本発明のその他の利点および目的は、以下の記載および添付の図面に基づいてさらに詳細に説明するが、これらは発明を限定するものではない。
本発明は、支持体2(図5および図8に示す)に固定されて、支持体2とともに組立品すなわちユニットを形成する装置1に関する。つまり、装置1は支持体2に結合されて硬質な部品を形成するようになっている。
以下に、好ましくは外科用である装置1と、好ましくは骨材料である支持体2について詳細に説明する。
本発明の趣旨において、装置1はどのような種類のものであってもよく、例えば医療分野以外に、建築分野、木工分野またはDIY分野においても使用することができる。この点において、本発明は特定の種類の支持体2に限定されるものではない。支持体はどのような種類のものであってもよく、例えば木材、コンクリート、セメントまたは合成材料で構成されていてもよい。
図示した好ましい実施形態において、装置1は、対象となる骨の種類にかかわらず、骨端部での骨接合つまり骨端接合を行うためのものである。
本発明の装置1は、支持体2にあてがわれて固定される組立部品3を備えている。
本発明を外科用途に適用する好ましい例において、組立部品3は、骨である支持体2に結合される外科用器具またはインプラントであることが有利である。
組立部品3は、例えば骨折を整復するための外科用骨接合プレートであることが好ましい。
したがって、組立部品3を形成するプレートは、種々の骨折部分同士を機械的に結合するようになっている。骨折部分は、以下に詳細に示す方法によってプレート3に結合される。本発明の図示した実施形態に対応する好ましい変形例において、組立部品3は、骨端部で骨接合を行うためのプレートであり、具体的には骨端プレートまたは骨幹プレートで構成されていてもよい。
一例として、組立部品3は、上腕骨用近位プレート、上腕骨用(内側または外側)副木プレート、橈骨用近位プレート(例えば橈骨頭骨折の場合)または鎖骨プレートで構成されていてもよい。装置1が特に下肢用である場合には、組立部品3は例えば大腿骨顆上用プレート、大腿骨近位骨折用プレート、脛骨近位内側用または脛骨近位外側用プレート、あるいは脛骨末端骨折用プレートで構成されていてもよい。
図示した例において、組立部品3は、橈骨遠位用前方プレートであってもよい。当該分野において公知であるように、組立部品3を形成する外科用プレートは、医療外科分野において要求される通常の特性を有する金属で製造されていることが好ましい。
また、それ自体で公知であるように、上記プレートはT字形である。T字の垂直部分は実質的に平板で直線的な金属製の帯状部3Aからなり、T字の横木部分は同様に実質的に平板で直線的なスパチュラ部3Bで構成されている。帯状部3Aおよびスパチュラ部3Bは、帯状部3Aの徐々に広がっている一方の端部において一体化されて1つの部品を形成している。スパチュラ部3Bは、補強または修復すべき骨の構造によりよくフィットするように、帯状部3Aに対してわずかに湾曲していることが好ましい。
当該分野において公知であるように、スパチュラ部3Bは、骨の端部(骨端)の近く、すなわち関節近傍に配置されるものである。
帯状部3Aは、骨幹近傍または骨幹に接した状態で、他方の骨端部に向かって長手方向に伸びるようになっている。
本発明によれば、組立部品3には少なくとも1つの開口4が設けられている。開口4は貫通孔であることが好ましく、組立部品3の板厚、つまり組立部品3の支持体2に対向する内面3Cからその反対側の外面3Dを貫通するように形成されている。開口4は、例えば従来の加工法によって、組立部品3の板厚方向に材料を除去することによって形成される。開口4は、内面3Cと外面3Dとの間をX−X’軸方向(図7および図8参照)に伸びている。この方向は開口の深さに対応し、図示した例においては、帯状部3Aが伸びる平面に対して実質的に垂直な方向である。
開口4は、開口を規定する壁面の間で、X−X’軸方向に実質的に垂直な平面上に伸びる開口断面を規定する。開口4の断面は、内面3Cおよび外面3Dが占有する平面と実質的に同一平面上にあることが好ましい。つまり、開口4の断面は、開口4の縦横の幅に対応し、X−X’軸方向は開口の深さに対応する。
本発明の装置1は、組立部品3を支持体2に固定する固定部材5をさらに備えている。固定部材5は、例えば支持体2に貫入されて固定される先端部5Aと、開口4に受け止められて収容される基端部5Bとを有している。
