JP2009013939A - 内燃機関のノック判定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノック有無の判定精度向上を図った内燃機関のノック判定装置を提供する。
【解決手段】エンジンの振動強度に基づきノック発生有無を判定するノック判定装置において、振動強度を表す振動波形中にノック波形が現れる可能性のある周波数帯域をノック周波数帯域とした場合に、該ノック周波数帯域内に設定された複数の異なる選択帯域の各々に対して振動波形を抽出する振動波形抽出手段(S420)と、点火時期を強制的に遅角させる遅角制御の実行時に抽出された複数の振動波形の各々に対して、疑似ノック波形が現れているか否かを判定する疑似ノック判定手段(S448)と、遅角制御の非実行時に抽出された複数の振動波形のうち、疑似ノック波形が現れていると判定された選択帯域以外の選択帯域の振動波形に対して、ノック波形が現れているか否かを判定するノック判定手段と、を備える。
【選択図】 図10
【解決手段】エンジンの振動強度に基づきノック発生有無を判定するノック判定装置において、振動強度を表す振動波形中にノック波形が現れる可能性のある周波数帯域をノック周波数帯域とした場合に、該ノック周波数帯域内に設定された複数の異なる選択帯域の各々に対して振動波形を抽出する振動波形抽出手段(S420)と、点火時期を強制的に遅角させる遅角制御の実行時に抽出された複数の振動波形の各々に対して、疑似ノック波形が現れているか否かを判定する疑似ノック判定手段(S448)と、遅角制御の非実行時に抽出された複数の振動波形のうち、疑似ノック波形が現れていると判定された選択帯域以外の選択帯域の振動波形に対して、ノック波形が現れているか否かを判定するノック判定手段と、を備える。
【選択図】 図10
Description
本発明は、検出された内燃機関の振動波形に基づきノック状態の発生有無を判定する、内燃機関のノック判定装置に関する。
従来のノック判定装置は、検出された内燃機関の振動波形にノック固有の波形(以下、ノック波形と呼ぶ)が現れているか否かに基づきノック発生有無を判定している。そして、ノック波形が現れる可能性のある周波数帯域(以下、ノック周波数帯域と呼ぶ)は限られているので、検出した振動波形からノック周波数帯域に対する波形を抽出し、抽出した波形についてノック発生有無を判定することが特許文献1等にて開示されている。
特開2001−164983号公報
ところで、例えば、WOT(Wide Open Throttle:スロットルバルブ全開状態・全負荷)かつエンジン回転速度3000〜4000〔rpm〕といった特定の運転条件において、更に点火時期を遅角させると、図8(a)に示す通常のノック波形とは異なる、図8(b)に示すようなノイズ波形(以下、疑似ノック波形と呼ぶ)が発生することがある。そして、このような疑似ノック波形はノック周波数帯域にて発生するため、疑似ノック波形をノック波形として誤検出するおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ノック有無の判定精度向上を図った内燃機関のノック判定装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明では、検出された内燃機関の振動強度に基づきノック状態の発生有無を判定するノック判定装置において、前記振動強度を表す振動波形中にノック固有の波形が現れる可能性が高いとして設定した周波数帯域をノック周波数帯域とした場合に、該ノック周波数帯域内に設定された複数の異なる選択帯域の各々に対して振動波形を抽出する振動波形抽出手段と、前記内燃機関の点火時期を、前記ノック固有の波形が現れる可能性が低いとして設定した所定の点火時期よりも遅角させる遅角制御を実行する点火遅角制御手段と、前記遅角制御の実行時に抽出された複数の振動波形の各々に対して、ノック固有の波形に類似した疑似ノック波形が現れているか否かを判定する疑似ノック判定手段と、前記遅角制御の非実行時に抽出された複数の振動波形のうち、前記疑似ノック判定手段により前記疑似ノック波形が現れていると判定された選択帯域以外の選択帯域の振動波形に対して、前記ノック固有の波形が現れているか否かを判定するノック判定手段と、を備えることを特徴とする。
ここで、疑似ノック波形は前述の如くノック周波数帯域にて発生するが、ノック周波数帯域の全域に亘って発生するものではない。この点に本発明者は着目しており、振動波形抽出手段により、ノック周波数帯域内に設定された複数の異なる選択帯域の各々に対して振動波形を抽出する。そして、疑似ノック判定手段によれば、いずれの選択帯域で疑似ノック波形が現れるかを特定することができる。すなわち、遅角制御に係る「所定の点火時期」をノック固有の波形が現れる可能性が低い時期(例えばBTDC10℃A)に設定しているので、疑似ノック判定時に現れたノイズ波形が、ノック波形ではなく疑似ノック波形であることを特定できる。そして、ノック判定手段によれば、疑似ノック波形が現れると特定された選択帯域以外の選択帯域に対してノック発生有無が判定されることとなる。
したがって本発明によれば、ノック周波数帯域の振動波形のうち、疑似ノック波形の出現可能性が低い選択帯域についてノック発生有無が判定されることとなるので、ノック判定手段が疑似ノック波形をノック波形として誤検出してしまうおそれを低減できる。よって、ノック有無の判定精度向上を図ることができる。
請求項2記載の発明では、前記ノック判定手段は、前記疑似ノック波形が現れていると判定された選択帯域の振動波形に対しては前記ノック固有の波形が現れているか否かの判定を行わないことを特徴とする。これによれば、疑似ノック波形が現れていると判定された選択帯域以外の選択帯域に加え、疑似ノック波形が現れていると判定された選択帯域もノック判定の判断材料とした場合に比べて、疑似ノック波形をノック波形として誤検出してしまうおそれを低減できる。
請求項3記載の発明では、前記疑似ノック判定手段は、同一の前記選択帯域に対し、予め設定されたノック判定期間の振動波形に現れるピーク値の最大値と最小値とを比較し、これらの最大値と最小値の差が予め設定された所定量未満である場合に、当該選択域に前記疑似ノック波形が現れていると判定することを特徴とする。
ところで、図8(a)に例示されるノック波形と図8(b)に例示される疑似ノック波形とを比べてみると、ノック波形及び疑似ノック波形は周波数が類似するものの、ピーク値の最大値Vpmaxが出現した後、その振動強度の減衰スピードが速く、その減衰量も大きい(つまりピーク値の変化が大きい)。一方、疑似ノック波形は最大値Vpmaxが出現した後、その振動強度の減衰スピードが遅く、減衰量が小さい(つまりピーク値の変化が小さい)。
本発明はこの点に着目しており、同一の選択帯域に対し、振動波形に現れるピーク値の最大値Vpmaxと最小値Vpminとを比較した場合に、これらの最大値Vpmaxと最小値Vpminとの差は、疑似ノック波形の場合にはノック波形の場合に比べて小さくなる。よって、前記差が所定量未満である場合に疑似ノック波形が現れていると判定する本発明によれば、いずれの選択帯域で疑似ノック波形が現れるかを精度よく特定することができる。
請求項4記載の発明では、前記疑似ノック判定手段は、前記抽出された振動波形の振動強度についての頻度分布における標準偏差が、予め設定された上限値より大きい場合又は下限値より小さい場合に、当該選択域に前記疑似ノック波形が現れていると判定することを特徴とする。
ところで、ノック波形と疑似ノック波形とを比べてみると、上述の如く、疑似ノック波形に係る振動強度の減衰スピードはノック波形の場合に比べて遅い。このことは、振動強度の頻度分布について両波形を比べた場合において、疑似ノック波形の頻度分布に係る標準偏差σ1(c)(図13(c)参照)は、ノック波形の頻度分布に係る標準偏差σ1(a)(図13(a)参照)に比べて大きくなることを意味する。また、内燃機関の運転状態によっては、疑似ノック波形の頻度分布に係る標準偏差σ1(d)(図13(c)参照)は、ノック波形の頻度分布に係る標準偏差σ1(a)(図13(a)参照)に比べて小さくなる場合もある。
