JP2009039043A - 組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高分子量のβグルカンを高濃度に含有し、水溶性が良好な組成物を提供すること、及び、該組成物を、簡単な操作で短時間で得ることができる製造方法を提供すること。
【解決手段】β−1,3−1,4−グルカンを9〜89.9質量%、及び澱粉を10〜70質量%含有し、糊化度が25%以上であることを特徴とする組成物。胚乳部分を50質量%以上含む大麦を、粒子径500μm以上の粒子が10体積%以下且つ粒子径40μm以下の粒子が30〜95体積%となるように粉砕する工程A、該工程Aで得られた粉砕物から粒子径50〜500μmの粒子が80体積%以上の画分を得る工程B、該工程Bで得られた画分を糊化度が25%以上となるように糊化処理する工程C、及び、該工程Cで得られた糊化処理物を乾燥する工程Dを有する、上記組成物を製造する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、β−1,3−1,4−グルカンを多く含有し、水溶性が良好である組成物、その製造方法、及び該組成物を用いた飲食品に関する。
βグルカンは、大麦等のイネ科植物に広く分布する多糖類であり、従来から食物繊維として整腸作用等の保健機能性が注目されている物質であり、なかでもβ−1,3−1,4−グルカンは、免疫増強作用、血糖値抑制作用等の機能性を有することから注目されている。
しかし、このイネ科植物のβグルカンは、分子量は250万ともいわれているように高分子量であるため、水溶性が低く、水に高濃度に溶解させるためには長時間の加熱や超音波処理等を行なわなければならないという問題がある。
また、βグルカンを多く含む飲食品を得る方法として、上記βグルカンを含有するイネ科植物、例えば、大麦を製粉して粉末状とした大麦粉を飲食品に添加する方法がある。
しかし、大麦に含まれるβグルカンの含有量は約5%程度と極めて少ない上に、大麦粉の約70〜80%を占める澱粉は水不溶性であるため、大麦粉は当然にして水不溶性であり、広範な飲食品へ適用することはできないという問題がある。
これらの問題を解決すべく、βグルカン含有量が高く、且つ、水溶性が良好である組成物を得る方法が考案されている。
上記方法としては、大麦粉よりβグルカン含有組成物を抽出する方法がある。例えば、大麦精麦工程で発生する大麦糠を熱水抽出することを特徴とする大麦糠由来βグルカンを主成分とする水溶性食物繊維の製造法(特許文献1参照)、オーツ麦又は大麦をアルカリ性水溶液で抽出し、抽出液を酸性にして蛋白質を沈澱除去したのち、残液にアルコールを加えて沈澱させるか、あるいは残液を脱塩後、乾燥させて、βグルカンを主成分とする穀物ガム質を得る方法(特許文献2参照)、大麦又はオーツ麦の精麦工程で発生する糠を温水抽出することを特徴とする大麦又はオーツ麦由来水溶性βグルカンの抽出方法(特許文献3参照)が提案されている。
しかし、これらの方法は、βグルカン含有量の高い組成物を得ることはできるが、抽出効率が高いものではなく、そのため、操作時間がかかりすぎる問題や、コストがかかりすぎる問題があった。
また、特許文献1や特許文献2に記載の方法で得られた組成物において、そこに含まれるβグルカンは、抽出過程で低分子化していものの、比較的高分子量(分子量10万以上)である。そのため、温水には比較的可溶性ではあるものの、冷水への可溶性は低く、また高濃度に溶解させることも困難であり、広範な飲食品への適用は困難であるという問題があった。
また、特許文献3に記載の方法で得られた組成物は、もともと大麦粉に含まれる低分子量のβグルカン(分子量10万以下)のみを抽出したものであるため、水溶性自体は極めて良好であるものの、低分子量のβグルカンは、高分子量のβグルカンに比べて血糖値抑制効果が低いことから、保健機能性を目的とした飲食品に使用する場合、その効果が低くなってしまうという問題があった。
このように、高分子量のβグルカンを高濃度に含有し、水溶性が良好な組成物は現在まで得られていなかった。
特開平11−225706号公報 特開平3−285653号公報 特開2002−97203号公報
従って、本発明の目的は、高分子量のβグルカンを高濃度に含有し、水溶性が良好な組成物を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記組成物を、簡単な操作で短時間で得ることができる製造方法を提供することにある。
本出願人は、大麦粒をある特定の粉砕条件で粉砕すると、細胞壁を微細化することなく、澱粉粒のみを細胞壁から離脱させることができ、これを篩い分画することでβグルカンを多く含む細胞壁成分と澱粉粒とを分離することができ、その結果として、βグルカンが濃縮された大麦粉が得られることを知見し、この知見に基づき、βグルカンを含有する組成物について既に出願している(特願2006−028168)。
しかし、上記大麦粉は、βグルカン自体の分子量には変化がないことに加え、βグルカンから完全には澱粉粒が除去されていないため、水不溶性であり、可溶性が改良されたものではなかった。
