JP2009017843A - ファージライブラリー由来のt抗原糖鎖を認識する単鎖抗体 - Google Patents

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淳 高柳
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Abstract

【課題】がん関連糖鎖の機能解析のためのT抗原糖鎖を認識する抗体、並びに当該抗体をコードする核酸の提供。
【解決手段】T抗原特異的単鎖抗体を得るために、ヘキサエチレングリコール含有T抗原を用いて、ヒトscFvを提示するファージ提示型ライブラリーをスクリーニングし得られる、特定のアミノ酸配列を含む、T抗原糖鎖を認識する抗体であり、該抗体をコードする核酸を用いたT抗原糖鎖を認識する組換え抗体の生産方法。その抗体が1本鎖抗体である、組換え抗体。
【選択図】なし

Description

本発明は、T抗原糖鎖を認識するファージ提示型単鎖抗体に関する。より詳細には、本発明は、ファージ提示型単鎖抗体ライブラリーのスクリーニングによって得られるT抗原糖鎖を認識する単鎖抗体に関する。
Thomsen-Friedenreich carbohydrate antigen (Galβ1-3GalNAcα1-Ser/Thr、T抗原)は二糖で構成されるO結合型糖鎖であり、「core 1」構造に分類される糖鎖抗原である。正常な組織においてT抗原はシアル酸などで非還元末端修飾されて被覆されているが、がん化とその悪性化に伴いT抗原が露出される。このT抗原は結腸がん・乳がん・膀胱がん・前立腺がん・肝がん・卵巣がん・胃がんを含む全てのヒトのがん細胞の約90%で発現しており、がんの進行や転移に深く関わっていると考えられている。従って、T抗原に対するヒト型抗体の作製は、がん関連糖鎖の機能解析のみならず、臨床診断及び治療への応用にも活用できると期待される。(非特許文献1)
糖類で免疫するとIgMの1次応答が誘発されることが多いことは広く知られているが、糖類の多くは自己抗原であるので応答が見られない場合もある(非特許文献2及び3)。ファージディスプレイ法は自己抗原に対する抗体を産生できるので、糖鎖部分に対する抗体を産生するための最適な方法であると考えられる。各種の糖鎖部分に対するモノクローナル抗体を産生する際、ハイブリドーマによる従来の手法は有効ではないことが既に証明されていることから、糖鎖に対する高い特異性と親和性を有する抗体フラグメントを、ファージディスプレイ法により単離できる可能性が注目を集めている。ファージディスプレイ法はタンパク質に対する抗体を産生するために主に用いられてきたが、糖鎖抗原にはほとんど利用されたことがない。プラスチックプレート上に糖鎖抗原を固定化することは困難なので、タンパク質抗原で一般的に用いられる方法を糖鎖抗原にそのまま適用することはできない。既報の研究では、糖タンパク質、ヘテログリカン、BSA結合糖鎖を抗原として用いて、ファージディスプレイ法により抗糖鎖単鎖抗体(scFv)を作製している(非特許文献1及び4〜8)。現在までに作製された抗糖鎖抗体の大部分は、モノクローナル抗体の場合はIgMクラスであり、scFvの場合であっても低親和性であったので、これらの抗体はin vivoの診断法や治療法には適さない。この糖鎖抗原に対する低親和性は、糖鎖自体が持つ性質である可能性が最も高いので、これを克服するのは容易ではない可能性がある。抗体価を高めることによって抗糖鎖抗体の低い親和性を向上させる試みがなされてきた(非特許文献5〜11)。多価のscFvでは糖鎖部分に対する親和性が高まることが示されている(非特許文献10〜11)。
Yu, L,-G. (2007) Glycoconj. J. Deng, S., Mackenzie, C.R., Sadowaka, J., Michniewicz, J., Young, N.M., Bundle, D.R., and Narang, S.A. (1994) J. Biol. Chem. 269, 9533-9538. Mackenzie, C.R., Hirama. T., Deng, S., Bundle, D.R., Narang, S.A., and Young, N.M. (1996) J. Biol. Chem. 271, 1527-1533. Babino, A., Pritsch, O., Oppezzo, P., Du Pasquier, R., Roseto, A., Oshinaga, E., and Alzari, P.M. (1997) Hyridoma 16, 317-324. van Kuppevelt, T.H., Dennissen, M.A.B.A., van Venrooij, W.J., Hoet, R.M.A., and Veerkamp, J.H. (1998) J. Biol. Chem. 273, 12960-12966. Mao, S., Gao, C., Lo, C.-H. L., Wirxhing, P., Wong, C.-H., and Janda, K.D. (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96, 6953-6958. Lee, K.J., Mao. S., Sun, C., Gao, C., Blixt, O., Arrues, S., Hom. L.G., Kaufmann, G.F., Hoffma, T.Z., Coyle, A.R., Paulson, J., Felding-Habermann, B., and Janda, K.D. (2002) J. Am. Chem. Soc. 124, 12439-12446. Ravn, P., Danielczyk, A., Jensen, K.B., Kristensen, P., Christense, P.A., Larsen, M., Karsten, U., and Goletz, S. (2004) J. Mol. Biol. 343, 985-996 Deng, S., Mackenzie, C.R., Hirama, T., Brousseau, R., Lowary, T.L., Young, N.M., Bundle, D.R., and Narang, S.A. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92, 4992-4996. Mackenzie, R. and To, R. (1998) J. Immunol. Methods 220, 39-49. Zhang, J., Tanha, J., Hirama, T., To, N.H.K.R., Tong-Sevinc, H., Stone, E., Brisson, J.-R., and Mackenzie, C.R. (2004) J. Mol. Biol. 345, 49-56
