JP2008545615A - Cd63の表面発現を証明する細胞の細胞毒性仲介 - Google Patents

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Abstract

本発明は、癌性疾患の診断及び治療、特に腫瘍細胞の細胞毒性の仲介に関し、とりわけ、細胞毒性反応を開始する手段として、場合により1つ以上の化学療法剤と組み合わせた、癌性疾患修飾抗体(CDMAB)の使用に関する。本発明は、更に、本発明のCDMABを利用する結合アッセイに関する。
【選択図】図25

Description

本発明は、癌性疾患の診断及び治療、特に腫瘍細胞の細胞毒性の仲介に関し、とりわけ、細胞毒性反応を開始する手段として、場合により1つ以上の化学療法剤と組み合わせた、癌性疾患修飾抗体(CDMAB)の使用に関する。本発明は、更に、本発明のCDMABを利用する結合アッセイに関する。
癌におけるCD63:CD63は、テトラスパニンファミリーのIII型膜タンパク質であり、その20個の現行のメンバーは、4個の膜貫通領域の存在により特徴決定されている。幾つかのグループは、単独で、活性化血小板、顆粒球及び黒色腫細胞の全細胞調製物により生じる抗体を使用してD63を同定した。同族糖タンパク質抗原の対応するcDNAのクローニングは、異なる抗原が同一の分子であるという認識をもたらした。その後、白血球分類の第6回国際ワークショップ(1996年)は、これらの抗体をCD63抗体と分類した。1996年のワークショップ以前では、CD63は、複数の名称(黒色腫1抗原、眼黒色腫関連抗原、黒色腫関連抗原ME491、リソソーム関連膜糖タンパク質3、グラニュロフィシン、黒色腫関連抗原MLA1)で知られており、時々、部分的な特徴決定及び同定をもたらす抗体に関連した。したがって、CD63は、また、抗原ME491(MAb ME491)、神経腺抗原(MAbs LS59、LS62、LS76、LS113、LS140及びLS152)、Pltgp40(MAbs H5C6、H4F8及びH5D2)、ヒト骨髄間質細胞抗原(MAb 12F12)、骨芽前駆細胞特異性マーカー(MAb HOP−26)、及びインテグリン関連タンパク質(MAb 6H1)と呼ばれていた。ヒトCD63と交差反応することが判明している他の抗原は、8−1H、8−2A(ME491と交差反応する)、NKI/C−3及びNKI/黒色−13であった(Vannegoor and Rumke, 1986; Demetrick et al., 1992; Wang et al., 1992)。
CD63は、最初に、ヒト黒色腫細胞の調製に対して生じた多数の抗体のうちの1つである、MAb ME491を使用して、黒色腫cDNAライブラリーからクローンされた。MAb ME491の反応性は、ヒト黒色腫生検の研究において、黒色腫の進行に対して逆に相関するように思われることが示された。ME491抗体の反応性は、正常なメラニン細部では低く、黒色腫進行の初期(異形成母斑及び放射状増殖相(RGP)腫瘍)では高く、垂直増殖相(VGP)及び転移性腫瘍のようなより進行した黒色腫の腫瘍では減少しているか、さらには不在であった。
CD63は、また、活性化依存性血小板膜53kDa糖タンパク質を検出する、(活性化血小板に対して生じる)MAb2.28を使用して、ヒト血小板で見出され、部分的に特徴決定された。この分子は、また、非刺激血小板の内部顆粒の膜と関連した。同じ研究において、MAb2.28も、巨核球及び内皮細胞中の内部顆粒を標識し、そこで、リソソーム区画の既知のマーカーである、酵素カテプシンDの抗体と共局在化した。抗体クラスター化及び発現クローニングによる追跡調査は、この抗体により認識される抗原のCD63としての同定をもたらし、更に、リソソーム区画におけるその存在を確認し、そこで、区画特異性マーカーLAMP−1及びLAMP−2と共局在化していた。この分子のクローニングは、それをCD63として同定し、テトラスパニンファミリーに含めることを可能にした。
CD63の発現は、多くに異なる組織及び細胞型において検出された。細胞レベルでは、血漿膜と関連していることが見出され、また、細胞内後期エンドソーム血管構造にも関連していることが見出された。細胞活性化は、特定の場合において、CD63の細胞内ストアの動員により、表面発現の増加をもたらした。CD63は、Bリンパ球における、特に、エンドソーム、MHCクラスII錯体を表面に搬送することに関わるエキソソーム、及び分泌小胞におけるMHCクラスIIと、共局在化し、物理的に関連することも見出された。CD63は、B及びTリンパ球、好中球、乳癌及び黒色腫細胞を含む多様な細胞型において、CD9、CD81、CD11(インテグリン鎖αM,L,X)、CD18(インテグリン鎖β)、CD49c(VLA−3又はインテグリン鎖α)、CD49d(インテグリン鎖α)、CD49f(VLA−6又はインテグリン鎖α)、及びCD29(インテグリン鎖β)のようなテトラスパニンファミリーの他のメンバーと相互作用することが見出された。
癌におけるCD63の役割は不明である。CD63は、最初に、幾つかの独立したグループによって、血小板及び果粒球活性化、MHCクラスII依存性抗原の存在、インテグリン依存性細胞接着及び運動性、並びに特定の種類の癌における腫瘍進行のような有害事象に関連することが発見されたが、その機能は未だに完全に解明されていない。現在の証拠が、細胞の多様な生理学的事象におけるその役割を支持しているとしても、これらの機能が、互いに独立しているか、又はCD63が関わる基礎的な共通の細胞機序が存在するかは、明らかではない。
幾つかのグループが、CD63と特定の種類の腫瘍、特に黒色腫との関連を調査した。Mab ME491に加えて、多数の他の抗CD63モノクローナル抗体が、多様な進行段階の腫瘍を有する患者から得た癌試料の免疫組織化学(IHC)染色のために開発された。CD63の発現の減少をおそらく最も反映していると著者たちによって解釈される染色の減少は、腫瘍の高度な進行及び転移性と相関することが観察された。より最近の研究は、また、CD63を含むテトラスパニンタンパク質ファミリーの幾つかのメンバーの(mRNAの定量化後に)減少したと思われる発現レベルと、幾つかの乳癌由来細胞株のインビトロ侵襲性との有意な相関関係を記載する。別の研究は、エストロゲン欠乏に付された培養乳癌細胞中でのディファレンシャルディスプレーにより、CD63を同定した。このことは、CD63の発現はステロイドホルモン調節的である可能性があり、変えられたCD63の存在量及び/又は機能も、乳房腫瘍進行と関連する場合があることを示した。
対照的に、抗CD63モノクローナル抗体MAb FC−5.01による研究は、反応性エピトープが、異なる正常な組織において多様に発現することを明らかにした。この抗体はCD63を認識することが判明しているが、(MAb ME491と異なり)初期と、転移性黒色腫を含むより進行した段階の黒色腫とを区別することはなく、これは、CD63抗原がこれらのより進行した腫瘍に存在するが、そのエピトープのうちの幾つかは、異なる段階での腫瘍の細胞において遮断されている場合があることを示唆した。これは、コアCD63ポリペプチドの変えられた翻訳後修飾に起因するか、又はCD63と他の分子の相互作用に起因する場合があり、このことは、抗体の認識及び結合における特異的エピトープの利用可能性に影響を与える場合がある。これらの結果は、抗CD63 MAb NKI−C3による染色が、第一相、放射状増殖相、垂直増殖相及び転移性腫瘍のような進行の異なる段階での黒色腫の組織切片を区別しないという、Si及びHersey(1993年)により記載された観察を支持した。他の研究(Adachi et al., 1998; Huang et al., 1998)おいて、定量PCRによる乳房及び非小細胞肺ガンのmRNAの分析は、2つのテトラスパニンファミリーメンバー(CD9及びCD82)では、それらの発現レベルと、腫瘍進行及び患者予後との間に有意な相関関係が存在することを明らかにしたが、そのような相関関係は、CD63では見出されず、その発現は全ての試料において同様であった。明らかに矛盾したこれら結果により、CD63と癌の関連を明確に実証する強力で一貫したデータが欠けている。
現在まで、CD63と、この分子の最終的な腫瘍抑制機能との間につながりを確立する試みは、極めて僅かなインビボ研究でしかなされてこなかった。これらの研究のうちの1つでは、胸腺欠損マウスに皮下及び腹腔内の両方で注入されたヒトCD63過剰発現H−ras−形質転換NIH−3T3細胞は、親非CD63過剰発現細胞の挙動と比較すると、腫瘍の大きさ及び転移能の減少により、並びに生存期間の増加により示される、悪性/腫瘍化表現型の減少を明らかにした。このことは、形質転換細胞におけるヒトCD63の存在が、細胞の悪性挙動を抑制する場合があることを示唆した。つい最近では、ヒトCD63を発現し、CD63に耐性を誘導するように開発されたトランスジェニックマウスモデルによる研究は、ワクチニアウイルスに融合したヒトCD63により免疫化すると、注入ヒトCD63−MHCクラスI(H−2K)同時形質移入マウス黒色腫細胞株の腫瘍増殖を阻害し、生存を増加できることを示した。腫瘍増殖阻害が、動物に、CD63しか形質移入されなかった細胞株ではなく、CD63−MHCクラスIが同時形質移入された細胞を注入したときだけ起こるので、治療効果はTリンパ球依存性であること、及び内因性抗CD63抗体はこの保護効果に関わっていないと思われることが、著者たちにより示唆された。精製したヒトCD63で前免疫化され、かつ抗ヒトCD63抗体を発生したことを示す野生型動物において、腫瘍細胞増殖に対する保護効果がなかったという事実により、この解釈は支持された。ヒトCD63により形質移入された、最初はヒト由来と思われていたが、後にラット系列であると特徴決定されたKM3細胞株を使用するRadfordら(1995年)により記載される研究は、胸腺欠損マウスに皮内注入されたとき、このタンパク質の発現が、親非形質移入KM3細胞を使用した場合に観察されたものと比較して、細胞の増殖及び転移能を減少したことを示唆したが、種々の形質移入及び非形質移入細胞株のインビトロ増殖速度に有意な差はなかった。これらの観察は、CD63の潜在的効果を、インビボとインビトロの両方での腫瘍細胞の増殖速度に影響を与えることが知られている他の腫瘍抑制遺伝子のものと区別した。更に、インビトロアッセイにおいて無秩序運動性を減少することにより同じ細胞に機能効果を持たせることが判明している(Radford et al., 1997)、抗CD63モノクローナル抗体ME491の添加は、インビトロ増殖速度に影響を与えなかった。
この研究は、CD63が、ラミニン、フィブロネクチン、コラーゲン及びビトロネクチンのような細胞外マトリックス(ECM)誘導化学誘引物質に反応して移動を促進する場合がある、及びこの効果が、β型インテグリンの機能的関与によって仲介される場合がある、という観察も記載しているが、インテグリンに対する抗体は、これらの効果を阻止することができなかった。しかし、CD63形質移入細胞に対する、ビロトネクチン仲介シグナリング(インテグリンαβの既知のリガンド)の役割と、フィブロネクチン、ラミニン及びコラーゲンのような他のECM成分により仲介されるシグナリングの役割との間に拮抗効果が存在すると思われた。このことは、特定の条件下、ECM成分の存在下では、CD63の発現は、移動の減少をもたらす場合があり、このことは、接着と運動性の微妙なバランスに依存している場合があることを示唆した。別の研究では、抗CD63モノクローナル抗体(MAb 710F)はPMA処理HL−60細胞の接着及び延展を増強し、一方、別の抗CD63モノクローナル抗体(MAb 2.28)は、同様の効果を促進するが、細胞集団のもっと小さい画分に対してであり、もっと大量に添加された場合にだけである。これらの結果は、CD63に対する多くの抗体が開発されたが、それらの機能効果は、全く異なる可能性があることを示した。
テトラスパニンは、また、細胞繁殖に関わる場合もある。Orenら(1990年)は、リンパ種細胞株に対する、CD81(TAPA−1)を認識するネズミMAb 5A6の抗繁殖性効果を記載した。別の研究では、ヒトTリンパ球におけるCD37と抗体との連結は、CD37誘導繁殖を阻止した。さらに最近では、CD37の発現が欠乏している動物モデル(CD37ノックアウト)による研究は、この動物からのTリンパ球が、コンカナバリンA活性化及びCD3/T細胞レセプター会合に反応して、野生型動物からのものと比較して過剰繁殖したことを明らかにした。したがって、細胞増殖及び繁殖における機能的役割は、テトラスパニンファミリーの共通の特徴でありうることが提案された。肝芽腫及び肝細胞癌の最近の研究は、これらの細胞と抗CD81モノクローナル抗体との会合が、Erk/MAPキナーゼ経路の活性化をもたらすことを明らかにした。このシグナリング経路は、細胞増殖及び繁殖事象に関与することが示されている。平行した研究において、ヒトCD81を過剰発現している形質移入細胞株は、偽形質移入対照細胞に対して、増加した繁殖を示した。したがって、入手可能な証拠は、細胞増殖/繁殖に関連し、細胞接着/運動性に関連する事象において、一般にテトラスパニンの役割、特にCD63の役割を指摘している。これら2種類の細胞事象は、両方とも腫瘍進行及び転移において中心的な役割を演じるので、現在、精力的な研究の対象である。
現在まで、CD63発現細胞を特異的に標的にする抗CD63抗体又は他の試薬は報告されておらず、腫瘍細胞のインビトロ及びインビボ増殖特性に対して、また、腫瘍細胞増殖の動物モデルにおける生存期間に対して、同時に影響を与えることを示すものはなかった。
アミノ酸配列決定及び分析は、テトラスパニンと他のタンパク質ファミリーとの間、又は以前に特徴決定された機能性モジュールのいずれかとの間に相同性を明示せず、そしてまた以前から知られているあらゆる触媒活性が示唆されることがなかった。その結果、シグナル伝達経路の修飾におけるこのタンパク質ファミリーの役割を調査することが、非常に困難であった。しかし、細胞生理に変化をもたらすテトラスパニン特異性試薬を使用して生成される証拠、及びシグナル伝達経路の修飾に密接に依存していた証拠は、テトラスパニンがシグナル伝達特性を有することを示唆している。CD63は、それ自体が二次メッセンジャーシグナルの生成に関わる酵素であるか又はそのような酵素と物理的及び/若しくは機能的に関連する多数の分子と、物理的及び機能的の両方で関連することが示された。
炎症性反応の初期工程のうちの1つであるヒト好中球と内皮細胞との相互作用を制御する機序を分析するように設計された実験は、幾つかの抗CD63モノクローナル抗体(AHN−16、AHN−16.1、AHN−16.2、AHN−16.3及びAHN−16−5)による好中球の前処理が、培養内皮細胞層へのそれらの接着を促進したことを明らかにした。更にこの効果は、多くの細胞内シグナリング経路の周知のモジュレーターであり、かつ細胞が刺激抗体に暴露されている特定の時間の間制限されている、カルシウムイオン(Ca2+)の存在に強く依存していた。抗体への長時間の暴露の後、内皮細胞への好中球の接着は、後のCa2+の添加に対して鈍感になり、したがって動的で一時的に調節された(一過性の)事象に関連している。加えて、CD63は、CD11/CD18タンパク質錯体と物理的に相互作用することが見出され、この錯体を特異的に標的にする試薬は、修飾シグナルを仲介した。この研究において、CD63は、酵素チロシンキナーゼLck及びHckを含む錯体と関連するか、又はその一部であることが見出された。これらの酵素は、特定の表面レセプターの活性化で細胞内調節シグナルを仲介するのに中心的な役割を演じ、かつ細胞特異性生理学的変化をもたらすシグナリング経路のカスケードの一部である、タンパク質の部類のメンバーである。別の研究は、(CD63を含む)テトラスパニンとモノクローナル抗体の共連結が、MDA−MB−231乳癌細胞のコラーゲン基質への接着により誘導される、酵素焦点接着キナーゼ(FAK)のリン酸化又は活性化を増強することができることを示唆した。このことは、インテグリン仲介チロシンキナーゼシグナリング経路の修飾におけるCD63(及びそのテトラスパニンファミリーメンバー)の直接的な関わりを指摘した。抗CD63モノクローナル抗体MAb 710Fによる、表面CD63の存在及び連結により機能的に交差する場合がある他のシグナリング経路は、細胞内シグナリング経路の別の周知のモジュレーターである、酵素タンパク質キナーゼC(PKC)によるリン酸化の修飾に依存していると思われる。この文脈において、MAb 710Fによる骨髄細胞株HL−60における接着及び形態変化の増強は、酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)による細胞の前処理に依存するが、PKCの一時的な関わりは、確定的には実証されなかった。しかし、独立したグループによるその後の研究は、PMA誘導HL−60分化が、PKC活性化依存性であったことを実証し、それは、この酵素の特異的インヒビターである、分子Ro31−8220がPMAの効果を阻止したからである。
CD63及び他のテトラスパニンファミリーメンバーとシグナル伝達経路との関連性を支持する更なる証拠は、CD63(またCD53)分子とチロシンホスファターゼ活性との、直接的か又は超分子複合体の一部としての物理的関連性を記載する研究から生じた。この研究において、抗CD63抗体により単離された免疫沈降錯体は、チロシンホスファターゼ活性と関連することが示されたが、チロシンホスファターゼCD45と関連することが示されているCD53と異なり、CD63関連ホスファターゼを同定することは可能ではなかった。より最近では、テトラスパニンファミリーの幾つかのメンバーも、II型ホスファチジルイノシトール4−キナーゼ(II型PI 4−K)と関連することが見出された(Berditchevski et al., 1997)。この相互作用は、CD9、CD63、CD81、CD151及びA15/TALLAでしか確認されず、CD37、CD52、CD82又はNAG−2で起こることが観察されなかったので、極めて特異的であると思われた。加えて、テトラスパニンファミリーメンバーとPI−4Kとの関連性は、各PI−4キナーゼ含有錯体が単一のテトラスパニンファミリーメンバーに限定されているので、相互排他的であった。特にCD63−PI−4キナーゼ錯体は、他のテトラスパニンファミリーメンバーにより形成されるものと異なり、脂質ラフト様ドメインにおける細胞内区画で、ほぼ完全に見出された。この観察は、PI−4キナーゼと相関することが判明しているこのCD63画分が、二次メッセンジャー分子としての機能(Martin, T., 1998)に加えて、膜輸送(エンドサイトーシス及びエキソサイトーシス)及び細胞骨格再構築の調節に関与することがよく知られているホスホイノシチド生合成経路に関連又は依存して、特定の細胞内事象に関連する場合があることを示唆した(Claas, C, et al., 2001)。
シグナリング経路の調節における、現在までCD63が直接的に関与することが判明している全ての酵素の直接的で、重要な関与は、これらの酵素の活性の下流でのレギュレーターとしてか又はエフェクター分子としてのCD63と、信号伝達経路の修飾との関連性を支持する更なる証拠を提供した。
腫瘍進行をもたらす機序の解明は、明らかに矛盾する観察により頻繁に特徴づけられる、非常に困難かつ複雑な試みであり、その結果、これらの観察がうまく有効な治療になることはまれである。CD63と腫瘍進行及び転移との関連、並びに信号伝達機序との関連について現在知られているものを考慮すると、その機能が腫瘍細胞において変わりうることが可能である。
認識された抗原を発現する細胞を結合し、それ自体又は他の分子と関連して、試薬が正常な細胞集団に著しく有害作用を与えることなく、腫瘍細胞増殖、進行及び転移を阻害するように、細胞及びインビボ生理活性を有する、腫瘍細胞に細胞毒性効果を持つ抗原特異性試薬の開発は、潜在的な治療及び診断手段として極めて有益である。
癌治療としてのモノクローナル抗体:癌を示す個人はそれぞれ特有であり、個人の独自性と同じように他の癌と異なる癌を有する。それにも関わらず、大部分の現行の治療は、同じ種類で同じ段階の癌を有する全ての患者を、同じように治療する。これらの患者の少なくとも30%は、第一次治療に失敗し、したがって、更なる一連の治療をもたらし、治療が失敗し、転移し、最終的には死亡する可能性が増大する。治療の優れた手法は、特定の個人における治療の特別仕様である。それ自体特別仕様につながる広く使用されている唯一の治療は、外科手術である。化学療法及び放射線治療は、患者に合わせることができず、外科手術それ自体は、ほとんどの場合において、治癒を生じるには不十分である。
モノクローナル抗体の出現によって、特別仕様の治療の方法を開発する可能性がより現実的になり、それは、それぞれの抗体を単一のエピトープに向かわせることができるからである。更に、特定の個人の腫瘍を独自に定義するエピトープの配列に方向付けられる、抗体の組み合わせを生じることが可能である。
癌性と正常な細胞との有意な差は、癌性細胞が形質移入細胞に特異性のある抗原を含有することであるという認識を持って、科学界は、癌抗原に特異的に結合することによって、形質移入細胞を特異的に標的にするようにモノクローナル抗体を設計することができると長い間考えてきて、それ故、モノクローナル抗体は、癌細胞を排除する「魔法の弾丸」として役立つことができるという信念を生み出した。しかし、癌の全ての場合に役立つことができる単一のモノクローナル抗体はないこと、及びモノクローナル抗体は、標的癌治療としての分類として展開できることが、現在広く認識されている。本発明の開示された教示に従って単離されたモノクローナル抗体は、例えば腫瘍量を低減することにより患者の利益になる方法で、癌性疾患の過程を修飾することが示されており、癌性疾患修飾抗体(CDMAB)又は「抗癌」抗体として本明細書でさまざまに参照される。
今のところ、癌患者は、一般に治療の選択肢がほとんどない。癌治療に対する厳格に管理された手法は、世界的な生存率及び罹患率において改善をもたらした。しかし、特定の個人に対しては、これらの改善された統計は、彼らの個人的な状態における改善と必ずしも相関関係がない。
したがって、開業医がそれぞれの腫瘍を同じコホートにおける他の患者とは無関係に治療することができる方法論が提案される場合、それは、ただ1人のために適合された特有の治療手法を許容することになる。そのような治療過程が治癒の比率を増加することができ、より良好な成果を生じることができるのであれば、それは、長年にわたる切実な要求を満たすであろう。
歴史的に、ポリクローナル抗体の使用は、ヒトの癌治療では限られた成果を伴って使用されてきた。リンパ種及び白血病は、ヒト血漿で治療されてきたが、長期間の寛解又は反応はほとんどなかった。更に、化学療法と比較して、再現性が欠如し、追加的な利益がなかった。乳癌、黒色腫及び腎細胞癌のような固形腫瘍も、ヒト血液、チンパンジー血清、ヒト血漿及びウマ血清により治療され、同様に予測不能で効果のない結果を得た。
固形腫瘍においてモノクローナル抗体の多くの診療試験が行われてきた。1980年代には、特定の抗原に対する抗体を使用するか、又は組織選択性に基づいて、ヒト乳癌において少なくとも4回の臨床試験が行われ、少なくとも47人の患者のうち1人しか反応しなかった。1998年になって、ヒト化抗Her2/neu抗体(ハーセプチン)をシスプラチンと組み合わせて使用した臨床試験が成功した。この試験では、37人の患者で反応を評価し、約四分の一が部分的反応率を有し、さらに四分の一が僅かな又は安定した進行を有した。反応者の進行時間の中央値は、8.4か月であり、反応持続時間の中央値は5.3か月であった。
ハーセプチンは、Taxol(登録商標)と組み合わせた第一次使用として1998年に認可された。臨床研究の結果は、Taxol(登録商標)単独を摂取した群(3.0か月)と比較して、抗体治療+Taxol(登録商標)を摂取した群(6.9か月)で進行が減少した時間の中央値が増加したことを示した。生存の中央値で僅かな増加もあり、ハーセプチン+Taxol(登録商標)の治療類群対Taxol(登録商標)単独の治療群が、22か月対18か月であった。加えて、Taxol(登録商標)単独と比較した、抗体+Taxol(登録商標)組み合わせ群における完全(8%対2%)及び部分的反応者(34%対15%)の両方で数が増加した。しかし、ハーセプチン及びTaxol(登録商標)による治療は、Taxol(登録商標)単独の治療と比較して、心毒性の高い発生率をもたらした(それぞれ、13%対1%)また、ハーセプチン治療は、現在知られている機能又は生物学的に重要なリガンドを持たないレセプターである、ヒト上皮増殖因子レセプター2(Her2/neu)を過剰発現している(免疫組織化学(IHC)分析により決定された)患者にしか有効ではなく、転移性乳癌を有する患者のおよそ25%であった。したがって、乳癌の患者において、依然として満たされない要求が存在する。ハーセプチン治療により利益を受けることができる患者でも、依然として化学療法を必要とし、したがって、依然として、少なくともある程度は、この種類の治療の副作用に対処しなければならない。
