特許文献1等に記載されているような遊技機は、役物に進入した遊技球が動作体によって抽選入球口に入球し易いルートに導かれる様子を遊技者に見せて楽しませることができるものである。
しかしながら、抽選入球口に入球し易いルートに導かれた遊技球については、抽選入球口に入球することが確定するわけでなく、抽選入球口の上方に設けられた障害釘に弾かれたり、抽選入球口へと向かう遊技球が他の遊技球に弾かれたりして、抽選入球口に入球しないことがある。
よって、この種の遊技機については、役物内での遊技球の挙動を遊技者に見せて楽しませることができても、抽選入球口に遊技球が確実に入球する安心感を与えることができず、この点で改良の余地があった。特に、「遊技球が抽選入球口に入球し易いルートにせっかく導かれたのに抽選入球口に入球しない」といった現象が頻繁に生じると、動作体によって遊技球の動きに変化を与える様子が、遊技者を楽しませるどころか、逆に、イライラ感を感じさせて遊技に対する情熱を興醒めさせてしまうことがある。従って、抽選入球口に遊技球が確実に入球する安心感を与えることは、遊技の興趣を向上させる上で、重要である。
一方、特許文献2等に記載されているような遊技機は、役物内にて遊技球の最終的な到達先が役物内の振分装置によって抽選入賞口か、或いは非抽選入賞口かに振分けられる様子を遊技者に見せて楽しませることができるものであり、また、抽選入賞口側に振分けられると、遊技球が抽選入賞口に入球することが確定することから、抽選入球口に遊技球が確実に入球する安心感を与えることができると共に、抽選が行われることについて、遊技者に心の準備をさせることができるものである。
しかしながら、この種の遊技機においては、役物自体が、入球により遊技球の払出しを行う入賞装置となっているため、遊技球が役物に頻繁に入球するようにすると、遊技者側にとっては有利となるが、遊技機が設置された遊技場の運営者側にとっては、不利となるため、遊技球が役物に入球し難いように設定せざるを得ない。
よって、この種の遊技機については、役物内での遊技球の挙動を遊技者に頻繁に見せて楽しませることができない点で、改良の余地があった。
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、抽選入球口に遊技球が確実に入球する安心感を与えることができ、しかも、役物に遊技球が入球し易いように設定しても遊技場の運営者側にとって不利になり難い遊技機の提供を課題とする。
<手段1>
遊技領域に遊技球を打込んで行われる遊技により所定の払出条件が成立すると遊技球を払出す遊技機であって、
前記遊技領域に設けられ、遊技領域に打込まれた遊技球が進入可能な役物と、
該役物内に設けられ、役物に進入した遊技球が入球可能な抽選入球口と、
該抽選入球口への遊技球の入球に基づいて抽選を行う抽選手段と、
該抽選手段によって行われた抽選の結果が当選であると遊技者にとって通常よりも多くの遊技球が獲得可能な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段と、
前記抽選手段の抽選結果を表示する抽選結果表示手段と、
前記役物内に設けられたステージであり、遊技球を前記抽選入球口に搬送する搬送装置を有し、当該ステージに到達した遊技球を前記抽選入球口または役物外の遊技領域の何れかに振分ける振分ステージと
を備えることを特徴とする遊技機。
上記構成の遊技機では、役物の振分ステージにて遊技球の行方が振分けられる様子を遊技者に見せて楽しませることができるのであるが、振分ステージにて遊技球の行方が抽選入球口側に振分けられた場合には、遊技球が搬送装置によって搬送されて抽選入球口に確実に入球する。よって、遊技球が搬送装置によって抽選入球口へと搬送されている様子を見せることで、遊技者に、抽選入球口に遊技球が確実に入球する安心感を与えることができる。
また、振分ステージは、振分ステージに到達した遊技球の行方を、抽選入球口か、役物外の遊技領域かに振分けるものであり、役物に入球した遊技球のうち、抽選入球口側に振分けされなかった遊技球は、役物外の遊技領域に再び戻される。このため、上記構成の遊技機における役物では、入球した遊技球の全てが入賞とはならない。よって、役物に遊技球が入球し易いように設定しても遊技場の運営者側にとって不利になり難くすることができる。
なお、振分ステージについては、振分ステージに到達した遊技球の全てが搬送装置によって搬送されることとして、搬送装置によって遊技球の行方を抽選入球口か役物外の遊技領域かに振分けるものであってもよく、また、振分ステージに到達した遊技球のうち、搬送装置によって搬送された遊技球については、その行方を抽選入球口とする一方で、搬送装置によって搬送されなかった遊技球については、その行方を役物外の遊技領域とするように、遊技球の行方を振分けるものであってもよい。
また、上記構成は、種々の遊技機に適用することができるが、遊技機として、以下のような遊技機を代表的に例示することができる。
(1)遊技球を遊技領域に打込むことで遊技が行われ、遊技領域の入賞口に遊技球が入球すると払出し条件が成立したとして、所定個数の遊技球の払出しを行うパチンコ機。
(2)所定個数の遊技球を、複数の到達口を有する遊技領域に打込むことで1ゲームの遊技が行われ、遊技球が到達した到達口の組合わせが所定の組合わせになると払出し条件が成立したとして、所定個数の遊技球の払出しを行うパチンコ機。
また、遊技機としては、パチンコ機に代表される遊技機のように、遊技場に設置された実体を伴う遊技機に限らず、画像にて形成されたオンラインゲーム等の遊技機であってもよい。
また、抽選手段は、抽選入球口への遊技球の入球に基づいて抽選を行うものであればよく、具体的な抽選手法を限定するものではないが、以下のような抽選手段を代表的に例示することができる。
(1)抽選入球口への遊技球の入球タイミング等、適宜のタイミングに基づき、コンピュータによって電気的に抽選を行うもの。
(2)抽選入球口に遊技球が入球したことを契機として挙動する抽選体を用いて、この抽選体の挙動によって、機械的に抽選を行うもの。ここで、抽選体を、抽選入球口に入球した後に抽選領域内にて移動し、抽選領域での到達先によって抽選結果を導出する遊技球自体としてもよく、遊技球とは別の物体によって構成され、抽選入球口に遊技球が入球したことを契機として抽選領域内にて移動を開始し、抽選領域での到達先によって抽選結果を導出する物体としてもよく、抽選領域にて動作して停止し、停止パターンによって抽選結果を導出するダイス等の物体としてもよい。
また、特別遊技状態としては、遊技者にとって、通常よりも多くの遊技球を獲得可能な特別な遊技状態であればよく、以下のような遊技状態を例示することができる。
(1)入賞口への遊技球の入球に応じて遊技球の払出しを行うパチンコ機において、通常では閉塞されており遊技球が入球不能な或いは入球困難な特別な入賞口を開放作動させて、この特別な入賞口に遊技球が入球可能に或いは入球容易になるようにした遊技状態。
(2)入賞口への遊技球の入球に応じて遊技球の払出しを行うパチンコ機において、通常では遊技球が入球困難な態様で開閉作動する特別な入賞口を入球容易な態様で開閉作動させて、この特別な入賞口に遊技球が入球し易くなるようにした遊技状態。
