JP2009040284A - ブレーキ制御装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】急ブレーキ時に駆動機構に加わる負荷を軽減する。
【解決手段】保護制御判定部108は、車輪のスリップ時にブレーキが踏まれたとき、ホイールシリンダの昇圧速度を抑制して駆動機構に加わる負荷を軽減する保護制御を実施するか否かを判定する。昇圧制限部110は、保護制御を実施すると判定されたとき、エンジン回転数と、車輪回転数をエンジン出力軸の回転数に換算した換算回転数とを比較し、両者の回転数の差が大きいほどホイールシリンダの昇圧速度を低下させる。
【選択図】図2
【解決手段】保護制御判定部108は、車輪のスリップ時にブレーキが踏まれたとき、ホイールシリンダの昇圧速度を抑制して駆動機構に加わる負荷を軽減する保護制御を実施するか否かを判定する。昇圧制限部110は、保護制御を実施すると判定されたとき、エンジン回転数と、車輪回転数をエンジン出力軸の回転数に換算した換算回転数とを比較し、両者の回転数の差が大きいほどホイールシリンダの昇圧速度を低下させる。
【選択図】図2
Description
本発明は、車両の駆動機構に加わる負荷を軽減して駆動機構を保護する技術に関する。
車両のエンジン回転数が高く駆動機構の回転慣性が大きい状態にあるとき、駆動輪に制動力が付与されると、ドライブシャフト、デファレンシャル、トランスファ、トランスミッションおよびエンジンからなる駆動機構に過大な負荷が加わるおそれがある。この負荷は、駆動機構の減速比が大きいほど大きくなる。そこで、従来から、制動中の車輪のロックを抑制する制御を行うABS(Anti-lock Brake System)を搭載した車両では、加速スリップ中に急ブレーキが踏まれた場合、ホイールシリンダの昇圧速度を抑えて車輪にかかる制動力を緩めることで、車輪回転数の急激な低下を抑制している。これにより、エンジン回転数と車輪回転数の差分の増大を抑え、駆動機構に加わる負荷が軽減される。
このように、車両制動時にエンジンをはじめとする駆動機構への負荷を軽減する技術として、例えば特許文献1には、駆動系の回転慣性力の大小を検出する慣性力検出手段を備え、回転慣性力が大きい場合に駆動輪に付与する制動力を低下させるトラクション制御装置が開示されている。
特開2000−344082号公報
しかしながら、上述のようにブレーキが踏まれたときにホイールシリンダの昇圧を制限すると、制動力を弱めることになるため、車両の停止距離が延びるおそれがある。したがって、急ブレーキ時に駆動機構に加わる負荷がそれほど大きくない場合には、ホイールシリンダの昇圧制限を控えることが望ましい。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、急ブレーキ時にホイールシリンダ圧の昇圧速度を抑えることで、駆動機構に伝達される負荷を軽減する技術を提供することにある。
本発明のある態様は、ブレーキ制御装置である。この装置は、運転者によるブレーキ操作部材への操作量に応じて作動流体を加圧して送出するマスタシリンダと、前記操作量に応じた作動流体の供給を受けて車輪に制動力を発生させるホイールシリンダと、エンジンで発生する駆動力を車輪へ伝達する駆動機構と、車輪のスリップ時にブレーキが踏まれたとき、ホイールシリンダの昇圧速度を抑制して前記駆動機構に加わる負荷を軽減する保護制御を実施するか否かを判定する保護制御判定部と、保護制御を実施すると判定されたとき、エンジン回転数の大きさに基づきホイールシリンダの昇圧速度を抑制する度合いを決定する昇圧制限部と、を備える。