本発明はこのように疑似ノック波形の標準偏差に着目しており、頻度分布の標準偏差が予め設定された上限値より大きい場合又は下限値よりも小さい場合に疑似ノック波形が現れていると判定する本発明によれば、いずれの選択帯域で疑似ノック波形が現れるかを精度よく特定することができる。
請求項5記載の発明では、前記疑似ノック波形が現れていると判定された選択帯域以外の選択帯域の振動波形のうち、前記選択帯域が異なる複数の振動波形を合成する合成手段を備え、前記ノック判定手段は、前記合成手段により合成された振動波形に対して、前記ノック固有の波形が現れているか否かを判定することを特徴とする。このように振動波形を合成すると、ノック固有の波形が現れやすくなることが本発明者により見出された。よって、合成された振動波形に対してノック有無の判定を行う本発明によれば、ノック有無の判定精度を向上できる。
請求項6記載の発明では、前記点火遅角制御手段による前記遅角制御には、前記点火時期の遅角量を一定の値に保持させる遅角量保持制御が含まれており、前記疑似ノック判定手段は、前記遅角量保持制御の実行時に抽出された複数の振動波形の各々に対して、前記疑似ノック波形が現れているか否かを判定することを特徴とする。
これによれば、点火時期が一定の値に保持された時に抽出された振動波形に対して疑似ノック波形の有無を判定するので、点火時期が変動している時に抽出された振動波形に対して判定する場合に比べて疑似ノック波形の有無を精度良く判定できる。
請求項7記載の発明では、前記内燃機関の出力軸には自動変速装置が取り付けられており、前記遅角制御は、前記自動変速装置が変速段を切り替える最中に実行されて変速ショックを低減する制御であることを特徴とする。これによれば、既存の変速ショック低減制御の実行を利用して疑似ノック波形の有無を判定するので、疑似ノック波形の有無を判定することのみを目的とした遅角制御の実行を不要できる。
請求項8記載の発明では、前記内燃機関の運転状態に応じて、ノック状態が発生しないと想定された進角点火時期に基づき定められる点火時期学習値が記憶された記憶手段と、前記点火時期学習値に基づき点火時期を制御するとともに、前記ノック判定手段により前記ノック固有の波形が現れているとノック判定された時には点火時期を遅角させ、ノック判定されなければ進角させる点火時期制御手段と、前記点火時期制御手段により点火時期を制御した結果得られた点火時期を、前記点火時期学習値として前記記憶手段に記憶更新させる学習手段と、を備えることを特徴とする。
これによれば、実際に点火時期を制御した結果得られた点火時期を点火時期学習値として記憶更新するので、点火時期学習値が学習されることとなる。よって、点火時期制御手段で用いる記憶手段の点火時期学習値を、ノック状態が発生しない的確な時期にすることができる。
請求項9記載の発明では、前記疑似ノック判定手段により前記疑似ノック波形が現れていると疑似ノック判定された時の前記内燃機関の運転状態を記憶するとともに、該運転状態に対応する前記点火時期学習値については前記記憶更新することを禁止することを特徴とする。これによれば、疑似ノックが生じる運転状態に対応した点火時期については記憶更新することを禁止するので、記憶手段に記憶された点火時期学習値を、疑似ノックによる影響を受けていない的確なデータにすることができる。よって、ノック有無の判定精度を向上できる。
請求項10記載の発明では、前記記憶手段に記憶された最進角点火時期のうち、前記疑似ノック波形が現れていると疑似ノック判定された時の運転状態を含む運転領域に隣接する領域に記憶された点火時期学習値については、前記記憶更新させるデータ更新量が少なくなるよう補正することを特徴とする。
ここで、疑似ノックが生じる運転状態に対応する点火時期学習値のみならず、その運転状態を含む運転領域に隣接するデータ領域の点火時期学習値についても疑似ノックによる影響を受けている可能性がある。これに対し、本発明によれば、このようなデータ領域の点火時期学習値については、記憶更新させるデータ更新量を少なくするので、記憶手段に記憶された点火時期学習値を、疑似ノックによる影響を受けていない的確なデータにすることができ、ノック有無の判定精度を向上できる。
請求項11記載の発明では、前記疑似ノック判定手段により前記疑似ノック波形が現れていると疑似ノック判定された時の前記内燃機関の運転状態を記憶するとともに、該運転状態の時には、前記点火時期制御手段の実行を禁止して、予め設定された固定量だけ点火時期を遅角させることを特徴とする。
これによれば、疑似ノックによる影響を受けた不的確な点火時期学習値、或いは疑似ノックによる影響を回避すべく学習されていない不的確な点火時期学習値を用いて点火時期制御が実行されることを回避できる。これらの不的確なデータを用いるよりは予め設定された固定量だけ点火時期を遅角させた方が、ノック状態が発生しない点火時期にできる場合もあり、このような場合に本発明を用いて好適である。
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明するが、はじめに、各実施形態に共通する構成及び制御内容を説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
<制御システム全体構成>
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ10によって開度調節されるスロットルバルブ15とスロットル開度を検出するスロットル開度センサ16とが設けられている。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ10によって開度調節されるスロットルバルブ15とスロットル開度を検出するスロットル開度センサ16とが設けられている。
更に、スロットルバルブ15の下流側には、サージタンク17が設けられ、このサージタンク17には、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ18が設けられている。また、サージタンク17には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド19が設けられ、各気筒の吸気マニホールド19の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁20が取り付けられている。また、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ21が取り付けられ、各点火プラグ21の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
一方、エンジン11の排気管22には、排出ガス中のCO,HC,NOx等を浄化する三元触媒等の触媒23が設けられ、この触媒23の上流側に、排出ガスの空燃比を検出する空燃比センサ24が設けられている。また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ25と、ノック振動を検出するノックセンサ28と、エンジン11のクランク軸が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ26が取り付けられている。このクランク角センサ26の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。
これら各種センサの出力は、エンジン制御装置27(以下「ECU」と表記する)に入力される。このECU27は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、燃料噴射弁20の燃料噴射量や点火プラグ21の点火時期を制御する。
<ノック有無判定>
更に、このECU27は、図2のノック判定ルーチンを実行することで、点火毎にノックセンサ28の出力信号から振動強度を算出して、その振動強度をノック判定値KC(図8参照)と比較してノックの有無を判定している。そして、ノック有りと判定したときに点火時期を遅角補正してノックを抑制し、ノック無しの状態が続いたときに点火時期を進角補正するというノック制御を行うことで、聴感で許容できるノック音の範囲内で点火時期を進角させてエンジン出力や燃費を向上させるようにしている。
