JP2009038641A - 音場制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】異なる高さに配置された複数のスピーカを用いて仮想音源を三次元に立体的に音像定位させることができる音像定位装置を提供する。
【解決手段】8個のスピーカの頂点とする直方体類似の立体を想定し、その内部に受音点Uを設定する。仮想音源の位置情報が入力されると、受音点から見た仮想音源の方向が前記直方体類似の立体のどの面を通過するかを選択し、この選択された面をの頂点に配置されているスピーカをこの仮想音源の音声信号を出力するスピーカとして選択する。そして、各頂点の受音点から見た仮想音源からの角度の比に基づいて、前記各頂点に配置されている各スピーカに供給する音声信号のレベル比を決定する
【選択図】図3

Description

この発明は、仮想音源の定位を三次元で立体的に制御できる音場制御装置に関する。
複数のスピーカをリスニングルームの四方に配置し、マルチチャンネルで臨場感のある音場を再生するマルチチャンネルオーディオシステムが提案されている(たとえば特許文献1)。従来のこの種のマルチチャンネルオーディオシステムでは、複数のスピーカ(一般的には4つ(FL,FR,RL,RR)のスピーカ)が平面的に配置されているため、オーディオソースの仮想音源位置が三次元であっても、これを平面的な分布に変換して、この信号を2つのスピーカに振り分けて音像(仮想音源)を定位させていた。
特開平11−464000号公報
しかしながら、上記従来のオーディオシステムで再生される音場は、平面的な印象になり、現実の音場とは異なったものになる。すなわち、仮想音源の定位を高さ方向に制御できないため、音場の高さ方向の印象が、スピーカの高さ方向の配置によってほぼ決められてしまうという問題点があった。
一方、近年実用化されているサラウンドオーディオシステムでは、上記4チャンネルのスピーカに加えてサラウンド用のスピーカを高い位置に設置するものも実用化されているが、このサラウンド用のスピーカは、環境音、背景音的に音場形成を補助する音声を出力するためのものであり、個別の仮想音源の定位に寄与するものではなかった。
この発明は、異なる高さに配置された複数のスピーカを用いて仮想音源を三次元に立体的に音像定位させることができる音像定位装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、三次元空間に配置された複数のスピーカの位置情報および前記複数のスピーカから放音される音声の受音点の位置情報を記憶する記憶部と、音声信号と、この音声信号が定位されるべき位置である仮想音源の位置情報と、を入力する入力部と、前記音声信号を前記仮想音源の位置に定位させる定位制御部と、を備えた音場制御装置であって、
前記音場制御装置は、前記複数のスピーカの位置を頂点とする仮想的な略多面体状の立体を設定し、前記受音点から前記仮想音源へ向けた方向線が通過する前記略多面体状の立体の面を選択し、この選択された面の頂点に配置されているスピーカを前記音声信号を出力するスピーカとして選択し、前記方向線と、前記受音点から前記選択された面の各頂点へ向かう各直線との各角度の比に基づいて、前記各頂点に配置されている各スピーカに供給される前記音声信号のレベル比を決定することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記記憶部は、前記スピーカの位置情報として、略直方体形状の立体の各頂点に配置された8個のスピーカの位置情報を記憶し、
前記定位制御部は、前記選択された面である四角形S1,S2,S3,S4の1辺S1−S2と受音点で決定される第1の平面と、前記1辺の対辺S3−S4と受音点で決定される第2の平面とを想定するとともに、この第1,第2の平面の交線と前記仮想音源位置で決定される第3の平面を想定し、これら第1の平面と第3の平面との角度を前記頂点S1,S2に対する前記方向線の第1の分解角度とし、また、前記第2の平面と第3の平面との角度を前記頂点S3,S4に対する前記方向線の第1の分解角度とし、
さらに、前記四角形S1,S2,S3,S4の1辺S2−S3と受音点で決定される第4の平面と、前記1辺の対辺S4−S1と受音点で決定される第5の平面とを想定するとともに、この第4,第5の平面の交線と前記仮想音源位置で決定される第6の平面を想定し、
これら第4の平面と第6の平面との角度を前記頂点S2,S3に対する前記方向線の第2の分解角度とし、また、前記第5の平面と第6の平面との角度を前記頂点S4,S1に対する前記方向線の第2の分解角度とし、各頂点S1,S2,S3,S4についての、前記第1の分解角度のCOS値と前記第2の分解角度のCOS値とを乗算した値を、前記受音点と各頂点とを結んだ直線と前記方向線との角度比とすることを特徴とする。
なお、上記略直方体形状は、六面体であって、その各面がそれぞれ略四角形で構成されている立体であればよく、六面体の各面が略長方形であることまで要求するものではない。
請求項3の発明は、受音点の前方上部左右に設置されたスピーカFLh,FRh、受音点の前方下部左右に設置されたスピーカFLl,FRl、受音点の後方上部左右に設置されたスピーカBLh,BRh、受音点の後方下部左右に設置されたスピーカBLl,BRlのそれぞれの位置情報、および、前記受音点の位置情報を記憶する記憶部と、音声信号およびこの音声信号が定位されるべき位置である仮想音源の位置情報が入力される入力部と、前記音声信号を前記仮想音源の位置に定位させる定位制御部と、を備えた音場制御装置であって、
