JP2009016497A - 基板処理装置および基板処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】SPM液ノズルに対し、170℃以上に温度調節された硫酸と、常温の過酸化水素水とが、1:0.1〜0.35の流量比で供給される。硫酸と過酸化水素水とが混合して生成されたSPM液が、SPM液ノズル3からウエハWの表面に供給される。
【効果】ウエハWの表面上のほぼ全域において、レジストを良好にかつ均一に除去することができる。
【選択図】図1
Description
そのため、最近では、レジストのアッシングを行わずに、ウエハの表面にSPM液を供給して、このSPM液に含まれるペルオキソー硫酸(H2SO5)の強酸化力により、ウエハの表面からレジストを剥離して除去する手法が注目されつつある。特許文献1では、80〜110℃の硫酸と過酸化水素水とを所定の混合比で混合させたSPM液を、ウエハの表面に供給している。
そこで、この発明の目的は、基板にダメージを与えることなく、レジストを良好に除去することができる、基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
本願発明者の研究により、170℃以上の硫酸と過酸化水素水とを、1:0.1〜0.35の混合比で混合して生成される硫酸過酸化水素水混合液は、そのレジスト剥離性能が著しく高く、その高いレジスト剥離性能を発揮する時間も比較的長いことが見い出された。このため、かかる硫酸過酸化水素水混合液を基板に供給することにより、基板の表面上のほぼ全域において、レジストを良好にかつ均一に除去することができる。これにより、表面に硬化層を有するレジストであっても、アッシングすることなく、基板の表面から除去することができる。レジストのアッシングが不要であるから、アッシングによる基板の表面のダメージの問題を回避することができる。
硫酸と過酸化水素水との混合比が硫酸1に対して過酸化水素水が0.1未満であると、硫酸過酸化水素水混合液に含まれるペルオキソー硫酸(H2SO5)の量が少なく、そのため、基板の表面からレジストを良好に除去することができない。
また、硫酸過酸化水素水混合液中の過酸化水素水の量が多いと混合後における昇温幅が大きくなる。この発明の構成では、硫酸温度が170℃以上であるので、硫酸過酸化水素水混合液中の過酸化水素水量が多いと(硫酸1に対して過酸化水素水が0.35を超えると)、混合後における硫酸過酸化水素水混合液の到達温度が高くなりすぎて、室温との温度差が大きくなる。そのため、その後の温度降下が大きい。
請求項2記載の発明は、基板を保持する基板保持手段(2)をさらに含み、前記硫酸過酸化水素水供給手段は、前記基板保持手段に保持された基板の表面に向けて硫酸過酸化水素水混合液を吐出する硫酸過酸化水素水ノズル(3)を含み、前記硫酸過酸化水素水ノズルは、前記硫酸と前記過酸化水素水とを混合するための混合室(26,27)と、前記混合室に前記硫酸を導入する硫酸導入路(35)と、前記混合室に前記過酸化水素水を導入する過酸化水素水導入路(36)と、前記混合室で混合された硫酸過酸化水素水混合液を吐出する吐出部(19)とを備える、請求項1記載の基板処理装置である。
請求項3記載の発明は、前記過酸化水素水導入路は、前記硫酸導入路から前記混合室への硫酸導入位置(28)よりも下流側に前記混合室への過酸化水素水導入位置(30)を有する、請求項2記載の基板処理装置である。
請求項4記載の発明は、前記過酸化水素水導入路は、前記混合室における硫酸の流れ方向に沿って過酸化水素水を流入させる、請求項2または3記載の基板処理装置である。
したがって、十分に混合された硫酸過酸化水素水混合液を基板の表面に供給することができ、これにより、基板の表面からレジストを良好に除去することができる。
この構成によれば、過酸化水素水導入位置が流通方向に沿って調節可能とされているので、過酸化水素水導入位置(すなわち、硫酸と過酸化水素水との混合位置)を、混合室で硫酸と過酸化水素水とが基板上へ到達する前に十分に混合することができる位置に設定することができる。過酸化水素水導入位置をかかる位置に設定した場合、強力な酸化力を持つ硫酸過酸化水素水混合液を基板の表面に供給することができる。これにより、基板の表面からレジストを良好に除去することができる。
