JP2009022282A - 海洋生物養殖システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】海洋生物を陸上で養殖するため、養殖生物の糞などから発生するアンモニア成分を好気性バクテリアを使用し亜硝酸を経て硝酸塩に変換し、嫌気性バクテリアを使用し硝酸塩も窒素ガスに還元する装置を実現し、飼料の残渣など固形成分も除去し、海水の交換を不要にした。
【選択図】図1
Description
特許文献2は水槽の底面に蓄積した魚介類が食べ残した餌や糞を主成分とする有機固形物を、効率的に除去しうる魚介類の養殖システム及び養殖方法に関する発明である。
海洋生物に対しアンモニアは強い毒性を示す。アンモニアを除去するのに有効な方法はバクテリアによる濾過を行わせることである。好気性バクテリアの一種であるアンモニア酸化菌はアンモニアを酸化し亜硝酸に変換することができる。本発明はバクテリアを活用しアンモニアを亜硝酸に効率よく換えるシステムを実現することを目的としている。
また、一般に嫌気性バクテリアは活性度が低く、海洋生物養殖に使用するには不十分であった。
従来、海水を換える第二の目的は、これを除去することにある。
本発明を実施することにより、これを好適に回収し除去することができる。
本発明では後述のように、固形物を除去するための空気ポンプと水浄化のための散気管を使用し、これらにより空気を水中に排出するので酸素補給の効果を併せ持たせることができる。
本発明を実施することにより、狭い水槽内でも海洋生物の隠れ家も確保することが可能となる。
従来は必要な装置が大掛かりになるため、養殖を事業として行うために、ある程度の規模が必要とされた。そのため水槽も大型になり、コンクリートで造るのが一般的であった。
しかしコンクリート製では設置場所の制限や設置のための手間がかかり、ちょっとした空地や最近あちこちに見られる廃校跡などを養殖場として活用することは難しかった。
また一度設置してしまうとその移動や交換などが難しかった。
前記の水槽に関してはその軽量なこと、断熱性があること、安価であることの理由から発泡スチロールを代表とする発泡プラスチックを使用できれば好都合である。
本発明の更なる目的は発泡プラスチックを水槽として使用可能にすることにある。
この2つの作用は前記ネット濾過装置内で並行して行わせることができるが、別途亜硝酸成分を酸化し硝酸塩に変換させる専用のネット濾過装置を水槽内に設けても良い。
前記濾過水槽内に前記底面フィルターを挿入し、上部にバクテリアを定着した前記ゼオライトを配置する。前記底面フィルターの内部の水を空気ポンプにより汲み出すことにより、コーガ石周辺に下降水流を生じさせバクテリアによる濾過を行わせる装置をボックス型濾過装置と称する。
したがってボックス型濾過装置はアンモニア、亜硝酸を酸化する作用のほかに硝酸塩の還元(窒素ガスとして分離する)作用もある。
また、前記水槽の内部底面近傍に傾斜部を設けることにより水中に放出され、沈降する糞や餌を有効に集積することができる。
前記水槽の内部底面に集積された糞や餌の残滓を水流ポンプにより水面上部へくみ上げ、回収する為に、前記水槽下部から上部へ続くパイプと前記パイプ内下部に配置された空気ポンプとにより構成された、吸上装置を水槽内に配する。
前記吸上装置の前記パイプの吸込口に、水流の向きを変えるためのL字管をつけて水の吸水方向を換えることができる。
仕切床は養殖する生物が貝類やひらめなど海底に生息する生物の場合有効で、ネットは回遊魚などの場合に有効である。
前記濾過装置を前記水槽に着脱するときに、前記仕切壁を取り外すことを可能にしておくと、濾過装置の保守や交換がスムーズにできる。
また仕切床またはネット下に散気管を配する代わりにまたは散気管と併用して仕切床またはネット上または水槽底面に、水流ポンプを配し、水流により炭素繊維をなびかせ、隠れ家の効果を高めることができる。
この窒素ガス分離装置は、底面に汲水管を敷き、前記汲水管の要所に穴をあけ、前記汲水管を埋めるように下部濾材を敷き詰める。