図示のように、固定部材5は、先端部5Aを形成する軸部6と、軸部6から上方に伸びて基端部5Bを形成する頭部7とを備えていることが好ましい。当業者において公知であるように、頭部7は、例えば軸部6を物体2にねじ止めして固定するためのドライバ工具(図示せず)を受け止める六角ソケット等のソケット7Aを有していることが好ましい。
従来の方法では、頭部7の直径(または少なくとも径方向の長さ)は軸部6の直径よりも大きく、例えば実質的に円錐台状の鍔部を有している(図5参照)。頭部7は、例えば軸部6が伸びている内面70と、ソケット7Aが形成される外面71とを有することが好ましい。
本発明の範囲内においては、当然のことながら、開口4に収容される基端部5Bを形成しない頭部7を有する固定部材5を用いることも可能である。例えば、頭部をこの基端部5Bではなく、固定部材5の長手方向において頭部7と先端部5Aとの間の位置に介在させてもよい。したがって、頭部7は開口4から突出していてもよい(図示せず)。
軸部6にはねじが切られていることが好ましい。したがって、固定部材5は、支持体2にねじ込まれるねじを構成していることが好ましい。当然のことながら、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、固定部材5は、当業者にとって公知であるその他の固定手段として構成することも可能である。例えば、釘またはピンのように実質的に平滑でねじ切りされていない軸部で構成されていてもよい。
図示のように、開口4は、軸部6を貫通させる一方で、頭部7に当接する当接面9を構成するように形成されることが好ましい。したがって、開口4の断面を軸部6の直径よりも十分に大きくすることにより、軸部6を開口4にX−X’軸方向にねじ込むことができる。このとき軸部6は、頭部7が外面3Dから内面3Cへ軸方向に移動し、開口4の特定の構造である当接面9により構成される停止手段によって停止されるまでねじ込まれる。
当然のことながら、頭部7は当接面9に対応した形状となっている。つまり、図に示すように、頭部は軸部6の直径よりも大きい直径を有し、当接面9に支持されるようになっている。
好ましい方法において、当接面9は頭部7を支持する支持面を形成し、この支持面は、実質的に支持平面14上に伸びている。
本発明によれば、開口4は、当接面9に支持された状態の固定部材5の頭部7が開口4内で実質的に開口4の断面において平行移動できるような形状および寸法となっている。したがって、頭部7は、当接面9に押し付けられた状態で開口4内を横方向に平行移動することができる。つまり、頭部7は、開口断面上の当接面9において摺動することができる。この技術的特徴により、外科医は、頭部7が当接面7に支持されるように固定部材5を形成するねじを骨2に締め付けることにより、プレート3の位置を精度よく仮決めすることができる。このとき、ねじは頭部7が当接面9上を摺動できる程度に締め付ける。その後、必要であればプレート3を摺動させてから、固定部材5を完全に締めきることができる。
言い換えれば、頭部7により形成される基端部5Bは、開口4の深さ方向であるX−X’軸方向に実質的に垂直に伸びる平面と平行な方向に移動することができる。つまり、開口4および基端部5Bの形状および寸法を相対的に選択することにより、好ましくは頭部7により形成される基端部5Bを、開口4の内部で「横方向」すなわちX−X’方向に実質的に垂直な平面上で平行移動させることができる。
本発明によれば、開口4および基端部5Bは相対的に設計され、好ましくは頭部7により形成される基端部5Bが、開口4の断面に平行な方向である開口4の長手方向および/または幅方向に、自由に好ましくは直線的に移動することができるようになっている。当然ながら、このことは基端部5Bが開口内で回転可能であってもよいこと、あるいはX−X’軸方向に平行移動可能であってもよいことを排除しているのではない。
横方向に移動するという上記の技術的機能は、本質的には頭部7および開口4が協働することにより実現される。よって、所望の平行移動による調節を可能にするためにはこれらを相対的に設計する必要がある。本発明の趣旨においては、当接面9に載っている状態の頭部7が開口4内で開口4の断面に平行な方向に移動可能であれば、開口4の構造および寸法は実際においてどのようなものであってもよい。
図1〜図8に示す例において、頭部7が移動する面である開口4の断面は、内面3Cおよび外面3Dと実質的に平行である。
