JP2009006120A - 塗布具 - Google Patents

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Abstract

【課題】第1の液体と第2の液体とを確実に混合することができ、かつ、その混合液によるノズルの目詰まりを防止することができる塗布具を提供すること。
【解決手段】塗布具1は、管状をなす合流部43を有するノズル4と、合流部43と第1のシリンジとを連結する第1の流路44と、合流部43と第2のシリンジとを連結する第2の流路45と、混合液Mを回収するバルーン52と、合流部43とバルーン52とを連結する第3の流路51と、ガス流路46とを備えている。ガス流路46内には、第1の流路44、第2の流路45、第3の流路51およびバルーン52が収納されている。ガス流路46へのガスの供給が停止した際には、バルーン52に対する圧迫が解除され、バルーン52の容積が増加し、合流部43内の混合液Mは、第3の流路51を介して、バルーン52内に引き込まれて回収される。
【選択図】図10

Description

本発明は、塗布具に関するものである。
従来、2種以上の液体を混合して患部等に噴射し、癒着防止材や生体組織接着材などを形成する方法が知られており、そのための塗布具が開発されている。
このような塗布具は、混合すると凝固する成分同士、例えばトロンビンを含有する溶液とフィブリノーゲンを含有する溶液を互いに分別した状態で、患部付近まで送り、患部で混合しながら塗布するという構成によるものである。
従来の塗布具としては、異なる種類の液体をそれぞれ含有する2つのシリンジからそれぞれ流路が並んだ状態で設置され、両流路の先端、すなわち、各吐出口からそれぞれ液体が広がりながら噴出して、これら液体同士が混合するよう構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の塗布具では、2つの流路が並んで配置され、これに従って、2つの吐出口も並んで配置されている。また、前述したように、各吐出口からは、それぞれ、液体が広がりながら噴出する。このような液体の噴出と前記2つの吐出口の配置とにより、噴出した液体には、2種の液体が混合する部分と、混合せずにその液体のままの部分とが存在することとなる(例えば特許文献1中の図2(a)参照)。このため、患部には、混合が不均一な液体、すなわち、2種の液体が混合した液体と、混合していない(または混合が不十分な)液体とが塗布されるという問題があった。
特開2002−282368号公報
前記問題を解決する方法として、ノズルに、2種の液体が合流する合流部を設け、その合流部で合流して混合した混合液を噴出口から噴出するよう構成することが考えられる。
しかしながら、この方法(構成)では、混合液の噴出(塗布)を終了または中断すると、ノズルの合流部や噴出口に残存する混合液が凝固してしまう。その結果、ノズルに目詰まりが生じる。そして、この目詰まりが生じた状態の塗布具で再び塗布を行なおうとしても、前記凝固した液体が噴出口からの混合液の噴出を妨害し、再塗布を行なうことができないという問題がある。
本発明の目的は、第1の液体と第2の液体とを確実に混合することができ、かつ、その混合液によるノズルの目詰まりを防止することができる塗布具を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(19)の本発明により達成される。
(1) 液組成が異なる第1の液体および第2の液体をそれぞれ別個に供給する供給手段と、
前記供給手段から供給された前記第1の液体および前記第2の液体がそれぞれ通過する第1の流路および第2の流路と、
前記第1の流路を通過した前記第1の液体と前記第2の流路を通過した前記第2の液体とが合流する合流部と、該合流部内に連通し、前記第1の液体と前記第2の液体とが合流して混合した混合液が噴出する液体噴出口とを有するノズルと、
前記混合液を回収する混合液回収手段とを備え、
前記液体噴出口からの前記混合液の噴出が終了または中断した際に、前記混合液回収手段により、前記混合液を回収するよう構成されていることを特徴とする塗布具。
(2) 前記混合液回収手段は、前記合流部内に連通し、前記混合液が通過する第3の流路と、
内部の容積が増減するように変形し、前記第3の流路を介して前記混合液を回収する容器と、
前記容器を変形させる変形手段とを備える上記(1)に記載の塗布具。
(3) 前記第3の流路は、前記合流部の基端側に連通している上記(2)に記載の塗布具。
(4) 前記容器は、拡張・収縮可能なバルーンである上記(2)または(3)に記載の塗布具。
(5) 前記容器に回収された混合液が前記合流部側に戻るのを防止する逆流防止手段を有する上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の塗布具。
(6) 前記逆流防止手段は、前記第3の流路を形成する管が延長して前記容器内に突出した突出管で構成されている上記(5)に記載の塗布具。
(7) 前記変形手段は、ガスを供給するガス供給手段に接続され、その接続状態で前記ガス供給手段からのガスが通過するガス流路を有し、
前記容器は、前記ガス流路内に位置し、該ガス流路内の圧力が上昇することにより圧迫されて、その容積が小さくなるように変形し、その圧迫が解除されると復元し、前記容器が復元する際、前記混合液が前記容器内に吸入されて回収されるよう構成されている上記(2)ないし(6)のいずれかに記載の塗布具。
(8) 前記ノズルは、前記ガス流路に連通し、前記ガスが噴出するガス噴出口を有する上記(7)に記載の塗布具。
(9) 前記混合液回収手段は、前記合流部に設けられ、内部の容積が増減するように変形し、前記混合液を回収する容器と、
前記容器を変形させる変形手段とを備える上記(1)に記載の塗布具。
(10) 前記容器は、拡張・収縮可能なバルーンであり、
前記バルーン内で前記第1の液体と前記第2の液体とが合流するよう構成されている上記(9)に記載の塗布具。
(11) 前記ノズルは、前記混合液を噴射するためのガスが通過するガス流路を有し、
前記合流部は、その先端側に、前記液体噴出口に連通し、前記混合液が通過する液体流路を有し、
前記液体流路を構成する壁部の少なくとも一部が、前記混合液に対し不透過性であり、前記ガスが透過可能な通気膜で構成されている上記(9)または(10)に記載の塗布具。
(12) 前記変形手段は、前記混合液を噴射するためのガスを供給するガス供給手段に接続され、その接続状態で前記ガス供給手段からのガスが通過するガス流路を有し、
前記容器は、前記ガス流路内に位置し、該ガス流路内の圧力が上昇することにより圧迫されて、その容積が小さくなるように変形し、その圧迫が解除されると復元し、前記容器が復元する際、前記混合液が前記容器内に吸入されて回収されるよう構成されている上記(9)または(10)に記載の塗布具。
(13) 前記ガス流路の一部は、前記ノズルに設けられており、
前記合流部は、その先端側に、前記液体噴出口に連通し、前記混合液が通過する液体流路を有し、
前記液体流路を構成する壁部の少なくとも一部が、前記混合液に対し不透過性であり、前記ガスが透過可能な通気膜で構成されている上記(12)に記載の塗布具。
