JP2009035541A - プロピレンオキサイドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 アセトニトリルを使用してプロピレンオキサイドを製造する工業的に有利な方法を提供すること。
【解決手段】
以下の工程からなるプロピレンオキサイドの製造方法。
過酸化水素とプロピレンをチタノシリケート触媒の存在下、アセトニトリル、あるいはアセトニトリルと水の混合溶媒中で反応させてプロピレンオキサイドを含む反応混合物を得る反応工程、
反応工程で得られる反応混合物をガスと反応液に分離する気液分離工程、および
気液分離工程で得られる反応液を蒸留によりプロピレンオキサイドを含む塔頂液とアセトニトリル、もしくはアセトニトリルと水を塔底液に分離する蒸留工程。
【選択図】図1
【解決手段】
以下の工程からなるプロピレンオキサイドの製造方法。
過酸化水素とプロピレンをチタノシリケート触媒の存在下、アセトニトリル、あるいはアセトニトリルと水の混合溶媒中で反応させてプロピレンオキサイドを含む反応混合物を得る反応工程、
反応工程で得られる反応混合物をガスと反応液に分離する気液分離工程、および
気液分離工程で得られる反応液を蒸留によりプロピレンオキサイドを含む塔頂液とアセトニトリル、もしくはアセトニトリルと水を塔底液に分離する蒸留工程。
【選択図】図1
Description
本発明は、過酸化水素とプロピレンをアセトニトリル系溶媒中でチタノシリケート触媒の存在下で反応させてプロピレンオキサイドを製造する方法に関するものである。
過酸化水素とプロピレンからプロピレンオキサイドを製造するにおいて、アセトニトリル水を溶媒として使用する方法として、非特許文献1、特許文献1が知られている。また、アセトニトリル水を溶媒として使用し、水素と酸素から過酸化水素を合成し、当該過酸化水素とプロピレンを同一反応器内で反応させる方法として、非特許文献2、特許文献2が知られている。
平成13年度次世代化学プロセス技術開発・ノンハロゲン化学プロセス技術開発成果報告書168頁〜210頁
特開2004−285055
平成14年度次世代化学プロセス技術開発・ノンハロゲン化学プロセス技術開発成果報告書161頁、175頁
特願2006−345450
アセトニトリルを使用してプロピレンオキサイドを製造する工業的に有利な方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、
過酸化水素とプロピレンをチタノシリケート触媒の存在下、アセトニトリル、あるいはアセトニトリルと水の混合溶媒中で反応させてプロピレンオキサイドを含む反応混合物を得る反応工程、
反応工程で得られる反応混合物をガスと反応液に分離する気液分離工程、および気液分離工程で得られる反応液を蒸留によりプロピレンオキサイドを含む塔頂液とアセトニトリル、もしくはアセトニトリルと水を塔底液に分離する蒸留工程、からなるプロピレンオキサイドの製造方法に関するものである。
すなわち、本発明は、
過酸化水素とプロピレンをチタノシリケート触媒の存在下、アセトニトリル、あるいはアセトニトリルと水の混合溶媒中で反応させてプロピレンオキサイドを含む反応混合物を得る反応工程、
反応工程で得られる反応混合物をガスと反応液に分離する気液分離工程、および気液分離工程で得られる反応液を蒸留によりプロピレンオキサイドを含む塔頂液とアセトニトリル、もしくはアセトニトリルと水を塔底液に分離する蒸留工程、からなるプロピレンオキサイドの製造方法に関するものである。
本発明の方法により、過酸化水素とプロピレンからプロピレンオキサイドを製造する際に使用されるアセトニトリルもしくはアセトニトリルと水の混合溶媒を回収し、プロピレンオキサイドの製造を工業的有利に実施できる。
まず反応工程について以下説明する。
反応工程では、過酸化水素とプロピレンをチタノシリケート触媒存在下、アセトニトリルもしくはアセトニトリルと水の混合溶媒中で反応させることによりプロピレンオキサイドが製造される。
プロピレンは、熱分解、重質油接触分解、メタノール接触改質により製造される。精製プロピレン、粗プロピレンどちらも使用できる。純度は、通常90体積パーセント以上、好ましくは、95体積パーセント以上である。プロピレン以外の成分としては、例えば、プロパン、シクロプロパン、メチルアセチレン、プロパジエン、ブタジエン、ブタン類、ブテン類、エチレン、エタン、メタン、水素等である。
反応工程では、過酸化水素とプロピレンをチタノシリケート触媒存在下、アセトニトリルもしくはアセトニトリルと水の混合溶媒中で反応させることによりプロピレンオキサイドが製造される。
プロピレンは、熱分解、重質油接触分解、メタノール接触改質により製造される。精製プロピレン、粗プロピレンどちらも使用できる。純度は、通常90体積パーセント以上、好ましくは、95体積パーセント以上である。プロピレン以外の成分としては、例えば、プロパン、シクロプロパン、メチルアセチレン、プロパジエン、ブタジエン、ブタン類、ブテン類、エチレン、エタン、メタン、水素等である。
プロピレンの供給方法は、ガスで供給しても、液で供給しても、あるいは、あらかじめ溶媒に溶解させて液で供給してもよい。好ましくは、液で供給するか、あらかじめ溶媒に溶解させてから供給するのがよい。
過酸化水素の製造法は特に限定されず、好ましくは、アントラキノン法、貴金属触媒を使用する方法で製造されたものが使用される。過酸化水素は、希釈溶媒で希釈溶媒で希釈して使用してもよく、通常、希釈溶媒としては、水、水とアセトニトリルの混合液または水とアルコールの混合液が使用され、好ましくは、水もしくは水とアセトニトリルの混合液が使用される。過酸化水素の濃度は、通常、0.1〜80重量パーセント、好ましくは、10〜60重量パーセントである。過酸化水素および過酸化水素の希釈液は、リン化合物等の安定化剤を含んでいてもよい。また、過酸化水素は、パラジウムを担体上に担持させた触媒により水素と酸素から、プロピレンオキサイドを製造する反応器と同じ反応器内で製造されるのものがより好ましい。過酸化水素の量は、プロピレンに対して、通常、0.005〜10モル倍、好ましくは、0.05〜5モル倍の範囲である。
アセトニトリルと水の重量比は特に限定されず、例えば、50:50〜100:0の範囲である。アセトニトリルもしくはアセトニトリルと水の混合溶媒の反応への供給量は特に限定されないが、通常、生産性の観点より、供給プロピレン1ミリモルに対して20g以下、好ましくは、10g以下、より好ましくは5g以下である。
過酸化水素の製造法は特に限定されず、好ましくは、アントラキノン法、貴金属触媒を使用する方法で製造されたものが使用される。過酸化水素は、希釈溶媒で希釈溶媒で希釈して使用してもよく、通常、希釈溶媒としては、水、水とアセトニトリルの混合液または水とアルコールの混合液が使用され、好ましくは、水もしくは水とアセトニトリルの混合液が使用される。過酸化水素の濃度は、通常、0.1〜80重量パーセント、好ましくは、10〜60重量パーセントである。過酸化水素および過酸化水素の希釈液は、リン化合物等の安定化剤を含んでいてもよい。また、過酸化水素は、パラジウムを担体上に担持させた触媒により水素と酸素から、プロピレンオキサイドを製造する反応器と同じ反応器内で製造されるのものがより好ましい。過酸化水素の量は、プロピレンに対して、通常、0.005〜10モル倍、好ましくは、0.05〜5モル倍の範囲である。
アセトニトリルと水の重量比は特に限定されず、例えば、50:50〜100:0の範囲である。アセトニトリルもしくはアセトニトリルと水の混合溶媒の反応への供給量は特に限定されないが、通常、生産性の観点より、供給プロピレン1ミリモルに対して20g以下、好ましくは、10g以下、より好ましくは5g以下である。
