JP2009008067A - 環凹溝による微量排出ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は微量排出する液体ポンプの小型化と携帯化、ポンプ部分の容易な着脱交換を課題とする。
【解決手段】 放射方向の断面が円弧状で環状の環凹溝と、ゴム質で平らな弾性板または膜を併せてポンプ室とする。その中央部に隙間を設け吸入口を開口させ、環凹溝の外側に環状の溝と排出口を設けてポンプを形成する。環凹溝とほぼ同形状の環状突起を持つ加圧台で、弾性板や弾性膜を環凹溝内に押し込んでポンプ作用を行う。その駆動装置として復数の鋼球を等間隔で保持枠によって保持し両側を溝で受け転動させる。一方の溝の深さを等間隔で鋼球数だけ深さを変化させた変深溝とする。鋼球を挟む台の片側を回転台、他方を弾性板や膜を押し込む加圧台とする。加圧台はバネで常時回転台方向に加圧する。回転台は回転のみで軸方向の動きは拘束し、他方加圧台の回転は拘束され軸方向にのみ移動可能とする。回転台が回転すると鋼球は転動して鋼球数の半数回例えば三個の場合は二回転で三回ほど、加圧台は変深溝の深さ変化量だけ往復動してポンプを駆動する。
【選択図】図4

Description

毎分数ccから数十ccのような微量又は少量を排出する液体ポンプに関する。
液体の少量排出用としてギアポンプやプランジャーポンプ、またチューブ・ローラーによるもの等、諸方式のポンプが広く利用されている。しかし何れもポンプ本体や駆動装置が複雑で大きく、当然ポンプの運転に必要な電力も多くなる。例えば携帯用として長時間使用でき、拳大位に小型化した医療用ポンプの実用化は困難であった。またプラスチック等による簡潔な構造で、ポンプ部分を簡単に着脱し交換できるものは未開発である。
ギアやプランジャー方式のように金属製で、その摺動部に液体が触れる構造のものは、医療用や薬品、溶剤などの用途には特殊な加工が必要で一般的に使用しにくい。またこの様な液体を毎分数cc程度の微量を、間歇でなく連続排出できるようにしたポンプの実用化は可成り困難である。
微量又は少量を排出する液体用ポンプの構造を簡潔にして、製品の小型化と低コスト化を課題とする。それに対応するため、独立した吸排出弁が無くても機能する弾性体構造によるポンプの実用化。
1mm以下のような小範囲で正確な往復駆動ができ、行程幅を固定又は調節可能にした高効率で小型のポンプ駆動装置の開発。
駆動部からポンプ部分のみを容易に着脱交換できるようにし、点滴的用途など広く医療用ポンプとしても利用を可能にする。
吸排出を交互に繰り返すことによって発生する排出量の脈動を軽減するため、特別の装置を設けず、弾性チューブの形状変化による体積変化を利用して解決する。同時に屈折による閉塞を防止できるチューブの開発。
環状の凹溝と弾性板又は弾性膜を併せたポンプ室構造とし、その中心部に隙間を設け吸入口を開口させる。弾性板や弾性膜を加圧台により凹溝内に押し込み、凹溝内の液体を外周部に排出させる。元に戻る行程で凹溝内は低圧になり吸入口が開口して吸引する。
弾性板や弾性膜を反復して加圧する駆動装置は、鋼球やコロを使用したスラスト・ベアリングに基づいた構造とする。通常のベアリングでは両側の溝は等深であるが、駆動装置として利用するには何れかの側の溝の深さを等間隔で変化させる。その変深溝は鋼球又はコロと同じ数の、深さ変化を持った溝とする。複数例えば3個の鋼球やコロは、保持枠で等間隔に配置して最浅部と最深部の間を揃って転動し、反対側の台を深さの変化量だけ往復動させる。
ポンプ部分を単純な構造で一体化し、取付環のネジ止め等によって簡単な着脱交換を可能にする。
反復駆動によって生ずる排出量の脈動と屈折による閉塞を防ぐため、ゴム質のチューブの断面を楕円状にし、その内外面の長短径比率を変え長径方向をより厚いものとする。
ポンプ本体と駆動装置が共に従来の装置と比較して、格段に単純化され小型軽量化が可能となり、製造コストの低減と新利用分野の開発が計られる。
