JP2008543283A - インスレーターエレメントを含むベクターを使用する抗体発現の改良 - Google Patents

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Abstract

本発明は、免疫グロブリン配列の側近に並ぶインスレーターエレメントの使用を含む、治療用抗体の向上した産生に関する。また、細胞生存はインスレーターエレメントの数の増加により高まる。

Description

(背景)
高等真核生物のクロマチン構造の現在のモデルは、遺伝子が「ドメイン」に組織化されていることを前提としている。クロマチンドメインは、ヒトβ-グロビンファミリーのような厳密な組織特異的様式で発現する遺伝子(Grosveld 等, (1993) Baillieres Clin. Haematol. 6: 31-55)、ヒトTBP/C5遺伝子座のような遍在的に発現する遺伝子 (Trachtulec, Z. 等, (1997) Genomics 44: 1-7) 、またはマウスγ/δTCR/dad−1遺伝子座(Ortiz 等, (1997) EMBO J. 16: 5037-5045)およびヒトα-グロビン遺伝子座(Vyas 等, (1992) Cell 69: 781-793)のような組織特異的にかつ遍在的に発現する遺伝子の混成の群からなりうる。クロマチンドメインは、密に「凝縮」した転写がサイレントな状態、または「脱凝縮」して開いている転写が活性な配置のどちらでも存在すると考えられている。DNaseI感受性、DNA低メチル化およびヒストン過剰アセチル化によって特徴づけられる開いたクロマチン構造の確立は、遺伝子発現の開始の先行必要条件と見られる。
治療用タンパク質を産生するための安定な細胞系の開発は、ランダムに結合したベクター配列の発現に対する側近の凝縮クロマチンの負の効果によって妨げられてきた。真核細胞に形質移入した非相同遺伝子の発現量の多様性は、宿主ゲノムの非相同遺伝子の結合位置におけるクロマチン構造の影響および/または調節エレメントの存在を反映すると考えられる(「位置効果」と称される現象)。
「インスレーター」は、周囲の環境によって生じるこれらの負の位置効果から遺伝子を保護する能力を備えているDNAエレメントのクラスに与えられた名前である。これらのインスレーターは、境界エレメント(BE)、マトリックス結合領域(MAR)、遺伝子座調節領域(LCR)、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)などのエレメントを含む。宿主細胞染色体へ挿入した時に、これらのエレメントは関連する非相同遺伝子の遺伝子発現に効果を及ぼすことが示されている。これらのエレメントは、位置効果を克服できる可能性を持っており、それ故、安定な細胞系の開発のために興味が持たれる。
境界エレメント(「BE」)はクロマチンの境界を定めて(Bell と Felsenfeld, 1999; Udvardy, 1999) 、生体内で転写ドメインを定める際に役割を果たすようである。 BEは内因性のプロモーター/エンハンサー活性を欠いているが、むしろ、遺伝子を側近のクロマチンの調節エレメントの転写影響から保護し、よって不必要なエンハンサー-プロモーター連絡を防止すると考えられる。エンハンサー遮断分析は、該インスレーターエレメントを同定するために一般に使われる。この分析において、インスレーターはエンハンサーとプロモーターの間に配置され、エンハンサー活性化の転写が測定される。境界エレメントは、ショウジョウバエ、酵母、および哺乳動物細胞において、安定的に形質移入したレポーター遺伝子を位置効果から保護することが可能であると示されている(BiとBroach、1999;Cuvier等、1998;Walters等、1999)。それらが誘導可能な導入遺伝子発現を有する遺伝子導入マウスの比率を増加させることも示されている(Wang等, 1997)。
マトリックス結合領域「MAR」はスキャフォールド結合領域またはスキャフォールド/マトリックス結合領域「S/MAR」としても知られ、単離した核スキャフォールドまたは核マトリックスとインビトロで高い親和性で結合するDNA配列である(Hart と Laemmli, 1998)。MAR配列はエンハンサーと相互に作用して、局所的クロマチン到達性(accessibility)(Jenuwein等、1997)を増加させることが示されている。具体的には、MARエレメントは、細胞培養系(Kalos と Fouraier, 1995; Klehr等, 1991; Phi-Van等, 1990; Poljak等, 1994)、遺伝子導入マウス(Castilla等, 1998)および植物(Allen等, 1996)で、非相同遺伝子の発現を増強することができる。MARの別のクラスは、活性クロマチンドメインの境界付近に局在しており、それらはインスレーターと定義される。このタイプで最も特徴的なMARは、ニワトリのリゾチーム遺伝子座の境界で見つかった。5’MARは導入遺伝子を位置効果から保護し、位置依存的な方法でエンハンサー作用を遮断することが示された(Stief等 (1989) Nature 341:343-345)。マトリックスに結合する配列は、保護効果配列から離される可能性があることもまた示されている(Phi-Van等 (1996) Biochem. 35:10735-10742)。
ニワトリのリゾチーム5’MARエレメントは, CHO細胞(組換えタンパク質産生において一般に使われる細胞系)の安定的導入遺伝子発現を有意に改良することが可能である。特に形質移入した細胞が酪酸塩と接触するときに、ニワトリのリゾチーム5’MARエレメントは、一過性導入を有意に改良することも可能である。このニワトリMARエレメントは、非相同細胞(Phi-Van等, 1990)の非相同プロモーターからの転写を増強することと、遺伝子導入マウスで乳清酸性タンパク質遺伝子の発現の位置非依存性ホルモン調節と発生調節を与えることが示されている(McKnight等, 1992)。
