JP2008540327A - 核内受容体転写因子の分解を増強するための方法及び組成物並びにその使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、核内受容体(NR)又はSTAT転写因子タンパク質の分解を増強するための方法、組成物、化粧品組成物及び薬学的組成物を含む。本発明の方法、組成物、化粧品及び医薬品は、核内受容体活性化経路又はSTAT活性化経路に少なくとも部分的に影響される障害又は病状を予防又は治療するために用いられ得る。
Description
本出願は、2005年1月27日に出願された米国特許出願第11/045181号明細書、及び2004年9月2日に出願された米国特許仮出願第60/606678号明細書に対する優先権の利益を主張するものであり、各々、参照によりその全体が本明細書に援用される。本出願は、2004年1月28日に出願された米国特許仮出願第60/539753号明細書も参照により援用する。
本発明は、認可番号1R43 CA96189−01及び1R41 CA97647−01の、国立衛生研究所、国立癌研究所により付与された政府の後援とともになされた。米国政府は本発明における一定の権利を有し得る。
発明の分野
本発明は概して、医学の分野に、特に転写因子、特にアンドロゲン受容体(AR)、プロゲステロン受容体(PR)並びにエストロゲン受容体α及びβ(ER)といった核内ステロイドホルモン受容体の分解のための方法に、そしてその使用に関する。
本発明は概して、医学の分野に、特に転写因子、特にアンドロゲン受容体(AR)、プロゲステロン受容体(PR)並びにエストロゲン受容体α及びβ(ER)といった核内ステロイドホルモン受容体の分解のための方法に、そしてその使用に関する。
発明の背景
アンドロゲンは、標的細胞に進入して特異的なアンドロゲン受容体(AR)と結合することによりその機能を発揮し、アンドロゲン調節遺伝子の活性化をもたらす。男性循環アンドロゲンホルモンであるテストステロンは末梢組織の細胞において、5−アルファ還元酵素により、主要な細胞内アンドロゲンであるジヒドロテストステロン(DHT)に転化される。テストステロンからDHTへの転化を抑制するか(例えば5−アルファ還元酵素阻害剤)アンドロゲンとARとの間の結合を妨げる抗アンドロゲン剤が利用可能であるが、これらの抗アンドロゲン剤は副作用を引き起こすこともあり、治療を受けている男性ではインポテンスを引き起こす場合もあり得る。
アンドロゲンは、標的細胞に進入して特異的なアンドロゲン受容体(AR)と結合することによりその機能を発揮し、アンドロゲン調節遺伝子の活性化をもたらす。男性循環アンドロゲンホルモンであるテストステロンは末梢組織の細胞において、5−アルファ還元酵素により、主要な細胞内アンドロゲンであるジヒドロテストステロン(DHT)に転化される。テストステロンからDHTへの転化を抑制するか(例えば5−アルファ還元酵素阻害剤)アンドロゲンとARとの間の結合を妨げる抗アンドロゲン剤が利用可能であるが、これらの抗アンドロゲン剤は副作用を引き起こすこともあり、治療を受けている男性ではインポテンスを引き起こす場合もあり得る。
アンドロゲン誘導性のAR活性化経路は、多段階のプロセスであり(例えば、参照によりその全体が本明細書に援用されるLee and Chang(2003) J. Clin. Endocrinol. Metab., 88:4043−4054参照)、単にアンドロゲンとARとの結合に限定されないと考えられている。AR活性化経路はARタンパク質の発現及びARタンパク質の分解を包含し、そしてさらに、アンドロゲン−AR複合体(A−AR複合体)の形成、A−AR複合体のリン酸化、細胞質から核内へのA−AR複合体の移動、並びにA−AR複合体及びARコレギュレーター複合体(A−AR−ARA)の形成を包含する(例えば、参照によりその全体が本明細書に援用されるLin et al.(2002) EMBO J., 21:4037−4048参照)。核内では、アンドロゲン−AR−ARA複合体は、転写因子として機能して、アンドロゲンによって制御される遺伝子のプロモーター領域上のアンドロゲン応答エレメント(ARE)と結合し、そしてアンドロゲン応答性標的遺伝子の活性化(発現又は抑制)をもたらす通常の転写機構に関与する他の調節タンパク質を動員すると考えられる。
アンドロゲン受容体の二つのアイソフォーム(全長AR−B及びN末端がトランケートされたAR−A)は、多くの胎児及び成人のヒト組織中で免疫学的に検出可能な形態で発現される(Wilson and McPhaul (1996))。男性及び女性の胎児の生殖組織では高いARレベルが、そして胎児の非生殖組織では様々なARレベルが見られる。高いARレベルはまた、成人の生殖組織(前立腺、子宮内膜、卵巣、子宮、卵管、精巣、精嚢、子宮筋層及び射精管)でも見られ、そして低いレベルは成人の乳房、結腸、肺及び副腎組織で見られる。AR経路は、男性の生殖器官並びに非生殖器官(例えば筋肉、毛嚢及び脳)の発達及び正常な機能において特に重要である。これは、前立腺癌及びその他の癌、男性不妊症並びにケネディ病の病理を含むいくつかの疾患又は症状に関与する。
前立腺癌は、発生率及び有病率の点から見て、米国人男性における最も一般的な悪性腫瘍である。これは、米国において最も頻繁に診断される腫瘍であり、そして米国人男性の癌に関連する死亡の第二の主因である(Boring et al., 1992)。毎年180,000人を超える男性が前立腺癌に罹患しているが、これは女性における乳癌の場合とほぼ同数である。これにより1999年においては31,900人の米国人男性が死亡しており、これを上回るのは肺癌のみである。毎年の前立腺癌の発生率の増大は、米国人男性人口の高齢化と相関する。
前立腺癌細胞の増殖は、アンドロゲン受容体(AR)のアンドロゲン誘導性の活性化に依存していると考えられる。ほとんどの前立腺癌は、最初に診断される場合はアンドロゲンに依存しており(Heinlein and Chang 2004)、従って抗アンドロゲン剤で治療することができる。転移性前立腺癌のための有効な治療の一つはアンドロゲン遮断療法であり、これは外科的又は化学的な去勢を抗アンドロゲン治療と組合せて用いてアンドロゲンの生物学的作用を抑制するものである(Crawford et al., 1989)。しかしながらホルモンの枯渇に対する癌の反応期間中央値は18〜36ヶ月間に過ぎず、そして癌はほとんど常に再発し、アンドロゲン不応性になる。このような場合、患者は化学療法などの余り望ましくない療法を取らざるを得ない。場合によっては、抗アンドロゲン剤を変更すると再発性前立腺癌の進行が遅れることがある(Dupont et al., 1993、Taplin et al., 1999)が、これは、特定の抗アンドロゲン療法で再発する前立腺の腫瘍又は癌が別の抗アンドロゲン剤に応答する可能性があるということを示す。
ケネディ病(脊髄及び延髄の筋萎縮症、つまり球脊髄性筋萎縮症(「SBMA」)、又はケネディ症候群(例えば、2004年4月15日にアクセスしたhttp://www.emedicine.com/neuro/topic421.htmでオンライン利用可能な電子刊行物である、Paul E. Barkhaus (2003)、「Kennedy Disease」参照)としても知られている)は、世界中で40,000人に1人が罹患していると推定される稀なX連鎖劣性遺伝性神経筋疾患である。それは進行性であり、現在のところ難病で治療不可能である。脊髄及び延髄のニューロンの両方が冒され、身体全体で、最も顕著には四肢、並びに顔面及び咽頭で筋肉の衰弱及び萎縮を引き起こす。ケネディ病は、発話及び嚥下の困難、主要な筋肉の痙攣、並びにその他の症候を引き起こす。それは通常30〜50歳に現れる症候を伴う成人発症性疾患であるが、しかしそれより早い発病が認められている。この固有の遺伝子を有する男性のみがこの疾患の全表現型を発症するが、一方この遺伝子に関して異型接合性である女性は通常、無症候性のキャリヤである。場合によっては、ケネディ病に関して異型接合性である女性は無症状性の表現型の発現を示す。平均余命は通常影響を受けない。
ケネディ病は、AR遺伝子のN末端領域における異常に長いポリグルタミン伸長から成るアンドロゲン受容体の突然変異により引き起こされると考えられる。伸長したポリグルタミン反復を有する突然変異ARを有する細胞(例えばプラスミドp6RARQ49又はp6RARQ77を有する)の実験的トランスフェクションは、トランス活性化機能の低減と、そして場合によってはミスフォールドしたARタンパク質の核内封入と関連することが示されている(参照によりその全体が本明細書に援用される、Chamberlain et al. (1994) Nucleic Acid Res., 22:3181−3186)。異常ARのこの細胞内蓄積は細胞傷害性であり、ニューロン細胞の死を引き起こし、ケネディ病のin vivoでの病理と一致する。
Lee and Chang(2003) J. Clin. Endocrinol. Metab., 88:4043−4054 Lin et al.(2002) EMBO J., 21:4037−4048
Lee and Chang(2003) J. Clin. Endocrinol. Metab., 88:4043−4054 Lin et al.(2002) EMBO J., 21:4037−4048
発明の簡単な概要
本発明は、核内受容体又はSTAT転写因子タンパク質といった一つ又は複数の転写因子の活性に少なくとも部分的に影響される疾患又は病状を治療又は予防する新規な方法の必要性に応えるものである。
本発明は、核内受容体又はSTAT転写因子タンパク質といった一つ又は複数の転写因子の活性に少なくとも部分的に影響される疾患又は病状を治療又は予防する新規な方法の必要性に応えるものである。
従って本発明の一態様では、核内受容体活性化経路の作用を阻害又は低減する方法が開示され、当該方法には、核内受容体活性化経路を含む細胞を提供すること、そして所望の核内受容体の分解を誘導し、増強し、又は増大させることができる化合物を導入することが含まれる。核内受容体経路は、一つ又は複数の転写因子、コファクター、コレギュレーター、コリプレッサー又はシグナル伝達経路を含み得る。その各々は、開示される方法を用いて作用を及ぼされ得る。核内受容体の分解は、転写因子又はコファクターのリン酸化の妨害、転写因子又はコファクターの二量体化(ホモ二量体化又はヘテロ二量体化)の妨害、転写因子とコファクターとの間の結合の妨害、転写因子又はコファクターの核移行の妨害等を包含し得る。
本発明の別の態様では、STAT活性化経路の作用を阻害又は低減する方法が開示され、当該方法には、STAT活性化経路を含む細胞を提供すること、そしてSTAT転写因子タンパク質の分解を誘導し、増強し、又は増大させ得る化合物を導入することが含まれる。
本発明の他の態様では、種々のメカニズムのうちの任意の一つ又は複数により転写因子、核内受容体又はSTAT転写因子タンパク質の分解を増強するか又は増大させることで核内受容体活性化経路又はSTAT活性化経路の作用を調整し得る、薬学的組成物又は化粧品組成物が提供される。
本発明の別の態様では、病状又は病状の原因もしくは症候を治療する方法が開示され、当該方法には、核内受容体又はSTAT転写因子タンパク質といった転写因子の分解を増強又は誘導し得る化粧品組成物又は薬学的組成物を、核内受容体に関連した又はSTATに関連した病状に罹患しているか又は発症する危険のある個体に投与することが含まれる。開示される医薬品又は化粧品で治療され得る状態の非限定的な例としては、男性不妊症、ケネディ病、前立腺癌、乳癌、肝臓癌、膀胱癌、良性前立腺過形成、座瘡、脱毛症、多毛症、露出した創傷、及び望ましくない妊娠が挙げられる。
図面の簡単な説明
図1は、ミドリザル腎細胞であるCV−1(図1A)及びヒト前立腺癌細胞であるLNCaP(図1B)を用いた実施例2に記載される、アンドロゲン受容体トランス活性化分析の結果のグラフを示している。図1Aでは、レポーター遺伝子としてMMTVを、そして内部トランスフェクションコントロールとしてpRLを利用して、アンドロゲンを発現しないCV−1細胞を野生型アンドロゲン受容体発現ベクターでトランスフェクトした。DHTを1nMで添加し、化合物JC9を0uM〜7.5uMの種々の濃度で与えた。細胞溶解物を回収し、酵素活性を分析し、そして相対ルシフェラーゼ活性のパーセント(%)を用いて結果を比較した。図1Aのグラフに示したように、化合物JC9は、用量に依存して、DHT誘導性アンドロゲン受容体転写活性化を阻害し得た。図1Bでは、突然変異アンドロゲン受容体を発現するLNCaP細胞をMMTV及びprLでトランスフェクトした。図1Aにおけるように、DHTを1nM与え、そして化合物JC9を0uM〜7.5uM与えた。ここでも、用量に依存したLNCaPアンドロゲン受容体トランス活性化の阻害が、JC9化合物とともにインキュベートした細胞で見られた。
