一体的に回転し、コレットチャック110に把持されたワークが回転するため、図示しない刃物台に装着された工具によりワークの切削加工を行うことができる。ワークは、コレットチャック110に把持された状態で、ホルダスリーブ130の直後に位置するガイドチューブ140によって支持されているため、長尺のワークの振れや波打ちに起因する加工精度の低下を抑止し、高精度な切削加工を行うことができる。
この後、主軸100を回転させると、筒体115が主軸100と一体的に回転し、筒体115の回転によってホルダスリーブ130とコレットチャック110が筒体115と一体的に回転し、コレットチャック110に把持されたワークが回転するため、図示しない刃物台に装着された工具によりワークの切削加工を行うことができる。ワークは、コレットチャック110に把持された状態で、ホルダスリーブ130の直後に位置するガイドチューブ140によって支持されているため、長尺のワークの振れや波打ちに起因する加工精度の低下を抑止し、高精度な切削加工を行うことができる。
加工終了後は、主軸100の回転を停止させ、図示しない切換弁を作動させてシリンダ室153を大気に開放すると、ホルダスリーブ130,ピストン150及びピストンロッド150aは、コイルばね111の付勢力によって後退し、コレットチャック110のチャック爪が開状態となり、ワークの把持を解除し、(a)の状態に復帰する。
なお、キャップ106の外周には螺旋溝106aが形成され、この螺旋溝106aにダイヤル120が螺合されている。ダイヤル120の外周面には均等ピッチで目盛りが付されていて、ダイヤル120の回転量(つまりキャップ106上におけるダイヤル120の位置)を微調整できるようになっている。シリンダ本体151bには、リング状の当接部材160がシリンダ本体150bに対して進退移動自在に嵌装されている。この当接部材160は、シリンダ本体151bを貫通する取付部材162によって、ピストン150に取り付けられている。そして、当接部材160がストッパとなるダイヤル120に当接することで、ピストン150及びピストンロッド150aの前進が規制される。
このためダイヤル120の位置(回転量)を調整することで、チャック爪の開閉量を微調整することが可能になり、ワークの径や材質,表面仕上げの状態や振動の大きさ等に応じて、コレットチャック110のチャック爪によるワークの把持力を適切なものに微調整することができる。例えば、小径のパイプ材をチャック110に把持させて振動を付与しつつ切削加工する場合に、付与される振動によりパイプ材がチャックから外れない程度に把持力を弱めに調整して、パイプ材の切削加工を行うことが可能になる。
このためダイヤル120の位置(回転量)を調整することで、チャック爪の開閉量を微調整することが可能になり、ワークの径や材質,表面仕上げの状態や振動の大きさ等に応じて、コレットチャック110のチャック爪によるワークの把持力を適切なものに微調整することができる。例えば、小径のパイプ材をチャック110に把持させて振動を付与しつつ切削加工する場合に、付与される振動によりパイプ材がチャックから外れない程度に把持力を弱めに調整して、パイプ材の切削加工を行うことが可能になる。
主軸100の後端に、筒状のホルダ201が主軸100に一体的に取り付けられ、筒体115はこのホルダ201の貫通孔201aを挿通している。貫通孔201aの後端から突出する筒体115の後端には螺旋部が形成され、この螺旋部に押さえ部材204が螺着されている。ホルダ201の貫通孔201a内には皿ばね202が配置されている。この皿ばね202は、外周縁がホルダ201に係合し、内周縁が筒体115の外周面に突出形成された係合部115eに係合していて、筒体115を常時前方に付勢している。ホルダ201の前端には冷却用のファン203が一体的に取り付けられている。
ホルダ201の後端にリング状の磁歪体213が外嵌されている。磁歪体213の前後にはホルダ201に外嵌されて磁石211が配置されている。後方側の磁石211と押さえ部材204との間にはカラー205が介設されている。前方側の磁石211はホルダ201の段部と当接している。主軸台101の内部には、リング状の磁歪体213を巻回するように設けられたコイル212と、コイル212の周囲に位置するように設けられた磁石214とが取り付けられている。磁歪体213は、周囲に巻回したコイルに通電することにより磁界中で変形する性質を有する公知の材料で形成することができる。本実施形態においては、株式会社モリテックスが販売している「ETREMA TERFENOL-D(登録商標)」を使用している。本磁歪体213は、コイル212に電流を流すことで、軸線C方向の前後に伸縮し、コイル212に流す電流周波数に応じて伸縮サイクルが制御される。
