JP2009011142A - 分散電源の単独運転検出システムおよび単独運転検出装置 - Google Patents

分散電源の単独運転検出システムおよび単独運転検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 同期信号ラインや外部同期信号源を用いることなく、複数の分散電源保有設備から配電線に注入する注入電流を同期させる。
【解決手段】 複数の分散電源保有設備20を第1群と第2群との2群に分類し、うなりを生じさせる二つの注入周波数からそれぞれ成る第1組および第2組の注入周波数を用いて、第1群に属する各分散電源保有設備20は第1組の注入周波数の注入電流を注入し、かつ第2組の注入周波数の電圧を計測する。第2群に属する分散電源保有設備20はこれとは逆にする。両群の各分散電源保有設備20は、自設備が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の位相を、当該注入電流が生じさせる自設備うなりの位相に対して同一群内で共通した一定の位相関係に保つと共に、当該自設備うなりを、他群に属する分散電源保有設備20が注入する注入電流の総体が生じさせる他群うなりに同期させる同期制御装置をそれぞれ備えている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、上位系統に変電所を介して配電線が接続された配電系統の配電線に、分散電源を有する複数の分散電源保有設備が接続された構成のシステムであって、各分散電源の単独運転を検出するように構成された単独運転検出システムに関する。更に、当該単独運転検出システムの一員となる後続の分散電源保有設備内の分散電源の単独運転を検出する単独運転検出装置に関する。
配電線で、例えば高圧と低圧間の混触事故を含む地絡事故が発生すると、変電所では、これを検出して変電所内の遮断器を開放する。
この配電線に、分散電源を有する分散電源保有設備が接続されていると、上記遮断器の開放によって分散電源が単独運転になる。この単独運転が継続すると、分散電源から電力が供給され続けるために、上記混触事故を含む地絡事故が継続してしまう可能性がある。従って、分散電源の単独運転を速やかに検出する必要がある。
特に、家庭用太陽光発電設備や燃料電池設備等の低圧連系で逆潮流有り(即ち、分散電源から系統側へ向かう有効電力の流れ有り)の分散電源が配電線に多数接続されていると、上記地絡事故が継続してしまう可能性が高くなる。
そこで、分散電源の単独運転を防止するために、非特許文献1にも記載されているように、各分散電源保有設備には、自設備内の分散電源の単独運転検出機能を有する装置(即ち、単独運転検出装置)を設ける必要がある。非特許文献1には、単独運転検出機能として、様々な方式が記載されている。
なお、分散電源保有設備は、例えば、分散電源を有する発電設備、家庭、スーパーマーケット、工場、その他の設備である。
単独運転検出装置の一例として、分散電源保有設備と配電線とを接続する引込線を通して配電線に、当該配電系統の基本波周波数とは異なる周波数である注入周波数の注入電流を注入する電流注入装置と、引込線における注入周波数の電圧を計測して、当該電圧の増大から、当該分散電源保有設備内の分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転監視装置とを備える単独運転検出装置が考えられる。
その場合、同一の配電線に接続された複数の分散電源保有設備の電流注入装置からそれぞれ注入する注入電流の間で同期を取る必要がある。
同期を取れば、各注入電流が合成されるので、各注入電流が小さくても、複数の注入電流が集まって大きな注入電流となり、それによって、注入電流が発生させる注入周波数の電圧も大きくなり、当該電圧を用いての単独運転検出の感度、精度、信頼性等が高まる。
同期を取らないと、複数の注入電流がうまく合成されないだけでなく、複数の注入電流がそれぞれ干渉して打ち消すように働くので(例えば、位相が180度異なる注入電流同士は打ち消されて0になる)、単独運転を検出することが困難になる。
複数の注入電流の同期を取る技術の一つとして、特許文献1には、同期信号ラインを特別に設けてそれを用いる技術が記載されている。なお、特許文献1には、上記注入電流は外乱信号として記載されている。
しかし、同期信号ラインを用いる技術には、特許文献1にも記載されているように、(a)同期信号ラインの敷設が非常に困難である、(b)同期信号ラインの断線の危険性がある、という課題がある。
そこで、複数の注入電流の同期を取る技術の他のものとして、特許文献1には、単独運転検出装置以外の外部同期信号源からの外部同期信号を受信する外部同期信号受信手段を備えていて、当該外部同期信号を共通の同期信号として用いる技術が記載されている。外部同期信号は、例えば電波時計用標準電波信号、GPS信号等である。
「分散型電源系統連系技術指針(電気技術指針分散型電源系統連系編)」、JEAG 9701−2001、社団法人日本電気協会 分散型電源系統連系専門部会、平成14年4月15日第3版第2刷発行、38−45頁 特開2006−262557号公報(段落0016、0017、0021、0029、図1)
上記特許文献1に記載されている外部同期信号を用いる技術には、外部同期信号源が必要であるという課題がある。この外部同期信号源は、元々は単独運転検出装置とは関係のない信号源であり、そのような信号源を用いることは、単独運転検出の信頼性、装置の小型化・経済性を維持する観点から好ましいものではない。例えば、屋外や電波雑音の多い所で受信ができなかったり、送信が中止されたりする可能性がある。また、受信不良対策として受信アンテナを別置すると装置の小型化・経済性を損なう。
そこでこの発明は、上記のような同期信号ラインや外部同期信号源を用いることなく、複数の分散電源保有設備から配電線に注入する注入電流を同期させることができるようにした単独運転検出システムを提供することを一つの目的としている。
また、上記単独運転検出システムの一員となる後続の分散電源保有設備内の分散電源の単独運転を検出する単独運転検出装置であって、上記のような同期信号ラインや外部同期信号源を用いることなく、電流注入装置から配電線に注入する注入電流を、同一の群に属する分散電源保有設備の電流注入装置が注入する同一周波数の注入電流に同期させることができるようにした単独運転検出装置を提供することを他の目的としている。
この発明に係る単独運転検出システムは、上位系統に変電所を介して配電線が接続された配電系統の配電線に、分散電源を有する複数の分散電源保有設備が接続されており、かつ各分散電源保有設備は、当該分散電源保有設備と前記配電線とを接続する引込線を通して前記配電線に、当該配電系統の基本波周波数とは異なる周波数である注入周波数の注入電流を注入する電流注入装置と、前記引込線における注入周波数の電圧を計測して、当該電圧の増大から、当該分散電源保有設備内の分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転監視装置とを備えている構成の単独運転検出システムにおいて、(a)前記複数の分散電源保有設備を第1群と第2群との2群に分類し、(b)うなりを生じさせる二つの注入周波数からそれぞれ成る2組の注入周波数であって、各組を成す二つの注入周波数間の周波数差は両組で互いに同じであり、かつ両組を構成する四つの注入周波数はそれぞれ異なる第1組および第2組の注入周波数を用いて、(c)第1群に属する各分散電源保有設備の電流注入装置は第1組の注入周波数が設定されて当該注入周波数の電流組を含む注入電流を注入し、同分散電源保有設備の単独運転監視装置は第2組の注入周波数の内の少なくとも一方の注入周波数が設定されて当該注入周波数の電圧を計測して前記単独運転を検出するよう構成されており、(d)第2群に属する各分散電源保有設備の電流注入装置は第2組の注入周波数が設定されて当該注入周波数の電流組を含む注入電流を注入し、同分散電源保有設備の単独運転監視装置は第1組の注入周波数の内の少なくとも一方の注入周波数が設定されて当該注入周波数の電圧を計測して前記単独運転を検出するよう構成されており、(e)かつ両群の各分散電源保有設備は、自設備が属する方の群を自群、自設備が属さない方の群を他群と呼ぶと、自設備の電流注入装置が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の位相を、当該注入電流が生じさせるうなりである自設備うなりの位相に対して同一群内で共通した一定の位相関係に保つと共に、当該自設備うなりを、他群に属する分散電源保有設備の電流注入装置が注入する注入電流の総体が生じさせる電圧のうなりである他群うなりに同期させる同期制御装置をそれぞれ備えている、ことを特徴としている。
この単独運転検出システムは、要約して言えば、自群内の同一周波数の注入電流をそれぞれ同期させることに、自設備の注入電流が生じさせるうなりと、他群の注入電流が生じさせるうなりとを同期させることを利用するものである。即ち、同期制御装置は、(ア)自設備の電流注入装置が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の位相を、当該注入電流が生じさせるうなりである自設備うなりの位相に対して同一群内で共通した一定の位相関係に保つと共に、(イ)当該自設備うなりを、他群に属する分散電源保有設備の電流注入装置が注入する注入電流の総体が生じさせる電圧のうなりである他群うなりに同期させる。
上記(ア)および(イ)の結果、自群内の同一周波数の注入電流は、それぞれ同期する。従って、従来のような同期信号ラインや外部同期信号源を用いなくて済む。
前記同期制御装置は、(a)前記引込線における電圧に含まれている電圧であって、他群に属する分散電源保有設備の電流注入装置の注入周波数の電圧を計測して、当該電圧に基づいて前記他群うなりの位相を算出する他群うなり位相算出手段と、(b)自設備の電流注入装置が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の位相が、前記自設備うなりの位相に対して同一群内で共通した一定の位相関係になるように、当該電流組の各電流の位相をそれぞれ設定する電流位相設定手段と、(c)前記自設備うなりの位相と前記他群うなりの位相との位相差を求めて、当該位相差が同一群内で共通した一定値になるように、自設備の電流注入装置が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の位相を、両位相の変化量間の比率を両電流の前記設定された周波数間の比率と同じ比率に保ったまま変化させて、前記自設備うなりを前記他群うなりに同期させるうなり同期手段とを備えているものでも良い。
前記同期制御装置は、(a)前記引込線における電圧に含まれている電圧であって、他群に属する分散電源保有設備の電流注入装置の注入周波数の電圧を計測して、当該電圧に基づいて前記他群うなりの位相を算出する他群うなり位相算出手段と、(b)自設備の電流注入装置が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の位相が、前記自設備うなりの位相に対して同一群内で共通した一定の位相関係になるように、当該電流組の各電流の位相をそれぞれ設定する電流位相設定手段と、(c)前記自設備うなりの位相と前記他群うなりの位相との位相差を求めて、当該位相差が同一群内で共通した一定値になるように、当該位相差に応じて、自設備の電流注入装置が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の周波数を、両周波数間の比率を前記設定された周波数間の比率に保ったまま増減させて、前記自設備うなりを前記他群うなりに同期させるうなり同期手段とを備えているものでも良い。
(1)前記同期制御装置は、(a)前記引込線における電圧に含まれている電圧であって、他群に属する分散電源保有設備の電流注入装置の注入周波数の電圧を計測して、当該電圧に基づいて前記他群うなりの位相を算出する他群うなり位相算出手段と、(b)時刻tを表す信号を発生するクロック手段と、(c)下記のうなり位相差に応じたものであって、当該うなり位相差を同一群内で共通した一定値にする位相一致時刻Te(t)((t)は時間的に変動する物理量であることを示す。以下同様)を発生する位相一致時刻発生手段と、(d)同一群内で共通の固定された位相である一致位相θe を設定する一致位相設定手段と、(e)自設備の組を成す前記設定された二つの注入周波数を角周波数で表してωa 、ωb とすると、前記時刻t、位相一致時刻Te(t)および一致位相θe を用いて、数1またはそれと数学的に等価の式で表される二つの位相θa(t)、θb(t)を発生する位相発生手段と、(f)前記二つの位相θa(t)、θb(t)間の位相差を求めて前記自設備うなりの位相を算出する自設備うなり位相算出手段と、(g)前記自設備うなりの位相と前記他群うなりの位相との位相差であるうなり位相差を算出するうなり位相差算出手段とを備えており、(2)前記電流注入装置は、(a)前記二つの位相θa(t)、θb(t)を用いて、当該位相θa(t)、θb(t)をそれぞれ有する二つの正弦波交流信号を含む注入信号を発生する注入信号発生手段と、(b)前記注入信号を用いて前記注入電流を形成する注入電流形成手段とを備えている、という構成を採用しても良い。
[数1]
