JP2009009822A - 画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】MIM型エミッタを用いたFEDの残像減少を解決する。
【解決手段】
平坦な基板上に形成された下部電極、絶縁層、および上部電極をこの順で重ねて構成された金属−絶縁層−金属型のダイオード素子であって、前記下部電極が、アルミニウム合金の単層膜、あるいはアルミニウム合金を含む積層膜からなり前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、前記絶縁層中における合金添加元素の面積濃度が1.1×1014cm-2以下に制限する。このような構成によって残像回復時間を2秒以下にする。
【選択図】図6

Description

本発明は、画像表示装置に関わり、特に電子源アレイと蛍光面を用いた自発光型のフラット・パネル・ディスプレイとも称する画像表示装置に係わる。
微少で集積可能な冷陰極型の電子源を利用する画像表示装置(フィールド・エミッション・ディスプレイ:FED)が開発されている。この種の画像表示装置の電子源は、電界放出型電子源とホットエレクトロン型電子源とに分類される。前者には、スピント型電子源、表面伝導型電子源、カーボンナノチューブ型電子源等が属し、後者には金属―絶縁体―金属を積層したMIM(MetAl―Insulator―MetAl)型、金属―絶縁体―半導体を積層したMIS(MetAl―Insulator―Semiconductor)型、金属―絶縁体―半導体−金属型等の薄膜型電子源がある。
FEDではこれらの電子源を基板上にマトリクス状に配置し、対向基板の前記電子源に対応した部分に蛍光体を形成する。基板と対向基板との間を真空に保持し、電子源から放出された電子によって蛍光体を光らせて画像を形成する。
MIM電子源は、表面汚染に比較的強い、ビームの蛍光面側への指向性が良い等の特徴を有している。MIM電子源については、例えば「特許文献1」に記載がある。また、MIM電子源を用いた画像表示装置の構造については例えば、「非特許文献1」に記載されている。
特開平11−95716号公報 楠等、「月刊ディスプレイ」平成14年3月、株式会社テクノタイムズ社発行、Vol.8No.3,p54(2002)
「非特許文献1」には、MIM(Metal-Insulator-Metal)ダイオード構造の電子放出素子で、FED(Field Emission Display)を構成する技術が開示されている。この技術において、トンネル絶縁膜には、高い密度の電子が注入される。その一部は絶縁膜の中に捕獲され、図1に示すように絶縁膜内の電界を緩和させ、トンネル障壁の厚さが増加するため、注入電子量が減少してエミッション電流が低下してしまう。
これを避けるため、「特許文献1」では、非表示期間中ダイオードに逆バイアスを印加して、捕獲された電子の脱離を促進する駆動法が開示されている。しかしながら画像表示においては、表示履歴が画像に影響を与える、残像現象が観測され問題となった。図2に典型的な例を記載する。まずゼロ輝度画像を背景に、ピーク輝度で文字を表示する。つぎに画像を中間輝度(例えばピーク輝度の1/4輝度)に切り替えると、白黒が反転した文字が観測される。文字を表示した画素では、ダイオード特性が前述の電子捕獲により、閾値が正方向にシフトする(図3参照)。このため当該領域の画素は、同じ駆動電圧を与えても周りより低い電流しか出力することができない。
本発明の目的は、残像現象を解消するため、電子捕獲源の少ないトンネル絶縁膜を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、下部電極を構成するAl合金の添加剤組成を制限する。これにより陽極酸化で形成するトンネル絶縁膜中の添加剤濃度を一定の水準以下にすることを基本構成とする。本発明の代表的構成を記述すれば、以下のとおりである。
本発明のダイオード素子は、平坦な基板上に形成された下部電極、絶縁層、および上部電極をこの順で重ねて構成された金属−絶縁層−金属型のダイオード素子を構成する。そして、前記絶縁層は、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、前記下部電極が、アルミニウム合金の単層膜、あるいはアルミニウム合金層を含む積層膜からなり、かつ前記絶縁層中における合金添加元素の面積濃度が1.1×1014cm-2以下であることを特徴とする。
また、本発明のダイオード素子は、その前記下部電極に対して、前記上部電極に正バイアスを印加することによりホットエレクトロンを前記絶縁膜に注入し、該注入されたホットエレクトロンの一部を前記上部電極から真空へ放出させる冷陰極型電子源を構成するものであり、前記上部電極は、当該電極中の電子散乱に関する平均自由工程に比べて同等あるいはそれ以下の膜厚を有し、かつ、その表面仕事関数が当該電極中のホットエレクトロンの最高エネルギーよりも小さいことを特徴とする。