ポンプ部分を駆動部から容易に着脱出来るようになり、またプラスチック化等によって完全に一体化して、使用都度の交換を必要とする医療用にも広く利用できる。
スラスト・ベアリング構造による微駆動装置は、鋼球やコロの転動によるもので効率が良い。クランクやカム方式など従来のポンプ駆動装置より、構造が格段に簡潔で小型化も容易となる。モーターの低出力化が可能で、小型電池を電源として長時間使用できる携帯用のポンプも実用化できる。
以下本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1に示した実施例は潤滑油など一般の液体の他、強酸や強アルカリ性の液体又はアルコールなど、低粘性の液体にも対応できる微量排出ポンプの断面図である。ポンプ室となる環凹溝1aは断面が円弧状で環状の浅く凹んだ溝で、弾性質の環凹板10に形成されポンプ枠11aに固定されている。
モーター14は回転軸20aに取り付けられた回転台6aを回転させる。回転台6aの上側にスラスト・ベアリングの受け30を設けて上方向への圧力を支える。バネ12で回転台6a方向に加圧され且つ回転は拘束されている加圧台2aは、回転台6aの回転によって保持枠8aに保持された、鋼球7aの変深溝13a内の転動により、変深溝13aの深さの変化量だけ加圧台2aを上下に駆動する。
図2と図3はその駆動装置と機能を示したもので、図2は図1のA−A断面の中心部分の保持枠8aと鋼球7aの配置図である。図3はその鋼球7aが転動する溝の中心断面を360度展開した図である。360度で三回変化する変深溝13aを持つ回転台6aは、図3では右方向に移動する。等深溝を持つ加圧台2aは鋼球7aを挟んで回転台6a側にバネで加圧されている。回転台6aがほぼ2回転すると鋼球7aは、転動しながら保持枠8aと一体で環状の溝を一周し、変深溝13aの深さの変化量だけ加圧台2aを三回往復動させる。変深溝13aの深さの変化は上下方向を同一としても良いが、図例では押し下げる方を、二倍の長さになるようにして溝の傾斜を緩くしている。傾斜が大きくなると鋼球7aとの滑りが発生し易く、スムーズな加圧台2の駆動が難しくなる。鋼球7aの溝径を大きくしても同様の効果がある。鋼球7aの数は二個以上から選択できるが、安定性と溝傾斜等を考慮して実施例では何れも三個としている。
ゴム質で円形の弾性板5はポンプの枠体9aとポンプ枠11aの間にしっかりと固定される。弾性板5と共にポンプ室を形成する環凹板10は中央部でポンプ枠11aに図のように固定され、その外周部は弾性板5に隙間無く密接した状態になっている。中心部は弾性板5との間に隙間が設けられ、弾性板5が図1のように平面状の時には吸入口3aが開口している。環凹板10の外周部のポンプ枠11aには、環状の溝17aと排出口4aが設けられている。両材質は液体に対し耐性を持たせる。
回転台6aの回転により加圧台2aが環凹溝1aの深さを限度として設定されただけ押し下げられると、弾性板5によって吸入口3aが塞がれ環凹溝1a内の圧力が上昇し、環凹板10は下方に変形して内部の液体は溝17aに押し出され、排出口4aよりチューブ16に送られ排出される。独立した吸排出弁は不要である。弾性板5を薄くすると環凹溝1aは直接剛性のポンプ枠11aに設けても、弾性板5の上方への変形によって排出可能となる。これは実施例2の弾性膜18によるものと同様である。高圧用ポンプで必要な場合、鋼球7aをコロに置き換えると耐圧性はより大きくなる。回転台6aの変深溝13aは、図例とは逆に加圧台2a側に設けても駆動する事はできる。
