JP2009025655A - 回折光学素子、回折光学素子成形用金型、および回折光学素子成形用金型の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】回折光学素子における有害光を減少し、光学特性の低下を抑制する。
【解決手段】回折光学素子20の入射面には、回折格子21,22,…と、入射光の光軸に略垂直な平面23,24,…とが交互に形成され、回折光学素子20の出射面には、回折格子31,32,…と、入射光の光軸に略垂直な平面34,35,…とが交互に形成され、入射面の回折格子21,22,…と出射面の平面34,35,…とがそれぞれ対向し、入射面の平面23,24,…と出射面の回折格子31,32,…とがそれぞれ対向するように形成されている。
【選択図】図6
【解決手段】回折光学素子20の入射面には、回折格子21,22,…と、入射光の光軸に略垂直な平面23,24,…とが交互に形成され、回折光学素子20の出射面には、回折格子31,32,…と、入射光の光軸に略垂直な平面34,35,…とが交互に形成され、入射面の回折格子21,22,…と出射面の平面34,35,…とがそれぞれ対向し、入射面の平面23,24,…と出射面の回折格子31,32,…とがそれぞれ対向するように形成されている。
【選択図】図6
Description
本発明は、回折光学素子、回折光学素子成形用金型、および回折光学素子成形用金型の製造方法に関する。
近年、光学系の高性能化や小型化の要求が高まるにつれ、回折光学素子が注目されている。特に、断面ブレーズド形状(鋸歯形状)の回折格子は薄型で回折効率が高いため、光学機器等の光学系に多く用いられてきている。
このような回折光学素子は、回折格子とは逆形状の多数の溝が切削加工により形成された金型を用いて、プラスチック等を成形して製造されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−189114号公報
上述のように、回折光学素子を成形するための金型の製造に際しては、回折格子に対応した形状の多数の溝を切削加工により形成しているが、この際、溝の頂点部分にバリが発生することがある。このバリは、溝の傾斜角が大きくなるほど発生しやすくなる。
そして、このようなバリを有する金型を用いて製造された回折光学素子では、バリに対応して成形された部分で光が乱反射して有害光が発生し、光学特性が低下するという問題があった。
本発明は上記に鑑みてなされたもので、有害光を減少し、光学特性の低下を抑制することができる回折光学素子、回折光学素子成形用金型、および回折光学素子成形用金型の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の回折光学素子は、光の入射面および出射面にそれぞれブレーズド形状の回折格子を複数有する回折光学素子であって、前記入射面および前記出射面には、入射光の光軸に対して略垂直な複数の平面と、この平面に対して傾斜した傾斜面を有する複数の前記回折格子とが交互に形成され、かつ、前記入射面における複数の前記平面と前記出射面における複数の前記回折格子とがそれぞれ対向し、前記入射面における複数の前記回折格子と前記出射面における複数の前記平面とがそれぞれ対向するように形成されていることを特徴とする。
また、本発明の回折光学素子成形用金型は、入射光の光軸に対して略垂直な複数の平面と、この平面に対して傾斜した傾斜面を有するブレーズド形状の複数の回折格子とが交互に形成された回折光学素子の成形に用いられる回折光学素子成形用金型であって、前記回折光学素子の複数の前記平面に対応する複数の平面部と、前記回折光学素子の複数の前記回折格子に対応するブレーズド形状の複数の溝部とを備え、複数の前記平面部と複数の前記溝部とが交互に形成されていることを特徴とする。
また、本発明の回折光学素子成形用金型の製造方法は、入射光の光軸に対して略垂直な複数の平面と、この平面に対して傾斜した傾斜面を有するブレーズド形状の複数の回折格子とが交互に形成された回折光学素子の成形に用いられる回折光学素子成形用金型の製造方法であって、金型材料表面に前記回折光学素子の複数の前記回折格子に対応するブレーズド形状の複数の溝部を所定間隔で切削により形成するステップと、それぞれの前記溝部の傾斜面の上端側において、前記傾斜面と隣接する溝部の側面との間に、前記回折光学素子の前記平面に対応する平面部を切削により形成するステップとを含むことを特徴とする。
本発明によれば、回折光学素子における有害光を減少し、光学特性の低下を抑制することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
まず、回折格子に対応した形状の溝を切削加工により形成する場合の金型におけるバリの発生状況について、図1〜図3を参照して説明する。なお、図1〜図3に示す例において、金型用鋼材からなる金型母材に加工層として無電解ニッケルメッキを施したものを金型材料として使用している。
