JP2008539728A - 膀胱癌バイオマーカーおよびその使用 - Google Patents

膀胱癌バイオマーカーおよびその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、膀胱癌を有さない個体と比較して、膀胱癌を有する固体においてディファレンシャルに発現される新規なバイオマーカーの同定および選択、ならびにそのバイオマーカーの組み合わせの同定および選択に関する。本発明のバイオマーカーの産物に特異的におよび/または選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドおよびタンパク質もまた、膀胱癌を診断する際の使用のための上記ポリヌクレオチドおよびタンパク質を含むキットと同様に、本発明の範囲内に包含される。さらに、個体における疾患の後退をモニターするため、および治療レジメンの効力をモニターするための、本発明のバイオマーカーの産物に特異的におよび/または選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドおよびタンパク質の使用が本発明に包含される。本発明はまた、膀胱癌についての新規な治療標的の同定における本発明のバイオマーカーの産物を使用する方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本願は、2005年5月2日に出願された米国仮出願第60/676,921号および2005年10月21日に出願された米国仮出願第60/729,056号の恩典を請求し、これらは参照により本明細書に援用される。

本願は、それらの全体が参照により本明細書に援用される2枚組のコンパクトディスク(2枚のコンパクトディスク:表−コピー1および表−コピー2)を含む。各コンパクトディスクは同一であり、以下のファイルを含む(表1−7および11−12に対応する):
Figure 2008539728
説明 サイズ 作製日 テキストファイル名
1 膀胱癌バイオマーカー
2 PCT出願番号PCT/US04/020836に開示された膀胱癌バイオマーカー
3 表1の膀胱癌バイオマーカー産物
4 早期膀胱癌バイオマーカー
5 PCT出願番号PCT/US04/020836に開示された早期膀胱癌バイオマーカー
6 表4の膀胱癌バイオマーカー産物
7 膀胱癌が早期であるか否かに関わらず、正常から膀胱癌に分化するバイオマーカー
11 精巣癌または腎細胞癌のいずれかと比較した場合と、膀胱癌の間で区別されるバイオマーカー
12 表11の膀胱癌バイオマーカー産物

1.発明の分野
本発明は、早期の膀胱癌についてのバイオマーカーを含む新規な膀胱癌のバイオマーカーの同定および選択、ならびに、膀胱癌を有さない個体と比較して、膀胱癌または表在性膀胱癌を有する個体においてディファレンシャルに発現される新規なバイオマーカーの組み合わせの同定および選択を包含する。本発明のバイオマーカーおよびバイオマーカーの組み合わせの産物の発現の測定は、個体が膀胱癌を有すると診断する際に特定の利点を実証する。本発明のバイオマーカーの産物に特異的におよび/または選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドおよびタンパク質がさらに、包含される。本発明はまた、本発明のバイオマーカー遺伝子に結合し、および/またはその活性を調節する化合物の同定において本発明のバイオマーカーの産物を使用する方法を提供する。このような方法を介して同定される化合物は、膀胱癌および膀胱癌の進行を研究するためのアッセイの開発のために有用である。さらに、このような方法を介して同定された化合物は、膀胱癌またはその症状の予防、治療、管理、および/または改善のための予防組成物および治療組成物の開発におけるリード化合物として有用である。
2.発明の背景
膀胱癌は、男性において4番目に多く診断される癌であり、女性において8番目に多く診断される癌である(Greenleeら、Cancer Statistics,2001)。たばこの煙、芳香族性アミン、石炭燃焼の副産物、塩素化化合物および特定のアルデヒドへの曝露は、人が膀胱癌になるリスクを増加することが示されてきた。膀胱癌それ自体は、死亡率に対して影響が低いが、しかし、他の組織への癌の転移は、死亡のリスクを実質的に増加させる。このようなものとして、膀胱癌を同定する診断方法は有益である。特に、早期の検出および介入を可能にする診断方法は非常に利益になる。
現在使用されている膀胱癌のスクリーニング方法には、膀胱鏡検査の使用;膀胱洗浄および/または尿細胞学的検査が含まれる。これらの方法の各々は、腫瘍または他の膀胱細胞の異常を検出するために、内科医が膀胱および/または膀胱の細胞を観察することを可能にする。しかし、これらの方法は高価であり、そしてそれゆえに、膀胱癌のリスクが増加することが疑われていない人のためのスクリーニング方法としては実用的ではない。別の一般的なスクリーニング技術は、血尿分析(すなわち、尿中の血液の観察)である。血尿は膀胱癌の最も一般的な主訴であるが、これはまた、多くの他の診断の可能性を示し得る(すなわち、低い特異性)。例えば、英国において血尿外来に通院する患者の予測分析で、肉眼的血尿を有する患者の19.2%のみが、細胞検査によって決定されるように、膀胱癌を有すると決定された。加えて、これらの方法は、早期の膀胱癌を有する患者にとって、特異性および感度がさらに低くなる。
従って、膀胱癌のリスクがある患者の検出を改善するために、比較的安価であり、十分に高感度かつ特異的である膀胱癌のスクリーニングのための方法についての必要性が当該分野において存在する。膀胱癌を有することが判った患者のための早期の介入およびより多くの治療の選択肢を可能にするために、比較的早期の段階で膀胱癌をスクリーニングするためのより高い能力を有する方法についての必要性もまた存在する。
3.発明の要旨
本発明は、新規な膀胱癌のバイオマーカーの同定および選択、ならびに早期(表在性)膀胱癌バイオマーカーの同定および選択、ならびに単純かつ比較的安価な試験を提供して、膀胱癌についてのスクリーニングを改善するためのこれらのバイオマーカーの同定および組み合わせを包含する。本明細書に開示される方法は、これらの方法を使用して同定されるバイオマーカーおよびバイオマーカーの組み合わせの産物とともに、膀胱癌のリスクが増加する患者を同定するために、患者をスクリーニングする際の特定の利点を実証する。理解されるように、本明細書のバイオマーカーの産物を測定するために、同定された本発明のバイオマーカーおよびその誘導体の産物に特異的におよび/または選択的にハイブリダイズ/結合するポリヌクレオチドおよびタンパク質もまた、個体が膀胱癌を有すると診断する際の使用のための上記ポリヌクレオチドおよびタンパク質を含むキットと同様に、本発明の範囲内に包含される。さらに、個体における膀胱癌の進行をモニターするため、および治療レジメンの効力をモニターするための、本発明のバイオマーカーの産物に特異的におよび/または選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドおよびタンパク質の使用が本発明に包含される。本発明はまた、膀胱癌についての新規な治療標的の同定における本発明のバイオマーカーの産物を使用する方法の同定を提供する。
3.1 定義
以下の定義は、以下に書かれた説明の中で使用される特定の用語のために提供される。
本明細書で使用される場合、「3’末端」という用語は、存在する場合に、3’末端ヌクレオチドが、ポリAテールに隣接するコード領域または非翻訳領域の末端ヌクレオチドである、mRNAの最後の1000ヌクレオチドまたはその1/3までであるmRNAの末端をいう。すなわち、mRNAの3’末端は、存在する場合、ポリAテールを含まない。遺伝子の「3’末端」は、遺伝子の内部または3’末端に位置するポリヌクレオチド(二本鎖または一本鎖)をいい、存在する場合、3’非翻訳領域、および遺伝子の3’タンパク質コード領域を含むがこれらに限定されない。3’領域は、8ヌクレオチド長以上の長さで、1000ヌクレオチド長以下の長さである。3’領域の他の可能な長さには、10ヌクレオチド、20ヌクレオチド、25ヌクレオチド、50ヌクレオチド、100ヌクレオチド、200ヌクレオチド、400ヌクレオチド、および500ヌクレオチドが含まれるがこれらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「5’末端」という用語は、mRNAの最初のヌクレオチドで開始して、mRNAの最初の1000ヌクレオチドまたはその1/3までであるmRNAの末端をいう(ここで、全長のmRNAはポリAテールを含まない)。遺伝子の「5’末端」は、遺伝子の内部または5’末端に位置するポリヌクレオチド(二本鎖または一本鎖)をいい、存在する場合、5’非翻訳領域、および遺伝子の5’タンパク質コード領域を含むがこれらに限定されない。5’領域は、8ヌクレオチド長以上の長さで、1000ヌクレオチド長以下の長さである。5’領域の他の可能な長さには、10、20、25、50、100、200、400、および500ヌクレオチドが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「増幅される」という用語は、核酸配列に適用される場合、好ましくは、ポリメラーゼ連鎖反応(MullisおよびFaloona,1987,Methods Enzymol.,155:335)によって、特定の核酸配列の1つ以上のコピーが、テンプレート核酸から生成されるプロセスをいう。「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」とは、特定の核酸テンプレート配列を増幅するためのインビトロ方法をいう。ある実施形態において、PCR反応は、反復する一連の温度サイクルを含み、典型的には、50〜100μlの容量で実施される。反応混合液は、dNTP(4種のデオキシヌクレオチドdATP、dCTP、dGTP、およびdTTPの各々)、プライマー、緩衝液、DNAポリメラーゼ、および核酸テンプレートを含む。PCR反応は、第1のプライマーが核酸テンプレート配列の一方の鎖における1つの領域に相補的な配列を含みかつ相補的なDNA鎖の合成を開始し、第2のプライマーが標的核酸配列の第2の鎖における1つの領域に相補的な配列を含みかつ相補的なDNA鎖の合成を開始する、ポリヌクレオチドプライマーのセットを提供する工程、および、(i)増幅のために必要とされるプライマーの、テンプレート配列中に含まれる標的核酸へのアニーリング、(ii)核酸ポリメラーゼがプライマー伸長産物を合成する、プライマーの伸長のPCRサイクリング段階を許容する条件下で、テンプレート依存性重合剤として核酸ポリメラーゼを利用する核酸テンプレート配列を増幅する工程を含むことができる。「ポリヌクレオチドプライマーのセット」または「PCRプライマーのセット」は、2種、3種、4種またはそれ以上のプライマーを含み得る。1つの実施形態において、エキソ−Pfu DNAポリメラーゼが、PCR反応における核酸テンプレートを増幅するために使用される。増幅の他の方法には、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ポリヌクレオチド特異的塩基増幅(NSBA)、または当該分野において公知である任意の他の方法が含まれるがこれらに限定されない。
本明細書で使用される場合、ポリペプチドの「アミノ末端」領域とは、mRNAの内部または5’末端に位置するポリヌクレオチド配列(二本鎖または一本鎖)によってコードされるポリペプチド配列をいう。本明細書で使用される場合、「アミノ末端」領域とは、ポリペプチドの最初のアミノ酸で開始して、ポリペプチドの最初の300アミノ酸またはその1/3までであるポリペプチドのアミノ末端をいう。ポリペプチドの「アミノ末端」領域は、3アミノ酸長以上の長さで、350アミノ酸長以下の長さである。ポリペプチドの「アミノ末端」領域の他の可能な長さには、5、10、20、25、50、100、および200アミノ酸が含まれるがこれらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「アナログ」という用語は、タンパク質性因子(例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、および抗体)の状況において、第2のタンパク質性因子としての類似のまたは同一の機能を有するが、第2のタンパク質性因子の類似もしくは同一のアミノ酸配列を含む必要はなく、または第2のタンパク質性因子と類似もしくは同一の構造を有する必要はない、タンパク質性因子をいう。類似のアミノ酸配列を有するタンパク質性因子とは、以下の少なくとも1つを満たす第2のタンパク質性因子をいう:(a)第2のタンパク質性因子のアミノ酸配列に対して、少なくとも30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または99%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質性因子;(b)少なくとも5、10、15、20、25、40、50、60、70、80、90、100、または125個の連続するアミノ酸残基、または少なくとも150個の連続するアミノ酸残基の第2のタンパク質性因子をコードするヌクレオチド配列に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチドによってコードされるタンパク質性因子;および(c)第2のタンパク質性因子のヌクレオチド配列に対して、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質性因子。第2のタンパク質性因子に対して類似の構造を有するタンパク質性因子とは、第2のタンパク質性因子に対して、類似の二次構造、三次構造または四次構造を有するタンパク質性因子をいう。タンパク質性因子の構造は当業者に公知の方法によって決定することができ、これには、ペプチド配列決定、X線結晶解析、核磁気共鳴、円偏光二色性分析、および結晶電子顕微鏡法が含まれるがこれらに限定されない。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性割合を決定するために、配列は、最適比較目的のために並べられる(例えば、ギャップが、第2のアミノ酸または核酸配列との最適なアラインメントのために、第1のアミノ酸または核酸配列の配列に導入することができる)。次いで、対応するアミノ酸の位置またはヌクレオチドの位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められている場合には、それらの分子はその位置において同一である。これらの2つの配列間の同一性割合は、これらの配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、同一性%=(同一の重複する位置の数/全体の位置の数)×100%)。1つの実施形態において、2つの配列は同じ長さである。
2つの配列間の同一性割合の同定はまた、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。2つの配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、KarlinおよびAltschul,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 90:5873−5877において改変されたような、KarlinおよびAltschul,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 87:2264−2268のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、Altschulら、1990,J.Mol.Biol. 215:403のNBLASTプログラムおよびXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、本発明の核酸分子に対して相同性であるヌクレオチド配列を得るために、例えば、スコア=100、ワード長=12に設定したNBLASTプログラムパラメーターを用いて実施することができる。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質分子に対して相同性であるアミノ酸配列を得るために、例えば、スコア=50、ワード長=3に設定したXBLASTプログラムパラメーターを用いて実施することができる。比較目的のためにギャップ付きアラインメントを得るために、ギャップ付きBLASTは、Altschulら、1997,Nucleic Acids Res. 25:3389−3402に記載されるように利用することができる。代替的には、PSI-BLASTは、分子間の距離が離れた関連性を検出する反復検索を実施するために使用することができる(同上)。BLASTプログラム、ギャップ付きBLASTプログラム、およびPSI-Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを使用することができる(例えば、NCBIウェブサイトを参照のこと)。配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定的な例は、MyersおよびMiller,1988,CABIOS 4:11−17のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重み残基表、12のギャップ長ペナルティー、4のギャップペナルティーを使用することができる。2つの配列間の同一性割合は、ギャップを許容することを伴い、または伴わずに、上記のものと同様の技術を使用して決定することができる。同一性割合を計算する際に、典型的には、正確な一致のみが計数される。
