JP2009013122A - 育毛剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】男性型脱毛(以下AGAと呼ぶ)の発症を確実に防止できると共に、AGA発症部の増毛効果に優れた安全性の高い、安価な育毛剤の提供。
【解決手段】生体内の男性ホルモンを女性ホルモンに変換するアロマターゼ機能と類似の機能を有する物質を育毛剤内に含有する育毛剤。アロマターゼの機能と類似の機能を有する物質としては、ベノミル、カルベンダジム、チオファーネート−メチル等があげられる。さらに、該育毛剤は、免疫抑制剤、副腎皮質ホルモン剤、抗菌剤、清涼剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤の内の少なくとも一つを含有することができる。
【選択図】図2
【解決手段】生体内の男性ホルモンを女性ホルモンに変換するアロマターゼ機能と類似の機能を有する物質を育毛剤内に含有する育毛剤。アロマターゼの機能と類似の機能を有する物質としては、ベノミル、カルベンダジム、チオファーネート−メチル等があげられる。さらに、該育毛剤は、免疫抑制剤、副腎皮質ホルモン剤、抗菌剤、清涼剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤の内の少なくとも一つを含有することができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、男性型脱毛(以下AGAと呼ぶ)の予防並に治療に用いる育毛剤又は養毛剤若しくは発毛剤(以下、育毛剤と呼ぶ)の改良に関するものであり、微量のベノミル(BENOMYL)又はカルベンダジム(CARBENDAZIM)若しくはチオファーネート−メチル(THIOPHANATE−METHYL)を含有せしめた液剤を頭部の表皮外面へ塗布若しくは振り掛けして真皮内方へ滲透させ、ベノミル等が具備する男性ホルモンを女性ホルモンに変換させるアロマターゼと類似の機能を活用することにより、遺伝的体質や免疫系の異常等が原因となって起る皮下組織内のアロマターゼの減量により生ずる前記ホルモン変換作用の低下を補い、これによってAGAの防止や育毛を可能とした新規な育毛剤に関するものである。
従前から、所謂AGAと呼ばれる男性の禿や脱毛は、イ.毛包環境における男性ホルモンの活性異常、ロ.毛乳頭及び毛包周辺の毛細血管の血流量低下、ハ.皮脂腺機能の異常な亢進による皮脂の分泌過剰、ニ.ストレスの蓄積、ホ.遺伝的要因等が原因となって生ずると考えられて来た。
そのため、AGA発症の予防又は治療には、上記発生原因を取り除いたり或いは発生原因を軽減する作用を有する物質を含有する薬剤、例えば男性ホルモン活性化阻害剤、血管拡張剤、皮膚機能亢進剤等が開発され、広く利用に供されている(例えば、特許2958662号、特開2003−12468号、特開2003−104848号、特開2003−277240号等)。
即ち、従前からAGAは、遺伝的体質や血行障害等が起因となって男性ホルモンが増加することにより、5α還元酵素II型が正常であってもDHT(デハイドロキシテストスチロン)やアポートシス誘導因子(TGF−β)が増加し、毛包上皮細胞死を経て発生すると考えられて来た。
ところが、近年、AGAを発症した男性とそうでない健全な毛髪の男性との間に、男性ホルモンの総量に差の無いことが判明したため、男性ホルモンの過剰がAGAの発生原因であるとする従前の考え方は、多くの研究者間で支持を失うことになり、これに代って、所謂毛周期の異常説がAGAの発生原因説の主流を占めるようになって来た。
ところが、近年、AGAを発症した男性とそうでない健全な毛髪の男性との間に、男性ホルモンの総量に差の無いことが判明したため、男性ホルモンの過剰がAGAの発生原因であるとする従前の考え方は、多くの研究者間で支持を失うことになり、これに代って、所謂毛周期の異常説がAGAの発生原因説の主流を占めるようになって来た。
即ち、この毛周期異常説は、イ.毛周期の短縮化による毛母細胞の機能低下と細毛化及びロ.毛周期の短縮化を演出する腫瘍増殖因子-β(細胞のアポトーシス誘導因子)の活性化等が原因となって、AGAが発症すると云う説であり、正常な毛髪が成長期、退行期及び休止期の毛周期を繰り返すのに対して、異常な毛髪では成長期半ばにして退行期へ移行したり、毛髪が充分育たない状態で休止期へ移行したりすることにより、薄毛化や脱毛化を招くと説明されている。
