JP2009031280A - 疲労度評価方法およびその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ヒトにおける疲労度が簡便かつて医療的に評価できる方法、キット及びその利用法を提供する。
【解決手段】 疲労負荷作業、特に簡単な計算やパソコン作業等の精神作業による疲労度の測定において、被験者の血液を採取し、血液中の活性酸素代謝物の量を測定することにより、日常生活や疾患にともなう疲労度を簡便かつ定量的に評価できる。さらに、抗疲労物質及び抗疲労食品の生体における抗疲労力を測定できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ヒトの疲労度を評価する方法およびその利用法に関し、より詳細には血液中の活性酸素代謝物の濃度変化を指標として、ヒトの疲労度を評価する方法およびその利用法に関するものである。
疲労は、日常生活において非常に身近な問題であり、ストレスの多い現代人の中では慢性疲労に悩む人が多い。しかしながら、「疲労」に関する科学的・医学的研究は、断片的に行われていたに過ぎず、「疲労」という主観的症状をいかに定量的・客観的に表すかという決定的手段または定量尺度については、ほとんど研究されていない。
これまで「疲労」の代表的な例として、筋肉疲労が主に研究されており、その指標として、筋肉中の乳酸産生量の増加が注目されていた。しかし、本来乳酸は脳神経系にとって重要なエネルギー源であり、乳酸が筋肉活動を阻害するという説は、現在では否定的に捉えられている。その他、筋肉疲労にともなって、体液中のピルビン酸の上昇、およびpHが低下する現象が知られている。これらは筋肉への負荷という一定のストレスを与えたときには確かにみられる現象であるが、「疲労」は局部的な筋肉疲労とは異なり、生体に現れるもっと幅広い大きな生理現象と考えられている。
特許文献1では、唾液における、副腎性性ステロイドおよびその代謝物の濃度を指標とするストレスの定量法が開示されている。
一方、近年、世界各地で活性酸素・フリーラジカルについての研究が進み、老化や疾患との関連性が明白になってきている。過剰に発生した傷害因子としての活性酸素やフリーラジカルは様々な疾患に関わっており、これらが関与しない病態は存在しないとまでいわれている。しかし、老化や疾患との関係が深いと考えられている上記活性酸素・フリーラジカルとヒトの疲労との関係は明らかにはなっていない。
特開平11−038004 特開平11−304792 特開平11−304793
上述のように、日常生活における疲労症状は、多くの日本人が感じているものであるにも関わらず、その客観的な評価方法について、ほとんど報告がなされていない。また、日常生活における疲労症状は、そのまま放置すると長時間過密の働きすぎによる突然死である過労死に直結するおそれもある。さらに、過労死の問題は医学的、経済的、社会的にも非常に重要であると認識されているにもかかわらず、その科学的メカニズムについてほとんど解明されていない。このため、近年、社会問題化している過労死を防止するためにも客観的疲労度の評価方法が必要とされている。
また、市場に氾濫する栄養ドリンクなどの医薬品または健康食品等の多くは、疲労を回復または抑制する機能性を売り物としたものであるため、その機能性に対する科学的な裏づけが消費者のみならず市場・社会全体において広く求められていた。
以上のように、運動負荷による疲労についての知見はあるものの、日常生活における身体疲労の評価方法は開発されていなかった。このため、簡便かつ客観的にin vivoにおいて日常生活の疲労、特に生理的疲労についての評価方法およびその利用法の開発が強く求められていた。本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡便かつ定量的に疲労度、特に生理的疲労の疲労度を評価する方法及び利用法を提供することにある。
