JP2009028523A - 紙粉末含有箸 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラスチック材料から作られた箸が有する前記問題点を解決することができ、繰り返しの使用が可能な紙粉末含有箸を提供する。
【解決手段】紙粉末含有箸10は、30重量%以上50重量%未満のポリプロピレンと、蛍光物質、重金属、インク成分を非含有であって、30〜100μmの粒径を有する40重量%以上60重量%以下の紙粉末と、5〜50μmの粒径を有する5重量%以上10重量%以下のゼオライト粉末と、1〜10μmの粒径を有する5重量%以上10重量%以下の銀粉末とを混練したペレット状混合物を使用し、ペレット状混合物を加熱、混練した溶融混合物を箸成形金型に注入し、溶融混合物を箸成形金型内で箸の形状に成形することから作られている。
【選択図】図1

Description

本発明は、紙粉末を含有する箸に関する。
互いに並行して並ぶ二本の箸本体の中央部にそれら箸本体どうしを連結する連結部が形成され、それら箸本体と連結部とがプラスチック材料から一体的に作られた箸がある(特許文献1参照)。この箸は、箸本体と連結部とがプラスチック材料から作られているから、洗浄性がよく、衛生的に使用することができる。また、曲げ弾性率が1GPa以上、荷重たわみ温度が190℃以上のプラスチック材料から作られた箸がある(特許文献2参照)。この箸は、前端からの距離1〜10mmの範囲における最小径が1.0〜3.8mmの範囲にある。この箸は、塗装膜がなく、耐熱温度も高いから、食器洗浄機を利用して高温での洗浄が可能であり、繰り返しの使用が可能である。
特開2004−216088号公報 特開2006−158811号公報
前記特許文献1や特許文献2に開示の箸は、それらがプラスチック材料で作られているから、それらを使用するときに使用者に冷感を与えるのみならず、表面が滑り易く、箸の使用中に手から滑り落ちてしまう場合がある。また、箸を自動食器洗浄機で洗浄すると、先細りの前端部がひび割れる場合があり、繰り返しの使用ができない場合がある。また、箸を電子レンジで加熱すると、不規則に変形する場合があるとともに、プラスチック添加剤等の不純物が表面に滲出する場合がある。それら特許文献1,2に開示の箸は、その焼却処理時に煤煙が発生し、大気汚染の原因になる場合があるばかりか、その焼却処理時に多量のCOを排出するから、地球温暖化の原因になる。さらに、燃焼カロリーが高く、高い焼却温度でなければそれを完全燃焼させることができない。
本発明の目的は、プラスチック材料から作られた箸が有する前記問題点を解決することができ、繰り返しの使用が可能な紙粉末含有箸を提供することにある。
前記課題を解決するための本発明にかかる紙粉末含有箸は、30重量%以上50重量%未満のポリプロピレンと、蛍光物質、重金属、インク成分を非含有であって、30〜200μmの平均粒径を有する40重量%以上60重量%以下の紙粉末とを混練したペレット状混合物を使用し、そのペレット状混合物を加熱、混練した溶融混合物を箸成形金型に注入し、前記溶融混合物を前記箸成形金型内において箸の形状に成形することから作られている。
本発明の一例として、ペレット状混合物には、5〜50μmの粒径を有する5重量%以上10重量%以下のゼオライト粉末が含まれる。
本発明の他の一例として、ペレット状混合物には、1〜10μmの粒径を有する5重量%以上10重量%以下の銀粉末が含まれる。
本発明の他の一例として、紙粉末含有箸は、それが紙粉末を含有することでその耐熱温度が130℃以上190℃以下の範囲にあり、その曲げ弾性率が4000MPa以上6000MPa以下の範囲にある。
本発明の他の一例として、ポリプロピレンには、曲げ弾性率が1500MPa以上2000MPa以下、メルトフローレート(MFR)が(230℃、2,16kg、1φオリフィス)で50g/10分以上100g/10分以下のグレードが使用されている。
本発明の他の一例として、箸の全長を100%としたときの該箸の前端から後端に向かう少なくとも20〜35%の範囲の表面全域には、10〜50μmの厚みを有するポリプロピレンのみの層が形成されている。
本発明にかかる紙粉末含有箸によれば、それが30〜200μmの粒径を有する40重量%以上60重量%以下の紙粉末を含むから、プラスチック材料のみから作られた箸と比較し、使用者に冷感を与えることがないのみならず、紙成分が抵抗要素となり、手に持ったときに滑り難く、使用中に手から滑り落ちる度合いを少なくすることができる。紙粉末含有箸は、それが紙粉末を含むから、アルカリ洗剤に対する耐性が高く、さらに、箸を自動食器洗浄機で洗浄したとしても、先細りの前端部にひび割れが生じることはないから、繰り返して使用することができ、使い捨てのように資源の無駄が生じることはない。また、箸を電子レンジで加熱したとしても、不規則に変形することはなく、プラスチック添加剤等の不純物が表面に滲出することもない。紙粉末含有箸は、紙粉末の平均粒径が30〜200μmの範囲にあり、紙粉末が混合物に略均一に分散しているから、箸の強度が部分的に低下することはなく、箸が不用意に折損してしまうことはない。この紙粉末含有箸は、ポリプロピレンに紙粉末を混入した混合物から作られているから、箸の焼却処理時に煤煙の発生がなく、焼却処理時に大気を汚染することはないのみならず、それが紙粉末を含むことで、プラスチック材料のみから作られた箸と比較し、その焼却処理時のCOの排出量を極端に少なくすることができる。さらに、プラスチック材料のみから作られた箸と比較してその燃焼カロリーが低く、低い焼却温度で完全燃焼させることができる。
ペレット状混合物が、ポリプロピレンや紙粉末の他に、5〜50μmの平均粒径を有する5重量%以上10重量%以下のゼオライト粉末を含む紙粉末含有箸は、紙粉末から発生する臭いをゼオライト粉末に吸着させることができ、箸から異臭が発生することはなく、箸の使用中に臭いによる不快感を使用者に与えることはない。紙粉末含有箸は、紙粉末が湿気を含んだとしても、紙粉末の湿気をゼオライト粉末が吸湿するから、紙粉末の乾燥状態を維持することができ、紙粉末が湿気を含むことによる箸の脆弱化を防ぐことができ、箸の強度を一定に保持することができる。紙粉末含有箸は、ポリプロピレンに紙粉末とゼオライト粉末とを混入した混合物から作られているから、箸の焼却処理時に煤煙の発生がなく、焼却処理時に大気を汚染することはないのみならず、それが紙粉末やゼオライト粉末を含むことで、プラスチック材料のみから作られた箸と比較し、その焼却処理時のCOの排出量を極端に少なくすることができる。
ペレット状混合物が、ポリプロピレンや紙粉末の他に、1〜10μmの平均粒径を有する5重量%以上10重量%以下の銀粉末を含む紙粉末含有箸は、銀粉末の優れた殺菌作用により、箸に付着したバクテリアや雑菌を除去することができるとともに、箸におけるカビの発生や繁殖を防ぐことができ、箸を常に衛生的に使用することができる。紙粉末含有箸は、ポリプロピレンに紙粉末と銀粉末とを混入した混合物から作られているから、箸の焼却処理時に煤煙の発生がなく、焼却処理時に大気を汚染することはないのみならず、それが紙粉末や銀粉末を含むことで、プラスチック材料のみから作られた箸と比較し、その焼却処理時のCOの排出量を極端に少なくすることができる。