図3は、上記毛周期異常説によるAGAの発生プロセスの説明図であり、図3に於いて、10は真皮や皮下組織内に存在する男性ホルモン、11は5α還元酵素II型(活性化)、12はDHT(デハイドロキシテストステロン)(増加)、13はアポトーシス誘導因子(TGF−β・腫瘍増殖因子)(増加)、14は毛包上皮細胞の死、15はAGA(脱毛)を示すものである。
即ち、当該毛周期異常説に於いては、真皮や皮下組織内に存在する男性ホルモン10の量そのものには変化又は増加が無いが、5α還元酵素II型11が高度に活性化されることにより、その働きによって通常量の男性ホルモンが大量のDHT12に変換され、次いで、高ホルモンレベルを有するDHT12に反応した毛乳頭細胞核(DNA)がアポトーシス誘導因子(TGF−β)13を量産することにより、AGAが誘導されるとするものである。
具体的には、5α還元酵素II型の高度活性化により増産されたアポトーシス誘導因子(TGF−β)13が、毛包上皮細胞にアポトーシスサインを送ると、最終的にはカスパーゼ3(図示省略)が毛包上皮細胞(DNA・図示省略)を分解し、アポトーシスが完了(毛包上皮細胞の死14)する。その結果、毛周期の半ばにして脱毛(AGA)15への誘導が始まることになる。
具体的には、5α還元酵素II型の高度活性化により増産されたアポトーシス誘導因子(TGF−β)13が、毛包上皮細胞にアポトーシスサインを送ると、最終的にはカスパーゼ3(図示省略)が毛包上皮細胞(DNA・図示省略)を分解し、アポトーシスが完了(毛包上皮細胞の死14)する。その結果、毛周期の半ばにして脱毛(AGA)15への誘導が始まることになる。
而して、上記近年の毛周期異常説を基礎にして新規に開発された養毛剤は、その大部分が毛髪の早期退行期への移行を抑制することを狙いとするものであり、そのために、毛母細胞増殖剤や毛母細胞賦活剤、5α還元酵素II型阻害剤、腫瘍増殖因子阻害剤などが多く利用されている。
しかし、この種毛周期異常説に基づいて開発された養毛剤では、副作用が頻発すること、前頭部の発毛に効果が無いこと、養毛剤内の薬剤濃度によっては薄毛化や脱毛化が逆に促進される場合のあること、AGA患者特有の病状(アレルギー等免疫系疾患)を助長すること、繊維芽細胞の増殖抑制作用が出ること及びヒト皮膚繊維芽細胞の増殖抑制作用があること等の様々な問題が発生しており、安全性や薬効の面に解決すべき問題が多く残されている。
しかし、この種毛周期異常説に基づいて開発された養毛剤では、副作用が頻発すること、前頭部の発毛に効果が無いこと、養毛剤内の薬剤濃度によっては薄毛化や脱毛化が逆に促進される場合のあること、AGA患者特有の病状(アレルギー等免疫系疾患)を助長すること、繊維芽細胞の増殖抑制作用が出ること及びヒト皮膚繊維芽細胞の増殖抑制作用があること等の様々な問題が発生しており、安全性や薬効の面に解決すべき問題が多く残されている。
また、従前のこの種育毛剤の開発には、イ.脱毛に至る確固としたプロセス(メカニズム)が未だ体系化されていないこと、ロ.脱毛の原因等に係る理論が変転を繰り返し、基礎研究がこれに追随できていないこと、ハ.薬剤の副作用を転用すると云う偶然性への依存度が歴史的に高いこと等の特殊な事情が内存し、結果として開発に膨大な時間と努力を必要として育毛の製造コストの引下げが図り難いだけでなく、安全性が高く、しかも高い薬効を具備した育毛剤が提供されて来ないと云う問題がある。
本発明は、従前の育毛剤に於ける上述の如き問題、即ち、イ.副作用が頻発するだけでなく、薬効そのものも不安定なものであること、及びロ.高薬効の育毛剤を安価に製造することが出来ないこと等の問題を解決せんとするものであり、従前のAGAの発生プロセス(メカニズム)の見直しを通して、在来のAGA発症説、即ち男性ホルモンの増加がAGA発生の原因となっていると云う考え方の中に育毛理論の基本が存在することを見出すと共に、アロマターゼと類似の機能を有するベノミル又はカルベダジム若しくはチオファーネート−メチルや、これ等と類似の作用を奏する物質をAGAの進行を抑制するための新規物質として用いることにより、安価に製造することが出来、しかも安全性が高くて優れた薬効を奏する育毛剤を提供することを発明の主たる目的とするものである。