図4は医療用として点滴的用途や透析等に使用するポンプの断面図で、右端部の取付環24によって着脱可能なポンプ部分を図6で示している。円板状のポンプ枠11bの左面側に、断面が円弧状で環状の凹みである環凹溝1bを設けている。中心部に吸入口3bをまた環凹溝1bの外側に環状の溝17bを設け、これに排出口4bを接続する。ポンプ枠11bの左面には薄いゴム質からなる弾性膜18を、外周部の止め輪19によって緊張させた状態で取り付ける。ポンプ枠11bと吸入口3b、排出口4bはプラスチック等で一体成形され、また吸排出口にはそれぞれチューブが固定されている。点滴等の医療用では使用都度の交換を必要とする場合が多く、この実施例のような構造にすると、ポンプ部分は低コストで簡単に着脱し交換できる。図1例と同様に平面状の弾性膜18と、ポンプ枠11bの中心部にある吸入口3bの開口部には隙間を設けている。
ポンプ枠11bは取付環24のネジによって枠体9bに取り付け固定される。枠体9bの調節ねじ23によって一定範囲回転可能に支架された調節台21に、減速器付きモーター15が取り付けられている。その回転軸20bには回転台6bが固定され、鋼球7bを挟んで加圧台2bがバネ28により回転台6bの方向に加圧して組み立てられている。またバネ28の両端は固定され、加圧台は回転できない構造になっている。回転台6bが回転すると環凹溝1bの深さを限度として加圧台2bは往復動する。その深さを仮に変深溝13bの直径の2%とすると25mmの場合で0.5mmとなる。加圧台2bの右端面はポンプ枠11bの環凹溝1bとほぼ同形状で、排出を妨げないようその外周部は若干隙間を生ずるよう逃げを設けている。変深溝13bは加圧台2b側としてもよい。
鋼球7bは加圧台2bによって滑りが生じないよう一定の圧力で加圧されている。実施例1と同様に回転台6bが回転すると、変深溝13bにより加圧台2bを往復駆動して弾性膜18をポンプ枠11bの環凹溝1b内に押し込み、その内部の液体は外周部で弾性膜18を押し上げ、溝17bから排出口4bに排出される。加圧台2bが逆に左方向に移動すると弾性膜18の復元により排出口4bは塞がり、弾性膜18が平面状に復元して吸入口3bが開口し、液体が環凹溝1b内に注入される。回転台6bがほぼ2回転すると保持枠8bと鋼球7bは1周し3回ほど加圧台2bを駆動する。一回の排出量は環凹溝1bの容量と加圧台2bの駆動量によるが、仮に一回で0.05ccとすると毎分900回の駆動で毎分45cc、毎時2700ccとなる。毎回0.02ccで300回とすれば排出量は毎分6cc毎時360ccと極く少量となる。サイズを大きくし駆動回数を増やせば毎時10リットル超を排出するポンプも製造できる。排出量の制御はモーターの回転数による他、調節ねじ23により支架されている調節台21の、摘み22を回し加圧台2bによる弾性膜18の押し込み量を調整しても制御できる。調節台21は固定具29によって調節時以外は移動しないようにしている。本例でも独立した吸排出弁は不要である。
モーター回転を減速器で五分の一に減速し加圧台2の駆動量が0.5mmとすると、1回転に付き1.5回の駆動数になるので、約200倍の加圧力となって弾性膜18に作用する。例えばモーター15の回転トルクを3gとした場合諸ロスなどを考慮しても、弾性膜18に加わる力を約200〜400gとして利用する事は可能である。膜の加圧面積を2〜3cmとしても排出圧は、使用目的に対して十分な排出圧力を持つ。従来の医療用の点滴は圧力差を利用して行うが、このポンプでは排出量を制御して対応する。
モーター15を回転トルク1〜3g.cmで毎分3000回転の速度で連続駆動する場合、必要とする電力は通常のモーターでも0.2〜0.3VA前後である。小型電池で対応しても10数時間程度運転させることは困難ではない。
駆動動力として一般交流電源や電力変換装置を利用した、バイブレーター方式等を利用する事も可能である。しかし制御装置を含め同一出力では大型になり重量も増加する。ポンプを移動せず大量に使用する施設での利用は選択対照となる。
ポンプを駆動する動力としてモーターを利用出来ない場合、形状や重量は増大するが大型のゼンマイ等バネや重力による回転力を利用して駆動する事もできる。