車輪が加速スリップしているときに急ブレーキが踏み込まれると、制動力によって車輪の回転速度が急に低下するため、駆動機構の回転数と車輪回転数の差分だけ車輪側から駆動機構に急激かつ大きなトルクが加わることになる。これは、駆動機構を構成する各種部品を傷めてしまうおそれがある。この態様によると、制動力を発生させるホイールシリンダ圧の昇圧速度を抑制することで車輪回転数の急激な低下を防止し、駆動機構に加わる負荷を軽減することができる。
前記保護制御判定部は、エンジン回転数が所定のしきい値未満のとき前記保護制御の実施を回避してもよい。エンジン回転数が低い場合は、ブレーキを急踏みしても、エンジン回転数と車輪回転数との差分によって駆動機構に伝わるトルクが比較的小さい。そこで、このような場合に保護制御の実施を回避することで、ホイールシリンダ圧の昇圧速度抑制による制動力の低下を避けることができる。
前記昇圧制限部は、エンジン回転数と、車輪回転数をエンジン出力軸の回転数に換算した換算回転数との差分を計算し、該差分が大きいほどホイールシリンダの昇圧速度を低下させてもよい。急ブレーキ時に車輪から駆動機構へ入力されるトルクは、エンジン回転数と換算回転数の差分に応じて定まる。したがって、上記差分に応じてホイールシリンダの昇圧速度を決定することで、すなわち、差分が大きいほどホイールシリンダの昇圧速度を低下させることで、ホイールシリンダの昇圧を不必要に抑制することがなくなる。そのため、制動力の低下が最小限となる。
前記保護制御判定部は、前記マスタシリンダ圧の時間変化率が所定のしきい値以上であるとき前記保護制御を実施すると判定してもよい。これにより、急ブレーキがかけられたときにのみ保護制御が行われるようになる。
ホイールシリンダ圧の昇圧と保持とを所定の時間間隔で繰り返す昇圧パターンを保持するパターン保持部をさらに備えてもよい。前記昇圧制限部は、エンジン回転数と換算回転数の差分に応じた昇圧パターンを前記パターン保持部から選択し、選択した昇圧パターンにしたがってホイールシリンダ圧を制御してもよい。昇圧パターンに合わせてホイールシリンダ圧の昇圧と保持を繰り返すことで、比較的簡単にホイールシリンダ圧の昇圧速度を抑制することができる。
前記昇圧制限部は、前記昇圧パターンにしたがったホイールシリンダ圧の制御を継続する昇圧制限期間をエンジン回転数に応じて設定してもよい。
本発明の別の態様は、ブレーキ制御方法である。この方法は、運転者によるブレーキ操作部材への操作量に応じて作動流体を加圧して送出するマスタシリンダと、前記操作量に応じた作動流体の供給を受けて車輪に制動力を発生させるホイールシリンダと、エンジンで発生する駆動力を車輪へ伝達する駆動機構と、を備える車両において、車輪のスリップ時にマスタシリンダ圧を取得し、マスタシリンダ圧の時間変化率が所定のしきい値以上であるとき、エンジン回転数と車輪回転数をエンジン出力軸の回転数に換算した換算回転数の差分を計算し、前記差分に応じて予め定められている昇圧パターンを所定のメモリから選択し、選択した昇圧パターンにしたがってホイールシリンダの昇圧速度を抑制して、前記駆動機構に加わる負荷を軽減する。
本発明によれば、急ブレーキ時にホイールシリンダ圧の昇圧速度を抑えることで、駆動機構に伝達される負荷を軽減することができる。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るブレーキ制御装置200の概略構成を示す。ブレーキ制御装置200はいわゆる電子制御ブレーキ(ECB:Electronically Controlled Brake)であり、車室内に設けられたブレーキペダル72の操作量をセンサで検知し、ブレーキペダルの操作に応じて発せられるブレーキECU(図示せず)からの指令に応じて、四輪独立してブレーキを作動させることができる。
図1は、実施の形態1に係るブレーキ制御装置200の概略構成を示す。ブレーキ制御装置200はいわゆる電子制御ブレーキ(ECB:Electronically Controlled Brake)であり、車室内に設けられたブレーキペダル72の操作量をセンサで検知し、ブレーキペダルの操作に応じて発せられるブレーキECU(図示せず)からの指令に応じて、四輪独立してブレーキを作動させることができる。