本明細書で使用される場合、「アナログ」という用語は、非タンパク質性アナログの状況において、第1の有機分子または無機分子と類似のまたは同一の機能を有し、かつ第1の有機分子または無機分子と類似の構造を有する、第2の有機分子または無機分子をいう。
本明細書で使用される場合、「バイオマーカー」という用語は、膀胱癌または膀胱癌の1つの段階を有さない個体(しかしこの個体は他の疾患を有する場合がある)と比較して、膀胱癌または膀胱癌の1つの段階を有する個体においてディファレンシャルに発現される遺伝子をいい、この用語は、膀胱癌を有さない個体と比較して、表在性膀胱癌を有する個体においてディファレンシャルに発現される遺伝子を含み得る。
「バイオマーカー特異的プライマー」という用語は、本明細書で使用される場合、本発明のバイオマーカーの1種以上のRNA産物の一部に対して相補的である二本鎖DNAを産生し得るプライマーのセットをいう。例えば、これらのプライマーは、伸長産物を作製するために本発明のバイオマーカーに相補的なRNA、cDNAまたはESTに選択的にハイブリダイズすることができる配列である第1のプライマー、および本発明のバイオマーカーに相補的な二本鎖DNAを産生するために使用される、伸長産物に選択的にハイブリダイズすることが可能である第2のプライマーを含み得る。
「バイオマーカー特異的プローブ」という用語は、本明細書で使用される場合、固有のバイオマーカーのRNA産物に選択的かつ特異的にハイブリダイズするプローブをいう。1つの実施形態において、バイオマーカー特異的プローブは、フルオロホアまたはクエンチャーを有するプローブ、例えば、TaqMan(登録商標)プローブまたはMolecular Beacon(登録商標)プローブであり得る。別の実施形態において、バイオマーカー特異的プローブは、アレイに結合され、そして固有のバイオマーカーの1つ以上のRNA産物(または当該RNA産物に対応するcDNA、ESTまたはPCR)に選択的かつ特異的にハイブリダイズするプローブである。バイオマーカー特異的プローブはオリゴヌクレオチドプローブを含み得、またより長いプローブ(例えば、100ヌクレオチド、150ヌクレオチド、200ヌクレオチド、250ヌクレオチド、300ヌクレオチド、350ヌクレオチド、400ヌクレオチド、450ヌクレオチド、500ヌクレオチドなど)であり得る。
本明細書で使用される場合、「膀胱癌」という用語は、膀胱の内側を覆う細胞が、腫瘍を形成する細胞の塊を生じるそれらの増殖を調節する能力を喪失している疾患をいう。本明細書で使用される場合、「早期膀胱癌」または「表在性膀胱癌」という用語は、非侵襲性膀胱腫瘍をいう(例えば、AJCCガイドラインに従って決定されるTa型またはTia型)(Herrら、2001)。
本明細書で使用される場合、「血液核酸サンプル」という用語は、血液由来の核酸をいい、これは、全血、遠心分離した溶解血、無血清全血または末梢血白血球(PBL)を含む分画した血液もしくは本明細書に記載されるような他の血液の画分を含み得る。全血とは、未分画の血液を意味し、これは一滴の血液を含み、ここで、一滴の血液には、5μl、10μl、15μl、20μl、25μl、30μlの容量が含まれる。遠心分離した溶解血または「溶解血」とは、本明細書に記載されるように、溶解緩衝液と混合され、かつ遠心分離された未分画の血液を意味する(実施例2を参照のこと)。無血清血液とは、本明細書に記載されるように、血清または血漿が遠心分離によって取り除かれている未分化の血液を意味する(実施例2を参照のこと)。好ましくは、血液核酸サンプルは、全血または遠心分離した溶解血であり、総RNA、mRNAまたはmRNAに対応する核酸、例えば、cDNAが当該血液から単離される。核酸サンプルはまた、総RNA、mRNAまたはcDNAに由来するPCR産物を含み得る。
本明細書で使用される場合、ポリペプチドの「カルボキシ末端」領域とは、mRNAの内部またはその3’末端に位置するポリヌクレオチド配列(二本鎖または一本鎖)によってコードされるポリペプチド配列をいう。本明細書で使用される場合、「カルボキシ末端」領域とは、ポリペプチドの最後のアミノ酸から300アミノ酸またはそこから1/3までであるポリペプチドのカルボキシ末端をいう。「3’末端」は、存在する場合、ポリAテールを含まない。ポリペプチドの「カルボキシ末端」領域は、3アミノ酸長以上の長さで、350アミノ酸長以下の長さである。ポリペプチドの「カルボキシ末端」領域の他の可能な長さには、5、10、20、25、50、100アミノ酸および200アミノ酸が含まれるがこれらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「組織サンプル」という用語は、血液ではなく、膀胱組織、脳組織、心臓組織、肺組織、リンパ節などを含み得る組織に由来する細胞をいう。「組織核酸サンプル」は、総RNA、mRNA、またはRNAに対応する核酸、例えば、cDNAである。組織核酸サンプルはまた、総RNA、mRNA、またはcDNAに由来するPCR産物を含み得る。
本明細書で使用される場合、「本発明のバイオマーカーの組み合わせ」という用語は、表1、表3、表4、表6、表7および表10、表11、または表12に開示されるような任意の1つ以上のバイオマーカーをいう。本発明のバイオマーカーの組み合わせはまた、当該組み合わせのバイオマーカーの少なくとも1つが表1からのものである限り、表1および表2に開示されるような任意の2つ以上のバイオマーカーの任意の組み合わせを含む。本発明のバイオマーカーの組み合わせはまた、当該組み合わせのバイオマーカーの少なくとも1つが表4からのものである限り、表4および表5に開示されるような任意の2つ以上のバイオマーカーの任意の組み合わせを含む。本発明のバイオマーカーの組み合わせはまた、当該組み合わせのバイオマーカーの少なくとも1つが表11からのものである限り、表11および表2に開示されるような任意の2つ以上のバイオマーカーの任意の組み合わせを含む。
本明細書で使用される場合、「化合物」および「因子」という用語は交換可能に使用される。
本明細書で使用される場合、「から本質的に構成される」とは、膀胱癌を診断もしくはスクリーニングするため、および/または表在性膀胱癌を診断もしくはスクリーニングするために有用である最大数のバイオマーカーをいう。1つの実施形態において、膀胱癌または表在性膀胱癌の診断のためのバイオマーカーは、表1のバイオマーカーの少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、100個、125個、150個、175個、200個、225個、250個まで、またはすべてのいずれかから本質的に構成される。別の実施形態において、膀胱癌の診断のためのバイオマーカーは、表7のバイオマーカーの少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、100個、125個、150個、175個、200個まで、またはすべてのいずれかから本質的に構成される。別の実施形態において、膀胱癌の診断のためのバイオマーカーは、表10のバイオマーカーの少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個まで、またはすべてのいずれかから本質的に構成される。別の実施形態において、膀胱癌の診断のためのバイオマーカーは、PCT出願番号PCT/US04/020836に開示され、かつ表2に提供されるバイオマーカーの少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個、15個、20個、30個、40個、50個、100個、200個、300個、400個、500個、1000個、1500個、2000個、2500個、3000個、3500個、4000個まで、またはすべてのいずれかと組み合わせた、表1のバイオマーカーの少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、13個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、100個、125個、150個、175個、200個までのいずれかから本質的に構成される。別の実施形態において、表在性または早期の膀胱癌の診断のためのバイオマーカーは、表4のバイオマーカーの少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、100個、125個、150個、175個、200個、225個、250個、275個、300個、325個、350個、375個、400個、425個、450個、475個、500個まで、またはすべてのいずれかから本質的に構成される。別の実施形態において、表在性膀胱癌の診断のためのバイオマーカーは、PCT出願番号PCT/US04/020836に開示され、かつ表5に提供されるバイオマーカーの少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個、15個、20個、30個、40個、50個、100個、150個、200個、250個、300個、350個、400個、450個、500個、1000個、1500個、2000個、2500個まで、またはすべてのいずれかと組み合わせた、表4のバイオマーカーの少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、100個、125個、150個、175個、200個、225個、250個、275個、300個、325個、350個、375個、400個、425個、450個、475個、500個までのいずれかから本質的に構成される。別の実施形態において、膀胱癌および/または表在性膀胱癌の診断のためのバイオマーカーは、表11のバイオマーカーの少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、100個、125個、150個、175個、200個、225個、250個まで、またはすべてのいずれかから本質的に構成される。別の実施形態において、膀胱癌および/または表在性膀胱癌の診断のためのバイオマーカーは、表12のバイオマーカーの少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、100個、125個、150個、175個、200個、225個、250個まで、またはすべてのいずれかから本質的に構成される。
本明細書で使用される場合、「対照」または「対照サンプル」という用語は、本発明の状況において、当業者に公知の技術(例えば、尿中で核マトリックスタンパク質(NMP22(登録商標)と呼ばれる)のレベルの上昇を検出するためのNMP22(登録商標)BladderChek(登録商標)、静脈内腎盂撮影(pyloegram)(IVP)画像処理、CTスキャン、MRIスキャン、骨スキャンまたは超音波など)を使用して、前立腺癌を有するとして、表在性癌膀胱癌を含む膀胱癌の1つ以上の段階を有するとして;膀胱癌を有さずまたは膀胱癌の段階(例えば、表在性膀胱癌)を有さないとして分類される、1つ以上の組織核酸サンプルおよび/または血液核酸サンプルおよび/または1例以上の個体をいう。対照または対照サンプルという用語はまた、正常(膀胱癌を有さない)として診断された個体、膀胱癌を有するとして診断された個体、または膀胱癌の1つの段階を有するとして診断された個体の1つ以上のサンプルから導き出されたデータの組み合わせであり得る。当業者によって理解されるように、対照という用語は、実験の状況において使用され、所望の比較に依存する。本明細書で使用される場合、「対照」という用語は、予防剤または治療剤をスクリーニングする状況において、他の条件がそれに対して比較されるアッセイまたは方法論のための基準または参照をいう。
本明細書で使用される場合、「データ」または「バイオマーカーデータ」は、一般的には、バイオマーカーによってコードされるRNAおよびタンパク質のいずれかまたは両方を含むバイオマーカーの産物の豊富さまたはレベルを反映するデータをいう。
本明細書で使用される場合、「誘導体」という用語は、タンパク質性因子(例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、および抗体)の状況において、1つ以上のアミノ酸残基の置換、欠失、および/または付加を行うことによって変化したアミノ酸配列を含むタンパク質性因子をいう。「誘導体」という用語はまた、本明細書で使用される場合、すなわち、タンパク質性因子への任意の型の分子の共有結合によって修飾されたタンパク質性因子をいう。例えば、しかし限定的なものではなく、抗体は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/封鎖基による誘導体化、タンパク質分解性切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への連結などによって修飾されてもよい。タンパク質性因子の誘導体は、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝的合成などを含むがこれらに限定されない、当業者に公知の技術を使用する化学修飾によって産生されてもよい。さらに、タンパク質性因子の誘導体は、1つ以上の非古典的なアミノ酸を含み得る。タンパク質性因子の誘導体は、それが由来したタンパク質性因子と類似のまたは同一の機能を有する。
本明細書で使用される場合、「誘導体」という用語は、非タンパク質性因子の状況において、第1の有機分子または無機分子の構造に基づいて形成される第2の有機分子または無機分子をいう。有機分子の誘導体には、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、カルボニル基またはアミン基によって修飾される分子が含まれるがこれに限定されない。有機分子はまた、エステル化、アルキル化、および/またはリン酸化されてもよい。
本明細書で使用される場合、本発明の1つの態様に従う「膀胱癌の診断」または「膀胱癌診断」「膀胱癌のスクリーニング」「膀胱癌の段階のスクリーニング」は、人が膀胱癌を有し、および/または表在性膀胱癌を有する可能性を決定するプロセスをいう。この用語は、膀胱癌または膀胱癌の段階を診断またはスクリーニングするための旧来の医学的診断技術、ならびに本発明によって包含されるような診断方法およびスクリーニング方法の両方をいう。膀胱癌を診断するための旧来の医学的診断技術には、理学的検査および病歴、尿検査を含む医学的説明、ならびに、尿中の核マトリックスタンパク質(NMP22(登録商標)と呼ばれる)のレベルの上昇を検出するためのNMP22(登録商標)BladderChek(登録商標)、静脈内腎盂撮影(pyloegram)(IVP)画像処理、CTスキャン、MRIスキャン、骨スキャンまたは超音波などを含み得る適切な臨床検査が含まれる。特定の実施形態において、「前立腺癌の診断」とは、2つの選択肢:例えば、個体が膀胱癌または膀胱癌の特定の段階を有すること、または個体が膀胱癌または膀胱癌の特定の段階を有さないことのいずれかの決定をいう。特定の実施形態において、「膀胱癌の診断またはスクリーニング」という用語は、例えば、「膀胱癌の診断」については、個体が膀胱癌を有することの可能性の決定、または個体が膀胱癌を有さないことの可能性の決定の2つの選択肢のいずれかの決定をいう。「表在性膀胱癌の診断」については、個体が表在性膀胱癌を有すること、または膀胱癌を有さないことの可能性の決定である。別の特定の実施形態において、「診断」とは、1つの選択肢が、個体が膀胱癌を有すかまたは膀胱癌を有さないかを十分な程度の確実性をもって決定することができない(例えば、結果が受け入れ難い決定)、3つの選択肢のいずれかとしての決定をいう。
別の実施形態において、「膀胱癌の診断またはスクリーニング」は、個体が、膀胱癌もしくは膀胱癌の特定の段階を有するか、または膀胱癌もしくは膀胱癌の特定の段階を有さないとして特徴付けることができるかに関して、十分な程度の確実性をもって決定することができない選択肢を含むことができる。当業者によって理解されるように、この状況において、「十分な程度の確実性」は、診断の感度と特異性の両方についての医学的要件に依存する。より特定には、十分な程度の確実性には、50%より高い感度および/または特異性、60%より高い感度および/または特異性、70%より高い感度および/または特異性、80%より高い感度および/または特異性、90%より高い感度および/または特異性、ならびに100%の感度および/または特異性が含まれる。