更に、このECU27は、図2のノック判定ルーチンを実行することで、点火毎にノックセンサ28の出力信号から振動強度を算出して、その振動強度をノック判定値KC(図8参照)と比較してノックの有無を判定している。そして、ノック有りと判定したときに点火時期を遅角補正してノックを抑制し、ノック無しの状態が続いたときに点火時期を進角補正するというノック制御を行うことで、聴感で許容できるノック音の範囲内で点火時期を進角させてエンジン出力や燃費を向上させるようにしている。
ここで、振動強度の算出方法は、所定のノック判定区間(期間)におけるノックセンサ28の出力信号のピーク値を対数変換した値を振動強度として算出する。この他、所定のノック判定区間におけるノックセンサ28の出力信号の積分値を対数変換した値を振動強度として算出するようにしても良い。なお、上記「所定のノック判定区間」は、点火プラグ21への点火が終了した時点から、次回の点火が開始される前までの区間に設定することが望ましい。
<ノック判定値KCの算出>
次に、ノック判定値KCの算出手法について説明する。まず、振動強度のデータを統計的に処理して振動強度の頻度分布(以下「振動強度分布」と表記する)を演算する。そして、この振動強度分布のうちの振動強度が小さい方の領域に振動強度基準値を設定する。この振動強度基準値の設定は、後述する近似的な統計処理(図3のVMED,σ更新ルーチン)により振動強度分布の中央値VMEDを算出すると共に、この中央値VMEDより振動強度が小さい領域のばらつき指標として標準偏差σを算出し、次式によりノック判定値KCを算出する。
ノック判定値KC=VMED+u×σ(uは定数)
本実施形態におけるノック判定は、ECU27によって図2のノック判定ルーチンに従って次のようにして実行される。図2のノック判定ルーチンは、各気筒のノック判定区間終了毎に起動される。本ルーチンが起動されると、まずステップS11で、所定のノック判定区間におけるノックセンサ28の出力信号のピーク値(又は積分値)を検出する。この後、ステップS12に進み、このピーク値(又は積分値)を対数変換した値を振動強度として算出する。
次に、ノック判定値KCの算出手法について説明する。まず、振動強度のデータを統計的に処理して振動強度の頻度分布(以下「振動強度分布」と表記する)を演算する。そして、この振動強度分布のうちの振動強度が小さい方の領域に振動強度基準値を設定する。この振動強度基準値の設定は、後述する近似的な統計処理(図3のVMED,σ更新ルーチン)により振動強度分布の中央値VMEDを算出すると共に、この中央値VMEDより振動強度が小さい領域のばらつき指標として標準偏差σを算出し、次式によりノック判定値KCを算出する。
ノック判定値KC=VMED+u×σ(uは定数)
本実施形態におけるノック判定は、ECU27によって図2のノック判定ルーチンに従って次のようにして実行される。図2のノック判定ルーチンは、各気筒のノック判定区間終了毎に起動される。本ルーチンが起動されると、まずステップS11で、所定のノック判定区間におけるノックセンサ28の出力信号のピーク値(又は積分値)を検出する。この後、ステップS12に進み、このピーク値(又は積分値)を対数変換した値を振動強度として算出する。
次に、ステップS13に進み、後述する図3のVMED,σ更新ルーチンを実行して振動強度分布の中央値VMEDと、この中央値VMEDより振動強度が小さい領域の標準偏差σ(ばらつき指標)を算出する。
次に、ステップS14に進み、振動強度分布の中央値VMEDと標準偏差σと定数uを用いて次式によりノック判定値を算出する。
ノック判定値=VMED+u×σ
次に、ステップS15に進み、振動強度をノック判定値KCと比較し、振動強度がノック判定値KCよりも大きければ、ステップS16に進み、“ノック発生”と判定し、振動強度がノック判定値KC以下であれば、ステップS17に進み、“ノック無し”と判定する。つまり、図8に示すように、振動強度の絶対値がノック判定値KCより超えた場合には“ノック発生”と判定する。
ノック判定値=VMED+u×σ
次に、ステップS15に進み、振動強度をノック判定値KCと比較し、振動強度がノック判定値KCよりも大きければ、ステップS16に進み、“ノック発生”と判定し、振動強度がノック判定値KC以下であれば、ステップS17に進み、“ノック無し”と判定する。つまり、図8に示すように、振動強度の絶対値がノック判定値KCより超えた場合には“ノック発生”と判定する。
図3のVMED,σ更新ルーチンは、上記図2のノック判定ルーチンのステップS13で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まずステップS21で、振動強度分布の中央値VMED(前回値)と今回の振動強度とを比較し、今回の振動強度が振動強度分布の中央値VMEDよりも大きければ、ステップS22に進み、現在の中央値VMEDに所定値C1を加算した値(VMED+C1)を新たな中央値VMEDとする。また、今回の振動強度が中央値VMED以下であれば、ステップS23に進み、現在の中央値VMEDに所定値C1を減算した値(VMED−C1)を新たな中央値VMEDとする。このように、振動強度と中央値VMEDとの大小関係により、中央値VMEDを±C1ずつ更新することで、中央値VMEDの更新値を速やかに適正値に収束させる。
この後、ステップS24に進み、今回の振動強度が振動強度分布の中央値VMEDからVMED−σの範囲内(VMED−σ<振動強度≦VMED)であるか否かを判定し、今回の振動強度が中央値VMEDからVMED−σの範囲内に存在すれば、ステップS25に進み、現在の標準偏差σから所定値C2の2倍の値を減算した値(σ−2×C2)を新たな標準偏差σとする。また、今回の振動強度が中央値VMEDからVMED−σの範囲に存在しなければ、ステップS26に進み、現在の標準偏差σに所定値C2を加算した値(σ+C2)を新たな標準偏差σとする。
つまり、図4に示すように、振動強度分布が正規分布になると仮定すると、振動強度分布の中央値VMEDからVMED−σの範囲内に存在する頻度とそれ以外の領域に存在する頻度は、1:2の割合になるため、今回の振動強度が中央値VMEDからVMED−σの範囲内に存在すれば、σ−2×C2を新たな標準偏差σとし、今回の振動強度が中央値VMEDからVMED−σの範囲に存在しなければ、σ+C2を新たな標準偏差σとするという処理を繰り返すことで、標準偏差σの更新値は、振動強度分布が正規分布になると仮定した場合の標準偏差とほぼ等しくなる。
尚、中央値VMEDと標準偏差σの初期値は、予め設定された所定値又は学習値(前回のエンジン停止時の記憶値)に設定しても良いし、0であっても良い。いずれの場合でも、エンジン始動後から数秒程度で、中央値VMEDと標準偏差σの更新値が適正値に収束する。
<点火時期制御:通常時>
点火プラグ21による点火時期に関し、ECU27は、エンジン回転速度及び吸入空気量に基づき基本点火時期を算出する。具体的には、エンジン回転速度の値が大きいほど基本点火時期を進角させるとともに、吸入空気量の値が大きいほど基本点火時期を進角させている。そして、ECU27は、このように算出された基本点火時期をノック状態の発生有無や冷却水温等に基づき補正することで目標点火時期を決定し、当該目標点火時期にて点火されるよう点火プラグ21の作動を制御(点火時期制御)する。
点火プラグ21による点火時期に関し、ECU27は、エンジン回転速度及び吸入空気量に基づき基本点火時期を算出する。具体的には、エンジン回転速度の値が大きいほど基本点火時期を進角させるとともに、吸入空気量の値が大きいほど基本点火時期を進角させている。そして、ECU27は、このように算出された基本点火時期をノック状態の発生有無や冷却水温等に基づき補正することで目標点火時期を決定し、当該目標点火時期にて点火されるよう点火プラグ21の作動を制御(点火時期制御)する。
具体的には、ノック有りと判定したときに点火時期を遅角補正してノックを抑制し、ノック無しの状態が続いたときに点火時期を進角補正するというノック制御を行うことで、聴感で許容できるノック音の範囲内で点火時期を進角させてエンジン出力や燃費を向上させるようにしている。
