JP2009005897A - カーペットの各構成材料を分離回収する方法及びその装置 - Google Patents

カーペットの各構成材料を分離回収する方法及びその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】カーペットのパイル糸と繊維屑の混合の少ないパイル糸層と基布層を含む当該カーペット層と、当該裏打ち層との二層を個別に効率的に分離回収する方法及び装置を提供する。
【解決手段】パイル糸11からなるカーペット層10と基布層12と裏打ち層13の3層からなるカーペット1をリサイクルするにあたり、少なくとも当該カーペット層10から当該裏打ち層13を分離するに際し当該裏打ち層13にスリット部を形成するタフテッドタイプのカーペットの構成材料を分離回収する方法であって、当該分離する方法が、当該カーペット層と当該裏打ち層との境界面にずれ剥離を起こさせる様に構成された方法であるタフテッドタイプのカーペットの構成材料を分離回収する方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、少なくともパイル糸からなるカーペット層を構成するパイル糸を含むパイル糸層と基布層と、裏打ち層の三層からなるカーペットから該カーペットの各構成成分を分離回収する為に破砕するに先立って、当該パイル糸層と基布層を含む当該カーペット層と、当該裏打ち層との二層を個別に分離回収する様に構成したカーペットのリサイクル処理に於ける当該カーペットの上記した各構成材料を分離回収する方法及びその装置に関するものである。
カーペットタイルが広く使われるようになって十余年が経過し、更新の時期を迎えている。一方、廃棄物の処理は年々困難になってきており、特に塩化ビニル樹脂系製品は燃やした場合ダイオキシン発生の問題を伴い、その廃棄は一層困難であるため、回収した使用済みのタイルカーペットの再利用が社会的課題となってきている。米国などは洗浄して表面のカーペット層を再度染色して模様を施し、再利用しているが、一度汚れたカーペット層の汚れを充分に落とすことは難しく、染色の色合いは必然的に濃い色に限定されてくるのが実情である。
タイルカーペットの再利用技術としては、例えば、特許文献1〜2記載の技術がある。
これらの技術は、カーペット層を実質的に刈り取って除去することにより得られた廃材の表面または裏面に表面化粧樹脂層を形成するものである。
カーペット層を実質的に刈り取って除去する理由は、カーペット層が存在すると、その面に接着剤や粘着材が適用できないからである。そのため、これらの技術においてはカーペット層を実質的に刈り取ってしまう必要があったのである。
しかし、カーペット層の刈り取り工程が必要となるためコストアップの原因となる。
また、特許文献3〜5に記載されている回収タイルカーペットを微細に粉砕し、比重分離法等によりカーペット層と塩化ビニル裏打ち層を分離する方法も一般に行われているが、常温で柔らかいタイルカーペットを粉砕するには多くのエネルギーを必要とし、粉砕時の騒音も大きい。
更に、特許文献6には、マイナス30℃以下に冷凍することにより容易に破砕出来る裏打ち層を用いたタイルカーペットを作ろうということも提案されているが、既に市場に出回っている軟質塩化ビニルを裏打ち層とするタイルカーペットに適用するには冷凍温度を極度に低くする必要がある。
これらの技術はいずれもタイルカーペットの塩化ビニル裏打ち層は、混ざり物が少ない状態で回収できれば再利用できると言う発想に基づいている。従って、ナイロン繊維は取り除いて廃棄するか、もしくは焼却すると言うことが前提であり、刈り取ったり、微粉砕してでもタイルカーペットから除去すると言う考え方であった。しかし、これらの方法では粉砕されたカーペットの毛屑を完全に除去するには至らず、回収された塩化ビニール裏打ち層に混入して、その品質を低下させる原因となっている。
繊維屑は衣類の屑が再利用できずに大量に滞貨になっているので、今更タイルカーペットからの回収繊維を利用しようと言うのは無理なこととも考えられるが、素材がナイロンに限定されており、微粉砕されておらずに繊維としてのある程度の長さを保持しているものが回収できれば、再利用の道が開けてくるものと考える。
これらの問題を解決するために、本願発明者等は先に特許文献7の技術を特許出願した。
この技術は塩化ビニル裏打ち層を効率良く回収して再利用することには成功したが、塩化ビニル裏打ち層以外は塩化ビニルコンパウンドがこびりついたカーペット層と基布層が一体になっており、この繊維層を再利用するには更にカーペット繊維を分離回収する必要があった。
また、タイルカーペットの製造時には、耳バリが大量に発生するが、この耳バリは、形状が特異であるために文献7でも解決は難しかった。
