JP2007192659A - 疲労度評価方法およびその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ヒトにおける疲労度が簡便かつ定量的に評価できる方法、キット及びその利用法を提供する。
【解決手段】 被験者の体液を採取し、体液中の5−アミノレブリン酸量を測定することにより、日常生活や疾患にともなう疲労度を簡便かつ定量的に評価できる。また、簡便かつ客観的にヒトの疲労度を評価でき、疲労回復又は抑制効果を持つ医薬品をはじめ、栄養ドリンクや健康食品といった栄養補助食品の効果効能を定量的に求めることも可能である。さらに、長時間の労働などで引き起こされやすい過労状態を簡便かつ客観的に発見することも可能である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ヒトの疲労度を評価する方法およびその利用法、疲労度を評価するためのキット、ならびに抗疲労物質の抗疲労力測定方法に関する。
疲労は、日常生活において非常に身近な問題であり、ストレスの多い現代人の中では、さまざまな疲労に悩む人が多い。しかしながら、「疲労」に関する科学的・医学的研究は、断片的に行われていたに過ぎず、「疲労」という主観的症状をいかに定量的・客観的に表すかという決定的手段または定量尺度については、ほとんど研究されていない。
これまで「疲労」の代表的な例として、筋肉疲労(運動疲労)が主に研究されており、その指標として、筋肉中の乳酸産生量の増加が注目されていた。しかし、本来乳酸は脳神経系にとって重要なエネルギー源であり、乳酸が筋肉活動を阻害するという説は、現在では否定的に捉えられている。
その他、筋肉疲労にともなって、体液中のピルビン酸の上昇、およびpHが低下する現象が知られている。これらは筋肉への負荷(運動負荷)という一定のストレスを与えたときには確かにみられる現象であるが、「疲労」は局部的な筋肉疲労とは異なり、生体に現れるもっと幅広い大きな生理現象と考えられている。
特許文献1では、血液中のアシルカルニチン量を指標として日常生活における疲労度を評価している。また特許文献2では、指尖加速度脈波を測定し、その脈波をカオス解析することによりヒトの日常生活における疲労度を評価している。
一方、Hemeとは、生体内において酸素運搬をはじめ電子伝達、解毒および転写調節など様々な機能を持つ重要な因子として知られている(図1)。Heme代謝系に存在する5−アミノレブリン酸は5−アミノレブリン酸脱水素酵素によりポルフォビリノーゲン(Porphobilinogen (PBG))に変換され(図1)、当該酵素の活性低下により発祥するポリフィン症は神経障害を伴うことが知られている。
上記5−アミノレブリン酸とは、Heme合成系に属するアミノ酸の一種である。5−アミノレブリン酸に関する研究としては、例えば、非特許文献1では、5−アミノレブリン酸によるアデニルサイトレート活性の抑制が記されている。また、非特許文献2では、5−アミノレブリン酸がミトコンドリアおよびDNAの損傷を誘導することが示唆されている。
上述のように、筋肉負荷(運動負荷)による筋肉疲労(運動疲労)に関する開発研究は進められているが、日常生活における疲労症状は、先に述べたように、多くの現代人が感じているものであるにも関わらず、その客観的な評価方法について、ほとんど報告がなされていない。また、疲労とHeme代謝に関わる研究は、運動に注目が集められ多く行われてきたが、運動以外で起こる疲労については殆ど行われていない。日常生活における疲労症状は、そのまま放置すると長時間過密の働きすぎによる突然死である過労死に直結するおそれもある。過労死の問題は医学的、経済的、社会的にも非常に重要であると認識されているにもかかわらず、その科学的メカニズムについてほとんど解明されていない。このため、近年、社会問題化している過労死を防止するためにも客観的な疲労度の評価方法が必要とされている。
さらに、市場に氾濫する栄養ドリンクなどの医薬品または健康食品等の多くは、疲労を回復または抑制する機能性を売り物としたものであるため、その機能性に対する科学的な裏づけが消費者のみならず市場・社会全体において広く求められている。
以上のように、運動負荷による疲労についての知見はあるものの、運動負荷による疲労と日常生活における疲労とはまったく異なるものであり、日常生活における疲労の評価方法は開発されていない。このため、簡便かつ客観的にin vivoにおける日常生活における疲労についての評価方法およびその利用法の開発が強く求められている。
