JP2008546618A - 高強度床材組成物 - Google Patents

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Abstract

水和して高強度床材化合物を形成するスラリーを調製するために水とともに使用される混合物の組成が開示される。混合物は、約50重量%〜約98重量%の硫酸カルシウム半水和物を含む。3種の繰返し単位のポリカルボキシレート分散剤が、混合物中に約0.2重量%〜約10重量%の量で含まれる。繰返し単位は、ポリエーテル繰返し単位、アクリル酸型繰返し単位及びマレイン酸型繰返し単位を含む。分散剤の効果を高める調整剤も混合物の成分である。推奨量の水と混合されると、床材組成物として有用なスラリーが形成される。
【選択図】なし

Description

背景
本発明は、高強度床材組成物に関する。より具体的には、本発明は、β型焼成硫酸カルシウム半水和物、分散剤及び調整剤を用いて作製された床材組成物に関する。
石膏及びセメントはいずれも建築材料として周知である。石膏はウォールボードの主成分であり、強度及び滑らかな表面を付与するために紙で上張りされている。セメントは、耐水性及び硬度が重要となる種々の用途(例えば、コンクリート構造物)において使用される。また、セメントは、硬度及び耐水性が重要となる建築用途においても使用される。
石膏は、硫酸カルシウム二水和物、白土又は粉末石膏としても知られている。また、焼き石膏は、焼成石膏、漆喰又は硫酸カルシウム半水和物としても知られている。発電所からの排煙脱硫プロセスの副生成物である合成石膏を使用してもよい。石膏が採掘される場合、未処理の石膏は通常、二水和物の形態で存在する。この形態では、硫酸カルシウムの各分子にほぼ2分子の水が結合している。半水和物の形態を生じさせるためには、石膏を焼成して、式:
CaSO・2HO → CaSO・1/2HO+3/2H
に従って、水和水の一部を追い出す。
水と混合すると、半水和物は再び水和して、二水和物結晶が絡み合ったインターロッキングマトリックスを形成する。水和は、セメントでは数日かかるのに対して、石膏では、わずか数分ないし数時間で起こる。このことは、石膏が十分な硬度及び強度を達成することができる限り、石膏を、多くの用途における魅力的な選択肢とする。
硫酸カルシウム半水和物は、焼成の間に少なくとも2つの結晶形態を作りだすことができる。α型焼成石膏は、硫酸カルシウム二水和物を加圧下で焼成する、連続法又はランプロック(lump rock)法によって製造される。α型焼成石膏は、β型焼成石膏よりも針状性の低い結晶を形成し、結晶が互いに密に充填されることを可能にし、より高密度かつ高強度の石膏を作る。この結晶形態により、水が結晶の間を流れやすくなり、流動性のあるスラリーを形成するのに必要な水がより少量で済む。β型焼成石膏は、より伸長した結晶を特徴とする。この結晶構造は、結晶がよりゆったりと充填されるので、より低密度の生成物を生じる。β型形態は、焼成石膏を流動化するのにより多くの水を必要とする。硬度が重要な用途においては、高価であり入手も容易でないにもかかわらず、通常、α型焼成石膏が好まれる。
使用する焼成石膏を選択する際には、入手が容易であり、安価であることから、β型焼成石膏がしばしば選択される。β型焼成石膏は、普及していることもあり、α型形態と比較して、出荷及び保管のコストを低減させることができる。しかし、その結晶構造のために、一定の流動性を有するスラリーを作製するのにより多くの水が必要なので、強度があり、緻密な石膏を作ることが困難である。石膏が乾燥すると、水が占有していた空隙が結晶マトリックス中に残って、石膏が弱まり、より少量の水で作製された石膏より強度の低い製品が生じる。低水分の石膏スラリーは、強度が重要な用途(例えば、塗り床)で特に有用である。石膏ベースの床材の使用は、床を迅速に硬化させることが要求される場合に好都合である。
流動性のあるスラリーを作製するのにより少量の水で済むように、水及び硫酸カルシウム半水和物の混合物の流動化を促進する分散剤を石膏に使用することが知られている。しかし、これらの分散剤はいくつかの短所を有する。ポリカルボキシレート分散剤は、大幅な遅延性を有し、硬化反応速度を大幅に低減させる可能性がある。硬化時間が増大すると、床の製造プロセスに支障を来たす可能性がある。硬化時間が長くなると、床の仕上げ及び使用が遅れることになる。分散剤の遅延効果を克服するために添加することができる促進剤は、分散剤が使用されていない組成物よりも効果が小さくなる可能性がある。
ポリカルボキシレート分散剤に関する先行技術は多いが、どの化合物についても、それを用いて製造する製品に対する効果を予測することは困難である。ポリカルボキシレートは、一般に、セメントの流動性を改善することが知られている。このことは、必ずしも、ポリカルボキシレートが石膏製品に同様の結果をもたらすということを意味しない。石膏及びセメントは、ポリカルボキシレート溶液中で異なった分散の仕方をする可能性がある、異なった結晶形態を形成する。これらの水硬性材料の硬化時間は非常に異なり、そのため、セメントでは無視できるポリカルボキシレートの遅延効果が、石膏ウォールボードの硬化にとっては重大なものとなる。石膏製品の範囲内でもばらつきが存在し、ある石膏供給源に対して有効なポリカルボキシレートもあれば、そうでないものもある。石膏又はセメントにおけるポリカルボキシレートの効果が予測できないことは、低水分ウォールボード製品の作製を困難にする。
さらに、ポリカルボキシレート分散剤の大量使用による硬化時間の遅延は、必ずしも、硬化促進剤の添加によっては克服することができない。大量のポリカルボキシレートを使用して、漆喰に対する水の比率が低い状態でも流動可能なスラリーを作製する場合、製品の取り扱い方の変更が必要になるほど硬化時間が遅れる可能性があり、製造プロセスをしばしば非効率的なものにする。