この耳バリは、タイルカーペットの寸法精度を上げるために、一旦カーペット層と塩化ビニル裏打ち層を貼り合せた広幅長尺のシートを作り、タイルカーペットの形状のパンチで打ち抜く時に発生する生産工程上に大量に発生する副生物である。
更に、本願発明者等は、当該特許文献7の技術を改良する為に特許文献8に開示された様な技術を特許出願した。この技術は当該カーペットの当該カーペット層と塩化ビニル等の裏打ち層とを効率良く分離する方法或いは装置を提供するものであるが、当該裏打ち層に関しては、回収した当該裏打ち層を更に別工程で細かく破砕する必要があり、工数の増加や処理コストの増加が問題となっており、更には、当該裏打ち層の破砕に際しても騒音が発生すると言う問題も依然として残っていた。
更に、特許文献9はカーペットタイルの製造時にカットアウト部を設けることを提案しているが、このカットアウト部を用いて自在なデザインを実現しようとするものであって、使用済みになったカーペットタイルの再生再資源化を目的とするものではない。
特開2000−220281号公報 特開2000−220282号公報 実開昭59―132581号公報 1頁 実開昭59―132582号公報 1頁 特開平8―312117号公報 2頁 段落0005 特開平9―173197号公報 3頁 段落0018 特開2004−168023号 特開2005−144076号 特表2003−516874号
従って、本発明の目的は、上記した従来の問題を解決し、カーペット層と裏打ち層からなるタイルカーペットを含む一般のタフテッドタイプのパイルカーペットをリサイクル処理するに先立って使用される、少なくともカーペット層から繊維屑の混合の少ない塩化ビニルコンパウンド等からなる当該裏打ち層を分離する為の、多大のエネルギーを要せず、騒音も粉塵の発生も少なく然も当該カーペットから当該カーペット層と当該裏打ち層とを効率的に分離回収出来る方法及びその装置を提供するものであり、更には、当該カーペットのリサイクル処理に先立ち、当該カーペット層を構成するループパイル糸からなるループパイル糸層と基布層と裏打ち層の3層からなるカーペットからパイル糸層と基布層を含む当該カーペット層と、当該裏打ち層との二層を個別に分離回収する様に構成したカーペットのリサイクル処理に多大のエネルギーを要せず、騒音も粉塵の発生も少なく然も効率的に分離回収する事が可能な方法及びその装置を提供するものである。
本発明は上記した目的を達成するため、基本的に以下に記載されたような構成を採用するものである。
即ち、本発明に於ける第1の態様としては、少なくともパイル糸からなるパイル糸層と基布層と裏打ち層の3層からなるカーペットをリサイクルするにあたり、少なくとも当該カーペットから当該裏打ち層を分離するに際し当該裏打ち層にスリット部を形成することを特徴とするパイル糸を有するタフテッドタイプのカーペットの構成材料を分離回収する方法であって、当該少なくとも当該カーペットから当該裏打ち層を分離する方法が、当該カーペット層と当該裏打ち層との境界面にずれ剥離を起こさせる様に構成された方法である事を特徴とするパイル糸を有するタフテッドタイプのカーペットの構成材料を分離回収する方法であり、又本発明に於ける第2の態様としては、少なくともカーペット層を構成するパイル糸からなるパイル糸層と基布層と裏打ち層の3層からなるカーペットをリサイクルするにあたり、少なくとも当該カーペットから当該裏打ち層を分離するに際し、ずれ剥離処理によってカーペット層と裏打ち層を個別に分離するカーペット分離機構部と当該カーペット分離機構部に当該カーペットが搬入される以前の適宜の部位に当該カーペットの当該裏打ち層にスリット部を形成するスリット部形成手段が設けられている事を特徴するカーペットの構成材料を分離回収する装置である。
本発明は、基本的には上記した様な技術構成を採用しているので、以下に示す様な作用効果を発揮する事が可能である。
(1)カーペットを分離回収するに先立って、当該カーペットの裏打ち層に複数本のスリット部を形成しておくので、当該分離回収処理に於いて当該カーペットをパイル糸のスティッチ方向に所定の応力を印加することにより、当該裏打ち層を形成している合成樹脂が当該スリット部に沿って容易に然も従来よりも少ない応力の印加によって、細かい小片となって自発的且つ積極的に当該カーペット層から分離され飛散状態で脱落してくるので、当該分離処理工程に於ける、機構が簡易化されると共に、騒音も極めて少なくなり、エネルギーの消費量も少なくなるので、大幅なコスト削減を実現させる事が可能となる。
(2)又、本発明では、当該カーペットから脱落して来る当該裏打ち層を構成していた合成樹脂からなる細かい小片は、多きさや形状は当該スリット部の配置状態で変化するものではあるが、取り扱いは優れており、容易に適宜の容器で回収出来、後工程の例えば溶融処理工程に搬送する事が可能であるので、作業効率が大幅に向上する。
