JP2009044522A - 偏波ダイバーシティアンテナ - Google Patents

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知之 ▲高▼原
Tomoyuki Takahara
Masahisa Kaneda
正久 金田
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Abstract

【課題】無給電素子によって交差偏波識別度を改善する偏波ダイバーシティアンテナを提供する。
【解決手段】鉛直に立てられた基板2の面を覆う金属膜3に形成され互いに交差する2つのスロット4,5からなる給電素子6,7と、該給電素子6,7の正面方向に少なくとも1段設けられ上記基板2と平行で鉛直線Vに沿った長辺を有する長方形の無給電素子8とを備えた。
【選択図】図1

Description

本発明は、無給電素子によって交差偏波識別度を改善する偏波ダイバーシティアンテナに関する。
移動体通信において、送受信局間を最短距離で伝播する直接波とビルなどの障害物に反射し位相が遅れて伝播する反射波とが合成され、受信電力が変動するフェージングが問題となる。
このフェージングを減らす方法の一つとして偏波ダイバーシティ方式がある。偏波ダイバーシティ方式とは、垂直偏波と水平偏波、+45度偏波と−45度偏波などの偏波角の異なる2つの電波を送受信し、受信される2つの信号を合成したり、あるいは送受信される2つの信号を切り換えたりして受信電力の変動を少なくする技術のことである。
この技術を取り入れたアンテナとして、スロット給電型±45度偏波ダイバーシティアンテナがある(特許文献1)。
この偏波ダイバーシティアンテナは、鉛直に立てられた基板の面を覆う金属膜に形成され鉛直線に対して±45度ずつ傾斜し互いに交差する2つのスロットからなる給電素子と、該給電素子の正面方向に上記基板と離れた無給電素子とを備えたものである。
この偏波ダイバーシティアンテナは、基板の裏面において各給電素子への給電線路を立体交差させる迂回路を形成することにより、基板の正面方向での交差偏波識別度を改善させている。
ここで、交差偏波識別度とは、所望の偏波面を持つ電磁波の受信に対して偏波面が直角に交差する電磁波(交差偏波)をどのくらい受信しているかを示す度合いのことである。
所望の偏波面を持つ電磁波に対して交差偏波を高い割合で受信してしまうと、2つの受信信号が互いに干渉してしまうため、それぞれの偏波間の相関が大きくなり、ダイバーシティの効果が下がる。したがって、ダイバーシティの効果を上げるには、交差偏波識別度を改善させるのがよい。
特開2003−46326号公報
特許文献1では、給電線路を工夫することにより交差偏波識別度を改善させている。しかし、給電線路を工夫して得られる交差偏波識別度の改善にも限界があり、さらなる交差偏波識別度の改善のためには、他の構成要素を工夫することが必要である。
しかしながら、特許文献1において、無給電素子については、その位置が2つのスロットの中心軸上で1/4波長離間した位置と規定されているに過ぎず、図面を見ても横長の四辺形と分かる程度である。このように、特許文献1には、無給電素子について、その形状・配置等に関する特徴は何も開示されていない。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、無給電素子によって交差偏波識別度を改善する偏波ダイバーシティアンテナを提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、鉛直に立てられた基板の面を覆う金属膜に形成され互いに交差する2つのスロットからなる給電素子と、該給電素子の正面方向に少なくとも1段設けられ上記基板と平行で鉛直線に沿った長辺を有する長方形の無給電素子とを備えたものである。
上記2つのスロットの鉛直線に対する傾斜角度は、±45度であってもよい。
上記無給電素子の対角線同士が交差する交点は、上記給電素子のスロットが交差する交点の正面方向に位置してもよい。
上記給電素子の正面方向に少なくとも1段の正方形の無給電素子を備えてもよい。