図2は、JC9で処理したLNCaP細胞における細胞成長(増殖)及びアンドロゲン受容体発現レベルのグラフを示す。LNCaP細胞を平板培養し、二日間インキュベートした。JC9及びヒドロキシフルタミド(HF)を別々に、DHTの存在下及び非存在下で、5uMの最終濃度で培地に添加した。図2Aでは、結果は、DHTが培養中のLNCaP細胞の成長を促す一方で、JC9はDHTの存在の有無に関わらず細胞の成長を有意に阻害するということを実証している。他方で、HFはいずれの条件でも細胞の成長を中程度に阻害するだけである。図2Bは、JC9試料についての標準化したアンドロゲン受容体シグナルを、ベースライン(0日目)値のパーセンテージとして示す。JC9と培養した細胞から回収した細胞溶解物(図2A)及びAR発現をウェスタンブロットにより検出した。データは、JC−9により誘導されたLNCaP細胞におけるAR発現の阻害が細胞成長の阻害と相関関係があるということを示した。
図3は、DHTの存在下又は非存在下でJC15とともに20時間培養したLNCaP細胞溶解物のウェスタンブロット分析を示す。データは、JC15はDHTの存在の有無に関わらずAR、PR及びPSAタンパク質の発現を低減したが、GR、ER、PPAR、RXR、HSP及びアクチンといった他のタンパク質の発現には影響を及ぼさないということを実証した。
図4は、アンドロゲン受容体を分解するJC9の能力の特異性を実証するT47D(ヒト乳癌)細胞溶解物のウェスタンブロット分析を示す。データは、JC9がアンドロゲン受容体(AR)の発現を選択的に低減することを実証した。他の受容体タンパク質、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ及びβ(PPARγ、PPARβ)、レチノイドX受容体α(RXRα)、エストロゲン受容体α及びβ(ERα及びErβ)、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)、熱ショックタンパク質70(HSP70)並びにアクチンの発現は影響を受けなかった。
図5は、化合物JC9及びタンパク質合成阻害剤であるシクロヘキシミドに曝露した場合のLNCaP細胞溶解物のウェスタンブロット分析を示す。タンパク質合成阻害剤の存在下での経時的なアンドロゲン受容体の低減は、JC9がARタンパク質の分解を増強することを示す。
図6は、実施例5に詳細に記載する、プラスミドGFPARQ49(レポーターとしてのグリーン蛍光タンパク質及び突然変異アンドロゲン受容体Q49を含む)でトランスフェクトしたサル腎臓COS−1細胞の蛍光顕微鏡写真である。トランスフェクトした細胞を賦形剤のみ(コントロール)又は試験化合物JC9で処理した。グリーン蛍光タンパク質(GFP)及びヨウ化プロピジウム(PI)のための蛍光イメージング条件下で顕微鏡写真を撮影した。コントロールの細胞は大量の蛍光封入体又は蛍光凝集体を含有していた。JC9で処理した細胞は実質的により少量の蛍光封入体を含有していたが、これは、突然変異Q49アンドロゲン受容体の発現がJC9処理により阻害されたか又は分解されたことを示唆する。
図7は、実施例6で詳細に記載される、試験化合物JC15(担体基材中1マイクロモラー)を座瘡に罹患した有志男性の前額部へ局所的に塗布した結果見られた、皮膚状態の代表的な明らかな改善を実証する写真である。図7Aは、JC15による処理を開始する前の有志者の前額部を示す。図7Bは、JC15による局所的処理の一月後の同じ有志者の前額部を示す。
図8は、実施例7で詳細に記載されるように処理されたファジーラットの代表的な写真である。ファジーラットを、示した時間の間、賦形剤のみ(左側の動物)又はJC9(25マイクロモラー、右側の動物)を含有するクリームで局所的に処理した。写真は、JC9で処理したファジーラット(右側の動物)において皮脂腺の帯域が4〜5週間以内に低減されたということを示す。
図9は、ファジーラットの皮膚における皮脂腺の腺管及び腺葉のサイズの代表的な写真(図9A〜図9B)及びグラフ(図9C〜図9E)である。皮膚組織の試料(分層した皮膚)を調製し、顕微鏡で観察した。図9A〜図9Bは、賦形剤コントロール(図9A)又は化合物JC9(図9B)による処理を行った際の皮脂腺の腺管及び腺葉を示す写真である。図9Cでは、良好に保存された腺葉の領域から腺葉の縁をトレースし、次にImage Jソフトウエアで定量して、トレースした領域内に含まれるピクセル数として表すことにより、腺葉のサイズを測定した。得られたデータは、皮脂腺葉のサイズが雄のファジーラットにおいては雌の約二倍であるということを示した。賦形剤のみ(コントロールのクリーム)による局所的な処理は、腺葉のサイズに有意の変化を生じさせなかった。試験化合物JC15及びJC9による雄ラットの局所的な処理は皮脂腺葉のサイズを低減し、JC15により引き起こされる減少は去勢により生じる減少とほぼ等しかった。図9D及び図9Eは、賦形剤クリーム中のJC9を皮膚に塗布すると雄ファジーラットの皮脂腺の腺葉及び腺管のサイズが有意に低減されたことを示す代表的なデータを示す。
図10Aは、実施例8に詳細に記載される、脱毛症(体毛損失又は頭髪脱毛)の動物モデルの研究の結果を示す。6週齢の雄C57BL/6Jマウスを電気バリカンで剃毛し、次に除毛クリームで処理した。左側の2頭のマウス(「賦形剤#1」及び「賦形剤#2」と表示)により代表されるマウスの第一群は、剃毛し、エタノールのみで処理した。右側の2頭のマウス(「テストステロン#1」及び「テストステロン#2」と表示)により代表されるマウスの第二群は、剃毛し、午前中にテストステロン/エタノール溶液で、そして午後にコントロールの溶液で処理した。20日の処理期間の終了時にマウスの写真を撮影した。エタノール賦形剤のみ(テストステロン無し)で処理したマウスは、20日間の局所的処理の後に剃毛領域の体毛が迅速に再成長した。テストステロンで処理したマウスは、20日間の局所的処理の後に剃毛領域の体毛はほとんど又は全く再成長しなかった。図10Bは、実施例8に詳細に記載される、脱毛症(体毛損失又は頭髪脱毛)の動物モデルの研究のさらなる結果を示す。6週齢の雄C57BL/6Jマウスを電気バリカンで剃毛し、次に除毛クリームで処理した。第一群のマウス(「テストステロン#1」及び「テストステロン#2」と表示されるマウスにより代表される)は、剃毛して、午前中にテストステロンで、そして午後にコントロールの溶液で20日間局所的に処理した。第二群のマウス(「JC9/テストステロン#1」及び「JC9/テストステロン#2」と表示されるマウスにより代表される)は、剃毛し、午前中にテストステロンで、そして午後にJC9で20日間局所的に処理した。午前中にテストステロンを局所的に塗布し、午後にコントロールの溶液のみを塗布したマウスは、20日間の処理の後に剃毛領域の体毛はほとんど又は全く再成長しなかった。午前中にテストテロンを局所的に塗布し、午後にJC9を塗布したマウスは、8日目に体毛の成長を示し、そして20日間の局所的なJC9の処理の後に剃毛領域の体毛が完全に再成長した。これらの結果は、JC9の局所的塗布が動物モデルにおけるテストステロン誘導性の体毛成長抑制を克服し得ることを実証している。
図11は、200万個のLNCaP細胞を接種したヌードマウスの写真である。マウスにJC9又は賦形剤コントロールのいずれかを7週にわたって週3回腹腔内注射した。7週間後、腫瘍を切除して計量した。JC9処理したヌードマウスは、賦形剤コントロールで処理したマウスから切除した腫瘍と比較して75%減少した腫瘍サイズを示したが、これは、JC9化合物がin vivoでの腫瘍細胞の増殖を阻害し得ることを示している。
発明の詳細な説明
本発明は、レポーター遺伝子の活性を測定する細胞ベースの機能的な分析系を用いて、核内受容体経路(又はアンドロゲン誘導性アンドロゲン受容体(AR)活性化経路)を阻害する新規な化合物を同定する。好ましくはこれらの新規な化合物は、従来の5−アルファ還元酵素阻害剤又はアンドロゲン−AR結合阻害剤の場合とは異なる阻害メカニズムを介してそれらの抗ホルモン活性を発揮する。活性のある新規な化合物は同定されており、例えばウコン植物であるCurcuma longaから精製される天然化合物クルクミン(ジフェルロイルメタン)の化学的誘導体及び類似体が含まれるが、これらに限定されない(例えば、参照によりその全体が本明細書に援用されるOhtsu H. et al. (2002), J. Med. Chem., 45:5037−5024参照)。これらのクルクミン誘導体の非限定的な例としては、JC系の化合物、例えばJC9(5−ヒドロキシ−1,7−ビス(3,4−ジメトキシフェニル)−1,4,6−ヘプタトリエン−3−オン)及びJC15(7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−4−[3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)アクリロイル]−5−オキソ−ヘプト−6−エン酸エチルエステル)が挙げられ、その構造及び調製は、参照によりその全体が本明細書に援用されるOhtsu et al. (2002), J. Med. Chem., 45:5037−5042及びOhtsu et al. (2003) Bioorg. Med. Chem., 11:5083−5090に記載されている。元の天然物質であるクルクミンとは異なり、これらの新規な誘導体は、薬理学的に可能な用量で有意のin vitro及びin vivoでの抗アンドロゲン活性を有する。
本発明は、核内受容体の特異的分解が核内受容体活性化経路の作用を調整するための新規な且つ有用なメカニズムであると認めるものである。本発明は、アンドロゲン受容体及びプロゲステロン受容体などのステロイドホルモン受容体といった、しかしこれに限定されない核内受容体の活性に少なくとも部分的に影響される疾患状態を予防及び治療するための新しい治療アプローチの必要性に応じ、それを提供する。本発明は、被験者におけるこのような疾患状態を治療又は予防するための方法を提供する。本発明は、このような疾患状態及び障害の治療又は予防に有用な化合物のスクリーニング方法も提供する。本発明はさらに、このような疾患状態の治療又は予防に有用な組成物を提供する。
本発明の範囲への非限定的な導入として、本発明は、以下のものを含むいくつかの有用な態様を含む。
1.核内受容体又はSTAT転写因子タンパク質の分解を増強又は誘導する方法。
2.核内受容体又はSTAT転写因子タンパク質の分解を増強又は誘導することが可能で、それにより、核内受容体又はSTAT転写因子タンパク質の活性に少なくとも部分的に影響される疾患状態の原因又は症候を予防又は治療する薬学的組成物又は化粧品組成物。
3.核内受容体又はSTAT転写因子タンパク質の分解を増強又は誘導することにより、核内受容体又はSTAT転写因子タンパク質の活性に少なくとも部分的に影響される病状又は疾患状態の原因又は症候を予防又は治療するための方法。
1.核内受容体又はSTAT転写因子タンパク質の分解を増強又は誘導する方法。
2.核内受容体又はSTAT転写因子タンパク質の分解を増強又は誘導することが可能で、それにより、核内受容体又はSTAT転写因子タンパク質の活性に少なくとも部分的に影響される疾患状態の原因又は症候を予防又は治療する薬学的組成物又は化粧品組成物。
3.核内受容体又はSTAT転写因子タンパク質の分解を増強又は誘導することにより、核内受容体又はSTAT転写因子タンパク質の活性に少なくとも部分的に影響される病状又は疾患状態の原因又は症候を予防又は治療するための方法。
本発明のさらなる目的及び利点は、この説明の進行に従って、また添付の図面と共に解釈されることにより明らかになっていくであろう。本発明の範囲を完全に理解するために、本発明の種々の態様が本発明の望ましい実施形態を形成するために組合わされ得るということをさらに認識されたい。
本出願全体を通して種々の文献が参照される。これらの文献の開示は、その全体が本出願において参照により本明細書に援用される。これらの文献の引用は、それらの全てが関連先行技術であると認められたことを意図しているわけではない。これらの文献の日付に関する記述又は内容に関する説明は全て本出願人が入手可能な情報に基づいており、これらの文献の日付又は内容の正確性に関するいかなる承認も構成するものではない。
別途定義しない限り、本明細書中で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野において通常の技術を有する者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。通常、本明細書中で用いられる命名法及び下記の製造手順又は実験手順は当該技術分野で既知であり、一般に用いられる。本明細書中で用いられる技術用語は、種々の技術辞典により例示されるような、それらが用いられる技術分野におけるそれらの通例の意味を有する。用語が単数形で用いられる場合、本発明者はその用語の複数形も意図する。本明細書中で用いられる命名法及び下記の手順は、当該技術分野で既知であり一般に用いられるものである。参照により援用される参考文献中で用いられる用語及び定義に相違点が存在する場合、本出願で用いられる用語は本明細書中で示される定義を有する。本明細書中で用いられる他の技術用語は、種々の技術辞典により例示されるような、それらが用いられる技術分野におけるそれらの通例の意味を有する(例えばChambers Dictionary of Science and Technology, Peter M. B. Walker (editor), Chambers Harrap Publishers, Ltd., Edinburgh, UK, 1999, 1325 pp.)。本発明者は作用の機構又は様式を限定することを意図していない。それらについての言及は例示のみを目的としたものである。