磁歪体213が伸長することで押さえ部材204を介して筒体115が後方に押され、磁歪体213が縮退することで、皿ばね202の付勢力により筒体115が前方に押される。この繰り返しにより、筒体115が、主軸100に対して、軸線Cの前後方向に振動する。磁歪体213は筒体115が超音波振動するように伸縮サイクルが設定される。本実施形態においては筒体115を50〜3kHz程度の超音波振動させるように設定されている。ピン115cが長孔100b内を前後方向に移動することによって、筒体115が主軸100と一体的に回転した状態での上記振動が許容される。上記のように磁歪体213,コイル212,押さえ部材204,磁石211,214,カラー205によって、主軸100に対して筒体115を振動させる振動付与手段200が構成されている。
なお、主軸100の回転によってファン203が主軸100と一体的に回転し、主軸台101に形成された吸気孔101aからエアを取りこみ、主軸台101に形成された排気孔101bからエアを排出するように冷却風の送風を行い、コイル212に電流が流れること等で発生する熱を冷却する。
なお、主軸100の回転によってファン203が主軸100と一体的に回転し、主軸台101に形成された吸気孔101aからエアを取りこみ、主軸台101に形成された排気孔101bからエアを排出するように冷却風の送風を行い、コイル212に電流が流れること等で発生する熱を冷却する。
図4に示されるように、筒体115の途中部位の外周面には、ブロック状のキー116を嵌め込む凹状のキー孔117が少なくとも一つ(図示の例では二つ)形成されている。
キー116よりも前方の筒体115の外周面には、その全周にわたってねじ115dが形成され、このねじ115dに筒体115の前方からナット119が螺入される。
キー116よりも後方であって主軸100の前端面よりも前方の筒体115の外周面には環状の溝118aが形成され、この溝118aにカラー118が嵌め付けられる。
キー116よりも前方の筒体115の外周面には、その全周にわたってねじ115dが形成され、このねじ115dに筒体115の前方からナット119が螺入される。
キー116よりも後方であって主軸100の前端面よりも前方の筒体115の外周面には環状の溝118aが形成され、この溝118aにカラー118が嵌め付けられる。
ナット119はねじ115dに螺入してシリンダ底部部材151aに当接させ、シリンダ底部部材151aをカラー118に押し付ける。これにより、シリンダ底部部材151aが筒体115に固定される。なお、振動伝達時にシリンダ底部部材151aが主軸100に接触しないようにするために、シリンダ底部部材151aと主軸100との間には、伝達する振動の振幅よりも大きい隙間を設ける。
上記構成により、シリンダ151をベースに構成されるコレットチャック110の開閉の駆動機構と、コレットチャック110とが筒体115に一体的に設けられるため、筒体115の振動付与手段200による前後方向の振動によって、コレットチャック110に把持された状態のままワークが主軸100に対して主軸100の軸線C方向に超音波振動しながら主軸100と一体的に回転する。このワークの振動によってワークと工具とが相対的に振動するため、ワークを振動させたまま前述のように切削加工を行うことができる。
上記のようにワークを振動させることによって、刃物台を大型化させたり、工具ごとに振動発生手段を設けたりすることなく、自由に工具を切り替えながら振動切削加工を行うことができる。
この際、工具の種類や大きさが変化しても常に一定の振動数でワークの加工を行うことが可能になり、また、複数工具でワークの複数個所を同時加工行う場合にも、各加工部位における振動数を一致させて加工を行うことができる。
さらに、複数の刃物台を用いて複合加工する場合、刃物台や工具は振動しないため、刃物台の接近性を向上させることができ、微細精密加工を高精度で行うことができる。
なお、本実施形態において、振動付与手段200は、主軸100の後方側に配置され、コレットチャック110の開閉の駆動機構と、コレットチャック110とが主軸100の前方側に配置されているため、主軸100の回転に対して前後の重量バランスが取られている。また、振動付与手段200がコレットチャック110から比較的遠い位置に離反して配置されるため、振動付与手段200の作動により発生する熱の加工部分への伝導を抑制し、加工精度を向上させることができる。
上記のようにワークを振動させることによって、刃物台を大型化させたり、工具ごとに振動発生手段を設けたりすることなく、自由に工具を切り替えながら振動切削加工を行うことができる。
この際、工具の種類や大きさが変化しても常に一定の振動数でワークの加工を行うことが可能になり、また、複数工具でワークの複数個所を同時加工行う場合にも、各加工部位における振動数を一致させて加工を行うことができる。