上記複数の長方形の無給電素子は、上記スロットに近接する無給電素子より上記スロットから遠くに配設されている無給電素子の方が寸法が大きくてもよい。
上記給電素子とその正面方向の無給電素子の組が鉛直方向に複数組並んでいてもよい。
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
(1)交差偏波識別度を改善することができる。
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1に示されるように、本発明に係る偏波ダイバーシティアンテナ1は、鉛直に立てられた基板2の面を覆う金属膜3に形成され互いに交差する2つのスロット4,5からなる給電素子6,7と、該給電素子6,7の正面方向に少なくとも1段設けられ上記基板2と平行で鉛直線Vに沿った長辺を有する長方形の無給電素子8とを備えたものである。なお、鉛直とは、大地(水平面)に対して垂直なことである。正面方向とは基板2の面に立てた垂線Fの方向という意味である。
基板2は、誘電体基板である。この実施形態では、誘電体基板の表面に印刷、めっき、貼り付け等により金属膜3が設けられたプリント基板が基板2として用いられる。基板2は、直方体状に形成されたアンテナシャーシ9の一面に取り付けられている。
アンテナシャーシ9は、例えば、アルミニウムの板で断面が概略コ字状を呈する開口箱体を形成し、その開口部にフランジを形成したものである。その開口部に基板2を差し渡し、その基板2をフランジに固定する。
図2に示されるように、基板2の表面(正面側の面)を覆う金属膜3に2つのスロット4,5が設けられている。スロット4,5は、金属膜3のない部分が細長い長方形に形成されたものである。基板2の裏面にスロット4,5に直交するマイクロストリップ線路11,12を配することでスロット4,5が給電素子6,7となる。ここでは、一方のスロット4のためのマイクロストリップ線路11は、他方のスロット5に表裏で重なるように配線されている。マイクロストリップ線路11,12同士の交差点では、マイクロストリップ線路11,12を立体交差させる迂回路を形成するとよい。
2つのスロット4,5の鉛直線Vに対する傾斜角度は、一方が+45度であり他方が−45度である。両スロット4,5は、互いの長手方向中点において交差する。よって、両スロット4,5の対がなす形状は、鉛直線Vに対して45度に傾斜した十字型である。これらスロット4,5からなる給電素子6,7は、偏波面が鉛直線Vに対して±45度をなす±45度偏波の電磁波を放射することができる。
無給電素子8は、金属板あるいはプリント基板の表面全面に金属膜を形成したものである。無給電素子8は、基板2から所定の距離の位置にスペーサ13を介して基板2に支持されている。スペーサ13は、図示のように無給電素子8の四隅あるいは四辺に配置されているが、図示の配置にこだわらない。
無給電素子8は、長辺の長さをa、短辺の長さをbとする。a>bとなるので、無給電素子8は長方形である。長辺が鉛直線Vに沿い、短辺が水平線(図示せず)に沿う。また、無給電素子8は、基板2と平行である。無給電素子8の対角線同士が交差する交点は、給電素子6,7のスロット4,5同士が交差する交点の正面方向に位置する。よって、真正面から見ると、交点同士が同じ位置に重なって見える。
この実施形態では、偏波ダイバーシティアンテナ1は、無給電素子8を給電素子6,7の正面方向に2段備えている。すなわち、給電素子6,7に近い位置に前段無給電素子14、遠い位置に後段無給電素子15が配置されている。無給電素子8は、1段でもよいし、3段以上有ってもよい。
前段無給電素子14と給電素子6,7との距離は、垂線Fの方向に約1/10波長であり、移動体通信波長にもよるが、例えば、14mmである。前段無給電素子14と後段無給電素子15との距離は、垂線Fの方向に約1/10波長であり、上と同様に移動体通信波長にもよるが、例えば、14mmである。
この実施形態では、偏波ダイバーシティアンテナ1は、給電素子6,7とその正面方向の無給電素子8の組(アンテナユニットと呼ぶ)が鉛直方向に2組並んでいる。すなわち、鉛直方向下部に下部アンテナユニット16aが配置され、鉛直方向上部に所定の距離隔てて上部アンテナユニット16bが配置されている。両アンテナユニット16a,16bを取り付けた基板2は、共通であり、鉛直方向に長く形成される。
