以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
図1は本発明の実施形態に係るデジタルスチルカメラ1を示すブロック図である。本実施形態のカメラ1は、カメラボディ10と交換レンズ20から構成され、これらカメラボディ10と交換レンズ20はマウント部30により機械的に着脱することができる。
なお説明の便宜上、同図に示すようにカメラ1を通常姿勢にしたときの光軸L方向をY軸、光軸Lに直交する軸をX軸及びZ軸とし、X軸を同図の紙面に対して垂直な軸、Z軸を同図の上下方向とする。そして、特に断らない限りZ軸方向を上下方向、X軸方向を左右方向、Y軸方向を光軸方向とも称する。
カメラボディ10は、撮像素子パッケージ110と、ボディCPU120と、液晶ビューファインダを構成する液晶表示素子130と、液晶表示素子130を観察するための接眼レンズ140と、液晶表示素子駆動回路150と、撮影画像信号を格納するメモリカード160とを備える。撮像素子パッケージ110は、位置調整機構を有するブラケット170を介してカメラボディ10に装着される。
撮像素子パッケージ110には、交換レンズ20の予定焦点面に調整配置される撮像素子111が内蔵されている。図2は、撮像素子パッケージ110の構造例を示す断面図である。同図に示すように、半導体チップから構成された、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどからなる撮像素子111が、一端が開口したセラミック基板112に貼り付けられ、この開口部がカバーガラス113により封止されている。同図に示す撮像素子111の一方の主面114が撮像面となる。撮像素子パッケージ110のさらに詳細な構造は後述する。
ボディCPU120は、マウント部30に設けられた電気信号接点部310により後述するレンズCPU250と電気的に接続され、このレンズCPUからレンズ情報を受信するとともに、レンズCPU250へデフォーカス量などのカメラボディ情報を送信する。また、ボディCPU120は、撮像素子102からの画像信号を読み出すとともに、所定の情報処理を施して液晶表示素子130やメモリカード160に出力する。また、ボディCPU120は、画像信号の補正や交換レンズ20の焦点調節状態、絞り調節状態などを検出するなど、カメラ全体の制御を司る。
また、ボディCPU120から液晶表示素子駆動回路150に対して制御信号が出力され、液晶表示素子駆動回路150は、この制御信号に基づいて液晶表示素子130を駆動する。これにより、使用者は接眼レンズ140を介して撮影画像を視認することができる。
一方、交換レンズ20は、レンズ210と、ズーミング用レンズ220と、フォーカシング用レンズ230と、絞り240と、レンズCPU250とを備える。
レンズCPU250は、ズーミング用レンズ220とフォーカシング用レンズ230と絞り240それぞれの状態を検出し、必要に応じて上述したボディCPU120との間で情報通信を行いながら、フォーカシング用レンズ230の駆動制御や絞り240の駆動制御を実行する。
次に、本実施形態に係る撮像素子111について説明する。
図3は本実施形態に係る撮像素子111上の画素の配列を模式的に示す図である。本実施形態の撮像素子111は、複数の撮像画素115が、撮像面114の平面上に二次元的に配列され、緑色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する緑画素Gと、赤色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する赤画素Rと、青色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する青画素Bがいわゆるベイヤー配列(Bayer Arrangement)されたものである。すなわち、隣接する4つの画素群117(稠密正方格子配列)において一方の対角線上に2つの緑画素が配列され、他方の対角線上に赤画素と青画素が1つずつ配列されている。このベイヤー配列された画素群117を単位として、当該画素群117を撮像素子111の撮像面114に二次元状に繰り返し配列することで撮像素子111が構成されている。なお、単位画素群117の配列は、図示する稠密正方格子以外にも、たとえば稠密六方格子配列にすることもできる。
図4Aは、一つの撮像画素115を拡大して示す正面図である。一つの撮像画素115は、マイクロレンズ1151と、光電変換部1152と、図示しないカラーフィルタから構成され、図7の断面図に示すように、撮像素子111の半導体回路基板1111の表面に光電変換部1152が造り込まれ、その表面にマイクロレンズ1151が形成されている。光電変換部1152は、マイクロレンズ1151により撮像光学系の射出瞳を通過する撮像光束を受光する形状とされている。
なお、本実施形態のカラーフィルタはマイクロレンズ1151と光電変換部1152との間に設けられ、緑画素Gと赤画素Rと青画素Bのそれぞれのカラーフィルタの分光感度は、たとえば図5に示すとおりとされている。
これに対して、本実施形態の撮像素子111の中心位置であって、ベイヤー配列において最も配列密度が高い緑画素Gが配列される位置には、緑画素Gに代えて調整用画素116が配置されている。調整用画素116を配列密度が最も高い緑画素Gの位置に配列した場合の緑画素Gの欠落率は、他の画素R,Bに設けた場合の欠落率に比べて小さいので、撮像素子111で撮像した画像品質の低下度を抑制できるという利点がある。