本出願人は、上記出願に際し、大麦粒からβグルカンを高濃度で含有する画分を得るための最適な粉砕物の形態について、篩い分画、粒度分布計による測定、顕微鏡観察等を行って検討したところ、βグルカンは、大麦粒全体に分布しており、胚乳では細胞壁成分として存在していること、及び、大麦には粒径5〜40μmの範囲の大きさを持つ澱粉粒が含まれており、この澱粉粒の数10〜数100個を含むように、細胞壁が澱粉粒を取り囲んでいることを知見した。
本出願人は、上記知見に基づきさらに検討を進め、実験室のコーヒーミルを用いて大麦粒を粉砕したところ、大麦粒は粉砕処理時間と共に微細化し、粉砕初期は数10〜数100個の胚乳細胞からなる粒径500μm程度の塊が観察され、その後、粉砕が進むと粒径100μm程度の大きさでは細胞壁が破砕され、細胞壁と澱粉粒とが結着した塊が認められるようになり、最終的には細胞壁が澱粉粒と同様の大きさまで微細化し、粒径が数10μmの均一な微粉となることも知見した。そして、更なる実験過程において、上述したように、ある特定の粉砕条件では、細胞壁を微細化することなく、澱粉粒のみを細胞壁から離脱させることができ、これを篩い分画することでβ−1,3−1,4−グルカンを多く含む細胞壁成分と澱粉粒とを分離することができ、その結果として、β−1,3−1,4−グルカンを濃縮できることを見出したのである。
また、本出願人は、βグルカンとの相乗効果により一層優れた血糖値上昇抑制効果を奏させることができるアラビノキシランが、βグルカンと同様、大麦粒全体に分布しており、胚乳では細胞壁成分として存在していることについても、観察により知見した。すなわち、βグルカンを濃縮すれば、同時にアラビノキシランも濃縮することが可能である。
本発明者らは、これらの知見に基づき、さらに検討を進めた結果、上記の篩い分画により得られた分画物を特定の糊化度となるように糊化することで、上述の本発明の目的を達成可能であることを知見した。
本発明は、上記知見から得られたものであり、β−1,3−1,4−グルカンを9〜89.9質量%、及び澱粉を10〜70質量%含有し、糊化度が25%以上であることを特徴とする組成物を提供するものである。
また、本発明は、胚乳部分を50質量%以上含む大麦を、粒子径500μm以上の粒子が10体積%以下且つ粒子径40μm以下の粒子が30〜95体積%となるように粉砕する工程A、該工程Aで得られた粉砕物から粒子径50〜500μmの粒子が80体積%以上の画分を得る工程B、該工程Bで得られた画分を糊化度が25%以上となるように糊化処理する工程C、及び、該工程Cで得られた糊化処理物を乾燥する工程D、を有することを特徴とする上記組成物を製造する方法(以下、本発明の製造方法ともいう)を提供するものである。
また、本発明は、上記組成物を含有する飲食品を提供するものである。
本発明によれば、高分子量のβグルカンを高濃度に含有し、水溶性が良好な組成物を得ることができる。また、本発明の製造方法によれば、該組成物を簡単な操作で短時間で得ることができる。
本発明の組成物について、以下に説明する。
本発明の組成物は、β−1,3−1,4−グルカンを9〜89.9質量%、好ましくは10〜50質量%含有する。
上記β−1,3−1,4−グルカンは、β−1,3−グルコシド結合及びβ−1,4−グルコシド結合を有するβグルカンであれば特に限定されるものではなく、イネ科植物等の植物由来でも、担子菌類由来でも、微生物由来でもよい。
本発明の組成物は、澱粉を10〜70質量%、好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは20〜50質量%含有する。
上記澱粉としては、特に限定されるものではないが、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシコーンスターチ、米澱粉、大麦澱粉、サゴ澱粉、ハイアミロースコーンスターチ、緑豆澱粉等を例示することができる。また、上記澱粉として加工澱粉を使用することもでき、該加工澱粉としては、漂白澱粉、架橋澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化架橋澱粉、エーテル化架橋澱粉等を例示することができる。また、これらの澱粉は、単独で使用してもよく、又は2種以上を使用することもできる。
なお、後述するその他の成分がβ−1,3−1,4−グルカンや澱粉を含有する場合は、そのβ−1,3−1,4−グルカンや澱粉についても、上記β−1,3−1,4−グルカンや上記澱粉の含量に含めるものとする。
本発明の組成物は、糊化度が25%以上であり、好ましくは30%以上である。糊化度が25%未満であると、極端に水溶性が低下してしまう。また、糊化度の上限は100%であるが、水に添加した際の分散性が良好であること、及び、得られる水溶液の粘度が高くなりすぎないことから、90%以下とすることが好ましく、より好ましくは85%以下とする。
