JP2009047712A - 振動型角速度センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】 振動型角速度センサを構成する質量部が変位の際に受ける空気抵抗の低減、検出感度の向上、かつ小型化。
【解決手段】 基板10上に、質量部11と、質量部11を支持する梁14と、質量部を駆動する駆動用電極15,16と、駆動された状態の質量部11が角速度により変位し、その変位量を検出する検出部11f、26を有し、これら質量部11、駆動用電極15,16、及び検出部11f、26を被ってなるケース19を備えた振動型角速度センサにおいて、ケース19の質量部11に対応する部分に空気逃げ用の開口穴29を形成した。
【選択図】 図2
【解決手段】 基板10上に、質量部11と、質量部11を支持する梁14と、質量部を駆動する駆動用電極15,16と、駆動された状態の質量部11が角速度により変位し、その変位量を検出する検出部11f、26を有し、これら質量部11、駆動用電極15,16、及び検出部11f、26を被ってなるケース19を備えた振動型角速度センサにおいて、ケース19の質量部11に対応する部分に空気逃げ用の開口穴29を形成した。
【選択図】 図2
Description
本発明は、振動型角速度センサを構成する質量部が変位の際に受ける空気抵抗の低減を図り、検出感度を向上させ、かつ小型化可能にした振動型角速度センサに関する。
図5(A)、(B)は第1の従来例を示す図である。図5(A)はケースを取り外して見た振動型角速度センサ1を示す平面図で、10は絶縁性の基板、11は開口穴11a、側方に櫛形電極11b、11cが形成された導電性平板状の質量部、14は一端が固定部13によって基板10に固定され、他端が質量部11と一体に形成された図面上下方向に直線状に延在する梁、15、16は一端が基板10に固定され、他端が櫛形電極11b、11cと交互の間挿される櫛形電極15a、16aを有する固定の駆動電極である。ここで、櫛形電極11b、11cは、質量部11b、11cと共動し、固定の櫛形電極15a、16aと共に駆動部17、18を形成する。
図5(B)は図5(A)のA−A'線断面図で、19は質量部11、駆動部17、18、及び固定部13を被う絶縁性のケースである。基板10、ケース19には質量部11がZ軸方向に変位する際に検出する検出電極20、21が設けられている。図5(B)に示されるように、質量部11、櫛形電極15a、16aは基板10から浮いて形成され、また図示されていないが、櫛形電極11b、11cも同様に、基板10から浮いて形成されている。
図6(A)、(B)は、第2の従来例を示す図である。同図において、上記第1の従来例と対応する部分は同一符号を付す。図6(A)はケースを取り外して見た振動型角速度センサ2を示す平面図で、10は絶縁性の基板、11は開口穴11a、側方に櫛形電極11b、11c、上、下側に櫛形電極11d,11eが形成された導電性平板状の質量部、14は一端が固定部13によって基板10に固定され、他端が質量部11と一体に形成された梁、15、16は一端が基板10に固定され、他端が櫛形電極11b、11cと交互の間挿される櫛形電極15a、16aを有する固定の駆動電極、22、23は一端が基板10に固定され、他端が櫛形電極11d、11eと交互の間挿される櫛形電極22a、23aを有する固定の検出電極である。ここで、櫛形電極11b、11c、11d、11eは、質量部11と共動し、櫛形電極11b、11cは固定の櫛形電極15a、16aと共に駆動部17、18を形成し、櫛形電極11d、11eは、固定の櫛形電極22a、23aと共にY軸方向の変位を検出する検出部24、25を形成する。
図5(B)は図5(A)のA−A'線断面図で、19は質量部11、駆動部17、18、検出部24、25及び固定部13を被うケースである。基板10、ケース19には質量部11がZ軸方向に変位する際に検出する検出電極20、21が設けられている。図5(B)に示されるように、質量部11、櫛形電極15a、16aは基板10から浮いて形成され、また図示されていないが、櫛形電極11b、11c、11d、11eも同様に、基板10から浮いて形成されている。
しかるに、上記第1の従来例においては、図5(A)に示す如く、梁14が直線状に形成されているため、梁14の両側に空間が出来てしまい、基板10の面積に対する質量部の面積を大きくとれず、また、空気の粘性抵抗対策用の気体の逃げ穴11aを設けているため、さらに質量部11の質量が軽くなってしまいセンサの感度、及び小型化に適さないという課題があった。