耐熱温度が100℃以上190℃以下の範囲にあり、曲げ弾性率が4000MPa以上6000MPa以下の範囲にある紙粉末含有箸は、箸を自動食器洗浄機で洗浄したとしても、先細りの前端部にひび割れが生じることはないから、繰り返して使用することができ、使い捨てのように資源の無駄が生じることはない。さらに、箸を電子レンジで加熱したとしても、不規則に変形することはなく、プラスチック添加剤等の不純物が表面に滲出することもない。この紙粉末含有箸は、それが紙粉末を含むから、プレスチック材料のみから作られている場合と比較し、曲げ弾性率が高く、箸の使用時に中間部と後端部とにおいて箸が不用意に撓むことはなく、物を挟み取る力を指から箸の前端部に確実に伝えることができる。この紙粉末含有箸は、物を挟み取る力が中間部と後端部とにおいて分散することはなく、その使用時に物を確実に挟み取ることができる。
ポリプロピレンとして、曲げ弾性率が1500MPa以上2000MPa以下、メルトフローレート(MFR)が(230℃、2,16kg、1φオリフィス)で50g/10分以上100g/10分以下のグレードを使用している紙粉末含有箸は、前記曲げ弾性率のポリプロピレンに紙粉末を混合することで、箸の曲げ弾性率が向上し、箸の使用時に中間部と後端部とにおいて箸が不用意に撓むことはなく、物を挟み取る力を指から箸の前端部に確実に伝えることができる。この紙粉末含有箸は、物を挟み取る力が中間部と後端部とにおいて分散することはなく、その使用時に物を確実に挟み取ることができる。また、ポリプロピレンのメルトフローレートが前記範囲にあるから、ポリプロピレンに紙粉末を混合した混合物の流動性が低下することはなく、混合物が箸成形金型内でショートモールドを起こすことはなく、箸成形金型を利用して箸を確実に作ることができる。
箸の全長を100%としたときの箸の前端から後端に向かう少なくとも20〜35%の範囲の表面全域に10〜50μmの厚みを有するポリプロピレンのみの層が形成された紙粉末含有箸は、箸の前端から後端に向かう20〜35%の部分において紙粉末が箸の表面に露出することはなく、その部分に水分や油分が滲入し難く、その部分に水分や油分が滲入することによる箸の脆弱化を防ぐことができる。また、箸の前端から後端に向かう20〜35%の部分において食物に紙粉末が付着することはなく、紙粉末が体内に取り込まれることはない。
添付の図面を参照し、本発明にかかる紙粉末含有箸の詳細を説明すると、以下のとおりである。図1は、一例として示す紙粉末含有箸10Aの斜視図であり、図2は、図1の2−2線矢視断面図である。図3は、図1の3−3線端面図であり、図4は、後端部14に形成された凹部15を上から見た図である。図1では、長さ方向を矢印L1で示し、横方向を矢印L2で示す。なお、図1では箸10Aを1本のみ図示しているが、図示の箸10Aと同形同大の他の1本の箸と対で販売される。また、図1を後記する他の一例の紙粉末含有箸10Bの斜視図として援用する。
紙粉末含有箸10Aは、ポリプロピレン20、紙粉末21、ゼオライト粉末22、銀粉末23を混合した混合物11であり、ペレット状混合物25(図5,6参照)を射出成形法によって成形することから作られている。箸10Aでは、ポリプロピレン20に紙粉末21やゼオライト粉末22、銀粉末23が略均一に分散している。箸10Aは、長さ方向の寸法を三等分したときに、物を挟み取る前端部12と、使用者が指をかける後端部14と、前後端部12,14の間に位置する中間部13とに区分される。箸10Aの後端部14には、箸10Aの周面から周方向内方へ凹む、扁平な凹部15が形成されている。凹部15には、店名や料理名、ロゴマーク等の宣伝表示16が刻印されている。
箸10Aでは、中間部13と後端部14とが長さ方向へ長い四角柱状を呈し、前端部12が長さ方向へ長い円柱状または四角柱状を呈する。箸10Aは、中間部13の略中央部分から前端部12の前端17に向かって太さが次第に細くなる先細りに形成されている。なお、箸10Aの前端部12の形状を円柱状または四角柱状に限定するものではなく、円柱状または四角柱状の他に、三角柱状や多角柱状であってもよい。また、箸10Aの中間部13と後端部14との形状を四角柱状に限定するものではなく、四角柱状の他に、円柱状や三角柱状、多角柱状であってもよい。
箸10Aでは、その後端部14から中間部13の略中央部分までの太さが同一であり、横方向の断面積が65〜80mmの範囲、好ましくは、55〜65mmの範囲にある。箸10Aでは、その長さ方向の全長を100%としたときに、その後端18から前端17に向かう65〜85%の範囲の太さが同一であり、そこから前端17に向かって先細りに形成されていればよい(この場合、前端17から後端18に向かう15〜35%の範囲を前端部12とし、残余の部分を二等分して中間部13と後端部14とする)。
箸10Aは、その後端部14から中間部13の略中央部分までの太さが同一であり、または、その長さ方向の全長を100%としたときに、その後端18から前端17に向かう65〜85%の範囲の太さが同一であり、それら範囲の太さが55〜80mmの範囲にあるから、中間部13と後端部14との剛性が高く、かつ、後端部14から中間部13に向かって先細りに形成されている場合と比較し、後端部14から中間部13に向かって箸10Aの剛性が次第に低くなることはない。箸10Aは、その使用時に中間部13と後端部14とが不用意に撓むことはなく、物を挟み取る力を指から前端部12に確実に伝えることができる。箸10Aは、中間部13や後端部14において物を挟み取る力が分散することはなく、その使用時に物を確実に挟み取ることができる。
箸10Aの前端部12には、その表面を包被する層19が形成されている。層19は、ポリプロピレン20のみから形成されており、その厚みが10μm以上50μm以下の範囲、好ましくは、その厚みが20μm以上30μm以下の範囲にある。層19の厚みが10μm未満では、箸10Aの使用時に層19が容易に剥がれ、箸10Aの前端部12において紙粉末21が表面に露出し、前端部12に水分や油分が容易に滲入してしまう。この箸10Aは、その前端部12にポリプロピレン20のみの層19が形成されているから、水分や油分を含むことによる箸10Aの脆弱化を防ぐことができる。また、箸10Aの前端部12において食物に紙粉末21やゼオライト粉末22、銀粉末23が付着することはなく、紙粉末21やゼオライト粉末22、銀粉末23が体内に取り込まれることはない。なお、層19は、箸10Aの全長を100%としたときの箸10Aの前端17から後端18に向かう少なくとも20〜35%の範囲に形成されていればよい。層19は、箸10Aの前端部12のみならず、箸10Aの全体に形成されていてもよい。また、箸10Aに層19が形成されていなくてもよい。
ポリプロピレン20には、ブロック重合ポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ホモ重合ポリプロピレン、メタロセン触媒ポリプロピレン、変成ポリプロピレンのうちのいずれか1つ、または、それらを所定の割合で混合したポリプロピレンを使用することができる。ポリプロピレン20には、線状ポリプロピレンとイソプレンとラジカル重合開始剤とを反応させた改質ポリプロピレンを使用することもできる。線状ポリプロピレンには、ポリプロピレンの単独重合体や共集合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体のうちの少なくとも1つを使用することができる。ラジカル重合開始剤には、過酸化物やアゾ化合物を使用することができる。
紙粉末21は、ボールミルや攪拌ミル、ローラミル等の微粉砕機を使用して紙(バージン紙)を微粉砕して作ることができる。紙粉末21は、紙を製造するときに発生する破紙や損紙を微粉砕して作ることもでき、パルプを微粉砕して作ることもできる。また、使用済みの紙カップや食品紙トレー、ミルクカートン等の食品用紙食器を微粉砕して作ることもできる。紙粉末21は、それが湿気を含むことがないように、ビニール袋に入れられ、かつ、除湿機能を備えた保管場所に保管されることで、その水分吸湿量が3%以上15%以下、好ましくは3%以上10%以下に管理されている。