前記音場制御装置は、前記受音点と前記スピーカFLh,FRhで決定される平面p1、前記受音点と前記スピーカFRh,BRhで決定される平面p2、前記受音点と前記スピーカBRh,BLhで決定される平面p3、および、前記受音点と前記スピーカBLh,FLhで決定される平面p4で囲まれる方向領域「上」、前記受音点と前記スピーカFLl,FRlで決定される平面p5、前記受音点と前記スピーカFRl,BRlで決定される平面p6、前記受音点と前記スピーカBRl,BLlで決定される平面p7、および、前記受音点と前記スピーカBLl,FLlで決定される平面p8で囲まれる方向領域「下」、前記受音点と前記スピーカFLh,FLlで決定される平面p9、前記平面p1、前記受音点と前記スピーカFRh,FRlで決定される平面p10、および、前記平面p5で囲まれる方向領域「前」、前記受音点と前記スピーカBRh,BRlで決定される平面p11、前記平面p7、前記受音点と前記スピーカBLh,BLlで決定される平面p12、および、前記平面p3で囲まれる方向領域「後」、前記平面p4、前記平面p9、前記平面p8、および、前記平面p12で囲まれる方向領域「左」、前記平面p2、前記平面p10、前記平面p6、および、前記平面p11で囲まれる方向領域「右」、を仮想的に設定し、
前記受音点から前記仮想音源へ向けた方向線が通過する前記方向領域を選択し、この選択された方向領域を囲む複数の平面の頂点になっているスピーカを前記音声信号を出力するスピーカとして選択し、前記受音点と前記選択された各スピーカとを結んだ直線と前記方向線との角度の比に基づいて、前記各スピーカに供給される前記音声信号のレベル比を決定することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記定位制御部は、前記選択された方向領域を囲む複数の平面の頂点になっている4つのスピーカ(以下、S1,S2,S3,S4と呼ぶ)のうち2つのスピーカS1,S2と前記受音点で決定される第1の平面と、他の2つのスピーカS3,S4と前記受音点で決定される第2の平面とを想定するとともに、この第1,第2の平面の交線と前記仮想音源位置で決定される第3の平面を想定し、
これら第1の平面と第3の平面との角度を前記頂点S1,S2に対する前記方向線の第1の分解角度とし、また、前記第2の平面と第3の平面との角度を前記頂点S3,S4に対する前記方向線の第1の分解角度とし、
さらに、前記4つのスピーカのうち2つのスピーカS2,S3と前記受音点で決定される第4の平面と、他の2つのスピーカS4,S1と前記受音点で決定される第5の平面とを想定するとともに、この第4,第5の平面の交線と前記仮想音源位置で決定される第6の平面を想定し、
これら第4の平面と第6の平面との角度を前記頂点S2,S3に対する前記方向線の第2の分解角度とし、また、前記第5の平面と第6の平面との角度を前記頂点S4,S1に対する前記方向線の第2の分解角度とし、各頂点S1,S2,S3,S4についての、前記第1の分解角度のCOS値と前記第2の分解角度のCOS値とを乗算した値を、前記受音点と各頂点とを結んだ直線と前記方向線との角度比とすることを特徴とする。
この発明によれば、仮想音源の高さ方向の定位を制御できるため、より臨場感のある音場再生が可能になる。複数の仮想音源を再生する場合、各仮想音源をそれぞれ高さの異なる位置に定位させることができるため、聴取者が音場の高さ方向の広がりをより感じやすくなり、現実の音場に近い聴感効果が期待することができる。
これにより、実測に基づく音場再生でより現実に近い音場設定が可能になり、シミュレーションなどに基づく音場デザインにおいて、より自由度の高い音場デザインを行うことが可能になる。
図面を参照してこの発明の実施形態であるオーディオシステムについて説明する。このオーディオシステムは、高低差を持たせて立体的に配置された8本のスピーカとこれら8本のスピーカにオーディオ信号を供給するオーディオ装置で構成されている。受音点すなわち聴取者の耳の位置は、8本のスピーカで形成される略直方体形状の空間に内包される。入力されたオーディオ信号の定位位置すなわち仮想音源位置に基づいて4本(または3本)のスピーカを選択し、この選択されたスピーカから適切なレベル比でオーディオ信号を出力することにより、このオーディオ信号(仮想音源)を三次元の一点に立体的に定位させる。
≪スピーカ配置≫
図1は、同オーディオシステムのスピーカ配置の例を示す図である。リスニングルームの前方上部左右にスピーカFLh,FRhが設定され、前方下部左右にスピーカFLl,FRlが設置され、後方上部左右にスピーカBLh,BRhが設置され、さらに、後方下部左右にスピーカBLl,BRlが設置されている。各スピーカの設置位置を結んで形成される立体が直方体(立方体)となる配置が理想的であるが、実際にはリスニングルームの形状等の制約等により、各スピーカの設置位置を結んで形成される立体は、図3に示すように歪んだものとなる場合が多い。
8本のスピーカのうち、前方下部左右に設置されているスピーカFLl,FRlおよび後方下部左右に設置されているスピーカBLl,BRlの4本は受音点Uすなわち聴取者の耳の高さより低い位置または同じ高さに設置され、前方上部左右に設置されているスピーカFLh,FRhおよび後方上部左右に設置されているスピーカBLh,BRhは受音点Uよりも高い位置に設置されている。この配置により、受音点Uは、8本のスピーカを結んで形成される上記立体(空間)に内包される。
