JP2009056059A - 防汚用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】高い吸水能力および水分散能力を有する防汚用シートを所望の位置に確実に固定することができ、使用後の廃棄処理の際には、粘着剤が被貼着面に残留することが少なく、万が一、残留した場合であっても、水洗等により容易に拭き取り、洗浄することができるといった実用性と簡便性とを兼ね備えている防汚用シートを提供すること。
【解決手段】吸水性と水分散性を兼ね備えた、第一のシート材、第二のシート材、第三のシート材とを備えた防汚用シートであって、第一のシート材と第三のシート材に実質上同一のシート材を用い、第二のシート材が第一及び第三のシート材より高い吸水性、高い水分散性を有するものであり、かつ、第三のシート材の第一のシート材とは反対の面に水溶性または水分散性の粘着層を設けたことを特徴とする防汚用シート。
【選択図】 図1

Description

本発明は、尿受けのマット等として好適に採用できる防汚用シートに関する。より詳細
には、便器の周囲などに敷設して周部に飛散する尿滴等を吸収させるのに好適な防汚用シートに関するもので、特に使用後の処理にも配慮している使い捨てタイプ(ディスポーザ
ブル・タイプ)の防汚用シートに関する。
防汚用のシートは、従来からトイレ、汚水を扱う工場設備、介護施設などで広く採用されている。最も一般的であるトイレの場合を例にして背景を説明する。トイレの床面は尿滴等の飛散により汚染され易く、また悪臭等の発生源となる。そこで、従来より、清掃の簡便化や悪臭防止、美化促進などのため防汚用シートとして各種トイレ用シートの提案がある。ところで、従来から便器手前の床面に敷設されて排尿時に飛散する尿滴を吸収し、床面の汚染を防止するシート状の尿受けマットなどが種々知られている。例えば家庭のトイレで使用される尿受けマットは通常、布製であり洗濯して繰返して使用される。一般家庭のトイレは使用者が家族に限られており、その使用頻度もそれほど高くない。よって、家庭のトイレに使用する尿受けのマットの場合には、布製のものを洗濯して繰り返し使用することが経済的で、またゴミを出さないので環境保護の点からも好ましいと言える。
上記に対して、ビルや公共施設などのトイレ(以下、施設トイレという)で使用される尿受けマット等の場合には事情が一変する。すなわち、施設トイレの場合には不特定かつ多数の者が使用するので、周辺に飛散する尿滴等の量が格段に多くなり不衛生になり易い。そのため施設トイレのトイレ清掃員は尿受けマットを定期的に交換することが必要になる。
ここで採用する尿受けマットの吸水能力が低い場合には、短時間の間隔で交換作業を行うことが必要であり、更には回収した使用済みの尿受けマットを処理することが必要となる。よって、施設トイレのような厳しい条件下で使用に耐える防汚用シートへの要請は大きくなっている。そして、トイレ清掃員の作業負荷や作業の簡素化、また衛生面確保などの観点から、施設トイレ用の防汚用シートは使い捨てタイプとされる傾向が強くなっている。
例えば、特許文献1は使用後にトイレに流して処分できるトイレ用シートについて開示している。このトイレ用シートは、吸水性の繊維と水溶性の繊維とを混抄した吸水シートと、この吸水シートの一方面上に島状に点在するように形成した耐水性を有する複数の粘着剤、更に吸水シートの他方面上には各々独立するように形成した耐水性を有する印刷模様とを備えたものである。このトイレ用シートは、使用後に水中に投入すると、水溶性の繊維が溶けることによって粘着剤が形成されていない底面位置や印刷模様のない位置において吸水シートが細かく分解する。よって、このトイレ用シートは使用後にトイレに流して処理できるとされている。
また、特許文献2は吸水性紙で構成した小便の雫取りマット、また吸水性層と非吸水性層との2層構成とした小便の雫取りマットについて開示する。これらの尿受けマットも使い捨てタイプであるので清掃や洗濯等の手間を必要としない便利なトイレ用シートとして提案されている。