(3)入賞口への遊技球の入球に応じて遊技球の払出しを行うパチンコ機において、通常では閉塞されており遊技球が入球不能な特別な入賞口について、開放させる権利を取得可能とした遊技状態。特別な入賞口を開放させる権利が設定されたパチンコ機は、特別遊技に関する抽選の結果が当選になることで自動的に権利を取得できるものではなく、上記抽選の結果が当選になった上で、この当選が有効中に、例えば所定の入球口に遊技球を入球させる等といった所定の権利取得条件を満たすことで権利を取得できるものである。そして、権利が取得されると、特別な入賞口の開放を許容する状態となり、この状態では、遊技者にとって通常よりも多くの遊技球が獲得可能となる。よって、特別な入賞口の開放を許容する状態が発生する前段階の状態である「権利を取得可能とした状態」も、遊技者にとって通常よりも多くの遊技球を獲得可能な特別な遊技状態として捉えることができる。なお、特別な入賞口については、権利が取得されることで自動的に開放作動するものであってもよく、権利が取得された上で、所定の入球口に遊技球を入球させる等といった所定の開放作動条件を満たすことで開放作動するものであってもよい。
(4)1ゲーム中に遊技球が到達した到達口の組合わせに応じて遊技球の払出しを行うパチンコ機において、通常では閉塞されており遊技球が到達不能な或いは到達し難い特別な到達口を開放させて、この特別な到達口に遊技球が到達可能に或いは到達し易くなるようにした遊技状態。
(5)1ゲーム中に遊技球が到達した到達口の組合わせに応じて遊技球の払出しを行うパチンコ機において、通常では閉塞されており遊技球が到達不能な特別な到達口について、開放させる権利を取得可能とした遊技状態。特別な到達口を開放させる権利が設定されたパチンコ機は、特別遊技に関する抽選の結果が当選になることで自動的に権利を取得できるものではなく、上記抽選の結果が当選になった上で、この当選が有効中に、例えば所定の入球口に遊技球を入球させる等といった所定の権利取得条件を満たすことで権利を取得できるものである。そして、権利が取得されると、特別な到達口の開放を許容する状態となり、この状態では、遊技者にとって通常よりも多くの遊技球が獲得可能となる。よって、特別な到達口の開放を許容する状態が発生する前段階の状態である「権利を取得可能とした状態」も、遊技者にとって通常よりも多くの遊技球を獲得可能な特別な遊技状態として捉えることができる。なお、特別な到達口については、権利が取得されることで自動的に開放作動するものであってもよく、権利が取得された上で、所定の入球口に遊技球を入球させる等といった所定の開放作動条件を満たすことで開放作動するものであってもよい。
また、抽選結果表示手段としては、「動画や映像等の画像を表示することのできる液晶表示装置、プラズマ表示装置、EL表示装置、CRT等の画像表示装置」、「単純な文字、数字或いは記号等の図柄を表示することのできる7セグメント表示装置や、単純な文字、数字或いは記号等の図柄だけでなく、種々のキャラクタや物品を模した絵等の複雑な図柄を表示することもできるドットマトリックス表示装置等の絵図表示装置」、「図柄が描かれた表示物を動かして図柄を表示する可動表示装置」、「発光ダイオード、白熱球、蛍光管、ネオン管等の発光素子を用いた発光器(ランプ)」等、種々の表示装置を例示することができる。
<手段2>
手段1に記載の遊技機であって、
前記役物内に設けられ、役物に進入した遊技球が入球可能な放出入球口と、
該放出入球口に連通し、放出入球口に入球した遊技球を役物外の遊技領域に放出する放出路と
を備え、
前記搬送装置は、遊技球を前記抽選入球口に搬送する抽選搬送部、及び、遊技球を前記放出入球口に搬送する放出搬送部、を有するものであると共に、前記抽選搬送部または前記放出搬送部によって、前記振分ステージに到達した遊技球を同じ高さ以下の部位に搬送して前記抽選入球口または前記放出入球口の何れかに振分けるものである
ことを特徴とする遊技機。
上記構成の遊技機は、振分ステージの搬送装置を、より具体的な構成に限定したものであり、振分ステージに到達した遊技球の全てが、搬送装置によってその行方が振分けられるようにしたものである。すなわち、振分ステージに到達した遊技球は、全て搬送装置によって搬送されるのであるが、抽選搬送部によって搬送された場合は、抽選入球口に入球し、放出搬送部によって搬送された場合は、放出入球口に入球し、放出路を通じて役物外の遊技領域に放出される。
ところで、役物自体が入賞装置を構成するものである場合、役物に入球した遊技球は、入賞が確定したものとなり、遊技領域を流下中で、入賞か、或いは、入賞せずに遊技領域の下部に設けられたアウト口から遊技領域外に排出されるかが未定な生きた球、所謂「生き球」ではなく、死んだ球、所謂「死に球」となる。そして、このような死に球であれば、役物内にて動きにどのような変化を与えても、遊技球が入賞するか否かの遊技に関して、遊技の遅延を招くことはない。
これ対して、生き球については、遊技球の動きに意図的な変化を与える装置によって、遊技領域を流下する動きに逆らって上方へ移動させると、遊技領域を流下してアウト口に到達するまでの時間が長くなり、遊技球が入賞するか否かの遊技に関して、遊技の遅延を招く。そして、上記構成の遊技機において役物に進入した遊技球は、役物外の遊技領域に再び戻る可能性があることから生き球であり、搬送装置によって上方に移動させると、遊技の遅延を招いてしまう。
そこで、上記構成では、搬送装置を、抽選搬送部または放出搬送部によって、振分ステージに到達した遊技球を同じ高さ以下の部位に搬送するものとしている。これにより、遊技球を上方に無用に戻して遊技の遅延を招くことを防止している。
<手段3>
手段1または手段2に記載の遊技機であって、
前記振分ステージの前のステージとして前記役物内に設けられ、役物に進入した遊技球を、役物外の遊技領域に放出するか若しくは前記振分ステージに到達させる予備ステージを備える
ことを特徴とする遊技機。
上記構成の遊技機では、振分ステージの前に、遊技球を役物外の遊技領域に放出する可能性のある予備ステージを備えるため、より一層、役物に遊技球を入球し易くしても、遊技場の運営者側にとって不利益になり難くすることができる。また、役物は、予備ステージ及び振分ステージといった遊技球が挙動するステージを複数、具備するものとなるため、役物内での遊技球の挙動が複雑になり、遊技者に、役物内での遊技球の複雑な挙動を見せて楽しませることができる。
なお、予備ステージにおいて、役物に進入した遊技球を、役物外の遊技領域に放出するか若しくは振分ステージに到達させる手段としては、適宜態様で動作する動作体によって遊技球の行方を振分ける振分装置を用いてもよく、或いは、機械的な装置を用いずに、予備ステージ内を流下する遊技球自体の動きによって、振分ステージに到達するか、或いは、役物外に放出されるかが決定されるようにしてもよい。
<手段4>
遊技領域に遊技球を打込んで行われる遊技により所定の払出条件が成立すると遊技球を払出す遊技機であって、
前記遊技領域に設けられ、遊技領域に打込まれた遊技球が進入可能な役物と、
該役物内に設けられ、役物に進入した遊技球が入球可能な抽選入球口と、
該抽選入球口への遊技球の入球に基づいて抽選を行う抽選手段と、
該抽選手段によって行われた抽選の結果が当選であると遊技者にとって通常よりも多くの遊技球が獲得可能な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段と、
前記抽選手段の抽選結果を表示する抽選結果表示手段と、
前記役物内に設けられ、役物に進入した遊技球が入球可能な放出入球口と、
