JP2009049142A - 後方散乱強度生成方法および後方散乱強度生成プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】荷電粒子の透過経路の履歴を考慮してレジストに戻ってくる荷電粒子のエネルギーを計算し、高精度に後方散乱強度を生成すること。
【解決手段】荷電粒子が有するエネルギーを複数の範囲に分類したエネルギー区分が与えられる。ある層における荷電粒子の反射係数、透過係数および散乱長は、その層に入射する荷電粒子の前記エネルギー区分ごとで、かつその層を透過する荷電粒子またはその層で反射される荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与えられる。また、それら反射係数、透過係数および散乱長は、各層を構成する物質ごとに与えられる。これらの反射係数、透過係数および散乱長に基づいて、ある層を下へ向かって透過する荷電粒子の量、その層で反射される荷電粒子の量、その層を上へ向かって透過する荷電粒子の量を、それぞれ、エネルギー区分ごとに求め、最終的にレジストに戻る電子の量をエネルギー区分ごとに求める。
【選択図】図1
【解決手段】荷電粒子が有するエネルギーを複数の範囲に分類したエネルギー区分が与えられる。ある層における荷電粒子の反射係数、透過係数および散乱長は、その層に入射する荷電粒子の前記エネルギー区分ごとで、かつその層を透過する荷電粒子またはその層で反射される荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与えられる。また、それら反射係数、透過係数および散乱長は、各層を構成する物質ごとに与えられる。これらの反射係数、透過係数および散乱長に基づいて、ある層を下へ向かって透過する荷電粒子の量、その層で反射される荷電粒子の量、その層を上へ向かって透過する荷電粒子の量を、それぞれ、エネルギー区分ごとに求め、最終的にレジストに戻る電子の量をエネルギー区分ごとに求める。
【選択図】図1
Description
この発明は、電子ビーム等を用いた荷電粒子ビーム露光における後方散乱強度を生成する後方散乱強度生成方法および後方散乱強度生成プログラムに関する。
従来、レジストの下の層の組み合わせを考慮して後方散乱の影響を計算する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この提案では、各層において、その構成材料ごとに、電子の反射係数、透過係数、拡散長といったパラメータを定義し、各構成材料が存在する面積密度(占有率)で重み付けをして、層間での電子の流れ、換言すればエネルギーの流れを計算するようにしている。
図13は、従来の後方散乱強度生成方法の原理を説明する図である。図13に示すように、基板(0番目の層)上に、N−1層(1番目の層からN−1番目の層)が順に積層され、最上層にレジスト(N番目の層)が形成されている場合を想定する。そして、ここではエネルギーの流れ(電子の流れ)を次のように考える。図中矢印で示すように、まず、エネルギー(または電子数)ENの電子がレジストを透過してN−1番目の層に入射し、そのうち、透過係数TN-1に応じたエネルギーEN-1の電子はN−1番目の層を透過し、反射係数RN-1に応じたエネルギーEN-1'の電子はN−1番目の層で反射されてレジストに戻る。そして、N−1番目の層を透過してN−2番目の層に入射したエネルギーEN-1の電子のうち、この層の透過係数に応じたエネルギーEN-2の電子はN−2番目の層を透過してN−3番目の層に入射し、この層の反射係数に応じたエネルギーEN-2'の電子はN−2番目の層で反射される。このようにして1番目の層では、入射した電子のうち、透過係数に応じたエネルギーE1の電子が透過し、反射係数に応じたエネルギーE1'の電子が反射される。また、基板に入射したエネルギーE1の電子のうちエネルギーE0'の電子がその反射係数に応じて基板で反射される。
一方、エネルギーE0'の電子のうち、1番目の層の透過係数に応じ、エネルギーE1"の電子は、1番目の層を透過して2番目の層へと入射する。その際、2番目の層には、このエネルギーE1"の電子のほかに、1番目の層で反射されたエネルギーE1'の電子も入射する。同様にして、N−1番目の層には、N−2番目の層を透過するエネルギーEN-2"の電子とN−2番目の層で反射されたエネルギーEN-2'の電子が入射する。最終的にレジストには、透過係数TN-1に応じてN−1番目の層を透過するエネルギーEN-1"の電子と、反射係数RN-1に応じてN−1番目の層で反射されたエネルギーEN-1'の電子が戻ってくることになる。
このようなエネルギーの流れに基づき、最上層から最下層まで再帰的に計算し、最終的に、レジストに戻ってきたエネルギーを後方散乱によってレジストに吸収されたエネルギーとする。この計算方法では、各構成材料の透過係数や反射係数等を用い、各層の各構成材料による電子の反射や透過、遮蔽効果等を加味するため、正確に後方散乱強度を計算することが可能になっている。
しかしながら、上述した従来の後方散乱強度生成方法では、次のような問題点がある。図14は、透過経路によって電子のエネルギー分布に違いが生じることを説明する図である。例えば図14において符号1で示すモデルのように、ある層2を電子(e-)が透過する際、Cu部分を透過する経路とSiO2部分を透過する経路があるとする。この場合、Cu部分を透過する方がSiO2部分を透過するよりも電子のエネルギーの減衰が大きいので、層2の下の層3で電子が同じ所に到達しても、同図において符号5で示すCu部分を透過した電子のエネルギー分布T1と、符号6で示すSiO2部分を透過した電子のエネルギー分布T2に差が生じる。つまり、Cu部分を透過した電子とSiO2部分を透過した電子では、透過能力に違いが生じる。従って、さらに下の層4を透過する電子の量を計算する際には、Cu部分を透過した電子とSiO2部分を透過した電子とで異なる透過係数を用いる必要がある。しかし、従来の後方散乱強度生成方法では、このような透過経路による電子のエネルギー分布の違いを考慮せずに、同じ透過係数を用いて計算しているため、十分に高い精度が得られない。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、電子等の荷電粒子の透過経路の履歴を考慮してレジストに戻ってくる荷電粒子の量を計算することによって、高精度に後方散乱強度を生成することができる後方散乱強度生成方法および後方散乱強度生成プログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる後方散乱強度生成方法および後方散乱強度生成プログラムは、以下の特徴を有する。荷電粒子が有するエネルギーを複数の範囲に分類したエネルギー区分が与えられる。ある層における荷電粒子の反射係数、透過係数および散乱長は、その層に入射する荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、かつその層を透過する荷電粒子またはその層で反射される荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与えられる。また、それら反射係数、透過係数および散乱長は、各層を構成する物質ごとに与えられる。従って、反射係数、透過係数および散乱長は、各層を構成する物質ごとに、[入射する荷電粒子のエネルギー区分の数]×[透過する荷電粒子のエネルギー区分の数]のマトリクスと、[入射する荷電粒子のエネルギー区分の数]×[反射される荷電粒子のエネルギー区分の数]のマトリクスとして与えられる。そして、このようなマトリクスとして与えられる反射係数、透過係数および散乱長に基づいて、ある層を透過する荷電粒子の量、およびその層で反射される荷電粒子の量が、それぞれ、エネルギー区分ごとに求められる。