≪オーディオ装置≫
図2は、図1に示した8本のスピーカ群にオーディオ信号を供給するオーディオ装置の概略ブロック図である。オーディオソース入力部11は、それぞれ異なる位置に定位される複数のオーディオ信号(仮想音源)を定位演算部12に入力する。さらに、オーディオソース入力部11は、各オーディオ信号(仮想音源)を定位させるべき位置の情報である仮想音源位置情報を定位演算部12に入力する。仮想音源位置情報は三次元の位置情報である。
定位演算部12は、オーディオソース入力部11から入力されたオーディオ信号の定位情報に基づいて、8個のスピーカから4個のスピーカを選択し、この選択したスピーカにこのオーディオ信号をレベルを分割して出力する。4個のスピーカをどのように選択するか、および、選択されたスピーカに対して信号レベルをどのように分割するか後で詳細に説明する。
定位演算部12には、このスピーカの選択および信号レベルの分割のために、記憶部13から前記8個のスピーカのそれぞれの位置情報および受音点Uの位置情報が入力される。これらスピーカの位置情報および受音点Uの位置情報は、個々のスピーカから順次テスト音声を出力し、この音声を受音点付近に設置された1または複数のマイクで受音することによって測定される。ここでは、予めその測定が行われ、求められた位置情報が記憶部13に記憶されているものとする。
なお、各スピーカの位置情報は、必ずしも上記テスト音声を用いて自動測定する必要はなく、何らかの手順で現在のスピーカの設置位置を表す情報が記憶部13に記憶されていればよい。たとえば、ユーザがメジャーで測定して手入力してもよい。また、オーディオ装置が自律的にスピーカの設置位置を記憶部13に書き込んでユーザに指定し、ユーザがその指定された位置にスピーカを設置するようにしてもよい。
また、記憶部13に記憶される位置情報と各スピーカの実際の設置位置とが正確に対応していなくても近似していれば一定の定位効果を得ることができる。このため、ユーザが設置したスピーカ位置を頂点とした六面体が直方体でなくなも、これに近似した直方体の各頂点にスピーカが配置されているような位置情報を記憶部13に記憶することにより、演算を容易化するようにしてもよい。
定位演算部12には、前記8個のスピーカに対応する8系統の遅延部16およびアンプ17が接続されている。定位演算部12は、選択したスピーカの系統の遅延部16にオーディオ信号を出力する。遅延部16は、仮想音源の定位位置、スピーカの設置位置、および受音点Uの位置に基づき、受音点Uに仮想音源からの距離だけ音が遅れて到達するように遅延をかける。また、遅延部16の後段のアンプ17は、この距離による信号の減衰を実現するためにオーディオ信号を減衰させる。
各遅延部16の遅延時間、および、各アンプ17のゲインは、パラメータ演算部15が算出する。パラメータ演算部15には、定位演算部12から、仮想音源の定位位置、選択したスピーカとその設置位置、受音点の位置等の情報が入力され、パラメータ演算部15は、これらの情報に基づいて前記遅延時間、ゲインを算出する。
定位演算部12で振り分けられ、各系統の遅延部16で遅延され、かつ、アンプ17で増幅(減衰)されたオーディオ信号は、各スピーカに向けて出力される。なお、スピーカを駆動するパワーアンプはオーディオ装置に含まれていてもスピーカに内蔵されていてもよい。
上述したように、オーディオソース入力部11が定位演算部12に入力するオーディオソースは、複数のオーディオ信号(仮想音源)を含んでいるが、以下は、1つのオーディオ信号(仮想音源)の処理について説明する。複数のオーディオ信号に対しては、以下の処理を並列に(時分割に)処理すればよい。
≪定位制御≫
定位演算部12が実行するスピーカ選択および信号を振り分けるレベル比算出動作について詳細に説明する。各オーディオ信号(仮想音源)は、音像をどこに定位させるかの三次元の情報である仮想音源位置情報を伴っている。定位演算部12は、この仮想音源位置情報と各スピーカ、受音点の配置情報に基づいて、このオーディオ信号を8個のスピーカのうちどのスピーカに割り当て、割り当てられたスピーカのそれぞれに対してこの信号をどのようなレベル比で入力するかを算出する。算出方法は、以下に説明する2種類があり、定位演算部12には、そのどちらかの方法を実行させればよい。
≪方法1≫
図3は、図1に示したスピーカの配置を線図で表したものである。隣接するスピーカ位置を直線でつなぐと、8個のスピーカを頂点とする六面体に類似した形状の立体となる。ここで、六面体(多面体)は各面が平面で構成される立体を言うが、図3の8個のスピーカを直線で結んだ立体の各面は平面であるとは限らないため、六面体類似の立体となる。この立体の内部に受音点Uが設定されている。
この空間において、図3の六面体類似の立体の一辺の両端の2つのスピーカと受音点Uとを含み、これらを直線で結んだ三角形を境界とする平面を想定する。六面体類似の立体には辺が12あるため、12の平面が想定される。
なお、この2つのスピーカの選択は、そのスピーカに付されている記号のうち2文字が共通のものを抽出すればよい。すなわち、スピーカには、たとえばFLhのように3つの文字からなる記号が付されているが、1文字目が前後(F/B)を表し、2文字目が左右(L/R)を表し、3文字目が上下(h/l)を表している。
このうち2文字が共通な2つを選択すると12の組み合わせが得られ、以下の12の平面が想定される。