請求項8記載の発明は、基板の表面からレジストを除去するために用いられる基板処理方法であって、170℃以上の硫酸1に対し0.1〜0.35の流量の過酸化水素水を混合して生成される硫酸過酸化水素水混合液を基板の表面に対して供給する、基板処理方法である。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置1の構成を示す模式図である。
基板処理装置1は、たとえば基板の一例としてのウエハWの表面に不純物を注入するイオン注入処理やドライエッチング処理の後に、そのウエハWの表面から不要になったレジストを除去するための処理に用いられる枚葉式の装置である。
スピンチャック2は、モータ6と、このモータ6の回転駆動力によって鉛直軸線まわりに回転される円盤状のスピンベース7と、スピンベース7の周縁部の複数箇所にほぼ等間隔で設けられ、ウエハWをほぼ水平な姿勢で挟持するための複数個の挟持部材8とを備えている。これにより、スピンチャック2は、室温雰囲気中で、複数個の挟持部材8によってウエハWを挟持した状態で、モータ6の回転駆動力によってスピンベース7を回転させることにより、そのウエハWを、ほぼ水平な姿勢を保った状態で、スピンベース7とともに鉛直軸線まわりに回転させることができる。
SPMノズル3は、たとえば、いわゆるストレートノズルの構成を有している。SPMノズル3は、ケーシング17を備え、このケーシング17の先端にSPM液を外部空間18に向けて吐出するための吐出口19を有している。
より具体的に説明すると、ケーシング17は、円筒形状の第1流通管20と、第1流通管20と連続し、第1流通管20よりも小径でかつ第1流通管20と同軸の円筒形状の第2流通管21と、第1流通管20の上流側端部に接続されて、硫酸を導入するための硫酸導入管22と、第1流通管20の上流側端部に接続されて、過酸化水素水を導入するための過酸化水素水導入管23と、第1流通管20に第2流通管21を液密状態で接続するためのフッ素系樹脂(たとえば、PTFE(ポリテトラフルオロチレン(4フッ化)樹脂))製の第1継手24と、第1流通管20に硫酸導入管22および過酸化水素水導入管23を液密状態で接続するためのフッ素系樹脂(たとえば、PTFE)の第2継手25とを備えている。
硫酸導入管22の硫酸ポート29に硫酸供給管13が接続され、過酸化水素水導入管23の過酸化水素水ポート31に過酸化水素水供給管14が接続されている。そして、硫酸供給管13からの硫酸は、硫酸導入管22を通って、連通口28から第1混合室26へと供給される。また、過酸化水素水供給管13からの過酸化水素水は、過酸化水素水導入管23を通って開口30から第1混合室26へと供給される。
開口30が連通口28よりも下流側に位置している。このため、第1混合室26を流通する比較的大流量の硫酸に、比較的小流量の硫酸が流入されるようになる。過酸化水素水導入管23が、第1流通管20と同方向に延びているため、開口30からの過酸化水素水は、第1混合室26における硫酸の流れ方向に沿って流入される。硫酸の流れ方向に沿って流入された過酸化水素水は、硫酸と広範囲で接触する。そのため、硫酸と過酸化水素水との混合が促進される。また、硫酸の流れ方向に沿って過酸化水素水が流入されるために、第1混合室26内の硫酸の流れを阻害することなく、過酸化水素水を硫酸に混合させることができる。このため、硫酸と過酸化水素水とをスムーズに混合させることができる。
第2混合室27では、その流路断面積が比較的小さく設定されている。そのため、第1混合室26からのSPM液は、第2混合室27に充満した状態で吐出口19へと導かれ、吐出口19から吐出される。このため、吐出口19からSPM液をスムーズに吐出させることができる。
図3および図4は、レジスト剥離試験の結果を示すグラフである。図3は、ウエハW(直径300mm)の周縁部におけるレジスト除去率(レジスト剥離性能)の硫酸温度(H2SO4 temperature)への依存性と、ウエハWの周縁部におけるレジスト除去率のSPM液の過酸化水素水混合比(SPM ratio)に対するレジスト除去率の依存性とを示すグラフである。図4は、レジスト除去率(レジスト剥離性能)の位置依存性を示すグラフである。
ウエハW(試料)の表面に対して、SPMノズル3からのSPM液を30秒間供給し、ウエハW周縁部におけるレジスト除去率、ならびに、ウエハW全体、回転中心から100mm以内の領域、および、回転中心から50mm以内の領域のそれぞれにおける平均レジスト除去率を計測した。レジスト除去率および平均レジスト除去率は、測定器としてSP2(KLA-Tencor社製)を用いた。