また、本発明は、前記ダイオード素子の前記上部電極は、イリジウム、白金、金の順で重ねられた積層膜であることを特徴とする。
そして、本発明の表示装置は、マトリクス配置された複数の電子源を内面に備えた平坦な第1の基板と、前記電子源のそれぞれに対応して配置された複数の蛍光体を備えた平坦な第2の基板とを有し、この電子源として上記した構成のダイオード素子を用いたことを特徴とする。
本発明は、上記構成および後述する実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱することなく、種々の変更が可能である。
薄膜電子源に好適なMIM型ダイオード素子の電子加速層を陽極酸化で形成する際、トンネル絶縁膜にはアルミニウム合金の添加金属も同時に酸化物となって取り込まれる添加金属の酸化物は、電子捕獲中心となるので、これを一定水準以下に制限する。これによって本発明によるMIM電子源を使用した表示装置において残像現象を抑止することができる。
また、陽極酸化膜中の不純物を一定以下に抑えることによって電子が真空中に放出される割合を示すエミッション効率を上げることが出来る。さらに、陽極酸化膜中の不純物を一定以下に抑えることによって電子源がオープンあるいはショートするまでの寿命時間を延ばすことが出来る。
以下、本発明の最良の実施形態を実施例の図面を参照して詳細に説明する。
実施例1では、本発明の効果を実証した実験内容を開示する。実験には下部電極の材料として、アルミニウム−ネオジウム(Nd)合金を用い、その添加量を0.6, 1.0, 2.0原子量%に、トンネル絶縁膜に含まれるNd濃度が異なる3種類のMIM型FEDパネルA,B,Cを作製した。測定に使用したMIM型FEDパネルの製造方法については実施例2で詳細に開示する。
まずは残像特性の評価方法を説明する。評価では測定対象となる画素領域の、ダイオード電流、エミッション電流及び、輝度の経時変化を記録した。これらの数値は、残像以外の外的要因、例えば室温等の影響を受けて変動する。表示履歴に関係しない変動を取り除くため、2箇所の測定画素領域を設定し、両者の差分で残像量を計測した。
以下に評価手順を説明する。
(1)まず両者を平均輝度相当(ピーク輝度の1/4)で10分間駆動して素子を暖気運転する。
(2)次に領域1の画素をピーク輝度相当で所定の時間(例えば1時間)駆動する。この間領域2の駆動条件は、平均輝度で駆動する。
(3)領域1の輝度を平均に戻す。この瞬間を起点として、領域1の輝度(エミッション電流、ダイオード電流)を経時的に計測する。この時領域2の画素も、参照データとして同時に記録する。
(4)両者のデータを、ピーク輝度直前の値を基準に規格化を行う。これは領域1,2での輝度差の影響を排除するためである。
(5)最後に規格化した両者の差分データを求めグラフ化する。グラフから所定の回復率に達する時間を求め、これを回復時間と定義する。本発明では、98%回復時間を残像回復時間と定義した。
一方トンネル絶縁膜の中に含まれるネオジウム(Nd)量の計測には、2次イオン質量分析(SIMS)を用いた。試料はパネルと同じ下部電極膜を、パネルと同じ陽極酸化条件でトンネル絶縁膜を作製した。SIMS測定では一次イオンにはCsイオンを、またスパッタエッチングにはArイオンを用いた。得られた2次イオン強度信号は、濃度が既知の標準試料から得た感度係数をもとに体積濃度に変換した。図4に前記3種類の試料A,B,CのNd元素の深さ方向分布を示す。これらの濃度分布を深さ方向で積分することで、トンネル絶縁膜における単位面積あたりのNd濃度(面積濃度)を算出することが出来る。その結果を図5の表に示す。
アルミニウム合金膜はスパッタリングで形成するが、アルミニウム合金膜のNdの成分量はターゲットの組成を変化させることによって変えることが出来る。図5の表はターゲット中のNd含有量と陽極酸化膜中のNdの面積密度の関係を示すものである。
このようにして得た3種類のパネルの、Nd面積濃度と残像回復時間の関係を図6に示す。仮に残像回復時間の許容限界を2秒以下にすると、Nd面積濃度は1.1×1014cm-2以下に設定しなければならないことが判る。動画によっては残像回復時間は2秒以下では不足で1秒以下としたい場合もある。この場合はNd面積濃度は1.1×1014cm-2以下に設定しなければならない。なお回復時間の許容限界値を変える場合は、それに応じて図に戻り面積濃度を求め直せばよい。本発明の重要な知見は、陽極酸化膜中の不純物の体積密度よりも、陽極酸化膜中の不純物の絶対量が重要であるということである。
図6はNdについて評価しているが、添加材としてSc、Y、Sm等を用いる場合も同様な基準を適用してよい。また、添加材として化学的性質の同じランタノイド系,もしくはIIIA族の金属元素を用いる場合も、同じ基準を適用してよい。さらには、添加材として元素周期律表におけるIAからVA族、VIAからVIII族のいずれかに属する金属元素の場合も同様な基準を適用することが出来る。
