JP2009044981A - 冷凍方法および冷凍装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】過冷却冷凍法により、食品の食味や食感を低下させずに長期間に亙って安定的に保存することができる冷凍方法および冷凍装置を提供することを目的としている。
【解決手段】食品に氷結点温度より低い第1の温度の冷風を当て、前記食品を過冷却状態に移行させる工程と、前記食品の過冷却状態が解消して氷結晶が生成した後、前記食品を氷結点温度以下に冷却し、前記氷結晶を核に前記食品中の水分を凍結させる工程と、を備えている。これにより、食品を微細な氷結晶で凍結させているため、食品の組織を破壊せず、食味に優れた食品の冷凍物を得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、食品を冷凍により保存する冷凍方法および冷凍装置に関するものである。
食品を冷凍して保存する方法において、解凍時にドリップ量の少なく品質の良い保存ができる冷凍保存方法として、氷結晶が小さくなるよう食品を急速に冷凍する急速冷凍が良く知られている。しかしながら、急速冷凍においても、特に大きな食品では、中心部の冷凍速度が遅くなるため、必ずしも満足な品質で冷凍できるわけではなく、また、急速冷凍には極低温冷気を吹き付けるため大きなエネルギーが必要であるなどの問題がある。
この急速冷凍に対して、食品や飲料を過冷却状態を利用して保存する方法が多く提案されてきた。その多くは、過冷却の状態をできるだけ長く維持して食品や液体を保存する方法について提案している(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
また、過冷却状態後に急速に凍結させて食品を保存する方法も提案されている(例えば特許文献1、特許文献3参照)。
特開2003−180314号公報 特許第3909065号公報 特開昭62−91170号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に代表される、過冷却状態を長く維持して食品や飲料を保存する方法にあっては、できるだけ過冷却状態を長く維持させるため食品などを密閉容器内に入れて、あるいは食品を液体などで覆って、食品などに直接冷風が当たらないようにして食品などを冷却している。しかし、過冷却の状態は振動など何らかの刺激があると解除されるなど不安定であるため、過冷却の状態で長期間保存するのは難しく、また過冷却の状態は未凍結の状態であるため細菌が繁殖し易く、長期間品質の良い保存ができるとは限らない。また、特許文献1や特許文献3では、食品の周囲の気相をなくするために容器内に水などの液体を入れ、あるいはブライン液を用いて、その中に食品を浸けて凍結させて保存する方法が開示されている。このような、液を用いる方法はわずらわしさがあるため、特に一般家庭で用いる冷蔵庫に適用するには実用的な方法ではない。
本発明はこのような従来の過冷却を用いた食品の保存方法の問題を解決するために行われ、家庭用の冷蔵庫に適用可能な、過冷却を利用した実用的で高品質な食品の保存方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る冷凍方法は、食品に氷結点温度より低い第1の温度の冷風を当て、前記食品を過冷却状態に移行させる工程と、
前記食品の過冷却状態が解消して氷結晶が生成した後、前記食品を氷結点温度以下に冷却し、前記氷結晶を核に前記食品中の水分を凍結させる工程と、を備えたことを特徴としている。
また、本発明に係る冷凍装置は、冷凍室と、冷凍室に配置される過冷却冷凍容器と、過冷却冷凍容器に冷風を送る冷風装置と、記冷凍室の温度を計測する温度センサと、温度センサからの信号により冷風装置を制御する冷風制御装置と、を備え、過冷却冷凍容器内の食品を冷風装置からの氷結点温度より低い温度の冷風により過冷却状態に移行したことを確認後、冷風装置からの過冷却状態の温度より低温の冷風により過冷却状態を解消させ、さらに食品を氷結点温度以下に冷却し、凍結させることを特徴としている。
本発明によれば、簡単な方法あるいは構成で、過冷却状態に至るまでの食品中の細菌の増殖を抑えることができ、食品の解凍後のドリップ量が少ない高品質な冷凍食品が得られるといった従来にはない顕著な効果を奏するものである。
実施の形態1.
