JP2009047278A - ロック方向切替えクラッチおよび簡易差動歯車装置 - Google Patents

ロック方向切替えクラッチおよび簡易差動歯車装置 Download PDF

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Abstract

【課題】シニアカー等が要求する安価で軽量且つ小型で、動力の遮断機構を内蔵し、車輪の空転による立ち往生を防ぐ機能を持つシニアカーに有効な差動歯車装置を市場に提供する。
【解決手段】回転トルクを入力する入力側部材と、当該トルクを出力する出力側部材と、両者間に複数の鋼球を配置して回転中心を一致させ、複数の係合子を両者間に配置し、保持器で鋼球と係合子を保持し、両者を楔係合させる複数のカム面を持ち、自然状態で係合子をカム面の中立位置に置く弾性部材とを備え、両者間に加わる外力や保持器に加わる粘性抵抗を利用して係合子を楔係合させたり、ロック機能を失うクラッチを使用して、走行時には回転数の遅い側の車輪を駆動し、駆動輪が空転した時に他方の車輪に回転トルクを伝えてシニアカーの立ち往生を防ぎ、駐車時には制動板で保持器の回転を止めて差動歯車装置内で動力の遮断を確実にして手押し走行を可能とする。
【選択図】図9

Description

本発明はシニアカーや電動補助運搬車などに有効な差動歯車装置に関するものである。
1つの原動機で左右の車輪を駆動する車両が旋回する場合にはいわゆる内輪差が生じて旋回外側の車輪は内側の車輪よりも早く回転するため、この両輪の回転数差を許容する機構が必要になる。
回転数差がある車輪に無理なく動力を伝達する機構としては自動車の差動歯車装置が広く知られているが、自動車用の差動歯車装置は高価な傘歯車などを多数使用するうえに構造的にその体格も大きいので、安価で軽量且つ小型を要求するシニアカーや電動補助運搬車(以下単に「シニアカーなど」と略称する)などには適した構造ではなかった。
また、自動車用の差動歯車装置は片方の車輪が浮いたり滑りやすい物体を踏んで車輪の空転が生じると立ち往生するなど、原動機(以下単に「モータ」と略称する)の動力が車輪に伝達されない場合が生じるなどの構造的な問題を持っている。
さらに、シニアカーなどはその体格寸法が小さいので駐車時には必要に応じてモータを停止した状態で手押し移動可能なことが望まれるが、自動車用の差動歯車装置は入力軸と出力軸が常時連結状態であるため、移動時には車輪側から減速機などを逆駆動するので大きな力が必要になり、体力の劣る運転者にとっては大きな苦痛であった。
そのためにシニアカーなどでは車輪と差動歯車装置の間あるいは差動歯車装置と減速機の間にクラッチ機構などを入れて動力伝達経路の遮断を行うが、車体への設置スペースの確保と新たな費用が発生すると言う問題があった。
この対策として2個のモータで左右の車輪を独立して駆動する方式や安価な平歯車を使った差動歯車装置(特許公開2000−240756)の提案あるいは本出願人による車輪軸組み込み用クラッチ(特許公開2002−5199)の提案などがあるが、シニアカーなどが要求する差動歯車装置としてはなお改良の必要があった。
なお、本出願人による車輪軸組み込み用クラッチでは、手押し移動の課題は解決できたが下り坂走行ではいわゆるエンジンブレーキ機能が働かないために暴走する危険があって安全上の問題が生じた。
したがって、シニアカーなどに適する差動歯車装置は安価で軽量且つ小型であることに加えて、走行中は入力軸と出力軸が常時連結状態を保ちながら片方の車輪が空転しても他方の車輪に確実に動力が伝達できる機能を持つとともに、駐車時には必要に応じて差動歯車装置内に動力伝達の遮断機能を内蔵することが望まれていた。
特開2000−240756号公報 特開2002−5199号公報
自動車用の差動歯車装置はほぼ完成された機構であるが体格が大きく高価であるため、安価で軽量且つ小型を要求するシニアカーなどにはなお構造的に改良の余地がある。
特にシニアカーでは立ち往生によるパニックを防ぐため片方の車輪が浮いたり滑り易い物体を踏んで空転しても即座に他方の車輪に確実に動力が伝達できる機能が必要である。