平面p1: FLh,FRh,U(受音点)
平面p2: FRh,BRh,U
平面p3: BRh,BLh,U
平面p4: BLh,FLh,U
平面p5: FLl,FRl,U
平面p6: FRl,BRl,U
平面p7: BRl,BLl,U
平面p8: BLl,FLl,U
平面p9: FLh,FLl,U
平面p10: FRh,FRl,U
平面p11: BRh,BRl,U
平面p12: BLh,BLl,U
そして、これら12の平面で区切られた6つの方向領域を設定する。
平面p1、平面p2、平面p3および平面p4で囲まれる方向領域「上」
平面p5、平面p6、平面p7および平面p8で囲まれる方向領域「下」
平面p9、平面p1、平面p10および平面p5で囲まれる方向領域「前」
平面p11、平面p7、平面p12および平面p3で囲まれる方向領域「後」
平面p4、平面p9、平面p8および平面p12で囲まれる方向領域「左」
平面p2、平面p10、平面p6および平面p11で囲まれる方向領域「右」
仮想音源Yのオーディオ信号を出力するとき、受音点Uから見た仮想音源Yの方向、すなわち、受音点Uから仮想音源Yに向けた方向線yが、これら方向領域「前,後,右,左,上,下」のうちどの領域を通過するかによって、この仮想音源Yのオーディオ信号を出力するためのスピーカを選択する。すなわち、各方向領域はそれぞれ4つのスピーカで区切られており、前記方向線yが含まれる方向領域を区切る4つのスピーカを、その仮想音源のオーディオ信号を振り分けるスピーカとして選択する。図3の例では、方向線yは方向領域「右」を通過しているため、スピーカFRh,FRl,BRh,BRlがオーディオ信号を出力するスピーカとして選択される。
なお、上記方向領域「前,後,右,左,上,下」は、8個のスピーカで形成される略六面体形状の立体のそれぞれの面で区切られた領域とも言えるものであり、ある方向領域を通過する方向線は、対応する面に向かう線とも言える。たとえば、方向領域「前」を通過する方向線は、FLh,FRh,FRl,FLlを頂点とする面に向かう方向線とも言えるものである。
オーディオ信号を振り分ける4つのスピーカが決定されると、受音点Uから見た各スピーカと仮想音源Yとの角度比に基づき、各スピーカに割り当てる信号レベルを決定する。これにより、受音点Uにおいて、仮想音源位置情報に従った位置に仮想音源の音像を定位させる。
以下、図4(A)、(B)を参照して、このレベル比の決定方式すなわち信号パワーの配分方式について詳細に説明する。ここでは、前記方向線yを含む方向領域を区切る4つの平面をそれぞれ以下のように呼ぶ。
Pf : 受音点Uから仮想音源Yを見て、領域の上方(前方)を区切る平面
Pb : 受音点Uから仮想音源Yを見て、領域の下方(後方)を区切る平面
Pl : 受音点Uから仮想音源Yを見て、領域の左方を区切る平面
Pr : 受音点Uから仮想音源Yを見て、領域の右方を区切る平面
図3の例では、平面p2を三角形の境界を越えて拡張したものがPfであり、平面6を拡張したものがPbであり、平面10を拡張したものPlであり、平面11を拡張したものがPrである。
また、この領域を区切る4つのスピーカ、すなわち、オーディオ信号を出力するべく選択された4つのスピーカを図4に示すようにS1〜S4と呼ぶ。図3の例では、スピーカFRhがS1、スピーカBRhがS2、スピーカFRlがS3、スピーカBRlがS4となる。
図4(A)は、受音点Uから仮想音源Yを見て領域の上方を区切る平面Pfと、受音点Uから仮想音源Yを見て領域の下方を区切る平面Pbとを示す図である。この図において、PfとPbとの交線と仮想音源Yとを含む平面Pvを想定し、
av1 : PfとPvの間の角度
av2 : PbとPvの間の角度
を求める。
図4(B)は、受音点Uから仮想音源Yを見て領域の左方を区切る平面Plと、受音点Uから仮想音源Yを見て領域の右方を区切る平面Prとを示す図である。この図において、PlとPrとの交線と仮想音源Yとを含む平面Phを想定し、
ah1 : PlとPhの間の角度
ah2 : PrとPhの間の角度
を求める。
このレベル比算出処理において、av1 は受音点Uから見た仮想音源Yの方向とスピーカS1,S2の方向との縦方向の角度成分とされる。av2 は受音点Uから見た仮想音源Yの方向とスピーカS3,S4の方向との縦方向の角度成分とされる。ah1 は受音点Uから見た仮想音源Yの方向とスピーカS1,S3の方向との横方向の角度成分とされる。ah2 は受音点Uから見た仮想音源Yの方向とスピーカS2,S4の方向との横方向の角度成分とされる。このようにして求めた角度成分に基づいて各スピーカS1〜S4に分配する信号のレベル比であるレベル係数SS1〜SS4を求める。
SS1 = cos( (av1 / (av1 + av2)) * 90 ) * cos( (ah1 / (ah1 + ah2)) * 90 )
SS2 = cos( (av1 / (av1 + av2)) * 90 ) * cos( (ah2 / (ah1 + ah2)) * 90 )
SS3 = cos( (av2 / (av1 + av2)) * 90 ) * cos( (ah1 / (ah1 + ah2)) * 90 )
SS4 = cos( (av2 / (av1 + av2)) * 90 ) * cos( (ah2 / (ah1 + ah2)) * 90 )