特許第3692324号公報(特開2003−210359号公報) 特開2002−165729号公報
しかしながら、特許文献1で提案するトイレ用シートは、吸水シートの表裏面それぞれに耐水性の粘着剤及び印刷模様が形成されている。よって、このトイレ用シートは水に不溶である部分を含むので、そのままトイレに流すと詰まりや下水施設への負荷増加などの原因になることが懸念される。すなわち、使用後に水洗トイレの流水により島状の小片に分散させることができるものの、耐水性部分はそのまま残るので下水管や下水処理場で処理できずに堆積する場合が想定される。そして、このような粘着剤等が下水処施設に流れ込むと処理負荷が増加してしまう。
また、粘着剤が耐水性で、吸水シートが水溶性であるために汚れたシートを剥がそうとした際に被貼着物に粘着剤のみが残ってしまう、いわゆる糊残りが発生するなどの不具合があり、この糊残りを洗浄するのは多大な苦労を要するものであった。
特許文献2は、上記のように吸水性層と非吸水性層とを含む2層構成の小便の雫取りマットを提案しているが、使用後には吸水性層を取り外してトイレに流し、非吸水性層は別に処理するようにしている。これでは、取外し作業が必要となるのでトイレ清掃時の作業負荷が増加すると共に、非吸水性層は別に焼却処理等することが必要になってしまう。
そして、その固定手段については特に言及したものではなく、汎用の両面テープなどを使用するもので、やはり、トイレの詰まりや糊残りの問題を有するものであった。
本発明は上記のような従来の課題を解決するためになされたもので、高い防汚性能を有するシートを被貼着面に固定しつつ、使用後の廃棄処理の簡便性、粘着剤による被貼着面の汚れ、いわゆる糊残りの抑制とを兼ね備えている防汚用シートを提供することである。
上記目的は、吸水性と水分散性を兼ね備えた第一のシート材と、吸水性と水分散性を兼ね備えた第二のシート材と、吸水性と水分散性を兼ね備えた第三のシート材と、を備えた防汚用シートであって、第一のシート材と第三のシート材に実質上同一のシート材を用い、第二のシート材が第一及び第三のシート材の吸水性より高い吸水性、高い水分散性を有するものであり、かつ、第三のシート材の第一のシート材とは反対の面に水溶性または水分散性の粘着層を設けたことを特徴とする防汚用シートによって達成することができる。
本発明の防汚用シートは、複数の吸水性を有するシート材を備え、その中心に最も高い吸水性を有するシートを配しているので、吸水能力が高い。また、全てのシート材が水分散性の部材で形成されており、同様に、その中心に最も高い水分散性を有するシートを配しているので、使用時には高い吸水能力で尿等の水性の汚物を吸水しつつ、使用後にあっては下水設備などへ流して簡便に廃棄処理できる。したがって、実用性と簡便性とを兼ね備える優れた防汚用シートとして提供できる。
一方、使用者に踏まれるような使用形態にあっては、その踏力によりシート表面が崩れてシート自体が破壊されてしまうことも危惧されるが、本発明はシート構成として、その表面側に第一のシート材として、中央部に位置する第二のシート材に比べると比較的耐久性のあるシートを構成したので、第一のシート材を通して第二のシート材で汚水を吸収し、高い吸水能力を発揮しつつ、第一のシート材の水分含有率を低く抑えることができるので、表面構造の破壊を生じにくく、上から踏むなどの外力を加えた際の構造保持に効果を奏する。また、床面から防汚シート下面へ水分が回ってきた場合にあっても、本発明はシート構成として、その裏面側にも第二のシート材として、比較的耐久性のあるシートを構成してあるので、第三のシート材を通して第二のシート材で回ってきた水分を吸収し、第三のシート材の水分含有率を低く抑えることができるので、構造保持に効果を奏する。
すなわち、本発明はシート構成として、その表面側並びに裏面側の両方を比較的耐久性のある第一及び第二のシート材にて構成したので、踏みつぶれてしまうようなことも少なく、上記のような心配がないのである。