前記下部濾材上部には多数の孔が開けられている中間ガス分離版を配する。この孔は濾材を上下に分離し水を透過させるためのものである。
前記中間ガス分離版の上部には好気性バクテリアを主に定着したコーガ石が敷き詰められ、中間ガス分離版の下部には嫌気性バクテリアを定着させるために同じくコーガ石を敷き詰める。
また上室には中間ガス分離板近傍の水を吸い上げ窒素ガス分離装置外に配する為の空気ポンプを配しても良い。
植物濾過水槽は栽培する植物濾過水槽の種類により植物の水面からの高さと水深部の深さが異なる。水深部の深さに応じてその植物の根の部分が水槽内の水面に対し適当な位置に来るように水槽内で鉢を置く高さを調節する。
植物濾過水槽内に植物収納ボックスを置くための上下仕切り板を穴あき板などで作りその下にコーガ石などを敷き詰める。コーガ石には嫌気性のバクテリアを定着させ、ボックス型濾過装置と同様な構造をとり、その効果を持たせると更に良い。
海洋生物の養殖のため硝酸塩を吸収して水を浄化するという役割のほかに、硝酸塩(窒素肥料の一種)を積極的に利用して水耕栽培も併用し、採算性をよくする事も可能になる。
不足分を補ってバランスを浴するために必要な成分をどのように与えるかも課題であるが、その成分によっては水槽に混入すると主目的である養殖中の海洋生物に悪影響を与える事がある。
前記水槽または植物濾過水槽または脱膣水槽は、底面、側面の両方またはそれらの一方または一部を発泡プラスチックで形成すると、軽量化と断熱性を高める事、更に低価格化が可能になる。
小屋の断熱性を高めるためには屋根または壁や、小屋の内側に発泡プラスチックを貼り付ける方法が良い。特に屋根や外壁に行うと外断熱となりその効果は大きい。
本発明においては、アンモニア、亜硝酸の処理は好気性バクテリアを使った酸化処理であり、増殖に酸素の存在が必要条件である一方、硝酸塩の処理は嫌気性バクテリアを使った還元処理という、相反する条件を利用し、ボックス型濾過装置または窒素ガス分離装置によって小型の一体型濾過装置を実現している。
本発明では後述のように、固形物を除去するための空気ポンプと水浄化のための散気管を使用し、これらにより空気を水中に排出するので酸素補給の効果を併せ持たせることができる。
また一度設置した後もその移動や交換などが可能になった。
また硝酸塩を植物に吸収させる手段として水槽内に海草濾過装置を設置する。
前記水槽1の内部底面近傍に傾斜板37を設け、水中に放出され沈降する糞や餌を水槽底面の中心部に集積する。
前記水槽1の底面に集積された糞や残滓を水流ポンプ39により、前記吸上装置8の前記吸上げ用パイプ6の吸込口近傍に集め、吸上げ装置8で水流し樋13へ排出し、パンチ板上の残滓フィルターで漉し取り回収する。残滓フィルターは不織布を用いると性能面や価格面で好都合である。
ミネラル成分を補給するため、前記ネット濾過装置内にカルシウムまたは鉄分を含んだミネラル収納部を配置する。
前記濾過装置を前記水槽に着脱するときに、前記仕切壁を取り外すことを可能にしておく。
鉄板で構成された小屋の屋根や外壁に発泡プラスチックを貼り付け、その外側を樹脂塗料でコーティングし保護する。
2 水槽蓋
3 仕切壁
4 汲み上げポンプ
5 オーバーフローパイプ
6 吸上げ用パイプ
7 ネット濾過装置
8 吸上げ装置
9 空気ポンプ
10 ミネラル収納部
11 水取り入れ口
12 水排出口
13 流し樋
14 パンチ板
15 残滓フィルター
16 ボックス型濾過装置
17 散気管
18 炭素繊維
19 底面フィルター
20 送気管
21 ネット型及びボックス型複合濾過装置。
22 水取り入れ口。
23 固形物収集機。
24 仕切板。
25 海草濾過装置。
26 海草。
27 育成用LED。
28 コーガ石・珊瑚・木炭・欧州産BIMS等多孔質材であるゼオライト。
29 窒素ガス分離装置。
30 嫌気性バクテリアが定着した濾材。
31 汲水用穴あきパイプ
32 窒素ガス放出パイプ。
33 窒素ガス。
34 中間ガス分離板。
35 植物。
36 パンチ板又はネット型底板。
37 傾斜板。
38 仕切床またはネット。
39 水流ポンプ。
40 ポンプからの排出口。