次に、本発明に係る偏波ダイバーシティアンテナ1の作用効果を述べる。
本出願人は、偏波ダイバーシティアンテナの交差偏波識別度の改善のために、無給電素子の形状・配置等に工夫をすることはできないかと考え、様々な形状の無給電素子を作製し、様々な配置を試す実験を重ねた。その結果、無給電素子の形状・配置等により、交差偏波識別度を改善することができることを突き止め、発明に至った。
すなわち、給電素子6,7の正面方向に少なくとも1段設けられ基板2と平行で鉛直線Vに沿った長辺を有する長方形の無給電素子8を備えることで、交差偏波識別度を改善することができる。
その理由について考察すると、無給電素子8を長方形にすることによって、対向する電波(+45度で通信を行う場合、−45度)を無給電素子8上で受信する電波の割合が一致してしまうことがなくなるためである。
また、無給電素子8の長辺の長さaに対する短辺の長さbの比率を小さくしていくと(言い換えると長方形を長くしていくと)、交差偏波識別度をいっそう改善することができる。
無給電素子8は、上記理由により、1段のみでも効果がある。無給電素子8を前段無給電素子14、後段無給電素子15のように2枚備えると、例えば、前段無給電素子14で交差偏波識別度以外の特性(VSWR、偏波間結合量、水平面半値幅)を制御することが容易になるという利点がある。
また、実施形態では、アンテナユニットが上下に2組有るが、本発明によれば、交差偏波識別度はアンテナユニットの形状(前段、後段無給電素子の形状)のみで制御されるので、アンテナユニットが1組でも交差偏波識別度を改善させる効果がある。
実施形態では、2つの給電素子が±45度であって、電磁波の偏波面も±45度としたが、2つの給電素子が±45度でない場合、あるいは電磁波の偏波面が±45度でない場合においても、本発明のように無給電素子を長方形にすることにより、交差偏波識別度を改善させる効果がある。
前段無給電素子14と後段無給電素子15は、いずれか一方が長方形の無給電素子8であれば、他が正方形の無給電素子であってもよい。すなわち、本発明の偏波ダイバーシティアンテナ1は、給電素子6,7の正面方向に少なくとも1段の正方形の無給電素子を備えてもよい。
また、前段無給電素子14と後段無給電素子15が両方とも長方形の無給電素子8であってもよい。すなわち、本発明の偏波ダイバーシティアンテナ1は、長方形の無給電素子8を複数段備えてもよい。
さらに、前段無給電素子14と後段無給電素子15は、互いに辺の寸法が違っていてもよい。すなわち、本発明の偏波ダイバーシティアンテナ1は、複数の長方形の無給電素子8は、辺の寸法が他の無給電素子8と異なる無給電素子8を含んでいてもよい。
図3、図4に示されるように、本発明の偏波ダイバーシティアンテナ31は、多数のアンテナユニット32a,32b,32c,…が鉛直方向に並んでいてもよい。各アンテナユニット32a,32b,32c,…の無給電素子33は、いずれも長辺の長さがa、短辺の長さがbである。これら複数のアンテナユニットは、アレーアンテナとして用いられる。
まず、比較例として、長方形の無給電素子を持たない偏波ダイバーシティアンテナを作製する。すなわち、図1とほぼ同様の構造で、前段無給電素子14と後段無給電素子15が両方とも正方形の無給電素子である偏波ダイバーシティアンテナを作製する。前段無給電素子14は46mm×46mmの正方形とし、後段無給電素子15は50mm×50mmの正方形とする。
本発明の実施例#1として、前段無給電素子14は46mm×46mmの正方形とし、後段無給電素子15は53mm(長辺a)×50mm(短辺b)の長方形とする。
実施例#2として、前段無給電素子14は47mm(長辺a)×45mm(短辺b)の長方形とし、後段無給電素子15は53mm(長辺a)×50mm(短辺b)の長方形とする。
以上の通り、無給電素子8の長辺aと短辺bは要求されるアンテナ特性(例えば、交差偏波識別度や水平面内半値幅など)に応じて適宜決めればよい。本実施例#2では、長辺aと短辺bは2/100波長程度の差である。また、前段無給電素子14よりも後段無給電素子15の寸法を大きくした方が電波指向性の制御が容易となるため、好ましい。