車両の右前輪14FR、左前輪14FL、右後輪14RR、左後輪14RLには、ディスクブレーキが設けられており、それぞれホイールシリンダ15FR、15FL、15RR、15RLの駆動によりブレーキパッドをディスクに押し付けることで制動力を発揮するようになっている。
右前輪、左前輪、右後輪、左後輪のホイールシリンダ15FR、15FL、15RR、15RL付近には、それぞれホイールシリンダ内の液圧を計測する圧力センサ(図示せず)が設けられている。
ブレーキペダル72にはその踏み込みストロークを検出するストロークセンサ27が設けられている。マスタシリンダ25は、運転者によるブレーキペダル72の踏み込み操作に応じ、作動液であるブレーキオイルをホイールシリンダ15FR、15FL、15RR、15RLに圧送する。
ホイールシリンダ15FR、15FL、15RR、15RLとマスタシリンダ25との間にはアクチュエータ80が介装されており、アクチュエータ80はブレーキECUにより制御されてホイールシリンダ15FR、15FL、15RR、15RLへのブレーキ油圧を調整可能にしている。
アクチュエータ80は、マスタシリンダ25の第1ポート25aとホイールシリンダ15FL、15FRとの間に介装された電磁バルブ31、32と、マスタシリンダ25の第2ポート25bとホイールシリンダ15RL、15RRとの間に介装された電磁バルブ33,34とを備えている。電磁バルブ31〜34は、非通電時にそれぞれ図示の連通状態にあり、通電時に図示状態から切換えられて非連通状態になる。これらの電磁バルブ31〜34の各入出力ポート間には、同電磁バルブ31〜34が非連通状態にあっても、ブレーキペダル72の踏み込み解除時にはホイールシリンダ15FL〜15RR内のブレーキ油をマスタシリンダ25側へ戻すためのチェックバルブ35〜38がそれぞれ接続されている。
また、第1ポート25aと第2ポート25bの先には、マスタシリンダ液圧を計測するマスタシリンダ圧センサ28a、28bが設けられている。
電磁バルブ31〜34とホイールシリンダ15FR、15FL、15RR、15RLとの各接続点には電磁バルブ41〜44の各入力ポートがそれぞれ接続され、電磁バルブ41,42の各出力ポートはリザーバ45に接続され、また電磁バルブ43,44の各出力ポートはリザーバ46に接続されている。電磁バルブ41〜44は、非通電時にそれぞれ図示の非連通状態にあり、通電時に図示状態から連通状態に切換えられてホイールシリンダ15FR、15FL、15RR、15RL内のブレーキ油のリザーバ45,46への排出を許容する。なお、リザーバ45,46内のブレーキ油はチェックバルブ47,48を介して油圧ポンプ51,52によりそれぞれ汲み上げられるようになっている。汲み上げられたブレーキ油は、チェックバルブ53,54と、脈動防止用のダンパ55a,56a及びオリフィス55b,56bとをそれぞれ介してマスタシリンダ25に戻される。油圧ポンプ51,52は、電動モータ57によってそれぞれ駆動される。
ブレーキECUはマイクロコンピュータによる演算ユニット、各種制御プログラムを格納するROM、およびデータ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMなどを備える。
詳細は図示しないが、演算ユニットには、右前輪用、左前輪用、右後輪用、左後輪用の圧力センサから、それぞれ、右前輪のホイールシリンダ15FR内の圧力信号、左前輪のホイールシリンダ15FL内の圧力信号、右後輪用のホイールシリンダ15RR内の圧力信号、左後輪用のホイールシリンダ15RL内の圧力信号が入力される。さらに、演算ユニットには、ストロークセンサからはブレーキペダル72の踏み込みストロークを示す信号が、マスタ圧力センサからはマスタシリンダ液圧を示す信号が入力される。