ただし、調整用画素116は、他の画素R,Bの位置に設けることもできる。また、撮像素子111の中心位置以外にもその近傍に設けることもできる。
調整用画素116は、図4Bに拡大して示すように、マイクロレンズ1161と、一対の光電変換部1162,1163から構成され、図7の断面図に示すように、撮像素子111の半導体回路基板1111の表面に光電変換部1162,1163が造り込まれ、その表面にマイクロレンズ1161が形成されている。一対の光電変換部1162,1163は同じ大きさで、かつマイクロレンズ1161の光軸に対して上下対称に配置されている。この光電変換部1162,1163は、マイクロレンズ1161により撮像光学系の射出瞳を通過する一対の調整用光束を受光する形状とされている。
なお、調整用画素116にはカラーフィルタは設けられておらず、その分光特性は、光電変換を行うフォトダイオードの分光特性と、図示しない赤外カットフィルタの分光特性を総合したものとなっている。図6に調整用画素116の分光特性を示すが、相対感度は、図5に示す青画素B、緑画素G及び赤画素Rの各感度を加算したような分光特性とされ、また感度が現れる光波長領域は、図5に示す青画素B、緑画素G及び赤画素Rの感度の光波長領域を包摂した領域となっている。
図7は、調整用画素116とその上下に位置する撮像画素115を示す撮像素子111の断面図であり、撮像画素115の光電変換部1152は撮像光束IBを受光する。また、調整用画素116の一方の光電変換部1162は一方の調整用光束AB1を受光する一方で、調整用画素116の他方の光電変換部1163は、マイクロレンズ1161の光軸に対して調整用光束AB1と対称となる調整用光束AB2を受光する。
次に、撮像素子111の位置調整方法について説明する。
図8は本実施形態の撮像素子パッケージ110を示す斜視図であり、撮像素子パッケージ110をカメラボディ10に組み付ける際、まず中心の位置調整が行われる。本実施形態の中心位置調整は、撮影光軸Lに一致するレーザービームを撮像素子111に投光し、このレーザービーム位置を撮像素子111の画素出力に基づいて検出する。そして、検出されたレーザービーム位置に応じて、撮像素子パッケージ110を撮影光軸Lに直交する面内において同図に示す左右方向と上下方向に位置調整する。こうして、撮像素子111の中心を交換レンズ20の撮影光軸Lに一致させる。
なお、以下の位置調整も同様であるが、撮像素子111のカメラボディ10に対する位置調整は、ブラケット170の位置調整機構を調整することにより行われる。
撮像素子111の中心位置の調整が完了したら、次に撮像素子111の傾きを調整する。この傾きは、図8に示す撮影光軸Lに直交する水平軸Ax回りの傾きである。なお、撮影光軸Lに直交する垂直軸Az回りの傾きを調整する例は後述する。
さて、図9Aは、カメラボディ10の予定焦点面FPに撮像素子111を配置し、撮像素子111の中心、すなわち本実施形態の調整用画素116が設けられた位置を撮影光軸Lに一致するように調整した後の状態を示す。この状態では、撮像素子111の撮像面114が予定焦点面FPに対して角度θだけ傾いているものとする。
撮像素子111の傾きを調整するに際しては、撮影光軸L上に調整用絞り開口41を有する絞り筒体40をカメラボディ10の前面に装着し、同図の左側から撮像素子111に向けて照明光を照射する。
調整用絞り開口41は、撮影光軸L上に中心が位置する円形の開口であり、この円形の絞り開口41の大きさは調整用光束AB1,AB2の広がりよりも小さく設定されている。なお、絞り開口41には拡散板42が取り付けられ、これにより絞り開口41を同図の左側である前方から一様に照明する。
ここで、図9Aに示すように撮像素子111の撮像面114が予定焦点面FPに対して角度θだけ傾いていると、調整用光束のうち上部の調整用光束AB2は、下部の調整用光束AB1に比べて絞り開口41によって大きく制限される。図10Aは、絞り開口41が位置する平面における絞り開口41と調整用光束AB1,AB2との位置関係を撮影光軸L方向から示す図であり、絞り開口41内における調整用光束AB2の面積は、調整用光束AB1の面積より小さくなることを示している。
ここで、撮像素子111の中心に配置された調整用画素116の一対の光電変換部1162,1163の出力の大きさは、絞り開口41内における調整用光束AB1,AB2の面積に比例する。したがって、これら調整用光束AB1,AB2の面積比に応じた値で、下側の光電変換部1163の出力の方が上側の光電変換部1162の出力よりも小さくなる。
このことを利用して、一対の光電変換部1162,1163の出力を検出しながら、これら一対の出力が等しくなるように、または一対の光電変換部1162,1163の出力の比が1になるように、撮像素子パッケージ110を傾斜させる。これにより、予定焦点面FPに対する撮像素子111の撮像面114の傾きθをゼロに調整することができる。
ちなみに、図9Bは、予定焦点面FPに対する撮像素子111の撮像面114の傾きθをゼロに調整した後の状態を示す図であり、図10Bは、図9Bに示す状態における絞り開口41と調整用光束AB1,AB2との位置関係を撮影光軸L方向から示す図である。図9Bに示すように撮像素子111の撮像面114の傾きθがゼロになると、図10Bに示すように絞り開口41内における調整用光束AB2の面積と調整用光束AB1の面積は等しくなる。