本明細書で使用される場合、「ディファレンシャルな発現」という用語は、RNAまたはタンパク質の量またはレベルによって測定されるような、本発明の1種以上のバイオマーカーのRNAおよび/またはタンパク質の産物の発現レベルの違いをいう。RNAに関しては、これは、第2のサンプル中のmRNAおよび/またはmRNAの1種以上のスプライシング変異体を含むRNAの量またはレベルによって測定される、同じ1種以上のバイオマーカーの発現レベルと比較されるような、1つのサンプル中のバイオマーカーのmRNAおよび/またはmRNAの1種以上のスプライシング変異体のレベルの違いを含み得る。「ディファレンシャルに発現される」または「ディファレンシャルな発現」はまた、本発明のバイオマーカーまたは複数のバイオマーカーの1種以上のタンパク質変異体を含むタンパク質発現の量またはレベルと比較されるような、サンプルまたはサンプルの集団中の本発明のバイオマーカーによってコードされるタンパク質または1種以上のタンパク質変異体の測定を含み得る。ディファレンシャルな発現は、本明細書に記載され、かつ当業者によって理解されるように決定することができる。「ディファレンシャルに発現される」または「発現レベルの変化」という用語は、第2のサンプル中のバイオマーカーの所定の産物の測定可能な発現レベルと比較されるような、1つのサンプル中のRNAの量および/またはタンパク質の量によって測定されるようなバイオマーカーの所定の産物の測定可能な発現レベルの増加または減少をいう。第1のサンプルおよび第2のサンプルは、異なる患者からのものである必要はないが、異なる時点で取られた同じ患者からのサンプルであり得る。「ディファレンシャルに発現される」または「発現レベルの変化」という用語はまた、サンプルの第2の集団中のバイオマーカーの測定可能な発現レベルと比較されるような、サンプルの集団中の所定のバイオマーカーの測定可能な発現レベルの増加または減少をいうことができる。本明細書で使用される場合、「ディファレンシャルに発現される」とは、単一のサンプルに言及する場合、対照集団の所定のバイオマーカーの平均発現レベルと比較されるような、当該サンプル中の所定のバイオマーカーの発現レベルの比率を使用して測定することができ、ここで、その比率は1.0に等しくない。ディファレンシャルに発現されるはまた、第2のサンプルの集団と比較されるような第1のサンプルの集団または単独のサンプルを、サンプルの1つの集団と、発現レベルの比率もしくはp−値のいずれかを使用して比較することを含むために使用することができる。ディファレンシャルな発現の統計学的な意味の尺度であるp−値を使用する場合、hnRNAおよびmRNAを含む核酸転写物は、0.3、0.2、0.1未満、0.05未満、0.01未満、0.005未満、0.001未満などのp値が統計学的に有意であると見なされる場合に、第1の集団と第2の集団の間でディファレンシャルに発現されると同定される。遺伝子産物の発現レベルの比率に基づいてディファレンシャルな発現を決定する場合、RNAまたはタンパク質の遺伝子産物は、第1のサンプル中のそのRNAまたはタンパク質産物レベルの、第2のサンプル中のそれと比較した比率が1.0よりも大きいかまたは1.0未満である場合に、ディファレンシャルに発現される。例えば、遺伝子のRNAまたはタンパク質産物の1よりも大きな比率、例えば、1.2、1.5、1.7、2、3、4、10、20、または1未満の比率、例えば、0.8、0.6、0.4、0.2、0.1、0.05が、ディファレンシャルな発現を示す。本発明の別の実施形態において、hnRNAおよびmRNAを含む核酸転写物は、核酸集団中の第1の転写物の発現の平均レベルの、第2の集団中の発現のその平均レベルと比較した場合の比率が1.0より大きいか、または1.0未満である場合に、ディファレンシャルに発現される。例えば、1よりも大きな比率、例えば、1.2、1.5、1.7、2、3、4、10、20、または1未満の比率、例えば、0.8、0.6、0.4、0.2、0.1、0.05が、ディファレンシャルな発現を示す。本発明の別の実施形態において、hnRNAおよびmRNAを含む核酸転写物は、第1のサンプル中の発現のそのレベルの、第2の集団中の平均と比較した場合の比率が1.0より大きいか、または1.0未満である場合に、ディファレンシャルに発現され、そして例えば、1よりも大きな比率、例えば、1.2、1.5、1.7、2、3、4、10、20、または1未満の比率、例えば、0.8、0.6、0.4、0.2、0.1、0.05を含む。「ディファレンシャルに増加した発現」とは、標準、例えば、第2の集団の発現レベルの平均と比較して、1.1倍、1.2倍、1.4倍、1.6倍、1.8倍、またはそれ以上をいう。「ディファレンシャルに減少した発現」とは、標準、例えば、第2の集団の発現レベルの平均と比較して、1.0倍未満、0.8倍未満、0.6倍未満、0.4倍未満、0.2倍未満、0.1倍未満、またはそれ以下をいう。
本明細書で使用される場合、「薬効」とは、薬物の有効性をいう。「薬効」は、通常、薬物で治療されたかまたは治療されている患者の臨床的な反応によって測定される。薬物は、それが、所望の臨床的な結果、例えば、本発明に記載されるような変形性関節症の症状の緩和または変形性関節症の進行の予防を達成する場合に、高度の効力を有すると見なされる。吸収される薬物の量は、患者の反応を予測するために使用されてもよい。通則的には、薬物の用量が増加にともない、最大の所望の効果に達するまで、患者におけるより高い効果が観察されることである。最大点に達した後でより多くの薬物が投与される場合、通常は副作用が増加する。
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、膀胱癌またはその1つ以上の症状の進行および/または重度を低下または改善するため、膀胱癌またはその1つ以上の症状の発生、再発、または開始を予防するため、あるいは別の治療の予防効果または治療効果を増強または改善するために十分である化合物の量をいう。
本明細書で使用される場合、「フラグメント」は、ポリペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列の少なくとも5個の連続するアミノ酸残基、少なくとも10個の連続するアミノ酸残基、少なくとも15個の連続するアミノ酸残基、少なくとも20個の連続するアミノ酸残基、少なくとも25個の連続するアミノ酸残基、少なくとも40個の連続するアミノ酸残基、少なくとも50個の連続するアミノ酸残基、少なくとも60個の連続するアミノ酸残基、少なくとも70個の連続するアミノ酸残基、少なくとも80個の連続するアミノ酸残基、少なくとも90個の連続するアミノ酸残基、少なくとも100個の連続するアミノ酸残基、少なくとも125個の連続するアミノ酸残基、少なくとも150個の連続するアミノ酸残基、少なくとも175個の連続するアミノ酸残基、少なくとも200個の連続するアミノ酸残基、または少なくとも250個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含むペプチドまたはポリペプチドをいう。特定の実施形態において、タンパク質またはポリペプチドのフラグメントは、そのタンパク質またはポリペプチドの少なくとも1つの機能を保持する。別の実施形態において、タンパク質またはポリペプチドのフラグメントは、そのタンパク質またはフラグメントの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの機能を保持する。好ましくは、抗体のフラグメントは、抗原に免疫特異的に結合する能力を保持する。
本明細書で使用される場合、「融合タンパク質」という用語は、第1のタンパク質もしくはポリペプチドもしくはそのフラグメント、またはその機能的フラグメント、またはそのアナログもしくは誘導体のアミノ酸配列、および異種タンパク質、ポリペプチド、またはペプチド(すなわち、第1のタンパク質またはそのフラグメント、アナログ、もしくは誘導体とは異なる、第2のタンパク質またはポリペプチド、またはそのフラグメント、アナログ、もしくは誘導体)のアミノ酸配列を含むポリペプチドをいう。1つの実施形態において、融合タンパク質は、異種タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドに融合された予防剤または治療剤を含む。この実施形態に従って、異種タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドは、異なる型の予防剤または治療剤であってもよく、そうでなくてもよい。
本明細書で使用される場合、「遺伝子発現パターン」、「遺伝子発現プロフィール」は交換可能に使用され、本発明の2つ以上のバイオマーカーのRNAまたはタンパク質産物の発現のパターンを含む。例えば、RNA産物への言及を有する遺伝子発現パターンまたはプロフィールはまた、「核酸アレイ発現プロフィール」と呼ぶことが可能であり、非膀胱癌個体と比較した場合に、膀胱癌または早期膀胱癌の個体のいずれかを区別するための、アレイ上で複数の核酸プローブにハイブリダイズされる複数の標的核酸配列のハイブリダイゼーションを構成する。「遺伝子発現パターン」、「遺伝子発現プロフィール」はまた、タンパク質のレベルを測定するための当該分野において公知の任意の方法論によって決定されるような、2つ以上の本発明のバイオマーカーに対応する当該タンパク質の豊富さのレベルのパターンをいう。例えば、このパターンは、パターンの数学的表現、例えば、数式、ベクトルなどであり得る。
本明細書で使用される場合、「にハイブリダイズする」および「ハイブリダイゼーション」という用語は、相補的核酸との配列特異的な非共有結合的な結合相互作用、例えば、標的核酸とアレイ上の核酸メンバーとの間の相互作用をいう。
本明細書で使用される場合、「免疫グロブリン」という用語は、免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコードされている1つ以上のポリペプチドまたはその抗原結合フラグメントから成るタンパク質をいう。認められているヒト免疫グロブリン遺伝子には、カッパ、ラムダ、アルファ(IgA1およびIgA2)、ガンマ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、デルタ、イプシロン、およびミュー定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。全長免疫グロブリン「軽鎖」(約25Kdまたは214アミノ酸)は、NH2末端が可変領域遺伝子によってコードされ(約110アミノ酸)、COOH末端がカッパまたはラムダ定常領域によってコードされる。全長免疫グロブリン「重鎖」(約50Kdまたは446アミノ酸)は、可変領域遺伝子(約116アミノ酸)および他の上述の定常領域遺伝子の1つ、例えば、ガンマ(約330アミノ酸をコードする)によって同様にコードされる。
本明細書で使用される場合、「併用して」という用語は、治療に関する場合、1つより多くの治療(例えば、1つより多くの予防剤および/または治療剤)の使用をいう。「併用して」という用語の使用は、治療(例えば、予防剤および/または治療剤)が被験体に投与される順番を制限しない。第1の治療(例えば、第1の予防剤および/または治療剤)は、第2の治療(例えば、第2の予防剤および/または治療剤)の投与の前に(例えば、5分前、15分前、30分前、45分前、1時間前、2時間前、4時間前、6時間前、12時間前、24時間前、48時間前、72時間前、96時間前、1週間前、2週間前、3週間前、4週間前、5週間前、6週間前、8週間前、または12週間前)、それと同時に、またはその後に(例えば、5分後、15分後、30分後、45分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、8週間後、または12週間後)、被験体に投与することができる。
本明細書で使用される場合、「疾患を示す」または「膀胱癌を示す」という用語は、発現パターンに言及する場合、膀胱癌および/または早期の膀胱癌の診断である発現パターンを含み、個体が膀胱癌および/または早期の膀胱癌を有する可能性を増加するパターンを含み得る。
本明細書で使用される場合、遺伝子の「内部コード領域」という用語は、本明細書に定義されるような遺伝子の5’領域と3’領域の間に位置するポリヌクレオチド(二本鎖または一本鎖)をいう。「内部コード領域」は、8ヌクレオチド長以上の長さで、1000ヌクレオチド長以上の長さであり得る。「内部コード領域」の他の可能な長さには、10ヌクレオチド、20ヌクレオチド、25ヌクレオチド、50ヌクレオチド、100ヌクレオチド、200ヌクレオチド、400ヌクレオチド、および500ヌクレオチドが含まれるがこれらに限定されない。5’領域、3’領域および内部領域は重複しておらず、連続してもよいが必ずしもその必要はなく、対応する遺伝子の全長まで加えられてもよいが必ずしもその必要はない。
本明細書で使用される場合、ポリペプチドの「内部ポリペプチド領域」という用語は、本明細書に定義されるようなポリペプチドのアミノ末端領域とカルボキシ末端領域の間に位置するポリペプチド配列をいう。ポリペプチドの「内部ポリペプチド領域」は、3アミノ酸長以上の長さで、350アミノ酸長以上の長さであり得る。ポリペプチドの「内部ポリペプチド領域」の他の可能な長さには、5、10、20、25、50、100、および200アミノ酸が含まれるがこれらに限定されない。
アミノ末端領域、カルボキシ末端領域および内部ポリペプチド領域は重複しておらず、連続してもよいが必ずしもその必要はなく、対応するポリペプチドの全長まで加えられてもよいが必ずしもその必要はない。
本明細書で使用される場合、「単離された」または「精製された」は、核酸に関連して使用される場合、天然に存在する配列がその通常の細胞(例えば、染色体)環境から取り除かれ、または非天然環境で合成される(例えば、人工的に合成される)ことを意味する。従って、「単離された」または「精製された」配列は、無細胞溶液中にあるか、または異なる細胞環境に配置される可能性がある。「精製された」という用語は、その核酸が存在する唯一のヌクレオチドであることを意味しないが、その核酸は、それに天然に付随する非ヌクレオチド物質を本質的に含まず(約90〜95%純粋)、従って、単離された染色体から区別される。
本明細書で使用される場合、「単離された」または「精製された」という用語は、タンパク質因子(例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質または抗体)の状況において、細胞物質を実質的に含まず、ある実施形態において、それが由来する細胞もしくは組織供給源からの異種タンパク質性因子(すなわち、夾雑タンパク質)を実質的に含まず、または化学合成された場合には、化学前駆物質もしくは他の化学物質を実質的に含まないタンパク質性因子をいう。「細胞物質を実質的に含まない」という言葉は、タンパク質性因子が、それがそこから単離されまたは組み換えにより産生された細胞の細胞成分から分離されている、タンパク質性因子の調製物を含む。従って、細胞材料を実質的に含まないタンパク質性因子には、約30%未満、約20%未満、約10%未満、または約5%未満(乾燥重量)の異種タンパク質性因子(例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、または抗体;「夾雑タンパク質」とも呼ばれる)を有するタンパク質性因子の調製物が含まれる。タンパク質性因子が組み換えにより産生される場合、これはまた、好ましくは、培養培地を実質的に含まず、すなわち、培養培地が、タンパク質調製物の体積の約20%、10%、または5%未満を表す。タンパク質性因子が化学合成によって産生される場合、このタンパク質性因子は、好ましくは、化学前駆物質または他の化学物質を実質的に含まず、すなわち、このタンパク質性因子は、このタンパク質性因子の合成に含まれる化学前駆物質または他の化学物質から分離されている。従って、タンパク質性因子のこのような調製物は、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満(乾燥重量)の、目的のタンパク質性因子以外の化学前駆物質または他の化学物質を有する。
本明細書で使用される場合、「発現レベル」という用語は、当業者によって公知である方法によって決定されるような、遺伝子に対応する所定の核酸またはタンパク質の量の決定をいう。本発明のバイオマーカーに対応するRNA、hnRNA、mRNA、またはmRNAのスプライシング変異体に関しては、発現レベルは、ハイブリダイゼーション、ならびにSYBR(登録商標)Green、TaqMan(登録商標)およびMolecular Beacons技術の使用を含む定量リアルタイムRT−PCRのような他の測定によって決定することができる。本明細書で使用される場合、ディファレンシャルな発現レベルの決定は、例えば、ノーザンブロットまたはウェスタンブロットによる分析を行うことによって、所定の核酸またはタンパク質の量の間の違いの目視的検査を含み得る。
本明細書で使用される場合、「リガンド」とは、本発明のバイオマーカーの遺伝子の1つによってコードされるポリペプチドに特異的に結合する分子である。リガンドは、核酸(RNAまたはDNA)、ポリペプチド、ペプチドまたは化学化合物であり得る。本発明のリガンドは、ペプチドリガンド、例えば、骨格ペプチド、直鎖状ペプチド、または環状ペプチドであり得る。好ましい実施形態において、ポリペプチドリガンドは抗体である。この抗体は、ヒト抗体、キメラ抗体、組み換え抗体、ヒト化抗体、モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはポリクローナル抗体であり得る。この抗体は、インタクトな免疫グロブリン、例えば、IgA、IgG、IgE、IgD、IgMまたはそのサブタイプであり得る。この抗体は、機能的部分(例えば、第2の異なるポリペプチド、治療薬物、細胞傷害性薬剤、検出可能部分、または固相担体であってもよい、生物学的機能または化学的機能を有する化合物)にコンジュゲート可能である。ポリペプチドリガンド、例えば、本発明の抗体は、高い親和性および特異性で、バイオマーカーの遺伝子の1つによってコードされるポリペプチドと相互作用する。例えば、ポリペプチドリガンドは、少なくとも10−1、好ましくは、少なくとも10−1、10−1、または1010−1の親和性定数で、バイオマーカーの遺伝子の1つによってコードされるポリペプチドに結合する。
本明細書で使用される場合、「大多数」という用語は、組成物の全体の数の50%より多く(例えば、51%、60%、または70%、または80%または90%または100%まで)を表す数をいう。「大多数」という用語は、アレイに言及する場合、アレイの固体基質と安定して結合する、全体の核酸の50%より多く(例えば、51%、60%、または70%、または80%または90%または100%まで)を意味する。