しかしながら、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいては、図9〜図11に示すように、この断面を内面3Cおよび外面3Dに対して傾斜させてもよい。
一例として、図1〜図8に示すように、開口4は少なくとも1つの長円形状の部分を有している。つまり、細長形状の部分または開口4の断面において実質的にその幅よりも長い部分を有している。
しかしながら、開口4は長円形状の部分を有していなくてもよく、例えば実質的に円形または多角形であってもよい。図7に示す例では、開口4は実質的に3つの長円形状の部分が結合したY字形である。
しかしながら、好ましい方法において、開口4は長円形状である。つまり、長円形開口で構成されている(図1〜図6に示す変形例)。
図1〜図6に示すように、長円形開口4は、直線的な帯状部3Aの板厚方向に形成され、帯状部の長手方向に伸びていることが有利である。この長円形開口4により、基端部5Bは帯状部3Aの伸長方向であるY−Y’方向すなわち帯状部3Aの長手方向に平行移動するように案内される。
当然のことながら、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、長円形の開口4は、帯状部3Aの伸長方向であるY−Y’方向に対して横向きに伸びるように形成することも可能である。
また、組立部品3を形成するプレートに複数の長円形開口を設けることも可能である。例えば、2つの長円形開口を互いに垂直に伸びるように、つまり一方の長円形開口を帯状部3AにY−Y’方向に伸びるように形成し、他方の長円形開口をスパチュラ部3Bにスパチュラ部3Bの伸長方向であるY−Y’方向に垂直な方向に伸びるように形成してもよい。
当然のことながら、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、本教示に基づいていずれの種類の組み合わせによる開口を実現することにより、所望の調節機能および/または案内機能を得ることができるだろうと思われる。
本発明の重要な特徴によれば、装置1は、開口4に収容される基端部5Bをロックし、基端部5Bと組立部品3とを固定するロック手段8を備えている。すなわち、ロック手段8は、開口4に収容され、開口内部において、組立部品3と基端部5Bとを機械的に結合させるものである。この機械的結合により、開口4における基端部5Bの実質的な自由運動が阻止される。このように固定部材5と組立部品3とを機械的に接合することにより、部品3および支持体2で構成される組立品の機械安定性が向上する。なぜなら、開口4の内部で基端部5Bが組立部品3に固定されていれば、部品3と支持体2の境界面が磨耗しても、固定部材5と組立部品3との間に有害または未確認の遊びが生じにくくなるからである。
このように、本発明によれば、特に支持体2の表面が磨耗した場合において長円形開口につきものの機械的不安定性等の不利益を被ることなく、調節機能、位置決め機能および案内機能といった長円形開口の利点を享受することができる。
有利な点として、ロック手段8は、支持体2に固定されている先端部5Aとは無関係に、基端部5Bを組立部品3に固定するようになっている。すなわち、ロック手段8は、組立部品3と支持体2とを結合させるために固定部材5により与えられる締結力に関係なく、開口4内部において完全に独立して基端部5Bに作用する。特に固定部材5がねじ付き軸部6で構成される場合は、ロック手段8は、ソケット7Aを介してねじ付き軸部6に印加される締結力とは無関係に作用する。
部品3が固定部材5によって支持体2にしっかりと固定されていなくても、ロック手段8は、完全に独立して、開口4における部品3と図示した例において好ましくは頭部7で構成される基端部5Bとを機械的に結合させるようになっている。この技術的特徴により、図5に示すように、組立部品3を形成する外科用プレートが、組立品の最後部に、つまり骨からなる支持体2から離間して配置される「支柱構造」の組立品を得ることができる。つまり、組立部品3は骨からなる支持体2に接触していない。図5に示す例では、組立部品3を形成するプレートは骨2から距離Dの位置にあるが、これは組立品全体の剛性に影響を及ぼすものではない。
ロック手段8は、開口4において基端部5Bと組立部品3とを固定するようになっていることが有利である。これにより、好ましくは頭部7で形成される基端部5Bは開口4にしっかりと固定され、基端部5Bおよび開口4における自由度を実質的に排除する効果を有する。つまり、基端部5Bは開口4に対して完全に固定された状態となる。