特開2005−70024公報 WO2005000119 Tatiana Emanuelli, Fernanda W. Pagel, et.al, 2001, Inhibition of adenylate cyclase actibity by 5−aminolevulinic acid in rat and human brain. Neurochemistry International, 38, 213−218 Janice Onuki, Yuming Chen, 2004, Mitochondrial and nuclear DNA damage induced by 5−aminolevulinic acid, Archives of Biochemistry and Biophysics, 432, 178−187
本発明の課題は、簡便かつ定量的に疲労度を評価する方法及び利用法、疲労度を評価するためのキット、ならびに抗疲労物質の抗疲労力測定方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、体液中の5−アミノレブリン酸量を測定・評価することにより、日常生活の疲労に対する疲労度を定量的に評価できることを独自に見出し、この実験系を利用して日常生活における疲労度を測定することができる本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明にかかる疲労度評価方法は、上記の課題を解決するために、体液中の5−アミノレブリン酸量を指標として疲労度を評価することを特徴とする。上記の方法では簡便かつ客観的にヒトの疲労度を評価でき、疲労回復又は抑制効果を持つ医薬品をはじめ、栄養ドリンクや健康食品といった栄養補助食品の効果効能を定量的に求めることも可能である。さらに、長時間の労働などで引き起こされやすい過労状態を簡便かつ客観的に発見することも可能である。
本発明にかかる疲労度評価キットは、上記の課題を解決するために、上述の疲労度評価方法を実施するためのものであることを特徴としている。
本発明にかかる抗疲労物質の抗疲労力測定方法は、上記の課題を解決するために、上述の疲労度評価方法および疲労度評価キットのいずれかを用いて、抗疲労物質の抗疲労力を測定することを特徴としている。
すなわち、上記の課題を解決するために、より具体的には下記の発明が提供される。
[1]
体液中の5−アミノレブリン酸量を指標として、被験者の疲労度を評価することを特徴とする疲労度評価方法。
[2]
上記5−アミノレブリン酸量が多ければ、疲労度が高いと評価することを特徴とする請求項1に記載の疲労度評価方法。
[3]
5−アミノレブリン酸量を、5−アミノレブリン酸量遺伝子の発現量として測定する、請求項2に記載の疲労度評価方法。
[4]
上記5−アミノレブリン酸量が多ければ、被験者が日常生活で生じる中長期的急性疲労の蓄積による過労状態にあると評価することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の疲労度評価方法。
[5]
上記5−アミノレブリン酸量が多ければ、被験者が疾患による慢性疲労の状態であると評価することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の疲労度評価方法。
[6]
上記疲労度が、日常生活で生じる中長期的疲労または疾患による疲労であって、精神疲労および/または複合的な疲労による疲労度であることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の疲労度評価方法。
[7]
上記体液は、血液、唾液、脳骨髄液および尿から選ばれる少なくとも一種類であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の疲労度評価方法。
[8]
上記請求項1ないし7のいずれか一項に記載の疲労度評価方法を実施するための疲労度評価キット。
[9]
採取した体液中の5−アミノレブリン酸量を測定する手段を含むキットであって、体液中の5−アミノレブリン酸量を指標として被験者の疲労度を評価するために使用できることが表示されている、請求項8に記載のキット。
[10]