結腸直腸癌を調査する臨床試験は、糖タンパク質と糖脂質の両方に対する抗体に関わる。腺癌にいくらかの特異性を有する17−1Aのような抗体では、60人の患者で第II相臨床試験を行い、部分的な反応を有する患者が1人だけてあった。別に試験では、17−1Aの使用は、追加のシクロホスファミドを使用したプロトコールにおいて、52人の患者のうち、完全な反応が1人及び僅かな反応が2人だけであった。現在まで、17−1Aの第III相臨床試験は、第III期結腸癌の補助療法として、改善された効能を実証していない。最初に画像化のために認可されたヒト化ネズミモノクローナル抗体の使用も、腫瘍退縮を生じなかった。
最近になって、モノクローナル抗体の使用による結腸直腸癌臨床研究において肯定的な結果が得られるようになった。2004年には、エルビタックスが、イリノテカンに基づく化学療法に難治性である、EGFR発現転移性結腸直腸癌の患者における第二次治療のために認可された。2群第II相臨床試験と単独群研究の両方の結果は、イリノテカンと組み合わせたエルビタックスが、それぞれ4.1か月と6.5か月の疾患進行の中央値で、それぞれ23%と15%の反応率を有したことを示した。2群第II相臨床試験及び別の単独群研究の結果は、エルビタックス単独での治療が、それぞれ1.5か月と4.2か月の疾患進行の中央値で、それぞれ11%と9%の反応率をもたらしたことを示した。
したがって、スイスと米国の両方において、イリノテカンと組み合わせたエルビタックスの治療が、そして米国において、エルビタックス単独の治療が、第一次イリノテカン療法が失敗した結腸癌患者の第二次治療として認可された。したがって、ハーセプチンと同様に、スイスにおける治療は、モノクローナル抗体と化学療法の組み合わせとしてのみ認可されている。加えて、スイスと米国の両方における治療は、患者にとって第二次療法としてのみ認可されている。また2004年には、アバスチンが、転移性結腸直腸癌の第一次治療として、静脈内5−フルオロウラシルに基づく化学療法と組み合わせての使用が認可された。第III相臨床研究の結果は、アバチン+5−フルオロウラシルで治療した患者の生存の中央値が、5−フルオロウラシル単独で治療した患者と比較して延長したことを実証した(それぞれ、20か月対16か月)。しかし、この場合もハーセプチン及びエルビタックスと同様に、治療は、モノクローナル抗体と化学路療法の組み合わせとしてのみ認可されている。
また、肺、脳、卵巣、膵臓、前立腺及び胃癌において乏しい結果を生じ続けている。非小細胞肺ガンの最近の最も有望な結果は、治療が、化学療法剤タキソテールと組み合わせた細胞死滅薬ドキソルビシンと結合するモノクローナル抗体(SGN−15;dox−BR96、抗Sialyl−LeX)を含む、第II相臨床試験からもたらされた。タキソテールは、は肺癌の第二次治療のために唯一FDAにより認可された化学療法である。初期データは、タキソテール単独と比較して全体的に改善された生存を示す。研究のために動員された62人の患者のうち、三分の二は、SGN−15をタキソテールと組み合わせて摂取し、一方、残りの三分の一は、タキソテール単独を摂取した。タキソテールと組み合わせたSGN−15を摂取した患者では、全体的な生存の中央値は、タキソテール単独を摂取した患者の5.9か月と比較して、7.3か月であった。1年と18か月の全体的な生存は、タキソテール単独を摂取した患者でのそれぞれ24%及び8%と比較して、SGN−15+タキソテールを摂取した患者では、それぞれ29%及び18%であった。更なる臨床試験が計画されている。
前臨床では、黒色腫におけるモノクローナル抗体の使用では、いくらかの限定された成果が得られている。これらの抗体のうちで臨床試験に到達したものはほとんどなく、現在まで、第III相診療試験で承認されたもの又は好ましい結果を実証したものはない。
疾患を治療する新薬の発見は、疾患の病原に明白に寄与している既知の遺伝子30、000個の産物のうちから、関連する標的を同定することの欠如によって妨げられている。腫瘍学研究において、潜在的な薬剤標的は、多くの場合、単に腫瘍細胞で過剰発現しているという事実によって選択される。したがって、同定される標的は、次に多数の化合物との相互作用のためにスクリーニングされる。潜在的な抗体療法において、これらの候補化合物は、通常、Kohler及びMilsteinにより定められた基本的な原則(1975, Nature, 256, 495−497, Kohler and Milstein)に従ったモノクローナル抗体生成の伝統的な方法によって誘導される。脾臓細胞を、抗原(例えば、全細胞、細胞分画、精製抗原)により免疫化したマウスから収集し、不死化ハイブリドーマパートナーと融合する。得られたハイブリドーマを、標的に最も熱心に結合する抗体の分泌のためにスクリーニングし、選択する。ハーセプチン及びリッキシマブを含む、癌細胞に向けられる多くの治療用及び診断用抗体が、これらの方法を使用して産生され、その親和性に基づいて選択されてきた。この戦略の欠点には、2つの部分がある。第1には、治療用又は診断用抗体結合に適切な標的の選択は、組織特異的発癌性経過を取り巻く知識の不足によって、そしてその結果として得られる、それによりこれらの標的が同定される単純な方法、例えば過剰発現による選択によって、制限される。第2には、最大の親和性を持ってレセプターに結合する薬剤分子が、通常、シグナルを開始する又は阻害する最高の確率を有するという前提は、必ずしもそうであるとは限らない場合がある。
乳癌及び結腸癌の治療でいくらかの進展があるにもかかわらず、有効な抗体療法の確認及び開発は、単独の作用物質又は同時治療のいずれにおいても、全ての種類の癌では不十分である。
従来の特許:
特許文献1は、内部移行する癌細胞表面抗原に特異的なモノクローナル抗体を選択する方法、並びに細胞膜に対して抗転写性及び/若しくは抗複製効果を有するモノクローナル抗体を同定する方法を教示する。例としては、ME491抗体は、W9、WM35、WM983黒色腫細胞及びSW948結腸直腸癌細胞に内部移行することが示された。加えて、ME491抗体は、SW948細胞において転写及び細胞繁殖を減少することが示された。特許文献2(及びその関連する出願WO0175177A3、WO0175177A2、AU0153140A5)は、CD63抗原を含む群から選択される卵巣腫瘍マーカー遺伝子によりコードされる卵巣腫瘍マーカーポリペプチドに結合する抗体によって、卵巣腫瘍の増殖又は転移を阻害する方法を主張する。卵巣癌を使用する遺伝子発現の一連の分析は、卵巣腫瘍マーカー遺伝子を同定するために実施され、候補としてのCD63の同定をもたらした。特許文献3(及びその関連する出願CN1364803A)は、新規ポリペプチド−ヒトCD63抗原56.87を主張する。特許文献4は、新規ポリペプチド−ヒトCD63抗原14.63を主張する。特許文献5は、新規ポリペプチド−ヒトCD63抗原15.07を主張する。特許文献6は、新規ポリペプチド−ヒトCD63抗原11.11を主張する。これらの特許及び特許出願は、CD63抗原及び抗体を同定するが、本発明の単離されたモノクローナル抗体又は本発明の単離されたモノクローナル抗体の有用性を開示していない。
ME491ポリペプチド抗原をコードする遺伝子がクローンされ、その配列が1988年2月24日に発表されており(Can Res 48:2955, 1988, June 1)、CD63をコードする遺伝子がクローンされ、その配列が1991年2月に発表されており(JBC 266(5):3239−3245, 1991)、出版物は、CD63よるME491の同定を明確に示している。
特許文献7(配列番号89、優先権出願日:2004年6月29日)、特許文献8(配列番号1、優先権出願日:2003年2月13日(2003WO−EP001461);他の優先日:2002年2月14日(2002GB−00003480))、特許文献9(配列番号40、優先権出願日:2002年12月30日(2002WO−US041798);他の優先日:2002年1月2日(2002US−0345444P))は、全て、CD63と100%の配列相同性を有するポリペプチドを主張する。
特許文献10(配列番号9787及び12101、優先権出願日:2002年8月14日(2002WO−US025765);他の優先日:2001年8月14日(2001US−0312147P)は、CD63を含むアミノ酸238のアミノ酸237に100%の配列相同性を有するポリペプチドを主張する。
特許文献11(配列番号27、優先権出願日:2003年2月18日(2003WO−US004902);他の優先日:2002年2月20日(2002US−0358279P)は、CD63を含むアミノ酸238のアミノ酸224に94%の配列相同性を有するポリペプチドを主張する。
特許文献12(配列番号4168及び4913、優先権出願日:2000年2月21日(2000EP−00200610);他の優先日:1999年2月26日(99US−0122487P))は、CD63を含むアミノ酸238のアミノ酸205及びアミノ酸94にそれぞれ100%の配列相同性を有するポリペプチドを主張する。
特許文献13(Shigella ospG#26のヒト餌食タンパク質、優先権出願日:2002年1月11日(2002WO−EP000777);他の優先日:2001年1月12日(2001US−0261130P))は、CD63を含むアミノ酸238のアミノ酸130に100%の配列相同性を有するポリペプチドを主張する。
特許文献14(配列番号756、優先権出願日:2000年3月8日(2000WO−US005918);他の優先日:1999年3月12日(99US−0124270P))は、CD63を含むアミノ酸238のアミノ酸127に99%の配列相同性を有するポリペプチドを主張する。
特許文献15(配列番号3203、優先権出願日:2001年6月7日(2001WO−US018569);他の優先日:2000年6月7日(2000US−0209467P))は、CD63を含むアミノ酸238のアミノ酸132に97%の配列相同性を有するポリペプチドを主張する。
特許文献16(ヒトCD63タンパク質の大型細胞外ループ配列、優先権出願日:1999年6月15日(99WO−US013480);他の優先日:1998年6月15日(98US−0089226P))は、CD63を含むアミノ酸238のアミノ酸99に100%の配列相同性を有するポリペプチドを主張する。
特許文献17(配列番号1207、優先権出願日:2002年3月5日(2002WO−US005095);他の優先日:2001年3月5日(2001US−00799451))は、CD63を含むアミノ酸238のアミノ酸102に86%の配列相同性を有するポリペプチドを主張する。
特許文献18(配列番号4169、優先権出願日:2000年2月21日(2000EP−00200610);他の優先日:1999年2月26日(99US−0122487P))は、CD63を含むアミノ酸238のアミノ酸74に100%配列相同性を有するポリペプチドを主張する。
これらの特許出願は、CD63抗原に多様な配列相同性を有するポリペプチドを同定する。ほとんどの場合、これらの出願は、対応するポリペプチド及びそれらの相同体に対する抗体及び抗体誘導体も主張するが、本発明の単離されたモノクローナル抗体、並びに本発明の単離されたモノクローナル抗体の有用性を開示していない。重要なことは、上記の全ての出願は、CD63をコードするポリヌクレオチドの配列が発表された後で出願されている。
US05296348 US20030211498A1 WO02055551A1 CN1326962A CN1326951A CN1351054A WO2004041170.89 WO2003068268−A2 WO2003057160−A29 WO2003016475−A2 WO2003070902−A2 EP1033401−A2 WO200257303−A2 WO200055180−A2 WO200200677−A1 WO9966027−A1 WO200270539−A2 EP1033401−A2
本発明者たちは、以前に、癌性疾患を治療するのに有用である、個人に合わせて特別仕様された抗癌抗体を選択する方法を対象とする、表題が「個人に合わせた患者特異性抗癌抗体」である米国特許第6,180,357号が付与されている。本文書の目的において、用語「抗体」及び「モノクローナル抗体」(mAb)は、交換可能に使用することができ、ハイブリドーマ(例えば、ネズミ又はヒト)、免疫複合体及び適切であれば免疫グロブリンフラグメントにより産生される無処置の免疫グロブリンを意味し、並びにキメラ及びヒト化免疫グロブリン、F(ab′)及びF(ab′)フラグメント、単鎖抗体、組み換え免疫グロブリン可変領域(FV)、融合タンパク質のような前記免疫グロブリンから誘導される組み換えタンパク質を意味する。一部のアミノ酸配列が、タンパク質の構造又は機能に著しく影響を与えることなく、ポリペプチドにおいて変わることができることは、当該技術でよく認識されている。抗体の分子再構成において、骨格領域の核酸又はアミノ酸配列における修飾は、一般に許容されうる。これには、置換(好ましくは、保存的置換)、欠失又は付加が挙げられるが、これらに限定はされない。更に、標準的な化学療法モダリティー、例えば放射性核種と、本発明のCDMABとを結合し、それによって、前記化学療法剤の使用に焦点を当てることは、本発明の範囲内である。CDMABは、毒素、細胞毒性部分、酵素、例えばビオチン結合酵素又は血行性細胞と結合することもでき、それによって、抗体複合体を形成することができる。
本出願は、癌性疾患修飾モノクローナル抗体をコードするハイブリドーマ細胞株を単離することに関する′357特許で教示されている、患者特性抗癌抗体を産生する方法を利用する。これらの抗体は、1つの腫瘍のために特別に作ることができ、したがって、癌治療を特別仕様にすることが可能である。本出願の文脈内で、細胞死滅特性(細胞毒性)又は細胞増殖阻害特性(細胞増殖抑制性)のいずれかを有する抗癌抗体を、本明細書以降では、細胞毒性と呼ぶ。これらの抗体は、癌の病期分類及び診断の助けとして使用することができ、腫瘍転移を治療するために使用できる。伝統的な薬剤発見パラダイムに従って生成された抗体と異なり、本発明のようにして生成された抗体は、以前には悪性組織の増殖及び/若しくは生存と一体として示されていない分子及び経路を標的にすることができる。更に、これらの抗体の結合親和性は、より強力な親和性相互作用に従わない場合がある細胞毒性事象の開始のための要件に適している。
個人に合わせた抗癌治療の展望は、患者を管理する方法に変化をもたらす。起こりそうな臨床シナリオは、診断時に腫瘍試料を得て、保存するということである。この試料から、腫瘍を、既に存在している癌性疾患修飾抗体のパネルによって分類することができる。患者は、都合よく病期分類されるが、患者を更に分類するために、利用可能な抗体を使用することができる。患者を、現存の抗体により直ぐに治療することができる及び/或いは腫瘍に特異的な抗体のパネルを、本明細書で概説された方法を使用するか、又は本明細書で開示されたスクリーニング方法と併せて、ファージディプレーライブラリーを使用することよって、生じることができる。生成された抗体は、全て、抗癌抗体のライブラリーに加えられ、それは、他の腫瘍が、治療されているものとして、同じエピトープのうちの幾つかを持ちうる可能性があるからである。本発明の方法に従って産生された抗体は、これらの抗体に結合する癌を有する何人もの患者において、癌性疾患を治療するのに有用であることができる。
実質的に米国特許第6,180,357号の方法を使用し、そして米国特許第6,6,57,048号、並びにS.N.10/348,231、S.N.10/603,006及びS.N.10/810,751で開示されているように(それぞれの内容は、参照として本明細書に組み込まれる)、マウスモノクローナル抗体H460−22−1、1A245.6及び7BD−33−11Aを、患者の肺(H460−22−1)又は乳房(7BD−33−11A及び1A245.6)腫瘍生検からの細胞による、以下の、マウスの免疫化に従って得た。H460−22−1、1A245.6及び7BD−33−11A抗原は、異なる組織由来の広範囲なヒト細胞株の細胞表面に発現する。乳癌細胞株MDA−MB−231(MB−231)及び黒色腫細胞株A2058は、インビトロでH460−22−1の細胞毒性効果に感受性があった。乳癌細胞株MCF−7及び前立腺癌細胞株PC−3は、インビトロで1A245.6及び7BD−33−11Aの細胞毒性効果に感受性があった。
培養中の乳癌細胞に対するH460−22−1細胞毒性の結果は、インビボにおけるこの癌適応症に対する抗腫瘍活性によりさらに拡大された。乳癌のインビボモデルでは、特定の免疫細胞を欠いているためにヒト腫瘍細胞を拒絶することができないので、免疫不全マウスの頸の首筋の皮膚の下に、ヒトMB−231細胞を移植した。前臨床異種移植腫瘍モデルは、治療有効性の有効な予測判断材料であると考えられる。マウスにおける異種移植片は、間質、中心部壊疽及び新生脈管構造を発生する固形腫瘍として増殖する。乳癌細胞株MB−231を、免疫不全マウスにおけるインビボ異種移植モデルとして評価した。MB−231腫瘍の良好な生着又は「取り込み率」及び標準的な化学療法剤に対する腫瘍の感受性は、これを適切なモデルとして特徴づけた。親細胞株及び細胞株の変異体を異種移植腫瘍モデルにおいて使用し、広範囲の治療剤を評価した。
ヒト乳癌の予防インビボモデルにおいて、H460−22−1を、腫瘍細胞の移植の1日前に与え、続いて週に1回、7週間注入した。H460−22−1処置は、H460−22−1と構造及び大きさが同一であるが、MB231細胞に結合することができないアイソタイプ対照抗体よりも、処置期間における腫瘍増殖の抑制に有意に(p<0.0001)効果的であった。処置段階の終了時には、H460−22−1を与えられたマウスは、対照群の17.7%しか増殖しなかった腫瘍を有した。後処置の追跡調査期間の間、H460−22−1の処置効果は持続し、処置群の平均腫瘍容量は、測定段階の終了時まで、対照よりも有意に小型であり続けた。生存を抗体効能の測度として使用すると、対照群は、移植後74〜81日目に50%の死亡率に達した。対照的に、H460−22−1処置群は、研究の終了時には、50%の死亡率に達することはなかった。この差は、H460−22−1とアイソタイプ対照の処置群の間で有意であった(p<0.0015)。これらのデータは、H460−22−1処置が、対照処置群と比較して、生存利益を付与したことを実証した。H460−22−1処置は、体重の低減及び臨床困難を含む毒性の徴候を誘導しなかったので、安全であると思われた。したがって、H460−22−1処置は、ヒト乳癌の十分に確立したモデルにおいて、対照処置群と比較して腫瘍増殖を遅延し、また生存を向上させたので、有効であった。これらの結果は、同様の知見がこの種の別の研究で観察されたので、再現性もあり、癌のある人々の治療におけるその関連性及び利益を示唆している。
乳癌の予防インビボ腫瘍モデルの他に、H460−22−1は、確立したインビボ腫瘍モデルにおいて、MB−231細胞に対して抗腫瘍活性を実証した。この異種移植腫瘍モデルにおいて、MB−231乳癌細胞を、抗体処置の前に腫瘍が臨界の大きさに達するように、免疫不全マウスの皮下に移植した。H460−22−1による処置を、標準的な化学療法薬シスプラチンと比較し、シスプラチン及びH460−22−1処置群は、アイソタイプ対照抗体で処置した群と比較して、有意に(p<0.001)小さい平均腫瘍容量を有した。H460−22−1処置は腫瘍抑制を仲介し、それはシスプラチン化学療法のおよそ三分の二であったが、シスプラチンで観察された有意な体重減少(p<0.003)及び臨床困難がなかった。H460−22−1の抗腫瘍活性及びその最小限の毒性は、それを魅力的な抗癌治療剤にする。
処置後期間では、H460−22−1は、アイソタイプ対照抗体群と比較して腫瘍増殖を遅延することによって、腫瘍抑制を維持した。処置後31日目に、H460−22−1は、アイソタイプ対照群と比較して腫瘍増殖を42%低減することによって、腫瘍の大きさを制限し、これは、処置の終了時で観察される48%の低減に匹敵する。乳癌の確立した腫瘍モデルにおいて、これらの結果は、処置段階を越えて腫瘍抑制を維持するH460−22−1の潜在能力を示し、哺乳動物において腫瘍量を低減し、かつ生存を向上させる抗体の能力を実証した。
培養中の乳癌及び前立腺癌の細胞に対する1A245.6及び7BD−33−11A細胞毒性の結果は、(それぞれの内容が参照として本明細書に組み込まれる、S.N.10/348,231、S.N.10/891,866、S.N.10/603,006及びS.N.10/810,751で開示されているように)インビボにおけるこれらの癌適応症に対するその抗腫瘍活性により更に拡大された。前臨床異種移植腫瘍モデルは、治療有効性の有効な予測判断材料であると考えられる。
それぞれの内容が参照として本明細書に組み込まれる、S.N.10/348,231、S.N.10/891,866、S.N.10/603,006及びS.N.10/810,751において参照されているように、7BD−33−11A及び1A245.6は、ヒト乳癌の予防インビボモデルにおいて、腫瘍増殖及び腫瘍量を抑えた。モニタリングを処置後300日間続けた。7BD−33−11Aは、腫瘍を発達させることはなく、7BD−33−11A処置群の87.5%は、移植後9か月間の間依然として生存していた。逆に、アイソタイプ対照群は、72日目(処置後23日目)までに100%の死亡率を有した。1A245.6処置マウスは、処置後151日目までに100%の死亡率に達し、これはアイソタイプ対照処置群よりも6倍を越えて長い。したがって、1A245.6及び大部分は7BD−33−11Aは、乳癌モデルにおいて生存を向上し、腫瘍増殖を妨げた(したがって、疾患の進行を遅延した)。
また、それぞれの内容が参照として本明細書に組み込まれる、S.N.10/348,231、S.N.10/603,006、S.N.10/810,751及びS.N.10/891,866において記載されているように、7BD−33−11A及び1A245.6は、ヒト乳癌の確立したインビボモデルにおいて、有意に、腫瘍増殖を抑制し、腫瘍量を減少した。80日目(処置後23日目)には、7BD−33−11A処置マウスは、アイソタイプ対照群と比較して83%低い平均腫瘍容量を有した(p=0.001)。1A245.6処置は、この日に平均腫瘍容量を35%低減したが、この低減は本試験では有意にはならなかった(p=0.135)。生存を抗体効能の測度として使用して、7BD−33−11A処置群で死亡する危険性は、処置後およそ60日目でアイソタイプ対照群の約16%であった(p=0.0006)と推定した。アイソタイプ対照群の100%が、処置後50日目までに死亡した。比較すると、1A245.6処置マウスは、処置後100日目まで生存し、7BD−33−11A処置群の60%が、処置後130日目で依然として生存していた。このデータは、1A245.6と7BD−33−11Aの両方の処置が、対照処置群と比較して、生存利益及び腫瘍量の減少を付与したことを実証した。7BD−33−11A及び1A245.6処置は、体重の低減及び臨床困難を含む毒性の徴候を誘導しなかったので、安全であると思われた。したがって、7BD−33−11A及び1A245.6処置は、ヒト乳癌の十分に確立したモデルにおいて、対照処置群と比較して腫瘍増殖を遅延し、また生存を向上させたので、有効であった。
