JP2009001682A - サイド補強層用ゴム組成物、およびこれを用いたランフラットタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】石油外資源からなる材料の含有比率をより高くすることにより、省資源および環境保護への配慮が十分なされているとともに、優れた硬度、低発熱性および加工性を付与できるサイド補強層用ゴム組成物および、当該ゴム組成物からなるサイド補強層を備えるサイド補強型ランフラットタイヤを提供する。
【解決手段】天然ゴムおよび/またはエポキシ化天然ゴムからなるゴム成分100質量部に対して、シリカを40〜90質量部と、硫黄を4〜8質量部含有するランフラットタイヤのサイド補強層用ゴム組成物、および当該ゴム組成物からなるサイド補強層を備えるランフラットタイヤである。
【選択図】なし
【解決手段】天然ゴムおよび/またはエポキシ化天然ゴムからなるゴム成分100質量部に対して、シリカを40〜90質量部と、硫黄を4〜8質量部含有するランフラットタイヤのサイド補強層用ゴム組成物、および当該ゴム組成物からなるサイド補強層を備えるランフラットタイヤである。
【選択図】なし
Description
本発明は、ランフラットタイヤのサイド補強層に用いられるゴム組成物に関する。また、本発明は、当該ゴム組成物からなるサイド補強層を備えるランフラットタイヤに関する。
近年、サイドウォールの内側に荷重支持層(サイド補強層)を備えたランフラットタイヤが開発され、普及しつつある。このランフラットタイヤは、サイド補強型ランフラットタイヤと呼ばれている。サイド補強型ランフラットタイヤでは、パンクによって内圧が低下すると荷重支持層(サイド補強層)によって車重が支えられるため、パンクした状態でも、ある程度の距離の走行が可能となる。このようなサイド補強型ランフラットタイヤの装着により、スペアタイヤの常備が不要となり、また、不便な場所でのタイヤ交換を回避することができる。
サイド補強型ランフラットタイヤのサイド補強層は、パンク走行時に車輌の荷重を支える役割を果たすため、硬さ、耐亀裂性、低発熱性などを備えていることが求められる。また、高硬度のゴムを製造することとなるため、未加硫ゴム組成物の加工性が良好でなければならない。そのため、従来、ゴム成分としては、耐亀裂性に優れるポリブタジエンや、補強剤としてカーボンブラックが用いられてきた。これらはいずれも石油資源由来の材料である。
しかし、近年、環境問題が重視されるようになり、二酸化炭素の排出量の規制が強化されている。また、石油現存量は有限であることから、石油資源由来の原材料の使用には限界がある。このような環境重視指向は、タイヤの分野においても例外ではなく、現在使用されている石油資源由来の原材料の一部または全てを石油外資源由来の原材料で代替したタイヤ用ゴム組成物の開発が求められている。
たとえば特許文献1には、カーボンブラックの代替原料として石油外資源であるシリカ等を用いたエコタイヤが開示されている。サイド補強層に硬さを付与するには、シリカを多量に配合する必要があるが、シリカはカーボンブラックと比較して、粘度を増大させるため、未加硫ゴム組成物の加工性を低下させる。また、シリカを多量に配合すると、カーボンブラックの場合と同様、発熱性が悪化し、通常走行中のタイヤの転がり抵抗の上昇、さらには、パンク走行時におけるゴムの発熱のよる耐久性の悪化が懸念される。特許文献1においては、かかるゴムの硬さや発熱性および未加硫ゴム組成物の加工性については考慮されていない。
特開2003−63206号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、石油外資源からなる材料の含有比率をより高くすることにより、省資源および環境保護への配慮が十分なされているとともに、優れた硬度、低発熱性および加工性を付与できるサイド補強層用ゴム組成物および、当該ゴム組成物からなるサイド補強層を備えるサイド補強型ランフラットタイヤを提供することである。
本発明は、天然ゴムおよび/またはエポキシ化天然ゴムからなるゴム成分100質量部に対して、シリカを40〜90質量部と、硫黄を4〜8質量部含有するランフラットタイヤのサイド補強層用ゴム組成物である。
ここで、ゴム組成物に配合されるシリカの30質量%以上は、BET比表面積が150m2/g以下のシリカであることが好ましい。
また本発明は、上記ゴム組成物からなるサイド補強層を備えるランフラットタイヤを提供する。
本発明によれば、石油外資源からなる材料の含有比率をより高くすることにより、省資源および環境保護への配慮が十分なされているとともに、優れた硬度、低発熱性および加工性を付与できるサイド補強層用ゴム組成物および、当該ゴム組成物からなるサイド補強層を備えるサイド補強型ランフラットタイヤが提供される。
本発明のサイド補強層用ゴム組成物は、天然ゴム(NR)および/またはエポキシ化天然ゴム(ENR)からなるゴム成分100質量部に対して、シリカを40〜90質量部と、硫黄を4〜8質量部含有することを特徴とする。以下、各成分について詳細に説明する。
<ゴム成分>
本発明において、ゴム成分は天然ゴム(NR)および/またはエポキシ化天然ゴム(ENR)からなる。天然ゴム(NR)としては、ゴム工業において従来用いられているものを使用することができ、たとえば、KR7、TSR20、RSSなどのグレードの天然ゴムを挙げることができる。
本発明において、ゴム成分は天然ゴム(NR)および/またはエポキシ化天然ゴム(ENR)からなる。天然ゴム(NR)としては、ゴム工業において従来用いられているものを使用することができ、たとえば、KR7、TSR20、RSSなどのグレードの天然ゴムを挙げることができる。
ゴム成分中におけるNRの含有率は特に制限されないが、60質量%以上とすることが好ましく、70質量%以上とすることがより好ましい。NRの含有率が60質量%未満である場合には、発熱性が高く、ランフラット耐久性に劣る傾向にある。NRの含有率に特に上限はなく、100質量%であってもよい。
本発明において、ゴム成分中のNR以外の残部は、エポキシ化天然ゴムである。エポキシ化天然ゴム(ENR)は、天然ゴム(NR)の不飽和二重結合がエポキシ化されたものであり、極性基であるエポキシ基により分子凝集力が増大する。そのため、天然ゴムよりもガラス転移温度(Tg)が高く、かつ機械的強度や耐磨耗性、耐空気透過性に優れる。