<試験1>
SPMノズル3に供給する硫酸の温度を160℃とした。また、SPMノズル3に供給する過酸化水素水の流量を流量100mL/minとした。このとき、硫酸1に対する過酸化水素水の流量比(混合比)は、0.083である。
<試験2>
SPMノズル3に供給する硫酸の温度を160℃とした。また、SPMノズル3に供給する過酸化水素水の流量を流量200mL/minとした。このとき、硫酸1に対する過酸化水素水の流量比は、0.167である。
<試験3>
SPMノズル3に供給する硫酸の温度を160℃とした。また、SPMノズル3に供給する過酸化水素水の流量を流量300mL/minとした。このとき、硫酸1に対する過酸化水素水の流量比は、0.250である。
<試験4>
SPMノズル3に供給する硫酸の温度を160℃とした。また、SPMノズル3に供給する過酸化水素水の流量を流量400mL/minとした。このとき、硫酸1に対する過酸化水素水の流量比は、0.333である。
<試験5>
SPMノズル3に供給する硫酸の温度を160℃とした。また、SPMノズル3に供給する過酸化水素水の流量を流量600mL/minとした。このとき、硫酸1に対する過酸化水素水の流量比は、0.500である。
<試験6>
SPMノズル3に供給する硫酸の温度を170℃とした。また、SPMノズル3に供給する過酸化水素水の流量を流量100mL/minとした。このとき、硫酸1に対する過酸化水素水の流量比は、0.083である。
<試験7>
SPMノズル3に供給する硫酸の温度を170℃とした。また、SPMノズル3に供給する過酸化水素水の流量を流量200mL/minとした。このとき、硫酸1に対する過酸化水素水の流量比は、0.167である。
<試験8>
SPMノズル3に供給する硫酸の温度を170℃とした。また、SPMノズル3に供給する過酸化水素水の流量を流量300mL/minとした。このとき、硫酸1に対する過酸化水素水の流量比は、0.250である。
<試験9>
SPMノズル3に供給する硫酸の温度を170℃とした。また、SPMノズル3に供給する過酸化水素水の流量を流量400mL/minとした。このとき、硫酸1に対する過酸化水素水の流量比は、0.333である。
<試験10>
SPMノズル3に供給する硫酸の温度を170℃とした。また、SPMノズル3に供給する過酸化水素水の流量を流量600mL/minとした。このとき、硫酸1に対する過酸化水素水の流量比は、0.500である。
<試験11>
SPMノズル3に供給する硫酸の温度を180℃とした。また、SPMノズル3に供給する過酸化水素水の流量を流量100mL/minとした。このとき、硫酸1に対する過酸化水素水の流量比は、0.083である。
<試験12>
SPMノズル3に供給する硫酸の温度を180℃とした。また、SPMノズル3に供給する過酸化水素水の流量を流量200mL/minとした。このとき、硫酸1に対する過酸化水素水の流量比は、0.167である。
<試験13>
SPMノズル3に供給する硫酸の温度を180℃とした。また、SPMノズル3に供給する過酸化水素水の流量を流量300mL/minとした。このとき、硫酸1に対する過酸化水素水の流量比は、0.250である。
<試験14>
SPMノズル3に供給する硫酸の温度を180℃とした。また、SPMノズル3に供給する過酸化水素水の流量を流量400mL/minとした。このとき、硫酸1に対する過酸化水素水の流量比は、0.333である。
<試験15>
SPMノズル3に供給する硫酸の温度を180℃とした。また、SPMノズル3に供給する過酸化水素水の流量を流量600mL/minとした。このとき、硫酸1に対する過酸化水素水の流量比は、0.500である。
縦軸はウエハW面内分布の均一性(uniformity)を示し、横軸は過酸化水素水の流量(H2O2 flow rate)を示している。また、上辺には、過酸化水素水の流量に対応するSPM液の過酸化水素水混合比(ratio to H2SO4)が示されている。
以上のように、この実施形態によれば、170℃以上の硫酸と過酸化水素水とを、1:0.1〜0.35の混合比で混合して生成されるSPM液は、レジスト剥離性能が高く、かつ、ウエハW面内分布の均一性が高い。そのため、かかるSPM液をウエハWに供給することにより、ウエハWの表面上のほぼ全域において、レジストを良好にかつ均一に除去することができる。これにより、表面に硬化層を有するレジストであっても、アッシングすることなく、ウエハWの表面から除去することができる。レジストのアッシングが不要であるから、アッシングによるウエハWの表面のダメージの問題を回避することができる。