I.転写因子の分解を増強するための方法
本発明は、核内受容体(NR)又はSTAT転写因子タンパク質の分解を増強するか又は増大させる方法を含む。従って本発明の方法は、核内受容体活性化経路もしくはSTAT活性化経路又はその両方を阻害し得る。本方法は、核内受容体経路又はSTAT活性化経路を含む細胞を提供すること、及び核内受容体又はSTAT転写因子タンパク質の分解を増強することができる化合物を導入することを含み得る。
核内受容体(NR)は、リガンドに応答して標的遺伝子の転写を活性化する転写因子である。NRは典型的にはI型、II型及びIII型に分けられる。I型核内受容体としては、古典的ステロイド受容体(アンドロゲン受容体(AR)、エストロゲン受容体α及びβ(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、糖質コルチコイド受容体(GR)、並びに鉱質コルチコイド受容体(MR))が挙げられる。II型核内受容体は9−シス−レチノイン酸受容体(RXR)と二量体化するもので、ビタミンD受容体(VDR)、甲状腺ホルモン受容体(TR)、トランス−レチノイン酸受容体(RAR)、及びペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)が挙げられる。III型としては、オーファン核内受容体(ONR)が挙げられる。
本発明の方法は、核内受容体の分解が所望される、目的の任意の一つ又は複数の核内受容体又は転写因子に適用され得る。目的の転写因子としては、上記のI型、II型及びIII型核内受容体、ステロイドホルモン受容体、甲状腺ホルモン受容体様因子、STAT転写因子、熱ショック因子等が挙げられる。適切な転写因子のリストは、例えば、参照によりその全体が本明細書に援用される、www.gene−regulation.com/pub/databases/transfac/cl.html(2004年8月27日にアクセス)で利用可能な真核生物転写因子データベースTRANSFAC(登録商標)により得ることができる。特に興味深い核内受容体としては、アンドロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エストロゲン受容体(α及びβ)、糖質コルチコイド受容体、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)、9−シス−レチノイン酸受容体(RXR)、全てのトランス−レチノイン酸受容体(RAR)及びオーファンステロイドホルモン受容体といったステロイドホルモン受容体が挙げられる。
レチノイド型のほとんどがRARファミリーメンバーを活性化するが、RXRファミリーメンバーは、9−シス−レチノイン酸によってのみ活性化される。RARα,RARβ及びRARγを含むRARファミリーメンバーは、全てのトランス−レチノイン酸に対して高い親和性を有し、甲状腺ホルモン受容体、ビタミンD3受容体及びエクジソン受容体と同じクラスの核内転写因子に属する。ヒトRARα遺伝子は17番染色体に位置する。
本方法は、無細胞調製物又は単離核内受容体を用いた分析といった非細胞ベースのスクリーニングに、分析のためにin vitro培養で増殖した細胞といった単離細胞に、又は無傷の生きている被験体に適用することができる。適切な被験体としては、研究、農業又は経済上の関心を有する哺乳類、例えば齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、及びヒト以外の霊長類が挙げられる。被験体にはあらゆる年齢、性別又は身体条件のヒト被験者が含まれる。特に興味深い被験者としては、ステロイドホルモン受容体(例えばアンドロゲン受容体、プロゲステロン受容体又はエストロゲン受容体)などの核内受容体の活性に少なくとも部分的に影響される単数又は複数の疾患状態を有するかその危険があると診断されたヒト被験者が挙げられる。このような疾患状態としては、癌(例えば前立腺癌、肝臓癌、膀胱癌、及びアンドロゲン受容体活性化経路が関与するその他の癌、並びにアンドロゲン受容体及びエストロゲン受容体の影響を受ける乳癌)、神経障害及び神経筋障害(例えばアンドロゲン受容体の影響を受けるケネディ病)、皮膚障害(例えば皮脂腺のアンドロゲン誘導性AR活性化により引き起こされる座瘡)、毛髪障害(例えば、体毛損失がひとつには毛嚢及び隣接細胞中のアンドロゲン受容体によって引き起こされる、アンドロゲン性脱毛症又は「男性型脱毛症」)、並びに創傷治癒(炎症が、アンドロゲンに応答するアンドロゲン受容体の影響を受ける)が挙げられるが、これらに限定されない。被験体としては、妊娠が望ましくない雌の動物又は妊娠したくない妊娠適齢期の女性も挙げられ、この場合、妊娠の防止又は死産の誘導にプロゲステロン受容体の分解が有用であり得る。
本方法は、ステロイドホルモン受容体といった、しかしこれに限定されない核内受容体(NR)の分解率を増強し、誘導し又は増大させ得る一つ又は複数の化合物を投与することを含み得る。一つ又は複数の化合物は、核内受容体分解の一つ又は複数のメカニズムを用いて作用し得る。好ましくは、一つ又は複数の化合物を投与すると、他の標的でない転写因子又は核内受容体のレベル又は活性を実質的に変化させることなく、標的の核内受容体を特異的に分解する。
異なる程度で、又は標的の組織又は細胞型において、標的の核内受容体又はSTAT転写因子タンパク質の分解を誘導又は増強することが望ましい。例えば、異なる組織又は細胞型は所与のステロイドに対して異なる程度の応答性を有するので、一つの組織又は細胞型では適切なステロイドホルモン受容体の分解を誘導又は増強するが別の組織又は細胞型ではそうではないのが望ましい場合があり、或いは、標的のステロイドホルモン受容体を組織又は細胞型に従って異なる「閾値」又はレベルまで下げるのが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、本方法は、所定の組織又は細胞型において標的の核内受容体を分解するのに十分な量の一つ又は複数の化合物を投与し、それにより標的の核内受容体を所望のレベル(例えば標的の核内受容体がアンドロゲン受容体である場合、所望のアンドロゲン受容体レベルは循環アンドロゲンに対して実質的に非応答性であるレベルであり得る)に下げることを含み得る。
本発明の方法は、核内受容体の分解を誘導し、増大させ、又は増強するための一つ又は複数の任意の適切なメカニズムを用い得る。これらのメカニズムとしては、核内受容体の核内への移動を妨害することもしくは核内受容体を細胞の細胞質中に維持すること、プロテアーゼ活性を誘導することができる核内受容体内のモチーフを露出させること、核内受容体を分解することができるプロテアーゼの活性を増大させること、核内受容体の安定化を阻害すること、核内受容体の溶解性を低減すること、核内受容体を分解することができる経路を活性化すること、核内受容体のユビキチン化を増大させること、適切なキナーゼによる核内受容体のリン酸化を増大させること(例えばアンドロゲン受容体の場合、少なくとも場合によってはアンドロゲン受容体をリン酸化するAktキナーゼを活性化することにより、受容体のユビキチン化とその後のプロテアソームによる分解をもたらす(例えば、参照によりその全体が本明細書に援用される、Heinlein and Chang (2004) 及び Lin et al. (2002), EMBO J., 21:4037−4048参照))、アポトーシスを誘導すること、又は核内受容体と核内受容体を安定化することができるコファクターとの間の相互作用を低減することが挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態では、本発明の方法は、核内受容体の核内への移動を妨害することにより、核内受容体の分解を誘導又は増強する。例えばアンドロゲンが結合したアンドロゲン受容体は細胞質から核に移動し、そこでジンクフィンガーモチーフを用いて遺伝子を調節する。移動を遮断される場合又は細胞質内に維持される場合、アンドロゲン受容体はタンパク質分解を受け、従って核DNAに作用することができない。
別の実施形態では、本発明の方法は、プロテアーゼの存在下でタンパク質分解を誘導することができる部位又はモチーフを核内受容体内で露出させることにより、核内受容体の分解を増強又は誘導する。このような露出は、核内受容体内でのドメインの立体配座の変化を誘導すること、例えば化合物を核内受容体と結合させること又は核内受容体のドメインをリン酸化することにより起こり得る。例えばアンドロゲン受容体の場合、PEST(プロリン、グルタミン酸、セリン及びトレオニンに富んだ)モチーフは、E3リガーゼMdm2の存在下でユビキチン依存性のタンパク質分解を誘導することができると同定され、アンドロゲン受容体のヒンジ領域に見出されている(参照によりその全体が本明細書に援用されるLin et al. (2002), EMBO J., 21:4037−4048)。Mdm2のようなリガーゼの存在下でPESTのようなモチーフを露出することができる化合物は、アンドロゲン受容体の分解を誘導又は増強してアンドロゲン受容体活性化経路を阻害し得る。別の実施形態では、適切な核内受容体特異的プロテアーゼの活性を増大させると、核内受容体の分解の増大を誘導又は増強し得る。
別の実施形態では、本発明の方法は、核内受容体の安定化を防止又は低減することにより核内受容体の分解を誘導又は増強する。安定化の防止又は低減は、二つ以上の核内受容体の間の相互作用を阻害するか、核内受容体とコファクターとの間の相互作用を防止又は低減することにより起こり得る。一例では、アンドロゲン受容体は別のアンドロゲン受容体と二量体化し、それにより受容体の安定性を増大させると考えられる。二量体化は受容体のアミノ末端間の相互作用により起こり得る。例えばアミノ末端ドメイン又はその付近に結合することにより二量体化を低減するかなくすことが可能な化合物を投与することによる二量体化の防止は、アンドロゲン受容体の分解を誘導又は増強することができ、従ってアンドロゲン受容体活性化経路を阻害する。別の実施形態では、核内受容体とコファクターとの間の相互作用は妨害され、それにより核内受容体の分解を誘導し得る。一実施形態では、本発明は、核内受容体とSTAT(シグナル伝達性転写活性化因子)タンパク質との間の相互作用を妨害する。
別の実施形態では、本発明の方法は、安定化コファクターと核内受容体との結合を阻害又は低減することにより核内受容体の分解を誘導又は増強する。例えばステロイド受容体コアクチベーター1(SRC−1)は、アンドロゲン受容体のアミノ末端及びDNA結合ドメイン(DBD)に結合すると考えられるコファクターである。例えばSRC−1とアンドロゲン受容体との間の結合部位を直接的もしくは間接的に遮断すること又はSRC−1もしくはアンドロゲン受容体との結合に関して競合することにより、SRC−1の結合を阻害又は低減し得る化合物は、アンドロゲン受容体のSRC−1の安定化を防止又は低減してアンドロゲン受容体の分解率を増大させ得る。
別の実施形態では、本発明の方法は、核内受容体のドメインを不安定化させることにより核内受容体の分解を誘導又は増強する。例えば、アンドロゲン受容体のAF−2ドメインは、受容体の全体の構造を安定化してアミノ末端ドメインをコレギュレーターと相互作用させるということが、いくつかの研究により示唆されている。例えばAF−2ドメインもしくはそれ自体がAF−2ドメインと相互作用するドメインと相互作用又は結合することによりAF−2ドメインを不安定化させることができる化合物は、アミノ末端ドメインの安定化を低減し、コレギュレーターとの相互作用を低減し、そしてアンドロゲン受容体の分解率を増大させ得る。
別の実施形態では、本発明の方法は、核内受容体を分解することができる経路を活性化することにより、核内受容体の分解を誘導又は増強する。例えば、カスパーゼ−3経路は、アンドロゲン受容体の分解を誘導することが示唆されている(Lee and Chang (2003))。カスパーゼ−3経路の活性化は、腫瘍抑制因子である、ホスファターゼとテンシンのホモログであるPTENの存在により、例えば、細胞質におけるARの維持をもたらすと考えられている、ARのDNA結合ドメインとPTENホスファターゼドメインとの間の相互作用などにより起こり得る。従ってカスパーゼ−3経路を誘導又は増強することができる化合物は、アンドロゲン受容体の分解を誘導又は増強し得る。別の例では、アンドロゲン受容体をリン酸化するAktキナーゼは活性化され、ユビキチン化とそれに続くプロテアソームによるアンドロゲン受容体の分解をもたらす(Heinlein and Chang 2004)。