図5は、上記点火時期制御を実行した場合の一態様を示すタイミングチャートであり、(a1)はノック有りと判定された場合に出力されるノック判定信号の変化を示し、(b1)は点火時期の変化を示す。このようにノック有り判定がなされる毎に点火時期は所定量(図中の符号D1参照)遅角され、ノック無し判定が所定回数続いた時に点火時期は所定量(図中の符号D2参照)進角されている。なお、遅角量D1と進角量D2とは同じ量に設定されている。
<点火時期制御:変速時>
内燃機関の出力軸には自動変速装置29(図1参照)が取り付けられており、自動変速装置29は、車両運転者によるスロットル操作量及び車速等に応じて変速段を切り替えて自動変速する装置である。そして、変速段を切り替える最中には、上述の如く算出された目標点火時期を、予め設定された所定量だけ強制的に遅角させる。なお、このように強制遅角させるにあたり、所定の遅角時期(遅角ガード所定値)よりもさらに遅角させることがないよう、ガードがかけられている。
内燃機関の出力軸には自動変速装置29(図1参照)が取り付けられており、自動変速装置29は、車両運転者によるスロットル操作量及び車速等に応じて変速段を切り替えて自動変速する装置である。そして、変速段を切り替える最中には、上述の如く算出された目標点火時期を、予め設定された所定量だけ強制的に遅角させる。なお、このように強制遅角させるにあたり、所定の遅角時期(遅角ガード所定値)よりもさらに遅角させることがないよう、ガードがかけられている。
以下、遅角ガード所定値について、図6及び図7を用いてより詳細に説明する。図6はECU27による制御手順を説明するフローチャートであり、所定周期毎に実行される。図7は、図6の処理による一態様を示すタイミングチャートであり、自動変速装置29による自動変速時におけるエンジン回転速度の変化及び点火時期の変化を示す。
図6に示す処理ルーチンが起動されると、まずステップS31で、運転者によるスロットル操作量及び現在の車速等に基づき、変速段を切り替えるか否かを判断する。切り替えるよう判断された場合(S31:YES)、自動変速装置29の摩擦要素(クラッチ又はブレーキ)の接続切り替えが実行される。
そして、ステップS32において、摩擦要素の切り替えにより自動変速装置29の出力軸の回転速度が変化し始めたか否か、つまり、摩擦要素の切り替え状態がトルク相からイナーシャ相に移行したか否かを判定する。なお、図7中の符号t1はイナーシャ相への移行開始タイミングを示す。
イナーシャ相への移行が開始されたと判定(S32:YES)された場合には、ステップS33において、上述の如く算出された目標点火時期を所定量(図7中の符号D3参照)遅角させる補正を実行する。当該所定量は、ノック波形が現れる可能性が低いとして予め設定された所定の点火時期よりも遅角させるように設定されている。これにより、エンジン11の出力が低下するためトルクが急激に変化することを抑制でき、トルクショックを低減できる。例えば、自動変速装置29によりシフトアップする場合に、車速が急激に上昇するといった変速ショックを低減できる。
次に、ステップS34において、ステップS33による補正後の目標点火時期(図7中の符号Eに示す時期)が遅角ガード所定値(図7中の符号Fに示す時期)を超えた値になっているか否かを判定する。なお、本実施形態では遅角ガード所定値をBTDC10℃Aに設定している。
ステップS33による補正後の目標点火時期が遅角ガード所定値を超えていると判定(S34:YES)された場合には、ステップS35において、目標点火時期を遅角ガード所定値に固定して保持させる遅角ガード制御(遅角量保持制御)を実行する。一方、ステップS33による補正後の目標点火時期が遅角ガード所定値を超えていないと判定(S34:NO)された場合には、その補正された目標点火時期となるように点火プラグ21の作動を制御する。
つまり、自動変速装置29による変速が開始されると(S32:YES)目標点火時期を所定量遅角させる補正を行う(S33)が、遅角ガード所定値を超えないように点火時期を制御する(S34,S35)。そして、ステップS37にて摩擦要素の切り替えが終了(図7中の符号t2参照)して変速が終了したと判定(S37:YES)されると、ステップS38に進み、目標点火時期を所定量だけ強制的に遅角補正させるステップS33の大遅角補正を終了する。なお、変速が終了していないと判定(S37:NO)される限り、ステップS33〜S37の処理が繰り返し実行される。
<疑似ノックによるノック有無の誤判定>
ところで、図8(a)は、ノックセンサ28により検出されたノック固有の振動波形(ノック波形)を示す図であり、時間経過に対する振動強度の変化を示している。一方、図8(b)は、ノック固有の波形に類似した振動波形(疑似ノック波形)を示す図であり、時間経過に対する振動強度の変化を示している。疑似ノック波形とは、燃焼に関わるノイズ波形のうちノック波形と周波数帯域が重複する波形であり、特に、点火時期を遅角させるほど生じやすい波形である。したがって、目標点火時期を所定量D3遅角させる変速時の点火遅角制御を実行した場合には当該疑似ノック波形は顕著に現れる。
ところで、図8(a)は、ノックセンサ28により検出されたノック固有の振動波形(ノック波形)を示す図であり、時間経過に対する振動強度の変化を示している。一方、図8(b)は、ノック固有の波形に類似した振動波形(疑似ノック波形)を示す図であり、時間経過に対する振動強度の変化を示している。疑似ノック波形とは、燃焼に関わるノイズ波形のうちノック波形と周波数帯域が重複する波形であり、特に、点火時期を遅角させるほど生じやすい波形である。したがって、目標点火時期を所定量D3遅角させる変速時の点火遅角制御を実行した場合には当該疑似ノック波形は顕著に現れる。
このような疑似ノック波形はノック波形と周波数帯域が重複するため、ノック有りと誤判定を招くことが懸念される。そして、図5(a2)に示すようにノック有りと誤判定がなされると、図5(b2)に示すように点火時期が遅角補正され、益々疑似ノック波形が生じやすい燃焼状態となる。よって、疑似ノックによる誤判定が連続して生じ、最遅角された状態(遅角ガード所定値Fの状態)から復帰できなくなり、排気温度上昇やトルクダウン等状態から復帰できなくなってしまうことが懸念される。以下に説明する各実施形態は、上記疑似ノックによる誤判定の抑制を図り、ノック有無の判定制度向上を図ることを目的としている。
(第1の実施形態)
図9(a)は本実施形態に係るブロック図を示しており、ECU27には、マイクロコンピュータ27aの他に、AD変換器30、第1〜第5フィルタ41〜45及び第1〜第5ピークホールド回路51〜55が備えられている。AD変換器30はノックセンサ28から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。
図9(a)は本実施形態に係るブロック図を示しており、ECU27には、マイクロコンピュータ27aの他に、AD変換器30、第1〜第5フィルタ41〜45及び第1〜第5ピークホールド回路51〜55が備えられている。AD変換器30はノックセンサ28から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。
第1〜第5フィルタ41〜45は、ノックセンサ28から出力された振動波形中、ノック固有の波形が現れる可能性のある周波数帯域(ノック周波数帯域)の振動を抽出するデジタルフィルタであり、振動波形抽出手段として機能する。そして、ノック周波数帯域は複数の異なる選択帯域に分割されており、複数のフィルタ41〜45の各々は各選択帯域の周波数の信号のみを抽出する。
具体的には、第1フィルタ41は、ノックセンサ28から出力された信号のうち第1選択帯域(例えば7kHz±100Hz)の信号のみを通過させる。同様に、第2フィルタ42は第2選択帯域(例えば8kHz±100Hz)の信号のみを、第3フィルタ43は第3選択帯域(例えば10kHz±100Hz)の信号のみを、第4フィルタ44は第4選択帯域(例えば12kHz±100Hz)の信号のみを、第5フィルタ45は第5選択帯域(例えば17kHz±100Hz)の信号のみを通過させる。