(i) 被験者が抗疲労物質の候補である物質を摂取する前に当該被験者の体液を採取し、体液中の5−アミノレブリン酸量を測定する摂取前5−アミノレブリン酸量測定工程と、
(ii) 被験者が抗疲労物質の候補である物質を摂取した後に当該被験者の体液を採取し、体液中の5−アミノレブリン酸量を測定する摂取後5−アミノレブリン酸量測定工程と、
(iii) (i)の摂取前5−アミノレブリン酸量測定工程、及び(ii)の摂取後5−アミノレブリン酸量測定工程によって得られた、当該抗疲労物質の候補である物質の摂取前後における5−アミノレブリン酸量の変化の測定結果に基づき、当該抗疲労物質の候補である物質の摂取前後における体液中の5−アミノレブリン酸量の変化を算出する5−アミノレブリン酸量変化算出工程と、
(iv) (iii)の5−アミノレブリン酸量変化算出工程によって得られた当該抗疲労物質の候補である物質の摂取前後における体液中の5−アミノレブリン酸量変化に基づき、当該抗疲労物質の候補である物質の生体における抗疲労力を測定する抗疲労力測定工程とを含む、抗疲労物質の候補である物質の抗疲労効果評価方法。
[12]
(i) 抗疲労物質の候補である物質を摂取した被験者と、抗疲労物質の候補である物質を摂取しなかった被験者からそれぞれ体液を採取し、それぞれの体液中の5−アミノレブリン酸量を測定する5−アミノレブリン酸量測定工程と、
(ii) (i)の5−アミノレブリン酸量測定工程によって得られた、当該抗疲労物質の候補である物質の摂取の有無による5−アミノレブリン酸量の変化の測定結果に基づき、当該抗疲労物質の候補である物質の摂取の有無による体液中の5−アミノレブリン酸量の変化を算出する5−アミノレブリン酸量変化算出工程と、
(iii) (ii)の5−アミノレブリン酸量変化算出工程によって得られた当該抗疲労物質の候補である物質の摂取の有無による体液中の5−アミノレブリン酸量変化に基づき、当該抗疲労物質の候補である物質の生体における抗疲労力を測定する抗疲労力測定工程とを含む、抗疲労物質の候補である物質の抗疲労効果評価方法。
[13]
上記請求項1ないし6のいずれか一項に記載の疲労度評価方法および請求項7または8のいずれか一項に記載の疲労度評価キットのいずれかを用いて、抗疲労物質の候補である物質の抗疲労効果を測定することを特徴とする、請求項9または10のいずれか一項に記載の抗疲労効果評価方法。
[14]
抗疲労物質をスクリーニングするための、請求項9〜11のいずれか一項に記載の抗疲労物質の候補である物質の抗疲労効果評価方法。
本発明にかかる疲労度評価方法、疲労度評価キット、その利用方法、及び抗疲労物質の抗疲労力測定方法によれば、被験者の体液を採取することにより、被験者の当該疲労度が定量的に評価できるという効果を奏する。さらに、かかる方法及びキットは、いずれも簡便であるだけでなく、長時間にわたる拘束も必要としないため、被験者にとっては苦痛やわずらわしさを感じさせることがない。また、方法等も実施者にとっても簡便であり、被験者及び実施者の両者にとって非常に取り扱いやすいものであるという効果を奏する。それゆえ、抗疲労物質のスクリーニング方法や、抗疲労能を謳った食品等のin vivo評価に利用することができ、非常に有用な技術である。
本発明にかかる疲労度評価キットによれば、例えば、被験者から体液を採取し、体液中の5−アミノレブリン酸量を測定し、その量を算出することで、疲労抑制又は回復効果がある医薬品及び食品の効果効能を評価できる。すなわち、疲労抑制又は回復効果がある医薬品又は食品の生体における効果効能を簡便かつ定量的に求めることができる。
本発明の方法によれば、ヒトの疲労症状に対して、抗疲労物質がどの程度改善効果を有するのか、すなわち、抗疲労物質の有する抗疲労力について、簡便かつ確実、さらに定量的に、測定することができる。
本発明は、日常生活における疲労度を簡便かつ定量的に測定・評価するための方法、キット及びその利用法を提供するものである。このため、本発明によれば、日常生活において、疲労度を客観的に知ることができ、疲労が知らず知らずのうちに蓄積して引き起こされる種々の疾患の発生を回避できる。さらに、疲労を意識せずに働き続けることにより発生する過労死の発生率を低下させることもできる。