水硬性の製品では、表面水の均衡を達成することが困難な場合がある。スラリー中の砂又はその他の骨材は懸濁液から抜け出し、混合物の底に沈降することがある。水もまた懸濁液から抜け出し、スラリーの最上部へ上昇することがある。あまりに多くの水がスラリーから抜け出すと、乾燥によって取り残される空隙のために、表面が弱くなる。しかし、表面が乾燥しすぎると、焼成石膏を水和する水が不十分となる。これにより、床材の表面に粉末が残ることになり、追加の前処理なしに床の表装品(例えば、ビニル又はセラミックタイル)を接着させることがより困難となる。床の耐水性も低減する。例えば、塗り床に使用する場合は、スラリーの表面に水の薄膜が存在するのが有利である。この水は、表面が水和されることを確実にし、また、表面の仕上げを補助する。分散剤の中には、水とともにスラリーの最上部へ上昇し、分散剤を液体の底に不均一に分布させるものもある。分散剤が、スラリーの上の水の薄膜中に上昇すると、表面の水は粘着性を有するようになり、表面が、仕上げの困難な劣悪なものになる可能性がある。
発明の簡単な説明
石膏ベースの床材製品に伴う上述のような問題は、スラリー及び骨材を含む本発明の組成物によって改善される。
より具体的には、本発明の一実施形態は、約50重量%〜約98重量%の硫酸カルシウム半水和物を含み、少なくとも25%の硫酸カルシウム半水和物を有するスラリーを調製するために、水とともに使用される混合物である。この混合物に使用されるポリカルボキシレート分散剤は、少なくとも3種の繰返し単位を含む。第1の繰返し単位はポリオキシアルキルエーテルを含む。第2の繰返し単位はマレイン酸型繰返し単位を含む。第3の繰返し単位はアクリル酸型繰返し単位を含む。分散剤は、約0.02重量%〜約10重量%の量で混合物中に含まれる。推奨量の水と混合すると、床材組成物として有用なスラリーが形成される。
本発明の別の実施形態において、上記混合物は、数週間というよりむしろ数日で硬化する速乾性床材組成物を作成するために使用することができる。速乾性が最も高い製品は、水分を乾燥成分の重量の25%未満に減少させることによって得られる。非乾燥又は低乾燥製品では、半水和物全体の最大100%の量のα型半水和物を使用することが好ましい。
本発明の組成物は、β型形態の半水和物を100%使用する場合でも、高強度床材の形成をもたらす。調整剤(例えば、セメント又は石灰)の存在下では、ポリカルボキシレート分散剤は、その他の超可塑剤よりも効果的であり、スラリーをより流動性の高いものにする。混合物の流動性が良好なため、β型焼成石膏、又はα型及びβ型焼成石膏混合物は、水分使用量の少ないスラリー中で流動化されて、従来知られているものよりも緻密で高強度の床材製品を生み出す。
本発明の混合物、又はそれを用いて作製されたスラリーを使用すると、粘着性が低減され、仕上げの容易な表面が生じる。この表面は、他の分散剤を用いて仕上げた床に比べて滑らかである。本発明のスラリーを用いる仕上げ工は、より少ない疲労で、より短時間で仕事を完了することができる。スラリーからのブリーディング水も低減され、砂の懸濁が改善され、その結果、仕上げが、より良好な品質のものになる。
発明の詳細な説明
水と混合した際に、床材用途で使用するのに適したスラリーになる混合物は、硫酸カルシウム半水和物、調整剤及びポリカルボキシレート分散剤から作製される。高強度の床及び下張り床は、平方インチ当たり2500ポンド(175kg/cm)を超える圧縮強度を有する上記組成物を用いて製造される。以下に詳細に記載する好ましい実施形態において、組成物の成分はすべて、乾燥混合物における乾燥成分に換算して記載されている。これは、可能な一実施形態にすぎない。乾燥固体を基準にして測定した場合、液体成分は乾燥成分と等価なものとする。特に断らない限り、すべての成分は、骨材及び充填剤(存在する場合)を除く乾燥固体を基準にして重量で測定される。
乾燥混合物の主成分は、硫酸カルシウム半水和物又は漆喰である。乾燥混合組成物は、好ましくは約50重量%〜約98重量%の半水和物を含む。より好ましくは、乾燥混合物の約80%〜約98%、約80%〜約95%、又は88%〜約95%は、硫酸カルシウム半水和物である。
この混合物では、いかなるタイプの半水和物も有用である。半水和物は、スラリー法、ランプロック法、大気焼成法等、任意の公知の方法によって調製することができる。混合物では、α型焼成硫酸カルシウム半水和物及びβ型硫酸カルシウム半水和物のいずれも有用である。α型の硫酸カルシウム半水和物結晶は、β型のものよりも針状性が低い形態を取る。より針状性の低い形態により、結晶は、水と混合された場合、はるかに濡れやすく流動しやすい。α型は必要な水分が少なく、β型の硫酸カルシウム半水和物を用いて得られる、硫酸カルシウム半水和物結晶のインターロッキングマトリックスと比較して、より密に充填された、より高密度の複合材料をもたらす。従来知られているように、α型及び/又はβ型硫酸カルシウム半水和物を組み合わせると、実用性のあるスラリーを形成するのに必要な水の量を制御し、最終的な成型体(cast model)の密度を制御することが可能となる。
α型又はβ型焼成半水和物はいかなるものでも、本発明の組成物における使用に適する。好ましいα型半水和物としては、スラリー法で製造されたもの(例えば、United States Gypsum Company(シカゴ、イリノイ州)製のHYDROCAL C−Base、J−Base又はE−Base)、ランプロック法で製造されたもの(例えば、HYDROCAL A−Base又はB−Base)、又はα型焼成半水和物を製造するその他の任意の方法で製造されたものが挙げられる。No.1 Molding Plasterは、United States Gypsum Co.(シカゴ、イリノイ州)製の好ましいβ型半水和物である。連続的に焼成された合成石膏は、β型焼成半水和物と同等である。別の方法で製造されたβ型半水和物もまた有用である。可溶性硫酸カルシウム無水物の添加は、半水和物の50%以下の分の代替品としては適切であり、マトリックスに強度を付与するのに役立つ。硫酸カルシウム二水和物は充填剤としての役割を果たし、その使用量は少量(半水和物の25重量%未満)に留める方がよい。