さらに、複数の刃物台を用いて複合加工する場合、刃物台や工具は振動しないため、刃物台の接近性を向上させることができ、微細精密加工を高精度で行うことができる。
なお、本実施形態において、振動付与手段200は、主軸100の後方側に配置され、コレットチャック110の開閉の駆動機構と、コレットチャック110とが主軸100の前方側に配置されているため、主軸100の回転に対して前後の重量バランスが取られている。また、振動付与手段200がコレットチャック110から比較的遠い位置に離反して配置されるため、振動付与手段200の作動により発生する熱の加工部分への伝導を抑制し、加工精度を向上させることができる。
上記構成の振動切削加工装置によるワークの加工例を図5に示す。
(a)は、バイト等の切削工具T1によるワークWの外周面の切削加工を示している。ワークWを主軸とともに回転させながら、主軸軸線方向に振動を付与しつつ、切削工具T1で振動切削加工を行う。
(b)は、ドリルやタップ等の回転工具T2によるワークWの孔明け加工又は螺旋切り加工を示している。この場合は、回転工具T2を回転させワークWは主軸とともに停止させる。この場合もワークに主軸軸線方向の振動を付与することで、回転工具T2による振動切削加工が可能である。
(c)は、二つのバイトT1,T3を使ってワークWの外周面加工と端面加工とを同時に行う場合を示している。
前記のように、複数の工具(図示の例では工具T1,T3)による同時加工の場合、同一の振動条件の下で加工を行うことができる。
(a)は、バイト等の切削工具T1によるワークWの外周面の切削加工を示している。ワークWを主軸とともに回転させながら、主軸軸線方向に振動を付与しつつ、切削工具T1で振動切削加工を行う。
(b)は、ドリルやタップ等の回転工具T2によるワークWの孔明け加工又は螺旋切り加工を示している。この場合は、回転工具T2を回転させワークWは主軸とともに停止させる。この場合もワークに主軸軸線方向の振動を付与することで、回転工具T2による振動切削加工が可能である。
(c)は、二つのバイトT1,T3を使ってワークWの外周面加工と端面加工とを同時に行う場合を示している。
前記のように、複数の工具(図示の例では工具T1,T3)による同時加工の場合、同一の振動条件の下で加工を行うことができる。
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態により何ら限定されるものではない。
例えば、振動発生手段としては磁歪体213とコイル212を有する上記の構成のものに限らず、公知の種々の構成のものを用いることができる。振動発生装置として市販されているものを用いることも可能である。
また、上記の説明の振動切削加工装置は、主軸の貫通孔内にガイドチューブ140を備え、棒材のワークを加工することを前提としたものであるが、本発明は棒材以外の一般ワークの加工にも適用が可能である。この場合は、ガイドチューブ140は設ける必要がなく、かつ、振動体も上記のような貫通孔を有する筒体とする必要はない。
例えば、振動発生手段としては磁歪体213とコイル212を有する上記の構成のものに限らず、公知の種々の構成のものを用いることができる。振動発生装置として市販されているものを用いることも可能である。
また、上記の説明の振動切削加工装置は、主軸の貫通孔内にガイドチューブ140を備え、棒材のワークを加工することを前提としたものであるが、本発明は棒材以外の一般ワークの加工にも適用が可能である。この場合は、ガイドチューブ140は設ける必要がなく、かつ、振動体も上記のような貫通孔を有する筒体とする必要はない。
さらに、チャックの開閉を行う駆動手段は、シリンダ・ピストンによるものに限らず、例えば、螺旋軸に螺合されたナットの推進力によりチャックの開閉を行うものなど、他の駆動手段であってもよい。また、上記の駆動体では、ピストン150を前進させる際に圧力流体をシリンダ室153に供給し、ピストン150を後退させる際にはコイルばね111の付勢力でピストン150を押し戻すようにしているが、ピストン150の前進及び後退の両方を圧力流体により行うように構成することも可能である。
また、振動発生手段を設ける位置は主軸の後方や外側に限らず、主軸台等の固定部に振動発生手段を取り付け、主軸の内部で振動発生手段から筒体に振動を付与するように構成することも可能である。
また、振動発生手段を設ける位置は主軸の後方や外側に限らず、主軸台等の固定部に振動発生手段を取り付け、主軸の内部で振動発生手段から筒体に振動を付与するように構成することも可能である。
本発明は、ワークと工具とを相対的に振動させながらワークの加工を行うものであれば広範に適用が可能で、主軸が水平方向に支持された横型の振動切削加工装置に限らず、主軸が垂直方向に支持された立型の振動切削加工装置等にも適用が可能である。
100:主軸