紙には、バージン紙の他に、古紙を使用することもできる。古紙には、新聞古紙や雑誌古紙、印刷古紙、包装古紙、段ボール古紙、OA古紙等を使用することができる。パルプには、機械的パルプ、化学的機械パルプ、半化学的パルプ、化学的パルプのうちのいずれか1つ、または、それらを所定の割合で混合したパルプを使用することができる。パルプには、木材パルプを使用することが好ましいが、木材パルプにぼろパルプや茎かんパルプ、靭皮パルプのうちの少なくとも1つを混合したパルプを使用することもできる。紙やパルプ、食品用紙食器には、蛍光物質や重金属、インクを含まないものが使用されている。紙やパルプが塩素や蛍光漂白剤を含む場合は、脱塩素処理や脱蛍光漂白剤処理を施して塩素と蛍光漂白剤とを排除する。ゆえに、それらから作られた紙粉末21にも蛍光物質や重金属、インクは含まれていない。
紙粉末21には、紙やパルプに換え、または、紙やパルプとともに他の繊維成分を使用することができる。繊維成分には、セルロースから形成された麻や綿、竹、ケナフ等の植物繊維、レーヨンのうちのいずれか1つ、または、それらを所定の割合で混合した繊維を使用することができる。繊維成分を添加することにより、箸10Aの強度を向上させることができ、箸10Aの不用意な破損を防ぐことができる。
ゼオライト粉末22には、人工ゼオライトを使用することができる。人工ゼオライトは、無水物である石炭灰をアルカリ水熱処理することから作られる。人工ゼオライトを使ったゼオライト粉末22は、細孔径が5〜19Aの範囲、比表面積が100〜150m/grの範囲にあり、吸湿能力が20〜50%の範囲、吸油能力が1.3〜1.5倍の範囲にある。人工ゼオライトから形成されたゼオライト粉末22は、細孔径や比表面積が前記範囲にあるから、優れた脱臭機能を有し、さらに、吸湿能力や吸油能力が前記範囲にあるから、優れた吸湿機能および吸油機能を有する。
ゼオライト粉末22には、人工ゼオライトの他に、天然ゼオライトを使用することもできる。天然ゼオライトには、湯河原沸石、菱沸石、方沸石、束沸石、斜プチロル沸石、輝沸石、ソーダ沸石、モルデン沸石、濁沸石、灰十字沸石、重度十字沸石、トムソン沸石、中沸石、スコレス沸石、剥沸石、レビ沸石、コウルス沸石、ポルックス石のうちのいずれか1つ、または、それらを所定の割合で混合した沸石を使用することができる。天然ゼオライトから形成されるゼオライト粉末22は、微粉砕機を使用して天然ゼオライトを微粉砕して作ることができる。銀粉末23は、微粉砕機を使用して銀を微粉砕することで作られている。
図5は、押出機24を使用してペレット状混合物25を作るときの模式図であり、図6は、射出成形機27を使用して箸10Aを作るときの模式図である。図7は、箸10Aの前端部12にポリプロピレン20のみの層19を形成するときの模式図である。図5では、ダイ(金型)とカッターとの図示を省略している。紙粉末含有箸10Aの製造の一例を射出成形法を例として説明すると、以下のとおりである。箸10Aの製造工程は、押出機24を使用してペレット状混合物25を作るペレット成形工程と、射出成形機28を使用してペレット状混合物25を箸10Aに成形する箸成形工程と、箸19の前端部12に層19を作る層形成工程とから形成されている。
ペレット成形工程では、押出機24とダイ(金型)とカッターとを使用してペレット状混合物25を製造する。ペレット成形工程では、ビーズ状のポリプロピレン20、紙粉末21、ゼオライト粉末22、銀粉末23を用意する。ペレット成形工程において押出機24のホッパ26には、ビーズ状のポリプロピレン20、紙粉末21、ゼオライト粉末22、銀粉末23が投入される。押出機24の内部では、ヒーターによってポリプロピレン20と紙粉末21とゼオライト粉末22と銀粉末23とが加熱されるとともに、スクリュによってそれらが混練される。ポリプロピレン20は、溶融温度以上に加熱され、高温の溶融ポリプロピレンになる。紙粉末21やゼオライト粉末22、銀粉末23は、ポリプロピレン20とともに押出機24のスクリュによって混練されることで、溶融ポリプロピレンの中にほぼ均一に分散混入する。ポリプロピレン20や紙粉末21、ゼオライト粉末22、銀粉末23は、押出機24の内部で溶融混合物になる。
溶融混合物は、スクリュの回転によって押出機24の先端部27に向かって次第に移動する。押出機24の先端部27には、溶融混合物をヌードル状に成形するダイ(金型)と、ヌードル状に成形された溶融混合物を所定の長さにカットするカッターとが取り付けられている。押出機24の先端部27から押し出された溶融混合物は、ダイを通って複数のヌードル状に成形され、ヌードル状に成形された混合物がダイから排出された直後、カッターによって所定長さにカットされ、ペレット状に成形される。ペレット状混合物25は、冷却固化し、その形態を維持する。
ペレット状混合物25では、ポリプロピレン20の中に紙粉末21やゼオライト粉末22、銀粉末23が略均一に分散している。なお、紙粉末21は、その水分吸湿量が3%以上15%以下の範囲、好ましくは3%以上10%以下の範囲にある。水分吸湿量が15%を超過すると、紙粉末21が必要以上の水分を含有し、ポリプロピレン20と混合したときに、ポリプロピレン20の温度を低下させるから、ポリプロピレン20に紙粉末21を均一に分散混入させることができない。また、ペレット状混合物25は、それに含まれる紙粉末21が湿気を含むことがないように、複数のそれらがビニール袋に入れられ、かつ、除湿機能を備えた保管場所に保管されることで、混合物25における水分吸湿量が5%以下、好ましくは3%以下に管理されている。
箸成形工程では、ペレット成形工程で作られたペレット状混合物25が射出成形機28のホッパ29に投入される。射出成形機28の内部では、スクリュによってペレット状混合物25が混練されつつ、ヒーターによってペレット状混合物25が加熱され、ペレット状混合物26のうちのポリプロピレン20が溶融温度以上に加熱されて溶融し、溶融混合物になる。溶融混合物は、スクリュの回転によって射出成形機28の先端部30に向かって次第に移動する。射出成形機28の先端部30には、箸成形金型31が取り付けられている。箸成形金型31は、互いに重なり合う第1金型32と第2金型33とから形成されている。
第1および第2金型32,33には、図示はしていないが、溶融混合物が通る連絡路と、箸の形に作られた箸成形溝とが形成されている。箸成形溝は、前端部(箸10Aの前端部12に相当)および後端部(箸10Aの後端部14に相当)と、前後端部の間に位置する中間部(箸10Aの中間部13に相当)とを有する。中間部の略中央部分から後端部までは、その幅寸法が同一であり、四角柱状を呈して直状に延びている。後端部には、箸10Aに刻印される宣伝表示16のデボスパターンが形成されている。前端部は円柱状または四角柱状を呈し、中間部の略中央部分から前端部の前端に向かってその幅寸法が次第に狭くなる先細りに形成されている。
箸成形金型31に溶融混合物を注入するときは、図6に示すように、第1および第2金型32,33の一面が互いに当接するようにそれら金型32,33どうしを重ね合わせる。第1および第2金型32,33どうしの重ね合わせや離間は、油圧または空気圧またはモータ駆動によって行われる。射出成形機28から射出された溶融混合物は、射出成形機28のゲートから箸成形金型31の流入口を通って金型31内部に流入し、連絡路を通って箸成形溝に流入する。箸成形溝では、溶融混合物が溝の後端部から中間部を通り、前端部に向かって次第に流動する。箸成形金型31では、箸成形溝に流入した溶融混合物が溝において冷却固化することで、図1の箸10Aが作られる。