アセトニトリルは、精製アセトニトリルでもよいし、アクリロニトリル製造工程での副生粗アセトニトリルでもかまわない。好ましくは、精製アセトニトリルが使用される。アセトニトリルとしては、純度は通常、95パーセント以上、好ましくは99パーセント以上、より好ましくは、99.9パーセント以上であるものが使用される。アセトニトリルは、例えば、水、アセトン、アクリロニトリル、オキサゾール、アリルアルコール、プロピオニトリル、青酸、アンモニア、銅、鉄等を含んでいても良い。
チタノシリケート触媒としては、多孔性シリケートのSiの一部がTiに置換されたものであれば特に限定されず、結晶性チタノシリケート、層状チタノシリケート、メソポーラスチタノシリケートが挙げられる。結晶性チタノシリケートとしては、例えばIZA(国際ゼオライト学会)の構造コードで、MEL構造を有するTS-2、MTW構造を有するTi-ZSM-12(Zeolites 15, 236-242 (1995)に記載されたもの)、BEA構造を有するTi-Beta(Journal of Catalysis 199, 41-47 (2001)に記載)MWW構造を有するTi-MWW(Chemistry. Letters. 774-775 (2000)に記載)、DON構造を有するTi-UTD-1(Zeolites 15, 519-525 (1995)に記載)、MFI構造を有するTS-1(Journal of Catalysis, 130, (1991), 1-8に記載)等が挙げられる。層状チタノシリケートとしては、Ti-MWW前駆体(特開2003−327425に記載)や、Ti-YNU(Angewante Chemie International Edition 43, 236-240 (2004)に記載)が挙げられる。メソポーラスチタノシリケートとしては、Ti-MCM-41(Microporous Material 10, 259-271 (1997)に記載)、Ti-MCM-48(Chemical Comunications 145-146 (1996)に記載)、Ti-SBA-15(Chemistry of Materials 14, 1657-1664 (2002)に記載)、Ti-MMM-1(Microporous and Mesoporou Materials 52, 11-18 (2002)に記載)等が挙げられる。好ましくは、酸素12員環以上の細孔を有する結晶性チタノシリケートあるいは層状チタノシリケートが好ましい。酸素12員環以上の細孔を有する結晶性チタノシリケートとしてはTi-ZSM-12、Ti-MWW、Ti-UTD-1が挙げられる。酸素12員環以上の細孔を有する層状チタノシリケートとしては、Ti-MWW前駆体、Ti-YNUが挙げられる。より好ましくは、Ti-MWW、Ti-MWW前駆体が使用される。
チタノシリケート触媒としては、多孔性シリケートのSiの一部がTiに置換されたものであれば特に限定されず、結晶性チタノシリケート、層状チタノシリケート、メソポーラスチタノシリケートが挙げられる。結晶性チタノシリケートとしては、例えばIZA(国際ゼオライト学会)の構造コードで、MEL構造を有するTS-2、MTW構造を有するTi-ZSM-12(Zeolites 15, 236-242 (1995)に記載されたもの)、BEA構造を有するTi-Beta(Journal of Catalysis 199, 41-47 (2001)に記載)MWW構造を有するTi-MWW(Chemistry. Letters. 774-775 (2000)に記載)、DON構造を有するTi-UTD-1(Zeolites 15, 519-525 (1995)に記載)、MFI構造を有するTS-1(Journal of Catalysis, 130, (1991), 1-8に記載)等が挙げられる。層状チタノシリケートとしては、Ti-MWW前駆体(特開2003−327425に記載)や、Ti-YNU(Angewante Chemie International Edition 43, 236-240 (2004)に記載)が挙げられる。メソポーラスチタノシリケートとしては、Ti-MCM-41(Microporous Material 10, 259-271 (1997)に記載)、Ti-MCM-48(Chemical Comunications 145-146 (1996)に記載)、Ti-SBA-15(Chemistry of Materials 14, 1657-1664 (2002)に記載)、Ti-MMM-1(Microporous and Mesoporou Materials 52, 11-18 (2002)に記載)等が挙げられる。好ましくは、酸素12員環以上の細孔を有する結晶性チタノシリケートあるいは層状チタノシリケートが好ましい。酸素12員環以上の細孔を有する結晶性チタノシリケートとしてはTi-ZSM-12、Ti-MWW、Ti-UTD-1が挙げられる。酸素12員環以上の細孔を有する層状チタノシリケートとしては、Ti-MWW前駆体、Ti-YNUが挙げられる。より好ましくは、Ti-MWW、Ti-MWW前駆体が使用される。
チタノシリケート触媒はシリル化剤でシラノール基をシリル化したものでも良い。シリル化剤としては、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン、塩化トリメチルシリル、塩化トリエチルシリル等が挙げられる。
チタノシリケート触媒は通常、使用前に過酸化水素水により処理される。過酸化水素水濃度は0.0001重量パーセント〜50重量パーセントの範囲である。
チタノシリケート触媒は通常、使用前に過酸化水素水により処理される。過酸化水素水濃度は0.0001重量パーセント〜50重量パーセントの範囲である。
反応工程における反応形式としては、回分方式、スラリー床連続流通方式、固定床連続流通方式が挙げられるが、生産性の関点よりスラリー床連続流通方式、あるいは固定床連続流通方式が好ましい。
スラリー床連続流通方式の場合、チタノシリケート触媒、パラジウムを担体上に担持した触媒とも、反応器内あるいは外に設けられたフィルターにより濾過し、反応器内に滞留する。反応器内の触媒のうち一部を連続的あるいは間欠的に抜き出して再生処理を行い、その後、当該再生触媒を反応器に戻しながら反応を行ってもいいし、一部を系外に排出しながら、排出分に相当する分量の新しいチタノシリケート触媒とパラジウムを担体上に担持した触媒を反応器に追加しながら反応を行っても良い。反応器内の触媒量は、通常、反応液に対して、0.01〜20重量パーセント、好ましくは、0.1〜10重量パーセントの範囲である。
固定床連続流通反応方式の場合は、通常、反応と再生を交互に繰り返しながら反応する。その際、触媒は、型剤等により成型されたものを用いることが好ましい。
スラリー床連続流通方式の場合、チタノシリケート触媒、パラジウムを担体上に担持した触媒とも、反応器内あるいは外に設けられたフィルターにより濾過し、反応器内に滞留する。反応器内の触媒のうち一部を連続的あるいは間欠的に抜き出して再生処理を行い、その後、当該再生触媒を反応器に戻しながら反応を行ってもいいし、一部を系外に排出しながら、排出分に相当する分量の新しいチタノシリケート触媒とパラジウムを担体上に担持した触媒を反応器に追加しながら反応を行っても良い。反応器内の触媒量は、通常、反応液に対して、0.01〜20重量パーセント、好ましくは、0.1〜10重量パーセントの範囲である。
固定床連続流通反応方式の場合は、通常、反応と再生を交互に繰り返しながら反応する。その際、触媒は、型剤等により成型されたものを用いることが好ましい。
