JP2009015822A - 真空圧力制御システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】真空圧力制御システム1は、真空チャンバ11と、真空チャンバ11内のガスを吸引する真空ポンプ15と、真空チャンバ11と真空ポンプ15との間に接続し、動力源として、エア供給源20から供給される駆動エアARにより、弁開度VLを変化させて真空チャンバ11内の真空圧力を制御する真空開閉弁30と、真空開閉弁30を制御する真空圧力制御装置70と、真空開閉弁30の弁開度VLを制御するサーボ弁60とを備えている。
【選択図】 図2
Description
特許文献1の真空圧力制御システムは、真空チャンバ311、圧力センサ317、真空ポンプ319及び、この真空ポンプ319と真空チャンバ311との間に接続された真空比例開閉弁318等から構成されている。この真空比例開閉弁318は、弁座336に対し、駆動エアによりピストン341を駆動させポペット弁体333を上下方向に移動して、ポペット弁体333と弁座336とのなす隙間の有無によって、開弁、閉弁できるようになっている。この真空圧力制御システムでは、急速給気用の第1電磁弁360及び急速排気用の第2電磁弁361に、電磁バルブがそれぞれ用いられている。
一方、真空チャンバ311内にガスを密閉する場合には、第2電磁弁361における第2入力ポート612を出力ポート613に接続し、第1電磁弁60において第2入力ポート602を出力ポート603に接続する。これにより、真空比例開閉弁318には駆動エアは供給されず、ポペット弁体333は閉弁したまま、ガスは真空チャンバ311内で密閉される。
この真空圧力の微調整は、真空圧力制御回路367により時間開閉動作弁362を駆動させ、真空チャンバ311内の真空圧力値(実測値)を設定値に一致させる調整である。
この時間開閉動作弁362は、いずれも2ポートの電空比例弁である給気側比例弁374及び排気側比例弁375からなる。この給気側比例弁374及び排気側比例弁375では、ガスが流通する流路の有効断面積が、第1電磁弁360及び第2電磁弁361よりも小さくなっている。
ポート374bは排気側比例弁375の入力ポート375bに、それぞれ接続している。一方、排気側比例弁375の出力ポート374aは、排気側に接続しており、この排気側
比例弁375の入力ポート375bと給気側比例弁374の出力ポート374bとは、いずれも第1電磁弁360の第1入力ポート601に接続している。給気側比例弁374及び排気側比例弁375は、それぞれ真空圧力制御回路367による制御によってオンオフが切替えられ、パルスドライブ回路368を通じて印加するパルス電圧で駆動するようになっている。
これにより、第1電磁弁360及び第2電磁弁361で急速給気及び急速排気するときのポペット弁体333の開度よりも小さい弁開度で、ピストン341を正確な位置に停止させ、高い応答速度でポペット弁体333の開閉を正確に制御している。このため、ガスの真空圧調整が高い精度でできるようになっている。
一方、真空チャンバ311内の真空圧力の実測値が設定値よりも絶対真空圧側にある場合には、主に駆動エアの一部を排気側比例弁375を通じて排気しつつ、その残りの駆動エアを給気側比例弁374に供給して、第1電磁弁360に供給する駆動エアの量を調節しながら、第1電磁弁360を通じてポペット弁体333を移動させている。これにより、ポペット弁体333を閉弁状態よりも微少量だけ隙間を有した状態にしておき、この状態で、真空チャンバ311内のガスを流して、真空圧力を設定値と一致するように調節する。
その一方で、この表面処理法では、真空チャンバ内で密閉するプロセスガスの真空圧力を、電空比例弁を用いて正確に制御(微調整)しているので、プロセスガスの真空圧力を所定の真空圧力値にするまでに十数秒の時間がかかる。
従来の表面処理法と同様、このALDプロセスによる処理手法は、真空チャンバ内に密閉したプロセスガスを、設定した真空圧力値に高い精度で調整することが要求される手法である。その一方、従来の表面処理法とは異なり、ALDプロセスによる処理手法では、真空チャンバ内にパージガスを導入してからプロセスガスを排気するまでの所要時間を、概ね1、2秒間とすることが要求される。
このような時間を必要とする理由として、電空比例弁におけるポペット弁体のストロークを、電磁バルブにおける弁体のストロークよりも短く、プランジャ及びオリフィスも小さくしているので、電空比例弁は、高い周波数で開閉できるようになっている。このため、真空チャンバ内に向けて流れるプロセスガスの流量が正確に制御でき、プロセスガスの真空圧力を高い精度で調整できる。その一方で、この電空比例弁では、ポペット弁体のストロークが短く、プランジャ及びオリフィスも小さくなっているので、給気時または排気時に、単位時間当たりに電空比例弁を流れるプロセスガスの流量は電磁バルブよりも少ない。このため、プロセスガスが真空チャンバ内を出入りするのに余分に時間がかかり、その結果、真空圧力の微調整に十数秒間の時間がかかる。
このため、1、2秒間で、パージガスとプロセスガスとを置換させるALDプロセスによる表面処理法には、従来の真空圧力制御システムを用いることができなかった。したがって、ALDプロセスによる半導体製造工程にも適した、真空チャンバ内にパージガスを導入してからプロセスガスを排気するまでの所要時間を、短時間で、例えば1、2秒内でできる真空圧力制御システムの開発が必要となっていた。