(14) 前記ガス流路内に、前記液体流路が配置されている上記(11)または(13)に記載の塗布具。
(15) 前記容器に回収された混合液が前記液体噴出口側に戻るのを防止する逆流防止手段を有する上記(11)ないし(14)のいずれかに記載の塗布具。
(16) 前記逆流防止手段は、前記液体流路を形成する管が延長して前記容器内に突出した突出管で構成されている上記(15)に記載の塗布具。
(17) 前記供給手段は、先端部に突出形成された口部を有するシリンジ外筒と、該シリンジ外筒内に挿入されたガスケットと、該ガスケットを前記シリンジ外筒の長手方向に沿って移動操作する押し子とを有するシリンジを備える上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の塗布具。
(18) 前記第1の液体と前記第2の液体とは、互いの接触により変質するものである上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の塗布具。
(19) 前記混合液は、生体組織の癒着防止材となるものである上記(18)に記載の塗布具。
本発明によれば、ノズルが合流部を有しているので、第1の液体と第2の液体とを確実に混合することができる。
そして、液体噴出口からの混合液の噴出が終了または中断した際に、混合液回収手段により混合液を回収するので、混合液(例えば、混合液の固化)によるノズルや流路の目詰まり(閉塞)を防止することができる。また、混合液が第1の流路や第2の流路内に流入することもないので、次に、混合液を噴出する際、噴出開始当初から噴出される混合液の第1の液体と第2の液体との混合比を一定にする(安定させる)ことができる。
以下、本発明の塗布具を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1および図2は、それぞれ、本発明の塗布具の第1実施形態を示す斜視図、図3および図4は、それぞれ、図1に示す塗布具における開閉手段のA−A線断面図(図3はガス流路が遮断された状態を示し、図4はガス流路が開放された状態を示す)、図5は、図1に示す塗布具におけるガス流路の内部の主要部分を示す斜視図、図6〜図10は、それぞれ、図1に示す塗布具の図5中のB−B線断面図(概略縦断面図であって、塗布状態の経時的変化を示す図)、図11は、図1に示す塗布具に装填される第1のシリンジ(第2のシリンジも同様)の部分縦断面図である。
なお、説明の都合上、図1、図2、図6〜図10中の左側を「先端」、右側を「後端(基端)」といい、図11中の下側を「先端」、上側を「後端」という。また、図1〜図4中、上側を「上」といい、下側を「下」という。また、図5では、ガス流路は、模式的に図示され、また、第3の流路は、理解が容易になるように、あえて湾曲した状態が図示されている。
本発明の塗布具1は、液組成が異なる第1の液体L1と第2の液体L2とを混合して、その混合した混合液Mを塗布するものである(図8参照)。図1および図2に示すように、この塗布具1は、第1の液体L1を収納する第1のシリンジ(供給手段)2と、第2の液体L2を収納する第2のシリンジ(供給手段)3とをそれぞれ装填して用いられる。
まず、塗布具1の構成について説明する前に、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の構成について説明する。第1のシリンジ2と第2のシリンジ3とは、ほぼ同様の構成であるため、代表的に第1のシリンジ2について説明する。
図11に示すように、本実施形態における第1のシリンジ2は、外筒(シリンジ外筒)21と、外筒21内で摺動し得るガスケット24と、ガスケット24を外筒21の長手方向(軸方向)に沿って移動操作する押し子(プランジャロッド)26とを備えている。ガスケット24は、押し子26の先端に連結されている。
外筒21は、有底筒状の部材で構成され、先端側底部の中央部には、外筒21の胴部に対し縮径した口部(縮径部)22が一体的に突出形成されている。
外筒21の後端外周には、フランジ23が一体的に形成されている。
また、外筒21の外周面には、液量を示す目盛りが付されている。
外筒21の構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂が挙げられるが、その中でも、成形が容易であり、かつ水蒸気透過性が低い点で、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステルのような樹脂が好ましい。なお、外筒21の構成材料は、内部の視認性を確保するために、実質的に透明であるのが好ましい。
このような外筒21内には、弾性材料で構成されたガスケット24が収納されて(挿入されて)いる。ガスケット24の外周部には、複数(2つ)のリング状の突部が全周にわたって形成されており、これらの突部が外筒21の内周面に密着しつつ摺動することで、液密性をより確実に保持するとともに、摺動性の向上が図れる。
また、ガスケット24には、その後端面に開放する中空部25が形成されている。この中空部25は、後述する押し子26のヘッド部28が螺入(嵌入)される。中空部25の内面には、雌ネジが形成されている。
ガスケット24の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。
押し子26は、横断面が十文字状をなす棒状の本体部27を有している。
本体部27の先端側には、ガスケット24の中空部25内に挿入され、ガスケット24と連結されるヘッド部(連結部)28が形成されている。ヘッド部28の外周には、中空部25の内面の雌ネジと螺合し得る雄ネジが形成されている。この雄ネジを雌ネジと螺合することにより、ガスケット24と押し子26とが連結される。なお、ガスケット24と押し子26は、螺合による連結に限らず、例えば凹凸嵌合等により連結された構成、接着、融着等により固着された構成、一体成形された構成であってもよい。
また、本体部27の後端側には、円盤状のフランジ29が形成されている。
また、押し子26の構成材料としては、前述した外筒21の構成材料として例示したものと同様のものを用いることができる。
第1のシリンジ2は、塗布具1に装填される以前に、外筒21とガスケット24とで囲まれた空間(貯液空間)20に、第1の液体L1が充填される。
第2のシリンジ3も、第1のシリンジ2と同様に、外筒21と、外筒21内で摺動し得るガスケット24と、ガスケット24を移動操作する押し子26とで構成され、空間20に第2の液体L2が充填される。各部の構成は同様であるため、その説明は省略する。
第1のシリンジ2に充填される第1の液体L1と、第2のシリンジ3に充填される第2の液体L2とは、それらの組成(成分)が異なるものである。
本発明においては、第1の液体L1と第2の液体L2とは、塗布具1の用途、使用目的、症例等に応じて適宜選定される。例えば、生体組織接着材の投与に使用する場合、第1の液体L1および第2の液体L2のうちの一方は、トロンビンを含有する液体(溶液等)、他方はフィブリノーゲンを含有する液体(溶液等)とすることができる。
また、生体組織の癒着防止材の投与に使用する場合、第1の液体L1および第2の液体L2のうちの一方は、スクシンイミジル基で修飾したカルボキシメチルデキストリンを含有する液体(溶液等)、他方は、リン酸水素二ナトリウムを含有する液体(溶液等)とすることができる。