ブレーキECUのROMは所定の制動制御フローを記憶している。演算ユニットはストローク信号とマスタシリンダ液圧信号に基づき車両の目標制動力を演算し、演算された目標制動力に基づいて各輪の目標ホイールシリンダ液圧を演算し、各輪のホイールシリンダ液圧が目標ホイールシリンダ液圧になるよう、アクチュエータ80を制御する。また、ブレーキECUは、急ブレーキ時等に車輪のロックを防止するABS制御を実行する。これらの制御は周知であるから、詳細な説明は省略する。
各車輪14FR、14FL、14RR、14RLの近傍には車輪速センサ16FR、16FL、16RR、16RLが設けられ、車輪回転数を検出してブレーキECUに提供する。
ブレーキ制御装置200は、4つの車輪14FR、14FL、14RR、14RLの全てを駆動輪とする四輪駆動車に搭載される。この車両の駆動機構は、ドライブシャフト、デファレンシャルギア、トランスファ、トランスミッションを介して、車輪とエンジンとが接続されている。なお、駆動機構の構造は周知であるので、詳細な説明を省略する。
図2は、ブレーキECU100のうち、本実施形態の駆動機構保護制御に関与する部分の構成とその他のセンサを示す機能ブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
ブレーキECU100は、上述したようなブレーキペダルのストローク信号に応じた制動力を発生するほか、加速スリップ中に急ブレーキが踏まれたときにホイールシリンダ圧の上昇を制限する駆動機構保護制御を実施する。ブレーキECU100は、車両速度推定部102、スリップ判定部104、ブレーキ早踏み検出部106、保護制御判定部108、昇圧制限部110、昇圧パターン保持部112および車輪速算出部114を含む。
エンジン回転数センサ82は、車両を駆動する図示しないエンジンの回転数を検出する。加速度センサ84は車両の前後加速度を検出する。トランスファセンサ86は、車両がL4駆動中であるか否かを検出する。これら検出された情報は、ブレーキECU100に供給される。
車両速度推定部102は、加速度センサ84の出力に基づき推定車両速度を算出する。
スリップ判定部104は、推定車両速度と車輪回転数との比較に基づき、車両加速中に生じる車輪のスリップ(以下、「加速スリップ」という)を検出する。例えば、推定車両速度を車輪回転数に換算し(以下、これを「推定車輪回転数」と呼ぶ)、実際の車輪回転数が推定車輪回転数よりも所定のしきい値以上大きい場合、加速スリップが生じていると判定する。
ブレーキ早踏み検出部106は、ブレーキペダルが踏まれているか否か、およびマスタシリンダ圧センサ28a、28bで検出されるマスタシリンダ圧Pmaの時間変化率に基づき、ブレーキの早踏みすなわち急ブレーキを検出する。
車輪速算出部114は、各輪の車輪速センサ16FR、16FL、16RR、16RLから車輪回転数を受け取り、エンジン出力軸の回転数に換算する(以下、これを「換算回転数」と呼ぶ)。車輪速算出部114は、まず四輪の平均車輪速を次式で算出する。
VWAVE[m/min]={(VWFR+VWFL+VWRR+VWRL)/4}×1000/60 (1)
換算回転数NVWは、次式で算出される。
NVW[rpm]={VWAVE/(タイヤ半径×2π)}×(デフ比)×(ミッション減速比) (2)
但し、「デフ比」はデファレンシャルギアの減速比であり、「ミッション減速比」はトランスミッションの減速比を表す。
VWAVE[m/min]={(VWFR+VWFL+VWRR+VWRL)/4}×1000/60 (1)
換算回転数NVWは、次式で算出される。