(1)真空容器と、前記真空容器内のガスを吸引する真空ポンプと、前記真空容器と前記真空ポンプとの間に接続し、動力源として、流体供給源から供給される流体により、開度を変化させて前記真空容器内の真空圧力を制御する真空開閉弁と、前記真空開閉弁を制御する真空圧力制御装置と、前記真空開閉弁の前記開度を制御するサーボ弁と、を備える。
(3)(2)に記載の真空圧力制御システムにおいて、真空圧力制御システムを実際に稼働させる生産ラインに設置したときに、前記ゼロ指令信号値を検出するためのティーチングプログラムを備えることを特徴とする。
(5)(1)に記載の真空圧力制御システムにおいて、前記真空開閉弁は、弁座と、前記流体供給源からの前記流体により、該弁座に対して当接・離間可能であり、それによって弁開閉方向に前記開度を変化させる弁体と、該弁体を閉弁方向に付勢する弾性部材と、を有し、前記開度は、前記弾性部材の付勢力に抗するのに必要な最低の、前記流体による押圧力で、変化させる、ことを特徴とする。
(7)(1)に記載の真空圧力制御システムにおいて、前記真空圧開閉弁が、前記サーボ弁を通じず、前記真空開閉弁の前記開度を手動で調節できる弁開度調節部を備える、ことを特徴とする。
(9)(1)に記載の真空圧力制御システムにおいて、前記真空開閉弁は、弁座と、該弁座当接・離間可能な弁体と、前記流体供給源からの流体により、該弁体を移動させるアクチュエータと、該アクチュエータの内圧を計測する圧力センサを備える、ことを特徴とする。
このようなサーボ弁では、弁体は、ストローク方向、すなわち第2ポートを挟んで第1ポートと第3ポートとを結ぶ方向に、弁内を移動する。
弁体がシリンダ内のストローク方向一端側の位置で停止すると、第3ポートと第2ポートの連通流路が遮断した状態となる一方、第1ポートの流路は全開するので、第1ポートに流入した流体を、第2ポートから供給先側に急速的に流すことができるようになる。また、弁体がストローク方向他端側の位置で停止すると、第1ポートと第2ポートの連通流路が遮断した状態になる一方、第3ポートと第2ポートの連通流路は全開するので、第2ポートを流れる流体を、第3ポートからサーボ弁外へ急速的に排気できるようになる。
サーボ弁では、前述したように、第1ポートに流入した流体を、第2ポートから供給先側に急速的に流すことや、第2ポートを流れる流体を第3ポートから急速的に排気することが、高い応答性で精度良くできる。しかも、第1ポートから第2ポートに向けて流れる
流体の流量と、第2ポートから第3ポートに向けて流れる流体の流量との、微妙な流量調整が、高い応答性で精度良くできる。
このため、真空開閉弁の開度を変化させる流体をこのサーボ弁で制御することで、ガスを真空容器内に急速的に給気すること、及び、真空容器内からガスを急速的に排気することが、適切にできる。しかも、真空容器内に給気するガスの給気量と、真空容器内から排気さするガスの排気量との微妙な流量調整も、迅速にかつ正確にできる。
したがって、本発明の真空圧力制御システムは、給気したガスを正確な真空圧力値で迅速に保持できると共に、このガスを真空容器外に迅速に排気でき、例えば、真空チャンバ内にパージガスを導入してからプロセスガスを排気するまでの所要時間を1、2秒間とする、ALDプロセスによる半導体製造工程等にも適したシステムとなる。
このような隙間があると、例えば、真空開閉弁を閉弁するための指令信号がサーボ弁に入力され、弁体が、第1ポートと第2ポートとの間の流路、及び、第2ポートと第3ポートとの流路をそれぞれ塞ぐ位置に正確に停止しても、第1ポートから隙間を通じて漏れ出した流体が第2ポートに流れ込むことがある。すると、真空開閉弁は完全に閉弁せず、第2ポートへ漏れた流体により真空開閉弁は開弁状態となる。あるいは、第2ポートから隙間を通じて漏れ出した流体が第3ポートに流れ込むこともある。すると、真空開閉弁を閉弁して、ガスが真空容器内に所定の真空圧力値で密閉された状態を保持したい場合であっても、第3ポートに漏れた流体により真空開閉弁が開弁状態になってしまう。
このように、真空開閉弁の開度をサーボ弁で制御すると、たとえ真空開閉弁を閉弁するための指令信号をサーボ弁に入力しても、サーボ弁内において弁体の外周面とシリンダの内周面との間に生じる隙間に流体が流れしまう。このときの流体の漏れ量は、僅かな量であり、通常の弁の用途では問題とならない程度である。
これにより、真空開閉弁において、サーボ弁の第2ポートから真空開閉弁内に流れる流体の流量と、真空開閉弁から第2ポートへ流れる流体の流量との差を調整しておき、真空開閉弁を閉弁状態にしてから、真空開閉弁を所定の開度に調節したサーボ弁指令信号に基
づいてサーボ弁の作動を制御すれば、サーボ弁において、たとえ弁体の外周面とシリンダの内周面との隙間を通じて流体が漏れていても、真空開閉弁の開度を正確に制御することができる。したがって、真空開閉弁は、高い精度でかつ正確な位置で開弁できるようになる。
しかしながら、本発明の真空圧力制御システムでは、真空圧力制御装置はティーチングプログラムを備えている。これにより、当該真空圧力制御システムを実際に使用する工場の生産ライン等に据え付けた後でも、当該真空圧力制御システムの実稼働前に、当該真空圧力制御システムの使用環境に適合する最適なサーボ弁指令信号を検出して記憶すれば、実稼動と同じ条件で当該真空圧力制御システムの運転条件を事前に得ることができる。
このような構造の真空開閉弁では、必要圧力値よりも大きな供給圧力で流体が真空開閉弁に供給されていると、例えば、真空開閉弁が最も大きい開度で開弁した状態から真空開閉弁を閉弁する場合等、真空開閉弁を閉弁側へ開度を制御するときに、むしろ、流体を、供給圧力値から必要圧力値まで減圧するまでに余分な時間がかかる。