該放出入球口に連通し、放出入球口に入球した遊技球を役物外の遊技領域に放出する放出路と、
前記役物内に設けられたステージであり、遊技球を前記抽選入球口に搬送する抽選搬送部及び遊技球を前記放出入球口に搬送する放出搬送部を有する搬送装置によって、当該ステージに到達した遊技球を、同じ高さ以下の部位に搬送して前記抽選入球口または前記放出入球口の何れかに振分ける振分ステージと、
該振分ステージの前のステージとして前記役物内に設けられ、役物に進入した遊技球を、役物外の遊技領域に放出するか若しくは前記振分ステージに到達させる予備ステージと
を備えることを特徴とする遊技機。
上記構成の遊技機は、前述した各手段を具備するものであり、上記構成の遊技機によれば、前述した通りの夫々の作用効果を得ることができる。
本発明によれば、抽選入球口に遊技球が確実に入球する安心感を与えることができ、しかも、役物に遊技球が入球し易いように設定しても遊技場の運営者側にとって不利になり難い遊技機を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態であるパチンコ機を、図面に基づいて詳細に説明する。ここで、以下で例示するパチンコ機は、遊技者が遊技媒体である遊技球を投入し、投入した遊技球を遊技盤の遊技領域に打ち込んで遊技を行うものであり、遊技者が遊技媒体を投入して遊技を行う遊技機の代表的なものである。なお、本発明は、以下で例示するパチンコ機に限らず、他のタイプのパチンコ機にも適用することができる。また、パチンコ機に限らず、パチスロ機や、遊技者が遊技媒体を投入して遊技を行う他の遊技機にも適用することができる。
[パチンコ機の全体構成について] 図1に基づき説明する。
パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、前面枠4、及び遊技盤5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、同外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面の片側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。なお、外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成されていてもよい。
[本体枠の構成について] 図2及び図3に基づき説明する。
本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12及び機構装着体13を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前枠体11は、外枠2(図1参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。そして、前枠体11の片側の上下部には、本体枠側ヒンジ具15が固定されており、この本体枠側ヒンジ具15は、外枠2の片側の上下部に固定された外枠側ヒンジ具14に対して、ヒンジピン及びヒンジ孔によって回動自在に装着されている。外枠側ヒンジ具14、本体枠側ヒンジ具15、ヒンジピン及びヒンジ孔によってヒンジ機構7が構成されており、外枠2は、このヒンジ機構7によって、本体枠3に対して開閉自在に装着されている。
前枠体11の前側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の前下部左側領域には、スピーカボックス部16が一体に形成され、そのスピーカボックス部16の前側開口部には、同開口部を塞ぐようにしてスピーカ装着板17が装着されている。そして、スピーカ装着板17には、スピーカ18が装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内において、その上半部分には、発射レール19が傾斜状に装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内の下半部分には、下部前面板30が装着されている。そして、下部前面板30の前面の略中央部には、遊技球を貯留可能な下皿31が設けられ、右側寄りには、操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには、灰皿33が設けられている。なお、下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が設けられている。
[前面枠の構成について] 図1及び図2に基づき説明する。
前枠体11の前面には、その前枠体11の上端から下部前面板30の上縁にわたる部分を覆うようにして、前面枠4が、片側に設けられたヒンジ機構36によって、前方に開閉可能に装着されている。また、前面枠4の略中央部には、遊技盤5の遊技領域37を前方から透視可能な略円形の開口窓38が形成されている。また、前面枠4の後側には、開口窓38よりも大きな矩形枠状をなす窓枠39が設けられ、その窓枠39には、ガラス板や透明樹脂板等により形成された透明板50が装着されている。また、前面枠4の前面の略全体は、ランプ等が内設された前面装飾部材によって装飾され、同前面枠4の前面の下部には、上皿51が形成されている。詳しくは、開口窓38の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置52が、下部に上皿51が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材によって形成されたサイド装飾体54を主体として構成されている。サイド装飾体54には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、該開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58、及びリフレクタ体(図示しない)等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。
さらに、前面枠4の下部における上皿51の側方(操作ハンドル32側とは反対側)には、操作スイッチランプ21が内蔵された操作スイッチ20が設けられている。この操作スイッチ20は、遊技媒体である遊技球を遊技領域37に打ち込んで行われる遊技の実体に関する状態や、遊技に伴って行われる演出に関する状態等、遊技機の適宜の状態を変更したり、上記演出に遊技者が参加したり、遊技機から種々の情報を享受するため等、適宜目的のために遊技者によって操作されるものであり、遊技者による意図的な手動操作によって操作される操作手段や操作部等を構成するものである。
なお、操作スイッチ20としては、押動操作される押しボタン式のスイッチ、傾動操作されるシーソ式のスイッチ、回動操作されるチャンネル式のスイッチ等を代表的に例示することができる。また、本例では、操作スイッチ20が操作ハンドル32とは反対側に設けられていることから、遊技者は、操作ハンドル32を一方の手で操作しつつ、他方の手で操作スイッチ20を操作することができる。