このような組み合わせの第1の液体L1および第2の液体L2は、それらを混合すると、変質、すなわち、ゲル化(凝固)(固化)する。混合液Mがゲル化することにより、例えば、当該混合液Mが、塗布された生体組織(目的部位)に確実に留まることができる。また、混合液Mが目的部位に確実に留まるため、当該目的部位において、生体組織接着材や癒着防止材としての機能を確実に発揮することができる。
なお、第1の液体L1および第2の液体L2の種類および組み合わせは、上述したものに限定されないことは、言うまでもない。
このような構成の第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の各押し子26をそれぞれ押圧操作することより、後述するノズル4の第1の流路44に第1の液体L1を、第2の流路45に第2の液体L2をそれぞれ個別に、容易かつ確実に供給することができる。また、各押し子26の押圧操作は、塗布具1の操作者(使用者)により手動で行なわれる。このため、操作者は、混合液Mの塗布を自身の任意のタイミングで行なうことができる。
第1の液体L1が充填された第1のシリンジ2と、第2の液体L2が充填された第2のシリンジ3とが装填される塗布具1は、塗布具本体7と、ノズル4と、ノズル4と第1のシリンジ2とを連結する第1の流路(液体移送路)44と、ノズル4と第2のシリンジ3とを連結する第2の流路(液体移送路)45と、内部の容積が増減するように変形し、混合液M(液体)を回収(収納)する容器(容積増減部)として、拡張・収縮可能なバルーン52と、ノズル4とバルーン52とを連結する第3の流路(液体移送路)51と、操作部8と、開閉手段(弁機構)9と、ボンベ(ガス供給手段)300に接続されたチューブ(ガス流路)10とを有している(図1参照)。
塗布具1を構成する各部について説明する前に、ボンベ300について説明する。
ボンベ300は、その内部空間に高圧の(圧縮された)無菌ガスG(以下、単に「ガスG」と言う)が充填されており、当該ガスGを塗布具1(ノズル4)に供給することができる。このボンベ300には、塗布具1に対するガスGの供給/供給停止を制御する開閉自在なバルブ(コック)301が設置されている。塗布具1を使用するときには、バルブ301を開状態にする。なお、ガスGとしては、特に限定されないが、例えば、二酸化炭素が挙げられる。
図1および図2に示すように、塗布具本体7は、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3を並べて(並列に)固定するものである。この塗布具本体7は、基部71と、基部71の先端に設けられた前板(第1の係合部)72と、基部71の後端に設けられた後板(第2の係合部)73と、基部71の後板73付近に設けられた指掛け部751および752とを有している。
基部71は、その上部に、横断面がほぼ半円弧状をなす凹部711および712が並列に設けられている。凹部711には、第1のシリンジ2の外筒21が収納され、凹部712には、第2のシリンジ3の外筒21が収納される。
基部71の先端には、前板72が設けられている。この前板72には、凹部711および712のそれぞれに対応する位置に、溝721および722が形成されている。第1のシリンジ2および第2のシリンジ3を装填するとき、溝721には、第1のシリンジ2の口部22が挿入され、溝722には、第2のシリンジ3の口部22が挿入される。
基部71の後端には、後板73が設けられている。この後板73には、凹部711および712のそれぞれに対応する位置に、凹部731および732が形成されている。第1のシリンジ2および第2のシリンジ3を装填するとき、凹部731には、第1のシリンジ2のフランジ23(基端部)が係合し(挿入され)、凹部732には、第2のシリンジ3のフランジ23(基端部)が係合する。
このように、塗布具本体7では、前板72に各口部22が係合するとともに、後板73に各フランジ23が係合することにより、第1のシリンジ2と第2のシリンジ3とを確実に並列に固定することができる。
基部71の後板73付近には、指掛け部751および752が設けられている。指掛け部751および752には、それぞれ、塗布具1を使用するときに使用者の指を掛けることができる。指掛け部751は、上方に突出した板片で構成され、指掛け部752は、下方に突出した板片で構成されている。また、各指掛け部751および752は、それぞれ、先端方向に臨む面が円弧状(湾曲凹状)をなすものである。
塗布具本体7は、当該塗布具本体7を構成する各部が一体的に形成されたものであってもよいし、各部がそれぞれ別体で構成されこれらを接合したものであってもよい。
塗布具本体7の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼のような各種金属材料や各種プラスチック等を単独または組み合わせて用いることができる。このような材料を用いた場合、例えば金型成形により塗布具本体7を容易に製造することができる。
塗布具本体7の後端側には、操作部8が塗布具本体7に対してその長手方向に移動可能に設置されている。この操作部8は、第1のシリンジ2の押し子26と第2のシリンジ3の押し子26とを一括して先端方向(図1、図2および図4中の矢印C方向)へ押圧操作する部位である。操作部8は、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の押し子26のフランジ29同士を連結する連結部81と、連結部81の後端側に位置する押圧部82と、連結部81から先端方向に向かって延在するレール部83とを有している。
連結部81には、上方へ向かって開放する凹部811および812がそれぞれ設けられている。凹部811は、第1のシリンジ2の押し子26のフランジ29に対応した形状をなしており、当該フランジ29が係合する(図2参照)。また、凹部812は、第2のシリンジ3の押し子26のフランジ29に対応した形状をなしており、当該フランジ29が係合する(図2参照)。
このような構成の連結部81により、第1のシリンジ2および第2のシリンジ3の押し子26のフランジ29同士を確実に連結、固定することができ、よって、これらの押し子26を一括して矢印C方向に移動させることができる。
また、連結部81には、凹部811と凹部812との間に、筒状をなす筒状部813が設けられている。この筒状部813は、その軸線が図1中(図2も同様)上下方向と平行となるように設けられている。また、筒状部813には、開閉手段9のほとんどが収納されている。
連結部81の筒状部813の外周部には、長尺状をなすレール部83が先端方向に向かって突出形成されている。このレール部83は、塗布具本体7の基部71に設けられ、長尺状をなすガイド713に挿入される。操作部8の矢印C方向への押圧操作によりレール部83がガイド713に案内されることとなり、よって、前記押圧操作を円滑に行うことができる。
連結部81の筒状部813の後端側には、板状をなす押圧部82が筒状部813に対して塗布具本体7の長手方向に移動可能に設置されている。