さらに、駐車時には手押し移動ができるように差動歯車装置内に入力軸と出力軸間の動力の遮断機構を持った安価で軽量且つ小型を満足する差動歯車装置であることが望ましい。
本発明による差動歯車装置は以上の要求を実現するために新しい機能を持ったクラッチを新たに開発して、それを組み込んだシニアカーなどに最適な安価で軽量且つ小型を満足した差動歯車装置を市場に提供することである。
上記課題を解決するため、本発明による差動歯車装置の主要部品であるクラッチは正転および逆転方向の回転トルクが入力される外方部材と、当該トルクが出力される内方部材と、外方部材と内方部材の間に配置される複数の鋼球および係合子と、鋼球および係合子を保持する保持器と、係合子を外方部材と内方部材とに楔係合させるための複数のカム面と、係合子を自然状態においてカム面の中立位置に保つための弾性部材とを備え、外方部材の回転時に外方部材に径方向や軸方向あるいは傾斜方向の荷重を加えて鋼球の自由な動きを拘束し、外方部材の回転に対する鋼球の公転遅れの現象を利用し、あるいは静止部分に対する保持器に加わる粘性抵抗を利用して外方部材の回転に対する保持器の回転遅れを生じさせて係合子を外方部材に設けたカム面に係合させて、外方部材から内方部材への回転トルクの伝達を可能とするものである。
また、外方部材の回転数よりも内方部材の回転数が上回る時に、外方部材に径方向や軸方向あるいは傾斜方向の荷重を加えて鋼球の自由な動きを拘束して鋼球を公転させて係合子を外方部材に設けたカム面に係合させ、あるいは保持器を粘性抵抗によって内方部材と同じ方向に回転させて係合子を外方部材に設けたカム面に係合させて、内方部材から外方部材への回転トルクの伝達をも可能とするものである。
さらに、外方部材と内方部材の回転がともに停止したときには外方部材には径方向や軸方向あるいは傾斜方向の荷重が加わらない自然状態になるので、弾性部材はそのばね力によって係合子をカム面の中立位置に戻して外方部材と内方部材の間の係合機能を失わせて、外方部材と内方部材間の動力伝達経路を遮断させるのである。
本考案による差動歯車装置を使用したシニアカーなどが直進する時は、モータから入力された回転トルクは2個のクラッチの外方部材に対して同時に入力し、内方部材に連結された出力軸を介して左右の車輪を同時に駆動して走行する。
旋回時には、旋回内側と外側の車輪を駆動する外方部材は1個のウォームで駆動されるので同じ回転数になるが、旋回外側車輪に連結する内方部材の回転数は内側車輪に連結する内方部材の回転数よりも大きくなるので、2個のクラッチは同時に係合できずに回転数の小さい旋回内側用のクラッチのみが係合して、旋回外側車輪に連結する内方部材は外方部材を逆転方向に駆動しようとするが、内方部材の回転によって生ずる保持器に加わる粘性抵抗以上の力を弾性部材に付与することによって係合子はカム面の中立位置に留まってクラッチはロックせずに外側車輪はフリー回転をする。
上記のように本差動歯車装置ではモータから供給された回転トルクは旋回時に車輪回転数の小さい旋回内側の車輪のみを駆動するが、何らかの原因で旋回内側の車輪が空転するとシニアカーは前進(あるいは後退)出来ないので旋回外側車輪の回転数が低下して旋回内側車輪の回転数と同じになった時点でクラッチが係合するので、モータは旋回外側の車輪を駆動してシニアカーの立ち往生を防ぐことができる。
本発明によれば、僅か1個のウォームと外方部材にウォーム歯車を加工した2個のクラッチと2セットのブレーキ板の組み合わせによる極めて単純な構造でありながら、外部から特別の操作を必要とせずに正転および逆転方向の回転トルクを車輪に伝達し、旋回外側と内側の回転数差を吸収して旋回走行を可能とするとともに、走行中に片方の車輪が滑り易い物体を踏んで空転しても即座に他方の車輪に回転トルクを伝達して立ち往生を未然に防ぐ機能を持ち、平地や坂道走行から下り坂走行に切り替わるとクラッチのロック方向が自動的に切り替わってエンジンブレーキ機能を発揮できるほかに、駐車時には本差動歯車内で自動的に動力の伝達経路を確実に遮断するので、極低速では手押し移動が可能であるばかりではなく、外部操作によって動力伝達経路を確実に遮断する機能も合せ持つので、安価で小型且つ軽量を最大の要求とするシニアカーや電動補助軽運搬車などの差動歯車装置として最適である。