本発明のいくつかの態様では、STATの相互作用は低減又は阻害される。本方法としては、STATのリン酸化を阻害すること、STATの二量体化を低減又は阻害すること、STATと核内受容体との間の結合を低減又は阻害すること等が挙げられるが、これらに限定されない。従って本発明は、STATシグナル伝達経路を標的とするか又は低減する方法を包含する。
STAT(シグナル伝達性転写活性化因子)タンパク質は、サイトカイン、ホルモン核内受容体及び成長因子シグナルの伝達に関与する潜在的な細胞質転写因子のファミリーである。STAT転写因子タンパク質は、細胞増殖、分化、アポトーシス、胎児の発達、形質転換、炎症及び免疫応答といった多様な生物学的プロセスを広く仲介する。転写因子のSTATファミリーの7つのメンバー、STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5a、STAT5b及びSTAT6が、哺乳類細胞で同定されている。
STAT転写因子タンパク質の少なくともいくつかは、インターフェロンIL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−11、IL−12、IL−13、成長ホルモン(GH)、プロラクチン(PRL)、エリスロポエチン(EPO)、トロンボポエチン、及び腫瘍壊死因子(TNF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)によりそれら自体が活性化される、Janusスーパーファミリーチロシンキナーゼ(JAK)により活性化される。STATは、カルボキシ末端部分の一つのチロシン残基上でリン酸化されると考えられる。修飾されたSTATは、一方のSTATのホスホチロシンともう一方のSH2ドメインとの間の相互作用を通してホモ二量体又はヘテロ二量体を形成する。二量体化の後、核内受容体様のSTATは核に移動し、特定の調節エレメントと相互作用して標的遺伝子の転写を誘導又は増強する。STAT転写因子タンパク質の二量体化を妨害するか又はJAKによるSTATのリン酸化を妨害することにより、本発明の方法はSTATの作用を低減するか、又はSTATの分解を増強もしくは誘導し得る。
STAT1は、TNFR1−TRADDシグナル伝達複合体に関与すると考えられる。Hela細胞では、STAT1はTNFR1−シグナル伝達分子として作用し、NF−kBの活性化を抑制する。その活性化が増殖を遅らせ、アポトーシスを促進するということも示されている。リン酸化の後、STAT1及びSTAT2は、STAT1のホモ二量体よりも強力な転写誘導物質として機能するヘテロ二量体を形成する。STAT1は、転写因子p48、Sp1及びp300と協働することが知られている。ヒトSTAT2のcDNAは、113kDaの予測分子量を有する851アミノ酸のタンパク質をコードする。STAT2は、インターフェロン依存性の様式でI型IFN受容体のベータサブユニットと協働する。STAT2のカルボキシ末端領域の独自の酸性ドメインは、cAMP応答エレメント結合タンパク質と相互作用し得る。STAT3はIFN−アルファにより活性化されるが、IFN−ベータによっては活性化されないことが示されている。STAT3と協働する転写因子は、c−Jun及びサイクリックAMP応答性エンハンサー結合タンパク質(CREB)である。STAT4は、細胞媒介性免疫の主要なサイトカイン調節因子であるインターロイキン−12で細胞を処理すると活性化される。STAT4はまたIFNアルファ/ベータによっても活性化される。STAT4ノックアウトマウスでは、リンパ球はもはやIL−12に応答して増殖せず、IFNガンマを産生せず、又はナチュラルキラー細胞の細胞傷害性を発現しない。STAT5a及びSTAT5bはともに、インターロイキン−7誘導性のB細胞前駆体の増加を調節する。NF−kB仲介性シグナル伝達の阻害により実証されるように、STAT5bは転写阻害剤としても作用し得る。NF−kBのシグナル伝達に対するこのSTAT5b仲介性の阻害作用はSTAT5b−DNA相互作用に依存しないが、STAT5bのカルボキシル末端、並びにSTAT5bの核への移動及び/又は蓄積を要し、このことは、STAT5bが標的プロモーターのNF−kB仲介性活性化に必要な核内因子に関して競合しているということを示唆している。STAT5はインスリン受容体の生理学的基質であると理論上想定されている。STAT5は、プロラクチン誘導性のミルクタンパク質遺伝子活性化の必須のメディエーターであることが示されている。STAT6は、インターロイキン−4(IL−4)、IL−13及びIL−3により活性化されることが示されている。STAT6を欠いたノックアウトマウスでは、Bリンパ球はIL−4に応答した増殖及び成熟ができず、そしてT−リンパ球の分化及び増殖が低下する。STAT6は、IL−3、IL−4、上皮成長因子(EGF)による適切な細胞株の刺激により迅速にチロシンリン酸化されるが、IL−2、IL−12又はエリスロポエチンによる刺激によっては検出可能な程にはリン酸化されない。
STATの作用の阻害又は低減は、免疫応答又は核内受容体に関連する障害に関与する種々の分子の選択的阻害を可能にする。例えば、本発明は、IL−1(α及びβ)、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−11、IL−12、IL−13、成長ホルモン(GH)、プロラクチン(PRL)、エリスロポエチン(EPO)、トロンボポエチン、並びに顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、上皮成長因子(EGF)、NF−kB、腫瘍壊死因子(TNF)等の刺激作用を一部相殺し得る。本出願は、サイトカインによる刺激、又は微生物、微生物試料もしくは抗原への曝露といった、しかしこれに限定されない他の刺激によって起こる炎症の防止に特に有用性を有する。
II.転写因子の分解を誘導する組成物
本発明はまた、転写因子、核内受容体又はSTAT転写因子タンパク質の分解を誘導し、それにより転写因子又は核内受容体の活性に少なくとも部分的に影響される疾患状態の原因又は症候を予防又は治療することができる、薬学的組成物又は化粧品組成物も包含する。目的の転写因子としては、ステロイドホルモン受容体、甲状腺ホルモン受容体様因子、STAT転写因子、熱ショック因子等が挙げられる。特に興味深い転写因子としては、アンドロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エストロゲン受容体(α及びβ)、糖質コルチコイド受容体、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)、9−シス−レチノイン酸受容体(RXR)、トランス−レチノイン酸受容体(RAR)及びオーファンステロイドホルモン受容体といったステロイドホルモン受容体が挙げられる。特に興味深いステロイドホルモン受容体としてはアンドロゲン受容体及びプロゲステロン受容体が挙げられるが、これらに限定されない。特に興味深い組成物は、アンドロゲン受容体、エストロゲン受容体又はプロゲステロン受容体といった、しかしこれに限定されないステロイドホルモン受容体の特異的分解を増強又は誘導することができるものである。本発明の組成物は、転写因子の分解を誘導又は増強するための任意の一つ又は複数の適切なメカニズムによりそれらの活性に作用し得る。適切なメカニズム及びこれらのメカニズムを例証する非限定的な実施形態は、上記の「I.転写因子の分解を増強するための方法」という見出しの節に詳細に記載されている。
本発明の組成物は、適切な担体中に一つもしくは複数の活性化合物又はそれらの有効な変化物を包含し得る。目的の転写因子の分解を増強又は誘導することができるものであれば、任意の適切な活性化合物が有用であり得る。好ましくはこれらの化合物は、生理学的に許容可能なレベル、例えば望ましくない副作用又は毒性を生じさせないレベルで、目的の転写因子の分解の増強又は誘導に対して効果的である。活性化合物は、安定性、溶解性又は送達特異性の改善といったさらなる利点をもたらす、一つ又は複数の成分を任意に含み得る。このような成分としては、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、核酸、親油性部分、親水性部分、微粒子、母剤、又はそれらの組合せが挙げられる。例えば、活性化合物は、共有結合又は非共有結合で親水性部分(例えばリン酸基もしくは硫酸基又は炭水化物又はキレート分子)と結合して、水性緩衝液又は体液における溶解度を改善することができる。別の実施例では、活性化合物又はその活性断片は、毒性又は細胞傷害性を低減するよう処理され得る。別の実施例では、活性化合物は、時期尚早な分解から活性化合物を保護するペプチドもしくは他の部分に、又は、所望の組織もしくは細胞型を特異的に標的化してその特定の組織もしくは細胞型への活性化合物の送達を改善する、抗体もしくは他の特異的結合剤に、共有結合又は非共有結合で結合させることができる。別の実施例では、活性化合物は、リポソーム、微粒子、母剤、ゲル、ポリマー等の中に封入又は包埋して、安定性を改善するか又は送達を増強することができる。
適切な化合物の非限定的な例は、所望の核内受容体又はSTAT転写因子タンパク質の分解を増強することができるクルクミン誘導体又はその類似体である。多数のクルクミン類似体が、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許第6790979号明細書で特定されている。実施例及び図面の簡単な説明で示すように、クルクミン類似体JC9及びJC15は、薬学的に許容可能なレベルで用いられる場合、核内受容体の分解の増強に有効である。
本発明の組成物で使用するのに好適な担体としては、意図する投与形態に従って選択され、従来の薬学的もしくは化粧品における慣例にも相反しない、希釈剤、添加剤又は担体材料が挙げられる。好適な担体の例としては、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、生理学的に適合した緩衝液、生理学的に適合した塩で緩衝化された生理食塩水、油中水型乳濁液、水中油型乳濁液、アルコール、ジメチルスルホキシド、デキストロース、マンニトール、ラクトース、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、塩酸システイン等、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適な担体としてはまた、従来の薬学的慣例に相反しない、適切な薬学的に許容可能な抗酸化剤又は還元剤、防腐剤、懸濁剤、可溶化剤、安定剤、キレート剤、錯化剤、粘性調整剤、崩壊剤、結合剤、着香剤、着色剤、着臭剤、乳白剤、湿潤剤、pH緩衝剤、及びこれらの混合物が挙げられる(“Remington: The Science and Practice of Pharmacy”, 20th edition, Gennaro (ed.) and Gennaro, Lippincott, Williams & Wilkins, 2000)。
培養増殖しバイオアッセイに用いられる細胞のような単離細胞中で用いるために、本発明の組成物は都合に合わせて製剤化及び提供することができる。非限定的な実施例では、組成物は、溶解可能な固体、溶液、懸濁液、リポソーム調製物等として製剤化すること、そして手動送達又は自動送達により(例えばピペット、注射器、ポンプ、自動注入器等により)細胞に提供することが可能である。
ヒト被験者などの生きている完全な生物体に用いるために、本発明の組成物は製剤化し、意図した投与形態に適した、そして従来の薬学的慣例に相反しない任意の製剤で提供することができる(“Remington: The Science and Practice of Pharmacy”, 20th edition, Gennaro (ed.) and Gnnaro, Lippincott, Williams & Wilkins, 2000)。適切な製剤の例としては、錠剤、カプセル、シロップ、エリキシル、軟膏、クリーム、ローション、スプレー、エアロゾル、吸入剤、固体、粉末、微粒子、ゲル、座薬、濃縮剤、乳濁液、リポソーム、ミクロスフェア、溶解性母剤、滅菌溶液、懸濁液又は注射剤等が挙げられる。注射剤は、液体溶液もしくは懸濁液、注射前の液体中の溶液もしくは懸濁液に適した濃縮物もしくは固体形態、又は乳濁液といった、従来の形態で調製することができる。
動物やヒト被験者などの生きている完全な生物体に用いるため、また治療する特定の症状に応じて、本発明の薬学的組成物を製剤化し、全身的に又は局所的に投与することができる。製剤化及び投与のための手法は“Remington: The Science and Practice of Pharmacy”(20th edition, Gennaro (ed.) and Gennaro, Lippincott, Williams & Wilkins, 2000)に記載されている。適切な投与経路としては、経口、腸内、非経口、経粘膜、経皮、筋肉内、皮下、経皮、直腸内、髄内、髄腔内、静脈内、心室内、心房内、大動脈内、動脈内又は腹腔内の投与が挙げられる。本発明の薬学的組成物は、埋込み可能な装置、生分解性インプラント、パッチ及びポンプといった、しかしこれに限定されない医療機器により、被験者に投与することができる。このような機器が用いられる場合、組成物は、特定の時間にわたって単数又は複数の活性化合物の放出を可能にするために、溶解性母剤又は非溶解性母剤又は媒質(例えば医療機器上又は医療機器中のコーティング、膜、フィルム、含浸母剤、ポリマー、スポンジ、ゲル又は多孔質層)を含むように製剤化し得る。