この押圧部82は、塗布具1を使用する、すなわち、混合液Mを患部等に塗布するとき、使用者によって押圧される部位である。塗布具1を使用するとき、例えば指掛け部751に人差し指を掛け、指掛け部752に中指を掛け、押圧部82に親指を掛けることができる。これにより、塗布具1を安定して確実に把持することができる。また、操作部8(押圧部82)の押圧操作を円滑かつ確実に行うことができ、よって、塗布具1の操作性が向上する。
また、押圧部82は、後述する開閉手段9の第2の接続部92に連結されている。
操作部8の構成材料としては、特に限定されず、例えば、塗布具本体7についての説明で挙げたような材料を用いることができる。このような材料を用いた場合、例えば金型成形により操作部8を容易に製造することができる。
前述したように、操作部8の筒状部813には、開閉手段9が設置されている。開閉手段9は、ボンベ300からノズル4に至るガスGの流れを遮断/開放するものである。この開閉手段9を介して、すなわち、開閉手段9の作動により、第1のチューブ101と第2のチューブ102とが遮断(図3参照)/連通(図4参照)する。
図3および図4に示すように、開閉手段9は、第1のチューブ101に接続された第1の接続部91と、第2のチューブ102に接続された第2の接続部92と、第1の接続部91内に収納され、開閉自在な弁部93とを有している。
第1の接続部91は、管状をなすものである。この第1の接続部91の内腔部には、下流側に位置し、弁部93が収納される収納部912が設けられている。また、第1の接続部91の内腔部には、収納部912の上流側の内径より縮径した縮径部913が設けられており、当該縮径部913と収納部912との境界に内径が急峻に変化した段差部911が形成されている。
第2の接続部92は、管状をなすものである。前述したように、第2の接続部92は、操作部8の押圧部82に連結されている。第2の接続部92は、下端部921が弁部93のシール部材94に支持されており、当該シール部材94を介して第1の接続部91の下流側に設置されている。この第2の接続部92は、第1の接続部91に対して、軸線同士が一致する第1の姿勢(図3に示す状態)と、下端部921を支点として軸線が押圧部82(操作部8)の矢印C方向(操作方向)に傾倒する第2の姿勢(図4に示す状態)とに変位可能に設置されている。
弁部93は、弾性材料で構成されたシール部材94と、シール部材94より上流側に位置するフランジ部95と、フランジ部95をシール部材94側に付勢する付勢部96とを有している。
シール部材94は、その形状がリンク状をなすものである。このシール部材94は、その内周部941が第2の接続部92の下端部921の外周部922に密着している。また、シール部材94の外周部942は、第1の接続部91の収納部912の内周部914に密着している。このようなシール部材94により、当該シール部材94を介して、第1の接続部91と第2の接続部92とが気密に連結される。
フランジ部95は、その外径が第2の接続部92の外径より拡径したものである。このフランジ部95は、第2の接続部92の下端面に、間隙97を介して、対向配置されている。
付勢部96は、本実施形態では圧縮コイルバネで構成されたものであり、それが圧縮された状態で、上端部961がフランジ部95に当接し、下端部962が第1の接続部91の段差部911に当接している。これにより、フランジ部95を確実にシール部材94側に付勢することができる。
このような構成の弁部93では、フランジ部95は、第2の接続部92が第1の姿勢のとき、すなわち、第2の接続部92に外力が付与されていないとき、付勢部96に付勢されてシール部材94に気密に密着する(図3参照)。これにより、弁部93は閉状態となる。
また、操作部8の押圧部82による矢印C方向へ押圧力が第2の接続部92に作用すると、当該第2の接続部92は、第1の姿勢から第2の姿勢へ変位する。このとき、フランジ部95は、付勢部96の付勢力に抗して変位することなり、これにより、フランジ部95の周縁部951の一部(または全部)がシール部材94から離間して、当該シール部材94との間に間隙98が生じる(図4参照)。これにより、ガスGは間隙98を介して第1の接続部91から第2の接続部92に流れ込む、すなわち、弁部93は開状態となる。
以上のような構成の開閉手段9では、操作部8による押圧操作に連動して、弁部93が確実に開/閉することができる。これにより、弁部93が閉状態のとき、ボンベ300からノズル4に至るガスGの流れを確実に遮断することができ、弁部93が開状態のとき、当該ガスGの流れを確実に開放することができる。
なお、第1の接続部91、第2の接続部92、フランジ部95および付勢部96の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウムやステンレス鋼のような各種金属材料や各種プラスチック等を単独または組み合わせて用いることができる。
また、シール部材94の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料を用いることができる。
図1、図5〜図10に示すように、塗布具本体7の先端側には、ノズル4が配置されており、このノズル4は、第1の流路44を介して第1のシリンジ2と接続され、第2の流路45を介して第2のシリンジ3と接続され、第3の流路51を介してバルーン52に接続され、ガス流路(第4の流路)46を介して第2のチューブ102に接続されている。
これにより、第1のシリンジ2から供給された第1の液体L1は、第1の流路44を通過することができ、第2のシリンジ3から供給された第2の液体L2は、第2の流路45を通過することができる。また、ボンベ300から供給されたガスGは、第1のチューブ101、開閉手段9、第2のチューブ102、ガス流路46を順に通過してノズル4に到達する。
また、ノズル4内の混合液Mは、第3の流路51を通過してバルーン52に到達することができ、これにより、必要時(混合液Mの噴出が終了または中断した際)に、ノズル4内の混合液Mを第3の流路51を介してバルーン52内に回収することができる。
第1の流路44、第2の流路45、第3の流路51およびガス流路46は、それぞれ、例えば、硬質な材料からなるチューブ(管)で構成されている。硬質な材料としては、特に限定されないが、例えば、塗布具本体7の説明で挙げたような材料を用いることができる。
また、図5〜図10に示すように、ガス流路46内には、第1の流路44、第2の流路45、第3の流路51およびバルーン52が収納(挿入)されている。
第1の流路44、第2の流路45およびガス流路46は、塗布具本体7に対して、固定部材41を介して固定されている(図1、図2参照)。この固定部材41は、両端がそれぞれ開口して、基端開口部411と先端開口部412を有する筒状をなすものである。
基端開口部411は、塗布具本体7の前板72に嵌合(係合)している。また先端開口部412は、その大きさが基端開口部411をよりも小さく、具体的にはガス流路46の外径とほぼ同等またはそれより若干小さく設定されており、ガス流路46の途中を支持している。
図5〜図10に示すように、ノズル4は、両端面が開口した筒状なすノズルチップ42と、ノズルチップ42内に当該ノズルチップ42と同心的に配置され、管状をなす合流部43とを有している。
