JP2009026492A - イオン発生素子、イオン発生装置および電気機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】正イオンおよび負イオンの一方のみを選択的に生じさせることができるイオン発生素子、イオン発生装置および電気機器を提供する。
【解決手段】放電電極2は、誘導電極1との間でコロナ放電を生じさせることで正イオンを発生させる針状電極2と、誘導電極1との間でコロナ放電を生じさせることで負イオンを発生させる針状電極2とを有している。正イオンを発生させる針状電極2と負イオンを発生させる針状電極2との間に、絶縁性の壁部材(円筒部材)11が配置されている。
【選択図】図1
【解決手段】放電電極2は、誘導電極1との間でコロナ放電を生じさせることで正イオンを発生させる針状電極2と、誘導電極1との間でコロナ放電を生じさせることで負イオンを発生させる針状電極2とを有している。正イオンを発生させる針状電極2と負イオンを発生させる針状電極2との間に、絶縁性の壁部材(円筒部材)11が配置されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、イオン発生素子、イオン発生装置および電気機器に関し、特に、コロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるためのイオン発生素子、それを用いたイオン発生装置および電気機器に関するものである。
放電電極としての針状電極と誘導電極としての板電極とを組合せ、その放電電極と誘導電極との間に高電圧を印加すると、針状電極の先鋭部近傍の空気が絶縁破壊を起こし、部分的な放電が生じることは一般に知られており、この現象はコロナ放電と呼ばれている。
このコロナ放電現象を利用したイオン発生素子が実現されている。イオン発生素子の電極構成の一例として、たとえば特開平9−262498号公報には、短冊状の板状電極として形成された対向極と、その対向極と所定の間隔をあけて平行に配置された支持基板部材に取り付けられた多数の針電極部材とを有する構造が開示されている。
特開平9−262498号公報
イオン発生素子において正イオンと負イオンとの双方を生じさせる場合、正イオンを生じさせるための針電極部材に正高電圧を印加し、負イオンを生じさせるための針電極部材に負高電圧を印加する必要がある。また、正イオンを生じさせるための針電極部材と負イオンを生じさせるための針電極部材とに互いに異なる電位を印加する必要から、双方の針電極部材を互いに絶縁する必要がある。
しかし、上記のイオン発生素子を空気調和機(エアコンディショナー)に用いた場合、その空気調和機の冷暖房の動作時に結露が生じ、その結露による水分の存在によって、正イオンを生じさせるための針電極部材と負イオンを生じさせるための針電極部材とがあたかも電気的に導通したような状態になる。
この場合、正イオンを生じさせるための針電極部材に、負イオンを生じさせるための針電極部材から負高電圧が印加される。この結果、正イオンを生じさせるための針電極部材には正高電圧だけでなく負高電圧も印加されることになり、この針電極部材で正イオンのみを選択的に生じさせることができなくなるという問題がある。
また負イオンを生じさせるための針電極部材についても、上記と同様、正イオンを生じさせるための針電極部材から正高電圧が印加され、この針電極部材で負イオンのみを選択的に生じさせることができなくなるという問題がある。
また上記の結露による水分の存在によって、針電極部材と対向極との間もあたかも導通したような状態となる。これにより、針電極部材と対向極との間の電位差が低下し、イオンが発生し難くなってイオン発生能力が低下するという問題がある。
上記より、本発明の一の目的は、正イオンおよび負イオンの一方のみを選択的に生じさせることができるイオン発生素子、イオン発生装置および電気機器を提供することである。
また、本発明の他の目的は、誘導電極と放電電極との間で大きな電位差を確保してイオン発生能力を高く維持できるイオン発生素子、イオン発生装置および電気機器を提供することである。
本発明の一のイオン発生素子は、コロナ放電により正イオンおよび負イオンを生じさせるためのイオン発生素子であって、誘導電極と、放電電極と、壁とを備えている。放電電極は、誘導電極との間でコロナ放電を生じさせるためのものである。放電電極は、誘導電極との間でコロナ放電を生じさせることで正イオンを発生させる第1の針状電極と、誘導電極との間でコロナ放電を生じさせることで負イオンを発生させる第2の針状電極とを有している。壁は、第1の針状電極と第2の針状電極との間に配置された絶縁物よりなっている。