遺伝子座調節領域「LCR」は、その本来の場所で遺伝子座の最初のクロマチン活性化と続く遺伝子転写に必要なシス調節エレメントである(Grosveld(1999)で概説されている)。宿主ゲノムにおける挿入位置にかかわりなく、LCRの活性化機能は、遺伝子導入マウスの適切な組織で、結合した導入遺伝子の発現を可能にする。LCRが一般に連結した遺伝子の組織特異的レベルの発現を与える一方、短縮されたヒトT細胞受容体LCR(Ortiz等、1997)およびラットLAPのLCR(Talbot等、1994)が遺伝子導入マウスのほとんど全ての組織で効率的に発現することが報告されている。詳細に研究されている1つのLCRは、グロビン遺伝子座のものである。
遍在性クロマチンオープニングエレメント(「UCOE」、「遍在作用性クロマチンオープニングエレメント」としても知られる)が報告されている(WO00/05393を参照)。位置効果を克服する簡単で迅速なアプローチは、隣接するクロマチンが導入遺伝子発現に影響を及ぼすことを防止するクロマチンエレメントを使用することである。
インスレーターエレメントの分野で得られた著しい量の知識にもかかわらず、ほとんど研究は、生物学的治療剤の製産のための組換え型タンパク質コンストラクトの発現を修飾または改良することに関してのこれらのエレメントの可能性について取り上げていない。染色体挿入部位および挿入されるコピー数にかかわりなく、この目的に使用するエレメントは高レベル発現クローンを得る頻度を高めるものでなければならない。この効果は、特定の細胞型に特異的であるべきではなく、むしろ生物工学および遺伝子または細胞療法において一般に使用される全ての細胞系において観察されなければならない。さらにまた、エレメントはプロモーターとは独立に作動しなければならず、それにより多様なコンストラクトで使用することが可能になる。従来法によって起こる他の障害には、以下が含まれる:低い形質移入効率;ランダムな挿入により生じる予測不可能な細胞特性;選抜された細胞クローンの多くが安定でない;細胞系の多様性のために一般的な方法を開発することが可能でない;従来法は非常に時間がかかって労働集約的である。
(発明の概要)
我々は、治療用抗体の産生用の細胞培養で向上した細胞特徴を有する細胞系を作成するための新規な方法を開発した。興味がある抗体遺伝子は、5’末端で、3’末端で、または両方で、ニワトリDNAからクローン化したエレメントが接している。エレメントは、境界エレメント、遺伝子座調節領域、遍在性クロマチンオープニングエレメント、またはマトリックス(またはスキャッホールド)結合領域のいずれか一つであってもよい。
本発明の一実施態様は、ニワトリのリゾチーム遺伝子の上流領域から選択される約1.5KbのニワトリMARエレメントを含むベクターである。他のMARエレメントが、この特定のMARと取り替えて用いられてもよい。
本発明の発現ベクターは、宿主細胞の発現に適している形態で発現する所望の抗体の重鎖および/または軽鎖をコードしている核酸を含む。ベクターは発現に用いる宿主細胞を基に選択される一つ以上の調節配列を含み、発現する非相同遺伝子配列に作用可能に結合してもよい。抗体は、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、またはFabを含む重鎖または軽鎖配列の断片であってもよい。
本発明の別の態様は、組換え抗体の向上した発現と産生である。コードする抗体の転写のサイレンシングを防ぐインスレーターエレメントの能力は、組換え産物の産生を向上させる。
本発明の別の態様は、MARエレメントの存在により向上した細胞の生存である。より多くの細胞が培養と産生過程中により長く生存するので、向上した細胞の生存は、また組換え産物の産生量を向上させる。
(発明の詳細な説明)
(定義)
本出願の全体にわたって使用する用語は、当業者にとって通常の典型的な意味に解釈される。しかしながら、本出願人は次の用語には以下に明確にする特定の定義が与えられることを望む。
「抗体」なる用語は、最も広義に用いられ、特にモノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、単鎖抗体、単一ドメイン抗体および多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)を含む。抗体(Ab)および免疫グロブリン(Ig)は、同じ構造上の特徴を有する糖タンパク質である。抗体は特定標的に特異的結合性を示すが、免疫グロブリンは抗体と他の標的特異性を欠く抗体様分子を含む。天然抗体および免疫グロブリンは通常約150,000のダルトンの、2つ同一軽鎖(L)と2つの同一重鎖(H)からなるヘテロ四量体の糖タンパク質である。しかしながら、本発明は、重鎖と軽鎖が連結して単鎖抗体を生成するコンストラクト;リボソーム結合のための内部IRESを有する重鎖と軽鎖が単一プロモーターから発現するコンストラクト;重鎖または軽鎖のみを含む機能的な抗体である単一ドメイン抗体(例えばWO04081026およびWO04041865に記載されているもの)、および機能的抗体またはその断片を発現することができる他の任意のコンストラクトを含む。
「細胞」、「細胞系」および「細胞培養」なる用語は継代を含む。また、故意のまたは偶然の突然変異により、全継代はDNA情報の内容が正確に同一というわけでないと理解される。元の形質転換した細胞でスクリーニングするので、同じ機能または生物学的性質を有する変異体継代が含まれる。本発明において使用する「宿主細胞」は、一般に原核生物または真核生物宿主である。
DNAでの細胞性生物の「形質転換」は、DNAを生物に導入し、その結果、染色体外エレメントとしてまたは染色体融合によってDNAが複製可能であることを意味する。DNAでの細胞性生物の「形質移入」は、コード配列が実際に発現されようとされまいと細胞または生物にDNA(例えば発現ベクター)を取り込むことを指す。「形質移入した宿主細胞」と「形質転換体」なる用語は、DNAが導入された細胞を指す。細胞は「宿主細胞」と呼ばれ、それは原核生物でも真核生物でもよい。典型的な原核宿主細胞は、大腸菌のさまざまな系統を含む。典型的な真核宿主細胞は、チャイニーズハムスターの卵巣またはヒト由来細胞のような哺乳類である。導入されるDNA配列は、宿主細胞とは異なる種の宿主細胞と同じ種由来であっても、ある外来とある相同DNAを含むハイブリットDNA配列であってもよい。