本発明の課題は、簡便かつ定量的に疲労度を評価する方法及び利用法、疲労度を評価するためのキット、ならびに抗疲労物質の抗疲労力測定方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、血液中の活性酸素代謝物の量を測定・評価することにより、日常生活の疲労に対する疲労度を定量的に評価できることを独自に見出し、この実験系を利用して日常生活における疲労度を測定することができる本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明にかかる疲労度評価方法は、上記の課題を解決するために、血液中の活性酸素代謝物の量を指標として疲労度を評価することを特徴とする。上記の方法では簡便かつ客観的にヒトの疲労度を評価でき、疲労回復又は抑制効果を持つ医薬品をはじめ、栄養ドリンクや健康食品といった栄養補助食品の効果効能を定量的に求めることも可能である。さらに、長時間の労働などで引き起こされやすい過労状態を簡便かつ客観的に発見することも可能である。
本発明にかかる疲労度評価キットは、上記の課題を解決するために、上述の疲労度評価方法を実施するためのものであることを特徴としている。
すなわち、上記の課題を解決するために、より具体的には下記の発明が提供される。
[1]
血液中の活性酸素代謝物の量を指標として、被験者の疲労度を評価することを特徴とする疲労度評価方法。
[2]
上記血液中の活性酸素代謝物の量が多ければ、疲労度が高いと評価することを特徴とする[1]に記載の疲労度評価方法。
[3]
上記血液中の活性酸素代謝物の量が多ければ、被験者が日常生活で生じる急性疲労の蓄積による過労状態にあると評価することを特徴とする[1]ないし[2]のいずれか一項に記載の疲労度評価方法。
[4]
抗疲労物質をスクリーニングするための上記[1]ないし[3]のいずれか一項に記載の抗疲労物質の候補である物質の抗疲労効果評価方法。
[5]
上記[1]ないし[4]のいずれか一項に記載の疲労度評価方法を手段として備える疲労度評価装置。
[6]
採取した血液中の活性酸素代謝物の量を測定する手段を含むキットであって、血液中の活性酸素代謝物の量を指標として被験者の疲労度を評価するために使用できることが表示されている疲労度評価キット。
以上のように、本発明にかかる疲労度評価方法、その疲労度評価装置および疲労度評価キットによれば、被験者の血液を採取するだけで、被験者の当該疲労度が定量的に評価できるという効果を奏する。さらに、かかる方法及びキットは、いずれも簡便であるだけでなく、長時間にわたる拘束も必要としないため、被験者にとっては苦痛やわずらわしさを感じさせることがなく、また、方法等も実施者にとっても簡便であり、被験者及び実施者の両者にとって非常に取り扱いやすいものであるという効果を奏する。それゆえ、抗疲労物質のスクリーニング方法や、抗疲労能を謳った食品等のin vivo評価に利用することができ、非常に有用な技術である。
以下、本発明にかかる疲労度評価方法について説明し、次いでキット及び利用法について説明することとする。なお、本発明は、これに限定されるものではない。
(1)疲労度評価方法
本発明者は、被験者の血液を採取し、血液中の活性酸素代謝物の濃度を測定することにより、ヒトの疲労度を簡便かつ定量的に測定することができることを見出した。この方法は、大掛かりな装置が必要ないだけでなく、血液の採取時間が短いことから、被験者にとって時間的拘束が少ないだけでなく、方法の実施者にとっても非常に簡便な方法である。
まず、本発明にかかる疲労度評価方法の概要を簡単に説明する。なお、ここで述べる方法の概要は、後述するキット及び利用方法にも共通する部分が多分に存在する。上記方法では、まず、被験者の血液を採取し、血液中の活性酸素代謝物の濃度を測定する。ここで本発明でいう活性酸素代謝物とは、ヒドロペルオキシド(ROOH:活性酸素・フリーラジカルにより酸化反応を受けた脂質・たんぱく質・アミノ酸・核酸などの総称。酸化ストレス度のマーカー)を意味する。
血液中の活性酸素代謝物の測定方法は従来公知の方法であればよく、具体的な手法、条件などは適宜設定可能である。例えば、呈色液クロモゲン、N,Nジエチルパラフェニレンジアミン(芳香族化合物)がフリーラジカルにより酸化されると、無色から赤紫色のラジカル陽イオンになる反応を利用した定量方法などが挙げられる。
また、本発明でいう「疲労度」とは、過度の肉体的、精神的な活動により生じた独特の病的不快感と休養を求める欲求を伴う身体あるいは精神機能の減弱状態の度合いをいう。ここで身体あるいは精神機能の減弱状態とは、身体および精神作業能力の質的あるいは量的な低下を意味する。