ノズルチップ42は、その基端部426がガス流路46の先端部に気密に嵌合し、当該ガス流路46と連通している。また、ノズルチップ42の先端部427は、その外径が先端方向に向かって漸減したテーパ状をなしている。
ノズルチップ42の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、塗布具本体7の説明で挙げたような材料を用いることができる。
合流部43は、第1の流路44を通過した第1の液体L1と、第2の流路45を通過した第2の液体L2とが合流する部位である。この合流部43は、その基端(後述するテーパ部432の基端)が第1の流路44、第2の流路45および第3の流路51の先端に接続され、これらの流路にそれぞれ連通している。すなわち、第1の流路44、第2の流路45および第3の流路51は、それぞれ、合流部43の基端(基端側)に連通している。合流部43により、第1の液体L1と第2の液体L2とを確実に混合することができる。
この合流部43は、その基端部に、内径が先端方向に向かって漸減したテーパ部432を有し、テーパ部432の先端側に、テーパ部432の先端と内径が等しい小径部434を有している。
また、合流部43の先端開口部(小径部434の先端部)は、混合液Mが噴出する液体噴出口431として機能する(図8参照)。
また、ノズル4では、ノズルチップ42内に合流部43が挿入されており、ノズルチップ42の先端開口部と合流部43の先端開口部(液体噴出口431)との間に形成された間隙が、ガスGが噴出するガス噴出口423として機能する(図7〜図9参照)。
また、合流部43の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、塗布具本体7の説明で挙げたような硬質な材料を用いることができる。
なお、合流部43、第1の流路44、第2の流路45および第3の流路51は、例えば、別部材で構成され、接着、融着等により固着された構成でもよく、また、一体成形された構成であってもよい。
バルーン52は、その先端部が第3の流路51の基端部に接続され、第3の流路51に連通している。この場合、第3の流路51の基端部は、バルーン52内に挿入され、バルーン52内に位置している。すなわち、バルーン52内には、第3の流路51を形成するチューブ(管)が延長してバルーン52内に突出した突出管511が設置されている。この突出管511により、バルーン52内に回収された混合液Mが合流部43側に戻るのを防止することができる(噴出されてしまうのを防止することができる)。従って、突出管511により、逆流防止手段が構成される。
突出管511の長さ(第3の流路51のバルーン52内への突出長)は、特に限定されないが、3〜30mmであるのが好ましく、5〜10mmであるのがより好ましい。
バルーン52は、弾性材料(軟質材料)で構成されている。このバルーン52の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。
また、バルーン52は、それが自然状態のときに容積が最大となっている。なお、「自然状態」とは、外力が付与されていない状態、すなわち、ガス流路46にガスGが供給されていない状態を言う。
このバルーン52の自然状態のときの容積は、特に限定されないが、例えば塗布具1を腹腔鏡下外科手術で用いる場合、0.05〜2cmであるのが好ましく、0.2〜0.7cmであるのがより好ましい。
また、図7〜図9に示すように、ガスGがガス噴出口423から噴出している噴出状態、すなわち、ガス流路46にガスが供給された際、ガス流路46やこれに連通するノズルチップ42内がガスGで満たされ、当該ガス流路46内の圧力が上昇して、この上昇した内部圧力によって、バルーン52が圧迫される(押圧される)。これにより、バルーン52が収縮(変形)し、その容積が減少する。
また、ガスGの噴出(供給)が停止した停止状態では、バルーン52は、前記圧迫が解除されて、自然状態となり、自身の弾性により復元する、すなわち、噴出状態のときよりも拡張し、その容積が大となる(図10参照)。
このように、ガス流路46は、バルーン(容器)52を変形させる変形手段として機能している。
また、バルーン52は、図示の構成では、有底のチューブ状(長手形状)をなしており、その長手方向と、第1の流路44の長手方向と、第2の流路45の長手方向と、第3の流路51の長手方向と、ガス流路46の長手方向とが、一致するように(軸線同士が平行または一致するように)配置されている。これにより、塗布具1の細径化を図ることができる。
次に、使用可能状態となった、すなわち、第1の液体L1が充填された第1のシリンジ2と、第2の液体L2が充填された第2のシリンジ3とが装填され、かつボンベ300に接続された状態の塗布具1の作動状態について説明する。
第1のシリンジ2および第2のシリンジ3には、それぞれ、患部に塗布するのに必要な(十分な)程度の液量の第1の液体L1および第2の液体L2が充填されている。また、ボンベ300は、バルブ301が開状態となっており、塗布具1に対してガスGを供給可能となっている。
また、塗布具1では、シール部材94にフランジ部95を押し付ける付勢部96の力(付勢力)に抗して、シール部材94とフランジ部95との間に間隙98を生じさせる力、すなわち、第2の接続部92を第1の姿勢から第2の姿勢へ傾倒させる矢印C方向への押圧力は、第1のシリンジ2の押し子26と第2のシリンジ3の押し子26とを先端方向に移動させる力より大きくなるように設定されている。このような設定を行う方法としては、例えば、付勢部96のバネ定数、各液体の粘度、各外筒21の内径等の諸条件を適宜設定することより可能となる。
このような塗布具1に対して、まず、例えば塗布具本体7の指掛け部751に人差し指を掛け、指掛け部752に中指を掛け、操作部8の押圧部82に親指を掛ける。このとき、第1の流路44には第1の液体L1が供給されておらず、第2の流路45にも第2の液体L2が供給されておらず、ガス流路46にもガスGが供給されていない(図6参照)。このため、ノズル4からは、ガスG、混合液Mは、噴出されていない。また、ガス流路46にはガスGが供給されていないため、ガス流路46内の圧力によるバルーン52への圧迫もなされていない。
次に、この状態で、親指で押圧部82を押圧操作すると、まず、第2の接続部92が傾倒して、シール部材94とフランジ部95との間に間隙98が生じ、この間隙98を介してガスGが流通する(図4参照)。これにより、ガスGが第2のチューブ102を介してガス流路46に供給され、よって、ノズル4のガス噴出口423からガスGが噴出される(図7参照)。また、このとき、ガス流路46内の内部圧力が上昇するため、バルーン52が圧迫される。この圧迫は、ガス流路46内へのガスGの供給が停止するまで維持される。
また、親指による押圧部82に対する押圧操作は、操作部8全体、すなわち、各押し子26を先端方向に移動するまでには至っていない。このため、第1の流路44および第2の流路45には、未だ第1の液体L1および第2の液体L2が供給されていない。