θa(t)=ωa(t−Te(t))+θe
θb(t)=ωb(t−Te(t))+θe
この発明に係る単独運転検出装置は、前記分散電源の単独運転検出システムを備えている前記配電系統の配電線に接続されて、前記第1群および第2群の分散電源保有設備の内の一方の群の一員となる後続の分散電源保有設備内の分散電源の単独運転を検出する装置であって、(a)前記第1組および第2組の内の一方の組の注入周波数が設定されて当該周波数の電流組を含む注入電流を、前記後続の分散電源保有設備と前記配電線とを接続する引込線を通して前記配電線に注入する電流注入装置と、(b)前記後続の分散電源保有設備用の前記引込線における電圧であって、前記第1組および第2組の内の他方の組の注入周波数を構成している少なくとも一方の注入周波数が設定されて当該周波数の電圧を計測して、当該電圧の増大から、前記後続の分散電源保有設備内の分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転監視装置と、(c)前記後続の分散電源保有設備を自設備と呼び、当該自設備が一員となる方の分散電源保有設備の群を自群、当該自設備が一員とならない方の分散電源保有設備の群を他群と呼ぶと、自設備用の前記電流注入装置が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の位相を、当該注入電流が生じさせるうなりである自設備うなりの位相に対して同一群内で共通した一定の位相関係に保つと共に、当該自設備うなりを、他群に属する分散電源保有設備の電流注入装置が注入する注入電流の総体が生じさせる電圧のうなりである他群うなりに同期させる同期制御装置とを備えていることを特徴としている。
この単独運転検出装置において、前記電流注入装置に前記第1組の注入周波数が設定され、前記単独運転監視装置に前記第2組の注入周波数を構成している少なくとも一方の注入周波数が設定されている場合は、前記後続の分散電源保有設備は第1群の分散電源保有設備の一員となる。反対に、前記電流注入装置に前記第2組の注入周波数が設定され、前記単独運転監視装置に前記第1組の注入周波数を構成している少なくとも一方の注入周波数が設定されている場合は、前記後続の分散電源保有設備は第2群の分散電源保有設備の一員となる。
この発明に係る単独運転検出装置を構成する同期制御装置には、前記単独運転検出システムの各分散電源保有設備が備えている同期制御装置の前記構成と実質的に同じ構成を採用しても良い。
この発明に係る単独運転検出システムによれば、自設備の注入電流が生じさせるうなりと、他群の注入電流が生じさせるうなりとを同期させることを利用して、同一の群に属する複数の分散電源保有設備から配電線に注入する同一周波数の複数の注入電流をそれぞれ同期させることができる。従って、従来のような同期信号ラインや外部同期信号源を用いなくて済む。
請求項4に記載の発明によれば、次の更なる効果を奏する。即ち、電流位相設定手段は、自設備うなりの位相が0度になるときの上記電流組の各電流の位相を0度に設定するものであり、0度に設定する場合は0度以外に設定する場合と違って、特別な設定手段を設けなくて済むので構成を簡素化することができる。
請求項6に記載の発明によれば、次の更なる効果を奏する。即ち、一致位相設定手段は、自設備うなりの位相が0度になるときの上記一致位相を0度に設定するものであり、0度に設定する場合は0度以外に設定する場合と違って、特別な設定手段を設けなくて済むので構成を簡素化することができる。
請求項7に記載の発明によれば、次の更なる効果を奏する。即ち、配電系統に本来は存在しない(存在しても極めて僅かな)、基本波周波数の非整数倍の周波数を用いるので、注入電流による電圧を計測することが容易になる。即ち、SN比が良くなる。その結果、各電流注入装置の小容量化を図ることができる。
請求項8に記載の発明によれば、次の更なる効果を奏する。即ち、複数の分散電源保有設備を上記のように第1群、第2群に属させることによって、注入電流に含まれる同一周波数かつ同一位相の電流が、3相配電線の三つの線間において電流注入装置を通して循環電流として流れるのを防止することができる。仮に注入電流に含まれる電流がこのような循環電流として流れると、当該電流による電圧が線間に発生しなくなり、単独運転検出が困難になるけれども、これを防止することができる。
この発明に係る単独運転検出装置によれば、自設備用の電流注入装置が注入する注入電流が生じさせるうなりと、他群の注入電流が生じさせるうなりとを同期させることを利用して、自設備用の電流注入装置から配電線に注入する注入電流を、同一の群に属する分散電源保有設備の電流注入装置が注入する同一周波数の注入電流に同期させることができる。従って、従来のような同期信号ラインや外部同期信号源を用いなくて済む。
(1)単独運転検出システム全体について
図1は、この発明に係る分散電源の単独運転検出システムを備える配電系統の一例を示す単線接続図である。
この配電系統は、上位系統2に変電所4を介して3相の配電線10が接続された構成をしている。変電所4は、変圧器6と、その2次側と配電線10とを接続する遮断器8とを備えている。配電線10の電圧は、例えば6.6kVであるが、これに限られるものではない。
配電線10には、負荷12が接続されている。この負荷12は、多数の負荷をまとめて図示したものである。
配電線10には、この例では変圧器14およびその2次側に接続された引込線16を介して、分散電源を有する複数の分散電源保有設備20が接続されている。より具体例を挙げると、逆潮流有りの契約をしている低圧連系の分散電源保有設備20が多数高い密度で接続されている。各変圧器14は、例えば、6600V/210Vの柱上変圧器である。一つの変圧器14に複数の分散電源保有設備20が接続されていても良い。
各分散電源保有設備20の構成の一例を図2に示す。分散電源保有設備20は、太陽電池、燃料電池等の直流電源から成る分散電源26と、それからの直流電力を交流電力に変換するインバータ(逆変換装置)および系統連系用保護装置を含むパワーコンディショナ24と、それと引込線16との間に設けられたスイッチ22と、引込線16を通して配電線10に、当該配電系統の基本波周波数とは異なる周波数である注入周波数の注入電流を注入する電流注入装置40と、引込線16における注入周波数の電圧を計測して、当該電圧の増大から、当該分散電源保有設備内の分散電源26が単独運転になったことを検出する単独運転監視装置30と、うなりの同期制御を行う同期制御装置50とを備えている。各装置30、40、50の詳細は後述する。
引込線16と、単独運転監視装置30および同期制御装置50との間に、必要に応じて、計器用変圧器を設けても良い。
この単独運転検出システムでは、複数の分散電源保有設備20を第1群と第2群との2群に分類する。但し、第1群を構成する複数の分散電源保有設備20と、第2群を構成する複数の分散電源保有設備20とは、図1では図示の都合上、互いに各群ごとに集まっているように図示しているが、そのように集まらずに混在していても良い。
第1群および第2群を構成する分散電源保有設備20の数は、それぞれ、少なくとも2台ずつ以上あれば良い。単独運転検出システムを構築した後に、第1群および/または第2群を構成する分散電源保有設備20の数を変更(増加または減少)しても良い。
そしてこの単独運転検出システムは、数2、表1にも示すように、うなりを生じさせる二つの注入周波数からそれぞれ成る2組の注入周波数であって、各組を成す二つの注入周波数間の周波数差Δfは両組で互いに同じであり、かつ両組を構成する四つの注入周波数f11、f12、f21、f22はそれぞれ異なる第1組および第2組の注入周波数を用いる。
この四つの周波数f11、f12、f21、f22は、いずれも、配電系統の基本波周波数とは異なる周波数にする。当該基本波周波数と区別(分離)を容易にするためである。各組を成す周波数は、うなりを生じさせる程度に互いに近い周波数にする。周波数差Δfは、うなりの周波数でもある。
なお、この明細書および図面では、符号に添字11を有する物理量(周波数等)と添字12を有する物理量とが第1組を示し、添字21を有する物理量と添字22を有する物理量とが第2組を示している。
[数2]
|f11−f12|=|f21−f22|=Δf
11≠f12≠f21≠f22
Figure 2009011142
第1群に属する各分散電源保有設備20の電流注入装置40は、上記第1組の注入周波数が設定されて当該注入周波数の電流組を含む注入電流Iinj を注入し、同分散電源保有設備20の単独運転監視装置30は、上記第2組の注入周波数が設定されて当該注入周波数の電圧を計測して前記単独運転を検出するよう構成されている。
第2群に属する各分散電源保有設備20の電流注入装置40は、上記第2組の注入周波数が設定されて当該注入周波数の電流組を含む注入電流Iinj を注入し、同分散電源保有設備20の単独運転監視装置30は、上記第1組の注入周波数が設定されて当該注入周波数の電圧を計測して前記単独運転を検出するよう構成されている。
なお、この実施形態では、単独運転検出の確実性をより高めるために、各単独運転監視装置30は、それぞれの組を成す二つの注入周波数が設定されて両注入周波数の電圧を計測して単独運転を検出するように構成されているが、いずれか一方の注入周波数が設定されて当該注入周波数の電圧を計測して単独運転を検出するように構成されていても良い。
上記四つの周波数f11、f12、f21、f22を、それらと一定の関係(即ち、ω=2πfの関係)にある四つの角周波数ω11、ω12、ω21、ω22で表しても良いし、配電系統の基本波に対する四つの次数で表しても良い。
上記第1組および第2組の注入周波数を構成する各注入周波数は、いずれも、配電系統の基本波周波数の1倍よりも大きい非整数倍(即ち帯小数倍)の周波数にするのが好ましい。そのようにすると、配電系統に本来は存在しない(存在しても極めて僅かな)、基本波周波数の非整数倍の周波数を用いることになるので、注入電流による電圧を計測することが容易になる。即ち、SN比が良くなる。その結果、各電流注入装置40の小容量化を図ることができる。
例えば、上記四つの周波数f11、f12、f21、f22は、それぞれ、132Hz(2.2次)、144Hz(2.4次)、156Hz(2.6次)、168Hz(2.8次)である。括弧内は、配電系統の基本波(例えば60Hz=1次)に対する次数で表したものである。以下における実施形態では、全て、ここに例示した周波数を用いている。但しこれに限られるものではない。
(2)うなりの利用について
注入電流の周波数および計測電圧の周波数を表1に示したように分ける理由は次のとおりである。
(A)仮に、全ての分散電源保有設備20の電流注入装置40および単独運転監視装置30が同じ一つの注入周波数を用いるとすると、一つの分散電源保有設備20において、単独運転監視装置30が計測する注入周波数の電圧Vm は、殆どが、自設備20が注入する注入電流I1 による電圧V1 となり、他の分散電源保有設備20が注入する注入電流I2 による電圧V2 を監視することはできない。なぜなら、配電線10の系統のインピーダンスをZs 、変圧器14のインピーダンスをZt とすると、上記電圧V1 、V2 は次式で表される。Σは合計を表す。そして一般的にZt ≫Zs であるために、V1 ≫V2 となり、互いに同じ周波数である電圧V2 は、遥かに大きい電圧V1 にかき消されて監視することができなくなるからである。
[数3]
1 =(Zs +Zt )×I1
2 =Zs ×ΣI2
従って、全ての分散電源保有設備20が一つの注入周波数を用いる場合は、他の分散電源保有設備20が注入する注入電流による電圧を監視すること、ひいては当該電圧の位相を計測することはできないので、複数の注入電流の同期を取ることはできない。
(B)また仮に、第1群の分散電源保有設備20は一つの(第1の)注入周波数f1 を用い、第2群の分散電源保有設備20は他の一つの(第2の)注入周波数f2 (≠f1 )を用いるとすると、一方の群内の分散電源保有設備20は、周波数が異なるので、他方の群内の分散電源保有設備20が注入する注入電流による電圧を監視することはできるけれども、当該他群の注入電流による電圧と自設備20の注入電流とは周波数が異なるので、他群の注入電流による電圧に自設備20の注入電流を同期させることはできない。
即ち、他群の注入電流による電圧を基準にして、自群内の複数の注入電流をそれぞれ同期させることができない。これは、例えば他群の注入電流による電圧のピーク値の時刻を基準にして自群内の複数の注入電流をそれぞれ同期させようとしても、当該ピーク値の時刻は多数あって一つの時刻に定まらないので、自群内の複数の注入電流はそれぞれバラバラに注入されることになるからである。
(C)これに対して、表1に示したようにすると、一方の群内の分散電源保有設備20は、周波数が異なるので、他方の群内の分散電源保有設備20が注入する注入電流による電圧を監視することができる。しかも、上記数2に示したように、一方の群内の分散電源保有設備20からの注入電流が生じさせるうなりと、他方の群内の分散電源保有設備20からの注入電流が生じさせるうなりとは、互いに同じ周波数Δfであるので、両うなり同士で同期を取ることが可能である。本発明に係る分散電源の単独運転検出システムは、これを利用するものである。これを以下に更に説明する。