本発明は、T抗原糖鎖を認識する抗体、並びに当該抗体をコードする核酸を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは本研究に先駆け、ファージディスプレイライブラリーと人工糖脂質ライブラリーを作製し、モデル糖鎖Mannotrioseに対するヒト単鎖抗体を単離した (Sakai, K., Shimizu, Y., Chiba, T., Matsumoto-Takasaki, A., Kusada, Y., Zhang, W., Nakata, M., Toma, K., Takayanagi, A., Shimizu, N., and Fujita-Yamaguchi, Y. (2007) Biochemistry 46, 253-262)。本発明において上記目的を達成するため、上記のファージディスプレイライブラリーを用い、新たに作製したヘキサエチレングリコール含有T抗原糖脂質を作製した。
本発明者らは、T抗原特異的単鎖抗体を得るために、ヘキサエチレングリコール含有T抗原を作製し、これを抗原としファージディスプレイライブラリーからパニングとスクリーニングにより候補単鎖抗体を単離した。
即ち、本発明によれば、以下の(1)から(6)の何れかに記載の抗体が提供される。
(1)重鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列又は配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列又は配列番号4に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、T抗原糖鎖を認識する抗体;
(2)重鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列又は配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号8に記載のアミノ酸配列又は配列番号8に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、T抗原糖鎖を認識する抗体;
(3)重鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号10に記載のアミノ酸配列又は配列表の配列番号10に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号12に記載のアミノ酸配列又は配列番号12に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、T抗原糖鎖を認識する抗体;
(4)重鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号14に記載のアミノ酸配列又は配列表の配列番号14に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号16に記載のアミノ酸配列又は配列番号16に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、T抗原糖鎖を認識する抗体;
(5)重鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号18に記載のアミノ酸配列又は配列表の配列番号18に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号20に記載のアミノ酸配列又は配列番号20に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、T抗原糖鎖を認識する抗体;
(6)重鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号22に記載のアミノ酸配列又は配列表の配列番号22に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号24に記載のアミノ酸配列又は配列番号24に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、T抗原糖鎖を認識する抗体。
本発明の別の側面によれば、上記した本発明の抗体をコードする核酸が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、以下の何れかの核酸が提供される。
(1)配列表の配列番号1に記載の塩基配列、及び配列表の配列番号3に記載の塩基配列を含む核酸;
(2)配列表の配列番号5に記載の塩基配列、及び配列表の配列番号7に記載の塩基配列を含む核酸;
(3)配列表の配列番号9に記載の塩基配列、及び配列表の配列番号11に記載の塩基配列を含む核酸;
(4)配列表の配列番号13に記載の塩基配列、及び配列表の配列番号15に記載の塩基配列を含む核酸;
(5)配列表の配列番号17に記載の塩基配列、及び配列表の配列番号19に記載の塩基配列を含む核酸;
(6)配列表の配列番号21に記載の塩基配列、及び配列表の配列番号23に記載の塩基配列を含む核酸;
本発明のさらに別の側面によれば、上記した本発明の核酸を用いた抗体の生産方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、上記方法によって得ることができる、T抗原糖鎖を認識する組換え抗体が提供される。好ましくは、抗体は1本鎖抗体である。
本発明によれば、T抗原糖鎖を認識する抗体、ならびに該抗体をコードする核酸が提供される。本発明の抗体は、個体が認識できない糖鎖抗原を含む各種糖鎖に特異的かつ高親和性で結合することができる。さらに本発明の単鎖抗体を遺伝子操作することにより、改良型の単鎖抗体を作製することも可能であり、単鎖抗体の量産も容易である。また、本発明で得られた抗体の遺伝子操作によりトキシンや酵素などのタンパク質の糖鎖特異的デリバリーも可能である。
以下、本発明の実施の形態についてより具体的に説明する。
本発明の抗体は、T抗原糖鎖を認識する抗体である。以下の実施例に記載した通り本発明の抗体は、βGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDBをモデル抗原として用いて、ヒトscFvのファージ提示型ライブラリーのスクリーニングすることによって取得されたものである。陽性ファージクローンをELISA及び表面プラズモン共鳴法で解析した結果、本発明の抗体は、T抗原糖鎖に結合することが実証された。
本発明でスクリーニングの際に抗原として用いるT抗原糖鎖としては、βGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDBとHexaEG-BDBの混合物が好ましい。