反応温度は、通常0〜150℃、好ましくは20〜100℃、より好ましくは40℃〜70℃の範囲である。反応圧力は、通常、絶対圧力で0.1〜20MPa、好ましくは1〜10Mpaの範囲である。水素と酸素から同一反応器内で過酸化水素を製造してそのまま使用する場合は、水素と酸素とプロピレンとアセトニトリルもしくはアセトニトリルと水との混合物を同時に同一の反応器に供給しチタノシリケート触媒とパラジウムを担体上に担持した触媒の存在下、反応させることによりプロピレンオキサイドを製造することができる。
パラジウム触媒を構成する担体としては、通常、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ニオビア等の酸化物、ニオブ酸、ジルコニウム酸、タングステン酸、チタン酸等の水化物、活性炭、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ等の炭素あるいはチタノシリケートが使用される。担体としては、炭素あるいはチタノシリケートが好ましく、より好ましくは、活性炭、Ti-MWWあるいはTi-MWW前駆体が使用される。
パラジウムは、パラジウムコロイド溶液とした後に担体に含浸させるか、パラジウム塩を溶解させた後、担体に含浸させることにより担持させることができる。パラジウム塩としては、例えば、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、塩化テトラアンミンパラジウム等が例示される。コロイド溶液を使用して担持した場合は、通常、担持後に不活性ガス下で焼成するのが良い。パラジウム塩を使用して担持した場合は、通常、液相あるいは気相で還元剤により還元した後使用される。塩化テトラアンミンパラジウムを使用した場合は、担持後に不活性ガス存在下、熱分解により発生するアンモニアで還元してもよい。
パラジウムは、パラジウムコロイド溶液とした後に担体に含浸させるか、パラジウム塩を溶解させた後、担体に含浸させることにより担持させることができる。パラジウム塩としては、例えば、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、塩化テトラアンミンパラジウム等が例示される。コロイド溶液を使用して担持した場合は、通常、担持後に不活性ガス下で焼成するのが良い。パラジウム塩を使用して担持した場合は、通常、液相あるいは気相で還元剤により還元した後使用される。塩化テトラアンミンパラジウムを使用した場合は、担持後に不活性ガス存在下、熱分解により発生するアンモニアで還元してもよい。
パラジウムの担持量は、パラジウムを担体に担持させた触媒に対して、通常、0.01〜20重量パーセント、好ましくは、0.1〜5重量パーセントの範囲である。パラジウムを担体上に担持した触媒は、パラジウム以外の貴金属を1種以上含んでいてもよい。パラジウム以外の貴金属としては、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、金が例示される。パラジウム以外の貴金属の含量は特に限定されない。
酸素(分子状酸素)としては、深冷分離により精製された分子状酸素、PSA(圧力スイング吸着法)により精製された分子状酸素、あるいは空気が、通常使用されるが、好ましくは、深冷分離により精製された分子状酸素、PSA(圧力スイング吸着法)により精製された分子状酸素である。、供給量は、通常、酸素量として、供給プロピレンに対して、0.005から10モル倍、好ましくは、0.05〜5モル倍の範囲である。
水素は、その製造法により特に限定されないが、例えば、炭化水素類の水蒸気改質で製造されるものが使用される。純度は通常、80体積パーセント以上、好ましくは、90体積パーセント以上である。供給量は、通常、供給プロピレンに対して、0.05から10モル倍、好ましくは、0.05〜5モル倍の範囲である。
通常、安全防災面より、水素、プロピレンの爆発範囲を外した組成とすることが好ましく、そのために希釈ガスを同伴して反応を行うことが好ましい。希釈ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、メタン、エタン、プロパン、あるいは二酸化炭素等であるが、好ましくは、窒素、プロパンであり、より好ましくは窒素である。供給量は、水素濃度で爆発範囲を外す場合は、通常、供給ガス中の水素濃度が3.9体積パーセント以下であり、その際、酸素は、プロピレンの限界酸素濃度以下であればよく、通常、11.5体積パーセント以下、好ましくは9体積パーセント以下であり、そのような組成となるように希釈ガスでバランスされる。酸素濃度で爆発範囲を外す場合は、供給ガス中の酸素濃度が、通常、4.9体積パーセント以下、好ましくは、4体積パーセント以下であり、その際、水素濃度、プロピレン濃度は特に制限されないが、通常、水素、プロピレンとも10体積パーセント以下であり、そのような組成となるように希釈ガスでバランスされる。
水素と酸素から過酸化水素を製造しながら、同一反応器内で、当該過酸化水素とプロプレンを反応させる場合、より収率よくプロピレンオキサイドを製造するには、一種類もしくは複数種のアントラキノン化合物、あるいはアンモニウム塩の一種類もしくは複数種の混合物を同時に反応に、供することが好ましい。アントラキノン化合物、および燐酸塩はどちらか一方を使用してもいいし、2つを併用してもかまわない。
アントラキノン化合物としては、無置換のアントラキノン、および置換アントラキノン等が挙げられるが、好ましくは無置換のアントラキノンである。置換アントラキノンとしては、例えば、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−ブチルアントラキノン、2−t−アミルアントラキノン、2−イソプロピルアントラキノン、2−s−ブチルアントラキノン、2−s−アミルアントラキノン、2−ヒドロキシアントラキノン、1,3−ジエチルアントラキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2,7−ジメチルアントラキノン、2,6−ジヒドロキシアントラキノン等が挙げられる。
アントラキノン化合物としては、無置換のアントラキノン、および置換アントラキノン等が挙げられるが、好ましくは無置換のアントラキノンである。置換アントラキノンとしては、例えば、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−ブチルアントラキノン、2−t−アミルアントラキノン、2−イソプロピルアントラキノン、2−s−ブチルアントラキノン、2−s−アミルアントラキノン、2−ヒドロキシアントラキノン、1,3−ジエチルアントラキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2,7−ジメチルアントラキノン、2,6−ジヒドロキシアントラキノン等が挙げられる。
アントラキノン類の純度は通常、95パーセント以上、好ましくは98パーセント以上である。アントラキノン類以外の成分としては、例えば、アントラセン類、ヒドロアントラキノン類が挙げられる。アントラキノン類は、通常、溶媒に溶解させて反応器に供給される。供給量の下限は通常、供給プロピレンに対して1×10−7モル倍以上、好ましくは、1×10−6モル倍以上である。上限は、溶媒への溶解度に依存するが、通常、1モル倍、好ましくは0.1モル倍である。
アンモニウム塩としては、例えば、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸アンモニウム、ピロリン酸水素アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等が挙げられる。好ましくは、燐酸二水素アンモニウム、燐酸水素二アンモニウムあるいは燐酸アンモニウムである。