入力されたオーディオ信号にこれらのレベル係数SS1〜SS4を乗じたものを各スピーカS1〜S4に供給することにより、仮想音源定位情報で指示される方向に仮想音源を定位させることができる。仮想音源の受音点Uからの距離感は、後段の遅延部16やアンプ17によって制御される。
ここで、レベル係数SS1〜SS4を全て2乗して加算した値は常に1であるため、入力されたオーディオ信号のパワーが保存され、仮想音源の定位方向によって音量が大きくなったり小さくなったりすることがない。
ここで、これらの算出式は、av1+av2およびah1+ah2をともに90度に正規化して、信号レベルを分配する式である。すなわち、「av1/(av1+av2)*90」の演算により、av1とav2の角度比を保存しつつav1+av2が90度であった場合のcos値を求めている。これは、av1+av2、ah1+ah2が90度以外であった場合にオーディオ信号の全体パワーを保存しつつ分配する演算が複雑であるため、若干の誤差を生じるが、90度に正規化して計算を容易にしている。
≪方法2≫
この方法は、上側のスピーカFLh,FRh,BLh,BRhが同一平面にあり、下側のスピーカFLl,FRl,BLl,BRlが同一平面にあり、かつ、これら2つの平面が平行な場合に適用可能なレベル比算出方法である。なお、8個のスピーカの配置が正確にこれらの条件を満たしていなくても近い配置である場合には、各スピーカの配置を上の条件を満たすように近似してこの方法を適用することができる。
この方法では、受音点Uから仮想音源Yを結ぶ方向線yの向きによって算出手順が異なる。このため、第1の方式と同様に2つのスピーカと受音点を含み、それぞれのスピーカと受音点を結んだ直線を境界線とする以下の8個の平面を想定する。
平面p1: FLh,FRh,U(受音点)
平面p2: FRh,BRh,U
平面p3: BRh,BLh,U
平面p4: BLh,FLh,U
平面p5: FLl,FRl,U
平面p6: FRl,BRl,U
平面p7: BRl,BLl,U
平面p8: BLl,FLl,U
そして、これら8個平面で区切られる上向きと下向きの方向領域を設定する。
平面p1、平面p2、平面p3および平面p4で囲まれる方向領域「上」
平面p5、平面p6、平面p7および平面p8で囲まれる方向領域「下」
受音点Uから仮想音源Yを結ぶ方向線yが以下のどの条件に該当するかに応じて、レベル比(レベル係数)を選択する。
条件1:方向線yが方向領域「上」に含まれる場合
条件2:方向線yが方向領域「下」に含まれる場合
条件2:方向線yが条件1、2で指定される領域に含まれない場合
≪条件1に該当する場合≫
図5(A)は条件1に該当する場合のレベル比算出の方法を説明する図である。選択されたスピーカを下図のようにS1〜S4と呼ぶ。すなわち、方向領域「上」が選択された場合には、スピーカFRhがS1、スピーカFLhがS2、スピーカBRhがS3、スピーカBLhがS4となる。
前記方向線yを含み平面pu(FLh−FRh−BLh−BRh)に垂直な面を想定し、この垂直平面と平面puの辺FLh−FRh−BLh−BRhとの交点Q1,Q2を求める。すなわち、
Q1:受音点Uから見て仮想音源Y側の交点
Q2:受音点Uから見て仮想音源Yと反対側の交点
以上のようにして求めた交点Q1,Q2、およびスピーカS1〜S4、受音点U、仮想音源Y、および、受音点Uと仮想音源Yを結ぶ方向線yに基づき、図6に図示するような以下の角度を求める。
av1 : S2,S4,Uを含む平面と方向線yを含む垂直面の交線と、方向線yとの角度
av2 : S1,S3,Uを含む平面と方向線yを含む垂直面の交線と、方向線yとの角度
ah1 : S4とUとを結んだ直線と、Q1とUとを結んだ直線との角度
ah2 : S2とUとを結んだ直線と、Q1とUとを結んだ直線との角度
ai1 : S1とUとを結んだ直線と、Q2とUとを結んだ直線との角度
ai2 : S3とUとを結んだ直線と、Q2とUとを結んだ直線との角度
これらの角度を受音Uから見た仮想音源Yと各スピーカとの角度成分として、以下の算出式でレベル係数SS1〜SS4を求める。
SS1 = cos( (av2 / (av1 + av2)) * 90 ) * cos( (ai1 / (ai1 + ai2)) * 90 )
SS2 = cos( (av1 / (av1 + av2)) * 90 ) * cos( (ah2 / (ah1 + ah2)) * 90 )
SS3 = cos( (av2 / (av1 + av2)) * 90 ) * cos( (ai2 / (ai1 + ai2)) * 90 )
SS4 = cos( (av1 / (av1 + av2)) * 90 ) * cos( (ah1 / (ah1 + ah2)) * 90 )
入力されたオーディオ信号にこれらのレベル係数SS1〜SS4を乗じたものを各スピーカS1〜S4に供給することにより、仮想音源定位情報で指示される方向に仮想音源を定位させることができる。仮想音源の受音点Uからの距離感は、後段の遅延部16やアンプ17によって制御される。
また、方法1の場合と同様に、レベル係数SS1〜SS4を全て2乗して加算した値は常に1であるため、入力されたオーディオ信号のパワーが保存され、仮想音源の定位方向によって音量が大きくなったり小さくなったりすることがない。