本明細書で使用される場合、「管理する」、「管理すること」および「管理」とは、被験体が変形性関節症の治癒をもたらさない治療(例えば、予防剤または治療剤)から導き出される有益な効果をいう。特定の実施形態において、被験体は、変形性関節症の進行または悪化を予防するために、1つ以上の治療を投与されて変形性関節症を「管理する」。
本明細書で使用される場合、「mRNAの完全性」とは、組織サンプルまたは血液サンプルのいずれかから抽出されるmRNAの品質をいう。1つの実施形態において、mRNAの完全性は、当該分野において周知である方法によって、例えば、RNAアガロース電気泳動(例えば、Ausubelら、John Weley & Sons,Inc.,1997,Current Protocols in Molecular Biology)によって調べられる場合に、RNAが分解しているか否かを調べることによって決定される。好ましくは、mRNAサンプルは、それがそこから抽出される軟骨または血液サンプルの遺伝子発現レベルを本当に表すために良好な完全性を有する(例えば、10%未満、好ましくは5%未満、およびより好ましくは1%未満のmRNAが分解されている)。
本明細書で使用される場合、「非応答性」および「難治性」という用語は、膀胱癌の1つ以上の症状を治療および/または軽減するために臨床的に十分ではない、現在利用可能な治療で治療された患者を説明する。
本明細書で使用される場合、「正常」とは、尿中の血液を含む、膀胱癌またはその症状のいかなる証拠も示しておらず、および膀胱癌を有するか、または彼らが膀胱癌を有するかもしれない可能性を有すると診断されていない、個体または個体の群をいう。好ましくは、当該「正常」とは、膀胱癌を有するリスクが増加してない個体または個体の群をいう。加えて、好ましくは、当該正常個体は、膀胱癌に影響を与える薬剤投与を行っておらず、いかなる他の疾患を有するとも診断されていない。より好ましくは、正常個体は、試験サンプルと比較して、同様の性別、年齢を有する。「正常」はまた、本発明に従って、正常個体から単離されたサンプルをいい、正常個体から単離された総RNAまたはmRNAを含む。正常個体から採取されたサンプルは、組織サンプルから単離されたRNAを含み得る。
本明細書で使用される場合、「核酸」は、「ポリヌクレオチド」という用語と交換可能であり、一般的に、未修飾RNAもしくはDNA、または修飾RNAもしくはDNA、またはその任意の組み合わせであり得る、任意のポリヌクレオチドまたはデオキシポリヌクレオチドをいう。「核酸」には、非限定的に、一本鎖または二本鎖の核酸が含まれる。本明細書で使用される場合、「核酸」という用語はまた、1つ以上の修飾塩基を含む上記のようなDNAまたはRNAを含む。従って、安定性のためまたは他の理由のために修飾されたバックボーンを有するDNAまたはRNAは、「核酸」である。「核酸」という用語は、これが本明細書で使用される場合、このような化学的に、酵素によりまたは代謝により修飾された核酸の型、ならびにウイルスおよび細胞、例えば、単純および複雑な細胞に特異的なDNAおよびRNAの化学型を包含する。「核酸」または「核酸配列」はまた、一本鎖または二本鎖のRNAまたはDNAまたはその任意の組み合わせを含んでもよく、本発明のある実施形態に従って、発現配列タグ(EST)を含むことができる。ESTは、cDNAを作るためにmRNAの領域を逆転写することによって作られた。遺伝子の発現された配列の部分である(すなわち、配列の「タグ」)。
本明細書に定義されるように、「核酸アレイ」とは、核酸メンバーが固有のあらかじめ選択された領域において担体に結合されている担体に結合された複数の固有の核酸(または「核酸メンバー」)をいう。1つの実施形態において、担体の表面に結合された核酸メンバーはDNAである。好ましい実施形態において、担体の表面に結合された核酸メンバーはcDNAまたはオリゴヌクレオチドのいずれかである。別の好ましい実施形態において、担体の表面に結合された核酸メンバーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって合成されたcDNAである。「核酸」という用語は、本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」という用語と置き換えることができる。別の好ましい実施形態において、「核酸アレイ」とは、サザンブロッティングおよび/またはノーザンブロッティングの技術において使用されるニトロセルロースまたは他のメンブレンに結合された複数の固有の核酸をいう。
本明細書で使用される場合、「核酸プローブ」は、相補的塩基対合相互作用を含む一連の非共有結合性相互作用を通して、アレイ上の核酸メンバーの相補的配列に結合可能である。本明細書で使用される場合、核酸プローブは、天然の塩基(すなわち、A、G、C、またはT)または修飾塩基(7−デアザグアノシン、イノシンなど)を含み得る。加えて、核酸プローブ中の塩基は、それがハイブリダイゼーションと干渉しない限り、ホスホジエステル結合以外の連結によって結合されてもよい(すなわち、核酸プローブは、標準的なまたはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、その相補的配列にさらに特異的に結合する)。従って、核酸プローブは、構成塩基がホスホジエステル結合ではなくペプチド結合によって結合されるペプチド核酸であり得る。
本明細書で使用される場合、「核酸標的」または「核酸メンバー」は、アレイに結合可能である核酸として定義される。核酸標的は、遺伝子もしくはその一部に対応する単離された核酸配列であり得るか、または核酸標的は、サンプルから単離された総RNAもしくはmRNAであり得る。好ましくは、核酸標的または核酸マーカーは、ヒトの軟骨、血液、または滑液の抽出物由来である。より好ましくは、核酸標的は、ヒトの軟骨、血液、または滑液の抽出物、好ましくは、mRNA抽出物からの、一本鎖または二本鎖のDNA、RNA、またはDNA−RNAハイブリッドである。
1つの実施形態において、アレイに結合した「標的」配列の従来の核酸アレイは、完全なヒトゲノムを表現可能であり、例えば、Affymetrixチップ、および表1に記載される遺伝子または遺伝子プローブの2つ以上から成るか、またはそれを含む単離されたバイオマーカーが、従来のアレイに適用される。
別の実施形態において、アレイに結合される配列は、本発明のバイオマーカーに対応する単離されたオリゴヌクレオチド、cDNA、ESTまたはPCR産物であり得、総細胞RNAがアレイに適用される。
本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」という用語は、2つ以上、および好ましくは3つより多くのデオキシリボヌクレオチドオリゴヌクレオチドリボヌクレオチドから構成される分子として定義される。その正確なサイズは、多くの要因に依存し、次には、最終的な機能およびオリゴヌクレオチドの用途に依存する。オリゴヌクレオチドは、約8ヌクレオチドから約1,000ヌクレオチド長までであり得る。8〜100ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドは本発明において有用であり、好ましいオリゴヌクレオチドは、約8〜約15塩基長、約8〜約20塩基長、約8〜約25塩基長、約8〜約30塩基長、約8〜約40塩基長、または約8〜約50塩基長の範囲である。
本明細書で使用される場合、「医薬的に許容し得る塩」という語句は、本発明の方法を使用して同定される化合物中に存在し得る酸性基または塩基性基の塩を含むがこれに限定されない。天然で塩基性である化合物は、種々の無機酸および有機酸と広範な種々の塩を形成することが可能である。このような塩基性化合物の医薬的に許容し得る酸付加塩を調製するために使用することができる酸は、非毒性酸付加塩、すなわち、医薬的に許容し得るアニオンを含む塩を形成するものであり、これには以下が含まれるがこれらに限定されない:硫黄(sulfuric)塩、クエン性(citric)塩、マレイン性(maleic)塩、酸性(acetic)塩、シュウ酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩(sulfate)、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩(acetate)、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩(citrate)、クエン酸水素塩(acid citrate)、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩(glucaronate)、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびパモン酸(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸))塩。アミノ部分を含む化合物は、上記に言及した酸に加えて、種々のアミノ酸との医薬的に許容し得る塩を形成し得る。天然で酸性である化合物は、種々の医薬的に許容し得るカチオンと塩基性塩を形成することが可能である。このような塩の例には、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、特に、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、カリウム塩、および鉄塩が含まれる。
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」は、8ヌクレオチド長より長い二本鎖DNA、一本鎖DNA、および二本鎖または一本鎖RNAを包含する。
本明細書で使用される場合、「によってコードされるポリペプチド」とは、本明細書に定義されるような、遺伝子のタンパク質コード領域の翻訳後に得られるアミノ酸配列をいう。本発明のバイオマーカーの各々についてのmRNAヌクレオチド配列は、そのGenbank登録番号(表3および/または表6および/または表12を参照のこと)によって同定され、そして対応するポリペプチド配列は、タンパク質登録番号(表3および/または表6および/または表12)によって同定される。
タンパク質またはタンパク質のフラグメントが宿主動物を免疫するために使用されるとき、タンパク質の多数の領域が、タンパク質上の所定の領域または三次元構造に特異的に結合する抗体の産生を誘導する場合があり、これらの領域または構造は、エピトープまたは抗原決定基と呼ばれる。本明細書で使用される場合、「抗原性フラグメント」とは、1つ以上のエピトープを含むポリペプチドの部分をいう。エピトープは直鎖状であり得、抗原からの直鎖状配列を本質的に含み、またはエピトープは立体構造を有し、他の配列によって遺伝子的に分離されるが、ポリペプチドリガンドのための結合部位において構造的に一緒になる配列を含む。抗原性フラグメントは、5000、1000、500、400、300、200、100、50、または25アミノ酸長、または20、または10、または5アミノ酸長のいずれか1つまでであり得る。
本明細書で使用される場合、「あらかじめ選択された領域」、「所定の領域」、または「固有の位置」とは、核酸の沈降のために使用され、使用された、または使用されることが意図される基質上の局所的領域をいい、そうでない場合は、本明細書では、代替的には、「選択領域」または単に「領域」と呼ばれる。あらかじめ選択された領域は、任意の便利な形状、例えば、円形、長方形、楕円形、くさび形などを有し得る。ある実施形態において、あらかじめ選択された領域は、約1cmより小さく、より好ましくは約1mm未満、さらにより好ましくは約0.5mm未満、およびある実施形態においては約0.1mm未満である。「あらかじめ選択された領域」、「所定の領域」、または「固有の位置」における核酸は、その同一性(例えば、配列)が、領域内のその位置または固有の位置によって決定することができる。
本明細書で使用される場合、「予防する」、「予防すること」および「予防」という用語は、本発明の方法に従って同定される1つ以上の化合物の投与、またはこのような化合物および別の治療の組み合わせの投与から生じる、軽度の変形性関節症またはその1つ以上の症状の発生、再発、または開始の予防をいう。
「プライマー」という用語は、本明細書で使用される場合、精製制限消化物として天然に存在するか、または合成的に製造されたかに関わらず、核酸鎖に相補的であるプライマー伸長産物の合成が誘導される条件下、すなわち、ヌクレオチドおよびDNAポリメラーゼなどの誘導剤の存在下、ならびに適切な温度およびpHに配置されたときに、合成の開始点として作用可能であるオリゴヌクレオチドをいう。プライマーは、一本鎖または二本鎖のいずれかであり得、誘導剤の存在下で所望の伸長産物の合成を開始するために十分な長さでなければならない。プライマーの正確な長さは、温度、プライマーの供給源、および使用する方法を含む多くの因子に依存する。例えば、診断的適用のために、標的配列の複雑さに依存して、オリゴヌクレオチドプライマーは、典型的には、15〜25個以上のヌクレオチドを含むが、これはより少ないヌクレオチドを含んでもよい。プライマーの適切な長さを決定する際に含まれる因子は、当業者に容易に公知である。一般的に、本発明によって具体化されるプライマーの設計および選択は、標準的かつ当該分野において周知である方法に従う。以下を参照のこと:Dieffenbach,C.W.,Lowe,T.M.J.,Dveksler,G.S.(1995)PCR設計のための一般的概念(General Concepts for PCR Primer Design).PCRプライマー、実験室マニュアル(PCR Primer,A Laboratory Manual)(Dieffenbach, CWおよびDveksler, G.S.編)所収、Cold Spring Harbor Laboratory Press,ニューヨーク,133−155;Innis, M.A.およびGelfand, D.H.(1990)PCRの最適化(Optimization of PCRs).PCRプロトコール、方法および応用のガイド(PCR protocols,A Guide to Methods and Applications)(Innis,M.A.,Gelfand,D.H.,Sninsky,J.J.,およびWhite,T.J.編)所収、Academic Press,San Diego,3−12;Sharrocks,A.D.(1994)PCRのためのプライマーの設計(The design of primers for PCR)PCR技術、現在の技術革新(PCR Technology,Current Innovations)(Griffin,H.G.およびGriffin,A.M.編)所収、CRC Press,London,5−11。
本明細書で使用される場合、「プローブ」という用語は、オリゴヌクレオチドおよびそのアナログを意味し、標的配列のヌクレオチド塩基との水素結合相互作用を通してポリヌクレオチド標的配列を認識する一連の範囲の化学種をいう。プローブまたは標的配列は、一本鎖もしくは二本鎖RNA、または一本鎖もしくは二本鎖DNA、またはDNA塩基およびRNA塩基の組み合わせであってもよい。プローブは、少なくとも8ヌクレオチド長であり、かつ完全な遺伝子の長さ未満である。プローブは、10、20、30、50、75、100、150、200、250、400、500、および2000ヌクレオチド長までであり得る。プローブは、蛍光、化学発光などによって検出可能であるタグを有するために修飾されたオリゴヌクレオチドを含むことができる。プローブはまた、検出可能タグとクエンチャー分子の両方を有するために修飾可能であり、例えば、Taqman(登録商標)およびMolecular Beacon(登録商標)プローブである。
オリゴヌクレオチドおよびそのアナログは、RNAもしくはDNA、またはRNAもしくはDNAのアナログであってもよく、一般的には、アンチセンスオリゴマーまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドと呼ばれる。このようなRNAまたはDNAアナログは以下を含むがこれらに限定されない:2−’O−アルキル糖修飾、メチルホスホネート、ホスホロチエート、ホスホロジチオエート、ホルムアセタール、3’−チオホルムアセタール、スルホン、スルファメート、およびニトロオキサイドバックボーン修飾、および塩基部分が修飾されているアナログ。加えて、オリゴマーのアナログは、糖部分が、モルホリノアナログおよびペプチド核酸(PNA)を含むがこれらに限定されないポリマーを生じる、別の適切な部分で修飾または置き換えられたポリマーであってもよい(Egholmら、Peptide Nucleic Acids(PNA)--Oligonucleotide Analogues with an Achiral Peptide Backbone,(1992))。
プローブはまた、ネイティブなDNAまたはRNAと一緒の、またはこれらと組み合わせた、任意のオリゴヌクレオチドアナログ型の混合物であってもよい。同時に、オリゴヌクレオチドおよびそのアナログは、単独で、または1種以上のさらなるオリゴヌクレオチドもしくはそのアナログと組み合わせて使用されてもよい。
本明細書で使用される場合、「バイオマーカーの産物」または「バイオマーカー産物」とは、バイオマーカーに対応し、またはバイオマーカーによってコードされるRNAまたはタンパク質をいう(すなわち、遺伝子もしくは遺伝子エレメントから転写され、または遺伝子もしくは遺伝子エレメントから転写されるRNAから翻訳される)。例えば、ある実施形態において、バイオマーカーから得られるRNAは、以下の種の1つ以上:hnRNA、mRNA、および/またはmRNAの1種以上のスプライシング変異体を含むことができる。ある実施形態において、分子マーカーから得られるタンパク質は、バイオマーカーから得られるRNAに対応する、血液中で検出される任意のタンパク質を含み得る。