また、図5(B)に示す如く、質量部11の厚みは、ケース19と基板10との間のギャップ寸法により制限されて振動子を厚くできず、さらに、質量部11は基板10と面で接触するため、スティッキングという固着現象が発生し、検出不能になる場合があり、センサの感度、及び安定性に適さないという課題があった。
上記第2の従来例においては、図6(A)、(B)に示す如く、角型の質量部11の4辺に櫛型電極11b、11c、11d、11eを設けると、基板10の面積に対する質量部11の面積を大きくとれず、また、空気の粘性抵抗対策用の気体の逃げ穴11aを設けると、さらに質量部11の質量が軽くなってしまい、センサの感度、及び小型化に適さないという課題があった。
本発明は、振動型角速度センサを構成する質量部が変位の際に受ける空気抵抗の低減を図り、検出感度を向上させ、かつ小型化可能にした振動型角速度センサを得ることを目的とする。
本発明の上記目的は、基板上に、質量部と、前記質量部を支持する梁と、前記質量部を駆動する駆動用電極と、駆動された状態の前記質量部が角速度により変位し、その変位量を検出する検出部を有し、これら質量部、駆動用電極、及び検出部を被ってなるケースを備えた振動型角速度センサにおいて、前記ケースの前記質量部に対応する部分に空気逃げ用の開口穴を形成したことによって達成できる。
また、前記開口穴は、前記質量部の大きさと同程度としたことによって達成できる。
本発明によれば、振動型角速度センサを構成する質量部が変位の際に受ける空気抵抗の低減を図り、検出感度を向上させ、かつ小型化可能にした振動型角速度センサを提供できる。
以下、図面に示した実施形態を参照して、本発明を詳細に説明する。図1(A)、(B)は本発明に係る振動型角速度センサの第1の実施形態を示す、それぞれケースを取り外してセンサを上から見た概略平面図、及び図1(A)のA−A'線断面図である。同図において、上記第1、及び第2の従来例と対応する部分は同一符号を付してある。
シリコン材料からなる質量部11と、質量部11の変位に応じて3軸方向(X、Y、Z)変形可能なL字形の梁14を有する。このL字形の梁14は、質量部11の図面で、上、下側から左右に延在し、中間部で基板10の上下の中央部側に折曲された形状となっている。梁14をL字形状にすることにより、質量部11が、図面に示す如く、上、下方向に延びた長形の大きな面積の形状に構成されている。
駆動部17、18は、質量部11の側方に形成された櫛形電極11b、11cと、固定された駆動電極15、16に形成され、櫛形電極11b、11cと交互に間挿された櫛形電極15a、15bとで構成されている。
符号26は検出電極である。後述する如く、質量部11が図1(A)のB方向へ変位したときに、質量部11の開口穴11aの端縁11fと、検出電極26との間の距離が変化し、これに伴う電気容量値の変化を検出する検出部を構成している。
図1(B)に示す如く、櫛形電極15a、16a、質量部11、また図示されていないが、質量部11に形成されている櫛型電極11b、11c、梁部14は、基板10上には固定されず浮いた状態で、物理量により変位出来る構成になっている。
駆動用電極15、16、質量部11の開口穴11a内に配置されている検出電極26、梁14の固定部13は基板10に固定されている。
図1(B)に示す如く、基板10とケース19には、質量部11に対応する距離が大きくなるように、段差27、28が形成されている。この段差27、28により、質量部11に厚み寸法を大きくとれ、空気の粘性抵抗を軽減することができ、感度を向上させる。また、質量部11と基板10、ケース19との距離を大きくとれることから、上述したスティッキング防止に効果的である。
次にこの装置の動作を説明する。角速度の検出は、例として、X軸方向に対向する外側の櫛型電極(11b、15a)、(11c、16a)それぞれにVt+Vdsin(ωt)、Vt−Vdsin(ωt)の電圧(Vt:直流バイアス電圧、Vdsin(ωt):駆動用交流電圧)を印加すると、内側との櫛型電極11b、11cに静電気力が生じ、駆動周波数を、X軸方向の共振周波数と等しくすると質量部11は、X軸方向に共振する。この状態で、Z軸回りに角速度(Ωz)が加わると、振動しているX軸と垂直方向のY軸方向にもコリオリ力により共振が起き、質量部11が矢印B方向へ変位する。この振動の大きさは角速度に比例し、質量部11の開口穴11aの端縁11fと、検出電極26との距離が変化して、静電容量の変化となり、角速度(Ωz)を検出できる。