まず、過冷却現象を用いた食品の冷凍の原理について図1を用いて説明する。食品を冷空気で冷やすと(図1のA区間)、氷結点温度以下でも凍結が始まらず食品の温度が氷結点以下の状態になる(図1のB区間)。これが食品の過冷却状態で、氷結点以下にあるにもかかわらず氷は一切発生していない。この状態に、温度変化など何らかの衝撃が加わると食品の温度が氷結点まで急速に上昇する(図1のC区間)。これが過冷却の解消であり、このとき食品中に微細な氷結晶が発生する。この過冷却解消過程では、食品に含まれる水がすべて凍るわけではなく、ここで凍結する水分は、過冷却状態になった液体の一部に過ぎない。さらに冷却を続けると残りの水が徐々に凍結していく(図1のD区間)。ここでは、過冷却解消時に発生した微細な氷結晶を核にして氷の結晶成長が続く。このときは水の相変化の現象であるので食品温度の変化は小さい。D区間の終点は、食品中の水の相変化が終了するところで、食品内部の氷結晶は完全に成長が終わった状態となる。このあと、再び食品の温度が下がり始め、周りの冷空気温度と同じになるまで温度が低下する(図1のE区間)。
そこで、過冷却解消によって生じた微細氷結晶を核に氷結晶を成長させて凍結を進めれば、解凍後のドリップ量が少なく、食味のよい状態に戻すことができることを発明者らは見出した。また、図1のA区間から図1のD区間の終点までの時間をできるだけ短くすることがその後の冷凍保存により品質の良い冷凍ができる条件の一つであることを見出した。さらに、過冷却解消後の冷却方法によっては高品質な冷凍物が得られないことがある。以下に、実験結果により本発明について説明する。
実験1.(冷風温度、風速と過冷却発現率)
過冷却状態に到達させるためには緩慢に冷却すべきことは経験的に知られている。より確実に過冷却状態に到達させるために、特許文献2のように密閉容器に食品を入れて外気の流入を遮断し、容器内の空気対流とふく射による伝熱経路を主に使った緩慢冷却法がよく利用されている。しかし、この方法は伝熱が緩慢なだけに、過冷却状態に達するまで長い時間を要する。
密閉容器での冷却は伝熱が遅いため、食品の変質が考えられる。つまり密閉容器で冷却すると0℃以上の未凍結状態が長く、その間の微生物増殖、脂質の酸化進行が起こる可能性が高くなる。そこで、風を直接吹き当てつつ、食品を過冷却状態にできる冷却条件を明らかにした。この結果、閉容器中での冷却に比べて、より早く食品を過冷却状態に到達させることができるようになった。
これまで、過冷却状態に到達させる条件では、中心温度の降下速度がよく記載されていたが、実際に過冷却を試みると、このような条件だけでは確実に過冷却状態に到達させることは困難で、様々な条件検討が必要であった。
次に、実験方法について説明する。約150gの牛肉のもも肉(厚さ1.5cm×縦12cm×横8cm)にラップを被せて幅8.5cmの風洞に入れた。肉の上面のみに冷風が流れていくようにして、冷風温度、冷風速度を変えて、過冷却発生の有無、過冷却時の温度を評価した。その結果を以下に示す。
図2は、過冷却発現率と冷風温度、冷風の風速との関係を示す図である。冷風温度、冷風の風速との関係において過冷却の発現率を初めて明らかにした。ここでは、過冷却解消直後の温度と過冷却時の温度の差(図1のC区間前後の温度の差)が2.0℃以上ある場合に過冷却状態に入ったとした。発現率を約25%以上、望ましくは50%以上に達成できれば、その後の冷凍保存によって保存品質のよい冷凍食品が得られる。図2より、冷風温度が高いほど、また、冷風の風速が遅いほど過冷却に入る確率が上がることがわかるが、冷風の風速がある程度あっても、過冷却の発現率を25〜50%以上にでき、その後の冷凍保存によって保存品質の良い冷凍食品が得られることが判った。
−5℃の冷風では、風速0.2m/sで、95%の発現率で牛肉を過冷却状態にできた。風速0.5m/sでも70%の発現率であった。