以下、本発明の重要部品であるクラッチとそのクラッチを組み込んだ差動歯車装置の一実施形態を図1から図14に基づいて説明する。
図1に本考案の重要部品であるクラッチの断面図を示す。本クラッチ1は回転トルクが入力される入力側部材としての外輪2と、回転トルクを出力する出力側部材としての内輪3と、外輪2と内輪3の間に配置される係合子としての複数の円筒形のローラ4(以下、単に「ローラ」と称する)と、ローラ4を円周方向の複数箇所に配置する保持器5と、外輪2と内輪3の回転中心および軸方向の位置を一致させるための複数の鋼球6と、外輪2と保持器5の回転方向の位相を制御する弾性部材7とを主体に構成される。
外輪2にはその内周面2aの一部に鋼球6が転動する環状の溝2bと内輪3の外周面3aとの間で楔を構成するための複数のカム面2cが設けられる。外輪2の外周面2dの一部には一般にはすば歯車やウォーム歯車2eが加工されるが、必要に応じて外輪2の外周面2dにリング(図示しない)を圧入固定してそのリングの外周面に歯車2eを加工してもよい。また、外輪2の幅面2fには弾性部材7を収納するための凹部2gが円周上に1箇所以上設けられる。この凹部2gは図1に示した幅面2fの裏側に加工しても良い。
内輪3は外輪2の内周側に配置された輪体であり、その内周面3bには一般に出力軸が圧入固定される。内輪3の外周面3aの一部には鋼球6が転動する環状の溝3cが設けられて、鋼球6を介して外輪2とは若干の半径方向すきまを持ってその回転中心を一致させると同時に外輪2との軸方向の位置も一致させる。
図2のように外輪2の内周面2aに設けられるカム面2cは、例えば円周方向の中央部を最大径とする逆V字型に形成され、このカム面2cと内輪3の外周面3aとの間に正方向および逆方向の回転で半径方向の幅を縮小させた楔すきま8が形成される。ローラ4が楔すきま8の円周方向中央に位置するときは半径方向にすきまを生ずるのでローラ4は楔すきま8内で楔係合しないが、ローラ4が外輪2に対して正逆何れかの回転方向に移動すると外輪2および内輪3と楔係合して、当該回転方向で外輪2と内輪3が回転方向にロックされる。なお、ローラ4が楔係合した時のカム面2cと内輪3の外周面3aのローラ4
との接触点のなすストラト角αは2〜10°が使用される。
図3のように、保持器5は保持器本体5aとふた5bで構成され、両者は外輪2と内輪3およびローラ4と鋼球6を組み立てたのちにリベットやねじあるいは加締めや溶着によって一体に固定される。保持器5にはローラ4を収容する複数のポケット5cと、鋼球6を収納する複数のポケット5dとを具備するとともに、弾性部材7の先端部7aを収納する特別のポケット5eを円周上に一箇所以上具備し、保持器本体5aは軸方向に延びる柱51と柱51の一端を円周方向に連結する円環部52で構成される。柱51の円周方向のほぼ等配位置にポケット5cとポケット5dが回転方向に交互に形成され、ローラ4を収納するポケット5cとローラ4の外周面との間の円周方向のすきまはローラ直径の1/20以下に、鋼球6を収納するポケット5dと鋼球6とのすきまは円周方向で鋼球6の直径の1/20、軸方向で1/10以下が望ましい。なお、本クラッチ1に大きな伝達トルク容量が要求される場合には、ローラ4と鋼球6は交互に配置せずに、ローラ4の数を鋼球6よりも多くすることが出来る。
弾性部材7は、例えば図4に示すようなU字型のばねが使用される。この弾性部材7は、図1に示すようにその先端部7aが保持器5の弾性部材の収納部5eに収納されると同時に、外輪2の幅面の凹部2gにも装着され、拡巾するときのばね力によって自然状態では保持器5と外輪2の回転方向の位置が弾性的に規制されてローラ4はカム面2cの中央部に位置される。なお、自然状態においてローラ4が確実にカム面2cの中央部に位置するように、外輪2の幅面の凹部2gの回転方向の幅と保持器5の弾性部材7の先端部分7aを収納するためのポケット5eの回転方向の幅は同じ寸法に設定される。