41 とまり棚またはとまり木。
42 濾過材。
43 水取り入れ孔
44 接続パイプ
45 スポンジ。
46 残滓フィルター
47 通り孔
48 ネット濾過装置に定着した藻
49 植物濾過水槽
50 上部フタ
51 水耕栽培用土壌改良材
52 肥料不足分追加ボックス
53 藻
54 植物収納ボックス
55 不足分肥料供給装置(水溶性カリ、水溶性リン酸、等)
56 仕切り壁取付部
Claims (31)
- 海洋生物を養殖する水槽において、好気性バクテリアによるアンモニア及び亜硝酸酸化手段と、嫌気性バクテリアによる硝酸塩還元手段または植物による硝酸塩吸収手段の少なくても一方及び、固形物回収手段を有する海洋生物養殖システム。
- 前記海洋生物を養殖する水槽において、前記好気性バクテリアによるアンモニア及び亜硝酸酸化手段と、前記嫌気性バクテリアによる硝酸塩還元手段と、前記植物による硝酸塩吸収手段及び、前記固形物回収手段のうち、前記各手段すべてまたは一部が、それぞれ単独の濾過装置にまたは複合された濾過装置としてユニット化され、前記水槽内に設置され、または別の水槽であるが前記水槽と水を共有化された別の水槽として構成されている事を特徴とする請求項1の海洋生物養殖システム。
- 前記濾過装置は、内部に、好気性バクテリアが定着した炭素繊維、コーガ石、黒雲母流紋岩、欧州産Bims等多孔質材のゼオライトのうち、少なくてもその一つが挿入され、その下部に散気管を配し、前記散気管より吹き出された空気の上昇により励起され上昇する水を、前記ゼオライトに定着した好気性バクテリアにより濾過するネット濾過装置である、請求項2の海洋生物養殖システム。
- 前記ネット濾過装置の前記散気管より吹き出された空気の上昇により、ネット濾過装置内部に上昇水流を励起し、上昇水流により前記ネット濾過装置の上方に吹き出された水が、流し樋上に吹き出され、前記流し樋に案内され、残滓フィルター上に吐き出される、請求項3の海洋生物養殖システム。
- 前記ネット濾過装置内にカルシウムまたは鉄分を含んだミネラル収納部を配置した請求項3乃至請求項4の海洋生物養殖システム。
- 前記濾過装置は、養殖される海洋生物へ供給された餌の残滓や糞を水面上部に吸い上げる前記固形物回収手段としての吸上装置を有する前記濾過装置である、請求項2の海洋生物養殖システム。
- 前記吸上装置は前記水槽下部から上部へ続くパイプと前記パイプ内下部に配置された空気ポンプとにより構成された、請求項6の海洋生物養殖システム。
- 前記吸上装置の前記パイプの下部である吸込口に、水流の向きを変えるためのL字管をつけた請求項6乃至請求項7の海洋生物養殖システム。
- 前記吸上装置より吹き出される糞と餌の残渣および水は前記水槽の上部に設けられた流し樋上に吹き出され、前記流し樋に案内され、水槽上部に敷かれた残滓フィルター上に吐き出される、請求項6乃至請求項8の海洋生物養殖システム。
- 前記ネット濾過装置と、前記吸上装置と、前記流し樋及び前記残滓フィルターを濾過装置として一体化した請求項2乃至請求項9の海洋生物養殖システム。
- 前記濾過装置は、底面フィルターと前記底面フィルター上部に配された前記ゼオライトまたは砂と、砂の上部に配置された植物収納ボックスと、前記植物収納ボックス内に収容された前記コーガ石、前記欧州産Bims、木炭、前記珊瑚砂等多孔質材で構成される土壌改良剤とを有し、水耕栽培の可能な植物を前記植物収納ボックス内の前記土壌改良材に植え、前記植物に光源で光を照射可能にし、前記植物収納ボックス内に前記水槽内の海水を注ぎ込み、前記底面フィルターにより海水を前記水槽に戻すことを特徴にした植物濾過装置である請求項2の海洋生物養殖システム。
- 前記植物の根の一部を分離し肥料不足分追加ボックスに挿入し、前記肥料不足分追加ボックスには水溶性植物肥料を挿入し、前記水溶性植物肥料が前記槽内の水に混入しない様に構成した事を特徴とした、請求項11の海洋生物養殖システム。
- 前記肥料不足分追加ボックスに肥料と淡水を継続的に供給するため、不足分肥料供給装置を配し、前記肥料不足分追加ボックス内に追加すべき水溶性肥料と、淡水を挿入し、その水溶液が不足分肥料追加ボックスに流れ込むように構成された、請求項11乃至12の海洋生物養殖システム。