本明細書で使用される場合、「予防剤」という用語は、変形性関節症の予防において使用することができる任意の化合物をいう。特定の実施形態において、「予防剤」という用語は、本明細書に記載されるスクリーニングアッセイにおいて同定される化合物をいう。特定の他の実施形態において、「予防剤」という用語は、変形性関節症またはその1つ以上の症状の発生、再発、または開始を予防または妨害するために有用であることが知られているか、または使用されてきたか、または現在使用されている、本明細書に記載されるスクリーニングアッセイにおいて同定された化合物以外の薬剤をいう。
本明細書で使用される場合、「予防有効量」という用語は、変形性関節症またはその1つ以上の症状の発生、再発、または開始の予防を生じるために十分である治療(例えば、予防剤)の量をいう。
本明細書で使用される場合、「タンパク質」および「ポリペプチド」および「タンパク質性因子」という用語は、任意に天然のアミノ酸および非天然アミノ酸を含み得る、ペプチド結合によって一緒に連結されたアミノ酸の鎖をいう。選択的に、タンパク質またはペプチドは、アミノ酸に加えて、他の分子を含み得る。当該鎖は任意の長さであり得る。特定の実施形態において、タンパク質は、ペプチド結合によって一緒に連結される、200個未満、175個未満、150個未満、125個未満、100個未満、50個未満、45個未満、40個未満、35個未満、30個未満、25個未満、20個未満、15個未満、10個未満、または5個未満のアミノ酸から構成される。別の実施形態において、タンパク質は、ペプチド結合によって一緒に連結される、少なくとも200個、少なくとも250個、少なくとも300個、少なくとも350個、少なくとも400個、少なくとも450個、少なくとも500個またはそれ以上のアミノ酸から構成される。
本明細書で使用される場合、「複数の」または「一連の」とは、2つより多く、例えば、3以上、10以上、100以上、または1000以上、または10,000以上をいう。
本明細書で使用される場合、「RNA部分」および「その部分」という用語は、本発明のバイオマーカーのRNA産物の状況において、少なくとも6個、少なくとも9個、少なくとも15個、少なくとも18個、少なくとも21個、少なくとも24個、少なくとも30個、少なくとも60個、少なくとも90個、少なくとも99個、または少なくとも108個、またはそれ以上の、本発明のバイオマーカーのRNA産物を含むRNA転写物をいう。
本明細書で使用される場合、「本発明のバイオマーカーの産物」とは、本発明のバイオマーカーに対応する遺伝子によって発現されるRNAおよび/またはタンパク質をいう。「本発明のバイオマーカーのRNA産物」は、その発現の測定が本明細書で開示される教示に従うバイオマーカーとして使用することができる、異核RNA(「hnRNA」)、mRNA、およびmRNAのすべてまたはいくつかのスプライシング変異体を含み得る1種以上の産物を含む。「本発明のバイオマーカーのタンパク質産物」は、タンパク質、タンパク質変異体、および任意の翻訳後修飾タンパク質を含み得る、1種以上のバイオマーカーの産物を含む。
本明細書で使用される場合、「選択的に増幅される」または「選択的増幅」とは、それによって特定の標的核酸配列の1つ以上のコピーがテンプレート核酸から選択的に生成されるプロセスをいう。選択的に増幅されるまたは選択的増幅は、核酸配列(例えば、mRNA)の集団を増幅するために、例えば、ランダムプライマーおよびオリゴdTプライマーと組み合わせた方法として使用することができる一般的な増幅と比較される。選択的増幅は、好ましくは、ポリメラーゼ連鎖反応の方法(MullisおよびFaloona,1987,Methods Enzymol. 155:335)によって行われる。
本明細書で使用される場合、「選択的に結合する」という用語は、本発明によって包含されるタンパク質の状況において、任意の2つのペプチド、タンパク質、ポリペプチド、および抗体の特異的相互作用をいい、ここで、この相互作用は、任意の他のペプチド、タンパク質、ポリペプチド、および抗体と比較して、任意の2つのペプチド、タンパク質、ポリペプチド、および抗体の間で優先的に起こる。例えば、2つの分子がタンパク質分子である場合、第1の分子上の構造は、第2の分子上の構造を、他のタンパク質よりもむしろ、認識しかつ結合する。「選択的結合」、「選択的に結合すること」は、これらの用語が本明細書で使用される場合、分子が、その特異的結合パートナーに、その分子が非特異的分子に結合する場合よりも少なくとも2倍の親和性、および好ましくは、少なくとも10倍、20倍、50倍、100倍またはそれ以上の親和性で結合することを意味する。
本明細書で使用される場合、「選択的ハイブリダイゼーション」は、本発明の状況において、本発明によって包含されるポリヌクレオチドとRNA、またはその相補物、または本発明のバイオマーカーのタンパク質産物の間でハイブリダイゼーションをいい、ここで、このハイブリダイゼーションは、ポリヌクレオチドが、問題のゲノム中の他の遺伝子のRNA産物と比較して、本発明のバイオマーカーのRNA産物に優先的に結合するようなものである。好ましい実施形態において、「選択的にハイブリダイズする」ポリヌクレオチドは、70%より高い、80%より高い、90%より高い選択性で、最も好ましくは100%の選択性でハイブリダイズするものである(すなわち、他のRNA種との交差ハイブリダイゼーションは、好ましくは、30%未満、20%未満、10%未満で起こる)。当業者に理解されるように、本発明のバイオマーカーのRNA産物に「選択的にハイブリダイズする」ポリヌクレオチドは、長さおよび組成を考慮して決定することができる。
本明細書で使用される場合、「特異的にハイブリダイズする」、「特異的ハイブリダイゼーション」とは、2つの核酸配列が実質的に相補的である(少なくとも14〜25ヌクレオチドのストレッチにわたって約65%相補的、好ましくは少なくとも約75%相補的、より好ましくは少なくとも約90%相補的である)場合に起こるハイブリダイゼーションをいう。参照により本明細書に援用される、Kanehisa,M.,1984,Nucleic acids Res.,12:203を参照のこと。結果として、特定の程度のミスマッチが許容されることが予測される。このようなミスマッチは小さくてもよく、例えば、モノ−、ジ−またはトリ−ヌクレオチドである。代替的には、ミスマッチの領域はループを含み得、これは、中断されない一連の4個以上のヌクレオチド中のミスマッチが存在する領域として定義される。多数の要因が2つの核酸のハイブリダイゼーション、例えば、標的核酸配列へのアレイ上の核酸メンバーのハイブリダイゼーションの効率および選択性に影響を与える。これらの要因には、核酸メンバーの長さ、ヌクレオチド配列および/または組成、ハイブリダイゼーション温度、緩衝液組成ならびに核酸メンバーがハイブリダイズすることが要求されている領域中での立体障害の可能性が含まれる。核酸の長さと、核酸が標的配列にアニールする効率と正確さの両方との間には正の相関が存在する。特に、より長い配列は、より短いものよりも高い融解温度(T)を有し、所定の標的配列の内部で反復される可能性が少なく、それによって、非特異的ハイブリダイゼーションを最小化する。ハイブリダイゼーション温度は、核酸メンバーのアニーリング効率と反比例して変化する。同様に、ハイブリダイゼーション混合液中の有機溶媒、例えば、ホルムアミドの濃度は、アニーリング効率と反比例して増加するのに対して、ハイブリダイゼーション混合液中の塩濃度の増加はアニーリングを容易にする。ストリンジェントなアニーリング条件下では、より長い核酸は、より許容し得る条件下で十分であるより短い核酸よりも、より効率的にハイブリダイズする。
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する」という用語は、2つの分子、例えば、リガンドおよびタンパク質もしくはペプチド、または抗体およびタンパク質もしくはペプチドの相互作用をいい、ここで、この相互作用は、それぞれの分子上の特定の構造の存在に依存する。例えば、2つの分子がタンパク質分子である場合、第1の分子上の構造は、第2の分子上の構造を、一般的なタンパク質よりも認識しかつこれに結合する。「特異的結合」は、この用語が本明細書で使用される場合、分子が、その特異的結合パートナーに、その分子が非特異的分子に結合する場合よりも少なくとも2倍の親和性、および好ましくは、少なくとも10倍、20倍、50倍、100倍またはそれ以上の親和性で結合することを意味する。
本明細書で使用される場合、「標準的なストリンジェントな条件」および「ストリンジェントな条件」という用語は、配列間で少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%の同一性が存在する場合にのみハイブリダイゼーションが起こることを意味し、ここで、同一性の領域は少なくとも10ヌクレオチドを含む。1つの実施形態において、42℃で一晩の配列のインキュベーション、続いてストリンジェントな洗浄(65℃における0.2×SSC)に従うストリンジェントな条件下で、配列はハイブリダイズする。洗浄のストリンジェンシーの程度は、温度、pH、イオン強度、二価カチオン濃度、容量および洗浄の持続時間を変化させることにより変化させることができる。例えば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、プローブの融解温度の下の種々の温度においてハイブリダイゼーションを実施することによって変化することができる。プローブの融解温度は、以下の数式を使用して計算してもよい。
14〜70ヌクレオチド長の間のオリゴヌクレオチドプローブについては、摂氏での融解温度(Tm)は以下の数式を使用して計算してもよい:
Tm=81.5+16.6(log[Na+])+0.41(G+Cの割合)−(600/N)
ここでNはオリゴヌクレオチドの長さである。
例えば、ハイブリダイゼーション温度は、約1MのNa+濃度を有するハイブリダイゼーション緩衝液中で68℃から42℃まで5℃ずつ減少させてもよい。ハイブリダイゼーション後、フィルターは、ハイブリダイゼーション温度において、2×SSC、0.5%SDSで洗浄されてもよい。これらの条件は、50℃よりも上の「中程度のストリンジェンシー」条件および50℃より下の「低ストリンジェンシー」条件であると見なされる。「中程度のストリンジェンシー」のハイブリダイゼーション条件の特定の例は、上記のハイブリダイゼーションが55℃において行われる場合である。「低ストリンジェンシー」ハイブリダイゼーション条件の特定の例は、上記のハイブリダイゼーションが45℃において行われる場合である。
ハイブリダイゼーションがホルムアミドを含む溶液中で実行される場合、アニーリングする核酸鎖の融解温度は、数式Tm=81.5+16.6(log[Na])+0.41(G+Cの割合)−(0.63%ホルムアミド)−(600/N)を使用して計算することができ、ここで、Nはプローブの長さである。
例えば、ハイブリダイゼーションは、42℃の温度においてホルムアミドを含む、6×SSCなどの緩衝液中で実行されてもよい。この場合、ハイブリダイゼーション緩衝液中のホルムアミドの濃度は、プローブの相同性のレベルの減少を有するクローンを同定するために、50%から0%まで5%ずつ減少されてもよい。ハイブリダイゼーション後、フィルターは、50℃において、6×SSC、0.5%SDSで洗浄されてもよい。ハイブリダイゼーション温度は、ハイブリダイゼーション溶液が上記の25%ホルムアミドから構成される場合に「中程度のストリンジェンシー」であると見なされ、「低ストリンジェンシー」条件は、ハイブリダイゼーション溶液が25%より下のホルムアミドから構成される場合である。「中程度のストリンジェンシー」のハイブリダイゼーション条件の特定の例は、上記のハイブリダイゼーションが30%ホルムアミドにおいて行われる場合である。「低ストリンジェンシー」ハイブリダイゼーション条件の特定の例は、上記のハイブリダイゼーションが10%ホルムアミドにおいて行われる場合である。
「被験体」および「患者」および「個体」は、動物(例えば、哺乳動物、両生類、爬虫類、鳥類、および昆虫)をいうために交換可能に使用される。特定の実施形態において、被験体は哺乳動物である(例えば、非ヒト哺乳動物およびヒト)。別の実施形態において、被験体はペット(例えば、イヌ、ネコ、モルモット、サルおよび鳥類)、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギおよびニワトリ)、または実験用動物(例えば、マウスおよびラット)である。別の実施形態において、被験体は霊長類(例えば、チンパンジーおよびヒト)である。別の実施形態において、被験体はヒトである。
本明細書で使用される場合、「相乗的」という用語は、治療の相加的な効果よりも有効である、本明細書に記載された方法の1つを使用して同定された化合物および別の治療(例えば、薬剤)の組み合わせをいう。好ましくは、このような他の治療は、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理または改善するために使用されたか、または現在使用されている。治療(例えば、予防剤または治療剤)の組み合わせの相乗効果は、膀胱癌を有する患者への1つ以上のより少ない用量での治療の使用、および/または投与回数がより少ない当該治療の投与を可能にする。より少ない用量での治療(例えば、予防剤または治療剤)を利用することおよび/またはより少ない頻度で当該治療を投与することは、膀胱癌の予防、治療、管理、または改善において、当該治療の効力を減少させることなく、被験体への当該治療の投与に伴う毒性を減少する。加えて、相乗効果は、膀胱癌の予防、治療、管理、または改善において、治療(例えば、薬剤)の効力の改善を生じ得る。最後に、治療(例えば、予防剤または治療剤)の組み合わせの相乗効果は、いずれかの治療単独の使用に伴う有害なまたは望ましくない副作用を回避または減少し得る。
本明細書で使用される場合、「治療剤」は、膀胱癌または1つ以上の症状の治療、管理または改善において使用することができる任意の化合物をいう。
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、膀胱癌または1つ以上のその症状の改善を生じるため、膀胱癌の進行を予防するため、膀胱癌の症状を後退させるため、または別の治療(例えば、治療剤)の治療効果を改善するために十分である治療(例えば、治療剤)の量をいう。
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」および「治療すること」という用語は、本発明の方法に従って同定された1種以上の化合物の投与、または本発明の方法に従って同定された1種以上の化合物および別の治療の組み合わせの投与から生じる、膀胱癌または1つ以上のその症状の進行、重度および/または再発の減少または改善をいう。
本明細書で使用される場合、「上方制御された」または「発現レベルの増加」は、本発明の状況において、正常個体からまたは異なる同定された疾患状態もしくは段階を有する個体から単離された組織または血液中の同じ遺伝子と比較して、AJCC病期診断ガイドラインによって決定可能なような、産物の測定が遺伝子の発現レベルの増加を実証する、発現される遺伝子の産物をいう。「発現レベルの増加」は、本発明に従って、例えば、本発明の方法に従うハイブリダイゼーションの強度によって測定されるような、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%もしくはそれ以上の発現の増加、例えば、20%、30%、40%、または50%、60%、70%、80%、90%もしくはそれ以上の発現の増加、または1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、50倍、100倍またはそれ以上より大きい発現の増加である。例えば、上方制御された配列は、正常個体から単離された組織と比較して、膀胱癌を有すると特徴付けられた個体から単離された組織または血液中の発現レベルが増加している配列を含む。上方制御された配列はまた、膀胱癌の1つの段階を有すると特徴付けられた個体から単離された組織または血液中の発現が、別の段階の膀胱癌と比較して増加している配列を含み得る。
本発明は、ここで、図面を参照して説明される。
3.2 実施形態
2つ以上の単離されたポリヌクレオチドのコレクションを含む組成物が本明細書に記載され、各々のポリヌクレオチドはバイオマーカーに選択的にハイブリダイズする。これらのバイオマーカーは表1に同定される遺伝子である。1つの実施形態において、この組成物は、表1に列挙されるこれらのバイオマーカーの任意の少なくとも2つの各々の発現レベルを測定するために使用することができる。1つの実施形態において、この組成物のポリヌクレオチドは定量RT−PCR(QRT−PCR)において有用である。
2つ以上の単離されたポリヌクレオチドのコレクションを含む組成物が本明細書に記載され、各々のポリヌクレオチドはバイオマーカーに選択的にハイブリダイズする。これらのバイオマーカーは表1および/または表2に同定される遺伝子である。1つの実施形態において、この組成物は、表1および/または表2に列挙されるこれらのバイオマーカーの任意の少なくとも2つの各々の発現レベルを測定するために使用することができる。1つの実施形態において、この組成物のポリヌクレオチドは定量RT−PCR(QRT−PCR)において有用である。