−7℃の冷風では、風速0.2m/sで、−5℃の冷風と同様に95%の発現率であった。風速0.5m/sでは60%の発現率であった。
−9℃の冷風では、風速0.2m/sにおいて発現率は75%であるが、風速0.5m/sでは、25%の発現率と急減した。
−11℃の冷風では、風速0.2m/sにおいても発現率は低く、30%であった。
−13℃の冷風では、風速0.2m/sにおいて発現率は大変低く、5%であった。
風速0.5m/sおよび0.2m/sにおける、冷風温度と過冷却発現率の関係を図3に示す。風速0.5m/sでも、−9℃以下では急激に過冷却発現率が上昇することがわかる。
以上の結果から、冷風温度の数℃の差において、牛肉を過冷却状態にできるか否かが大きく変わることがわかった。牛肉を安定的に過冷却に到達させ得る冷風の温度は、−7℃付近が最適であり、−9℃以下になると過冷却に対して阻害的に働く。−11℃以下では冷風を利用して過冷却状態にすることは難しいことも判明した。
実験2.(過冷却状態への到達時間)
肉に冷風を直接吹き当てて冷却した場合に、用いる冷風温度と風速が過冷却発現率にどのような影響を与えるかが、図2、図3により判明した。一方で、冷却途中の食品の変質を最小限にするため、可能な限り早く過冷却状態に到達させる方が望ましい。そこで、冷風温度と風速とで、過冷却状態に至るまでの時間との関係を調べた。その結果を図4に示す。ここで、到達時間とは、牛肉の温度が20℃から−4℃まで推移するのに要する時間である。−4℃は牛肉の氷結点温度(約−1℃)とは約3℃の差がある。過冷却現象を利用して品質のよい冷凍物を得るには氷結点に対して、望ましくは約3℃の温度差が必要になるからである。
図4から風速が上昇すると、到達時間が短くなることが判る。しかし、いくら到達時間が短くなっても、風速−9℃、1m/sの冷風を利用すると、図2から過冷却の発現率は10%に低下してしまう。したがって、過冷却の発現率を高く、到達時間も短い冷風温度、風速を選択する必要がある。好ましくは、発現率が高く、到達時間も短く出来る−5℃から−9℃の冷風を0.5m/s以下の風速で肉等の食品に与えればよい。より好ましくは−6℃から−8℃の冷風を0.5m/s以下の風速で、最も好ましくは、−6℃から−8℃の冷風を0.3m/s以下の風速で肉等の食品に与えればよい。
実験3.(過冷却解消後の冷凍温度について)
食品を過冷却状態に到達せしめた後に、過冷却状態を解消させ、さらに凍結を進行させて冷凍物が得られる。過冷却解消後から凍結が終結するまでの温度と時間が、解凍後の冷凍品質に大きな影響を与えることが判明した。
まず、試料として約100gの牛肉のもも肉片をそれぞれ用意した。いずれもプラスチック製皿におき、ラップを1重にかけた実冷凍物と同様な包装の肉を準備した。これを密閉箱の中にいれて冷却して、牛肉の氷結点より3℃低い温度まで過冷却された各肉片を用意した。温度は熱電対により測定した。この過冷却状態の肉片上に1分間、−15℃の冷風を風速0.5m/sで流すことにより過冷却状態を解消させた。次に、−7℃あるいは−15℃の冷風を風速0.5m/sで、この肉片上を2時間流した。さらに、両者とも−15℃の冷風を0.5m/sで、6時間流した。
この2つの試料を解凍し、流れ出るドリップ量を測定した結果を図5に示す。比較のため、過冷却状態のない通常の冷凍、すなわち室温の状態から−15℃まで急速冷凍したもののドリップ量も測定した。過冷却解消後、−7℃、風速0.5m/sで凍結させたものは、その後、−15℃に温度を下げたものの、ドリップ量は過冷却なしの冷凍の場合に比べて、いくらか少ないだけであった。過冷却解消後は、可能な限り急速に冷却する方が、ドリップ量のより少ない品質の良い冷凍物が得られることが判った。過冷却解消後の冷却温度が低い方が、氷結晶の成長が抑えられ、肉組織、細胞の破壊が少なくなることが理由と考えられる。よって、過冷却解消後は、より低い温度の冷風を、より速い風速で食品に当てて急速に冷却するのが良い。