HexaEG-BDBは公知の方法(特開2005-232061)に従い、3,5-ビス(ドデシロキシ)安息香酸と17-アミノ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘプタデカノールを、ジクロロメタン中、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩と1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物を縮合剤として用いて縮合して合成した。また、βGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDBは既知の方法(G.Arsequell and G. Valencia, (1997) Tetrahedron Asymmetry 8, 2839-2876、特開2006-335652)に従い、2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-ガラクトピラノシル-(1-3)-2-アジド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-D-ガラクトピラノシル トリクロロアセトイミデートを、17-N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘプタデカノールに導入し、9-フルオレニルメトキシカルボニル基を脱保護した後、3,5-ビス(ドデシロキシ)安息香酸と縮合し、種々の脱保護を行って合成した。目的物は、1H-NMRとMALDI-TOFMSにより同定した。
抗原となるT抗原糖鎖を溶解する溶剤は特に限定しないが、クロロホルム/メタノール/水(10:10:3、体積比)に溶解後、さらにメタノールで、例えば40μg/mlに希釈することが望ましい。この溶液を、例えば96ウェルプラスチックプレート(平底)に加えて風乾させ、T抗原糖鎖をウェルに固定化させる。このウェルをブロッキングし、洗浄する。かかる操作でT抗原糖鎖をコートしたプレートを、抗原コートプレートとして用いることができる。
緩衝液にはトリス緩衝生理食塩水(以下、TBSという)を用いることが望ましい。また、ブロッキング用溶液としては例えば3%ウシ血清アルブミンを含むTBS(以下、3%BSA/TBSという)が、洗浄溶液としては例えば0.05%Tween20を含むTBS(以下、TBS−Tという)が望ましい。
ファージ提示型抗体は、公知の方法により作製することができる(Marks JDほか、J.Mol.Biol.222巻581−597頁、1991年;Nissim Aほか、EMBO J.13巻692−698頁、1994年;高柳淳・奥井理予・清水信義、超レパートリー人工抗体ライブラリ、出願番号 特願2001−358602(国際公開番号WO03/04419号))。
ファージ提示型抗体ライブラリーは、繊維状ファージのコートタンパク質に抗体を融合させることにより、ファージの表面上に抗体を提示(ディスプレイ)するシステムを応用したものである。具体的には、抗体遺伝子をPCRで増幅して多種類の抗体遺伝子を含むライブラリーを作製し、これをファージ上に提示させることによってファージディスプレイライブラリーとすることができる。以下に、ファージ提示型単鎖抗体の作製方法の具体例を示すが、これに限定されるものではない。
ヒト末梢血および脾臓cDNAライブラリーを鋳型としてイムノグロブリン遺伝子のVH又はVL領域のCDR1及びCDR2領域を含む断片と、CDR3領域を含む断片とをそれぞれPCR法により増幅する。それらを混合し鋳型として、PCR法によりVH又はVL領域を増幅する。増幅したこれらのDNA断片をそれぞれ非発現型ファージミドベクターに組込み、VHライブラリーとVLライブラリーを作製する。これらの大腸菌VHライブラリーとVLライブラリーに、ヘルパーファージを感染させ、ファージライブラリーに変換する。これらファージ型VHおよびVLライブラリーをCre組換え酵素を発現する大腸菌に共感染させ、大腸菌内でVH・VLベクター間で組換え反応を行う。この大腸菌にM13KO7ヘルパーファージを感染させ、完全長一本鎖抗体を発現するファージを生成させることができる。これらのファージに混入している非組換え体を取り除くため、このファージを多重感染が起こらないように大腸菌に感染させ、さらにヘルパーファージを重感染させ、アンピシリン・カナマシン・クロラムフェニコールを含みグルコースを含まない培地で25℃で培養する。これにより上清中に組換え一本鎖抗体を発現するファージを得ることができる。上清中のファージをポリエチレングリコールで沈殿し、再懸濁し、10の11乗以上のレパートリーを有する人工抗体ライブラリーを得ることができる。
さらに目的のT抗原糖鎖に対する結合性を有するファージ提示型抗体は、上記方法により作製したヒト型一本鎖ファージライブラリーから、当該T抗原糖鎖に対する結合能を指標にして選択的に回収することができる。この操作をパニングと称する場合がある。
パニングを繰り返して得られたファージ提示型抗体のT抗原糖鎖に対する結合性を解析する方法としては、例えば以下に述べるELISA法を応用して解析することが、多数のファージクローン試料について同時解析できる上で望ましい。すなわち、96ウェルプラスチックプレートにT抗原糖鎖を固定化し、ファージ提示型抗体の非特異的吸着をなくすため、例えば3%BSAを含む緩衝液でブロッキングする。これに、緩衝液で適切な濃度に調製したファージ提示型抗体の懸濁液を加え、十分に反応させた後(例えば、37℃で2時間)、緩衝液で洗浄する。
T抗原糖鎖に結合したファージ提示型抗体を検出・定量するため、検出に適切な物質で標識されている抗ファージ抗体の水溶液を反応させ、緩衝液で洗浄後、標識物質の検出に最適な手法で検出・定量する。このとき、抗ファージ抗体の標識物質は特に制限されないが、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼでの標識が、簡便さの点で望ましい。また、検出に用いる検出器も特に制限されないが、例えばELISAに適したプレートリーダーを用いることが望ましい。
本発明でいう抗体とは、通常生体内に存在する形の抗体の他に、抗体のH鎖もしくはL鎖の可変領域もしくはその組み合わせで形成される抗原結合部位を少なくとも1つ含むペプチド、1組のH鎖断片とL鎖断片からなるFab、2組のH鎖断片とL鎖断片からなるF(ab')2、H鎖断片とL鎖断片が同一ペプチドに直列に結合した一本鎖抗体(以下「scFv」ということもある)なども含まれる。本発明の抗体は、全長H鎖と全長L鎖の2対の組み合わせから構成される、通常生体内に存在する形の全長抗体でもよい。