ある特定の用途のために、β型焼成石膏、α型焼成石膏、又はα型及びβ型の組合せのいずれを選択するかは、いくつかの要因によって決まる。コストが主たる関心事であるか、α型焼成石膏の入手が容易でない場合は、β型焼成石膏を大量に使用するのが好ましい。また、β型焼成石膏は実用性が高く、α型よりもブリーディングが少ない。しかし、より高い強度が所望される実施形態では、α型半水和物、又はα型及びβ型の混合物が好ましい。α型及びβ型焼成半水和物の混合物が使用される場合、混合物は、少なくとも25%のβ型半水和物を含有する方がよい。β型焼成体の量は、好ましくは、半水和物全体の50%を超えるか、90%を超える量である。
調整剤は、分散剤の効果を改善する非分散性添加剤である。好ましくは、調整剤は、セメント及び石灰、ホスホネート、ホスフェート、カーボネート、シリケート及び水酸化物の少なくとも1種である。好ましい調整剤としては、石灰、ソーダ灰又は炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムが挙げられる。セメント又は石灰が存在しない条件下、石膏で試験したところ、ポリカルボキシレートは、他の公知の分散剤の特性に匹敵する分散特性を有していた。しかし、調整剤を混合すると、ポリカルボキシレートは、驚くべきことに、より大きな分散特性を示す。石膏における調整剤の使用については、米国特許出願第11/152317号明細書(「石膏製品用の調整剤及びこれらの使用方法」)(参照されることによって本明細書に組み込まれる。)にさらに記載されている。
少なくとも1種の調整剤が存在すれば、ポリカルボキシレートから並はずれた性能が得られる。好ましい調整剤としては、石灰及び水硬性セメントが挙げられる。石灰の濃度は、好ましくは、乾燥成分の2.5重量%未満又は1重量%未満である。一般に、調整剤は、それが水硬性材料でなければ、約0.05%〜約10%の量で存在する。別の好ましい調整剤は、ソーダ灰又は炭酸ナトリウムである。ソーダ灰は、高いpHのスラリーを形成することなしに、ポリカルボキシレートの性能を増強させる。高いpHを容認可能な場合は、水酸化物、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化カルシウムが有用である。他のカーボネート、シリケート、ホスホネート及びホスフェートも、調整剤として有用である。2種以上の調整剤を使用することも想定されている。乾燥粉末形態のものでは、石灰が、好適な乾燥混合物に添加するのに好都合であるが、液体形態のものも有用であり、乾燥混合物の添加前に、水に添加することができる。液体を使用する場合、調整剤の量は乾燥固体を基準として測定し、また、スラリーの水分含有量については、いかなる水も考慮する必要がある。
調整剤が、セメント又はその他のケイ酸質の水硬性材料である場合は、乾燥混合物の50%までの量を使用することができる。石膏と同様に、水硬性セメントは、水との化学的相互作用により硬化する。水硬性セメントの例としては、ポートランドセメント、フライアッシュ、高炉スラグ及びシリカヒュームが挙げられる。最も広く使用されているセメントはポートランドセメント(オルボア(Aalsborg)セメント、デンマーク)であり、本発明における使用に特に好ましい。より好ましいセメントは、タイプ1、タイプ3及びタイプ5のセメントである。灰色又は白色セメントのいずれかを使用することができる。Cクラスのセメント、スラグセメント及び#1 lmpmillセメントも、本発明の組成物において使用することが想定されている。その他の水硬性シリケートも、調整剤として有用である。その他の調整剤が存在しない場合、混合物は、少なくとも0.5%のセメントを含む。セメントの濃度は、好ましくは、乾燥成分重量の約1.7重量%〜約50重量%である。
ポリカルボキシレート分散剤とともに調整剤が使用される場合、スラリーに成分を添加する順序が調整剤の効果に影響することが判明している。調整剤は、分散剤が焼成石膏に接触した後にスラリーに添加された場合は、効果がより小さい。調整剤及び分散剤は、半水和物の添加の前に、攪拌機の水に加えることが好ましい。調整剤及び分散剤の両方が乾燥形態である場合、それらは、予め混合し、漆喰とともに加えることができる。この方法については、米国特許出願第11/152323号明細書(「調整剤及び分散剤を用いた石膏スラリーの製造方法」)(参照されることにより本明細書に組み込まれる。)にさらに記載されている。
ポリカルボキシレート分散剤の濃度は、乾燥成分を基準として約0.2重量%〜約10重量%である。より好ましくは、乾燥混合物は、約0.2%〜約5%、又は約0.2%〜約2.5%のポリカルボキシレートを含む。
本発明の石膏スラリー又はウォールボードのもう一つの主要成分は、特定の分散剤である。当該分散剤は、米国特許第6777517号明細書(参照されることにより本明細書に組み込まれる。)にさらに記載されている化合物クラスのサブクラスである。分散剤は、少なくとも3種の繰返し単位からの繰返し単位を含むコポリマーであり、好ましくは約20000〜約80000ダルトンの分子量を有する。コポリマーの分子量は、より好ましくは約30000〜約50000ダルトンである。繰返し単位は、任意の順序で(例えば、ポリマー骨格に沿ってランダムに配列した状態で)コポリマー中に存在することができる。ウォールボード用途における上記分散剤の使用については、米国特許出願第11/152661号明細書(「速乾性ウォールボード」)(参照されることにより本明細書に組み込まれる。)においてさらに検討されている。
第1の繰返し単位は、式Iに示される、アクリル酸型繰返し単位又はその誘導体である。Rは、水素原子、又は1〜20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基である。Xは、−OM、−O−(C2mO)−R、−NH−(C2mO)−Rであり、式中、Mは、水素、一価又は二価の金属陽イオン、アンモニウムイオン又は有機アミン基であり、aは、Mが一価又は二価の陽イオンであるかどうかに応じて、1/2又は1であり、mは2〜4であり、nは0〜200であり、Rは、水素原子、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、6〜14個の炭素原子を有する置換又は非置換のアリール基である。好ましい第1の繰返し単位としては、アクリル酸及びメタクリル酸、又はその一価若しくは二価の金属塩が挙げられる。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、カルシウム又はアンモニウムである。