「ベクター」なる用語は、適切な宿主でDNA発現を遂行できる適切な制御配列に作用可能に連結したDNA配列を含むDNAコンストラクトを意味する。上記制御配列は、転写を遂行するプロモーター、該転写を制御する任意のオペレーター配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、および転写と翻訳の終了を制御する配列を含んでもよい。ベクターは、プラスミド、ファージ粒子または単に可能なゲノム挿入であってもよい。一旦適切な宿主に組み込まれると、ベクターは複製し宿主ゲノムから独立に機能することができるが、若干の例ではゲノム自体に統合される。プラスミドが最も一般的に用いられるベクターの種類であるので、本願明細書において「プラスミド」と「ベクター」は時々交換可能に用いられる。しかしながら、本発明は、同等機能を与える、既知のまたは将来そうなる他の種類のベクターを含むものである。
「調節配列」なる表現は、特定の宿主生物で興味がある非相同遺伝子の発現のために必要なDNA配列を指す。例えば、原核生物に適している調節配列は、プロモーター、任意にオペレーター領域およびリボソーム結合部位を含む。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化信号およびエンハンサーを利用することは知られている。抗体のような、プレ配列または分泌リーダーのためのDNAは、ポリペプチドの分泌のために用いることができる;プロモーターまたはエンハンサーは、それが配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作用可能に連結している;またはリボソーム結合部位は、それが配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作用可能に連結している;またはリボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように配置される場合、コード配列に作用可能に連結している。上記調節配列は、例えば、Goeddel(Gene Expression Technology: Methods In Enzymology 185, アカデミック出版、サンディエゴ、 カリフォルニア (1990))に記載されている。調節配列は、多くの種類の宿主細胞のヌクレオチド配列の構成性発現を導くものと、特定の宿主細胞だけのヌクレオチド配列の発現を導くもの(例えば、組織特異的調節配列)を含む。発現ベクターの設計が形質移入される宿主細胞の選択、要求されるタンパク質の発現レベルなどのような要因に依存しうることは当業者に認識されている。
組換え発現ベクター内で「作用可能に連結した」なる用語は、興味があるヌクレオチド配列がヌクレオチド配列の発現が可能なように調節配列に連結されることを意味するものである(例えば、生体外転写/翻訳系においてまたはベクターが宿主細胞に組み込まれる場合は宿主細胞において)。
抗体の可変ドメインの場合の「可変」なる用語は、可変ドメインの一定部分が抗体間の配列において広範囲に異なっており、特定標的に対する特定抗体ごとの結合性および特異性に使われることを指す。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインを通して、均一に分布するわけではない。可変性は、軽鎖と重鎖の可変ドメインの超可変領域としても知られる相補性決定領域(CDR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)と呼ばれている。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、βシート構造を結合するループ(時には、βシート構造の一部を形成するループ)を形成する3つのCDRが連結した、βシート配置を主にとる4つのFRをそれぞれ含んでいる。各鎖のCDRは、FR領域によって密に近接した状態に保たれ、他鎖のCDRと共に、抗体の標的結合部位の形成に寄与する(Kabat等を参照)。 本願明細書で使用するように、免疫グロブリンアミノ酸残基の番号付けは、特に明記しない限りKabat等(Sequences of Proteins of Immunological Interest, National Institute of Health, ベテズダ, マリーランド、1987年)の免疫グロブリンアミノ酸残基番号付けシステムに従ってなされる。
「単一ドメイン抗体」なる用語は、特に抗原を結合する単一免疫グロブリン可変ドメイン(V、VHHまたはV)ポリペプチドを指す。自然に生じている抗体(例えば、ヒトおよび大部分の他の哺乳類において)の抗原結合ユニットは一対のV領域(V/V)を含むことが一般に知られているが、ラクダ科の種は軽鎖配列が欠けている完全に機能的な特異性の高い抗体を高い割合で発現する。ラクダ重鎖抗体は、定常領域を介して二量体化した単一重鎖のホモ二量体として見い出だされる。これらのラクダ重鎖抗体の可変ドメインはVHHドメインと呼ばれ、V鎖の断片として単離した時も、高い特異性で抗原に結合する能力は保持している((Hamers- Casterman等, 1993, Nature 363: 446-448; Gahroudi 等, 1997, FEBS Lett. 414: 521- 526). 抗原を結合する単一Vドメインは、例えば免疫マウスの脾臓のゲノムDNAから増幅したマウスV遺伝子のライブラリーからも確認され、大腸菌で発現した(Ward等, 1989, Nature 341: 544-546)。Ward等は単離した単一Vドメインを「ドメイン抗体」を意味する「dAbs」と命名した。
インスレーターエレメント