なお、この明細書においては、自設備(自分の設備)20が属する方の群を自群、自設備20が属さない方の群を他群と呼ぶ。また、自設備20が注入する注入電流が生じさせるうなりを自設備うなり、他群に属する分散電源保有設備20が注入する注入電流の総体が生じさせる電圧または電流のうなりを他群うなりと呼ぶ。
図3に、第1組の各電流I11a 、I12a の波形およびそれらの合成電流IC1a(=I11a +I12a )の波形の一例を示す。合成電流IC1aには、包絡線で示すうなりBT1aが生じる。
図4に、第1組の各電流I11b 、I12b の波形およびそれらの合成電流IC1b(=I11b +I12b )の波形の他の例を示す。この電流I11b と図3に示す電流I11a とは、周波数は同じであるが位相が180度異なる。電流I12b と電流I12a との関係も同様である。これは、最も位相差が大きい場合の例を示すものである。
合成電流IC1bには、包絡線で示すうなりBT1bが生じる。このうなりBT1bと図3に示すうなりBT1aとは互いに同期しているけれども、注意して見れば分かるように、この合成電流IC1bと図3に示す合成電流IC1aとは位相が180度異なる。これは、上記電流I11a 、I12a の組と、電流I11b 、I12b の組(これらを成分電流と呼ぶことがある)との間の上記位相差に起因している。このような位相が180度異なる二つの合成電流IC1a、IC1bを互いに合成(加算)すると、その合成電流は0になって消滅してしまう。
上記例から分かるように、成分電流の位相差が180度のように極端でないとしても、二つのうなりが互いに同期していても、その同じ周波数の成分電流同士間に位相差がある場合があり、その場合は、各電流を合成しても同じ周波数の成分電流同士は単純加算されないことになる。
つまり、自群内の複数の分散電源保有設備20から注入する同じ周波数の複数の電流が、位相差が実質的に0度で同期して単純加算されるためには、次の2条件を満たす必要がある。
条件1:自設備うなりと他群うなりとが同期していること。例えば、自設備うなりの位相と他群うなりの位相との位相差が0度であること。
条件2:自設備20が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の位相が、自設備うなりに対して同一群内で共通した一定の位相関係にあること。例えば、自設備うなりの腹のときの時刻(即ち、自設備うなりの位相が0度のとき)に、上記電流組の各電流の位相が同一群内で共通した一定の位相(例えば0度)にあること。この同一群内で共通した一定の位相とは、後で説明する一致位相θe のことである。
同一群内というのは、換言すれば、即ちある(任意の)分散電源保有設備20から見て表現すれば、自群内のことである。
図2に示した同期制御装置50は、上記二つの条件を満たす制御を行うものである。即ち、同期制御装置50は、自設備20の電流注入装置40が注入する注入電流Iinj を構成する電流組の各電流の位相を、当該注入電流が生じさせる自設備うなりの位相に対して同一群内で共通した一定の位相関係に保つと共に、当該自設備うなりを、他群に属する分散電源保有設備20の電流注入装置40が注入する注入電流Iinj の総体が生じさせる電圧のうなりである他群うなりに同期させる制御を行う。
この同期制御装置50による制御の原理の詳細および同期制御装置50の構成の例は後で詳述する。
図5は、自設備うなりBT1 が他群うなりBT2 に同期していない場合の一例を示す。両うなり間には位相差dθがある。それだけ自設備うなりBT1 が遅れている。
図6は、同期制御装置50によって、自設備うなりBT1 を他群うなりBT2 に同期させた場合の一例を示す。時刻t3 で両うなりが一致して同期し、それ以降は同期状態を保っている。同期制御装置50は、このようなうなりの同期制御(前記条件1を満たす制御)を行うことができる。更にこの同期制御装置50によれば、この同期状態において、前記条件2を満たすことができる。
従って、本発明に係る単独運転検出システムによれば、自設備20の注入電流Iinj が生じさせるうなりと、他群の注入電流Iinj が生じさせるうなりとを同期させることを利用して、同一の群に属する複数の分散電源保有設備20から配電線10に注入する同一周波数の複数の注入電流を、位相差が実質的に0度でそれぞれ同期させることができる。従って、従来のような同期信号ラインや外部同期信号源を用いなくて済む。
しかも、上記のように複数の注入電流を同期させることによって、個々の分散電源保有設備20の電流注入装置40から注入する注入電流が小さくても、それらの電流が加算されるので、同一群全体として見れば、それから大きな注入電流を引込線16ひいては配電線10に注入することができる。その結果、各分散電源保有設備20を構成する電流注入装置40の容量が小さくて済む。しかも、大きな注入電流によって、配電線10に注入周波数の大きな電圧を発生させることが可能になるので、各単独運転監視装置30による単独運転検出の精度を高めることができる。この効果は、同一群に属する分散電源保有設備20の数が多くなるほど高まる。即ち、分散電源保有設備20が配電線10に高密度連系されている場合に、より大きな効果を発揮する。
(3)同期制御装置50による制御の原理の詳細説明
図11〜図13に、同期制御装置50の構成の例をそれぞれ示す。それの説明に先立って、同期制御装置50による制御の原理を詳細に説明する。以下の説明では、第1組の周波数の電流等を例にしているが、第2組の周波数の電流等についても同じである。
なお、これ以降の説明においては、時間的に変化する(即ち時間tによって変化する)物理量であることを表す必要がある場合に、それを表す(t)を各符号に付けることにする。但し、図面中の符号においては、図示を簡略化するために、当該(t)や、ベクトル量であることを表す符号を省略している。
(3−1)二つの電流位相θ11(t)、θ12(t)の位相一致時刻Te と一致位相θe による表現
まず、第1組の電流I11(t)、I12(t)の位相θ11(t)、θ12(t)とΔθinj(t)(=θ12(t)−θ11(t)。これを自設備うなりの位相と呼ぶ)の関係について考察する。
第1組の電流I11(t)、I12(t)をベクトル量で表すと次式となる。ここでω11、ω12は、前記設定された周波数f11、f12を角周波数ω11(=2πf11)、ω12(=2πf12)で表したものであって、これらは時間的には変化しない固定値である。
Figure 2009011142
Figure 2009011142
初期位相は、φ1 、φ2 を用いるのが一般的であるが(数4、数5の左から3番目の式)、ここでは位相θ11(t)、θ12(t)の自設備うなり位相Δθinj(t)に対する関係を明らかにするため、電流I11(t)、I12(t)(共にベクトル量。以下同様)の初期位相φ1 、φ2 を共通の時刻(時刻遅れまたは進み)Te と共通の位相θe を使用して、表現し直した(数4、数5の一番右の式)。Te 、θe とφ1 、φ2 との関係は次式となる。
[数6]
e =(φ2 −φ1 )/(ω11−ω12
[数7]
θe =(ω11・φ2 −ω12・φ1 )/(ω11−ω12
上記時刻Te 、位相θe を使用して、自設備うなりの位相Δθinj(t)は以下のように表現される。まず、両電流I11(t)、I12(t)の商を取ると次式となる。
Figure 2009011142
従って、上記商の偏角が電流I11(t)とI12(t)との位相差、即ち自設備うなりの位相Δθinj(t)であるから、それは次式となる。また、位相θe は0となり消える。
[数9]
Δθinj(t)=θ12(t)−θ11(t)=(ω12−ω11)(t−Te
数9から、時刻Te 、位相θe の意味は以下のとおりである。
e :Δθinj(t)の位相が0度となる時刻(即ち、電流I11(t)とI12(t)の位相が一致する時刻。従ってこれを、位相一致時刻と呼ぶ)。
θe :Δθinj(t)が0度となる時刻(位相一致時刻)Te での電流I11(t)、I12(t)の位相(即ち、電流I11(t)とI12(t)の位相が一致するときの位相。従ってこれを、一致位相と呼ぶ)。
位相一致時刻Te 、一致位相θe を用いて電流I11(t)、I12(t)を、その合成によるうなりBT1 について考察すると、実は先に示した図3と図4とは、位相一致時刻Te が共通であるのに対して、図3は一致位相θe が0度、図4は一致位相θe が180度の場合をシミュレーションした例である。両図について先に説明したとおり、位相一致時刻Te が共通(互いに一致)していても、一致位相θe が異なると、同じ周波数の電流同士は同期せず単純加算されない。一致位相θe が180度異なれば、加算すると消滅する。
(3−2)自群内の複数の分散電源保有設備20において一致位相θe を共通にしておく理由
自群内の同じ周波数の電流同士の同期について、うなりそのものではなく、第1組の上記各電流の位相θ11(t)、θ12(t)と自設備うなりの位相Δθinj(t)との関係で以下にまとめる。これは、本発明は、うなりだけではなく、そこから更に考察して、うなりを生成する二つの信号(電流や電圧)の位相に着目したものだからである。
上記位相θ11(t)、θ12(t)は、数4、数5、数9から、位相一致時刻Te と一致位相θe 、または、自設備うなりの位相Δθinj(t)と一致位相θe を用いて、次式で表すことができる。
[数10]
θ11(t)=ω11(t−Te )+θe ={ω11/(ω12−ω11)}・Δθinj(t)+θe
[数11]
θ12(t)=ω12(t−Te )+θe ={ω12/(ω12−ω11)}・Δθinj(t)+θe
数10、数11によれば、位相θ11(t)、θ12(t)は、自設備うなりの位相Δθinj(t)との関係において、電流I11(t)、I12(t)の一致位相θe によって分類(グループ分け)できることが分かる。そして、グループが同じ(即ち一致位相θe が同じ)場合にのみ、第1組内の同じ周波数の電流同士は同期(単純加算)されることが分かる。
このことを、シミュレーションを行った図で示す。なお、図7〜図10、図15B、図16B、図17Bの位相を示す図において、位相が360度の点と0度の点とを縦軸に平行に結ぶ縦線が記載されているが、これはシミュレーションソフトの都合によるものであり、位相は360°=0°であるから、当該縦線は無いものと考えるのがより正確である。
図7に、一致位相θe が0度の場合の各電流の位相θ11a(t)、θ12a(t)とその位相差(即ち自設備うなりの位相)Δθinja(t)の一例を示し、図8に、一致位相θe が180度の場合の各電流の位相θ11b(t)、θ12b(t)とその位相差(即ち自設備うなりの位相)Δθinjb(t)の一例を示す。但し両図では、位相一致時刻Te は互いに共通(同じ)としている。
図7、図8に示すように、位相一致時刻Te が同じであれば、一致位相θe が違っても、自設備うなりの位相Δθinj(t)は両図で互いに一致している。即ち同期している。
しかし、図9に示すように、両電流の周波数は互いに同じであるけれども、うなりの位相Δθinj(t)との関係で、一致位相θe が0度の電流の位相θ11a(t)と、一致位相θe が180度の電流の位相θ11b(t)とは互いに一致しない。図示しないけれども、位相θ12a(t)とθ12b(t)とも互いに一致しない。即ち、同じ周波数の電流同士であるけれども同期しない。
これに対して、一致位相θe を自群内で全て共通に(例えば0度に)しておくと、図10に示すように、上記位相θ11a(t)とθ11b(t)とは互いに一致する。図示しないけれども、位相θ12a(t)とθ12b(t)とも互いに一致する。即ち、同じ周波数の電流同士は、位相が0度で同期する。
以上は、同一群内の2台の分散電源保有設備20について説明したが、それ以上の台数の場合も同様である。即ち、同一群内の複数の分散電源保有設備20において一致位相θe を共通にしておくことが重要である。このことは第1群についても言えるし、第2群についても言える。但し、第1群と第2群とで一致位相θe が共通である必要はない。あくまでも同一群内で共通であれば良い。
また、数9から分かるように、位相一致時刻Te を制御することによって、自設備うなりの位相Δθinj(t)を制御することができる。従って、自設備うなりの位相Δθinj(t)を他群うなりの位相Δθm(t)(これの求め方は後述する)に一致させて、自設備うなりと他群うなりとを同期させることができる。
従って、(a)上記のように同一群内で一致位相θe を共通にしておくことを保ちつつ、(b)各分散電源保有設備20において位相一致時刻Te を制御して自設備うなりを他群うなりに同期させることによって、同じ周波数の複数の注入電流を、位相が0度でそれぞれ同期させることができる。従って、従来のような同期信号ラインや外部同期信号源を用いなくて済む。
この発明は、このような思想に基づくものである。
(3−3)うなり同期の過程で注入電流の位相を変化させる場合の説明
自設備うなりの位相Δθinj(t)を、他群うなりの位相Δθm(t)に合わせに行くためには、組を成す電流I11(t)、I12(t)の位相θ11(t)、θ12(t)を、それぞれの前記設定された角周波数ω11、ω12(これらは前述したように時間的に変化するものではなく、設定された固定値である)による一定増加の状態から、一時的に(過渡的に)変化させる必要がある。この変化させる過程での電流I11(t)、I12(t)を考察するために、前記数4、数5をそれぞれ次のように変更する。