なお、本発明におけるF(ab')2及びFabとは、イムノグロブリンを、蛋白分解酵素であるペプシンあるいはパパイン等で処理することにより製造され、ヒンジ領域中の2本のH鎖間に存在するジスルフィド結合の前後で消化されて生成される抗体フラグメントを意味する。例えば、IgG1をパパインで処理すると、ヒンジ領域中の2本のH鎖間に存在するジスルフィド結合の上流で切断されてVL(L鎖可変領域)とCL(L鎖定常領域)からなるL鎖、及びVH(H鎖可変領域)とCHγ1(H鎖定常領域中のγ1領域)とからなるH鎖フラグメントがC末端領域でジスルフィド結合により結合した相同な2つの抗体フラグメントを製造することができる。これら2つの相同な抗体フラグメントを各々Fab'という。またIgGをペプシンで処理すると、ヒンジ領域中の2本のH鎖間に存在するジスルフィド結合の下流で切断されて前記2つのFab'がヒンジ領域でつながったものよりやや大きい抗体フラグメントを製造することができる。この抗体フラグメントをF(ab')2という。
通常の抗体は大小二種類のポリペプチドからなり、大きい方のサブユニットを「H鎖」(重鎖)、小さい方のサブユニットを「L鎖」(軽鎖)という。また、それぞれのペプチドはN末端側に存在して抗原結合部位を形成する「可変領域」と抗体のクラス別に一定の「定常領域」から構成されている。可変領域はさらに特に抗原結合部位の形成に密接に関与している相補性決定領域「CDR」とその間に存在する「フレームワーク」に分けられる。CDRにはH鎖とL鎖のそれぞれについてN末端側から「CDR1」、「CDR2」、「CDR3」と呼ばれる3つの領域があることが知られている。
本発明の一本鎖抗体は、pSE380プラスミド(インビトロジェン社)やpET24d(+)プラスミド(ノバジェン社)などの誘導性のベクターと宿主となる菌体を適宜選択することによって調製することができる。また、本発明の抗体の生産においては、上述の方法の他、動物細胞発現系、昆虫細胞発現系、酵母細胞発現系を用いることもできる。H鎖およびL鎖を結合するリンカーも当業者であれば適宜選択することができる。
配列表の配列番号1から24には、以下に示す通り、本発明の抗体の重鎖と軽鎖の塩基配列とアミノ酸配列を示した。これらのアミノ酸配列において、T抗原糖鎖を認識する抗体が得られる限りは、1もしくは数個(好ましくは1〜8個、より好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜3個程度)のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含むものも本発明の範囲に含まれる。下記の配列表に示す塩基配列を有する核酸は、本明細書の実施例に記載した手法により取得してもよいし、あるいはDNA合成装置を用いて化学的に合成することもできる。また、下記の配列表に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列についても、PCRなどを含む通常の遺伝子組換え技術、又はDNA合成装置を用いた化学合成により当業者であれば容易に取得することができる。
配列番号1:抗体1G11の重鎖の可変領域の塩基配列
配列番号2:抗体1G11の重鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号3:抗体1G11の軽鎖の可変領域の塩基配列
配列番号4:抗体1G11の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号5:抗体1E6の重鎖の可変領域の塩基配列
配列番号6:抗体1E6の重鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号7:抗体1E6の軽鎖の可変領域の塩基配列
配列番号8:抗体1E6の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号9:抗体1F4の重鎖の可変領域の塩基配列
配列番号10:抗体1F4の重鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号11:抗体1F4の軽鎖の可変領域の塩基配列
配列番号12:抗体1F4の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号13:抗体1E10の重鎖の可変領域の塩基配列
配列番号14:抗体1E10の重鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号15:抗体1E10の軽鎖の可変領域の塩基配列
配列番号16:抗体1E10の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号17:抗体1F1の重鎖の可変領域の塩基配列
配列番号18:抗体1F1の重鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号19:抗体1F1の軽鎖の可変領域の塩基配列
配列番号20:抗体1F1の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号21:抗体1F9の重鎖の可変領域の塩基配列
配列番号22:抗体1F9の重鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号23:抗体1F9の軽鎖の可変領域の塩基配列
配列番号24:抗体1F9の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列
さらに、scFvから通常生体内にある形の抗体を作製することが可能である。一例を挙げると、scFvのプラスミドからH鎖およびL鎖の可変領域部分のみをPCR法にて増幅する。それぞれの断片は、例えば、ヒトの抗体のH鎖遺伝子及び/またはL鎖遺伝子を有するプラスミドに組み換えて、上記scFv上にある可変領域を持つ通常生体内にある形の抗体にすることが可能である。具体的には、例えば、プラスミドからH鎖およびL鎖の可変領域を増幅するとき得られる遺伝子断片の両端に、適当な制限酵素切断部位を入れておいて、ヒト抗体のH鎖及び/またはL鎖を有するプラスミド上の適当な制限酵素切断部位と組み合わせて、フレームシフトが起こらないように可変領域の遺伝子を入れ替える。このような方法によりプラスミド上にあった可変領域の配列をそのまま持つ通常生体内にある形の抗体を作ることは可能である。この抗体からさらに、抗体のH鎖もしくはL鎖の可変領域もしくはその組み合わせで形成される抗原結合部位を少なくとも1つ含むペプチド、1組のH鎖断片とL鎖断片からなるFab、2組のH鎖断片とL鎖断片からなる(Fab'2)を作ることも可能である。