その内容が参照として本明細書に組み込まれるS.N.10/810,751において概説された研究では、化学療法薬(シスプラチン)単独治療又は組み合わせと比較した7BD−33−11Aの効果を、2つの異なる確立した乳癌異種移植モデルにおいて決定した。MB−231モデルでは、83日目(処置後20日目)には、7BD−33−11A処置は、緩衝剤対照処置動物に対して、腫瘍増殖に83%の低減をもたらした(p=0.002)。シスプラチン単独処置では、対照に対して腫瘍の大きさに77%の低減をもたらし、一方、7BD−33−11Aと組み合わせたシスプラチンは、対照に対して腫瘍の大きさに88%の低減をもたらした(p=0.006)。MDA−MB−468(MB−468)モデルにおいて、62日目(処置後12日目)に、腫瘍増殖の最大の低減(97%、p=0.001)が、7BD−33−11Aと組み合わせたシスプラチン処置で観察された。シスプラチン単独処置は、緩衝剤対照と比較して腫瘍増殖に95%の減少を生じ、一方、7BD−33−11A単独処置は、37%の低減を示した(p=0.046)。MB−231とMB−468の両方のモデルでは、体重を測定すると、7BD−33−11Aによる処置は、シスプラチンによる処置と比較して卓越した動物福祉をもたらした。これらの結果は、7BD−33−11A処置は、MB−231モデルにおいて、シスプラチン単独処置と比較して顕著な効能を有し、両方の乳癌モデルにおいて、シスプラチンよりも体重減少のような有害作用が少ないのでより良好に許容された。
多様な用量での7BD−33−11A処置の効果を決定するために、用量反応実験を、(その内容が参照として本明細書に組み込まれる、S.N.10/810,751で概説され、記載されている)予防乳癌異種移植モデルで実施した。55日目(処置後5日目)では、0.2mg/kg処置群は、アイソタイプ対照処置群に対して腫瘍増殖を85%妨げた。55日目では、また、2と20mg/kgの両方の処置群が腫瘍を依然として発達させていなかった。20mg/kg処置群が、依然として腫瘍を発達させず、2mg/kg処置群が、いくらかの初期腫瘍増殖を有した、類似した結果を125日後(処置後75日目)に得た。7BD−33−11A処置は、生存利益も実証した。アイソタイプ対照群の全てのマウスは、104日目(処置後54日目)までに死亡したが、一方、0.2mg/kgの7BD−33−11A処置群は、197日目(処置後147日目)まで生存していた。さらに顕著な生存利益が、2.0及び20mg/kgの7BD−33−11A処置群で観察され、2.0mg/kg処置群の50%だけが290日目(処置後240日目)までに死亡し、一方、20mg/kg処置群のうち、同様に290日目までに死亡したものはいなかった。したがって、7BD−33−11A処置は、3用量の全てにおいて、有意な腫瘍増殖の低減及び生存の増加を示し、最高用量で最大の効能を示した。
乳癌の確立したインビボ腫瘍モデルにおける利益効果に加えて、7BD−33−11A及び1A245.6処置は、(それぞれその内容が参照として本明細書に組み込まれる、S.N.10/603,006及びS.N.10/810,751で概説されている)予防インビボ前立腺癌モデルにおいて、PC−3細胞に対して抗腫瘍活性も有した。7BD−33−11A及び1A245.6処置は、アイソタイプ対照抗体よりも、処置器官直後に腫瘍増殖を抑制するのに、有意に(それぞれ、p=0.001及び0.017)有効であった。処置段階の終了時には、7BD−33−11A又は1A245.6を与えられたマウスは、アイソタイプ対照群のそれぞれ31%及び50%しか増殖しなかった腫瘍を有した。
PC−3 SCID異種移植モデルでは、体重を疾患進行の代理指標として使用することができる。52日目では、7BD−33−11A及び1A245.6処置は、アイソタイプ対照と比較して、体重の減少をそれぞれ54%及び25%有意に(それぞれ、p=0.002及び0.004)妨げた。マウスでは、処置後の生存をモニタリングした。処置後11日目には、アイソタイプ及び緩衝剤対照マウスでは100%の死亡率が達成された。逆に、7BD−33−11A及び1A245.6では、処置後38日目に100%の死亡率が達成され、対照群よりも3倍長かった。したがって、7BD−33−11A及び1A245.6処置は、ヒト前立腺癌の十分に確立したモデルにおいて、アイソタイプ対照処置群と比較して腫瘍増殖を遅延し、体重減少を妨げ、また生存を延長したので、有効であった。
前立腺癌の予防インビボ腫瘍モデルに加えて、7BD−33−11Aは、(それぞれその内容が参照として本明細書に組み込まれる、S.N.10/603,006及びS.N.10/810,751で概説されている)確立したインビボ腫瘍モデルにおいて、PC−3細胞に対して抗腫瘍活性を実証した。7BD−33−11Aによる処置を、この場合でもアイソタイプ対照と比較した。7BD−33−11A処置群が、処置の直後で、アイソタイプ対照処置群と比較して、有意に(p<0.024)小さい平均腫瘍容量を有することを示した。7BD−33−11A処置は、アイソタイプ対照群と比較して36%の腫瘍抑制を仲介した。
乳癌及び前立腺癌のインビボ腫瘍モデルにおける利益効果に加えて、7BD−33−11A処置は、予防インビボ膵癌モデルにおいて、BxPC−3細胞に対して抗腫瘍活性も有した。7BD−33−11A処置は、緩衝剤対照よりも、処置期間の直ぐ後で腫瘍増殖を抑制するのに有意に有効(71%、p=0.0009)であった。加えて、7BD−33−11A処置は、緩衝剤対照処置群と比較して、生存利益を付与した。7BD−33−11A処置群において、マウスの40%は、緩衝剤対照群のマウスが全て死亡した後、2週間を越えて依然として生存していた。
乳癌、前立腺癌及び膵癌のインビボ腫瘍モデルにおける利益効果に加えて、7BD−33−11A処置は、2つの別々の予防インビボ黒色種の癌モデルにおいて、A2058及びA375細胞に対して抗腫瘍活性も有した。A2058とA375の両方のモデルにおいて、7BD−33−11A処置は、緩衝剤対照よりも、腫瘍増殖を抑制するのに有意に有効(それぞれ、72%、p=0.011及び63%、p=0.0006)であった。黒色種、並びに乳癌、前立腺癌及び膵癌モデルにおける7BD−33−11Aの抗腫瘍活性は、それを、魅力的な抗癌治療剤にする。
7BD−33−11Aによりインビボにおいて実証される効能が、ADCC活性に全体的に又は部分的に起因しているかを決定するために、7BD−33−11A抗腫瘍活性を、確立した腫瘍モデルにおいて、NOD SCIDとSCIDの両方のマウスでMB−231細胞に対して測定した。NOD SCIDマウスは、ナチュラルキラー(NK)細胞が機能的に不足しており、かつ循環区画及び機能的に未熟なマクロファージ集団を欠いているが、一方、SCIDマウスは、完全であり頑強でもあるNK細胞活性を有している。7BD−33−11Aは、ネズミIgG2aモノクローナル抗体であり、したがって、インビボでADCC活性が可能である。7BD−33−11Aの抗腫瘍活性を、緩衝剤対照と、アイソタイプに基づいたADCCを介する活性を示すべきではないネズミIgG1モノクローナル抗体であるH460−22−1の両方と比較した。54日目(最終処置後4日目)では、SCID処置群において、7BD−33−11A及びH460−22−1処置マウスは、緩衝剤対照処置マウスの平均腫瘍容量のそれぞれ1.9%及び3.6%の腫瘍しか発達させなかった。逆に、NOD SCID処置群において、この場合でも54日目(最終処置後4日目)では、7BD−33−11A処置マウスは、緩衝剤対照処置マウスの平均腫瘍容量の67%の腫瘍増殖を有した。H460−22−1処置マウスは、SCIDマウスと同様の効果を示し、腫瘍増殖は、緩衝剤対照処置マウスの平均腫瘍容量の1.4%であった。したがって、インビボでの7BD−33−11A活性は、部分的にはADCC活性に起因していると思われ、一方、H460−22−1の抗腫瘍効果は、ADCCから独立していると思われる。
薬剤標的としてH460−22−1、1A245.6及び7BD−33−11Aエピトープを確認するために、正常なヒト組織におけるこれらの標的抗原の発現を決定した。それぞれその内容が参照として本明細書に組み込まれる、S.N.10/603,006及びS.N.10/810,751で部分的に考察及び概説されているように、7BD−33−11A、H460−22−1及び1A245.6の正常なヒト組織への結合を決定した。IHC染色によると、腎臓、心臓及び肺のような重要な臓器を含む大部分の組織は、7BD−33−11A抗原を発現しなかった。7BD−33−11Aは、唾液腺、肝臓、膵臓、胃、前立腺及び十二指腸を染色し、扁桃腺を強く染色した。組織染色の結果は、7BD−33−11Aが多様な細胞型への限定された結合を示すが、浸潤性マクロファージ、リンパ球及び線維芽細胞への結合を有したことを示した。H460−22−1と1A245.6の両方では、広範囲の組織が陽性染色された。大部分の場合において、染色は、上皮又は浸潤性マクロファージ、リンパ球及び線維芽細胞に限定されていた。しかし、陽性染色は、心筋及び肝細胞の両方で見られた。7BD−33−11A、H460−22−1及び1A245.6は、膜及び細胞質の両方の染色パターンを示した。
その内容が参照として本明細書に組み込まれるS.N.10/810,751で考察及び概説されているように、7BD−33−11Aを、市販の抗CD63抗体(RFAC4及びH5C6)と比較した。正常なヒト組織の染色の結果は、この場合でも、7BD−33−11Aが多様な細胞型への限定された結合を示すが、浸潤性マクロファージ、リンパ球及び線維芽細胞への結合を有したことを示した。RFAC4及びH5C6抗体は、互いに比較すると、類似した染色パターンを示した。しかし、RFAC4とH5C6の両方の染色パターンは、7BD−33−11Aで観察されるものとかなり異なっていた。具体的には、RFAC4とH5C6抗体の両方は、広範囲な正常組織に結合し、7BD−33−11Aも陽性である組織において、通常、より高い染色強度を有し、浸潤性マクロファージ、リンパ球及び線維芽細胞ばかりでなく、大多数の組織の上皮にも結合した。
H460−22−1、1A245.6及び7BD−33−11A抗原の局在化、並びに乳癌患者のような集団内での蔓延の決定は、これらの抗原の治療上の使用を評価する及び効果的な臨床試験を設計するのに重要である。癌患者からの乳房腫瘍におけるH460−22−1、1A245.6及び7BD−33−11A抗原の発現に取り組むため、98人の乳癌患者の腫瘍組織試料では、7BD−33−11A抗原の発現をスクリーニングし(50人の患者の結果は、それぞれその内容が参照として本明細書に組み込まれる、S.N.10/603,006及びS.N.10/810,751で以前に記載されている)、50人の患者の腫瘍組織試料では、1A245.6(その内容が参照として本明細書に組み込まれるS.N.10/603,006で記載されている)及びH460−22−1抗原をスクリーニングした。
これらの研究の結果は、組織試料の37%が7BD−33−11A抗原で陽性染色されたことを示した。患者の試料内での7BD−33−11Aの発現は、染色が悪性細胞に限定されているので、癌細胞に特異的であると思われた。加えて、7BD−33−11Aは、乳癌患者の正常な組織の0〜20個を染色した。一方、H460−22−1及び1A245.6は、乳癌組織試料のそれぞれ92%及び98%を染色した。H460−22−1及び1A245.6は、また、乳癌患者の正常組織の10個の試料のうち9個を染色した。しかしこの染色は、一般に、乳癌組織試料で観察されるものよりもかなり弱く、一般に、浸潤性線維芽細胞に限定されていた。7BD−33−11A、H460−22−1及び1A245.6抗原の乳房腫瘍発現は、悪性細胞の細胞膜及び細胞質に局在化していると思われ、治療においてCD63が魅力的な標的となる。
その内容が参照として本明細書に組み込まれるS.N.10/810,751で考察及び概説されているように、7BD−33−11Aを、RFAC4及びH5C6と、並びに抗Her2抗体(c−erbB−2)と比較した。現行の研究の結果は、以前の結果と類似しており、腫瘍組織試料の36%が、7BD−33−11A抗原で陽性に染色され、一方、乳房腫瘍組織の94%及び85%が、それぞれH5C6及びRFAC4エピトープでは陽性であったことを示した。患者の試料内での7BD−33−11Aの発現は、染色が悪性細胞に限定されているので、癌細胞に特異的であると思われた。加えて、7BD−33−11Aは、乳癌患者の正常組織の試料の0〜10個を染色し、一方、H5C6とRFAC4の両方は、正常な乳房組織の8個の試料のうち7個を染色した。c−erbB−2と比較すると、7BD−33−11Aは、完全に異なる染色プロフィールを示し、ここで、7BD−33−11A抗原で陽性の乳房腫瘍組織試料の半分が、Her2発現では陰性であり、これは、7BD−33−11Aが、現存の抗体療法では役に立たない患者集団を標的にしていることを示した。また、7BD−33−11AとHer2の両方で陽性である乳房腫瘍組織切片間の染色強度に差があった。c−erbB−2抗体も、正常な乳房組織切片のうちの1つを陽性染色した。
それぞれその内容が参照として本明細書に組み込まれる、S.N.10/603,006及びS.N.10/810,751で部分的に考察されているように、7BD−33−11A、H460−22−1及び1A245.6発現を、乳房腫瘍の発達、治療、及び予後に重要な役割を演じるホルモンであるエストロゲン及びプロゲステロンのためのレセプターの乳房腫瘍発現に基づいて、更に評価した。1A245.6抗原と、エストロゲン又はプロゲステロンのいずれかのためのレセプターの発現との間の相関関係は、明白ではなかった。エストロゲンレセプターの不在及びプロゲステロンレセプターの存在と、7BD33−11A抗原発現との間、並びにエストロゲンとプロゲステロンの両方のレセプターの存在と、H460−22−1抗原発現との間に僅かな相関関係があった。腫瘍をその病期又は癌の進行程度に基づいて分析したとき、結果は、7BD−33−11AとH460−22−1の両方において、腫瘍の病期が高いとより顕著な陽性発現に向かう傾向を示唆した。RFAC4で同様の結果を得た。H5C6も、エストロゲン又はプロゲステロンレセプター発現と極めて僅かな相関関係を示したが、腫瘍の病期と明白な相関関係がなく、しかし、この結論は、小規模な標本サイズによって限定されていた。
7BD−33−11A抗原の局在化及び前立腺癌患者内のその蔓延は、前立腺癌の患者への7BD−33−11A免疫療法の利益を評価する及び効果的な臨床試験を設計するのに重要である。癌患者からの前立腺腫瘍における7BD−33−11A抗原の発現を取り扱うため、51人の前立腺癌の患者からの腫瘍組織試料では、(それぞれその内容が参照として本明細書に組み込まれるS.N.10/810,751で概説され、考察されているように)7BD−33−11A抗原の発現をスクリーニングした。この研究の結果は、組織試料の88%が7BD−33−11A抗原で陽性染色されたことを示した。7BD−33−11Aは、正常組織切片を同様に高い強度で染色したが、正常試料と比較して、腫瘍組織試料においてより高度に膜を染色した。7BD−33−11A抗原で染色されなかったのは、胎児性横紋筋肉腫組織試料1つであった。試験された小規模な標本サイズにおいて、腫瘍病期と7BD−33−11A抗原の存在との間に直接的な相関関係があるとは思われなかった。
7BD−33−11A抗原の局在化及び黒色種患者内のその蔓延は、黒色種の患者への7BD−33−11A免疫療法の利益を評価する及び効果的な臨床試験を設計するのに重要である。癌患者からの黒色種の腫瘍における7BD−33−11A抗原の発現を取り扱うため、39人の黒色種患者からの腫瘍組織試料では、7BD−33−11A抗原の発現をスクリーニングした。この研究の結果は、組織試料の90%が7BD−33−11A抗原で陽性染色されたことを示した。この小規模な標本サイズにおいて、ここでも、腫瘍病期と7BD−33−11A抗原の存在との間に直接的な相関関係があるとは思われなかった。
7BD−33−11A、H460−22−1及び1A245.6の潜在的な治療利益を更に広げるために、多様なヒト癌組織内の抗原の頻度及び局在性も、(それぞれその内容が参照として本明細書に組み込まれる、1A245.6及び7BD−33−11AについてはS.N.10/603,006において概説され、S.N.10/810,751で参照されたように)決定した。乳癌及び前立腺癌に加えて幾つかの癌の種類が、7BD−33−11A抗原を発現した。陽性ヒト癌の種類には、皮膚(1/2)、肺(3/4)、肝臓(2/3)、胃(4/5)、甲状腺(2/2)、子宮(4/4)及び腎臓(3/3)が挙げられる。一部の癌は抗原を発現せず、これらには、卵巣(0/3)、精巣(0/1)、脳(0/2)及びリンパ節(0/2)が挙げられる。正常ヒト組織アレイと同様に、H460−22−1及び1A245.6では、多様な種類のヒト組織からの多数の癌が陽性染色された。より著しい染色が、皮膚、肺、肝臓、子宮、腎臓、胃及び膀胱の悪性細胞において見られた。ヒト乳癌、前立腺癌及び黒色種の癌組織と同様に、7BD−33−11A、H460−22−1及び1A245.6の局在化は、これらの腫瘍細胞の膜上と細胞質内の両方で起こった。したがって、インビトロでの癌細胞株へのH460−22−1、1A245.6及び7BD−33−11A抗体の結合に加えて、抗原がヒト及び多くの種類の癌で発現する証拠が存在する。
その内容が参照として本明細書に組み込まれるS.N.10/810,751において、7BD−33−11Aが、そして本明細書において1A245.6及びH460−22−1が概説されているように、H460−22−1、1A245.6及び7BD−33−11Aにより認識される抗原はCD63であることを、生化学データも示している。これは、CD63に対して反応性であるモノクローナル抗体RFAC4が、免疫沈降により7BD−33−11A、H460−22−1又は1A245.6に結合するタンパク質を同定することを示す研究によって支持される加えて、細菌発現研究は、H460−22−1、1A245.6及び7BD−33−11AがCD63の細胞外ループ2に結合することを解明した。7BD−33−11A、H460−22−1及び1A245.6エピトープも、立体構造依存性であることによって識別された。これらのIHC及び生化学的な結果は、H460−22−1、1A245.6及び7BD−33−11AがCD63抗原に結合することを実証した。したがって、圧倒的な証拠が、H460−22−1、1A245.6及び7BD−33−11Aは、CD63に存在する特有の立体構造エピトープとの連結を介して、抗癌効果を仲介することを示している。本発明の目的において、前記エピトープは、ハイブリドーマ細胞株7BD−33−11A、1A245.6及びH460−22−1、その抗原結合フラグメント又はその抗体複合体によりコードされるモノクローナル抗体と結合するその能力によって特徴決定される、「CD63抗原部分」と定義される。
全体として、このデータは、H460−22−1、1A245.6及び7BD−33−11A抗原が、癌関連抗原であり、ヒトにおいて発現し、病原関連癌標的であることを実証する。更に、このデータは、H460−22−1、1A245.6及び7BD−33−11A抗原のヒト癌組織への結合も実証し、診断的、治療予測的、又は予後的であることができるアッセイのために適切に使用することができる。加えて、この抗原の細胞膜局在性は、最も非悪性細胞における抗原の発現の相対的低頻度によって、細胞の癌状態を示しており、この観察は、診断的、治療予測的又は予後的であることができるアッセイで使用されるこの抗体、その遺伝子又は誘導体、そのタンパク質又はその変異体の使用を容認する。
本発明は、米国特許第6,180,357号で記載された方法により開発され、その効果が、細胞毒性アッセイ、動物モデルにおける確立されていない及び確立された腫瘍増殖、並びに癌性疾患に罹患しているものでの延長された生存期間において確認された、H460−22−1、7BD−33−11A及び1A245.6の開発及び使用を記載する。本発明は、標的分子CD63に存在するエピトープに特異的に結合し、かつ悪性腫瘍細胞に対してインビトロ細胞毒性の特性も有するが、正常な細胞には有さず、また、腫瘍増殖の阻害及びヒト癌のインビボモデルにおける生存期間の延長を直接仲介する試薬を初めて記載する、癌治療の分野における進歩を示す。これは、同様の特性を示すものがなかったので、以前に記載された他のあらゆる抗CD63抗体に対する進歩である。特定の種類の腫瘍の増殖及び発達に関連する事象においてCD63の直接的な関与を明確に、かつ初めて実証したので、この分野における進歩も提供する。ヒトの患者において同様の抗癌特性を示す潜在能力を有するので、癌治療における進歩も示す。更なる進歩は、これらの抗体を抗癌抗体のライブラリーに含めることが、腫瘍の増殖及び発達を標的にし、かつ阻害するのに最も有効なものを発見するため、異なる抗癌抗体の適切な組み合わせを決定することにより、異なる抗原マーカーを発現する腫瘍を標的にする可能性を向上させることである。
全体として、本発明は、投与されたとき、哺乳動物においで抗原を発現している癌の腫瘍量を低減することができ、かつ治療された動物の生存期間の延長をもたらすこともできる治療剤の標的としての、7BD−33−11A抗原の使用を教示する。本発明は、また、それらの抗原を標的にして、哺乳動物において抗原を発現する癌の腫瘍量を低減するため、及びこの抗原を発現する腫瘍を持つ哺乳動物の生存期間を延長するための、CDMAB(H460−22−1、7BD−33−11A及び1A245.6)、それらの誘導体、及びそれらの抗原結合フラグメントの使用を教示する。更に、本発明は、癌性細胞においてH460−22−1、7BD−33−11A及び1A245.6抗原を検出することの使用も教示し、これは、この抗原を発現する腫瘍を持つ哺乳動物の診断、治療予測及び予後のために有用であることができる。
患者が治療の初期過程に難治性であるか、又は転移が発生する場合、腫瘍に特異的な抗体を生成する方法を再治療のために繰り返すことができる。更に、抗癌抗体を、患者又は適合するドナーから得た赤血球と結合して、転移の治療のために再注入することができる。転移性癌の対する有効な治療はほとんどなく、転移は、通常、死亡をもたらす不良転帰の前兆である。しかし、転移性癌は、通常、十分に血管新生化されており、赤血球による抗癌抗体の送達は、腫瘍部位へ抗体を集中させる効果を有することができる。転移の前でさえも、ほとんどの癌細胞は、その生存を宿主の血液供給に依存し、赤血球と結合した抗癌抗体は、原位置の腫瘍に対しても有効であることができる。あるいは、抗体は、他の血行性細胞、例えば、リンパ球、マクロファージ、単球、ナチュラルキラー細胞などと結合することができる。
5種類の抗体があり、それぞれその重鎖により付与される機能と関連している。一般に、裸抗体による癌細胞死滅は、抗体依存性細胞仲介細胞毒性(ADCC)又は区画依存性細胞毒性(CDC)のいずれかによって仲介されると考えられる。例えば、ネズミIgM及びIgG2a抗体は、補体系のC−1成分の結合によりヒト補体を活性化することができ、それによって、腫瘍溶解をもたらすことができる、補体活性化の古典的経路を活性化することができる。ヒト抗体では、最も効果的な補体活性抗体は、一般にIgM及びIgG1である。IgG2a及びIgG3アイソタイプのネズミ抗体は、単球、マクロファージ、顆粒球及び特定のリンパ球による細胞死滅をもたらすFcレセプターを有する細胞毒性細胞を動員するのに有効である。ヒト抗体のIgG1とIgG3の両方のアイソタイプはADCCを仲介する。
抗体仲介癌死滅の別の可能な機序は、細胞膜及びその関連する糖タンパク質又は糖脂質における多様な化学的結合の加水分解を触媒するように機能する抗体、いわゆる触媒抗体の使用を介することでありうる。
抗体仲介癌細胞死滅の2つの追加的な機序があり、それらはより広範囲に受け入れられている。第1は、癌細胞に存在する推定抗原に対して免疫反応を生じるように体を誘導する、ワクチンとしての抗体の使用である。第2は、増殖レセプターを標的にし、その機能を妨害する、又は機能が効果的に失われるようにそのレセプターを下方制御する、抗体の使用である。