第1〜第5ピークホールド回路51〜55は、第1〜第5フィルタ41〜45の各々に対して設けられた回路であり、抽出された選択帯域の信号のうち、振動強度のピーク値(振動波形のうち傾きがゼロとなる点の値)を記憶保持させる回路である。
そして、本実施形態では、変速時の遅角制御においてステップS35による遅角ガード制御が実行される期間中に第1〜第5フィルタ41〜45により抽出された複数の振動波形の各々に対して、疑似ノック波形が現れているか否かを判定する。具体的には、遅角ガード制御実行期間中に、第1〜第5フィルタ41〜45を順番に切り替えて、マイクロコンピュータ27aに入力される振動波形の選択帯域を切り替える。そして、各々の選択帯域について、後述する図10の処理により疑似ノック波形が現れているか否かを判定する。
その後、遅角ガード制御が終了して通常時の点火時期制御が実行される期間中に抽出された複数の振動波形のうち、疑似ノック波形が現れていると判定された振動波形を除く他の振動波形に対して、ノック波形が現れているか否かを図2及び図3の処理により判定する。
図10はマイクロコンピュータ27aにより疑似ノック検出を行うための処理を示し、変速時の遅角制御においてステップS35による遅角ガード制御が実行されることをトリガとして起動し、所定周期で実行される。この処理では、複数の選択帯域の各々に対して、振動波形に現れるピーク値の絶対値の最大値と最小値とを比較し、これらの最大値と最小値の差が予め設定された所定量未満である場合に、当該選択域に前記疑似ノック波形が現れていると判定する。
より詳細には、先ずステップS410において第1〜第5フィルタ41〜45のうち第1フィルタ41に切り替える。その後、ステップS420において、1回の判定期間中に取得されるノックセンサ28からの出力信号の中から、ピークホールド回路51により振動強度のピーク値VPEAKを検出して記憶保持させる。その後、ステップS430においてピーク値VPEAKを対数変換する。なお、対数変換後のピーク値をVPと呼ぶ。
その後、ステップS441において、取得したピーク値VPが予め設定された所定値V1以上であるか否かを判定し、VP≧V1でないと判定(S441:NO)された場合にはステップS442に進む。なお、本実施形態では、前記所定値V1をノック判定値KCと同一の値に設定している。
そして、エンジン11のサイクル数が2以上(ピーク値VPの取得回数が2回以上)でないと判定(S442:NO)されれば処理をステップS420に戻し、ピーク値VPの取得回数が2回以上であると判定(S442:YES)されれば処理をステップS410に戻し、次の第2フィルタ42に切り替える。
つまり、ピーク値VPが小さ過ぎる場合にはサンプリング値として不適格として再度ピーク値VPEAKを検出しようとするが、既にピーク値VPを2回以上取得している場合には当該フィルタによるピーク値VPEAKの検出を中断し、次のフィルタに切り替える。
一方、ステップS441において、VP≧V1であると判定(S441:YES)された場合にはステップS443に進み、今回取得したピーク値VPが前回までに取得したピーク値の最大値Vpmaxより大きいか否かを判定する。VP>Vpmaxであると判定(S443:YES)された場合にはステップS444に進み、最大値Vpmaxを今回取得したピーク値VPに更新する。一方、VP>Vpmaxでないと判定(S443:NO)されれば、続くステップS445において、今回取得したピーク値VPが前回までに取得したピーク値の最小値Vpminより小さいか否かを判定する。VP<Vpminであると判定(S445:YES)された場合にはステップS446に進み、最小値Vpminを今回取得したピーク値VPに更新する。
次に、ステップS447において、エンジン11のサイクル数が2以上(ピーク値VPの取得回数が2回以上)でないと判定(S447:NO)されれば処理をステップS420に戻し、ピーク値VPの取得回数が2回以上であると判定(S447:YES)されればステップS448に進む。
ステップS448では、ステップS444にて更新されたピーク値の最大値Vpmaxと、ステップS446にて更新されたピーク値の最小値Vpminとの差Vpmax−Vpminを算出する。そして、Vpmax−Vpminが予め設定された所定値V2より大きいか否かを判定する。Vpmax−Vpmin>V2でないと判定(S448:NO)されれば、ステップS460において、当該フィルタによる選択帯域には疑似ノイズは現れていないと判定する。一方、Vpmax−Vpmin>V2であると判定(S448:YES)されれば、ステップS470において当該フィルタによる選択帯域に疑似ノイズが現れていると判定する。
次に、ステップS480において、遅角ガード制御が実行されているか否かを判定し、未だ遅角ガード制御実行中であると判定(S480:YES)されれば、処理をステップS410に戻してフィルタを切り替え、当該フィルタについてステップS420〜S470の処理を繰り返す。したがって、遅角ガード制御の実行が継続される限り、第1〜第5フィルタ41〜45がステップS410にて順次切り替えられ、各々の選択帯域について疑似ノイズが現れているか否かが判定される。
そして、遅角ガード制御が実行中でないと判定(S480:NO)されれば、続くステップS490において、疑似ノック有りと判定された選択帯域のフィルタの作動を停止させる。よって、図2及び図3の処理は、疑似ノック無しと判定された選択帯域の振動波形に対して実行される。すなわち、疑似ノック無しと判定された選択帯域の振動波形についてノックの有無が判定される。
因みに、図11は、ノックセンサ28から出力された実際の出力信号及びノック判定区間を示す図であり、横軸が時間、縦軸が振動強度を表している。また、図中の符号#1〜#4はエンジン11の気筒番号を表している。そして、図11(a)はノックが発生している時の振動波形を示し、図11(b)はノック無し時の振動波形を示す。図11(c)は、変速時の遅角制御中に疑似ノックが発生している時の振動波形を示す。図11(a)中の符号F1が図8(a)と同様のノック波形を表しており、図11(a)中の符号F2が図8(b)と同様の疑似ノック波形を表している。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
(1)ノック周波数帯域を複数の選択帯域に分割して設定し、設定された選択帯域の各々に対して、変速時の遅角制御実行中に抽出された振動波形に疑似ノック波形が現れているか否かを判定する。
ここで、変速時の遅角制御実行中にはノックは発生しにくく、かつ、疑似ノックが発生し易い。この遅角制御実行中に検出されたVP≧V1(S441:YES)となる波形は、ノック波形ではなく疑似ノック波形である可能性が高い。しかも、疑似ノック波形は、最大値Vpmaxが出現した後その振動強度の減衰スピードが遅く減衰量が小さい、といった特徴を有している点に着目し、VP≧V1となる波形のうち、ノック判定区間にてVpmax−Vpmin>V2を満たす場合(S448:YES)に疑似ノック波形が現れていると判定する。よって、疑似ノック波形を精度良く検出できる。
(2)そして、疑似ノック波形が現れていると判定された選択帯域についてはフィルタの作動を停止させて、当該選択帯域に係る振動波形をノック判定に用いないようにする。つまり、変速に係る遅角制御を実行していない通常時には、疑似ノック無しと判定された選択帯域の振動波形についてノックの有無を判定し、当該判定に疑似ノック有りと判定された選択帯域の振動波形を用いないようにする。そのため、ノック周波数帯域の振動波形のうち、疑似ノック波形の出現可能性が低い選択帯域についてノック発生有無が判定されることとなるので、疑似ノック波形をノック波形として誤検出してしまうおそれを低減できる。よって、ノック有無の判定精度を向上できる。