また、本発明においては、第三のシート材の第一のシート材とは反対の面に水溶性または水分散性の粘着層を設けた構成をとる。その構成により、シートを被貼着面に固定しつつ、使用後の廃棄処理の際には、粘着剤を被貼着面に極力残さずにシート材に貼り付けたまま除去できるので、いわゆる糊残りの抑制ができる。
なお、万が一、糊残りが発生した場合であっても、その量は少なく、かつ、本発明に使用する粘着剤は水溶性であるため、水洗いにより容易に除去することができる。
また、粘着層の被貼着材に対向する側の粘着力(タック力)が15〜55gであることより好ましい。
この場合には、シートを被貼着面に確実に固定でき、使用後の廃棄処理の際には、粘着剤を被貼着面に極力残さずにシート材に貼り付けたまま除去でき、より効果的に糊残りの抑制ができる。
本発明によると、複数の吸水性を有するシート材を備え、その中心に最も高い吸水性を有するシートを配しているので、使用時には高い吸水能力で尿等の水性の汚物を吸水することができ、また、その中心に最も高い水分散性を有するシートを配し、その裏面に水溶性または水分散性の粘着剤層を設けているので、使用後の廃棄処理の際には、下水設備などへ流して簡便に廃棄処理できる。さらに、所定の粘着層を有しているので、高い吸水能力を有する防汚用シートを所望の位置に確実に固定することができ、粘着剤が被貼着面に残留することが少なく、万が一、残留した場合であっても、水洗等により容易に拭き取り、洗浄することができるといった簡便性とを兼ね備えている防汚用シートを提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の防汚用シートの一実施形態に係るトイレ用シートについて説明する。図1はトイレ用シート1の構成を拡大して示した側面図である。トイレ用シート1は、吸水性と水分散性を兼ね備えた第一のシート材10と第二のシート材11、第三のシート材12を設け、その間に所望により第一および第二の粘着層20、21を設けた積層体として形成され、さらに第三のシート材12の裏面側(図1においては下側)の少なくとも一部に第三の粘着層22を設けた積層体として形成されている。
本発明においては、上述のように所望により設ける第一および第二の粘着層(10、11)、本発明に必須の第三の粘着層はいずれも水溶性または水分散性である。
(第一の粘着層20と第二の粘着層21の粘着力)はほぼ同等であるのが好ましいが、上記、糊残り防止のため、(第三の粘着層の被貼着材に対する粘着力)に比べてそれらの粘着力は十分に強くなっていることが好ましい。
上記の粘着力は、簡易的にタック力測定により得られる数値を代用することができる。
タック力の測定方法については後述するが、第三の粘着層と表現した粘着層の被貼着材に対向する側の粘着力(タック力)が15〜55gであるとより好ましく、20〜45gであると最適である。
また、第一の粘着層20と第二の粘着層21の粘着力(タック力)が50g以上であるとより好ましく、50〜80gであると最適である。
そして、図1で示すトイレ用シート1は、吸水性と水分散性を兼ね備えた第一のシート材10と吸水性と水分散性を兼ね備えた第二のシート材11を、第一の粘着層20を介して貼り合わせ、次いで、前記第二のシート材11と吸水性と水分散性を兼ね備えた第三のシート材12を、第二の粘着層21を介して貼り合わせ、さらに、第三のシート材12の第一、第二のシート材(10、11)とは反対の面に第三の粘着層22を設けた構成となっている。
このような関係で粘着層(20、21、22)を備えていると、トイレ用シート1を設置した後の位置ずれを他の弊害を除去しつつ効果的に防止できる。粘着層(20、21、22)は、水溶性または水分散性を有する粘着剤で形成してあり、かつ、粘着層の被貼着材に対向する側の粘着力(タック力)が上述の範囲内であると好ましい。それによりシートを効果的に固定しつつ、使用後の廃棄処理の際には、粘着剤を被貼着面に極力残さずにシート材に貼り付けたまま除去できるので、いわゆる糊残りの抑制ができる。
また、万が一、糊残りが発生した場合であっても、その量は少なく、かつ、本発明に使用する粘着剤は水溶性または水分散性であるため、水洗いにより容易に除去することができる。