そして、操作スイッチ20に内蔵された操作スイッチランプ21は、遊技機の状態に応じて操作スイッチ20による操作を許容する状態または許容しない状態となる態様等において、点灯することで許容する状態或いは許容しない状態であることを、遊技者に報知するためのものである。なお、このように機能する操作スイッチランプ21については、操作スイッチ20に内蔵するに限らず、操作スイッチ20とは別途に設けてもよい。操作スイッチランプ21を操作スイッチ20とは別途に設ける場合には、操作スイッチ20の近傍に設けるのが好適である。何故ならば、遊技者にとって、操作スイッチランプ21の作動状態を確認し易くすることができるからである。
[施錠装置の構成について] 図1及び図3に基づき説明する。
前枠体11のヒンジ機構36に対して反対側となる自由端側の後側には、外枠2に対し本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対し前面枠4を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置70が装着されている。すなわち、この実施形態において、施錠装置70は、外枠2に設けられた閉止具71に係脱可能に係合して本体枠3を閉じ状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック72と、前面枠4の自由端側の後側に設けられた閉止具73に係脱可能に係合して前面枠4を閉じ状態に施錠する上下複数の扉施錠フック74と、パチンコ機1の前方から鍵を挿入して解錠操作可能となるように、前枠体11及び下部前面板30を貫通して露出されたシリンダー錠75と、を備えている。そして、シリンダー錠75の鍵穴に鍵を挿入して一方向に回動操作すると、本体枠施錠フック72と外枠2の閉止具71との係合が外れて本体枠3が解錠される。また、これとは逆方向に鍵を回動操作すると、扉施錠フック74と前面枠4の閉止具73との係合が外れて前面枠4が解錠される。
[遊技盤装着枠及び遊技盤の構成について] 図1、図3及び図4に基づき説明する。
本体枠3の遊技盤装着枠12は、前枠体11の後側に設けられており、遊技盤5が前方から着脱交換可能に装着されるように構成されている。そして、遊技盤5は、遊技盤装着枠12の前方から嵌込まれる大きさの略四角板状に形成されている。遊技盤5の盤面(前面)には、外レール76と内レール77とを備えた案内レール78が設けられ、その案内レール78の内側に遊技領域37が区画形成されている。なお、発射レール19と案内レール78との間には、所定の隙間が設けられており、発射された遊技球が案内レール78を逆戻りした場合には、遊技球が上記隙間から排出されて下皿31に案内されるように構成されている。また、遊技盤5の前面には、その案内レール78の外側領域において、合成樹脂製の前構成部材79が装着されている。
遊技盤5の後側には、遊技領域37に設けられた各種の入賞口に入球し、入賞口によって遊技盤5の前面から後面へと排出された遊技球を、入賞球として集めて本体枠3に設けられた入賞球通路3aへと誘導する入賞球誘導通路と、種々のボックスを装着するボックス装着部とが設けられている。ここで、本例では、上記入賞球誘導通路及び上記ボックス装着部が、双方の機能を兼ね備えたボックス装着台118によって構成されている。
また、遊技盤5の後側には、各種の入賞口に入球せず、遊技領域37の最下部に設けられたアウト口560に到達し、このアウト口560によって遊技盤5の前面から後面へと排出された遊技球を、アウト球として本体枠3に設けられたアウト球通路3bへと誘導するアウト球誘導通路も設けられている。ここで、本例では、アウト球誘導通路が、遊技盤5の後面に凹設された溝と、上記ボックス装着台118の前面とで、上記入賞球誘導通路とは個別に区画形成されている。
そして、ボックス装着台118には、音声制御基板、ランプ制御基板等の副制御基板119が収納された副制御基板ボックス130が装着され、その副制御基板ボックス130の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板131が収納された主制御基板ボックス132が装着されている。さらに、遊技盤5の後側のボックス装着台118に対して副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132がそれぞれ装着された状態において、本体枠3の遊技盤装着枠12の前方から遊技盤5を嵌込んで装着できるように、遊技盤5の外郭より外側にはみ出すことなく、ボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132が配置されている。
[本体枠の後側下部の装備について] 図3及び図4に基づき説明する。
本体枠3の前枠体11の後側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の後下部領域の片側(図4に向かって左側)には、発射レール19の下傾端部の発射位置に送られた遊技球を発射するための発射ハンマー(図示しない)、その発射ハンマーを作動する発射モータ192等が取付基板193に組み付けられてユニット化された発射装置ユニット194が装着されている。また、前枠体11の後下部領域の略中央部には、電源基板195を収容する電源基板ボックス196が装着され、その電源基板ボックス196の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板197を収容する払出制御基板ボックス198が装着されている。払出制御基板197は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板131から送信される払出用信号に従って、遊技球を払い出す制御信号を中継用回路基板(図示しない)に送信し、中継用回路基板を介して払出用モータ172を作動制御するものである。
[後カバー体の構成について] 図4及び図5に基づき説明する。
遊技盤5後面に配置された主制御基板ボックス132の後端部は、本体枠3の機構装着体13の中央部に開口された窓開口部に向けて突出している。そして、機構装着体13の窓開口部の一側壁を構成する側壁部と他側壁を構成する払出装置装着部135の片側壁との間には、不透明な合成樹脂材によって略方形の箱形状に形成された後カバー体210がカバーヒンジ機構211によって開閉並びに着脱可能に装着されている。
後カバー体210は、略四角形状の後壁部212と、その後壁部212の外周縁から前方に向けて突出された周壁部213とから一体に構成されている。後カバー体210の周壁部213のうち、一側の壁部213aには、上下及び中間の計3箇所に、ヒンジ体216が一体に形成されている。各ヒンジ体216には、夫々、下向きのヒンジピン215が設けられており、各ヒンジピン215は、機構装着体13の側壁部の上下及び中間の計3箇所に設けられたヒンジ体214のヒンジ孔に、上方から着脱可能に嵌込まれている。また、後カバー体210の周壁部213のうち、他側の壁部213bには、弾性閉止体217が一体に形成されている。この弾性閉止体217は、払出装置装着部135の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合可能な係止爪を有するものである。