図1(a)は溝の先端角が80度の場合の金型表面を示す画像、図1(b)は図1(a)に示す金型表面の断面模式図である。図1に示す例では、80度の先端角を有する切削工具を用いて溝1の傾斜面1aおよび側面1bを加工しているが、側面1bを切削する際に溝1の先端部分にバリ1cが発生している。
図2(a)は溝の先端角が70度の場合の金型表面を示す画像、図2(b)は図2(a)に示す金型表面の断面模式図である。図2に示す例では、70度の先端角を有する切削工具を用いて溝2の傾斜面2aおよび側面2bが加工され、その際にバリ2cが発生している。
図3(a)は溝の先端角が60度の場合の金型表面を示す画像、図3(b)は図3(a)に示す金型表面の断面模式図である。図3に示す例では、60度の先端角を有する切削工具を用いて溝3の傾斜面3aおよび側面3bが加工され、その際にバリ3cが発生している。
図1〜図3に示したように、ブレーズド形状の回折格子を複数有する回折光学素子を成形するための金型の製造時においては、回折格子に対応する金型の溝の頂点部分にバリが発生することがある。このようなバリを有する金型を用いて製造された回折光学素子では、バリに対応して成形された部分で光が乱反射して有害光が発生し、光学特性が低下する。
そこで本発明では、金型におけるバリの発生を抑制することで、回折光学素子における光学特性の低下を抑制する。
次に、本発明の実施の形態における回折光学素子成形用金型の製造方法について説明する。
図4は本実施の形態における回折光学素子成形用金型の製造に用いる加工機の一例を示す斜視図である。図4に示すように加工機4は、加工対象の金型材料5を回転可能に支持する回転軸6を有し、Y方向およびZ方向に移動可能なYZステージ7と、X方向に移動可能なXステージ8と、Xステージ8上にY方向を軸として回転可能に設けられ、切削工具9を保持する保持部10とを備える。このような加工機4において、回転軸6によって金型材料5を回転させながら、切削工具9により、回折光学素子の回折格子に対応する金型材料5の面を切削加工する。
図5は本実施の形態における回折光学素子成形用金型の製造工程を説明する断面模式図である。本実施の形態においては、金型材料5として、金型用鋼材からなる金型母材に加工層として無電解ニッケルメッキを施したものを用い、金型材料5の表面(加工面)は平面とされている。
まず、図5(a),(b)に示すように、先端角が例えば60度の切削工具11を加工機4の保持部10に装着して、金型材料5の表面に所定ピッチでブレーズド形状の溝12,13,…を形成する。この際、金型材料5の表面に対して略垂直になるように設定された切削工具11の切刃稜11aにより溝12,13,…の側面12a,13a,…が切削され、切刃稜11bにより傾斜面12b,13b,…が切削される。また、この際、溝12,13,…の先端には上述のようにバリ(図示せず)が発生する。
次いで、図5(c),(d)に示すように、金型材料5の表面に対して略平行に設定された切刃稜16aを有する切削工具16を用いて、溝12,13,…の先端から所定の高さまで切削して、金型材料5の表面に対して略平行な平面部17,18,…を形成する。ここで溝12,13,…の先端から切削するので、ここに発生していたバリが除去される。
上記のような工程により回折光学素子成形用金型が製造される。本実施の形態の製造方法により製造される回折光学素子成形用金型は、図5(d)に示すように、回折光学素子の回折格子に対応する溝12,13,…と、回折光学素子の入射光の光軸に対して略垂直な平面に対応する平面部17,18,…とを有する。そして、溝12,13,…と平面部17,18,…とが交互に形成されている。
上記のような回折光学素子成形用金型を上型および下型として用いてプラスチック等を成形することにより、本実施の形態に係る回折光学素子を製造することができる。この際、上型として用いられる回折光学素子成形用金型の各溝と、下型として用いられる回折光学素子成形用金型の各平面部とが対向し、上型として用いられる回折光学素子成形用金型の各平面部と、下型として用いられる回折光学素子成形用金型の各溝とが対向するように、各溝および各平面部の寸法、および上下各金型の配置が最適化される。
図6は図5(d)に示した回折光学素子成形用金型を用いて成形した回折光学素子20の要部断面図である。
図6に示すように回折光学素子20の入射面には、回折光学素子成形用金型の溝に対応した回折格子21,22,…が形成されるとともに、回折光学素子成形用金型の平面部に対応し、入射光の光軸に略垂直な平面23,24,…が形成されている。