このような粘着剤として、水溶性のアクリル系樹脂を好適に用いることができる。水溶性アクリル系樹脂としては、例えば(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基を有するビニル系モノマーと塩基性モノマーと水酸基含有モノマーと場合により用いられる共重合可能な他のモノマーとの共重合体に架橋剤を配合したものなどを挙げることができる。また、水分散性アクリル系樹脂の例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基を有するビニル系モノマーとアルコキシ基を有するビニル系モノマーと場合により用いられる共重合可能な他のモノマーとの共重合体に架橋剤を配合したものなどを挙げることができる。なお、これらの共重合体においては、そのカルボキシル基は、必要に応じて一部又は全部がアルカリ金属塩、アミン塩、アルカノールアミンなどの塩型であってもよい。
第一、第二、第三のシート材(10、11、12)は、それぞれ粘着剤を使用することなくエンボス圧着などの接合方法を採用することもできるが、粘着剤によって接合することができる。第一、第二の粘着層(20、21)は、第一および第二のシート材(10、11)の間、第二および第三のシート材(11、12)の間にテープ状の粘着剤を貼着したり、粘着剤を直接に塗布して形成することができる。
また、必須の粘着層としては、多層積層体のシート材(10、11、12)などを形成した後にその下面にテープ状の粘着剤を貼着したり、粘着剤を直接に塗布して形成することができる。ここでは第三の粘着層22がそれにあたる。また、第三の粘着層22には離型材30を対向して設けてもよく、シート状の離型材30に粘着剤を塗布して粘着層22を準備した後、これを第三のシート材12の下面に貼着し、該粘着層22を転写してもよい。この場合、離型材30は、所望により剥がすことなく、そのまま付着させておいて使用時に剥離するようにするのが好ましい。
上記離型材30は使用時に剥離し、分別回収して廃棄するもので、例えばグラシン紙、コート紙、キャストコート紙などの紙基材、これらの紙基材にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルムに、シリコーン樹脂などの離型剤を塗布したものなどを挙げることができる。
上記離型材30は水溶性または水分散性であるとさらに好ましい。トイレ用シートを取り替える際に汚れたシートと共に同様の方法で一緒に廃棄することができるからである。
トイレ用シート1は便器の前部の床面に第三の粘着層22を下方にして敷設される。本発明の粘着層は特定の粘着力の関係を有し、所望により特定の粘着力を有する関係にあるとき、特に、床面に対して確実に貼り付けられ、その敷設位置が確実に保持される。すなわち、トイレ用シート1が使用時において便器に対して不用意に移動したり、めくれたりすることがなく、多層積層型のシート材を使用しつつもそのシート間の界面で剥がれるようなこともなく、不要になった場合は確実に一体化されたまま廃棄することができる。
本発明には水分散性を備えたシート材を使用するが、本明細書中で水分散性とは、水中に投じたときに、構成要素が下水設備の配管などへ流すことができる程度の大きさにまで短時間で微粒化する性質である。なお、微粒化した要素が更に分子レベルで水中に溶けた状態となっているものも含む。
シート材として紙を採用した場合の水分散性について具体的に説明すると、次の通りである。本発明に用いるシート材が具備すべき水分散性として、JIS P4501で規定されているトイレットペーパーの基準である「ほぐれやすさ」が100秒以内であることが最低限必要である。JIS P4501に規定される「ほぐれやすさ」は、ほぐれるまでの所要時間が数十秒以下の速分散性を有する紙の測定が困難な場合がある。このため、本発明ではほぐれやすさ50秒以内の速分散性を有する紙については、水分散性を精度良く評価するために、攪拌下の水中に試験片を投じ2つ以上の小片に千切れた時点を目視判定し、千切れるまでの時間(以下、水分散時間という)を計測する方法を用いた。なお、該方法の具体的手順は実施例において後述する。