(3)更に、本発明では、当該細かい小片は、既に小さなチップ状或は細片状に形成されているので、従来のカーペットの分離処理工程では、回収された裏打ち層は、別途破砕工程を通して細かく破砕する処理が必要であったのに対し、本発明では、当該破砕処理工程を必要とせずにそのまま溶融処理工程に供給できるので、作業工程の低減とコストの低減が実現する。
(4)本発明によって回収されたカーペット層は一定の厚みを有し、略500ミリ角の形状を保っているので、カーペット層の再資源化にも有利である。
(5)又、本発明では、カーペットの繊維屑、裏打ち層構成材料からなる塵埃等の発生が大幅に抑制されるので作業環境が改善されると同時に、作業者の健康上も極めて良好である。
(6)本発明は以上の様な作用効果を発揮する事が可能であるので、本発明を設置したカーペットの分離回収工場は、法令で定められた産業廃棄物処理工場に指定される事が無いので、設置コストと設置のための手続きを大幅に削減できるほか、分離回収費用のコスト低減が図れると同時に、処理工程にフレキシビリティを持たせる事が可能となる。
(7)更に、本発明に於いては、カーペットの分離処理工程が、一対の回転ロールの一方の回転速度を他方のそれよりも早くする様に構成するのみで実施が可能であるので、当該分離処理装置が簡易であり、効率的であると言う効果も有している。
以下に本発明の具体的な態様に於ける構成の例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
即ち、図1は本発明にかかる第1の態様の1具体例の構成の例を示す図であって、図中少なくともパイル糸からなるパイル糸層11と基布層12とからなるカーペット層10と裏打ち層13からなるカーペット1をリサイクルするにあたり、少なくとも当該カーペット1から当該裏打ち層13を分離するに際し、当該裏打ち層13に予めスリット部101を形成することを特徴とするパイル糸を有するタフテッドタイプのカーペットの構成材料を分離回収する方法が示されている。
本発明に係る当該第1の態様の構成をより詳細に説明するならば、図1に示す通り、本具体例に係る当該カーペットの構成材料を分離回収する方法は、後述するスリット部形成手段100とカーペット分離機構200を組み合わせた構成を有するものであって、より具体的には、少なくともパイル糸からなるパイル糸層11と当該基布層12及び裏打ち層13を含む当該カーペット1から当該裏打ち層13を分離する方法が、当該カーペット層10と当該裏打ち層13との境界面にずれ剥離を起こさせる様に構成された方法である、パイル糸を有するタフテッドタイプのカーペットの構成材料を分離回収する方法である。
即ち、本具体例では、当該カーペット1に押圧せん断力を印加して両者の境界面にずれ剥離を起こさせて該基布層12を当該裏打ち層13から分離させると共に当該カーペット層10と当該裏打ち層13とが分離する際の歪力によって、当該裏打ち層13に設けた当該スリット部101に沿って当該裏打ち層13が次々に細分化されてチップ状或いは細片状の細かい均一形状或は不定形形状を持った砕片131に分割され細片状に飛び出し落下してくるものである。
此処で、本発明に於いて使用される当該カーペット1に押圧せん断力を印加して両者の境界面にずれ剥離を起こさせて該当基布層12を含む当該カーペット層10と当該裏打ち層13を分離する方法の一具体例について図2を参照しながら詳細に説明する。
即ち、図2は特許文献7に示された技術に本発明を適用した場合の例を示すものであって、図2に示す様に、所定の厚みを有するカーペット層10を形成している繊維集合体層と合成樹脂を含む裏打ち層13で構成されているタイルカーペット1の当該裏打ち層13に対し、当該裏打ち層13の外部表面に押圧せん断操作によるせん断力を付与することによって当該裏打ち層13の少なくとも一部を当該カーペット層10から剥離する様に構成されているものである。
上記した本具体例に於ける当該タイルカーペット1と当該裏打ち層13との摺動剥離ずれ処理方法をより詳細に説明するならば、図2に示す通り、一対のロール2−1と2−2のそれぞれの回転数の回転数差が1.2〜5倍である回転数差を有する一対のロールの隙間2をタイルカーペット1の当該裏打ち層13の厚さ以下に設定し、当該一対のロールのうち回転数の速い方のロール2−2側に当該裏打ち層13が接触する様に供給して当該一対のロールの隙間に通すことにより、当該タイルカーペット1の当該カーペット層10と当該裏打ち層13の境界面若しくは当該裏打ち層13内に層間のずれを生じさせ、当該裏打ち層13の少なくとも一部を当該カーペット層10若しくは当該カーペット層10に接合された一部の裏打ち層13から剥離を起こさせる様に構成された造方法である。
当該本具体例に係るカーペット或はタイルカーペット1の分離方法を図2を参照してより詳細に説明する。