本発明の組成物は、βグルカンとの相乗効果により一層優れた血糖値上昇抑制効果を奏することができる点で、さらにアラビノキシランを含有することが好ましく、その含有量は、本発明の組成物中において好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは1〜20質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。
本発明の組成物は、上記のβ−1,3−1,4−グルカン及び澱粉をそれぞれ上記量の範囲内で含有し、糊化度が上記の範囲内であれば良いため、β−1,3−1,4−グルカン、及び糊化度が上記の範囲内である糊化澱粉をそれぞれ別々に調製し、混合することによって得ることもできるが、β−1,3−1,4−グルカン及び澱粉を同時に含有する原料から本発明の組成物を得ることが好ましい。
上記のβ−1,3−1,4−グルカン及び澱粉を同時に含有する原料としては、イネ科植物であるライムギ、ライ小麦、米、小麦、大麦、エン麦、ヒエ、アワ、トウモロコシ等を例示することができる。これらのイネ科植物はβ−1,3−1,4−グルカンを多く含有しており、その種実の皮部、種実の外皮部(穎)、穂軸部、茎部、葉部、胚、胚乳部等からβ−1,3−1,4−グルカンを得ることができる。種実の皮部としては、所謂ふすま、ぬか、種実の外皮部としてはモミガラ、穂軸部としてはコーンコブ、茎部としてはイナワラ、ムギワラ等がある。
これらの中でも、大麦の胚乳部は、特にβ−1,3−1,4−グルカン含量が高く、本発明の組成物の構成成分であるβ−1,3−1,4−グルカンを得るのに特に適している。
大麦の胚乳部としては、大麦粒を外周部より削って質量を90質量%以下としたもの、特に80%質量以下としたものが好ましい。また、原料としてβ−1,3−1,4−グルカン含量の高い大麦品種を使用するのがよく、例えば、米澤モチ、坊主モチ、カシマムギ、ダイシモチ、ウルチミノリムギ、ミノリムギ、ファイバースノウ、シュウライ、シルキースノウ、LT26、ウルチJENA84−1、Godiva、ベニハダカ、ウルチH−HOR4097/66、Nepa11684、Riso86、四R系1164等の品種や、これを母本とした派生品種が好ましく使用できる。
上記β−1,3−1,4−グルカンを得るのに適したものとして例示した原料は、アラビノキシランも多く含有しており、アラビノキシランを得るのにも適している。
また、これらの中でも、β−1,3−1,4−グルカンと澱粉とアラビノキシランとを同時に高濃度で含有し、麦茶等の原料や主食として安定的に生産されている六条大麦の品種の1つである「カシマムギ」、「ミノリムギ」、「ダイシモチ」「ファイバースノウ」及び「米澤モチ」のいずれかが、原料として最も好適である。
また、本発明の組成物には、例えば、組成物自体あるいは組成物を添加した飲食品が、ダマや固まりになる等の不均一化をよりいっそう抑制する目的で、必要に応じて、pH調整剤、乳化剤、酸化防止剤、β−1,3−1,4−グルカン及びアラビノキシラン以外の多糖類、酵素類、動植物や微生物由来の蛋白素材、品質安定剤等のその他の成分を、本発明の効果を阻害しない範囲内で添加することができる。
上記pH調整剤としては、リン酸塩類、例えば、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、その他の種々の有機酸、例えば、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、アスコルビン酸、酸性ピロリン酸、クロロゲン酸、リンゴ酸、及びそれらの塩類や、アルカリ剤物質である、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素力リウム、炭酸カリウム、炭酸水素アンモニウム等、一般的に用いられるpH調整剤を例示することができ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
上記乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、有機酸モノクリセリド、酢酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステナロイル乳酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、酵素処理レシチン等、一般的に用いられる乳化剤を例示することができ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
上記酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール、L−アスコルビン鞍、エリソルビン酸塩類、カテキン、タンニン、アントシアニン、茶ポリフェノール等のポリフェノール類、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸ナトリウム等を例示することができ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