また、ロック手段8は取り外し可能であることが有利である。つまり、ロック手段8は基端部5Bと組立部品3との間で非永久的または可逆的に結合されるようになっている。特に、ロック手段8はユーザによって任意に着脱可能であることが好ましい。
当然のことながら、本発明はこのような着脱分離可能なロック手段8に限定されず、固定部材5および/または組立部品3に永続的に固定される任意のロック手段8をも包含する。さらに本発明は、基端部5Bと組立部品3とを永続的かつ不可逆的に結合させるロック手段8にも関する。
また、ロック手段8は、頭部7を当接面9に押し付けることにより、基端部5Bを形成する頭部7と組立部品3とを固定するようになっていることが有利である。
図示した例に対応するこの変形例において、ロック手段8は、頭部7に対して実質的にX−X’軸方向の圧縮力を作用させるようになっている。この頭部7は、ロック手段8によって当接面9に固定されるまで、当接面9とロック手段8の間に置かれる。
このため、ねじ頭部7は実質的に平坦な外面71を有することが好ましい。この面はロック手段8の力を伝達する支持面を構成する。
好ましい方法において、図に示すように、ロック手段8は少なくとも1つのロックねじ8Aを備えている。図6に示す例では、ロック手段8は2つのロックねじ8A,8Bを備えている。このように、装置1は、頭部7をロックして組立部品3に固定する少なくとも1つのロックねじ8A,8Bを含むことが有利である。このロックねじ8A,8Bは、例えば実質的に円筒形状で均等な直径を有するねじ付きプラグであってもよい。
本願明細書において「押さえねじ」とも呼ばれるこのロックねじは、適当なドライバ工具と効果的に協働する締め付けソケット9A,9Bを備えていることが好ましい。
開口4には少なくとも1つの雌ねじが施されており、ロックねじ8A,8Bは、ロックねじ8A,8Bが頭部7の上に載って頭部を当接面9に押し付けるように、この雌ねじにねじ込まれている。図3および図9に示す好ましい実施形態において、開口4はロックねじ8A,8Bがねじ込まれる3つの雌ねじ4A,4Bおよび4Cを有している。
このように、ロックねじ8A,8Bを開口4にねじ込むことにより、頭部7を当接面9に押し付けることができ、これによって、開口4において頭部7を組立部品3に対して機械的に固定することができる。
開口4は、支持体2に対向する下段部10を有することが有利である。すなわち、下段部10は、組立部品3を形成するプレートの内面3C側に配置されることが好ましい。下段部10は、当接面9を形成する断面狭窄部(section constriction)10Bを形成する下段開口部10Aを有している。
図1〜図6に示す変形例において、下段開口部10Aは、実質的に長円形状であり、その輪郭は2つの対向する半円部分が2つの平行線分によって互いに結合された形状となっている。断面狭窄部10Bは、開口4の内側に向かって伸びる肩部によって形成され、内面3Cと同一平面状にあることが好ましい。この肩部は、頭部7の支持面を構成する底面または座面を形成している。この底面または座面は、軸部6を貫通させるための孔が開けられている。すなわち、下段開口部10Bは、頭部7を支持する当接面9を形成する長円形状の内側座面を構成している。この座面は、半円状に湾曲した帯状部がそれぞれの端部に連結された2つの平行で直線的な帯状部で構成されている。
図1〜図8に示す例において、断面狭窄部10Bは、実質的に内面3Cおよび外面3Dに平行な支持平面14上に伸びており、頭部7を支持するための水平座面を形成している。この座面は、支持体2の表面に対して実質的に平行に伸びている。
しかしながら、断面狭窄部10Bを、部品3の厚みにおいて傾斜する平面上、つまり部品3が伸びる平面に対して傾斜した平面上に形成することも可能である。
図9〜図11に示す変形例では、部品3が支持体2に設置されて固定された状態において、支持平面14は、支持体2に対向する内面3Cに対して実質的に角度αだけ傾斜している。
支持体2に好ましくは直接的に接触する内面3Cは、実質的に平坦であることが好ましい。
支持平面14上に伸びる支持面は、頭部7による軸推力の作用によって組立部品3を平行移動させるための斜面を形成するように傾斜していることが有利である。