以下、上記構成からなるクラッチ1の機能説明を図5から図8に基づいて行なう。
図5は外輪2と内輪3の間に外力が加わらない自然状態における径方向の一部断面を示すものである。外輪2はその外周部2dに歯車2eが加工され、弾性部材7が外輪幅面の凹部2gに装着されてその先端部7aが保持器5の弾性部材の収納部5eに挿入されている。なお、図示していないがローラ4や鋼球6および保持器5の転がり面やすべり面には潤滑剤が介在する。
弾性部材7の先端部7aは外輪2の凹部2gと保持器5の弾性部材収納部5eに対して閉じるようにすきまゼロで装着されるので、外輪2と保持器5の回転方向の相対位置が弾性的に規制され、自然状態ではローラ4は外輪2のカム面2cの中央に位置して外輪2および内輪3と楔係合することはない。この時、弾性部材7のばね力を内輪3が極めて低速回転時には保持器5に生ずる粘性抵抗に打ち勝つ大きさに設定しておけばローラ4は楔係合しないので、内輪3は正転および逆転方向ともに低速回転では自由に回転が可能になる。
図6は外輪2が左回転して保持器5が置き去りされたイメージを示す。外輪2の回転方向に対して保持器5が静止あるいは外輪の回転に対して相対的に回転遅れを生ずれば保持器5に装着されているローラ4は外輪2のカム面2cに衝突して楔係合し、外輪2は内輪3に対して回転方向に係合して外輪2に供給された回転トルクは内輪3に伝達される。図示していないが外輪3が右回転しても前記と同様に外輪2に供給された回転トルクは内輪3に伝達される。
図7は外輪2が静止して内輪3が右回転した例を示すものであり、保持器5が内輪3の回転に伴って回転するかあるいは少し遅れて回転しても保持器5に装着されたローラ4が外輪2のカム面2cに衝突して楔係合し、内輪3は外輪2に対して回転方向にロックして内輪3に供給された回転トルクは外輪2に伝達される。
以上のように本クラッチ1は外輪2の内周面2aに設けられたカム面2cに対して保持器5が相対的に回転するとローラ4は楔係合するので、外輪2から内輪3へあるいはその逆に内輪3から外輪2への回転トルクの伝達が可能になる。外輪2の回転に対して保持器5をそれよりも遅く回転させるためには、図8のように外輪2と内輪3の間に軸方向や径方向あるいは傾斜方向の力を加えて鋼球4の自由な動きを拘束したり、保持器5の回転を粘性抵抗で制限したりすることによって可能になる。
外輪2と内輪3の間に図8のような3種類の力の何れかを加えると鋼球4は負荷を受けて拘束され、外輪2や内輪3の回転に従って一定の割合で公転する。保持器5はこの鋼球4を保持しているのであるから鋼球4の公転数と保持器5の回転数は同じになる。保持器5の回転数Ncは鋼球4の直径dwとその公転の中心寸法Dpによって下記のように計算されるが、一般に外輪2が回転したときの保持器の公転数Ncは静止部分に対して約60%になり、内輪3が回転したときの保持器5の公転数Ncは静止部分に対して約40%になるので外輪のカム面2cに対してローラ4の相対回転が得られる。
・外輪回転時の保持器の回転数Nc Nc≒(Dp+dw)/(2×Dp)
・内輪回転時の保持器の回転数Nc Nc≒(Dp−dw)/(2×Dp)
保持器5に粘性抵抗を与えるには、保持器5の円環部52の内径部を静止部分に近接してその部分に粘性流体を介在させておけば、外輪2が回転したときに保持器5は粘性抵抗によって回転が遅れるので外輪2との間に相対的な回転が得られ、あるいは外輪2が静止して内輪3が回転したときにも内輪3が嵌合されている回転軸との粘性抵抗によって保持器5は内輪3の回転と同方向に回転するのでこのときも保持器5は外輪2との間に相対的な回転が得られる。
以下、本クラッチ1を組み込んだ本考案の差動歯車装置の一実施形態を図9から図11に基づいて行なう。なお、図示していないが本差動歯車装置内にはクラッチ1や歯車などの潤滑のために潤滑油やグリースが封入されている。