Figure 2008546618
第2の繰返し単位は、式IIに示されるビニルエーテル型繰返し単位である。Rは上述した通りであり、Rは、水素原子、又は1〜5個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基である。pは0〜3であり、mは2〜4であり、nは0〜200である。好ましくは、Rは、水素原子、又は1〜5個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であり、pは0〜3である。ポリエチレングリコールモノビニルエーテル(p=0及びm=2)の使用は特に有利であり、ここで、nは、好ましくは1〜50である。
Figure 2008546618
第3の繰返し単位は、式IIIに示される、マレイン酸型繰返し単位又はそのエステルである。式IIIにおいて、Rは、水素、又は1〜5個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基である。Sは、水素原子;カルボン酸;一価若しくは二価の金属陽イオン、アンモニウムイオン又は有機アミン基を含む酸性塩;或いは、3〜20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、又は6〜14個の炭素原子を有するアリール基、の酸エステルである。Tは、3〜20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、又は6〜14個の炭素原子を有するアリール基、の酸エステルである。好ましいエステル化合物の例としては、マレイン酸若しくはフマル酸ジ−n−ブチル、又はマレイン酸若しくはフマル酸モノ−n−ブチルが挙げられる。
Figure 2008546618
モノマーの重合は、当業者に知られている任意の方法によって実施する。ポリマーを作製する好ましい方法は、米国特許第6777517号明細書(参照されることにより既に本明細書に組み込まれている。)に教示されている。いくつかの市販のポリカルボキシレート分散剤は、本発明に有用である。Degussa Construction Polymers、GmbH(トロストベルグ、ドイツ)の製品であり、Degussa Corp.(ケニソー、ジョージア州)(以下、“Degussa”という。)が合衆国で供給しているMELFLUX2641Fは、特に好ましいポリカルボキシレート分散剤である(MELFLUXは、Degussa Construction Polymers GmbHの登録商標である)。MELFLUX2641Fは、修飾ポリエーテルカルボキシレートを噴霧乾燥することによって作製された自由流動性粉末である。その他の好ましいポリカルボキシレート分散剤としては、DegussaのMELFLUX2651F及びMELFLUX2500L、及びオキシアルキレン−アルキルエーテル、マレイン酸及びアクリル酸の繰返し単位をベースとする他のポリカルボキシレート分散剤が挙げられる。MELFLUX2500Lは、水性懸濁液中に43重量%の固体を含有する液体分散剤である。液体分散剤を計量する場合、分散剤の分量の計算の際はポリマー固体のみを考慮し、また、水/漆喰比率を計算する場合は、分散剤からの水を考慮する。
多くのポリマーは、同じ3種の繰返し単位を用いて、それらの配分を変化させて作製することができる。酸含有繰返し単位とビニルエーテル含有繰返し単位との比は、電荷密度に直接関係する。コポリマーの電荷密度は、好ましくは約300〜約3000μeq(μequiv.charges)/gコポリマーである。このクラスの分散剤のうち、試験した分散剤の中で水の低減について最も有効であった分散剤、MELFLUX2651Fは、最も高い電荷密度を有することが判明している。
しかし、電荷密度の増加は、さらに分散剤の遅延効果の増大をもたらすことも判明している。低電荷密度の分散剤(例えば、MELFLUX2500L)は、高電荷密度を有するMELFLUX2651Fに比べて硬化時間を遅らせる度合いが小さい。硬化時間の遅延は、高電荷密度の分散剤で得られる効果の増大とともに増加するので、少ない水、良好な流動性、及び妥当な硬化時間でスラリーを作製するには、電荷密度を中位の範囲に維持することが必要となる。コポリマーの電荷密度は、約600〜約2000μeq/gコポリマーの範囲にあることがより好ましい。
本発明のポリカルボキシレート分散剤は十分な効果を有し、他の分散剤と組み合わせる必要がないことも注目される。好ましくは、床材、及び床材が作製されるスラリーは、ナフタレン型分散剤を含まない。
乾燥混合物に添加される水の量は、乾燥混合物の重量の10重量%〜約50重量%の範囲の量である。水分含有量は、好ましくは、約20%〜約40%、約12%〜約40%、より好ましくは約28%〜約32%の範囲の量である。適切な水分添加量の選択は、当業者の技術の範囲内のことである。組成物のいくつかの実施形態では、水硬性成分を水和するのに理論的に必要な水の量より少ない量の水が使用される。
スラリーの作製に用いる水は、スラリー及び硬化した石膏の両方の特性を最適に制御するために、できるだけ純粋なものが好ましい。スラリーの硬化時間を調整する塩及び有機化合物は周知であり、促進剤から硬化阻害剤まで多種多様である。ある種の不純物は、二水和物結晶のインターロッキングマトリックスが形成される際に、構造中に不規則性をもたらし、硬化製品の強度を低減させる。したがって、製品の強度及び硬度は、できる限り混入物を含まない水を使用することによって高められる。