本発明でいう「疲労」とは上述のとおり生理的疲労と病的疲労に分類され、上記「生理的疲労」は急性疲労と慢性疲労に分類される。さらに、「急性疲労」は精神疲労と身体疲労に分類される。一方、上記「慢性疲労」についても、上記急性疲労と同様に分類できる。また、本発明における疲労度の対象は生理的疲労の中でも急性疲労であることが好ましい。さらに、本発明における疲労度の対象は、遷延性疲労であってもよい。
本発明でいう「過労状態」とは、上記生理的疲労であって、慢性疲労である状態が持続した結果、生体リズムが崩壊し、生命を維持する機能に致命的破綻をきたした状態であって、病的疲労に至る状態を意味する。また、発明でいう「精神疲労」とは、複雑な計算や記憶、又は思考などの心理活動ばかりでなく、我慢や緊張又は時間に追われて作業をすることの焦操感など、感情や意思の活動が過度に要求された場合に生じる疲労である。本発明でいう「身体疲労」とは、肉体的作業の遂行によって起こる疲労である。本発明でいう「紫外線疲労」とは、紫外線照射によって起こる疲労である。本発明でいう「精神疲労負荷」とは、眼精疲労、心的ストレスを含む精神的疲労を与えることを意味する。
また、本発明に係る疲労度測定方法においては、上記血液中の活性酸素代謝物の量が多ければ、被験者の疲労度が高いと評価することになる。これは、後述する実施例に示すように、被験者の疲労度が高まれば、それに応じて被験者の血液中の活性酸素代謝物の量が多くなることから導かれる。
なお、本明細書では、本発明の対象として、主としてヒト(被験者)を観念しているが、これに限定されるものではなく、実験動物等の各種哺乳動物についても適用可能である。特に、マウス、ラット、ウサギ、サル等は実験動物として頻繁に利用されるものであるため、これらの生物に適用することは特に健康食品や医薬品の開発という面で有用性が高い。
(2)疲労度評価キット
次に、本発明にかかる疲労度評価キットについて説明する。本発明にかかる疲労度評価キットは、ヒトにおける疲労度を評価するキットである。すなわち、上記(1)欄で説明した本発明にかかる疲労度評価方法を実施するためのキットであればよい。さらに詳細には、例えば、被験者の血液を採取するための手段と、当該採取後の血液中の活性酸素代謝物の濃度を測定する手段とを有するキットであればよい。本発明における血液中の活性酸素代謝物の濃度を測定する手段としては、従来公知の測定方法を実施するために必要な手段であればよい。具体的には、例えば、上記(1)欄で説明した血液中の活性酸素代謝物の濃度を測定する方法を実施するために必要な試薬、器具、装置、触媒その他のものをいう。
さらに本発明にかかる疲労度評価キットは、コンピュータなどの従来公知の演算装置を用いてなるキットとなっていてもよい。
(3)疲労度評価方法及び疲労度評価キットの利用法
以上のように、本発明にかかる疲労度評価方法、疲労度評価キットによれば、被験者が抗疲労物質を摂取する前後において、被験者の血液中の活性酸素代謝物の濃度を測定するだけで、当該抗疲労物質の被験者生体内における抗疲労力を定量的に測定・評価することができる。さらに、かかる方法、キットはいずれも簡便であるだけでなく、大掛かりな装置や長時間における拘束が必要ないため、被験者及び実施者の両者にとって非常に取り扱いやすいものであるという利点がある。
なお、上記抗疲労とは、疲労の回復及び抑制効果を意味する。また、抗疲労物質とは、疲労回復又は予防物質を含む。
また、本発明にかかる疲労度評価方法、疲労度評価キットは、例えば、抗疲労物質のスクリーニング方法に利用することができる。すなわち、本発明にかかる抗疲労物質のスクリーニング方法は、上記疲労度評価方法、疲労度評価キットのいずれかを利用して、抗疲労物質をスクリーニングする方法であればよく、その具体的な方法、条件などは特に限定されるものではない。
上記スクリーニング方法によれば、例えば、抗疲労食品として利用可能と思われる食品群を被験者に経口摂取させて、実際にin vivoで優れた抗疲労能を示す食品を簡便かつ客観的に選択することができる。したがって、上記スクリーニング方法により得られた抗疲労物質や抗疲労食品は、生体における効果が証明されたものであり、市場において高い評価を獲得することができる。