このように、予定焦点面FPに対する撮像素子111の撮像面114の傾きθの方向は、調整用画素116の一対の光電変換部1162,1163の出力の大小により検出することができる。また、同じく傾きの量(角度θ)は、調整用画素116の一対の光電変換部1162,1163の出力の比により検出することができる。したがって、一対の光電変換部1162,1163の出力結果に応じて撮像素子111の撮像面114の水平軸Ax回りの傾きを調整して予定焦点面FPに一致させることができる。
なお、一対の光電変換部のうちの光電変換部1162の出力をIa、光電変換部1163の出力をIbとすると、予定焦点面FPに対する撮像面114の傾きθの方向は、Ib/Ia>1の場合には図9Aに示す傾きと同じ方向、Ib/Ia<1の場合は図9Aに示す傾きとは逆の方向であり、Ib/Ia=1の場合は傾きθ=0である。
また、傾きθは、θ=F(Ib/Ia)の式(ただし、関数FはIb/Iaをθに変換する関数であって、実験的又は理論的に求められる。)により求めることができる。
《撮像素子の他の実施形態》
図11は、本発明の他の実施形態に係る撮像素子111の調整用画素116aを示す図であり、上述した実施形態の図4Bに相当する図である。
上述した実施形態では、調整用画素116として撮影光軸Lに対して上下対称に一対の光電変換部1162,1163を有するものを用い、図8に示す撮像素子111の水平軸Ax回りの傾きを調整したが、本実施形態では、図11に示すように調整用画素116aとして撮影光軸Lに対して左右対称に一対の光電変換部1164,1165を有するものを用い、図8に示す撮像素子111の垂直軸Az回りの傾きを調整する。
本実施形態の調整用画素116aは、マイクロレンズ1161と、一対の光電変換部1164,1165から構成され、図7に示す断面図と同様、撮像素子111の半導体回路基板1111の表面に光電変換部1164,1165が造り込まれ、その表面にマイクロレンズ1161が形成されている。一対の光電変換部1164,1165は同じ大きさで、かつマイクロレンズ1161の光軸Lに対して左右対称に配置されている。この光電変換部1164,1165は、マイクロレンズ1161により撮像光学系の射出瞳を通過する一対の調整用光束を受光する形状とされている。
本実施形態の調整用画素116aは、図3に示す上述した調整用画素116に代えて撮像素子111の中心位置であって、緑画素Gが配列される位置に配列することができる。
ただし、上述した実施形態の調整用画素116を図3に示す撮像素子111の中心位置に配列し、その隣の画素を含めた近傍位置に本実施形態の調整用画素116aを配列することもできる。また逆に、本実施形態の調整用画素116aを撮像素子111の中心位置に配列し、上述した実施形態の調整用画素116をその隣の画素を含めた近傍位置に配列することもできる。
このような調整用画素116aを用いて撮像素子111の垂直軸Az回りの傾きを調整する場合は、上述した実施形態と同様に(図9A参照)、カメラボディ10の予定焦点面FPに撮像素子111を配置し、撮像素子111の中心、すなわち本実施形態の調整用画素116aを設けた位置を撮影光軸Lに一致するように調整したのち、カメラボディ10の前面に装着された絞り筒体40の調整用絞り開口41を介して調整用光束AB1,AB2による光電変換部1164,1165の出力を検出する。このとき検出される光電変換部1164,1165の出力と垂直軸Az回りの傾きとの関係は、ちょうど上述した実施形態における光電変換部1162,1163の出力と水平軸Ax回りの傾きとの関係と同じになる。
すなわち、予定焦点面FPに対する撮像素子111の撮像面114の垂直軸Az回りの傾きの方向は、調整用画素116aの一対の光電変換部1164,1165の出力の大小により検出することができる。また、同じく傾きの量(角度)は、調整用画素116aの一対の光電変換部1164,1165の出力の比により検出することができる。したがって、一対の光電変換部1164,1165の出力結果に応じて撮像素子111の撮像面114の垂直軸Az回りの傾きを調整して予定焦点面FPに一致させることができる。
なお、上述した実施形態では、一つの調整用画素116又は116aを撮像素子111の中心に配置したが、撮像素子111の中心を含む部分に複数の調整用画素116又は116aを配置し、複数の調整用画素116又は116aの出力を平均化又はそれに準ずる数学的処理を施して傾きを調整することもできる。複数の調整用画素116又は116aの出力を用いることで傾き調整の精度をより高めることができる。
《撮像素子のさらに他の実施形態》
図12は、本発明のさらに他の実施形態に係る撮像素子111上の画素の配列を模式的に示す図である。
本実施形態の撮像素子111は、複数の撮像画素115が、撮像面114の平面上に二次元的に配列され、3原色のカラーフィルタを有する画素G,R,Bがベイヤー配列されたものである。そして、上述した実施形態では、調整用画素116又は116aとして一つの画素に一対の光電変換部1162,1163又は1164,1165を有するものを用いたのに対し、本実施形態では一対の調整用画素116b,116cのそれぞれに対をなす光電変換部1166,1167を有するものを用いる。