さらに、本発明によれば、市場に数多く供給される、疲労回復、滋養強壮・栄養補給を謳う医薬品や食品がどの程度生体において抗疲労力を発揮するのか、といった情報を消費者及び社会に提供することができる。これらの情報は、消費者にとって、過労の予防や、滋養強壮に有効な抗疲労食品や医薬品を選択する際の一つの目安として利用することができるものであり、これらの点において、本発明は非常に有用かつ社会的インパクトの強い発明である。
以下、本発明にかかる疲労度評価方法、キット、及び利用法について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本明細書における「疲労」とは、生理的疲労と病的疲労に分類される。本明細書における「生理的疲労」とは、人間が健康を維持するための防御反応を意味する。また、「病的疲労」とは、慢性疲労症候群、うつ病、心臓病、肝炎、貧血、各種感染病、ガンなどの病気に基づく疲労を意味する。
「生理的疲労」はさらに、「急性疲労」と「慢性疲労」に分類される。本明細書における「急性疲労」とは、適切な休息によって回復する一過性の疲労を意味する。また、「慢性疲労」とは、日々の回復が不完全なために,疲労が蓄積して長期間にわたる疲労を意味する。本明細書における中長期的疲労とは、上記慢性疲労に至る前の急性疲労を意味する。
「急性疲労」、及び「慢性疲労」はそれぞれ、「精神疲労」と「肉体疲労」に分類される。本明細書における「精神疲労」とは、複雑な計算や記憶、または思考などの心理活動ばかりでなく、我慢や緊張または時間に追われて作業をすることの焦操感など、感情や意思の活動が過度に要求された場合に生じる、眼精疲労、心的ストレスを含む疲労を意味する。また、本明細書における「肉体疲労」とは、肉体的作業の遂行や電磁波の影響によって起こる疲労を意味する。さらに、本明細書における「精神疲労負荷」とは、上記精神的疲労を与えることを意味する。
本明細書における「複合的な疲労」とは、上記した各種の疲労の組み合わせからなる疲労を意味する。
本明細書における「遷延性疲労」とは、何らかの誘因によってもたらされた疲労が長時間回復せずに継続する状態を意味する。
本明細書における「疲労度」とは、上記に挙げた各種の「疲労」の結果生じた、過度の肉体的、精神的な活動より生じた独特の病的不快感と休養を求める欲求を伴う身体あるいは精神機能の減弱状態の度合いをいう。ここで「身体あるいは精神機能の減弱状態」とは、身体および精神作業能力の質的あるいは量的な低下を意味する。
本明細書における「過労状態」とは、上記生理的疲労であって、慢性疲労である状態が持続した結果、生体リズムが崩壊し、生命を維持する機能に致命的破綻をきたした状態であって、病的疲労に至る状態を意味する。
本発明は、上記に挙げた各種の「疲労」の全てを対象とするものであるが、なかでも、生理的疲労の中でも急性疲労であって、中長期的疲労であることが好ましい。本発明はさらに、中長期的疲労のうちの、精神疲労負荷に対する疲労であることが好ましい。また、本発明の対象は、遷延性疲労が好ましい。
以下に、本発明の概要を簡単に説明する。ここで述べる方法の概要は、後述するキット及び利用方法にも共通する部分が多分に存在する。
(1)疲労度評価方法
本発明者は、被験者の体液を採取し、体液中の5−アミノレブリン酸量を測定することにより、ヒトの疲労度を簡便かつ定量的に測定することができることを見出した。この方法は、大掛かりな装置が必要ないだけでなく、体液の採取時間が短いことから、被験者にとって時間的拘束が少なく、また、方法の実施者にとっても非常に簡便な方法である。
本発明の対象となる体液は血液、唾液、脳脊髄液及び尿から選ばれる少なくとも一種以上であればよいが、血液および尿が好適である。
体液中の5−アミノレブリン酸量の測定は従来公知の方法であればよく、具体的な手法、条件などは、当業者であれば適宜設定可能である。例えば、高速液体クロマトグラフィー法などが挙げられる。
また、本発明に係る疲労度測定方法においては、上記体液中の5−アミノレブリン酸量がより高ければ、被験者の疲労度がより高いと評価することが好適である。これは、被験者の疲労度が高まれば、それに応じて被験者の5−アミノレブリン酸量が上昇することから導かれる。
さらに、本発明にかかる疲労度評価方法の一部あるいは全部をコンピュータ等の従来公知の演算装置(情報処理装置)を利用して行うことも可能であることは、当業者には明らかである。例えば、本発明にかかる疲労度評価方法は、体液中の5−アミノレブリン酸量を測定する測定工程と、体液中の5−アミノレブリン酸量の測定結果に応じて被験者の疲労度を評価する評価工程とを含むと換言できるが、この中でも、特に評価工程に演算装置を利用することができる。