シート材として紙を採用した場合の水分散性の好ましい範囲は、上記水分散時間で30秒以内、更に好ましくは10秒以内である。
トイレ用シート1の好適な構造例は、例えば吸水性と水分散性を備えた第一、第二、第三のシート材(10、11、12)として水分散紙を用い、第一のシート材10と第三のシート材12に実質上同一のシート材を用い、第二のシート材11が第一及び第三のシート材(10、12)より高い吸水性、高い水分散性を有するものであり、かつ、第三のシート材12の第一のシート材10とは反対の面(被貼着材に対向する側)、すなわちトイレの床側に水溶性または水分散性の粘着層を配置する構造が挙げられる。なお、図1で例示している積層体は、特にプレス機械に掛けて上下から加圧することでエンボス処理(凹凸処理)を施して一体化させたものである。また、図1は、より好ましい形態として、粘着層22の下面に、水溶性または水分散性の離型材30を更に設けた場合を示している。
図1で示しているトイレ用シート1の基材であるシート材(10、11、12)などは吸水性を備えており、第二のシート材11が第一及び第三のシート材(10、12)より高い吸水性、高い水分散性を有する。よって、このトイレ用シート1は、従来において尿受けマットなどに採用されていたトイレ用シートに比べ、非常に良好な吸水性を有する。
吸水性と水分散性を備えたシート材(10、11、12)は、水分散紙で形成することが好ましい。ここでの水分散紙は、坪量10g/m2〜200g/m2の紙または不織布である。水分散紙は、吸水性を有し、その一方で冷水、温水、海水などの水中で短時間に分散する性質を有しているものである。水分散性の範囲は、JIS P4501の「ほぐれやすさ」が100秒以内であることが必要である。より好ましくは実施例記載の水分散性測定方法による水分散時間が30秒以内、更に好ましくは10秒以内である。なお、水分散紙の中には、紙の構成成分の一部又は全部が水に溶解する水溶紙も含まれる。
図1のシート材(10、11、12)を水分散紙で形成すると、尿滴などを水分として吸収しつつ、使用後の廃棄にあたっては、水洗トイレや汚物用シンクなどに投入して廃棄処理できる。本発明においては、高い水分散性を有する第二のシート材を第一及び第三のシート材により挟み込む形で積層してあるので、水中に投入された水分散紙は、第二のシート材で高度に分散し、第一及び第三のシート材が分離する形で、より容易に小片となって千切れ、繊維が分散する状態となる。最終的には、水中に繊維が分散した懸濁液の状態となるがそれまでの時間を短くすることができるのである。なお、本実施例のトイレ用シートに採用する水分散紙は、吸水性と水分散性を兼ね備え、上記各シート間の条件を満たすものである限り特に制限されるものではない。また、水分散紙の坪量は10g/m2より低いと強度低下等の問題が起こり易くなる。また、坪量が200g/m2より高くなると硬くなり、積層加工が困難となる。よって、トイレ用シート1に採用する水分散紙の坪量は、上記のように10g/m2〜200g/m2とするのが好ましい。
上記水分散紙は以下のような素材で形成されており、従来の一般的な紙と同様な性質を有している。水分散紙は、例えば繊維状カルボキシアルキルセルロース塩を主要成分として含有するもので、他に生崩壊性製紙用水分散性繊維を配合したものでもよい。ここで繊維状カルボキシアルキルセルロース塩とは、天然セルロース繊維、再生セルロース繊維、精製セルロース繊維を公知の方法でカルボキシアルキル化したものである。カルボキシアルキル化したものの具体例として、繊維状カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、繊維状カルボキシエチルセルロースナトリウム塩等を挙げることができる。