速乾性床材組成物のいくつかの実施形態は、最大100%のα型半水和物を用いて得ることができる。水分含有量を低減させることにより、乾燥によって除去する必要のある水の量は少なくなる。好ましい水分含有量は、約15%〜約25%の範囲の量である。スラリーの流動性を改善することにより、半水和物を完全に水和させるのに理論的に必要な水分レベルを下回る、より低い水分レベルの、ポンピング可能なスラリーを形成することができる。いかなる石膏組成物においても、水の添加量を増大させると、硬化した石膏の強度が低下する。
多くの添加成分は、乾燥混合物を最適化するのに適する。消泡剤は、乾燥混合物を水と混合する間に形成された空気の泡を低減させるために使用される。消泡剤を使用する場合、乾燥混合物は0.5%以下の消泡剤を含む。FOAMASTER CN(Astro Chemicals、カンカキー、イリノイ州)及びAGITAN P−801、P−800、P−823(Munzing Chemie、ハイルブロン、ドイツ)は、好ましい消泡剤である。
ホウ酸は、任意選択で、焼成、及びカビ/白カビの成長を低減させるために、乾燥混合物に添加される。好ましくは、ホウ酸を1.25%以下の量で添加する。ホウ酸添加量の別の好ましい範囲は、1%以下及び0.5%以下である。
遅延剤は、スラリーの作業時間を増大させるために添加される。目標作業時間は、使用する組成物、スラリーをどの場所でどのように適用するかに応じて、約10分〜約2時間である。硫酸カルシウム半水和物に有用であることが知られている遅延剤はいかなるものでも、目標範囲に合致する作業時間をもたらす量で使用するのが好ましい。タンパク性遅延剤(例えば、SUMA、酒石英(重酒石酸カリウム)のクリーム、ロシェル塩(酒石酸ナトリウムカリウム)、クエン酸ナトリウム及びジエチレントリアミン五酢酸)も好ましい。
硬化促進剤は、スラリーの硬化を促進するために使用される。半水和物の硬化を促進することが知られている促進剤であれば、いかなるものでも使用することができる。これらに限られないが、例えば、硫酸塩、酸及び硫酸カルシウム二水和物が挙げられる。有効量は、選択した促進剤の効果に応じて変動するが、一般に1重量%未満である。
細かに粉砕した硫酸カルシウム二水和物は、好ましい促進剤である。調製した直後の硫酸カルシウム二水和物は高い効力を有し、スラリー中で直接使用するのに好適である。しかし、使用前に保管されていた場合は、硫酸カルシウム二水和物はその効力を失う。米国特許第2078198号明細書(参照されることにより本明細書に組み込まれる。)には、糖のような材料と混合された硫酸カルシウム二水和物を含む、改善された促進剤が開示されている。この混合物は、硫酸カルシウム二水和物が受けるエージングによる劣化を少なくしており、スラリー中で数日間(数週間)有効である。共粉砕した糖及び硫酸カルシウム二水和物の混合物を加熱して、カラメル化した糖に、硫酸カルシウム二水和物上に被覆を形成させることは、米国特許第3573947号明細書(参照されることにより本明細書に組み込まれる。)に開示されている。融解した糖被覆は硫酸カルシウム二水和物をさらに安定させ、非加熱の糖/二水和物の混合物と比較して、エージングの影響を大幅に低減させる。このようにして調製、粉砕した硫酸カルシウム二水和物を、実施例では“CSA”(United States Gypsum Co.、シカゴ、イリノイ州)と呼ぶ。いかなる形態であっても、粉砕された二水和物は、0.5重量%未満の濃度で使用するのが好ましい。
0.0006%〜約0.5%の多糖を添加すると、砂添加が改善され、ブリーディング及び沈降分離が低減され、本実施形態の組成物のポンピング性が改善される。ポリカルボキシレート及び多糖を一緒に使用すると、取扱いが容易で、均一かつ高強度であり、いずれか一方のポリマーの単独使用では実現できない特性の組合せを有する製品が生じる。多糖はまた、ポリカルボキシレート分散剤とともに作用して、結晶マトリックスが十分に形成され、均一な分布が確実になるまで、スラリーの成分を懸濁液中に保持する。また、砂又はその他の骨材が沈降分離するのを防ぐ。スラリーは、粘性がより小さく、ポンピングがより容易であり、これによりエネルギーコストが低減される。組成物の実用性及び表面の潤滑性もまた増大する。
本発明で使用するのが特に好ましい多糖は多様である。バイオポリマーガムは最も好ましい。グルカン生成物(スクレログルカン、シゾフィラン等)は特に好ましい。スクレログルカンは、スクレロチウム属の糸状菌により産生される。シゾフィランは、シゾフィラム属の菌から産生される細胞外多糖である。スクレログルカン及びシゾフィランは、1→3結合D−グリコシル単位の直鎖を有する多糖であり、直鎖の約30%〜約35%は、1→6結合によって結合した単一のD−グリコシル単位を含む。平均分子量は5×10を超えるか、それに等しい。これらは、非イオン性のホモ多糖である。鎖は、三重螺旋配列で自己会合している。これらは水に溶解して、疑似塑性溶液を形成する。これらの化合物のさらなる特徴及び製造法については、米国特許第4954440号明細書(参照されることにより本明細書に組み込まれる。)に教示されている。好ましいスクレログルカンは、BIOVISの商品名の下にDegussa Corp.(ケニソー、ジョージア州)によって市販されている。その他の多糖ガム(例えば、キサンタンガム、ウェランガム及びその他のガム)も、本発明で使用可能である。
ヘテロ多糖は、2種以上の異なる単糖を含む、高分子量の、通常は直鎖の炭水化物ポリマーである。米国特許第5175278号明細書及び同第6110271号明細書(これらは、参照されることにより本明細書に組み込まれる。)では、重合する繰返し単位を形成する2種以上の単糖について検討されている(例えば、S−657)。この多糖は、本発明において特に有用であるキサンタンガムの一例である。S−657は、2百万ダルトンを超えると見積もられる分子量を有する、伸長して、絡み合った3重(3−fold)の左巻き二重螺旋を形成する。これは、Diutanの商品名の下にKelco Biopolymers(サンディエゴ、カリフォルニア州)によって市販されている。