- 前記植物濾過装置を、前記水槽の外に設置し、前記水槽より送られてきた海水を注ぎ込み、前記汲水管より吸水した海水を前記水槽に送ることを可能にした、請求項11乃至請求項13の海洋生物養殖システム。
- 前記植物濾過装置の前記植物がトマトである、請求項11乃至請求項14の海洋生物養殖システム。
- 前記濾過装置は、底面に底面フィルターを配置し、前記底面フィルター上に前記ゼオライトを挿入し、上方から前記水槽内の海水を注ぎ込み、前記底面フィルターより吸水した海水を前記水槽に戻すボックス濾過装置である請求項2の海洋生物養殖システム。
- 前記濾過装置は、前記ネット濾過装置及びボックス濾過装置を複合した濾過装置である請求項2乃至請求項5及び請求項10または請求項16の海洋生物養殖システム。
- 前記濾過装置は、底面に底面フィルターを配置し、前記底面フィルター上に前記ゼオライトまたは砂を挿入し、前記ゼオライトまたは砂に海草を植えた事を特徴とする海草濾過装置である請求項2の海洋生物養殖システム。
- 底面に汲水管を敷き、前記汲水管間の要所に穴をあけ、前記汲水管を埋めるように下部濾材を敷き詰め、前記下部濾材上部に中間ガス分離版を配し、前記中間ガス分離版は多数の孔が開けられているとともに上部からガス放出パイプが貫通しており、前記中間ガス分離版の上部に上部濾材を敷き詰め、前記汲水パイプより汲み出した水を前記水槽に送る事を可能にした窒素ガス分離装置を有する請求項2の海洋生物養殖システム。
- 周囲に藻を有した篭または網を、水中に配した請求項1乃至請求項2の海洋生物養殖システム。
- 前記周囲に藻を有した篭または網に光源により光を照射可能にした請求項20の海洋生物養殖システム。
- 小型箱状の容器の底面に、底面フィルターを設置し、前記底面フィルターの前記底面フィルターに接続されているパイプの他の一端に水流ポンプを接続し、前記箱状の容器に層状にスポンジと不織布を挿入した固形物収拾機を用いた請求項1乃至2の海洋生物養殖システム。
- 前記水槽内部の底面近傍に傾斜部を設けた請求項1乃至2の海洋生物養殖システム。
- 前記水槽内部の底面に水流ポンプを設けた請求項1乃至2の海洋生物養殖システム。
- 前記傾斜部の上方に前記水槽内を上下に区分する仕切床またはネットを設け、前記仕切床は格子状またはスノコ状をしている、請求項1乃至請求項2の海洋生物養殖システム。
- 前記水槽内に仕切壁を設け、前記水槽の内側の壁には仕切壁取付部を設け、前記濾過装置を前記水槽に着脱するときに、前記仕切壁を取り外すことを可能にした請求項2の海洋生物養殖システム。
- 前記仕切壁または前記水槽の壁面にとまり棚を取り付けた、または前記水槽の底部または仕切床上にとまり木を配した請求項1乃至請求項26の海洋生物養殖システム。
- 前記水槽の底面または仕切床またはネットに炭素繊維を固着し、または炭素繊維を固着した部材を配し、前記水槽の仕切床またはネットの下方に散気管を配した、請求項1または請求項25の海洋生物養殖システム。
- 前記水槽または前記濾過装置は、底面、側面の両方またはそれらの一方または一部を発泡プラスチックで形成した請求項1乃至請求項28の海洋生物養殖システム。
- 前記水槽または前記濾過装置の側面周囲及び底面に沿うように補強パイプを複数段回設し、複数の要所で上下の回設されたパイプを略鉛直に配した連結パイプで接続し、連結パイプ上部には他の水槽の連結パイプ下部に接合するための上端接合部を設け、連結パイプ下部には他の水槽の連結パイプ上部に接合するための下端接合部を設け、ひとつの水槽の上端連結部に他の水槽の下端連結部を嵌めこむことにより、水槽を重ねる事が可能な請求項1乃至請求項29の海洋生物養殖システム。
- 屋根または壁または内部天井または壁面に発泡プラスチックを貼り付けてなす構造物内または発泡プラスチック製構造物内に設置された、請求項1乃至33の海洋生物養殖システム。
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