制癌剤の臨床的有用性は、患者の許容されるリスクプロフィール下の薬剤の利益に基づく。癌療法において、生存は、一般に最も追求される利益であるが、延命に加えて他の十分に認識されている利益が多数存在する。治療が生存に有害な効果を与えないこれらの他の利益には、症状緩和、有害事情に対する保護、再発するまでの時間又は無病生存期間の延長、及び進行するまでの時間の延長が挙げられる。これらの基準は、一般に受け入れられており、米国食品医薬品局(F.D.A.)のような規制機関は、これらの利益を生じる薬剤を認可している(Hirschfeld et al. Critical Reviews in Oncology/Hematolgy 42:137−143 2002)。これらの基準に加えて、これらの種類の利益を予感することができる他の終点があることは、十分に認識されている。部分的には、米国FDAにより許可された加速承認方法は、患者の利益を予測すると思われる代用薬があることを認めている。年末(2003年)には、この方法により16種の薬剤が認可され、それらのうち4種が完全に承認され、すなわち、追跡調査が、代用薬終点により予測された直接的な患者の利益を実証した。固形腫瘍における薬剤効果を決定する一つの重要な終点は、処置に対する反応を測定することにより腫瘍量を評価することである(Therasse et al. Journal of the National Cancer Institute 92(3):205−216 2000)。そのような評価の臨床基準(RECIST基準)は、国際的な癌専門家のグループであるResponse Evaluation Criteria in Solid Tumors Working Groupにより公表されてきた。適切な対照群と比較して、RECIST基準に従った他覚的反応により示された、腫瘍量に対する効果を実証した薬剤は、最終的に、直接的な患者利益を生じる傾向がある。前臨床設定において、腫瘍量は、一般に評価及び文書化に対してより直接的である。そこでは、前臨床試験は臨床設定に転換することができ、前臨床モデルにおける生存期間の延長を生じる薬剤は、最大の予測臨床的有用性を有する。臨床治療に陽性反応を生じることと同様に、前臨床設定において腫瘍量を低減する薬剤は、疾患に対して著しく直接的な影響を有することもできる。生存期間の延長が制癌剤治療で最も追求される臨床結果であるが、臨床的有用性を有する他の利益が存在し、疾患進行の遅延、延長した生存期間又はその両方に相関することがある腫瘍量の低減が、直接的な利益をもたらし、臨床的な影響を与えることもできることが明白である(Eckhardt et al. Developmental Therapeutics: Successes and Failures of Clinical Trial Designs of Targeted Compounds; ASCO Educational Book, 39th Annual Meeting, 2003, pages 209−219)。
したがって、癌細胞に対して細胞毒性であり、同時に、ハイブリドーマ細胞株及び対応する単離モノクローナル抗体、並びに前記ハイブリドーマ細胞株がコードされているその抗原結合フラグメントを単離するために、非癌性細胞に対して相対的に非毒性である、特定の個人から誘導した細胞からの癌性疾患修飾抗体を産生する方法を利用することが、本発明の目的である。
CDMAB及びその抗原結合フラグメントを教示することが、本発明の追加的な目的である。
その細胞毒性がADCCによって仲介されるCDMABを産生することが、本発明の更なる目的である。
その細胞毒性がCDCによって仲介されるCDMABを産生することが、本発明のさらに追加的な目的である。
その細胞毒性が細胞の化学的結合の加水分解を触媒する能力の機能であるCDMABを産生することが、本発明のなお更なる目的である。
癌の診断、予後及びモニタリングのための結合アッセイに有用であるCDMABを産生することが、本発明のなお更なる目的である。
本発明の他の目的及び利点は、以下の記載によって明らかとなり、例示及び実施例によって、本発明の特定の実施態様が記載される。
(図面の簡単な説明)
特許又は出願ファイルには、カラーで作製した少なくとも1枚の図面が含まれる。カラー図面の本特許又は特許出願公開のコピーは、要請があり、必要な費用が支払われたら特許庁によって提供される。
図1は、7BD−33−11Aでプローブした(パネルA)MDA−MB−231全細胞体溶解質(レーン1)若しくは膜(レーン2及び3)、又はアイソタイプ対照(パネルB)のウエスタンブロットである。分子量目盛りを左側に示す。
図2は、7BD−33−11AでプローブしたMDA−MB−231膜のエスタンブロットである。レーン1:還元条件下で実施した膜。レーン2:非還元条件下で実施した膜。分子量目盛りを左側に示す。
図3は、MDA−MB−231膜への7BD−33−11Aの結合に対する脱グリコシルの効果である。MDA−MB−231膜を、グリコペプチダーゼF(PNGase F、レーン1)、O−グリカナーゼ(レーン2)、シアリダーゼ(レーン3)、PNGase F、O−グリカナーゼ及びシアリダーゼの組み合わせ(レーン4)、PNGase F、O−グリカナーゼ、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ及びグルコサミニダーゼの組み合わせ(レーン5)又は緩衝剤対照(レーン6)による処置に付した。分子量目盛りを左側に示す。
図4は、7BD−33−11Aで免疫沈降したMDA−MB−231膜タンパク質のSDS−PAGE(パネルA)及びウエスタンブロット(パネルB)である。レーンA:アイソタイプ対照免疫沈降タンパク質、レーンB:7BD−33−11A免疫沈降タンパク質、及びレーンTM:MDA−MB−231膜総タンパク質。長方形の箱は、SDS−PAGEのレーンB及びウエスタンブロットのレーンTMからの同じ帯域を描いている。分子量目盛りを左側に示す。
図5は、Profound検索概略表である。
図6は、MASCOT検索概略表である。
図7aは、7BD−33−11A(パネルA)、抗CD63(クローンRFAC4、パネルB)、IgG2aアイソタイプ対照(パネルC)及びIgGアイソタイプ対照(パネルD)でプローブしたタンパク質のウエスタンブロットである。レーンA:MDA−MB−231膜総タンパク質;レーンB:7BD−33−11A免疫沈降タンパク質;レーンC:抗CD63(RFAC4)免疫沈降タンパク質;レーンD:IgG2aアイソタイプ対照免疫沈降タンパク質及びレーンE:IgGアイソタイプ対照免疫沈降タンパク質。分子量目盛りを左側に示す。
図7bは、7BD−33−11A(パネルA)、抗CD63(クローンH5C6、パネルB)、IgG2aアイソタイプ対照(パネルC)及びIgGアイソタイプ対照(パネルD)でプローブしたタンパク質のウエスタンブロットである。レーンA:MDA−MB−231膜総タンパク質;レーンB:7BD−33−11A免疫沈降タンパク質;レーンC:抗CD63(H5C6)免疫沈降タンパク質;レーンD:IgG2aアイソタイプ対照免疫沈降タンパク質及びレーンE:IgGアイソタイプ対照免疫沈降タンパク質。分子量目盛りを左側に示す。
図8は、7BD−33−11A(パネルA)、抗CD63(クローンRFAC4、パネルB)、抗CD63(クローンH5C6、パネルC)、IgG2aアイソタイプ対照(パネルD)及びIgGアイソタイプ対照(パネルE)でプローブしたタンパク質のウエスタンブロットである。レーン1〜5は、7BD−33−11A免疫沈降タンパク質を含み、レーン6〜10は、IgG2aアイソタイプ対照免疫沈降タンパク質を含む。レーン1及び6:NaClなし、レーン2及び7:150mMのNaCl、レーン3及び8:500mMのNaCl、レーン4及び9:2000mMのNaCl及びレーン5及び10:PIPA緩衝剤。
図9は、7BD−33−11A(パネルA)、抗CD63(クローンRFAC4、パネルB)、抗CD63(クローンH5C6、パネルC)、IgG2aアイソタイプ対照(パネルD)及びクーマシーコロイドブルータンパク質染色(パネルE)でプローブしたタンパク質のウエスタンブロットである。レーン1:非誘導ベクター単独、レーン2:非誘導GST−EC1、レーン3:非誘導GST−EC2、レーン4:誘導ベクター単独、レーン5:誘導GST−EC1及びレーン6:誘導GST−EC2。分子量目盛りを左側に示す。
図10は、IgG及びIgG2aアイソタイプ対照、抗CD44(クローンH460−16−2)、抗CD63(RFAC4)、1A245.6、並びにH460−22−1でプローブしたタンパク質のウエスタンブロットである。レーン1:総膜画分(レーン1)、レーン2:H460−16−2で免疫沈降した物質、レーン3:7BD−33−11Aで免疫沈降した物質、レーン4:H460−22−1で免疫沈降した物質、レーン5:1A245.6で免疫沈降した物質、レーン6:IgG2aアイソタイプ対照で免疫沈降した物質、及びレーン7:IgGアイソタイプ対照で免疫沈降した物質。分子量目盛りを左側に示す。
図11は、IgG及びIgG2aアイソタイプ対照、抗CD44(クローンH460−16−2)、抗CD63(RFAC4)、1A245.6、並びにH460−22−1でプローブしたタンパク質のウエスタンブロットである。レーン1:非誘導GSTベクター単独、レーン2:非誘導GST−EC1、レーン3:非誘導GST−EC2、レーン4:誘導GSTベクター単独、レーン5:誘導GST−EC1及びレーン6:誘導GST−EC2。分子量目盛りを左側に示す。
図12は、幾つかの癌細胞株及び非癌細胞に対して向けられた7BD−33−11A、アイソタイプ対照及び抗EGFRの代表的なFACSヒストグラムである。
図13は、幾つかの癌細胞株及び非癌細胞に対して向けられた1A245.6、アイソタイプ対照及び抗EGFRの代表的なFACSヒストグラムである。
図14は、幾つかの癌細胞株及び非癌細胞に対して向けられたH460−22−1、アイソタイプ対照及び抗EGFRの代表的なFACSヒストグラムである。
図15は、ヒトの正常な心臓でAは7BD−33−11A、ヒトの正常な脳でBは1A245.6、CはH460−22−1、ヒトの正常な心臓でDは陽性対照、ヒトの正常な脳でEは陽性対照である。倍率は200×である。
図16は、ヒトの胃噴門でAは7BD−33−11A、BはH460−22−1、Cは1A245.6、Dは陰性アイソタイプ対照である。倍率は200×である。
図17は、ヒト乳癌腫瘍(浸潤性乳管癌)に結合している、A.7BD−33−11A、B.1A245.6及びC.H460−22−1、並びにD.陰性アイソタイプ対照の代表的な顕微鏡写真である。倍率は200×である。
図18は、ヒトの正常な乳房組織に結合している、A.7BD−33−11A、B.陽性対照の代表的な顕微鏡写真である。倍率は200×である。
図19は、ヒト乳癌組織アレイからの浸潤性乳管癌の組織切片において、7BD−33−11A(A)、アイソタイプ陰性対照(B)、抗CD63(RFAC4)抗体又は抗CD63(H5C6)抗体(D)により得た結合パターンを示す代表的な顕微鏡写真である。7BD−33−11Aは、RFAC4又はH5C6のいずれかの抗体と比較して腫瘍細胞で弱い陽性染色を示した。倍率は200×である。
図20は、ヒト乳癌組織アレイからの浸潤性乳管癌の組織切片において、7BD−33−11A(A)又は抗Her2(c−erbB−2)抗体(B)により得た結合パターンを示す代表的な顕微鏡写真である。7BD−33−11Aは、陰性染色を示した抗Her2抗体と比較して腫瘍細胞で強い陽性染色を示した。倍率は200×である。
図21は、ヒトの前立腺癌の組織アレイからの前立腺腺癌(A)又は正常な前立腺(B)の組織切片において7BD−33−11Aにより得た結合パターンを示す代表的な顕微鏡写真である。7BD−33−11Aは、腺癌組織切片における腫瘍細胞で強い陽性膜染色を示した。7BD−33−11Aは、正常な前立腺組織切片における腺上皮の膜と細胞質の両方で染色を示した。倍率は200×である。
図22は、原発性悪性黒色種でAは7BD−33−11A(黒色矢印は、腫瘍細胞の陽性染色を示し、緑色の矢印は、間質の染色の不在を示す)、Bは陰性アイソタイプ対照である。倍率は400×である。
図23は、腎細胞癌でAは7BD−33−11A、Bは1A245.6、CはH460−22−1、Dは陰性アイソタイプ対照である。倍率は200×である。
図24は、予防MDA−MB−231乳癌モデルにおける体重に対するH460−22−1、アイソタイプ対照又は緩衝剤対照の効果である。
図25は、予防MDA−MB−231乳癌モデルにおける腫瘍増殖に対するH460−22−1、アイソタイプ対照又は緩衝剤対照の効果である。破線は、抗体が投与された期間を示す。データポイントは平均+/−SEMを表す。
図26は、予防MDA−MB−231乳癌モデルにおける生存に対するH460−22−1、アイソタイプ対照又は緩衝剤対照の効果である。破線は、抗体が投与された期間を示す。
図27は、確立しMDA−MB−231乳癌モデルにおける腫瘍増殖に対するH460−22−1、アイソタイプ対照又はシスプラチンの効果である。破線は、抗体が投与された期間を示す。データポイントは平均+/−SEMを表す。
図28は、確立したMDA−MB−231乳癌モデルにおける腫瘍増殖抑制(%T/C)に対するH460−22−1、アイソタイプ対照又はシスプラチンの効果である。破線は、抗体が投与された期間を示す。
図29は、確立したMDA−MB−231乳癌モデルにおける体重に対するH460−22−1、アイソタイプ対照又はシスプラチンの効果である。
図30は、予防A2058黒色腫癌モデルにおける腫瘍増殖に対する7BD−33−11A又は緩衝剤対照の効果である。破線は、抗体が投与された期間を示す。データポイントは平均+/−SEMを表す。
図31は、予防A2058黒色腫癌モデルにおける体重に対する7BD−33−11A又は緩衝剤対照の効果である。
図32は、確立したA2058黒色腫癌モデルにおける腫瘍増殖に対する7BD−33−11A対緩衝剤対照の効果である。データポイントは平均+/−SEMを表す。
図33は、確立したA2058黒色腫癌モデルにおける体重に対する7BD−33−11A又は緩衝剤対照の効果である。
図34は、予防A375黒色腫癌モデルにおける腫瘍増殖に対する7BD−33−11A又は緩衝剤対照の効果である。破線は、抗体が投与された期間を示す。データポイントは平均+/−SEMを表す。
図35は、予防A375黒色腫癌モデルにおける体重に対する7BD−33−11A又は緩衝剤対照の効果である。
図36は、確立したA375黒色腫モデルにおける、AR7BD−33−11A及びダカルバジンの単独の及び組み合わせの効果である。AR7BD−3311A及びリン酸緩衝生理食塩水(対照)は、20mg/kgを腹腔内に1週間に3回で3週間投与した。ダカルバジンは、90mg/kg(このモデルにおける最大耐量の1/2)を腹腔内に毎日1回で、5日間連続して投与した。群の腫瘍増殖及び生存の中央値(Kaplan−Meierプロット)の曲線を示す。
図37は、予防BxPC−3膵癌モデルにおける腫瘍増殖に対する7BD−33−11A又は緩衝剤対照の効果である。破線は、抗体が投与された期間を示す。データポイントは平均+/−SEMを表す。
図38は、予防BxPC−3膵癌モデルにおける体重に対する7BD−33−11A又は緩衝剤対照の効果である。
図39は、予防MDA−MB−231乳癌SCID又はNOD/SCID癌モデルにおける腫瘍増殖に対する7BD−33−11A、H460−22−1又は緩衝剤対照の効果である。
実施例1
ウエスタンイムノブロッティングによる7BD−33−11A結合タンパク質の同定
その内容が参照として本明細書に組み込まれるS.N.10/810,751で概説され、考察されているように、抗体7BD−33−11Aにより認識されている抗原を同定するために、細胞膜調製物をドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に付して、膜に移した。後者を抗体7BD−33−11Aでプローブして、この抗体により検出されるタンパク質を可視化した。
1.0.全細胞溶解質及び総膜画分調製物
1.1.全細胞溶解質調製物
FACSによる以前の研究は、乳癌細胞株MDA−MB−231(MB−231)への抗体7BD−33−11Aの結合を実証した。その結果、この細胞株から得た総細胞膜調製物及び全細胞溶解質を、抗原同定及び特徴決定に使用した。MB−231細胞からの総細胞溶解質を次のように調製した:MB−231細胞ペレット(1.5g)を、20mMトリス、pH7.4、150mM NaCl、1%(v/v)トリトンX−100、0.02%(w/v)アジ化ナトリウ、2mMオルトバナジン酸ナトリウム、50mMフッ化ナトリウム及びプロテアーゼインヒビターカクテル(Roche Diagnostics; Manheim, Germany)を含有する2mLの溶解緩衝剤に再懸濁した。ペレットをガラスホモジナイザーで均質化し、4℃で1時間、撹拌しながらインキュベートした。次に試料を4℃で15分間遠心分離(20,000g)に付して、洗浄剤不溶物質を除去した。上澄みを収集し、アリコートに分け、−80℃で凍結した。細胞溶解質中のタンパク質濃度を、BCA(ビシンコニン酸)アッセイ(Pierce; Rockford, IL.)で決定した。
1.2.総細胞膜画分調製物
総細胞膜を、MB−231乳癌細胞のコンフルエント培養から調製した。培地を細胞スタックから除去し、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した。細胞を、プラットフォーム振とう機により、解離緩衝剤(Gibco−BRL; Grand Island, NY)を用いて37℃で20分間解離した。細胞を収集し、4℃で10分間、900gで遠心分離した。遠心分離の後、細胞ペレットをPBSに再懸濁して洗浄し、再び4℃で10分間、900gで遠心分離した。次にペレットを必要になるまで−80℃で保存した。膜を調製するために、細胞ペレットを解凍し、細胞1gあたり3mLの緩衝剤の比率で50mLあたり1錠の完全プロテアーゼインヒビターカクテル(Roche; Laval QC)を含有する均質化緩衝剤に再懸濁した。細胞懸濁液を、ポリトロンホモジナイザーを氷上で使用して均質化に付して、細胞を溶解した。細胞ホモジネートを4℃で10分間、15,000gで遠心分離して、核粒子を除去した。上澄みを採取し、管に分け、次に4℃で90分間、75,600gで遠心分離した。上澄みを注意深く除去し、膜ペレットをそれぞれ約5mLの均質化緩衝剤に再懸濁した。全ての管の膜ペレットを合わせ、もう1回分けて、4℃で90分間、75,600gで遠心分離した。上澄みを注意深く除去し、ペレットを計量した。1%トリトンX−100を含有する可溶化緩衝剤を、膜ペレット1gあたり3mLの緩衝剤の比率でペレットに加えた。膜を、プラットフォーム振とう機により300rpmで1時間、氷上で振とうして可溶化した。膜懸濁液を75,600gで遠心分離して、不溶物質をペレット化した。可溶性膜タンパク質を含有する上澄みを管から注意深く取り出し、タンパク質濃度をアッセイし、−80℃で保存した。
2.0 一次元SDS−PAGE及びウエスタンイムノブロッティング
MB−231細胞の総膜画分及び全細胞溶解質からのタンパク質を一次元SDS−PAGE(1D SDS−PAGE)により、それぞれ5%及び10%の濃縮及び離ゲルに分けた。タンパク質を、電気ブロッティングにより、4℃で一晩かけてPVDF膜(Millipore; Billerica, MA)に移した。完全な移動は、着色分子量マーカーの膜への移動を評価して決定した。移動の後、膜を、TBST中の5%(w/v)スキムミルクにより室温(RT)で1時間ブロックし、次に2つの複製ブロットを次のようにプローブした:1つのブロットを、抗体7BD−33−11A(5μg/mL、TBST中の5%スキムミルク)でプローブし、複製ブロットをIgG2aアイソタイプ対照(5μg/mL、TBST中の5%スキムミルク)でプローブした。ブロットをTBST中で10分間、3回洗浄し、次にホースラディッシュHRP複合ヤギ抗ネズミIgG(Fc)(Bio−Rad Laboratories; Hercules, CA)と共にRTで1時間インキュベートした。TBSTで3回それぞれ10分間洗浄した後、ブロットを、製造会社の使用説明書に従って、TMBペルオキシダーゼ基質キット(Vector Laboratories; Burlingame, CA)により展開した。ブロットを水ですすぎ、画像をゲル記録系で得た(図1及び2)(Bio−Rad; Hercules, CA)。ブロットを、カメラの焦点、絞り、及び画像取得時間が同じ条件下で画像化した。図1において、7BD−33−11Aは、20〜80kDa範囲でタンパク質に明確に結合しており、その反応性は、全細胞溶解質及び総膜画分を含有するレーンで検出された。アイソタイプ対照は、MB−231溶解質又は膜画分においてどのタンパク質にも結合せず、7BD−33−11Aの結合が特異的であったことを示した。図2は、ウエスタンブロットでの7BD−33−11A結合に対する試料還元の効果を実証した。この抗体の反応性は、試料が非還元条件下で調製されたときにのみ検出された(レーン2)。DTT又はβ−メルカプトエタノールのような還元剤が結合を完全に排除し(レーン1)、7BD−33−11Aの認識及び天然タンパク質上のそのエピトープへの結合が、ジスルフィド結合の存在に依存していることが示された。
ウエスタンイムノブロッティングにより検出された抗原の拡散特性が、不均質グリコシル化に起因するかを決定するために、総膜画分を、特定の炭水化物基を除去する幾つかのグリコシダーゼ(グリコペプチダーゼF、o−グリカナーゼ、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ及びグルコサミニダーゼ)による処置に付した。処置の後、試料を1D SDS−PAGE及びウエスタンブロッティングに付した。一部の酵素が、抗体7BD−33−11Aにより確認される抗体の集団で有意な量を占める炭水化物の一部を除去する場合、SDS−PAGEにより差を検出することが可能であることが予測された。図3は、認識された抗原の集団に有意な減少をもたらした、MB−231細胞からの総膜画分のグリコシダーゼ処置を示す。これは、7BD−33−11A抗体により認識された抗原が、少なくとも1つの糖タンパク質から構成されることを示した。抗原の移動性における有意なシフトは、幾つかの酵素が一緒に使用されたときにおいてのみ起こるという事実は、少なくとも一部の炭水化物部分が、複合N結合炭水化物から構成されることを示した。グリコシダーゼによる膜の処置は、分子量シフトをもたらしたが、結合の強度を低減しなかった。このことは、抗体は、糖タンパク質の主にポリペプチド部分に結合することを示唆した。
実施例2
7BD−33−11Aで結合した抗原の同定
この実施例で詳述されるデータは、その内容が参照として本明細書に組み込まれるS.N.10/810,751で以前に記載されている。
1.0 MB−231総膜画分からの抗原の免疫沈降
総膜抽出物(総タンパク質5mg)を、適切な容量の1×溶解緩衝剤(50mMトリス、pH7.4、150mM NaCl、1%トリトンX−100、0.02%NaN、2mMオルトバナジン酸ナトリウム、50mMフッ化ナトリウム、及びプロテアーゼインヒビターカクテル(Roche Diagnostics, Manheim, Germany))により、並びに最終1×RIPA緩衝剤濃度を得るために、適切な容量の2×RIPA緩衝剤(50mMトリス、pH7.4、150mM NaCl、1.0%コール酸ナトリウム、0.2%SDS、1%トリトンX−100及び0.02%NaN)により、最終タンパク質濃度1mg/mLに稀釈した。抽出物を、タンパク質Gセファロースビーズ(Amersham Biosciences, Uppsala, Sweden)により4℃で2時間前清澄した。総膜抽出物を除去し、ストックBSA(10mg/mL)を加えて、0.5mg/mLの最終BSA濃度にした。抽出物を前清澄している間、抗体結合タンパク質Gセファロースビーズ(タンパク質Gセファロース30μlに化学的に架橋された抗体60μg)を、0.5mg/mLのBSA 1mLと共に、4℃で2時間インキュベートしてブロックした。ブロックした後、抗体結合ビーズを、1×RIPA緩衝剤で5分間、2回洗浄した。次に抗体結合タンパク質Gセファロースビーズを、BAS含有総膜抽出物に加え、転倒型回転器により4℃で3時間インキュベートした。4℃で10秒間、20,000gでの遠心分離の後、非結合画分を除去及び廃棄し、ビーズを、各洗浄工程でRIPA緩衝剤1mLにより5分間、3回洗浄した。次にビーズをPBS 1.5mLで1回すすいだ。7BD−33−11A結合タンパク質Gセファロースによる上記で記載された免疫沈降(IP)を、タンパク質GセファロースビーズがIgG2aアイソタイプ対照(BD Biosciences, San Diego, CA)と化学的架橋している同様のIPと平行して実施した。この工程は、免疫複合体へのタンパク質の非特異性結合を評価することができるように実施した。PBSを完全に排出した後、ビーズを非還元試料緩衝剤40μl中で沸騰させ、試料を1D SDS−PAGEにより、続いてゲルの一部分をウエスタンイムノブロッティングにより、ゲルの残りの部分をクーマシーコロイドブルーでの染色により分析した。40μlのうち、画分(8μl)を、ウエスタンブロッティングのためにSDS−PAGEに添加し、残りの画分(32μl)を、クーマシーコロイドブルーでの染色のために同じゲルの別のレーンに添加した。タンパク質染色に指定したゲルの部分を、クーマシーコロイドブルー染色と共に一晩インキュベートした。ウエスタンブロッティングに指定したゲルの部分をPVDF膜に320mAで2時間移動させ、脱イオン水ですすぎ、TBST中の5%ミルクによりRTで1時間ブロックし、次にTBST中の5%ミルク中で、7BD−33−11Aと共に4℃で一晩インキュベートした。ブロットをTBST中で10分間、3回洗浄し、次にTBST中の5%ミルク中で、HRP結合Fc特異性ヤギ抗ネズミIgG(1:5000)と共に、室温で1時間インキュベートした。次にブロットを10分間、3回洗浄し、包装に挿入された使用説明書に従って、TMBペルオキシダーゼ基質キットにより展開した。図4で示されているように、ウエスタンイムノブロット及びクーマシーコロイドブルー染色ゲルを、分子量マーカーを基準として使用して並べた。クーマシーコロイドブルーで染色した主帯域が、ウエスタンブロットで7BD−33−11Aと反応した主帯域と並んだ。図4においてこの部分を強調した(長方形の挿入)。