即ち、予め所定の厚みを有するカーペット層10と当該カーペット層10の一方の面側に形成された予め所定の厚みを有する裏打ち層13とから構成されているタイルカーペット1の当該裏打ち層13に対し、図2に示す様に、当該裏打ち層13の外部表面に押圧せん断力を付与することによって当該裏打ち層13の少なくとも一部を当該カーペット層10から剥離する様に構成するものであり、当該裏打ち層13が少なくとも部分的に剥離した部分の当該カーペット層10の基布層12の当該裏打ち層13と対向する面には、ずれ剥離処理面4が形成される。
本具体例では、上記した構成を採用した結果、図1に示す様にコンベア6を通過したカーペット1は、裏打ち層13が当該スリット部101の影響によって当該裏打ち層13が当該カーペット層10から分離せしめられると同時に小片化されたチップ状或は細片状131の細かい砕片状態となってカーペット層10と分離されて出てくる。
従って、コンベア6の出口近辺に適宜の容器132を配置することによって当該チップ状或は細片状砕片131を吸引或いは自然落下により当該容器132内に収納させる事が可能である。
又、図1中には、本発明に於ける他の態様である、少なくともパイル糸からなるパイル糸層11と基布層12と裏打ち層13の3層からなるカーペット1をリサイクルするにあたり、少なくとも当該カーペット1から当該裏打ち層13を分離するに際し、カーペット層10と裏打ち層13を個別に分離するカーペット分離機構部200と当該カーペット分離機構部200に当該カーペット1が搬入される以前の適宜の部位に当該カーペット1の当該裏打ち層13にスリット部101を形成するスリット部形成手段100が設けられているカーペットの構成材料を分離回収する装置300が示されている。
処で、本発明に於いて使用される当該カーペット1は、その構成は特に限定されるものではないが、例えば、パイル糸を適宜の基布層12、例えば不織布等からなる基布層に植設してパイル糸層11を構成したカーペット層10に使用して、これに例えば塩化ビニル等の合成樹脂材料を裏打ち層13に使用したカーペットであり長尺状のカーペットであっても良く、又、特定のサイズ、形状に裁断されているタイルカーペットで有っても良い。
又、当該カーペット層10と当該裏打ち層13とを適宜の接着剤で接合したものであっても良く、その際当該接着剤は低融点を持つ接着剤が使用される事もある。
更には、本発明に於ける該カーペット1としては、カーペット本体部の製造時に発生する縦耳バリであっても良い。
本発明において使用されるカーペット1とは、上記の構成を持つカーペット1であって、当該カーペット1は、新品のカーペットであっても良く又施工耐用期間が経過して回収された使用済みのものでも良い。
本発明が適用されるカーペットの裏打ち層13の構成成分は特に限定されるものではなく、塩化ビニル樹脂の他に、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂等の合成樹脂が使用するものであっても良い。
更に、本発明におけるカーペット1は、カーペット層(繊維層)がナイロン繊維であるものがほとんどであるが、ポリプロピレン繊維のもの、ポリエステル繊維のものなどもあるので、分離回収後の繊維の再利用や処理の観点から、分離回収工程に通す前の段階で回収ロット毎に分別検査をして、繊維の種類毎に分別する必要がある。分別検査の方法は火をつけて煙の匂いを嗅ぐ方法等が一般的である。
一方、本発明に於いて使用される当該カーペット層を把持する基布層12は、例えばポリエステル繊維或はポリプロピレン繊維等から構成された粗目の織物或いは不織布等が一般的に使用されるものであり、又、当該裏打ち層13は、図3に示す様に、上記した樹脂が主として使用された所定の厚みを有する一層の層状体で有っても良い。
更に、本発明に於いては、当該裏打ち層13の内部に、当該カーペットの形態を安定的に保持すると同時に引張り強度を補強する為に、例えばガラス繊維、ポリプロピレン繊維等からなる織物或いは不織布、又は適宜の合成樹脂からなるフィルム等からなる補強層93が配置されているもので有っても良い。
本発明に於ける当該パイル糸を有するタフテッドタイプのカーペットの各構成材料を分離回収する方法に於いては、当該カーペット1の当該裏打ち層13にスリット部101を形成するスリット部形成手段100が設けられるものであって、より具体的には図3に示す様に、当該スリット部101は、当該カーペット1の当該裏打ち層13の外表面102から当該カーペット1の当該カーペット層10に向けて当該裏打ち層内部に1乃至複数本スリット部101を形成するものであり、当該スリット部101は、薄い刃状体により切り込み形成された線状の切込みであっても良く、或いは図5(D)に示す様に適宜の幅を有する研削刃等により彫り削りされた様な所定の幅を持つ溝部104で構成されているもので有っても良い。
又、本発明に於ける当該スリット部101の形状は特に特定されるものではないが、例えば、当該スリット部101は、直線状或いは湾曲状若しくはその組合せからなる形状で構成されている事が望ましい。