図9および図10に示すように、本考案の差動歯車装置100はモータで駆動される入力軸110と、入力軸110に圧入やキー止めあるいは一体構造のウォーム111と、このウォーム111に同時に噛み合う2個の本クラッチ1の外輪2の歯車2eと、本クラッチ1の内輪3に圧入固定された左側出力軸120および右側出力軸130と、クラッチ1の自然状態における中立位置を確実にするための2枚のブレーキ板140と、これらを収納するケーシング150を基本部品として組み立てられる。
本クラッチ1は図9に示すように2個が向き合って設置され、外輪2のウォーム歯車2eがウォーム111と噛み合うとともに、内輪3は左側出力軸120および右側出力軸130に圧入固定され、クラッチ1の外輪および内輪の幅面よりも突き出た保持器5の円環部52の内径部52aはそれぞれの出力軸120や130に対して小さな径方向すきまを持って嵌合される。
図10において、入力軸110は一体構造あるいはウォーム111が入力軸110に圧入やキー止めなどで固定され、2個の転がり軸受112によってケーシング150に装着される。入力軸110の軸方向移動の制限は前側蓋113および後側蓋114をケーシング150にボルト115などで固定する。ウォーム111のケーシング150への組立が困難な場合には入力軸110にスペーサ116を嵌合しても良い。
図11ではクラッチ1と左側出力軸120と右側出力軸130の組合せの詳細図である。
左側出力軸120は車軸(図示しない)に連結する第1の外径部120aと転がり軸受121と嵌合する第2外径部120bと転がり軸受121の軸方向位置を規制する第3外径部120cと保持器5の円環部52の内径部分52aに対して小さなすきまで嵌合される第4外径部120dとクラッチ1の内輪内径部3aに圧入固定される第5外径部120eを持つとともに、第1外径部120aの反対側には右側出力軸130と嵌合する第1内径部120fと第2内径部120gを具備する。
右側出力軸130も車軸(図示しない)に連結する第1の外径部130aと転がり軸受121に嵌合する第2外径部130bと転がり軸受121の軸方向位置を規制する第3外径部130cと保持器5の円環部52の内径部分52aに対して小さなすきまで嵌合される第4外径部130dとクラッチ1の内輪内径部3aに圧入固定される第5外径部130eを持つとともに、左側出力軸120の第1内径部120fと第2内径部120gに嵌合される第6外径部130fと第7外径部130gを具備する。
クラッチ1を嵌合した左側出力軸120と右側出力軸130は図11のように組み立てられるが、両者が互いに接近しすぎないようにスペーサ131が右側出力軸130の第6外径部130fに嵌合される。
本考案の差動歯車装置ではウォーム111が回転するとこれに噛み合うクラッチ1の外輪2には図8に示すような傾斜方向の力が加わるので、鋼球6が拘束されてために保持器5は外輪2の回転数の約60%で同方向に回転して外輪2と保持器5は相対回転を生じるので、外輪2は内輪3と係合する結果ウォーム111から供給される回転トルクは内輪3に伝達される。
また、それと同時に保持器5は静止している左側出力軸120や右側出力軸130のそれぞれの第4外径部120dおよび130dに対して小さなすきまで嵌合されているので、外輪2が回転しても第4外径部120dや130dとの間に発生する粘性抵抗によって回転が遅れる効果も期待できる。
いま、本差動歯車装置を使用したシニアカーなどが直進する時、モータから伝達された回転トルクは2個のクラッチ1を介して左側出力軸120と右側出力軸130に伝達されるが、旋回時には車輪回転数の小さい旋回内側の車輪のみが駆動されて外側はフリー回転をすることになるが、何らかの原因で旋回内側の車輪が空転したときには旋回外側の車輪に瞬時に回転トルクが伝達されてシニアカーなどの空転による立ち往生を防ぐことができる。