家庭用冷蔵庫においても、過冷却解消後は、容易に得られる−15℃以下、例えば−20℃程度の冷却風を用いて、例えば風速0.5〜1m/sといった風速で食品に当てて凍結を進行させると、品質のよい冷凍物が得られる。
また、このような現象は豚ヒレ肉でも観察された。さらに、鶏胸肉では過冷却なしの場合のドリップ量が牛肉や豚肉より少ないが、同様の現象が観察された。これらの結果より、動物肉、魚肉についても過冷却状態を経た冷凍物は、品質のよいものが得られると推察される。
以上をまとめる。最初、食品に氷結点温度より低い第1の温度、例えば−5℃〜−9℃の冷風を0.5m/s以下の風速で当てて、食品を過冷却状態にする。食品が過冷却状態になった後、さらに低い第2の温度、例えば−15℃以下の冷風を、例えば0.5〜1m/sの風速で食品に当て過冷却状態を解消させて氷結晶を生成させる。その後も−15℃以下の冷風を食品に当て続け過冷却状態が解消したときに生成した氷結晶を核に食品中の水分を急速に凍結させ、そのまま−15℃以下で冷凍保存する。過冷却状態は、必ずしも−15℃以下の冷風を当てて解消させる必要はなく、食品温度の不均一や振動が原因で自然に過冷却状態が解消することが多いので、図1のC区間で示すような食品の温度上昇を検知することで、過冷却状態が解消したことを検知することができる。従って、過冷却状態が解消したことを検知した後、例えば−15℃以下の冷風を食品に当てて食品中の水分を急速に凍結させ、そのまま冷凍保存するようにしても良い。以上のようにして、過冷却状態を経て食品を冷凍することにより、通常の急速冷凍による冷凍よりも、解凍時のドリップ量の少ない、品質の良い食品の冷凍保存ができる。
次に、上記の実験結果を基に、過冷却状態を経て冷凍保存できる冷凍装置の例を示す。 図6は、本発明の実施の形態1における冷凍装置を示す概略断面図である。
図6に示すように、冷凍室1は、上部断熱壁2、下部断熱壁3、背部断熱壁4、断熱壁を有する扉5および側部断熱壁(図示せず)で囲まれ、冷凍室1の上部には可動可能な過冷却冷凍容器6が下部には冷凍容器7がそれぞれ配設されており、過冷却冷凍容器6より上部は過冷却冷凍室8、下部は通常冷凍室9とに分けられており、通常冷凍室9の下には、冷風路10が設けられ外部へと繋がっている。また、過冷却冷凍室8には、過冷却冷凍室用の冷風装置11が、通常冷凍室9には通常冷凍室用の冷風装置12がそれぞれ取り付けられており、通常冷凍室9の前面には冷風を通すスリット13が設けられている。さらに、過冷却冷凍室8の温度を測定する温度センサ14が上部断熱壁2を介して、取り付けられており、この温度センサ14は冷風制御装置15と接続されており、冷風制御装置15は、冷風装置11と電気的に接続されている。冷凍室1の側面部には、レール16が取り付けられていて、冷蔵庫本体(図示せず)に設置されたガイド17とにより、扉5に取り付けられた取っ手18にて冷凍室1を引き出せるようになっている。過冷却冷凍用の食品19は過冷却冷凍容器6内に載置され、通常冷凍用の食品20は冷凍容器7に入れられている。
冷風装置11や12は圧縮機とファンおよびダンパなどで冷風の温度を調節して冷風を送風するように構成されており、冷風装置11と12は一つの圧縮機と一つのファンおよび一つのダンパを用いて冷風を分流して構成することもできる。以下の冷風温度および冷風の風速は、食品の表面での冷風温度および冷風の風速を示す。
次に、図6に示す冷凍装置を用いた本発明の過冷却冷凍方法の動作について説明する。