このため、真空圧力制御システムを運転しないとき等、サーボ弁への流体を供給を必要としないときに、流体が流体供給源からサーボ弁に向けて供給された状態になっていると、流体は、この隙間を通じて無駄に消費されてしまう。
これに対し、本発明の真空圧力制御システムでは、流体供給源から流通する流体がサーボ弁に流入するのを抑止する流体流通防止弁を備えているので、当該真空圧力制御システムを運転しない状態にあるときに、サーボ弁への流体の供給が完全に遮断できる。したがって、このような状態において、流体を無駄に消費することが防止できる。
また、本発明の真空圧力制御システムでは、真空開閉弁の開度を非接触で計測する変位センサを備えているので、真空開閉弁の開度を計測するにあたり、変位センサの一部と真空開閉弁との接触による摩擦は生じない。このため、この摩擦による摩耗粉に起因した変位センサの接触不良のトラブルがなく、変位センサにより真空開閉弁の開度を良好に計測することができる。
なお、アクチュエータとしては、例えば、真空開閉弁の流体収容室に供給された流体により、真空開閉弁の開度を変化させるために駆動させるピストン等が挙げられる。このようなアクチュエータの場合、アクチュエータの内圧とは、流体収容室内の圧力を意味する。
図1は、真空圧力制御システム1の構成を説明する説明図である。本実施形態の真空圧力制御システム1は、半導体製造工程でウエハ150を表面処理するにあたり、ウエハ150を配置した真空チャンバ11内にプロセスガスとパージガスとを交互に給気・排気させる真空圧力制御システムである。
この真空圧力制御システム1は、図1に示すように、真空容器である真空チャンバ11、真空ポンプ15、エア供給源20(流体供給源)、真空開閉弁30、サーボ弁60(図5参照)、及び、真空開閉弁30等と電気的に接続する真空圧力制御装置70等から構成されている。この真空圧力制御システム1では、真空開閉弁30を開閉させる動力源として、エア供給源20から供給される駆動エアARを流体として用いている。
一方、真空チャンバ11のガス排気口11bには、後に詳述する真空開閉弁30の第1ポート39が接続している。この真空開閉弁30は、配管によりエア供給源20と接続していると共に、エア供給源20との間に、流体流通防止弁であるストップバルブ21及び弁開度調節部であるハンドバルブ14と接続している(図5参照)。また、ガス排気口11bと真空開閉弁30との間には、遮断弁13を介してチャンバ用圧力センサ12が接続し、このチャンバ用圧力センサ12は、真空圧力制御装置70のうち、後述する真空圧力制御回路83と電気的に接続している。この真空開閉弁30の第2ポート40は真空ポンプ15と接続している。
図2は、真空圧力制御装置70の構成を説明するブロック図である。図3は、真空圧力制御装置70のシステムコントローラ部80のうち、弁開度制御回路84における制御方法を説明するためのブロック図である。
この真空圧力制御装置70は、システムコントローラ部80及び空気圧制御部100を有し、CPU、ROM及びRAM等公知の構成のマイクロコンピュータ(図示しない)を
備えている。マイクロコンピュータには、ROM等に記憶された後述するティーチングプログラムや、その他のプログラムをCPUにロードすることにより、所定の動作、例えば、サーボ弁60等の駆動、真空チャンバ11内におけるプロセスガスの真空圧力の制御等を行う。
システムコントローラ部80は、さらにインターフェース回路81、シーケンス回路82、真空圧力制御回路83及び弁開度制御回路84を有し、マイクロコンピュータとも接続している。インターフェース回路81は、シーケンス回路82及び真空圧力制御回路83と接続している。この真空圧力制御回路83は、弁開度制御回路84を介して空気圧制御部100のドライブ回路101と接続している。
弁開度制御回路84では、後述する変位センサ51(図4参照)から出力された変位検出信号と、上位にあるインターフェース回路81または真空圧力制御回路83から出力された制御信号との差が、比例回路85、積分回路86及び微分回路87に入力される。また、この変位検出信号は、比例回路85、積分回路86及び微分回路87の出力側にピストン加速度制御回路88を通じて入力されると共に、ピストン動作制御回路89を通じてピストン加速度制御回路88の出力側にも入力される。さらに、後述するように、開閉弁圧力センサ52により真空開閉弁30の供給エア収容室AS内の圧力を検出した圧力検出信号も、真空開閉弁内圧フィードバック制御回路90を通じて、ピストン動作制御回路89及びピストン加速度制御回路88の出力側に入力される。そして、ピストン加速度制御回路88、ピストン動作制御回路89及び真空開閉弁内圧フィードバック制御回路90から出力される出力信号は、サーボ弁駆動補正制御回路91に入力されてこのサーボ弁駆動補正制御回路91で補正される。補正後、このサーボ弁駆動補正制御回路91から、すなわち弁開度制御回路84から出力される弁開度制御信号は、空気圧制御部100のドライブ回路101に向けて出力される。
また、ピストン動作制御回路89では、真空開閉弁30の復帰バネ42の応答特性に電気的に補正を加える回路である。すなわち、真空開閉弁30では、ピストン41は、復帰バネ42の付勢力に抗して、弁リフト方向の開弁側に移動する。このため、駆動エアARによる開弁側への押圧力が復帰バネ42の付勢力より大きい場合でも、バネの特性上、復帰バネ42には、押圧力に対し復帰バネ42がリニアに応答(収縮)しないところがある。すると、真空開閉弁30は、適切な押圧力に基づく正確な弁開度VLで開弁できない。ピストン動作制御回路89は、駆動エアARによる押圧力と復帰バネ42の付勢力とのバランスをリニアに制御するため、バイアス値をかけるものである。