図1は、この発明の原理を説明する図である。図1において、符号11は、ある層に入射する電子のエネルギー分布を示す図である。電子の有するエネルギーを第1から第5までの5つの範囲に分ける場合を例にして説明すると、このエネルギー分布11において、E1、E2、E3、E4およびE5は、それぞれ、ある層に入射する電子のうち、第1、第2、第3、第4および第5のエネルギー区分内のエネルギーを有する電子の量である。
符号12、符号13、符号14、符号15および符号16は、それぞれ、第1、第2、第3、第4および第5のエネルギー区分内のエネルギーを有してある層に入射した電子のうち、その層を透過した電子のエネルギー分布を示す図である。各エネルギー分布12,13,14,15,16において、2桁の数字が添え字として付いたtは、ある層を透過する電子の透過係数である。その添え字において、左側の数字は、その層に入射する電子のエネルギーが属するエネルギー区分を表しており、右側の数字は、その層を透過してその層から出射する電子のエネルギーが属するエネルギー区分を表している。例えば、t32は、第3のエネルギー区分内のエネルギーを有してある層に入射し、その層を透過して第2のエネルギー区分内のエネルギーを有してその層から出射する電子の透過係数である。
図1にも示されているように、ある層に入射した電子のうち、その層を透過して第1のエネルギー区分内のエネルギーを有してその層から出射する電子の量は、次の(1)式で表される。同様に、第2、第3、第4および第5のエネルギー区分内のエネルギーを有してその層から出射する電子の量は、それぞれ、次の(2)式、(3)式、(4)式および(5)式で表される。なお、ある層で反射される電子についても同様であり、透過係数に代えて反射係数を用いればよい。
この発明によれば、ある層に入射する電子のエネルギーと、その層を透過またはその層で反射されてその層を出射する電子のエネルギーの両方を考慮して、透過係数、反射係数および散乱長が与えられるので、電子の透過経路の履歴を考慮してレジストに戻ってくる電子の量を計算することができる。
本発明にかかる後方散乱強度生成方法および後方散乱強度生成プログラムによれば、荷電粒子の透過経路の履歴を考慮してレジストに戻ってくる荷電粒子の量を計算することができるので、高精度に後方散乱強度を生成することができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる後方散乱強度生成方法および後方散乱強度生成プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
(後方散乱強度生成装置のハードウェア構成)
まず、この発明の実施の形態にかかる後方散乱強度生成装置のハードウェア構成について説明する。図2は、この発明の実施の形態にかかる後方散乱強度生成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
まず、この発明の実施の形態にかかる後方散乱強度生成装置のハードウェア構成について説明する。図2は、この発明の実施の形態にかかる後方散乱強度生成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2において、後方散乱強度生成装置は、CPU101と、ROM102と、RAM103と、HDD(ハードディスクドライブ)104と、HD(ハードディスク)105と、FDD(フレキシブルディスクドライブ)106と、着脱可能な記録媒体の一例としてのFD(フレキシブルディスク)107と、ディスプレイ108と、I/F(インターフェース)109と、キーボード110と、マウス111と、スキャナ112と、プリンタ113と、を備えている。また、各構成部は、バス100によってそれぞれ接続されている。
ここで、CPU101は、後方散乱強度生成装置の全体の制御を司る。ROM102は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶している。RAM103は、CPU101のワークエリアとして使用される。HDD104は、CPU101の制御に従ってHD105に対するデータのリード/ライトを制御する。HD105は、HDD104の制御で書き込まれたデータを記憶する。
FDD106は、CPU101の制御に従ってFD107に対するデータのリード/ライトを制御する。FD107は、FDD106の制御で書き込まれたデータを記憶したり、FD107に記憶されたデータを後方散乱強度生成装置に読み取らせたりする。
また、着脱可能な記録媒体として、FD107のほか、CD−ROM(CD−R、CD−RW)、MO、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリーカードなどであってもよい。ディスプレイ108は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する。このディスプレイ108は、例えば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。
I/F109は、通信回線を通じてインターネットなどのネットワーク114に接続され、このネットワーク114を介して他の装置に接続される。そして、I/F109は、ネットワーク114と内部のインターフェースを司り、外部装置からのデータの入出力を制御する。I/F109には、例えばモデムやLANアダプタなどを採用することができる。
キーボード110は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを備え、データの入力を行う。また、タッチパネル式の入力パッドやテンキーなどであってもよい。マウス111は、カーソルの移動や範囲選択、あるいはウィンドウの移動やサイズの変更などを行う。ポインティングデバイスとして同様に機能を備えるものであれば、トラックボールやジョイスティックなどであってもよい。
スキャナ112は、画像を光学的に読み取り、後方散乱強度生成装置内に画像データを取り込む。なお、スキャナ112は、OCR機能を持たせてもよい。また、プリンタ113は、画像データや文書データを印刷する。プリンタ113には、例えば、レーザプリンタやインクジェットプリンタを採用することができる。
(後方散乱強度生成装置の機能的構成)