本発明は、インスレーターエレメント(例えば、MARエレメント、Be、LCRおよびUCOE)を使って、細胞の形質転換効率、組換えタンパク質の発現レベルおよび細胞の生存を調節することができる組成物および方法を含む。本発明による一実施態様は、真核細胞形質移入法で使用するMARエレメントを含む。例えば、本発明で使用するのに適切なMARエレメントはニワトリのリゾチームMARエレメントを含み、それは配列番号1またはその断片で表される。本発明で使用される付加的なインスレーターエレメントは、当業者によく知られている種々の技術を使用して同定し、単離し、クローン化しうる。
ベクター
本発明は本願明細書において開示されるように、抗体またはその断片をコードしている単離された核酸、核酸を含むベクターおよび宿主細胞および抗体の産生の組換え体技術を提供する。抗体の組換え体産生のために、それをコード化している核酸が単離されて、更なるクローニング(DNAの増幅)のためのまたは発現のための複製可能なベクターに挿入される。抗体をコードしているDNAは、直ちに単離されて、従来の手順(例えば、抗体変異体の重鎖および軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを用いて)を使用して配列決定される。
多くの基本的なベクターは直ちに利用できる。ベクターの構成要素は一般に以下の一つ以上を含むがこれに限定されるものではない:シグナル配列、複製起点、一つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーターおよび転写終了配列。
図1は、本発明に役立つベクターの一実施態様を示す。ベクターは、2つのMARエレメントで、1つがプロモーターの上流に位置し、一つが遺伝子の下流に位置するものを含む。図2は、同じベクターであるが、各ベクターのプロモーターの上流に単一のMARエレメントが位置するものを表す。図2では図示されていないが、MARエレメントは下流に位置してもよい。熟練した技術者であれば、抗体またはそれらの断片が別々のプロモーターから独立に発現できること、または分泌シグナルが図示されたウィルス配列である必要はなく、選択した宿主細胞からの抗体断片の分泌に適している任意の原核生物または真核生物シグナル配列であることを理解する。また、これらの図に描かれた重鎖および軽鎖が個々の発現カセットの制御下で、または内部リボソーム部位(IRES)を有する1つの発現カセットとして、単一のベクターから発現できることを理解するはずである。
例えば、図1および2のベクターも、異なる選択マーカー(例えば、gptとneo)を提供する。これらのベクターは、例えば検出に加えて精製の簡便性のためのHisタグまたはmycタグを含むこともできる。MARエレメントと興味ある抗体遺伝子に加えてベクターに組み込んでもよい各種エレメントを次に述べる。これらは可能な実施態様を例示するものであって、網羅的な記載を意味するものではない。
A.シグナル配列構成要素
抗体は、成熟したタンパク質またはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有するシグナル配列または他のポリペプチドであってもよい非相同ポリペプチドと融合した融合ポリペプチドとして発現してもよい。選択される非相同シグナル配列は、好ましくは宿主細胞によって認識されて、処理される(すなわち、シグナルペプチターゼによって切断される)ものである。天然抗体シグナル配列を認識せず、処理しない原核宿主細胞のために、シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppまたは熱安定したエンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物シグナル配列で置換してもよい。または図1のベクターの場合、図示されるシグナル配列は、遺伝子III由来のウィルスシグナル配列である。酵母の場合は、天然シグナル配列は、例えばインベルターゼリーダー、αファクターリーダー(サッカロマイセス属(Saccharomyces)およびクルイヴェロマイセス属(Kluyveromyces)αファクターリーダーを含む)または酸性ホスファターゼリーダー、カンジダ・アルビカンス(C.albicans)グルコアミラーゼ・リーダー、またはWO90/13646に記載されているシグナルで置換してもよい。哺乳類細胞の発現では、哺乳類のシグナル配列は、ウィルスの分泌リーダー(例えば単純ヘルペスgDシグナル)と同様に利用できる。上記前駆領域のためのDNAは、抗体変異体をコードするDNAに読み枠で連結される。
B. 複製起点構成要素
ベクターは、通常一つ以上の選択した宿主細胞においてベクターの複製を可能にする核酸配列を含む。一般に、この配列はベクターが宿主染色体DNAに独立して複製することを可能にするものであって、複製起点または自己複製配列を含む。上記配列は、種々のバクテリア、酵母およびウィルスでよく知られている。プラスミドpBR322由来の複製起点は大部分のグラム陰性菌に適し、2μプラスミド起点は酵母に適し、さまざまなウィルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウィルス、VSVまたはBPV)は哺乳類細胞のベクターに有用である。一般に、複製起点構成要素は、哺乳類発現ベクターでは必要ではない(早期プロモーターを含むので、通常はSV40起点が使用される)。
C.選択遺伝子構成要素
ベクターは選択可能マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含んでもよい。典型的な選択遺伝子は、(a)アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートあるいはテトラサイクリンのような抗生物質あるいは他のトキシンに耐性を与えるタンパク質、(b)栄養要求性欠陥を補うタンパク質、または(c)例えば桿菌のためのD-アラニンラセマーゼをコードする遺伝子のような複合培地から得られない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。
選択スキームの一例は、宿主細胞の成長を抑えるために薬剤を利用する。非相同遺伝子で成功裏に形質転換された細胞は、薬剤耐性を与えるタンパク質を産生し、これにより選択措置を生き残る。この優性選択の例は、ネオマイシン、マイコフェノール酸およびハイグロマイシンの薬剤を使用する。