反復駆動によるポンプでは排出が脈動となるが、これを軽減させる手段として図5が示すようにチューブ16の断面を楕円形状とする。更にその肉厚を長径方向を厚く短径方向を薄くする事により、弾性と円状に近づく変形によってチューブ内の容積を変化させ、脈動を軽減させると共にチューブの曲げ屈折による閉塞を防止する。
弾性膜18による吸入口3bの塞ぎをより確実にする必要がある場合、吸入口3の開口部の弾性膜18に押え27を設けて、バネ圧により排出行程時により強い力で吸入口3bを塞ぐようにできる。また必要があれば排出口4bに軽い球状の浮弁25を設け、空気等気体が混入したときの排出を停止できる。更に従来から使用されている諸形式の吸排気弁を使用できる。例えば図1の環凹溝1aを図2例のようにポンプ枠11aに設け、必要となる独立した排出弁を設けたポンプ構造とする事も可能である。
環凹溝と弾性板を使用した微量排出ポンプの断面図。 図1A−Aの断面図で中心部分の駆動装置を示した図。 図2で鋼球7aの回転軌跡に沿って360度展開した断面図。 ポンプ部分を着脱交換できる微量排出ポンプの断面図。 排出用チューブの断面図。 図4の右端部にあるポンプ部分のみを示した断面図。
符号の説明
1a, 1b 環凹溝 2a, 2b 加圧台
3a, 3b 吸入口 4a, 4b 排出口
5 弾性板 6a, 6b 回転台
7a, 7b 鋼球 8a, 8b 保持枠
9a, 9b 枠体 10 凹環板
11a,11b ポンプ枠 12 バネ
13a,13b 変深溝 14 モーター
15 モーター 16 チューブ
17a,17b 溝 18 弾性膜
19 止め輪 20a,20b 回転軸
21 調節台 22 摘み
23 調節ねじ 24 取付環
25 浮弁 26 電池
27 押え 28 バネ
29 固定具 30 受け

Claims (3)

  1. 断面が円弧状で環状の凹んだ環凹溝を設け、それに平面状でゴム質の弾性板か弾性膜を併せてポンプ室とする。環凹溝の外周部分は密着させ、その外側に環状の溝と排出口を、中心部には隙間を設け吸入口を開口させてポンプを形成する。環凹溝とほぼ同形状の加圧台により弾性板又は弾性膜を環凹溝内に押し込み、加圧によるポンプ室の弾性変形を利用して内部の液体を外周の溝に集め排出口より外部に排出する。加圧板が元に戻る行程で環凹溝は減圧され、排出は止まり吸入口より液体を環凹溝内に吸引する。以上の行程を繰り返えす環凹溝による微量排出ポンプ
  2. 請求項1によるポンプの駆動装置は、保持枠により等間隔で支えられた複数の鋼球又はコロを環状の溝を持つ台で挟んだ構造とする。一方を回転台としてモーター等によって回転させるが軸方向の動きは拘束し、他方は加圧台として軸方向は移動するが回転は拘束する。加圧台は鋼球を挟んで回転台の方向にバネで加圧する。鋼球を転動させ案内する溝の片方は等深とし、他方は鋼球の数だけ等間隔で加圧台の必要とする駆動量だけ深さを変化させた溝とする。回転台の回転によって加圧台をその変化量だけ往復駆動して弾性板又は弾性膜を環凹溝に押し込むポンプの駆動装置。
  3. 断面が楕円形状でゴム質の弾性体よりなるチューブの、長径方向を厚く短径方向を薄くして、ポンプ排出により生ずる脈動の平均化と、屈折に伴う閉塞を防止するチューブ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104712554A (zh) * 2015-04-01 2015-06-17 山东大学 一种基于Logix齿轮的微型泵
CN106704155A (zh) * 2016-12-15 2017-05-24 西安建筑科技大学 一种基于负泊松比结构的泵及其操作方法
CN110892263A (zh) * 2017-09-12 2020-03-17 株式会社岛津制作所 柱塞泵

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