比較例の偏波ダイバーシティアンテナの水平角対相対利得特性を図5に、実施例#1の偏波ダイバーシティアンテナの水平角対相対利得特性を図6に、実施例#2の偏波ダイバーシティアンテナの水平角対相対利得特性を図7に示す。横軸は水平角(すなわち水平面上での角度;方位角)、縦軸は相対利得である。
図5に示されるように、比較例の偏波ダイバーシティアンテナでは、主偏波(例えば、+45度偏波とする)の利得が最高値(水平角0度)の半分以上である半値幅内の水平角では、交差偏波(−45度偏波)の利得は水平角0度で最高となる。このとき、交差偏波識別度は、水平角0度における主偏波の利得と交差偏波の利得との差であるから、22dBである。
図6に示されるように、実施例#1の偏波ダイバーシティアンテナでは、主偏波(例えば、+45度偏波とする)の利得が最高値(水平角0度)の半分以上である半値幅内の水平角では、交差偏波(−45度偏波)の利得は水平角約35度(主偏波が半値の水平角)で最高となる。このとき、交差偏波識別度は、水平角約35度における主偏波の利得と交差偏波の利得との差であるから、27dBである。
図7に示されるように、実施例#2の偏波ダイバーシティアンテナでは、主偏波(例えば、+45度偏波とする)の利得が最高値(水平角0度)の半分以上である半値幅内の水平角では、交差偏波(−45度偏波)の利得は水平角約25度(主偏波が半値よりやや大きい水平角)で最高となる。このとき、交差偏波識別度は、水平角約25度における主偏波の利得と交差偏波の利得との差であるから、30dBである。
これらの水平角対相対利得特性と交差偏波識別度の比較から、実施例#1の偏波ダイバーシティアンテナは比較例のものより5dBの改善が見られ、実施例#2の偏波ダイバーシティアンテナは比較例のものより8dBの改善が見られる。よって、本発明が交差偏波識別度の改善に有効であることが実証された。
本発明の一実施形態を示す偏波ダイバーシティアンテナの斜視図である。 図1の偏波ダイバーシティアンテナの正面図である。 他の実施形態を示す偏波ダイバーシティアンテナの斜視図である。 図3の偏波ダイバーシティアンテナの正面図である。 比較例の偏波ダイバーシティアンテナの水平角対相対利得特性図である。 実施例#1の偏波ダイバーシティアンテナの水平角対相対利得特性図である。 実施例#2の偏波ダイバーシティアンテナの水平角対相対利得特性図である。
符号の説明
1 偏波ダイバーシティアンテナ
2 基板
3 金属膜
4,5 スロット
6,7 給電素子
8 無給電素子

Claims (6)

  1. 鉛直に立てられた基板の面を覆う金属膜に形成され互いに交差する2つのスロットからなる給電素子と、該給電素子の正面方向に少なくとも1段設けられ上記基板と平行で鉛直線に沿った長辺を有する長方形の無給電素子とを備えたことを特徴とする偏波ダイバーシティアンテナ。
  2. 上記2つのスロットの鉛直線に対する傾斜角度は、±45度であることを特徴とする請求項1記載の偏波ダイバーシティアンテナ。
  3. 上記無給電素子の対角線同士が交差する交点は、上記給電素子のスロットが交差する交点の正面方向に位置することを特徴とする請求項1又は2記載の偏波ダイバーシティアンテナ。
  4. 上記給電素子の正面方向に少なくとも1段の正方形の無給電素子を備えたことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の偏波ダイバーシティアンテナ。
  5. 上記複数の長方形の無給電素子は、上記スロットに近接する無給電素子より上記スロットから遠くに配設されている無給電素子の方が寸法が大きいことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の偏波ダイバーシティアンテナ。
  6. 上記給電素子とその正面方向の無給電素子の組が鉛直方向に複数組並んでいることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の偏波ダイバーシティアンテナ。
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