哺乳類細胞の適切な選択可能マーカーの別の例は、抗体核酸の取り込みがうまく起こった細胞の識別を可能にするものであって、DHFR、チミジンキナーゼ、メタロチオネイン-I、-II、好ましくは霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼなどである。
例えば、DHFR選択遺伝子で形質転換した細胞は、形質転換体の全てをメトトレキセート(Mtx)(DHFRの競合的拮抗薬)を含む培地で培養することによって最初に識別される。野生型DHFRを使用する場合の適切な宿主細胞は、DHFR活性を欠失したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系である。
あるいは、抗体、野生型DHFRタンパク質およびアミノグリコシド3'-ホスホトランスフェラーゼ(APH)のような他の選択可能マーカーをコードしているDNA配列で形質転換または共形質転換した宿主細胞(特に内因性DHFRを含む野生型宿主)は、アミノグリコシド抗生物質(例えば、カナマイシン、ネオマイシンまたはG418)のような選択可能マーカーのための選択薬剤を含む培地での細胞増殖によって選択できる(米国特許第4965199号)。
酵母に用いられる適切な選択遺伝子は、酵母プラスミドYrp7に存在するtrpl遺伝子である(Stinchcomb等, Nature 282: 39 (1979))。trpl遺伝子は、トリプトファンにおいて増殖する能力を欠く酵母の変異体系統(ATCC受託番号44706またはPEP4−1(Jones, Genetics 85: 12 (1977))の選択マーカーを提供する。酵母宿主細胞ゲノムのtrpl損傷の存在は、トリプトファンの非存在下の増殖によって形質転換を検出するための有効な環境を提供する。同様に、Leu2欠失酵母系(ATCC受託番号20,622または38,626)は、Leu2遺伝子を持つ周知のプラスミドによって補われる。
D.プロモーター構成要素
発現およびクローニングベクターは、通常、宿主生物によって認識されて、発現する核酸に作用可能に連結するプロモーターを含む。制御可能な遺伝子発現プロモーターは公知技術であり、非限定的例として、例えばCRE/LOXシステム、TETシステム、NFカッパB/紫外線システム、Leu3p/イソプロピルマレートシステム、GLVPc/GAL4システムのような外因性分子を結合することによって所望のたんぱく質をコードする遺伝子の発現を調節する任意のプロモーターをも含む(例えば、Sauer, 1998, Methods 14(4): 381-92を参照)。
酵母宿主用として適切なプロモーター配列の例は、3-ホスホグリセレートキナーゼあるいは他の糖分解酵素(例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルベートデカルボキシラーゼ、ホスホフラクトキナーゼ、グルコース-6-ホスフェートイソメラーゼ、3-ホスホグリセレートムターゼ、ピルベートキナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼおよびグルコキナーゼ)のためのプロモーターを含む。酵母発現用として適切なベクターおよびプロモーターは、EP73657にも記載されている。酵母エンハンサーも、酵母プロモーターと共に都合よく用いられる。
哺乳類宿主細胞のベクターの抗体転写は、例えば、ポリオーマウィルス、鶏痘ウィルス、アデノウィルス(例えば、アデノウィルス2)、ウシパピローマウィルス、トリ肉腫ウィルス、サイトメガロウィルス、レトロウィルス、B型肝炎ウィルス、最も好ましくはシミアンウィルス40(SV40)のようなウィルスのゲノムから、哺乳類の非相同プロモーター(例えばアクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーター)から、宿主細胞システムと互換性を持つと仮定して熱ショックプロモーターから得られるプロモーターによって制御される。
SV40ウィルスの早期と後期プロモーターもまた、SV40ウィルス複製起点を含むSV40制限フラグメントとして簡便に得られる。ヒトサイトメガロウィルスの最早期プロモーターは、HindIII-E制限断片として簡便に得られる。ベクターとしてウシパピローマウィルスを使用している哺乳類宿主においてDNAを発現するシステムは、米国特許第4419446号に開示されている。このシステムの変形例は、米国特許第4601978号に記載されている。あるいは、単純ヘルペスウィルス由来のチミジンキナーゼプロモーターを用いてもよく、またはラウス肉腫ウィルスの長い末端反復配列がプロモーターとして使われてもよい。
E.エンハンサー要素構成要素
高等真核生物による本発明の抗体をコードするDNAの転写は、エンハンサー配列をベクターに挿入することによってしばしば増加する。哺乳類の遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテインおよびインスリン)由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている。しかしながら、典型的には真核細胞ウィルス由来のエンハンサーを使用する。例として、複製起点(100-270bp)の後期側のSV40エンハンサー、サイトメガロウィルス早期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサーおよびアデノウィルスエンハンサーを含む。また、Yaniv(Nature 297: 17-18 (1982))の真核生物プロモーターの活性化のための増強エレメントを参照のこと。エンハンサーは、抗体コード配列の5'又は3'位でベクター中にスプライスされてもよいが、好ましくはプロモーターから5'位に位置している。
F.転写終了構成要素