本発明はMIM電子源から電子が真空中に放出される割合を示すエミッション効率に対しても大きな効果が得られる。図7はスパッタリングターゲットのNd含有量とエミッション効率との関係を示す図である。図7の横軸はターゲットのNdの含有量であるが、MIM絶縁膜中のNd含有量は図5に示す表を用いて換算すればよい。
従来Alのヒロック防止の観点から、合金ターゲット中のNd濃度は2原子量%を用いており、この場合のエミッション効率は3.3%であった。ところがNd濃度を1原子量%、0.6原子量%と下げるに従ってエミッション効率はそれぞれ、5.1%と5.6%に向上することが判明した。本現象のメカニズムについては解明できていないが、絶縁膜中に存在するNdがフォノン散乱中心となって電子エネルギーの方向分布を変え、結果的に仕事関数を超える数を減少させるためではないかと考えている。
本発明によれば大幅にエミッション効率の向上させることが出来る。エミッション効率はMIM電子源で最も重要な特性の一つであるから、この点でも本発明は大きな効果がある。
本発明はさらに電子源の寿命特性の向上にも大きな効果がある。MIM電子源は長期間使用すると絶縁膜の特性が劣化し、上部電極と下部電極のショート等が生じ、エミッションが停止する。この現象は一般的に経時的絶縁破壊(TDDB)特性と呼ばれている。このMIM電子源が破壊するまでの時間(TDDB寿命)が絶縁膜中のNdの含有量によって大きく変わる。図8は従来のMIM電子源すなわち、絶縁膜のNd面積濃度が1.7×1014cm-2の場合と本発明の絶縁膜である、Nd面積濃度が5.0×1013cm-2の場合の寿命特性を比較したものである。
図8において、横軸は時間、縦軸は累積不良率、すなわち、MIMの電子放出が起こらなくなる不良の累積値である。このグラフはワイブルチャートと呼ばれているものである。図8において、分布Aは従来の電子源の寿命特性で、分布Bは本発明の電子源の寿命特性である。累積不良率が50%となる時間は従来例では約2000時間であるのに対し、本発明の電子源では約6000時間となっており、寿命時間は3倍となっている。電子源の寿命はそのまま表示装置の寿命である。このように、本発明は表示装置寿命特性の向上に対して極めて大きな効果がある。
ここでは図9乃至図18により、本発明のダイオード素子を適用した表示装置の電子源を製造する工程を説明する。各図において、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A’線に沿った断面図、(c)は(a)のB−B’線に沿った断面図を示す。
図9において、ガラス等の絶縁性の基板(背面基板、あるいはカソード基板とも称する)10上に信号電極11(以下、下部電極11)用の金属膜を成膜する。下部電極11の材料としてはアルミニウム合金を用いる。ここでは、ネオジウム(Nd)を0.6,1.0,2.0原子量%ドープしたA1−Nd合金を用いた。この金属膜の成膜には、例えば、スパッタ法を用いる。膜厚は300nmとした。成膜後はホトリソグラフィ工程、エッチングエ程により図9に示すようなストライプ状の下部電極11を形成する。エッチング液には、例えば燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液によるウェットエッチングを適用する。
図10において、下部電極11の一部にレジストパターンを付与し、表面を局所的に陽極酸化する。化成液の組成は酒石酸アンモニウム水溶液とエチレングリコールの混合液で、酸化電流は100uA/cm2、酸化電圧は100Vである。
続いて、局所酸化に用いたレジストパターンを剥離し、下部電極11の表面を再度陽極酸化し、下部電極11上に電子加速層となる絶縁層(トンネル絶縁膜)12を形成する。
化成液の組成は酒石酸アンモニウム水溶液とエチレングリコールの混合液で、酸化電流は10uA/cm2、酸化電圧は4Vである。トンネル絶縁膜12の回りにはフィールド絶縁膜12Aが形成される。この時、既に酸化膜が成長した領域では、酸化は行われず、前工程でレジストに覆われていた領域だけに酸化膜が約10nmだけ成長する。酸化に際してAl合金の添加金属であるNdは、Alとともに液相側に移動し、液界面でO-2と反応して酸化膜となる。
図11は、信号線の端子部における図10と同様の説明図である。本発明では、信号線の端子部にも画素部分と同様のトンネル絶縁層12が複数形成される。図12において、絶縁層14として、窒化珪素SiN(例えば、Si34)をスパッタ法により形成する。接続電極15としてクロム(Cr)を100nm、上部電極給電線(上部電極給電配線、走査線バス配線)16としてA1合金を2μm、その上に表面保護層17としてクロム(Cr)を形成する。