すなわち、後カバー体210は、その上下及び中間のヒンジ体216の各ヒンジピン215が機構装着体13の側壁部のヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ嵌込まれる。この状態で、ヒンジピン215を中心として後カバー体210が機構装着体13の他側に向けて回動されながら、その弾性閉止体217を払出装置装着部135の片側壁の係止孔に差し込んで弾性的に係合させることで、機構装着体13の後側に後カバー体210が閉じ状態で保持される。そして、後カバー体210を閉じ状態とすると、この後カバー体210によって、遊技盤5後面の主制御基板ボックス132の略中間部から上端にわたる部分が覆われる。主制御基板ボックス132の上部には、主制御基板131のコネクタが露呈されており、このコネクタに配線を接続することで、主制御基板131を他の適宜の基板に電気的に接続するのであるが、後カバー体210により主制御基板ボックス132の上部が覆われることで、主制御基板131のコネクタ部分が隠蔽される。よって、後カバー体210を開かない限り、主制御基板131のコネクタから配線を取外したり、主制御基板131のコネクタに他の配線を接続することができない構造となっている。
これに対し、主制御基板ボックス132の略中間部から下端にわたる部分は、後カバー体210によって覆われることなく露出されている。そして、主制御基板ボックス132の下部には、主制御基板131上に配置された検査用コネクタ218が露出されている。よって、後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板131の検査用コネクタ218に別途の基板検査装置を接続して、基板の検査を行うことが可能となっている。
後カバー体210には、多数の放熱孔230、231、232、233が貫設されており、これら多数の放熱孔230、231、232、233から内部の熱が放出されるようになっている。この実施形態において、後カバー体210には、その周壁部213から後壁部212に延びる多数のスリット状の放熱孔230が貫設され、後壁部212の略中間高さ位置から上部においては多数の長円形、楕円形等の放熱孔231が貫設され、後壁部212の下部には多数の長円形、楕円形等の放熱孔232と所定数の横長四角形状の放熱孔233が貫設されている。
また、横長四角形状の放熱孔233は、主制御基板ボックス132の封印ねじ(封印部材)によって封印される複数の並列状の封印部235の列の大きさ及び配設位置に対応する大きさ及び位置に貫設されている。これによって、不透明な後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の複数の並列状の封印部235が放熱孔233の部分において視認可能に露出される。このため、後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の封印部235の封印状態を容易に視認することができる。ここで、後カバー体210を透明な合成樹脂材によって形成してもよいが、不透明な合成樹脂材によって形成するのが好ましい。不透明な合成樹脂材は、透明な合成樹脂材と比べ、リサイクル使用される合成樹脂材を材料として用いることが容易であるため、後カバー体210を透明な合成樹脂材によって形成することで、後カバー体210を安価に製作することができるからである。
後カバー体210の周壁部213のうち、上側壁部213cの所定位置(この実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体237が上方のタンクレール150の後壁面(レール構成部材139の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体237の先端部には、同コード保持体237を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。
電源コードは、その一端が分電基板238の基板コネクタ239に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。前記したように、後カバー体210にコード保持体237を一体に形成して電源コードを保持することで、パチンコ機を運搬・保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
[本体枠の後側下部の下皿用球誘導体等の構成について] 図2及び図6に基づき説明する。
本体枠3の後下部領域のヒンジ機構7寄り部分には、そのスピーカボックス部16の後段差部の凹み部分において下皿用球誘導体253が装着されている。この下皿用球誘導体253は、球払出装置170の賞球及び貸球用球通路から上皿連絡路(図示しない)を経て上皿51に払い出された遊技球が満杯になったときに、上皿連絡路の遊技球を下皿31に導くためのものである。
なお、この実施形態において、下皿用球誘導体253の後壁外面には、インタフェース基板252を収納している基板ボックス254が装着されている。なお、インタフェース基板252は、パチンコ機1に隣接して設置される球貸機と払出制御基板197との間に介在され、球貸に関する信号を球貸機と払出制御基板197との間で送受信可能に電気的に接続するためのものである。
[本体枠の機構装着体、球タンク及びタンクレールの構成について] 図7及び図8に基づき説明する。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部133、レール装着部134、及び、払出装置装着部135等がそれぞれ形成され、タンク装着部133には、球タンク136が装着されている。球タンク136は、島設備から供給される多数の遊技球を貯留可能な上方に開口する箱形状に形成されている。また、球タンク136の底板部137の後側隅部には、遊技球を放出する放出口138が形成されており、底板部137は、放出口138に向けて下傾する傾斜面に形成されている。なお、球タンク136は、透明な合成樹脂材により形成されており、遊技球の貯留状態が球タンク136の後側壁を透して視認可能となっている。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部133の下方にレール装着部134が一体に形成されている。そして、レール装着部134には、レール構成部材139が装着されており、これにより、タンクレール150が構成されている。すなわち、この実施形態において、レール装着部134は、本体枠3の上部横方向部分が所定深さ凹まされた状態で形成されており、その凹部の奥側壁をタンクレール150の前壁部151とし、その凹部の下縁部に沿って一端(図8に向かって左端)から他端(図8に向かって右端)に向けて下傾する傾斜状のレール棚155が形成されている。そして、レール棚155の横方向に延びる上向き面をレール受け部158としている。
レール装着部134に装着されてタンクレール150を構成するレール構成部材139は、レール装着部134の前壁部151との間にレール通路を構成する後壁部152と、傾斜状をなす下板部(図示しない)と、下板部の上面の前後方向中央部に沿って突設され、レール通路を前後複数列(この実施形態では前後2列)に区画する仕切り壁(図示しない)とを一体に備えて形成されている。このレール構成部材139は、レール装着部134に対し適宜の取付手段によって装着され、これによって、前後複数列のレール通路を備えたタンクレール150が構成される。そして、球タンク136の放出口138から放出(自重によって落下)された遊技球がタンクレール150の前後複数列のレール通路の一端部においてそれぞれ受けられた後、遊技球が自重によってレール通路に沿って転動することでレール通路の他端部に向けて流れるようになっている。また、この実施形態において、レール構成部材139は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材139の後壁部152を透して視認可能となっている。