アンモニウム塩は、通常、溶媒に溶解させて反応器に供給される。供給量の下限は通常、供給プロピレンに対して1×10−6モル倍以上、好ましくは、1×10−5モル倍以上である。上限は、溶媒への溶解度に依存するが、通常、2モル倍、好ましくは0.2モル倍である。
アンモニウム塩は、通常、溶媒に溶解させて反応器に供給される。供給量の下限は通常、供給プロピレンに対して1×10−6モル倍以上、好ましくは、1×10−5モル倍以上である。上限は、溶媒への溶解度に依存するが、通常、2モル倍、好ましくは0.2モル倍である。
気液分離工程では、反応器から反応混合物を液ガスとして、気液分離器に供給し、反応圧力と同じであるか、それより低い圧力で反応液とガスに分離される。分離された反応液は、アセトニトリル、プロピレンオキサイドおよび水の他に、反応工程においてアセトニトリルから副生したアミド類、オキサゾリン類が含まれる。アセトニトリル由来であるアミド類としては、例えば、アセトアミド、N‐(2‐ヒドロキシ-プロパン−1−イル)アセトアミドまたはN‐(1−ヒドロキシプロパン−2−イル)アセトアミド)等が例示され、オキサゾリン類としては、例えば、2,4−ジメチルオキサゾリンまたは2,5−ジメチルオキサゾリンが例示される。
蒸留塔に供給する液流量、液組成が安定していれば蒸留塔の状態を安定に保つことができ、余分なエネルギーを加えることなく安定した製造が可能になるが、これを実現するためには気液分離工程と次の蒸留工程の間にバッファータンクを設けることが好ましい。このバッファータンク内部の圧力が高いほどタンクの破裂を防ぐために必要な容器の肉厚が厚くなり、好ましくないので、気液分離する圧力は反応圧力より低いほうが好ましい。
次いで、得られた反応液を第一の蒸留塔に供することにより、塔頂よりプロピレンオキサイドを含む塔頂液として、粗プロピレンオキサイドが得られ、塔底よりアセトニトリル、水、アミド類およびオキサゾリン類を含む液が得られる。反応工程においてアントラキノン化合物を使用した場合は、塔底液はアントラキノン化合物を含む液として得られる。かかる粗プロピレンオキサイドは、公知の方法あるいはそれに準ずる方法によりさらに精製される。
第一の蒸留塔は、通常、理論段数1〜200段の範囲である。蒸留条件は、通常、0〜300℃、0.005〜10MPa、還流比0.001〜10の範囲である。第一の蒸留工程で得られたアセトニトリル、水、アミド類およびオキサゾリン類を主成分とする塔底液(場合によっては、アントラキノン化合物を含む)は、例えば、さらに第二の蒸留塔に供して、蒸留することにより、アセトニトリルと水の共沸組成の液が塔頂より得られ、塔底に水、アミド類およびオキサゾリン類(アントラキノン化合物)を主成分とする液が得られる。第二の蒸留塔の理論段数は、通常1〜100範囲である。第二蒸留塔は、通常、0〜300℃、0.005〜10MPa、還流比0.001〜10の範囲で運転される。
第二の蒸留塔の塔底液を更に濃縮する為、例えば、第三蒸留塔の蒸発器に供給する。第三の蒸留塔は、通常、0〜300℃、0.005〜10MPa、還流比0.001〜10の範囲で運転される。かかる濃縮により、アントラキノン化合物を晶析せしめて、アントラキノン化合物を回収することができる。かかる回収アントラキノン化合物は、水、アセトニトリル、アントラセン類、アントラヒドロキノン類、テトラヒドロアントラキノン類、アミド類またはエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールの中の1つ以上の混合物を含んでいてもよい。
アントラセン類としては、例えば、2−エチルアントラセン、2−t−ブチルアントラセン、2−アミルアントラセン、2−メチルアントラセン、2−ブチルアントラセン、2−t−アミルアントラセン、2−イソプロピルアントラセン、2−s−ブチルアントラセン、2−s−アミルアントラセン、2−ヒドロキシアントラセン、1,3−ジエチルアントラセン、2,3−ジメチルアントラセン、1,4−ジメチルアントラセン、2,7−ジメチルアントラセン、2,6−ジヒドロキシアントラセン等が挙げられる。
アントラセン類としては、例えば、2−エチルアントラセン、2−t−ブチルアントラセン、2−アミルアントラセン、2−メチルアントラセン、2−ブチルアントラセン、2−t−アミルアントラセン、2−イソプロピルアントラセン、2−s−ブチルアントラセン、2−s−アミルアントラセン、2−ヒドロキシアントラセン、1,3−ジエチルアントラセン、2,3−ジメチルアントラセン、1,4−ジメチルアントラセン、2,7−ジメチルアントラセン、2,6−ジヒドロキシアントラセン等が挙げられる。
アントラヒドロキノン類としては、例えば、アントラヒドロキノン、2−エチルアントラヒドロキノン、2−t−ブチルアントラヒドロキノン、2−アミルアントラヒドロキノン、2−メチルアントラヒドロキノン、2−ブチルアントラヒドロキノン、2−t−アミルアントラヒドロキノン、2−イソプロピルアントラヒドロキノン、2−s−ブチルアントラヒドロキノン、2−s−アミルアントラヒドロキノン、2−ヒドロキシアントラヒドロキノン、1,3−ジエチルアントラヒドロキノン、2,3−ジメチルアントラヒドロキノン、1,4−ジメチルアントラヒドロキノン、2,7−ジメチルアントラヒドロキノン、2,6−ジヒドロキシアントラヒドロキノン等が挙げられる。
テトラヒドロアントラキノン類としては、例えば、テトラヒドロアントラキノン、テトラヒドロ2−エチルアントラキノン、テトラヒドロ−2−t−ブチルアントラキノン、テトラヒドロ−2−アミルアントラキノン、テトラヒドロ−2−メチルアントラキノン、テトラヒドロ−2−ブチルアントラヒドロキノン、テトラヒドロ−2−t−アミルアントラキノン、テトラヒドロ−2−イソプロピルアントラキノン、テトラヒドロ−2−s−ブチルアントラキノン、テトラヒドロ−2−s−ブチルアントラキノン、テトラヒドロ2−ヒドロキシアントラキノン、テトラヒドロ−1,3−ジエチルアントラキノン、テトラヒドロ−2,3−ジメチルアントラキノン、テトラヒドロ−1,4−ジメチルアントラキノン、テトラヒドロ−2,7−ジメチルアントラキノン、テトラヒドロ−2,6−ジヒドロキシアントラキノンが挙げられる。
テトラヒドロアントラキノン類としては、例えば、テトラヒドロアントラキノン、テトラヒドロ2−エチルアントラキノン、テトラヒドロ−2−t−ブチルアントラキノン、テトラヒドロ−2−アミルアントラキノン、テトラヒドロ−2−メチルアントラキノン、テトラヒドロ−2−ブチルアントラヒドロキノン、テトラヒドロ−2−t−アミルアントラキノン、テトラヒドロ−2−イソプロピルアントラキノン、テトラヒドロ−2−s−ブチルアントラキノン、テトラヒドロ−2−s−ブチルアントラキノン、テトラヒドロ2−ヒドロキシアントラキノン、テトラヒドロ−1,3−ジエチルアントラキノン、テトラヒドロ−2,3−ジメチルアントラキノン、テトラヒドロ−1,4−ジメチルアントラキノン、テトラヒドロ−2,7−ジメチルアントラキノン、テトラヒドロ−2,6−ジヒドロキシアントラキノンが挙げられる。
アミド類としては、例えば、アセトアミド、N−(2−ヒドロキシプロパン−1−イル)アセトアミド、N−(1−ヒドロキシプロパン−2−イル)アセトアミドが挙げられる。
アントラキノン化合物を晶析する時のアセトニトリルと水の重量比は、第二あるいは第三蒸留塔の塔底液における組成のままでよく、通常、アセトニトリル/水の重量比は、0〜0.5、好ましくは、0〜0.1の範囲である。必要により、蒸留後に水を加えて、上記のようなアセトニトリルと水の重量比に調整してから晶析してもよい。晶析は、冷却晶析、蒸発晶析等により実施され、特に限定されない。晶析温度の上限は、アントラキノン化合物の熱安定性より、通常200℃以下、好ましくは100℃以下である。下限は、水の凝固点である0℃以上、好ましくは5℃以上である。晶析時の圧力は特に限定されない。