2つ以上の単離されたポリヌクレオチドのコレクションを含む組成物が本明細書に記載され、各々のポリヌクレオチドはバイオマーカーに選択的にハイブリダイズする。これらのバイオマーカーは表11に同定される遺伝子である。1つの実施形態において、この組成物は、表11に列挙されるこれらのバイオマーカーの任意の少なくとも2つの各々の発現レベルを測定するために使用することができる。1つの実施形態において、この組成物のポリヌクレオチドは定量RT−PCR(QRT−PCR)において有用である。
2つ以上の単離されたポリヌクレオチドのコレクションを含む組成物が本明細書に記載され、各々のポリヌクレオチドはバイオマーカーのRNA産物に選択的にハイブリダイズする。これらのバイオマーカーのRNA産物は表3に同定される。1つの実施形態において、この組成物は、これらのRNA産物の少なくとも2つの発現レベルを測定するために使用することができる。1つの実施形態において、この組成物のポリヌクレオチドは定量RT−PCR(QRT−PCR)において有用である。
2つ以上の単離されたポリヌクレオチドのコレクションを含む組成物が本明細書に記載され、各々のポリヌクレオチドはバイオマーカーに選択的にハイブリダイズする。これらのバイオマーカーは表4に同定される遺伝子である。1つの実施形態において、この組成物は、これらのバイオマーカーの少なくとも2つの発現レベルを測定するために使用することができる。1つの実施形態において、この組成物のポリヌクレオチドは定量RT−PCR(QRT−PCR)において有用である。
2つ以上の単離されたポリヌクレオチドのコレクションを含む組成物が本明細書に記載され、各々のポリヌクレオチドはバイオマーカーに選択的にハイブリダイズする。これらのバイオマーカーは表4および表5に同定される遺伝子であり、これらのバイオマーカーの少なくとも1つは表4から選択される。1つの実施形態において、この組成物は、これらのバイオマーカーの少なくとも2つの発現レベルを測定するために使用することができる。1つの実施形態において、この組成物のポリヌクレオチドは定量RT−PCR(QRT−PCR)において有用である。
2つ以上の単離されたポリヌクレオチドのコレクションが本明細書に記載され、各々のポリヌクレオチドはバイオマーカーのRNA産物に選択的にハイブリダイズし、このバイオマーカーのRNA産物は表6において同定される。1つの実施形態において、この組成物は、これらのRNA産物の少なくとも2つの発現レベルを測定するために使用される。1つの実施形態において、この組成物のポリヌクレオチドは定量RT−PCR(QRT−PCR)において有用である。
2つ以上の単離されたポリヌクレオチドのコレクションを含む組成物が本明細書に記載され、各々のポリヌクレオチドはバイオマーカーに選択的にハイブリダイズする。これらのバイオマーカーは表7に同定される遺伝子である。1つの実施形態において、この組成物は、少なくとも2つのバイオマーカーの発現レベルを測定するために使用される。1つの実施形態において、この組成物のポリヌクレオチドは定量RT−PCR(QRT−PCR)において有用である。
2つ以上の単離されたポリヌクレオチドのコレクションを含む組成物が本明細書に記載され、各々のポリヌクレオチドはバイオマーカーに選択的にハイブリダイズする。これらのバイオマーカーは表10に同定される遺伝子である。1つの実施形態において、この組成物は、少なくとも2つのバイオマーカーの発現レベルを測定するために使用される。1つの実施形態において、この組成物のポリヌクレオチドは定量RT−PCR(QRT−PCR)において有用である。
2つ以上の単離されたタンパク質のコレクションを含む組成物が本明細書に記載され、各々の単離されたタンパク質はバイオマーカーのタンパク質産物に選択的にハイブリダイズし、ここで、これらのバイオマーカーは表1に示されるような遺伝子から成る群より選択される。1つの実施形態において、この組成物は少なくとも2つのバイオマーカーの発現レベルを測定するために使用される。
2つ以上の単離されたタンパク質のコレクションを含む組成物が本明細書に記載され、各々の単離されたタンパク質はバイオマーカーのタンパク質産物に選択的にハイブリダイズし、ここで、これらのバイオマーカーは表1および表2に示されるような遺伝子であり、バイオマーカーの少なくとも1つは表1から選択される。1つの実施形態において、この組成物は少なくとも2つのバイオマーカーの発現レベルを測定するために使用される。
2つ以上の単離されたタンパク質のコレクションを含む組成物が本明細書に記載され、各々の単離されたタンパク質はバイオマーカーのタンパク質産物に選択的にハイブリダイズし、ここで、これらのバイオマーカーは表3に示されるようなタンパク質である。1つの実施形態において、この組成物は少なくとも2つのタンパク質産物の発現レベルを測定するために使用される。
2つ以上の単離されたタンパク質のコレクションを含む組成物が本明細書に記載され、各々の単離されたタンパク質はバイオマーカーのタンパク質産物に選択的にハイブリダイズし、ここで、これらのバイオマーカーは表4に示されるような遺伝子である。1つの実施形態において、この組成物は少なくとも2つのバイオマーカーの発現レベルを測定するために使用される。
2つ以上の単離されたタンパク質のコレクションを含む組成物が本明細書に記載され、各々の単離されたタンパク質はバイオマーカーのタンパク質産物に選択的にハイブリダイズし、ここで、これらのバイオマーカーは表4および表5に示されるような遺伝子から成る群より選択され、バイオマーカーの少なくとも1つは表4から選択される。1つの実施形態において、この組成物は少なくとも2つのバイオマーカーの発現レベルを測定するために使用される。
2つ以上の単離されたタンパク質のコレクションを含む組成物が本明細書に記載され、各々の単離されたタンパク質はバイオマーカーのタンパク質産物に選択的にハイブリダイズし、ここで、これらのバイオマーカーのタンパク質産物は表6に示されるようなタンパク質から選択される。1つの実施形態において、この組成物は少なくとも2つのタンパク質産物の発現レベルを測定するために使用される。
2つ以上の単離されたタンパク質のコレクションを含む組成物が本明細書に記載され、各々の単離されたタンパク質はバイオマーカーのタンパク質産物に選択的にハイブリダイズし、ここで、これらのバイオマーカーは表7に示されるような遺伝子から選択される。1つの実施形態において、この組成物はこれらのバイオマーカーの少なくとも2つの発現レベルを測定するために使用される。
2つ以上の単離されたタンパク質のコレクションを含む組成物が本明細書に記載され、各々の単離されたタンパク質はバイオマーカーのタンパク質産物に選択的にハイブリダイズし、ここで、これらのバイオマーカーは表10に示されるような遺伝子を含む。1つの実施形態において、この組成物はこれらのバイオマーカーの少なくとも2つの発現レベルを測定するために使用される。
上記の段落で本明細書に記載される組成物において、単離されたタンパク質は、バイオマーカーのタンパク質産物へのリガンドであり、これらのリガンドは、モノクローナル抗体を含む抗体であり得る。
上記の段落で本明細書に記載される組成物において、単離されたポリヌクレオチドは、一本鎖もしくは二本鎖RNA、または一本鎖もしくは二本鎖DNAであり得る。
個体において膀胱癌を診断または予後診断する方法が本明細書に記載され、この方法は以下の工程:
a)個体から得られた血液中で発現された1つ以上のRNA転写物のレベルを決定する工程であって、この1つ以上のRNA転写物が表1の1つ以上のバイオマーカーに対応する、工程、および
b)工程a)に従う血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルを、膀胱癌を有さない1例以上の個体からの血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルと比較する工程、
を包含し、
ここで、工程b)の比較において1つ以上のRNA転写物の各々のディファレンシャルな発現を検出することが、工程a)の個体における膀胱癌を示す。
個体において膀胱癌を診断または予後診断する方法が本明細書に記載され、この方法は以下の工程:
a)個体から得られた血液中で発現された2つ以上のRNA転写物のレベルを決定する工程であって、この2つ以上のRNA転写物が表1および表2の1つ以上のバイオマーカーに対応し、RNA転写物の少なくとも1つが表1のバイオマーカーに対応する、工程、ならびに
b)工程a)に従う血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルを、膀胱癌を有さない1例以上の個体からの血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルと比較する工程、
を包含し、
ここで、工程b)の比較において1つ以上のRNA転写物の各々のディファレンシャルな発現を検出することが、工程a)の個体における膀胱癌を示す。
個体において膀胱癌を診断または予後診断する方法が本明細書に記載され、この方法は以下の工程:
a)個体から得られた血液中で発現された1つ以上のRNA転写物のレベルを決定する工程であって、この1つ以上のRNA転写物が表4の1つ以上のバイオマーカーに対応する、工程、および
b)工程a)に従う血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルを、膀胱癌を有さない1例以上の個体からの血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルと比較する工程、
を包含し、
ここで、工程b)の比較において1つ以上のRNA転写物の各々のディファレンシャルな発現を検出することが、工程a)の個体における膀胱癌を示す。
個体において膀胱癌を診断または予後診断する方法が本明細書に記載され、この方法は以下の工程:
a)個体から得られた血液中で発現された2つ以上のRNA転写物のレベルを決定する工程であって、この2つ以上のRNA転写物が表4および表5の1つ以上のバイオマーカーに対応し、RNA転写物の少なくとも1つが表4のバイオマーカーに対応する、工程、および
b)工程a)に従う血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルを、膀胱癌を有さない1例以上の個体からの血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルと比較する工程、
を包含し、
ここで、工程b)の比較において1つ以上のRNA転写物の各々のディファレンシャルな発現を検出することが、工程a)の個体における膀胱癌を示す。
個体において膀胱癌を診断または予後診断する方法が本明細書に記載され、この方法は以下の工程:
a)個体から得られた血液中で発現された1つ以上のRNA転写物のレベルを決定する工程であって、この1つ以上のRNA転写物が表7の1つ以上のバイオマーカーに対応する、工程、および
b)工程a)に従う血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルを、膀胱癌を有さない1例以上の個体からの血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルと比較する工程、
を包含し、
ここで、工程b)の比較において1つ以上のRNA転写物の各々のディファレンシャルな発現を検出することが、工程a)の個体における膀胱癌を示す。
個体において膀胱癌を診断または予後診断する方法が本明細書に記載され、この方法は以下の工程:
a)個体から得られた血液中で発現された1つ以上のRNA転写物のレベルを決定する工程であって、この1つ以上のRNA転写物が表10の1つ以上のバイオマーカーに対応する、工程、および
b)工程a)に従う血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルを、膀胱癌を有さない1例以上の個体からの血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルと比較する工程、
を包含し、
ここで、工程b)の比較において1つ以上のRNA転写物の各々のディファレンシャルな発現を検出することが、工程a)の個体における膀胱癌を示す。
個体において膀胱癌を診断または予後診断する方法が本明細書に記載され、この方法は以下の工程:
a)個体から得られた血液中で発現された1つ以上のRNA転写物のレベルを決定する工程であって、この1つ以上のRNA転写物の各々が表1に列挙されるバイオマーカーから選択されるバイオマーカーに対応する、工程、および
b)工程a)に従う血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルを、膀胱癌を有する1例以上の個体からの血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルと比較する工程、
c)工程a)に従う血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルを、膀胱癌を有さない1例以上の個体からの血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルと比較する工程、
d)工程a)の1つ以上のRNA転写物のレベルが、工程c)における転写物のレベルと比較して、工程b)における転写物のレベルと一緒に分類するか否かを決定する工程
を包含し、
ここで、この決定は、膀胱癌を有する工程a)の個体を示す。
個体において早期の膀胱癌を診断または予後診断する方法が本明細書に記載され、この方法は以下の工程:
a)個体から得られた血液中で発現された1つ以上のRNA転写物のレベルを決定する工程であって、この1つ以上のRNA転写物の各々が表4に列挙されるバイオマーカーから選択されるバイオマーカーに対応する、工程、および
b)工程a)に従う血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルを、早期の膀胱癌を有する1例以上の個体からの血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルと比較する工程、
c)工程a)に従う血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルを、膀胱癌を有さない1例以上の個体からの血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルと比較する工程、
d)工程a)の1つ以上のRNA転写物のレベルが、工程c)における転写物のレベルと比較して、工程b)における転写物のレベルと一緒に分類するか否かを決定する工程
を包含し、
ここで、この決定は、早期の膀胱癌を有する工程a)の個体を示す。
個体において膀胱癌を診断または予後診断する方法が本明細書に記載され、この方法は以下の工程:
a)個体から得られた血液中で発現された1つ以上のRNA転写物のレベルを決定する工程であって、この1つ以上のRNA転写物の各々が表7に列挙されるバイオマーカーから選択されるバイオマーカーに対応する、工程、および
b)工程a)に従う血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルを、膀胱癌を有する1例以上の個体からの血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルと比較する工程、
c)工程a)に従う血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルを、膀胱癌を有さない1例以上の個体からの血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルと比較する工程、
d)工程a)の1つ以上のRNA転写物のレベルが、工程c)における転写物のレベルと比較して、工程b)における転写物のレベルと一緒に分類するか否かを決定する工程
を包含し、
ここで、この決定は、膀胱癌を有する工程a)の個体を示す。
個体において膀胱癌を診断または予後診断する方法が本明細書に記載され、この方法は以下の工程:
a)個体から得られた血液中で発現された1つ以上のRNA転写物のレベルを決定する工程であって、この1つ以上のRNA転写物の各々が表10に列挙されるバイオマーカーから選択されるバイオマーカーに対応する、工程、および
b)工程a)に従う血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルを、膀胱癌を有する1例以上の個体からの血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルと比較する工程、
c)工程a)に従う血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルを、膀胱癌を有さない1例以上の個体からの血液中の1つ以上のRNA転写物の各々のレベルと比較する工程、
d)工程a)の1つ以上のRNA転写物のレベルが、工程c)における転写物のレベルと比較して、工程b)における転写物のレベルと一緒に分類するか否かを決定する工程
を包含し、
ここで、この決定は、膀胱癌を有する工程a)の個体を示す。
血液サンプルが全血、一滴の血液、または溶解された全血もしくは一滴の全血から成る、膀胱癌を診断および/または予後診断する場合の方法を含む方法が本明細書に記載される。
血液サンプルからのRNAを単離する工程をさらに包含する、膀胱癌を診断および/または予後診断する場合の方法を含む方法が本明細書に記載される。
定量RT−PCR(QRT−PCR)を含む場合がある、1つ以上のRNA転写物の各々のレベルを決定する工程を包含する、膀胱癌を診断および/または予後診断する方法を含む方法が本明細書に記載される。