Figure 2009011142
Figure 2009011142
但し、位相φ1(t)、φ2(t)は次式で表される。
[数14]
φ1(t)=dθ11(t)+φ1
φ2(t)=dθ12(t)+φ2
上記位相φ1(t)の導出は以下による(位相φ2(t)についても同様)。
位相θ11(t)は、それを変化させる量をdθ11(t)とすると、次式で表すことができる。次式の第2行と第3行との関係から、数14の第1行に示したφ1(t)が導出される。
[数15]
θ11(t)={ω11・t+dθ11(t)}+φ1
=ω11・t+{dθ11(t)+φ1
=ω11・t+φ1(t)
また、位相φ1 、φ2 が上記のように時間的に変化する位相φ1(t)、φ2(t)となったことから、前記位相一致時刻Te 、一致位相θe もここでは同様に時間的に変化するものとして、Te(t)、θe(t)で表す。そうしたのが、前記数12、数13の一番右の式である。
その結果、前記数6は次の数16に、数7は次の数17に、数8は次の数18に、数9は次の数19に、数10は次の数20に、数11は次の数21に、それぞれ変更される。
[数16]
e ={φ2(t)−φ1(t)}/(ω11−ω12
={φ2 −φ1 +dθ12(t)−dθ11(t)}/(ω11−ω12
[数17]
θe(t)={ω11・φ2(t)−ω12・φ1(t)}/(ω11−ω12
={ω11・φ2 −ω12・φ1 +ω11・dθ12(t)−ω12・dθ11(t)}/(ω11−ω12
Figure 2009011142
[数19]
Δθinj(t)=θ12(t)−θ11(t)=(ω12−ω11)(t−Te(t))
[数20]
θ11(t)=ω11(t−Te(t))+θe(t)={ω11/(ω12−ω11)}・Δθinj(t)+θe(t)
[数21]
θ12(t)=ω12(t−Te(t))+θe(t)={ω12/(ω12−ω11)}・Δθinj(t)+θe(t)
(3−4)一致位相θe(t)を固定値に保つことと、位相θ11(t)、θ12(t)の変化量との関係
上記数17から、一致位相θe(t)が固定値(時間的に変化しない)ことの条件を求める。微小な時間Δtが経ったときの一致位相θe(t)の変化量は、数17の第2行目の時間的変動項を用いて、次式で表される。
[数22]
θe(t+Δt)−θe(t)
={ω11・dθ12(t+Δt)−ω12・dθ11(t+Δt)}/(ω11−ω12)−{ω11・dθ12(t)−ω12・dθ11(t)}/(ω11−ω12
={(ω11(dθ12(t+Δt)−dθ12(t))−ω12(dθ11(t+Δt)−dθ11(t))}/(ω11−ω12
上記数22から、一致位相θe(t)が固定値である(変化しない)ための十分条件は次式で表される(次式が成立すれば良い)。
[数23]
{ω11(dθ12(t+Δt)−dθ12(t)}−ω12{dθ11(t+Δt)−dθ11(t)}=0
即ち次式であることが分かる。
[数24]
{dθ11(t+Δt)−dθ11(t)}/{dθ12(t+Δt)−dθ12(t)}=ω11/ω12
ここで、{dθ11(t+Δt)−dθ11(t)}、{dθ12(t+Δt)−dθ12(t)}(これを(ア)とする)は、電流I11(t)、I12(t)の元々設定された角周波数による位相変化量ω11・Δt、ω12・Δt(これを(イ)とする)から、制御のために変化させた部分についての位相変化量である。
従って、上記(ア)、(イ)の位相変化量を互いに加えた、電流I11(t)、I12(t)の時刻tから時刻(t+Δt)までの合計の(全体の)位相変化量をΔθ11、Δθ12とすると、次式となる。
[数25]
Δθ11=ω11・Δt+{dθ11(t+Δt)−dθ11(t)}
[数26]
Δθ12=ω12・Δt+{dθ11(t+Δt)−dθ11(t)}
数24〜数26から、一致位相θe(t)が固定値である(変化しない)十分条件は次式となる。
[数27]
Δθ11/Δθ12=ω11/ω12
以上から、電流I11(t)、I12(t)の位相θ11(t)、θ12(t)を、その位相の変化量Δθ11、Δθ12間の比率を前記設定された角周波数ω11、ω12間の比率と同じ比率に保ったまま変化させることが、前記一致位相θe(t)が固定値θe (時間的に変化しないので(t)を付けていない)となるための十分条件であることが分かる。・・・結論A
逆に、一致位相θe が固定値であれば、電流I11(t)、I12(t)の位相変化量間の比は、前記設定された角周波数ω11、ω12間の比率になることを次に示す。
それらの時刻tから時刻(t+Δt)までの位相変化量をΔθ11、Δθ12とする。上記数20、数21と一致位相θe が固定値であることから、次式が得られる。
[数28]
θ11(t)=ω11・(t−Te(t))+θe
[数29]
θ12(t)=ω12・(t−Te(t))+θe
[数30]
θ11(t+Δt)=ω11・{(t+Δt)−Te(t+Δt)}+θe
[数31]
θ12(t+Δt)=ω12・{(t+Δt)−Te(t+Δt)}+θe
上記数28〜数31から次式が得られる。
[数32]
Δθ11=θ11(t+Δt)−θ11(t)
=ω11{Δt−(Te(t+Δt)−Te(t)}
[数33]
Δθ12=θ12(t+Δt)−θ12(t)
=ω12{Δt−(Te(t+Δt)−Te(t)}
その結果、次式の関係を維持した位相θ11(t)、θ12(t)の増減制御となる。
[数34]
Δθ11/Δθ12=ω11/ω12
以上から、一致位相θe(t)が固定値の位相θe であるとし、位相一致時刻Te(t)のみの制御とすることが、電流I11(t)、I12(t)の位相θ11(t)、θ12(t)を、その位相の変化量Δθ11、Δθ12間の比率を前記設定された角周波数ω11、ω12間の比率と同じ比率に保ったまま変化させることの十分条件となる。・・・結論B
上記結論Aおよび結論B(即ち数27および数34)から、一致位相θe を固定値とし、位相一致時刻Te(t)のみの制御をすること(これを位相一致時刻制御方式と呼ぶ)と、電流I11(t)、I12(t)の位相θ11(t)、θ12(t)を、その位相の変化量Δθ11、Δθ12間の比率を前記設定された角周波数ω11、ω12間の比率と同じ比率に保ったまま変化させること(これを位相変化量制御方式と呼ぶ)とは、等価(必要十分条件)であると言うことができる。請求項5に記載の発明は、上記位相一致時刻制御方式の観点から記載したものである。請求項12に記載の発明も同様である。請求項2に記載の発明は、上記位相変化量制御方式の観点から記載したものである。請求項10に記載の発明も同様である。
なお、数32、数33では時刻tと時刻(t+Δt)との間の位相変化量を示したが、Δtを限りなく0として、位相変化量を時間tによる微分形式で表しても良い。その場合は次式となる。
[数35]
dθ11(t)/dt=ω11・{1−dTe(t)/dt}
[数36]
dθ12(t)/dt=ω12・{1−dTe(t)/dt}
良く知られているように、位相[rad]の時間微分は角周波数[rad/s]であるので、数35、数36の左辺を角周波数ω11(t)、ω12(t)と置き換え、両式の比を取ると次式が得られる。
[数37]
ω11(t)/ω12(t)=ω11/ω12
即ち、位相変化量の代わりに、角周波数ω11(t)、ω12(t)に着目すると、一致位相θe を固定値とし、位相一致時刻Te(t)のみの制御をすること(位相一致時刻制御方式)と、数37に示すように、電流I11(t)、I12(t)の角周波数ω11(t)、ω12(t)を、両者間の比率を元の前記設定された角周波数ω11、ω12間の比率に保ったまま増減制御すること(これを周波数制御方式と呼ぶ)とも、等価であると言うことができる。請求項3に記載の発明は、この周波数制御方式の観点から記載したものである。請求項11に記載の発明も同様である。なお、前述したように、周波数を角周波数で表しても良いし、次数で表しても良い。それぞれ等価である。
図15、図16に、第1組の各電流I11(t)、I12(t)の周波数f11(t)、f12(t)を、周波数比率を保ったまま増加させた場合の一例を示す。図15Aは、増加前の各電流I11(t)、I12(t)およびうなりBT1(t)の波形を示し、図15Bは、各電流の位相θ11(t)、θ12(t)およびうなりの位相Δθinj(t)の位相を示す。図16Aは、増加後の各電流I11(t)、I12(t)およびうなりBT1(t)の波形を示し、図16Bは、各電流の位相θ11(t)、θ12(t)およびうなりの位相Δθinj(t)の位相を示す。
図15B、図16B中に点P3 、P4 でそれぞれ示すように、うなりの位相Δθinj(t)が0度の時点で、両位相θ11(t)、θ12(t)が互いに0度で一致していることは、周波数変化の前後で変わらない。即ち、前述した一致位相θe が0度で一定であることが保たれている。
比較例として、図17に、第1組の各電流I11(t)、I12(t)の周波数f11(t)、f12(t)を、周波数比率を保たないで(即ち、上記周波数制御方式の条件を守らないで)増加させた場合の一例を示す。増加前は、図15と同じであるのでそれを参照するものとする。図17Aは、増加後の各電流I11(t)、I12(t)およびうなりBT1(t)の波形を示し、図17Bは、各電流の位相θ11(t)、θ12(t)およびうなりの位相Δθinj(t)の位相を示す。
図17B中に点P5 で示すように、周波数の増加後は、うなりの位相Δθinj(t)が0度の時点で、両位相θ11(t)、θ12(t)は互いに180度で一致することに変化している。即ち、前述した一致位相θe は、0度から180度に変化してしまっている。これは上記周波数制御方式の条件を守らなかったからである。
以上から分かるように、位相一致時刻制御方式、位相変化量制御方式および周波数制御方式のいずれを用いても、その方式によって、自設備うなりを他群うなりに同期させることによって、前述したように、同じ周波数の複数の注入電流を、位相が実質的に0度でそれぞれ同期させることができる。従って、従来のような同期信号ラインや外部同期信号源を用いなくて済む。
なお、上記三つの制御方式(即ち、位相一致時刻制御方式、位相変化量制御方式および周波数制御方式)の内のどれか一つの制御方式を同一群内の全ての同期制御装置50において統一して採用しても良いし、複数の制御方式を混在させても良い。統一して採用すれば、同期制御装置50の設計、製作が容易になる等の利点がある。混在させても良いのは、先に詳述したように、上記三つの制御方式は互いに実質的に等価だからである。自群内の同期制御装置50の制御方式と他群内の同期制御装置50の制御方式との関係においても、上記と同様に、制御方式を統一しても良いし、混在させても良い。
(4)同期制御装置50の構成
次に、上記(3)で説明した原理に基づく制御を行う同期制御装置50の構成の例を説明する。
図11は、同期制御装置の構成の一例を示すブロック図である。この同期制御装置50は、他群うなり位相算出器(これは他群うなり位相算出手段に相当する)58と、電流位相設定器(これは電流位相設定手段に相当する)70と、うなり同期器(これはうなり同期手段に相当する)88とを備えている。
他群うなり位相算出器58は、前記引込線16における電圧Vs(t)に含まれている電圧であって、他群に属する分散電源保有設備20の電流注入装置40の注入周波数(以下ではこれを角周波数で表す)ω21(t)、ω22(t)の電圧V21(t)、V22(t)を計測して、当該電圧に基づいて前記他群うなりの位相Δθm(t)を算出するものである。
より具体的にはこの例では、他群うなり位相算出器58は、上記電圧V21(t)、V22(t)の位相θ21(t)、θ22(t)をそれぞれ算出する位相算出器52、54と、両位相θ21(t)、θ22(t)の減算を行って他群うなりの位相Δθm(t)を求める減算器56とを備えている。
電流位相設定器70は、自設備の電流注入装置40が注入する注入電流を構成する電流組の各電流I11(t)、I12(t)の位相θ11(t)、θ12(t)が、前記自設備うなりの位相Δθinj(t)に対して同一群内で共通した一定の位相関係になるように、当該電流組の各電流I11(t)、I12(t)の位相θ11(t)、θ12(t)をそれぞれ設定するものである。例えば、自設備うなりの位相Δθinj(t)が0度になるときの各電流I11(t)、I12(t)の位相θ11(t)、θ12(t)を、共通の一致位相θe (例えば0度)に設定するものである。
より具体的にはこの例では、電流位相設定器70は、前記設定された周波数(以下ではこれを角周波数で表す)ω11、ω12に基づいて、位相関数ω11・t、ω12・tをそれぞれ発生させる位相関数発生器60、62と、前記固定値の一致位相θe を設定する一致位相設定器(これは一致位相設定手段に相当する)64と、この一致位相θe を位相関数ω11・t、ω12・tにそれぞれ加算して次式で表される位相θ110(t)、θ120(t)をそれぞれ出力する加算器66、68とを備えている。
[数38]
θ110(t)=ω11・t+θe
[数39]
θ120(t)=ω12・t+θe