次に、この発明の実施の形態にかかる後方散乱強度生成装置の機能的構成について説明する。以下の説明では、荷電粒子は電子であるとする。また、露光装置の加速電圧は50keVであるとする。この場合、電子のエネルギーは最大で50keVである。また、電子のエネルギーを、0keV以上10keV以下の第1のエネルギー区分、10keVよりも大きく、かつ20keV以下の第2のエネルギー区分、20keVよりも大きく、かつ30keV以下の第3のエネルギー区分、30keVよりも大きく、かつ40keV以下の第4のエネルギー区分、40keVよりも大きく、かつ50keV以下の第5のエネルギー区分の5つに分けるとする。
次に、この発明の実施の形態にかかる後方散乱強度生成装置の機能的構成について説明する。以下の説明では、荷電粒子は電子であるとする。また、露光装置の加速電圧は50keVであるとする。この場合、電子のエネルギーは最大で50keVである。また、電子のエネルギーを、0keV以上10keV以下の第1のエネルギー区分、10keVよりも大きく、かつ20keV以下の第2のエネルギー区分、20keVよりも大きく、かつ30keV以下の第3のエネルギー区分、30keVよりも大きく、かつ40keV以下の第4のエネルギー区分、40keVよりも大きく、かつ50keV以下の第5のエネルギー区分の5つに分けるとする。
また、エネルギー区分ごとに反射係数、透過係数、層で反射された電子(以下、反射電子とする)の散乱長βrおよび層を透過する電子(以下、透過電子とする)の散乱長βtの4種類のパラメータが設定される。ここでは、それぞれ、反射係数Ro,e1,e2、透過係数To,e1,e2、反射電子の散乱長βro,e1,e2および透過電子の散乱長βto,e1,e2と表すこととする。
この表記の添え字において、oは層を構成する物質(例えば、CuやSiO2)を表し、e1は入射する電子のエネルギー区分(以下、入射エネルギー区分とする)を表し、e2は反射される電子のエネルギー区分(以下、反射エネルギー区分とする)または透過する電子のエネルギー区分(以下、透過エネルギー区分とする)を表す。従って、TCu,1,1は、第1のエネルギー区分に含まれるエネルギーを有する電子がCu部分に入射し、第1のエネルギー区分に含まれるエネルギーを有して透過してくる電子量の割合を表す
。
。
図3は、この発明の実施の形態にかかる後方散乱強度生成装置の機能的構成を示すブロック図である。図3に示すように、後方散乱強度生成装置は、下方透過電子演算部20、上方透過電子演算部30、反射電子演算部40、レジスト感度演算部50、透過係数/散乱長データ61および反射係数/散乱長データ66を備えている。
下方透過電子演算部20は、露光データ71と透過係数/散乱長データ61が与えられると、レジストから基板へ向かって各層を透過する電子の量を演算して求める。その際、電子の量は、第1のエネルギー区分演算部21、第2のエネルギー区分演算部22、第3のエネルギー区分演算部23、第4のエネルギー区分演算部24および第5のエネルギー区分演算部25により、エネルギー区分ごとに演算される。
反射電子演算部40は、露光データ71と反射係数/散乱長データ66が与えられると、各層で反射される電子の量を演算して求める。その際、電子の量は、第1のエネルギー区分演算部41、第2のエネルギー区分演算部42、第3のエネルギー区分演算部43、第4のエネルギー区分演算部44および第5のエネルギー区分演算部45により、エネルギー区分ごとに演算される。
上方透過電子演算部30は、下方透過電子演算部20から透過電子のエネルギー量および反射電子演算部40から反射電子のエネルギー量がそれぞれエネルギー区分ごとに与えられ、かつ露光データ71(下層に作りこまれている配線パターンのデータを含む)と透過係数/散乱長データ61が与えられると、基板からレジストへ向かって各層を透過する電子の量を演算して求める。その際、電子の量は、第1のエネルギー区分演算部31、第2のエネルギー区分演算部32、第3のエネルギー区分演算部33、第4のエネルギー区分演算部34および第5のエネルギー区分演算部35により、エネルギー区分ごとに演算される。
レジスト感度演算部50は、上方透過電子演算部30から、レジストへ戻る電子の量をエネルギー区分ごとに分けて受け取る。レジストに対する電子の感度は、電子の有するエネルギーによって異なる。つまり、第1のエネルギー区分に含まれる電子の量と、第2のエネルギー区分に含まれる電子の量が同じであっても、レジストに蓄積されるエネルギーが異なる。そこで、レジスト感度演算部50は、エネルギー区分ごとに、レジストに戻ってくる電子の量に対して、このレジストに対する感度を考慮した補正を行い、後方散乱強度分布データ76を得る。
図4および図5は、透過係数/散乱長データの一例の一部を示す図である。図4には、前記透過係数/散乱長データ61の一部として、厚さ300nmの層間絶縁膜(SiO2)を透過する電子に対する透過係数/散乱長データ62が示されている。図5には、前記透過係数/散乱長データ61の一部として、厚さ300nmのCu配線部を透過する電子に対する透過係数/散乱長データ63が示されている。これらに示すように、透過係数と透過電子の散乱長は、層に入射する電子(以下、入射電子とする)の5つのエネルギー区分と透過電子の5つのエネルギー区分のマトリクスとして与えられる。
図6および図7は、反射係数/散乱長データの一例の一部を示す図である。図6には、前記反射係数/散乱長データ66の一部として、厚さ300nmの層間絶縁膜(SiO2)で反射される電子に対する反射係数/散乱長データ64が示されている。図7には、前記反射係数/散乱長データ66の一部として、厚さ300nmのCu配線部で反射される電子に対する反射係数/散乱長データ65が示されている。これらに示すように、反射係数と反射電子の散乱長は、入射電子の5つのエネルギー区分と反射電子の5つのエネルギー区分のマトリクスとして与えられる。透過係数/散乱長データおよび反射係数/散乱長データは、層の厚さが異なったり、層を構成する物質が異なると、設けられる。
なお、上述した下方透過電子演算部20、上方透過電子演算部30、反射電子演算部40およびレジスト感度演算部50は、具体的には、例えば、図2に示したROM102、RAM103、HD105などの記録媒体に記録されたプログラムを、CPU101が実行することによって、またはI/F109によって、その機能を実現する。また、透過係数/散乱長データ61および反射係数/散乱長データ66は、プログラムに記述されており、RAM103などに展開される。
(後方散乱強度生成処理手順)
次に、この発明の実施の形態にかかる後方散乱強度生成装置の処理手順について説明する。ここでは、図13に示す積層構造を想定する。図8は、この発明の実施の形態にかかる後方散乱強度生成装置の処理手順を示すフローチャートである。図8に示すように、処理が開始され、露光データ71が与えられると、まず、nの値をNに設定する(ステップS1)。そして、nの値を1だけデクリメントする(ステップS2)。次いで、第n番目の層を下層に向かって透過する電子のエネルギー分布Enを計算する(ステップS3)。また、第n番目の層で上層へ反射される電子のエネルギー分布En'を計算する(ステップS4)。EnおよびEn'の計算処理の詳細については、後述する。