QRT−PCRは、ある例において、1つ以上の転写物またはその組み合わせにハイブリダイズするプライマーを利用する、これらのプライマーは、15〜25ヌクレオチド長であるものを含む。
1つ以上のRNA転写物の各々のレベルを決定する工程、および1つ以上の転写物に対応する第1の複数の単離された核酸分子を、第2の複数の単離された核酸分子を含むアレイにハイブリダイズする工程を包含する、膀胱癌を診断および/または予後診断する場合の方法を含む方法が本明細書に記載される。これらの方法において、第1の複数の単離された核酸分子は、RNA、DNA、cDNA、PCR産物またはESTを含む。
膀胱癌を診断または予後診断するためのキットが本明細書に記載され、このキットは:
a)表1、4、7、もしくは10;11、または13のいずれかから選択されるバイオマーカーに相補的な二本鎖DNAを生じるように設計された2つのバイオマーカー特異的プライミング手段であって、ここで、第1のプライミング手段が、伸長産物を作製するためにバイオマーカーに相補的なRNA、cDNAまたはESTに選択的にハイブリダイズし得る配列を含み、そして第2のプライミング手段が伸長産物に選択的にハイブリダイズ可能である、プライミング手段;
b)逆転写酵素活性を有する酵素;
c)熱安定性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素、および
d)標識手段
を含み、
ここで、プライマーは、被験体中のバイオマーカーの定量的発現レベルを検出するために使用される。
個体における膀胱癌を診断または予後診断する方法が本明細書に記載され、この方法は以下の工程:
a)個体から得られた血液中で発現された1つ以上のタンパク質のレベルを決定する工程であって、ここで、1つ以上のタンパク質は表1に列挙される1つ以上のバイオマーカーによってコードされる、工程、および
b)工程a)に従う血液中の1つ以上のタンパク質の各々のレベルを、肝臓癌を有さない1例以上の個体からの血液中の1つ以上のタンパク質の各々のレベルと比較する工程
を包含し、
ここで、工程b)の比較における1つ以上のタンパク質の各々のレベルの違いを検出することは、工程a)の個体における肝臓癌を示す。
個体において膀胱癌を診断または予後診断する方法が本明細書に記載され、この方法は以下の工程:
a)個体から得られた血液中で発現された1つ以上のタンパク質のレベルを決定する工程であって、ここで、1つ以上のタンパク質は表1に列挙される1つ以上のバイオマーカーによってコードされる、工程
b)工程a)に従う血液中の1つ以上のタンパク質の各々のレベルを、膀胱癌を有する1例以上の個体からの血液中の1つ以上のタンパク質の各々のレベルと比較する工程、
c)工程a)に従う血液中の1つ以上のタンパク質の各々のレベルを、膀胱癌を有さない1例以上の個体からの血液中の1つ以上のタンパク質の各々のレベルと比較する工程、
d)工程a)の1つ以上のタンパク質のレベルが、工程c)におけるタンパク質のレベルと比較して、工程b)におけるタンパク質のレベルと一緒に分類するか否かを決定する工程
を包含し、
ここで、この決定は、膀胱癌を有する工程a)の個体を示す。
1種以上の抗体の使用を含み、この1種以上の抗体の各々が表3に列挙されるバイオマーカーマーカーのタンパク質産物に特異的である、1種以上のタンパク質の各々のレベルを決定する工程を包含する、膀胱癌を診断または予後診断する方法を含む方法が本明細書に記載される。
モノクローナル抗体、fv、scfv、dab、fd、fab、およびfab’であり得る1種以上の抗体を含む、膀胱癌を診断または予後診断する方法を含む方法が本明細書に記載される。
膀胱癌を有することが知られている個体からのバイオマーカーの発現レベルを、膀胱癌を有さないことが知られている個体からのレベルと比較する工程を包含し、バイオマーカーが表1および/もしくは表2または表7または表10または表11および/もしくは表12から選択される、膀胱癌の予後診断および/または診断において有用であるバイオマーカーおよび/またはバイオマーカーの組み合わせを同定する方法が本明細書に記載される。
早期の膀胱癌を有することが知られている個体からのバイオマーカーの発現レベルを、膀胱癌を有さないことが知られている個体からのレベルと比較する工程を包含し、バイオマーカーが表3および/または表4から選択される、早期の膀胱癌の予後診断および/または診断において有用であるバイオマーカーおよび/またはバイオマーカーの組み合わせを同定する方法が本明細書に記載される。
4.表
本発明の目的および特徴は、本明細書の実施例の節の後に含まれる表1−7を参照してよりいっそう理解することができる。
表1は、本発明の1つの実施形態において、膀胱癌と正常の間を区別するバイオマーカーを示す表である。バイオマーカーは、それらの遺伝子IDに基づいて注記する。カラム1はAffySpotIDであり、カラム2はp値であり、カラム3は倍数変化(膀胱癌/対照)であり、カラム4は遺伝子IDであり、カラム5は遺伝子記号であり、そしてカラム5は遺伝子の説明である。
表2は、本発明の1つの実施形態において、PCT特許出願PCT/US04/020836において以前に同定された、膀胱癌と正常の間を区別するバイオマーカーを示す表である。バイオマーカーは、それらの遺伝子ID番号に基づいて注記する。カラム1は遺伝子IDであり、カラム2はヒトRNA登録番号であり、カラム3はヒトタンパク質登録番号であり、カラム4は遺伝子記号であり、そしてカラム5は遺伝子の説明である。
表3は、1つの実施形態において、核酸参照登録番号によって参照されるRNA産物、およびタンパク質参照登録番号によって参照されるタンパク質産物を含む、表1において同定されたバイオマーカーに対応する産物を示す表である。遺伝子は、それらの遺伝子ID番号に基づいて注記および同定している。カラム1はAffySpotIDであり、カラム2は遺伝子IDであり、カラム3はヒトRNA登録番号であり、カラム4はヒトタンパク質登録番号であり、カラム5は遺伝子記号であり、そしてカラム6は遺伝子の説明である。
表4は、本発明の1つの実施形態において、早期の膀胱癌と正常の間を区別するバイオマーカーを示す表である。バイオマーカーは、それらの遺伝子IDに基づいて注記している。カラム1はAffySpotIDであり、カラム2は遺伝子IDであり、カラム3は遺伝子記号であり、カラム4はヒトRNA登録番号であり、カラム5はヒトタンパク質登録番号であり、そしてカラム6は遺伝子の説明である。
表5は、本発明の1つの実施形態において、PCT特許出願PCT/US04/020836において以前に同定された、早期の膀胱癌と正常の間を区別するバイオマーカーを示す表である。バイオマーカーは、それらの遺伝子ID番号に基づいて注記している。カラム1は遺伝子IDであり、カラム2はヒトRNA登録番号であり、カラム3はヒトタンパク質登録番号であり、カラム4は遺伝子記号であり、そしてカラム5は遺伝子の説明である。
表6は、1つの実施形態において、核酸参照登録番号によって参照されるRNA産物、およびタンパク質参照登録番号によって参照されるタンパク質産物を含む、表4において同定されたバイオマーカーに対応する産物を示す表である。遺伝子は、それらの遺伝子ID番号に基づいて注記および同定される。カラム1はAffySpotIDであり、カラム2は遺伝子IDであり、カラム3はヒトRNA登録番号であり、カラム4はヒトタンパク質登録番号であり、そしてカラム5は遺伝子記号である。
表7は、1つの実施形態において、表1と表4の間で共通して見出されるバイオマーカーを示す表である。カラム1はAffySpotIDであり、カラム2はp値であり、カラム3は遺伝子IDであり、カラム4は遺伝子記号であり、カラム5はヒトRNA登録番号であり、そしてカラム6はタンパク質登録番号である。
表8は、ロジットを使用する数学モデルに適用される発現データに基づいてROC曲線を形成するために使用することができるデータを例示する表である。
表9は、可能なレポーター遺伝子およびレポーター遺伝子産物の特性を列挙する表である。
表10は、1つの実施形態において、表1において同定し、さらに表3において注記しているバイオマーカーの特定の選択を示す表である。
表11は、1つの実施形態において、精巣癌または腎細胞癌のいずれかと比較して、膀胱癌の間で区別される、表1においてまた同定される349個のバイオマーカーの選択を示す表である。バイオマーカーは、それらの遺伝子ID番号に基づいて注記する。カラム1はAffySpot IDであり、カラム2はRepr RNA登録番号であり、カラム3は遺伝子IDであり、カラム4は遺伝子記号であり、カラム5は倍数変化(膀胱癌/対照)であり、カラム6は疾患における調節 p値 膀胱癌/対照(BCvC)であり、カラム7は倍数変化(膀胱癌 対 他の癌)であり、そしてカラム8は膀胱癌における調節 p値(膀胱癌 対 他の癌)である。
表12は、1つの実施形態において、表11に同定されるバイオマーカーに対応する選択された産物を示す表であり、核酸参照登録番号によって参照されるRNA産物、およびタンパク質参照登録番号によって参照されるタンパク質産物が含まれる。遺伝子は、それらの遺伝子ID番号に基づいて注記および同定される。カラム1はAffySpotIDであり、カラム2は遺伝子IDであり、カラム3は遺伝子記号であり、カラム4はヒトRNA登録番号であり、そしてカラム5はヒトタンパク質登録番号である。
表13は、1つの実施形態において、表1において同定されたバイオマーカーの特定の選択を示す表である。
表14は、表13における選択されたバイオマーカーに対応するヒトRNA産物およびヒトタンパク質産物の配列に対する登録番号を示す表である。
表15は、表13に列挙されるバイオマーカーに対するバイオマーカー特異的なプライマーの選択であり、これは実施例4に従って使用された。
表16は、実施例4に記載されるような、表13において列挙されたバイオマーカーのRNA産物の定量リアルタイムRT−PCR(QRT−PCR)の結果を示す。
表17は、本発明の1つの実施形態において、表13に列挙されるようなバイオマーカーのタンパク質産物に選択的に結合する単離された抗体の実証であり、これらは市販されている。
表18は、本発明の1つの実施形態において、表13に注記するバイオマーカーの産物である注記しているRNA産物に相補的な二本鎖DNAを相補的に増幅する、バイオマーカー特異的プライマーおよび対応するバイオマーカー特異的プローブの選択である。
表19は、本発明の1つの実施形態において、膀胱癌をスクリーニングするために使用することができる、選択された2つの遺伝子の組み合わせを示す。
表20は、バイオマーカーの4つの比率の組み合わせを利用する分類子のコレクションの本発明の1つの実施形態を示し、ここで、バイオマーカーは、表13におけるこれらのバイオマーカーから選択される。
表21は、バイオマーカーの3つの比率の組み合わせを利用する分類子のコレクションの本発明の1つの実施形態を示し、ここで、バイオマーカーは、表13におけるこれらのバイオマーカーから選択される。
表22は、バイオマーカーの2つの比率の組み合わせを利用する分類子のコレクションの本発明の1つの実施形態を示し、ここで、バイオマーカーは、表13におけるこれらのバイオマーカーから選択される。
表23は、バイオマーカーの比率の組み合わせを利用する分類子のコレクションの本発明の1つの実施形態を示し、ここで、バイオマーカーは、表13におけるこれらのバイオマーカーから選択される。
5.発明の詳細な説明
本発明の実務は、当業者の範囲内にある、分子生物学、微生物学および組み換えDNA技術の従来の技術を部分的に利用する。このような技術は、文献に十分に説明されている。例えば、以下を参照のこと:Sambrook, Fritsch & Maniatis,1989,分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning,A Laboratory Manual)第2版;オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide Synthesis)(M.J.Gait編、1984);核酸ハイブリダイゼーション(Nucleic Acid Hybridization)(B.D.HarnesおよびS.J.Higgins編、1984);分子クローニングの実用ガイド(A Practical Guide to Molecular Cloning)(B.Perbal,1984);および酵素学の方法(Methods in Enzymology)のシリーズ(Academic Press,Inc.);分子生物学のショートプロトコール(Short Protocols In Molecular Biology),(Ausubelら編、1995)。上記と下記の両方の本明細書に言及されるすべての特許、特許出願、および刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
本明細書に開示される発明は、膀胱癌および/または早期の膀胱癌を診断する際に有用であるバイオマーカーおよびバイオマーカーの組み合わせを同定する。これらのバイオマーカーを使用するために、本発明は、RNA産物およびタンパク質産物を含むこれらのバイオマーカーの産物の同定について教示している。本発明はさらに、本発明のバイオマーカーのRNA産物に特異的および/または選択的にハイブリダイズする、オリゴヌクレオチド、cDNA、DNA、RNA、PCR産物、合成DNA、合成RNA、およびそのフラグメント、または天然に存在する修飾ヌクレオチドの他の組み合わせをさらに包含する。本発明はさらに、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物に特異的および/または選択的にハイブリダイズする、タンパク質、ペプチド、抗体、リガンド、および抗原結合フラグメントを含むそのフラグメントをさらに開示する。本発明のバイオマーカーおよびバイオマーカーの組み合わせのRNA産物の発現の測定は、RNA産物の発現を定量するために、本発明のバイオマーカーのRNA産物に特異的および/または選択的であるポリヌクレオチドを使用することによって行うことができる。本発明の特定の実施形態において、RNA産物に特異的および/または選択的であるポリヌクレオチドは、プローブまたはプライマーである。1つの実施形態において、これらのポリヌクレオチドは、製造されたアレイにハイブリダイズ可能である核酸プローブの型である。別の実施形態において、市販のアレイは、RNA産物の発現を測定するために使用することができ、本発明は、いずれの遺伝子の組み合わせを分析するべきかについて教示している。別の実施形態において、本発明のバイオマーカーのRNA産物に特異的および/または選択的であるポリヌクレオチドは、例えば、SYBR(登録商標)Greenを使用する、またはTaqMan(登録商標)技術もしくはMolecular Beacon技術を使用する定量リアルタイムRT−PCRなどの技術においてプローブおよびプライマーの型で使用され、ここでは、使用されるポリヌクレオチドは、フォワードプライマー、リバースプライマー、TaqMan標識プローブまたはMolecular Beaconプローブの型で使用される。1つの特定の実施形態において、本発明のRNA産物の発現レベルを測定することから生成する結果は、本発明のモデルに入力することができ、これは、モデルによって規定される診断を決定するために、バイオマーカーの組み合わせを同定するために使用される。好ましい実施形態において、同じ方法が、試験個体を診断するために使用されるものと同様に、数学的モデルを生成するために使用される発現データを生成するために使用される。
本発明はさらに、本明細書に開示され、かつ本発明のバイオマーカーのタンパク質産物を測定するために当業者によって公知であるタンパク質またはポリペプチドの使用を意図する。次いで、当業者に公知である技術(例えば、ウェスタンブロッティング、免疫沈降、タンパク質マイクロアレイ分析などのような技術)が、本発明のバイオマーカーに対応するタンパク質産物のレベルを測定するために使用することができる。当業者に理解されるように、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物の発現レベルの測定は、本発明の各々のバイオマーカーに対応するタンパク質産物の1つ以上に特異的または選択的に結合するタンパク質を必要とする。次いで、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物の発現レベルを表示するデータは、モデルによって規定されるように診断を決定するために、生成されたモデルに入力されて組み合わせを同定することができる。好ましい実施形態において、同じ方法が、試験個体を診断するために使用されるものと同様に、数学的モデルを生成するために使用される発現データを生成するために使用される。
5.1 本発明における使用のためのサンプル
本明細書で他に示されない限り、被験体からの膀胱組織サンプルが、血液サンプル、血清サンプル、およびリンパ節サンプルが可能であるものと同様に、本発明の方法に従って使用されてもよい。このようなサンプルを入手し、かつ本発明の方法に従って使用されてもよい被験体の例には以下が含まれるがこれらに限定されない:症状が見られない被験体、膀胱癌の1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上の症状が顕在しまたはそれらを示す被験体、膀胱癌または早期の膀胱癌を有すると臨床的に診断された被験体、膀胱癌の素因がある被験体(例えば、膀胱癌の家族歴がある被験体、膀胱癌の遺伝的素因を有する被験体、および彼らに膀胱癌が生じやすくし、または膀胱癌を発症する可能性を増加する生活様式を送っている被験体)、膀胱癌を有すると疑われている被験体、膀胱関連障害について治療を受けている被験体、膀胱癌および少なくとも1つの他の症状を有する被験体(例えば、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上の症状を有する被験体)、膀胱癌の治療を受けていない被験体、医療従事者(例えば、医師)によって、健常であるかまたは膀胱癌でない(すなわち、正常)と決定された被験体、膀胱癌について治療が成功した被験体を含む、膀胱癌について治療された被験体、彼らの膀胱癌を管理している被験体、ならびに膀胱癌であると診断されていない被験体。