なお、上記繊維状カルボキシアルキルセルロース塩のカルボキシアルキル基の置換度は好ましくは0.1〜1.0であり、より好ましくは0.4〜0.6である。置換度が0.1に満たない場合は、水に対する膨潤性や水分散性が低く、水分散性、溶解性が不十分となる。また、置換度が1.0を越える場合、水により過度に膨潤し易くなり、水分散紙の抄造が困難となる。水分散紙の繊維状カルボキシアルキルセルロース塩配合率は5〜100重量%、好ましくは20〜60重量%である。繊維状カルボキシアルキルセルロース塩配合率が5重量%に満たない場合は、水膨潤性ないし水分散性が不十分となり好ましくない。
また、前述した製紙用水分散性繊維としては、例えば針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、非木材パルプ等の天然繊維を挙げることができる。さらに、平均繊維長20mm以下のビスコースレーヨン等の再生セルロース繊維、平均繊維長20mm以下のリオセル等の精製セルロース繊維、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等の生分解性熱可塑性樹脂を原料とする平均繊維長20mm以下の短繊維なども、ここで水分散性繊維に含めることができる。
なお、製紙用水分散性繊維としては、水分散紙の水分散性等を損なわない範囲で適量を選定して配合することで、非生分解性合成繊維を配合することもできる。
なお、本発明で採用する水分散紙は繊維状カルボキシアルキルセルロース塩を必須成分とする単層構造として形成してもよいし、繊維状カルボキシアルキルセルロース塩配合率の異なる2層以上の多層抄合せ紙として形成してもよい。
また、水分散紙を多層抄合せ構造とした場合、各層の坪量は5〜100g/m2、好ましくは10〜100g/m2の範囲とするのが好ましい。そして、繊維状カルボキシセルロースを5重量%以上、より好ましくは30重量%以上含有する層が基紙の全坪量に対して50重量%以上となるように設計することが望ましい。
このような多層構造とする場合のシート材の構成は、第二のシート材、すなわち、中央側に繊維状カルボキシアルキルセルロース塩の配合率が多く低密度で吸液性の高い層を配する。反対に、第一及び第三のシート材、すなわち、表面または裏面の外部と接触する側に繊維状カルボキシアルキルセルロース塩の配合が少なく緻密で平滑性の高い層を配する。このように調整すると、非常に高い吸収性を有しつつ、尿と接触した場合に尿滴下面のゲル化による汚れや表面の崩れを低減できる望ましいシート材を形成できる。
これら繊維に叩解処理を適宜に実施して水分散紙用の紙料を調製し、長網、短網、円網等の通常の抄紙装置を用いて湿式抄紙される。なお、平均繊維長が20mmを越える繊維を用いると、水洗トイレや汚物用シンクにおける分散性が劣り、放流時に配管の詰まりを生じる可能性が高くなるので好ましくない。また、水分散紙には、水分散性等を損なわない範囲で、サイズ性や耐湿強度を高めるための薬剤の付与や着色剤を添加してもよい。ここでの着色剤などは、水分散性のものを選択するのが好ましい。
以下、さらに防汚用用シートをトイレ用シートとした場合の実施例を具体的に説明する。なお、例中の部数および%は特にことわらない限り、それぞれ質量部および質量%を示す。実施例において水分散性、吸水性、タック力(粘着力)、固定性、引き剥がし性などの評価は、次のように行った。
〔水分散性〕
温度23℃、湿度50%RHの雰囲気で24時間以上調和させた試料から3cm角の防汚用シートの試験片5枚を作製した。次に300mlビーカーに脱イオン水300mlを入れてスターラ(撹拌装置)で650rpmに攪拌しながら上記試験片1枚を投入した。試験片が2つ以上に千切れる時間をストップウォッチで求め、5回の測定の平均値を水分散時間とした。水分散時間が短いほど水分散性は優れた評価となる。
◎・・・水分散時間10秒以内(水分散性優秀)
○・・・10秒を越え30秒以内のもの(水分散性良好)
×・・・水分散時間30秒を越えるもの(難溶)
〔吸水性〕
吸水性の評価は、防汚用シートを10×10cmの試験体に切出し、縦15cm×横15cm×厚さ1cmの100メッシュ金網籠に試験体を入れ、籠ごと脱イオン水1000ml中に浸漬し、5分間放置した後に、水中から籠を引き上げ、過剰水を拭った後その吸水性を評価した。