更に、本発明に於ける当該スリット部101の深さは、特に限定されるものではないが、好ましくは、当該裏打ち層13の外表面から当該裏打ち層の厚みの少なくとも略3分の1好ましくはその略3分の2の深さまで到達している事が望ましい。
又、本発明に於いて、当該裏打ち層13に当該補強材層93が配置されている場合には、当該スリット部101の深さは、好ましくは、当該裏打ち層13の外表面から当該補強材93が配置されている位置を越える深さに設定されているものであり、それによって当該補強材層93が切断される様に構成されている事が望ましい。
本発明に於ける当該スリット部101は、その配置形状も特に限定されるものではないが、小片状にしたあとの使い勝手を考えるならば最も好ましくは、当該裏打ち層13の外表面102の主要部の略全面に均一にかつ交差して設けられるものである。
本発明に於ける当該スリット部101の配列の具体例を図3及び図4を参照しながら説明すると、例えば、図3に示す様に、複数本の当該スリット部101が当該カーペットの長手方向又は幅方向に相互に平行に並列して配置されているもので有っても良く、或いは図4の(A)に示す様に、当該カーペット1の長手方向及び幅方向に相互に平行に並列して格子状に配置されているもので有っても良い。つまり製造工程としては(A)が最も好ましい。
係る具体例に於いて、当該相互に平行状態で配列されている当該スリット部101の相互の間隔は、同一であっても良く或いは異なっているものであっても良い。
当該複数本の当該スリット部101の配列間隔は、特に限定されるものではないが、例えば、2mm乃至30mmの相互間隔を介して配列されている事が好ましい。
又、本発明に於いては、当該スリット部101の配列形態は、図4(B)乃至図4(D)に示す様に、複数本の当該スリット部101が当該カーペット1の長手方向又は幅方向に対して所定の角度を有して相互に平行に並列して配置されているもので有っても良い。
即ち、図4(B)の当該具体例では、複数本の当該スリット部101が当該カーペット1の長手方向又は幅方向に対して所定の角度を有して相互に平行に並列して配置されており、又は図4(C)の具体例では、図4(B)の具体例とは異なる方向の角度を有して相互に平行に並列して配置されている。
更に、図4(D)の具体例では、図4(C)と図4(B)の具体例が組み合わされた配置形態を示している。
更に、本発明に於ける当該スリット部101の配置形状の他の具体例としては、図4(E)に示す様に、当該スリット部101を任意の曲線或いは湾曲線で構成しても良く、更には、配置方向の異なる当該曲線或いは湾曲線からなるスリット部101を組み合わせたものであっても良い。
次に、本発明に於ける当該スリット部101の形成方法及びその装置に関する具体例を図5及び図6を参照しながら説明する。
図6は、本発明に於けるスリット部形成手段100の具体的構成例を示したものであり、図1に示す通り、本発明に於ける当該カーペット分離機構部200の当該カーペット1を搬入する側の適宜の部位に設けられるものであり、適宜の機構から構成された一対のカーペット1移送手段106及び107の間に適宜の構成からなるスリット部形成部105が配置されており、当該スリット部形成部105と対向して移送されるカーペット1を介して適宜の保持手段108が配置されている。
係る具体例に於いて、当該カーペット1移送手段106及び107はそれぞれ図示の様な一対の加圧式ロールで構成されているものであっても良く、又当該カーペットに斜めのスリット部101を形成するために、当該カーペット1を当該スリット部形成部105に対して任意の角度の下で斜めに移送出来る様に構成されていることも望ましい。
尚、当該カーペット1移送手段106及び107は、それぞれが適宜の駆動制御手段120によって、加圧条件、回転方向、回転速度等が適宜制御されるように構成されている事も好ましい。
更に、本具体例では、当該スリット部形成部105は1つだけでなく、複数個並列状に配置する事も可能である。
一方、本発明に於ける当該スリット部形成部105は、例えば図5(B)に示す様な先端部に鋭利な刃体部を有する固定式刃部110を複数個、図5(A)に示す様に所定の間隔で固定して配列した刃状体113を配置するか、或いは、図5(C)に示す様に、周縁に刃体部を有する円盤状の刃部111を複数個、図5(A)に示す様に所定の間隔で固定して配列した刃状体113を積極的に回転可能の状態で配置したものであっても良い。
又、本発明に於ける他の具体例では、当該スリット部形成部105として図5(D)に示す様に、適宜の幅と深さを有する研削刃112を複数個並列して所定間隔で配置固定した刃状体113を使用することによって、溝状104のスリット部101を形成することも可能である。