うなり同期器88は、前記自設備うなりの位相Δθinj(t)と前記他群うなりの位相Δθm(t)との位相差であるうなり位相差dθ(t)を次式に従って求めて、当該うなり位相差dθ(t)が同一群内で共通した一定値(例えば0度)になるように、前記位相一致時刻制御方式に基づいて、即ち固定値の一致位相θe を用いて位相一致時刻Te(t)のみを制御して、前記数28、数29に基づいて位相θ11(t)、θ12(t)を制御して、自設備うなりの位相Δθinj(t)を制御するものである。
[数40]
dθ(t)=Δθinj(t)−Δθm(t)
より具体的にはこの例では、うなり同期器88は、上記数40の演算を行う減算器(これはうなり位相算出手段に相当する)72と、うなり同期制御のための増減率制御関数rを発生させる増減率制御関数発生器74と、この増減率制御関数rを積分して前記位相一致時刻Te(t)を出力する積分器76と、この位相一致時刻Te(t)に前記角周波数ω11、ω12をそれぞれ掛ける掛算器78、80と、両掛算器78、80からの信号を前記位相θ110(t)、θ120(t)から減算して、前記数28、数29で示す位相θ11(t)、θ12(t)をそれぞれ算出する減算器82、84と、両位相θ11(t)、θ12(t)の差を求めて次式で示す自設備うなりの位相Δθinj(t)を出力する減算器(これは自設備うなり算出手段に相当する)86とを備えている。
[数41]
Δθinj(t)=θ12(t)−θ11(t)=(ω12−ω11)(t−Te(t))
この数41は、前記数9中の位相一致時刻Te を、一般化して時間的に変動する量として表したものである。即ち、数41は、うなり同期動作中に位相一致時刻Te(t)が変化する過渡状態をも含めて一般化した式であり、数9は、うなり同期後に位相一致時刻Te(t)が一定値に落ち着いた定常状態を示したものである。数10、数11も定常状態を示したものである。
減算器82、84から出力される位相θ11(t)、θ12(t)は、電流注入装置40にも供給される。これについては後で図20を参照して説明する。
電流位相設定器70は、より具体的にはその一致位相設定器64は、例えば、自設備うなりの位相Δθinj(t)が0度になるときの一致位相θe を0度に設定するものである。但し、当該一致位相θe は、必ずしも0度でなくても良く、上記(3)の原理説明の項でも説明したように、同一群内で共通した一定値であれば良い。
一致位相θe を0度に設定する場合は、上記一致位相設定器64、加算器66、68を設けなくて済む。即ち、一致位相θe を0度以外に設定する場合と違って、一致位相設定手段としては、特別な機器を設けてなくて済むので、同期制御装置50の構成の簡素化を図ることができる。図12、図13に示す例においても同様である。但し、一致位相θe を0度に設定する場合に、一致位相設定器64、加算器66、68を設けていなくても、概念的には、一致位相θe を0度に設定する一致位相設定手段は有る、と言うことができる。
このうなり同期器88は、この例では、上記うなり位相差dθが0度になるように制御するものである。但し、うなり位相差dθは必ずしも0度でなくても良く、同一群内で共通した一定値であれば良い。その場合でも、自設備うなりの位相Δθinj(t)と他群うなりの位相Δθm(t)とは同期しているからである。図12、図13に示す例の同期制御装置50においても同様である。
このうなり同期器88における制御方式は、上記(3)の原理説明の項でも説明したように、上記うなり位相差dθ(t)が同一群内で共通した一定値(例えば0度)になるように、自設備の電流注入装置40が注入する注入電流Iinj を構成する電流組の各電流I11(t)、I12(t)の位相θ11(t)、θ12(t)を、両位相の変化量間の比率Δθ11/Δθ12を両電流の前記設定された周波数間の比率ω11/ω12と同じ比率に保ったまま変化させて、前記自設備うなりを前記他群うなりに同期させる制御方式(即ち位相変化量制御方式)と等価である。
また、上記うなり位相差dθ(t)が同一群内で共通した一定値になるように、当該位相差dθ(t)に応じて、自設備の電流注入装置40が注入する注入電流Iinj を構成する電流組の各電流I11(t)、I12(t)の周波数ω11(t)、ω12(t)を、両周波数間の比率ω11(t)/ω12(t)を前記設定された周波数間の比率ω11/ω12に保ったまま増減させて、前記自設備うなりを前記他群うなりに同期させる制御方式(即ち上記周波数制御方式)と等価である。
なお、周波数の増減制御時には、上記周波数ω11(t)、ω12(t)が設定周波数ω11、ω12からずれるが、そのずれは僅かであるので、組を成す周波数間の位相差検出に与える影響は無視することができる。
上記うなり位相差dθ(t)の取り得る範囲は次式で表される。
[数42]
−180°(即ち−π)<dθ(t)≦180°(即ちπ)
図14に示すように、他群うなりの位相Δθm(t)を基準に考えると、うなり位相差dθ(t)が正(0〜180度)の場合は周波数ω11(t)、ω12(t)を減少させて、自設備うなりの位相Δθinj(t)を遅らせ、負(0〜−180度)の場合は周波数ω11(t)、ω12(t)を増加させて自設備うなりの位相Δθinj(t)を進める。なお、ちょうど−180度の場合は、正か負かどちらを考えても良い。
これをもう少し詳しく説明すると、他群うなりの位相Δθm(t)も自設備うなりの位相Δθinj(t)も、一致制御(同期制御)完了後は、うなりの周期Lの間に360度変化する。両位相を単位円で考えると、うなりの周期L(=1/Δf)の間に一周する。
両周波数ω11(t)、ω12(t)を上記のように比率を保ったまま増加させると、自設備うなりの位相Δθinj(t)はうなりの周期Lに対して360度より大きくなる。逆に減少させると、360度より小さくなる。従って、自設備うなりの位相Δθinj(t)の時間進みを、他群うなりの位相Δθm(t)の時間進みに対して進める、または遅らせることができるので、自設備うなりの位相Δθinj(t)を他群うなりの位相Δθm(t)の位相に一致させることができる。即ち同期させることができる。
一致制御(同期制御)完了後は、自設備うなりの位相Δθinj(t)も他群うなりの位相Δθm(t)も、上記のようにうなりの周期Lで決まる一定の時間進みとなる。
上記は、第1群の分散電源保有設備20から見て説明したものであるが、第2群の分散電源保有設備20から見ると第1群の分散電源保有設備20は他群であるので、第2群の分散電源保有設備20においても上記と同様の制御が行われる。それによって、自設備うなりの位相Δθinj(t)と他群うなりの位相Δθm(t)とは互いに近づいて一致して同期するように制御される。
上記増減率制御関数rは、例えば、次式で表すことができる。即ち、rはdθ(t)の関数であり、正確に表現すれば、r(dθ(t))である。kは係数である。
[数43]
r=k・dθ(t)
上記係数kは、定数でも良いし、dθ(t)に応じて変化するものでも良い。前者にすれば、増減率制御関数rはうなり位相差dθ(t)に比例して直線的に変化する。後者にすれば、増減率制御関数rはうなり位相差dθ(t)に応じて非線形に変化する。係数kをどのように設定するかは、必要とする制御の応答特性等に応じて決めれば良い。増減率制御関数rが取り得る値の範囲に、上限値および下限値を設けても良い。
積分器76は、上記増減率制御関数rを積分して前記位相一致時刻Te(t)を出力するものであるので、うなり位相差dθ(t)が0になって増減率制御関数発生器74から供給される増減率制御関数rが0になっても、その直前の位相一致時刻Te(t)の値を保って出力し続ける。従って、自設備うなりの位相Δθinj(t)と他群うなりの位相Δθm(t)とが同期した後も、その同期状態を保持することができる。図6中の時刻t3 以降がその状態である。
同期制御装置50のより具体例を図12に示す。図11に示した同期制御装置50と同一または相当する部分には同一符号を付し、以下においては図11との相違点を主体に説明する。
この同期制御装置50は、上記と同様の他群うなり位相算出器58、一致位相設定器64、減算器72および減算器86の他に、位相一致時刻発生器(これは位相一致時刻発生手段に相当する)100および位相発生器(これは位相発生手段に相当する)114を備えている。
他群うなり位相算出器58は、この例では、フィルタ90、離散フーリエ変換器92、94および演算回路96を備えている。
フィルタ90は、引込線16における電圧Vs から、配電系統の基本波成分を除去するものである。このようなフィルタ90を設けておくのが好ましく、そのようにすると、SN比を高めて、離散フーリエ変換器92、94による第2組の注入周波数の電圧V21(t)、V22(t)の抽出を精度良く行うことができる。
離散フーリエ変換器92、94は、フィルタ90からの電圧を受けて、それをそれぞれ離散フーリエ変換して、上記電圧V21(t)、V22(t)(共にベクトル量)をそれぞれ抽出して出力するものである。これによって、上記電圧V21(t)、V22(t)を計測することができる。この両電圧V21(t)、V22(t)は、他群の分散電源保有設備20(より具体的にはその電流注入装置40)から注入される注入電流に含まれる同一周波数の電流がそれぞれ同期すると、前述した理由から、大きな電圧となる。
演算回路96は、前記自設備うなりの位相Δθinj(t)を表す場合に商を取ったのと同様に(数18、数19参照)、上記電圧V21(t)、V22(t)を受けてそれらの商を取り、かつその商の偏角argを取り出して、次式で表される他群うなりの位相Δθm(t)を算出するものである。
Figure 2009011142
上記フィルタ90を設ける場合は、演算回路96と減算器72との間に、フィルタ90による位相のずれを補償する位相補償器を設けておいても良い。
位相一致時刻発生器100は、上記増減率制御関数発生器74と積分器76とを合わせたものに相当する。増減率制御関数発生器74として、ここでは、定数kを設定する増幅器98を備えている。
クロック装置(これはクロック手段に相当する)102は、時刻tを表す信号を発生するものである。
位相発生器114について説明するに当たり、上記数28、数29を展開しておくと、それぞれ次式となる。
[数45]
θ11(t)=ω11・(t−Te(t))+θe
=ω11・t−ω11・Te(t)+θe
[数46]
θ12(t)=ω12・(t−Te(t))+θe
=ω12・t−ω12・Te(t)+θe
位相発生器114は、上記時刻t、位相一致時刻Te(t)および一致位相θe を用いて、上記数45、数46の第2行目で表される上記位相θ11(t)、θ12(t)を発生させるものである。加算器66、68、減算器82、84は、上記と同様である。
上記第1組の周波数f11、f12は、この例では、増幅器104、106、108、110の増幅率として設定されている。
増幅器104、105および増幅器106、107は、前記位相関数発生器60、62の一部をそれぞれ構成しており、それぞれ次式の演算を行う。
[数47]
2πf11・t=ω11・t
2πf12・t=ω12・t
増幅器108、109および増幅器110、111は、前記掛算器78、80にそれぞれ相当しており、それぞれ次式の演算を行う。
[数48]
2πf11・Te(t)=ω11・Te(t)
2πf12・Te(t)=ω12・Te(t)
従って、減算器82、84からは、上記数45、数46で示される位相θ11(t)、θ12(t)が出力される。即ち、図11の場合と同様の位相θ11(t)、θ12(t)が出力される。即ち、この同期制御装置50と図11に示す同期制御装置50とは、機能的に等価である。
上記位相発生器114の代わりに、図13に示す同期制御装置50を構成する位相発生器(これは位相発生手段に相当する)118を用いても良い。この位相発生器118は、上記増幅器108〜111、減算器82、84の代わりに、t−Te(t)の演算を行う減算器116を設けたものである。
この位相発生器118は、上記数45、数46のそれぞれ第1行目の演算を行うものである。従って、加算器66、68からは、上記数45、数46に示される位相θ11(t)、θ12(t)が出力される。即ち、この図13に示すこの同期制御装置50と、図11および図12に示す同期制御装置50とは、それぞれ機能的に等価である。
位相一致時刻発生器100が発生する位相一致時刻Te(t)、一致位相設定器64で設定する一致位相θe については前述のとおりである。
この図13から分かるように、位相一致時刻発生器100は、それから発生する上記位相一致時刻Te(t)によって、各同期制御装置50内における装置時間を早めたり遅らせたりするものであると言うこともできる。
第1群に属する単独運転監視装置30、電流注入装置40および同期制御装置50と、第2群に属するそれらとは、それぞれ同様の構成をしている。但し、注入電流の周波数の組および測定電圧の周波数の組は前述したように異なる(例えば表1参照)。
上記数45、数46等は、第1群に属する分散電源保有設備20の注入周波数について記載したものであるが、第2群に属する分散電源保有設備20においても、周波数が違う以外は、上記と同様の制御が行われる。
上記数45、数46を、両群に共通の式で表すと次式となる。これは、前記数1と同じものである。
[数49]
θa(t)=ωa(t−Te(t))+θe
θb(t)=ωb(t−Te(t))+θe