さらに、押圧部82を押圧すると、第2の接続部92の傾倒が限界となり、親指からの押圧力が押圧部82を介して連結部81に伝達される。これにより、連結部81(操作部8全体)が移動し始め、よって、第1のシリンジ2から第1の液体L1が押し出されるとともに、第2のシリンジ3からも第2の液体L2が押し出される。この押し出された第1の液体L1は、第1の流路44を経て、合流部43のテーパ部432に流入する。また、第2の液体L2は、第2の流路45を経て、第1の液体と同様に合流部43のテーパ部432に流入する。合流部43に流入した第1の液体L1と第2の液体L2とは、合流して混合し、混合液Mとなる(図8参照)。
このように混合した混合液Mは、合流部43のテーパ部432から小径部434へ流入し、小径部434内を先端方向へ向かって流れ(通過し)、液体噴出口431に至り、そこから噴出する(図8参照)。
噴出された混合液Mは、ガス噴出口423から噴出しているガスGに巻き込まれる(混合する)。このとき、混合液Mは、霧状となって噴出(噴射)して患部に塗布される。
患部に対する所定量の塗布が完了した後、親指の押圧部82(操作部8)に対する押圧力を緩めていくと、まず、操作部8全体の移動が停止する。これにより、各押し子26の移動が停止し、よって、第1の液体L1および第2の液体L2の噴出がそれぞれ停止する(図9参照)。このとき、押圧部82の押圧による第2の接続部92の第2の姿勢が維持されているため、ガスGは、まだ噴出されている(図9参照)。
さらに、親指の押圧部82に対する押圧力を緩めていくと、遂には、押圧部82を押圧していた親指が当該押圧部82から離間する。これにより、第2の接続部92に対する押圧力が解除されて、第2の接続部92が第1の姿勢に戻る。これにより、シール部材94とフランジ部95との間の間隙98がなくなる、すなわち、シール部材94とフランジ部95の周縁部951の全周とが互いに密着する(図3参照)。このとき、ガス流路46へのガスGの供給が停止し、よって、ガスGのガス噴出口423からの噴出も停止する(図10参照)。
また、ガス流路46へのガスGの供給が停止した際には、バルーン52に対する圧迫が解除される。これにより、バルーン52は、その容積が、混合液Mが噴出している状態のそれよりも大となる(増加する)。この容積が大となることにより、混合液Mは、すべて、第3の流路51を介して、バルーン52内に引き込まれて(吸入されて)回収(収納)される(図10参照)。従って、第3の流路51、バルーン(容器)52およびガス流路(変形手段)46により、混合液回収手段の主要部が構成される。
バルーン52内に回収された混合液Mは、固化し、バルーン52内から流出することはない。また、バルーン52内で混合液Mが固化するまでの間は、突出管511により、その混合液Mが合流部43側に戻るのが防止される。なお、混合液Mが固化しないようなものであっても、その突出管511により、バルーン52内に回収された混合液Mが合流部43側に戻るのが防止される。
このように、液体噴出口431からの混合液Mの噴出が終了または中断した際に、ノズル4の合流部43に残留する混合液Mがバルーン52内に回収される。これにより、合流部43、第1の流路44および第2の流路45内において混合液Mが固化するのを確実に防止することができ、ノズル4や各流路の目詰まり(閉塞)を防止することができる。よって、塗布具1を再度、患部への塗布に用いることができる。また、塗布具1を間欠的に使用する場合も、確実に、混合液Mを噴出して塗布を行うことができる。
また、混合液Mが第1の流路44および第2の流路45内に流入することもないので、次に、混合液Mを噴出する際、噴出開始当初から噴出される混合液Mの第1の液体L1と第2の液体L2との混合比を一定にする(安定させる)ことができる。
また、塗布具1では、混合液Mをノズル4から噴出/噴出停止するときの、ノズル4に対するガスGの供給/供給停止のタイミングを最適に設定することができる。換言すれば、塗布具1は、ノズル4からは、ガスGが、混合液Mより容易かつ確実に先立って噴出されるよう構成されている。これにより、混合液Mのみが患部に噴出され塗布されるのを防止することができる。また、塗布具1では、混合液Mの噴出が停止することで仮に混合液Mが液体噴出口431に残留した(付着した)場合でも、この残留した混合液MをガスGが吹き飛ばすことができる。よって、液体噴出口431付近において混合液Mの固化による目詰まりをより確実に防止することができる。
また、塗布具1では、混合液Mをバルーン52内に引き込むには、当該バルーン52が収縮状態から拡張状態に変形する際に増加するバルーン52の容積(容積の変化量)を適宜設定することにより、それを確実に行なうことができる。
なお、前記実施形態では、バルーン(変形部)52が、ガスGの噴出(供給)に連動して、自動的に変形するように構成されているが、本発明では、これに限らず、手動操作(手作業)で、バルーン52を変形させるように構成してもよい。この場合には、バルーン52は、ガス流路46の外側等、ガスGの影響を受けない位置に配置される。
また、前記実施形態では、逆流防止手段として、突出管511を用いたが、本発明では、これに限らず、例えば、合流部43からバルーン52側への液の流れを可能にし、その逆方向への液の流れを阻止する逆止弁(一方向弁)や、液を吸収(捕捉)する液吸収部材等を用いてもよい。液吸収部材の構成材料としては、例えば、スポンジのような多孔質体や、高分子吸収体(吸湿性ポリマー)等が挙げられる。
逆流防止手段として、逆止弁を用いる場合は、その逆止弁は、第3の流路51の基端部またはバルーン52の液体の流入口に設けられる。また、液吸収部材を用いる場合は、その液吸収部材は、バルーン52の内部に設けられる。
<第2実施形態>
図12〜図14は、それぞれ、本発明の塗布具の第2実施形態を示す概略縦断面図(塗布状態の経時的変化を示す図)である。
なお、説明の都合上、図12〜図14の左側を「先端」、右側を「後端(基端)」といいう。
以下、第2実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
各図に示すように、第2実施形態の塗布具1では、ガス流路46の先端部がノズルチップ42で構成されており、ノズル4は、そのノズルチップ42と、ガス流路46の途中までの部位と、ガス流路46内に配置された合流部6とを有している。
合流部6は、内部の容積が増減するように変形し、混合液M(液体)を回収(収納)する容器(容積増減部)を兼ねる、拡張・収縮可能なバルーン(容器)61と、混合液Mが通過する液体流路62とを有している。また、液体流路62は、ガス透過チューブ(管)621と、管622とを有している。
ガス透過チューブ621は、その先端部がノズルチップ42の先端部427に固定され、液体噴出口431に連通し、また、その基端部が、管622の先端部に接続され、管622に連通している。
バルーン61は、合流部6の基端側の部位を構成しており、その先端部が管622の途中の部位に接続され、管622に連通し、また、その基端部が第1の流路44および第2の流路45の先端部に接続され、これらの流路にそれぞれ連通している。これにより、バルーン61内で第1の液体L1と第2の液体L2とが合流する。
また、管622は、その基端部側が延長してバルーン61内に突出した突出管623を有している。すなわち、突出管623は、バルーン61内に挿入され、バルーン61内に位置している。この突出管623により、バルーン61内に回収された混合液Mが液体噴出口431側(先端側)に戻るのを防止することができる(噴出されてしまうのを防止することができる)。従って、突出管623により、逆流防止手段が構成される。