次に、この発明の実施の形態にかかる後方散乱強度生成装置の処理手順について説明する。ここでは、図13に示す積層構造を想定する。図8は、この発明の実施の形態にかかる後方散乱強度生成装置の処理手順を示すフローチャートである。図8に示すように、処理が開始され、露光データ71が与えられると、まず、nの値をNに設定する(ステップS1)。そして、nの値を1だけデクリメントする(ステップS2)。次いで、第n番目の層を下層に向かって透過する電子のエネルギー分布Enを計算する(ステップS3)。また、第n番目の層で上層へ反射される電子のエネルギー分布En'を計算する(ステップS4)。EnおよびEn'の計算処理の詳細については、後述する。
次いで、nの値が0であるか否かを判断する(ステップS5)。0でない場合(ステップS5:No)、0番目の層、すなわち基板に未だ達していないので、ステップS2に戻り、nの値を1だけ小さくする(ステップS2)。これ以降、ステップS2〜ステップS5を繰り返し、基板へ向かって上から下へ1層ずつEnとEn'を求める。ステップS2でnの値を1だけデクリメントした結果、nの値が0になると、ステップS3およびステップS4においてn番目の層は基板であるので、ステップS3で基板を透過する電子の量は0となり、ステップS4で基板で反射される電子の量のみが計算で得られる。
そして、nの値が0であるので(ステップS5:Yes)、今度は、nの値を1だけインクリメントする(ステップS6)。これによって、基板の直上の1番目の層を上層に向かって透過する電子のエネルギー分布En"を計算する(ステップS7)。そして、1番目の層について、ステップS4で求めたEn'とステップS7で求めたEn"を足す(ステップS8)。En"の計算処理の詳細については、後述する。
次いで、nの値がN−1であるか否かを判断する(ステップS9)。N−1でない場合(ステップS9:No)、N−1番目の層、すなわちレジスト直下の層に未だ達していないので、ステップS6に戻り、nの値を1だけ大きくする(ステップS6)。これ以降、ステップS6〜ステップS9を繰り返し、レジストへ向かって下から上へ1層ずつEn"とEn'+En"を求める。ステップS9でnの値がN−1になると(ステップS9:Yes)、レジスト直下の層からレジストに戻る電子の量が得られるので、エネルギー区分ごとに、レジスト感度を考慮して実効的な後方散乱強度を計算することによって(ステップS10)、後方散乱強度分布データ76が得られる。
図9は、第n番目の層を下層に向かって透過する電子のエネルギー分布Enを計算する処理手順を示すフローチャートである。図9において、En+1,e1、En+1,e2、En+1,e3、En+1,e4およびEn+1,e5は、それぞれ、n+1番目の層を透過してn番目の層に入射する電子の、第1のエネルギー区分、第2のエネルギー区分、第3のエネルギー区分、第4のエネルギー区分および第5のエネルギー区分の電子の量である。また、En,e1、En,e2、En,e3、En,e4およびEn,e5は、それぞれ、n番目の層を透過して当該層から出射する電子の、第1のエネルギー区分、第2のエネルギー区分、第3のエネルギー区分、第4のエネルギー区分および第5のエネルギー区分の電子の量である。
Enを計算する際には、まず、En+1,e1データ201、En+1,e2データ202、En+1,e3データ203、En+1,e4データ204およびEn+1,e5データ205から、それぞれ、第1のエネルギー区分の入射電子の透過分布(ステップS21)、第2のエネルギー区分の入射電子の透過分布(ステップS22)、第3のエネルギー区分の入射電子の透過分布(ステップS23)、第4のエネルギー区分の入射電子の透過分布(ステップS24)、および第5のエネルギー区分の入射電子の透過分布を得る(ステップS25)。
ここで、En+1,e1データ201、En+1,e2データ202、En+1,e3データ203、En+1,e4データ204およびEn+1,e5データ205を合わせたものが、図1のエネルギー分布11に相当する。また、ステップS21、ステップS22、ステップS23、ステップS24およびステップS25は、それぞれ、図1のエネルギー分布12、エネルギー分布13、エネルギー分布14、エネルギー分布15およびエネルギー分布16を得ることに相当する。
各エネルギー区分の透過電子の分布が得られたら、前記(1)式〜(5)式のように、透過電子のエネルギー区分ごとに足し算を行う(ステップS26)。それによって、n番目の層を透過して当該層から出射する電子の、第1のエネルギー区分、第2のエネルギー区分、第3のエネルギー区分、第4のエネルギー区分および第5のエネルギー区分の電子の量のデータとして、それぞれ、En,e1データ211、En,e2データ212、En,e3データ213、En,e4データ214およびEn,e5データ215が得られる。
n−1番目の層を透過してその下へ向かう電子については、En,e1データ211、En,e2データ212、En,e3データ213、En,e4データ214およびEn,e5データ215を入射電子のデータとして用いて、ステップS21〜ステップS26を行う。以下、同様にして、各層を透過する電子の量をエネルギー区分ごとに求めることができる。
図10は、第n番目の層で上層へ反射される電子のエネルギー分布En'を計算する処理手順を示すフローチャートである。図10において、En,e1'、En,e2'、En,e3'、En,e4'およびEn,e5'は、それぞれ、n番目の層で反射されて当該層から出射する電子の、第1のエネルギー区分、第2のエネルギー区分、第3のエネルギー区分、第4のエネルギー区分および第5のエネルギー区分の電子の量である。
En'を計算する際には、まず、En+1,e1データ201、En+1,e2データ202、En+1,e3データ203、En+1,e4データ204およびEn+1,e5データ205から、それぞれ、第1のエネルギー区分の入射電子の反射分布(ステップS31)、第2のエネルギー区分の入射電子の反射分布(ステップS32)、第3のエネルギー区分の入射電子の反射分布(ステップS33)、第4のエネルギー区分の入射電子の反射分布(ステップS34)、および第5のエネルギー区分の入射電子の反射分布を得る(ステップS35)。
各エネルギー区分の反射電子の分布が得られたら、前記(1)式〜(5)式のように(ただし、透過電子を反射電子と読み替え、透過係数(t)の代わりに反射係数を用いる)、反射電子のエネルギー区分ごとに足し算を行う(ステップS36)。それによって、n番目の層で反射されて当該層から出射する電子の、第1のエネルギー区分、第2のエネルギー区分、第3のエネルギー区分、第4のエネルギー区分および第5のエネルギー区分の電子の量のデータとして、それぞれ、En,e1'データ221、En,e2'データ222、En,e3'データ223、En,e4'データ224およびEn,e5'データ225が得られる。各層において、当該層の直上の層を透過して当該層に入射する電子のデータを用いて、ステップS31〜ステップS36を行うことによって、各層で反射される電子の量をエネルギー区分ごとに求めることができる。