なお、これらの算出式は、av1+av2およびah1+ah2をともに90度に正規化して、信号レベルを分配する式である。すなわち、「av1/(av1+av2)*90」の演算により、av1とav2の角度比を保存しつつav1+av2が90度であった場合のcos値を求めている。これは、av1+av2、ah1+ah2が90度以外であった場合にオーディオ信号の全体パワーを保存しつつ分配する演算が複雑であるため、若干の誤差を生じるが、90度に正規化して計算を容易にしている。
≪例外処理≫
通常は、上の算出方式でレベル比を求めることができるが、図5(B)に示すように、S1〜S4を結んだ四角形がゆがんでいる場合や受音点Uが四角形の中心部にない場合に、Q1,Q2が対辺に現れず、隣り合った辺に現れる場合が生じる。このような場合には、選択した4つのスピーカのうち、1つ(同図ではS1)を放棄し、S2〜S4の3つのスピーカを用いてオーディオ信号を出力する。
この場合のS2〜S4のレベル係数は以下のように算出する。
av1 : S2,S4,Uを含む平面と方向線yを含む垂直面の交線と、方向線yとの角度
av2 : S4,S3,Uを含む平面と方向線yを含む垂直面の交線と、方向線yとの角度
ah1 : S4とUとを結んだ直線と、Q1とUとを結んだ直線との角度
ah2 : S2とUとを結んだ直線と、Q1とUとを結んだ直線との角度
ai1 : S3とUとを結んだ直線と、Q2とUとを結んだ直線との角度
ai2 : S4とUとを結んだ直線と、Q2とUとを結んだ直線との角度
これらの角度を受音Uから見た仮想音源Yと各スピーカとの角度成分として、以下の算出式でレベル係数SS1〜SS4を求める。
SS1 = 0
SS2 = cos( (av1 / (av1 + av2)) * 90 ) * cos( (ah2 / (ah1 + ah2)) * 90 )
SS3 = cos( (av2 / (av1 + av2)) * 90 ) * cos( (ai1 / (ai1 + ai2)) * 90 )
SS4b = cos( (av2 / (av1 + av2)) * 90 ) * cos( (ai2 / (ai1 + ai2)) * 90 )
SS4a = cos( (av1 / (av1 + av2)) * 90 ) * cos( (ah1 / (ah1 + ah2)) * 90 )
SS4 = √( S4a * S4a + S4b * S4b )
入力されたオーディオ信号にこれらのレベル係数SS1〜SS4を乗じたものを各スピーカS1〜S4に供給することにより、仮想音源定位情報で指示される方向に仮想音源を定位させることができる。仮想音源の受音点Uからの距離感は、後段の遅延部16やアンプ17によって制御される。
また、方法1の場合と同様に、レベル係数SS1〜SS4を全て2乗して加算した値は常に1であるため、入力されたオーディオ信号のパワーが保存され、仮想音源の定位方向によって音量が大きくなったり小さくなったりすることがない。
≪条件2に該当する場合≫
条件に該当する場合は、方向領域「下」について条件1と同様の処理を行えばよい。すなわち、スピーカFLl,FRl,BLl,BRlをS1〜S4として条件1の場合と同様の処理を行う。
≪条件3に該当する場合≫
方向線yが属する方向領域が「上」または「下」以外の方向であった場合には、以下の方式でレベル比を決定する。
図7を参照してこの方式について説明する。
まず、仮想音源Yと受音点Uを含み、上下の平面pu,pdに垂直な面Pvを想定する。そして、上で想定した平面p1〜p4のうち、この平面Pvと交わるものを検索する。検索された平面をPfとする。また、上で想定した平面p5〜p8のうち、平面Pvと交わるものを検索する。検索された平面をPbとする。
そして、S1とS2を結んだ直線と平面Pvとの交点をQ1とし、S3とS4を結んだ直線と平面Pvとの交点をQ2とする。
このようにして求められた各点に基づき、以下のような角度を求める。
av1 : Q1と受音点Uを結んだ直線と、仮想音源Yと受音点Uを結んだ直線の角度
av2 : Q2と受音点Uを結んだ直線と、仮想音源Yと受音点Uを結んだ直線の角度
ah1 : S1と受音点Uを結んだ直線と、Q1と受音点Uを結んだ直線の角度
ah2 : S2と受音点Uを結んだ直線と、Q1と受音点Uを結んだ直線の角度
al1 : S3と受音点Uを結んだ直線と、Q2と受音点Uを結んだ直線の角度
al2 : S4と受音点Uを結んだ直線と、Q2と受音点Uを結んだ直線の角度
これらの角度を受音Uから見た仮想音源Yと各スピーカとの角度成分として、以下の算出式でレベル係数SS1〜SS4を求める。
SS1 = cos( (av1 / (av1 + av2)) * 90 ) * cos( (ah1 / (ah1 + ah2)) * 90 )
SS2 = cos( (av1 / (av1 + av2)) * 90 ) * cos( (ah2 / (ah1 + ah2)) * 90 )
SS3 = cos( (av2 / (av1 + av2)) * 90 ) * cos( (al1 / (al1 + al2)) * 90 )
SS4 = cos( (av2 / (av1 + av2)) * 90 ) * cos( (al2 / (al1 + al2)) * 90 )
入力されたオーディオ信号にこれらのレベル係数SS1〜SS4を乗じたものを各スピーカS1〜S4に供給することにより、仮想音源定位情報で指示される方向に仮想音源を定位させることができる。仮想音源の受音点Uからの距離感は、後段の遅延部16やアンプ17によって制御される。