バルーン61の構成材料としては、前記第1実施形態におけるバルーン52と同様のものを用いることができ、また、管622の構成材料としては、前記第1実施形態における第1の流路44、第2の流路45、第3の流路51等と同様のものを用いることができる。
また、ガス透過チューブ621を構成する壁部は、通気膜で構成されている。すなわち、ガス透過チューブ621は、管状(筒状)をなす通気膜で構成されている。
通気膜は、ガス流路46内のガスGが透過可能なものである。これにより、通気膜を介して、ガスGがガス透過チューブ621(液体流路62)内に流入することができ、よって、この流入したガスGは、混合液Mとともに、液体噴出口431から噴出する(図13参照)。これにより、混合液Mが霧状となって噴出(噴射)して患部に塗布される。
また、ガスGは、ガス透過チューブ621の周方向のいずれの部分からもそのガス透過チューブ621内に流入することができるので、ガスGをガス透過チューブ621内に過不足なく供給することができ、よって、液体噴出口431から噴出する混合液Mが確実に霧状となる。このように混合液Mが霧状となることにより、好適な状態で患部へ塗布される。
このようなガスGが透過する通気膜には、多数の細孔(図示せず)が形成されている。各細孔は、それぞれ通気膜をその厚さ方向に貫通するものである。これらの細孔の平均孔径は、特に限定されないが、例えば、2μm以下が好ましい。このような細孔を有する通気膜としては、例えば、住友電工ファインポリマー社製「ポアフロンチューブ(TB−0201)」が挙げられる。これは、平均孔径が約1μmの通気膜である。
また、孔径を0.01〜0.45μmとすることにより、ガスGが確実に透過できるとともに、通気膜が菌不透過性を有することになる。通気膜が菌不透過性を有することにより、仮にボンベ300内のガスGが無菌状態のものでない場合であっても、通気膜でガスG内の菌類が除去され、当該菌類がガス透過チューブ621内に流入するのが確実に防止される。これにより、無菌状態の混合液Mを患部へ塗布することができる。
また、通気膜の膜厚(壁厚)は、特に限定されず、例えば、0.1〜1mmであるのが好ましく、0.3〜0.8mmであるのがより好ましい。
また、通気膜(ガス透過チューブ621)の表面積(外周面の面積)は、20〜200mmであるのが好ましく、40〜100mmであるのがより好ましい。
通気膜は、混合液M(第1の液体L1や第2の液体L2)に対して不透過性(撥水性)、すなわち、疎水性を有している。これにより、通気膜を介して、ガス透過チューブ621内の混合液Mがその外側に流出してしまう(ガス流路46内に流れ込む)のを確実に防止することができる。このような通気膜は、疎水性を有する材料で構成されたもの、または、その表面が疎水化処理が施されたものである。疎水性を有する材料(構成材料)としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体(ETFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンの共重合体(ECTFE)、ポリプロピレン(PP)等が挙げられる。通気膜は、これらの材料を、延伸法、ミクロ相分離法、電子線エッチング法、焼結法、アルゴンプラズマ粒子等の方法で多孔質としたものが好適に用いられる。また、疎水化処理の方法としては、特に限定されず、例えば、通気膜の表面に、前記疎水性を有する材料をコーティングする方法等が挙げられる。
なお、本実施形態では、液体流路62の壁部の一部が通気膜で構成されているが、本発明では、これに限定されず、例えば、液体流路62の壁部の全体が通気膜で構成されていてもよい。また、本発明では、液体流路62の周方向の一部が通気膜で構成されていてもよい。
この塗布具1では、図13に示すように、ガス流路46を通過するガスGは、ガス透過チューブ621の通気膜を介して、そのガス透過チューブ621内に流入する。すなわち、混合液Mを噴出しているときには、ガス透過チューブ621の通気膜を透過したガスGは、そのガス透過チューブ621を通過する混合液M中でマイクロバブル(気泡)となる。このマイクロバブルにより、混合液Mは、ガス透過チューブ621を通過する過程で攪拌される。これにより、混合液M、すなわち第1の液体L1と第2の液体L2とは、均一かつ確実に混合されて噴霧される。特に、第1の液体L1と第2の液体L2の粘度が互いに異なる場合には、これら液体同士を単に合流するだけでは均一な混合液になり難いが、この塗布具1では、前述したようにマイクロバブルは、第1の液体L1と第2の液体L2とを攪拌してそれらの混合を促進する攪拌作用を発揮するため、均一な混合液Mを得ることができる。
また、混合液Mを噴出しているときには、ガス流路46内の内部圧力が上昇し、これにより、バルーン61は、圧迫され、収縮している。
そして、第1の液体L1および第2の液体L2の供給が停止され、ガスGの供給が停止されると、バルーン61に対する圧迫が解除される。これにより、バルーン61は、拡張し、その容積が、混合液Mが噴出している状態のそれよりも大となる(増加する)。この容積が大となることにより、バルーン61よりも先端側の混合液Mは、すべて、バルーン61内に引き込まれて(吸入されて)回収(収納)される(図14参照)。
この塗布具1によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
そして、この塗布具1では、バルーン61が合流部6の基端側の部位を構成しているので、バルーン61が脈動しても、混合液Mの第1の液体L1と第2の液体L2との混合比には影響がなく、その混合比を一定にすることができる。
以上、本発明の塗布具を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、塗布具を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、本発明では、液組成が異なる2種の液体が通過する(流れる)流路を3つ以上有していてもよい。
また、前記実施形態では、液組成が異なる2種の液体を混合して噴出するように構成されているが、本発明では、これに限らず、液組成が異なる3種以上の液体を混合して噴出するように構成してもよい。
本発明の塗布具の第1実施形態を示す斜視図である。 本発明の塗布具の第1実施形態を示す斜視図である。 図1に示す塗布具における開閉手段のA−A線断面図(ガス流路が遮断された状態を示す図)である。 図1に示す塗布具における開閉手段のA−A線断面図(ガス流路が開放された状態を示す図)である。 図1に示す塗布具におけるガス流路の内部の主要部分を示す斜視図である。 図1に示す塗布具の図5中のB−B線断面図(概略縦断面図であって、塗布状態の経時的変化を示す図)である。 図1に示す塗布具の図5中のB−B線断面図(概略縦断面図であって、塗布状態の経時的変化を示す図)である。 図1に示す塗布具の図5中のB−B線断面図(概略縦断面図であって、塗布状態の経時的変化を示す図)である。 図1に示す塗布具の図5中のB−B線断面図(概略縦断面図であって、塗布状態の経時的変化を示す図)である。 図1に示す塗布具の図5中のB−B線断面図(概略縦断面図であって、塗布状態の経時的変化を示す図)である。 図1に示す塗布具に装填される第1のシリンジ(第2のシリンジも同様)の部分縦断面図である。 本発明の塗布具の第2実施形態を示す概略縦断面図(塗布状態の経時的変化を示す図)である。 本発明の塗布具の第2実施形態を示す概略縦断面図(塗布状態の経時的変化を示す図)である。 本発明の塗布具の第2実施形態を示す概略縦断面図(塗布状態の経時的変化を示す図)である。