エポキシ化天然ゴム(ENR)としては、市販のものを用いてもよいし、天然ゴム(NR)をエポキシ化したものを用いてもよい。NRをエポキシ化する方法としては、特に限定されるものではなく、たとえばクロルヒドリン法、直接酸化法、過酸化水素法、アルキルヒドロペルオキシド法、過酸法などを挙げることができる。過酸法としては、たとえば天然ゴムに過酢酸や過蟻酸などの有機過酸を反応させる方法を挙げることができる。
エポキシ化天然ゴム(ENR)のエポキシ化率は、特に制限されないが、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましい。ENRのエポキシ化率が5モル%未満の場合、タイヤのランフラット耐久性が劣る傾向にある。また、エポキシ化天然ゴム(ENR)のエポキシ化率は、60モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましい。ENRのエポキシ化率が60モル%を超える場合、ゴムが硬くなりすぎて機械強度が劣る傾向がある。なお、エポキシ化天然ゴム(ENR)のエポキシ化率とは、(エポキシ化された二重結合の数)/(エポキシ化前の二重結合の数)を意味する。具体的には、エポキシ化率25モル%のENR(ENR25)やエポキシ化率50モル%のENR(ENR50)などを好適に用いることができる。
本発明において、ENRは1種のみを用いてもよく、エポキシ化率の異なる2種以上のENRを用いてもよい。
<シリカ>
本発明のサイド補強層用ゴム組成物はシリカを含有する。シリカは、補強用充填剤として機能するものであり、シリカを配合することにより、得られるサイド補強層の硬度を向上させることができる。
本発明のサイド補強層用ゴム組成物はシリカを含有する。シリカは、補強用充填剤として機能するものであり、シリカを配合することにより、得られるサイド補強層の硬度を向上させることができる。
シリカとしては、湿式法により調製されたものであってもよく、乾式法により調製されたものであってもよい。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、40質量部以上である。シリカの含有量が40質量部未満では、十分なゴム硬度が得られない傾向にある。シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、50質量部以上が好ましい。また、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、90質量部以下である。シリカの含有量が90質量部を超えると、ゴム組成物の加工性が低下する傾向にある。シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、80質量部以下が好ましい。
ここで、ゴム組成物の粘度を低下させ、加工性を改善するために、ゴム組成物に配合されるシリカの30質量%以上は、BET比表面積が150m2/g以下のシリカであることが好ましい。BET比表面積が150m2/g以下のシリカ量が全シリカの30質量%未満であると、加工性の改善効果が小さい。BET比表面積が150m2/g以下のシリカ量の上限に特に制限はなく、たとえば全シリカ中100質量%であってもよい。BET比表面積が150m2/g以下のシリカとしては、たとえば、デグッサ製のウルトラジルVN2(BET比表面積:125m2/g)などを用いることができる。
ゴム組成物に配合されるシリカのBET比表面積は、150m2/g以下が好ましく、140m2/g以下がより好ましい。シリカのBET比表面積が150m2/gを超えると、ゴム練り工程でビスが高くなって加工性を悪化させる傾向にある。
<シランカップリング剤>
本発明のサイド補強層用ゴム組成物には、シリカとともに、シランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤としては、従来公知のシランカップリング剤を用いることができ、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系;γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系;3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系;3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系;などを挙げることができる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のサイド補強層用ゴム組成物には、シリカとともに、シランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤としては、従来公知のシランカップリング剤を用いることができ、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系;γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系;3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系;3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系;などを挙げることができる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のなかでも、加工性が良好であるという理由から、デグッサ社製Si69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)、Si266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)などが好ましく用いられる。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して2質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましい。含有量が2質量部未満では、シリカの補強効果が得られない傾向にある。また、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、12質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。12質量部を超える場合、シランカップリング剤を増やしたことに見合うだけの補強性の向上効果が得られない傾向にある。