(2)疲労度評価キット
次に、本発明にかかる疲労度評価キットについて説明する。本発明にかかる疲労度評価キットは、ヒトにおける疲労度を評価するキットである。すなわち、上記(1)欄で説明した本発明にかかる疲労度評価方法を実施するためのキットであればよい。詳細には、被験者の体液中の5−アミノレブリン酸量を測定する手段とを含むキットであればよい。本発明における体液中の5−アミノレブリン酸量を測定する手段としては、従来公知の測定方法を実施するために必要な手段であればよい。従来公知の測定方法を実施するために必要な手段とは、具体的には、例えば、上記(1)欄で説明した体液中の5−アミノレブリン酸量を測定する方法を実施するために必要な試薬、器具、装置、触媒その他のものをいう。本発明にかかる疲労度評価キットは、被験者の体液を採取するための手段を含んでいてもよい。また、その包装材に付されたラベル又は添付された文書に、体液中の5−アミノレブリン酸量を指標として被験者の疲労度を評価するために使用できることが表示されていてもよい。
さらに本発明にかかる疲労度評価キットは、コンピュータなどの従来公知の演算装置を用いてなるキットとなっていてもよい。
(3)疲労度評価方法及び疲労度評価キットの利用法
以上のように、本発明にかかる疲労度評価方法、疲労度評価キットによれば、被験者が抗疲労物質を摂取する前後において、被験者の体液中の5−アミノレブリン酸量を測定することで、当該抗疲労物質の被験者生体内における抗疲労力を定量的に測定・評価することができる。さらに、かかる方法、キットはいずれも簡便であるだけでなく、大掛かりな装置や長時間における拘束が必要ないため、被験者及び実施者の両者にとって非常に取り扱いやすいものであるという利点がある。
このため、本発明にかかる疲労度評価方法、疲労度評価キットのいずれかを用いて、抗疲労物質の抗疲労力を測定する方法も本発明に含まれる。かかる抗疲労物質の抗疲労力測定方法は、例えば、
(i) 被験者が抗疲労物質の候補である物質を摂取する前に当該被験者の体液を採取し、体液中の5−アミノレブリン酸量を測定する摂取前5−アミノレブリン酸量測定工程と、
(ii) 被験者が抗疲労物質の候補である物質を摂取した後に当該被験者の体液を採取し、体液中の5−アミノレブリン酸量を測定する摂取後5−アミノレブリン酸量測定工程と、
(iii) (i)の摂取前5−アミノレブリン酸量測定工程、及び(ii)の摂取後5−アミノレブリン酸量測定工程によって得られた、当該抗疲労物質の候補である物質の摂取前後における5−アミノレブリン酸量の変化の測定結果に基づき、当該抗疲労物質の候補である物質の摂取前後における体液中の5−アミノレブリン酸量の変化を算出する5−アミノレブリン酸量変化算出工程と、
(iv) (iii)の5−アミノレブリン酸量変化算出工程によって得られた当該抗疲労物質の候補である物質の摂取前後における体液中の5−アミノレブリン酸量変化に基づき、当該抗疲労物質の候補である物質の生体における抗疲労力を測定する抗疲労力測定工程とを含む方法と換言することもできる。
本発明の抗疲労物質の候補である物質の抗疲労力を測定する方法においては、さらに、かかる抗疲労物質の候補である物質を投与した被験者(投与群)と、当該物質を投与しなかった被験者(非投与群)において、上記抗疲労力測定方法を実施する方法とすることもできる。
被験者における抗疲労物質の候補である物質の摂取方法は、当業者であれば適宜設定可能である。本明細書における「摂取」とは、被験者における当該物質の飲食品としての摂取のみならず、当該物質の経口投与、及び非経口投与のいずれをも意味する。
本明細書における「抗疲労」とは、疲労の回復、抑制、または予防効果を意味する。「抗疲労物質」とは、疲労を回復、抑制または予防する効果を有する物質を含む。
また、本発明にかかる疲労度評価方法、疲労度評価キットは、例えば、抗疲労物質のスクリーニング方法に利用することができる。すなわち、本発明にかかる抗疲労物質のスクリーニング方法は、上記疲労度評価方法、疲労度評価キットのいずれかを利用して、抗疲労物質をスクリーニングする方法であればよく、その具体的な方法、条件などは限定されるものではない。