本発明の一のイオン発生素子によれば、第1の針状電極と第2の針状電極との間に絶縁物よりなる壁が配置されているため、結露による水分が存在する場合でも、第1および第2の針状電極の一方から他方へ反対極性の高電圧が印加されることを防止できる。これにより、針状電極に正高電圧および負高電圧のいずれかを選択的に印加することができ、正イオンおよび負イオンの一方のみを選択的に生じさせることができる。
上記のイオン発生素子において好ましくは、上記壁は、誘導電極と第1の針状電極との間に配置された絶縁物よりなる第1の壁部を有している。
これにより、誘導電極と第1の針状電極との間の導通を遮断することができる。
上記のイオン発生素子において好ましくは、上記壁は、誘導電極と第2の針状電極との間に配置された絶縁物よりなる第2の壁部を有している。
上記のイオン発生素子において好ましくは、上記壁は、誘導電極と第2の針状電極との間に配置された絶縁物よりなる第2の壁部を有している。
これにより、誘導電極と第2の針状電極との間の導通を遮断することができる。
本発明の他のイオン発生素子は、コロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるためのイオン発生素子であって、誘導電極と、放電電極と、壁とを備えている。放電電極は、誘導電極との間でコロナ放電を生じさせるためのものである。壁は、誘導電極と放電電極との間に配置された絶縁物よりなっている。
本発明の他のイオン発生素子は、コロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるためのイオン発生素子であって、誘導電極と、放電電極と、壁とを備えている。放電電極は、誘導電極との間でコロナ放電を生じさせるためのものである。壁は、誘導電極と放電電極との間に配置された絶縁物よりなっている。
本発明の他のイオン発生素子によれば、誘導電極と放電電極との間に絶縁物よりなる壁が配置されているため、結露による水分が存在する場合でも、誘導電極と放電電極との間の導通を絶縁物により確実に遮断することができる。よって、誘導電極と放電電極との間で大きな電位差を確保することができ、イオン発生能力を高く維持することが可能となる。
本発明のイオン発生装置は、上記のイオン発生素子と、入力電圧を昇圧して誘導電極および放電電極に高電圧を印加するための高電圧発生回路部と、入力電圧を受けて高電圧発生回路部を駆動させるための駆動回路部とを備えている。
本発明のイオン発生装置によれば、高電圧発生回路部が駆動回路部により駆動制御されることで誘導電極および放電電極に高電圧を印加するため、上記のイオン発生素子においてコロナ放電を生じさせてイオンを発生させることができる。
本発明の電気機器は、上記のイオン発生装置と、イオン発生装置で生じた正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを送風気流に乗せて送るための送風部とを備えている。
本発明の電気機器によれば、イオン発生装置で生じたイオンを送風部により気流に乗せて送ることができるため、たとえば空調機器において機外にイオンを放出することができ、また冷蔵機器において庫内または庫外にイオンを放出することができる。
以上説明したように本発明の一のイオン発生素子によれば、第1の針状電極と第2の針状電極との間に絶縁物よりなる壁が配置されているため、正イオンおよび負イオンの一方のみを選択的に生じさせることができる。
また本発明の他のイオン発生素子によれば、誘導電極と放電電極との間に絶縁物よりなる壁が配置されているため、イオン発生能力を高く維持することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
図1および図2は、本発明の一実施の形態におけるイオン発生素子の構成を概略的に示す分解斜視図および組立斜視図である。図3は図2のIII−III線に沿う概略断面図である。図4は図3のP部を拡大して示す拡大断面図である。
図1および図2は、本発明の一実施の形態におけるイオン発生素子の構成を概略的に示す分解斜視図および組立斜視図である。図3は図2のIII−III線に沿う概略断面図である。図4は図3のP部を拡大して示す拡大断面図である。
図1を参照して、イオン発生素子10は、誘導電極1と、放電電極2と、支持基板3と、絶縁性の壁部材11とを主に有している。
放電電極2はコロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるためのものである。放電電極2は、たとえば2本の針状電極2、2を有し、この針状電極2、2の各々は、ニッケル(Ni)およびクロム(Cr)を少なくとも含む合金よりなる基材と、その基材の表面を覆い、かつスズ(Sn)およびニッケルの少なくともいずれかを含む材質よりなる被覆材とを有している。