本発明の抗体の発現には、大腸菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞等を用いることができる。例えば、COS細胞やCHO細胞にて抗体を発現させるときにはpCDNA3.1(+)やpMAMneo(CLONETECH社)等を使用することが可能である。例えば、上記の手法で取得した抗体のH鎖の遺伝子をpCDNA3.1(+)のマルチクローニングサイトに、L鎖の遺伝子をpMAMneoにそれぞれ組み込む。その上でH鎖の組み込まれたベクターの適当なサイトにプロモーターとpolyAの間にL鎖の遺伝子がある発現ユニットを組み込む。このベクターをCOS細胞やCHO-K1、またはCHO DG44に遺伝子工学の定法にて導入することにより目的の抗体の生産を行うことができる。さらに、上記作製したベクターに例えばpSV2/DHFR(Nature,1981.Vol.294,Lee F. et al.,)からDHFR遺伝子の発現ユニットを切り出し、H鎖とL鎖を発現するベクターに組み込む。このベクターをCHO DG44に遺伝子工学の定法にて遺伝子導入する。これにより選択した細胞はMTXを用いたDHFR遺伝子増幅系を使用することにより抗体の生産性を大幅に上昇させることが可能である。
COS細胞やCHO細胞などの動物細胞は、通常10%ウシ胎児血清(FBS)を加えたDulbecco's Modified Eagle's Medium(DMEM)を用い、5%CO2存在下37℃で培養することができる。COS細胞への遺伝子導入法は電気穿孔法の他、DEAEデキストラン法、lipofectin等のトランスフェクション試薬を用いた方法で行うことができる。
本発明の抗体の生産時には、血清由来のウシ抗体の混入を避けるために、無血清の培地にて培養することが望ましい。無血清培地に馴化していないCOSおよびCHOの血清培地で培養している細胞については、血清を入れていないDMEMによって培養することが望ましい。こうして培養上清中に得られた本発明の抗体は、例えばプロテインAカラムやプロテインGカラムを用いる一般的なIgG抗体の精製法によって容易に精製することが可能である。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(A)材料と方法
(1)材料
Escherichia coli株は、Invitrogen社(カリフォルニア州、カールズバッド)のサプレッサー変異株TG1と、非サプレッサー変異株TOP10F'(Invitrogen社)にシャペロンベクターを導入して作製したTOP10F'-FS2株を使用した。ヘルパーファージM13KO7はAmersham Biotech社(英国)から入手した。ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン(hSA)、DPPE、およびジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)は、Sigma-Aldrich社(ミズーリ州、セントルイス)から購入した。ラクト−N−テトラオース(LNT;Galβ1-3GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)、ラクト−N−ネオテトラオース(LNnT;Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)、ラクト−N−フコペンタオースI(LNFPI;Fucα1-2Galβ1-3GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)、ラクト−N−フコペンタオースII(LNFPII;Fucα1-4(Galβ1-3)GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)、ラクト−N−フコペンタオースIII(LNFPIII;Galβ1-4(Fucα1-3)GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)、ラクト−N−ジフコヘキサオースI(LNDFHI;Fucα1-4(Fucα1-2Galβ1-3)GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)、hSA融合型T抗原(T-hSA)は、Dextra Laboratories社(英国、レディング)から入手した。ABTS/H2O2はRoche Diagnostics社(ドイツ、マンハイム)から入手した。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識抗M13抗体はAmersham Biosciences社(ニュージャージー州、ピスカタウェイ)から購入した。scFv提示ファージライブラリーは前述の公知の方法(Marks JDほか、J.Mol.Biol.222巻581−597頁、1991年;Nissim Aほか、EMBO J.13巻692−698頁、1994年;高柳淳・奥井理予・清水信義、超レパートリー人工抗体ライブラリ、出願番号 特願2001−358602(国際公開番号WO03/04419号))で構築したものを使用した。
(2)人工糖脂質の調製
BDBの脂質部分とヘキサエチレングリコールのリンカー部分をもつ人工脂質は、公知の方法(特開2006-335652)に従い、2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-ガラクトピラノシル-(1-3)-2-アジド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-D-ガラクトピラノシル トリクロロアセトイミデートを、17-N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘプタデカノールに導入し、9-フルオレニルメトキシカルボニル基を脱保護した後、3,5-ビス(ドデシロキシ)安息香酸と縮合し、種々の脱保護を行って合成した。また、脂質部分にDPPEをもつ人工糖脂質は、糖類(LNT、LNnT、LNFPI、LNFPII、LNFPIII、LNDFHI)とDPPEから、既報の方法(Stoll, M. S., Mizuochi, T., Childs, R. A., and Feizi, T. (1988) J. Biochem. 256, 661-665;Kenjo, A., Takahashi, M., Matsushita, M., Endo, Y., Nakata, M., Mizuochi, T., and Fujita, T. (2001) J. Biol. Chem. 276, 19959-19965;及びShimizu, Y., Nakata, M., Matsunuma, J., and Mizuochi, T. (2001) J. Chromatogr. B. Biomed. Sci. Appl. 754, 127-133)に従って還元アミノ化反応により合成し、反応混合物中の人工糖脂質は、既報の方法(Shimizu, Y., Nakata, M., Matsunuma, J., and Mizuochi, T. (2001) J. Chromatogr. B. Biomed. Sci. Appl. 754, 127-133)に従って精製した。各人工糖脂質の純度と構造は、TLCや1H-NMR、MALDI-TOF質量分析法で確認した。
(3)ファージの選別方法
パニング法