なお、箸成形金型31には、複数の箸の型(箸成形溝)が形成されており、一度に複数本の箸10Aが作られる。成形された箸10Aを箸成形金型31から取り出すには、第1金型32と第2金型33とを離間させ、成形された箸10Aを箸成形溝から取り出す。射出成形では、溶融混合物が高温のまま外気に触れることなく箸成形金型31に注入されるから、ペレット状混合物25に雑菌やウイルスが混入していたとしても、それらを確実に死滅させることができ、衛生的な箸10Aを作ることができる。また、ペレット状混合物25にカビ菌が混入したとしても、カビ菌を確実に死滅させることができ、箸10Aにおけるカビの発生を防ぐことができる。
層形成工程では、樹脂容器34を使用して箸10Aの前端部12にポリプロピレン20のみの層19を形成する。樹脂容器34は、所定の温度に加熱されている。樹脂容器34にはポリプロピレン20が収容され、ポリプロピレン20が加熱されて溶融状態にある。層形成工程では、箸成形工程で造られた箸10Aが樹脂容器34の上方に搬送され、容器34の上方に位置した箸10Aが矢印L3で示すように下降し、箸10Aの前端部12が溶融状態にあるポリプロピレン20に浸けられた後、箸10Aが矢印L4で示す容器34の上方へ引き上げられる。箸10Aが容器34の上方へ引き上げられると、溶融状態のポリプロピレン20が冷却固化し、箸10Aの前端部12の表面にポリプロピレン20のみから形成される層19が形成される。層19を形成するポリプロピレン20は、ペレット状混合物25を形成するそれと同一のものが使用されている。
なお、溶融状態のポリプロピレン20に浸けられる部位は箸10Aの前端部12であるが、箸10A全体をポリプロピレン20に浸け、箸10A全体の表面に層19を形成してもよい。また、箸10Aに層19を形成しない場合は、ペレット成形工程および箸成形工程から箸10Aが作られ、層形成工程が省略される。
ペレット成形工程と箸成形工程とにおける成形条件は、成形温度が160℃以上195℃以下、かつ、箸成形金型30の温度が50℃以上95℃以下である。成形温度が195℃を超過し、箸成形金型30の温度が95℃を超過すると、紙粉末21が炭化して箸10Aの強度が低下するとともに、紙粉末21が黄ばんで箸10Aが変色しまう場合がある。
ペレット状混合物25は、その水分吸湿量が5%以下、好ましくは3%以下である。ペレット状混合物25の水分吸湿量が5%を超過すると、混合物25が射出成形機28内において溶融混合物になり難く、混合物25を溶融混合物にするために成形温度を195℃より高くしなければならない場合がある。しかし、成形温度を195℃より高くすると、紙粉末21が炭化したり、紙粉末21が黄ばんでしまう。この製造方法では、ペレット状混合物25の水分吸湿量が5%以下であるから、前記成形温度でペレット状混合物25が確実に溶融し、紙粉末21の炭化や紙粉末21の黄ばみを防ぐことができ、強度低下がなく、変色のおそれがない箸10Aを作ることができる。
ペレット状混合物25の全重量に対するポリプロピレン20の割合(重量比)は、30重量%以上50重量%未満の範囲にある。ペレット状混合物25に対するポリプロピレン20の割合が30重量%未満では、加熱しても流動性を示さない紙粉末21、ゼオライト粉末22、銀粉末23をポリプロピレン20中に均一に分散混入させることができず、箸10Aに紙粉末21、ゼオライト粉末22、銀粉末23の塊部分が形成されてしまう場合がある。紙粉末21やゼオライト粉末22、銀粉末23の塊部分が形成された部位では箸10Aの強度が著しく低下し、箸10Aが部位において容易に破損してしまう場合がある。また、溶融混合物の流動性が著しく低下し、射出成形法によって箸10Aを製造するときに、溶融混合物が射出成形機28のゲートから箸成形金型31に円滑に流入しなかったり、溶融混合物が箸成形金型31の内部でショートモールドを起こし易く、箸成形金型31を利用して箸10Aを作ることができない場合がある。
ペレット状混合物25に対するポリプロピレン20の割合が50重量%を超過すると、箸10Aの耐熱温度が低下し、箸10Aを自動食器洗浄機で洗浄したときに前端部12にひび割れが生じてしまう場合があり、繰り返して使用することができない場合がある。また、電子レンジで加熱したときに箸10Aに不規則な変形が生じてしまう場合がある。さらに、箸10Aの焼却処理時におけるCOの排出量を減少させることができないのみならず、箸10Aの燃焼カロリーを低下させることができず、箸10Aの焼却温度が増加し、箸10Aを低い焼却温度で完全燃焼させることができない。ペレット状混合物25の全重量に対するポリプロピレン20の割合が前記範囲にあるから、箸成形金型31を利用して箸10Aを確実に作ることができる。さらに、箸10Aの耐熱温度が低下することはなく、箸10Aを自動食器洗浄機で洗浄したとしても、前端部12にひび割れが生じることはなく、繰り返して使用することができ、資源の無駄を防ぐことができる。
ポリプロピレン20には、曲げ弾性率が1500MPa以上2000MPa以下、メルトフローレート(MFR)が(230℃、2,16kg、1φオリフィス)で50g/10分以上100g/10分以下のグレードが使用されている。ポリプロピレン20の曲げ弾性率が1500MPa未満では、箸10Aの曲げ弾性率が低下し、箸10Aの使用時に中間部13と後端部14とにおいて箸10Aが不用意に撓み、物を挟み取る力を指から箸10Aの前端部12に十分に伝えることができない。曲げ弾性率が前記範囲にあるポリプロピレン20を使用した箸10Aは、その剛性が高く、箸10Aが中間部13と後端部14とにおいて不用意に撓むことがないから、物を挟み取る力を指から箸10Aの前端部12に確実に伝えることができる。
ポリプロピレン20のメルトフローレート(MFR)が50g/10分未満では、射出成形機28から射出される溶融混合物の流動性が著しく低下し、射出成形法によって箸10Aを製造するときに、溶融混合物が射出成形機28のゲートから箸成形金型31に円滑に流入しなかったり、溶融混合物が箸成形金型31の内部でショートモールドを起こし易く、箸成形金型31を利用して箸10Aを作ることができない場合がある。なお、ポリプロピレン20はそのメルトフローレートが前記範囲にあるから、ポリプロピレン20に紙粉末21やゼオライト粉末22、銀粉末23を混合した溶融混合物の流動性が低下することはなく、溶融混合物が箸成形金型31内でショートモールドを起こすことはなく、箸成形金型31を利用して箸10Aを確実に作ることができる。
ペレット状混合物25の全重量に対する紙粉末21の割合(重量比)は、40重量%以上60重量%以下の範囲にある。ペレット状混合物25に対する紙粉末21の割合が40重量%未満では、箸10Aの耐熱温度が低下し、箸10Aを自動食器洗浄機で洗浄したときに前端部12にひび割れが生じてしまう場合があり、繰り返して使用することができない場合がある。また、電子レンジで加熱したときに箸10Aに不規則な変形が生じてしまう場合がある。さらに、箸10Aの焼却処理時におけるCOの排出量を減少させることができないのみならず、箸10Aの燃焼カロリーを低下させることができず、箸10Aの焼却温度が増加し、箸10Aを低い焼却温度で完全燃焼させることができない。