上記具体例に於いては、当該スリット部形成部105に於いては、当該刃状体113の設置位置は、任意であり又当該ける当該刃状体113と当該保持台108との間隙も任意に設定できる様に構成されていることが望ましい。
それによって、当該カーペットの当該裏打ち層13に形成されるスリット部101の深さを任意に調整する事が出来る。
又、本具体例では、図6(B)に示す様に、当該カーペット1の長手方向軸或いは幅方向軸を当該刃状体113の中心軸線と任意の角度で傾斜させた状態で当該スリット部形成部105内を移動させることによって斜めスリットを形成する事が可能である。
次に、本発明に於いては、上記したスリット部形成部105を有するスリット部形成手段100に適宜の分離回収すべきカーペット1を挿入して当該裏打ち層13に上記した様なスリット部101を形成した後、当該基布層13にスリット部101を有する当該カーペット1を適宜のカーペット分離機構部200に供給して、所定の分離処理を行うものである。
本発明に於いて使用される当該カーペット分離機構部200の構成は特に限定されるものではないが、例えば、特許文献7に開示されている様なカーペット分離機構部を使用する事も可能である。
以下に、本発明に於けるカーペットの分離回収方法及びその装置に関する具体例を詳細に説明する。
実施例
次に、本発明に係るカーペットの分離回収方法及びその装置に関する実施例を、図1を参照しながら説明する。
即ち、図1は本発明にかかる具体例の構成の例を示す図であって、図中カーペット1の少なくともカーペット層10を構成するループパイル糸を含むループパイル糸層11と基布層12と、裏打ち層13の3層からなるカーペット1をリサイクルするにあたり、少なくとも当該カーペット1から当該裏打ち層13を分離するに際し、当該裏打ち層13に予めスリット部101を形成することを特徴とするループパイル糸を有するタフテッドタイプのカーペットの構成材料を分離回収する方法が示されている。
本発明に係る当該具体例の構成をより詳細に説明するならば、図1に示す通り、本具体例に係る当該カーペット分離方法及びその装置は、後述するスリット部形成手段100とカーペット分離機構200を組み合わせた構成を有するものであって、より具体的には、少なくとも当該基布層12を含む当該カーペット層10から当該裏打ち層13を分離する方法であって、当該カーペット層10から当該裏打ち層13を分離させる方法が、回転差を有する一対のロール2−1、2−2を設け、当該一対のロールの隙間2を当該カーペット裏打ち層13の厚さ以下となる様に設定し、カーペット1を、当該一対のロールのうち回転速度が速い方のロール側に当該裏打ち層13が来るようにして当該隙間2に通すことにより、当該カーペット層10と当該裏打ち層13との境界面に層間のずれを生じさせ、剥離を起こさせる様に構成されているものであり、係る方法に於いて、当該カーペット層10と当該裏打ち層13との境界面に層間のずれや剥離を起こさせると同時に当該剥離される際の歪力によって、当該スリット部101に沿って当該裏打ち層13が次々に細分化されてチップ状或いは細片状の均一な形状或は不均一な形状の細かい砕片131に分割された状態で飛び出し落下してくるものである。
つまり、本具体例で使用される回転差を有する一対のロール2−1、2−2が、カーペット分離機構200を構成するものである。
その結果、上記第1の態様におけると同様に、係る細片状化された当該裏打ち層13は更には破砕工程に供給される事無くそのまま、後処理工程、例えば溶融処理工程等に供給されるので、騒音も無く、エネルギーコストは低減され、効率も大幅に向上すると言う効果がある。
本具体例を更に詳細に説明するならば、図1に示す様に、上記したスリット部形成手段100によって当該カーペット1の当該裏打ち層13の表面に適宜のスリット部101が形成されたカーペット1はコンベア6に乗って直接、或いは必要に応じて設けられている例えば80℃程度に加熱された加熱炉7を通して加熱された当該カーペット1を、回転差のある一対のロール2−1、2−2に供給される。その際、カーペットの裏打ち層13は、上記した通り回転の速い方のロール2−2に、カーペット層10は回転の遅い方のロール2−1に接触する様に供給される。
その結果、当該一対のロール2−1、2−2の隙間2を通過したカーペット1は、裏打ち層13が当該ずれ剥離処理操作によって当該スリット部101から破断される事によって細片状に不均整に小片化されたチップ状或は細片状131の細かい砕片状態となってカーペット層10と分離されて出てくる。
従って、コンベア6の出口近辺に適宜の容器132を配置することによって当該チップ状砕片131を吸引或いは自然落下等により当該容器内に収納させる事が可能である。