真核生物宿主細胞(酵母、菌類、昆虫、植物、動物、ヒトまたは他の多細胞生物由来の有核細胞)において使用する発現ベクターは、転写の終了のためにまたmRNAを安定させるために必要な配列を更に含むことができる。上記配列は、真核生物またはウィルスDNAまたはcDNAの5’領域、時には3’領域、非翻訳領域から普通に入手可能である。これらの領域は、抗体をコードしているmRNAの非翻訳部分のポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。ある役立つ転写終了構成要素は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。例えば、WO94/11026を参照。
宿主細胞の選択と形質転換
本願明細書のベクター中のDNAをクローニングまたは発現させるための適切な宿主細胞は、原核生物、酵母または高等真核細胞である。この目的に適切な原核生物は、グラム陰性とグラム陽性生物の両方を含み、例えば大腸菌、エンテロバクター属、エルウィニア属、クレブシェラ属、プロテウス属、サルモネラ属、セラチア属、赤痢菌のような腸内細菌、加えて桿菌、シュードモナス、ストレプトマイセスを含む。好適な大腸菌クローンニング宿主は大腸菌294(ATCC受託番号31446)であるが、但し、大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC受託番号31537)および大腸菌W3110(ATCC受託番号27325)のような他の系統も適している。これらの例は、限定ではなく例示である。
原核生物に加えて、真核生物微生物、例えば糸状菌または酵母が、抗体をコードするベクター用の適切なクローニングまたは発現宿主である。サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)は、下等真核生物宿主微生物の中で最も共通して使われる。しかしながら、スキゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe);ピキア・パシトリス(Pichia pastoris);クルヴェロマイセス属(Kluyveromyces);カンジダ;トリコデルマ;アカパンカビ(Neurospora crassa);糸状菌、例えばニューロスポラ(Neurospora);アオカビ(Penicillium);トリポクラディウム(Tolypocladium)およびアスペルギルス(Aspergillus)宿主(例えばA.ニデュランス(A. nidulans) と A.ニガー(A. niger))のような多くの他の属、種および系統が共通に利用できて、本願明細書において役立つ。
グリコシル化抗体の発現のための適切な宿主細胞は、多細胞生物に由来する。原則として、脊椎動物由来でも無脊椎培養株でも、いかなる高等真核細胞培養も利用可能である。無脊椎細胞の例は、植物と昆虫細胞を含む(Luckow 等, Bio/Technology 6, 47-55 (1988); Miller等, Genetic Engineering, Setlow等編集 8巻 277-279ページ (Plenam publishing 1986); Mseda 等, Nature 315, 592-594 (1985))。Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Aedes属(蚊)、Drosophila melanogaster(キイロショウジョウバエ)およびBombyx mori(カイコ)のような宿主由来の多数のバキュロウィルス系統と変異体および対応する許容な昆虫宿主細胞が同定されている。形質移入のための種々のウイルス系統、例えば、オウトグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)のNPVのL−I変異体およびカイコNPVのBm−5系統は公的に入手可能であり、特にスポトプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞の形質移入のために、上記ウィルスが本発明よる本願明細書においてウィルスとして使用できる。さらには、綿、トウモロコシ、ジャガイモ、大豆、ペチュニア、トマト及びタバコの植物細胞培養も宿主として使用できる。
培養組織(組織培養)において、脊椎動物細胞および脊椎動物細胞の増殖はルーチンの手順となっている。Tissue Culture(アカデミック・プレス、KruseとPatterson編集、1973年)を参照。有用な哺乳類宿主細胞系の例は、サル腎臓;ヒト胚腎臓線;ベビーハムスター腎臓細胞;チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO、Urlaub等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 4216 (1980));マウスセルトリ細胞;ヒト子宮頚癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞;ヒト肺細胞;ヒト肝細胞;マウス乳腺腫瘍;およびNS0細胞。
宿主細胞は、抗体産生ために上記に記載したベクターで形質転換され、プロモーター誘導、形質転換体の選択、所望の配列をコードしている遺伝子の増幅のために適切に改良した従来の栄養培地で培養される。
本発明の抗体を産生するために使用する宿主細胞は、種々の培地で培養することができる。HamのF10(シグマ)、最小必須培地(MEM、シグマ)、RPMI-1640(シグマ)およびDulbeccoのModified Eagle培地(DMEM、シグマ)のような市販の培地は、宿主細胞を培養することに適している。加えて、Ham 等(Meth. Enzymol. 58: 44 (1979))、Barnes 等(Anal. Biochem. 102: 255 (1980))、米国特許第4767704号、 第4657866号、 第4560655号、 第5122469号、 第5712163号または第6048728号 に記載されている培地のいずれも宿主細胞の培養培地として使用してもよい。これらの培地のいずれも、必要に応じてホルモン類および/または他の成育因子(例えばインスリン、トランスフェリンまたは上皮細胞増殖因子)、塩類(塩化X、ここでXは、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸である)、バッファー(例えばHEPES)、核酸(例えばアデノシンとチミジン)、抗生物質(例えばゲンタマイシンTM薬)、微量元素(マイクロモルのレンジの終濃度に通常存在する無機化合物として定義される)およびブドウ糖または等価なエネルギー源を補充してもよい。他のいかなる必要な補助剤も、また当業者にとって知られている適切な濃度で含まれる。培養条件(例えば温度、pHなど)は発現のために選択された宿主細胞で前に使用されたものであって、通常熟練した技術者にとって明らかである。