NVW[rpm]={VWAVE/(タイヤ半径×2π)}×(デフ比)×(ミッション減速比) (2)
但し、「デフ比」はデファレンシャルギアの減速比であり、「ミッション減速比」はトランスミッションの減速比を表す。
保護制御判定部108は、加速スリップが検出され、かつブレーキの早踏みが検出された場合、ホイールシリンダの昇圧を制限する駆動機構保護制御を実施すると判定する。保護制御の開始後、エンジン回転数が低下して車輪回転数との差分が所定のしきい値より小さくなれば、昇圧制限をする必要性がなくなるので、保護制御を終了させる。
昇圧制限部110は、駆動機構保護制御を実施すると判定されたときに、エンジン回転数と換算回転数の差分と所定のしきい値との比較に基づき、昇圧パターン保持部112に保持されている昇圧パターンを選択する。そして、アクチュエータ80に対し、選択した昇圧パターンにしたがってホイールシリンダ圧を制御するように指示を出す。
図3は、駆動機構保護制御を実施するか否かを判定するフローチャートである。このフローは、車両の走行中に所定の期間毎に繰り返される。
保護制御判定部108は、トランスファがL4レンジであるか否かを判定する(S10)。L4レンジでない場合(S10のN)、減速比が大きくないことから駆動機構の保護制御は不要なので、後述する保護制御フラグとブレーキ早踏みフラグをオフにして(S34、S36)、このフローを終了する。
L4レンジである場合(S10のY)、スリップ判定部104は加速スリップが生じているか否かを判定する(S12)。加速スリップしている場合(S12のY)、保護制御判定部108は、ブレーキが踏まれているか否かを判定する(S14)。ブレーキが踏まれている場合(S14のY)、さらにABSが作動しているか否かを判定する(S16)。ABSが作動している場合には車輪速度の急激な低下がないので、保護制御を実施する必要がないからである。
加速スリップが生じていない、ブレーキが踏まれていない、またはABSが作動している場合は(S12のN、S14のN、S16のY)、保護制御フラグとブレーキ早踏みフラグをオフにしてこのフローを終了する。
S16でABSが作動していない場合(S16のN)、ブレーキ早踏み検出部106はマスタシリンダ圧Pmaを読み出し(S18)、ブレーキ早踏みフラグがオフの場合(S20のN)、マスタシリンダ圧の時間変化率dPmaを算出する(S22)。そして、時間変化率dPmaと所定のしきい値を比較し(S24)、dPmaがしきい値より大きい場合(S24のY)、ブレーキが早踏みされたと判定し、ブレーキ早踏みフラグをオンにセットする(S26)。S20でブレーキ早踏みフラグが既にオンの場合(S20のY)、S22〜S26はスキップする。変化率dPmaが所定のしきい値以下の場合(S24のN)、すなわちブレーキペダルが比較的ゆっくりと踏まれた場合には、マスタシリンダ圧の昇圧ひいてはホイールシリンダ圧の昇圧が急激にならず、昇圧を制限する必要がないため、S14に戻る。
ブレーキ早踏みフラグがオンにされた後、保護制御判定部108は、マスタシリンダ圧Pmaが所定のしきい値より大きいか否かを判定する(S28)。たとえブレーキペダルが早踏みされても、制動指令が大きくない場合には昇圧制限の必要がないため、この判定が必要になる。マスタシリンダ圧が所定のしきい値以下の場合(S28のN)、S14に戻る。マスタシリンダ圧が所定のしきい値より大きい場合(S28のY)、保護制御フラグがオンにセットされる(S30)。
このように、L4レンジで加速スリップが発生し、かつブレーキペダルが急激にある程度の量だけ踏み込まれた場合にのみ、ホイールシリンダの昇圧制限が必要であると判断されることになる。
このように、L4レンジで加速スリップが発生し、かつブレーキペダルが急激にある程度の量だけ踏み込まれた場合にのみ、ホイールシリンダの昇圧制限が必要であると判断されることになる。