110:コレットチャック
115:筒体(振動体)
200:振動付与手段
202:皿ばね
203:ファン
211:磁石
212:コイル
213:磁歪体
214:磁石
110:コレットチャック
115:筒体(振動体)
200:振動付与手段
202:皿ばね
203:ファン
211:磁石
212:コイル
213:磁歪体
214:磁石
Claims (5)
- 回転自在な主軸と、この主軸の先端に設けられ、ワークを把持するチャックと、前記ワークを加工する工具を装着した刃物台と、前記ワークと工具とを相対的に振動させる振動付与手段とを有し、前記主軸の回転によりワークを回転させ、かつ、ワークと工具とを相対的に振動させながら工具でワークを切削加工する振動切削加工装置において、
前記振動付与手段が、前記主軸と一体回転し、かつ、主軸の軸線方向にスライド自在に主軸に装着される振動体と、この振動体を主軸に対して主軸の軸線方向に振動させる振動発生手段とを備え、
前記振動体に前記チャックを一体的に取り付け、
前記振動発生手段により前記振動体を振動させることによって前記チャックを振動させ、前記チャックに把持されたワークを前記主軸に対して前記主軸の軸線方向に振動させること、
を特徴とする振動切削加工装置。 - 前記振動体が、前記主軸の貫通孔に挿通される中空軸からなることを特徴とする請求項1に記載の振動切削加工装置。
- 前記振動発生手段を前記主軸の後方に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の振動切削加工装置。
- 前記振動発生手段が、前記振動体と主軸との間に設けた磁歪体と、前記磁歪体の外周に設けたコイルとを有し、前記コイルに電流を流すことにより、前記磁歪体が伸縮して振動を発生させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の振動切削加工装置。
- 前記主軸又は前記振動体に、前記主軸又は前記振動体と一体になって回転し、前記コイルに向けて冷却用の送風を行うファンを取り付けたことを特徴とする請求項4に記載の振動切削加工装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007227427A JP2009056569A (ja) | 2007-09-03 | 2007-09-03 | 振動切削加工装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007227427A JP2009056569A (ja) | 2007-09-03 | 2007-09-03 | 振動切削加工装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009056569A true JP2009056569A (ja) | 2009-03-19 |
Family
ID=40552790
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007227427A Pending JP2009056569A (ja) | 2007-09-03 | 2007-09-03 | 振動切削加工装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009056569A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105750563A (zh) * | 2016-03-07 | 2016-07-13 | 上海交通大学 | 一种提高薄壁圆环类零件硬车削圆度的方法 |
CN106925792A (zh) * | 2015-12-30 | 2017-07-07 | 核工业西南物理研究院 | 一种大长径比波导管内孔齿形面的加工工艺及加工装置 |
-
2007
- 2007-09-03 JP JP2007227427A patent/JP2009056569A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106925792A (zh) * | 2015-12-30 | 2017-07-07 | 核工业西南物理研究院 | 一种大长径比波导管内孔齿形面的加工工艺及加工装置 |
CN106925792B (zh) * | 2015-12-30 | 2020-06-19 | 核工业西南物理研究院 | 一种大长径比波导管内孔齿形面的加工工艺及加工装置 |
CN105750563A (zh) * | 2016-03-07 | 2016-07-13 | 上海交通大学 | 一种提高薄壁圆环类零件硬车削圆度的方法 |
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