組成物に骨材を添加する際には、当業者に知られている骨材であれば、いかなるものでも使用することができる。シリカ砂及びシリケートは、コストが低く、入手が容易であるため、最も一般的に使用される骨材である。骨材を選択することにより、仕上がる製品の密度を調整することができる。本発明には、川砂、モホークミディアム(Mohawk Medium)砂、リッチミックスファイン(Rich Mix Fine)砂、アトランタ(Atlanta)砂、ドーサン(Dothan)砂、フロリダ(Florida)砂を始めとする、広範囲にわたる砂を適用することができる。様々な種類の砂を組み合わせて、特定の粒径分布又はその他の特性を得ることができる。より重い骨材(例えば、これらに限られないが、石、砂利、玉砂利及びシリカヒューム)は製品の密度を増大させ、ヘイダイト、粘土、軽石、発泡体、バーミキュライト又は中空ミクロスフェアを添加すると、密度が低下する。また、充填剤も、いかなる種類のもの(例えば、パーライト、フライアッシュ又はスラグ)でも使用することができる。骨材は、乾燥重量ベースで、骨材を含まない成分の300重量%以下の量で組成物に添加する。
本発明の組成物は、用途に応じて、さらなる添加剤を含んでもよい。これらの添加剤には、増粘剤、着色剤、保存剤及びその他の添加剤を、当分野で既知の量で含有させることができる。特定の目的のための添加剤、及び適切な濃度は、当業者には既知である。着色剤(例えば、顔料、染料又は色素剤)も、特に床材用途において添加剤として有用である。既知の着色剤はいかなるものでも、本発明で使用することができる。二酸化チタンは、組成物を白色化するのに特に有用である。着色剤は、この種の組成物に従来から使用されている量及び方法で使用又は添加される。
本発明の別の実施形態において、混合物は、高品質の平坦な表面をもたらすための仕上げをほとんど又は全く必要としない、自己水平性のある床材になるように調節される。この用途に用いるスラリーは、より高い自由流動性を有する。スラリーの粘度は、水を添加するだけで減少させることができるが、仕上がる製品の強度が低減し、ブリーディングとして知られる水の分離が増大する。水平性を有する組成物は、通常、スラリー中にポリマー樹脂を取り込んでおり、組成の調整が必要となる可能性がある。
また、水平性を有する組成物は、ポリマー樹脂を利用して、仕上がる床の表面特性を調整する。ポリマーを5%以下、好ましくは約0.05%〜約1%の濃度で使用すると、表面の脆性が減少する。樹脂の例としては、Elotex AG(ゼンパハ、スイス)の10184及び50E200、並びにVINNAPAS RP−226(Wacker Polymer Systems、L.P、エイドリアン、ミシガン州)が挙げられる。
使用する攪拌装置又はポンピング装置に応じて、本発明の範囲内で組成を変化させることは、しばしば有利となる。多くのブランドのポンピング装置は剪断力を発生し、スラリーは、適切に流動するために一定の特性を要求される。中には、特定の粒径分布を有する骨材を利用する機械もある。また、組成を少し変えることを推奨する機械製造業者もある。入手可能な装置に対応するために組成を調整することは、そのような装置のためのスラリーを常に調製している当業者の技術の範囲内のことと考えられる。
組成物を局所の下張りとして使用する場合は、ホースを通って自由に流れ、容易にポンピングできるように組成物を調整する。骨材が分離することのない、より大きな流動性が望ましい。この用途においては、水及びポリマー樹脂が、それらの濃度範囲の上限で使用される。骨材は、ホース中で固体が沈殿して分離するのが低減されるように選択する必要がある。
これらの組成物を使用すれば、特別な混合工程又はプロセス条件を必要とせずに高品質の製品を製造することができる。乾燥混合物又はスラリーを作製するための成分は入手可能である。選択した添加剤に応じて、添加剤は、液体形態、乾燥形態又は両方の形態で利用することができる。液体形態で使用する場合は、添加剤の濃度は乾燥ベースで算出する。本発明の混合物は、乾燥固体を基準として、約50%〜約98%の硫酸カルシウム半水和物(硫酸カルシウム半水和物は、少なくとも25%のβ型焼成体を含む)と、約0.2%〜約10%のポリカルボキシレート分散剤と、約0.05%〜約50%の調整剤と、を含む成分を得ることによって製造する。また、場合により、添加剤(硬化促進剤、遅延剤、ポリマー樹脂、消泡剤等)を組み合わせる。混合を容易にするために、成分は湿潤成分及び乾燥成分に分離するのが好ましい。乾燥成分は、場合により、攪拌機(例えば、Marion攪拌機)で、均一な混合物が得られるまで混合する。乾燥混合物は、場合により、後に販売又は配送するために包装する。
床又は下張り床を設置する場所では、乾燥固体を基準として成分100g当たり約12cc〜約40ccの水を計量し、混合容器内に入れる。湿潤成分又は液体成分を使用する場合は、それを水に入れて混合する。次いで、乾燥成分を水に入れて混合し、均一なスラリーを形成する。次いで、このスラリーを基板上に塗布するか、ポンプで注入するか、傾けて空けるか、又は注ぎ込むかして硬化させ、床又は下張り床を形成する。
この床製品は仕上げを必要としないが、状況次第では表面仕上げをするのが望ましい(当業者には分かるであろう)。仕上げ工は、仕上げ方法を選択することによって、表面の摩耗を始めとする表面特性をある程度制御することができる。床の仕上げは、場合により、セメント仕上げ工に既知の任意の方法(例えば、これらに限られないが、フローティング、ピンローリング又はスクリーディング)によって行うことができる。
これらの実施形態及びその他の実施形態を、以下の実施例において説明する。実施例では、特に断らない限り、記載された量はすべてポンドで表される。濃度又は百分率は、骨材を含まない乾燥重量を基準として計算する。
いくつかの実施例では、骨材(例えば、砂)がスラリー中にどの程度良好に懸濁しているかを調べるために、スランプ試験が用いられている。この試験は、床が塗られ、スラリーがホースを通じてポンピングされる条件をシミュレートすることを目的とする。別のバッチへ切り替えるために、或いはホースを床の別の場所へ移動させるために、ポンプを時々停止する必要がある。この間、ポンピングが再開されるまでの数分間は、スラリーはホースの中で静置される。スランプ試験は、これらの条件をシミュレートすることを目的とする。