図11は、第n番目の層を上層に向かって透過する電子のエネルギー分布En"を計算する処理手順を示すフローチャートである。図11において、En-1,e1'、En-1,e2'、En-1,e3'、En-1,e4'およびEn-1,e5'は、それぞれ、n−1番目の層で反射されてn番目の層に入射する電子の、第1のエネルギー区分、第2のエネルギー区分、第3のエネルギー区分、第4のエネルギー区分および第5のエネルギー区分の電子の量である。また、En-1,e1"、En-1,e2"、En-1,e3"、En-1,e4"およびEn-1,e5"は、それぞれ、n−1番目の層を下から上へ透過して当該層から出射する電子の、第1のエネルギー区分、第2のエネルギー区分、第3のエネルギー区分、第4のエネルギー区分および第5のエネルギー区分の電子の量である。
En"を計算する際には、まず、En-1,e1'データ231およびEn-1,e1"データ241から、第1のエネルギー区分の入射電子の透過分布を求める(ステップS41)。同様に、En-1,e2'データ232およびEn-1,e2"データ242、En-1,e3'データ233およびEn-1,e3"データ243、En-1,e4'データ234およびEn-1,e4"データ244、並びにEn-1,e5'データ235およびEn-1,e5"データ245から、それぞれ、第2のエネルギー区分の入射電子の透過分布(ステップS42)、第3のエネルギー区分の入射電子の透過分布(ステップS43)、第4のエネルギー区分の入射電子の透過分布(ステップS44)、および第5のエネルギー区分の入射電子の透過分布を得る(ステップS45)。
各エネルギー区分の透過電子の分布が得られたら、前記(1)式〜(5)式のように、透過電子のエネルギー区分ごとに足し算を行う(ステップS46)。それによって、n番目の層を透過して当該層から上へ向かって出射する電子の、第1のエネルギー区分、第2のエネルギー区分、第3のエネルギー区分、第4のエネルギー区分および第5のエネルギー区分の電子の量のデータとして、それぞれ、En,e1"データ251、En,e2"データ252、En,e3"データ253、En,e4"データ254およびEn,e5"データ255が得られる。
n+1番目の層を透過してその上へ向かう電子については、En,e1"データ251、En,e2"データ252、En,e3"データ253、En,e4"データ254およびEn,e5"データ255と、En,e1'データ、En,e2'データ、En,e3'データ、En,e4'データおよびEn,e5'データを入射電子のデータとして用いて、ステップS41〜ステップS46を行う。以下、同様にして、各層を上へ向かって透過する電子の量をエネルギー区分ごとに求めることができる。そして、レジスト直下の層を透過してその上へ向かう電子の量をエネルギー区分ごとに求めることによって、レジストに戻ってくる電子の量をエネルギー区分ごとに求めることができる。
一例として、第1のエネルギー区分について計算式を示すと、次のようになる。ただし、ここでは、説明を簡単にするため、各層を構成する物質の分布、例えばCu部分やSiO2部分の分布を考慮していない。
前記ステップS3およびステップS21〜ステップS26において、n番目の層には、n+1番目の層からEn+1,e1、En+1,e2、En+1,e3、En+1,e4およびEn+1,e5の電子が入射する。従って、n番目の層を透過して当該層からその下へ、En,e1、En,e2、En,e3、En,e4およびEn,e5の電子が出射する。そのうち、第1のエネルギー区分のエネルギーを有する電子の量En,e1は、次の(6)式で表される。
また、前記ステップS4およびステップS31〜ステップS36において、n番目の層で反射されて当該層からその上へ、En,e1'、En,e2'、En,e3'、En,e4'およびEn,e5'の電子が出射する。そのうち、第1のエネルギー区分のエネルギーを有する電子の量En,e1'は、次の(7)式で表される。
また、前記ステップS7およびステップS41〜ステップS46において、n番目の層には、n−1番目の層を下から上へ透過したEn-1,e1"、En-1,e2"、En-1,e3"、En-1,e4"およびEn-1,e5"の電子と、n−1番目の層で反射されたEn-1,e1'、En-1,e2'、En-1,e3'、En-1,e4'およびEn-1,e5'の電子がn−1番目の層から入射する。そして、n番目の層を透過して当該層からその上へ、En,e1"、En,e2"、En,e3"、En,e4"およびEn,e5"の電子が出射する。そのうち、第1のエネルギー区分のエネルギーを有する電子の量En,e1"は、次の(8)式で表される。
nを順に変えながらEn,e1、En,e1'およびEn,e1"を求めることによって、最終的にレジストに戻る電子の量がエネルギー区分ごとに得られる。各エネルギー区分のレジストに戻る電子の量は、次のようになる。第1のエネルギー区分では、EN-1,e1'とEN-1,e1"の和である。第2のエネルギー区分では、EN-1,e2'とEN-1,e2"の和である。第3のエネルギー区分では、EN-1,e3'とEN-1,e3"の和である。第4のエネルギー区分では、EN-1,e4'とEN-1,e4"の和である。第5のエネルギー区分では、EN-1,e5'とEN-1,e5"の和である。
ステップS10では、各エネルギー区分のレジストに戻る電子量に対して、レジスト感度の補正が行われる。各エネルギー区分の電子がレジストに及ぼす影響をSeとすると、最終的な後方散乱強度は、次の(9)式で表される。
ここまでは、各層内の電子量の分布や構成物質の面内分布については、特に言及していない。従って、電子量En,e、EN-1,e'およびEN-1,e"は、各層において1つずつである。しかし、実際には、各層において、電子量の分布や構成物質の面内分布を考慮した場合、層内の位置ごとに電子量の値を求める必要がある。そこで、各層をメッシュ状に分割し、メッシュごとに電子量を求めることによって、電子量の分布を得ることができる。以下に、電子量の分布や構成物質の面内分布を考慮して後方散乱強度の面内分布を求める方法について、詳細に説明する。
図12は、電子量の分布を得る方法を説明する図である。図12に示すように、各層をメッシュ状に分割し、x方向のメッシュ番号をiとし、y方向のメッシュ番号をjとする。これらiとjを用いて、各メッシュをメッシュ(i,j)と表記する。また、メッシュ(i,j)の電子量をEn,e(i,j)、EN-1,e(i,j)'およびEN-1,e(i,j)"と表記する。
ここでも、第1のエネルギー区分を例にして、En,e(i,j)、EN-1,e(i,j)'およびEN-1,e(i,j)"の求め方を説明する。n番目の層81は、Cu部分82やSiO2部分83で構成されている。メッシュ(i,j)におけるCu部分82またはSiO2部分83の面積密度は、物質をoとしてαo(i,j)と表される。このメッシュ(i,j)にはEn+1,e(i,j)の電子が入射するので、物質oに入射する電子は、[En+1,e(i,j)×αo(i,j)]となる。
これらの電子は、n番目の層81を透過する際に、その層を構成する物質によって散乱されて拡散する。従って、n番目の層81を透過してn−1番目の層84のメッシュ(i,j)に到達する電子量を求めるには、n番目の層81のメッシュ(i,j)に入射した電子だけでなく、メッシュ(i,j)周辺のメッシュに到達した電子の影響を積算する必要がある。ここでは、物質oで構成される層を透過または反射した電子は、ガウス分布に従って広がると仮定する。