ペレット状混合物25に対する紙粉末21の割合が60重量%を超過すると、過熱しても流動性を示さない紙粉末21が溶融混合物の流動性を著しく低下させるから、射出成形法によって箸10Aを製造するときに、溶融混合物が射出成形機28のゲートから箸成形金型31に円滑に流入しなかったり、溶融混合物が箸成形金型31の内部でショートモールドを起こし易く、箸成形金型31を利用して箸10Aを作ることができない場合がある。また、ペレット状混合物25に対する紙粉末21の量が必要以上に増加するから、紙粉末21が溶融ポリプロピレンの中で分散不良を起こし、溶融混合物の内部に紙粉末21の塊部分が形成される場合があり、紙粉末21の塊部分が存在する部位における箸10Aの強度が著しく低下し、箸10Aが部位において容易に折損してしまう場合がある。ペレット状混合物25の全重量に対する紙粉末21の割合が前記範囲にあるから、箸10Aの耐熱温度が低下することはなく、箸10Aを自動食器洗浄機で洗浄したとしても、前端部12にひび割れが生じることはなく、繰り返して使用することができ、資源の無駄を防ぐことができる。さらに、箸成形金型31を利用して箸10Aを確実に作ることができる。
紙粉末21は、その平均粒径が30μm以上200μm以下の範囲、好ましくは、その平均粒径が50μm以上150μm以下の範囲にある。紙粉末21の平均粒径が30μm未満では、紙やパルプ、繊維成分を30μm未満の平均粒径に加工するために複数の粉砕工程を必要とするから、紙粉末21の生産コストが上昇し、その結果、箸10Aの生産コストも上昇してしまい、箸10Aを廉価に製造することができない。紙粉末21の平均粒径が200μmを超過すると、紙粉末21が溶融ポリプロピレンの中で分散不良を起こし、溶融混合物の内部に紙粉末21の塊部分が形成される場合があり、紙粉末21の塊部分が存在する部位における箸10Aの強度が著しく低下し、箸10Aが部位において容易に折損してしまう場合がある。紙粉末21の平均粒径は、ふるい分け法によって測定した値である。
ペレット状混合物25の全重量に対するゼオライト粉末22の割合(重量比)は、5重量%以上10重量%以下の範囲にある。ペレット状混合物25に対するゼオライト粉末22の割合が5重量%未満では、ゼオライト粉末22の脱臭機能を十分に利用することができず、紙粉末21から発生する臭いをゼオライト粉末22に吸着させることができない。また、ゼオライト粉末22の吸湿機能を十分に利用することができず、紙粉末21の湿気をゼオライト粉末22に吸湿させることができない。ペレット状混合物25に対するゼオライト粉末22の割合が10重量%を超過すると、過熱しても流動性を示さないゼオライト粉末22が溶融混合物の流動性を著しく低下させるから、射出成形法によって箸10Aを製造するときに、溶融混合物が射出成形機28のゲートから箸成形金型31に円滑に流入しなかったり、溶融混合物が箸成形金型31の内部でショートモールドを起こし易く、箸成形金型31を利用して箸10Aを作ることができない場合がある。ペレット状混合物25の全重量に対するゼオライト粉末22の割合が前記範囲にあるから、ゼオライト粉末22の脱臭機能や吸湿機能を十分に利用することができるとともに、箸成形金型31を利用して箸10Aを確実に作ることができる。
ゼオライト粉末22は、その平均粒径が5μm以上50μm以下の範囲にある。ゼオライト粉末22の平均粒径が5μm未満では、ゼオライトを5μm未満の平均粒径に加工するために複数の粉砕工程を必要とするから、ゼオライト粉末22の生産コストが上昇し、その結果、箸10Aの生産コストも上昇してしまい、箸10Aを廉価に製造することができない。ゼオライト粉末22の平均粒径が50μmを超過すると、ゼオライト粉末22が溶融ポリプロピレンの中で分散不良を起こし、溶融混合物の内部にゼオライト粉末22の塊部分が形成される場合があり、ゼオライト粉末22の塊部分が存在する部位における箸10Aの強度が著しく低下し、箸10Aが部位において容易に折損してしまう場合がある。ゼオライト粉末22の平均粒径は、ふるい分け法によって測定した値である。
ペレット状混合物25の全重量に対する銀粉末23の割合(重量比)は、5重量%以上10重量%以下の範囲にある。ペレット状混合物25に対する銀粉末23の割合が5重量%未満では、銀粉末23の殺菌作用を十分に利用することができず、箸10Aに付着したバクテリアや雑菌を除去することができないのみならず、箸10Aにおけるカビの発生や繁殖を防ぐことが難しい。ペレット状混合物25に対する銀粉末23の割合が10重量%を超過すると、過熱しても流動性を示さない銀粉末23が溶融混合物の流動性を著しく低下させるから、射出成形法によって箸10Aを製造するときに、溶融混合物が射出成形機28のゲートから箸成形金型31に円滑に流入しなかったり、溶融混合物が箸成形金型31の内部でショートモールドを起こし易く、箸成形金型31を利用して箸10Aを作ることができない場合がある。ペレット状混合物25の全重量に対する銀粉末23の割合が前記範囲にあるから、銀粉末23の殺菌作用を十分に利用することができ、箸10Aを常に衛生的に使用することができるとともに、箸成形金型31を利用して箸10Aを確実に作ることができる。
銀粉末23は、その平均粒径が1μm以上10μm以下の範囲にある。銀粉末23の平均粒径が10μmを超過すると、銀粉末23が溶融ポリプロピレンの中で分散不良を起こし、溶融混合物の内部に銀粉末23の塊部分が形成される場合があり、銀粉末23の塊部分が存在する部位における箸10Aの強度が著しく低下し、箸10Aが部位において容易に折損してしまう場合がある。銀粉末23の平均粒径は、ふるい分け法によって測定した値である。
紙粉末含有箸10Aは、それが紙粉末21やゼオライト粉末22、銀粉末23を含むから、プラスチック材料のみ作られた箸と比較し、その耐熱温度が高い。箸10Aは、その耐熱温度が100〜190℃である。箸10Aは、その焼却カロリーが4000〜6000Kcal/kgの範囲にある。また、箸10Aは、それが紙粉末21を含むから、プラスチック材料のみ作られた箸と比較し、その剛性が高い。箸10Aは、その曲げ弾性率が4000MPa以上6000MPa以下の範囲にある。さらに、箸10Aは、それが紙粉末21やゼオライト粉末22、銀粉末23を含むから、耐薬品性に優れている。
紙粉末含有箸10Aは、プラスチック材料のみから作られた箸と比較し、それを使用したときに使用者に冷感を与えることがない。箸10Aは、それを形成する紙粉末21が抵抗要素となり、手に持ったときに滑り難く、手から滑って不用意に落としてしまうことはない。箸10Aは、紙粉末21やゼオライト粉末22、銀粉末23がそれに略均一に分散しているから、箸10Aの強度が部分的に低下することはなく、優れた強度を有し、繰り返しの使用に耐えることができ、資源の無駄が生じることはない。箸10Aは、ポリプロピレン20に紙粉末21やゼオライト粉末22、銀粉末23を混入した混合物11から作られているから、箸10Aの焼却処理時に煤煙の発生がなく、焼却処理時に大気を汚染することはないのみならず、それが紙粉末21を含むことで、プラスチック材料のみから作られた箸と比較し、その焼却処理時のCOの排出量を極端に少なくすることができる。さらに、プラスチック材料のみから作られた箸と比較してその燃焼カロリーが低く、低い焼却温度で完全燃焼させることができる。
紙粉末含有箸10Aは、それがポリプロピレン20に紙粉末21とゼオライト粉末22と銀粉末23とを混入した混合物11から作られているが、混合物11として、ポリプロピレン20に紙粉末21のみを混入したもの、ポリプロピレン20に紙粉末21とゼオライト粉末22とを混入したもの、ポリプロピレン20に紙粉末21と銀粉末23とを混入したもののうちの、いずれかの混合物11から作られていてもよい。