III.転写因子に関連する疾患の治療方法
本発明はまた、核内受容体といった転写因子の分解を誘導することによる、転写因子に関連する種々の疾患又は症状の治療のための方法も包含する。目的の疾患又は症状には、特定の転写因子又は核内受容体に関連するあらゆるもの、及び問題の転写因子又は核内受容体の分解により防止、低減もしくは回復され得る原因又は症候を有するあらゆるものが含まれる。目的の転写因子としては、ステロイドホルモン受容体、甲状腺ホルモン受容体様因子、STAT転写因子、熱ショック因子等が挙げられる。特に興味深い転写因子としては、アンドロゲン受容体(AR)、プロゲステロン受容体(PR)、エストロゲン受容体(ERα及びERβ)、糖質コルチコイド受容体(GR)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)、レチノイドX受容体(RXR)、レチノイドA受容体(RAR)及びオーファンステロイドホルモン受容体といったステロイドホルモン受容体が挙げられる。特に興味深いステロイドホルモン受容体としてはアンドロゲン受容体及びプロゲステロン受容体が挙げられるが、これらに限定されない。
任意の適切な被験体が、本発明の方法により治療され得る。被験体にはあらゆる年齢、性別又は身体条件のヒト被験者が含まれる。特に興味深い被験者としては、核内受容体(例えば限定ではないがステロイドホルモン受容体)の活性に少なくとも部分的に影響される単数又は複数の疾患状態を有するかその危険があると診断されたヒト被験者が挙げられる。一実施形態では、被験者は、核内受容体の発現又は活性に関連する疾患、障害又は病状を有するか発症する危険のあるヒトであり得る。例えば、被験者は、アンドロゲン受容体(AR)などの核内受容体の活性に関連する疾患又は障害を有するか発症する危険のあるヒトであり得る。病状又は疾患の例としては、男性不妊症、ケネディ病、前立腺癌、乳癌、肝臓癌、膀胱癌、良性前立腺過形成、座瘡、脱毛症及び多毛症が挙げられるが、これらに限定されない。病状は、核内受容体経路の活性又は発現の増大に起因する場合があり、又は核内受容体の活性化経路における突然変異による場合もある。例えばケネディ病は、異常に伸長したアンドロゲン受容体により引き起こされる。本発明の方法によりARの分解を増強又は誘導することによるARの機能又は活性の調節は、前立腺癌の発症及び進行を防止するための手段、またその他のアンドロゲンに関連する障害を改善するための手段となり得る。アンドロゲン受容体の分解を増強又は誘導するための本発明の方法の使用はまた、特に高齢者又は糖尿病患者において、創傷の治癒を改善すること等により、創傷の治療における有用性も有し得る。別の実施形態では、本発明の方法は、女性(例えば妊娠適齢期の女性)の妊娠を防止するためにプロゲステロン受容体の分解を増強又は誘導するために用いることができる。
本発明の組成物、化粧品、医薬品及び方法は、種々の皮膚障害又は他の病状を予防又は治療するために使用し得る。例えば、本発明は様々な座瘡、項部のケロイド性座瘡、壊死性座瘡、蕁麻疹性座瘡、尋常性座瘡、角化性座瘡、熱性好中球性皮膚症、皮膚の老化、アレルギー性接触皮膚炎、円形脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、血管浮腫、アントラリン、アトピー性皮膚炎、細菌性皮膚感染症、フルンケル、ボツリヌス毒素、ボーエン病、褐色斑点、慢性表在性落屑性皮膚炎、嚢腫、皮膚炎、疱疹状皮膚炎、皮膚繊維腫、皮膚描記症、湿疹、種痘性湿疹、乾癬性紅皮症、顔面の若返り、毛嚢炎、滴状乾癬、体毛損失、暈状あざ、手皮膚炎、男性型脱毛症、類乾癬(小さなプラーク)、乾癬、尋常性乾癬、帯状疱疹、皮膚癌、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群、ブドウ球菌性皮膚感染症、多発性脂腺嚢腫、ステロイド座瘡、ステロイド酒さ、連鎖球菌性感染症、日焼け防止又はウイルス性皮膚疾患の予防又は治療に使用し得る。
目的の核内受容体は正常な核内受容体又は突然変異核内受容体であって良いが、この場合、突然変異は疾患の症候又は原因に関連し得る。例えば、ケネディ病は遺伝性神経疾患群(例えばハンチントン病、脊髄小脳失調症1型、6型及び7型、マシャドジョセフ病、並びに歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症)の一つであり、アンドロゲン受容体中の翻訳されたCAGトリヌクレオチド反復の伸長領域に遺伝的原因を有し、これにより各遺伝子産物内に異常に長いポリグルタミン伸長が生じる。これらの神経疾患のうち、影響を及ぼされた核内受容体遺伝子産物(アンドロゲン受容体、AR)は、ケネディ病に関してのみ特徴が明らかにされているにすぎない。ケネディ病では、AR遺伝子のエキソン1中にCAG伸長が存在する(参照によりその全体が本明細書に援用される、Bailey et al. (2002) Human Mol. Genetics, 11:515−523参照)。ポリグルタミンが伸長したARはタンパク質分解に耐性となるよう構造的に改変され、影響を及ぼされた細胞の核内に蓄積する、翻訳後に不適切にプロセッシングされた可能性のある変性耐性断片及びタンパク質分解耐性断片を生じさせ、そして観察された病原性作用を引き起こし得るということが、研究により示されている(参照によりその全体が本明細書に援用される、Abdullah et al. (1998) Human Mol. Genetics, 7:379−384)。短いポリグルタミン反復もまた、前立腺癌を発症する危険性の増大に関連するとされており(Lee and Chang (2003))、そして少なくとも一部の男性集団における不妊症(精子形成の欠陥)及び不十分な男性化の危険性の増大に関連し得る(Yong et al. (2003) Hum. Reprod. Update, 9(1): 1−7)。
他のポリグルタミン病と同様に、ケネディ病は、冒されたニューロンにおける神経細胞核内封入体により特徴付けられる。これらの封入体は、N末端がトランケートされた形態の突然変異核内受容体(アンドロゲン受容体、AR)を含み、ユビキチン及びプロテアソームの成分を伴うが、このことは、ポリグルタミンが伸長したARがプロテアソームにより適切に分解されず、その結果封入体内に蓄積するということを示唆する(Bailey et al. (2002) Human Mol. Genetics, 11:515−523)。ケネディ病の細胞培養モデルでは、シャペロンタンパク質が突然変異ARの溶解度を増大させてプロテアソームによるその分解を増強するということが示されている(Bailey et al. (2002) Human Mol. Genetics, 11:515−523)。本発明の方法による突然変異核内受容体(アンドロゲン受容体)の分解の増強又は誘導は、突然変異核内受容体に関連する病原性作用を防止又は低減するのに有用であり得る。このような分解は、正確な分解を可能にするための突然変異ARの修復、分子シャペロンによる突然変異ARの溶解度の増強及びその後の分解、並びに過剰発現したARの凝集体形成の防止といった、しかしこれらに限定されない、任意の適切なメカニズムにより達成することができる。このアプローチは、神経細胞核内封入体の蓄積に特徴を有する他のポリグルタミン病において治療的価値を有し得る。
高齢者の間では男性は女性の場合より急性創傷の治癒が遅いと報告されている。高齢男性はまた炎症応答の変化も示し、そして近年の研究は、テストステロンがアンドロゲン受容体経路を介して、TNF−αを、従って炎症応答を直接アップレギュレートするということを示している(参照によりその全体が本明細書に援用されるAshcroft and Mills (2002) J. Clin. Invest. 110:615−624)。ARはまた、正常な皮膚だけではなく、上皮細胞、毛嚢、繊維芽細胞及びマクロファージを含む急性創傷においても発現するということも判明した。これらの研究はさらに、コラーゲン基質の蓄積の増大及び炎症応答の低下に関連する加速した創傷の治癒を、去勢又はAR経路の直接の遮断のいずれかにより達成することができるということを実証している。本発明の方法を利用するアンドロゲン受容体の分解の増強又は誘導は、男性、特に高齢男性、又は糖尿病もしくは潰瘍の患者における創傷の治癒を加速させるか又は増強するのに有用であり得る。
核内受容体の分解を誘導又は増強するために、任意の適切なメカニズムを用い得る。適切なメカニズム及びこれらのメカニズムを例証する非限定的な実施形態は、上記の「I.転写因子の分解を増強するための方法」という見出しの節に詳細に記載されている。
転写因子の分解の増強についての概説
以下の実施例は、核内受容体の分解を増強する方法の非限定的な実施形態を記載する。核内受容体の核内への移動を妨害することもしくは核内受容体を細胞の細胞質中に維持すること、プロテアーゼ活性を誘導することができる核内受容体内のモチーフを露出させること、核内受容体を特異的に分解することができるプロテアーゼの活性を増大させること、核内受容体の安定化を阻害すること、核内受容体の溶解性を低減すること、核内受容体を分解することができる経路を活性化すること、核内受容体のユビキチン化を増大させること、適切なキナーゼによる核内受容体のリン酸化を増大させること、アポトーシスを誘導すること、又は核内受容体と核内受容体を安定化することができるコファクターとの間の相互作用を低減することを含む、しかしこれらに限定されない、目的の核内受容体の分解を増強する任意のメカニズムを用いることができる。この特定の実施例では、目的の核内受容体はステロイドホルモン受容体であるアンドロゲン受容体である。
核内受容体転写活性のダウンレギュレーションを、ひいては目的の核内受容体の分解を検出するために、又はこのような分解の下流効果を検出するために、種々の方法及び分析を用いることができる。例えばアンドロゲン受容体のダウンレギュレーションを検出するために用いられる分析は、アンドロゲン受容体の分解の検出に少なくとも部分的に用いられ得る。アンドロゲン受容体に適用可能なこのような方法及び分析の非限定的な実施例を概括的に以下に記載する。
ウェスタンブロット分析を用いたAR分解の検出
アンドロゲン受容体(AR)の分解を検出するのに適したウェスタンブロット法は、既に記載されている(Su et al., 1999)。手短に説明すると、細胞(例えばLNCap細胞)を、10マイクログラム/ミリリットルのベンズアミジン、10マイクログラム/ミリリットルのトリプシン阻害剤及び1ミリモラーのフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)を含有する、2×ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ローディングバッファー又は放射性免疫沈降法(RIPA)溶解バッファー(“Antibodies: A Laboratory Manual”, E. Harlow and D. Lane, Cold Spring Harbor Laboratory, 1998参照)のいずれかの中に回収する。細胞溶解物の総タンパク質(40マイクログラム/試料、又は所望による)をSDS−PAGEゲル上で分離する。分離後、標準的なウェスタンブロットの手順に従って、タンパク質をゲルからニトロセルロース膜に移す。膜を、適切な遮断剤(例えば0.1%Tween−20(PBST)を補ったリン酸塩緩衝生理食塩水中の10%無脂肪乳)で一晩遮断する。膜を、ヒトARに特異的な適切な一次抗体(例えばBD−PharMingenの抗ヒトAR)とともに、4℃で一晩又は室温で2時間インキュベートする。膜をPBSTで3回、各々10分間すすぎ、次に適切な二次抗体(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ標識二次抗体といった酵素標識二次抗体)とともに室温で1時間インキュベートする。膜をPBSTですすぎ、適切な可視化手順を用いて二次抗体を検出する(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼは、発色基質で、又はAmershamの増強化学発光(ECL Plus)キットにより提供されるような化学発光基質により、検出することができる)。ブロット上のアンドロゲン受容体タンパク質の量の指標である二次抗体シグナルは、メーカーの推奨に従って膜を剥ぎ取り、膜を適切な抗体(例えばベータアクチンに対する抗体、Sigma)とともに再インキュベートすることにより、各試料にロードしたタンパク質の総量に対して標準化することができる。タンパク質シグナルの定量は、適切なソフトウェア(国立衛生研究所のImageJソフトウェア)を用いた濃度測定により行うことができる。