なお、本実施形態において、「開弁側」とは図において上側、「閉弁側」とは図において下側を指すこととする。
また、サーボ弁駆動補正制御回路91では、サーボ弁60の制御部68に印加する指令電圧として、弁開度制御信号から、ティーチングプログラムにより得たティーチング指令電圧値に補正するための回路である。
図4は、真空開閉弁30の閉弁状態を示す断面図である。図5は、図4の側面図である。図6は、真空開閉弁30の開弁状態を示す断面図である。
真空開閉弁30は、ポペット弁体33Aが開閉する弁リフト方向(図4及び図6中、上下方向)の開弁側(図4及び図6中、上方)に位置するパイロットシリンダ部32、及び閉弁側(図4及び図6中、下方)に位置するベローズ式ポペット弁部31からなる。
パイロットシリンダ部32は、さらにピストン41(アクチュエータ)、復帰バネ42、単動空気圧シリンダ43、ベロフラム50及び変位センサ51等からなる。一方、ベローズ式ポペット弁部31は、ポペット弁体33A、Oリング保持部材33B、弁座36、ベローズ38、真空チャンバ11に接続する第1ポート39、及び、真空ポンプ15に接続する第2ポート40等からなる。
また、パイロットシリンダ部32には、ピストン41が弁リフト方向に移動したとき、ピストン41の下死点の位置から変位した分のピストン41の変位量、すなわち真空開閉弁30の開弁度VLを非接触で計測する変位センサ51が設けられている(図2参照)。この変位センサ51は、真空圧力制御装置70のうち、システムコントローラ部80の弁開度制御回路84及び空気圧制御部100のドライブ回路101と電気的に接続している。
本実施形態の真空圧力制御システム1では、真空開閉弁30の弁開度VLを制御するのに、ピストン41の駆動に最低限必要な駆動エアARの供給圧力値は、開閉弁圧力センサ52の計測値で0.35MPaとなっている。すなわち、供給エア収容室AS内に供給される駆動エアARの供給圧力が0.35MPa以上で、ピストン41は、復帰バネ42の付勢力に抗して、弁リフト方向の開弁側に移動できるようになっている。その反対に、駆動エアARの供給圧力が0.35MPaよりも小さいと、ピストン41は、駆動エアARによる開弁側への押圧力が復帰バネ42の付勢力よりも小さくなるので、開弁側へ移動できない。
このため、本実施形態の真空圧力制御システム1では、真空開閉弁30の弁開度VLは、復帰バネ42の付勢力に抗するのに必要な最低の、供給圧力0.35MPaの駆動エアARによる押圧力で変化させているので、復帰バネ42の付勢力が駆動エアARの押圧力よりも大きくなるように駆動エアARを減圧することが迅速にできる。したがって、真空開閉弁30の弁開度VLを閉弁側に制御することが迅速にできる(図10参照)。
真空圧力制御システム1では、ポペット弁体33Aは、復帰バネ42によりピストン41を介して弁リフト方向の閉弁側に付勢されている。このため、エア供給源20より、サーボ弁60を通じて駆動エアARが供給エア収容室ASに供給されないときには、Oリング35は、ポペット弁体33A及び弁座36により押圧される。これにより、第1ポート39がポペット弁体33Aで塞がれて、真空開閉弁30は閉弁(弁開度VL=0)する。
一方、駆動エアARが供給エア収容室ASに供給されると、ポペット弁体33Aは、ピストン41を介し、復帰バネ42による付勢力に抗して、弁リフト方向の開弁側に移動する。ポペット弁体33Aが開弁側に移動すると、Oリング35と弁座36とが離間して、第1ポート39と第2ポートとが連通し、真空開閉弁30は開弁(弁開度VL>0)する。これにより、真空チャンバ11内にあるプロセスガスまたは窒素ガスを真空ポンプ15で吸引することができる。
真空圧力制御システム1のメンテナンスを実施する場合等において、このハンドバルブ14の操作により、供給エア収容室ASにおける駆動エアARの吸排気を行えば、サーボ弁60を用いることなく、真空開閉弁30を簡単に開閉させることができる。これにより、メンテナンスの作業性は、サーボ弁60を通じて真空開閉弁30の開閉を行う場合に比べて向上する。
図7は、サーボ弁60の構成を説明するための説明図である。図8は、サーボ弁60においてスプール64の位置を制御する指令電圧と、駆動エアARの流通方向及び流量との関係についての流量特性を示す図である。なお、図7中、点線による線図が、第1,第2,第3ポート61,62,63の各ポート間において駆動エアARの漏れを考慮しない場合の流量特性を示し、実線による線図が、ティーチングプログラムを用いたサーボ弁60を制御した場合の流量特性を示す。
このサーボ弁60は、ストップバルブ21を介してエア供給源20に接続する第1ポート61、真空開閉弁30の供給エア収容室ASに接続する第2ポート62、及び、このストップバルブ21を介して排気側流路EXに接続する第3ポート63を有している(図2参照)。第2ポート62は、サーボ弁60のストローク方向(図7中、左右方向)において、第1ポート61と第3ポート63との間に位置している。また、サーボ弁60は、サーボ弁シリンダ65、このサーボ弁シリンダ65の外周に周設され、通電方向が互いに反対同士の第1コイル66A及び第2コイル66B、ストローク方向一端側(図7中、左方)でマグネット67と連結するスプール64、及び制御部68を有している。このサーボ弁60の制御部68は、真空圧力制御装置70のシステムコントローラ部80と電気的に接続している。