又、同図中には、本発明に於ける他の態様である、少なくともループパイル糸11からなるカーペット層10と基布層12と裏打ち層13の3層からなるカーペット1をリサイクルするにあたり、少なくとも当該カーペット1から当該裏打ち層13を分離するに際し、カーペット層10と裏打ち層13を個別に分離するカーペット分離機構部200と当該カーペット分離機構部200に当該カーペット1が搬入される以前の適宜の部位に当該カーペット1の当該裏打ち層13にスリット部101を形成するスリット部形成手段100が設けられているカーペットの構成材料を分離回収する装置300が示されている。
即ち、本具体例では、当該カーペット1が当該スリット形成手段100に於いて適宜の形状のスリット或は溝部101を付与せしめられた後、要すれば適宜の加熱手段200によって適宜の加熱処理を受けた後、カーペット分離機構を構成する回転差のある一対のロール2−1、2−2に供給され、その際、カーペットの裏打ち層13が、回転の速い方のロール2−2に、カーペット層10は回転の遅い方のロール2−1にそれぞれ接触する様に供給する事によって、当該カーペット層10と当該裏打ち層13とが相互に剥離分離されると共に、当該裏打ち層13は、当該一対のロール2−1、2−2間でずれ処理による歪の影響によって、当該スリット部分から不均整な細片状或はチップ状の小片131に分割されて当該分離されたカーペット層10と共に当該コンベア6に乗って移送されて来る。
従って、当該コンベア6の出口部で落下する当該小片131を適宜の容器、収納具体例32を利用して収集する事により、効率的に後工程に直接供給出来る裏打ち層13細片を得る事が出来る。
又、本具体例では、基本的にはカーペット1をパイル糸と基布層12とからなる当該カーペット層10と当該裏打ち層13の2つに分離することを目的としており、係る具体例では、回収された使用済みのカーペット或はタイルカーペット等が如何なる方法で製造されたものか判別する事が不可能な場合が多いので、その様なカーペット類を分離回収処理する方法として適している。
又、係る具体例では、処理操作が容易であり効率的であると同時に収率も向上する。
係る具体例に対し、上記した第1の態様のカーペットの分離回収処理方法では、回収された使用済みのカーペット或はタイルカーペット等を基本的には、パイル糸層と基布層を含む当該カーペット層と、当該裏打ち層との二層を個別に分離して回収することを目的としており、カーペット類の製造方法或はその構造が予め判明している場合の分離回収処理方法として適しており、又当該裏打ち層13を効率良く、低コストで、略均一な形状のチップ状の小片131に分離することが可能であり、当該の裏打ち層13の後処理工程が容易化或は効率化される。
更に、本発明によって回収されたカーペット層は一定の厚みを有し、略500ミリ角の形状を保っているので、カーペット層の再資源化にも有利である。
図1は、本発明のカーペットからループパイル糸、基布層及び裏打ち層を分離回収する装置の一具体例の構成を示す断面図である。 図2は、本発明に使用されるずれ剥離処理手段の一具体例の構成を示す断面図である。 図3は、スリット部が形成されたカーペットの裏打ち層を例示す斜視図である。 図4は、本発明において使用されるスリット部の形状の具体例を示す図である。 図5は、本発明に於けるスリット部形成手段で使用される刃体部の構成例を示す図である。 図6は、本発明に於いて使用されるスリット部形成手段の1具体例の構成を示す断面図である。
符号の説明
1:カーペット
2:ロール間隙
2−1、2−2:回転ロール
6:コンベア
7:加熱装置
10:カーペット層
11:パイル糸層
12:基布層
13:裏打ち層
90、91:サブ裏打ち層
93:補強層
100:スリット部形成手段
101:スリット部
102:裏打ち層の外表面
104:溝部
105:スリット形成部
106、107:カーペット移動部
108:保持部
110:刃体部
112:研削刃
113:刃状体
131:チップ状砕片、細片
132:収納部
200:カーペット分離機構部
300:カーペットの分離回収装置

Claims (18)

  1. 少なくともパイル糸からなるパイル糸層と基布層と裏打ち層の3層からなるカーペットをリサイクルするにあたり、少なくとも当該カーペットから当該裏打ち層を分離するに際し、予め当該裏打ち層にスリット部を形成することを特徴とするパイル糸を有するタフテッドタイプのカーペットの構成材料を分離回収する方法であって、当該少なくとも当該カーペットから当該裏打ち層を分離する方法が、当該カーペット層と当該裏打ち層との境界面にずれ剥離を起こさせる様に構成された方法である事を特徴とするパイル糸を有するタフテッドタイプのカーペットの構成材料を分離回収する方法。
  2. 当該裏打ち層は、複数のサブ裏打ち層から構成されている事を特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 当該裏打ち層は、補強材が含まれている事を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 当該補強材は、当該複数のサブ裏打ち層の間に配置されている事を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の方法。