<加硫剤>
本発明のサイド補強層用ゴム組成物は、加硫剤として硫黄を含有する。硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、4質量部以上、好ましくは6質量部以上である。硫黄を4質量部以上配合することにより、未加硫ゴム組成物の加工性を維持しつつ、サイド補強層に優れた硬さおよび低発熱性を付与することができる。硫黄の含有量が、ゴム成分100質量部に対して4質量部未満であると、十分な硬度を得ることが困難である。また、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、8質量部以下、好ましくは7質量部以下である。硫黄の含有量が、ゴム成分100質量部に対して8質量部を超えると、未加硫状態の硫黄がゴム表面に析出する傾向が高くなる。
本発明のサイド補強層用ゴム組成物は、加硫剤として硫黄を含有する。硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、4質量部以上、好ましくは6質量部以上である。硫黄を4質量部以上配合することにより、未加硫ゴム組成物の加工性を維持しつつ、サイド補強層に優れた硬さおよび低発熱性を付与することができる。硫黄の含有量が、ゴム成分100質量部に対して4質量部未満であると、十分な硬度を得ることが困難である。また、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、8質量部以下、好ましくは7質量部以下である。硫黄の含有量が、ゴム成分100質量部に対して8質量部を超えると、未加硫状態の硫黄がゴム表面に析出する傾向が高くなる。
硫黄は、ゴム業界において一般的に用いられているものを用いることができるが、なかでも、硫黄の析出を抑制するために、不溶性硫黄(高分子硫黄)を用いることが好ましい。なお、硫黄とともに、他の加硫剤を併用してもよい。
<その他の添加剤>
本発明のサイド補強層用ゴム組成物には、上記した成分以外にも、他の添加剤、たとえば加硫促進剤、ステアリン酸、オイル、ワックス、老化防止剤、亜鉛華などを含有してもよい。なお、本発明においては、補強剤として上記シリカのほかに、カーボンブラックを配合してもよいが、省資源および環境保護の観点からは、カーボンブラックを含有しないことが好ましい。
本発明のサイド補強層用ゴム組成物には、上記した成分以外にも、他の添加剤、たとえば加硫促進剤、ステアリン酸、オイル、ワックス、老化防止剤、亜鉛華などを含有してもよい。なお、本発明においては、補強剤として上記シリカのほかに、カーボンブラックを配合してもよいが、省資源および環境保護の観点からは、カーボンブラックを含有しないことが好ましい。
加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、もしくは、キサンテート系加硫促進剤のうち少なくとも一つを含有するものを使用することが可能である。スルフェンアミド系としては、たとえばCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBBS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系化合物などを使用することができる。チアゾール系としては、たとえばMBT(2−メルカプトベンゾチアゾール)、MBTS(ジベンゾチアジルジスルフィド)、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、亜鉛塩、銅塩、シクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾールなどのチアゾール系化合物などを使用することができる。チウラム系としては、たとえばTMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラム系化合物を使用することができる。チオウレア系としては、たとえばチアカルバミド、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジオルトトリルチオ尿素などのチオ尿素化合物などを使用することができる。グアニジン系としては、たとえばジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、トリフェニルグアニジン、オルトトリルビグアニド、ジフェニルグアニジンフタレートなどのグアニジン系化合物を使用することができる。ジチオカルバミン酸系としては、たとえばエチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛とピペリジンの錯塩、ヘキサデシル(またはオクタデシル)イソプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジアミルジチオカルバミン酸カドミウムなどのジチオカルバミン酸系化合物などを使用することができる。アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系としては、たとえばアセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒド−アンモニア反応物などのアルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系化合物などを使用することができる。イミダゾリン系としては、たとえば2−メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系化合物などを使用することができる。キサンテート系としては、たとえばジブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサンテート系化合物などを使用することができる。これらの加硫促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系、カルバミン酸金属塩などを適宜選択して使用することができる。
オイルとしては、たとえばプロセスオイル、植物油脂、およびそれらの混合物などを用いることができる。プロセスオイルとしては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなどを挙げることができる。また、植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、サフラワー油、桐油などを挙げることができる。