したがって、真空圧力制御装置70により第1,第2コイル66A,コイル66Bへの指令信号に相当する指令電圧値Vcがサーボ弁60の制御部68に入力されると、スプール64は、この指令電圧値Vcに基づいて、高い応答性でかつ迅速に駆動する。そして、スプール64は、サーボ弁シリンダ65内を摺動しながら、この指令電圧値Vcに対応する所定位置までストローク方向に移動し、正確な位置で停止する。
具体的には、スプール64がサーボ弁シリンダ65内のストローク方向一端側(図7中、右方)に位置で停止すると、第1ポート61と第2ポート62との連通流路が遮断した状態になる一方、第3ポート63と第2ポート62との連通流路は全開する。これにより、第2ポート62から第3ポート63を通じて排気側流路EXへ流れる駆動エアARは、急速的に排気できるようになる。また、スプール64がサーボ弁シリンダ65内のストローク方向他端側(図7中、右方)の位置で停止すると、第3ポート63と第2ポート62との連通流路が遮断した状態になる一方、第1ポート61と第2ポート62との連通流路は全開する。これにより、駆動エアARが、第1ポート61から第2ポート62を通じて真空開閉弁30の供給エア収容室ASへ急速的に流出できるようになる。
さらに、スプール64が第1ポート61と第3ポート63との間の微妙な位置に停止して、第1ポート61の流路及び第3ポート63の流路におけるそれぞれ一部を精度良く塞ぐこともできる。これにより、例えば、第1ポート61と第2ポート62とが連通する流路を少し大きくしたり、あるいは、第2ポート62と第3ポート63とが連通する流路を少し大きくしたりする等、第1ポート61から第2ポート62に向けて流れる駆動エアARの流量と、第2ポート62から第3ポート63に向けて流れる駆動エアARの流量とを、微妙に調整することが、高い応答性で迅速にかつ精度良くできる。
したがって、サーボ弁60では、第1ポート61に流入した駆動エアARを第2ポート
62を通じて真空開閉弁30の供給エア収容室ASに急速的に供給できることや、この供給エア収容室ASから第2ポート62に流れる駆動エアARを第3ポート63を通じて排気側流路EXへ急速的に排気できる。さらに、第1ポート61を流れる駆動エアARの流量と、第3ポート63を流れる駆動エアARの流量とを同時に精度良く調整することもできる。
具体的には、本実施形態では、図8中、点線の流量特性に示すように、指令電圧が指令電圧値Vc=0(V)の場合、スプール64はストローク方向の一端側に位置し、第1ポート61を閉弁した状態とする一方、第2ポート62と第3ポート63との流路が全開した状態で連通する。すると、供給エア収容室AS内にある駆動エアARが、第2ポート62及び第3ポート63を通じて排気側流路EXに急速に排気され、真空開閉弁30は、開弁される。
また、指令電圧値Vc=5(V)の場合には、スプール64は、図7に示すように、第1ポート61と第2ポート62との間を連通する流路、及び、第3ポート63と第2ポート62との間を連通する流路を、いずれも塞ぐ位置に停止する。
また、指令電圧値Vc=10(V)の場合、スプール64はストローク方向の他端側(図7中、左方)に位置し、第3ポート63を閉弁した状態とする一方、第1ポート61と第2ポート62との流路が全開した状態で連通する。すると、駆動エアARが供給エア収容室AS内に急速に供給され、真空開閉弁30は、最大弁開度VLで開弁される。
真空圧力制御システム1では、チャンバ用圧力センサ12により計測した真空チャンバ内の真空圧力計測値が真空圧力制御回路83にフィードバックされ、この真空圧力計測値と真空圧力指令値とを比較計算して得られた弁開度指令値が出力される。続いて、真空開閉弁30の弁開度VLについて、変位センサ51により計測した変位検出信号(弁開度VLの計測値)は、弁開度制御回路84にフィードバックされ、上記弁開度指令値と比較して、弁開度制御回路84の比例回路85、積分回路86及び微分回路87に入力される。その後、弁開度制御回路84において制御された指令電圧が、サーボ弁60への指令信号として、ドライブ回路101を通じてサーボ弁60の制御部68に印加される。
このような隙間があると、例えば、真空開閉弁30を閉弁するための指令信号がサーボ弁60の制御部68に入力され、スプール64が、第1ポート61と第2ポート62との間の流路、及び、第2ポート62と第3ポート63との流路をそれぞれ塞ぐ位置に正確に停止しても、次のような問題が生じる。例えば、第1ポート61から隙間を通じて漏れ出した駆動エアARが第2ポート62に流れ込むことがある。すると、真空開閉弁30は完全に閉弁せず、第2ポート62へ漏れた駆動エアARにより真空開閉弁30は開弁状態となる。あるいは、第2ポート62から隙間を通じて漏れ出した駆動エアARが第3ポート63に流れ込むこともある。すると、真空開閉弁30を閉弁して、プロセスガスが真空チャンバ11内に所定の真空圧力値で密閉された状態を保持したい場合であっても、第3ポート63に漏れた駆動エアARにより真空開閉弁30が開弁状態になってしまう。
しかしながら、真空圧力制御システム1では、ピストン41の駆動により真空開閉弁30を開閉させており、真空開閉弁30の開閉の応答性を高めるため、ベロフラム50を介在させることによりピストン41の摺動抵抗は低くなっている。このため、サーボ弁60内で漏れた駆動エアARがほんの僅かな量であっても、漏れた駆動エアARによりピストン41が駆動する。すると、制御開始時に真空開閉弁30が瞬間的に開弁して、真空チャンバ11内のガスが真空ポンプ15に引かれこのガスの真空圧力の降下(真空圧力値が高真空圧側に変化)が発生したり、あるいは、真空開閉弁30が必要外に比較的高い周波数で開閉を繰り返して、真空開閉弁30の弁開度VLを正確に制御することができない。その結果、真空チャンバ11内に密閉したプロセスガスの真空圧力を所定の真空圧力値に正確に一致させることができない問題も生じ得る。