図1を援用し、他の一例の紙粉末含有箸10Bを説明すると、以下のとおりである。他の一例として示す紙粉末含有箸10Bは、ポリプロピレン20、紙粉末21、石灰質から形成された動物体の外甲を焼成した外甲粉末29を混合した混合物11であり、ペレット状混合物25(図8参照)を射出成形法によって成形することから作られている。箸10Bでは、ポリプロピレン20に紙粉末21や外甲粉末29が略均一に分散している。箸10Bは、長さ方向の寸法を三等分したときに、物を挟み取る前端部12と、使用者が指をかける後端部14と、前後端部12,14の間に位置する中間部13とに区分される。箸10Bの後端部14には、箸10Bの周面から周方向内方へ凹む、扁平な凹部15が形成されている。凹部15には、店名や料理名、ロゴマーク等の宣伝表示16が刻印されている。
箸10Bでは、中間部13と後端部14とが長さ方向へ長い四角柱状を呈し、前端部12が長さ方向へ長い円柱状または四角柱状を呈する。箸10Bは、中間部13の略中央部分から前端部12の前端17に向かって太さが次第に細くなる先細りに形成されている。箸10Bでは、その後端部14から中間部13の略中央部分までの太さが同一であり、横方向の断面積が65〜80mmの範囲、好ましくは、55〜65mmの範囲にある。箸10Bでは、その長さ方向の全長を100%としたときに、その後端18から前端17に向かう65〜85%の範囲の太さが同一であり、そこから前端17に向かって先細りに形成されていればよい(この場合、前端17から後端18に向かう15〜35%の範囲を前端部12とし、残余の部分を二等分して中間部13と後端部14とする)。
箸10Bは、その後端部14から中間部13の略中央部分までの太さが同一であり、その長さ方向の全長を100%としたときに、その後端18から前端17に向かう65〜85%の範囲の太さが同一であり、それら範囲の太さが55〜80mmの範囲にあるから、中間部13と後端部14との剛性が高く、かつ、後端部14から中間部13に向かって先細りに形成されている場合と比較し、後端部14から中間部13に向かって箸10Bの剛性が次第に低くなることはない。箸10Bは、その使用時に中間部13と後端部14とが不用意に撓むことはなく、物を挟み取る力を指から前端部12に確実に伝えることができる。箸10Bは、中間部13や後端部14において物を挟み取る力が分散することはなく、その使用時に物を確実に挟み取ることができる。
箸10Bの前端部12には、その表面を包被する層19が形成されている。層19は、ポリプロピレン20のみから形成されており、その厚みが10μm以上50μm以下の範囲、好ましくは、その厚みが20μm以上30μm以下の範囲にある。層19の厚みが10μm未満では、箸10Bの使用時に層19が容易に剥がれ、箸10Bの前端部12において紙粉末21が表面に露出し、前端部12に水分や油分が容易に滲入してしまう。この箸10Bは、その前端部12にポリプロピレン20のみの層19が形成されているから、水分や油分を含むことによる箸10Bの脆弱化を防ぐことができる。また、箸10Bの前端部12において食物に紙粉末21や外甲粉末29が付着することはなく、紙粉末21や外甲粉末29が体内に取り込まれることはない。なお、層19は、箸10Bの全長を100%としたときの箸10Bの前端17から後端18に向かう少なくとも20〜35%の範囲に形成されていればよい。層19は、箸10Bの前端部12のみならず、箸10Bの全体に形成されていてもよい。また、箸10Bに層19が形成されていなくてもよい。
外甲粉末29は、天然素材であり、薬品処理や化学処理をせず、外甲を1200〜1300℃の高温で長時間焼き(焼成)、焼いた外甲をボールミルや媒体攪拌ミル、ローラミル等の微粉砕機を使用して微粉砕することで作られている。外甲粉末29は、人体に悪影響を与えることなく、優れた殺菌作用を有する。ポリプロピレン20には、箸10Aを形成するそれと同一のものが使用されている。紙粉末21は、箸10Aを形成するそれと同一のものが使用されている。紙粉末21は、それが湿気を含むことがないように、ビニール袋に入れられ、かつ、除湿機能を備えた保管場所に保管されることで、その水分吸湿量が3%以上15%以下、好ましくは3%以上10%以下に管理されている。
図8は、押出機23を使用してペレット状混合物24を作るときの他の模式図である。箸10Bの製造工程は、箸10Aのそれと同様に、押出機24を使用してペレット状混合物25を作るペレット成形工程と、射出成形機28を使用してペレット状混合物25を箸10Aに成形する箸成形工程(図6援用)と、箸19の前端部12に層19を形成する層形成工程(図7援用)とから形成されている。
ペレット成形工程では、押出機24とダイ(金型)とカッターとを使用してペレット状混合物25を製造する。ペレット成形工程では、ビーズ状のポリプロピレン20、紙粉末21、外甲粉末29を用意する。ペレット成形工程において押出機24のホッパ26には、ビーズ状のポリプロピレン20、紙粉末21、外甲粉末29が投入される。押出機24の内部では、ヒーターによってポリプロピレン20と紙粉末21と外甲粉末29とが加熱されるとともに、スクリュによってそれらが混練される。ポリプロピレン20は、溶融温度以上に加熱され、高温の溶融ポリプロピレンになる。紙粉末21や外甲粉末29は、ポリプロピレン20とともに押出機24のスクリュによって混練されることで、溶融ポリプロピレンの中にほぼ均一に分散混入する。ポリプロピレン20や紙粉末21、外甲粉末29は、押出機24の内部で溶融混合物になる。
溶融混合物は、スクリュの回転によって押出機24の先端部27に向かって次第に移動する。押出機24の先端部27には、溶融混合物をヌードル状に成形するダイ(金型)と、ヌードル状に成形された溶融混合物を所定の長さにカットするカッターとが取り付けられている。押出機24の先端部27から押し出された溶融混合物は、ダイを通って複数のヌードル状に成形され、ヌードル状に成形された混合物がダイから排出された直後、カッターによって所定長さにカットされ、ペレット状に成形される。ペレット状混合物25は、冷却固化し、その形態を維持する。
ペレット状混合物25では、ポリプロピレン20の中に紙粉末21や外甲粉末29が略均一に分散している。なお、紙粉末21は、その水分吸湿量が3%以上15%以下の範囲、好ましくは3%以上10%以下の範囲にある。水分吸湿量が15%を超過すると、紙粉末21が必要以上の水分を含有し、ポリプロピレン20と混合したときに、ポリプロピレン20の温度を低下させるから、ポリプロピレン20に紙粉末21を均一に分散混入させることができない。また、ペレット状混合物25は、それに含まれる紙粉末21が湿気を含むことがないように、複数のそれらがビニール袋に入れられ、かつ、除湿機能を備えた保管場所に保管されることで、混合物25における水分吸湿量が5%以下、好ましくは3%以下に管理されている。
箸成形工程では、図6に示すように、水分吸湿量が5%以下に管理されたペレット状混合物25が射出成形機28のホッパ29に投入される。射出成形機28の内部では、スクリュによってペレット状混合物25が混練されつつ、ヒーターによってペレット状混合物25が加熱され、ペレット状混合物26のうちのポリプロピレン20が溶融温度以上に加熱されて溶融し、溶融混合物になる。溶融混合物は、スクリュの回転によって射出成形機28の先端部30に向かって次第に移動する。射出成形機28の先端部30には、箸成形金型31が取り付けられている。箸成形金型31は、互いに重なり合う第1金型32と第2金型33とから形成されている。第1および第2金型32,33は、箸10Aのそれと同一であり、その説明は省略する。