かくして得られたアントラキノン化合物の結晶は、典型的には濾過により分離される。濾過の方式は、加圧式、セントル式等特に限定されない。濾過後、不純物を除去するため水と親水性有機溶剤の混合液で、結晶を洗浄しても良い。濾過温度は、通常、晶析温度と同じである。圧力は特に限定されない。
得られた回収アントラキノンは、乾燥しドライケーキとして酸化反応にリサイクルしてもいいし、ウェットケーキとしてリサイクルしてもいいし、アセトニトリルと水の混合液に溶解させてリサイクルさしてもいいし、アセトニトリルと水の混合液によりスラリー状態とし、リサイクルしてもいい。好ましくは、アセトニトリルと水の混合液に溶解させてリサイクルするのが良い。
一方、塔頂より得られるアセトニトリルと水の共沸液の組成は、蒸留塔圧力条件に依存し、通常、50/50〜100/0(アセトニトリル/水:重量比)の範囲である。
第二の蒸留塔の塔頂より得られるアセトニトリルと水の混合溶媒は、そのまま反応工程にリサイクルしてもよい。
本発明のプロピレンの製造方法は、気液分離工程後の蒸留工程で得られるアセトニトリルと水との混合液である塔底液は、熱交換器を介して反応工程で得られるプロピレンオキサイドを含む反応混合物と熱交換せしめ、当該塔底液の少なくとも一部が、反応工程での反応温度より低い温度で気化するよう調整された圧力下で予熱して、当該予熱された塔底液を蒸留し、塔頂からアセトニトリルと水の共沸組成液(以下、アセトニトリル水とも称する)を得る共沸蒸留工程を含む形で実施しても良い。
本発明のプロピレンの製造方法は、気液分離工程後の蒸留工程で得られるアセトニトリルと水との混合液である塔底液は、熱交換器を介して反応工程で得られるプロピレンオキサイドを含む反応混合物と熱交換せしめ、当該塔底液の少なくとも一部が、反応工程での反応温度より低い温度で気化するよう調整された圧力下で予熱して、当該予熱された塔底液を蒸留し、塔頂からアセトニトリルと水の共沸組成液(以下、アセトニトリル水とも称する)を得る共沸蒸留工程を含む形で実施しても良い。
熱交換はどのような装置を用いてもよく、触媒を反応混合物と一緒に流動させて反応させる場合には、反応工程の反応器内部にコイルを、また反応器外部に外套を設置してその中に粗アセトニトリル水(以下、アセトニトリル水とは、アセトニトリルと水の混合溶媒を反応工程で使用した場合に、得られる反応混合物を気液分離工程で気液分離して得た反応液をさす。)を供給することができる。あるいは反応器内部の液の一部と粗アセトニトリル水を反応器外部に設置した熱交換器にそれぞれ流すことで熱交換することができる。この熱交換器は多管式、プレート式、ブロック式、ケトル式等の熱交換器が挙げられる。あるいは反応工程に例えば多管式熱交換器に類似した固定床型反応器を用いる場合には、例えば触媒を管の中に詰め、ここに反応原料を供給して反応させ、管外部に粗アセトニトリル水を流して熱交換することができる。反対に管内部に粗アセトニトリル水を流し、管外部に触媒を詰めて反応させてもよい。固定床型反応器を用いる別の方法としては、触媒が詰めてある槽と熱交換器を交互に設置し、熱交換器の片側には反応混合物を、一方の片側には粗アセトニトリル水を流し、触媒が詰めてある槽に反応原料を流し、反応によって温度が上昇した反応混合物と粗アセトニトリル水を熱交換してもよい。
このように蒸留塔に供給する粗アセトニトリル水を蒸留に付する前に予熱することで塔底での必要加熱量を低減することができる。混合物を予熱する際必ずしも蒸発を伴わなくてもよいが、蒸発を伴う方が交換熱量あたりの混合物の温度上昇が小さく、エポキシ化反応工程の反応熱を利用しやすくなる利点がある。予熱により一部が蒸発した混合物は、気相と液相に分離して別個に蒸留塔に供給してもよいが、そのまま気液混相状態で蒸留塔に供給してもよい。
反応工程での反応温度より低い温度で気化するよう調整された圧力下での予熱は、後に述べる共沸蒸留工程の蒸留装置と、例えば、弁、オリフィス等を介して接続されており、共沸蒸留工程と同じかあるいはそれより低い圧力に保持されている。圧力は、通常、5kPa〜120kPa、好ましくは、30kPa〜100kPaの範囲である。この圧力範囲に調整することにより反応工程での反応温度よりも低い温度で粗アセトニトリルの少なくとも一部が蒸発できる。
共沸蒸留工程は、熱交換により少なくとも一部がガス状態になった粗アセトニトリル水を第二蒸留塔に供して実施しされる。第二蒸留塔は複数の蒸留塔を組み合わせた多重効用方式でもよい。塔頂よりアセトニトリル−水系の共沸組成液が得られ、塔底より水と、アントラキノン化合物を反応工程で使用した場合は、アントラキノン化合物を含む塔底液が得られる。塔頂のアセトニトリル水の共沸組成は、第二蒸留塔の圧力に依存する。第二蒸留塔圧力は、通常、5kPa〜10MPaの範囲であり、好ましくは、20kPa〜5MPaの範囲である。共沸組成は、例えば第二蒸留塔圧力が5kPa〜20MPaの時、アセトニトリル/水(重量比)は、95/5〜50/50の範囲であり、20kPa〜5MPaの時、90/10〜60/40の範囲である。得られたアセトニトリルと水の共沸液は反応にリサイクルされる。
第二蒸留塔に供される液のアセトニトリルと水の重量比(アセトニトリル/水)が、共沸組成のアセトニトリルと水の重量比よりも大きい場合は、水が全て塔頂に炊き上がってしまい、塔底はアセトニトリルが主成分となる。アセトニトリルは、アントラキノン類の溶解度が高く晶析溶媒として好ましくない。この場合は、水を貧溶媒として加えた後晶析することが好ましい。水は、反応工程、気液分離工程、蒸留工程にて予め加えておいてもよく、反応で副生する水の一部または全部を予め加える水とするのがより好ましい。また、アントラキノン化合物を濾過したのちの濾液を予め加える水として、反応工程、気液分離工程、蒸留工程にて予め加えてもよい。
第二蒸留塔の圧力を調整し、共沸組成のアセトニトリルと水の重量比が、第二蒸留塔に供される粗アセトニトリル水におけるアセトニトリルと水の重量比より小さくなるようにするのが好ましい。例えば、第二蒸留塔に供される液のアセトニトリルと水の重量比が95/5(アセトニトリル/水)の場合は、第二蒸留塔の圧力は5kPa以下であることが好ましく、90/10の場合は、第二蒸留塔の圧力は20kPa以下であることが好ましく、80/20の場合は、第二蒸留塔の圧力は100kPa以下であることが好ましく、70/30の場合は、第二蒸留塔の圧力は1MPa以下であることが好ましく、60/40の場合は、第二蒸留塔の圧力は5MPa以下であることが好ましく、50/50の場合は、第二蒸留塔の圧力は10MPa以下であることが好ましい。第二蒸留塔の塔底液のアセトニトリルと水の重量比(アセトニトリル/水)は、通常、0〜0.5、好ましくは、0〜0.1の範囲である。反応工程で発生する水の少なくとも一部は、塔底液を排水として処理することにより除去できる。
かくして得られたアセトニトリルと水の混合物は、反応工程にリサイクルしてもよい。リサイクルするアセトニトリル水を用いてアントラキノン化合物、アンモニウム塩を溶解することが好ましい。触媒を反応混合物と一緒に流動させて反応させる場合には、触媒をアセトニトリルと水の混合物を用いて懸濁させて反応工程に供給することが好ましい。リサイクルアセトニトリル水の温度を所定の温度に調整してもよいし、気液分離工程ならびに蒸留工程で発生する排ガスからプロピレンオキサイドなどの所望の成分の一部または全部を回収処理した後のガスをアセトニトリル水に溶解させてリサイクルしてもよい。