本願発明者は、AGAは前記図3に示した毛周期異常説に基づくプロセスを経て発症するものではなく、前述の如く免疫系の異常や遺伝的体質等が基になり、所謂男性ホルモンの局所的な増加が主要因となって発症するものであるとの確信の下に、図1のようなAGA発症プロセスを推論すると共に、当該プロセスをベースにして、AGA発症の主原因である男性ホルモンの局所的増加を防止する方策と、男性ホルモンの局所的増加を抑制する物質の探求とを永年に亘って重ねて来た。
図1は、本願発明者が新たに推論した前記AGA発症のプロセスを示すものであり、AGAは、長期に亘り頭部を中心に消長を繰り返す免疫系疾患(主にアトピー、アレルギーなど)1と、表皮のバリア機能の低い遺伝的体質2とが複合してその引き金の主要因となり、発症をする。
具体的には、頭頂部は皮膚の構造上物理的な張力ストレスや紫外線、汚れや雑菌の付着、抗原の進入を受け易い条件下にあり、また、頭皮の炎症部分には好中球をはじめ、ヒスタミン、TNF−αなど様々な炎症性物質が集積し、所謂慢性疾患3の状態下に置かれている。
また、頭部の皮膚が前記慢性疾患3の状態下に置かれることにより、皮膚を構成する様々な組織がダメージを受けることになり、血行障害4、真皮組織の退縮5、皮下組織の退縮6と進行する。更に、皮下組織が退縮6とすると、その脂肪組織内に存在する男性ホルモンを女性ホルモンに変換する機能を備えたアロマターゼが減少7し、頭部に男性ホルモンが局所的に増加8することになり、AGAの発症に向けての動きが加速される。
具体的には、頭頂部は皮膚の構造上物理的な張力ストレスや紫外線、汚れや雑菌の付着、抗原の進入を受け易い条件下にあり、また、頭皮の炎症部分には好中球をはじめ、ヒスタミン、TNF−αなど様々な炎症性物質が集積し、所謂慢性疾患3の状態下に置かれている。
また、頭部の皮膚が前記慢性疾患3の状態下に置かれることにより、皮膚を構成する様々な組織がダメージを受けることになり、血行障害4、真皮組織の退縮5、皮下組織の退縮6と進行する。更に、皮下組織が退縮6とすると、その脂肪組織内に存在する男性ホルモンを女性ホルモンに変換する機能を備えたアロマターゼが減少7し、頭部に男性ホルモンが局所的に増加8することになり、AGAの発症に向けての動きが加速される。
即ち、頭部の真皮や皮下組織内に存在する男性ホルモンが増加すると、毛乳頭細胞膜(図示省略)を通過して毛乳頭細胞膜内へ入る男性ホルモンが増加する。そしてこの毛乳頭細胞膜内へ入った男性ホルモンは、毛乳頭細胞内に存在する常態の5α還元酵素II型9の働きによりDHTに変換される。そして、図3の場合と同様に、高ホルモンレベルを有するDHT12に反応した毛乳頭細胞核(DNA)がアポトーシス誘導因子(TGF−β)13を量産することにより、AGAが誘導されることとなる。
本願発明は、前記図1に示したAGA発症プロセスに於ける「皮下組織退縮6に起因するアロマターゼ減少7によって生ずる局所的な男性ホルモンの増加8を、図2に示すようにアロマターゼと類似の作用をする物質を皮下組織内若しくはその近傍へ直接又は間接に投与16することにより防止し、男性ホルモンの増加を抑制17してその量を定常状態に保つことにより、5α還元酵素II型9の働きを定常状態に保つと共にDHTの増加12を防止しようとするものである。
本願請求項1の発明は、生体内の男性ホルモンを女性ホルモンに変換するアロマターゼの機能と類似の機能を有する物質を含有することを発明の基本構成とするものであり、前記生体内の男性ホルモンを女性ホルモンに変換するアロマターゼ機能と類似の機能を有する物質としては、ベノミル又はカルベンダジム若しくはチオファーネート−メチルの何れかが最適である。また、前記アロマターゼと類似の機能を有する物質としては、ベノミルの誘導体、ベノミルとその分解生成物であるカルベンダジムとの混合体又はチオファーネート−メチルとその分解生成物であるカルベンダジムの混合体であってもよい。
また、前記ベノミル又はカルベンダジム若しくはチオファーネート−メチルは、これを単独で育毛剤中に含有せしめてもよいし、他の薬剤や添加剤を共に含有せしめたものであっても良いことは勿論である。
更に、本発明に係る育毛剤は、頭皮の外表面へ直接に塗布或いは散布することを基本とするものであるが、経口服用或いは体液内へ注入する型式の育毛剤とすることも可能である。