特に断らない限り、乾燥成分を基準として4000gの試料を調製した。骨材を含むすべての乾燥成分を秤量し、乾式混合した。脱イオン水の所定量を計量し、混合ボウル中に注いだ。乾式混合された材料を水に添加し、この時刻を、硬化時間を求めるための出発点として記録した。混合ボウルをHOBART攪拌機上に置き、約5秒間混合した。1分間水に漬けた後、材料を低速度で2分間混合した。ボウルを攪拌機から取り出し、ボウルの内容物を約15秒間ウィスクで攪拌して、すべての材料が均一に混合されていることを確認した。
最初のスランプ試料を、プラスチックシート上に設置した、湿った2”×4”(5cmx10cm)のシリンダーに、シリンダーから少し溢れる程度に注いだ。過剰な材料を上面からスクリードし、次いで、シリンダーを滑らかに持ち上げ、スラリーを底から流し出し、パテを作製した。パテを、90°離れた2方向で測定し(±1/8”)、その平均をパテの直径として報告した。残りの試料材料を、ピッチャー中で5分間静置して硬化させた。攪拌することなしに、追加のスランプ試料を、材料がすべてなくなるまで、或いは材料が硬化して注ぐことができなくなるまで、5分間隔で注いだ。スランプ試料同士の混合物は攪拌しなかった。
ブリーディング水を、材料が硬化した後、試料の表面の過剰量の水として測定した。130mLの試料を240mLの硬化カップに流し込み、ビカー硬化が達成されるまで硬化させた。試料及びブリーディング水を含むカップを秤量した(±0.10g)。次いで、ブリーディング水を流し出し、カップを振って過剰水をすべて除去した。カップ及び試料を再度秤量した。ブリーディング水を次のように計算した。
(初期重量−最終重量)÷初期重量×100=ブリーディング水(%)
凝集させた2インチの立方体を用いて、密度及び圧縮強度を試験した。立方体のモールドは、モールドの底をワセリンで封止して漏れを防止すること、及びモールドを承認済みの離型剤(例えば、WD−40)で潤滑することによって調製した。試料材料を、立方体がほぼ3/4充填されるまで立方体の隅に注ぎ込み、必要に応じて、攪拌して砂を懸濁させたまま保持した。小さなスパチュラを用いて、試料材料を隅から隅まで3〜5秒間激しく攪拌して、立方体中の泡をすべて消去した。次いで、立方体を若干溢れる程度に充填し、さらなる試験のために、残りの試料材料を硬化カップに注ぎ込んだ。ビカー硬化の10分後、過剰な試料を立方体モールドからスクリードし、約50分後に立方体をモールドから注意深く取り出した。立方体を作製してから約24時間後に、立方体を、110°F(43℃)の熱風乾燥器内に入れ、一定の重量が得られるまで8日間置いた。
乾燥したいくつかの立方体を秤量し、下記式を適用して試料の密度を求めた。
密度(lb/ft)=(立方体の重量×0.47598)÷立方体の数
凝集した立方体を使用して、圧縮強度試験装置による圧縮強度試験を行った。立方体を2つの圧盤の間に配置した。圧盤が互いに押し合うにつれて、立方体に力が加わった。装置は、立方体を押しつぶすのに必要な力のポンド数を記録した。ポンドで表した全体の力を、試料の表面積(この場合は4in(25cm))で割ることによって、平方インチ当たりのポンド(psi)に変換した。
硬化時間については、ASTM C−472(参照されることにより本明細書に組み込まれる。)のビカー硬化時間を参照する。ビカー硬化時間は、手による混合の場合は、石膏を水に添加した時点を、また、機械による混合の場合は、スラリーが攪拌機から出てきた時点を起点とした。試料は、骨材を含まない乾燥材料50g、及び所望の用途に適した通常の硬度を作りだすのに十分な量の水からなっていた。試料を、アクリルシート上に注ぎ、パテを形成させた。300gのビカー針を、パテの中心及び外縁の中間に、パテ表面に垂直にして保持した。針をパテの表面で維持し、自重で自由に降下するように解放した。針がパテの底まで貫通できなかった時点で、硬化時間を求めた。貫通の程度が不明瞭な場合は、針を少し押して、針が下の表面に接触しているかどうかを判定した。
〔実施例1〕
床の下張り製品において使用するのに適した石膏セメント配合物を、本発明に従って製造した。β型焼成石膏を、かなりの量のα型焼成石膏の代わりに使用し、約0.025%〜約10%のポリカルボキシレートを添加して高品質製品を製造した。
Figure 2008546618
乾燥成分は乾式混合し、1185gの試料を計り取った。各試料は2815gの砂と混合し、次いで、すべての成分を水に添加し、混合した。スランプ試験の結果、密度及び強度を表IIに示す。
Figure 2008546618
2種の繰返し単位を有する分散剤(MELFLUX1641)を使用した類似の試料と比較すると、試験試料7−133は、α型で類似の密度を有する試料12−95より、水の使用量が少なく、しかもはるかに大きい圧縮強度をもたらしている。この試料はまた、α型焼成石膏が存在しないにもかかわらず、最低用量の分散剤を使用しており、このことは、2種の繰返し単位を有する分散剤(MELFLUX1641F)と比較して、3種の繰返し単位を有する分散剤(MELFLUX2641F)の効果が優れていることを示している。
〔実施例2〕
種々の供給源の石膏を用いて、いくつかの床配合物を作製し、試験した。表III−A及びIII−Bに示すように、高強度床材料は、種々の焼成石膏を用いて、種々の水分レベルで作製することができ、それでもなお、砂安定性が良好であり、ブリーディング水が少ない。
Figure 2008546618
Figure 2008546618
配合2−144は、ポリカルボキシレートのMELFLUX2641F族の可塑剤を使用することによって、安定剤の使用量を減少させ、予想外の高い強度をもたらすことが可能となることを示している。可塑剤が減少すると、漆喰の砂保持性が顕著に改善されて、この変化が可能になる。その結果、可塑剤の使用量のさらなる低減が可能となり、同一の可塑剤レベルで、より高強度の製品を製造することができる。表のデータは、2種以上のセメントの使用が許容されることを示しており、実際に広範囲のセメントが使用可能である。