図13において、走査線となる部分に表面保護層17のCrを残す。Crのエッチングには、硝酸セリウム2アンモニウムと硝酸の混合水溶液が適している。このとき、表面保護層17の線幅は、次工程で作製される上部電極給電線16の線幅よりも狭くなるように設計する必要がある。
これは、上部電極給電線16が2μmのA1合金からなるため、ウェットエッチングにより同程度のサイドエッチングの発生が避けられないためである。これを考慮しないと表面保護層17が上部電極給電線16から庇上に張り出す。表面保護層電極17の庇上に張り出した部分は、強度が不十分で、製造工程中容易に崩落や、剥離を起こし、走査線間のショート不良に至るとともに、高電圧印加時に電界集中を起こすため致命的な放電を誘発する。
図14において、上部電極給電線16を下部電極11とは直交する方向にストライプ状に加工する。エッチング液には例えば、燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液(PAN)が適している。
図15において、接続電極15を絶縁膜14の開口部側にせり出すように、また反対側では上部電極給電配線16に対して後退するように(アンダーカットができるように)加工する。このためには、ホトレジストパターン18を、前者では接続電極15上に、後者では表面保護層17上に配してウェットエッチングを行えばよい。エッチング液には前述の硝酸セリウム2アンモニウムと硝酸との混合水溶液が好適である。このとき、絶縁膜下層14はトンネル絶縁膜12をエッチング液から守るエッチングストッパーの役割を担っている。
図16において、電子放出部を開けるために、レジストパターン18を形成しホトリソグラフィとドライエッチングにより絶縁膜14の一部を開口する。エッチングガスにはCF4と02との混合ガスが好適である。図17において露出したトンネル絶縁膜12には再度陽極酸化を施し、エッチングによる加工損傷を修復する。酸化条件は、化成液の組成は酒石酸アンモニウム水溶液とエチレングリコールの混合液で、酸化電流は10uA/cm2、酸化電圧は4Vとする。
図18に示したように、上部電極13を形成してカソード基板(電子源基板、陰極基板)が完成する。上部電極13の成膜にはシャドウマスクを用い、基板周辺に配された電気配線の端子部分などに成膜しないようにスパッタリング(スパッタ)法で行う。上部電極給電線16は前述のアンダーカット構造部分で被服不良を起こし、上部電極13が走査線毎に自動的に分離される。上部電極13の材料としては、Ir,Pt,Auの積層膜を用い、それぞれの膜厚は数nmとする。これにより、ホトリソグラフィ・エッチングに付随する上部電極13やトンネル絶縁膜12への汚染や損傷を回避することができる。
MIM型カソード基板を用いた画像表示装置の構成例を図19と図20により説明する。まず、上述したプロセスでカソード基板10上にMIM型電子源を複数個配列したカソード基板を作製する。説明のため、図19には(3×4)ドットのMIM型電子源基板の平面図と断面図を示したが、実際には表示ドット数に対応した数のMIM型電子源のマトリクスを形成する。
図19(a)は平面図、図19(b)は図19(a)のA−A’断面図、図19(c)は図19(a)のB−B’断面図である。前記の説明における符号と同一符号は同一機能部分に対応する。
図20により、前面基板(アノード基板とも称する)の構成をその作製方法で説明する。図20(a)は平面図、図20(b)は図20(a)のA−A’断面図、図20(c)は図20(a)のB−B’断面図である。前記の説明における符号と同一符号は同一機能部分に対応する。アノード基板110には透光性のガラスなどを用いる。
まず、画像表示装置のコントラストを上げる目的でブラックマトリクス117を形成する。ブラックマトリクス117は、PVA(ポリビニルアルコール)と重クロム酸アンモニウムとを混合した溶液をアノード基板110に塗布し、ブラックマトリクス117を形成したい部分以外に紫外線を照射して感光させた後、未感光部分を除去し、そこに黒鉛粉末を溶かした溶液を塗布してPVAをリフトオフすることにより形成する。
次に、赤色蛍光体111を形成する。蛍光体粒子にPVA(ポリビニルアルコール)と重クロム酸アンモニウムとを混合した水溶液をアノード基板110上に塗布した後、蛍光体を形成する部分に紫外線を照射して感光させた後、未感光部分を流水で除去する。このようにして赤色蛍光体111をパターン化する。同様にして、緑色蛍光体112と青色蛍光体113を形成する。蛍光体としては、例えば赤色にY22S:Eu(P22−R)、緑色にZnS:Cu,Al(P22−G)、青色にZnS:Ag(P22−B)を用いればよい。