図13A及び図13Bは、本実施形態の調整用画素116b,116cをそれぞれ示す図である。図13Aに示す調整用画素116bは、マイクロレンズ1161と、光電変換部1166から構成され、図7に示す断面図と同様に、撮像素子111の半導体回路基板1111の表面に光電変換部1166が造り込まれ、その表面にマイクロレンズ1161が形成されている。光電変換部1166はマイクロレンズ1161の光軸に対して上下対称の位置のうちの上部に配置されている。
これに対して、図13Bに示す調整用画素116bも、マイクロレンズ1161と、光電変換部1167から構成され、図7に示す断面図と同様に、撮像素子111の半導体回路基板1111の表面に光電変換部1167が造り込まれ、その表面にマイクロレンズ1161が形成されている。光電変換部1167はマイクロレンズ1161の光軸に対して上下対称の位置のうちの下部に配置されている。
そして、図12に示すように、一方の調整用画素116cは撮像画素111の中心位置に配置され、他方の調整用画素116bはその上隣に配置され、撮像光学系の射出瞳を通過する一対の調整用光束をこれら一対の調整用画素116b,116cそれぞれの光電変換部1166,1167で受光する。
なお、一対の調整用画素116b,116cの撮像素子111に対する配置は、図12に示すものに限定されず、一方の調整用画素116bを撮像画素111の中心位置に配置し、他方の調整用画素116cをその下隣に配置することもできる。また、撮像素子111の中心に限定されず、中心近傍に配列することもできる。
このように、異なる画素で構成される一対の調整用画素116b,116cを用いても、一対の光電変換部1166,1167の出力結果に応じて撮像素子パッケージ110の撮像面114の水平軸Ax回りの傾きを調整して予定焦点面FPに一致させることができる。
これに加えて、撮像素子111を構成する画素からの出力読出回路の構成がシンプルになるという利点もある。
なお、図13A及び図13Bに示す調整用画素116b,116cをそれぞれ同じ方向に90度回転した調整用画素を、図12に示す撮像素子111の中心位置近傍に設けると、これら一対の調整用画素の光電変換部の出力結果に応じて、撮像素子111の撮像面114の垂直軸Az回りの傾きを調整して予定焦点面FPに一致させることができる。
《撮像素子のさらに他の実施形態》
図14は、本発明のさらに他の実施形態に係る撮像素子111上の画素の配列を模式的に示す図である。
本実施形態の撮像素子111は、複数の撮像画素115が、撮像面114の平面上に二次元的に配列され、3原色のカラーフィルタを有する画素G,R,Bがベイヤー配列されたものである。そして、上述した実施形態では、調整用画素116又は116aを撮像素子111の中心又はその近傍に設けたのに対し、本実施形態では調整用画素116dを撮像画素115がベイヤー配列された領域の周縁部又は領域外に設けている。同図には、調整用画素116dを撮像画素115の配列領域外であって撮像素子111の左右方向の中心の下方に設けた例を示す。
ここで用いられる調整用画素116dは、図4B、図11又は図13A・図13Bに示す何れのタイプのものでもよい。
次に、本実施形態のように撮像素子111の中心及び中心近傍以外の位置に調整用画素116dを設けた場合の撮像素子111の水平軸Ax回りの傾き調整方法を説明する。
図15Aはカメラボディ10の予定焦点面FPに撮像素子111を配置し、撮像素子111の中心を撮影光軸Lに一致するように調整した状態を示す。この状態では、撮像素子111の撮像面114が予定焦点面FPに対して角度θだけ傾いているものとする。
ここで、撮像素子111の傾きを調整するに際しては、撮影光軸L上に調整用絞り開口41を有する絞り筒体40をカメラボディ10の前面に装着し、同図の左側から撮像素子111に向けて照明光を照射するが、本実施形態の撮像素子111の撮像面114と絞り開口41との距離Dは、次のように設定されている。
図15Bは、予定焦点面FPに対する撮像素子111の撮像面114の傾きθがゼロに調整された状態を示す図である。この傾きθがゼロの状態において、調整用画素116dの一対の光電変換部1162,1163は、絞り開口41によって光軸Lにより等分割される一対の調整用光束AB1,AB2を受光する。絞り開口41の位置は、このような距離Dとされている。
つまり、調整用光束AB1,AB2の対称軸AB0が絞り開口41の面で光軸Lと交わるような距離Dとされている。この距離Dは、調整用画素116dの位置、調整用画素116dのマイクロレンズ1161の光学特性および一対の光電変換部1162,1163の相対的位置関係等により一義的に定まることから予め求めておく。
そして、図15Aに示すように、撮影光軸L上に、距離Dとされた調整用絞り開口41を有する絞り筒体40をカメラボディ10の前面に装着し、同図の左側から撮像素子111に向けて照明光を照射する。図15Aに示すように撮像素子111の撮像面114が予定焦点面FPに対して角度θだけ傾いていると、調整用光束のうち上部の調整用光束AB2は、下部の調整用光束AB1に比べて絞り開口41によって大きく制限される。