すなわち、支持体2に固定部材5を軸方向に固定する力により、当接面9により形成される斜面に軸推力が与えられる。この軸推力は、部品3と支持体2との境界面と当接面9との相対的な傾斜によるくさび効果により、軸方向に実質的に垂直な長手方向Y−Y’に平行な運動に変換される。
一例として、傾斜角αは、60°より小さく、さらに45°より小さいことが好ましい。また、傾斜角αは1°〜30°の範囲であることがより好ましい。
支持体2に固定部材5を固定することによって部品3をY−Y’方向に移動させることができるという機能から、本発明は、支持体2に対してY−Y’方向の圧縮力または牽引力を印加するために用いることができる。
このためには、まず、例えばスパチュラ部3Bの中央開口13にねじを嵌め込むことにより、開口4とは別の離れた箇所において部品3を支持体2に固定する。この後、先に内面3Cから最も遠位にある断面狭窄部10Bの領域15に対してねじ付き軸部6を位置決めしてから、ねじ軸部6を開口4にねじ込む。頭部7の軸推力が傾斜面を形成する断面狭窄部10Bに作用することにより、軸部6と開口13に嵌め込まれたねじとの間の部品3に長手方向の力が加わる。この力は支持体2に反映される。
断面狭窄部10Bの傾斜方向に対する開口13の位置に応じて、圧縮力および牽引力のいずれかが印加される。当然のことながら、装置1が骨折整復を目的とした外科用途に用いられる好ましい例においては、圧縮力を作用させて骨片同士の機械的結合を最適化することが好ましい。
特に図示した変形例においては、下段開口部10Aが基端部5Bを形成する頭部7の平行移動を案内する手段を構成している。頭部7は開口4において、下段開口部10Aによって規定される溝部内を断面狭窄部10Bに沿って長手方向Y−Y’に摺動することができる。
当然のことながら、下段開口部10Aは、長円形以外の形状であってもよく、例えば図8に示すように実質的に円形であってもよい。この場合、頭部7は長手方向Y−Y’およびそれに垂直な横方向のいずれにも自由に平行移動することができる。
開口4は、組立部品3の板厚方向X−X’において下段部10の上に位置する上段部11をさらに有していることが有利である。つまり、上段部11は好ましくは下段部10の上に重ね合わされている。
上段部11は、ロック手段8に対応する形状を有する少なくとも1つの上段開口部11Aを有し、特にロック手段8が上段開口部11Aに固定されるようになっていることが有利である。上段開口部11Aには雌ねじが形成され、ロック手段8を形成するロックねじ8Aがねじ込まれるようになっている。したがって、このロックねじ8Aは、頭部7を断面狭窄部10Bに押し付けることができ、頭部7により形成される基端部5Bと組立部品3とを固定する。
このように、本発明の一般概念は、固定部材5を平行移動させることによって組立部品3を形成するプレートに対する固定部材5の位置を調節するための下段部10と、ロック手段8を収容し、これと協働して開口4の内側に頭部10を固定する上段部11とを重なり合うように配置し、これらを協働させることである。
上段開口部11Aおよび下段開口部10Aは、実質的に厳密に重ね合わされていてもよい(図1〜図6に示す)。
また、下段開口部10Aおよび上段開口部11Aのいずれか一方の断面が他方の断面よりも大きくなるようにしてもよい。例えば、図8に示すように、下段開口部10Aの断面は、上段開口部11Aの断面よりも大きくなっていてもよく、頭部7、下段開口部10A、上段開口部11Aおよびロック手段8の形状および寸法は、頭部7が下段開口部10A内のどの位置にあるかに関係なく、1つのロック手段8を形成するねじ8Aによって頭部7が固定されるように構成されている。
図8に示す実施形態において、下段開口部10Aは、実質的に円形状であり、その底部には内側に伸びて当接面9を形成する環状鍔部10Cが設けられている。上段開口部11Aもまた円形状であり、下段開口部10Aの上にあって外側に開口している。上段開口部11Aおよび下段開口部10Aは、同軸上に配置されている。固定部材5の頭部7は、鍔部10Cに沿って下段開口部10A内を円形状に平行移動できるような寸法となっている。ロック手段8を形成するねじ8Aは、軸圧縮力が頭部7に作用して頭部7が内側に伸びる鍔部10Cに押し付けられるように、上段開口部11Aにねじ込まれる。上段開口部11Aの直径は下段開口部10Aの直径よりも大きい。この直径比は、ねじ8Aが頭部7の上に載るように、頭部7の直径を考慮して決定される。