針状電極2、2の各々は針状の先端部を有し、その先端部において基材が被覆材から露出している。2本の針状電極2、2の一方は正イオンを、他方は負イオンを発生させるものであってもよく、また2本の針状電極2、2の双方が正イオンを発生させるものであってもよく、また2本の針状電極2、2の双方が負イオンを発生させるものであってもよい。
誘導電極1は、たとえば耐食性に優れたSUS304などを材質とする一体の金属板からなっており、かつ放電電極2の個数に対応して天板部1aに設けられた複数の貫通孔1bを有している。本実施の形態では貫通孔1bの個数はたとえば2個であり、貫通孔1bの平面形状はたとえば円形である。
貫通孔1bの周縁部分は、たとえば絞り加工などの工法により、金属板を天板部1aに対して屈曲させた屈曲部1cとなっている。この屈曲部1cにより貫通孔1bの周縁の壁部の厚みT1が天板部1aの板厚T2よりも厚くなっている。この貫通孔1bは、コロナ放電により発生するイオンをイオン発生素子の外部へ放出するための開口部である。
また誘導電極1は両端部に、金属板の一部を天板部1aに対して屈曲させた基板挿入部1dを有している。この基板挿入部1dは、幅の広い支持部分1d1と、幅の狭い挿入部分1d2とを有している。また誘導電極1は、金属板の一部を天板部1aに対して屈曲させた基板支持部1eを有している。基板支持部1eの折り曲げ方向の長さL2は、基板挿入部1dの支持部分1d1の折り曲げ方向の長さL1と略同一である。
また、誘導電極1の表面には半田との接合性の良好な材質によってめっき層が形成されている。めっき層は、誘導電極1の表面全体に形成されてもよいが、少なくとも基板挿入部1dの幅の狭い挿入部分1d2の表面に形成されていればよい。めっき層の厚さはたとえば2μm程度である。
なお屈曲部1cは基板挿入部1dおよび基板支持部1eと同じ方向(図1において下側)に折り曲げられていてもよく、また基板挿入部1dおよび基板支持部1eと逆の方向(図1において上側)に折り曲げられていてもよい。また屈曲部1c、基板挿入部1dおよび基板支持部1eは、天板部1aに対してたとえば略直角に屈曲している。
支持基板3は、放電電極2を挿通させるための貫通孔3aと、誘導電極1の基板挿入部1dの挿入部分1d2を挿通させるための貫通孔3bとを有している。
絶縁性の壁部材11は、たとえば2つの絶縁性の円筒部材11、11を有している。これら2つの円筒部材11、11の各々は、たとえば針状電極2ごとに設けられている。
図2および図3を参照して、イオン発生素子10の組立状態においては、針状電極2の各々は、支持基板3の貫通孔3aに挿入されて支持基板3を貫通した状態となっている。針状電極2の針状の一方端は支持基板3の表面側に突き出しており、また支持基板3の裏面側に突き出した他方端は半田4により固定され、配線パターンやリード線に電気的に接続することが可能となる。
誘導電極1の挿入部分1d2は支持基板3の貫通孔3bに挿入されて支持基板3を貫通した状態となっている。支持基板3の裏面側に突き出した挿入部分1d2の先端は半田4により固定され、配線パターンやリード線に電気的に接続することが可能となる。
このとき、誘導電極1は、支持部分1d1と挿入部分1d2との境界にある段部が支持基板3の表面に当接し、かつ誘導電極1の基板支持部1eの先端が基板3の表面に当接している。これにより誘導電極1の天板部1aは支持基板3に対して所定の距離を保って支持されている。つまり、基板挿入部1dと基板支持部1eとにより、誘導電極1は支持基板3に対してその厚み方向に位置決めされている。
また放電電極2は、その針状の先端が、平面視において円形の貫通孔1bの中心に位置するように、かつ図4に示すように貫通孔1bの周縁部の厚み(つまり屈曲部1cの屈曲長さ)T1の範囲内に位置するように配置されている。
2つの絶縁性の円筒部材11、11の各々は、支持基板3の表面側において支持基板3の表面に接するように配置されており、針状電極2の周囲を取り囲むように配置されている。これにより、2つの針状電極2、2の間には、2つの絶縁性の円筒部材11、11が位置することになる。また針状電極2と誘導電極1との間にも、絶縁性の円筒部材11が位置することになる。仮に2つの針状電極2、2のうち一方が正イオンを、他方が負イオンを発生させるものである場合、正イオンを発生させる針状電極2と誘導電極1との間に絶縁性の円筒部材11が位置し、かつ負イオンを発生させる針状電極2と誘導電極1との間にも絶縁性の円筒部材11が位置することになる。
寸法上の一例として、板状の誘導電極1の板厚は0.5mm以上1mm以下程度である。また基板3上面から誘導電極1の表面までの厚みT3は2mm以上4mm以下程度である。これにより、このイオン発生素子10を内部に収容したイオン発生装置20の厚みT4を5mm以上8mm以下程度に薄型化することができる。