撮像素子111の左右方向中心下方であって撮像画素領域外に配置された調整用画素116dの一対の光電変換部1162,1163の出力の大きさは、絞り開口41内における調整用光束AB1,AB2の面積に比例する。したがって、一対の光電変換部1162,1163の出力を検出しながら、これら一対の出力が等しくなるように、または一対の光電変換部1162,1163の出力の比が1になるように、撮像素子111を傾斜させる。これにより、図15Bに示すように、予定焦点面FPに対する撮像素子111の撮像面114の傾きθをゼロに調整することができる。
なお、撮像素子111を垂直軸Az回りの傾きを調整する場合は、図11に示す調整用画素116aを用いる。
本実施形態のように調整用画素116dを撮像画素115が配列された領域外に設けると、撮影に際して撮像画素115を全て用いることができるので撮影画像の品質がより高くなる。また、撮像画素115が配列された領域の周縁部に調整用画素116dを設けた場合でも、撮影画像の主要な部分においては撮像画素115をフルに用いることができるので撮影画像品質がより向上することになる。
《位置調整方法の他の実施形態》
図9A及び図9Bに示す実施形態では、撮像素子111の撮像面114の傾きθを調整するにあたり、その前処理として、撮影光軸Lに一致するレーザービームを撮像素子111に投光し、このレーザービーム位置を撮像素子111の画素出力に基づいて検出することで、撮像素子111の中心を撮影光軸Lに一致させた。しかしながら、本実施形態の調整用画素116の出力を用いれば、レーザービーム等を用いることなく撮像素子111の中心位置を光軸Lに合わせることができる。
図16A〜図16Cは、調整用画素116を用いた中心位置調整方法を説明するための図であり、図16Aは調整前、図16Bは調整途中、図16Cは調整後の状態をそれぞれ示す図である。
本実施形態では、図3に示す撮像素子111を有する撮像素子パッケージ110を用いた例で位置調整方法を説明するが、同じ原理で図12や図14に示す撮像素子111を有する撮像素子パッケージ110も同様に適用できる。
また、図3に示す撮像素子111を用いて撮像素子パッケージ110の上下方向(Z軸方向)の中心位置を合わせる方法について説明するが、撮像素子111の左右方向(X軸方向)の中心位置は図11に示す調整用画素116aを撮像素子111に設けることで同様の手法で調整することができる。
まず、図16Aに示すようにカメラボディ10の予定焦点面FPに撮像素子111を配置し、撮影光軸L上に調整用絞り開口41を有する絞り筒体40をカメラボディ10の前面に装着し、同図の左側から撮像素子111に向けて照明光を照射する。この状態では、撮像素子111の中心は撮影光軸Lに一致せず、また撮像素子111の撮像面114が予定焦点面FPに対して角度θだけ傾いているものとする。
この状態で、絞り開口41により制限された一対の調整用光束AB1,AB2による調整用画素116の一対の光電変換部1162,1163の出力を検出する。同図に示す例では、調整用光束AB1が調整用光束AB2に比べて大きく制限されているので、これに相関して光電変換部1163の出力が光電変換部1162の出力より大きくなる。ここで、光電変換部1162,1163の出力比が1に(出力値が等しく)なるように、撮像素子パッケージ110を予定焦点面FP内で平行移動させる。
この状態を図16Bに示すが、一対の光電変換部1162,1163の出力比が1になると、絞り開口41の面における調整用光束AB1,AB2の面積比が1になるので、同図に示すように調整用光束AB1,AB2の対称軸AB0が絞り開口41の面において撮影光軸Lと交わることになる。この交点をP1とする。
次に、絞り筒体40をカメラボディ10から取り外し、これに代えて、図16Cに示すように、絞り開口41とは異なる光軸L上の任意位置(撮像面114と絞り開口41aとの距離がD2)に調整用絞り開口41aを有する絞り筒体40aを装着する。この調整用絞り開口41aは、絞り開口41と同様に、撮影光軸L上に中心が位置する円形の開口であり、この円形の絞り開口41aの大きさは調整用光束AB3,AB4の広がりよりも小さく設定されている。なお、絞り開口41aには拡散板42aが取り付けられ、これにより絞り開口41aを同図の左側である前方から一様に照明する。
そして、図16Cに示すように、撮像素子111の一対の光電変換部1162,1163の出力を検出し、この一対の出力比が1に(出力値が等しく)なるように、点P1を中心にして撮像素子パッケージ110を、予定焦点面FPと直行する面内で半径をR1として回転させる。予定焦点面FPと直交する面とは撮影光軸Lを含む同図の描写面(図面の紙面自体)である。
これにより、撮像素子111の中心が予定焦点面FPの中心に一致すると同時に、撮像素子111の撮像面114の予定焦点面FPに対する傾きθもゼロとなる。
本実施形態によれば、レーザービーム等の照射装置を用いることなく撮像素子111の中心位置を調整することができるので、位置調整装置をより簡素化することができる。
なお、図14に示す撮像素子111を用いて上述した中心位置調整を行う場合には、図16Aに示す調整用絞り開口41の距離D1と図16Cに示す調整用絞り開口41aの距離D2のそれぞれを予め求めておけばよい。
《位置調整方法のさらに他の実施形態》
上述した実施形態では、撮像素子111の予定焦点面FPに対する傾きと中心位置を調整したが、調整用画素を用いて予定焦点面FPに対する撮影光軸L方向の位置を調整することもできる。