配合5−75は、α型及びβ型漆喰の比率を、MELFLUX2651F可塑剤の使用とともに変化させることができること、及び可塑剤の使用量を劇的に減少させることができることを示している。このことは、高度に可塑化された混合物に伴う負の効果(例えば、可塑剤の遅延効果)を低減させることを可能とする。
〔実施例3〕
高強度の上塗りを、表IVの材料から作製した。すべての測定はポンドで行った。
Figure 2008546618
大きなバッチから作製された乾燥混合材料4000gを、乾燥混合物1000g当たり下記の量の水と混合した。スランプ及び強度のデータを表Vに示す。
Figure 2008546618
2641F及び2651F分散剤(可塑剤)を用いて作製した配合は、前述の配合の1641F可塑剤と比較して、水の使用量が少量であり、はるかに高い乾燥強度を示した。これは、MELFLUX1641F配合と比較して同じ用量比率の可塑剤を使用して達成した。さらに、MELFLUX2651Fを使用した配合5−76は、上塗り材料の作業時間を改善する点で好都合な、より長い硬化時間を示した。5−76及び5−88の両方の配合は、MELFLUX1641F配合と比較して、コストの低減のために可塑剤を減少させることを可能にしつつ、強度及び硬化特性を維持している。配合5−76によれば、現在の硬化特性及び作業特性を維持することが可能になると同時に、遅延剤を減少させることが可能になる。

Claims (20)

  1. 水和して高強度石膏化合物を形成するスラリーを調製するために、水とともに使用される混合物であって、
    調整剤と、
    骨材なしの重量を基準として約50重量%〜約99.8重量%の硫酸カルシウム半水和物と、
    約0.02重量%〜約10重量%のナフタレン非含有ポリカルボキシレート分散剤と、
    を含み、
    前記ポリカルボキシレート分散剤が、ポリエーテル繰返し単位、アクリル酸型繰返し単位及びマレイン酸型繰返し単位を含む混合物。
  2. 前記硫酸カルシウム半水和物が、少なくとも25重量%のβ型焼成体を含む、請求項1に記載の混合物。
  3. 前記硫酸カルシウム半水和物が本質的にβ型焼成体からなる、請求項2に記載の混合物。
  4. 前記半水和物が、混合物の約80重量%〜約95重量%をなす、請求項2に記載の混合物。
  5. diutanガムをさらに含む、請求項1に記載の混合物。
  6. 骨材なしの乾燥重量を基準として約0.2重量%〜約1重量%のポリカルボキシレートを含む、請求項1に記載の混合物。
  7. ポンピング可能なスラリーの水和生成物を含む下張り床であって、
    前記スラリーが、
    骨材なしの乾燥重量を基準として約50%〜約98%の硫酸カルシウム半水和物を含む乾燥混合物と、
    約0.02%〜約10%のポリカルボキシレート分散剤と、
    乾燥固体を基準として、半水和物、ポリカルボキシレート及び調整剤の混合物100g当たり約12cc〜約40ccの水と、
    を含み、
    前記半水和物が、少なくとも25%のβ型焼成体を含み、
    前記ポリカルボキシレート分散剤が、ポリエーテル繰返し単位、アクリル酸型繰返し単位及びマレイン酸型繰返し単位を含み、
    前記水和生成物が、2500psi(175kg/cm)を超える圧縮強度を有する下張り床。
  8. 前記半水和物が本質的にβ型焼成半水和物からなる、請求項7に記載の下張り床。
  9. 前記ポリカルボキシレート分散剤の濃度が、骨材なしの乾燥重量を基準として約0.2重量%〜約1重量%である、請求項7に記載の下張り床。
  10. 調整剤をさらに含む、請求項7に記載の下張り床。
  11. 前記調整剤が、セメント、シリケート、カーボネート及びホスフェート化合物からなる群より選択される、請求項10に記載の下張り床。
  12. 前記水が、骨材なしの乾燥重量を基準として、混合物100g当たり35cc未満の量で存在する、請求項7に記載の下張り床。
  13. 前記水が、骨材なしの乾燥重量を基準として、混合物100g当たり25cc未満の量で存在する、請求項12に記載の下張り床。
  14. 下張り床用のスラリーを作製するための方法であって、
    ポリエーテル繰返し単位、アクリル酸型繰返し単位及びマレイン酸型繰返し単位を含む分散剤を選択する工程と、
    調整剤を選択する工程と、
    少なくとも50%の硫酸カルシウム半水和物を含む乾燥混合物を形成する工程と、
    水を得る工程と、
    分散剤、調整剤、乾燥混合物及び水を混合して、スラリーを形成する工程と、
    を含む方法。
  15. 前記形成工程における乾燥混合物が、硬化促進剤、硬化遅延剤、殺生物剤、消泡剤、多糖、増粘剤、着色剤、保存剤及びポリマー樹脂からなる群の少なくとも1種をさらに含む、請求項14に記載の方法。
  16. 調整剤が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び石灰からなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
  17. 分散剤がMELFLUX 2500Lである、請求項14に記載の方法。
  18. 前記混合工程が、乾燥混合物の添加前に、前記分散剤を前記水に混合する工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
  19. 前記形成工程の硫酸カルシウム半水和物が、少なくとも25%のβ型焼成体を含む、請求項14に記載の方法。
  20. スラリーを基板に塗布する工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
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