保護制御判定部108は、エンジン回転数が保護制御を必要としない所定の回転数(例えば、1000rpm)に低下したか否かを判定する(S32)。エンジン回転数がしきい値を下回ると(S32のY)、保護制御フラグをオフに戻し(S34)、またブレーキ早踏みフラグもオフにする(S36)。
図4は、ホイールシリンダ圧の昇圧制限を実施するフローチャートである。昇圧制限部110は、保護制御フラグがオンか否かを判定する(S40)。保護制御フラグがオフの場合(S40のN)、昇圧制限は実行しない(S42)。つまり、マスタシリンダ圧に対応するホイールシリンダ圧が発生するようにアクチュエータ80が動作する。
保護制御フラグがオンの場合(S40のY)、昇圧制限部110はエンジン回転数Neを読み取り(S44)、また各輪の車輪回転数から上述の換算回転数NVWを算出する(S46)。
昇圧制限部110は、エンジン回転数Neと換算回転数NVWとの差分の大きさに応じて、昇圧パターン保持部112から異なる昇圧パターンを選択する。具体的には、エンジン回転数Neと換算回転数NVWとの差がしきい値T1(例えば400rpm)より大きければ(S48のY)、予め定められた昇圧パターン1にしたがってホイールシリンダ圧の昇圧を制限する(S54)。差がしきい値T1以下でしきい値T2(例えば200rpm)より大きければ(S48のN、S50のY)、昇圧パターン2にしたがってホイールシリンダ圧の昇圧を制限する(S56)。差がしきい値T2以下であれば(S50のN)、昇圧パターン3にしたがってホイールシリンダ圧の昇圧を制限する(S52)。
なお、図3および図4に関連して上述した全てのしきい値は、駆動機構に加わる負荷が駆動機構を損傷しない程度に十分小さくなるように、実験またはシミュレーションを通して決定される。
図5は、昇圧制限部110がしたがう昇圧パターンの一例を示す。(a)は、マスタシリンダ圧(図中の曲線A)の増加に対して、昇圧制限されたときのホイールシリンダ圧(図中の曲線B)の上昇の様子を示す。(b)は、昇圧パターンにおける昇圧時間と保持時間を説明する図である。「昇圧時間」の間は、昇圧制限部110はアクチュエータ80に対してホイールシリンダ圧を増加させるように指令し、「保持時間」の間は、アクチュエータ80に対してホイールシリンダ圧を増加させずそのままの圧力を保持するように指令する。アクチュエータ80は、昇圧制限部110からの指令に応じて各種制御弁を開閉する。(c)は、昇圧パターン1〜3における昇圧時間と保持時間との比率を示すテーブルである。この例では、各昇圧パターンは、昇圧時間と保持時間を合わせて20マイクロ秒を1サイクルとしている。
エンジン回転数Neと車輪の換算回転数NVWの差分が大きいほど駆動機構への負荷は大きくなるため、両者の差分が大きいほど昇圧速度を緩める必要がある。そこで、図5の例では、差分が大きいときに選択される昇圧パターンほど、保持時間に対して昇圧時間を短くすることでホイールシリンダ圧の上昇を抑えるようにしている。
なお、各昇圧パターンにおける昇圧時間と保持時間の比率は、ホイールシリンダの昇圧つまり車輪の制動によって駆動機構にかかる負荷が駆動機構を構成する各部品の許容応力に対して所定の割合以下になるように、実験的に設定される。また、図5の昇圧パターンは例示であり、昇圧時間と保持時間の比率が上記以外であってもよい。さらに、エンジン回転数と換算回転数との差分に応じて昇圧パターンを4つ以上としてもよいし、2つ以下としてもよいことは言うまでもない。
以上説明したように、実施の形態1によれば、加速スリップ中に急ブレーキが踏まれた場合のように駆動機構への入力トルクが過大であると判定された場合に、ホイールシリンダ圧の昇圧速度を抑制することによって、駆動機構に加わる負荷を軽減することができる。これにより、駆動機構の損傷や寿命の低下が防止される。
実施の形態2.