加えて、ベノミル、カルベンダジム又はチオファーネート−メチルは、先ずエーテル等の有機溶剤に溶解させ、次に、この溶解液を精製水等の溶液に混合させる形式の育毛剤とするのが望ましく、また、溶解液と溶液の混合は、育毛剤の使用の直前であっても良いが、育毛剤の使用の少なくとも2時間位前に行うのが望ましい。
更に、本発明に係る育毛剤は、頭皮の外表面へ直接に塗布或いは散布することを基本とするものであるが、経口服用或いは体液内へ注入する型式の育毛剤とすることも可能である。
加えて、ベノミル、カルベンダジム又はチオファーネート−メチルは、先ずエーテル等の有機溶剤に溶解させ、次に、この溶解液を精製水等の溶液に混合させる形式の育毛剤とするのが望ましく、また、溶解液と溶液の混合は、育毛剤の使用の直前であっても良いが、育毛剤の使用の少なくとも2時間位前に行うのが望ましい。
本発明の育毛剤は、ベノミル又は此れと類似の作用をする物質を主成分とするものであり、此れに他の薬剤及び添加剤を加えた混合物形態の育毛剤であっても良い。
混合する薬剤としては、例えばミノキシジル、フィナステリド、塩化カルプロニウム、アデノシン、t−フラバノン、6−ベンジルアミノプリン、ペンタデカン酸グリセリド、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、セファラチン、プラセンタエキス、塩酸ジフェンヒドラミン、L−アスパラギン酸カリウム、N、N´−ジアセチル−L−シスチンジメチルエステルなどが、血行の促進や毛母細胞の賦活等を目的として混合可能である。
混合する薬剤としては、例えばミノキシジル、フィナステリド、塩化カルプロニウム、アデノシン、t−フラバノン、6−ベンジルアミノプリン、ペンタデカン酸グリセリド、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、セファラチン、プラセンタエキス、塩酸ジフェンヒドラミン、L−アスパラギン酸カリウム、N、N´−ジアセチル−L−シスチンジメチルエステルなどが、血行の促進や毛母細胞の賦活等を目的として混合可能である。
その他に、免疫抑制剤例えば、シクロスポリン、タクロリムス等が、又、外用合成副腎皮質ホルモン剤、例えば、プロピオン酸クロベタゾール、フランカルボン酸モメタゾンなどが、本発明の効果を増大させる目的で配合することができる。
更に、通常養毛化粧料に用いられる添加剤、例えば抗菌剤、清涼剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤、経皮吸収促進剤などを配合することもできる。
更に、通常養毛化粧料に用いられる添加剤、例えば抗菌剤、清涼剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤、経皮吸収促進剤などを配合することもできる。
上述の通り、AGAの発症はアレルギー、アトピー、真菌他皮膚に関連する慢性炎症1と、皮膚のバリア機能の低い遺伝的体質2とが複合してその主たる原因を成していること及びAGA発症のプロセスが図1の通りであることが解明されているのであるから、AGA治療の最善の方法は、図1に於ける免疫系の異常1及び遺伝体質2を取り除くことにある。しかし、このことは、現在の医療技術レベルに於いては困難なことである。
そのため、本発明者は、脱毛現象を促進させる最重要点であるアロマターゼ酵素に注目し、当該アロマターゼ酵素を特定すると共に、その産生及び作用について鋭意研究を重ねた。その結果、アロマターゼ酵素は、皮膚に於いては脂肪細胞により産生されて男性ホルモンを女性ホルモンに変換する役割を担っていること、また、脂肪細胞が減縮すると、それに伴いアロマターゼが減少し、男性ホルモンの女性ホルモンへの変換量が少なくなって、頭皮内に局所性の男性ホルモン過剰現象を出現させることを見出した。
そのため、本発明者は、脱毛現象を促進させる最重要点であるアロマターゼ酵素に注目し、当該アロマターゼ酵素を特定すると共に、その産生及び作用について鋭意研究を重ねた。その結果、アロマターゼ酵素は、皮膚に於いては脂肪細胞により産生されて男性ホルモンを女性ホルモンに変換する役割を担っていること、また、脂肪細胞が減縮すると、それに伴いアロマターゼが減少し、男性ホルモンの女性ホルモンへの変換量が少なくなって、頭皮内に局所性の男性ホルモン過剰現象を出現させることを見出した。
一方、頭皮に於ける男性ホルモンの過剰は、隣接する脳にとっては一大事である。