本発明のランフラットタイヤは、上記本発明のサイド補強層用ゴム組成物からなるサイド補強層を備えるランフラットタイヤである。図1は、本発明に係るランフラットタイヤの一例を示す概略断面図である。ランフラットタイヤ100は、路面に接するトレッド部1と、そのトレッド部1の側方には、順に連続してショルダ部2、サイドウォール部3、ビード部4が形成されている。そして、ビード部4にはカーカス5が架け渡されるとともに、このカーカス5の外側かつトレッド部1の内側にはタガ効果を有してトレッド部1を補強するベルト層11が配される。ショルダ部2には、繊維補強層21が延在している。また、ランフラットタイヤ100の内周部には、空気の漏洩を防ぐためのインナーライナー6が設けられている。
ショルダ部2からビード部4までのタイヤ側面部分のカーカス5とインナーライナー6の間には、サイド補強層7が配置されている。タイヤ空気圧が低下した際には、サイド補強層7により車輌荷重を支え、タイヤの変形が抑制される。本発明のサイド補強層用ゴム組成物は、上記サイド補強層7に使用されるものである。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1〜3および比較例1〜3>
表1に示す配合処方に従い、神戸製鋼製1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤を除く配合成分を、回転数80rpm、150℃の条件で3分間混練りした。ついで、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を表1に示す配合量で加えた後、オープンロールを用いて、80℃で5分間混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。次に、当該未加硫ゴム組成物を150℃で、30分間加硫することにより、実施例1〜3および比較例1〜3の加硫ゴムシートを作製した。
表1に示す配合処方に従い、神戸製鋼製1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤を除く配合成分を、回転数80rpm、150℃の条件で3分間混練りした。ついで、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を表1に示す配合量で加えた後、オープンロールを用いて、80℃で5分間混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。次に、当該未加硫ゴム組成物を150℃で、30分間加硫することにより、実施例1〜3および比較例1〜3の加硫ゴムシートを作製した。
また、上記未加硫状態のゴム組成物を他の部材とともに、160℃で20分間プレス加硫することにより、実施例1〜3および比較例1〜3のランフラットタイヤ(サイズ:215/45R17)を作製した。このようなランフラットタイヤは、図1に示したような構造を有しており、その詳細は以下の通りである。
カーカス:材料 ポリエステル(1670dtex/2)
ベルト層:材料 スチールコード、構造 1×4、角度 22°×22°
キャップトレッド部/ベーストレッド部の厚み比:80/20
上記実施例1〜3および比較例1〜3の未加硫ゴム組成物、加硫ゴムシートおよび試験用ランフラットタイヤについて、下記に示す試験を実施した。結果を表1に示す。
カーカス:材料 ポリエステル(1670dtex/2)
ベルト層:材料 スチールコード、構造 1×4、角度 22°×22°
キャップトレッド部/ベーストレッド部の厚み比:80/20
上記実施例1〜3および比較例1〜3の未加硫ゴム組成物、加硫ゴムシートおよび試験用ランフラットタイヤについて、下記に示す試験を実施した。結果を表1に示す。
上記実施例および比較例で使用した各種配合成分の詳細は以下のとおりである。
(1)天然ゴム(NR):RSS#3
(2)ブタジエンゴム(BR):宇部興産(株)製の「BR150B」
(3)カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製の「ショウブラックN330」
(4)シリカA:デグッサ社製の「ウルトラジルVN3」(BET比表面積:210m2/g)
(5)シリカB:デグッサ社製の「ウルトラジルVN2」(BET比表面積:125m2/g)
(6)シランカップリング剤:デグッサ社製の「Si69」(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
(7)ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸「椿」
(8)亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の「亜鉛華1号」
(9)硫黄:四国化成工業(株)製の不溶性硫黄「ミュークロンOT」
(10)加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製の「ノクセラーCZ」(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
(ゴム硬度)
加硫ゴムシートについて、JIS−K6253の「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」に準じて、スプリング式タイプAにて硬度を測定した。
(1)天然ゴム(NR):RSS#3
(2)ブタジエンゴム(BR):宇部興産(株)製の「BR150B」
(3)カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製の「ショウブラックN330」
(4)シリカA:デグッサ社製の「ウルトラジルVN3」(BET比表面積:210m2/g)
(5)シリカB:デグッサ社製の「ウルトラジルVN2」(BET比表面積:125m2/g)
(6)シランカップリング剤:デグッサ社製の「Si69」(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
(7)ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸「椿」