図9は、真空圧力制御装置70に構成されたティーチングプログラムによりサーボ弁60の作動を制御する手法を示すフローチャートである。
ステップS1では、駆動エアARが真空開閉弁30の供給エア収容室AS内に供給されず、真空開閉弁30が閉弁状態にあるときの指令電圧の指令電圧値Vcを、初期指令電圧値として設定する。具体的には、指令電圧値Vc=0(V)が初期指令電圧値であり、指令電圧値VcがVc=0(V)のときには、スプール64が第2ポート62と第3ポート63との流路が全開状態で連通する位置に停止する一方、第1ポート61と第2ポート62とを結ぶ流路を塞ぐ位置に停止する。すなわち、駆動エアARは、第1ポート61から第2ポート62に向けて流れることはないが、第2ポート62から第3ポート63に向けて流れることができる状態となっている。
次いで、ステップS2では、真空圧力制御装置70によりサーボ弁60に印加する指令電圧を、初期指令電圧値(電圧値Vc=0)から徐々にゆっくりと上昇させる。これにより、指令電圧値Vcの増大に伴い、スプール64がストローク方向の他端側(図7中、左方)に移動し、第2ポート62から第3ポート63に向けて流れる流路の断面積は指令電圧値Vcの増大に伴って小さくなる。つまり、第2ポート62と第3ポート63とを結ぶ流路を流れることができる駆動エアARの流量は少なくなる。
弁開度VLがしきい値VLth以上になると、スプール64は第2ポート62と第3ポート63との間を完全に塞ぎつつ、その一方で、指令電圧値Vcの増大に伴い、第1ポート61から第2ポート62に向けて流れる流路が開通し始める。この流路が開通し始めたら、指令電圧値Vcを上昇させる調節を止め、このときの指令電圧値Vcを第1検知指令電圧値としてマイクロコンピュータに記憶する。
一方、弁開度VLがしきい値VLth以上(VL≧VLth)の条件を満たさない場合には、ステップS5において、弁開度VLがしきい値VLth以上になる指令電圧値Vcを再度設定し、ステップS2に戻り、再度設定した指令電圧値Vcまで指令電圧を上昇させる。
次いで、ステップS6では、サーボ弁60に印加する指令電圧を、第1指令電圧値からステップS4で設定した指令電圧値Vcまでゆっくりと下降させる。これにより、指令電圧値Vcの減少に伴い、スプール64がストローク方向の一端側(図7中、右方)の移動し、第1ポート62から第2ポート62に向けて流れる流路を閉鎖させる。
弁開度VLがしきい値VLth以下になると、スプール64は第1ポート61と第2ポート62との間の流路を塞ぎつつ、その一方で、電圧値Vcの減少に伴い、第2ポート61から第3ポート63に向けて流れる流路が再び開通し始める。
一方、弁開度VLがしきい値VLth以下(VL≦VLth)の条件を満たさない場合には、ステップS9において、弁開度VLがしきい値VLth以下になる指令電圧値Vcを再度設定し直し、ステップS6に戻り、再度設定した電圧値Vcまで指令電圧を下降させる。
かくして、サーボ弁60に出力する指令電圧値Vcとして、サーボ弁60における第1ポート61と第2ポート62との間を流れる駆動エアARと、第2ポート62と第3ポート63との間を流れる駆動エアARとの流量の差が相対的にゼロとなるように調整し、真空開閉弁30において全閉状態から弁開度VLをしきい値VLthとなるティーチング指令電圧値Vctが検出される。そして、このティーチング指令電圧値Vctに基づいてスプール64の作動を制御すれば、真空開閉弁30は弁開度VL=VLthとなる。
このサーボ弁60では、第1ポート61から供給エア収容室ASへの駆動エアARの急速的な供給、第2ポート62から第3ポート63を通じた急速的な排気、及び、第1ポート61と第2ポート62間を流れる駆動エアARの流量と、第2ポート62と第3ポート63間を流れる駆動エアARの流量との微妙な流量調整が、高い応答性で精度良くできる。
このため、真空開閉弁30の弁開度VLを変化させる駆動エアARをこのサーボ弁60で制御することにより、ガスを真空チャンバ11内に急速的に給気できる状態にすることや、真空チャンバ11内からガスを急速的に排気することが、いずれも、精度良くにかつ迅速にできる。また、真空チャンバ11内に給気するガスの給気量と、真空チャンバ11内から排気させるガスの排気量との微妙な流量調整も、正確にかつ迅速にできる。
これにより、従来の真空圧力制御システムでは、電磁バルブによりガスの急速的な給排気を行い、ポペット弁体を高い周波数で開閉できる電空比例弁により真空容器内のガスの真空圧力を微調整するのに十数秒の時間がかかっていたものが、本実施形態の真空圧力制御システム1では、真空チャンバ11内にパージガスを導入してからプロセスガスを排気するのを1、2秒間で行うことも可能になる。
したがって、本実施形態の真空圧力制御システム1は、例えば、真空チャンバ11内にパージガスを導入してからプロセスガスを排気するまでの所要時間を1、2秒間とする、ALDプロセスによる半導体製造工程等にも適したシステムとなる。
これにより、真空開閉弁30において、サーボ弁60の第2ポート62から真空開閉弁30内に流れる駆動ARの流量と、真空開閉弁30から第2ポート62へ流れる駆動ARの流量との差を調整しておき、真空開閉弁30を閉弁状態にしてから真空開閉弁30が所定の弁開度VLthに調節した際に得られたティーチング指令電圧値Vctに基づいてサーボ弁60の作動を制御すれば、サーボ弁60において、たとえスプール64の外周面とサーボ弁シリンダ65の内周面との隙間を通じて駆動エアARが漏れていても、真空開閉弁30の弁開度VLを正確に制御することができる。したがって、真空開閉弁30(ポペット弁体33A)は、高い精度でかつ正確な位置で開弁できるようになる。