また、方法1の場合と同様に、レベル係数SS1〜SS4を全て2乗して加算した値は常に1であるため、入力されたオーディオ信号のパワーが保存され、仮想音源の定位方向によって音量が大きくなったり小さくなったりすることがない。
なお、これらの算出式は、av1+av2およびah1+ah2をともに90度に正規化して、信号レベルを分配する式である。すなわち、「av1/(av1+av2)*90」の演算により、av1とav2の角度比を保存しつつav1+av2が90度であった場合のcos値を求めている。これは、av1+av2、ah1+ah2が90度以外であった場合にオーディオ信号の全体パワーを保存しつつ分配する演算が複雑であるため、若干の誤差を生じるが、90度に正規化して計算を容易にしている。
≪その他≫
上記方法2は、上に設置された4つのスピーカと下に設置された4つのスピーカが同一平面上にある場合について説明したが、これ以外の方向にあるスピーカが同一平面上にある場合でも方法2を適用することができる。たとえば、前に設置された4つのスピーカと後に設置された4つのスピーカがそれぞれ同一平面上にある場合、左に設置された4つのスピーカと右に設置された4つのスピーカがそれぞれ同一平面上にある場合である。
上の説明では、1つの仮想音源に対するレベル係数の算出処理を説明したが、図2に示したオーディオ装置は、オーディオソース入力部11が複数の仮想音源からなるオーディオソースを定位制御部12に入力し、定位制御部11および以下の処理部は、並列にこれらの仮想音源の定位処理を実行する。すなわち、上で説明した方法1または2を用いて、音場を構成する全ての仮想音源の定位を制御してを再生処理を行う。
ここで、方法1は音像定位のための計算がどの方向でも共通になるが、振り分け先のスピーカを決定する処理、平面Pv,Phを決定するための演算等がやや複雑となる。方法2は振り分け先のスピーカの決定を含む演算処理が比較的簡単であるが、仮想音源の向きによって計算が場合分けされ、また、スピーカ配置に制約がある。これらの特徴を踏まえて、方法1、方法2を適宜使い分ければよい。
なお、上記実施形態では、スピーカを8本設置した場合について説明したが、本発明の方式はスピーカを6本設置した場合にも適用可能である。6本のスピーカでオーディオシステムを構成する場合、図1に示した8本のスピーカの配置例からいずれかのL,Rペアを削除した構成とする。一般的なオーディオシステム(AVシステム)の場合、フロントには上下4本のスピーカがあったほうがよいため、図8(A)に示すような、BLh,BRhを取り除いた構成、または、同図(B)に示すような、BLl,BRlを取り除いた構成が考えられる。
このように配置されたスピーカで仮想音源を定位させるためのレベル比を求めた場合、4つのスピーカのためのレベル係数が算出されたが、スピーカが3つしか存在しない場合が出てくる。このような場合には、2つのレベル係数を1つのスピーカに重複して適用し、このスピーカに対しては、この2つのレベル係数を二乗平均したレベルのオーディオ信号を出力するようにすればよい。
方法1では、スピーカBRh,BRlの設置位置およびスピーカBLh,BLlの設置位置を、実際にスピーカが設置されている方の同一座標とし、平面p11は平面p10との交線が辺FRh−FRlと並行、平面p12は平面p9との交線が辺FLh−FLlと並行になるように想定すればよい。
方法2では、スピーカBRh,BRlが同一垂直面上に配置され、スピーカBLh,BLlが同一垂直面上に配置されると想定すればよい。
なお、この場合、仮想音源は仮想音源位置情報どおりに正確に定位されず、近似的な位置に定位される。
この発明の実施形態であるオーディオシステムのスピーカのレイアウトの例を示す図 この発明の実施形態であるオーディオシステムのオーディオ装置の概略ブロック図 前記スピーカのレイアウトを線図化して方向領域を説明する図 レベル比算出方法1で各スピーカのレベル比を算出するための各種の角度を示す図 レベル比算出方法2を説明する図 レベル比算出方法2でレベル比を算出するための各種の角度を示す図 レベル比算出方法2でレベル比を算出するための各種の角度を示す図 6個のスピーカのレイアウト例を示す図
符号の説明
U 受音点
Y 仮想音源
S1〜S4 選択されたスピーカ
y 受音点から仮想音源へ向かう方向線
11 オーディオソース入力部
12 定位演算部
13 記憶部
15 パラメータ演算部
16 遅延部
17 アンプ

Claims (4)

  1. 三次元空間に配置された複数のスピーカの位置情報および前記複数のスピーカから放音される音声の受音点の位置情報を記憶する記憶部と、
    音声信号と、この音声信号が定位されるべき位置である仮想音源の位置情報と、を入力する入力部と、
    前記音声信号を前記仮想音源の位置に定位させる定位制御部と、
    を備えた音場制御装置であって、
    前記音場制御装置は、
    前記複数のスピーカの位置を頂点とする仮想的な略多面体状の立体を設定し、
    前記受音点から前記仮想音源へ向けた方向線が通過する前記略多面体状の立体の面を選択し、
    この選択された面の頂点に配置されているスピーカを前記音声信号を出力するスピーカとして選択し、
    前記方向線と、前記受音点から前記選択された面の各頂点へ向かう各直線との各角度の比に基づいて、前記各頂点に配置されている各スピーカに供給される前記音声信号のレベル比を決定する
    音場制御装置。
  2. 前記記憶部は、前記スピーカの位置情報として、略直方体形状の立体の各頂点に配置された8個のスピーカの位置情報を記憶し、