また、回折光学素子20の出射面には、回折光学素子成形用金型の溝に対応した回折格子31,32,…が形成されるとともに、回折光学素子成形用金型の平面部に対応し、入射光の光軸に略垂直な平面34,35,…が形成されている。
また、入射面の回折格子21,22,…と出射面の平面34,35,…とがそれぞれ対向し、入射面の平面23,24,…と出射面の回折格子31,32,…とがそれぞれ対向するように形成されている。ここで、回折光学素子20の厚さtは例えば5mm、回折格子の高さhは例えば1〜2μm、回折格子間の間隔dは例えば1〜100μmとすることができる。
このような回折光学素子20において、入射面の平面23,24,…に入射した光は、対向する出射面の回折格子31,32,…の傾斜面31a,32a,…で屈折して特定方向に出射される。例えば、入射面の平面23に入射した光L1は、対向する回折格子31の傾斜面31aで屈折して特定方向に出射される。
また、回折光学素子20は、入射面に形成された回折格子21,22,…のいずれかから入射した光が、出射面の平面34,35,…のいずれかから出射されるように設計される。例えば、入射面の回折格子22に入射した光L2は、回折格子22の傾斜面22aで屈折して光路が曲げられた後、出射面の平面34で屈折して特定方向に出射される。
図1〜図3に示したようなバリを有する金型を用いて製造された回折光学素子では、バリに対応して成形された部分で光が乱反射して有害光が発生し、光学特性が低下する。これに対して本実施の形態に係る回折光学素子20では、上述した回折光学素子成形用金型の製造工程において、平面部の形成時にバリが除去されているため、金型のバリに起因する乱反射の発生が抑えられる。このため、有害光を低減し、光学特性の低下を抑制することができる。
なお、本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
5…金型材料、11,16…切削工具、20…回折光学素子。
Claims (4)
- 光の入射面および出射面にそれぞれブレーズド形状の回折格子を複数有する回折光学素子であって、
前記入射面および前記出射面には、入射光の光軸に対して略垂直な複数の平面と、この平面に対して傾斜した傾斜面を有する複数の前記回折格子とが交互に形成され、かつ、前記入射面における複数の前記平面と前記出射面における複数の前記回折格子とがそれぞれ対向し、前記入射面における複数の前記回折格子と前記出射面における複数の前記平面とがそれぞれ対向するように形成されていることを特徴とする回折光学素子。 - 入射光の光軸に対して略垂直な複数の平面と、この平面に対して傾斜した傾斜面を有するブレーズド形状の複数の回折格子とが交互に形成された回折光学素子の成形に用いられる回折光学素子成形用金型であって、
前記回折光学素子の複数の前記平面に対応する複数の平面部と、
前記回折光学素子の複数の前記回折格子に対応するブレーズド形状の複数の溝部とを備え、
複数の前記平面部と複数の前記溝部とが交互に形成されていることを特徴とする回折光学素子成形用金型。 - 入射光の光軸に対して略垂直な複数の平面と、この平面に対して傾斜した傾斜面を有するブレーズド形状の複数の回折格子とが交互に形成された回折光学素子の成形に用いられる回折光学素子成形用金型の製造方法であって、
金型材料表面に前記回折光学素子の複数の前記回折格子に対応するブレーズド形状の複数の溝部を所定間隔で切削により形成するステップと、
それぞれの前記溝部の傾斜面の上端側において、前記傾斜面と隣接する溝部の側面との間に、前記回折光学素子の前記平面に対応する平面部を切削により形成するステップと
を含むことを特徴とする回折光学素子成形用金型の製造方法。 - 請求項2記載の回折光学素子成形用金型を用いて製造されたことを特徴とする回折光学素子。
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JP2007189947A JP2009025655A (ja) | 2007-07-20 | 2007-07-20 | 回折光学素子、回折光学素子成形用金型、および回折光学素子成形用金型の製造方法 |
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JP2012125885A (ja) * | 2010-12-15 | 2012-07-05 | Canon Inc | ブレーズ型回折格子の製造方法及びそのための型の製造方法 |
JP2015013354A (ja) * | 2013-07-08 | 2015-01-22 | キヤノン株式会社 | ブレーズ型回折格子の製造方法およびそのための型の製造方法 |
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2007
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