まず、冷凍室1の扉5を開け、断熱性に優れた過冷却冷凍容器6に食品を載置する。温度センサ14にて温度の高い食品19が入れられたことを検知し、過冷却冷凍の設定がされている場合に、氷結点(例えば、牛肉では−1℃)以下で過冷却温度(ここでは、−7℃に設定)に達するまで、冷風制御装置15により過冷却冷凍室8用の冷風装置11を作動させ、所定の冷風、例えば、食品の表面で−7℃となる冷風を風速0.2m/sとなるよう過冷却冷凍容器6に送り込み、食品19を冷却する。冷風は過冷却冷凍室8を通った後、冷風路10を通って外部に排出される。
温度センサ14にて食品の温度が過冷却状態に入ったことを確認した後、過冷却温度よりも低い温度の冷風(−18℃)を送り、過冷却状態を解消させて、食品19内に氷結晶を生成させる。さらに、氷結点以下の温度の冷風(−18℃)を送り、食品19内の水分を完全に凍結させて、過冷却冷凍による食品19の凍結が完了する。凍結が完了した食品19は、通常冷凍室8の通常冷凍容器9に移して替えることにより、新たな食品を過冷却冷凍することが可能になる。過冷却冷凍する新たな食品がなければ、そのまま過冷却容器6内において−18℃の冷風を送り続けて冷凍保存してもよい。
一般的な家庭用冷蔵庫の冷凍室の冷凍能力である−18℃の冷風にて過冷却冷凍が可能となり、大型の冷凍庫のような−50℃から−60℃といった冷凍能力はなくても簡単に冷凍品質に優れた食品の冷凍が可能である。過冷却温度に到達させるには、前述したように、−5℃から−9℃の冷風を0.5m/s以下の風速で食品に与えればよい。より好ましくは−6℃から−8℃の冷風を0.5m/s以下の風速で、最も好ましくは、−6℃から−8℃の冷風を0.3m/s以下の風速で食品に与えればよい。
一方、通常冷凍室9は、通常冷凍室9用の冷風装置12で冷やされている。冷風装置12を出た冷風は、通常冷凍室9内を通って通常冷凍容器の前面に設けられたスリット13を抜ける。スリット13を抜けた冷風は冷風路10を通り冷風出口から出て行く。
温度センサ14で食品19の投入の有無について説明したが、食品19の温度を測定することもできる。例えば、過冷却冷凍室8用の冷風装置11からの冷風を止めた後、食品19が雰囲気温度より高い場合は対流が生じるので、温度センサ14の検出値は上昇する。これにより、食品の温度を推測し、新規に投入された食品が冷却されていない食品かどうかの判断に利用することができる。
温度センサ14の食品19の表面温度を評価できれば、食品の表面温度が氷結点以下の場合、冷風の温度をさらに下げたり、あるいは風速を上昇させたりして食品19の冷却を早めることができる。このとき、食品19の表面温度が氷結点近傍の場合は、凍結が開始する可能性が出てくるので、冷風の温度を氷結点より、わずかに低くして凍結開始を回避し、過冷却状態に引き込めるようにすることもできる。
食品19の過冷却状態を解消する時期は、温度センサ14にて、食品温度の測定結果によるものの他、約2時間経つ(冷風温度等に依存するが)と食品19は過冷却状態に達していると想定されるので、そこで過冷却状態を解消させて凍結を開始させることもできる。あるいは、食品温度の不均衡や振動といった原因で過冷却状態が解消されることもある。この過冷却状態の解消は、温度センサ14にて、急激な温度上昇により検出することができ、過冷却状態の解消を検出後、冷風の温度を冷凍温度、例えば−18℃の冷風に切り替えて食品に吹き付けることにより食品を冷凍させても良い。このように、温度センサ14を利用すれば、過冷却状態の到達時期を、より的確に判定することができ、未凍結状態にある時間を短くして、食品の冷凍品質を向上させることができる。
ここでは、過冷却冷凍容器の上部が開口されている場合について説明したが、一部開口のある蓋で覆い、容器内部が0.5m/s以下の風速となるよう冷風を送り過冷却状態を発現させる構成としても良い。このように、一部開口のある蓋で覆われた過冷却容器を使用すれば、冷風装置11からの冷風は、ダンパや圧縮機のON/OFFなどにより、冷風装置11の出口では冷風温度および冷風の風速が脈動しているが、蓋の開口を通って過冷却容器中に入ることによりこの脈動が緩和されることになり、より過冷却を発現し易くなる。