上記β−1,3−1,4−グルカン及びアラビノキシラン以外の多糖類としては、アップルファイバー、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アラビアガム、イヌリン、カシアガム、カラヤガム、寒天、カードラン、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルポキシメチルセルロースカルシウム、キサンタンガム、キチン、キトサン、グアーガム、グルコマンナン、コーンファイバー、コンドロイチン、サイリウム種皮、ジェランガム、水溶性大豆多糖類、セルロース、タマリンド種子多糖類、大豆食物繊維、タラガム、トガントガム、ヘミセルロース、ヒアルロン酸、ビートファイバー、微細セルロース、プルラン、ファーセレラン、フコイダン、フラクタン、ぺクチン、マンナン、ムチン、レバン、ローカストビーンガム、及びこれらの分解物等を例示することができ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
上記酵素類としては、アミラーゼ、インベルターゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、パパイン、プロテアーゼ、ペクチナーゼ、リゾチーム、リバーゼ、トリプシン、パンクレアチ、ブロメライン、ペプシン、ベプチターゼ、アクチジニン等を例示することができ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
上記動植物や微生物由来の蛋白素材としては、全卵粉末、卵白や卵黄末、乳蛋白、大豆蛋白、小麦分離蛋白、血漿蛋白、エンドウ豆蛋白、酵母抽出物、ホエー等のアルブミン、カゼインナトリウム、カゼインホスホペプチド(CPP)、ゼラチン、可溶性コラーゲン、カツオ節ペプチド、イワシペプチド、カゼインドデカペプチド等を例示することができ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
上記品質安定剤としては、環状オリゴ糖、デキストリン、難消化デキストリン、シクロフラクタン、ジフラクトース、グルコサミン、炭酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、プロピレングリコール、サイクロテキストリン、カルシウム塩類、例えば、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、ゲルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、酸性ピロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、硫酸カルシウム、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、バントテン酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、サンゴカルシウム、ドロマイト、卵殻カルシウム、牛骨粉カルシウム、ほたて貝殻カルシウム、ミルクカルシウム、鉄類、例えば、塩化第二鉄、クエン酸鉄、クエン酸鉄アンモニウム、コハク酸クエン酸鉄ナトリウム、乳酸鉄、ピロリン酸第一鉄、ビロリン酸第二鉄、硫酸第一鉄、ゲルコン酸第一鉄、ヘム鉄、レバー粉末、水溶性糖類(ブドウ糖、果糖、蔗糖、乳糖、異性化糖、キシロース、トレハロース、カップリングシュガー、パラチノース、ソルボース、還元澱粉糖化飴、マルトース、エリスリトール、還元キシロオリゴ糖、ラクツロース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等)、糖アルコール類(キシリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、ポリデキストロース、還元パラチノース、還元水あめ等)、パーム油、ヤシ油、大豆油、綿実油等の油脂類等を例示することができ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の組成物における上記その他の成分の含有量は特に制限されないが、合計して50質量%以下となるように配合するのが好ましく、より好ましくは30質量%以下となるように配合するのが好ましい。
本発明の組成物は、その形状については特に制限されないが、水や水分含量の高い飲食品に添加した際の溶解性が高いことから、粉末状又は顆粒状であることが好ましい。粉末状の場合、その好ましい平均粒径は10〜300μm、より好ましくは10〜75μmであり、顆粒状の場合、その好ましい平均粒径は10〜3000μm、より好ましくは100〜1000μmである。
次に、本発明の組成物の好ましい製造方法について説明する。
本発明の組成物は、上記のβ−1,3−1,4−グルカン及び糊化度が上記の範囲内である糊化澱粉をそれぞれ別々に調製し、また必要なら常法によって濃縮し、β−1,3−1,4−グルカン及び糊化度の含量が上記の範囲となるように混合すれば得ることができるが、以下に説明する本発明の製造方法によれば、本発明の組成物を簡便に製造することができる。