実施例1:ニワトリのゲノムDNAからのニワトリMAR(1.46Kb)の単離
ニワトリリゾチームMARのニワトリゲノム配列に基づいて2つのプライマーを合成した。
MAR-F5' - GCTGCTggatccTGCCGCCTTCTTTGATATTC- 3' (配列番号2)、および
MAR-R5' - GTAAGATGAAGAGTGCTGTGC - 3'(配列番号3)。
使用したPCR条件は、94℃30秒、50℃30秒、72℃2.5分の5サイクル;続いて、94℃30秒、55℃30秒、72℃2.5分の25サイクルである(テンプレートとして50ngのニワトリのゲノムDNAを使用した)。
得られたPCR断片は、2つのオリゴヌクレオチドプライマー:
MAR-F5' - TAGCAAggatccTGCAGCTGTTTACGGC - 3' (配列番号4)、および
MAR-R5' - TAGCATctcgagGCAGCTGTAACTCCACTG - 3'(配列番号5)
を使用してセカンドPCR断片を生成するために用いた。
この2回目のPCR条件は:94℃30秒、55℃30秒、72℃1.5分の30サイクルで、初回のPCRの1μlをテンプレートとして使用した。このセカンドPCR断片は、それからBamHI(5’)とXhoI(3’)で切断し、市販のpcDNA3.1に連結した。
2回目のPCR断片はゲル精製し、BamHIとXhoIで消化し、続いてpcDNA3.1(+)(インビトロジェン, catalog@invitrogen.com)へライゲーションした。得られたコンストラクトは、ベクター配列T7とBGHをプライマーとして使用して配列決定した。確認した配列は、配列番号1のものと同一であった。
実施例2:MAR配列(1.46Kb)のベクターへのクローニング
実施例1において単離したMAR断片を、抗IgE抗体の重鎖を含むベクターと対応する軽鎖を含むベクターにクローニングした。MARは、CMVプロモータの上流に、抗体遺伝子と同じ方向に挿入した(図2を参照)。
実施例1において単離したMAR断片は、抗IgE抗体の重鎖を含むベクターと対応する軽鎖を含むベクターにクローニングした。この場合、MARはCMVプロモータの上流に、抗体遺伝子と同じ方向に、また抗体遺伝子の下流に反対方向に挿入した(図1を参照)
実施例3:NS0細胞系の形質移入
3セットのベクターを線形にした:(1) 軽鎖ベクターと重鎖ベクターを有しMARエレメントを持たない1セット;(2) 図2に図示するように、各々1つのMARエレメントを含む軽鎖ベクターおよび重鎖ベクターを有する1セット;および(3) 図1に図示するように、各々2つのMARエレメントを含む軽鎖ベクターおよび重鎖ベクターを有する1セット。
NS0宿主細胞は、形質移入の前日までに新鮮な培地を供給して、細胞を指数関数増殖させて、典型的細胞増殖培養液で、1×10細胞/mlの密度まで増殖させた。40×10細胞相当の細胞量は、それから15mlのD15+2%FBSで洗浄し、0.8mlのD15+2%FBSに再懸濁した。
形質移入は、各セットの10μgの線形にした軽鎖DNAと10μgの線形にした重鎖DNAを細胞懸濁液に加え、細胞を15分間氷上に置くことで行った。細胞は予め冷却したキュベット(0.4cm)に移し、電気パルス(200ボルト、960uF)を当てた。キュベットは、電気パルス後で直ちに氷に戻し、15分間保った。
細胞は、0.3×10細胞/mlの密度に+1%FBS培地で回復し、48時間培養した。回復させた細胞は、培地(+2%FBS+0.1μg/mlのHXM+150μg/mlのG418)で、1×10細胞/mlの密度に、96穴プレートで2週間培養した。増殖後、上清を各穴から回収し、ELISAを発現レベルの検査するために実行した。
図3の結果は、MARエレメントが細胞生存を増やすだけでなく、2つのMARエレメントが1つのMAR以上に細胞生存を改良することを示していた。抗体産生レベルも、また図4に図示するように非常に改善された。ここで、MARエレメントにより、MARエレメント無しの0.2μg/ml以下から、1つのMARエレメントを有する9μg/mlおよび2つのMARエレメントを有する12μg/mlまで増加した。このように、発現レベルは、1つのMARエレメントで45倍に、2つのMARエレメントで60倍に増加した。
実施例4:リポフェクタミン2000を使用したCHO−S細胞の形質移入
実施例3に記載したものと同種の実験を、本発明の用途の広さを示すために、異なった細胞系で実施した。3セットのベクターを線形にした:(1) 軽鎖ベクターと重鎖ベクターを有しMARエレメントを持たない1セット;(2) 図2に図示するように、各々1つのMARエレメントを含む軽鎖ベクターおよび重鎖ベクターを有する1セット;および、(3) 図1に図示するように、各々2つのMARエレメントを含む軽鎖ベクターおよび重鎖ベクターを有する1セット。
懸濁細胞系CHO−Sは、形質移入前にDMEM+10%FBS培地で接着細胞に変換した。形質移入前に、細胞は6穴プレート(2ml/穴)に1.3×10細胞/mlに等分した。形質移入は、製造業者の指示に従って実施した(インビトロジェン、リポフェクタミン2000形質移入システム)。
図5に示す結果は、ベクターに組み込んだ各MARエレメントにより抗体産生のレベルが増加したことを示す。
本願明細書に記載されている発明の特定の実施態様に対しての多くの均等態様と、単に通常の実験において実施可能であることを当業者ならば理解し、または確認できるであろう。そのような均等態様は、添付の特許請求の範囲内に入るものである。