平地や上り坂走行から下り坂走行に移ると、クラッチ1の外輪2の回転数に対して内輪3の回転が早くなる瞬間には外輪2と内輪3の間に外力が加わらないので外輪2と内輪3のロック状態が開放されるが、その時点で保持器5は左側出力軸120や右側出力軸130の第4外径部120aや右側出力軸130aの嵌合部との粘性抵抗の助けを借りて内輪3の回転数に近づくので、内輪3側から外輪2側に回転トルクを伝達する係合状態となり、車輪側からモータ側を逆に駆動するいわゆるエンジンブレーキ状態を得ることができる。
なお、積極的に下り坂でのエンジンブレーキ状態を得る他の方法としては、下り坂になった瞬間すなわちモータの負荷が無くなった時点で、瞬間的にモータを逆回転することによって外輪2と内輪3の間に負荷を加えて再度クラッチ1を係合させることができる。エンジンブレーキ状態が得られることはモータを発電機として利用して蓄電池に回生電力を蓄えることができる。
ブレーキ板140は図9や図10のようにクラッチ1の保持器5の円環部52の外径部分を挟むように設置されており、ピン141と、開閉ピン142と、開閉片143を含めてケーシング150に固定され、ロックばね144の力によって円環部52を挟み込む。
いま、シニアカーがモータの回転を止めて駐車したと仮定すると、クラッチ1の外輪2と内輪3の間には外力が加わらない自然状態になっているので、弾性部材7の力でローラ4はカム面2cの中立位置に移動してロック機能を失う。このとき、保持器5が出力軸120や130の第4外径部との粘性抵抗によって回転しない程度に弾性部材7のばね力を設定しておけば極低速回転で内輪3を回転させても内輪3は外輪2と係合しないので手押し移動が可能になる。
この手押し移動可能の機能を確実にするために、図10における開閉片143を操作してブレーキ板140で保持器5の円環部52を掴めば内輪3の回転数に関わらず外輪2とはロックしないので少々速い速度でも手押し移動が可能になる。
図12に本差動歯車装置での歯車形式の変更例を示す。本図では図9や図10のウォームとウォーム歯車の噛み合わせをはすば歯車の噛み合わせに変更したものであって、それ以外の部品構成は同じである。本図の構造はモータの回転軸を車軸と平行にする場合に有効である。
図13はクラッチ1の変形例であって外輪外径に歯車を加工せず、転がり軸受類似の外輪形状としたものであって外径に歯車を加工したリングを本クラッチ1の外輪に圧入して使用する。この場合の弾性部材は図4のようなU字型ではなく、図14のように先端部をL字状に曲げたものが使用される。
本発明にかかるクラッチの軸方向および側面の断面図である。 上記クラッチのカム面の拡大図である。 上記クラッチの保持器の外観図である。 上記クラッチの弾性部材の外観図である。 上記クラッチの自然状態でのカム面付近の拡大図である。 上記クラッチの外輪回転時のカム面付近の拡大図である。 上記クラッチの内輪回転時のカム面付近の拡大図である。 上記クラッチに外力が加わった時のイメージを示す。 本発明による差動歯車装置の正面方向の断面図である。 本発明による差動歯車装置の側面方向の断面図である。 上記クラッチと出力軸の組立状態の軸方向断面の詳細図である。 本差動歯車装置においてウォーム歯車を使用しない応用例である。 本クラッチの外輪肉厚が小さい場合の弾性部材の配置を示す。 外輪肉厚が小さい場合の弾性部材の外観図である。
符号の説明
1 本考案の作動歯車装置に組み込まれるクラッチ
2 上記クラッチの外輪
2a クラッチ外輪内周面
2b クラッチ外輪内周面に加工される環状の溝
2c クラッチ外輪内周面に加工されたカム面
2d クラッチ外輪外周面
2e クラッチ外輪外周面に加工された平歯車やはすば歯車
2f クラッチ外輪の幅面
2g クラッチ外輪幅面の凹部
3 上記クラッチの内輪
3a クラッチ内輪外周面
3b クラッチ内輪の内周面
3c クラッチ内輪外周面に加工された環状の溝
4 上記クラッチに組み込まれるローラ
5 上記クラッチでローラと鋼球を案内する保持器
5a 保持器の本体
5b 保持器のふた
5c ローラを収納する保持器のポケット
5d 鋼球を収納する保持器のポケット
5e 弾性部材の先端部を収納するポケット部分
51 保持器本体の柱
52 保持器本体の柱を繋ぐ円環部