本発明の製造方法は、胚乳部分を50質量%以上含む大麦を、粒子径500μm以上の粒子が10体積%以下且つ粒子径40μm以下の粒子が30〜95体積%となるように粉砕する工程A、該工程Aで得られた粉砕物から粒子径50〜500μmの粒子が80体積%以上の画分を得る工程B、該工程Bで得られた画分を糊化度が30〜100%となるように糊化処理する工程C、及び該工程Cで得られた糊化処理物を乾燥する工程Dからなる。
まず、上記工程Aについて説明する。
工程Aにおいては、原料である大麦、好ましくは「カシマムギ」、「ミノリムギ」、「ダイシモチ」、「ファイバースノウ」及び「米澤モチ」のいずれかを粉砕するが、該大麦としては、胚乳部分を50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上含むものを使用する。尚、この胚乳部分の含量は、個々の大麦粒自体における胚乳部分の割合ではなく、用いる原料全体としての割合である。
上述のとおり、本出願人は、大麦粒を粉砕する際に、ある特定の粉砕条件では、細胞壁を微細化することなく、澱粉粒のみを細胞壁から離脱させることが可能であることを見出している。
その特定の粉砕条件とは、粉砕物の粒度分布において、粒子径500μm以上の粒子が10体積%以下、好ましくは5体積%以下、より好ましくは0体積%であり、且つ粒子径40μm以下の粒子が30〜95体積%、好ましくは40〜70体積%、より好ましくは48〜60体積%となるように粉砕するものである。
ここで、粉砕が足りないと、次に行なう工程Bで不要な澱粉等が多く混入して、β−1,3−1,4−グルカンの濃度が低下してしまう。また、必要以上に粉砕してしまうと、β−1,3−1,4−グルカンを含む粒子が更に細粒化して、工程Bにおいて得られる分画物の量、ひいては最終的に得られる組成物中のβ−1,3−1,4−グルカンの量が減ってしまい、工業化適性が低下してしまう。
上記大麦の粉砕方法は、常法に従えば良く、例えば、ローラー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ハンマーミル(粉砕機)、石臼粉砕機等を使用して粉砕すればよい。
次に、上記工程Bについて説明する。
上述のとおり、本出願人は、上記粉砕条件で大麦粒を粉砕して得られた粉砕物を、特定の分画条件で分画することで、その結果として、β−1,3−1,4−グルカンを濃縮できることを見出している。
その特定の分画条件とは、上記工程Aで得られた粉砕物から粒子径50〜500μmの粒子が80体積%以上、好ましくは90体積%以上、より好ましくは99体積%以上の画分を得るものである。
この分画の際には、粒子径50〜500μmの粒子が得られればよく、粒子径50〜500μmの範囲外の粒子径の粒子が多少混入していても支障はない。従って、粒子径50〜500μmの粒子が上記体積割合の画分を得ればよい。
分画方法は特に限定されず、例えば、穀類の分級に通常用いられる篩い、気流分級等により分画すればよい。篩い分画では、例えば、所望の粗さのスクリーンを用いて一定時間、篩い分画して、スクリーン上の画分を分取すればよい。
また、得られた画分は、工程Cに供する前に、さらに粉砕してもよい。
続いて、上記工程Cについて説明する。
工程Cにおいては、上記工程Bで得られた粒子径50〜500μmの粒子が80体積%以上の画分を、糊化度が25%以上、好ましくは30%以上となるように糊化処理する。なお、糊化度の上限は100%であるが、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下である。この糊化度の範囲とする理由は上述のとおりである。
糊化処理の方法としては、上記工程Bで得られた画分中に含まれる澱粉を糊化することが可能な方法であれば特に制限されず、加熱処理する方法やアルカリ処理する方法等を適宜選択することができるが、飲食品への適用が容易な点で、加熱処理する方法を選択することが好ましい。
加熱処理の具体的な方法としては、ジェットクッカーやドラム式加熱機等の加熱処理機械を使用する方法、ニーダー、エクストルーダー等の加熱可能な混合機を使用する方法、加熱殺菌機を使用して加熱殺菌する方法、蒸し機等を使用して蒸成する方法等を挙げることができる。加熱処理する際、その好ましい温度は60〜200℃、より好ましくは60〜120℃である。
続いて、上記工程Dについて説明する。
工程Dにおいては、上記工程Cで得られた糊化処理物を乾燥して、本発明の組成物を得る。乾燥する方法は、特に限定されず、凍結乾燥、熱風乾燥、スプレードライ等の公知の方法から選択することができる。乾燥後の好ましい水分含量は1〜15質量%、より好ましくは3〜10質量%である。
また、得られた組成物は、必要に応じて、常法により所望の粒子径の粉体となるように粉砕してもよく、また所望の粒子径の顆粒状となるように造粒してもよい。
次に、本発明の組成物の用途について説明する。