(3)変速時の遅角制御実行中のうち、遅角ガード所定値よりもさらに遅角させることがないようガードがかけられた遅角ガード制御時に、疑似ノック有無の判定を実行している。このように、点火時期が一定の値に保持された時に抽出された振動波形に対して疑似ノック有無の判定を実行するので、点火時期が変動している時に抽出された振動波形に対して判定する場合に比べて疑似ノック波形の有無を精度良く判定できる。
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、疑似ノック波形の有無を判定するにあたり、振動波形に現れるピーク値の絶対値の最大値と最小値とを比較することで判定している。これに対し本実施形態では、抽出された振動波形について振動強度の頻度分布を演算し、演算により得られた頻度分布の標準偏差に基づき疑似ノック波形の有無を判定している。
上記第1の実施形態では、疑似ノック波形の有無を判定するにあたり、振動波形に現れるピーク値の絶対値の最大値と最小値とを比較することで判定している。これに対し本実施形態では、抽出された振動波形について振動強度の頻度分布を演算し、演算により得られた頻度分布の標準偏差に基づき疑似ノック波形の有無を判定している。
図12は、本実施形態に係る疑似ノック有無判定の処理内容を示すフローチャートであり、変速時の遅角制御においてステップS35による遅角ガード制御が実行されることをトリガとして起動し、マイクロコンピュータ27aにより所定周期で実行される。したがって、図12のステップS410〜S430では図10と同様の処理を実行する。
その後、ステップS451において、抽出された振動波形について、遅角ガード制御が実行中に図3に示す統計処理により算出された中央値VMED及び標準偏差σを読み込む。以下、図13を用いた説明において、頻度分布の標準偏差のうち中央値VMEDに対して振動強度が高い側の標準偏差をσ2、振動強度が低い側の標準偏差をσ1と表記して区別する。
図13(a)は、ノックが発生している時の振動波形を統計処理して得られた頻度分布を示し、標準偏差値及び中央値に添字(a)を付して区別する。図13(b)は、ノックが発生していない時の振動波形を統計処理して得られた頻度分布を示し、標準偏差値及び中央値に添字(b)を付して区別する。図13(c)中の符号C1,C2は、疑似ノックが発生している時の振動波形を統計処理して得られた頻度分布を示し、標準偏差値及び中央値に添字(c)(d)を付して区別する。
続くステップS452では、振動強度が高い側の標準偏差σ2が所定値α(α>0)よりも大きいか否かを判定する。σ2>αでないと判定(S452:NO)されればステップS460にて疑似ノックやノックが発生していないと判定する。つまり、疑似ノック又はノックによる振動波形の特性上、疑似ノック又はノックが発生している場合の標準偏差σ2(a),σ2(c)は所定値αより大きい値になる。一方、疑似ノックやノックが発生していない場合の振動波形の特性上、疑似ノックやノックが発生していない場合の標準偏差σ2(b)はα以下の値となる。
続くステップS453では、振動強度が低い側の標準偏差σ1が所定値β(β>0、β=α)よりも大きいか否かを判定する。σ1>βであると判定(S453:YES)されればステップS470にて疑似ノックが発生していると判定し、σ1>βでないと判定(S453:NO)されればステップS471にてノックが発生していると判定する。つまり、疑似ノックによる振動波形の特性上、疑似ノックが発生している場合の標準偏差σ1(c)は所定値βより大きい値になる。一方、ノックによる振動波形の特性上、ノックが発生している場合の標準偏差σ1(a)はβ以下の値となる。
ここで、エンジン11の運転状態によっては、図中の符号Q1に示す頻度分布となる振動波形が現れる場合もあれば、符号Q2に示す頻度分布となる振動波形が現れる場合もある。つまり、σ1(c)>σ1(a)となる場合もあれば、σ1(d)>σ1(a)となる場合もある。そこで、ステップS470にて疑似ノックの有無を判定するにあたり、σ1<γ、又はσ2<γ(γ>0、γ<α)である場合に疑似ノックが発生していると判定するようにしてもよい。或いは、中央値VMED(d)の頻度Pが所定値以上である場合や、中央値VMED(d)が所定値以上である場合に疑似ノックが発生していると判定するようにしてもよい。
続くステップS480では遅角ガード制御中であるか否かを判定し、遅角ガード制御中であると判定(S480:YES)されると処理をステップS410に戻してフィルタを切り替え、当該フィルタについてステップS420〜S471の処理を繰り返す。したがって、遅角ガード制御の実行が継続される限り、第1〜第5フィルタ41〜45がステップS410にて順次切り替えられ、各々の選択帯域について疑似ノイズが現れているか否かが判定される。
そして、遅角ガード制御が実行中でないと判定(S480:NO)されれば、続くステップS490において、疑似ノック有りと判定された選択帯域のフィルタの作動を停止させる。よって、図2及び図3の処理は、疑似ノック無しと判定された選択帯域の振動波形に対して実行される。すなわち、疑似ノック無しと判定された選択帯域の振動波形についてノックの有無が判定される。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
(1)疑似ノックやノックが発生している場合の振動波形による頻度分布(図13(a)(c)参照)と、ノックが発生していない場合の振動波形による頻度分布(図13(b)参照)とを比較すると、それらの振動波形の特性上、σ2(b)<σ2(a),σ2(c)となることが言える。また、疑似ノックが発生している場合の振動波形による頻度分布と、ノックが発生している場合の振動波形による頻度分布とを比較すると、それらの振動波形の特性上、σ1(a)<σ1(c)となることが言える。
これらの特性を鑑み、本実施形態では、σ2>αでないと判定(S452:NO)されれば疑似ノックやノックが発生していないと判定する。σ2>αかつσ1>βであると判定(S453:YES)されれば疑似ノックが発生していると判定する。σ2>αかつσ1>βでないと判定(S453:NO)されればノックが発生していると判定する。よって、振動強度がノック判定値を超えたか否かでノック有無を判定する場合に比べて精度良く判定できる。
(2)振動強度が低い側の標準偏差σ1が所定値βより大きいか否かの判定(ステップS453)に基づきノック有無の判定を行っているため、図2のノック判定処理を不要にできる。
(3)疑似ノック波形が現れていると判定された選択帯域についてはフィルタの作動を停止させて、当該選択帯域に係る振動波形をノック判定に用いないようにする。そのため、第1の実施形態と同様にして、ノック周波数帯域の振動波形のうち、疑似ノック波形の出現可能性が低い選択帯域についてノック発生有無が判定されることとなるので、疑似ノック波形をノック波形として誤検出してしまうおそれを低減できる。
(第3の実施形態)
マイクロコンピュータ27aのEEPROM等の記憶手段には、エンジン11の運転状態に応じて、ノックしないと想定された最進角点火時期(点火時期学習値)が記憶されている。具体的には、定常状態におけるエンジン11の負荷及び回転速度と前記最進角点火時期との関係を予め計測しておくなどして、この関係情報(図15のマップデータ参照)をマイクロコンピュータ27aに記憶させている。なお、ノックしないと想定された最進角点火時期に替えて、最進角点火時期よりも所定量遅角させた時期をマップデータ(点火時期学習値)として記憶させるようにしてもよい。
マイクロコンピュータ27aのEEPROM等の記憶手段には、エンジン11の運転状態に応じて、ノックしないと想定された最進角点火時期(点火時期学習値)が記憶されている。具体的には、定常状態におけるエンジン11の負荷及び回転速度と前記最進角点火時期との関係を予め計測しておくなどして、この関係情報(図15のマップデータ参照)をマイクロコンピュータ27aに記憶させている。なお、ノックしないと想定された最進角点火時期に替えて、最進角点火時期よりも所定量遅角させた時期をマップデータ(点火時期学習値)として記憶させるようにしてもよい。