ライブラリーは、パニング操作を4回行った。96ウェルプレートの48ウェルと24ウェルをβGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDBとHexaEG-BDBを1:1で混合したもの(βGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDB 単体で0.55μg/ウェル)でコーティングし、それぞれ1回目と2回目のパニングで使用した。12ウェルと6ウェルをβGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDBとHexaEG-BDBを1:1で混合したもの(βGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDB 単体で0.55μg/ウェル)でコーティングし、それぞれ3回目と4回目のパニングで使用した。ファージの選別は既報の方法(Marks, J.D., Hoogenboom, H.R., Bonnet, T.P., McCafferty, J., Griffiths, A.D., and Winter, G. (1991) J. Mol. Biol. 222, 581-597)を一部改良して行った。βGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDBによるウェルのコーティングを簡単に説明する。βGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDB(22μg/mlエタノール溶液)とHexaEG-BDB(15μg/mlエタノール溶液)を1:1で混合した溶液(βGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDB単体では11μg/ml) 50μlを加えて37℃で溶媒を蒸発させた後、0.15M NaClと3%BSA(ブロッキング液)を含むTris-HClバッファー(pH7.4)150μlを加えて4℃で一晩インキュベーションした。ウェルの洗浄は、TBS200μlで3回行った。1.4%BSAを含むファージ懸濁TBS溶液50μlをウェルに加え、37℃で60分間インキュベーションした。ウェルをTBS 200μlで5回洗浄した後、100mMトリエチルアミン50μlを添加して室温で10分間インキュベーションして、結合したファージを溶出させた。その後、ブロッキング液で処理済みのコントロール用プレートのウェル中で中和液(1M Tris-HCl[pH7.4]:3%BSA/TBS=2:1、体積比)100μlと混合して中和した。100mMトリエチルアミン50μlを添加して室温で20分間インキュベーションすることによって結合したファージをさらに溶出させ、上記の方法に従って中和液中に回収した。溶出させたファージは、対数増殖期のE. coli TG1株100μlに37℃で30分感染させた。感染した大腸菌は1mM NaOH、0.1%グルコース、カルベニシリン(50μg/ml)を含むLB寒天プレート(培地)(直径10cm)にて25℃で40時間培養し、プレート1枚当たり2.5mlのLB-10mM Tris-HCl(pH7.5)(SBS)を加えた後、スプレッダーを使ってプレートから回収した。この懸濁液90mlのうち1mlをカルベニシリンを含むSBS 40mlに植菌し、37℃で2時間攪拌しながら培養した。ヘルパーファージ5μl(4.4 × 1011pfu.)を添加して37℃で1時間インキュベーションした後、カナマイシン(50μg/ml)/クロラムフェニコール(12.5μg/ml)を添加して旋回攪拌しながら25℃で40時間インキュベーションし、ファージを採取した。PEG沈殿によりファージ粒子を濃縮し、TBS 700μl、3%BSA/TBS 700μl、Benzonase(Novagen製) 1μlを加えて37℃で1時間インキュベーションして溶解させた。遠心分離(18,000g、4℃、5分間)後、ファージ懸濁液1.4mlを回収し、2回目のパニングに用いた。2、3、4回目のパニングは、洗浄条件以外は1回目のパンニングと同様の方法で行った。4回目のパニング後の単一コロニーから採取した菌を、SBS/カルベニシリン/2%グルコース/5%グリセロール200μlを入れた96ウェルプレート中で旋回攪拌しながら25℃で40時間培養した。96ディープウェルプレートにSBS/カルベニシリン/ヘルパーファージ200μl/ウェルを用意し、40時間培養液を20μl/ウェル加え、37℃で1時間攪拌しながら培養した。SBS/カナマイシン/クロラムフェニコール混合物を300μl/ウェルずつ添加した後、旋回攪拌しながら25℃で40時間培養し、遠心分離(200g、4℃、15分間)してファージ懸濁液を回収し、4℃で保存した。
βGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDBに対する抗体を発現するファージクローンのスクリーニング(ELISA法)
βGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDBへのファージの結合を、ファージを含む細菌の培養上清を用いてELISA法で解析した。96ウェルプレートを上記方法に従ってβGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDB 0.55μg/ウェルでコーティングし、3%BSA/TBS 150μlを加えて4℃で一晩インキュベーションしてブロッキングした。コントロール用プレートは、抗原なしで上記方法で調製した。ファージ懸濁液50μlをウェルに添加し、37℃で1時間インキュベーションした。ウェルの洗浄は200μlのTBSで10回行った。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識抗M13抗体を加えて37℃で1時間インキュベーションした後、TBS-T 200μlで5回、TBS 200μlで10回洗浄し、結合したファージ抗体を検出した。ペルオキシダーゼ活性はABTS/H2O2と30分間反応させ、1%シュウ酸で反応を停止させて検出した。その後、BIO-RAD社のプレートリーダーで415nmの吸光度を測定した。
(4)ファージ抗体の解析
コロニーPCRとDNA配列の決定
ファージを感染させたE.coli TG1株の各コロニーからscFv遺伝子は、プライマーセット(フォワードプライマーCm-f:5'-TGTGATGGCTTCCATGTCGGCAGAATGCT-3'(配列番号25)、リバースプライマーg3-r:5'-GCTAAACAACTTTCAACAGTCTATGCGGCAC-3'(配列番号26))を使用してPCRで増幅した。94℃で2分間プレヒートした後、熱変性が94℃で20秒間、アニーリングが53℃で20秒間、伸長反応が68℃で1分間という条件で35サイクルのPCRを行った。2%アガロースゲル電気泳動でPCR産物の長さを確認した後精製し、得られたscFv遺伝子のDNA配列を決定した。scFvのDNA配列は、3730 DNA Analyzer(Applied Biosystem社製、カリフォルニア州、フォスターシティ及び、株式会社バイオマトリックス研究所、千葉県、流山市)を用いて決定した。