しかしながら、本実施形態の真空圧力制御システム1では、真空圧力制御装置70はティーチングプログラムを備えている。これにより、この真空圧力制御システム1を実際に使用する工場の生産ライン等に据え付けた後でも、この真空圧力制御システム1の運転前に、真空圧力制御システム1の使用環境に適合する最適なティーチング指令電圧値Vctを検出して記憶すれば、実稼動と同じ条件で当該真空圧力制御システム1の運転条件を事前に得ることができる。
0を駆動するための駆動エアARを収容する供給エア収容室AS内に開閉弁圧力センサ52を備えているので、この供給エア収容室ASに駆動エアARがエア供給源20から供給されているかどうかが確認できる。
しかも、この開閉弁圧力センサ52により供給エア収容室AS内の駆動エアARの圧力を検出した圧力検出信号を、真空圧力制御装置70のうち、システムコントローラ部80の弁開度制御回路84及び空気圧制御部100のドライブ回路101にフィードバックしている。そして、弁開度制御回路84内のサーボ弁駆動補正制御回路91で補正された弁開度制御信号を、空気圧制御部100のドライブ回路101を通じてサーボ弁60の制御部68に入力している。
これにより、たとえ供給エア収容室AS内の駆動エアARに供給圧力0.35MPaを越える範囲で圧力の変動が生じた場合でも、サーボ弁60を適切に制御できるので、弁開度VLの制御に与える影響はなく、真空開閉弁30の弁開度VLを適切に制御することができる。
第1の調査は、真空圧力制御システム1及び従来の真空圧力制御システムにおける真空開閉弁30、318のポペット弁体33A,333を、最大の弁開度で開弁した全開位置から閉弁した閉弁位置まで変化させるのに必要な時間をそれぞれ比較したものである。図10は、第1の調査において、ポペット弁体33A,333が閉弁するまでに必要な時間を示すグラフである。
なお、第1の調査の条件を、設定以下の通りとした。
(1)真空圧力制御システム1では、真空開閉弁30における最大の弁開度VLをVL=42(mm)とする一方、従来の真空圧力制御システムでは、真空開閉弁318における最大の弁開度VLをVL=32(mm)とした。
(2)真空圧力制御システム1では、真空開閉弁30の弁開度VLを制御するときの駆動エアARの供給圧力値を0.35(MPa)とする一方、従来の真空圧力制御システムでは、真空開閉弁318の開度を制御するときの駆動エアARの供給圧力値を0.55(MPa)とした。
(3)弁開度を変化させるのにあたり、真空圧力制御装置70等内のプログラムに生じるプログラムのタイムラグは、真空圧力制御システム1及び従来の真空圧力制御システムのいずれもt=約0.05(sec)である。
この第1の調査結果より、真空圧力制御システム1では、ポペット弁体33Aが全開位置から閉弁位置まで変化するのに必要な時間はt=約0.36(sec)であるのに対し、従来の真空圧力制御システムでは、閉弁位置するまでの時間はt=約1.05(sec)となっている。
このように、真空圧力制御システム1の弁開度VLが従来の真空圧力制御システムより大きいのにも拘わらず、真空圧力制御システム1のポペット弁体33Aが従来の真空圧力制御システムよりも短時間で閉弁する理由は、次の通りである。
つまり、従来の真空圧力制御システムでは、第1,第2電磁弁360,361及びこれらよりもガス流路の有効断面積が小さい時間開閉動作弁362を用いて制御していたので、真空開閉弁318を閉弁するまでにこのような時間がかかっていた。
これに対し、真空圧力制御システム1では、真空開閉弁30の弁開度VLをサーボ弁60を用いて制御している。ポペット弁体33Aを全開位置から閉弁位置に変化させるときには、このサーボ弁60の第3ポート63の流路は全開するので、供給エア収容室ASにある駆動エアARは、第2ポート62から第3ポート63を通じて排気側流路EXに急速的に排気できるからである。
しかも、真空圧力制御システム1では、真空開閉弁30の弁開度VLは、復帰バネ42
の付勢力に抗するのに必要な最低の、供給圧力0.35MPaの駆動エアARによる押圧力で変化させている。このため、駆動エアARの押圧力が復帰バネ42の付勢力よりも小さくなるまで駆動エアARを排気させる時間、いわゆる排気による無駄時間が生じないからである。
なお、第2の調査の条件は、第1の調査の条件と同様である。
第2の調査のうち、弁開度VLを全開位置からVL=14(mm)まで変化させた調査によると、図11(a)より、従来の真空圧力制御システムでは、ポペット弁体333がVL=14(mm)まで変化するのに必要な時間はt=約9.0(sec)となっている。これに対し、本実施形態の真空圧力制御システム1では、ポペット弁体33Aが全開位置からVL=14(mm)まで変化するのに必要な時間はt=約0.2(sec)となっている。
また、弁開度VLを全閉位置からVL=14(mm)まで変化させた調査によると、図11(b)より、従来の真空圧力制御システムでは、ポペット弁体333がVL=14(mm)まで変化するのに必要な時間はt=約3.50(sec)となっている。これに対し、真空圧力制御システム1では、ポペット弁体33Aが全閉位置からVL=14(mm)まで変化するのに必要な時間はt=約0.2(sec)となっている。