アンドロゲン受容体(AR)の分解を検出するのに適したウェスタンブロット法は、既に記載されている(Su et al., 1999)。手短に説明すると、細胞(例えばLNCap細胞)を、10マイクログラム/ミリリットルのベンズアミジン、10マイクログラム/ミリリットルのトリプシン阻害剤及び1ミリモラーのフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)を含有する、2×ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ローディングバッファー又は放射性免疫沈降法(RIPA)溶解バッファー(“Antibodies: A Laboratory Manual”, E. Harlow and D. Lane, Cold Spring Harbor Laboratory, 1998参照)のいずれかの中に回収する。細胞溶解物の総タンパク質(40マイクログラム/試料、又は所望による)をSDS−PAGEゲル上で分離する。分離後、標準的なウェスタンブロットの手順に従って、タンパク質をゲルからニトロセルロース膜に移す。膜を、適切な遮断剤(例えば0.1%Tween−20(PBST)を補ったリン酸塩緩衝生理食塩水中の10%無脂肪乳)で一晩遮断する。膜を、ヒトARに特異的な適切な一次抗体(例えばBD−PharMingenの抗ヒトAR)とともに、4℃で一晩又は室温で2時間インキュベートする。膜をPBSTで3回、各々10分間すすぎ、次に適切な二次抗体(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ標識二次抗体といった酵素標識二次抗体)とともに室温で1時間インキュベートする。膜をPBSTですすぎ、適切な可視化手順を用いて二次抗体を検出する(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼは、発色基質で、又はAmershamの増強化学発光(ECL Plus)キットにより提供されるような化学発光基質により、検出することができる)。ブロット上のアンドロゲン受容体タンパク質の量の指標である二次抗体シグナルは、メーカーの推奨に従って膜を剥ぎ取り、膜を適切な抗体(例えばベータアクチンに対する抗体、Sigma)とともに再インキュベートすることにより、各試料にロードしたタンパク質の総量に対して標準化することができる。タンパク質シグナルの定量は、適切なソフトウェア(国立衛生研究所のImageJソフトウェア)を用いた濃度測定により行うことができる。
AR活性及び腫瘍細胞の増殖を阻害する化合物
非限定的な実施例において、細胞中のアンドロゲン受容体(AR)を分解するために化合物を用いた。ARを分解する能力に関して試験した化合物の非限定的な例にはクルクミンの誘導体及び類似体が含まれるが、それらの構造及び調製は、全体が参照により本明細書に援用される、Ohtsu et al. (2002), J. Med. Chem., 45:5037−5042及びOhtsu et al. (2003) Bioorg. Med. Chem., 11:5083−5090に記載されている。例として、化合物JC15及びJC9を培養細胞で試験した。JC15は共役したベータ−ジケトン系の4番炭素上にエトキシカルボニルエチル部分を有する合成クルクミン誘導体であり、7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−4−[3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)アクリロイル]−5−オキソ−ヘプト−6−エン酸エチルエステルという構造を有する。JC9は別の合成クルクミン誘導体(通称ジメチルクルクミン)であり、5−ヒドロキシ−1,7−ビス(3,4−ジメトキシフェニル)−1,4,6−ヘプタトリエン−3−オンという構造を有する。JC9は、例えば天然クルクミンをジアゾメタンでパーメチル化することにより得ることができる。
非限定的な実施例において、細胞中のアンドロゲン受容体(AR)を分解するために化合物を用いた。ARを分解する能力に関して試験した化合物の非限定的な例にはクルクミンの誘導体及び類似体が含まれるが、それらの構造及び調製は、全体が参照により本明細書に援用される、Ohtsu et al. (2002), J. Med. Chem., 45:5037−5042及びOhtsu et al. (2003) Bioorg. Med. Chem., 11:5083−5090に記載されている。例として、化合物JC15及びJC9を培養細胞で試験した。JC15は共役したベータ−ジケトン系の4番炭素上にエトキシカルボニルエチル部分を有する合成クルクミン誘導体であり、7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−4−[3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)アクリロイル]−5−オキソ−ヘプト−6−エン酸エチルエステルという構造を有する。JC9は別の合成クルクミン誘導体(通称ジメチルクルクミン)であり、5−ヒドロキシ−1,7−ビス(3,4−ジメトキシフェニル)−1,4,6−ヘプタトリエン−3−オンという構造を有する。JC9は、例えば天然クルクミンをジアゾメタンでパーメチル化することにより得ることができる。
核内受容体の分解の増強
ここでは、核内受容体の分解の下流効果の研究に有用な方法及び分析の非限定的な例を記載する。この特定の実施例では、核内受容体であるアンドロゲン受容体(AR)の分解を増強することが知られている化合物を、AR活性及び細胞増殖に及ぼす作用に関して試験した。癌の管理における主な課題の一つは、腫瘍の増殖を制御するか遅らせることである。ARは、前立腺癌細胞増殖の刺激において重要な役割を果たし、従ってAR分解によるAR活性の調節は、前立腺癌の進行を遅らせるか制御するための有用な手段として役立つ。
アンドロゲン受容体のトランス活性化の分析
アンドロゲン受容体(AR)のトランス活性化を測定し、AR分解により引き起こされるAR活性の減少を検出するために用いることができるこの一過性トランスフェクション分析には、前立腺癌細胞、非前立腺腫瘍細胞及び正常細胞を用いることができる。提示した非限定的な実施例では、CV−1細胞(アンドロゲン受容体を欠くミドリザル腎細胞)及びLNCaP細胞(内因性突然変異ARを有する前立腺癌細胞)を、アンドロゲン応答エレメント(ARE)及びレポーター遺伝子を有するプラスミドでトランスフェクトした。
アンドロゲン受容体(AR)のトランス活性化を測定し、AR分解により引き起こされるAR活性の減少を検出するために用いることができるこの一過性トランスフェクション分析には、前立腺癌細胞、非前立腺腫瘍細胞及び正常細胞を用いることができる。提示した非限定的な実施例では、CV−1細胞(アンドロゲン受容体を欠くミドリザル腎細胞)及びLNCaP細胞(内因性突然変異ARを有する前立腺癌細胞)を、アンドロゲン応答エレメント(ARE)及びレポーター遺伝子を有するプラスミドでトランスフェクトした。
CV−1細胞及びLNCaP細胞(バージニア州マナッサス所在のATCCから入手)の両方を、ペニシリン(25単位/ミリリットル)、ストレプトマイシン(25マイクログラム/ミリリットル)及び熱不活性化した10%ウシ胎児血清(FBS)を補ったRichter改良MEMインスリン(RPMI)培地中に維持した。細胞を35ミリリットルの皿に1〜2×105細胞/ウェルの濃度で播種し、5%二酸化炭素雰囲気のインキュベーター中で37℃で培養した。一日後、細胞を、SuperFectトランスフェクション試薬(Qiagen)と、AR結合エレメントを有するMMTV−ルシフェラーゼレポータープラスミドから成るDNA混合物とを用いて、コトランスフェクトした。プラスミドpRL−TKをトランスフェクション効率に関する内部コントロールとして用いた。3時間のインキュベーションの後、培地を、10%チャコール処理血清を補ったRPMI培地に取り替えた。20時間後、細胞を、1ナノモラーのジヒドロテストステロン(DHT)の存在下又は非存在下で種々の濃度(0uM〜7.5uM)の試験化合物で処理し、さらに20時間インキュベートした。細胞を溶解し、溶解物のルシフェラーゼ活性をデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステム(Promega、ウィスコンシン州マディソン)で測定した。データは、内部ルシフェラーゼポジティブコントロールに対して標準化した相対ルシフェラーゼ活性として表した。結果を図1A及び図1Bに示す。要約すると、JC9は、用量に依存する様式でDHT誘導性アンドロゲン受容体転写活性化を阻害することができた。
LNCaP細胞における細胞増殖及びアンドロゲン受容体発現の検出
増殖の分析
LNCaP細胞は、前立腺癌の患者に見られる内因性突然変異ARを発現する。この臨床的に関連する細胞モデルを用いて、前立腺癌細胞の増殖の抑制におけるJC9の作用を研究した。細胞を6.3×104細胞/ウェルの密度で6ウェル組織培養皿に播種した。二日後、完全培地を吸引し、10%チャコール/デキストラン処理(ホルモン欠失)血清含有培地を添加した。次に、試験化合物であるJC9及びヒドロキシフルタミド(HF)を、1nMのDHTの存在下又は非存在下で、5μMの最終濃度で培地に添加した。賦形剤コントロールでは同量のDMSOを添加した。その後5日間、培地を一日一回吸引し、試験化合物及び/又はDHTを含有する新鮮な培地を添加した。所定の時間に、一部の細胞をトリプシン処理により回収して、血球計算盤を用いて細胞計数を実施した。
LNCaP細胞は、前立腺癌の患者に見られる内因性突然変異ARを発現する。この臨床的に関連する細胞モデルを用いて、前立腺癌細胞の増殖の抑制におけるJC9の作用を研究した。細胞を6.3×104細胞/ウェルの密度で6ウェル組織培養皿に播種した。二日後、完全培地を吸引し、10%チャコール/デキストラン処理(ホルモン欠失)血清含有培地を添加した。次に、試験化合物であるJC9及びヒドロキシフルタミド(HF)を、1nMのDHTの存在下又は非存在下で、5μMの最終濃度で培地に添加した。賦形剤コントロールでは同量のDMSOを添加した。その後5日間、培地を一日一回吸引し、試験化合物及び/又はDHTを含有する新鮮な培地を添加した。所定の時間に、一部の細胞をトリプシン処理により回収して、血球計算盤を用いて細胞計数を実施した。
5日間の実験期間中、賦形剤コントロールで処理したウェルの細胞数は着実に増加した(図2A)。1日目では、JC9で処理したウェルの細胞数は賦形剤コントロールのものと同程度であったが、2日目からはこれらのウェルの細胞数に顕著な減少が認められた。5日間のインキュベーションの終了時には、JC9で処理したウェルでは最少の生存細胞が見られただけであった。しかしながらこの劇的な増殖抑制作用は、HF処理した皿では検出されなかった。
前立腺癌細胞の増殖に及ぼすJC9の作用を、前立腺アンドロゲンであるDHTの存在下でさらに評価した。予測どおり、DHTはLNCaP細胞の増殖をアップレギュレートした。ウェルごとの細胞数の上昇は、細胞をこの男性ホルモンとともに4〜5日間インキュベートした後に確認できるようになった。DHTの存在下では、JC9は依然としてLNCaP細胞の増殖を低減する良好な効力を示した。DHTの存在下又は非存在下での細胞増殖の低減の程度は実質的に同程度であった。同一試験濃度のHFは、DHTで刺激される細胞増殖を抑制する、中程度の活性を示した。この知見は、HFがLNCaP突然変異ARに対する弱い抗アンドロゲンであるという従来の報告と一致する。上記の知見に基づいて、JC9は男性ホルモンの存在下又は非存在下で前立腺癌細胞の増殖を有効になくすことができると結論づけられる。JC9はHFより強力であると思われるため、JC9は前立腺癌疾患の管理のための薬剤候補として開発される可能性を有し得る。
AR発現のウェスタンブロット分析
ARは、アンドロゲンに対する前立腺癌細胞の応答の調節における重要な因子である。本発明者は、JC9が定常レベルのARに影響を及ぼすか否かについて試験した。LNCaP細胞を上記のように5μMのJC9で処理した。上述した条件に従って、ウェスタンブロット分析のために所定の時間に細胞溶解物を調製した。その後、色検出方法を用いて膜におけるAR及びアクチンタンパク質のシグナルを調べ、得られたタンパク質シグナルを濃度測定により定量した。図2Bには、ベースライン(0日目)の値のパーセンテージとして表されている、標準化されたARシグナルが示されている。
ARは、アンドロゲンに対する前立腺癌細胞の応答の調節における重要な因子である。本発明者は、JC9が定常レベルのARに影響を及ぼすか否かについて試験した。LNCaP細胞を上記のように5μMのJC9で処理した。上述した条件に従って、ウェスタンブロット分析のために所定の時間に細胞溶解物を調製した。その後、色検出方法を用いて膜におけるAR及びアクチンタンパク質のシグナルを調べ、得られたタンパク質シグナルを濃度測定により定量した。図2Bには、ベースライン(0日目)の値のパーセンテージとして表されている、標準化されたARシグナルが示されている。