タンクレール150(レール装着部134)の前壁部151は、遊技盤5の後側に突出する種々の部材の後部の上端部との干渉を避けるために、遊技盤5の裏面との間に適宜の間隙を確保した状態で設けられている。また、この実施形態において、本体枠3の後端部となるレール棚155の後端と、タンクレール150の後壁部152とは、夫々、球タンク136の後側壁と略同一面をなしている。言い換えると、球タンク136の後壁部に対しタンクレール150の後壁部が略同一面となる位置までタンクレール150が遊技盤5の後面より後方に離隔して配置されている。これによって、レール通路の前後方向の幅寸法を十分に確保しつつ、遊技盤5の裏面とタンクレール150の前壁部151との間において、十分な間隙を確保できるようにしてある。
また、タンクレール150の上方には、レール通路を流れる遊技球を上下に重なることなく整列させる整流体156が、レール通路の上部において軸157を中心として揺動可能に装着されている。この整流体156には、その中央部から下部において錘が設けられており、整流体156の自重により、レール通路を流下する遊技球が整列させられる。
[払出装置装着部及び球払出装置の構成について] 図7及び図8に基づき説明する。
本体枠3の機構装着体13の片側寄り(図7及び図8で右側)の上下方向には、次に述べる球払出装置(球払出ユニット)170に対応する縦長の払出装置装着部135が形成されている。ここで、払出装置装着部135は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。また、払出装置装着部135の段差状をなす奥壁部(図示しない)の所定位置には、球払出装置170の払出用モータ172(図3参照)が突出可能な開口部173が形成されている。
払出装置装着部135の凹部に球払出装置170が装着された状態において、球払出装置170と遊技盤5との間には、上述のタンクレール150と遊技盤5との間隙と略同一レベルの間隙が確保されている。これによって、タンクレール150のレール通路と球払出装置170の球通路とが前後方向に略同一レベルで配置される。また、本体枠3の後端、すなわち払出装置装着部135の周壁部後端、レール棚155の後端、球タンク136、タンクレール150及び球払出装置170のそれぞれの後面は略同一面をなしている。
球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関する各種部品が装着されることでユニット化されている。なお、球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部の後方開口部から嵌込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着されるようになっている。
また、図示しないが、球払出装置170は、タンクレール150のレール通路の出口にそれぞれ連通する流入口を有する球通路が前後複数列(例えば前後2列)に区画されて形成されている。また、その内部に形成された前後複数列の球通路の下流部が二股状に分岐されており、二股状に分岐された通路によって、賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路とが構成されている。そして、賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路との分岐部には、遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための回転体よりなる払出部材(図示しない)が正逆回転可能に配設されている。
[遊技領域の構成について] 図9に基づき説明する。
なお、以下では、上下左右等の方向について、遊技者が遊技盤5の前面を正面から見た状態として説明する。
遊技盤5の盤面上には、合成樹脂により形成され盤面フレーム500が一体化されており、この盤面フレーム500の内側と、案内レール78の内レール77の内側とで略円形状に区画形成された遊技領域37が設けられている。この遊技盤5では、遊技領域37の左側に配設された案内レール78の上端部分の打込口78aから遊技領域37内に遊技球が打ち込まれ、遊技領域37内に打ち込まれた遊技球の挙動によって遊技が行われる。
遊技領域37には、遊技盤5に打設された多数の障害釘(図示省略)が所定のゲージ配列で配設されている。また、遊技領域37の左右方向のほぼ中央位置には、役物600が配設されており、この役物600によって、パチンコ機1の機種やゲームコンセプト等が特徴付けられている。
役物600の下方には、遊技球の入球に応じて所定個数の遊技球の払出しを行う入賞口の一種である特別入賞口510が設けられている。そして、この特別入賞口510は、遊技球が入球不能な状態と入球可能な状態とで変動するように、または、遊技球が入球し難い状態と入球し易い状態とで変動するように、構成されている。具体的に、特別入賞口510は、開閉駆動される開閉部材511を備えており、開閉部材511が閉じた状態では、遊技球が入球不能または入球し難い状態になるが、開閉部材511が開いた状態になると、遊技球が入球可能または入球し易い状態となる。
なお、本例では、開閉部材511が閉じると遊技球が入球不能な状態になり、開閉部材511が開くと遊技球が入球可能な状態になる特別入賞口510を採用している。また、ソレノイド等の駆動装置によって前後方向に開閉駆動し、開駆動すると、複数の遊技球が同時に入球可能なように左右方向に大きな開放口を形成する開閉部材511、を備えた特別入賞口510を採用している。
その他、遊技領域37には、適宜の部位に、常時、遊技球が入球可能となっており、遊技球の入球に応じて所定個数の遊技球の払出しを行う一般入賞口520が設けられている。また、遊技領域37の最下部には、入賞口への入球を果たせなかった遊技球を遊技盤5の後面側のアウト球誘導路へと排出するアウト口560が設けられている。
[役物の構成について] 図9〜図14に基づき説明する。
役物600の上部には、遊技球が入球可能な入球口610が設けられており、遊技領域37に打込まれた遊技球は、この入球口610を通じて役物600内に進入可能となっている。また、本例においては、詳細は後述する予備ステージ700の上部及び左右両側部が、役物600を構成する筐体によって、遊技盤5の盤面上の遊技領域37と区画されているのであるが、予備ステージ700の下部については、遊技盤5の盤面上に開放されており、遊技領域37を流下する遊技球が予備ステージ700の下方から役物600内に飛込むことを許容している。よって、本例の役物600では、入球口610だけでなく、盤面上に開放された予備ステージ700下部の開放空間からも、役物600内に遊技球が進入可能に構成されている。
役物600は、夫々、遊技球の挙動を遊技者に見せて楽しませることができる予備ステージ700及び振分ステージ800の二つのステージを具備するものとして構成されている。