正イオンまたは負イオンのいずれか一方の極性のイオンを発生させる場合、放電電極2の針状の先端位置を誘導電極1の貫通孔1bの中心に合わせて配置することにより、誘導電極1と放電電極2の針状の先端とが空気空間を挟んで対向するようにする。
また正イオンと負イオンの両極性のイオンを放出させるためには、正イオンを発生させる放電電極2の針状の先端位置と負イオンを発生させる放電電極2の針状の先端位置との各々を、互いに所定の距離を確保して配置し、かつ誘導電極1の貫通孔1bの中心に合わせて配置することにより、誘導電極1と放電電極2の針状の先端とが空気空間を挟んで対向するようにする。
上記のイオン発生素子10において、板状の誘導電極1と針状の放電電極2とを上記のように所定の距離を確保して配置し、誘導電極1と放電電極2との間に高電圧を印加すると、針状の放電電極2の先端でコロナ放電が生じる。このコロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかのイオンが発生し、このイオンが誘導電極1に設けられた貫通孔1bからイオン発生素子10の外部に放出される。さらに送風を加えることで、より効果的にイオンを放出することが可能となる。
ここで、正イオンは、水素イオン(H+)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、H+(H2O)m(mは任意の自然数)として表わされる。また負イオンは、酸素イオン(O2 -)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、O2 -(H2O)n(nは任意の自然数)として表わされる。
正イオンおよび負イオンの両極性のイオンを放出する場合には、空気中の正イオンであるH+(H2O)m(mは任意の自然数)と、負イオンであるO2 -(H2O)n(nは任意の自然数)とを略同等量発生させることにより、両イオンが空気中の浮遊カビ菌やウィルスの周りを取り囲み、その際に生成される活性種の水酸化ラジカル(・OH)の作用により、浮遊カビ菌などを除去することが可能となる。
次に、上記のイオン発生素子を用いたイオン発生装置の構成について説明する。
図5は、図1〜図4に示すイオン発生素子を用いたイオン発生装置の機能ブロックを示す図である。また図6は、図5に示すイオン発生装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図5は、図1〜図4に示すイオン発生素子を用いたイオン発生装置の機能ブロックを示す図である。また図6は、図5に示すイオン発生装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図5および図6を参照して、イオン発生装置20は、たとえば、図1〜図4に示すイオン発生素子10と、ケース21と、電源入力コネクタ22と、駆動回路23と、高電圧発生回路24と、正高電圧生成回路としてのダイオード25と、負高電圧生成回路としてのダイオード26とを主に有している。電源入力コネクタ22は、入力電源としての直流電源や商用交流電源の供給を受ける。この電源入力コネクタ22を介して入力電圧を供給された駆動回路23は、高電圧発生回路24を駆動させることにより入力電圧を昇圧させて高電圧を発生させる。
高電圧発生回路24の一端は誘導電極1に電気的に接続されている。また高電圧発生回路24は、正高電圧生成回路としてのダイオード25を通じて、正イオンを発生させる針状電極2に誘導電極1に対し正極性の高電圧を印加し、また負高電圧生成回路としてのダイオード26を通じて、負イオンを発生させる針状電極2に誘導電極1に対し負極性の高電圧を印加する。
つまり、高電圧発生回路24により発生されたたとえばパルス波形(または交流波形)の高電圧はダイオード25、26の各々で整流され、それにより、正イオンを発生させる針状電極2に正極性の高電圧が印加され、負イオンを発生させる針状電極2に負極性の高電圧が印加される。
ケース21は、イオン発生素子10、電源入力コネクタ22、駆動回路23、高電圧発生回路24、正高電圧生成回路25および負高電圧生成回路26を内部に収容している。電源入力コネクタ22は、外部の入力電源の供給を受けるため、ケース21の外部に露出している。
このイオン発生装置20の厚みT4は、5mm以上8mm以下である。
またケース21は、イオン発生素子10の貫通孔1bに対向する壁部に孔21aを有している。これにより、イオン発生素子10で生じたイオンがこの孔21aを通じてイオン発生装置20の外部へ放出される。
またケース21は、イオン発生素子10の貫通孔1bに対向する壁部に孔21aを有している。これにより、イオン発生素子10で生じたイオンがこの孔21aを通じてイオン発生装置20の外部へ放出される。