本発明の組成物は、水溶性が良好であるため、水や水分の多い飲食品に添加する際も、ダマができにくく、均一に分散させることが可能であることから、加工油脂製品、ベーカリー製品、菓子類、麺類、穀類加工品、乳製品、スープ類、飲料、調味料類、畜肉加工品、水産加工品、調理食品、健康食品、低カロリー食品、アレルギー患者用食品、乳児用食品、老人用食品、美容食品、薬用食品、あるいはそれらの冷凍食品、レトルト食品、インスタント食品、缶詰等の広範な飲食品に広く使用することができる。また、化粧品、医薬品にも広く使用することができる。
本発明の飲食品について以下に述べる。
本発明の飲食品は、本発明の組成物を含有するものであり、従来公知の飲食品に本発明の組成物を添加・混合するか、従来公知の飲食品の製造時に本発明の組成物を配合してなるものである。
本発明の組成物は水溶性が良好であり、水に添加した際のダマの発生が抑制されたものであるため、本発明の飲食品が液状飲食品であると、本発明の組成物のこのような効果がとりわけ有効となる。本発明の液状飲食品の例としては、コンソメスープ、コーンポタージュスープ、玉子スープ、中華スープ、シチュー、カレー等のスープ、オレンジジュース、トマトジュース、バナナジュース、野菜ジュース、果汁又は果肉入りのジュース等のジュース、コーラ、サイダー等の炭酸飲料、牛乳、加工乳、ヨーグルト、乳清飲料等の乳飲料、醤油、ソース、たれ、ジャム、ケチャップ等の調味料、コーヒー、ココア、紅茶、日本茶、ウーロン茶、豆乳飲料、乳酸菌飲料、アルコール飲料、ビタミン飲料、健康飲料、ドリンク剤及びゼリー状飲料、並びに、摂食時にお湯又は水等を加え液状として飲食する、これらの飲食品の濃縮物や乾燥品等のいわゆる即席の飲食品等が挙げられる。
本発明の飲食品中の本発明の組成物の含有量は、特に制限されないが、摂食時の飲食品全量中におけるβ−1,3−1,4−グルカンの量が0.1〜50質量%となるように、本発明の組成物を配合するのが好ましく、摂食時の飲食品全量中におけるβ−1,3−1,4−グルカンの量は0.5〜20質量%がより好ましい。β−1,3−1,4−グルカンが0.1質量%未満であると、β−1,3−1,4−グルカンの機能性効果が得られないおそれがあり、50質量%を超えると、飲食品全体の品質が低下する場合がある。
以下に実施例等を挙げ、本発明をさらに説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
<水溶性β−1,3−1,4−グルカン含量の測定方法>
β−1,3−1,4−グルカン含量の測定は、McCleary法(酵素法)を採用した。具体的にはβグルカン測定キット(型番K−BGLU)(メガザイム社製)を使用した。まず、500μm(30メッシュ)のふるいにかけた測定サンプルについて、予め水分含量を測定(赤外線水分計、型番FD−230、Kett社製)した。この測定サンプル10mgを17mlチューブに取り、50%(v/v)エタノール溶液を200μl加え、分散させた。次に4mlの20mMリン酸緩衝液(pH6.5)を加え、よく混合した後、煮沸した湯浴中にて1分間加温した。よく混合し、さらに2分間、湯浴中で加熱した。遠心分離にて上清を得て、50℃に冷却後、5分間放置してから、各チューブにリケナーゼ酵素溶液(キットに付属するバイアルを20mlの20mMリン酸緩衝液で希釈、残量は凍結保存)の200μl(10U)を加え、50℃にて1時間反応させた。チューブに200mM酢酸緩衝液(pH4.0)を5ml加えて、静かに混合した。室温に5分間放置し、遠心分離にて上清を得た。上清100μlを3本のチューブに取り、1本には100μlの50mM酢酸緩衝液(pH4.0)を、他の2本には100μl(0.2U)のβグルコシターゼ溶液(キットに付属するバイアルを20mlの50mM酢酸緩衝液で希釈、残量は凍結保存)を加え、50℃にて10分間反応させた。3mlのグルコースオキシターゼ/ペルオキシターゼ溶液を加えて、50℃にて20分間反応させ、各サンプルの510nmにおける吸光度(EA)を測定した。β−1,3−1,4−グルカン含量は、次式により求めた。
水溶性β−1,3−1,4−グルカン含量(%,w/w)=(EA)×(F/W)×8.46
F=(100)/(グルコース100μgの吸光度)
W=算出された無水物質量(mg)
<総β−1,3−1,4−グルカン含量の測定方法>
2分間湯浴中で加熱後の遠心分離を行なわない以外は、水溶性β−1,3−1,4−グルカン含量の測定方法と同様の方法で、総β−1,3−1,4−グルカン含量を求めた。
<澱粉含量の測定方法>
澱粉含量の測定は、食品分析法のアルカリ抽出法、グルコアミラーゼ+ソモジー・ネルソン法により行った。まず、測定サンプル50gに0.5mol/l水酸化ナトリウム5mlを加え、ホモジナイズした。室温で10分放置後、0.5mol/酢酸で中和し、遠心分離(8000回転/分・10分)した。得られた上清0.5mlにグルコアミラーゼ液(2.63単位)0.5mlを加え、30℃で1時間酵素反応を行った。この上清中の遊離グルコースをソモジー・ネルソン法により求めた。上清中のグルコースをソモジー・ネルソン法により求め、先に求めた遊離グルコースを差し引き、0.9を乗じて澱粉量とした。