2.0 ペプチドマッピング及び質量分析法による抗原同定
上記の実験から、次にウエスタンブロットで最も強く反応した部分と並んだクーマシーコロイドブルー染色ゲルの帯域を切り出し、市販のキット(Pierce, Rockford, IL)を使用してゲル内トリプシン消化に付した。消化のアリコートを、SELDI−TOF Ciphergen PBSIIc読み取り機(Ciphergen Biosystems Inc., Freemont, CA)による質量分析に付した。簡潔に、消化のアリコートをH4チップ(Ciphergen Biosystems Inc., Freemont, CA)上に手作業でスポットした。乾燥した後、CHCAマトリックス(α−シアノ4−ヒドロキシケイ皮酸;Ciphergen Biosystems Inc., Freemont, CA)のアリコートを、チップ上の同じスポットに加え、乾燥させた。次に試料をPBSIIc読み取り機で分析した。アイソタイプ対照レーン及びブランクゲル領域と平行している領域の同様の大きさの帯域を、7BD−33−11Aにより免疫沈降した抗原の消化により生じた独自のペプチドフラグメントを決定することができるように、7BD−33−11A IPのゲルプラグと並行して処理した。独自のペプチドフラグメントの集団を、質量スペクトルの情報を使用してタンパク質配列データベースを検索する公的にアクセス可能なオンラインツールであるPROFOUNDを使用して、検索した。次に7BD−33−11A IP消化の試料における独自のペプチドを、PBSIIc読み取り機で既に分析された同じ試料スポットの分析を可能にするインターフェースを備えた、QSTAR(Applied Biosystems, Foster City, CA)によるMS/MS分析に付した。次にMS/MSデータを、MS/MSスペクトルの情報を使用してタンパク質配列データベースを検索する公的にアクセス可能なオンラインツールであるMASCOTにより分析した。図5は、ProFound検索の結果による表の概略である。大きな信頼度を持って推定される候補として示唆された唯一のタンパク質は、CD63であった。図6は、MASCOT検索の結果による表の概略である。高い確率を持って同定された唯一のタンパク質はCD63であり、ペプチドマップフィンガープリント法による仮の同定を支持した。
3.0 7BD−33−11A抗原IDの確認
7BD−33−11Aの推定抗原のIDの確認は、既知の抗ヒトCD63モノクローナル抗体であるRFAC4(Cymbus Biotechnology LTD, Hants, UK)及びH5C6(BD Biosciences, San Diego, CA)が、7BD−33−11Aにより免疫沈降したタンパク質と反応するか、またその逆も同様であるかを決定することによって、実施した。更なる確認は、ヒトCD63の細胞外ドメインのグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)融合作成物により形質転換された誘導及び非誘導細菌からの総溶解質のウエスタンイムノブロッティングによって、実施した。モノクローナル抗体7BD−33−11A、RFAC4、H5C6により、並びにIgG2a及びIgG(BD Biosciences, San Diego, CA)アイソタイプ対照により調製されたMB−231総膜からの免疫沈降を、1D SDS−PAGEにより、続いてウエスタンイムノブロッティングによって分析した。各免疫複合体試料からの等容量の画分を複製ゲルで分析した。PVDF膜への電気ブロッティングの後、複製ゲルのブロットを、モノクローナル抗体7BD−33−11A、RFAC4、H5C6より、並びにIgG2a及びIgGアイソタイプ対照により、並行してプローブした。図7aは、試験モノクローナル抗体7BD−33−11A及びRFAC4それぞれによって免疫沈降した物質をウエスタンイムノブロッティングにより分析した、交差IP実験の結果を示す。図7bは、試験モノクローナル抗体7BD−33−11A及びH5C6それぞれによって免疫沈降した物質をウエスタンイムノブロッティングにより分析した、交差IP実験の結果を示す。モノクローナル抗体7BD−33−11A、RFAC4及びH5C5それぞれは、7BD−33−11Aにより免疫沈降した同様の抗原と交差反応した。加えて、ウエスタンブロットでは、7BD−33−11AはRFAC4及びH5C6により免疫沈降した同様の抗原と、20〜80kDaの範囲で交差反応したが、アイソタイプ対照抗体で調製した免疫複合体とは交差反応しなかった。アイソタイプ対照抗体でプローブしたブロットは、完全に陰性であった。このデータは、7BD−33−11A応対で認識されるエピトープがCD63抗原の中に含まれていたことを示した。
交差反応性が全ての抗体により認識されている同じ分子に起因するか、又は同じ集団と相互作用する分子の存在に起因するかを決定するために、抗体7BD−33−11Aによる免疫沈降を、緩衝剤の緊密性を増加する条件下(50mMトリス、pH7.4、1%トリトンX−100、及び多様な濃度のNaCl:0、150、500及び2000mM;また、上記で記載されたとおりであるが500mMのNaClを含有するRIPA緩衝剤)で実施した。次に得られた免疫複合体を、ウエスタンイムノブロッティングにおいて、モノクローナル抗体7BD−33−11A、H5C6及びRFAC4により、並びにアイソタイプ対照IgG2a及びIgGによりプローブした。図8は、IP条件の厳密性を変えても、免疫複合体の形成に検出可能な影響を何も与えなかったことを示し、それは、抗体7BD−33−11Aにより認識される分子も抗CD63抗体により認識され、その逆もまた同様であることを示した。
7BD−33−11AがヒトCD63抗原に直接結合することを更に確認するために、その反応性を、ヒトCD63の細胞外ドメイン(ループEC1及びEC2)を含む組み換え融合ポリペプチドを発現する大腸菌の溶解質に対して、ウエスタンイムノブロッティングにより評価した。この研究のため、CD63の細胞外ループ(ループ1及びループ2−それぞれEC1及びEC2)のGST融合作成物を、適切なcDNAフラグメントを細菌発現ベクターPGEX−4T−2(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)にサブクローニングして産生した。ループをコードするcDNAフラグメントを、完全長ヒトcDNAをテンプレートとして使用した(クローンMGC−8339、American Type Culture Collection Manassas,VA)ポリメラーゼ連鎖反応増幅(PCR)により得た。EC1ループをコードするcDNAを以下のPCRプライマーを使用して得た:
5′プライマー(EC1_5′)、5′GCCGTGGGATCCGGGGCACAGCTTGTCCTG3′及び
3′プライマー(EC1_3′)、5′GATGACGAATTCTCACAGAGAGCCAGGGGTAGC3′。
EC2ループをコードするcDNAを以下のPCRプライマーを使用して得た:
5′プライマー(EC2_5′)、5′GGCTATGGATCCAGAGATAAGGTGATG3′及び
3′プライマー(EC2_3′)、5′TACCAGAATTCAATTTTTCCTCAGCCAGCC3′。
PCR反応の条件は次であった:5′プライマー(25pmol/μL)2μL、3′プライマー(25pmol/μL)2μL、テンプレートDNA(pOTB−CD63、0.76mg/mL)0.2μL及びPCR SuperMix High Fidelity(Invitrogen, Burlington, ON)45.8μL。PCR反応は、次のようにして実施した:94℃で5分間、続いて、1サイクルあたり、94℃で30秒間の溶融、55℃で30秒間のアニーリング、及び72℃で1分間の伸展、を30サイクル。
サブクローニングの後、PGEX−4T−2ベクター単独陰性対照(ベクターにcDNAフラグメントがサブクローンされていない)を含む作成物を、大腸菌に形質転換した(BL−21株)。それぞれの形質転換からの単独のアンピシリン耐性コロニーを増殖し、対応する挿入cDNAを配列決定した。cDNA配列が正しいことを確認した後、それぞれのクローンを液体培養中で増殖させ、GST融合作成物の発現を、1mMのIPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)(Gibco−BRL; Rockville, MD)の添加により誘導した。2時間のインキュベーションの後、細菌培養を室温で5分間、2000gで遠心分離した。上澄みを廃棄し、細菌ペレットを、非還元SDS−PAGE試料緩衝剤中で沸騰させた。次に試料を、前記のように、SDS−PAGE(それぞれ、5%及び12%のポリアクリルアミド濃縮及び分離ゲル)並びにウエスタンイムノブロッティングにより分析した。ブロット膜を7BD−33−11A、H5C6、RFAC4により、又はIgG2aアイソタイプ対照によりプローブした。図9で示される結果は、7BD−33−11Aが、ヒトCD63のループ2(アミノ酸108−202)を特異的に認識し(7BD−33−11Aでプローブしたレーン6のブロット)、ループ1(アミノ酸34−52)を認識しないことを明らかにした。細菌溶解質に対する抗体の特異性は、2つの十分に特徴決定された抗ヒトCD63抗体(RFAC4及びH5C6)も、EC2融合ポリペプチドを発現する誘導大腸菌からの溶解質のみで、同様の大きさの帯域を認識するという観察によって、更に確認された。上記の結果は、全て、7BD−33−11Aが、ヒトCD63を認識し、アミノ酸108−202を包含する細胞外領域に特異的に、直接結合することを実証する。
実施例3
1A245.6及びH460−22−1により結合する抗原の同定
1.0 MB−231総膜画分からの抗原の免疫沈降
総膜抽出物(総タンパク質1mg)を、適切な容量の1×溶解緩衝剤(50mMトリス、pH7.4、150mM NaCl、1%トリトンX−100、0.02%NaN、2mMオルトバナジン酸ナトリウム、50mM NaF及びプロテアーゼインヒビターカクテル)により、並びに最終1×RIPA緩衝剤濃度を得るために、適切な容量の2×RIPA緩衝剤(50mMトリス、pH7.4、150mM NaCl、1.0%コール酸ナトリウム、0.2%SDS、1%トリトンX−100及び0.02%NaN)により、最終タンパク質濃度1mg/mLに稀釈した。抽出物を、タンパク質Gセファロースビーズ(Amersham Biosiciences; Uppsala, Sweden)により4℃で2時間前清澄した。総膜抽出物を除去し、ストックBSA(10mg/mL)を加えて、0.5mg/mLの最終BSA濃度にした。抽出物を前清澄している間、抗体結合タンパク質Gセファロースビーズ(タンパク質Gセファロース30μgに化学的に架橋された抗体60μg)を、0.5mg/mLのBSA 1mLと共に、4℃で2時間インキュベートしてブロックした。ブロックした後、抗体結合ビーズを、1×RIPA緩衝剤で5分間、2回洗浄した。次に抗体結合タンパク質Gセファロースビーズを、BAS含有総膜抽出物に加え、転倒型回転器により4℃で3時間インキュベートした。4℃で10秒間、20,000gでの遠心分離の後、非結合画分を除去及び廃棄し、ビーズを、各洗浄工程でRIPA緩衝剤1mLにより5分間、3回洗浄した。次にビーズをPBS 1.5mLで1回すすいだ。タンパク質G−セファロースビーズ結合モノクローナル抗体7BD−33−11A、1A245.6、H460−22−1、IgGアイソタイプ対照、IgG2aアイソタイプ対照及びH460−16−2(後者は、CD44を特異的に認識することが知られている、十分に特徴決定されている抗体である)による免疫沈降(IP)を並行して実施した。PBSを完全に排出した後、ビーズを非還元試料緩衝剤40μl中で沸騰させ、試料を1D SDS−PAGEにより、続いてウエスタンイムノブロッティングにより、分析した。複製ゲルを、PVDF膜に320mAで2時間移動させた。次に膜を脱イオン水ですすぎ、TBST中の5%ミルクによりRTで1時間ブロックした。複製膜を、TBST中の5%ミルク中、モノクローナル抗体RFAC4(抗CD63)、1A245.6、H460−22−1、H460−16−2と共に、並びにアイソタイプ対照IgG及びIgG2aと共に、4℃で一晩インキュベートした。ブロットをTBST中で10分間、3回洗浄し、次にTBST中の5%ミルク中で、HRP結合Fc特異性ヤギ抗ネズミIgG(1:5000稀釈)と共に、室温で1時間インキュベートした。次にブロットを10分間、3回洗浄し、HRPのTMB基質の標準的手順に従って展開した。図10で示されているように、抗体RFAC4(抗CD63)、1A245.6及びH460−22−1によりプローブしたブロットは、反応性の同一パターンを明示した。3つの抗体は全て、抗体7BD−33−11A、H460−22−1及び1A245.6により免疫沈降した物質(それぞれレーン3、4及び5)と交差反応し、20〜80kDaの明白な分子量の範囲での反応性により特徴づけられた。また同様の反応性パターンを、未分画総膜洗浄剤抽出物を添加したレーン(レーン1)で観察することができる。加えて、これらの抗体のうち、抗CD44抗体H460−16−2により免疫沈降した物質(レーン2)と交差反応するものはなく、後者は、H460−16−2以外の抗体により免疫沈降した物質(レーン3、4及び5)を認識しなかった。非特異性交差反応性は、アイソタイプ対照抗体によりプローブした複製ブロットでは検出されなかった。したがって、これらの結果は、抗体1A245.6及びH460−22−1が、抗体RFAC4及び7BD−33−11Aと同じ抗原分子、CD63を認識したことを強く示唆した。
2.0 1A245.6及びH460−22−1抗原IDの確認
1A245.6及びH460−22−1がヒトCD63抗原に直接結合することを確認するために、その反応性を、ヒトCD63の細胞外ドメイン(ループEC1及びEC2)を含む組み換え融合ポリペプチドを発現する大腸菌の溶解質に対して、ウエスタンイムノブロッティングにより評価した。この研究のため、CD63の細胞外ループ(ループ1及びループ2−それぞれEC1及びEC2)のGST融合作成物を、適切なcDNAフラグメントを細菌発現ベクターPGEX−4T−2(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)にサブクローニングして産生した。ループをコードするcDNAフラグメントを、完全長ヒトcDNAをテンプレートとして使用した(クローンMGC−8339、American Type Culture Collection Manassas, VA)ポリメラーゼ連鎖反応増幅(PCR)により得た。EC1ループをコードするcDNAを以下のPCRプライマーを使用して得た:
5′プライマー(EC1_5′);5′GCCGTGGGATCCGGGGCACAGCTTGTCCTG3′及び
3′プライマー(EC1_3′)、5′GATGACGAATTCTCACAGAGAGCCAGGGGTAGC3′。
EC2ループをコードするcDNAを以下のPCRプライマーを使用して得た:
5′プライマー(EC2_5′)、5′GGCTATGGATCCAGAGATAAGGTGATG3′及び
3′プライマー(EC2_3′)、5′TACCAGAATTCAATTTTTCCTCAGCCAGCC3′。
PCR反応の条件は次であった:5′プライマー(25pmol/μL)2μL、3′プライマー(25pmol/μL)2μL、テンプレートDNA(pOTB−CD63、0.76mg/mL)0.2μL及びPCR SuperMix High Fidelity(Invitrogen)45.8μL。PCR反応は、次のようにして実施した:94℃で5分間、続いて、1サイクルあたり、94℃で30秒間の溶融、55℃で30秒間のアニーリング、及び72℃で1分間の伸展、を30サイクル。
サブクローニングの後、PGEX−4T−2ベクター単独陰性対照(ベクターにcDNAフラグメントがサブクローンされていない)を含む作成物を、大腸菌に形質転換した(BL−21株)。それぞれの形質転換からの単独のアンピシリン耐性コロニーを増殖し、対応する挿入cDNAを配列決定した。cDNA配列が正しいことを確認した後、それぞれのクローンを液体培養中で増殖させ、GST融合作成物の発現を、1mMのIPTC(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)(Gibco−BRL; Rockville, MD)の添加により誘導した。2時間のインキュベーションの後、細菌培養を室温で5分間、2000gで遠心分離した。上澄みを廃棄し、細菌ペレットを、非還元SDS−PAGE試料緩衝剤中で沸騰させた。次に試料を、前記のように、SDS−PAGE(それぞれ、5%及び12%のポリアクリルアミド濃縮及び分離ゲル)並びにウエスタンイムノブロッティングにより分析した。ブロット膜を、1A245.6、H460−22−1、RFAC4、H460−16−2、並びにIgG及びIgG2aアイソタイプ対照によりプローブした。抗体は、全て5μg/mLの濃度で使用した。図11で示されている結果は、1A245.6及びH460−22−1がヒトCD63のループ2(アミノ酸108−202)を特異的に認識し(1A245.6及びH460−22−1によりプローブしたレーン6のブロット)、ループ1(アミノ酸34−52)もGSTベクター単独も認識しないことを明らかにした。細菌溶解質に対する抗体の特異性は、十分に特徴決定された抗ヒトCD63抗体(RFAC4)も、GST−EC2融合ポリペプチドを発現する大腸菌からの溶解質のみで、同様の大きさの帯域を認識するという観察によって、更に確認された。加えて、ヒトCD44(H460−16−2)を認識する抗体は、この実験で発現した組み換えタンパク質のいずれも認識しなかった。上記の結果は、全て、1A245.6及びH460−22−1が、ヒトCD63を認識し、アミノ酸108−202を包含する細胞外領域に特異的に、直接結合することを示した。
実施例4
ハイブリドーマ細胞株7BD−33−11A及び1A245.6については、それぞれその内容が参照として本明細書に組み込まれる、S.N.10/348,231、S.N.10/603,006、S.N.10/810,751及びS.N.10/891,866において、ハイブリドーマ細胞株H460−22−1については本明細書において概説されているように、3つのハイブリドーマクローンを、ブダペスト条約に従って、H460−22−1は受入番号PTA−4622で2003年9月4日に、そして1A245.6及び7BD−33−11Aはそれぞれ受入番号PTA−4889及びPTA−4890で2003年1月8日に、American Type Culture Collection, 10801 University Blvd., Manassas, VA 20110−2209に寄託した。37 CFR 1.808に従って、寄託者は、寄託物質の公共利用性に対して課せられている全ての制限が、特許の付与にあたって変更不能に解除されることを確認する。
抗体産生
H460−22−1、1A245.6及び7BD−33−11Aモノクローナル抗体は、CL−1000フラスコ(BD Biosciences, Oakville, ON)中で、週に2回収集し、再接種して、ハイブリドーマを培養することにより産生した。抗体を、Protein G Sepharose 4 Fast Flow(Amersham Biosciences, Baie d’Urfe, QC)により、標準的な抗体精製手順に従って精製した。
7BD−33−11A及び1A245.6については、それぞれその内容が参照として本明細書に組み込まれる、S.N.10/348,231、S.N.10/603,006、S.N.10/810,751及びS.N.10/891,866で既に記載され、H460−22−1については本明細書で概説されているように、3つの抗体を、細胞毒アッセイにおいて、多数の陽性(抗Fas(EOS9.1、IgM、κ、20μg/mL、eBioscience, San Diego, CA)、抗Her2/neu(IgG1、κ、10μg/mL、Inter Medico, Markham, ON)、抗EGFR(C225、IgG1、κ、5μmol/mL、Cedarlane, Hornby, ON)、シクロヘキシミド(100μmol、Sigma, Oakville, ON)、NaN(0.1%、Sigma, Oakville, ON))と陰性(107.3(抗TNP、IgG1、κ、20μg/mL、BD Biosciences, Oakville, ON)、G155−178(抗TNP、IgG2a、κ、20μg/mL、BD Biosciences, Oakville, ON)、MPC−11(抗原特異性は不明、IgG2b、κ、20μg/mL)、J606(抗フルクトサン、IgG3、κ、20μg/mL)、IgG緩衝剤(2%))の対照の両方を比較した(表1及び2)。乳癌(MB−231、MB−468、MCF−7)、結腸癌(HT−29、SW1116、SW620)、肺ガン(NCI H460)、卵巣癌(OVCAR)、前立腺癌(PC−3)、黒色腫(A2058、A357及びA549)、並びに非癌(Hs578.Bst、CCD 27sk、Hs888 Lu)の細胞株を試験した(全て、ATCC, Manassas, VAからのもの)。生存/死亡細胞毒性アッセイを、Molecular Probes(Eugene, OR)から得た。アッセイを、製造会社の使用説明書に従い、下記に概説するように変えて実施した。細胞を、アッセイの前に、所定の適切な密度で平板培養した。2日後、精製抗体又は対照を、培地中で稀釈し、次に、100μLを細胞板に移し、5%COインキュベーターで5日間インキュベートした。板を反転して空にし、吸い取って乾燥した。MgCl及びCaClを含有する室温DPBSを、多チャンネルスクイーズボトルからそれぞれのウエルに分配し、3回軽く叩き、反転して空にし、次に吸い取って乾燥した。MgCl及びCaClを含有するDPBSで稀釈した蛍光カルセイン染料50μLをそれぞれのウエルに加え、5%COインキュベーターにおいて37℃で30分間インキュベートした。板をPerkin−Elmer HTS7000蛍光平板読み取り機で読み取り、データをマイクロソフトのエクセルで分析し、結果を表1及び2において作表した。データは、三重に試験した4回の実験の平均を表し、次の方法で定量的に表した:実験の4/4が細胞毒性閾値よりも大きい(+++)、実験の3/4が細胞毒性閾値よりも大きい(++)、実験の2/4が細胞毒性閾値よりも大きい(+)。表1でマークのない細胞は、一貫性がないことを表すか、又は効果が細胞毒性閾値未満であることを表す。7BD−33−11A抗体は、乳房及び前立腺腫瘍細胞株において選択的に細胞毒性を示すが、非形質転換正常細胞に影響を与えなかった。7BD−33−11A及び1A245.6は、前立腺癌細胞株に対して、対照抗Fas又は抗EGFR抗体より大きな死滅を示した。H460−22−1は、MB−231細胞株に対して、対照抗Fas又は抗EGFR抗体より大きな死滅を示した。化学細胞毒性剤は、その予測される細胞毒性を誘導したが、比較のために含まれる多数の他の抗体も、生物学的細胞アッセイの制限を考慮すると、予測されたように機能した。全体として、7BD−33−11A、1A245.6及びH460−22−1抗体が、多数の癌の細胞型に細胞毒性を有したことを示した。これらの抗体は、全ての癌の細胞型に感受性があったわけではないので、その活性は選択的であった。更に、抗体は、非癌細胞型に対して細胞毒性を生じることがなかったので、機能的な特異性を実証し、このことは、治療状況において重要な要因である。