上記数49中の位相θa(t)、θb(t)、角周波数ωa 、ωb を、第1群に属する分散電源保有設備20の電流注入装置40および同期制御装置50においてはθ11(t)、θ12(t)、ω11、ω12と読み替えれば良く、第2群に属する分散電源保有設備20の電流注入装置40および同期制御装置50においてはθ21(t)、θ22(t)、ω21、ω22と読み替えれば良い。読み替えた後の制御については上述のとおりである。図20に示す電流注入装置40においても同様である。
なお、上記(3)の原理説明の項において上記三つの制御方式について述べたのと同様の理由から、上記図11〜図13に示した同期制御装置50の三つの構成例の内のどれか一つの構成を同一群内において統一して採用しても良いし、複数の構成を混在させても良い。統一して採用すれば、同期制御装置50の設計、製作が容易になる等の利点がある。混在させても良いのは、上述したように、上記三つの構成例は、互いに実質的に等価の制御方式に基づいているからである。自群内の同期制御装置50の構成と他群内の同期制御装置50の構成との関係においても、上記と同様に、構成を統一しても良いし、混在させても良い。
(5)電流注入装置40の構成
上記電流注入装置40の構成の一例を図20に示す。
この電流注入装置40は、第1群に属する分散電源保有設備20内のものであって、上記同期制御装置50から供給される二つの位相θ11(t)、θ12(t)を用いて、当該位相θ11(t)、θ12(t)をそれぞれ有する二つの正弦波交流信号S11(t)、S12(t)を発生する注入信号発生器42、44と、両正弦波交流信号S11(t)、S12(t)を互いに加算して注入信号Sinj(t)(=S11(t)+S12(t))を作る加算器46と、この加算器46からの注入信号Sinj(t)を用いて前記注入電流Iinj を形成する注入電流形成器(これは注入電流形成手段に相当する)48とを備えている。従って、注入電流Iinj には、前記組を成す二つの電流I11(t)、I12(t)が含まれることになる。この例では、注入信号発生器42、44および加算器46で、注入信号発生手段を構成している。
上記正弦波交流信号S11(t)、S12(t)を数式で示すと次式のとおりである。S11p 、S12p は、それぞれ振幅のピーク値である。
[数50]
11(t)=S11p・sinθ11(t)
12(t)=S12p・sinθ12(t)
上記電流I11(t)、I12(t)を数式で表すと次のとおりである。I11p 、I12p は、それぞれ振幅のピーク値であり、これを所望のものにすれば良い。このピーク値I11p 、I12p は、両者を互いに実質的に等しくするのが実際的であるが、必ずしも実質的に等しくしなくても良い。この発明は、先の(3)の制御原理でも説明したように、注入周波数の電流によるうなりの位相が重要であり、うなりが生じさえすれば、振幅はさほど重要ではないからである。
[数51]
11(t)=I11p・sinθ11(t)
12(t)=I12p・sinθ12(t)
注入電流形成器48は、例えば、加算器46からの注入信号を増幅する増幅器である。あるいは、加算器46からの注入信号Sinj(t)を、変調回路の信号波として使用するインバータ(例えばPWMインバータ)である。
注入信号発生手段は、上記二つの正弦波交流信号S11(t)、S12(t)を含む注入信号を発生するものでも良い。例えば、両正弦波交流信号S11(t)、S12(t)に更に他の信号Sx(t)を加えた注入信号、例えば方形波状の注入信号Sinj(t)を発生するものでも良い。計測時に、当該他の信号Sx(t)はフィルタ等において除去して、正弦波交流信号S11(t)、S12(t)が作る注入電流による電圧を抽出することができるからである。
第2群に属する分散電源保有設備20内の電流注入装置40も、例えば、図20に示す装置と同様の構成をしている。
(6)うなり位相差dθ(t)等のシミュレーション結果
上記図12に示した同期制御装置50を用いて、自設備うなりの位相Δθinj(t)を他群うなりの位相Δθm(t)に同期させる制御のシミュレーションを行った結果を説明する。
シミュレーションでは、第1群に属する2台の電流注入装置40および同期制御装置50と、第2群に属する2台の電流注入装置40および同期制御装置50とを用いた。前記表1に示す周波数の組み合わせは、f11=132Hz、f12=144Hz、f21=156Hz、f22=168Hzとした。また、配電線10を模擬したラインに、乱数発生器からバックグラウンドノイズを注入した。これは配電系統の実態に近づけるためである。
上記うなり位相差dθ(t)の変化を図18に示し、第1群の同一周波数(具体的にはf11)の二つの注入電流間の位相差Dθ1(t)の変化を図19に示す。
図19に示すように、シミュレーション開始時(これは、電流注入装置40および同期制御装置50の電源投入時に相当する)は、位相差Dθ1(t)は180度ずれているものとした。即ち、位相差を最大とした。
図18に示すように、シミュレーション開始後しばらくは、第2群(他群)の注入電流が生じさせる電圧に比べてバックグラウンドノイズが大きいので、うなり位相差dθ(t)は安定せず、最大で±180度まで振れているが、0.5秒付近以降からうなり位相差dθ(t)は急速に小さくなり、約3.5秒で0度になった。即ち、自設備うなりが他群うなりに同期した。これは、シミュレーション開始後少し時間が経過すると、第2群の注入電流が生じさせる電圧の位相が前述した同期制御装置50による制御によって徐々に揃って、他群うなりの位相Δθm(t)が徐々に明確になり、それと共にうなり位相差dθ(t)も徐々に明確になり、そして第1群(自群)においても前述した同期制御装置50による制御によってうなり位相差dθ(t)が0度になるように制御された結果である。
うなり位相差dθ(t)の上記のような減衰と共に、図19に示すように、第1群の同一周波数の二つの注入電流間の位相差Dθ1(t)も徐々に小さくなり、うなり位相差dθ(t)が0度になって両うなりが同期した約3.5秒の時点で、位相差Dθ1(t)も0度になっている。第1群の他の(周波数f12の)同一周波数の二つの注入電流間の位相差Dθ2(t)も、図示を省略するけれども、上記位相差Dθ1(t)と同様に、約3.5秒の時点で0度になった。
即ち、本発明に従って両うなりを同期させることによって、自群の同一周波数の二つの注入電流を、位相差が0度で同期させることができることを確認できた。
(7)単独運転監視装置30の構成
上記単独運転監視装置30の構成の一例を図21に示す。
この単独運転監視装置30は、離散フーリエ変換器32、33と、絶対値演算器34、35と、判定器36、37と、AND回路38と、継続時間判定器39とを備えている。
離散フーリエ変換器32、33は、それぞれ、図12に示した離散フーリエ変換器92、94と同じ機能を有している。従って、この離散フーリエ変換器32、33を省略して、図12に示した離散フーリエ変換器92、94を前記他群うなり位相算出器58とこの単独運転監視装置30とに共用しても良い。即ち、絶対値演算器34、35に、図12に示した離散フーリエ変換器92、94から出力される前記注入周波数の電圧V21(t)、V22(t)をそれぞれ供給しても良い。そのようにすると、構成の簡素化を図ることができる。従ってより実際的である。
絶対値演算器34、35は、それぞれ、上記電圧V21(t)、V22(t)の絶対値|V21(t)|、|V22(t)|を算出して出力するものである。
判定器36、37は、それぞれ、上記絶対値|V21(t)|、|V22(t)|を所定の判定値J1 、J2 と比較して、絶対値|V21(t)|、|V22(t)|が判定値J1 、J2 以上になれば、検出信号S1 、S2 をそれぞれ出力するものである。この判定値J1 、J2 は、例えば、単独運転が発生していない状態、即ち連系運転時(換言すれば系統健全時)の絶対値|V21(t)|、|V22(t)|の2倍程度にそれぞれ設定しておけば良い。
両判定値J1 、J2 は、互いに同じ値にしても良いし、判定周波数等に応じて互いに異ならせても良い。
AND回路38は、両検出信号S1 、S2 の論理積を取り、両信号S1 、S2 が共に出力されているときに検出信号S3 を出力する。
上記検出信号S3 を単独運転検出信号としてこの単独運転監視装置30からそのまま出力するよりも、この例のように、継続時間判定器39によって、検出信号S3 が所定の継続確認時間T0 継続していることを判定して継続したときに単独運転検出信号S4 を出力するようにするのが好ましい。そのようにすると、単独運転以外の何らかの原因による電圧Vs 等の瞬時の変動による誤検出を防止することができる。この継続確認時間T0 は、それを長くすると、その分、単独運転検出が遅くなるので、例えば0.05秒程度にすれば良い。この例ではこの単独運転検出信号S4 の出力によって、単独運転監視装置30は、最終的に、それが設けられている分散電源保有設備20内の分散電源26が単独運転になったことを検出したことになる。
単独運転監視装置30による単独運転検出後に分散電源26の解列を行うには、例えば、図2に示す例のように、上記単独運転検出信号S4 によってスイッチ22を開放しても良いし、上記単独運転検出信号S4 によってパワーコンディショナ24内のインバータにゲートブロックをかけて当該インバータを停止しても良いし、両者を併用しても良い。低圧連系逆潮流有りの分散電源は、出力部にインバータを使用している(この方式しか電気設備技術基準で認められていない)ので、このインバータに対するゲートブロックを使用することができる。ゲートブロックは瞬時に行われるので、ゲートブロックを使用する場合は、単独運転監視装置30による単独運転検出後の解列時間は無視することができる。
なお、この例の単独運転監視装置30のように、一組の注入周波数の両方の注入周波数の電圧を計測して検出信号S1 、S2 のAND条件で検出信号S3 、単独運転検出信号S4 を出力するようにすると、単独運転検出を慎重に行って誤検出をより確実に防止することができるので好ましいけれども、いずれか一方の注入周波数の電圧のみを計測して単独運転検出を行うようにしても良い。
図1に示した配電系統を模したシミュレーションモデルを用いて、単独運転検出のシミュレーションを行った結果の一例を図22に示す。
このシミュレーションでは、6.6kVの上位系統2側に短絡容量が100MVAの系統電源があるものとし、6.6kV、10MVAをベースとして、変電所変圧器6のインピーダンス(正確にはパーセントインピーダンス。以下同様)はj8%、配電線10のインピーダンスは3×(6%+j8%)とし、負荷12の容量は実効容量が1MW、無効容量が0.5MVarとした。また、単独運転監視装置30によって単独運転検出後も単独運転状態を継続させるために、配電線10に1MWの大型分散電源を接続しているものとした。そして、第1群に属する分散電源保有設備20を1台、3相配電線10のA相B相間接続とし、第2群に属する分散電源保有設備20を1台、C相A相間接続とした。両分散電源保有設備20で使用した周波数は、前記例のとおりである。なお、このシミュレーションでは、配電線10にバックグラウンドノイズは注入していない。
計測開始から3秒後の時刻t0 で変電所遮断器8を開放して単独運転を発生させた。上記電圧V21(t)の絶対値|V21(t)|は時刻t2 =3.035秒で判定値J1 以上になり、上記電圧V22(t)の絶対値|V22(t)|は時刻t1 =3.025秒で判定値J2 以上になり、上記単独運転監視装置30は両者のAND条件で判定するから、遅い方の時刻t2 =3.035秒で単独運転を検出した。最終的な単独運転検出は、即ち上記単独運転検出信号S4 の出力は、0.05秒に設定している上記継続確認時間T0 の経過後に行われた。
単独運転発生から最終的な単独運転検出までの時間T1 は次式で表されるので、0.1秒以内の高速検出を行うことができたことが分かる。
[数52]
1 =(t2 −t0 )+T0
=(3.035−3.000)+0.05
=0.085 [秒]
(8)3相配電線の場合
3相配電線に複数の分散電源保有設備20を接続する場合の一例を図23に示し、その等価回路を図24に示す。
前記配電線10は3相配電線であり、前記各分散電源保有設備20は当該3相配電線10の三つの線間の内の一つの線間にそれぞれ接続されている。
このような場合は、以下に述べる理由から、3相配電線10の第1の線間に接続されている分散電源保有設備20および第2の線間に接続されている分散電源保有設備20を前記第1群に属させ、第3の線間に接続されている分散電源保有設備20を前記第2群に属させるのが好ましい。
第1の線間、第2の線間、第3の線間は、それぞれ、例えば、A相B相間、B相C相間、C相A相間であるが(図23はこの場合の例を示す)、この組み合わせに限られるものではない。
仮に、同一の群に属する複数の分散電源保有設備20を三つの線間全てに接続したとすると、各分散電源保有設備20の電流注入装置40から注入する注入電流に含まれている、同じ周波数でそれぞれ同期している電流は、負荷12を通らずに各電流注入装置40を通ってABC相間を循環する循環電流Iccとなるので、当該電流によっては線間に注入周波数の電圧が発生しなくなる。これでは単独運転検出が困難になる。
これに対して、複数の分散電源保有設備20を上記のように第1群、第2群に分けて属させることによって、注入電流に含まれる同一周波数かつ同一位相の電流を三つの線間全てに注入することは起こらないので、当該電流が3相配電線の三つの線間において電流注入装置40を通して循環電流として流れるのを防止することができる。従って単独運転検出が困難になるという上記不都合が発生するのを防止することができる。