射出成形機28から射出された溶融混合物は、射出成形機28のゲートから箸成形金型31の流入口を通って金型31内部に流入し、連絡路を通って箸成形溝に流入する。箸成形溝では、溶融混合物が溝の後端部から中間部を通り、前端部に向かって次第に流動する。箸成形金型31では、箸成形溝に流入した溶融混合物が溝において冷却固化することで、図1の箸10Bが作られる。成形された箸10Bを箸成形金型31から取り出すには、第1金型32と第2金型33とを離間させ、成形された箸10Bを箸成形溝から取り出す。射出成形では、溶融混合物が高温のまま外気に触れることなく箸成形金型31に注入されるから、ペレット状混合物25に雑菌やウイルスが混入していたとしても、それらを確実に死滅させることができ、衛生的な箸10Bを作ることができる。また、ペレット状混合物25にカビ菌が混入したとしても、カビ菌を確実に死滅させることができ、箸10Bにおけるカビの発生を防ぐことができる。
層形成工程では、図7に示すように、樹脂容器34を使用して箸10Bの前端部12にポリプロピレン20のみの層19を形成する。樹脂容器34は、所定の温度に加熱されている。樹脂容器34にはポリプロピレン20が収容され、ポリプロピレン20が加熱されて溶融状態にある。層形成工程では、箸成形工程で造られた箸10Bが樹脂容器34の上方に搬送され、容器34の上方に位置した箸10Bが矢印L3で示すように下降し、箸10Bの前端部12が溶融状態にあるポリプロピレン20に浸けられた後、箸10Bが矢印L4で示す容器34の上方へ引き上げられる。箸10Bが容器34の上方へ引き上げられると、溶融状態のポリプロピレン20が冷却固化し、箸10Bの前端部12の表面にポリプロピレン20のみから作られた層19が形成される。層19を形成するポリプロピレン20は、ペレット状混合物25を形成するそれと同一のものが使用されている。
なお、溶融状態のポリプロピレン20に浸けられる部位は箸10Bの前端部12であるが、箸10B全体をポリプロピレン20に浸け、箸10B全体の表面に層19を形成してもよい。また、箸10Bに層19を形成しない場合は、ペレット成形工程および箸成形工程から箸10Bが作られ、層形成工程が省略される。
ペレット成形工程と箸成形工程とにおける成形条件は、図1の箸10Aの製造工程におけるそれらと同一であり、成形温度が160℃以上195℃以下、かつ、箸成形金型30の温度が50℃以上95℃以下である。成形温度が195℃を超過し、箸成形金型30の温度が95℃を超過すると、紙粉末21が炭化して箸10Bの強度が低下するとともに、紙粉末21が黄ばんで箸10Bが変色しまう場合がある。
ペレット状混合物25は、その水分吸湿量が5%以下、好ましくは3%以下である。ペレット状混合物25の水分吸湿量が5%を超過すると、混合物25が射出成形機28内において溶融混合物になり難く、混合物25を溶融混合物にするために成形温度を195℃より高くしなければならない場合がある。しかし、成形温度を195℃より高くすると、紙粉末21が炭化したり、紙粉末21が黄ばんでしまう。この製造方法では、ペレット状混合物25の水分吸湿量が5%以下であるから、前記成形温度でペレット状混合物25が確実に溶融し、紙粉末21の炭化や紙粉末21の黄ばみを防ぐことができ、強度低下がなく、変色のおそれがない箸10Bを作ることができる。
ペレット状混合物25の全重量に対するポリプロピレン20の割合(重量比)は、図1の箸10Aを形成するポリプロピレン20のそれと同一であり、30重量%以上50重量%未満の範囲にある。ペレット状混合物25に対するポリプロピレン20の割合が30重量%未満では、加熱しても流動性を示さない紙粉末21、外甲粉末29をポリプロピレン20中に均一に分散混入させることができず、箸10Bに紙粉末21、外甲粉末29の塊部分が形成されてしまう場合がある。紙粉末21や外甲粉末29の塊部分が形成された部位では箸10Bの強度が著しく低下し、箸10Bが部位において容易に破損してしまう場合がある。また、溶融混合物の流動性が著しく低下し、射出成形法によって箸10Bを製造するときに、溶融混合物が射出成形機28のゲートから箸成形金型31に円滑に流入しなかったり、溶融混合物が箸成形金型31の内部でショートモールドを起こし易く、箸成形金型31を利用して箸10Bを作ることができない場合がある。
ペレット状混合物25に対するポリプロピレン20の割合が50重量%を超過すると、箸10Bの耐熱温度が低下し、箸10Bを自動食器洗浄機で洗浄したときに前端部12にひび割れが生じてしまう場合があり、繰り返して使用することができない場合がある。また、電子レンジで加熱したときに箸10Bに不規則な変形が生じてしまう場合がある。さらに、箸10Bの焼却処理時におけるCOの排出量を減少させることができないのみならず、箸10Bの燃焼カロリーを低下させることができず、箸10Bの焼却温度が増加し、箸10Bを低い焼却温度で完全燃焼させることができない。ペレット状混合物25の全重量に対するポリプロピレン20の割合が前記範囲にあるから、箸成形金型31を利用して箸10Bを確実に作ることができる。さらに、箸10Bの耐熱温度が低下することはなく、箸10Bを自動食器洗浄機で洗浄したとしても、前端部12にひび割れが生じることはなく、繰り返して使用することができ、資源の無駄を防ぐことができる。
ポリプロピレン20には、曲げ弾性率が1500MPa以上2000MPa以下、メルトフローレート(MFR)が(230℃、2,16kg、1φオリフィス)で50g/10分以上100g/10分以下のグレードが使用されている。ポリプロピレン20の曲げ弾性率が1500MPa未満では、箸10Bの曲げ弾性率が低下し、箸10Bの使用時に中間部13と後端部14とにおいて箸10Bが不用意に撓み、物を挟み取る力を指から箸10Bの前端部12に十分に伝えることができない。曲げ弾性率が前記範囲にあるポリプロピレン20を使用した箸10Bは、その剛性が高く、箸10Bが中間部13と後端部14とにおいて不用意に撓むことがないから、物を挟み取る力を指から箸10Bの前端部12に確実に伝えることができる。
ポリプロピレン20のメルトフローレート(MFR)が50g/10分未満では、射出成形機28から射出される溶融混合物の流動性が著しく低下し、射出成形法によって箸10Bを製造するときに、溶融混合物が射出成形機28のゲートから箸成形金型31に円滑に流入しなかったり、溶融混合物が箸成形金型31の内部でショートモールドを起こし易く、箸成形金型31を利用して箸10Bを作ることができない場合がある。なお、ポリプロピレン20はそのメルトフローレートが前記範囲にあるから、ポリプロピレン20に紙粉末21や外甲粉末29を混合した溶融混合物の流動性が低下することはなく、溶融混合物が箸成形金型31内でショートモールドを起こすことはなく、箸成形金型31を利用して箸10Bを確実に作ることができる。
ペレット状混合物25の全重量に対する紙粉末21の割合(重量比)は、図1の箸10Aを形成する紙粉末21のそれと同一であり、40重量%以上60重量%以下の範囲にある。ペレット状混合物25に対する紙粉末21の割合が40重量%未満では、箸10Bの耐熱温度が低下し、箸10Bを自動食器洗浄機で洗浄したときに前端部12にひび割れが生じてしまう場合があり、繰り返して使用することができない場合がある。また、電子レンジで加熱したときに箸10Bに不規則な変形が生じてしまう場合がある。さらに、箸10Bの焼却処理時におけるCOの排出量を減少させることができないのみならず、箸10Bの燃焼カロリーを低下させることができず、箸10Bの焼却温度が増加し、箸10Bを低い焼却温度で完全燃焼させることができない。