Figure 2008545615
Figure 2008545615
7BD−33−11Aの、上記の癌及び正常細胞株のパネルへの、並びに次の追加的な癌細胞株:結腸(LOVO)、膵臓(BxPC−3)、卵巣(ES−2、OCC−1)及び前立腺(DU−145)と、次の正常細胞株(CCD−112)への結合を、フローサイトメトリー(FACS、それぞれその内容が参照として本明細書に組み込まれる、S.N.10/348,231、S.N.10/603,006及びS.N.10/810,751で参照されている)により評価した。1A245.6(それぞれその内容が参照として本明細書に組み込まれる、S.N.10/348,231、S.N.10/603,006、S.N.10/810,751及びS.N.10/891,866で参照されている)及びH460−22−1の、上記の癌及び正常細胞株への結合もFACSによって評価した。細胞は、最初に細胞単層をDPBSにより(Ca++及びMg++を用いないで)洗浄することによって、FACSで調製した。次に細胞解離緩衝剤(INVITROGEN, Burlington, ON)を使用して、37℃で細胞培養板から細胞を取り出した。遠心分離及び収集した後、細胞を、MgCl、CaCl及び2又は25%ウシ胎児血清(FBS)を4℃で含有するダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(洗浄媒質)に再懸濁し、カウントし、適切な細胞密度にアリコートし、遠心沈殿し、7BD−33−11A又は対照抗体(アイソタイプ対照若しくは抗EGFR)を含有する染色媒質(MgCl及びCaCl+/−2%FBSを含有するDPBS)に20μg/mLで30分間、氷上で再懸濁した。Alexa Fluor 488結合二次抗体の添加の前に、細胞を洗浄媒質で1回洗浄した。次に染色媒質中のAlexa Fluor 488結合抗体を、20〜30分間加えた。次に細胞を最後に洗浄し、1μg/mLのヨウ化プロピジウム又は1.5%のパラホルムアルデヒドを含有する染色媒質に再懸濁した。細胞のフローサイトメトリー取得を、CellQuestソフトウエア(BD Biosciences)を使用したFACScanに試料をかけて評価した。細胞の前方散乱(FSC)及び側面散乱(SSC)、をFSC及びSSC検出器の電圧及び振幅利得を調節して設定した。3つの蛍光チャンネル(FL1、FL2及びFL3)を、細胞が約1〜5単位の蛍光強度中央値の均一ピークを有するように、精製アイソタイプ対照抗体で染色された実行中の細胞により、続いてAlexa Fluor 488結合二次抗体により調整した。生存細胞を、FSCでのゲーティング及び(使用される場合)ヨウ化プロピジウム排除により得た。それぞれの試料では、約10,000個の生存細胞を分析のために得て、結果を表3、4及び5に表した。表3、4及び5は、それぞれ7BD−33−11A、1A245.6及びH460−22−1の、上記のアイソタイプ対照に対する蛍光強度倍増の中央値を表にし、5未満(−);5〜50(+);50〜100(++);100を越える(+++)として定量的に表し、括弧内は、染色された細胞の率を表す。
7BD−33−11A、1A245.6及びH460−22−1抗体の代表的なヒストグラムを、図12、13及び14にそれぞれまとめた。7BD−33−11Aは、乳房(MB−231及びMCF−7)、結腸(HT−29、SW1116及びSW520)、肺、卵巣、膵臓及び前立腺(PC−3)由来の癌系に対して類似的結合を示し、乳房(MB−468)、結腸(LOVO)及び前立腺(DU−145)癌細胞株のうちの1つに差次的結合を示す。1A245.6は、乳房(MB−231、MB−468及びMCF−7)、結腸(SW1116及びSW520)、肺、卵巣及び前立腺由来の癌系に対して類似的結合を示し、結腸(HT−29)癌細胞株のうちの1つに差次的結合を示す。H460−22−1は、試験癌細胞株に類似的結合を示した。7BD−33−11A、1A245.6及びH460−22−1の非癌細胞への結合も存在したが、その結合は細胞毒性を生じなかった。このことは、結合が、抗体のその同族抗原との連結の結果を必ずしも予測するものではなく、明白な知見ではなかったことの更なる証拠であった。これは、異なる細胞における抗体連結の脈絡は、単に抗体結合ではなく細胞毒性を決定したことを示唆した。
Figure 2008545615
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実施例5
正常なヒト組織の染色
IHC研究は、ヒトにおける7BD−33−11A、H460−22−1及び1A245.6抗原の分布を特徴決定するために実施した。これらのデータは、7BD−33−11A(それぞれその内容が参照として本明細書に組み込まれる、S.N.10/603,006、S.N.10/810,751)及び1A245.6(その内容が参照として本明細書に組み込まれるS.N.10/603,006)について以前に考察されている。更なる実験の条件を決定するために、IHC最適化研究を予め実施した。7BD−33−11A、H460−22−1及び1A245.6モノクローナル抗体を、上記で記載されたように産生及び精製した。
組織切片をオーブンにより58℃で1時間乾燥して脱パラフィン処理し、Coplinジャー中のキシレンにそれぞれ4分間で5回浸漬して脱ロウした。一連の段階的なエタノール洗浄(100%から75%)による処置の後、切片を水中で再水和した。スライドを、pH6のクエン酸緩衝剤(Dako, Toronto, Ontario)10mMに浸漬し、次に高、中及び低設定でそれぞれ5分間マイクロ波照射し、最後に冷PBSに浸漬した。次にスライドを3%過酸化水素溶液に6分間浸漬し、PBSによりそれぞれ5分間で3回洗浄し、乾燥し、Universalブロック溶液(Dako, Toronto, Ontario)と共に室温で5分間インキュベートした。7BD−33−11A、1A245.6、H460−22−1、モノクローナルマウス抗ビメンチン(Dako, Toronto, Ontario)又はアイソタイプ対照抗体(哺乳類組織に存在せず、誘導もされない酵素である、アスペルギルスニガーグルコースオキシダーゼに向けられている)を、抗体稀釈緩衝剤(Dako, Toronto, Ontario)で稀釈して、処理濃度(各抗体で5μg/mL)にし、室温で1時間インキュベートした。スライドをPBSによりそれぞれ5分間で3回洗浄した。一次抗体の免疫反応性を、供給されたHRP結合二次抗体(Dako Envision System, Toronto, Ontario)により室温で30分間検出/可視化した。この工程の後、スライドをPBSによりそれぞれ5分間で3回洗浄し、免疫ペルオキシダーゼ染色のために、DAB(3,3′−ジアミノベンジジンテトラヒドラクロリド、Dako, Toronto, Ontario)発色基質溶液を室温で10分間加えて、呈色反応を起こした。スライドを水道水で洗浄して、発色反応を止めた。マイヤー・ヘマトキシリン(Sigma Diagnostics, Oakville, ON)による対比染色の後、スライドを段階的なエタノール(75から100%)で脱水し、キシレンで清澄にした。装填媒質(Dako Faramount, Toronto, Ontario)を使用して、スライドをカバーガラスで覆った。スライドを、Axiovert 200(Zeiss Canada, Toronto, ON)を使用して微視的に調べ、デジタル画像を得て、Northern Eclipse Imaging Software(Mississauga, ON)を使用して保存した。結果を、組織病理学者が読み取り、評価し、解釈した。
59個の正常なヒト組織への抗体の結合を、ヒトの正常な臓器組織アレイ(Imgenex, San Diego, CA)を使用して実施した。表6は、正常なヒト組織アレイの7BD−33−11A、H460−22−1及び1A245.6染色の結果のまとめを表す。表から、3種類の組織染色が存在する。1群の組織は完全に陰性であった。これらの組織には、7BD−33−11Aでは、正常な皮膚、脳、卵巣、胸腺、甲状腺、小腸、食道、心臓(図15A)、胆嚢及びリンパ節が含まれた。H460−22−1では、完全に陰性の組織は、皮下脂肪及び脳(図15C)から構成された。1A245.6では、完全に陰性の組織は、皮膚、皮下脂肪、食道及び脳(図15B)から構成された。第2群は、陽性染色を示した組織を含んだ。これらには、7BD−33−11Aでは、肝臓及び膵臓が含まれた。扁桃腺は、この抗体によって最も強く染色された。H460−22−1では、陽性染色は、肝臓、心臓、扁桃腺、甲状腺、副腎及び子宮筋層で起こった。H460−22−1と同様に、1A245.6の陽性染色は、肝臓、心臓、扁桃腺、甲状腺、副腎及び子宮筋層で起こった。7BD−33−11Aのように、H460−22−1及び1A245.6は、扁桃腺を最も強く染色した。第3群の組織には、染色が組織切片では陽性であるが、浸潤性マクロファージ、リンパ球、線維芽細胞又は上皮に限定されていた組織が含まれ、例えば7BD−33−11A、1A245.6及びH460−22−1(それぞれ図16A及びB及びC)では胃である。7BD−33−11A抗原は、腎臓、心臓(図15A)及び肺を含む幾つかの重要な臓器の細胞に存在しないことを留意するべきである。全体として、7BD−33−11Aは、陽性である組織において弱から中程度の結合を有するH460−22−1と1A245.6の両方と比較して、正常なヒト組織のより小さなサブセットに結合する。H460−22−1及び1A245.6染色は、また、より広範囲であるにもかかわらず、一般に強度が弱から中程度である。これらの結果は、7BD−33−11Aの抗原は、正常な組織に広く発現することがなく、抗体は、限定された数のヒト組織に特異的に結合することを示唆している。加えて、H460−22−1と1A245.6の両方の抗原は、心臓及び肝臓に存在していることの他に、上皮、並びに浸潤性リンパ球、マクロファージ及び線維芽細胞に限定されている。
Figure 2008545615
その内容が参照として本明細書に組み込まれる10/810,751で概説され、考察されているように、7BD−33−11A抗原は、生化学的な方法により以前に決定されているように、CD63であるので、研究は、7BD−33−11Aと、CD63に向けられた2つの抗体(RFAC4及びH5C6)とを比較した。24個の正常なヒト組織への抗体の結合を、ヒトの正常な臓器組織アレイ(Clinomics, Watervliet, NY)を使用して実施した。全ての一次抗体(7BD−33−11A;RFAC4(Cymbus Biotechnology Ltd., Hants, UK)及びH5C6抗CD63(BD PharMingen, Oakville, ON);並びにマウス IgG陰性対照(Dako, Toronto, ON))を、抗体稀釈緩衝剤(Dako, Toronto, ON)で稀釈して、(前の最適化工程で最適な濃度であることが判明している)5μg/mLの濃度にした。陰性対照抗体は、製造会社によって、全ての哺乳類組織で陰性であることが示されている。IHCの手順は上記で記載されたとおりであった。
組織切片をオーブンにより58℃で1時間乾燥して脱パラフィン処理し、Coplinジャー中のキシレンにそれぞれ4分間で5回浸漬して脱ロウした。一連の段階的なエタノール洗浄(100%から75%)による処置の後、切片を水中で再水和した。スライドを、pH6のクエン酸緩衝剤(Dako, Toronto, Ontario)10mMに浸漬し、次に高、中及び低設定でそれぞれ5分間マイクロ波照射し、最後に冷PBSに浸漬した。次にスライドを3%過酸化水素溶液に6分間浸漬し、PBSによりそれぞれ5分間で3回洗浄し、乾燥し、Universalブロック溶液(Dako, Toronto, Ontario)と共に室温で5分間インキュベートした。7BD−33−11A、モノクローナルマウス抗CD63(Cymbus Biotechnology Ltd., Hants, UK or Dako, Toronto, Ontario)又はアイソタイプ対照抗体(哺乳類組織に存在せず、誘導もされない酵素である、アスペルギルスニガーグルコースオキシダーゼに向けられている)を、抗体稀釈緩衝剤(Dako, Toronto, Ontario)で稀釈して、処理濃度(各抗体で5μg/mL)にし、室温で1時間インキュベートした。スライドをPBSによりそれぞれ5分間で3回洗浄した。一次抗体の免疫反応性を、供給されたHRP結合二次抗体(Dako Envision System, Toronto, Ontario)により室温で30分間検出/可視化した。この工程の後、スライドをPBSによりそれぞれ5分間で3回洗浄し、免疫ペルオキシダーゼ染色のために、DAB(3,3′−ジアミノベンジジンテトラヒドラクロリド、Dako, Toronto, Ontario)発色基質溶液を室温で10分間加えて、呈色反応を起こした。スライドを水道水で洗浄して、発色反応を止めた。マイヤー・ヘマトキシリン(Sigma Diagnostics, Oakville, ON)による対比染色の後、スライドを段階的なエタノール(75から100%)で脱水し、キシレンで清澄にした。装填媒質(Dako Faramount, Toronto, Ontario)を使用して、スライドをカバーガラスで覆った。スライドを、Axiovert 200(Zeiss Canada, Toronto, ON)を使用して微視的に調べ、デジタル画像を得て、Northern Eclipse Imaging Software(Mississauga, ON)を使用して保存した。結果を、病理学者が読み取り、評価し、解釈した。
表7は、正常なヒト組織の試験アレイの7BD−33−11A、並びにRFAC4及びH5C6抗CD63染色の結果のまとめを表す。7BD−33−11Aによる組織の染色は、以前に記載されたもの(その内容が参照として本明細書に組み込まれるS.N.10/603,006)と類似している。7BD−33−11Aが多様な細胞型への限定された結合を示すが、浸潤性マクロファージ、リンパ球及び線維芽細胞への結合を有したことを、ここでも留意するべきである。RFAC4及びH5C6抗体は、互いに比較すると、類似した染色パターンを示した。しかし、RFAC4とH5C6の両方の染色パターンは、7BD−33−11Aで観察されるものとかなり異なっていた。具体的には、RFAC4とH5C6抗体の両方は、広範囲な正常組織に結合し、7BD−33−11Aも陽性である組織において、通常、より高い染色強度を有し、浸潤性マクロファージ、リンパ球及び線維芽細胞ばかりでなく、大多数の組織の上皮にも結合した。
7BD−33−11Aで陽性であった組織は、RFAC4又はH5C6のいずれかの抗CD63抗体によっても陽性であった。7BD−33−11Aで陰性であった組織は、一般にRFAC4又はH5C6で陰性ではなかった。これらの結果は、7BD−33−11Aが、RFAC4又はH5C6のいずれかの抗CD63抗体により認識される組織のより小さなサブセットに結合すること、及び染色の強度もいくらか低い組織内に結合することを実証した。これらの結果は、7BD−33−11Aのエピトープは、正常な組織に広く発現することがなく、抗体は、限定された数のヒト組織に特異的に結合することを示した。これは、また、RFAC4又はH5C6のいずれかの抗体により認識されているものと異なるエピトープがこれらのIHC研究で使用されているにもかかわらず、7BD−33−11AがCD63のエピトープに向けられているという、生化学的証拠を支持した。
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実施例6
ヒト乳房腫瘍組織の染色
それぞれその内容が参照として本明細書に組み込まれる、S.N10/603,006及びS.N.10/810,751で部分的に概説され、考察されているように、IHC研究を行って、7BD−33−11A、H460−22−1及び1A245.6抗原とヒト乳癌との癌関連性を決定し、抗体がヒトの癌を認識する可能性を決定した。ビメンチン(陽性対照)と抗体と、哺乳類組織に存在せず、誘導もされない酵素である、アスペルギルスニガーグルコースオキシダーゼ(陰性対照)との比較を行った。50人の乳癌患者からの誘導した乳癌組織アレイ及び乳癌患者からの非腫瘍性乳房組織から誘導した10個の試料(Imgenex Corporation, San Diego, CA)を3つの抗体の全てにより染色した。それぞれの患者から年齢、性別及び診断を得た。実施例5のIHC手順に従った。抗体は、全て5μg/mLの処理濃度で使用した。表8aは、このアレイの7BD−33−11A、H460−22−1及び1A245.6抗体染色のまとめを提供する。
追加の48個の乳癌(Imgenex Corporation)及び9個の正常な乳房組織試料を、7BD−33−11Aで試験した(表8bで示されている)。7BD−33−11Aで染色した98個の切片全てを統合した結果が、表11で参照される。全体として、H460−22−1及び1A245.6でそれぞれ試験した50人の患者の92%及び98%と比較して(それぞれ図17C及びB)、試験した98人の患者の37%が7BD−33−11A抗原では陽性であった(図17A)。7BD−33−11Aでは、乳癌患者からの正常な乳房組織試料の19個のうち0個が、陽性であった(図18A)逆に、正常な乳房組織試料の10個のうち9個が、H460−22−1及び1A245.6の両方で陽性であった。しかし、染色は、大多数の場合で浸潤性線維芽細胞に起因していた(それぞれ図18C及びB)。表11で示されているように、7BD−33−11Aの、エストロゲンレセプター陰性乳癌、プロゲステロン陽性乳癌及び進行乳癌(T3及びT4)へのより高い結合の傾向がある。
エストロゲンとプロゲステロンのレセプターの状態の相関関係は、1A245.6では明白ではなかったが、組織染色の強度は、より高い腫瘍病期と相関していると思われた(表9)。僅かに多い数の、H460−22−1で陽性の組織も、エストロゲン及びプロゲステロンレセプター陽性であり、腫瘍病期が高いと陽性発現が顕著になる傾向があった(表10)。7BD−33−11A、H460−22−1及び1A245.6染色は、癌性細胞に特異的であり、染色は、膜と細胞質内の両方で起こった。7BD−33−11A、H460−22−1及び1A245.6の染色パターンは、患者の試料において、抗体が悪性細胞に対して高度に特異的であり、対応する抗原が細胞膜に存在し、それによって、魅力的な投薬可能標的となることを示した。
Figure 2008545615
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その内容が参照として本明細書に組み込まれるS.N.10/810,751で概説され、考察されているように、7BD−33−11A、RFAC4及びH5C6抗CD63、c−erbB−2抗Her2(A0485、DakoCytomation, Mississagua, ON)抗体を使用して、比較を実施した。50人の乳癌患者からの誘導した乳癌組織アレイ及び乳癌患者からの非腫瘍性乳房組織から誘導した10個の試料(Imgenex Corporation, San Diego, CA)を使用した。次の情報をそれぞれの患者から得た:年齢、性別、アメリカ癌合同委員会(AJCC)腫瘍病期、リンパ節、エストロゲンレセプター(ER)及びプロゲステロンレセプター(RP)の状態。実施例5のIHC手順に従った。1.5μg/mLの濃度で使用した抗Her2抗体を除いて、全ての抗体を5μg/mLの処理濃度で使用した。
表11、12、13及び14は、それぞれ、乳癌組織アレイの7BD−33−11A、RFAC4及びH5C6抗CD63抗体染色のまとめを提供する。全体として、RFAC4及びH5C6抗CD63抗体でそれぞれ85及び94%であるのと比較して、試験した50人の患者の36%が7BD−33−11A抗原で陽性であった。7BD−33−11Aと、RFAC4及びH5C6抗CD63抗体の両方が、同じ組織を染色した場合、7BD−33−11Aと比較して、試料の97%が、RFAC4及びH5C6抗CD63抗体の両方でより高い強度の染色を有した(図19)。7BD−33−11Aでは、乳癌患者からの正常な乳房組織試料の10個のうち0個が、陽性であった。RFAC4及びH5C6抗CD63抗体の両方では、乳癌患者からの正常な乳房組織試料の8個のうち7個が、陽性であった(2個の試料は、代表的ではなかった)。上記のように、エストロゲン又はプロゲステロンレセプター発現と、7BD−33−11A抗原発現との間に僅かな相互関係があり、いずれかのレセプター発現のある組織は、7BD−33−11A抗原の僅かに高い発現を有した。腫瘍をその病期又は癌の進行程度に基づいて分析したとき、結果は、7BD−33−11Aでは、腫瘍の病期が高いとより顕著な陽性発現に向かう傾向を示唆した。RFAC4で同様の結果を得た。H5C6も、エストロゲン又はプロゲステロンレセプター発現と極めて僅かな相関関係を示したが、腫瘍の病期と明白な相関関係はなかった。しかし、3つの抗体全てにおいて、結果は、小規模な標本サイズによって限定されていた。
Figure 2008545615
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間質細胞が明らかに陰性であり、悪性細胞のシートが陽性であったので、7BD−33−11A染色は、正常細胞と比較して癌性細胞に特異的であった。7BD−33−11A抗原で見られる細胞局在パターンは、細胞膜及び細胞質に限定されていた。同様の膜及び細胞質染色結果を、乳房腫瘍組織試料に対する抗CD63抗体のRFAC4及びH5C6で得た。加えて、これらの抗体は、両方とも、7BD−33−11Aが陰性である正常な乳房組織試料に対して、この染色局在パターンを示した。
c−erbB−2抗Her2と比較して、7BD−33−11Aは、7BD−33−11A抗原では陽性の乳房腫瘍組織試料の18個のうち9個がHer2では陰性であるという完全に異なる染色特徴を示し、乳癌患者にとって治療上の要求が依然として満たされていないこと示した(表15、図20)。7BD−33−11AとHer2の両方で陽性である乳房腫瘍組織切片間で染色の強度に差が存在し、7BD−33−11A抗原で極めて陽性であった一部の乳房腫瘍組織切片は、Her2では中程度でしか陽性ではなく、その逆もまた同様であり、この場合でも、7BD−33−11Aは、乳癌患者の異なるコホートを治療的に標的にすることを示した。c−erbB−2抗体も、正常な乳房組織切片のうちの1つを陽性染色した。
これらの結果は、7BD−33−11Aの抗原は、乳癌患者のおよそ三分の二で発現することがあり、これらの半分が、Her2抗原で完全に陰性であった。染色パターンは、患者の試料において、抗原が悪性細胞に対して高度に特異的であり、7BD−33−11A抗原が細胞膜に存在し、それによって、魅力的な投薬可能標的となることを示した。はるかに限定されているが、RFAC4又はH5C6のいずれかの抗CD63抗体に対する7BD−33−11Aの同様の染色が、ここでも、7BD−33−11AエピトープがCD63に対してより制限的なエピトープである可能性を実証している。
Figure 2008545615
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実施例7
ヒト前立腺組織の染色
7BD−33−11A抗原が、乳癌に加えて、他のヒトの癌組織に発現するかを決定するために、ヒト前立腺腫瘍組織アレイを、7BD−33−11Aでプローブした。(その内容が参照として本明細書に組み込まれるS.N.10/810,751;Imgenex Corporation, San Diego, CA)。使用された染色手順は実施例5で概説されたものと同一であった。ビメンチンを陽性対照抗体として使用し、ヒト乳房腫瘍組織アレイで記載されたものと同じ陰性対照抗体を使用した。抗体は、全て5μg/mLの処理濃度で使用した。