何故ならば女性ホルモンは血液脳関門を通れないが、男性ホルモンは通過が可能であり、通常量を越える男性ホルモンが脳神経細胞及び視床下部に悪な影響を及ぼすことになる。
そのような危険を回避する為に、人体は頭皮内に5α還元酵素II型9を配して男性ホルモンを脳に影響を与えないDHT12に変換する。そのDHT12が強力な脱毛原因物質と云われるものである(換言すれば、AGAは脳を護る為の自衛手段であると云える)。
何故ならば女性ホルモンは血液脳関門を通れないが、男性ホルモンは通過が可能であり、通常量を越える男性ホルモンが脳神経細胞及び視床下部に悪な影響を及ぼすことになる。
そのような危険を回避する為に、人体は頭皮内に5α還元酵素II型9を配して男性ホルモンを脳に影響を与えないDHT12に変換する。そのDHT12が強力な脱毛原因物質と云われるものである(換言すれば、AGAは脳を護る為の自衛手段であると云える)。
上述から明らかなように、AGA治療の最善策は、減少したアロマターゼを正常値に戻すことにあり、本願発明に係る育毛剤の主要な作用は、アロマターゼと類似の機能を有する物質の作用を活用して、頭皮内に局部的に増加した男性ホルモンを女性ホルモンに変換させ、脱毛の原因物質であるDHT12の大量産生を抑制する点にある。
本発明に係る育毛剤は、頭皮の外表面へ塗布又は散布することにより、頭部の皮下組織内に局部的に増加した男性ホルモンを迅速に、しかも安全に女性ホルモンに変換することができ、これによって所謂AGAが抑制若しくは治癒されることになる。
また、本発明に係る育毛剤は、例えば公知物質であるベノミルの薬効を利用するものであるため、製造コストの大幅な引下げが可能となる。更に、本発明に係る育毛剤は、外用のみたらず服用又は注入の型で使用することもでき、便宜である。
また、本発明に係る育毛剤は、例えば公知物質であるベノミルの薬効を利用するものであるため、製造コストの大幅な引下げが可能となる。更に、本発明に係る育毛剤は、外用のみたらず服用又は注入の型で使用することもでき、便宜である。
本発明に於いては、アロマターゼ類似のホルモン変換機能即ち男性ホルモンを女性ホルモンに変換する機能を具備する物質(以下、アロマターゼ様酵素機能を有する物質と呼ぶ)として、ベノミル、又はチオファーネート−メチルを使用している。
この本発明で使用するベノミルは公知の物質であり、植物の殺菌剤としての薬理作用を持つことは従来から知られている。しかし、このベノミルが男性ホルモンを女性ホルモンへ変換(作用)を有することはあまり知られておらず、また、これを養毛剤として利用できることは全く知られていないものである。
この本発明で使用するベノミルは公知の物質であり、植物の殺菌剤としての薬理作用を持つことは従来から知られている。しかし、このベノミルが男性ホルモンを女性ホルモンへ変換(作用)を有することはあまり知られておらず、また、これを養毛剤として利用できることは全く知られていないものである。
具体的には、ベノミルとは、物質名をメチル1-(ブチルカルバモイル)-2-ベンゾイミダゾールカルバマートやメチル1-ブチルカルバモイル-2-ベンゾイミダゾールカルバマート等と表示され、英文では(1-((BUTYLAMINO)CARBONYL)-1H-BENZIMIDAZOL-2-YL)CARBAMICACIDMETHYLESTER等と表記されるものである。尚、ベノミルは、N-[1-(N-n-ブチルカルバモイル)-1H-2-ベンゾイミダゾリル]カルバミン酸メチルやmethyl N-[1-(N-n-butylcarbamoyl)-1H-2-benzimidazoly]carbamateと表記されることもある。
また、その化学構造式は、下記の通りであり、且つ分子式はC14H18N4O3、分子量は290.32であって、農薬取締法の規制を受ける物質として知られている。
尚、上記ベノミルは、外観が白色結晶性粉末であり、ベンゾイミダゾール類に属する殺菌剤として知られており、特徴的な臭気を有している。また、水溶解性であって、溶解量は4mg/L(PH3〜10,25℃)である。更に、アセトン、キシレン、エタノール等の有機溶剤に溶解する。
また、ベノミルは、水中では2時間の半減期をもってカルベンダジム(メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−カーバメート)に変換され、このカルベンダジムは水中で分解される。