実施の形態1では、エンジン回転数Neと換算回転数NVWとの差分に基づき、ホイールシリンダの昇圧を制限するための昇圧パターンを選択した。これに対し、実施の形態2では、駆動機構保護制御開始時のエンジン回転数Neのみに基づき、ホイールシリンダの昇圧制限を実施する期間を設定する。
実施の形態1では、エンジン回転数Neと換算回転数NVWとの差分に基づき、ホイールシリンダの昇圧を制限するための昇圧パターンを選択した。これに対し、実施の形態2では、駆動機構保護制御開始時のエンジン回転数Neのみに基づき、ホイールシリンダの昇圧制限を実施する期間を設定する。
図6は、実施の形態2によるホイールシリンダ圧の昇圧制限を実施するフローチャートである。昇圧制限部110は、保護制御フラグがオンか否かを判定する(S60)。保護制御フラグがオフの場合(S60のN)、昇圧制限は実施しない(S74)。
保護制御フラグがオンの場合(S60のY)、昇圧制限部110は後述する制御開始フラグがオンであるか否かを判定する(S62)。制御開始フラグがオフの場合(S62のN)、エンジン回転数Neを読み取り(S66)、後述するテーブルを参照して昇圧制限期間を設定する(S68)。この昇圧制限期間は、所定の昇圧パターンにしたがってホイールシリンダ圧の昇圧制限を継続する期間である。エンジン回転数Neが大きいほど昇圧制限期間は長くなる。
昇圧制限部110は、制御開始フラグをオンにセットし、昇圧パターンにしたがってホイールシリンダ圧の昇圧制限を開始するとともに(S70)、内蔵のタイマをスタートする(S72)。S62で、制御開始フラグがオン、すなわち昇圧制限が開始されている場合(S62のY)、昇圧制限部110は、タイマのカウントがS68で設定された昇圧制限期間に達したか否かを判定する(S64)。昇圧制限期間に達していない場合(S64のN)、そのまま制御を継続する。昇圧制限期間に達すると(S64のY)、制御開始フラグをオフにセットし、昇圧制限を終了する(S74)。すなわち、通常通りマスタシリンダ圧に対応するホイールシリンダ圧が発生するようにアクチュエータ80が動作する。
図7は、昇圧制限期間の一例を示すテーブルである。図示するように、エンジン回転数に応じて昇圧制限期間が定められている。昇圧制限期間は、ホイールシリンダの昇圧つまり車輪の制動によって駆動機構にかかる負荷が、駆動機構を構成する各部品の許容応力に対して所定の割合以下になるように、実験的に設定される。
昇圧制限部110は、昇圧制限期間の間、図5(c)に示したような昇圧時間と保持時間とが予め定められている昇圧パターンにしたがってホイールシリンダ圧を制御するようにアクチュエータ80に指示する。
昇圧制限部110は、昇圧制限期間の間、図5(c)に示したような昇圧時間と保持時間とが予め定められている昇圧パターンにしたがってホイールシリンダ圧を制御するようにアクチュエータ80に指示する。
以上説明したように、実施の形態2によれば、加速スリップ中に急ブレーキが踏まれた場合のように駆動機構への入力トルクが過大であると判定された場合に、制御開始時のエンジン回転数に基づきホイールシリンダ圧の昇圧を制限するための期間を設定することで、駆動機構に加わる負荷を軽減することができる。また、エンジン回転数のみで昇圧制限期間が決まるため、実施の形態1よりも演算に要する時間を短縮できる。
以上、本発明をいくつかの実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態はあくまで例示であり、実施の形態どうしの任意の組合せ、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスの任意の組合せなどの変形例もまた、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能である。各図に示す構成は、一例を説明するためのもので、同様な機能を達成できる構成であれば、適宜変更可能である。
16 車輪速センサ、 27 ストロークセンサ、 28a、28b マスタシリンダ圧センサ、 80 アクチュエータ、 82 エンジン回転数センサ、 100 ブレーキECU、 102 車両速度推定部、 104 スリップ判定部、 106 ブレーキ早踏み検出部、 108 保護制御判定部、 110 昇圧制限部、 112 昇圧パターン保持部、 114 車輪速算出部。