上記のようにイオン発生素子10の一方の針状電極2が正イオンを、他方の針状電極2が負イオンを発生する場合、一方の針状電極2の先端では正コロナ放電を発生させることにより正イオンが発生され、他方の針状電極2の先端では負コロナ放電を発生させることにより負イオンが発生される。この場合、ケース21に設けられた一方の孔21aは正イオン発生部となり、他方の孔21aは負イオン発生部となる。また印加する波形はここでは特に問わず、直流、正負にバイアスされた交流波形、正負にバイアスされたパルス波形などの高電圧のいずれであってもよい。
上述したように、本実施の形態においては図5に示すダイオード25、26の整流作用によって高電圧が整流されることで、正イオンを生じさせるための針状電極2には正高電圧が印加され、負イオンを生じさせるための針状電極2には負高電圧が印加される。また正イオンを生じさせるための針状電極2と負イオンを生じさせるための針状電極2とには互いに異なる電圧を印加する必要から、双方の針状電極2は互いに絶縁されている必要がある。
しかしながら、仮に正イオンを生じさせるための針状電極2と負イオンを生じさせるための針状電極2との間に壁が無い場合には、以下の問題が生じる。
上記のイオン発生装置を空気調和機に用いた場合、その空気調和機の冷暖房の動作時に結露が生じ、その結露による水分が支持基板3の表面に付着する。この水分によって、正イオンを生じさせるための針状電極2と負イオンを生じさせるための針状電極2とがあたかも電気的に導通したような状態になる。この状態においては、正イオンを生じさせるための針状電極2に、負イオンを生じさせるための針状電極2から負高電圧が印加される。また負イオンを生じさせるための針状電極2に、正イオンを生じさせるための針状電極2から正高電圧が印加される。この結果、正イオンを生じさせるための針状電極2と負イオンを生じさせるための針状電極2とのいずれにおいても、正高電圧と負高電圧との双方が印加されることになり、ダイオード25、26による整流の効果が得られない。このため、針状電極2で正イオンおよび負イオンのいずれか一方のみを選択的に生じさせることができなくなるという問題がある。
本実施の形態においては、正イオンを生じさせるための針状電極2と負イオンを生じさせるための針状電極2との間に絶縁物よりなる壁(円筒部材11)が配置されている。また、この壁は支持基板3の表面に接して配置されている。このため、仮に結露が生じても、支持基板3の表面に付着した水分による電気的導通を絶縁性の壁によって遮断することができる。これにより、正イオンを生じさせるための針状電極2と負イオンを生じさせるための針状電極2との一方から他方へ反対極性の高電圧が印加されることを防止することができる。このため、針状電極2に正高電圧および負高電圧のいずれかを選択的に印加することが可能となり、正イオンおよび負イオンの一方のみを選択的に生じさせることができる。
また本実施の形態のイオン発生素子によれば、誘導電極1と針状電極2との間に絶縁物よりなる壁(円筒部材11)が配置されている。また、この壁は支持基板3の表面に接して配置されている。このため、仮に結露が生じても、支持基板3の表面に付着した水分による電気的導通を絶縁性の壁によって遮断することができる。よって、誘導電極1と針状電極2との間で大きな電位差を確保することができ、イオン発生能力を高く維持することが可能となる。
なお本実施の形態においては、絶縁物よりなる壁の一例として円筒部材11について説明したが、絶縁物よりなる壁の形状は円筒形状に限られるものではない。絶縁物よりなる壁は、正イオンを生じさせる針状電極2と負イオンを生じさせる針状電極2との間の電気的導通を遮断できるような形状であればよく、たとえば正イオンを生じさせる針状電極2と負イオンを生じさせる針状電極2との間を直線状に延びる形状であってもよい。また絶縁物よりなる壁は、針状電極2と誘導電極1との間の導通を遮断できる形状であればよく、たとえば断面が多角形の筒形状であってもよい。
次に、上記のイオン発生装置を用いた電気機器の一例として空気清浄機の構成について説明する。
図7は、図5および図6に示すイオン発生装置を用いた空気清浄機の構成を概略的に示す斜視図である。また図8は、図7に示す空気清浄機にイオン発生装置を配置した様子を示す空気清浄機の分解図である。
図7および8を参照して、空気清浄機30は前面パネル31と本体32とを有している。本体32の後方上部には吹き出し口33が設けられており、この吹き出し口33からイオンを含む清浄な空気が室内に供給される。本体32の中心には空気取り入れ口34が形成されている。空気清浄機30の前面の空気取り入れ口34から取り込まれた空気が、図示しないフィルターを通過することで清浄化される。清浄化された空気は、ファン用ケーシング35を通じて、吹き出し口33から外部へ供給される。