本実施形態に於いては、前記アロマターゼ様酵素機能を有する物質としてベノミルを使用しているが、アロマターゼ様酵素機能を具備する物質であれば、ベノミル以外の物質、例えば、カルベンダジム又はチオファーネート−メチルであっても良い。
カルベンダジム(CARBENDAZIM)及びチオファーネート−メチル(THIOPHANATE-METHYL)は、ベノミルと同様に公知の物質であり、殺菌剤や防かび剤等の農薬として利用されているものである。
即ち、前者のカルベンダジムは、物質名をMBCやカルベンダゾール、メチル2-ベンゾイミダゾリルカルバマート等でもって表示され、英文では、1H-BENZIMIDAZOL-2-YL-CARBAMICACIDMETHYLESTER等で表される物質である。
また、後者のチオファーネート−メチルは、ジメチル4,4´-0-フェニレンビス(3-チオアロファナート)やジメチル4,4´-0-フェニレンビス3-チオアロファナート、メチルチオファネート等と呼ばれる物質であり、(1,2-PHENYLENEBIS(IMINOCARBONOTHIOYL))BISCARBAMICACIDDIMETHYLESTER等と英文表記される物質である。
即ち、前者のカルベンダジムは、物質名をMBCやカルベンダゾール、メチル2-ベンゾイミダゾリルカルバマート等でもって表示され、英文では、1H-BENZIMIDAZOL-2-YL-CARBAMICACIDMETHYLESTER等で表される物質である。
また、後者のチオファーネート−メチルは、ジメチル4,4´-0-フェニレンビス(3-チオアロファナート)やジメチル4,4´-0-フェニレンビス3-チオアロファナート、メチルチオファネート等と呼ばれる物質であり、(1,2-PHENYLENEBIS(IMINOCARBONOTHIOYL))BISCARBAMICACIDDIMETHYLESTER等と英文表記される物質である。
また、カルベンダジムの化学構造式は下記の通りであり、その分子式はC9H9N3O2、分子量は191、19であり、ベノミルと同様に農薬取締役法ん規制を受ける公知の物質である。
更に、チオファーネート−メチルの化学構造式は下記の通りであり、分子式はC12H14N4O4S2及び分子量は342、4であって、ベノミルと同様に農薬取締法の規制を受ける公知の物質である。
本実施形態で使用したアロマターゼ様酵素機能を有する、チオファーネート−メチル等の各物質は化学的に合成された物質であるが、当該アロマターゼ様酵素機能を有する物質は化学的合成以外の方法、例えば鉱物や植物の構成成分から抽出する方法や動物等から取り出したアロマターゼを微生物培養することにより産生する方法等を用いることも可能である。
また、ベノミルが分解することにより、前述の通りカルベンダジムが生成されるが、この分解生成物であるカルベンダジムはアロマターゼ様酵素機能を有するものであるので、ベノミルを溶解せしめた水溶液(即ち、ベノミルとカルベンダジムと水との混合体)は、当然にアロマターゼ様酵素機能を有することになる。同様に、チオファーネート−メチルは水中で徐々に分解されてカルベンダジムが生成されるため、チオファーネート−メチルを溶解せしめた水溶液は当然にアロマターゼ様酵素機能を有することになる。
即ち、本発明に係る育毛剤の主成分の一つであるベノミル又はチオファーネート−メチルは、水溶中で徐々にカルベダジムに分解し、アロマターゼ様酵素機能を発揮する。また、ベノミルやカルベンダジム等は、エタノール溶液に比較的容易に溶解することが判明している。従って、先ず、エタノール溶液等にベノミル等を溶解させ、次に、このベノミル等の溶解液を水等に混合せしめて、少なくとも2時間以上経過した後、これを頭頂部等へ塗布若しくは散布するのが、アロマターゼ様酵素機能の有効利用等の点から望ましい。
また、育毛剤中のベノミルの濃度は、4段階の濃度の育毛剤を用いて予備的な臨床テストをした結果から、2×10-5〜2×10-6wt%(5万倍から50万倍の倍液)にするのがよいことが、判明した。即ち、5万倍の溶液とした場合には、安定した発毛効果(6ケ月後)があったが、時々軽い掻痒の発現があった。50万倍(6ケ月後)及び25万倍溶液(3ケ月後)でも、弱いながら発毛効果が見られた。最も効果の高かったのが10万倍溶液の場合で、高い発毛効果が見られた。