予備ステージ700は、入球口610から入球した遊技球が滑降するスロープ部710と、このスロープ部710から滑降してきた遊技球が周回して、やがて中央に穿設された貫通孔から落下するクルーン部720と、上側が凸となる円弧状に形成されると共にクルーン部720の貫通孔の真下に配置され、クルーン部720から落下してきた遊技球の移動方向を左右に分岐させる分岐部730と、上側が凹となる円弧状に形成されると共に分岐部730の下方に配置され、分岐部730の左右から落下してきた遊技球がその上面で左右に往復動しながら転動する転動部740とを具備するものとして構成されている。
また、役物600内においては、手前側に予備ステージ700が配設され、奥側に振分ステージ800が配設されているのであるが、予備ステージ700と振分ステージ800との間は、透明な区画板750によって区画されている。そして、区画板750には、転動部740の左右方向における中央の位置に、遊技球が通過可能な開口部751が設けられている。また、転動部740は、上面が、左右方向の中央部を除いて、奥側の区画板750に向かって下方に傾斜している。さらに、転動部740上面の左右方向における中央部には、手前側に向かって下方に傾斜する放出凹部741が設けられている。
振分ステージ800は、区画板750の奧に設けられており、この振分ステージ800には、搬送装置810が組込まれている。次に、搬送装置810の詳細を説明する。
図13及び図14に示すように、搬送装置810は、基台811と、この基台811上に回転自在に支持された回転体840とを備えており、回転体840は、モータ等によって構成された回転駆動装置840Kによって、常時、一定速度で水平面上を一定方向(本例では、図13において、点Oを中心に左回転方向)に回転駆動される。また、搬送装置810の基台811には、夫々、遊技球が入球可能な抽選入球口820及び放出入球口830が設けられており、抽選入球口820に入球した遊技球は、入賞球として処理されるのであるが、放出入球口830に入球した遊技球は、役物600外の遊技領域37に放出される。具体的に、役物600の内部には、一端側が放出入球口830に連通し、他端側が、予備ステージ700及び振分ステージ800よりも下方において役物600の前面に開口すると共に遊技盤5の盤面上に開放された放出路620が形成されており、放出入球口830に入球した遊技球は、放出路630を通じて、役物600の下部から遊技領域37に放出される。
また、抽選入球口820には、遊技球の入球を検知する抽選入球口センサ820Sが設けられており、抽選入球口820への遊技球の入球に基づいて、特別遊技状態を発生させるか否かに関する抽選が行われる。なお、特別遊技状態や抽選の詳細については、後述することとする。
ところで、本例においては、搬送装置810の基台811に抽選入球口820及び放出入球口830を設けることで、振分ステージ800が抽選入球口820及び放出入球口830を具備するものとして構成してあるが、これに限らず、振分ステージ800の側面や底面を構成する部材等、搬送装置810とは別途の部材によって、抽選入球口820及び放出入球口830が形成されるようにしてもよい。
搬送装置810の回転体840には、抽選入球口820に遊技球を搬送する一つの抽選搬送部841と、放出入球口830に遊技球を搬送する二つの放出搬送部842とが設けられている。ここで、抽選搬送部841及び放出搬送部842は、夫々、回転体840の周面に凹設された形態となっており、回転体840の側方から遊技球を受入れることができるように構成されている。また、抽選搬送部841及び放出搬送部842の夫々の底部は、受入れた遊技球を下方に放出することができるように開放されている。よって、振分ステージ800に到達して抽選搬送部841または放出搬送部842に受入れられた遊技球は、回転体840の回転い伴って、抽選搬送部841または放出搬送部842に拘束されつつ搬送装置810の基台811の上面を移動して、抽選入球口820または放出入球口830に到達すると、抽選入球口820または放出入球口830に落下する。
ところで、抽選搬送部841は、回転体841の径方向に浅い凹部となっているのに対して、放出搬送部842は、回転体841の径方向に深い凹部となっている。そして、抽選入球口820は、抽選搬送部841の奥に対応する位置に設けられ、放出入球口830は、放出搬送部842の奥に対応する位置に設けられている。よって、図14に示すように、抽選入球口820の上方に抽選搬送部841が位置すると、抽選搬送部841から抽選入球口820へと遊技球が落下可能となり、放出入球口830の上方に放出搬送部842が位置すると、放出搬送部842から放出入球口830へと遊技球が落下可能なるのであるが、抽選入球口820の上方に放出搬送部842が位置しても、放出搬送部842から抽選入球口820へとは遊技球が落下せず、放出入球口830の上方に抽選搬送部841が位置しても、抽選搬送部841から放出入球口830へとは遊技球が落下しない。
また、深い凹部となっている放出搬送部842の両側壁の下部には、夫々ガイド部843が突設されており、各ガイド部843の上面は、回転体841の周面に開口する放出搬送部842の入口から奥に向かって下方に傾斜している。このガイド部843によって、回転体841の側方から放出搬送部842に入った遊技球は、放出搬送部842の入口付近に停留せず、ガイド部843の上面を転がり降りて、放出搬送部842の奥に進む。なお、放出搬送部842の両側壁に設けられた各ガイド部843間の寸法は、遊技球よりも狭く設定されており、遊技球がガイド部843上を位置する状態で放出搬送部842が抽選入球口820の真上を通過しても、放出搬送部842から抽選入球口820へと遊技球が落下することはない。
次に、役物600内における遊技球の挙動について説明する。役物600上部の入球口610から役物600内に遊技球が進入すると、遊技球は、まず、予備ステージ700内を転動する。具体的に、遊技球は、まず、スロープ部710を滑降し、スロープ部710によって勢い付けられた遊技球は、次に、クルーン部720にて、中央の貫通孔周りを周回した後、貫通孔から落下する。ここで、遊技球がクルーン部720で周回する回数は、遊技球の勢いに応じて変化するため、クルーン部720から落下するタイミングは不規則的となる。
クルーン部720から落下した遊技球は、分岐部730に当ることで左右に不規則的に移動方向を変えて、転動部740の左側または右側に落下して、その勢いで、転動部740上を左右に往復動する。ここで、転倒部740の上面は奥側に向かって下方に傾斜しているため、遊技球は、奥の区画板750方向に付勢されつつ転動部740上を往復動する。このとき、遊技球は、区画板750の開口部751を通じて、区画板750奥の振分ステージ800に進入可能なのであるが、区画板750の開口部751は、振分ステージ800の回転体840の周面によって閉塞されるため、区画板750の開口部751に回転体840の抽選搬送部841または放出搬送部842が臨むタイミングと、遊技球が転動部740上を往復動して区画板750の開口部751を通過するタイミングとが合致しないと、遊技球は開口部751を通過できず、予備ステージ700から次の振分ステージ800へと進むことができない。そして、遊技球の勢いが弱まって転動部740上を往復動する振幅が小さくなると、遊技球は、手前に向かって下方に傾斜する転動部740の放出凹部741から落下する。すなわち、遊技球は、予備ステージ700から役物600外の遊技領域37に放出される。