表16で概説されているように、7BD−33−11Aは、ヒト前立腺癌の88%を染色した。7BD−33−11Aは、正常組織切片を同様に高い強度で染色したが、正常試料と比較して、腫瘍組織試料ではより高度な膜染色が存在した。7BD−33−11A抗原で染色されなかったのは、胎児性横紋筋肉腫組織試料1つであった。ここでも、腫瘍病期と7BD−33−11A抗原の存在との間に直接的な相関関係があるとは思われなかった。しかし、結果は小規模な標本サイズによって限定されていた。この場合でも、7BD−33−11Aによって、前立腺腫瘍組織試料では膜と細胞質の両方に染色が観察された。しかし、乳房腫瘍試料で見られるものに対して、膜染色の程度は増加していた(図21)。正常な前立腺組織試料では、膜染色の度合いにおけるこの増加は観察されなかった。
Figure 2008545615
したがって、7BD−33−11A抗原は、乳癌の膜だけでなく前立腺癌の膜にも見出されたことが、明らかとなった。これらの結果は、7BD−33−11Aが、乳房のほかの腫瘍型において治療薬として潜在能力があることを示した。
実施例8
ヒト黒色腫組織の染色
7BD−33−11A抗原が乳癌及び前立腺癌に加えて他のヒトの癌組織に発現するかを決定するために、ヒト黒色腫腫瘍組織アレイを7BD−33−11A(Tristar Technology Group, LLC, Bethesda, MD)でプローブした。使用された染色手順は、DABの代わりにAECを色原体として使用する以外は、実施例5で概説されたものと同一であった。RFAC4及びNKI/C3を陽性対照抗体として使用し、ヒト乳房腫瘍組織アレイで記載されたものと同じ陰性対照抗体を使用した。0.4μg/mLの濃度で使用したNKI/C3を除いて、全ての抗体を5μg/mLの処理濃度で使用した。
表17で概説されているように、7BD−33−11Aは、ヒト黒色腫癌の90%を染色した(図22)。限定された数の試験試料において、ここでも、腫瘍病期と7BD−33−11A抗原の存在との間に直接的な相関関係があるとは思われなかった。この場合でも、7BD−33−11Aによって、黒色腫腫瘍組織試料では膜と細胞質の両方に染色が観察された。
Figure 2008545615
実施例9
ヒト腫瘍組織の染色
その内容が参照として本明細書に組み込まれる10/603,006で部分的に概説され、考察されているように、7BD−33−11A、H460−22−1又は1A245.6のいずれかの抗原が、乳癌に加えて他のヒト癌組織に発現するかを決定するために、抗体を、多発性ヒト腫瘍組織アレイ(Imgenex, San Diego, CA)で個別に試験した。次の情報をそれぞれの患者から得た:年齢、性別、臓器及び診断。使用された染色手順は実施例5で概説されたものと同一であった。ビメンチンを陽性対照抗体として使用し、ヒト乳房腫瘍組織アレイで記載されたものと同じ陰性対照抗体を使用した。抗体は、全て5μg/mLの処理濃度で使用した。
表18で概説されているように、7BD−33−11Aは、乳房の他に、多数の多様なヒトの癌を染色した。次の腫瘍型は、7BD−33−11Aで陽性であった:皮膚(1/2)、肺(3/4)、肝臓(2/3)、胃(4/5)、甲状腺(2/2)、前立腺(1/1)、子宮(4/4)及び腎臓(3/3)(図23A)。幾つかの他の腫瘍型も場合によって陽性に染色された。他の腫瘍組織では7BD−33−11A発現が陰性であった:卵巣(0/3)、精巣(0/1)、脳(0/2)及びリンパ節(0/2)。逆に、H460−22−1及び1A245.6は、試験されたあらゆる腫瘍型組織を染色した。しかし、染色は強度が異なっており、最も強い染色の幾つかは、皮膚、肺、肝臓、子宮、腎臓(各図23B及びC)、胃及び膀胱の悪性細胞で見られた。乳癌及び前立腺癌(7BD−33−11Aのみ)で見られるように、7BD−33−11A、H460−22−1及び1A245.6染色は、癌性細胞の膜及び細胞質内に局在化した。
したがって、7BD−33−11A、H460−22−1及び1A245.6抗原は、乳癌、前立腺癌及び黒色腫の癌の膜だけでなく、腫瘍型の大型変種の膜にも見出されると思われる。これらの結果は、7BD−33−11A、H460−22−1及び1A245.6が、乳癌及び前立腺癌に加えて、多種多様な腫瘍型に治療薬として潜在能力を有することを示す。
Figure 2008545615
実施例10
カニクイザル及びアカゲザル正常組織へのAR7BD−33−11A、ARH460−22−1及びAR1A245.6の結合
非ヒト霊長類の種における抗原の発現を評価するために、AR7BD−33−11A、ARH460−22−1、1A245.6及びH5C6(市販の抗CD63)抗体結合を、2種類の霊長類種からの正常な組織においてIHCにより試験した。カニクイザル及びアカゲザルからの正常な組織アレイを、BioChain, Hayward, CAから得て、実施例5で概説された手順に従って染色した。陽性(抗アクチン抗体)及び陰性対照も試験した。アレイは、次の9個の代表的な臓器の切片から構成された:心臓、脳、腎臓、肝臓、肺、脾臓、小腸、骨格筋及び膵臓。
AR7BD−33−11A抗体結合は、限定されており、ヒト組織で観察されたものに匹敵していた。表19及び20で示されているように、抗体は、心臓、脳又は骨格筋に結合せず、強い結合が観察された肺マクロファージ及び膵臓組織を除いた他の試験組織に、弱から中程度の結合を示した。結合は、2種類の非ヒト霊長類種の間で同様であるが、2つの注意点があった。アカゲザルの小腸切片において、少数の線維芽細胞への不確かな結合が存在していたが、対応するカニクイザル切片は、代表的ではなく、したがって評価することができなかった。肝臓及び腎臓切片へのAR7BD−33−11A結合は、カニクイザルよりもアカゲザル試料において強力であった。
Figure 2008545615
Figure 2008545615
霊長類種へのARH460−22−1の結合も、ヒト組織で観察されたものに匹敵していた。表21及び22で見られるように、対応するアカゲザルでは陰性であるカニクイザル脳試料で観察された不確かな結合を除いて、ARH460−22−1結合は、2種類の非ヒト霊長類種の間で同様であった。
Figure 2008545615
Figure 2008545615
霊長類種へのAR1A245.6の結合も、ヒト組織で観察されたものに匹敵していた。表23及び24で示されているように、AR1A245.6組織結合は、以下を例外として、2種類の霊長類種で同様であった:骨格筋(アカゲザルでは陰性であり、カニクイザルでは不確かであった)、心筋(カニクイザルよりもアカゲザルで強力であった)及び脳(アカゲザルよりもカニクイザルで強力であった)。
Figure 2008545615
Figure 2008545615
ヒト組織で観察されたように、(表25及び26で概説されている)H5C6結合は、H460−22−1及びAR1A245.6と同様の結合パターンを示し、AR7BD−33−11Aよりも広い範囲の組織に結合した。4つの抗CD63抗体の全てにおいて、細胞局在は主に細胞質においてであり、粒子状染色パターンを有していた。
Figure 2008545615
Figure 2008545615
これらのデータは、H460−22−1、AR1A245.6、AR7BD−33−11A及びH5C6の抗原が、ヒトとカニクイザル及びアカゲザルとで同様に発現する、並びにこれらの非ヒト霊長類の種が、H460−22−1、1A245.6又はAR7BD−33−11A投与の安全性及び薬物動態を研究する潜在的なインビボモデルを表す、という証拠を提供する。
実施例11
インビボMDA−MB−231予防腫瘍実験
図24及び25で示されているデータを参照して、4〜8週齢の雌SCIDマウスに、生理食塩水100μL中の5百万のMB−231ヒト乳癌細胞を、頸の首筋の皮下に注入して移植した。マウスを無作為に10匹の処置群に3分割した。移植の前日に、20mg/kgのH460−22−1試験抗体、抗体緩衝剤又は(MB−231細胞に結合しないことが知られている)アイソタイプ対照抗体を、2.7mM KCl、1mM KHPO、137mM NaCl及び20mM NaHPOを含有する稀釈剤で保存濃縮物から稀釈した後、300μLの容量で腹腔内投与した。次に抗体を、1週間に1度で7週間同じ方法により投与した。
腫瘍の増殖を、カリパスによりおよそ7日目毎で10週間まで、又は個々の動物がCanadian Council for Animal Care(CCAC)終点に達するまで、若しくは120日目まで測定した。動物の体重をこの研究の間記録した。研究の終了時に、全ての動物をCCAC指針に従って安楽死させた。
この研究で表されたデータは、縦データセットの典型的な例である。通常、そのようなデータセットでは、時点間で高い相関関係があり、より高い相関関係が、より近接する時点間で観察される。このため、分散の反復測定分析(Rep. ANOVA)を使用して、処置間の差を決定し、共分散の分析方法を使用して、差が起こる時点の決定に使用した。後者は、それぞれの時点での群間の差が、群だけに起因するのではなく、前の時点に起因する場合に、適切な方法である。
研究の全体を通して毒性の臨床徴候はなかった。1週間の間隔をおいて測定した体重は、福祉及び繁栄失敗の代用であった。図24は、研究期間にわたる3群のマウスの平均体重を表す。それぞれの群内で体重は経時的に増加した。Rep. ANOVAは、群間に有意な差がなく、平均プロフィールは、アイソタイプ対照、抗体緩衝剤又はH460−22−1で処置された群の時点において異なっていなかった。
実験全体にわたってRep. ANOVAを使用して、以下の結果が注目された。Rep. ANOVA法は、群の平均が異なっている(p<0.001)ばかりでなく、平均プロフィールの形状も互いに異なっていることを示した。図25で見ることができるように、処置群H460−22−1は、他の群と比較して優れた効果を有すると思われた。加えて、アイソタイプ対照処置群と抗体緩衝剤処置群との差は、統計的に有意ではなかった。共分散の分析によると、有意な差が、アイソタイプ及び緩衝剤処置群がH460−22−1処置群と異なっていた18日目に初めて起こった。53日目に、H460−22−1で処置された群の腫瘍容量(処置の中止後の最初の腫瘍容量測定)は、抗体対照処置群の17.7%であり(p<0.0001)、それによって、腫瘍量を抑えるのに有効であることを実証した。H460−22−1による処置によって、対応する生存利益(図26)も存在した。生存の向上は効能の重要な指標である。3群全てを、後処置70日を越えて追跡した。これらのデータは、対照処置群と比較して、試験抗体による処置が生存利益を付与したことを実証した。対照群は、移植後74〜81日目に50%の死亡率に達した。対照的に、H460−22−1処置群は、研究の終了時(移植後120日目)には、50%の死亡率に達することはなかった。アイソタイプ対照群処置群は、移植後102日目に100%の死亡率に達した。対照的に、H460−22−1処置動物は、研究の終了時には60%の生存率を示した。
まとめると、H460−22−1抗体処置は、ヒト癌疾患の十分に認識されたモデルにおいて、対照抗体と比較して腫瘍量を抑え、生存率を増加した。これらの結果は、ヒトを含む他の哺乳動物における療法としての、この抗体(H460−22−1)の潜在的な薬理学的及び薬学的利益を示唆している。
実施例12
インビボMDA−MB−231確立腫瘍の実験
5〜6週齢の雌SCIDマウスに、生理食塩水100μL中の5百万のMB−231乳癌細胞を、頸の首筋の皮下に注入して移植した。腫瘍の増殖をカリパスで毎週測定した。コホートの大部分が移植後34日目に100mm(70〜130mmの範囲)の腫瘍量に達したとき、12匹のマウスをそれぞれ3つの処置群に無作為化した。H460−22−1又は(MB−231細胞に結合しないことが知られている)アイソタイプ対照抗体を、2.7mM KCl、1mM KHPO、137mM NaCl及び20mM NaHPOを含有する稀釈剤で保存濃縮物から稀釈した後、150μLの容量で、15mg/kg/用量により静脈内投与し、シスプラチンを9mg/kg/用量(生理食塩水で稀釈)により300μLで腹腔内投与した。次に抗体を、1週間に3回で合計10用量を同じ方法により移植後48日目まで投与した。シスプラチンを4日毎に3用量投与した。腫瘍の増殖を、カリパスによりおよそ7日毎で試験の間、又は個々の動物がCCAC終点に達するまで測定した。動物の体重をこの研究の間記録した。研究の終了時に、全ての動物をCCAC指針に従って安楽死させた。
無作為化の時点で、平均腫瘍量及び標準偏差はそれぞれの群において類似していた:アイソタイプ対照(97.60+/−18.33);H460−22−1(94.06+/−17.77);シスプラチン(98.00+/−18.93)。図27で示されているように、抗体H460−22−1は、3週間の処置期間の終了時に腫瘍増殖を有意に抑制することができた。3群の平均腫瘍容量の比較は、群間の差が極めて有意であることを示した(表27)。
Figure 2008545615
効能の更なる評価は、増殖阻害を反映しているT/C比(アイソタイプ対照〔C〕の腫瘍容量の中央値の百分率としての処置〔T〕の腫瘍容量の中央値)を計算することにより査定した。H460−22−1抗体は、対照の48%に等しい腫瘍容量中央値を得た(図28)。図27は、H460−22−1処置が、アイソタイプ対照と比較したときに腫瘍増殖に著しい抑制をもたらしたこと、その抑制が、最大耐量(MTD)で与えられたがシスプラチンに付随する毒性又は死亡を伴わないシスプラチンの2/3であったことを、更に示す。
実験の継続期間中に毎週記録した体重を、安全性及び毒性の評価の代用として使用した。表28で概説され、図29で示されているように、アイソタイプ対照又はH460−22−1で処置された群において体重に最小限の差しかなかった。対照的に、処置期間中、シスプラチン群おいて有意な(p<0.003)悪液質が観察された。この群において、体重減少は初期体重の19.2%に達し、脱水及び嗜眠に起因する逆毛、皮膚の着色のような臨床困難の追加的な証拠が生じた。シスプラチン処置群で2匹の死亡が観察されたことに比べると、H460−22−1処置群では死亡はなかった。
Figure 2008545615
まとめると、H460−22−1は、SCIDマウスでの乳癌の確立した異種移植腫瘍モデルにおいて、腫瘍増殖を抑制するのにアイソタイプ対照抗体よりも有意に有効である。3週間の処置期間にわたって、H460−22−1は対照に対して50%未満のT/C腫瘍中央値を達成した。加えて、H460−22−1は抑制をもたらし、それは、MTDで与えられるが化学療法薬で観察される毒性又は死亡の徴候がないシスプラチンの三分の二であった。
したがって、H460−22−1による処置は、ヒト疾患の十分に認識されたモデルにおいて、対照抗体と比較して確立した腫瘍の腫瘍量を有意に減少した。
実施例13
インビボA2058予防腫瘍の実験
図30及び31で示されているデータを参照して、4〜8週齢の雌SCIDマウスに、生理食塩水100μL中の0.75百万のA2058ヒト黒色腫癌細胞を、頸の首筋の皮下に注入して移植した。マウスを無作為に5匹の処置群に2分割した。移植した当日に、20mg/kgの7BD−33−11A試験抗体又は緩衝剤対照を、2.7mM KCl、1mM KHPO、137mM NaCl及び20mM NaHPOを含有する稀釈剤で保存濃縮物から稀釈した後、300μLの容量で腹腔内投与した。次に抗体又は緩衝剤対照を、1週間に1度で7週間同じ方法により投与した。
腫瘍の増殖を、カリパスによりおよそ7日目毎で10週間まで、又は個々の動物がCanadian Council for Animal Care(CCAC)終点に達するまで測定した。動物の体重をこの研究の間記録した。研究の終了時に、全ての動物をCCAC指針に従って安楽死させた。
7BD−33−11A処置は、緩衝剤対照による処置と比較して、腫瘍増殖に減少をもたらした(図31)。55日目(処置の終了後5日目)では、7BD−33−11A処置群の平均腫瘍容量は、緩衝剤対照の28%であった(p=.0112、独立t−検定)。体重で確認すると、毒性の臨床徴候はなかった(図30)。55日目では、また、緩衝剤対照処置群に対する7BD−33−11A処置群の平均体重において有意な差はなかった(p=0.3351、独立t−検定)。したがって、7BD−33−11A処置は、安全であると思われ、ヒト癌の乳房、前立腺、さらに黒色腫のインビボモデルの処置において効能を示した。
実施例14
インビボA2058確立腫瘍の実験
図32及び33で示されているデータを参照して、4〜8週齢の雌SCIDマウスに、生理食塩水100μL中の5×10百万のA2058ヒト黒色腫癌細胞を、頸の首筋の皮下に注入して移植した。腫瘍が約75mmに達すると、マウスを無作為に7匹の群に2分割した。試験群マウスを、ビヒクル対照緩衝剤(MgCl及びCaClのないダルベッコリン酸緩衝生理食塩水)300μLに稀釈した15mg/kgのAR7BD−33−11Aにより、1週間に3回、合計10用量で処置した。対照群マウスは、同じスケジュールに従ってビヒクル対照緩衝剤のみを摂取した。
腫瘍の増殖を、カリパスによりおよそ7日目毎で試験の間、又は個々の動物がCanadian Council for Animal Care(CCAC)終点に達するまで測定した。動物の体重をこの研究の間記録した。研究の終了時に、全ての動物をCCAC指針に従って安楽死させた。生存は研究の終点ではなかった。
腫瘍増殖は、AR7BD−33−11A処置群において有意に阻害された。この群の平均腫瘍容量は、対照群測定値の30.87%(p<0443)であった(図32)2群で記録された平均体重に有意な差は観察されなかった(図33)。したがって、7BD−33−11A処置は、安全であると思われ、確立したヒト癌の乳房、さらに黒色腫のインビボモデルの処置において効能を示した。
実施例15
インビボA375予防腫瘍の実験
図34及び35を参照して、4〜8週齢の雌SCIDマウスに、生理食塩水100μL中の百万のA375ヒト黒色腫癌細胞を、頸の首筋の皮下に注入して移植した。マウスを無作為に5匹の処置群に2分割した。移植した当日に、20mg/kgの7BD−33−11A試験抗体又は緩衝剤対照を、2.7mM KCl、1mM KHPO、137mM NaCl及び20mM NaHPOを含有する稀釈剤で保存濃縮物から稀釈した後、300μLの容量で腹腔内投与した。次に抗体又は緩衝剤対照を、1週間に1度で7週間同じ方法により投与した。
腫瘍の増殖を、カリパスによりおよそ7日目毎で10週間まで、又は個々の動物がCanadian Council for Animal Care(CCAC)終点に達するまで測定した。動物の体重をこの研究の間記録した。研究の終了時に、全ての動物をCCAC指針に従って安楽死させた。
7BD−33−11A処置は、緩衝剤による処置と比較して、腫瘍増殖に減少をもたらした(図34)。41日目(処置の終了前9日目)では、7BD−33−11A処置群の平均腫瘍容量は、緩衝剤対照の37%であった(p=.0006、独立t−検定)。体重で確認すると、毒性の臨床徴候はなかった(図35)。41日目では、また、緩衝剤対照処置群に対する7BD−33−11A処置群の平均体重において有意な差はなかった(p=0.5656、独立t−検定)。加えて、7BD−33−11A処置は、緩衝剤対照マウスと比較して、生存期間を延長した。緩衝剤対照マウスは、全て、CCAC終点によって41日目(処置の終了の9日前)に安楽死させたが、7BD−33−11A処置マウスは、全て、55日目(処置の終了の5日後)で依然として生存していた。したがって、7BD−33−11A処置は、この場合でも安全であると思われ、ヒト癌の乳房、前立腺、さらに黒色腫のインビボモデルの処置において効能を示し、生存期間を延長した。
実施例16
インビボA375確立腫瘍の実験
AR7BD−33−11Aは、また、確立した黒色腫のインビボモデルにおいて、単独及びダカルバジンと一緒に試験した。図36で示されているデータを参照して、胸腺欠損ヌードマウスで維持されているA375黒色腫系から誘導した1mm腫瘍フラグメントを、試験マウス(Charles Riverからの胸腺欠損ヌードマウス、研究の1日目では14〜15週齢)の側腹部に皮下移植した。腫瘍を毎週2回モニタリングし、その容量が80〜120mmに近づいてくると毎日モニタリングした。動物を、腫瘍のサイズが62.5〜144.0mmの処置群と、腫瘍の平均サイズが101.0〜102.2mmの群に分けた。AR7BD−3311Aは、20mg/kgを1週間に3回で3週間腹腔内投与し、ダカルバジンは、90mg/kg(このモデルにおける最大耐量の1/2)を毎日1回で5日間連続して腹腔内投与した。対照群は、0.2mL/20g体重のリン酸緩衝生理食塩水、AR7BD−33−11Aビヒクルを、1週間に3回で3週間摂取した。処置は、確立した(〜102mm)黒色腫を持つ10匹のヌードマウスの群において1日目から始めた。腫瘍の大きさを、腫瘍が2,000mm終点容量に達するまで、毎週2回測定した。この終点に達すると、マウスを安楽死させた。この試験は87日目に終了した。ログランクテストは、薬剤処置群とビヒクル処置群のエンドポイントまでの時間(TTE)値の間に有意な差(p<0.05)が存在するかを決定した。動物の体重を試験の間記録し、マウスを、あらゆる有害な薬剤関連副作用の明らかな徴候のために、頻繁に試験した。
ビヒクル処置は、TTE中央値の15.8日間を生じた。1匹の対照マウスは、試験期間の終了時に検出可能な腫瘍がなく、それは、1群あたり1つの不十分な腫瘍生着のバックグラウンドを示し、1匹の対照マウスが非処置関連の原因で死亡した。無視できる最大平均体重減少(<5%)が対照群で観察された。
ダカルバジン単独療法は、対照マウスと比較して、腫瘍増殖の122%の遅延に相当する35.1日間のTTE中央値を生じた。しかし、この減少は有意ではなく、この群で87日目まで生存したマウスはいなかった。3匹のマウスが非処置関連の原因で死亡し、除外したマウスのうち2匹が完全な腫瘍反応を経験した。この群において観察された最大平均体重減少は、7日目で5.2%であった。
腫瘍増殖における有意ではない遅延及び無視できる最大平均体重減少(<5%)が、AR7BD−33−11A単独療法で観察された。
AR7BD−33−11A/ダカルバジン組み合わせ処置群において、腫瘍増殖の有意な(P<0.01)147%の遅延に相当する39.1日間のTTE中央値が観察された。この組み合わせ処置は、3匹の部分的な反応及び2匹の完全な反応を生じ、87日間生存した3匹のうち2匹は、研究の終了時まで腫瘍がない状態を保った。1匹のマウスが、非処置関連の原因で死亡した。この群において観察された最大平均体重減少は、7日目で3.1%であった。中毒性の死亡は、この研究ではいずれの群でも観察されなかった。
まとめると、AR7BD−33−11A処置単独は、このモデルにおいてA375黒色腫増殖に対して影響を与えなかったが、ダカルバジンの最大耐量半減の効能を増大して、有意な活性、生存期間の増大及び退縮反応の数の増加を生じた。重要なことには、AR7BD−33−11Aを含めることは、ダカルバジンの毒性を調節しなかった。この結果は、R7BD−33−11Aを、他の潜在的により毒性のある抗癌剤の効能を増強するために使用することができ、必要な薬剤投与量を低減し、同時に腫瘍反応及び毒性レベルの維持を可能にすることを示唆している。
実施例17
インビボBxPC−3予防腫瘍の実験
図37及び38を参照して、4〜8週齢の雌SCIDマウスに、生理食塩水100μL中の5百万のBxPC−3ヒト黒色腫癌細胞を、頸の首筋の皮下に注入して移植した。マウスを無作為に5匹の処置群に2分割した。移植した当日に、20mg/kgの7BD−33−11A試験抗体又は緩衝剤対照を、2.7mM KCl、1mM KHPO、137mM NaCl及び20mM NaHPOを含有する稀釈剤で保存濃縮物から稀釈した後、300μLの容量で腹腔内投与した。次に抗体又は緩衝剤対照を、1週間に1度で7週間同じ方法により投与した。
腫瘍の増殖を、カリパスによりおよそ7日目毎で10週間まで、又は個々の動物がCanadian Council for Animal Care(CCAC)終点に達するまで測定した。動物の体重をこの研究の間記録した。研究の終了時に、全ての動物をCCAC指針に従って安楽死させた。