更に、本発明の育毛剤では、約5gの精製水に所定量のベノミル溶解液を使用の2〜120時間前に混合し、この混合した水溶液を頭部へ塗布するだけで良く、他の薬剤や化粧料は一切使用しなくとも充分育毛効果を発揮する。勿論、ヘアーシャンプーは、皮膚常在菌を温存するものであれば使用可能である。
次に、アロマターゼ様酵素機能を有する物質としてベノミルを用いた育毛剤の製造方法について説明をする。
先ず50gのエタノールにベノミル20mgを加え、温度80〜95℃で1〜2分間常圧下で加熱することにより、両者の完全溶解液をつくる。
次に、5gの精製水に、希釈倍数に応じて所定量の上記ベノミル溶解液を加えて攪拌し、育毛剤とする。
次に、5gの精製水に、希釈倍数に応じて所定量の上記ベノミル溶解液を加えて攪拌し、育毛剤とする。
尚、精製水とベノミル溶解液との混合は、ベノミルの分解生成物であるカルベンダジムの形成等の点から、育毛剤を使用する少なくとも2時間前に完了するのが望ましい。一般的には、適宜量のベノミル溶解液と精製水との混合物(3〜5日分)を予め作り置きして、約5cc位づつを1回分として使用する。
また、溶媒は、皮膚刺激等の副作用の無い安全なものであれば、エタノール以外の溶剤であっても良い。
また、溶媒は、皮膚刺激等の副作用の無い安全なものであれば、エタノール以外の溶剤であっても良い。
更に、ベノミルの1日の許容摂取量(ADI)の勧告値は、0.02mg/kg体重(体重60kg換算で1.2mg・アメリカ)から0.01mg/kg体重(体重60kg換算で0.6mg・オランダ)の間である。従って、前記10万倍液を一日3回使用した場合には、1回の使用量を約5000mg(5cc)とすると、ベノミル量は0.05mg×3回=0.15mg/日となり、前記勧告値(0.6mg〜1.2mg)を越えることは無い。尚、カルベンダジムの許容摂取量(ADI)は0.01mg/kg体重/日と決められており、ベノミルよりも厳しい規制となっている。
スクワランオイル5gとモイスチャーベース5gを混合し、湯煎攪拌する。次に、これに80gの湯を加え、再度攪拌する。その後この混合攪拌物を約35℃に冷まし、ヒアルロン酸5gとセラミド5gを加えて前記実施例1の水(精製水)に代る溶液を作る。
使用に際しては、前記水に代る溶液を5g小分けし、これにベノミルの希釈倍数に応じて実施例1の場合と同量のベノミル溶解液を攪拌混合し、使用に供する。
使用に際しては、前記水に代る溶液を5g小分けし、これにベノミルの希釈倍数に応じて実施例1の場合と同量のベノミル溶解液を攪拌混合し、使用に供する。
実施例1の育毛料に、使用直前に外用合成副腎皮質ホルモン剤例えばプロピオン酸クロベタゾール水溶液(商品名デルモベートスカルプ)を0.3mg加え、これを頭頂部へ塗布する。
65才(試験開始時は64才)の健康な男性を被験者として、実施例1の50万倍希釈の育毛剤を2006年6月25日から2006年12月23日まで(約6ヶ月間)、また、25万倍希釈の育毛剤を2006年12月24日から2007年3月8日まで(約3ヶ月間)、更に、10万倍希釈の育毛剤を2007年3月9日から2007年6月8日まで(約3ヶ月間)、夫々1日2回(8:00、19:00)、各回約5g宛を頭部の全域に可能な限り均一に散布した。
そして、頭髪の変化状況を観察した。
そして、頭髪の変化状況を観察した。
図4のAは2002年6月6日(試験前)の状況を、図4のBは2004年11月23日(試験前)の状況を、図4のCは2006年12月23日(試験開始日から6ケ月後)の状況を、図4のDは2007年3月8日(約3ヵ月後)の状況を、図4のEは2007年6月8日(約3ヵ月後)の状況を夫々示すものである。
図4のAと図4のBとの対比から、試験者のAGA(脱毛)の進行状況(脱毛の程度とその早さ)がある程度把握できる。
また、図4のC、図4のD及び図4のEの対比から、AGAの進行が止まると共に、逆に毛髪数の増加や毛髪の太さが大きくなっていることが判り、本願発明に係る育毛剤の顕著な効用を認めることが出来る。
また、図4のC、図4のD及び図4のEの対比から、AGAの進行が止まると共に、逆に毛髪数の増加や毛髪の太さが大きくなっていることが判り、本願発明に係る育毛剤の顕著な効用を認めることが出来る。
実施例4の被験者について、育毛テスト開始直後の2006年6月28日と、育毛テスト開始日から約12ケ月後の2007年6月20日に、夫々前頭部、頭頂部及び側頭部の3ケ所に於ける毛髪数の係数比較を行った。その結果は下表の通りであった。尚、使用した育毛剤及び使用量は実施例4の場合と同一である。