52a 保持器本体の柱を繋ぐ円環部の内径部
6 上記クラッチで外輪と内輪の軸芯を合わせる鋼球
7 上記クラッチでローラをカム面中立位置に保持する弾性部材
7a 弾性部材の先端部分
8 カム面の楔すきま
α カム面とローラと内輪の接点で構成される楔角
Nc 保持器の回転数
dw 鋼球の直径
Dp 鋼球の公転中心寸法
100 本考案による差動歯車装置
110 入力軸
111 ウォーム
112 転がり軸受
113 前側蓋
114 後側蓋
115 ボルト
116 スペーサ
120 左側出力軸
120a 第1の外径部
120b 第2外径部
120c 第3外径部
120d 第4外径部
120e 第5外径部
120f 第1内径部
120g 第2内径部
121 転がり軸受
130 右側出力軸
130a 第1外径部
130b 第2外径部
130c 第3外径部
130d 第4外径部
130e 第5外径部
130f 第6外径部
130g 第7外径部
131 スペーサ
140 ブレーキ板
141 ピン
142 開閉ピン
143 開閉片
144 ロックばね
150 ケーシング

Claims (4)

  1. 正転および逆転方向の回転トルクが入力される入力側部材と、当該トルクが出力される出力側部材と、入力側部材と出力側部材の間に配置されて両者の半径方向の回転中心を一致させると同時に入力側部材と出力側部材間に加わる外力を受けるための複数の鋼球と、入力側部材と出力側部材の間に配置された複数の係合子と、係合子を保持するための保持器と、係合子を入力側部材および出力側部材とに楔係合させるための複数のカム面と、自然状態において係合子をカム面の中央に位置させるための弾性部材とを備え、自然状態においては入力側部材と出力側部材間の回転方向のロック機能を失い、入力側部材と出力側部材間に外力が加わったときに保持器を強制的に回転させて係合子を楔係合させたり、保持器に粘性抵抗を与えて係合子を楔係合させたりして、回転トルクが入力側部材あるいは逆に出力側部材から入力された時にその回転方向にロックし、回転トルクが入力されないときには自動的に自然状態に復帰してロック機能を失うことを特徴としたクラッチ。
  2. 入力側部材に設けられたはすば歯車やウォーム歯車などの噛み合いによる反力を利用して入力側部材と出力側部材の間に外力を加え、その外力によって保持器に収納した鋼球を強制的に自転および公転させ、入力側部材あるいは出力側部材と保持器との回転方向の回転数差を利用して係合子を楔部の狭小部に移動させて、クラッチのロック機能を得る構造を持った請求項1記載のクラッチ。
  3. 外輪にウォーム歯車あるいははすば歯車を持つ請求項1記載のクラッチを使用し、入力軸に連結された1個のウォームあるいははすば歯車がウォーム歯車あるいははすば歯車を持つ2個のクラッチに同時に噛み合い、2個のクラッチのそれぞれの内輪に連結された出力軸で車輪を駆動する構造を持った差動歯車装置。
  4. ケーシングに揺動可能に固定された2セットの制動板を持ち、必要に応じてクラッチの保持器の回転を制止して係合子をカム面の中立位置に保持して、モータ側と車輪側の動力伝達経路を確実に遮断する構造を持った請求項3に記載の差動歯車装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2543904A3 (en) * 2011-07-07 2013-11-13 Elantec Industrial MFG Co., Ltd. Clutch capable of force transmission in a selected one of two directions
CN107299943A (zh) * 2017-05-19 2017-10-27 重庆凯瑞电动汽车系统有限公司 带拨爪的双向超越离合器
CN112178152A (zh) * 2020-10-16 2021-01-05 魏家斌 斜齿轮差速器

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