scFvタンパク質の発現と部分精製
単離した各ファージクローンを、シャペロン/リプレッサーベクターを持つE.coli TOP10-F' -FS2株に感染させた。抗T抗原抗体ファージを感染させたTOP10-F' -FS2細胞を、50μg/mlカルベニシリン、50μg/mlスペクチノマイシン、2%グルコース、1mM MgSO4、を含む2×YT培地50ml中にて25℃で16時間培養した。この培養液を200mlの2×YT培地/2%グルコース/1mM MgSO4 /50μg/mlカルベニシリン/50μg/mlスペクチノマイシンに前培養液を500μl〜1ml加えて、OD600=0.4〜0.6になるまで再培養した。再培溶液を5500gで10分遠心して菌体を回収し、200mlの0.4%グリセロール/1mM MgSO4 /50μg/mlカルベニシリン/50μg/mlスペクチノマイシン/1mM IPTG培地で懸濁し、25℃で一晩培養を行った。TOP10-F' -FS2細胞の上清、ペリプラズム画分、全細胞抽出物を、分画遠心法により回収した。回収した培養上清に4℃条件下で65%飽和になるように硫酸アンモニウムを攪拌しながら加え塩析を行い、硫安沈殿物の透析を行った。透析物を回収しSDS-PAGE/ウエスタンブロット法で解析した。培養液40mlから回収した全細胞抽出物は、プロテアーゼインヒビターを添加後2mlのPBSで懸濁、ソニケーターで10secの超音波処理を3回繰り返し、菌体を可溶化した。15000gで10min遠心後、上清を可溶性画分として回収した。可溶性画分から、His-spin columnによる単鎖抗体の精製を行い、SDS-PAGE/ウエスタンブロット法で解析した。還元条件のSDS-PAGE(4〜20%アクリルアミドゲル)(第一化学薬品、日本、東京)で総タンパク量18μg/レーンを泳動後、PVDFメンブレンに転写した。5%milk/0.1%Tween20を含むTBS液でブロッキングした。発現したscFvタンパク質を西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識抗E-tag抗体(Amersham Bioscience社製、日本)で検出した。このscFvタンパク質サンプルをELISA及びSPR解析に使用した。
合成人工糖脂質へのscFvタンパク質の結合(ELISA法)
scFvタンパク質を上記の方法で作製し、各種人工糖脂質に対する特異性の検討に用いた。
96ウェルプレートを上記方法に従ってβGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDB 0.55μg/ウェルでコーティングし、3%BSA/TBS 150μlを加えて4℃で一晩インキュベーションしてブロッキングした。コントロール用プレートは、抗原なしで上記方法で調製した。精製したscFvタンパク質50μlをウェルに添加し、37℃で1時間インキュベーションした。ウェルの洗浄は200μlのTBSで10回行った。HRP標識抗E-tag抗体を加えて37℃で1時間インキュベーションした後、TBS-T 200μlで5回、TBS 200μlで10回洗浄し、結合したファージ抗体を検出した。ペルオキシダーゼ活性はABTS/H2O2と30分間反応させ、1%シュウ酸で反応を停止させて検出した。その後、BIO-RAD社のプレートリーダーで415nmの吸光度を測定した。
ファージ抗体とscFvタンパク質の解析(表面プラズモン共鳴法、SPR)
SPR解析は25℃で行った。溶液は新しく調製し、脱気して孔サイズ0.22μmのフィルターで濾過した。BIAcore 3000(Pharmacia Biosensor社製)を用いたSPRにより、scFvタンパク質の結合特性を決定した。CM3センサーチップと、ランニングバッファーとして10mM HEPES 150mM NaCl 0.005% Tween 20 (pH7.4) (HBS-T)を用いた。CM3センサーチップへのhSAおよびhSA融合型T抗原(T-hSA)の固定化は、メーカーのプロトコールに従い、アミンカップリングキットを用いて行なった。流速10μl/minでN−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)とN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)の混合液で14分間活性化し、次に酢酸バッファーpH4.5で希釈したhSA/T-hSAを結合させた。さらにエタノールアミンを14分間注入し、未反応の活性基をキャッピングした。固定化量はそれぞれ3000RU、3300RUとなった。HBS-Tで透析したscFvサンプルを流速5μl/分で4分間チップ表面に注入した。1サンプルの測定が終了したら流速を50μl/分に変更して5μl の4M グアニジン塩酸を流した後、45分間ランニングバッファーを流すことでセンサーチップ表面を再生した。
(B)結果
(1)βGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDBに対するscFv提示ファージのスクリーニング
ファージ提示型ヒトscFvライブラリーには、βGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDBに対するパニングを4回行った。βGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDBの構造を図に示す。上記した方法に従い、βGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDB(0.55μg/ウェル)を用いてパニングを行った。βGal(1-3)αGalNAc-HexaEG-BDB(0.55μg/ウェル)を抗原としてELISA法でスクリーニングした96クローン中、50クローン以上でS/N比が3を上回り、ELISA陽性を示した。その中から、scFvをコードしている24個の陽性クローンをT抗原構造に対するファージ抗体の有力候補として選択した。これらのファージクローンのscFv領域のDNA配列を決定したところ、いくつかの類似性を見ることができた。
(2)ファージクローンの糖鎖特異性
使用した抗原に対する特異性と高親和性を有するファージ抗体を迅速に識別するためには、ファージ抗体としてのscFv提示ファージ解析に適した方法を確立することが必要である。最終的にはscFvタンパク質の発現、単離および解析が必要となるが、scFvタンパク質の発現と単離には手間と時間を要するので、詳細な解析に使用する有望なクローンを選択するためには、ファージクローンに関する基礎的な情報が不可欠である。この目的のために、人工糖脂質を標的としたELISAで表1に分類した3種のクローンの特異性の解析を行った(図1)。この実験から、ファージ抗体はT抗原に対して特異性を有していることが示唆された。以後は、最も特異性が期待された1G11解析を進めた。図2で見られるように、他の糖鎖への結合は抑えられていたので、検討したファージ抗体は人工糖脂質のスペーサーや脂質部分ではなくT抗原糖鎖部位に結合が見られることが示された。この実験で使用した人工糖脂質の構造を以下に示す。