実施例
以下、本発明を実施例を挙げ説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下、本発明を実施例を挙げ説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
参考例1
500ccオートクレーブに重量比が水/アセトニトリル=20/80であるアセトニトリル水を131gとTi−MWW触媒0.66g、パラジウム0.96パーセント担持活性炭触媒0.075gを仕込んだ後、圧力を窒素にて絶対圧0.8MPaに調整し、ジャケットへの温水循環によりオートクレーブ内の温度を60℃に調整した。当該オートクレーブに水素10.5体積パーセント、酸素3.8体積パーセント、窒素81.5体積パーセント、プロパンを0.44体積パーセント含むプロピレン4.3体積パーセントの組成である混合ガスを19.3NL/Hr、アントラキノン0.7ミリモル/kg、燐酸二水素アンモニウム0.7ミリモル/kgを含有するアセトニトリル水(水/アセトニトリルの重量比は20/80である)を89g/Hrで連続的に供給した。反応中、反応温度は60℃、反応圧力は0.8MPaになるように制御した。固体成分であるTi−MWW触媒、パラジウム担持活性炭触媒は焼結フィルターによりろ過し、反応器より排出された反応液ガスは、―5℃のジャケットで冷却した 気液分離槽でガスと液に分離し、常圧に戻した後別々に連続的に抜き出した。4.5時間目以降の反応液を25.5Hr蓄積した。得られた液は1382gであった。その組成は、プロピレンオキサイド0.68重量パーセント、プロピレングリコール0.06重量パーセント、アセトニトリル78重量パーセントであった。
500ccオートクレーブに重量比が水/アセトニトリル=20/80であるアセトニトリル水を131gとTi−MWW触媒0.66g、パラジウム0.96パーセント担持活性炭触媒0.075gを仕込んだ後、圧力を窒素にて絶対圧0.8MPaに調整し、ジャケットへの温水循環によりオートクレーブ内の温度を60℃に調整した。当該オートクレーブに水素10.5体積パーセント、酸素3.8体積パーセント、窒素81.5体積パーセント、プロパンを0.44体積パーセント含むプロピレン4.3体積パーセントの組成である混合ガスを19.3NL/Hr、アントラキノン0.7ミリモル/kg、燐酸二水素アンモニウム0.7ミリモル/kgを含有するアセトニトリル水(水/アセトニトリルの重量比は20/80である)を89g/Hrで連続的に供給した。反応中、反応温度は60℃、反応圧力は0.8MPaになるように制御した。固体成分であるTi−MWW触媒、パラジウム担持活性炭触媒は焼結フィルターによりろ過し、反応器より排出された反応液ガスは、―5℃のジャケットで冷却した 気液分離槽でガスと液に分離し、常圧に戻した後別々に連続的に抜き出した。4.5時間目以降の反応液を25.5Hr蓄積した。得られた液は1382gであった。その組成は、プロピレンオキサイド0.68重量パーセント、プロピレングリコール0.06重量パーセント、アセトニトリル78重量パーセントであった。
実施例1
参考例1で蓄積された反応液1382gのうち1338gを大気圧にて20段精留塔にてバッチ式で蒸留し、塔頂より18.42gの粗プロピレンオキサイドを得た。その後、精留を継続し、塔頂よりアセトニトリルを主成分とする320gの混合液を得た。次に、イオン交換水50.6gを加え、単蒸留を行い、931gの留出液を得た。この時点で固体が析出していたが、さらに析出させるため釜残液を5℃まで冷却した後濾過して回収アントラキノンケーキを得た。減圧乾燥した後、重量は0.13gとなった。液体クロマトグラム分析(カラム:L−カラムODS 4.6mmφ×15cm、移動相:A液 水/アセトニトリル=9/1、B液 アセトニトリル、カラム温度 40℃、移動相組成変化:初期にB液組成10%で10分間保持した後に40分かけてB液組成90%まで連続的に変化させてさらに10分間保持する、検出器:UV254nm、移動相流速:1ml/分)により面積百分率99.3パーセントであった。
参考例1で蓄積された反応液1382gのうち1338gを大気圧にて20段精留塔にてバッチ式で蒸留し、塔頂より18.42gの粗プロピレンオキサイドを得た。その後、精留を継続し、塔頂よりアセトニトリルを主成分とする320gの混合液を得た。次に、イオン交換水50.6gを加え、単蒸留を行い、931gの留出液を得た。この時点で固体が析出していたが、さらに析出させるため釜残液を5℃まで冷却した後濾過して回収アントラキノンケーキを得た。減圧乾燥した後、重量は0.13gとなった。液体クロマトグラム分析(カラム:L−カラムODS 4.6mmφ×15cm、移動相:A液 水/アセトニトリル=9/1、B液 アセトニトリル、カラム温度 40℃、移動相組成変化:初期にB液組成10%で10分間保持した後に40分かけてB液組成90%まで連続的に変化させてさらに10分間保持する、検出器:UV254nm、移動相流速:1ml/分)により面積百分率99.3パーセントであった。
参考例2
300ccオートクレーブに重量比がアセトニトリル/水=80/20であるアセトニトリル水を131gとTi−MWW触媒2.28g、パラジウム1パーセント担持活性炭触媒1.06gを仕込んだ後、圧力を窒素にて絶対圧4MPaに調整し、ジャケットへの温水循環によりオートクレーブ内の温度を50℃に調整した。当該オートクレーブに水素3.1体積パーセント、酸素8.3体積パーセント、窒素88.6体積パーセントの組成である混合ガスを154.8NL/Hr、アントラキノン0.7ミリモル/kg、燐酸二水素アンモニウム0.7ミリモル/kgを含有するアセトニトリル水(アセトニトリル/水の重量比は80/20である)を87.4g/Hr、プロパンを0.4体積パーセント含むプロピレン液を32.6g/Hrで連続的に供給した。反応中、反応温度は50℃、反応圧力は4MPaになるように制御した。固体成分であるTi−MWW触媒、パラジウム担持活性炭触媒は焼結フィルターによりろ過し、液成分115.5g/Hrとガス成分215.7g/Hrを連続的に抜き出した。反応液ガスを同時にサンプリングし、大気圧に戻し、液成分とガス成分に分離し、各々ガスクロマトグラフィーにより組成分析を行った。その結果、プロピレンオキサイドが3.77g/Hr、アセトアミドが0.0080g/Hr、N‐(2‐ヒドロキシプロパン−1−イル)アセトアミドおよび、N‐(1−ヒドロキシプロパン−2−イル)アセトアミド)が0.0044g/Hr、2,4−ジメチルオキサゾリンおよび2,5−ジメチルオキサゾリンが0.0065g/Hr生成した。プロピレンが27.8g/Hr、水素が1.75NL/Hr、酸素が10.8NL/Hr未反応で残っていた。
300ccオートクレーブに重量比がアセトニトリル/水=80/20であるアセトニトリル水を131gとTi−MWW触媒2.28g、パラジウム1パーセント担持活性炭触媒1.06gを仕込んだ後、圧力を窒素にて絶対圧4MPaに調整し、ジャケットへの温水循環によりオートクレーブ内の温度を50℃に調整した。当該オートクレーブに水素3.1体積パーセント、酸素8.3体積パーセント、窒素88.6体積パーセントの組成である混合ガスを154.8NL/Hr、アントラキノン0.7ミリモル/kg、燐酸二水素アンモニウム0.7ミリモル/kgを含有するアセトニトリル水(アセトニトリル/水の重量比は80/20である)を87.4g/Hr、プロパンを0.4体積パーセント含むプロピレン液を32.6g/Hrで連続的に供給した。反応中、反応温度は50℃、反応圧力は4MPaになるように制御した。固体成分であるTi−MWW触媒、パラジウム担持活性炭触媒は焼結フィルターによりろ過し、液成分115.5g/Hrとガス成分215.7g/Hrを連続的に抜き出した。反応液ガスを同時にサンプリングし、大気圧に戻し、液成分とガス成分に分離し、各々ガスクロマトグラフィーにより組成分析を行った。その結果、プロピレンオキサイドが3.77g/Hr、アセトアミドが0.0080g/Hr、N‐(2‐ヒドロキシプロパン−1−イル)アセトアミドおよび、N‐(1−ヒドロキシプロパン−2−イル)アセトアミド)が0.0044g/Hr、2,4−ジメチルオキサゾリンおよび2,5−ジメチルオキサゾリンが0.0065g/Hr生成した。プロピレンが27.8g/Hr、水素が1.75NL/Hr、酸素が10.8NL/Hr未反応で残っていた。