なお、複数の分散電源保有設備20を上記のように分けて属させることによって、各単独運転監視装置30は、自設備が接続されている線間とは異なる線間に他群の分散電源保有設備20によって注入された注入電流による電圧を計測することになるが、それでも支障はない。これは、例えばA相B相間に電流I11を注入すると、図24に示すように、A相B相間の負荷12には(2/3)・I11の電流が流れ、B相C相間、C相A相間には、それぞれ、(1/3)・I11の電流が流れ、各負荷12のインピーダンスをZL とすると、B相C相間、C相A相間にも、A相B相間の1/2の電圧が発生するので、それを計測することができるからである。
(9)単独運転検出装置
なお、各分散電源保有設備20内の上記単独運転監視装置30、電流注入装置40および同期制御装置50に着目すれば、これらの装置30、40および50は、当該設備20内の分散電源26の単独運転を検出する単独運転検出装置を構成している、と言うことができる。換言すれば、各分散電源保有設備20は、上記単独運転監視装置30、電流注入装置40および同期制御装置50を有する単独運転検出装置をそれぞれ備えている、と言うことができる。
(10)後続の分散電源保有設備用の単独運転検出装置
前述したように、上記単独運転検出システムを構築した後に、上記第1群および/または第2群を構成する分散電源保有設備20の数を変更(以下では増加に着目)しても良い。所要の分散電源保有設備20を、修理等のために別の(例えば新しい)分散電源保有設備と交換しても良い。
このような増加、交換等のために、上記単独運転検出システムを備えている上記配電系統の配電線10に接続されて、上記第1群および第2群の分散電源保有設備の内の一方の群の一員となる分散電源保有設備を後続の分散電源保有設備と呼ぶことにすると、当該後続の分散電源保有設備は、例えば、上記分散電源保有設備20と実質的に同じ構成のものにすれば良い。
あるいは、そのようにせずに、単独運転検出装置に着目して、後続の分散電源保有設備内の分散電源の単独運転を検出する単独運転検出装置を、上記分散電源保有設備20用の単独運転検出装置(上記(9)項参照)と実質的に同じ構成にしても良い。要は、後続の分散電源保有設備用(より具体的には、その分散電源の単独運転検出用。以下同様)に、上記分散電源保有設備20用の単独運転検出装置と実質的に同じ構成の単独運転検出装置を設けておけば良い。
即ち、(a)上記第1組および第2組の内の一方の組の注入周波数が設定されて当該周波数の電流組を含む注入電流を、上記後続の分散電源保有設備と上記配電線10とを接続する引込線16を通して配電線10に注入する電流注入装置と、(b)上記後続の分散電源保有設備用の引込線16における電圧であって、上記第1組および第2組の内の他方の組の注入周波数を構成している少なくとも一方の注入周波数が設定されて当該周波数の電圧を計測して、当該電圧の増大から、上記後続の分散電源保有設備内の分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転監視装置と、(c)上記後続の分散電源保有設備を自設備と呼び、当該自設備が一員となる方の分散電源保有設備20の群を自群、当該自設備が一員とならない方の分散電源保有設備20の群を他群と呼ぶと、自設備用の上記電流注入装置が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の位相を、当該注入電流が生じさせるうなりである自設備うなりの位相に対して同一群内で共通した一定の位相関係に保つと共に、当該自設備うなりを、他群に属する分散電源保有設備20の電流注入装置が注入する注入電流の総体が生じさせる電圧のうなりである他群うなりに同期させる同期制御装置とを備えている単独運転検出装置を設けておけば良い。
上記(a)に示した電流注入装置、(b)に示した単独運転監視装置および(c)に示した同期制御装置は、より具体例を挙げれば、上記電流注入装置40、単独運転監視装置30および同期制御装置50とそれぞれ実質的に同じ構成をしており、かつそれらとそれぞれ実質的に同じ働きをする。従って、この電流注入装置、単独運転監視装置および同期制御については、上記電流注入装置40、単独運転監視装置30および同期制御装置50についての上記説明を参照するものとし、ここでは重複説明を省略する。
ちなみに、上記(c)に示した同期制御装置は、上記同期制御装置50の場合と同様に、上記三つの制御方式(即ち、位相一致時刻制御方式、位相変化量制御方式および周波数制御方式)の内のいずれを採用しても良い。また、上記同期制御装置50について図11〜図13を参照して説明した三つの構成例のいずれを採用しても良い。
後続の分散電源保有設備用の上記電流注入装置に上記第1組の注入周波数f11およびf12が設定され、上記単独運転監視装置に上記第2組の注入周波数f21およびf22が設定されている場合は、当該後続の分散電源保有設備は第1群の分散電源保有設備の一員となる。反対に、後続の分散電源保有設備用の上記電流注入装置に上記第2組の注入周波数f21およびf22が設定され、上記単独運転監視装置に上記第1組の注入周波数f11およびf12が設定されている場合は、当該後続の分散電源保有設備は第2群の分散電源保有設備の一員となる。
換言すれば、後続の分散電源保有設備を上記第1群の分散電源保有設備の一員にしたければ、後続の分散電源保有設備用の上記電流注入装置に上記第1組の注入周波数f11およびf12を設定し、上記単独運転監視装置に上記第2組の注入周波数f21およびf22を設定しておけば良い。反対に、後続の分散電源保有設備を上記第2群の分散電源保有設備の一員にしたければ、後続の分散電源保有設備用の上記電流注入装置に上記第2組の注入周波数f21およびf22を設定し、上記単独運転監視装置に上記第1組の注入周波数f11およびf12を設定しておけば良い。
なお、上記単独運転監視装置30について前述したのと同様に、後続の分散電源保有設備用の単独運転監視装置も、組を成す二つの注入周波数の内のいずれか一方の注入周波数(例えば第1組を例に挙げれば、f11とf12の内の一方)が設定されて当該注入周波数の電圧を計測して単独運転を検出するように構成されていても良い。
このような単独運転検出装置によれば、上記単独運転検出システムについて先に詳述したのと同様の理由によって、自設備用の電流注入装置が注入する注入電流が生じさせるうなりと、他群の注入電流が生じさせるうなりとを同期させることを利用して、自設備用の電流注入装置から配電線10に注入する注入電流を、同一の群に属する分散電源保有設備の電流注入装置が注入する同一周波数の注入電流に同期させることができる。従って、従来のような同期信号ラインや外部同期信号源を用いなくて済む。
なお、上記(c)に示した、後続の単独運転検出装置を構成する同期制御装置の制御方式や構成は、先に単独運転検出システムの上記同期制御装置50の上記三つの制御方式(即ち、位相一致時刻制御方式、位相変化量制御方式および周波数制御方式)や三つの構成例(図11〜図13参照)について説明したのと同様の理由から、同一群に属することになる上記同期制御装置50の制御方式や構成と合わせて同一群内で統一されるようにしても良いし、異なるものとして複数の制御方式や構成が混在するようにしても良い。合わせれば、同期制御装置の設計、製作が容易になる等の利点がある。異なるものにしても良いのは、先に詳述したように、上記三つの制御方式は互いに実質的に等価であり、また上記三つの構成例は互いに実質的に等価の制御方式に基づいているからである。
また、上述したように先の単独運転検出システムの上記同期制御装置50が備えている電流位相設定手段が、自設備うなりの位相が0度になるときの電流組の各電流の位相を0度に設定するものであり、うなり同期手段が、自設備うなりの位相と他群うなりの位相との位相差を0度にするものであるときは、それと同様に、後続の単独運転検出装置を構成する同期制御装置が備えている電流位相設定手段は、自設備うなりの位相が0度になるときの電流組の各電流の位相を0度に設定するものになり、うなり同期手段は、自設備うなりの位相と他群うなりの位相との位相差を0度にするものになる。後続装置用の同期制御装置も、上記(c)に示したように、同一群内で共通した一定の位相関係に保つと共に、自設備うなりを他群うなりに同期させるものだからである。
上記の場合は、後続装置用の電流位相設定手段は、自設備うなりの位相が0度になるときの電流組の各電流の位相を0度に設定するものであり、0度に設定する場合は0度以外に設定する場合と違って、特別な設定手段を設けなくて済むので、後続装置用の同期制御装置の構成を簡素化することができる。
同様に、先の単独運転検出システムの上記同期制御装置50が備えている位相一致時刻発生手段が、うなり位相差を0度にする位相一致時刻Te(t)を発生するものであり、一致位相設定手段が、自設備うなりの位相が0度になるときの一致位相θe を0度に設定するものであるときは、それと同様に、後続の単独運転検出装置を構成する同期制御装置が備えている位相一致時刻発生手段は、うなり位相差を0度にする位相一致時刻Te(t)を発生するものになり、一致位相設定手段は、自設備うなりの位相が0度になるときの一致位相θe を0度に設定するものになる。後続装置用の同期制御装置も、上記(c)に示したように、同一群内で共通した一定の位相関係に保つと共に、自設備うなりを他群うなりに同期させるものだからである。
上記の場合は、後続装置用の一致位相設定手段は、自設備うなりの位相が0度になるときの一致位相を0度に設定するものであり、0度に設定する場合は0度以外に設定する場合と違って、特別な設定手段を設けなくて済むので、後続装置用の同期制御装置の構成を簡素化することができる。
この発明に係る分散電源の単独運転検出システムを備える配電系統の一例を示す単線接続図である。 各分散電源保有設備の構成の一例を示す図である。 第1組の各電流の波形(A)、およびそれらの合成電流の波形(B)の一例を示す図である。 第1組の各電流の波形(A)、およびそれらの合成電流の波形(B)の他の例を示す図である。 自設備うなりが他群うなりに同期していない場合の一例を示す図である。 自設備うなりを他群うなりに同期させた場合の一例を示す図である。 一致位相が0度の場合の第1組の各電流の位相とその位相差(自設備うなりの位相)の一例を示す図である。 一致位相が180度の場合の第1組の各電流の位相とその位相差(自設備うなりの位相)の一例を示す図である。 一致位相が互いに異なる場合の同一周波数の二つの電流の位相と自設備うなりの位相との関係の一例を示す図である。 一致位相が互いに一致している場合の同一周波数の二つの電流の位相と自設備うなりの位相との関係の一例を示す図である。 同期制御装置の構成の一例を示すブロック図である。 同期制御装置の構成の他の例を示すブロック図である。 同期制御装置の構成の更に他の例を示すブロック図である。 自設備うなりの位相と他群うなりの位相との関係を単位円で示す図である。 第1組の各電流の周波数を、周波数比率を保ったまま増加させた場合の、増加前の各電流およびうなりの波形(A)、ならびに各電流およびうなりの位相(B)の一例を示す図である。 第1組の各電流の周波数を、周波数比率を保ったまま増加させた場合の、増加後の各電流およびうなりの波形(A)、ならびに各電流およびうなりの位相(B)の一例を示す図である。 第1組の各電流の周波数を、周波数比率を保たないで増加させた場合の、増加後の各電流およびうなりの波形(A)、ならびに各電流およびうなりの位相(B)の一例を示す図である。 うなり位相差の変化をシミュレーションした結果の一例を示す図である。 自群の同一周波数の二つの注入電流間の位相差の変化をシミュレーションした結果の一例を示す図である。 電流注入装置の構成の一例を示すブロック図である。 単独運転監視装置の構成の一例を示すブロック図である。 単独運転発生時の第2組の注入周波数の電圧の変化をシミュレーションした結果の一例を示す図である。 3相配電線に複数の分散電源保有設備を接続する場合の一例を示す図である。 図23の等価回路図である。
符号の説明
2 上位系統
4 変電所
10 配電線
16 引込線
20 分散電源保有設備
26 分散電源
30 単独運転監視装置
40 電流注入装置
42 注入信号発生器
48 注入電流形成器
50 同期制御装置
58 他群うなり位相算出器
64 一致位相設定器
70 電流位相設定器
72 減算器(うなり位相算出手段)
86 減算器(自設備うなり算出手段)
88 うなり同期器
100 位相一致時刻発生器
102 クロック装置
114、118 位相発生器
Δθinj(t) 自設備うなりの位相
Δθm(t) 他群うなりの位相
dθ(t) うなり位相差
θe 一致位相
e(t) 位相一致時刻
inj 注入電流
11、f12、f21、f22 注入周波数

Claims (12)

  1. 上位系統に変電所を介して配電線が接続された配電系統の配電線に、分散電源を有する複数の分散電源保有設備が接続されており、かつ各分散電源保有設備は、当該分散電源保有設備と前記配電線とを接続する引込線を通して前記配電線に、当該配電系統の基本波周波数とは異なる周波数である注入周波数の注入電流を注入する電流注入装置と、前記引込線における注入周波数の電圧を計測して、当該電圧の増大から、当該分散電源保有設備内の分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転監視装置とを備えている構成の単独運転検出システムにおいて、