次いで、ニトロセルロースなどの膜でフィルミングして表面を平坦化した後、アノード基板110全体にAlを膜厚75nm程度蒸着してメタルバック114とする。このメタルバック114が加速電極として働く。その後、アノード基板110を大気中400℃程度に加熱してフィルミング膜やPVAなどの有機物を加熱分解する。このようにして、アノード基板が完成する。このようにして製作したアノード基板110とカソード基板10とをスペーサ30を介し、表示領域の周囲に枠ガラス116を介在させてフリットガラス115で封着する。
図21は、カソード基板とアノード基板を貼り合わせた画像表示装置断面図であり、図21(a)は図20のA−A’断面に相当し、図21(b)は図20のB‐B’断面に相当する。貼り合わせたアノード基板110とカソード基板10間の距離は1〜3mm程度になるようにスペーサ30の高さを設定する。スペーサ30は、例えば板状のガラスまたはセラミックスを上部電極給電線16上に配置する。この場合、スペーサが表示基板側のブラックマトリクス117の下に配置されるため、スペーサ30は発光を阻害しない。ここでは、説明のため、R(赤)、G(緑)、B(青)に発光するドット毎、すなわち上部電極給電線16上の上に全てスペーサ30を立てているが、実際は機械強度が耐える範囲でスペーサ30の枚数(密度)を減らし、例えば数cmおきに立てればよい。
また、ここでは説明しなかったが、支柱状のスペーサ、格子状のスペーサを使用する場合でも同様な手法によりパネル組み立てが可能である。封着したパネルは、10-7Torr程度の真空に排気して封じ切る。封止後、内蔵したゲッターを活性化し、基板と枠とで構成される容器内を高真空に維持する。例えば、Baを主成分とするゲッター材の場合、高周波誘導加熱等によりゲッター膜を形成できる。また、Zrを主成分とする非蒸発型ゲッターを用いてもよい。
このようにして、MIM型電子源を用いた表示パネルが完成する。アノード基板110とカソード基板10間の距離は1〜3mm程度と長いので、メタルバック114に印加する加速電圧を1〜10KVと高電圧に出来る。これにより、蛍光体には陰極線管(CRT)用の蛍光体を使用できる。
図22は、本発明の画像表示装置の全体構成例の概略を説明する展開斜視図である。カソード基板を構成する背面パネルPNL1には、そのカソード基板10の内面に、一方向に延在し該一方向と直交する他方向に並設されて前記他方向に走査信号が順次印加される複数の配線で構成される走査線16と、他方向に延在し走査線で構成される上部電極13に交差する如く前記一方向に並設された複数の信号線11(下部電極11)と、走査線16と下部電極11の各交叉部近傍に設けた電子源ELSを有する。陰極基板10の上に下部電極11が形成され、その上に層間絶縁層を介して上部電極13が形成されている。
そして、アノード基板を構成する前面パネルPNL2には、その基板110の内面にブラックマトリクス43で互いに区画された3色(赤(R)、緑(G)、青(B))の3つの副画素41と、アノード(陽極)43が形成されている。この構成例では、陰極基板10の走査線16の上に、当該走査線16に沿ってスペーサ30を設置して両パネルを所定の間隔で図示しない枠ガラスを介在させて貼り合せ、真空封止している。スペーサ30は一枚のみ図示したが、通常は大気圧による圧壊を防止するよう一定の間隔で複数本設置される。
MIMエミッタの動作原理と、電子捕獲によるバンド変調の様子を示すエネルギーバンド図である MIMエミッタを用いたFEDパネルにおける、残像現象を示す図面である。 残像現象を説明する、MIMダイオードのI-V特性図である。 ターゲットのNd量と絶縁膜中のNd濃度の関係である。 ターゲットのNd量と絶縁膜中のNd面積濃度の関係を示す表である。 残像回復時間と、絶縁膜中のNd面積濃度との関係を示す図である。 ターゲットのNd量とエミッション効率の関係を示すグラフである。 ターゲットのNd量と寿命特性の関係を示すグラフである。 本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図である。 本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図9に続く図である。 本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図10に続く図である。 本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図11に続く図である。 本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図12に続く図である。 本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図13に続く図である。 本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図14に続く図である。 本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図15に続く図である。 本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図16に続く図である。 本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図17に続く図である。 MIM型カソード基板の構成例を説明する図である。 アノード基板の構成例を説明する図である。 カソード基板とアノード基板を貼り合わせた画像表示装置断面図である。 本発明の画像表示装置の全体構成例の概略を説明する展開斜視図である。