なお、上記のスクリーニング方法により取得された抗疲労物質も本発明に含まれる。すなわち、本発明にかかる新規抗疲労物質は、上記スクリーニング方法により取得されたものであればよい。
また、疲労が社会問題化されるにつれて、抗疲労機能を謳った抗疲労物質、抗疲労食品が種類、数量とともに増加してきており、これらの食品の抗疲労力を適切に評価する方法の開発も強く求められているが、本発明にかかる疲労度評価方法、疲労度評価キットおよびその利用法によれば、この要求にも応えることができる。
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
(精神作業による疲労負荷試験)
(1)対象
健常男性35名及び健常女性34名(平均年齢38.5±11.3)を被験者とした。試験の実施に際しては、株式会社総合医科学研究所及び総医研クリニック合同審査委員会の承認のもとに行われ、ヘルシンキ宣言(1964採択,′75,′83,′89,′96, 2000修正)の主旨に従い、被験者に対しては研究内容、方法などについて医師より十分な説明を行い文書による同意を得て実施した。
(2)試験方法
図1に示すスケジュールにしたがって実施した。
(3)精神疲労負荷の方法
精神疲労負荷は次の2種類とした。作業は、試験スケジュールに従い、内田クレペリン検査(30分)→ATMT(30分)を1セット(1時間)とし、4セット実施した。
(a)内田クレペリン検査
内田クレペリン検査は簡単な一桁の足し算を一定時間連続して行い、その作業量によって表れた曲線によって「人が作業(行動)するときの能力」、「その能力を発揮するときの特徴」を判定する作業検査であるが、精神疲労負荷作業としても用いられている。本来の検査は1分間x15回の2セットであるが、本試験では各被験者に連続で30分間の精神作業負荷を与えた。
(b)ATMT(Advanced Trail Making Test)
ATMTとは、ディスプレイ上に提示された1〜25までの数字(▲1▼▲2▼▲3▼・・・)を素早く押す視覚探索反応課題である。従来、A4紙で行っていたTMT(ランダムに配置された1〜25の数字を一筆書きの要領で線を引く課題)とは異なり、target毎の探索反応時間が測定でき、また、反応毎にすべてのtargetを再配置させたり、反応済targetを消して新規にtargetを追加発生させたりすることが可能である。今回の精神疲労負荷としては、A〜Zまでのアルファベットのうち25文字をディスプレイ上にランダムに掲示させ、「R」をマウスでクリックするたびに配置が変わる設定とし、「R」を素早くクリックする視覚探索反応課題とした。
(4)回復期の設定
精神作業負荷4時間の負荷が終了した後、4時間(昼食時間を含む)の回復期を設定した。各被験者に1台のベッドを用意し、読書や音楽を聴いてもらい過ごしてもらった。
(5)その他の試験管理
(a)試験期間前の管理
試験実施前7日間は暴飲暴食や過度な運動は禁止し、食事運動記録をつけてもらい、日常生活を把握した。
(b)試験実施期間の管理
食事、入浴、就寝時間などの生活習慣を含めた行動を試験スケジュールに従わせた。
また、食事に関して、作業負荷前日および作業負荷当日の夕食は同一メニューで約800kcalとした。作業負荷当日の昼食は炭水化物が中心の内容で400kcal程度とした。水分補給はミネラルウォーターのみとした。水分摂取量についても制限はしなかった。入浴はシャワーのみとした。
(6)試験実施期間中の観察・調査、検査項目
試験当日は図2の試験スケジュールに従い次に示す検査(生理学的検査および採血など)を実施した。検査は負荷前(Before)、負荷4時間後(After)、回復4時間後(8h)の計3回実施した。負荷前検査と負荷開始の間にトレーランG75(グルコース75g)を1本摂取させた。
(7)検査内容
(a)VAS(Visual Analogue Scale)
VASとは、線分の両端に基準となる表現を記した紙を見せ、被験者は測りたい内容が、その線分のどのあたりに相当するかをチェックする評価方法である。線分の左端からの長さ(最大10)を測定することにより、質問項目に対して定量的に結果が出て、多くの人の結果を平均するなどの処理ができるという利点を持つ方法である。本実施例では、負荷直前(before)、負荷直後(After)および回復4時間後(8h)において検査をおこなった。実施例で使用したVAS試験用紙を図2に示す。