ペレット状混合物25に対する紙粉末21の割合が60重量%を超過すると、過熱しても流動性を示さない紙粉末21が溶融混合物の流動性を著しく低下させるから、射出成形法によって箸10Bを製造するときに、溶融混合物が射出成形機28のゲートから箸成形金型31に円滑に流入しなかったり、溶融混合物が箸成形金型31の内部でショートモールドを起こし易く、箸成形金型31を利用して箸10Bを作ることができない場合がある。また、ペレット状混合物25に対する紙粉末21の量が必要以上に増加するから、紙粉末21が溶融ポリプロピレンの中で分散不良を起こし、溶融混合物の内部に紙粉末21の塊部分が形成される場合があり、紙粉末21の塊部分が存在する部位における箸10Bの強度が著しく低下し、箸10Bが部位において容易に折損してしまう場合がある。ペレット状混合物25の全重量に対する紙粉末21の割合が前記範囲にあるから、箸10Bの耐熱温度が低下することはなく、箸10Bを自動食器洗浄機で洗浄したとしても、前端部12にひび割れが生じることはなく、繰り返して使用することができ、資源の無駄を防ぐことができる。さらに、箸成形金型31を利用して箸10Bを確実に作ることができる。
紙粉末21は、その平均粒径が30μm以上200μm以下の範囲、好ましくは、その平均粒径が50μm以上150μm以下の範囲にある。紙粉末21の平均粒径が30μm未満では、紙やパルプ、繊維成分を30μm未満の平均粒径に加工するために複数の粉砕工程を必要とするから、紙粉末21の生産コストが上昇し、その結果、箸10Bの生産コストも上昇してしまい、箸10Bを廉価に製造することができない。紙粉末21の平均粒径が200μmを超過すると、紙粉末21が溶融ポリプロピレンの中で分散不良を起こし、溶融混合物の内部に紙粉末21の塊部分が形成される場合があり、紙粉末21の塊部分が存在する部位における箸10Bの強度が著しく低下し、箸10Bが部位において容易に折損してしまう場合がある。紙粉末21の平均粒径は、箸10Aを形成するそれと同様に、ふるい分け法によって測定した値である。
ペレット状混合物25の全重量に対する外甲粉末29の割合(重量比)は、0.5重量%以上10重量%以下の範囲にある。外甲粉末29の割合が0.5重量%未満では、その殺菌力を十分に利用することができず、箸10Bにおける雑菌やウイルスの繁殖を防ぐことができない。また、箸10Bの繰り返しの使用においてカビが発生し易くなる。外甲粉末29は、その平均粒径が5μm以上100μm以下の範囲にある。外甲粉末29の平均粒径が5μm未満では、外甲粉末29を5μm未満の平均粒径に加工するために複数の粉砕工程を必要とするから、外甲粉末29の生産コストが上昇し、その結果、箸10Bの生産コストも上昇してしまい、箸10Bを廉価に製造することができない。外甲粉末29の平均粒径が100μmを超過すると、外甲粉末29が溶融ポリプロピレンの中で分散不良を起こし、溶融混合物の内部に外甲粉末29の塊部分が形成される場合があり、外甲粉末29の塊部分が存在する部位における箸10Bの強度が著しく低下し、箸10Bが部位において容易に折損してしまう場合がある。外甲粉末29の平均粒径は、ふるい分け法によって測定した値である。
紙粉末含有箸10Bは、それが紙粉末21や外甲粉末29を含むから、プラスチック材料のみ作られた箸と比較し、その耐熱温度が高い。箸10Bは、その耐熱温度が100〜190℃である。箸10Bは、その焼却カロリーが4000〜6000Kcal/kgの範囲にある。また、箸10Bは、それが紙粉末21や外甲粉末29を含むから、プラスチック材料のみ作られた箸と比較し、その剛性が高い。箸10Bは、その曲げ弾性率が4000MPa以上6000MPa以下の範囲にある。さらに、箸10Bは、それが紙粉末21や外甲粉末29を含むから、耐薬品性に優れ、外甲粉末40の殺菌作用によって、その表面に付着した雑菌やウイルス、カビを死滅除去することができる。
紙粉末含有箸10Bは、プラスチック材料のみから作られた箸と比較し、それを使用したときに使用者に冷感を与えることがない。箸10Bは、それを形成する紙粉末21や外甲粉末29が抵抗要素となり、手に持ったときに滑り難く、手から滑って不用意に落としてしまうことはない。箸10Bは、紙粉末21や外甲粉末29がそれに略均一に分散しているから、箸10Bの強度が部分的に低下することはなく、優れた強度を有し、繰り返しの使用に耐えることができ、資源の無駄が生じることはない。箸10Bは、ポリプロピレン20に紙粉末21や外甲粉末29を混入した混合物11から作られているから、箸10Bの焼却処理時に煤煙の発生がなく、焼却処理時に大気を汚染することはないのみならず、それが紙粉末21や外甲粉末29を含むことで、プラスチック材料のみから作られた箸と比較し、その焼却処理時のCOの排出量を極端に少なくすることができる。さらに、プラスチック材料のみから作られた箸と比較してその燃焼カロリーが低く、低い焼却温度で完全燃焼させることができる。
一例として示す紙粉末含有箸の斜視図。 図1の箸の2−2線矢視断面図。 図1の箸の3−3線矢視断面図。 後端部に形成された凹部を上から見た図。 押出機を使用してペレット状混合物を作るときの模式図。 射出成形機を使用して箸を作るときの模式図。 箸の前端部にコーティング層を形成するときの模式図。 押出機を使用してペレット状混合物を作るときの他の模式図。
符号の説明
10A 箸
10B 箸
11 混合物
12 前端部
13 中間部
14 後端部
15 凹部
17 前端
18 後端
19 ポリプロピレン
20 紙粉末
21 ゼオライト粉末
22 銀粉末
24 ペレット状混合物

Claims (6)

  1. 30重量%以上50重量%未満のポリプロピレンと、蛍光物質、重金属、インク成分を非含有であって、30〜200μmの平均粒径を有する40重量%以上60重量%以下の紙粉末とを混練したペレット状混合物を使用し、前記ペレット状混合物を加熱、混練した溶融混合物を箸成形金型に注入し、前記溶融混合物を前記箸成形金型内において箸の形状に成形することから作られた紙粉末含有箸。
  2. 前記ペレット状混合物には、5〜50μmの平均粒径を有する5重量%以上10重量%以下のゼオライト粉末が含まれる請求項1記載の紙粉末含有箸。
  3. 前記ペレット状混合物には、1〜10μmの平均粒径を有する5重量%以上10重量%以下の銀粉末が含まれる請求項1または請求項2に記載の紙粉末含有箸。
  4. 前記箸は、前記紙粉末を含有することでその耐熱温度が100℃以上190℃以下の範囲にあり、その曲げ弾性率が4000MPa以上6000MPa以下の範囲にある請求項1ないし請求項3いずれかに記載の紙粉末含有箸。
  5. 前記ポリプロピレンには、曲げ弾性率が1500MPa以上2000MPa以下、メルトフローレート(MFR)が(230℃、2,16kg、1φオリフィス)で50g/10分以上100g/10分以下のグレードが使用されている請求項1ないし請求項4いずれかに記載の紙粉末含有箸。
  6. 前記箸の全長を100%としたときの該箸の前端から後端に向かう少なくとも20〜35%の範囲の表面全域には、10〜50μmの厚みを有するポリプロピレンのみの層が形成されている請求項1ないし請求項5いずれかに記載の紙粉末含有箸。
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