符号の説明
10・・・絶縁基板、11・・・下部電極(信号線)、12・・・トンネル絶縁層(電子加速層)、13・・・上部電極、14・・・層間絶縁層、15・・・接続電極、16・・・上部電極給電配線(走査線)、17・・・表面保護膜。

Claims (8)

  1. 基板上に形成された下部電極、絶縁層、および上部電極をこの順で重ねて構成された金属−絶縁層−金属型のダイオード素子であって、
    前記下部電極が、アルミニウム合金の単層膜、あるいはアルミニウム合金を含む積層膜からなり前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、
    前記絶縁層中における合金添加元素の面積濃度が1.1×1014cm-2以下であることを特徴とするダイオード素子。
  2. 前記ダイオード素子は、その前記下部電極に対して、前記上部電極に正バイアスを印加することによりホットエレクトロンを前記絶縁膜に注入し、該注入されたホットエレクトロンの一部を前記上部電極から真空へ放出させる冷陰極型電子源を構成するものであり、
    前記上部電極は、当該電極中の電子散乱に関する平均自由工程に比べて同等あるいはそれ以下の膜厚を有し、かつ、その表面仕事関数が当該電極中のホットエレクトロンの最高エネルギーよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のダイオード素子。
  3. 前記上部電極は、イリジウム、白金、金の順で重ねられた積層膜であることを特徴とする電子放出素子請求項1に記載のダイオード素子。
  4. カソードをマトリクス配列した陰極ガラス基板と、前記カソードに相対する蛍光体を配置した陽極ガラス基板と、前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の対向内面の端部を周回して介挿された封止ガラス枠とで真空容器を構成してなり、
    前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の間に植立され、両基板の間隔を所定値に保持するスペーサと、
    前記陰極ガラス基板の内面の一方向に延在し、該一方向と交差する他方向に並設して形成された複数の信号配線と、
    前記信号配線とは絶縁層を介して前記他方向に延在し、前記一方向に並設して形成された複数の走査配線とを有し、
    前記カソードは、前記信号配線と前記走査配線の交差部付近において下部電極を構成する前記信号配線と、この信号配線上に形成された電子加速層と、前記走査配線に接続して前記電子加速層を覆って形成された上部電極との積層構造からなり、前記下部電極に対して前記上部電極に正のバイアスを与えることで前記上部電極から放出される電子を前記蛍光体に衝突させて発光を得る画像表示装置であって、
    前記下部電極が、アルミニウム合金の単層膜、あるいはアルミニウム合金を含む積層膜からなり前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、かつ前記絶縁層中における合金添加元素の面積濃度が1.1×1014cm-2以下であることを特徴とする画像表示装置。
  5. 前記絶縁層中における合金添加元素の面積濃度が8×1013cm-2以下であることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
  6. 前記アルミニウム合金の添加材が、元素周期律表におけるIAからVA族、VIAからVIII族のいずれかに属する金属元素であることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
  7. 前記アルミニウム合金の添加材がSc,Y,Nd,Smのいずれかであることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
  8. 前記アルミニウム合金の添加材がNdであることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
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