実施例2
参考例2に記載の反応器から抜出した液成分とガス成分を50℃、0.1MPaで気液分離シミュレーションを行うと、反応液相の組成は表1のようになる。当該組成の液を理論段数100段の第一蒸留塔に理論段数60段目に供給し、2MPa、還流比3、留出速度3g/Hrで蒸留を行うと塔頂、塔底の液組成は表2のようになる。次に、第一蒸留塔の塔底液を理論段数30段の第二蒸留塔に理論段数15段目に供給し、0.1MPa、還流比3、留出速度51g/Hrで蒸留を行うと塔頂、塔底の液組成は表3のようになる。更に、第二蒸留塔の塔底液を理論段数40段の第三蒸留塔に理論段数21段目に供給し、0.1MPa、還流比3、留出速度29g/Hrで蒸留を行うと塔頂、塔底の液組成は表4のようになる。
参考例2に記載の反応器から抜出した液成分とガス成分を50℃、0.1MPaで気液分離シミュレーションを行うと、反応液相の組成は表1のようになる。当該組成の液を理論段数100段の第一蒸留塔に理論段数60段目に供給し、2MPa、還流比3、留出速度3g/Hrで蒸留を行うと塔頂、塔底の液組成は表2のようになる。次に、第一蒸留塔の塔底液を理論段数30段の第二蒸留塔に理論段数15段目に供給し、0.1MPa、還流比3、留出速度51g/Hrで蒸留を行うと塔頂、塔底の液組成は表3のようになる。更に、第二蒸留塔の塔底液を理論段数40段の第三蒸留塔に理論段数21段目に供給し、0.1MPa、還流比3、留出速度29g/Hrで蒸留を行うと塔頂、塔底の液組成は表4のようになる。
実施例3
図1のフローと表5の物質収支の例により本発明の反応の一連の工程の例を示す。
過酸化水素の水溶液(流体番号1)1.72T/h、プロピレン(流体番号2および71.77T/h、水とアセトニトリルの混合溶媒(流体番号3および13)10.31T/hを反応器(A)に供給し、圧力1.5MPa、チタノシリケート触媒の存在下で過酸化水素とプロピレンを反応させ、プロピレンオキサイド1.0T/hを生成させる。反応の際に発生する熱は、反応混合物の一部(流体番号5)を反応器の外に設置された熱交換器(B)に循環させて冷却することにより除去し、装置内での反応温度を60℃に保つ。この際過酸化水素の分解により発生する酸素等の若干イナートガス(流体番号4)を反応器からパージする。得られた反応混合物(流体番号6)13.78T/hは気液分離器(C)に供給し、蒸留により塔頂から主にプロピレンからなるガス(流体番号7)1.04T/h、塔底からプロピレンオキサイド、アセトニトリルおよび水の混合物(流体番号8)12.74T/hを得る。得られた主にプロピレンからなるガスは圧縮機(G)により昇圧され、外部から補給されるプロピレン(流体番号2)0.73T/hとともにエポキシ化反応工程で再利用する。得られたプロピレンオキサイド、アセトニトリルおよび水の混合物は第一蒸留塔(D)に供給し、蒸留により塔頂からプロピレンオキサイド(流体番号9)1.00T/h、塔底からアセトニトリルおよび水の混合物(流体番号10)11.74T/hを得る。得られたアセトニトリルと水の混合物は圧力調整弁(E)により0.033MPaまで減圧した後、熱交換器(B)に供給する。該圧力下ではアセトニトリルと水は重量比85:15の共沸混合物を形成し、約47℃で蒸発する。熱交換器には60℃のエポキシ化反応工程の反応混合物を高温流体として供給して熱交換を行わせることにより、アセトニトリルと水の蒸発を進行させ、アセトニトリルと水の混合蒸気3.45T/hおよび未蒸発の混合液8.29T/hを得る。この熱交換器でプロピレンオキサイド(流体番号9)1トンあたり757kWの熱交換が行われる。得られたアセトニトリルと水の混合蒸気および未蒸発の混合液を、塔頂が0.03MPaに保たれた第二蒸留塔(F)に供給し、塔頂からアセトニトリルおよび水の混合物(流体番号13)10.30T/hを、塔底からはアセトニトリルが除去された水(流体番号14)1.44T/hを得る。得られたアセトニトリルと水の混合物はコンデンサーで凝縮させ、ポンプ(I)により昇圧して、外部から若干量補給されるアセトニトリル(流体番号3)とともにエポキシ化反応工程で再利用する。
図1のフローと表5の物質収支の例により本発明の反応の一連の工程の例を示す。
過酸化水素の水溶液(流体番号1)1.72T/h、プロピレン(流体番号2および71.77T/h、水とアセトニトリルの混合溶媒(流体番号3および13)10.31T/hを反応器(A)に供給し、圧力1.5MPa、チタノシリケート触媒の存在下で過酸化水素とプロピレンを反応させ、プロピレンオキサイド1.0T/hを生成させる。反応の際に発生する熱は、反応混合物の一部(流体番号5)を反応器の外に設置された熱交換器(B)に循環させて冷却することにより除去し、装置内での反応温度を60℃に保つ。この際過酸化水素の分解により発生する酸素等の若干イナートガス(流体番号4)を反応器からパージする。得られた反応混合物(流体番号6)13.78T/hは気液分離器(C)に供給し、蒸留により塔頂から主にプロピレンからなるガス(流体番号7)1.04T/h、塔底からプロピレンオキサイド、アセトニトリルおよび水の混合物(流体番号8)12.74T/hを得る。得られた主にプロピレンからなるガスは圧縮機(G)により昇圧され、外部から補給されるプロピレン(流体番号2)0.73T/hとともにエポキシ化反応工程で再利用する。得られたプロピレンオキサイド、アセトニトリルおよび水の混合物は第一蒸留塔(D)に供給し、蒸留により塔頂からプロピレンオキサイド(流体番号9)1.00T/h、塔底からアセトニトリルおよび水の混合物(流体番号10)11.74T/hを得る。得られたアセトニトリルと水の混合物は圧力調整弁(E)により0.033MPaまで減圧した後、熱交換器(B)に供給する。該圧力下ではアセトニトリルと水は重量比85:15の共沸混合物を形成し、約47℃で蒸発する。熱交換器には60℃のエポキシ化反応工程の反応混合物を高温流体として供給して熱交換を行わせることにより、アセトニトリルと水の蒸発を進行させ、アセトニトリルと水の混合蒸気3.45T/hおよび未蒸発の混合液8.29T/hを得る。この熱交換器でプロピレンオキサイド(流体番号9)1トンあたり757kWの熱交換が行われる。得られたアセトニトリルと水の混合蒸気および未蒸発の混合液を、塔頂が0.03MPaに保たれた第二蒸留塔(F)に供給し、塔頂からアセトニトリルおよび水の混合物(流体番号13)10.30T/hを、塔底からはアセトニトリルが除去された水(流体番号14)1.44T/hを得る。得られたアセトニトリルと水の混合物はコンデンサーで凝縮させ、ポンプ(I)により昇圧して、外部から若干量補給されるアセトニトリル(流体番号3)とともにエポキシ化反応工程で再利用する。
参考例3