当然のことながら、上段開口部11Aの直径と下段開口部10Aの直径とを実質的に同等にすることも可能である。図8に示す実施形態においては、下段開口部10Aを円形ではなく長円形とし、頭部7を平行移動させるための案内装置とすることも可能である。
図1〜図6に示すその他の実施形態では、上段部11は、それぞれ雌ねじが施された複数の上段開口部110A,111A,112Aを有している。この雌ねじ付き上段開口部110A,111A,112A(図示した3つの上段開口部)により、上段開口部11Aが形成されている。
図1〜図6に示す例では、上段開口部110A,111A,112Aは並列に配置され、好ましくは実質的に長手方向Y−Y’に沿って一直線上に配置される。
当然のことながら、これらの雌ねじ付き開口部110A,111A,112Aは一直線上に配置されていなくてもよく、例えば三角形状やその他の幾何学形状に配置することも可能である。
図1〜図6に示す変形例において、雌ねじ付き上段開口部110A,111A,112Aは、並列に配置されて1つの上段開口部11Aを形成し、ロック手段8を形成するねじ8A,8Bが雌ねじ付き上段開口部110A,111A,1112のそれぞれにねじ込まれるようになっている。したがって、ねじ8A,8Bは、頭部7を断面狭窄部10Bに押し付けて頭部7を組立部品3に固定することができる。
すなわち、図1〜図6に示すように、110A,111A,112Aの円形状の輪郭は互いに繋がり合って1つの開口部11Aを形成している。このように輪郭が互いに繋がり合うことにより、ロック手段8を形成するねじ8A,8Bは、輪郭が図1〜図6に示すように開状態つまり不完全であっても、これらの開口部のいずれにもねじ込むことができる。
この変形例において、開口部110A,111A,112Aのうちの1つにロックねじ8Aをねじ込むことによって頭部7を固定することが可能である。ロックねじ8Aは、例えば中央開口部11A(図5参照)または左側開口部110A(図1、2および4参照)にねじ込んでもよい。
また、2つのねじ8A,8Bをそれぞれ左側開口部110Aおよび右側開口部112Aにねじ込むことによって頭部7を組立部品3に固定することも可能である。この2つのねじ8A,8Bは、中央開口部111Aにおいて実質的に正接している(図6参照)。
このように、図1〜図6に示す実施形態では、固定部材5は、頭部が下段開口部10Aにおいて断面狭窄部10Bの上に載るようになるまで、各開口部110A,111A,112Aを結合させることによって形成された開口11Aに嵌め込まれる。当接面9を形成する底部表面の上に載った状態の頭部7は、下段開口部10Aにおいて例えばY−Y’方向に摺動可能である(例えば下段開口部10Aが実質的に長手方向Y−Y’に伸びた長円形の場合でも同様)。開口4に対する頭部7の位置が決まった後は、1つ以上の押さえねじ8A,8Bを各開口部110A,111A,112Aにねじ込むことにより、頭部7が開口4に固定される。
図1〜図6に示す例とは異なり、当然のことながら、開口部110A,111A,112Aを実質的に異なるように、つまり雌ねじを切った輪郭部分をそれぞれ閉状態にし、プレート材料をその間に介在させて、それぞれ独立した開口部とすることも可能である。このように各開口部110A,111A,112Aが互いに連結していない場合でも、動作原理は同じである。なぜなら、上段開口部110A,111A,112Aはそれぞれ1つの下段開口部10Aへと開口しており、例えば下段開口部10Aが長円形であれば(図示のように)、頭部7をY−Y’方向に平行移動させることが可能だからである。
図1〜図6に示す変形例は、特にユーザから頭部7が常によく見えるので装置1が使用しやすく、好ましい。
図1〜図6に示すように、下段開口部10Aは長手方向Y−Y’に伸びる長円形状であり、上段開口部11Aは雌ねじ付き上段開口部110A,111A,112Aが一直線に並べられて互いに結合されたものであって、下段開口部10Aの直上に設けられていることが好ましい。上段開口部110A,111A,112Aの下に下段開口部10Aを設ける場合には、少なくとも図示する変形例において、上段開口部110A,111A,112Aの下に溝部12を形成して下段開口部10Aの断面を均一とし、頭部7が下段開口部内を摺動することができるようにする必要がある。