<アラビノキシラン含量の測定方法>
アラビノキシラン含量の測定は、溶媒沈殿で得られた多糖を酸加水分解して遊離したアラビノースとキシロースを、イオン交換クロマトグラフィー及びパルスドアンペロメトリ検出(HPAE−PAD)を用いて定量することにより行った。
乾燥させた粉末状サンプルを1mg精秤し、70%(v/v)エタノールを1mL加えて室温で30分間撹拌した後、4℃で1時間冷却した。遠心分離(8000回転/分・10分)によって上清を除去し、得られた沈殿を凍結乾燥した。乾固したサンプルに72%(v/v)硫酸を0.1mL加えて撹拌し、1時間氷冷した。水を0.8mL加えて100℃で4時間加熱した。粉末状BaCO3を50mg加えて中和し、遠心分離(8000回転/分・10分)して上清を回収した。イオン交換樹脂(Dowex50−X80 H+型)を用いて脱塩し、凍結乾燥した。乾固したサンプルに蒸留水を1mL加えて完全に溶解して単糖が遊離した水溶液とし、これを超純水で1000倍希釈した水溶液を分析試料とした。
単糖の定量は、イオン交換クロマトグラフィー装置(Dionex社製)を用いて以下の分析条件で行なった。カラムはCarboPac PA1(Dionex社製)、検出器は作用電極を金としたパルスドアンペロメトリ検出器(Dionex社製)を用い、流速1.0mL/min.、カラム温度35℃、溶出液Aとして100mM NaOH水溶液、溶出液Bとして超純水を用い、溶出液Aの初期濃度20質量%から終濃度35質量%まで0.75質量%/min.の直線勾配によるグラジェントで行なった。L(+)−Arabinose(010−04582 和光純薬工業社製)、D(+)−Xylose(244−00302 和光純薬工業社製)を超純水により1.0μg/mLとした水溶液を標準品とし、分析試料50μL注入したときの溶出時間とピーク面積値から定量した。検出されたアラビノースとキシロースの総含量をアラビノキシラン含量とし、それぞれの含量から構成比を算出した。
<糊化度測定方法>
糊化度の測定は、食品分析法のグルコアミラーゼ法により行った。まず、測定サンプル20gにエタノール200mlを加え、1分間撹拌した後、遠心分離(8000回転/分・5分)し、得られた沈殿にエタノール200mlを加えた。これを1分間撹拌した後、再度遠心分離(8000回転/分・5分)し、得られた沈殿にエーテル200mlを加えた。これを、1分間撹拌した後、再度遠心分離(8000回転/分・5分)し、得られた沈殿を乾燥した。得られた沈殿の乾燥物100mgに蒸留水8mlを加えて均一な懸濁液とした。2mlを2本の試験管に取り、1本には1.6mlの2mol/l酢酸緩衝液(pH4.8)と0.4mlの蒸留水を加え、測定サンプル液とした。もう1本には0.2mlの10mol/l水酸化ナトリウムを加えて完全に溶解させた後、1.6mlの2mol/l酢酸、4mlの酢酸を加え、完全糊化サンプル液とした。これらのサンプル液に1mlのグルコアミラーゼ液(2.63単位)を加えて、37℃で60分間反応させた。反応終了後、反応液0.5mlに、25mmol/l塩酸20mlを加えて撹拌し、ソモジー・ネルソン法によりグルコース量を定量した。糊化度を次式から算出した。
糊化度(%)=(サンプル液中の糖量/完全糊化サンプル液中の糖量)×100
<粘度測定方法>
粘度測定は、VISCOMETER(TOKIMEC社製)を使用した。
測定サンプル10gに蒸留水100mlを加え、室温にて15分間撹拌し、1mlを回転数10rpm、温度25℃で測定した。
<粒度分布の測定方法>
粒度分布は、レーザ回折式粒度分布測定装置 SALD−2100(島津製作所社製)により行なった。分散溶媒EtOH 150mL中に、超音波照射後の吸光度が0.1となるように十分に乾燥させたサンプルを添加して1分間超音波照射した。撹拌しながら対流させて検出される粒子径とその相対粒子量(体積割合)を測定した。
〔実施例1〕
平成18年度新潟県産のミノリムギを外周部より削り、とう精歩合60%とした大麦粒(胚乳部分含量100質量%)をローラー式粉砕機で粉砕し、大麦粉砕物Aを得た。
大麦粉砕物Aにおける、粒子径500μm以上の粒子は0体積%であり、粒子径40μm以下の粒子は56.3体積%であった。
大麦粉砕物Aの2kgを140メッシュの篩にて60分間処理し、篩上に残った画分430g(粒子径50〜500μmの粒子が97.1体積%の画分であった。)を得た。これを粉砕機(商品名:ミクロパウダー、ウエスト社製)の粒度つまみを10ミクロンにセットしてさらに粉砕し、大麦分級粉砕物Aを得た。
大麦分級粉砕物Aを、ニーダー(ベンチニーダーPNV-1(入江商会))に投入し、水分含量20質量%となるまで加水した後、90℃にて90分加熱処理し、これを、水流ポンプでの減圧乾燥により水分含量7.0%まで乾燥した後、粉砕機(商品名:ミクロパウダー、ウエスト社製)の粒度つまみを10ミクロンにセットしてさらに粉砕し、サンプルNo.1とした。
〔実施例2〕
実施例1の加熱処理時の加水条件を、水分含量20質量%から55質量%に変更した以外は実施例1と同様の製法で、サンプルNo.2を得た。