図17Aは、本発明のさらに他の実施形態に係る撮像素子パッケージの位置調整方法を説明するための図、図17Bは本実施形態に係る撮像素子の画素の配列を模式的に示す正面図である。
図17Bに示すように、本実施形態の撮像素子111は、複数の撮像画素115が、撮像面114の平面上に二次元的に配列され、3原色のカラーフィルタを有する画素G,R,Bがベイヤー配列されたものである。そして、本実施形態では撮像画素115がベイヤー配列された領域の左右方向の中心であって、上下方向に対称な位置に一対の調整用画素116e,116fを設ける。同図に、一対の調整用画素116e,116fを撮像素子111の左右中心であって上端縁と下端縁に設けた例を示す。
ここで用いられる調整用画素116e,116fは、図4B,図13A・図13B又は図11に示す何れのタイプのものでもよい。ただし、図11に示す調整用画素116aを用いる場合には、調整用画素116e,116fの位置を、たとえば撮像素子111の上下方向の中心であって左右方向に対称な位置に配置する。
次に、本実施形態の調整用画素116e,116fを用いて撮像素子111の光軸L方向の位置を調整する方法を説明する。
図17Aは、カメラボディ10に撮像素子パッケージ110を装着し、事前に撮像素子111の中心を撮影光軸Lに一致させるとともに、予定焦点面FPに対する撮像素子111の撮像面114の傾きをゼロに前処理した状態を示す。この状態では、撮像素子111の撮像面114が予定焦点面FPに対して光軸L方向に距離dだけずれているものとする。
ここで、撮像素子111の光軸方向の位置を調整するに際しては、撮影光軸L上に調整用絞り開口41を有する絞り筒体40をカメラボディ10の前面に装着し、同図の左側から撮像素子111に向けて照明光を照射するが、本実施形態の撮像素子111の撮像面114と絞り開口41との距離Dは、次のように設定されている。
すなわち、予定焦点面FPに対する撮像素子111の撮像面114の位置ずれ量dがゼロに調整された状態において、調整用画素116eの一対の光電変換部1162,1163が絞り開口41によって光軸Lにより等分割される一対の調整用光束AB1,AB2を受光する、そのような距離Dとされている。つまり、調整用光束AB1,AB2の対称軸AB0−1が絞り開口41の面で光軸Lと交わるような距離Dとされている。同様に、調整用画素116fの一対の光電変換部1162,1163が絞り開口41によって光軸Lにより等分割される一対の調整用光束AB3,AB4を受光する、そのような距離Dとされている。つまり、調整用光束AB3,AB4の対称軸AB0−2が絞り開口41の面で光軸Lと交わるような距離Dとされている。
この距離Dは、調整用画素116e,116fの位置、調整用画素116e,116fのマイクロレンズ1161の光学特性および一対の光電変換部1162,1163の相対的位置関係等により一義的に定まることから、予め求めておく。
そして、図17Aに示すように、撮影光軸L上に、距離Dをもって調整用絞り開口41を有する絞り筒体40をカメラボディ10の前面に装着し、同図の左側から撮像素子111に向けて照明光を照射する。
このときの調整用画素116eの一対の光電変換部1162,1163からの出力比が1及び/又は調整用画素116fの一対の光電変換部1162,1163からの出力比が1になるように、撮像素子パッケージ110を光軸L方向の何れかへ移動させる。これにより、予定焦点面FPに対する撮像素子111の撮像面114の位置をゼロに調整することができる。
なお、調整用画素116e,116fを何れか一方のみ配置し、同様の手順で撮像素子111の光軸L方向の位置を調整することもできる。
《撮像素子及び位置調整方法のさらに他の実施形態》
ところで、上述した実施形態では、撮影光学系の予定焦点面FPに撮像素子111の撮像面114が一致するように位置調整すると、調整用画素116は光軸Lについて対称な一対の調整用光束AB1,AB2を受光することを前提として説明した。
しかしながら、撮像素子111の製造誤差が原因となって、図18に示すように調整用光束AB1,AB2の対称軸AB0と光軸Lとには角度誤差ΔQが生じることがある。そこで、撮像素子毎に角度誤差ΔQを事前に計測しておき、既述した位置調整を行う際にこの計測された角度誤差ΔQによる影響を補正することもできる。
たとえば、撮像素子111の撮像面114の傾きを調整する場合、調整用画素116の出力比に応じた傾き角度を既述した手順で求め、この傾きがゼロではなく角度誤差ΔQとなるように撮像素子パッケージ111の撮像面114の傾きを調整する。これにより、さらに高精度で撮像面114を予定焦点面FPに一致させることができる。
こうした撮像面114等の角度誤差ΔQは、撮像素子パッケージ110のパッケージング工程の前、たとえば半導体ウェーハの状態又はこれをダイシングした半導体チップの状態で、撮像素子111の面を基準にして計測すると高精度に計測することができる。たとえば、撮像素子111の表面を基準面に押し当てた状態で図9A,図9Bに示すものと同様な構成で絞り開口41を通過する一対の調整用光束AB1,AB2に応じた一対の出力比Ib/Iaを計測し、この出力比に応じた角度データを角度誤差ΔQとすることができる。