本発明はさらに、本発明の装置1を支持体2に固定する方法を提供する。また特に、本発明の装置1を支持体2に固定する方法であって、外科処置また治療を目的としていない方法を提供する。
特に、本発明は、装置1を支持体2に固定する方法に関する。この方法において、装置1は、開口断面を規定する少なくとも1つの開口4が設けられた組立部品3と、前記組立部品3を前記支持体2に固定する固定部材5とを備え、前記固定部材5は、軸部6と、前記軸部6の上にあって前記開口4に収容されるようになっている頭部7とを備え、前記開口4は、前記頭部7に当接する当接面9を構成するように形成され、前記開口4は、前記当接面9に支持された状態の前記頭部7が前記開口4内で実質的に前記開口4の断面において平行移動できるような形状および寸法となっている。
本発明によれば、この方法は、基端部5Bを形成する頭部7の開口4内での位置を決定する工程と、先端部5Aを形成する軸部6を支持体2に固定する工程とを備えている。
位置決め工程と固定工程は、同時に行ってもよいし、一方を先に行い、他方をその後に行ってもよい。
本発明の方法の重要な特徴によれば、前記方法は、開口4に収容される少なくとも1つのロックねじ8A,8Bを用いて頭部7と組立部品3とを固定する工程を含む。開口4は、ロックねじ8A,8Bがねじ込まれる少なくとも1つの雌ねじ4A,4Bおよび4Cを備えている。頭部7と組立部品3とを固定する工程は、ロックねじ8A,8Bが頭部7の上に載って頭部を当接面9に押し付けるようにロックねじ8A,8Bを雌ねじ4A,4B,4Cにねじ込むことを含む。
本発明の方法は、開口4に対して基端部5Bを移動させる工程を含むことが有利である。この工程において、基端部5Bは、開口4の断面上で、開口4に対して実質的に平行に移動する。
この方法によれば、部品3と支持体2との相対位置を精度よく調節することができる。このことは、この固定方法が例えば組立部品3を形成する骨接合プレート等の外科用装置1と骨材料で構成される支持体2とを固定する方法である場合には、非常に有用である。
移動工程は、固定工程の後に、組立部品3を支持体2に対して移動させることにより行われることが有利である。
以下に、橈骨先端である手首の骨折を整復する図1〜図6の装置1を利用する本発明の固定方法をさらに詳細に説明する。
まず、外科医によって、橈骨2に対するプレート3の位置決めが行われる。このとき、スパチュラ部3Bは骨端の関節表面のできるだけ近位に配置される。
その後、開口4にそれ自体で公知の穿孔ガイド(drilling guide)を固定し、骨2に外科用ねじ5をねじ込むための第1開口を形成する。
外科医は、プレート3が骨2に対して摺動可能となるように、当接面10Bに対してねじ5を締める。このとき、プレート3はねじ5と長円形の下段開口部10Aとの協働により、長手方向Y−Y’に摺動するように案内される。
この仮位置決め工程の最後に、外科医はスパチュラ部3Bに設けられた開口のうち、例えば中央開口13に穿孔ガイドを固定し、骨端部に開口を形成する。プレート3を長手方向Y−Y’に平行移動させることができるので、外科医は骨折の幅や位置、ならびに手首関節表面の輪郭を考慮しながら、この第2開口の位置を正確に調節することができる。
そして、この開口13に第2のねじがねじ込まれる。
この2箇所で固定を行うことにより、プレート3の位置を骨2に対して正確に調節することができる。その後、例えばさらに締結力を印加して、頭部7を当接面10Bに固定するように、ねじ5を開口4に完全に締め付ける。
当接面10Bが傾斜している場合(図9〜図11参照)、さらに締結力を印加することによって、骨2が開口13と開口4との間で圧縮された状態となる。
その後、押さえねじ8Aを用いて、ねじの頭部7を開口4および開口13に封止することができる。外科医は、開口4に対するねじ5の位置に応じて、図1および図6に示すように、開口4に使用する押さえねじ8A,8Bを1つにするか2つにするかを選択することができる。
頭部7を封止することは、圧縮力印加のために装置1の当接面9が傾斜している場合に特に適している(図9〜図11参照)。なぜなら、圧縮力に対して骨である支持体2が弾性的に元に戻ろうとする力によって頭部7が摺動するのを防止するには、開口4の適切な位置に頭部7をしっかりと固定する必要があるからである。
このように、本発明は支持体2に対して組立部品3を精度よく位置決めすることができ、任意に圧縮力を印加することができ、また固定部材5を組立部品3に封止することも可能である。