ノック有り判定される毎に点火時期を遅角させる図5に例示した処理を実行した結果得られた図5(b1)に示す点火時期(点火時期学習値)を、マップデータに記憶更新する。これにより、最進角点火時期を学習させる。因みに、前記「エンジン11の負荷」を示すパラメータの一例として、運転者によるスロットル操作量やスロットルバルブの開度、吸気圧力等が挙げられる。
疑似ノック波形が現れていると疑似ノック判定された時のエンジン運転状態(負荷及び回転速度)を記憶するとともに、該運転状態に対応する最進角点火時期については前記マップデータに記憶更新することを禁止する。前記運転状態の時にノック有りと判定された場合には、予め設定された固定量(例えば5℃A)だけ点火時期を遅角させる。
図14は、上記制御内容を実行するための具体例であり、疑似ノック有りと判定された場合のマイクロコンピュータ27aによる一連の処理を示す。先ずステップS51において、疑似ノック有りと判定された時の運転状態(負荷及び回転速度)を記憶する。続くステップS52では、疑似ノック有りと判定された選択帯域のフィルタの作動を停止させる。
続くステップS53では、現在のエンジン11運転状態がステップS51にて記憶された疑似ノック有りの運転状態であるか否かを判定する。該運転状態であると判定(S53:YES)された場合には、ステップS54において、ノック有りと判定された場合の点火時期遅角量を予め設定された遅角量(例えば5℃A)に設定する。続くステップS55では、前記運転状態に対応する最進角点火時期についてマップデータに記憶更新することを禁止する。
一方、現在の運転状態が疑似ノック有りの運転状態でないと判定(S53:NO)された場合には、ステップS58において、前記運転状態に対応する最進角点火時期をマップデータに記憶更新して学習させる。そして、ステップS59において、ノック有りと判定されて点火時期遅角制御を開始する時に、マップデータに基づき点火時期を決定する。当該決定の後には、ノック有り判定がなされる毎に点火時期を所定量(図5中の符号D1参照)遅角させ、ノック無し判定が所定回数続いた時に点火時期を所定量(図5中の符号D2参照)進角させる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
(1)ノック有り判定される毎に点火時期を遅角させる処理を実行した結果得られた点火時期(最進角点火時期)を、マップデータに記憶更新して学習する。そのため、実際に点火時期を上述の如く制御した結果得られた最進角点火時期を学習し、学習した最進角点火時期に基づき次回からの点火時期を制御するので、ノックが生じない程度に最も進角した時期となるよう点火時期を制御することを、短時間で行うことができる。
(2)疑似ノック有りと判定された時の運転状態を記憶するとともに、該運転状態に対応する最進角点火時期については記憶更新することを禁止する。そのため、最進角点火時期に係るマップデータを、疑似ノックによる影響を受けていない的確なデータにすることができる。よって、ノック有無の判定精度を向上できる。
(3)疑似ノック有りと判定された時の運転状態を記憶し、その後、該運転状態になった時には予め設定された時期に点火時期を固定して前記点火時期制御手段による制御を禁止することを特徴とする。このように、運転状態が、疑似ノック波形が現れていると疑似ノック判定された時の運転状態である場合には、学習した最進角点火時期に基づくことなく予め設定された固定量だけ点火時期を遅角するので、疑似ノックによる影響を受けることなく点火時期を制御できる。
(第4の実施形態)
本実施形態では、第3の実施形態に係るマップデータに記憶された最進角点火時期のうち、疑似ノック有りと判定された時の運転状態に隣接する領域に記憶された最進角点火時期については、記憶更新させる最進角点火時期を更新量が少なくなるよう補正する。例えば、疑似ノック有りと判定された時の運転状態をマップデータ中の符号B(図15参照)に示す領域とした場合、領域Bに隣接する領域A,Cの最進角点火時期データについては、更新量が少なくなるよう補正する。
本実施形態では、第3の実施形態に係るマップデータに記憶された最進角点火時期のうち、疑似ノック有りと判定された時の運転状態に隣接する領域に記憶された最進角点火時期については、記憶更新させる最進角点火時期を更新量が少なくなるよう補正する。例えば、疑似ノック有りと判定された時の運転状態をマップデータ中の符号B(図15参照)に示す領域とした場合、領域Bに隣接する領域A,Cの最進角点火時期データについては、更新量が少なくなるよう補正する。
つまり、領域A,Cのデータを更新するにあたり、更新前の最進角点火時期が例えばBTDC3℃Aであり、本来であれば更新すべき最進角点火時期がBTDC5℃Aである場合において、更新による変更量を2℃Aとすることに替えて、2℃Aより少ない変更量(例えば半分の1℃A)にする。
図16は、上記制御内容を実行するための具体例であり、疑似ノック有りと判定された場合のマイクロコンピュータ27aによる一連の処理を示す。図16の処理は図14の処理にステップS56及びステップS57を付加したものである。すなわち、ステップS53において、現在の運転状態がステップS51にて記憶された疑似ノック有りの運転状態(例えば図15中の領域B)でないと判定(S53:NO)された場合に、ステップS56の判定処理を実行する。
すなわち、現在の運転状態に対応するマップデータ中の領域が、領域Bに隣接した領域であるか否かを判定する。現在の運転状態に対応する領域が領域Bに隣接した領域A,Cであると判定された場合(S56:YES)には、遅角側への学習更新量を半分にする。一方、現在の運転状態に対応する領域が隣接領域A,Cでないと判定された場合(S56:NO)には、ステップS58において、前記運転状態に対応する最進角点火時期を、そのままマップデータに記憶更新して学習させる。
ここで、疑似ノックが生じる運転状態に対応する最進角点火時期(領域Bのデータ)のみならず、その運転状態に隣接する領域の最進角点火時期(領域A,Cのデータ)についても疑似ノックによる影響を受けている可能性がある。この点を鑑みた本実施形態によれば、このような隣接領域A,Cのマップデータについては、データ更新量を少なくするので、マップデータに記憶された最進角点火時期のデータを、疑似ノックによる影響を受けていない的確なデータにすることができ、ノック有無の判定精度を向上できる。
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、上記各実施形態の特徴的構造をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。また、例えば次のように実施しても良い。
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、上記各実施形態の特徴的構造をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。また、例えば次のように実施しても良い。
・図9(b)に示すように、疑似ノック無しと判定された複数の選択帯域の各々の振動波形を合成する合成手段27bを備え、該合成手段27bにより合成された振動波形に対して、ノック有無の判定を行うようにしてもよい。このように振動波形を合成すると、ノック固有の波形が現れやすくなるので、合成された振動波形に対してノック有無の判定を行う図9(b)の構成によれば、ノック有無の判定精度を向上できる。
・上記実施形態では、抽出する周波数帯域が異なる複数のフィルタ41〜45を備え、いずれのフィルタ41〜45により振動波形を抽出するかを切り替えるように構成しているが、本発明の実施にあたり、フィルタを1つのみとし、当該フィルタの周波数帯域を異なる帯域に順次切り替えるように構成してもよい。
・上記実施形態では、疑似ノック波形が現れていない疑似無し選択帯域についてノック判定を実行し、疑似ノック波形が現れていると判定された疑似有り選択帯域については、当該選択帯域に係る振動波形をノック判定に用いないようにしている。これに対し、疑似無し選択帯域に加えて、疑似有り選択帯域についてもノック判定に用いるようにしてもよい。但しこの場合には、疑似有り帯域についてのノック判定基準と疑似無し帯域についてのノック判定基準とを異なる基準とする必要がある。例えば、疑似有り帯域についてのノック判定値KCを疑似無し帯域の判定値KCよりも大きくして、疑似有り帯域についてはノック有りと判定されにくくするようにノック判定を行ってもよい。