〔実施例3〕
実施例1の加熱処理時の加水条件を、水分含量20質量%から80質量%に変更した以外は実施例1と同様の製法で、サンプルNo.3を得た。
〔比較例1〕
実施例1における大麦粉砕物Aを、そのままサンプルNo.4とした。
〔比較例2〕
実施例1における大麦粉砕物Aを、分級操作を通さず、そのままニーダーに供した以外は実施例1と同様の製法で、サンプルNo.5を得た。
〔比較例3〕
実施例1における大麦分級粉砕物Aを、そのままサンプルNo.6とした。
〔実施例4〕
精麦した市販の押し麦(精麦した大麦を蒸気で加熱し、押しつぶしたもの;原料大麦は「ファイバースノウ」で、胚乳部分含量100質量%)を市販の電動コーヒーミルで1分間粉砕後、粉砕機(商品名:ミクロパウダー、ウエスト社製)の粒度つまみを45ミクロンにセットしてさらに粉砕し、糊化大麦粉砕物Aを100g得た。糊化大麦粉砕物Aにおける、粒子径500μm以上の粒子は1体積%であり、粒子径40μm以下の粒子は52.1体積%であった。
糊化大麦粉砕物Aを100メッシュ(目の径は150μm)の分析用篩にて45分間処理し、篩上に残った画分15g(粒子径50〜500μmの粒子が96.4体積%の画分であった。)を得た。これを粉砕機(商品名:ミクロパウダー、ウエスト社製)の粒度つまみを10ミクロンにセットしてさらに粉砕し、サンプルNo.7とした。
〔比較例4〕
実施例4における糊化大麦粉砕物Aを、そのままサンプルNo.8とした。
上記の実施例1〜4及び比較例1から4で得られたサンプルNo.1〜8について、水溶性β−1,3−1,4−グルカン含量、総β−1,3−1,4−グルカン含量を測定し、(水溶性β−1,3−1,4−グルカン含量/総β−1,3−1,4−グルカン含量)×100を算出し、これを組成物の水溶性の指標とし、その結果を表1に記載した。
また、澱粉含量、糊化度、アラビノキシラン含量及び10%水溶液の粘度について測定を行い、その結果を表1に記載した。
Figure 2009039043
上記表1の結果からわかるとおり、β−1,3−1,4−グルカンを9〜89.9質量%、及び澱粉を10〜70質量%含有し、糊化度が25%以上である、実施例1〜4で得られたサンプルNo.1〜3、サンプルNo.7は、水溶性が良好で、水溶液粘度も低く、飲食品に含有させるのに良好な物性である。
また、糊化度が85%以下であるサンプルNo.1、No.2及びNo.7は、糊化度が85%を超えるサンプルNo.3に比べ、水溶液粘度が低く、飲食品に含有させるのに特に良好な物性であることがわかる。
また、本発明の製造方法である実施例1〜3で得られたサンプルNo.1〜3は、糊化工程を分級前に行なった実施例4で得られたサンプルNo.7に比べてβ−1,3−1,4−グルカン含量が高いことから、本発明の製造方法は、より高濃度のβ−1,3−1,4−グルカンを含有する組成物を製造可能な点で優れた製造方法であることがわかる。
それに対し、β−1,3−1,4−グルカン含量が9質量%未満で、澱粉含量が70質量%超であり、糊化度が25%未満である比較例1で得られたサンプルNo.4、及び、糊化度は25%以上であるが、β−1,3−1,4−グルカン含量が9質量%未満で、澱粉含量が70%超である比較例2で得られたサンプルNo.5は、水不溶性であることが分かる。
また、β−1,3−1,4−グルカン含量は9〜89.9質量%であり、澱粉を10〜70質量%含有するが、糊化度が25%未満である、比較例3で得られたサンプルNo.6は、水溶性が低いものであった。
さらに、糊化度は25%以上であるが、β−1,3−1,4−グルカン含量が9質量%未満であり、澱粉含量が70質量%超である、比較例4で得られたサンプルNo.8は、水溶性が低く、水溶液粘度も極めて高くなってしまった。

Claims (5)

  1. β−1,3−1,4−グルカンを9〜89.9質量%、及び澱粉を10〜70質量%含有し、糊化度が25%以上であることを特徴とする組成物。
  2. さらにアラビノキシランを0.1〜50質量%含有することを特徴とする請求項1記載の組成物。
  3. 粉末状又は顆粒状であることを特徴とする請求項1又は2記載の組成物。
  4. 胚乳部分を50質量%以上含む大麦を、粒子径500μm以上の粒子が10体積%以下且つ粒子径40μm以下の粒子が30〜95体積%となるように粉砕する工程A、該工程Aで得られた粉砕物から粒子径50〜500μmの粒子が80体積%以上の画分を得る工程B、該工程Bで得られた画分を糊化度が25%以上となるように糊化処理する工程C、及び、該工程Cで得られた糊化処理物を乾燥する工程D、を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の組成物を製造する方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の組成物を含有することを特徴とする飲食品。
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