被験者は、年齢が高く(65歳)て白髪化が進んでおり、添付写真から育毛状況を確認するのは難しいが、上記表2に示したように約12ケ月に亘る試験(希釈倍数10万倍〜50万倍の育毛剤を使用)において高い育毛実績を得ている。
AGA(男性型脱毛)における発毛のプロセスは、脱毛のプロセスを逆に辿るようであり、先ず、本試験者の場合には、白髪化した産毛がはっきりとその存在が視認できる細毛に成長し、次に細毛が徐々に太毛化する。白髪の場合は、太毛化の過程で少しずつ黒毛化が進み、脱毛又は薄毛の領域が縮小して行くことが、観察によって明らかになった。
AGA(男性型脱毛)における発毛のプロセスは、脱毛のプロセスを逆に辿るようであり、先ず、本試験者の場合には、白髪化した産毛がはっきりとその存在が視認できる細毛に成長し、次に細毛が徐々に太毛化する。白髪の場合は、太毛化の過程で少しずつ黒毛化が進み、脱毛又は薄毛の領域が縮小して行くことが、観察によって明らかになった。
本発明は、人間のあらゆるAGAに対して適用できる。
1 免疫系の異常
2 遺伝的体質
3 慢性疾患
4 血行障害
5 真皮組織退縮
6 皮下組織退縮
7 アロマターゼ減少
8 男性ホルモン増加
9 5α還元酵素II型
10 男性ホルモン(ホルモン量の変化なし)
11 5α還元酵素II型の異常活性化
12 DHT増加
13 TGF−β増加
14 毛包上皮細胞死
15 脱毛(AGA発症)
16 アロマターゼ様機能を有する物質の投与
17 男性ホルモンの局所的増加の防止
2 遺伝的体質
3 慢性疾患
4 血行障害
5 真皮組織退縮
6 皮下組織退縮
7 アロマターゼ減少
8 男性ホルモン増加
9 5α還元酵素II型
10 男性ホルモン(ホルモン量の変化なし)
11 5α還元酵素II型の異常活性化
12 DHT増加
13 TGF−β増加
14 毛包上皮細胞死
15 脱毛(AGA発症)
16 アロマターゼ様機能を有する物質の投与
17 男性ホルモンの局所的増加の防止
Claims (10)
- 生体内の男性ホルモンを女性ホルモンに変換するアロマターゼの機能と類似の機能を有する物質を含有することを特徴とする育毛剤。
- アロマターゼの機能と類似の機能を有する物質をベノミルとカルベンダジムとチオファーネート−メチルの何れかとした請求項1に記載の育毛剤。
- アロマターゼの機能と類似の機能を有する物質をベノミルの誘導体とした請求項1に記載の育毛剤。
- アロマターゼの機能と類似の機能を有する物質をベノミルおよびその分解生成物であるカルベンダジム若しくはチオファーネート−メチルおよびその分解生成物であるカルベンダジムとした請求項1に記載の育毛剤。
- 免疫抑制剤、副腎皮質ホルモン剤、抗菌剤、清涼剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤の内の少なくとも一つを含有する請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の育毛剤。
- ベノミル又はカルベンダジム若しくはチオファーネート−メチルを有機溶剤に溶解せしめた溶解液を、溶液に混合して成る請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載の育毛剤。
- 有機溶剤をエタノールとし且つ溶液を精製水とした請求項6に記載の育毛剤。
- 有機溶剤をエタノールとし、また、溶液をスクワランオイルとモイスチャーと湯とヒアルロン酸とセラミドとの混合物から成る溶液とした請求項6に記載の育毛剤。
- ベルミノの含有量を2×10-5wt%から2×10-6wt%とした請求項2、請求項3又は請求項4に記載の育毛剤。
- 頭部へ塗布若しくは散布するようにした請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8又は請求項9に記載の育毛剤。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2007
- 2007-07-06 JP JP2007177944A patent/JP2009013122A/ja active Pending
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