図5では、前述の実施形態の各部に相当する部分には、それら各部と同一の参照符号が付されている。また、以下では、その同一の参照符号を付した各部についての詳細な説明を省略する。
基板処理装置100は、マイクロコンピュータを含む構成の制御装置34を備えている。
また、制御装置34には、モータ6、SPMノズル駆動機構12、硫酸バルブ15、過酸化水素水バルブ16および流量調節バルブ32が制御対象として接続されている。
前述のように、SPM液の最適混合比は、その生成に用いられる硫酸の温度に依存している。逆に、レジスト剥離性能が最大となる硫酸の最適温度も、SPM液の混合比に依存しているとも言える。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
2 スピンチャック(基板保持手段)
3 SPM液ノズル(硫酸過酸化水素水ノズル)
17 ケーシング
19 吐出口(吐出部)
26 第1混合室(第1室)
27 第2混合室(第2室)
28 連通口(硫酸導入位置)
30 開口(過酸化水素水導入位置)
32 流量調節バルブ(流量比調節手段)
33 温度センサ(温度検出手段)
34 制御装置
35 硫酸導入路
36 過酸化水素水導入路
W ウエハ(基板)
Claims (8)
- 基板の表面からレジストを除去するために用いられる基板処理装置であって、
170℃以上の硫酸1に対し0.1〜0.35の流量の過酸化水素水を混合して生成される硫酸過酸化水素水混合液を、基板の表面に対して供給する硫酸過酸化水素水供給手段を含む、基板処理装置。 - 基板を保持する基板保持手段をさらに含み、
前記硫酸過酸化水素水供給手段は、前記基板保持手段に保持された基板の表面に向けて硫酸過酸化水素水混合液を吐出する硫酸過酸化水素水ノズルを含み、
前記硫酸過酸化水素水ノズルは、前記硫酸と前記過酸化水素水とを混合するための混合室と、前記混合室に前記硫酸を導入する硫酸導入路と、前記混合室に前記過酸化水素水を導入する過酸化水素水導入路と、前記混合室で混合された硫酸過酸化水素水混合液を吐出する吐出部とを備える、請求項1記載の基板処理装置。 - 前記過酸化水素水導入路は、前記硫酸導入路から前記混合室への硫酸導入位置よりも下流側に前記混合室への過酸化水素水導入位置を有する、請求項2記載の基板処理装置。
- 前記過酸化水素水導入路は、前記混合室内における硫酸の流れ方向に沿って過酸化水素水を流入させる、請求項2または3記載の基板処理装置。
- 前記硫酸過酸化水素水ノズルは、その内部に前記混合室が形成されたケーシングをさらに備え、
前記過酸化水素水導入路の前記過酸化水素水導入位置を流通方向に関して調整するために、前記ケーシングに前記過酸化水素水導入路が変位可能に取り付けられている、請求項2〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。 - 前記混合室は、前記硫酸導入路および前記過酸化水素水導入路からの硫酸および過酸化水素水が混合される第1室と、この第1室の下流側に、その流路断面が前記第1室の流路断面よりも小さくして設けられ、前記硫酸過酸化水素水混合液を前記吐出口に導く第2室とを備える、請求項2〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
- 前記硫酸過酸化水素水供給手段は、硫酸の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段により検出された温度に応じて、硫酸と過酸化水素水との混合比を調節する混合比調節手段とを、含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置。 - 基板の表面からレジストを除去するために用いられる基板処理方法であって、
170℃以上の硫酸1に対し0.1〜0.35の流量の過酸化水素水を混合して生成される硫酸過酸化水素水混合液を基板の表面に対して供給する、基板処理方法。
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