結果は、ARの内因性レベルが、JC9で処理したLNCaP細胞で着実に減少したということを示す。ARの低減はまず、JC9での2日間の連続したインキュベーションの後に見られ、そして5日間のインキュベーションの終了時には、処理細胞に残存していたのはARの初期レベルの10%以下にすぎなかった。JC9でのインキュベーション後の細胞数の減少とARの低減との間に相関関係が認められるということは注目に値する。このことは、JC9が少なくとも部分的に、AR減少メカニズムを通して作用してLNCaP細胞の増殖をダウンレギュレートし得るということを強力に示唆する。
in vivoでの異種移植腫瘍の増殖の分析
関連するin vivoでの研究において、LNCaPヒト前立腺腫瘍細胞を皮下注射(2×106/部位)によりヌードマウスに異種移植する。その後マウスを、週3回、7週にわたって、コントロールの賦形剤溶液のみ又は試験化合物(JC9)を100ミリグラム/キログラム体重の用量で腹腔内注射して処理する。次の7週にわたって週2回、腫瘍体積を測定する。十分な期間(例えば2週間から数ヶ月まで)のJC9又はJC15のような化合物での処理は、腫瘍増殖の速度を有意に低減すると予測される。このような結果は、JC15のようなAR分解化合物又はJC9により誘導されるAR活性の抑制及びその結果生じる腫瘍増殖の低減が、前立腺癌やその他の癌といったAR活性に関連する疾患及び障害の治療又は予防に実用化され得るということを強力に示すものであると解釈することができる。
関連するin vivoでの研究において、LNCaPヒト前立腺腫瘍細胞を皮下注射(2×106/部位)によりヌードマウスに異種移植する。その後マウスを、週3回、7週にわたって、コントロールの賦形剤溶液のみ又は試験化合物(JC9)を100ミリグラム/キログラム体重の用量で腹腔内注射して処理する。次の7週にわたって週2回、腫瘍体積を測定する。十分な期間(例えば2週間から数ヶ月まで)のJC9又はJC15のような化合物での処理は、腫瘍増殖の速度を有意に低減すると予測される。このような結果は、JC15のようなAR分解化合物又はJC9により誘導されるAR活性の抑制及びその結果生じる腫瘍増殖の低減が、前立腺癌やその他の癌といったAR活性に関連する疾患及び障害の治療又は予防に実用化され得るということを強力に示すものであると解釈することができる。
様々な細胞株におけるステロイドホルモン受容体の分解の特異性
ここでは、種々の細胞株における核内受容体(この場合はステロイドホルモン受容体)の特異的分解の非限定的な例を記載する。ヒト前立腺癌細胞株であるLNCaP及びヒト乳腺癌細胞株であるT47Dという二つの代表的な腫瘍細胞株を用いて、アンドロゲン受容体に及ぼす化合物JC15の作用を試験した。
ヒト前立腺癌LNCaP細胞及びT47D細胞を、60ミリメートルの組織培養皿あたり7×105細胞の密度で、10%FBSを含むRichter改良MEMインスリン(RPMI)培地に播種した。培地を、10%チャコール処理血清を含有するRPMI培地又はDME培地に24時間後に取り替えて、細胞のアンドロゲン又はエストロゲンを枯渇させた。さらに24時間後、試験化合物による処理を開始した。JC15の試験用量は1又は2マイクロモラーであり、JC9の試験用量は1、5及び10マイクロモラーであった。LNCap細胞にはまたジヒドロテストステロン(DHT)(3ナノモラー)も与えた。コントロールの細胞には、対応する量の賦形剤であるジメチルスルホキシド(DMSO)(<0.04%)を等しい曝露時間の間与えた。細胞をJC15とともに24時間又は48時間インキュベートし、250マイクロリットルの1×SDS/PAGEローディングバッファーに溶解した。約40マイクログラムの総細胞タンパク質をプレキャストゲル(NuPAGE、Invitrogen)の各レーンにロードした。タンパク質の分離及び転写をメーカーの指示に従って実施した。
前立腺細胞溶解物に関しては、得られた膜を抗AR抗体(BD−PharMingen)とともにインキュベートし、その後化学発光検出(ECL Plus、Amersham)することにより、アンドロゲン受容体(AR)タンパク質を可視化した。他の細胞タンパク質に及ぼす試験化合物の作用を試験するために、いくつかの同一のゲルを調製し、得られた膜を、前立腺特異的抗原(PSA)、糖質コルチコイド受容体(GR)、エストロゲン受容体β(ERβ)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ又はβ(PPARγ又はβ)、レチノイドX受容体(RXR)、主要な細胞タンパク質である70kDaの熱ショックタンパク質(hsp70)及び細胞骨格タンパク質であるアクチンに特異的な抗体とともにインキュベートした。PSA及び種々の核内受容体に対する抗体はSanta Cruz Biochemicalsから入手したが、hsp70及びアクチンに対する抗体はそれぞれStressGen及びSigmaから入手した。得られたタンパク質シグナルを、濃度測定及びNIH Image Jソフトウエアを用いて定量した。
LNCaP細胞溶解物のウェスタンブロットを図3に示す。DHTの存在下又は非存在下で、LNCaP細胞をJC15とともにインキュベートすると(1又は2マイクロモラー、24時間)、細胞のAR及びプロゲステロン受容体の濃度は低減したが、糖質コルチコイド受容体、ERβ、PPARγ、PPARβ、レチノイドX受容体、hsp70又はアクチンの濃度は実質的に影響を受けなかった。PSAレベルも、JC15処理により低減されることが観察された。PSAの発現は、PSAプロモーター中のアンドロゲン応答性エレメントを有するエンハンサーエレメントを介してPSAの発現を誘導する(Heinlein & Chang (2004))、アンドロゲン受容体により主に調節され、そして観察されたPSAレベルの低減は観察されたARレベルの低減と一致する。
T47D細胞溶解物のウェスタンブロットを図4に示す。エストラジオール(E2)の存在下又は非存在下で、T47D細胞をJC9(5又は10マイクロモラー)とともにインキュベートすると、細胞のARの濃度は低減したが、他の受容体タンパク質は低減しなかった。
タンパク質合成阻害剤の存在下での転写因子の分解の増強
観察されたARタンパク質レベルの低減がARタンパク質合成の阻害よりもむしろタンパク質分解によるものであったことを確認するために、二つ目の3回の反復実験を実施した。これらの実験において、細胞が新たなタンパク質を合成するのを防止するために、タンパク質合成阻害剤であるシクロヘキシミド(CHX)を用いた。新たなARタンパク質合成の非存在下では、ARレベルのあらゆる変化は主としてタンパク質分解に起因すると考えられる。LNCaP細胞を培養し、JC9(5マイクロモラー)とともに約20時間インキュベートした。その後、シクロヘキシミド(15マイクログラム/ミリリットル)を培養細胞に添加し、これを次に0時間、2時間、3時間、4時間又は6時間インキュベートした後回収し、ウェスタンブロットによりARレベルを分析した。
実験の代表的なウェスタンブロットを図5に示す。コントロールの細胞における内因性AR濃度の低減が、シクロヘキシミドによる処理の約2〜3時間以内に検出されたが、これは、ARのde novo合成がこの受容体の定常レベルに寄与しているということを示唆する。観察された存在するARタンパク質の低減は、試験化合物(JC9)が、4時間以内又はそれより短時間で、存在するARタンパク質の分解を増強したか又は増大させた(従ってAR活性を低減した)ということを示す。
突然変異アンドロゲン受容体の分解
ここでは、突然変異核内受容体の蓄積に関連するヒト疾患のモデルにおける突然変異核内受容体の分解の非限定的な例を記載する。この特定の実施例では、ケネディ病のモデルを調べた。「III.ステロイド受容体に関連する疾患の治療方法」という見出しの下で詳細に記載したように、ケネディ病つまり球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は、AR遺伝子のN末端領域における異常に長いポリグルタミン伸長から成るアンドロゲン受容体の突然変異により引き起こされる神経変性疾患である。伸長したポリグルタミンを有する突然変異ARによる細胞の実験的なトランスフェクションは、トランス活性化機能の低減と、そして場合によってはミスフォールドしたARタンパク質の核内封入と関連することが示されている(Chamberlain et al. (1994) Nucleic Acid Res., 22:3181−3186)。異常ARのこの細胞内蓄積は細胞傷害性であり、ニューロン細胞の死を引き起こし、ケネディ病のin vivoでの病理と一致する。
サル腎臓COS−1細胞を、10%FBSを含有するダルベッコ変法イーグル(DME)培地を入れた35ミリメートルの懸濁液培養皿中にある、アルコール清浄し滅菌したカバーガラス上に、3×104細胞/0.5ミリリットル体積の密度で播種した。細胞を、Q19(プラスミドGFPARQ19)又はQ49(プラスミドGFPARQ49)突然変異アンドロゲン受容体のいずれか及びレポーターとしてのグリーン蛍光タンパク質(GFP)を有するプラスミドでトランスフェクトした。各カバーガラスについて、12.3マイクロリットルのSuperFectを、102.5マイクロリットルのDME培地における3.075マイクログラムのプラスミドに添加した(DNAとSuperFect試薬を1:4の比にする)。混合物を手短にボルテックスで攪拌し、15分にわたって複合体を形成させた。次に各混合物に897マイクロリットルのCD/DMEを入れ、静かに混合した。得られた1ミリリットルの量を、カバーガラスが入っている皿に添加した(最終プラスミド濃度は皿につき3.02マイクログラムであった)。細胞をトランスフェクション溶液とともに5時間インキュベートし、次に培地を、賦形剤(DMSO)のみ又はJC9(最終濃度5マイクロモラー)のいずれかを加えた、新鮮な1.5ミリリットルのCD/DME培地に取り替えた。トランスフェクションが終了した24時間後に、培地を再び新鮮なCD/DME培地(1.5ナノモラーのDHTを含む又は含まない)に取り替えて、賦形剤又はJC9を添加した(最終濃度5マイクロモラー)。培地交換の24時間後、培地を除去し、細胞を、リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)中の1%ホルムアルデヒドで、室温で1時間固定した。ホルムアルデヒドを除去し、固定した細胞をPBSで三回洗浄し、次にカバーガラスを乾燥させた。カバーガラスに、処理体系を示すよう印を付け、そして細胞の周りに色鉛筆で疎水性の円を描いた。各カバーガラスを200マイクロリットルのヨウ化プロピジウム(0.7マイクログラム/水1ミリリットル)で、室温で5分間染色し、次にPBSで三回すすいだ。カバーガラスを風乾し、グリセロールベースの封入剤とともにスライド上に載せ、必要であれば4℃で保存して、蛍光顕微鏡で観察した。GFPARQ49プラスミドでトランスフェクトしたCOS−1細胞の代表的な顕微鏡写真を図6に示す。顕微鏡写真が示すように、トランスフェクトした細胞は、蛍光レポータータンパク質GFPにより示されるようなプラスミドを発現した。コントロールの細胞は大量の蛍光封入体又は蛍光凝集体を含有していた。JC9で処理した細胞はかなり少ない量の蛍光封入体を含有していたが、これは、発現した突然変異Q49アンドロゲン受容体がJC9処理により分解されたことを示唆する。
アンドロゲン受容体の分解による、ヒト被験者におけるアンドロゲンに関連する障害の治療
この実施例は、核内受容体(アンドロゲン受容体)の分解による、被験者における核内受容体に関連する障害(尋常性座瘡)の治療について記載する。一般には単に座瘡として知られている尋常性座瘡は、十代や若い成人の男女の顔面、胸部及び背部に典型的に罹患する赤色の皮疹であるが、しかしそれはあらゆる年齢で、そして他の身体の領域にも起こり得る(例えば2004年4月23日にアクセスしたwww.emedicine.com/derm/topic2.htmにおいて電子的に利用可能なJ. C. Harper and J. Fulton, Jr. (2003), “Acne Vulgaris”参照)。座瘡はほとんど全ての人々に、一生のうちのいずれかの時点で罹患し、そして後遺的な瘢痕化及び精神的苦痛及び自尊心の低下を引き起こし、皮膚感染といった、より深刻な健康問題もたらす可能性もある。皮脂腺の基底細胞及び腺細胞中で発現するアンドロゲン受容体は、男性と女性との間で同様の皮膚分布を示す(Blauer et al. (1991) J. Investig. Dermatol., 97: 264−268)。皮膚において、アンドロゲン受容体は皮脂細胞の最終分化及び皮脂の産生を刺激する。座瘡の一般的な治療は、しばしば望ましくない副作用を有する。例えば、局所的なレチノイドは日光過敏性を生じさせ、抗生物質は抗生物質耐性を引き起こし得、そして過酸化ベンゾイルは接触皮膚炎を生じ得る。座瘡のための、新規な、効果的な、好ましくは局所的な(非全身性の)治療が必要とされている。