7BD−33−11A処置は、緩衝剤対照による処置と比較して、腫瘍増殖に減少をもたらした(図37)。55日目(処置の終了後5日目)では、7BD−33−11A処置群の平均腫瘍容量は、緩衝剤対照の29%であった(p=.0009、独立t−検定)。体重で確認すると、毒性の臨床徴候はなかった(図38)。55日目では、また、緩衝剤対照処置群に対する7BD−33−11A処置群の平均体重に有意な差はなかった(p=0.5368、独立t−検定)。加えて、7BD−33−11A処置は、緩衝剤対照マウスと比較して、生存期間を延長した。緩衝剤対照マウスは、全て、CCAC終点によって55日目(処置の終了の5日前)に安楽死させたが、7BD−33−11A処置マウスの80%は、70日目(処置の終了の20日後)で依然として生存していた。したがって、7BD−33−11A処置は、この場合でも安全であると思われ、ヒト癌の乳房、前立腺、黒色腫、さらに膵臓のインビボモデルの処置において効能を示し、生存期間を延長した。
実施例18
NOD SCID対SCIDインビボ予防腫瘍の実験
図39で示されているデータを参照して、4〜6週齢の雌NOD SCID及びSCIDマウスに、生理食塩水100μL中の5百万のMB−231ヒト乳癌細胞を、頸の首筋の皮下に注入して移植した。各群のマウスを、無作為に10匹の処置群に3分割した。移植した当日に、20mg/kgのH460−22−1試験抗体、0.2mg/kgの7BD−33−11A試験抗体又は緩衝剤対照を、2.7mM KCl、1mM KHPO、137mM NaCl及び20mM NaHPOを含有する稀釈剤で保存濃縮物から稀釈した後、300μLの容量で腹腔内投与した。次に抗体を、1週間に1度で7週間同じ方法により投与した。
腫瘍の増殖を、カリパスによりおよそ7日目毎で10週間まで、又は個々の動物がCanadian Council for Animal Care(CCAC)終点に達するまで測定した。動物の体重をこの研究の間記録した。研究の終了時に、全ての動物をCCAC指針に従って安楽死させた。
研究の全体を通して毒性の臨床徴候はなかった。1週間の間隔をおいて測定した体重は、福祉及び繁栄失敗の代用であった。それぞれの群内で体重は経時的に増加した。
図39で示されているように、54日目(最終処置後4日目)では、SCID処置群において、7BD−33−11A及びH460−22−1処置マウスは、緩衝剤対照処置マウスの平均腫瘍容量のそれぞれ1.9%及び3.6%の腫瘍しか発達させなかった。逆に、NOD SCID処置群において、この場合でも54日目(最終処置後4日目)では、7BD−33−11A処置マウスは、緩衝剤対照処置マウスの平均腫瘍容量の67%の腫瘍増殖を有した。これは、NOD SCIDマウスにおいて緩衝剤対照と比較すると、平均腫瘍容量の減少ではあるが(p=0.0710、独立t−検定)、SCIDマウスにおいて観察されるものと比較すると、効能の減少でもある。H460−22−1処置マウスは、SCIDマウスと同様の効果を示し、腫瘍増殖は、緩衝剤対照処置マウスの平均腫瘍容量の1.4%であった。したがって、インビボでの7BD−33−11A活性は、部分的にはADCC活性に起因していると思われ、一方、H460−22−1の抗腫瘍効果は、ADCCから独立していると思われる。
圧倒的な証拠が、7BD−33−11Aは、CD63の細胞外ループ2に存在するエピトープとの連結を介して、抗癌効果を仲介することを示している。MDA−MB−231細胞のような発現細胞から同族抗原を免疫沈降するために、7BD−33−11A抗体を使用できることが、実施例2において示されている。更に、FACS、細胞ELISA又はIHCにより示されるがこれらに限定されない技術を利用して、特異的に結合するCD63抗原部分を発現する細胞及び/又は組織の検出に、7BD−33−11A抗体を使用できることを示すことができる。
したがって、FACS、細胞ELISA又はIHCアッセイを使用して、そのような細胞又は組織への7BD−33−11Aの結合を免疫沈降7BD−33−11A抗原が阻害できることを示すことができる。更に、7BD−33−11A抗体と同様に、他の抗CD63抗体も、他の形態のCD63抗原を免疫沈降及び単離するのに使用することができ、抗原は、また、同じ種類のアッセイを使用して、抗原を発現する細胞又は組織へのこれらの抗体の結合を阻害することに使用できる。
実施例19
BIAcore分析による7BD33−11A、ARH460−22−1及びAR1A245.6抗原結合親和性の決定
7BD33−11A、ARH460−22−1及びAR1A245.6の抗原結合親和性をBIAcore分析により決定した。全ての実験は、処理緩衝剤としてハンクス緩衝生理食塩水(20mMヘペス、pH7.4、150mM NaCl、3.4mM EDTA、0.005%ツイーン20)により5μl/分の流量で実施した。抗グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)抗体を、最初に、標準的なアミンカップリング手順を使用して固定した。簡素には、HO中に0.05M N−ヒドロキシスクシンイミド及び0.2M 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを含有する混合物35μlを注入し、続いて抗GST抗体を、10mM酢酸ナトリウム、pH5.0中30μg/mlの濃度で、50,000〜100,000RUを得るまで注入して、CM5センサーチップを活性化した。最後に、1.0Mエタノールアミン−HCl、pH8.5 35μlを注入して、センサーチップ表面のあらゆる活性化部位をブロックした。次に25μlのGST−EC2(CD63のC末端ドメイン全体を有するGSTの組み換え融合ポリペプチド)を5μg/mlで注入し、続いて試験抗体25〜50μlを注入した。続く注入によるセンサーチップ表面の再生は、20mMグリシンの2つの10μlパルスによりpH2.2で達成された。試験抗体を、12.5〜200nMの範囲の濃度で連続して注入した。対照として、それぞれの抗体濃度を、GST−EC2の代わりにGSTを得た表面の全体にわたって注入した。
EC2ドメインへの異なる抗体の親和性を、定常状態結合レベルで測定して計算した。各センサーグラムにおいて、報告ポイントを、抗体注入の終了の20秒前にとった(平衡状態での共鳴単位又はReq)。各抗体濃度において、抗体がGSTに対して注入されたときに得たReqを、抗体がGST−EC2に対して注入されたときに得たReqから差し引いた。Req/Conc.対Reqプロットの勾配から計算される会合定数(K)を表29に示す。また表29で示されている解離定数(K)は、Kの逆数として計算した。
Figure 2008545615
本明細書で記述されている全ての特許及び出版物は、本発明が関わる当業者のレベルを示している。全ての特許及び出版物は、それぞれ個別の出版物が明確かつ個別に参照として本明細書に組み込まれることを示すかのように、同じ程度で参照として本明細書に組み込まれる。
本発明の特定の形態が例示されているが、本明細書に記載され、示されている部分の特定の形態又は配置に限定されないことを理解するべきである。本発明の範囲から逸脱することなく多様な変更を行うことができ、本発明を、明細書に示され、記載されているものに限定することが考慮されないことは、当業者には明白である。当業者は、本発明が目的を実行するために十分に適合されることを容易に理解し、記述される目的と利点、並びにそれらに固有のものを容易に得るであろう。本明細書で記載されているオリゴヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、生物学的に関連する化合物、方法、手順及び技術のいずれも、好ましい実施の現在の代表例であり、例示的であることが意図され、範囲を制限するものとして意図されてはいない。本明細書の変更及び他の使用を当業者は考えつき、それは本発明の精神の範囲内に包含され、添付の請求項の範囲によって定義される。本発明は、特定の好ましい実施態様と関連して記載されてきたが、請求される本発明は、そのような特定の実施例に過度に限定されるべきではないことを理解するべきである。事実、本発明を実施するために記載された様式の多様な修正は、当業者には明白であり、請求項の範囲内であることが意図される。
特許又は出願ファイルには、カラーで作製した少なくとも1枚の図面が含まれる。カラー図面の本特許又は特許出願公開のコピーは、要請があり、必要な費用が支払われたら特許庁によって提供される。
7BD−33−11Aでプローブした(パネルA)MDA−MB−231全細胞体溶解質(レーン1)若しくは膜(レーン2及び3)、又はアイソタイプ対照(パネルB)のウエスタンブロットである。分子量目盛りを左側に示す。 7BD−33−11AでプローブしたMDA−MB−231膜のエスタンブロットである。レーン1:還元条件下で実施した膜。レーン2:非還元条件下で実施した膜。分子量目盛りを左側に示す。 MDA−MB−231膜への7BD−33−11Aの結合に対する脱グリコシルの効果である。MDA−MB−231膜を、グリコペプチダーゼF(PNGase F、レーン1)、O−グリカナーゼ(レーン2)、シアリダーゼ(レーン3)、PNGase F、O−グリカナーゼ及びシアリダーゼの組み合わせ(レーン4)、PNGase F、O−グリカナーゼ、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ及びグルコサミニダーゼの組み合わせ(レーン5)又は緩衝剤対照(レーン6)による処置に付した。分子量目盛りを左側に示す。 7BD−33−11Aで免疫沈降したMDA−MB−231膜タンパク質のSDS−PAGE(パネルA)及びウエスタンブロット(パネルB)である。レーンA:アイソタイプ対照免疫沈降タンパク質、レーンB:7BD−33−11A免疫沈降タンパク質、及びレーンTM:MDA−MB−231膜総タンパク質。長方形の箱は、SDS−PAGEのレーンB及びウエスタンブロットのレーンTMからの同じ帯域を描いている。分子量目盛りを左側に示す。 Profound検索概略表である。 MASCOT検索概略表である。 7BD−33−11A(パネルA)、抗CD63(クローンRFAC4、パネルB)、IgG2aアイソタイプ対照(パネルC)及びIgGアイソタイプ対照(パネルD)でプローブしたタンパク質のウエスタンブロットである。レーンA:MDA−MB−231膜総タンパク質;レーンB:7BD−33−11A免疫沈降タンパク質;レーンC:抗CD63(RFAC4)免疫沈降タンパク質;レーンD:IgG2aアイソタイプ対照免疫沈降タンパク質及びレーンE:IgGアイソタイプ対照免疫沈降タンパク質。分子量目盛りを左側に示す。 7BD−33−11A(パネルA)、抗CD63(クローンH5C6、パネルB)、IgG2aアイソタイプ対照(パネルC)及びIgGアイソタイプ対照(パネルD)でプローブしたタンパク質のウエスタンブロットである。レーンA:MDA−MB−231膜総タンパク質;レーンB:7BD−33−11A免疫沈降タンパク質;レーンC:抗CD63(H5C6)免疫沈降タンパク質;レーンD:IgG2aアイソタイプ対照免疫沈降タンパク質及びレーンE:IgGアイソタイプ対照免疫沈降タンパク質。分子量目盛りを左側に示す。 7BD−33−11A(パネルA)、抗CD63(クローンRFAC4、パネルB)、抗CD63(クローンH5C6、パネルC)、IgG2aアイソタイプ対照(パネルD)及びIgGアイソタイプ対照(パネルE)でプローブしたタンパク質のウエスタンブロットである。レーン1〜5は、7BD−33−11A免疫沈降タンパク質を含み、レーン6〜10は、IgG2aアイソタイプ対照免疫沈降タンパク質を含む。レーン1及び6:NaClなし、レーン2及び7:150mMのNaCl、レーン3及び8:500mMのNaCl、レーン4及び9:2000mMのNaCl及びレーン5及び10:PIPA緩衝剤。 7BD−33−11A(パネルA)、抗CD63(クローンRFAC4、パネルB)、抗CD63(クローンH5C6、パネルC)、IgG2aアイソタイプ対照(パネルD)及びクーマシーコロイドブルータンパク質染色(パネルE)でプローブしたタンパク質のウエスタンブロットである。レーン1:非誘導ベクター単独、レーン2:非誘導GST−EC1、レーン3:非誘導GST−EC2、レーン4:誘導ベクター単独、レーン5:誘導GST−EC1及びレーン6:誘導GST−EC2。分子量目盛りを左側に示す。 IgG及びIgG2aアイソタイプ対照、抗CD44(クローンH460−16−2)、抗CD63(RFAC4)、1A245.6、並びにH460−22−1でプローブしたタンパク質のウエスタンブロットである。レーン1:総膜画分(レーン1)、レーン2:H460−16−2で免疫沈降した物質、レーン3:7BD−33−11Aで免疫沈降した物質、レーン4:H460−22−1で免疫沈降した物質、レーン5:1A245.6で免疫沈降した物質、レーン6:IgG2aアイソタイプ対照で免疫沈降した物質、及びレーン7:IgGアイソタイプ対照で免疫沈降した物質。分子量目盛りを左側に示す。 IgG及びIgG2aアイソタイプ対照、抗CD44(クローンH460−16−2)、抗CD63(RFAC4)、1A245.6、並びにH460−22−1でプローブしたタンパク質のウエスタンブロットである。レーン1:非誘導GSTベクター単独、レーン2:非誘導GST−EC1、レーン3:非誘導GST−EC2、レーン4:誘導GSTベクター単独、レーン5:誘導GST−EC1及びレーン6:誘導GST−EC2。分子量目盛りを左側に示す。 幾つかの癌細胞株及び非癌細胞に対して向けられた7BD−33−11A、アイソタイプ対照及び抗EGFRの代表的なFACSヒストグラムである。 幾つかの癌細胞株及び非癌細胞に対して向けられた1A245.6、アイソタイプ対照及び抗EGFRの代表的なFACSヒストグラムである。 幾つかの癌細胞株及び非癌細胞に対して向けられたH460−22−1、アイソタイプ対照及び抗EGFRの代表的なFACSヒストグラムである。 ヒトの正常な心臓でAは7BD−33−11A、ヒトの正常な脳でBは1A245.6、CはH460−22−1、ヒトの正常な心臓でDは陽性対照、ヒトの正常な脳でEは陽性対照である。倍率は200×である。 ヒトの胃噴門でAは7BD−33−11A、BはH460−22−1、Cは1A245.6、Dは陰性アイソタイプ対照である。倍率は200×である。 ヒト乳癌腫瘍(浸潤性乳管癌)に結合している、A.7BD−33−11A、B.1A245.6及びC.H460−22−1、並びにD.陰性アイソタイプ対照の代表的な顕微鏡写真である。倍率は200×である。 ヒトの正常な乳房組織に結合している、A.7BD−33−11A、B.陽性対照の代表的な顕微鏡写真である。倍率は200×である。 ヒト乳癌組織アレイからの浸潤性乳管癌の組織切片において、7BD−33−11A(A)、アイソタイプ陰性対照(B)、抗CD63(RFAC4)抗体又は抗CD63(H5C6)抗体(D)により得た結合パターンを示す代表的な顕微鏡写真である。7BD−33−11Aは、RFAC4又はH5C6のいずれかの抗体と比較して腫瘍細胞で弱い陽性染色を示した。倍率は200×である。 ヒト乳癌組織アレイからの浸潤性乳管癌の組織切片において、7BD−33−11A(A)又は抗Her2(c−erbB−2)抗体(B)により得た結合パターンを示す代表的な顕微鏡写真である。7BD−33−11Aは、陰性染色を示した抗Her2抗体と比較して腫瘍細胞で強い陽性染色を示した。倍率は200×である。 ヒトの前立腺癌の組織アレイからの前立腺腺癌(A)又は正常な前立腺(B)の組織切片において7BD−33−11Aにより得た結合パターンを示す代表的な顕微鏡写真である。7BD−33−11Aは、腺癌組織切片における腫瘍細胞で強い陽性膜染色を示した。7BD−33−11Aは、正常な前立腺組織切片における腺上皮の膜と細胞質の両方で染色を示した。倍率は200×である。 原発性悪性黒色種でAは7BD−33−11A(黒色矢印は、腫瘍細胞の陽性染色を示し、緑色の矢印は、間質の染色の不在を示す)、Bは陰性アイソタイプ対照である。倍率は400×である。 腎細胞癌でAは7BD−33−11A、Bは1A245.6、CはH460−22−1、Dは陰性アイソタイプ対照である。倍率は200×である。 予防MDA−MB−231乳癌モデルにおける体重に対するH460−22−1、アイソタイプ対照又は緩衝剤対照の効果である。 予防MDA−MB−231乳癌モデルにおける腫瘍増殖に対するH460−22−1、アイソタイプ対照又は緩衝剤対照の効果である。破線は、抗体が投与された期間を示す。データポイントは平均+/−SEMを表す。 予防MDA−MB−231乳癌モデルにおける生存に対するH460−22−1、アイソタイプ対照又は緩衝剤対照の効果である。破線は、抗体が投与された期間を示す。 確立しMDA−MB−231乳癌モデルにおける腫瘍増殖に対するH460−22−1、アイソタイプ対照又はシスプラチンの効果である。破線は、抗体が投与された期間を示す。データポイントは平均+/−SEMを表す。 確立したMDA−MB−231乳癌モデルにおける腫瘍増殖抑制(%T/C)に対するH460−22−1、アイソタイプ対照又はシスプラチンの効果である。破線は、抗体が投与された期間を示す。 確立したMDA−MB−231乳癌モデルにおける体重に対するH460−22−1、アイソタイプ対照又はシスプラチンの効果である。 予防A2058黒色腫癌モデルにおける腫瘍増殖に対する7BD−33−11A又は緩衝剤対照の効果である。破線は、抗体が投与された期間を示す。データポイントは平均+/−SEMを表す。 予防A2058黒色腫癌モデルにおける体重に対する7BD−33−11A又は緩衝剤対照の効果である。 確立したA2058黒色腫癌モデルにおける腫瘍増殖に対する7BD−33−11A対緩衝剤対照の効果である。データポイントは平均+/−SEMを表す。 確立したA2058黒色腫癌モデルにおける体重に対する7BD−33−11A又は緩衝剤対照の効果である。 予防A375黒色腫癌モデルにおける腫瘍増殖に対する7BD−33−11A又は緩衝剤対照の効果である。破線は、抗体が投与された期間を示す。データポイントは平均+/−SEMを表す。 予防A375黒色腫癌モデルにおける体重に対する7BD−33−11A又は緩衝剤対照の効果である。 確立したA375黒色腫モデルにおける、AR7BD−33−11A及びダカルバジンの単独の及び組み合わせの効果である。AR7BD−3311A及びリン酸緩衝生理食塩水(対照)は、20mg/kgを腹腔内に1週間に3回で3週間投与した。ダカルバジンは、90mg/kg(このモデルにおける最大耐量の1/2)を腹腔内に毎日1回で、5日間連続して投与した。群の腫瘍増殖及び生存の中央値(Kaplan−Meierプロット)の曲線を示す。 予防BxPC−3膵癌モデルにおける腫瘍増殖に対する7BD−33−11A又は緩衝剤対照の効果である。破線は、抗体が投与された期間を示す。データポイントは平均+/−SEMを表す。 予防BxPC−3膵癌モデルにおける体重に対する7BD−33−11A又は緩衝剤対照の効果である。 予防MDA−MB−231乳癌SCID又はNOD/SCID癌モデルにおける腫瘍増殖に対する7BD−33−11A、H460−22−1又は緩衝剤対照の効果である。

Claims (8)

  1. モノクローナル抗体が、ATCC受入番号PTA−4622を有するハイブリドーマ細胞株H460−22−1から得られるモノクローナル抗体としてヒトCD63の同じエピトープと反応する、ヒトCD63に特異的に結合することができるモノクローナル抗体。
  2. モノクローナル抗体が、ATCC受入番号PTA−4889を有するハイブリドーマ細胞株1A245.6から得られるモノクローナル抗体としてヒトCD63の同じエピトープと反応する、ヒトCD63に特異的に結合することができるモノクローナル抗体。
  3. モノクローナル抗体が、ATCC受入番号PTA−4890を有するハイブリドーマ細胞株7BD−33−11Aから得られるモノクローナル抗体としてヒトCD63の同じエピトープと反応する、ヒトCD63に特異的に結合することができるモノクローナル抗体。
  4. ATCC受入番号PTA−4622を有するハイブリドーマ細胞株H460−22−1、ATCC受入番号PTA−4889を有するハイブリドーマ細胞株1A245.6、及びATCC受入番号PTA−4890を有するハイブリドーマ細胞株7BD−33−11Aからなる群より選択されるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体によって認識されるものと同じエピトープを認識する、モノクローナル抗体。
  5. ATCC受入番号PTA−4622を有するハイブリドーマ細胞株H460−22−1、ATCC受入番号PTA−4889を有するハイブリドーマ細胞株1A245.6、及びATCC受入番号PTA−4890を有するハイブリドーマ細胞株7BD−33−11Aからなる群より選択されるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体によって認識されるものと同じエピトープを認識する、少なくとも1つのモノクローナル抗体を提供することを含む
    CD63抗原を発現するヒト癌の腫瘍量の低減におけるモノクローナル抗体の使用であって、
    前記エピトープの結合部位が、腫瘍量を低減することに有効である前記使用。
  6. ATCC受入番号PTA−4622を有するハイブリドーマ細胞株H460−22−1、ATCC受入番号PTA−4889を有するハイブリドーマ細胞株1A245.6、及びATCC受入番号PTA−4890を有するハイブリドーマ細胞株7BD−33−11Aからなる群より選択されるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体によって認識されるものと同じエピトープを認識する、少なくとも1つのモノクローナル抗体を、少なくとも1つの化学療法剤と一緒に提供することを含む
    ヒトCD63抗原を発現するヒト癌性腫瘍を治療するためのモノクローナル抗体の使用であって、
    それによって、腫瘍量が低減する前記使用。
  7. 霊長類からの組織試料を提供すること;
    ATCC受入番号PTA−4622を有するハイブリドーマ細胞株H460−22−1、ATCC受入番号PTA−4889を有するハイブリドーマ細胞株1A245.6、及びそのクローンが受入番号PTA−4890でATCCに寄託されている、ATCC受入番号PTA−4890を有するハイブリドーマ細胞株7BD−33−11Aからなる群より選択されるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体によって認識されるものと同じエピトープを認識する、少なくとも1のモノクローナル抗体又は抗原結合フラグメントを提供すること;
    前記少なくとも1つのモノクローナル抗体又は抗原結合フラグメントを、前記霊長類組織試料と接触させること;及び
    前記少なくとも1つのモノクローナル抗体又は抗原結合フラグメントと、前記霊長類組織試料との結合を決定すること
    を含む、霊長類組織試料においてCD63のエピトープを発現する細胞の存在を決定する結合アッセイであって、
    それによって、前記霊長類組織試料において前記細胞の存在が示される前記結合アッセイ。
  8. ヒト腫瘍からの組織試料を提供すること;
    ATCC受入番号PTA−4622を有するハイブリドーマ細胞株H460−22−1、ATCC受入番号PTA−4889を有するハイブリドーマ細胞株1A245.6、及びそのクローンが受入番号PTA−4890でATCCに寄託されている、ATCC受入番号PTA−4890を有するハイブリドーマ細胞株7BD−33−11Aからなる群より選択されるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体によって認識されるものと同じエピトープを認識する、少なくとも1のモノクローナル抗体又は抗原結合フラグメントを提供すること;
    前記少なくとも1つのモノクローナル抗体又は抗原結合フラグメントを、前記組織試料と接触させること;及び
    前記少なくとも1つのモノクローナル抗体又は抗原結合フラグメントと、前記組織試料との結合を決定すること
    を含む、ヒト腫瘍から選択される組織試料においてCD63のエピトープを発現する癌性細胞の存在を決定する結合アッセイであって、
    それによって、前記組織試料において前記細胞の存在が示される前記結合アッセイ。
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