(3)可溶性タンパク質としてのT抗原特異的scFvの発現と解析
scFvタンパク質を可溶性タンパク質として発現させ、その糖鎖結合能と特異性について解析した。まず、発現誘導後の上清、ペリプラズム画分、全細胞抽出物でのscFvタンパク質の含有量を、抗E-tag抗体を用いたイムノブロット解析で比較した結果、発現したscFvタンパク質の大部分は、全細胞抽出物の画分に含まれることが明らかとなった。そこで、細胞をBugBuster(Novagen)で可溶化し、DEAEセルロースカラムクロマトグラフィーとNiアガロースクロマトグラフィーでE-tag反応性のscFvを精製した。この精製scFvタンパク質1G11の各種人工糖脂質への結合性をELISA法で調べた結果、T抗原をもつ人工糖脂質にのみ強い結合が認められた。結果を図3に示す。
(4)T抗原特異的scFvのSPR解析
ファージクローン1G11に由来する精製scFvタンパク質の、T抗原をもつ人工糖タンパク質T-hSAに対する結合性をSPRにより解析した。対照には糖をもたないhSAを用いた。その結果、このscFvタンパク質は、人工糖タンパク質であるT-hSAに対しても結合能を有しており(図4)、糖部分であるT抗原を認識していることが示唆された。
図1は、表1で分類されたファージ抗体のT-antigen反応性を示す。HexaEGは糖鎖部分を持たないコントロール(人工糖脂質のスペーサーや脂質部分)。(-)はBSAでのコントロール。 図2は、ファージ抗体を用いた糖鎖特異性及び抗原濃度の関係を示す。 図3は、単鎖抗体(2.12μg/ml)を用いたELISAを示す。 図4は、DEAEセルロースカラム溶出液におけるSPR解析を示す。

Claims (6)

  1. 以下の(1)から(6)の何れかに記載の抗体。
    (1)重鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列又は配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列又は配列番号4に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、T抗原糖鎖を認識する抗体;
    (2)重鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列又は配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号8に記載のアミノ酸配列又は配列番号8に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、T抗原糖鎖を認識する抗体;
    (3)重鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号10に記載のアミノ酸配列又は配列表の配列番号10に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号12に記載のアミノ酸配列又は配列番号12に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、T抗原糖鎖を認識する抗体;
    (4)重鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号14に記載のアミノ酸配列又は配列表の配列番号14に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号16に記載のアミノ酸配列又は配列番号16に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、T抗原糖鎖を認識する抗体;
    (5)重鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号18に記載のアミノ酸配列又は配列表の配列番号18に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号20に記載のアミノ酸配列又は配列番号20に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、T抗原糖鎖を認識する抗体;
    (6)重鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号22に記載のアミノ酸配列又は配列表の配列番号22に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列として、配列表の配列番号24に記載のアミノ酸配列又は配列番号24に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、T抗原糖鎖を認識する抗体。
  2. 請求項1に記載の抗体をコードする核酸。
  3. 以下の何れかの核酸。
    (1)配列表の配列番号1に記載の塩基配列、及び配列表の配列番号3に記載の塩基配列を含む核酸;
    (2)配列表の配列番号5に記載の塩基配列、及び配列表の配列番号7に記載の塩基配列を含む核酸;
    (3)配列表の配列番号9に記載の塩基配列、及び配列表の配列番号11に記載の塩基配列を含む核酸;
    (4)配列表の配列番号13に記載の塩基配列、及び配列表の配列番号15に記載の塩基配列を含む核酸;
    (5)配列表の配列番号17に記載の塩基配列、及び配列表の配列番号19に記載の塩基配列を含む核酸;
    (6)配列表の配列番号21に記載の塩基配列、及び配列表の配列番号23に記載の塩基配列を含む核酸;
  4. 請求項3に記載の核酸を用いた抗体の生産方法。
  5. 請求項4に記載の方法によって得ることができる、T抗原糖鎖を認識する組換え抗体。
  6. 抗体が1本鎖抗体である請求項5に記載の組換え抗体。
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JPN6011059700; 清水佳隆、外7名: 'マンノース残基結合性ファージ提示型単鎖抗体の作製' 第25回日本糖質学会年会要旨集 , 20050705, p.137(講演番号:P3-41) *
JPN6013000282; Glycoconj J Vol.24, 200704, p.411-420 *

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