そして、透過電子の散乱長βto,e1,e2は、入射電子のエネルギー区分と透過電子のエネルギー区分の組み合わせごとに、そのガウス分布の広がりの1/e幅であると定義する。また、反射電子の散乱長βro,e1,e2は、入射電子のエネルギー区分と反射電子のエネルギー区分の組み合わせごとに、そのガウス分布の広がりの1/e幅であると定義する。
この場合、注目するメッシュ(i,j)からx方向にl、y方向にmだけ離れたメッシュに入射した電子からの寄与Ato,e1,e2(l,m)およびAro,e1,e2(l,m)は、それぞれ、次の(10)式および(11)式で表される。これらの式において、aはメッシュのサイズである。
従って、n番目の層81を透過してn−1番目の層84のメッシュ(i,j)に入射する第1のエネルギー区分の電子量En,1(i,j)は、次の(12)式で表される。同様に、n番目の層81で反射される第1のエネルギー区分の電子量En,1(i,j)'、およびn番目の層81を下から上へ透過する第1のエネルギー区分の電子量En,1(i,j)"は、それぞれ、次の(13)式および(14)式で表される。
nを順に変えながらEn,e1(i,j)、En,e1(i,j)'およびEn,e1(i,j)"を求めることによって、最終的にレジストに戻る電子の量がエネルギー区分ごとに得られる。各エネルギー区分のレジストに戻る電子の量は、次のようになる。第1のエネルギー区分では、EN-1,e1(i,j)'とEN-1,e1(i,j)"の和である。第2のエネルギー区分では、EN-1,e2(i,j)'とEN-1,e2(i,j)"の和である。第3のエネルギー区分では、EN-1,e3(i,j)'とEN-1,e3(i,j)"の和である。第4のエネルギー区分では、EN-1,e4(i,j)'とEN-1,e4(i,j)"の和である。第5のエネルギー区分では、EN-1,e5(i,j)'とEN-1,e5(i,j)"の和である。
以上説明したように、実施の形態によれば、ある層に入射する電子のエネルギーと、その層を透過またはその層で反射されてその層を出射する電子のエネルギーの両方を考慮して、透過係数、反射係数および散乱長が与えられているので、電子の透過経路の履歴を考慮してレジストに戻ってくる電子の量を計算することができる。従って、荷電粒子ビーム露光における後方散乱強度を高精度に求めることができる。また、高精度の後方散乱強度を用いることによって、近接効果補正をより高精度に行うことが可能となる。その結果、パターン忠実度が上がり、歩留まりが向上する。
例えば、特開2001−52999号公報には、荷電粒子ビーム露光装置用露光データの作成において、出来上がりパターン寸法精度向上のために近接効果補正を行う荷電粒子ビーム露光方法が開示されている。この公報には、補正露光量を規定する式が開示されている(当該公報の請求項4)。この式のαp'ηの代わりに、前記(15)式で表される後方散乱強度を代入することによって、多層構造における後方散乱強度を考慮した高精度な近接効果補正を行うことができる。ここで、ηは後方散乱係数であり、αp'は実効パターン面積密度である。
また、特開2002−313693号公報には、荷電粒子ビーム露光用の近接効果を補正するマスクパターンの作成方法が開示されている。この公報には、露光データ寸法Wを求めるための式が開示されている(当該公報の(2)式)。この式のα'ηの代わりに、前記(15)式で表される後方散乱強度を代入することによって、多層構造における後方散乱強度を考慮した高精度な近接効果補正を行うことができる。ここで、ηは後方散乱比率であり、α'は実効的な面積密度であり、α'ηは、面積密度法によって求めた実効的な後方散乱強度である。
また検証においても、前記(15)式で表される後方散乱強度を用いることによって、基板上にでき上がるパターンをシミュレーションにより予測し、断線やショートしやすいパターンを見つけることができるので、より精度良く危険箇所を抽出することができる。つまり、より高精度で適切な検証が可能となる。
なお、本実施の形態で説明した後方散乱強度生成方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
(付記1)各層が1つの物質または複数の物質のパターンをそれぞれ含む複数層上に形成されたレジスト層に荷電粒子ビームを照射した場合の、前記レジスト層への前記荷電粒子の後方散乱強度を生成する方法において、
前記複数層に含まれる第1の層へ入射される前記荷電粒子が有するエネルギーを分類する複数のエネルギー区分が与えられるとともに、
前記第1の層の反射係数、透過係数および散乱長が、前記第1の層を構成する物質ごとに、かつ前記第1の層へ入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与えられ、
前記エネルギー区分ごとに、前記反射係数、前記透過係数および前記散乱長に基づいて、前記第1の層を透過する荷電粒子の量および前記第1の層で反射される荷電粒子の量を求める第1の工程を含むことを特徴とする後方散乱強度生成方法。
前記複数層に含まれる第1の層へ入射される前記荷電粒子が有するエネルギーを分類する複数のエネルギー区分が与えられるとともに、
前記第1の層の反射係数、透過係数および散乱長が、前記第1の層を構成する物質ごとに、かつ前記第1の層へ入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与えられ、
前記エネルギー区分ごとに、前記反射係数、前記透過係数および前記散乱長に基づいて、前記第1の層を透過する荷電粒子の量および前記第1の層で反射される荷電粒子の量を求める第1の工程を含むことを特徴とする後方散乱強度生成方法。
(付記2)前記反射係数、前記透過係数および前記散乱長は、前記第1の層へ入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分のそれぞれに対して、前記第1の層から出射する前記荷電粒子のエネルギーを前記エネルギー区分で分類するときのエネルギー区分ごとに与えられることを特徴とする付記1に記載の後方散乱強度生成方法。
(付記3)前記第1の工程は、
前記第1の層に入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与えられる前記透過係数に基づいて、前記荷電粒子の透過分布を求める第2の工程と、
前記透過分布に基づいて、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層を透過して出射する前記荷電粒子の量を求める第3の工程と、
を含むことを特徴とする付記2に記載の後方散乱強度生成方法。
前記第1の層に入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与えられる前記透過係数に基づいて、前記荷電粒子の透過分布を求める第2の工程と、
前記透過分布に基づいて、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層を透過して出射する前記荷電粒子の量を求める第3の工程と、