・上記実施形態では、振動波形抽出手段は、疑似ノック波形が現れていると判定された選択帯域の振動波形に対しては、フィルタの作動を停止させて当該振動波形の抽出を行わないようにして、抽出処理負担の軽減を図っている。これに対し、疑似ノック波形が現れていると判定された選択帯域の振動波形に対して、フィルタの作動を継続させるようにしてもよい。
・上記実施形態では、複数のフィルタ41〜45の選択帯域の数値は重複しないように設定され、かつ、異なる選択帯域同士が間隔を開けて設定されているが、異なる選択帯域同士が間隔を開けることなく連続した帯域となるように数値設定してもよいし、重複するように数値設定してもよい。
・頻度分布の標準偏差σのうち中央値VMEDに対して振動強度が高い側の標準偏差σ2及び低い側の標準偏差σ1の少なくとも一方が予め設定された値より大きい場合に、疑似ノック有りと判定してもよい。
・疑似ノックによる振動波形の特性上、疑似ノックが発生している場合の中央値VMED(c),VMED(d)は、疑似ノックが発生していない場合の中央値VMED(a),VMED(b)より大きい値になる。この点を鑑み、中央値VMEDが所定値以上の場合に疑似ノック有りと判定してもよい。
・上記実施形態では、自動変速装置の変速中に実行される遅角制御時に、疑似ノック判定に用いる振動波形の抽出を行っているが、該遅角制御に替えて、例えば急加速時にトルク急上昇を回避することを目的として点火時期を遅角させる遅角制御時に前記抽出を行うようにしてもよい。
・上記実施形態では、ピーク値の最大値Vpmaxと最小値Vpminとの差Vpmax−Vpminに基づいて疑似ノック有無を判定しているが、所定のノック判定区間におけるノックセンサ28の出力信号の積分値を検出し、該積分値の最大値と最小値との差に基づいて判定してもよい。なお、この場合には、図9に示すピークホールド回路51〜55に替えて、前記積分値を演算する回路を適用させればよい。
・上記第1の実施形態では、最大値Vpmaxと最小値Vpminとの差が所定量未満である場合に疑似ノック有りと判定しているが、最大値Vpmaxと最小値Vpminとの比率が所定量未満である場合に疑似ノック有りと判定するようにしてもよい。
・図9に示す第1〜第5フィルタ41〜45を、デジタルフィルタに替えてアナログフィルタにしてもよい。
27…ECU(ノック判定装置)、41〜45…第1〜第5フィルタ(振動波形抽出手段)、S410,S420…振動波形抽出手段、S31〜S38…点火遅角制御手段、S448,S452,S453…疑似ノック判定手段、S15…ノック判定手段。
Claims (11)
- 検出された内燃機関の振動強度に基づきノック状態の発生有無を判定するノック判定装置において、
前記振動強度を表す振動波形中にノック固有の波形が現れる可能性が高いとして設定した周波数帯域をノック周波数帯域とした場合に、該ノック周波数帯域内に設定された複数の異なる選択帯域の各々に対して振動波形を抽出する振動波形抽出手段と、
前記内燃機関の点火時期を、前記ノック固有の波形が現れる可能性が低いとして設定した所定の点火時期よりも遅角させる遅角制御を実行する点火遅角制御手段と、
前記遅角制御の実行時に抽出された複数の振動波形の各々に対して、ノック固有の波形に類似した疑似ノック波形が現れているか否かを判定する疑似ノック判定手段と、
前記遅角制御の非実行時に抽出された複数の振動波形のうち、前記疑似ノック判定手段により前記疑似ノック波形が現れていると判定された選択帯域以外の選択帯域の振動波形に対して、前記ノック固有の波形が現れているか否かを判定するノック判定手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関のノック判定装置。 - 前記ノック判定手段は、前記疑似ノック波形が現れていると判定された選択帯域の振動波形に対しては前記ノック固有の波形が現れているか否かの判定を行わないことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のノック判定装置。
- 前記疑似ノック判定手段は、同一の前記選択帯域に対し、予め設定されたノック判定期間の振動波形に現れるピーク値の最大値と最小値とを比較し、これらの最大値と最小値の差が予め設定された所定量未満である場合に、当該選択域に前記疑似ノック波形が現れていると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関のノック判定装置。
- 前記疑似ノック判定手段は、前記抽出された振動波形の振動強度についての頻度分布における標準偏差が、予め設定された上限値より大きい場合又は下限値より小さい場合に、当該選択域に前記疑似ノック波形が現れていると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関のノック判定装置。
- 前記疑似ノック波形が現れていると判定された選択帯域以外の選択帯域の振動波形のうち、前記選択帯域が異なる複数の振動波形を合成する合成手段を備え、
前記ノック判定手段は、前記合成手段により合成された振動波形に対して、前記ノック固有の波形が現れているか否かを判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の内燃機関のノック判定装置。 - 前記点火遅角制御手段による前記遅角制御には、前記点火時期の遅角量を一定の値に保持させる遅角量保持制御が含まれており、
前記疑似ノック判定手段は、前記遅角量保持制御の実行時に抽出された複数の振動波形の各々に対して、前記疑似ノック波形が現れているか否かを判定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の内燃機関のノック判定装置。 - 前記内燃機関の出力軸には自動変速装置が取り付けられており、
前記遅角制御は、前記自動変速装置が変速段を切り替える最中に実行されて変速ショックを低減する制御であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の内燃機関のノック判定装置。 - 前記内燃機関の運転状態に応じて、ノック状態が発生しないと想定された進角点火時期に基づき定められる点火時期学習値が記憶された記憶手段と、
前記点火時期学習値に基づき点火時期を制御するとともに、前記ノック判定手段により前記ノック固有の波形が現れているとノック判定された時には点火時期を遅角させ、ノック判定されなければ進角させる点火時期制御手段と、
前記点火時期制御手段により点火時期を制御した結果得られた点火時期を、前記点火時期学習値として前記記憶手段に記憶更新させる学習手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の内燃機関のノック判定装置。 - 前記疑似ノック判定手段により前記疑似ノック波形が現れていると疑似ノック判定された時の前記内燃機関の運転状態を記憶するとともに、該運転状態に対応する前記点火時期学習値については前記記憶更新することを禁止することを特徴とする請求項8に記載の内燃機関のノック判定装置。
- 前記記憶手段に記憶された最進角点火時期のうち、前記疑似ノック波形が現れていると疑似ノック判定された時の運転状態を含む運転領域に隣接するデータ領域に記憶された点火時期学習値については、前記記憶更新させるデータ更新量を少なくすることを特徴とする請求項9に記載の内燃機関のノック判定装置。
- 前記疑似ノック判定手段により前記疑似ノック波形が現れていると疑似ノック判定された時の前記内燃機関の運転状態を記憶するとともに、該運転状態の時には、前記点火時期制御手段の実行を禁止して、予め設定された固定量だけ点火時期を遅角させることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1つに記載の内燃機関のノック判定装置。
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