Claims (7)
- 運転者によるブレーキ操作部材への操作量に応じて作動流体を加圧して送出するマスタシリンダと、
前記操作量に応じた作動流体の供給を受けて車輪に制動力を発生させるホイールシリンダと、
エンジンで発生する駆動力を車輪へ伝達する駆動機構と、
車輪のスリップ時にブレーキが踏まれたとき、ホイールシリンダの昇圧速度を抑制して前記駆動機構に加わる負荷を軽減する保護制御を実施するか否かを判定する保護制御判定部と、
保護制御を実施すると判定されたとき、エンジン回転数の大きさに基づきホイールシリンダの昇圧速度を抑制する度合いを決定する昇圧制限部と、
を備えることを特徴とするブレーキ制御装置。 - 前記保護制御判定部は、エンジン回転数が所定のしきい値未満のとき前記保護制御の実施を回避することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
- 前記昇圧制限部は、エンジン回転数と、車輪回転数をエンジン出力軸の回転数に換算した換算回転数との差分を計算し、該差分が大きいほどホイールシリンダの昇圧速度を低下させることを特徴とする請求項2に記載のブレーキ制御装置。
- 前記保護制御判定部は、マスタシリンダ圧の時間変化率が所定のしきい値以上であるとき前記保護制御を実施すると判定することを特徴とする請求項2または3に記載のブレーキ制御装置。
- ホイールシリンダ圧の昇圧と保持とを所定の時間間隔で繰り返す昇圧パターンを保持するパターン保持部をさらに備え、
前記昇圧制限部は、エンジン回転数と換算回転数の差分に応じた昇圧パターンを前記パターン保持部から選択し、選択した昇圧パターンにしたがってホイールシリンダ圧を制御することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のブレーキ制御装置。 - 前記昇圧制限部は、前記昇圧パターンにしたがったホイールシリンダ圧の制御を継続する昇圧制限期間をエンジン回転数に応じて設定することを特徴とする請求項2に記載のブレーキ制御装置。
- 運転者によるブレーキ操作部材への操作量に応じて作動流体を加圧して送出するマスタシリンダと、
前記操作量に応じた作動流体の供給を受けて車輪に制動力を発生させるホイールシリンダと、
エンジンで発生する駆動力を車輪へ伝達する駆動機構と、を備える車両において、
車輪のスリップ時にマスタシリンダ圧を取得し、
マスタシリンダ圧の時間変化率が所定のしきい値以上であるとき、エンジン回転数と車輪回転数をエンジン出力軸の回転数に換算した換算回転数の差分を計算し、
前記差分に応じて予め定められている昇圧パターンを所定のメモリから選択し、
選択した昇圧パターンにしたがってホイールシリンダの昇圧速度を抑制して、前記駆動機構に加わる負荷を軽減することを特徴とするブレーキ制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007208622A JP2009040284A (ja) | 2007-08-09 | 2007-08-09 | ブレーキ制御装置および方法 |
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JP2007208622A JP2009040284A (ja) | 2007-08-09 | 2007-08-09 | ブレーキ制御装置および方法 |
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JP2009040284A true JP2009040284A (ja) | 2009-02-26 |
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JP2007208622A Pending JP2009040284A (ja) | 2007-08-09 | 2007-08-09 | ブレーキ制御装置および方法 |
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-
2007
- 2007-08-09 JP JP2007208622A patent/JP2009040284A/ja active Pending
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