(b)血液中活性酸素代謝物の量の測定
被験者の血液を図1に示すスケジュールで採血し、血液中の活性酸素代謝物の量を測定した。測定は株式会社ウイスマー社製活性酸素・フリーラジカル自動分析装置「FRAS4」を用いた。なお、測定原理は図3に示す。
(8)結果
(a)VAS(Visual Analogue Scale)
全体的疲労感、精神的疲労感および身体的疲労感の負荷前(Before)、負荷4時間後(After)及び回復4時間後(8h)における結果を図4、図5および図6に示す。VASの疲労感に関する評価において、いずれの疲労感はBeforeと比較してAfterおよび8hでP<0.001で有意に上昇していた。被験者の主観的疲労感が高まっていることから、当該試験方法において疲労が負荷されていることが確認された。
(b)活性酸素代謝物の量
結果を図7に示す。血液中の活性酸素代謝物の量(d−ROMs)は、負荷前(Before)、負荷4時間後(After)においてp<0.001で有意に上昇した。上記VASの検査によって、上記精神疲労負荷により被験者の疲労度は高まっていることが確認されていることから、血液中の活性酸素代謝物の量(d−ROMs)が多くなれば被験者の疲労度が高いと評価できることが明らかにされた。
以上のように、本発明にかかる疲労度評価方法、疲労度評価キット、その利用方法によれば、被験者の血液を採取するだけで、被験者の当該疲労度が定量的に評価できるという効果を奏する。さらに、かかる方法及びキットは、いずれも簡便であるだけでなく、長時間にわたる拘束も必要としないため、被験者にとっては苦痛やわずらわしさを感じさせることがなく、また、方法等も実施者にとっても簡便であり、被験者及び実施者の両者にとって非常に取り扱いやすいものであるという効果を奏する。それゆえ、抗疲労物質のスクリーニング方法や、抗疲労能を謳った食品等のin vivo評価に利用することができ、非常に有用な技術である。
すなわち、本発明にかかる疲労度評価方法は、ストレスや疲労メカニズムの解明に利用することができ、ストレス解消方法の開発、疲労の程度評価をすることができる。また、本発明を利用することにより、市場に出回る抗疲労を謳う健康食品、特定保健用食品、栄養ドリンクなどの効果の定量化(評価)が可能になる。よって本発明は、医療業、製薬業、健康食品産業、健康機器産業等の広範な分野に利用が可能である。
本発明にかかる実施例1の試験スケジュールである。 本発明にかかる実施例1において用いたVAS検査用紙である。 本発明にかかる実施例1における活性酸素代謝物(d−ROMs)の測定原理の説明図である。 本発明にかかる実施例1における全体的疲労感のVAS検査の結果である。 本発明にかかる実施例1における精神的疲労感のVAS検査の結果である 本発明にかかる実施例1における身体的疲労感のVAS検査の結果である。 本発明にかかる実施例1における血液中の活性酸素代謝物の量の測定結果である。

Claims (6)

  1. 血液中の活性酸素代謝物の量を指標として、被験者の疲労度を評価することを特徴とする疲労度評価方法。
  2. 上記活性酸素代謝物の量が多ければ、疲労度が高いと評価することを特徴とする請求項1に記載の疲労度評価方法。
  3. 上記活性酸素代謝物の量が多ければ、被験者が日常生活で生じる急性疲労の蓄積による過労状態にあると評価することを特徴とする請求項1ないし2のいずれか一項に記載の疲労度評価方法。
  4. 抗疲労物質をスクリーニングするための、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の抗疲労物質の候補である物質の抗疲労効果評価方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の疲労度評価方法を手段として備える疲労度評価装置。
  6. 採取した血液中の活性酸素代謝物の量を測定する手段を含むキットであって、血液中の活性酸素代謝物の量を指標として被験者の疲労度を評価するために使用できることが表示されている疲労度評価キット。
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