検出信号には加速度、角速度、振動成分が、足されたものとなる場合があり、角速度成分は、HPFで加速度成分除去した後、加振周波数で同期検波することにより分離、検出できる。
ここで、小さな質量を持つ可動する質量部を備えた角速度センサでは、質量部にかかる重力などの体積力よりも、空気の粘性抵抗などの表面力がその動作に大きく影響を与えている。よって静電容量で検出する場合、検出可能な静電容量を確保するため、静電駆動する場合は駆動力を大きくするために質量部11と基板10(またはケース19)との電極間ギャップを狭くする必要があるので、ギャップに存在する気体のスクイズ膜によるダンピングを考慮した設計が必要となってくる。
また、小型化、高感度化として空間利用効率向上、変位する質量部11の空気抵抗の低減を図る構成が必要である。
図2(A)、(B)は本発明に係る振動型角速度センサ第2の実施形態を示で、ケースを取り外してセンサを上から見た概略平面図、及び図2(A)のA−A'線断面図である。同図において、上記第1、及び第2の従来例、及び第1の実施形態と対応する部分は同一符号を付してある。
振動型センサ4の角速度の検出は、上述した第1の実施形態と同じくX軸方向に対向する外側の櫛型電極(11b、15a)、(11c、16a)それぞれに駆動電圧を印加し、Z軸回りに角速度(Ωz)が加わると、Y軸方向のコリオリ力により共振が起き、質量部11が矢印C方向へ変位させるものである。従って、質量部11のZ軸方向への変位はない。
本実施形態においては、変位しない方向に位置するケース19に質量部11と同程度の開口穴29を形成した構成である。この構成により、質量部11がY軸方向へ変位した際、圧縮された空気を開口穴29から逃がし、質量部11の空気の粘性抵抗の軽減に効果を得る。
図3(A)、(B)は本発明に係る振動型角速度センサ第3の実施形態を示し、ケースを取り外してセンサを上から見た概略平面図、及び図3(A)のA−A'線断面図である。同図において、上記第1、及び第2の従来例、第1の実施形態及び第2の実施形態と対応する部分は同一符号を付してある。
振動型センサ5の角速度の検出は、X軸方向に対向する外側の櫛型電極(11b、15a)、(11c、16a)それぞれに駆動電圧を印加し、Y軸回りに角速度(Ωz)が加わると、Z軸方向のコリオリ力により共振が起き、図3(B)に示す如く、質量部11を矢印D方向へ変位させるものである。
本実施形態においては、質量部11の空気逃げ用の開口穴11aに対応してケース19に同程度の穴30を形成した構成である。この穴30により、空気の粘性抵抗対策用の気体の逃げをつくり検出感度を向上させている。
図4(A)、(B)は本発明に係る振動型角速度センサ第4の実施形態を示し、ケースを取り外してセンサを上から見た概略平面図、及び図4(A)のA−A'線断面図である。同図において、上記第1の実施形態と対応する部分は同一符号を付してある。
振動型センサ6の角速度の検出は、上述した第1の実施形態と同じくX軸方向に対向する外側の櫛型電極(11b、15a)、(11c、16a)それぞれに駆動電圧を印加して、Z軸回りに角速度(Ωz)が加わると、Y軸方向のコリオリ力により共振が起き、質量部11が矢印E方向へ変位させるものである。
第1の実施形態で、基板10およびケース19に段差28、29をつけて、質量部11の厚さ寸法を大きくできることを説明したが、本実施形態においては、基板10及びケース19に段差28、29をつけるのみで、質量部11とのギャップを広くして、空気の粘性抵抗を下げ、感度を向上させている。
1、2、3、4、5、6 振動型角速度センサ10 基板11 質量部13 固定部14 梁15、16 固定の駆動電極17、18 駆動部19 ケース20、21、22、23、26 検出電極24、25 検出部27、28 段差29、30 穴
Claims (2)
- 基板上に、質量部と、前記質量部を支持する梁と、前記質量部を駆動する駆動用電極と、駆動された状態の前記質量部が角速度により変位し、その変位量を検出する検出部と、前記質量部、前記駆動用電極、及び前記検出部を被ってなるケースを備えた振動型角速度センサにおいて、前記ケースの前記質量部の対向する部分に空気逃げ用の開口穴を形成したことを特徴とする振動型角速度センサ。
- 前記開口穴は、前記質量部の大きさと同程度としたことを特徴とする請求項1に記載の振動型角速度センサ。
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