  5. 当該スリット部は、当該カーペットの当該裏打ち層の外表面から当該カーペットの当該カーペット層に向けて当該裏打ち層内部に形成された切込み或いは溝部で構成されている事を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の方法。
  6. 当該スリット部は、直線状或いは湾曲状若しくはその組合せからなる形状で構成されている事を特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の方法。
  7. 当該スリット部の深さは、当該裏打ち層の外表面から当該裏打ち層の厚みの少なくとも略3分の1の深さまで到達している事を特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の方法。
  8. 当該裏打ち層に当該補強材が配置されている場合には、当該スリット部の深さは、当該裏打ち層の外表面から当該補強材が配置されている位置を越える深さである事を特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 当該スリット部は、当該裏打ち層の外表面の主要部の略全面に設けられる事を特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の方法。
  10. 複数本の当該スリット部が当該カーペットの長手方向又は幅方向或いはその長手方向及び幅方向に、相互に平行に並列して配置されている事を特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の方法。
  11. 複数本の当該スリット部が当該カーペットの長手方向又は幅方向に対して所定の角度を有して相互に平行に並列して配置されている事を特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の方法。
  12. 複数本の当該スリット部が当該カーペットの長手方向又は幅方向に対して所定の角度を有して相互に平行に並列されている第1のスリット群と当該カーペットの長手方向又は幅方向に対して第1のスリット群とは異なる所定の角度を有して相互に平行に並列されている第2のスリット群とが互いに交差して配置されている事を特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 複数本の当該スリット部は2mm乃至30mmの相互間隔を介して配列されている事を特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の方法。
  14. 少なくとも当該カーペットから当該裏打ち層を分離する方法が、回転差を有する一対のロールを設け、当該一対のロールの隙間を当該カーペット裏打ち層の厚さ以下となる様に設定し、当該カーペットを、当該一対のロールのうち回転速度が速い方のロール側に当該裏打ち層が来るようにして当該隙間に通すことにより、当該カーペット層と当該裏打ち層との境界面に層間のずれを生じさせ、当該両者間に剥離を起こさせる様に構成する方法である事を特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載の方法。
  15. 該カーペットを、当該一対のロールに通すこと以前に当該カーペットを適宜の温度に加熱する様に構成されている事を特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 少なくともカーペット層を構成するパイル糸からなるパイル糸層と基布層と裏打ち層の3層からなるカーペットをリサイクルするにあたり、少なくとも当該カーペットから当該裏打ち層を分離するに際し、ずれ剥離処理によってカーペット層と裏打ち層を個別に分離するカーペット分離機構部と当該カーペット分離機構部に当該カーペットが搬入される以前の適宜の部位に当該カーペットの当該裏打ち層にスリット部を形成するスリット部形成手段が設けられている事を特徴するカーペットの構成材料を分離回収する装置。
  17. 当該スリット部形成手段は、所定の間隔で相互に並列状に配列された固定刃若しくは回転刃からなる刃体部を有している事を特徴とする請求項16に記載の装置。
  18. 当該スリット部形成手段には、当該カーペットをその長手方向若しくは幅方向が当該刃体部に対して所定の角度を形成する様に移動せしめる様に構成されたカーペット移動部が設けられている事を特徴とする請求項16又は17に記載の装置。
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