また、こうして得られた角度誤差ΔQのデータは、撮像素子111そのものに記憶させておくこともできる。図19は撮像素子111を拡大して示す図であり、本実施形態の撮像素子111は、既述した撮像画素115や調整用画素116とこれを駆動する駆動用回路が造り込まれた撮像回路117と、EEPROMなどの不揮発性メモリ118とを有し、この不揮発性メモリ118に角度誤差ΔQを記憶させる。
これにより、撮像素子111として位置調整を行う際に、その撮像素子111固有の角度誤差ΔQを読み出すことができるので、別途に角度誤差のペアリング作業を行う必要がなく管理が容易で、しかも誤って別の撮像素子の角度誤差を用いてしまうおそれもない。
なお、不揮発性メモリ118に記憶させる誤差として、上記誤差ΔQに代えて調整用画素116の設計値に対する誤差とすることもできる。
《位置調整方法のさらに他の実施形態》
以上の説明においては、撮像素子111の撮像面114が予定焦点面FPに正確に位置調整された場合に、所定面において光軸Lに対して対称な領域を通過する一対の調整用光束AB1,AB2を、調整用画素116が受光するものとした。
しかしながら、特定された位置であれば光軸L以外の位置に対して対称な領域を通過する一対の調整用光束を用いて撮像素子の位置調整を行うことも可能である。この場合には、特定された位置に対して対称となる絞り開口を有する絞り筒体を用い、一対の調整用光束に対応する調整用画素の一対の出力が等しくなるように予定焦点面に対して撮像面を調整する。
《撮像素子のさらに他の実施形態》
以上の説明においては、撮像素子111に設けられる調整用画素116,116a〜116fを、撮像素子パッケージ110をカメラボディ10に組み付ける際の位置調整に用いた。しかしながら、この調整用画素は、デジタルスチルカメラ1として使用する場合の焦点検出用画素として兼用することもできる。
図20は、本発明のさらに他の実施形態に係る撮像素子111の画素配列を模式的に示す正面図、図21は図20のXXI部を拡大して示す正面図である。図20では便宜的に図21のような画素の表示を省略する。
本実施形態の撮像画素111は、複数の撮像画素115が、撮像面114を構成する平面上に二次元的に配列され、緑色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する緑画素Gと、赤色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する赤画素Rと、青色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する青画素Bがいわゆるベイヤー配列されたものである。
また、撮像面114を構成する平面上には、既述した調整用画素116が複数並列された調節用画素列116A〜116Eが配列されている。撮像素子111の中心を含む領域には調整用画素列116A、その上下の領域には調整用画素列116B,116C、その左右の領域には調整用画素列116D,116Eが配列されている。一つの画素列は、図21に示すようにたとえば複数の調整用画素116を一列に配置したものである。
これら複数の調整用画素列116A〜116Eは、たとえば使用者の手動操作によって所望の画素列を選択することができ、選択された調整用画素列により撮像光学系の焦点調節状態が検出される。
次に、上述した調整用画素列116A〜116Eの出力に基づいて焦点を調節する、いわゆる瞳分割位相差検出方式について説明する。
図22は、図21のXXII-XXII線に沿う断面図であり、撮影光軸L上に配置された調整用画素116−1と、これに隣接する調整用画素116−2が、射出瞳260の測距瞳261,262から照射される光束AB1-1,AB2−1,AB2−1,AB2−2を受光することを示す。ただし、その他の調整用画素についても、一対の光電変換部は一対の測距瞳261,262から照射される一対の光束を受光する。
ここで、射出瞳260とは、交換レンズ20の予定焦点面に配置された調整用画素116のマイクロレンズ1161の前方D3の位置に設定された像である。距離D3は、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部との距離などに応じて一義的に決まる値であって、この距離D3を測距瞳距離と称する。また、測距瞳261,262とは、調整用画素116のマイクロレンズ1161により投影された光電変換部1162,1163の像をいう。
なお、同図において調整用画素116−1,116−2の配列方向は一対の測距瞳261,262の並び方向と一致している。
調整用画素116のマイクロレンズ1161−1,1161−2は、交換レンズ20の予定焦点面近傍に配置されており、光軸L上に配置されたマイクロレンズ1161−1により、その背後に配置された一対の光電変換部1162−1,1163−1の形状が測距瞳距離D3だけ離れた射出瞳206上に投影され、その投影形状は測距瞳261,262を形成する。
同様に、光軸L上から離間して配置されたマイクロレンズ1161−2により、その背後に配置された一対の光電変換部1162−2,1163−2の形状が測距瞳距離D3だけ離れた射出瞳206上に投影され、その投影形状は測距瞳261,262を形成する。
すなわち、測距瞳距離D3にある射出瞳260上で、各調整用画素116の光電変換部1162,1163の投影形状(測距瞳261,262)が一致するように各画素116の投影方向が決定されている。