清浄化された空気の通過経路を形成するファン用ケーシング35の一部に、図5および図6に示すイオン発生装置20が取り付けられている。イオン発生装置20は、そのイオン発生部となる孔21aからイオンを上記の空気流に放出できるように配置されている。イオン発生装置20の配置の例として、空気の通過経路内であって、吹き出し口33に比較的近い位置P1、比較的遠い位置P2などの位置が考えられる。このようにイオン発生装置20のイオン発生部21aに送風を通過させることにより、吹き出し口33から清浄な空気とともに外部にイオンを供給するイオン発生機能を空気清浄機30に持たせることが可能になる。
本実施の形態の空気清浄機30によれば、イオン発生装置20で生じたイオンを送風部(空気の通過経路)により気流に乗せて送ることができるため、機外にイオンを放出することができる。
なお本実施の形態においては電気機器の一例として空気清浄機について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電気機器は、これ以外に空気調和機、冷蔵機器、掃除機、加湿器、除湿機、電気ファンヒータなどであってもよく、イオンを気流に乗せて送るための送風部を有する電気機器であればよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、コロナ放電により正イオンおよび負イオンを生じさせるためのイオン発生素子、それを用いたイオン発生装置および電気機器に特に有利に適用され得る。
1 誘導電極、1a 天板部、1b 貫通孔、1c 屈曲部、1d 基板挿入部、1d1 支持部分、1d2 基板挿入部、1e 基板支持部、2 放電電極、3 基板、3a,3b 貫通孔、4 半田、10 イオン発生素子、11 絶縁性の円筒部材、20 イオン発生装置、21 ケース、21a イオン発生部(孔)、22 電源入力コネクタ、23 駆動回路、24 高電圧発生回路、25 正高電圧生成回路、26 負高電圧生成回路、30 空気清浄機、31 前面パネル、32 本体、33 吹き出し口、34 空気取り入れ口、35 ファン用ケーシング。
Claims (6)
- コロナ放電により正イオンおよび負イオンを生じさせるためのイオン発生素子であって、
誘導電極と、
前記誘導電極との間でコロナ放電を生じさせるための放電電極とを備え、
前記放電電極は、前記誘導電極との間でコロナ放電を生じさせることで正イオンを発生させる第1の針状電極と、前記誘導電極との間でコロナ放電を生じさせることで負イオンを発生させる第2の針状電極とを有し、さらに
前記第1の針状電極と第2の針状電極との間に配置された絶縁物よりなる壁を備えた、イオン発生素子。 - 前記壁は、前記誘導電極と前記第1の針状電極との間に配置された絶縁物よりなる第1の壁部を有する、請求項1に記載のイオン発生素子。
- 前記壁は、前記誘導電極と前記第2の針状電極との間に配置された絶縁物よりなる第2の壁部を有する、請求項1または2に記載のイオン発生素子。
- コロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるためのイオン発生素子であって、
誘導電極と、
前記誘導電極との間でコロナ放電を生じさせるための放電電極と、
前記誘導電極と前記放電電極との間に配置された絶縁物よりなる壁とを備えた、イオン発生素子。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の前記イオン発生素子と、
入力電圧を昇圧して前記誘導電極および前記放電電極に高電圧を印加するための高電圧発生回路部と、
前記入力電圧を受けて前記高電圧発生回路部を駆動させるための駆動回路部とを備えた、イオン発生装置。 - 請求項5に記載の前記イオン発生装置と、
前記イオン発生装置で生じた正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを送風気流に乗せて送るための送風部とを備えた、電気機器。
Priority Applications (1)
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JP2007185799A JP2009026492A (ja) | 2007-07-17 | 2007-07-17 | イオン発生素子、イオン発生装置および電気機器 |
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2007
- 2007-07-17 JP JP2007185799A patent/JP2009026492A/ja not_active Withdrawn
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