なお、冷凍室内部を過冷却冷凍室と通常冷凍室とに分ける場合について説明したが、過冷却冷凍室を独立させた場合であってもよく、効率良く食品を冷凍することができる。
このように、本発明の冷凍方法および冷凍装置によると、冷風を当てて冷却することにより食品を短時間で過冷却状態にでき、細菌の増殖を抑え、過冷却状態解消後、迅速に凍結させることにより、解凍後の食品のドリップ量が少ない冷凍食品を得ることができ、食味に優れた食品の保存方法が提供できるという優れた効果を奏する。
また、過冷却状態を解消するのに新たな装置を付加する必要がなく、低温の冷風を食品に吹き付けるという家庭用冷凍庫が持っている機能を利用する簡単な方法で、過冷却状態を解消できる効果もある。
過冷却現象を用いた食品の冷凍における原理を説明する図である。 過冷却発現率と冷風速度との関係を、冷風温度をパラメータとして示す図である。 過冷却発現率と冷風温度との関係を、冷風速度をパラメータとして示す図である。 冷風温度と風速とによる過冷却状態に至るまでの到達時間との関係を示す図である。 過冷却解消後から凍結が終結するまでの温度とドリップ量の関係を示す図である。 実施の形態1における冷凍装置を示す概略断面図である。
符号の説明
1 冷凍室
2 上部断熱壁
3 下部断熱壁
4 背部断熱壁
5 扉
6 過冷却冷凍容器
8 過冷却冷凍室
11 冷風装置
14 温度センサ
15 冷風制御装置

Claims (7)

  1. 食品に氷結点温度より低い第1の温度の冷風を当て、前記食品を過冷却状態に移行させる工程と、
    前記食品の過冷却状態が解消して氷結晶が生成した後、前記食品を氷結点温度以下に冷却し、前記氷結晶を核に前記食品中の水分を凍結させる工程と、
    を備えたことを特徴とする食品の冷凍方法。
  2. 食品が過冷却状態に移行した後、前記食品に第1の温度より低い第2の温度の冷風を当て、前記食品の過冷却状態を解消させる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の食品の冷凍方法。
  3. 食品を過冷却状態に移行させる工程において、第1の温度は−5℃から−9℃の範囲で、冷風の風速は0.5m/s以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品の冷凍方法。
  4. 食品中の水分を凍結させる工程は、食品を−15℃以下に冷却するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の食品の冷凍方法。
  5. 冷凍室と、
    前記冷凍室に配置される過冷却冷凍容器と、
    前記過冷却冷凍容器に冷風を送る冷風装置と、
    前記冷凍室の温度を計測する温度センサと、
    前記温度センサからの信号により前記冷風装置を制御する冷風制御装置と、
    を備え、前記過冷却冷凍容器内の前記食品を前記冷風装置からの氷結点温度より低い温度の冷風により過冷却状態に移行したことを確認後、前記冷風装置からの過冷却状態の温度より低温の冷風により過冷却状態を解消させ、さらに前記食品を氷結点温度以下に冷却し、凍結させることを特徴とする食品の冷凍装置。
  6. 食品を過冷却状態に移行させる冷風は温度−5℃から−9℃で風速0.5m/s以下であることを特徴とする請求項5に記載の食品の冷凍装置。
  7. 食品を氷結点温度以下に冷却し、凍結させることを、−15℃以下の温度で行なうことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の食品の冷凍装置。
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