2つのMARエレメントによって挟まれる重鎖または軽鎖免疫グロブリンをコードするベクターを表す。 単一のMARエレメントを有する重鎖または軽鎖免疫グロブリンをコードするベクターを表す。 (1) MARエレメントなし、(2) 1つのMARエレメント、または(3) 2つのMARエレメントを含む抗体をコードするベクターを含む細胞の増加した細胞生存率を示す。 (1) MARエレメントなし、(2) 1つのMARエレメント、または(3) 2つのMARエレメントを含む抗体をコードするベクターを含むNS0細胞の増加した抗体発現量を示す。 (1) MARエレメントなし、(2) 1つのMARエレメント、または(3) 2つのMARエレメントを含む抗体をコードするベクターを含むCHO−S細胞の増加した抗体発現量を示す。 本発明に役立つ別の構造を示す。

Claims (31)

  1. 少なくとも一つのインスレーターエレメントと免疫グロブリン重鎖および/または免疫グロブリン軽鎖をコードするポリヌクレオチド配列を含んで成るベクター。
  2. ポリヌクレオチド配列が免疫グロブリン重鎖の可変領域および/または免疫グロブリン軽鎖の可変領域をコードする請求項1に記載のベクター。
  3. ポリヌクレオチド配列が単一ドメイン抗体をコードする請求項1に記載のベクター。
  4. ベクターが2つのインスレーターエレメントを含む請求項1から3のいずれか一項に記載のベクター。
  5. ポリヌクレオチド配列が図1に示すように2つのインスレーターエレメントで両側から挟まれる重鎖または軽鎖をコードする請求項4に記載のベクター。
  6. インスレーターエレメントが境界エレメント、MARエレメント、遺伝子座調節領域、または遍在作用性クロマチンオープニングエレメントである請求項1から5のいずれか一項に記載のベクター。
  7. シグナルペプチド、免疫エンハンサー、トキシン、および生物学的に活性な酵素からなる群から選択される付加的な機能構成要素を更に含む請求項1から6のいずれか一項に記載のベクター。
  8. インスレーターエレメントが、ニワトリのリゾチームMARのようなMARエレメントである請求項1から7のいずれか一項に記載のベクター。
  9. インスレーターエレメントが配列番号1である請求項1から8のいずれか一項に記載のベクター。
  10. 細胞中における免疫グロブリン発現のレベルを増加する方法において、免疫グロブリン重鎖および/または軽鎖および少なくとも一つのインスレーターエレメントをコードするポリヌクレオチド配列を含むベクターを組み入れることを含む方法。
  11. ポリヌクレオチド配列が免疫グロブリン重鎖の可変領域および/または免疫グロブリン軽鎖の可変領域をコードする請求項10に記載の方法。
  12. ポリヌクレオチドが単一ドメイン抗体をコードする請求項10に記載の方法。
  13. ベクターが2つのインスレーターエレメントを含む請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. ポリヌクレオチド配列が図1に示すように2つのインスレーターエレメントで両側から挟まれる重鎖または軽鎖をコードする請求項13に記載の方法。
  15. インスレーターエレメントが境界エレメント、MARエレメント、遺伝子座調節領域、または遍在作用性クロマチンオープニングエレメントである請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. シグナルペプチド、免疫エンハンサー、トキシンおよび生物学的に活性な酵素からなる群から選択される付加的な機能構成要素を更に含む請求項10から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. インスレーターエレメントが、ニワトリのリゾチームMARのようなMARエレメントである請求項10から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. インスレーターエレメントが配列番号1である請求項10から17のいずれか一項に記載のベクター。
  19. 細胞が哺乳類細胞である請求項10から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 免疫グロブリン発現のレベルが少なくとも45倍に増加する請求項10から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 組換えタンパク質を発現する細胞の生存を高める方法において、少なくとも一つのインスレーターエレメントを含むベクターを組み込むこと含んで成る方法。
  22. 組換えタンパク質が免疫グロブリンである請求項21に記載の方法。
  23. ベクターが免疫グロブリン重鎖の可変領域および/または免疫グロブリン軽鎖の可変領域をコードする請求項21に記載の方法。
  24. 組換えタンパク質が単一ドメイン抗体である請求項21に記載の方法。
  25. ベクターが2つのインスレーターエレメントを含む請求項21から24のいずれか一項に記載の方法。
  26. ポリヌクレオチド配列が図1に示すように2つのインスレーターエレメントで両側から挟まれている重鎖または軽鎖をコードする請求項25に記載の方法。
  27. インスレーターエレメントが境界エレメント、MARエレメント、遺伝子座調節領域、または遍在作用性クロマチンオープニングエレメントである請求項21から26のいずれか一項に記載の方法。
  28. シグナルペプチド、免疫エンハンサー、トキシンおよび生物学的に活性な酵素からなる群から選択される付加的な機能構成要素を更に含む請求項21から27のいずれか一項に記載の方法。
  29. インスレーターエレメントが、ニワトリのリゾチームMARのようなMARエレメントである請求項21から28のいずれか一項に記載の方法。
  30. インスレーターエレメントが配列番号1である請求項21から29のいずれか一項に記載のベクター。
  31. 細胞が哺乳類細胞である請求項21から30のいずれか一項に記載の方法。
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