この実施例では、特にアンドロゲン受容体の分解を誘導することによりアンドロゲン受容体活性化経路の作用を改善することが先の実施例で示された化合物JC15又はJC9を含有するクリームを局所的に投与することにより、ヒト被験者の座瘡の治療に成功した。基材担体製剤を、以下の二つの溶液を混合することにより調製した。(1)aristoflex avc、Osmocide、Tween−20及び水を含有する、水性ベースの溶液、並びに(2)ミリスチン酸イソプロピル、ココナッツジエタノールアミン、エチルパラベン、イソブチルパラベン、メチルパラベン及びプロピルパラベンを含有する、油性ベースの溶液。試験化合物(JC15又はJC9)をクリームに添加して、必要に応じて最終濃度を1〜2.5マイクロモラーとした。
座瘡に罹患した皮膚に試験化合物を局所的に塗布することにより、15歳〜52歳の範囲の年齢の有志の男女のヒトを治療した。被験者には1日2回(午前中1回、夕方1回)座瘡に罹患した領域にクリームを塗布するよう依頼した。全体的に、座瘡の症候は2〜3日以内に有意に治まることが観察され、1〜2週間以内に完全に治癒した。結果を表1に示し、一名の有志者の代表的な結果(写真)を図7に示す。
アンドロゲン受容体の分解によるラットにおける皮脂腺の減少
この実施例では、動物モデルにおける皮脂腺葉のサイズを低減するために、特にアンドロゲン受容体の分解を誘導することによりアンドロゲン受容体活性化経路の作用を改善すること及びヒト被験者における座瘡の治療に有効であることが先の実施例で示された、試験化合物JC15及びJC9を用いた。局所的処理による皮脂腺の有効な低減は、座瘡のような皮膚症状を治療するのに有用であり得る。この動物モデルにおいては、参照によりその全体が本明細書に援用されるYe et al. (1997) Skin Pharmacol., 10:10288−10297に記載されたようなファジーラットを用いた。
局所用クリームを、実施例6に記載したように調製した。試験クリームはJC9(25マイクロモラー)又はJC15(1マイクロモラー)を含有した。賦形剤のみを添加したコントロールのクリームも調製した。試験クリーム又はコントロールのクリームを、綿棒を用いてラットの背部の皮膚に8週にわたって一日一回塗布した。次にラットを屠殺して、顕微鏡検査のために皮膚試料を採取した。市販の除毛剤を安楽死させたラットの背部の表面に塗布した。5分後、除毛剤及び体毛をティッシュで除去した。その領域を75%イソプロピルアルコールで十分に消毒した。4ミリメートルの皮膚用パンチを用いて皮膚組織試料を採取し、これをエチレンジアミン四酢酸(EDTA、17ミリモラー)、リン酸ナトリウム溶液(0.1モラー、pH7.4)中で、37℃で2〜3時間インキュベートした。表皮を真皮から注意深く分離して、10%リン酸緩衝ホルマリン中に保存した。試料をスライドガラスの上に載せ、顕微鏡検査した。良好に保存された腺葉の領域を顕微鏡イメージングのために選択した。腺葉の縁をトレースして、トレースした腺葉の領域をImage Jソフトウエア(国立衛生研究所)を用いて得た。
結果を図8及び図9に示す。図8に示したように、皮脂腺の帯域は、JC9で処理したファジーラットでは4〜5週間以内に低減された。JC15で処理した動物で同様の結果が見られた(図示していない)。図9A〜図9Eに示すように、皮脂腺葉のサイズは、雄ファジーラットでは雌の約二倍である。賦形剤のみ(コントロールのクリーム)による局所的処理は、雄ラットにおいて有意の変化を生じさせなかった。試験化合物JC15及びJC9による雄ラットの局所的処理は、皮脂腺葉及び腺管のサイズを低減し、JC15により引き起こされた低減は去勢により生じる低減とほぼ等しかった。
アンドロゲン受容体の分解による、動物モデルにおけるアンドロゲン誘導性脱毛症の治療
この実施例は、核内受容体の分解による、被験体における核内受容体に関連する障害の治療について記載する。この実施例では、核内受容体はステロイドホルモン受容体であるアンドロゲン受容体である。核内受容体に関連する障害は、アンドロゲン受容体の影響を受けることが知られている脱毛症(体毛損失又は頭皮脱毛)である。この実施例では、動物モデルにおける体毛損失を治療するために、特にアンドロゲン受容体の分解を誘導することによりアンドロゲン受容体活性化経路の作用を改善することが先の実施例で示された、試験化合物JC9を用いた。
体毛の損失及び再成長に関するこの動物モデルにはC57BL/6Jマウスを用いた(参照によりその全体が本明細書に援用されるUno et al. (1990) J. Cutaneous Aging & Cosm. Derm., 1:193)。6週齢の雄のマウス(6〜7匹/群)を電気バリカンで剃毛し、次に除毛クリームで1〜2分間処理した。剃毛後に暗色の皮膚を有することが判明した動物は、毛嚢が活発に成長している成長期にあるため、試験から除外した。除毛の一日後に、第一群の各マウスに、エタノール中の1%テストステロン溶液100マイクロリットルを、剃毛した領域に20日間連続して毎日午前中に一回、局所的に塗布した。第二群の各動物には、100マイクロリットルの賦形剤(エタノール)のみを、剃毛した領域に20日間連続して毎日午前中に一回、局所的に塗布した。第一群のマウス(テストステロン処理)をさらにコントロール群と処理群とに分けた。除毛の一日後に開始して、コントロール群の各マウスには100マイクロリットルのコントロール溶液(60%エタノール、20%プロピレングリコール及び20%水)を、そして処理群の各マウスには100マイクロリットルの試験化合物JC9(同一の60%エタノール、20%プロピレングリコール及び20%水の溶液中で0.02%)を、剃毛した領域に20日間連続して毎日午後に一回、局所的に塗布した。局所的処理の開始後12、15、18、21及び24日目に、剃毛した領域における体毛の再成長が見られ、写真撮影した。
剃毛し、次にテストステロンを午前中に局所的に塗布し、午後にコントロールの溶液のみを塗布したマウスは、20日間の処理の後、剃毛した領域における体毛の再成長をほとんど又は全く示さなかった(図10A)。剃毛し、次にエタノール賦形剤のみ(テストステロン無し)を局所的に塗布したマウスは、20日間の局所的な賦形剤の処理の後、剃毛した領域における体毛の迅速な再成長を示した(図10A)。
剃毛し、次にテストステロンを午前中に局所的に塗布し、午後にコントロールの溶液のみを塗布したマウスは、20日間の処理の後、剃毛した領域における体毛の再成長をほとんど又は全く示さなかった(図10B)。剃毛し、次にテストステロンを午前中に局所的に塗布し、午後にJC9を塗布したマウスは、10日目〜20日目に、剃毛した領域における体毛の迅速な再成長を示した(図10B)。これらの結果は、アンドロゲン受容体を分解することが知られている化合物であるJC9の局所的な塗布が、動物モデルにおけるテストステロン誘導性の体毛の成長抑制を克服することができるということを実証している。
核内受容体分解化合物JC9を用いたin vivoにおける癌性腫瘍の低減
200万個のLNCaP腫瘍細胞をヌードマウスの左脇腹に皮下接種した。実験動物において、ヌードマウスに、化合物JC9又は賦形剤コントロールのみを100mg/kg/日で週3回、腹腔内(ip)注射した。7週間の処理の後、腫瘍を切除し、計量及び比較した。賦形剤コントロールとJC9の腫瘍の重量比は、0.694g:0.172gであった。従ってJC9で処理したマウスは、腫瘍のサイズにおいて75%の低減を示した。結果を図11に示す。
見出しはすべて読者の便利のためであって、別記しない限り、見出し以下の文章の意味を限定するために用いられるものではない。本発明は、その趣旨及び範囲を逸脱しない限り、種々の変更及び逸脱がなされ得る。従って本発明は、本明細書中に具体的に記載されたもの又は図面に例示されたものに限定されず、特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。
Claims (30)
- a)核内受容体活性化経路を含む細胞を提供すること、及び
b)前記核内受容体活性化経路における核内受容体の分解を増強することができる化合物を導入すること
を含む、核内受容体活性化経路を阻害する方法。 - 前記細胞が哺乳類細胞である、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞がヒト細胞又はヒト細胞由来の細胞である、請求項1に記載の方法。
- 前記核内受容体活性化経路がSTATシグナル伝達経路を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記核内受容体活性化経路がアンドロゲン受容体(AR)経路又はプロゲステロン受容体(PR)経路である、請求項1に記載の方法。
- 前記核内受容体活性化経路が、エストロゲン受容体(ER)経路、糖質コルチコイド受容体(GR)経路、9−シス−レチノイン酸(RXR)経路及びトランス−レチノイン酸(RAR)経路から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記化合物がクルクミン類似体又はクルクミン誘導体である、請求項1に記載の方法。
- 前記クルクミン類似体又は前記クルクミン誘導体がJC9又はJC15である、請求項7に記載の方法。
- 前記クルクミン類似体又は前記クルクミン誘導体がJC9又はJC15の類似体又は誘導体である、請求項7に記載の方法。
- 前記化合物が、前記核内受容体のリン酸化を妨害すること、前記核内受容体の二量体化を妨害すること、前記核内受容体とコファクターとの結合を妨害すること、及び前記核内受容体の核移行を妨害することから成る群から選択される方法により、前記核内受容体の分解を増強する、請求項1に記載の方法。
- a)STAT活性化経路を含む細胞を提供すること、及び
b)前記核内受容体活性化経路におけるSTAT転写因子タンパク質の分解を増強することができる化合物を導入すること
を含む、STAT活性化経路を阻害する方法。 - 前記STAT転写因子タンパク質が、STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5a、STAT5b及びSTAT6から成る群から選択される、請求項11に記載の方法。
- 前記化合物が免疫応答を阻害又は低減する、請求項11に記載の方法。
- a)核内受容体の分解を誘導することができる化合物、及び
b)化粧品として許容可能な担体
を含む、化粧品組成物。 - 前記化合物がクルクミン類似体又はクルクミン誘導体である、請求項15に記載の化粧品組成物。
- 前記化合物がJC9又はJC15である、請求項15に記載の化粧品組成物。
- 皮膚障害の予防又は治療のためのものである、請求項14に記載の化粧品組成物。
- 炎症、座瘡、脱毛症、多毛症、露出した創傷、熱傷、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬から成る群から選択される病状の予防又は治療のためのものである、請求項14に記載の化粧品組成物。
- a)STAT転写因子タンパク質の分解を誘導することができる化合物、及び
b)化粧品として許容可能な担体
を含む、化粧品組成物。 - 炎症、座瘡、アトピー性皮膚炎、湿疹及び乾癬から成る群から選択される皮膚障害を治療又は予防する、請求項19に記載の化粧品組成物。
- a)核内受容体の分解を増強することができる化合物又はその薬学的に許容可能な塩、及び
b)薬学的に許容可能な担体
を含む、薬学的組成物。 - 前記化合物がクルクミンの誘導体又は類似体である、請求項21に記載の薬学的組成物。
- 前記核内受容体がステロイドホルモン受容体である、請求項21に記載の薬学的組成物。
- 前記ステロイドホルモン受容体が、アンドロゲン受容体(AR)、プロゲステロン受容体(PR)、エストロゲン受容体α(ERα)及びエストロゲン受容体β(ERβ)から成る群から選択される、請求項23に記載の薬学的組成物。
- 男性不妊症、ケネディ病、前立腺癌、乳癌、肝臓癌、膀胱癌、良性前立腺過形成、座瘡、脱毛症、多毛症、露出した創傷、及び糖尿病性潰瘍から成る群から選択される病状の予防又は治療のためのものである、請求項21に記載の薬学的組成物。
- 出産適齢期の女性における妊娠の防止に有用である、請求項21に記載の薬学的組成物。
- 動物の避妊薬として、又は動物の死産処置のために用いられる、請求項21に記載の薬学的組成物。
- 免疫応答を阻害又は低減する、請求項21に記載の薬学的組成物。
- 核内受容体の活性に少なくとも部分的に影響される病状の原因又は症候を予防又は治療するための方法であって、請求項21記載の薬学的組成物を、核内受容体の活性に少なくとも部分的に影響される原因又は症候又は病状に罹患している個体に投与することを含む方法。
- 前記核内受容体がステロイドホルモン受容体であり、前記病状が男性不妊症、ケネディ病、前立腺癌、乳癌、肝臓癌、膀胱癌、良性前立腺過形成、座瘡、脱毛症、多毛症、遅い創傷治癒、及び望ましくない妊娠から成る群から選択される、請求項29に記載の方法。
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