    前記定位制御部は、
    前記選択された面である四角形S1,S2,S3,S4の1辺S1−S2と受音点で決定される第1の平面と、前記1辺の対辺S3−S4と受音点で決定される第2の平面とを想定するとともに、
    この第1,第2の平面の交線と前記仮想音源位置で決定される第3の平面を想定し、
    これら第1の平面と第3の平面との角度を前記頂点S1,S2に対する前記方向線の第1の分解角度とし、また、前記第2の平面と第3の平面との角度を前記頂点S3,S4に対する前記方向線の第1の分解角度とし、
    さらに、
    前記四角形S1,S2,S3,S4の1辺S2−S3と受音点で決定される第4の平面と、前記1辺の対辺S4−S1と受音点で決定される第5の平面とを想定するとともに、
    この第4,第5の平面の交線と前記仮想音源位置で決定される第6の平面を想定し、
    これら第4の平面と第6の平面との角度を前記頂点S2,S3に対する前記方向線の第2の分解角度とし、また、前記第5の平面と第6の平面との角度を前記頂点S4,S1に対する前記方向線の第2の分解角度とし、
    各頂点S1,S2,S3,S4についての、前記第1の分解角度のCOS値と前記第2の分解角度のCOS値とを乗算した値を、前記受音点と各頂点とを結んだ直線と前記方向線との角度比とする
    請求項1に記載の音場制御装置。
  3. 受音点の前方上部左右に設置されたスピーカFLh,FRh、受音点の前方下部左右に設置されたスピーカFLl,FRl、受音点の後方上部左右に設置されたスピーカBLh,BRh、受音点の後方下部左右に設置されたスピーカBLl,BRlのそれぞれの位置情報、および、前記受音点の位置情報を記憶する記憶部と、
    音声信号およびこの音声信号が定位されるべき位置である仮想音源の位置情報が入力される入力部と、
    前記音声信号を前記仮想音源の位置に定位させる定位制御部と、
    を備えた音場制御装置であって、
    前記音場制御装置は、
    前記受音点と前記スピーカFLh,FRhで決定される平面p1、前記受音点と前記スピーカFRh,BRhで決定される平面p2、前記受音点と前記スピーカBRh,BLhで決定される平面p3、および、前記受音点と前記スピーカBLh,FLhで決定される平面p4で囲まれる方向領域「上」、
    前記受音点と前記スピーカFLl,FRlで決定される平面p5、前記受音点と前記スピーカFRl,BRlで決定される平面p6、前記受音点と前記スピーカBRl,BLlで決定される平面p7、および、前記受音点と前記スピーカBLl,FLlで決定される平面p8で囲まれる方向領域「下」、
    前記受音点と前記スピーカFLh,FLlで決定される平面p9、前記平面p1、前記受音点と前記スピーカFRh,FRlで決定される平面p10、および、前記平面p5で囲まれる方向領域「前」、
    前記受音点と前記スピーカBRh,BRlで決定される平面p11、前記平面p7、前記受音点と前記スピーカBLh,BLlで決定される平面p12、および、前記平面p3で囲まれる方向領域 「後」、
    前記平面p4、前記平面p9、前記平面p8、および、前記平面p12で囲まれる方向領域「左」、
    前記平面p2、前記平面p10、前記平面p6、および、前記平面p11で囲まれる方向領域「右」、
    を仮想的に設定し、
    前記受音点から前記仮想音源へ向けた方向線が通過する前記方向領域を選択し、
    この選択された方向領域を囲む複数の平面の頂点になっているスピーカを前記音声信号を出力するスピーカとして選択し、
    前記受音点と前記選択された各スピーカとを結んだ直線と前記方向線との角度の比に基づいて、前記各スピーカに供給される前記音声信号のレベル比を決定する
    音場制御装置。
  4. 前記定位制御部は、
    前記選択された方向領域を囲む複数の平面の頂点になっている4つのスピーカ(以下、S1,S2,S3,S4と呼ぶ)のうち2つのスピーカS1,S2と前記受音点で決定される第1の平面と、他の2つのスピーカS3,S4と前記受音点で決定される第2の平面とを想定するとともに、
    この第1,第2の平面の交線と前記仮想音源位置で決定される第3の平面を想定し、
    これら第1の平面と第3の平面との角度を前記頂点S1,S2に対する前記方向線の第1の分解角度とし、また、前記第2の平面と第3の平面との角度を前記頂点S3,S4に対する前記方向線の第1の分解角度とし、
    さらに、
    前記4つのスピーカのうち2つのスピーカS2,S3と前記受音点で決定される第4の平面と、他の2つのスピーカS4,S1と前記受音点で決定される第5の平面とを想定するとともに、
    この第4,第5の平面の交線と前記仮想音源位置で決定される第6の平面を想定し、
    これら第4の平面と第6の平面との角度を前記頂点S2,S3に対する前記方向線の第2の分解角度とし、また、前記第5の平面と第6の平面との角度を前記頂点S4,S1に対する前記方向線の第2の分解角度とし、
    各頂点S1,S2,S3,S4についての、前記第1の分解角度のCOS値と前記第2の分解角度のCOS値とを乗算した値を、前記受音点と各頂点とを結んだ直線と前記方向線との角度比とする
    請求項3に記載の音場制御装置。
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