〔タック力〕
タック力は、以下のタック力試験装置・条件にてその最大荷重値を測定した。
(測定回数3回の平均値)
測定条件
装置:Stable Micro Systems社製 テクスチャーアナライザーTAXTplus
テストモード :tention(引っ張り)
冶具 :P/05S (0.5インチ球プローブ)
引き上げ速度 :10mm/sec
押し付け力 :50g
押し付け時間 :5sec
〔固定性〕
防汚用シートが被貼着材に固定されている状態を観察し、評価した。
○・・・しっかりと固定されている。
×・・・固定されていない。
〔引き剥がし性〕
防汚用シートを引き剥がした際の被貼着材への粘着剤の残りかた等を観察し、評価した。
○・・・シート材界面での剥離がなく、被貼着材に粘着剤が残らない。
△・・・シート材界面にてやや剥離が見られるか、被貼着材にやや粘着剤が残る。
×・・・シート材界面にて剥離が生じてしまうか、被貼着材に粘着剤が残る。
繊維状カルボキシメチルセルロースナトリウム塩20質量%と針葉樹晒しクラフトパルプ80質量%からなる坪量60g/m2の白色の水分散紙Aを準備した。
次いで、前記水分散紙Aに淡緑色染料(日本化薬(株)製品)3質量%、ポリフェノール系消臭剤(リリース科学工業(株)製品)5質量%、イソプロピルアルコール40質量%、水52質量%からなる染色液を含浸塗工して淡緑色に着色した水分散紙A’を第一のシート材10として作製した。
また、繊維状カルボキシメチルセルロースナトリウム塩20質量%と針葉樹晒しクラフトパルプ80質量%からなる坪量60g/m2のこれらの繊維長等を調整し、第一のシート材より高い吸水性、水分散性を有する白色の水分散紙Bを第二のシート材11として準備した。
さらに、第一のシート材と同じシートを第三のシート材12として準備した。
次いで、淡緑色に着色した第一のシート材としての水分散紙A’の上に水溶性アクリル樹脂を10μm塗布し、水溶性または水分散性の所定のタック力を発揮する第一の粘着層20を構成した後、第二のシート材としての水分散紙Bを乗せ、その上に水溶性アクリル樹脂を10μm塗布し、水溶性または水分散性の所定のタック力を発揮する第二の粘着層21を構成した後、第三のシート材としての水分散紙A’を積層した上、加圧した1対のエンボスロールの間を通して積層一体化し、A4判に裁断して積層体シート(トイレ用シート)を作製した。
別に、水分散性の離型材の上に、水溶性アクリル樹脂を7μm塗布し、水溶性または水分散性の所定のタック力を発揮する第三の粘着層22用の粘着材を構成した。
そして、上記シート材を所定の寸法に裁断し、該シートの裏面にあたるシート材の被貼着材側の4隅に前記剥離材付き水溶性または水分散性の両面粘着テープを貼合して粘着層を形成し、実施例の防汚用シートを作製した。
防汚用シートの水分散性、吸水性、タック力(粘着力)、固定性、引き剥がし性を評価して下記表1に示した。
実施例2〜7、比較例1〜4
実施例1の粘着層を表1に記載のタック力(粘着力)を有するものに変更したほかは実施例1と同様にして実施例2〜7、比較例1〜4の防汚用シートを作製し、各評価を行った。
Figure 2009056059
実施例1〜5の防汚用シートはいずれも、十分な吸水能力を有していた。また、水洗トイレのフラッシュ水における水流で過度にゲル化することもなく容易に分散して、放流可能であった。また、所望の位置に確実に固定することができ、使用後の廃棄処理の際には、シート材界面で剥がれることがなく、粘着剤が被貼着面に残留することもなく、簡便性とを兼ね備えている防汚用シートであった。
実施例6の防汚用シートは固定性にやや難があり、実施例7の防汚用シートは引き剥がしの際に粘着剤が被貼着面にやや残留するものであった。しかし、残留した場合であっても、水洗等により容易に拭き取り、洗浄することができるといった簡便性を兼ね備えている防汚用シートであった。