上記スクリーニング方法によれば、例えば、抗疲労食品として利用可能と思われる食品を被験者に経口摂取させて、実際にin vivoで優れた抗疲労能を示す食品を簡便かつ客観的に選択することができる。したがって、上記スクリーニング方法により得られた抗疲労物質や抗疲労食品は、生体における効果が証明されたものであり、市場において高い評価を獲得することができる。
本発明にかかる新規抗疲労物質は、上記スクリーニング方法により取得されたものであればよく、上記のスクリーニング方法により取得された抗疲労物質も本発明に含まれる。
また、疲労が社会問題化されるにつれて、抗疲労機能を謳った抗疲労物質、抗疲労食品が種類、数量とともに増加してきており、これらの食品の抗疲労力を適切に評価する方法の開発も強く求められているが、本発明にかかる疲労度評価方法、疲労度評価キットおよびその利用法によれば、この要求にも応えることができる。
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
(実施例)
(1) 疲労モデルラットを用いた5−アミノレブリン酸量を指標とする疲労度評価
(1−1)方法
疲労のモデルラットとして7週齢の雄SDラット(各群 N=5〜11)を水温23±1℃の1.5cm水深ゲージにて5日間飼育した(以下、5日間水浸群という。)。この環境下では水を忌避するラットにとって十分な睡眠や休息姿勢をとることが不可能であり、精神的にも肉体的にもつねに休息できない状況となる。上記5日間水浸群の飼育と並行して、対照群、制限食群(7.5g/日)のラット(いずれも7週齢の雄SDラット)も飼育した。さらに疲労回復群のラットを作製するために、5日間水浸後のラットを通常ケージにおいて1時間、2時間及び1日飼育した。各群ラットの血漿および尿を、採取し、5−アミノレブリン酸量を測定した。
(1−2)ラットの血漿および尿中の5−アミノレブリン酸の測定方法
ラットの血漿および尿中の5−アミノレブリン酸は、蛍光高速液体クロマトグラフィー法により測定した。まず、血漿を15μlの0.06M ヨードアセトアミド(iodoacetoamide、和光純薬製)と2分間混合し、たんぱく質を取り除くため、60μlの35%トリクロロ酢酸(trichloroacetic、和光純薬製)を加えた。その後、1,600×gで10分間遠心分離をおこなった。次に、タンパク質を除いた血漿サンプルと尿サンプルをそれぞれ50μlとり、3.5mlのアセチルアセトン溶液(アセチルアセトン(acetylacetone、和光純薬製) 15ml、エタノール 10ml、蒸留水75mlおよび10%ホルムアルデヒド溶液 0.45mlをすべて混合した溶液)を加えよく混合し、100℃で10分間加熱した。冷却後、それぞれの混合物のうち100μlを高速液体クロマトグラフィー(島津製)にて測定した。高速液体クロマトグラフィーの測定条件は以下の通りである。
・mobile phase, methanol−water (45:55)
・analytical column,5C18 MS (ナカライテスク社製)
・flow−rate,0.7 ml/min
・column temperature, 40℃
・The excitation and emission wavelengths were set at 373 and 463 nm
(1−3)結果
5−アミノレブリン酸の測定結果を図2(血漿)および図3(尿)に示す。
血漿中の5−アミノレブリン酸量は、5日間水浸群において増加が観察された (約1.4倍, P < 0.005) 。増加した5−アミノレブリン酸量は、回復時間に伴い減少し、24時間後にはコントロールレベルに戻った。一方、尿中においても疲労群の5−アミノレブリン酸量の増加 (約2倍, P < 0.005) が認められ、さらに血漿同様、回復時間とともに減少することが観察された。
本発明にかかる疲労度評価方法は、ストレスや疲労メカニズムの解明に利用することができ、ストレス解消方法の開発、疲労の程度評価、疾患にともなう体力低下の評価をすることができる。また、本発明を利用することにより、市場に出回る抗疲労を謳う健康食品、特定保健用食品および養ドリンクなどの効果の定量化(評価)が可能になる。よって本発明は、医療業、製薬業、健康食品産業、健康機器産業等の広範な分野に利用が可能である。
Heme代謝系の代謝図である。 血漿中における5−アミノレブリン酸量の測定結果である。 尿中における5−アミノレブリン酸量の測定結果である。