その理由として、従来の真空圧力制御システムでは、真空チャンバ311内に密閉したガスを目標の真空圧力値にするときには、まず第1電磁弁360及び第2電磁弁361を用いて、真空チャンバ311内にガスを急速的に給気または排気し、目標の真空圧力値に近いところまで真空圧力を変化させる。ガスが密閉された状態の真空チャンバ311内では、目標値として設定した真空圧力値(設定値)と、圧力センサ317により計測した真空圧力値(実測値)とが異なるので、さらに時間開閉動作弁362により真空圧力の微調整を行い、この微調整に時間がかかるからである。
一方、真空圧力制御システム1では、真空開閉弁30の弁開度VLをサーボ弁60を用いて制御している。サーボ弁60では、駆動エアARを第2ポート62を通じて真空開閉弁30の供給エア収容室ASに急速的に供給できることや、この供給エア収容室ASから第2ポート62に流れる駆動エアARを第3ポート63を通じて排気側流路EXへ急速的に排気できる。さらに、第1ポート61を流れる駆動エアARの流量と、第3ポート63を流れる駆動エアARの流量とを同時に精度良く、迅速に調整することもできるからである。つまり、サーボ弁60を用いることにより、真空開閉弁30の供給エア収容室ASとサーボ弁60との間を流れる駆動エアARについて、比較的少量から大量まで幅広い範囲で正確にかつ迅速に流量調整をすることができるからである。
このように、真空圧力制御システム1では、サーボ弁60で真空開閉弁30の弁開度VLを制御することにより、真空チャンバ11内に給気したガスを正確な真空圧力値で迅速に保持できると共に、このガスを真空容器11外に迅速に排気できる真空圧力制御システ
ムとなることが確認できた。
かくして、真空圧力制御システム1は、非常に短い時間、例えば、1、2秒間で、パージガスとプロセスガスとを置換させるALDプロセスによる表面処理法に適用できる真空圧力制御システムとすることができる。
例えば、本実施形態では、スプール64が自転を伴わずサーボ弁シリンダ65内を摺動しながらストローク方向に移動する構成のサーボ弁60を例示した。しかしながら、サーボ弁は、スプール等の弁体がその軸を中心に自転しながら、流体の流量を調整する構成のものであっても良い。
11 真空チャンバ(真空容器)
14 ハンドバルブ(弁開度調節部)
15 真空ポンプ
20 エア供給源(流体供給源)
21 ストップバルブ(流体流通防止弁)
AR 駆動エア(流体)
EX 排気側流路
29 弁開度調節弁(弁開度調節部)
30 真空開閉弁
41 ピストン(アクチュエータ)
VL 弁開度
VLth しきい値
60 サーボ弁
61 第1ポート
62 第2ポート
63 第3ポート
70 真空圧力制御装置
Claims (9)
- 真空容器と、
前記真空容器内のガスを吸引する真空ポンプと、
前記真空容器と前記真空ポンプとの間に接続し、動力源として、流体供給源から供給される流体により、開度を変化させて前記真空容器内の真空圧力を制御する真空開閉弁と、
前記真空開閉弁を制御する真空圧力制御装置と、
前記真空開閉弁の前記開度を制御するサーボ弁と、
を備えることを特徴とする真空圧力制御システム。 - 請求項1に記載の真空圧力制御システムにおいて、
前記サーボ弁は、前記流体供給源と接続する第1ポート、前記真空開閉弁と接続する第2ポート、及び、排気側流路と接続する第3ポートを有し、
前記真空圧力制御装置は、
前記第1ポートから前記第2ポートへ流れる前記流体の流量と、前記第2ポートから前記第3ポートへ流れる前記流体の流量との差がゼロとなる、サーボ弁指令値をゼロ指令信号値として記憶することを特徴とする真空圧力制御システム。 - 請求項2に記載の真空圧力制御システムにおいて、
真空圧力制御システムを実際に稼働させる生産ラインに設置したときに、前記ゼロ指令信号値を検出するためのティーチングプログラムを備えることを特徴とする真空圧力制御システム。 - 請求項3に記載する真空圧力制御システムにおいて、
前記真空圧力制御装置が、記憶している前記ゼロ指令信号値に基づいて、サーボ弁指令値を出力することにより、前記サーボ弁を制御することを特徴とする真空圧力制御システム。 - 請求項1に記載の真空圧力制御システムにおいて、
前記真空開閉弁は、
弁座と、
前記流体供給源からの前記流体により、該弁座に対して当接・離間可能であり、それによって弁開閉方向に前記開度を変化させる弁体と、
該弁体を閉弁方向に付勢する弾性部材と、を有し、
前記開度は、前記弾性部材の付勢力に抗するのに必要な最低の、前記流体による押圧力で、変化させる、ことを特徴とする真空圧力制御システム。 - 請求項1に記載の真空圧力制御システムにおいて、
当該真空圧力制御システムを運転しない状態にあるときに、流体供給源から流体が前記サーボ弁に流入するのを遮断する流体流通防止弁を備える、ことを特徴とする真空圧力制御システム。 - 請求項1に記載の真空圧力制御システムにおいて、
前記真空圧開閉弁が、前記サーボ弁を通じず、前記真空開閉弁の前記開度を手動で調節できる弁開度調節部を備える、ことを特徴とする真空圧力制御システム。 - 請求項1に記載の真空圧力制御システムにおいて、
前記真空開閉弁の前記開度を非接触で計測する変位センサを備える、ことを特徴とする真空圧力制御システム。 - 請求項1に記載の真空圧力制御システムにおいて、
前記真空開閉弁は、
弁座と、
該弁座当接・離間可能な弁体と、
前記流体供給源からの流体により、該弁体を移動させるアクチュエータと、
該アクチュエータの内圧を計測する圧力センサを備える、
ことを特徴とする真空圧力制御システム。
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