300ccオートクレーブに重量比がアセトニトリル/水=80/20であるアセトニトリル水を131gとTi−MWW触媒2.28g、パラジウム1パーセント担持活性炭触媒1.06gを仕込んだ後、圧力を窒素にて絶対圧4MPaに調整し、ジャケットへの温水循環によりオートクレーブ内の温度を50℃に調整した。当該オートクレーブに水素3.1体積パーセント、酸素8.3体積パーセント、窒素88.6体積パーセントの組成である混合ガスを154.8NL/Hr、アントラキノン0.7ミリモル/kg、燐酸二水素アンモニウム0.7ミリモル/kgを含有するアセトニトリル水(アセトニトリル/水の重量比は80/20である)を87.4g/Hr、プロパンを0.4体積パーセント含むプロピレン液を32.6g/Hrで連続的に供給した。反応中、反応温度は50℃、反応圧力は4MPaになるように制御した。固体成分であるTi−MWW触媒、パラジウム担持活性炭触媒は焼結フィルターによりろ過し、液成分108g/Hrとガス成分215g/Hrを連続的に抜き出した。反応液ガスを同時にサンプリングし、大気圧に戻し、液成分とガス成分に分離し、各々ガスクロマトグラフィーにより組成分析を行った。その結果、プロピレンオキサイドが3.77g/Hr、プロピレングリコールが0.373g/Hr、プロパンが0.759g/Hr生成し、プロピレンが27.8g/Hr、水素が1.75NL/Hr、酸素が10.8NL/Hr未反応で残っていた。
300ccオートクレーブに重量比がアセトニトリル/水=80/20であるアセトニトリル水を131gとTi−MWW触媒2.28g、パラジウム1パーセント担持活性炭触媒1.06gを仕込んだ後、圧力を窒素にて絶対圧4MPaに調整し、ジャケットへの温水循環によりオートクレーブ内の温度を50℃に調整した。当該オートクレーブに水素3.1体積パーセント、酸素8.3体積パーセント、窒素88.6体積パーセントの組成である混合ガスを154.8NL/Hr、アントラキノン0.7ミリモル/kg、燐酸二水素アンモニウム0.7ミリモル/kgを含有するアセトニトリル水(アセトニトリル/水の重量比は80/20である)を87.4g/Hr、プロパンを0.4体積パーセント含むプロピレン液を32.6g/Hrで連続的に供給した。反応中、反応温度は50℃、反応圧力は4MPaになるように制御した。固体成分であるTi−MWW触媒、パラジウム担持活性炭触媒は焼結フィルターによりろ過し、液成分108g/Hrとガス成分215g/Hrを連続的に抜き出した。反応液ガスを同時にサンプリングし、大気圧に戻し、液成分とガス成分に分離し、各々ガスクロマトグラフィーにより組成分析を行った。その結果、プロピレンオキサイドが3.77g/Hr、プロピレングリコールが0.373g/Hr、プロパンが0.759g/Hr生成し、プロピレンが27.8g/Hr、水素が1.75NL/Hr、酸素が10.8NL/Hr未反応で残っていた。
実施例4
参考例3に記載の反応器から抜出した液成分とガス成分を2MPaで気液分離シミュレーションを行うと、液相のアセトニトリルは67g/Hr、水は20g/Hrとなり、水に対するアセトニトリルの重量比は77/23である。この組成の液を理論段数30段の塔の15段目からフィードし、還流比3、圧力0.1MPaAでシミュレーションを行うと、共沸組成はアセトニトリル/水の重量比は83/17となり、塔頂から50g/Hrでアセトニトリル/水の重量比が83/17の混合液が得られる。塔底からは、アセトニトリルと水の比が69/31の割合からなる液が36.9g/Hrで得られる。
参考例3に記載の反応器から抜出した液成分とガス成分を2MPaで気液分離シミュレーションを行うと、液相のアセトニトリルは67g/Hr、水は20g/Hrとなり、水に対するアセトニトリルの重量比は77/23である。この組成の液を理論段数30段の塔の15段目からフィードし、還流比3、圧力0.1MPaAでシミュレーションを行うと、共沸組成はアセトニトリル/水の重量比は83/17となり、塔頂から50g/Hrでアセトニトリル/水の重量比が83/17の混合液が得られる。塔底からは、アセトニトリルと水の比が69/31の割合からなる液が36.9g/Hrで得られる。
A :反応器
B :熱交換器
C :気液分離器
D :第一蒸留塔
E :圧力調節弁
F :第二蒸留塔
G :圧縮機
H,I:ポンプ
B :熱交換器
C :気液分離器
D :第一蒸留塔
E :圧力調節弁
F :第二蒸留塔
G :圧縮機
H,I:ポンプ
Claims (18)
- 以下の工程からなるプロピレンオキシドの製造方法。
過酸化水素とプロピレンをチタノシリケート触媒の存在下、アセトニトリル、あるいはアセトニトリルと水の混合溶媒中で反応させてプロピレンオキシドを含む反応混合物を得る反応工程、
反応工程で得られる反応混合物をガスと反応液に分離する気液分離工程、および
気液分離工程で得られる反応液を蒸留によりプロピレンオキシドを含む塔頂液とアセトニトリル、もしくはアセトニトリルと水を塔底液に分離する蒸留工程。 - 過酸化水素が、反応工程の反応系内で、パラジウムを担体上に担持させた触媒の存在下に酸素と水素とを反応させて得られる過酸化水素である請求項1に記載の製造方法。
- 過酸化水素が反応工程の反応系内で、パラジウムを担体上に担持させた触媒およびアントラキノン化合物の存在下に酸素と水素とを反応させて得られる過酸化水素である請求項2に記載の製造方法。
- 塔底液がアントラキノン化合物を含む混合液である請求項3に記載の製造方法。
- 塔底液を蒸留しアセトニトリルもしくはアセトニトリルと水とを留去し、アントラキノン化合物を晶析させて分離する工程を含む請求項4に記載の製造方法。
- 塔底液が、反応工程の反応において副生したアミド化合物およびオキサゾリン化合物を含有する塔底液である請求項1から5の何れかに記載の製造方法。
- アミド化合物がアセトアミド、N−(2−ヒドロキシプロパン−1−イル)アセトアミドまたは、N−(1−ヒドロキシプロパン−2−イル)アセトアミドである請求項6に記載の製造方法。
- オキサゾリン化合物が、2,4−ジメチルオキサゾリンまたは2,5−ジメチルオキサゾリンである請求項6または7に記載の製造方法。
- アミド化合物およびオキサゾリン化合物を含む塔底液を蒸留し、アセトニトリル水を共沸により塔頂より留出させ、アミド化合物およびオキサゾリン化合物を含む水相を塔底より得る工程を含む請求項6に記載の製造方法。
- 気液分離に続く蒸留工程で得られるアセトニトリルと水との混合液である塔底液を熱交換器を介して反応工程で得られるプロピレンオキシドを含む反応混合物と熱交換せしめ当該塔底液の少なくとも一部が、反応工程での反応温度より低い温度で気化するよう調整された圧力下で予熱し、蒸留に供し、塔頂からアセトニトリルと水の共沸組成液を得る共沸蒸留工程を含んでなる請求項1から9の何れかに記載の製造方法。
- 5kPa〜120kPaの範囲の圧力下で予熱を行う請求項10に記載の製造方法。
- 30kPa〜100kPaの範囲の圧力下で予熱を行う請求項10に記載の製造方法。
- 共沸蒸留工程の圧力が、5kPa〜10MPaの範囲である請求項10から12の何れかに記載の製造方法。
- 共沸蒸留工程の圧力が、20kPa〜5MPaの範囲である請求項10から12の何れかに記載の製造方法。
- パラジウムを担体上に担持させた触媒がパラジウムをチタノシリケートに担持させた触媒である請求項2から14の何れかに記載の製造方法。
- チタノシリケート触媒が酸素12員環以上の細孔をもつチタノシリケート触媒である請求項1から15の何れかに記載の製造方法。
- 酸素12員環以上の細孔をもつチタノシリケート触媒がMWW構造を有する結晶性チタノシリケートあるいはその前駆体である請求項16に記載の製造方法。
- パラジウムを担体上に担持させた触媒がパラジウムを活性炭に担持させた触媒である請求項2から17の何れかに記載の製造方法。
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