を含むことを特徴とする付記2に記載の後方散乱強度生成方法。
(付記4)前記第1の工程は、
前記第1の層に入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与えられる前記反射係数に基づいて、前記荷電粒子の反射分布を求める第4の工程と、
前記反射分布に基づいて、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層で反射されて出射する前記荷電粒子の量を求める第5の工程と、
を含むことを特徴とする付記2に記載の後方散乱強度生成方法。
前記第1の層に入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与えられる前記反射係数に基づいて、前記荷電粒子の反射分布を求める第4の工程と、
前記反射分布に基づいて、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層で反射されて出射する前記荷電粒子の量を求める第5の工程と、
を含むことを特徴とする付記2に記載の後方散乱強度生成方法。
(付記5)前記第1の工程は、
前記第1の層に上から入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与えられる前記透過係数に基づいて、前記荷電粒子の第1の透過分布を求める第2の工程と、
前記第1の透過分布に基づいて、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層を透過してその下の層へ出射する前記荷電粒子の量を求める第3の工程と、
前記第1の層に入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与えられる前記反射係数に基づいて、前記荷電粒子の反射分布を求める第4の工程と、
前記反射分布に基づいて、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層で反射されて出射する前記荷電粒子の量を求める第5の工程と、
前記第1の層に下から入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与えられる前記透過係数に基づいて、前記第1の層の下の層を透過して前記第1の層に入射する前記荷電粒子と前記第1の層の下の層で反射されて前記第1の層に入射する前記荷電粒子について第2の透過分布を求める第6の工程と、
前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第2の透過分布に基づいて、前記第1の層を透過してその上の層へ出射する前記荷電粒子の量を求める第7の工程と、
を含み、前記第2の工程、前記第3の工程、前記第4の工程および前記第5の工程を最下層まで繰り返し行い、前記第6の工程および前記第7の工程を最上層まで繰り返し行うことを特徴とする付記2に記載の後方散乱強度生成方法。
前記第1の層に上から入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与えられる前記透過係数に基づいて、前記荷電粒子の第1の透過分布を求める第2の工程と、
前記第1の透過分布に基づいて、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層を透過してその下の層へ出射する前記荷電粒子の量を求める第3の工程と、
前記第1の層に入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与えられる前記反射係数に基づいて、前記荷電粒子の反射分布を求める第4の工程と、
前記反射分布に基づいて、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層で反射されて出射する前記荷電粒子の量を求める第5の工程と、
前記第1の層に下から入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与えられる前記透過係数に基づいて、前記第1の層の下の層を透過して前記第1の層に入射する前記荷電粒子と前記第1の層の下の層で反射されて前記第1の層に入射する前記荷電粒子について第2の透過分布を求める第6の工程と、
前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第2の透過分布に基づいて、前記第1の層を透過してその上の層へ出射する前記荷電粒子の量を求める第7の工程と、
を含み、前記第2の工程、前記第3の工程、前記第4の工程および前記第5の工程を最下層まで繰り返し行い、前記第6の工程および前記第7の工程を最上層まで繰り返し行うことを特徴とする付記2に記載の後方散乱強度生成方法。
(付記6)前記第6の工程および前記第7の工程の繰り返しにより前記エネルギー区分ごとに求められるレジストに戻る前記荷電粒子の量に対して、前記エネルギー区分ごとに、前記荷電粒子のエネルギーに依存するレジスト感度を考慮して実効的な後方散乱強度を求め、全ての前記エネルギー区分の実効的な後方散乱強度を加算して最終的な後方散乱強度を求めることを特徴とする付記5に記載の後方散乱強度生成方法。
(付記7)各層が1つの物質または複数の物質のパターンをそれぞれ含む複数層上に形成されたレジスト層に荷電粒子ビームを照射した場合の、前記レジスト層への前記荷電粒子の後方散乱強度を生成する手順をコンピュータに実行させる後方散乱強度生成プログラムにおいて、
前記複数層に含まれる第1の層へ入射される前記荷電粒子が有するエネルギーを分類する複数のエネルギー区分を与えるとともに、
前記第1の層の反射係数、透過係数および散乱長を、前記第1の層を構成する物質ごとに、かつ前記第1の層へ入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与え、
前記エネルギー区分ごとに、前記反射係数、前記透過係数および前記散乱長に基づいて、前記第1の層を透過する荷電粒子の量および前記第1の層で反射される荷電粒子の量を求める第1の工程を含むことを特徴とする後方散乱強度生成プログラム。
前記複数層に含まれる第1の層へ入射される前記荷電粒子が有するエネルギーを分類する複数のエネルギー区分を与えるとともに、
前記第1の層の反射係数、透過係数および散乱長を、前記第1の層を構成する物質ごとに、かつ前記第1の層へ入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与え、
前記エネルギー区分ごとに、前記反射係数、前記透過係数および前記散乱長に基づいて、前記第1の層を透過する荷電粒子の量および前記第1の層で反射される荷電粒子の量を求める第1の工程を含むことを特徴とする後方散乱強度生成プログラム。
(付記8)各層が1つの物質または複数の物質のパターンをそれぞれ含む複数層上に形成されたレジスト層に荷電粒子ビームを照射した場合の、前記レジスト層への前記荷電粒子の後方散乱強度を生成する手順をコンピュータに実行させるための後方散乱強度生成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、