なお、調整用画素116−1の光電変換部1162−1は、一方の測距瞳261を通過しマイクロレンズ1161−1に向かう一方の焦点検出光束AB1−1により、マイクロレンズ1161−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。これに対して、光電変換部1163−1は、他方の測距瞳262を通過しマイクロレンズ1161−1に向かう他方の焦点検出光束AB2−1により、マイクロレンズ1161−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
同様に、調整用画素116−2の光電変換部1162−2は、一方の測距瞳261を通過しマイクロレンズ1161−2に向かう一方の焦点検出光束AB1−2により、マイクロレンズ1161−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。これに対して、光電変換部1163−2は、他方の測距瞳262を通過しマイクロレンズ1161−2に向かう他方の焦点検出光束AB2−2により、マイクロレンズ1161−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
以上の調整用画素116を、図21に示すように直線状に複数配置し、各調整用画素116の一対の光電変換部1162,1163の出力を、測距瞳261と測距瞳262のそれぞれに対応した出力グループにまとめることにより、測距瞳261と測距瞳262のそれぞれを通過する焦点検出光束AB1,AB2が調整用画素列上に形成する一対の像の強度分布に関するデータが得られる。この強度分布データに対し、相関演算処理又は位相差検出処理などの像ズレ検出演算処理を施すことにより、いわゆる瞳分割位相差検出方式による像ズレ量を検出することができる。
そして、得られた像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔に応じた変換演算を施すことにより、予定焦点面に対する現在の焦点面(予定焦点面上のマイクロレンズアレイの位置に対応した焦点検出位置における焦点面をいう。)の偏差、すなわちデフォーカス量を求めることができる。
以上の焦点調節状態の検出ステップを含む本実施形態に係るカメラ1の動作例について説明する。図23は本実施形態のデジタルスチルカメラ1の動作例を示すフローチャートである。
まず、ステップS100でカメラ1の電源がONされると、ステップS110にて撮像素子111の露光制御が実行される。
次いで、ステップS120にて撮像画素115と調整用画素116からデータを読み出し、撮像画素115の画像データを液晶表示素子130に表示させる。なお、焦点の検出にどの調整用画素列116A〜116Eを選択するかは予め使用者等により設定されている。
次いで、ステップS130にて設定された調整用画素列116A〜116Eに対応した一対の像データに基づいて調整用画素116の出力を読み出し、上述した瞳分割位相差検出方式により像ズレ量を演算し、さらに光学系のデフォーカス量を算出する。
次いで、ステップS140にて、算出されたデフォーカス量の絶対値が所定値以内であるか否か、すなわち合焦位置の近傍にあるか否かを判断する。
そして、ステップS140の判断の結果、現在のフォーカシング用レンズ230の位置が合焦位置の近傍にあるときはステップS160へ進んで使用者によるシャッターリレーズ操作を待機する。
これに対してステップS140の判断の結果、現在のフォーカシング用レンズ230の位置が合焦位置から所定値以上離れているときは、レンズCPU250へ算出されたデフォーカス量を送出し、フォーカシング用レンズ230を駆動したのちステップS100へ戻り、ステップS100〜ステップS140の動作を繰り返す。
なお、図示はしないが、ステップS140による判断結果が焦点検出不能であるときは、レンズCPU250にスキャン駆動命令を送出し、フォーカシング用レンズ230を無限端と至近端との間でスキャン駆動させたのちステップS100へ戻り、再びステップS100〜ステップS140の動作を繰り返す。
ステップS160にて使用者によるシャッターリレーズの入力が確認されたら、ステップS170にて撮像素子111の露光制御を実行し、撮像画素115と調整用画素116の画像データを読み出す。
そして、ステップS180では、調整用画素列116A〜116Eの各画素位置における画素データを、調整用画素116の画像データと周囲の撮像画素115の画像データとに基づいて補間演算する。これは、調整用画素116はカラーフィルタが設けられていない画素であるためそのまま画像データが使用できないからである。
最後に、撮像画素115の画像データ及び補間された画像データからなる画像データをメモリカード160に保存したのち、ステップS100へ戻って以上の動作を繰り返す。
本実施形態では、撮像素子パッケージ110の組み立て時において用いた調整用画素116を焦点検出用画素としても兼用することができるので、別途専用の調整用画素116を撮像素子111に設ける必要がない。
なお、上述した実施形態では調整用画素116にカラーフィルタを設けてないが、調整用画素116を配置した位置に相当する撮像画素115の色のカラーフィルタを設けることもできる。この場合は、補間演算することなく、調整用画素116の出力をそのまま画像データとして用いることができる。