なお、本例では、予備ステージ700の下部が開放されており、遊技球が、役物600上部の入球口610からだけでなく、予備ステージ700の下方からも役物600内に進入可能であるが、予備ステージ700の下方から進入した遊技球は、転動部740上を往復動して、次の振分ステージ800へと進むか、或いは、転動部740の放出凹部741から遊技領域37に放出される。
区画板750の開口部751を通じて振分ステージ800に到達した遊技球は、回転体840の抽選搬送部841に受入れられた遊技球か、または、回転体840の放出搬送部842に受入れられた遊技球の何れかである。回転体840の抽選搬送部841に受入れられた遊技球は、回転体840の回転に伴って搬送され、抽選入球口820に落下して、入賞球として処理される。一方、回転体840の放出搬送部842に受入れられた遊技球は、回転体840の回転に伴って搬送され、放出入球口830に落下して、放出路630を通じて、役物600外の遊技領域37に放出される。ここで、回転体840は、水平面上を回転するものであり、搬送する遊技球を上方へは移動させない。よって、搬送装置810によって、遊技球の動きに意図的に変化を与えても、遊技球が入賞するか否かの遊技について、無用な遅延を招くことがない。
[抽選について] 次に、抽選について説明する。
役物600(振分ステージ800)の抽選入球口820に遊技球が入球すると、当選であるか落選であるかの抽選が行われる。ここで、本例では、コンピュータを用いて構成された主制御基板131にて所定のプログラムを実行することで上記抽選を行うこととしてあり、このような抽選の手段を、コンピュータを用いた電気的抽選手段として捉えることができる。また、本例での電気的抽選手段は、具体的に、抽選入球口820に遊技球が入球して抽選入球口センサ820Sから入球の検知信号が主制御基板131に入力されると、一定の時間間隔(例えば2ms)の定時割込み処理にて所定の制御プログラムを実行している主制御基板131において、入球の検知信号を受取ったタイミングに応じて乱数を取得し、この取得した乱数の値によって抽選の結果を判定する。なお、このような抽選は、抽選入球口820への遊技球の入球に基づいて行う抽選として捉えることができ、本例では、主制御基板131にて実行されるプログラム処理が、抽選入球口820への遊技球の入球に基づいて抽選を行う抽選抽選手段として機能する。
また、本例では、7セグメント表示装置やドットマトリックス表示装置等の画像や映像に比べて単純な図柄を表示する表示装置を用いて構成され、主制御基板131によって駆動が制御される特別図柄表示装置620(図9、図10、図12を参照)が役物600に組込まれており、この特別図柄表示装置620を抽選結果表示手段として抽選結果を表示する。例えば、特別図柄表示装置620を、「0」〜「9」の数字を表示するものとして、表示された数字が「7」であれば、抽選結果が当選であり、「7」以外の数字であれば、抽選結果が落選であるとして、図柄によって抽選結果を明示する。
[特別遊技状態について] 次に、特別遊技状態について説明する。
本例のパチンコ機1では、抽選結果が当選になると、抽選入球口820に遊技球を入球させて抽選を受けることを主な目的とした通常の遊技状態(以下「通常遊技状態」という)よりも多くの遊技球を獲得することが可能な特別な遊技状態(以下「特別遊技状態」という)が発生する。
具体的に、特別遊技状態が発生すると、特別入賞口510の開閉部材511が開駆動され、これにより、通常遊技状態では閉鎖されている特別入賞口510が開放されて、特別入賞口510に遊技球が入球可能となる。そして、特別入賞口510の開放は、所定の上限時間が経過するか、或いは、遊技球の入球が所定の上限個数に達するかの何れか一方の条件を満たすといったように、所定条件の成立によって終了する。また、このような特別入賞口510の1回の開放動作を1ラウンドとして、ラウンド数が所定の上限ラウンド数に達するまで、特別入賞口510の開放が繰り返される。そして、特別入賞口510の開閉部材511の開閉駆動は、主制御基板131でのプログラム処理によって制御される。よって、本例では、主制御基板131にて実行されるプログラム処理が、特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段として機能する。
以上詳細に説明した本例のパチンコ機1は、以下のような効果を奏する。
振分ステージ800の回転体840の抽選搬送部841に受入れられた遊技球は、抽選入球口820に入球することが確定するため、回転体841の抽選搬送部841に入ったことを遊技者に見せることで、遊技者に、遊技球の行方に不安を覚えさせず、安心させることができる。また、遊技球が抽選搬送部841によって抽選入球口820へと搬送されている様子を見せることで、遊技者に、これから抽選が行われることへの心構えをさせることができると共に、抽選が行われることに対する期待感を高めさせることができる。
振分ステージ800にて遊技球が抽選入球口820に入ると入賞となり、所定個数の遊技球の払出しが行われるが、遊技球が放出入球口830に入ると入賞とはならず、遊技球は遊技領域37に放出されるため、全ての入球が入賞となる役物に比して、遊技球が役物600に頻繁に進入するように設定しても、遊技場の運営者側にとっては大きな不利益とならない。よって、運営者は、役物600に遊技球が頻繁に進入するように設定することができ、このように設定した場合、遊技者は、役物600内に進入して挙動する遊技球の動きを頻繁に見て楽しむことができる。特に、本例では、遊技球を振分ステージ800に到達させるか或いは遊技領域37に放出する予備ステージ700を備えるため、その分、遊技球が役物600に、より頻繁に進入するように設定することができ、遊技者に、役物600内に進入して挙動する遊技球の動きを、より頻繁に見せて楽しませることができる。
役物600内では、遊技球が重力に従って流下する動きに逆らう方向、具体的には上方向に、機械的な装置によって意図的に遊技球を移動させないため、「生き球を高い位置に無用に戻すことで遊技が遅延する」といった問題を生じさせない。
予備ステージ700には、スロープ部710、クルーン部720、分岐部730や転動部740といったような、遊技球が単に落下する状態に比して、遊技球の動きに多様な変化を与えることのできる挙動変化付与手段が設けられており、予備ステージ700においては、振分ステージ700に到達するまでに、遊技球の動きが多様に変化する。よって、遊技球が役物600に進入して振分ステージ800に到達するまでに、遊技球の動きが予備ステージ700で多様に変化する様子を遊技者に見せて、楽しませることができる。
振分ステージ800の搬送装置810は、常時、一定の動作パターンで動作する動作体(本例では回転体840)を具備して、振分ステージ800に到達した遊技球の行方を抽選入球口820か遊技領域37かに振分けるものであるため、遊技者の万人に、抽選を受ける機会を平等に与えることができる。
なお、一定の動作パターンで動作する動作体としては、一方向に回転する回転体に限らず、左右方向、上下方向または上下左右の斜め方向に往復動を繰返すもの、左右方向、上下方向または上下左右の斜め方向に回動すると共に正転及び逆転を繰返すもの等であってもよい。また、動作体の動作パターンは適宜設定することができるが、少なくとも遊技領域に放出するために遊技球を搬送する場合には、同じ高さ以下の部位に遊技球を搬送するような動作パターンを採用することが、遊技の遅延を招くことを防止できる点で、好適である。