前記後方散乱強度生成プログラムは、
前記複数層に含まれる第1の層へ入射される前記荷電粒子が有するエネルギーを分類する複数のエネルギー区分を与えるとともに、
前記第1の層の反射係数、透過係数および散乱長を、前記第1の層を構成する物質ごとに、かつ前記第1の層へ入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与え、
前記エネルギー区分ごとに、前記反射係数、前記透過係数および前記散乱長に基づいて、前記第1の層を透過する荷電粒子の量および前記第1の層で反射される荷電粒子の量を求める第1の工程、を含むことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
前記後方散乱強度生成プログラムは、
前記複数層に含まれる第1の層へ入射される前記荷電粒子が有するエネルギーを分類する複数のエネルギー区分を与えるとともに、
前記第1の層の反射係数、透過係数および散乱長を、前記第1の層を構成する物質ごとに、かつ前記第1の層へ入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与え、
前記エネルギー区分ごとに、前記反射係数、前記透過係数および前記散乱長に基づいて、前記第1の層を透過する荷電粒子の量および前記第1の層で反射される荷電粒子の量を求める第1の工程、を含むことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
以上のように、本発明にかかる後方散乱強度生成方法および後方散乱強度生成プログラムは、半導体装置を製造する際の荷電粒子ビーム露光工程において用いられる露光データの生成に有用であり、特に、後方散乱強度を用いた近接効果の補正や検証に適している。
20 下方透過電子演算部
30 上方透過電子演算部
40 反射電子演算部
50 レジスト感度演算部
61 透過係数/散乱長データ
66 反射係数/散乱長データ
76 後方散乱強度分布データ
30 上方透過電子演算部
40 反射電子演算部
50 レジスト感度演算部
61 透過係数/散乱長データ
66 反射係数/散乱長データ
76 後方散乱強度分布データ
Claims (5)
- 各層が1つの物質または複数の物質のパターンをそれぞれ含む複数層上に形成されたレジスト層に荷電粒子ビームを照射した場合の、前記レジスト層への前記荷電粒子の後方散乱強度を生成する方法において、
前記複数層に含まれる第1の層へ入射される前記荷電粒子が有するエネルギーを分類する複数のエネルギー区分が与えられるとともに、
前記第1の層の反射係数、透過係数および散乱長が、前記第1の層を構成する物質ごとに、かつ前記第1の層へ入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与えられ、
前記エネルギー区分ごとに、前記反射係数、前記透過係数および前記散乱長に基づいて、前記第1の層を透過する荷電粒子の量および前記第1の層で反射される荷電粒子の量を求める第1の工程を含むことを特徴とする後方散乱強度生成方法。 - 前記反射係数、前記透過係数および前記散乱長は、前記第1の層へ入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分のそれぞれに対して、前記第1の層から出射する前記荷電粒子のエネルギーを前記エネルギー区分で分類するときのエネルギー区分ごとに与えられることを特徴とする請求項1に記載の後方散乱強度生成方法。
- 前記第1の工程は、
前記第1の層に入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与えられる前記透過係数に基づいて、前記荷電粒子の透過分布を求める第2の工程と、
前記透過分布に基づいて、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層を透過して出射する前記荷電粒子の量を求める第3の工程と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の後方散乱強度生成方法。 - 前記第1の工程は、
前記第1の層に入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与えられる前記反射係数に基づいて、前記荷電粒子の反射分布を求める第4の工程と、
前記反射分布に基づいて、前記第1の層から出射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに、前記第1の層で反射されて出射する前記荷電粒子の量を求める第5の工程と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の後方散乱強度生成方法。 - 各層が1つの物質または複数の物質のパターンをそれぞれ含む複数層上に形成されたレジスト層に荷電粒子ビームを照射した場合の、前記レジスト層への前記荷電粒子の後方散乱強度を生成する手順をコンピュータに実行させる後方散乱強度生成プログラムにおいて、
前記複数層に含まれる第1の層へ入射される前記荷電粒子が有するエネルギーを分類する複数のエネルギー区分を与えるとともに、
前記第1の層の反射係数、透過係数および散乱長を、前記第1の層を構成する物質ごとに、かつ前記第1の層へ入射する前記荷電粒子の前記エネルギー区分ごとに与え、
前記エネルギー区分ごとに、前記反射係数、前記透過係数および前記散乱長に基づいて、前記第1の層を透過する荷電粒子の量および前記第1の層で反射される荷電粒子の量を求める第1の工程を含むことを特徴とする後方散乱強度生成プログラム。
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JP2007213027A JP2009049142A (ja) | 2007-08-17 | 2007-08-17 | 後方散乱強度生成方法および後方散乱強度生成プログラム |
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-
2007
- 2007-08-17 JP JP2007213027A patent/JP2009049142A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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DE102010000612A1 (de) | 2009-03-03 | 2010-10-21 | Denso Corporation, Kariya-City | Vorrichtung zur Erfassung des Batterie-Zustands |
DE102010000612B4 (de) | 2009-03-03 | 2023-08-03 | Denso Corporation | Vorrichtung zur Erfassung des Batteriezustands |
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