比較例1の防汚用シートは、第一、第二、第三のシート材に吸水性、水分散性が劣る同じ前記水分散紙A’を使用したので、各層間で吸水性、水分散性に差がない三層構成となり、吸水性、水分散性が単純合計となっただけで、防汚用シート全体での吸水性、水分散性に劣るものであった。
比較例2の防汚用シートは、第一、第二、第三のシート材に同じ前記水分散紙B使用したので、防汚用シートとしての耐久性に難があり、特に踏力により表面破壊が生じたり、下面に回った水により裏面の構造破壊が進み固定性に難を生じたりしてしまった。また、引き剥がしに関しても引き剥がし時に層構造が崩れてしまい、うまく引き剥がせないものが多かった。
実施例8の防汚用シートは各粘着層のタック力に差がなく、粘着剤のタック力が弱すぎ、固定性に難があり、引き剥がしの際に第二のシート材を床面に残したまま第一のシート材のみ剥離してしまうことがあり、引き剥がしの評価においてやや難あるものであった。
実施例9の防汚用シートは、第三の粘着層のタック力が強すぎ、第一及び第二の粘着層のタック力を上回ってしまった結果、引き剥がしの際に第三のシート材を床面に残したまま第一及び第二のシート材のみ剥離してしまったり、粘着剤やシート材が規定以上に残ってしまったりし、洗浄するのに手間がかかるものがあった。
第一ないし第三のシート材の間には消臭や芳香などの機能層となる第四のシート材などを設けることができる。
本実施例においては、粘着剤の材質を固定し、主に塗布厚にてそのタック力を制御したが、粘着剤の材質や塗布方法、塗布面積、パターンなどによりタック力を制御することもできる。
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
上述した実施例は、トイレ用シートとして具体例として示したが、使用形態はこれに限るものではない。トイレ用シートとしては男子用小便器の尿受けマットとしたり、一般的な座席型の洋便器、また、和便器の周辺に敷設するトイレ用シートとして採用してもよい。また、使用環境の厳しい施設トイレに適用できるトイレ用シートとして説明したが、家庭用のトイレ用シートに適用してもよいことは言うまでもない。さらに、防汚用シートの一形態としてトイレ用シートを例示したものであるが、水状の汚物を吸収することに要求がある種々の設備や施設に本発明の防汚用シートを適用できる。その一例としては、介護用、洗面用、工場処理用、調理場用、医療用などの用途が考えられる。
防汚用シートの一実施形態に係るトイレ用シートの構成を拡大して示した側面図である。
符号の説明
1 トイレ用シート(防汚用シート)
10 第一のシート材
11 第二のシート材
12 第三のシート材
20 第一の粘着層
21 第二の粘着層
22 第三の粘着層
30 離型材

Claims (2)

  1. 吸水性と水分散性を兼ね備えた第一のシート材と、吸水性と水分散性を兼ね備えた第二のシート材と、吸水性と水分散性を兼ね備えた第三のシート材と、を備えた防汚用シートであって、第一のシート材と第三のシート材に実質上同一のシート材を用い、第二のシート材が第一及び第三のシート材の吸水性より高い吸水性、高い水分散性を有するものであり、かつ、第三のシート材の第一のシート材とは反対の面に水溶性または水分散性の粘着層を設けたことを特徴とする防汚用シート。
  2. 粘着層の被貼着材に対向する側のタック力が15〜55gであることを特徴とする、請求項1に記載の防汚用シート。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015047302A (ja) * 2013-08-30 2015-03-16 大王製紙株式会社 トイレットロール及びトイレットロールの製造方法
JP2015047401A (ja) * 2013-09-03 2015-03-16 大王製紙株式会社 トイレットロールの製造方法及びトイレットロール
CN113491462A (zh) * 2020-03-19 2021-10-12 王子控股株式会社 卫生薄页纸

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