    (a)前記複数の分散電源保有設備を第1群と第2群との2群に分類し、
    (b)うなりを生じさせる二つの注入周波数からそれぞれ成る2組の注入周波数であって、各組を成す二つの注入周波数間の周波数差は両組で互いに同じであり、かつ両組を構成する四つの注入周波数はそれぞれ異なる第1組および第2組の注入周波数を用いて、
    (c)第1群に属する各分散電源保有設備の電流注入装置は第1組の注入周波数が設定されて当該注入周波数の電流組を含む注入電流を注入し、同分散電源保有設備の単独運転監視装置は第2組の注入周波数の内の少なくとも一方の注入周波数が設定されて当該注入周波数の電圧を計測して前記単独運転を検出するよう構成されており、
    (d)第2群に属する各分散電源保有設備の電流注入装置は第2組の注入周波数が設定されて当該注入周波数の電流組を含む注入電流を注入し、同分散電源保有設備の単独運転監視装置は第1組の注入周波数の内の少なくとも一方の注入周波数が設定されて当該注入周波数の電圧を計測して前記単独運転を検出するよう構成されており、
    (e)かつ両群の各分散電源保有設備は、自設備が属する方の群を自群、自設備が属さない方の群を他群と呼ぶと、自設備の電流注入装置が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の位相を、当該注入電流が生じさせるうなりである自設備うなりの位相に対して同一群内で共通した一定の位相関係に保つと共に、当該自設備うなりを、他群に属する分散電源保有設備の電流注入装置が注入する注入電流の総体が生じさせる電圧のうなりである他群うなりに同期させる同期制御装置をそれぞれ備えている、ことを特徴とする分散電源の単独運転検出システム。
  2. 前記同期制御装置は、
    (a)前記引込線における電圧に含まれている電圧であって、他群に属する分散電源保有設備の電流注入装置の注入周波数の電圧を計測して、当該電圧に基づいて前記他群うなりの位相を算出する他群うなり位相算出手段と、
    (b)自設備の電流注入装置が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の位相が、前記自設備うなりの位相に対して同一群内で共通した一定の位相関係になるように、当該電流組の各電流の位相をそれぞれ設定する電流位相設定手段と、
    (c)前記自設備うなりの位相と前記他群うなりの位相との位相差を求めて、当該位相差が同一群内で共通した一定値になるように、自設備の電流注入装置が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の位相を、両位相の変化量間の比率を両電流の前記設定された周波数間の比率と同じ比率に保ったまま変化させて、前記自設備うなりを前記他群うなりに同期させるうなり同期手段とを備えている請求項1記載の分散電源の単独運転検出システム。
  3. 前記同期制御装置は、
    (a)前記引込線における電圧に含まれている電圧であって、他群に属する分散電源保有設備の電流注入装置の注入周波数の電圧を計測して、当該電圧に基づいて前記他群うなりの位相を算出する他群うなり位相算出手段と、
    (b)自設備の電流注入装置が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の位相が、前記自設備うなりの位相に対して同一群内で共通した一定の位相関係になるように、当該電流組の各電流の位相をそれぞれ設定する電流位相設定手段と、
    (c)前記自設備うなりの位相と前記他群うなりの位相との位相差を求めて、当該位相差が同一群内で共通した一定値になるように、当該位相差に応じて、自設備の電流注入装置が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の周波数を、両周波数間の比率を前記設定された周波数間の比率に保ったまま増減させて、前記自設備うなりを前記他群うなりに同期させるうなり同期手段とを備えている請求項1記載の分散電源の単独運転検出システム。
  4. 前記電流位相設定手段は、前記自設備うなりの位相が0度になるときの前記電流組の各電流の位相を0度に設定するものであり、
    前記うなり同期手段は、前記自設備うなりの位相と前記他群うなりの位相との位相差を0度にするものである請求項2または3記載の分散電源の単独運転検出システム。
  5. (1)前記同期制御装置は、
    (a)前記引込線における電圧に含まれている電圧であって、他群に属する分散電源保有設備の電流注入装置の注入周波数の電圧を計測して、当該電圧に基づいて前記他群うなりの位相を算出する他群うなり位相算出手段と、
    (b)時刻tを表す信号を発生するクロック手段と、
    (c)下記のうなり位相差に応じたものであって、当該うなり位相差を同一群内で共通した一定値にする位相一致時刻Te(t)((t)は時間的に変動する物理量であることを示す。以下同様)を発生する位相一致時刻発生手段と、
    (d)同一群内で共通の固定された位相である一致位相θe を設定する一致位相設定手段と、
    (e)自設備の組を成す前記設定された二つの注入周波数を角周波数で表してωa 、ωb とすると、前記時刻t、位相一致時刻Te(t)および一致位相θe を用いて、次式またはそれと数学的に等価の式で表される二つの位相θa(t)、θb(t)を発生する位相発生手段と、
    θa(t)=ωa(t−Te(t))+θe
    θb(t)=ωb(t−Te(t))+θe
    (f)前記二つの位相θa(t)、θb(t)間の位相差を求めて前記自設備うなりの位相を算出する自設備うなり位相算出手段と、
    (g)前記自設備うなりの位相と前記他群うなりの位相との位相差であるうなり位相差を算出するうなり位相差算出手段とを備えており、
    (2)前記電流注入装置は、
    (a)前記二つの位相θa(t)、θb(t)を用いて、当該位相θa(t)、θb(t)をそれぞれ有する二つの正弦波交流信号を含む注入信号を発生する注入信号発生手段と、
    (b)前記注入信号を用いて前記注入電流を形成する注入電流形成手段とを備えている請求項1記載の分散電源の単独運転検出システム。
  6. 前記位相一致時刻発生手段は、前記うなり位相差を0度にする前記位相一致時刻Te(t)を発生するものであり、
    前記一致位相設定手段は、前記自設備うなりの位相が0度になるときの前記一致位相θe を0度に設定するものである請求項5記載の分散電源の単独運転検出システム。
  7. 前記第1組および第2組の注入周波数を構成する各注入周波数は、いずれも、前記配電系統の基本波周波数の1倍よりも大きい非整数倍の周波数である請求項1ないし6のいずれかに記載の分散電源の単独運転検出システム。
  8. 前記配電線は3相配電線であり、
    前記各分散電源保有設備は当該3相配電線の三つの線間の内の一つの線間にそれぞれ接続されており、
    かつ当該3相配電線の第1の線間に接続されている分散電源保有設備および第2の線間に接続されている分散電源保有設備を前記第1群に属させ、第3の線間に接続されている分散電源保有設備を前記第2群に属させている請求項1ないし7のいずれかに記載の分散電源の単独運転検出システム。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の分散電源の単独運転検出システムを備えている前記配電系統の配電線に接続されて、前記第1群および第2群の分散電源保有設備の内の一方の群の一員となる後続の分散電源保有設備内の分散電源の単独運転を検出する装置であって、
    (a)前記第1組および第2組の内の一方の組の注入周波数が設定されて当該周波数の電流組を含む注入電流を、前記後続の分散電源保有設備と前記配電線とを接続する引込線を通して前記配電線に注入する電流注入装置と、
    (b)前記後続の分散電源保有設備用の前記引込線における電圧であって、前記第1組および第2組の内の他方の組の注入周波数を構成している少なくとも一方の注入周波数が設定されて当該周波数の電圧を計測して、当該電圧の増大から、前記後続の分散電源保有設備内の分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転監視装置と、
    (c)前記後続の分散電源保有設備を自設備と呼び、当該自設備が一員となる方の分散電源保有設備の群を自群、当該自設備が一員とならない方の分散電源保有設備の群を他群と呼ぶと、自設備用の前記電流注入装置が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の位相を、当該注入電流が生じさせるうなりである自設備うなりの位相に対して同一群内で共通した一定の位相関係に保つと共に、当該自設備うなりを、他群に属する分散電源保有設備の電流注入装置が注入する注入電流の総体が生じさせる電圧のうなりである他群うなりに同期させる同期制御装置とを備えていることを特徴とする分散電源の単独運転検出装置。
  10. 前記同期制御装置は、
    (a)前記引込線における電圧に含まれている電圧であって、他群に属する分散電源保有設備の電流注入装置の注入周波数の電圧を計測して、当該電圧に基づいて前記他群うなりの位相を算出する他群うなり位相算出手段と、
    (b)自設備の電流注入装置が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の位相が、前記自設備うなりの位相に対して同一群内で共通した一定の位相関係になるように、当該電流組の各電流の位相をそれぞれ設定する電流位相設定手段と、
    (c)前記自設備うなりの位相と前記他群うなりの位相との位相差を求めて、当該位相差が同一群内で共通した一定値になるように、自設備の電流注入装置が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の位相を、両位相の変化量間の比率を両電流の前記設定された周波数間の比率と同じ比率に保ったまま変化させて、前記自設備うなりを前記他群うなりに同期させるうなり同期手段とを備えている請求項9記載の分散電源の単独運転検出装置。
  11. 前記同期制御装置は、
    (a)前記引込線における電圧に含まれている電圧であって、他群に属する分散電源保有設備の電流注入装置の注入周波数の電圧を計測して、当該電圧に基づいて前記他群うなりの位相を算出する他群うなり位相算出手段と、
    (b)自設備の電流注入装置が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の位相が、前記自設備うなりの位相に対して同一群内で共通した一定の位相関係になるように、当該電流組の各電流の位相をそれぞれ設定する電流位相設定手段と、
    (c)前記自設備うなりの位相と前記他群うなりの位相との位相差を求めて、当該位相差が同一群内で共通した一定値になるように、当該位相差に応じて、自設備の電流注入装置が注入する注入電流を構成する電流組の各電流の周波数を、両周波数間の比率を前記設定された周波数間の比率に保ったまま増減させて、前記自設備うなりを前記他群うなりに同期させるうなり同期手段とを備えている請求項9記載の分散電源の単独運転検出装置。
  12. (1)前記同期制御装置は、
    (a)前記引込線における電圧に含まれている電圧であって、他群に属する分散電源保有設備の電流注入装置の注入周波数の電圧を計測して、当該電圧に基づいて前記他群うなりの位相を算出する他群うなり位相算出手段と、
    (b)時刻tを表す信号を発生するクロック手段と、
    (c)下記のうなり位相差に応じたものであって、当該うなり位相差を同一群内で共通した一定値にする位相一致時刻Te(t)((t)は時間的に変動する物理量であることを示す。以下同様)を発生する位相一致時刻発生手段と、
    (d)同一群内で共通の固定された位相である一致位相θe を設定する一致位相設定手段と、
    (e)自設備の組を成す前記設定された二つの注入周波数を角周波数で表してωa 、ωb とすると、前記時刻t、位相一致時刻Te(t)および一致位相θe を用いて、次式またはそれと数学的に等価の式で表される二つの位相θa(t)、θb(t)を発生する位相発生手段と、
    θa(t)=ωa(t−Te(t))+θe
    θb(t)=ωb(t−Te(t))+θe
    (f)前記二つの位相θa(t)、θb(t)間の位相差を求めて前記自設備うなりの位相を算出する自設備うなり位相算出手段と、
    (g)前記自設備うなりの位相と前記他群うなりの位相との位相差であるうなり位相差を算出するうなり位相差算出手段とを備えており、
    (2)前記電流注入装置は、
    (a)前記二つの位相θa(t)、θb(t)を用いて、当該位相θa(t)、θb(t)をそれぞれ有する二つの正弦波交流信号を含む注入信号を発生する注入信号発生手段と、
    (b)前記注入信号を用いて前記注入電流を形成する注入電流形成手段とを備えている請求項9記載の分散電源の単独運転検出装置。
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