(8)亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の「亜鉛華1号」
(9)硫黄:四国化成工業(株)製の不溶性硫黄「ミュークロンOT」
(10)加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製の「ノクセラーCZ」(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
(ゴム硬度)
加硫ゴムシートについて、JIS−K6253の「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」に準じて、スプリング式タイプAにて硬度を測定した。
(ムーニー粘度)
JIS−K6300に準じて、130℃の条件下で未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を測定した。測定結果を比較例1の数値を100とした指数で示した。指数が大きいほど粘度が低く、加工性が良好であることを示す。
JIS−K6300に準じて、130℃の条件下で未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を測定した。測定結果を比較例1の数値を100とした指数で示した。指数が大きいほど粘度が低く、加工性が良好であることを示す。
(転がり抵抗)
加硫ゴムシートについて、粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で損失正接tanδを測定した。比較例1のtanδを100とし指数表示した。指数が大きいほど低発熱性に優れる。
加硫ゴムシートについて、粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で損失正接tanδを測定した。比較例1のtanδを100とし指数表示した。指数が大きいほど低発熱性に優れる。
(硫黄析出性)
未加硫ゴム組成物を、未加硫状態のまま厚さ2mmのシートに加工し、室温で24時間放置した。表面に硫黄が析出した場合をB、析出物がみられない場合をAとした。
未加硫ゴム組成物を、未加硫状態のまま厚さ2mmのシートに加工し、室温で24時間放置した。表面に硫黄が析出した場合をB、析出物がみられない場合をAとした。
(ランフラット走行距離)
空気内圧0kPaの状態で、試験用タイヤを乗用車(2000ccクラス)に装着し、ドラム上を80km/hの速度で走行し、タイヤが破壊するまでの走行距離を比較した。比較例1を基準(100)とし、指数表示した。指数が大きいほどランフラット耐久性に優れることを示す。なお、表1において、比較例3の「−」は、加工時に硫黄の析出が起こったためタイヤを作製することができなかったことを意味する。
空気内圧0kPaの状態で、試験用タイヤを乗用車(2000ccクラス)に装着し、ドラム上を80km/hの速度で走行し、タイヤが破壊するまでの走行距離を比較した。比較例1を基準(100)とし、指数表示した。指数が大きいほどランフラット耐久性に優れることを示す。なお、表1において、比較例3の「−」は、加工時に硫黄の析出が起こったためタイヤを作製することができなかったことを意味する。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 トレッド部、2 ショルダ部、3 サイドウォール部、4 ビード部、5 カーカス、6 インナーライナー、7 サイド補強層、11 ベルト層、21 繊維補強層。
Claims (3)
- 天然ゴムおよび/またはエポキシ化天然ゴムからなるゴム成分100質量部に対して、シリカを40〜90質量部と、硫黄を4〜8質量部含有するランフラットタイヤのサイド補強層用ゴム組成物。
- 前記シリカの30質量%以上は、BET比表面積が150m2/g以下のシリカである請求項1に記載のサイド補強層用ゴム組成物。
- 請求項1または2に記載のゴム組成物からなるサイド補強層を備えるランフラットタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007164161A JP2009001682A (ja) | 2007-06-21 | 2007-06-21 | サイド補強層用ゴム組成物、およびこれを用いたランフラットタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007164161A JP2009001682A (ja) | 2007-06-21 | 2007-06-21 | サイド補強層用ゴム組成物、およびこれを用いたランフラットタイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2009001682A true JP2009001682A (ja) | 2009-01-08 |
Family
ID=40318436
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JP2007164161A Withdrawn JP2009001682A (ja) | 2007-06-21 | 2007-06-21 | サイド補強層用ゴム組成物、およびこれを用いたランフラットタイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2009001682A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018194063A1 (ja) * | 2017-04-18 | 2018-10-25 | 株式会社ブリヂストン | タイヤの内層部材用ゴム組成物およびこれを用いた重荷重用空気入りタイヤ |
-
2007
- 2007-06-21 JP JP2007164161A patent/JP2009001682A/ja not_active Withdrawn
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WO2018194063A1 (ja) * | 2017-04-18 | 2018-10-25 | 株式会社ブリヂストン | タイヤの内層部材用ゴム組成物およびこれを用いた重荷重用空気入りタイヤ |
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