Claims (12)

  1. 体液中の5−アミノレブリン酸量を指標として、被験者の疲労度を評価することを特徴とする疲労度評価方法。
  2. 上記5−アミノレブリン酸の量が多ければ、疲労度が高いと評価することを特徴とする請求項1に記載の疲労度評価方法。
  3. 上記5−アミノレブリン酸量が多ければ、被験者が日常生活で生じる中長期的急性疲労の蓄積による過労状態にあると評価することを特徴とする請求項1ないし2のいずれか一項に記載の疲労度評価方法。
  4. 上記5−アミノレブリン酸量が多ければ、被験者が疾患による慢性疲労の状態であると評価することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の疲労度評価方法。
  5. 上記疲労度が、日常生活で生じる中長期的疲労または疾患による疲労であって、精神疲労および/または複合的な疲労による疲労度であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の疲労度評価方法。
  6. 上記体液は、血液、唾液、脳骨髄液および尿から選ばれる少なくとも一種類であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の疲労度評価方法。
  7. 上記請求項1ないし6のいずれか一項に記載の疲労度評価方法を実施するための疲労度評価キット。
  8. 採取した体液中の5−アミノレブリン酸量を測定する手段を含むキットであって、体液中の5−アミノレブリンの量を指標として被験者の疲労度を評価するために使用できることが表示されている、請求項7に記載のキット。
  9. (i) 被験者が抗疲労物質の候補である物質を摂取する前に当該被験者の体液を採取し、体液中の5−アミノレブリンの量を測定する摂取前5−アミノレブリン酸量測定工程と、
    (ii) 被験者が抗疲労物質の候補である物質を摂取した後に当該被験者の体液を採取し、体液中の5−アミノレブリン酸の量を測定する摂取後5−アミノレブリン酸量測定工程と、
    (iii) (i)の摂取前5−アミノレブリン酸量測定工程、及び(ii)の摂取後5−アミノレブリン酸量測定工程によって得られた、当該抗疲労物質の候補である物質の摂取前後における5−アミノレブリン酸量の変化の測定結果に基づき、当該抗疲労物質の候補である物質の摂取前後における体液中の5−アミノレブリン酸量の変化を算出する5−アミノレブリン酸量変化算出工程と、
    (iv) (iii)の5−アミノレブリン酸量変化算出工程によって得られた当該抗疲労物質の候補である物質の摂取前後における体液中の5−アミノレブリン酸量変化に基づき、当該抗疲労物質の候補である物質の生体における抗疲労力を測定する抗疲労力測定工程とを含む、抗疲労物質の候補である物質の抗疲労効果評価方法。
  10. (i) 抗疲労物質の候補である物質を摂取した被験者と、抗疲労物質の候補である物質を摂取しなかった被験者からそれぞれ体液を採取し、それぞれの体液中の5−アミノレブリン酸の量を測定する5−アミノレブリン酸量測定工程と、
    (ii) (i)の5−アミノレブリン酸量測定工程によって得られた、当該抗疲労物質の候補である物質の摂取の有無による5−アミノレブリン酸量の変化の測定結果に基づき、当該抗疲労物質の候補である物質の摂取の有無による体液中の5−アミノレブリン酸量の変化を算出する5−アミノレブリン酸量変化算出工程と、
    (iii) (ii)の5−アミノレブリン酸量変化算出工程によって得られた当該抗疲労物質の候補である物質の摂取の有無による体液中の5−アミノレブリン酸量変化に基づき、当該抗疲労物質の候補である物質の生体における抗疲労力を測定する抗疲労力測定工程とを含む、抗疲労物質の候補である物質の抗疲労効果評価方法。
  11. 上記請求項1ないし6のいずれか一項に記載の疲労度評価方法および請求項7または8のいずれか一項に記載の疲労度評価キットのいずれかを用いて、抗疲労物質の候補である物質の抗疲労効果を測定することを特徴とする、請求項9または10のいずれか一項に記載の抗疲労効果評価方法。
  12. 抗疲労物質をスクリーニングするための、請求項9〜11のいずれか一項に記載の抗疲労物質の候補である物質の抗疲労効果評価方法。
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