符号の説明
1 塗布具
2 第1のシリンジ(供給手段)
20 空間
21 外筒
22 口部(縮径部)
23 フランジ
24 ガスケット
25 中空部
26 押し子
27 本体部
28 ヘッド部
29 フランジ
3 第2のシリンジ(供給手段)
4 ノズル
41 固定部材
411 基端開口部
412 先端開口部
42 ノズルチップ
423 ガス噴出口
426 基端部
427 先端部
43 合流部
431 液体噴出口
432 テーパ部
434 小径部
44 第1の流路(液体移送路)
45 第2の流路(液体移送路)
46 ガス流路(第4の流路)
51 第3の流路(液体移送路)
511 突出管
52 バルーン(容器)
6 合流部
61 バルーン(容器)
62 流体流路
621 ガス透過チューブ
622 管
623 突出管
7 塗布具本体
71 基部
711、712 凹部
713 ガイド
72 前板(第1の係合部)
721、722 溝
73 後板(第2の係合部)
731、732 凹部
751、752 指掛け部
8 操作部
81 連結部
811、812 凹部
813 筒状部
82 押圧部
83 レール部
9 開閉手段(弁機構)
91 第1の接続部
911 段差部
912 収納部
913 縮径部
914 内周部
92 第2の接続部
921 下端部
922 外周部
93 弁部
94 シール部材
941 内周部
942 外周部
95 フランジ部
951 周縁部
96 付勢部
961 上端部
962 下端部
97、98 間隙
10 チューブ(ガス流路)
101 第1のチューブ
102 第2のチューブ
300 ボンベ(ガス供給手段)
301 バルブ
G ガス(無菌ガス)
L1 第1の液体
L2 第2の液体
M 混合液

Claims (17)

  1. 液組成が異なる第1の液体および第2の液体をそれぞれ別個に供給する供給手段と、
    前記供給手段から供給された前記第1の液体および前記第2の液体がそれぞれ通過する第1の流路および第2の流路と、
    前記第1の流路を通過した前記第1の液体と前記第2の流路を通過した前記第2の液体とが合流する合流部と、該合流部内に連通し、前記第1の液体と前記第2の液体とが合流して混合した混合液が噴出する液体噴出口とを有するノズルと、
    前記混合液を回収する混合液回収手段とを備え、
    前記液体噴出口からの前記混合液の噴出が終了または中断した際に、前記混合液回収手段により、前記混合液を回収するよう構成されていることを特徴とする塗布具。
  2. 前記混合液回収手段は、前記合流部内に連通し、前記混合液が通過する第3の流路と、
    内部の容積が増減するように変形し、前記第3の流路を介して前記混合液を回収する容器と、
    前記容器を変形させる変形手段とを備える請求項1に記載の塗布具。
  3. 前記第3の流路は、前記合流部の基端側に連通している請求項2に記載の塗布具。
  4. 前記容器は、拡張・収縮可能なバルーンである請求項2または3に記載の塗布具。
  5. 前記容器に回収された混合液が前記合流部側に戻るのを防止する逆流防止手段を有する請求項2ないし4のいずれかに記載の塗布具。
  6. 前記逆流防止手段は、前記第3の流路を形成する管が延長して前記容器内に突出した突出管で構成されている請求項5に記載の塗布具。
  7. 前記変形手段は、ガスを供給するガス供給手段に接続され、その接続状態で前記ガス供給手段からのガスが通過するガス流路を有し、
    前記容器は、前記ガス流路内に位置し、該ガス流路内の圧力が上昇することにより圧迫されて、その容積が小さくなるように変形し、その圧迫が解除されると復元し、前記容器が復元する際、前記混合液が前記容器内に吸入されて回収されるよう構成されている請求項2ないし6のいずれかに記載の塗布具。
  8. 前記ノズルは、前記ガス流路に連通し、前記ガスが噴出するガス噴出口を有する請求項7に記載の塗布具。
  9. 前記混合液回収手段は、前記合流部に設けられ、内部の容積が増減するように変形し、前記混合液を回収する容器と、
    前記容器を変形させる変形手段とを備える請求項1に記載の塗布具。
  10. 前記容器は、拡張・収縮可能なバルーンであり、
    前記バルーン内で前記第1の液体と前記第2の液体とが合流するよう構成されている請求項9に記載の塗布具。
  11. 前記ノズルは、前記混合液を噴射するためのガスが通過するガス流路を有し、
    前記合流部は、その先端側に、前記液体噴出口に連通し、前記混合液が通過する液体流路を有し、
    前記液体流路を構成する壁部の少なくとも一部が、前記混合液に対し不透過性であり、前記ガスが透過可能な通気膜で構成されている請求項9または10に記載の塗布具。
  12. 前記変形手段は、前記混合液を噴射するためのガスを供給するガス供給手段に接続され、その接続状態で前記ガス供給手段からのガスが通過するガス流路を有し、
    前記容器は、前記ガス流路内に位置し、該ガス流路内の圧力が上昇することにより圧迫されて、その容積が小さくなるように変形し、その圧迫が解除されると復元し、前記容器が復元する際、前記混合液が前記容器内に吸入されて回収されるよう構成されている請求項9または10に記載の塗布具。
  13. 前記ガス流路の一部は、前記ノズルに設けられており、
    前記合流部は、その先端側に、前記液体噴出口に連通し、前記混合液が通過する液体流路を有し、
    前記液体流路を構成する壁部の少なくとも一部が、前記混合液に対し不透過性であり、前記ガスが透過可能な通気膜で構成されている請求項12に記載の塗布具。
  14. 前記ガス流路内に、前記液体流路が配置されている請求項11または13に記載の塗布具。
  15. 前記容器に回収された混合液が前記液体噴出口側に戻るのを防止する逆流防止手段を有する請求項11ないし14のいずれかに記載の塗布具。
  16. 前記逆流防止手段は、前記液体流路を形成する管が延長して前記容器内に突出した突出管で構成されている請求項15に記載の塗布具。
  17. 前記供給手段は、先端部に突出形成された口部を有するシリンジ外筒と、該シリンジ外筒内に挿入されたガスケットと、該ガスケットを前記シリンジ外筒の長手方向に沿って移動操作する押し子とを有するシリンジを備える請求項1ないし16のいずれかに記載の塗布具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107184397A (zh) * 2017-07-18 2017-09-22 山西医科大学 一种防辐射的放射性药物自动制备注射装置

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