別の実施形態において、サンプルがそこから入手されかつ利用されてもよい被験体は、早期の膀胱癌を有する。さらなる実施形態において、サンプルがそこから入手してもよい被験体は試験個体であり、ここで、その人が膀胱癌を有するか否かは未知であり、および/または試験個体がどの段階の膀胱癌を有するかは未知である。
5.1.1 組織
1つの態様において、組織サンプルは、1例以上の被験体から、任意の公知の方法を使用して入手される。特定の実施形態において、組織は、膀胱癌を有すると疑われている個体から入手される。好ましくは、組織サンプルは、必要とされるまで、液体窒素中で保存される。特定の実施形態において、最小限0.05gの組織サンプルが、総RNAを求めるために単離される。別の実施形態において、最小限0.025gの組織サンプルが、総RNAを求めるために単離される。本発明に従って有用である組織サンプルは、本発明に従う1つ以上の核酸配列またはアミノ酸配列の検出のために十分である量である。
5.1.2 血液
本発明の1つの態様において、血液のサンプルは、当該分野で周知である方法に従って被験体から入手される。血液のサンプルは、本明細書に記載されるように、本明細書に記載されるような任意の被験体から入手してもよい。ある実施形態において、一滴の血液は、被験体の皮膚に作られた単回の針刺しから採取される。一滴の血液は、本明細書に開示されるように、1ml未満の容量を含む。ある実施形態において、針刺しから採取される一滴の血液が必要とされるすべてである。血液は、当業者に公知である技術、特に、当該分野において公知である瀉血療法を使用して、身体の任意の部分(例えば、指、手、手首、腕、脚、足、および首)から、被験体から引き出されてもよい。
採取される血液の量は、採取した部位、本発明の方法のために必要とされる量、および被験体が感じる苦痛に応じてして変化する。しかし、本発明の1つの実施形態の利点は、本発明の方法を実施するために必要とされる血液の量を少なくすることが可能であり、サンプルを入手するためにより侵襲的な手順が必要とされないことである。例えば、ある実施形態において、必要とされるすべては一滴の血液である。この一滴の血液は、例えば、単回の針刺しから入手することができる。ある実施形態において、任意の量の血液が採取され、これは、表1−7、または10−12のいずれかに列挙される1個、2個、3個、4個、5個、10個またはそれ以上の遺伝子の発現を検出するために十分である。このようなものとして、ある実施形態において、採取される血液の量は、1ml以下、500μl以下、250μl以下、200μl以下、100μl以下、50μl以下、20μl以下、10μl以下、1μl以下、0.5μl以下、0.1μl以下、または0.01μl以下である。しかし、本発明は、このような実施形態に限定されない。ある実施形態において、より多くの血液が利用可能であり、ある実施形態において、より多くの血液が、本発明の方法をもたらすために使用することができる。このようなものとして、種々の特定の実施形態において、採取される血液の量は、0.001ml、0.005ml、0.01ml、0.05ml、0.1ml、0.15ml、0.2ml、0.25ml、0.5ml、0.75ml、1ml、1.5ml、2ml、3ml、4ml、5ml、10ml、15mlまたはそれ以上の血液が被験体から採取される。別の実施形態において、0.001ml〜15ml、0.01ml〜10ml、0.1ml〜10ml、0.1ml〜5ml、1〜5mlの血液が被験体から採取される。
本発明のある実施形態において、血液は、K3/EDTAチューブ中に保存される。別の実施形態において、米国特許第6,617,170号(これは参照により本明細書に援用される)に開示されるような安定剤を含む、血液を保存するためのチューブを利用することができる。別の実施形態において、Qiagen/BD系列のPreAnalytiXによって供給されるPAXgege(商標)血液RNAシステムが、血液を採取するために使用されてもよい。さらに別の実施形態において、Applied Biosystemsによって提供されるTempus(商標)血液RNA採取チューブが使用されてもよい。Tempus(商標)採血チューブは、全血コレクションのためのRNA安定剤を含む密封真空プラスチックチューブを提供する。
採取された血液は、任意に、しかし好ましくは、本発明の方法に従う使用の前に、4℃などの冷蔵温度または氷上で保存される。ある実施形態において、血液は、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、10時間または24時間までのみ維持される。ある実施形態において、血液の保存に加えて、または血液の保存の代わりに、単離された核酸またはタンパク質は、より後での使用のために、一定の時間保存される。このようなバイオマーカーの保存は、1時間以上、1日以上、1週間以上、1ヶ月以上、1年以上、または無期限であり得る。
1つの態様において、全血は、当該分野で周知の瀉血療法に従って、正常個体から、または変形性関節症と診断されたかもしくは変形性関節症を有すると疑われている個体から入手される。全血は未分画の全血を含み、これは、当該分野で周知の方法に従って(例えば、好ましくは、5〜10分間、300〜800×gにおける穏やかな遠心分離を使用する)、血清または血漿が除去されかつ残りの血液サンプルからRNAまたはmRNAが単離された血液を含む。特定の実施形態において、未分画の全血はまた、溶解緩衝液(例えば、溶解緩衝液(1L):0.6g EDTA;1.0g KHCO、8.2g NHCl、pH 7.4に調整(NaOHを使用する))と血液を混合することによって処理された全血を含み、サンプルは遠心分離され、細胞ペレットが保持され、そしてRNAまたはmRNAが当該分野で公知の方法に従って抽出される(例えば、「溶解された全血」)(例えば、Sambrookらを参照のこと)。全血の使用は、これが血液中の細胞型を分離するためのコストが高くおよび時間がかかる必要性を回避するので、好ましい(Kimoto,1998,Mol.Gen.Genet 258:233−239;Chelly Jら、1989,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:2617−2621;Chelly Jら、1988,Nature 333:858−860)。
本発明のある実施形態において、被験体から採取した全血は分画される(すなわち、成分に分離される)。本発明の特定の実施形態において、血液細胞は、当該分野で公知の技術を使用して被験体から採取された全血から分離される。例えば、被験体から採取された血液は、Ficoll-Hypaque(Pharmacia)勾配遠心分離に供することができる。このような遠心分離は、種々の型の有核細胞から、および血漿から赤血球を分離する。特に、Ficoll-Hypaque勾配遠心分離は、本発明の方法に従って使用することができる末梢血白血球(PBL)を単離するために有用である。
例として、しかし限定ではなく、マクロファージは、以下のようにして入手することができる。単核細胞は、シリンジによる血液の取り出し、続いてFicoll-Hypaque勾配遠心分離によって、被験体の末梢血から単離される。組織培養ディッシュは、被験体自身の血清で、またはAB+ヒト血清でプレコートし、37℃で1時間インキュベートする。非接着細胞はピペッティングによって除去する。リン酸緩衝化生理食塩水中の冷(4℃)1mM EDTAは、ディッシュに残った接着細胞に加えられ、ディッシュは15分間室温で放置される。細胞は採取され、RPMI緩衝液で洗浄され、そしてRPMI緩衝液に懸濁される。マクロファージの数の増加は、37℃においてマクロファージ−コロニー刺激因子(M−CSF)とインキュベートすることによって得ることができる。Mac−1などのマクロファージ特異的表面マーカーに対する抗体は、このような分子への親和性化合物のコンジュゲートによって標識することができ、マクロファージの検出および同定を容易にする。使用可能な親和性化合物には、ビオチン、フォトビオチン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、またはフィコエリトリン(PE)、または当該分野で公知である他の化合物が含まれるがこれらに限定されない。次いで、標識抗体を保持している抗体が、このような抗体を結合しない細胞から、例えば、種々の細胞ソーティング方法、アフィニティークロマトグラフィー、およびパニングであるがこれらに限定されない、当該分野で公知の技術によって分離される。
血液細胞は、蛍光活性化細胞ソーター(FACS)を使用して分別することができる。蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)は、粒子の蛍光特性に基づいて、細胞を含む、粒子を分離するための公知の方法である。例えば、Kamarch,1981,Methods Enzymol 151:150−165を参照のこと。個別の粒子中の蛍光部分のレーザー励起は小さな電気的変化を生じ、混合物からの正の粒子および含まれるがこれらに限定されないの粒子の電磁的な分離を可能にする。特定の血液細胞の細胞表面上に存在する血液細胞の抗原決定基を検出するために使用される抗体またはリガンドは、FITCまたはフィコエリトリンなどの蛍光色素で標識される。細胞は、標識された抗体またはリガンドが細胞に結合することを可能にするために十分な時間の間、蛍光標識された抗体またはリガンドとともにインキュベートされる。細胞は細胞ソーターを通して処理され、他の細胞からの目的の細胞の分離を可能にする。FACS分別粒子は、分離を容易にするために、マイクロタイタープレートの個別のウェルに直接的に沈降可能である。
磁気ビーズもまた、本発明のある実施形態において、血液細胞を分離するために使用することができる。例えば、血液細胞は、磁気ビーズ(0.5〜100m直径)を結合するそれらの能力に基づいて粒子を分離するための方法である、磁気活性化細胞ソーティング(MACS)技術を使用して分別することができる。種々の有用な修飾は、磁気ミクロスフェア上で実施することができ、これには、細胞−固相表面分子またはハプテンを特異的に認識する抗体の共有結合的付加が含まれる。次いで、選択されたビーズを物理的に操作するために磁場が適用される。特定の実施形態において、血液細胞表面マーカーに対する抗体が磁気ビーズにカップリングされる。次いで、ビーズは、血液細胞培養と混合され、結合を可能にする。次いで、細胞は磁場を通過し、目的の血液細胞表面マーカーを有する細胞を分離する。次いで、これらの細胞は分離することができる。
ある実施形態において、培養ディッシュの表面は抗体でコートされ、パニングと呼ばれる方法によって血液細胞を分離するために使用されてもよい。個別のディッシュは、特定の血液細胞に特異的な抗体でコートすることができる。細胞は、最初に、目的の血液細胞特異的な抗体でコードされたディッシュに加えることができる。完全に濯いだ後、ディッシュに結合したままである細胞は、目的の血液細胞マーカーを発現する細胞である。細胞表面抗原決定基またはマーカーの例には以下が含まれるがこれらに限定されない:Tリンパ球およびナチュラルキラー細胞についてのCD2、Tリンパ球についてのCD3、白血球についてのCD11a、Tリンパ球についてのCD28、Bリンパ球についてのCD19、Bリンパ球についてのCD20、Bリンパ球についてのCD21、Bリンパ球についてのCD22、Bリンパ球についてのCD23、白血球についてのCD29、単球についてのCD14、血小板についてのCD41、血小板についてのCD61、顆粒球についてのCD66、顆粒球についてのCD67、ならびに単球およびマクロファージについてのCD68。
全血は、白血球、血小板、赤血球などの細胞型に分画することができ、このような細胞型は本発明の方法に従って使用することができる。白血球は標準的な技術を使用して、顆粒球および無顆粒白血球にさらに分離することができ、このような細胞は本発明の方法に従って使用することができる。顆粒球は、標準的な技術を使用して、好中球、好酸球、および好塩基球に分離することができ、このような細胞は本発明の方法に従って使用することができる。無顆粒白血球は、標準的な技術を使用して、リンパ球(例えば、Tリンパ球およびBリンパ球)および単球に分離することができ、このような細胞は本発明の方法に従って使用することができる。Tリンパ球は、標準的な技術を使用して、細胞傷害性T細胞から分離されたBリンパ球およびヘルパーT細胞から分離することができ、このような細胞は本発明の方法に従って使用することができる。分離された血液細胞は、本発明の方法における使用の前に標準的な技術によって凍結することができる。
本発明に従って有用である血液サンプルは、本発明に従う1つ以上の核酸またはアミノ酸配列の検出のために十分である量である。特定の実施形態において、本発明に従って有用である血液サンプルは、1μl〜100ml、好ましくは10μl〜50ml、より好ましくは10μl〜25ml、および最も好ましくは10μl〜1mlの範囲の量である。
5.1.3 血清
本発明の1つの態様において、血清は、最初に血液サンプルを単離する工程、および当該分野において周知の方法に従って血液の残りから血清を分離するために、その後のサンプルを回転(遠心分離)させる工程から入手される。血清サンプルは、本明細書に記載されるような任意の被験体から入手してもよい。採取した血清の量は、血液を採取した部位、本発明の方法のために必要とされる量、および被験体の快適さに依存して変化する。しかし、本発明の1つの実施形態の利点は、本発明の方法を実施するために十分な血清を提供するために必要とされる血液の量を少なくすることが可能であり、サンプルを入手するためにより侵襲的な手順が必要とされないことである。例えば、ある実施形態において、必要とされるすべては一滴の血液であり、採取される血清の量は、1ml以下、500μl以下、250μl以下、200μl以下、100μl以下、50μl以下、20μl以下、10μl以下、1μl以下、0.5μl以下、0.1μl以下、または0.01μl以下である。しかし、本発明は、このような実施形態に限定されない。ある実施形態において、より多くの血液が利用可能であり、ある実施形態において、より多くの血液が、本発明の方法をもたらすために使用することができる。
5.2 RNA調製
本発明の1つの態様において、RNAは、本発明のバイオマーカーのRNA産物を測定するために個体から単離される。RNAは、本明細書に記載されるように、組織サンプルから単離される。サンプルは、単一の患者からのものであり得、または複数の患者からプールすることができる。
別の態様において、RNAは、本明細書に記載されるように、変形性関節症を有するヒトの血液サンプルから直接的に単離される。サンプルは、単一の患者からのものであり得、または複数の患者からプールすることができる。
総RNAは、当該分野において周知である方法に従って、組織サンプルから抽出される。1つの実施形態において、RNAは、以下の方法に従って組織から精製される。個体または患者からの目的の組織の取り出し後、組織は、液体窒素中で急速冷凍し、RNAの分解を予防する。一定量の組織グアニジニウム溶液の添加の際に、組織試料は、ティシュマイザー中で、2回または3回の10秒間のバーストにより粉砕する。組織グアニジニウム溶液(1L)を調製するために、590.8gのグアニジニウム イソチオシアネートを、約400ml DEPC処理HO中に溶解する。25mlの2M Tris−Cl、pH 7.5(最終0.05M)および20ml NaEDTA(最終0.01M)を加え、溶液は一晩攪拌し、容量は950mlに調整し、そして50ml 2−MEを加える。
ホモジナイズした組織サンプルは、12℃において12,000×g、10分間の遠心分離に供される。得られた上清は、0.1容量の20% Sarkosylの存在下で、65℃で2分間インキュベートし、9mlの5.7M CsCl溶液(0.1g CsCl/ml)の上に重層し、そして22℃において113,000×g、一晩の遠心分離によって分離する。上清の注意深い除去後、チューブを転倒し、水分を流す。チューブの底(RNAペレットを含む)は50mlプラスチックチューブに配置し、3ml組織再懸濁緩衝液(5mM EDTA、0.5%(v/v)Sarkosyl、5%(v/v)2−ME)の存在下で4℃にて一晩(またはより長く)インキュベートして、RNAペレットの完全な再懸濁を可能にする。得られるRNA溶液は、25:24:1 フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール、続いて24:1 クロロホルム/イソアミルアルコールで連続的に抽出し、3M酢酸ナトリウム、pH 5.2および2.5体積の100%エタノールの添加によって沈殿させ、そしてDEPC水中で再懸濁させる(Chirgwinら、1979,Biochemistry,18:5294)。
代替的には、RNAは、以下の単一段階プロトコールに従って組織から単離される。目的の組織は、100mg組織あたり1ml変性溶液(4M グアニジニウムチオサルフェート、25mM クエン酸ナトリウム、pH 7.0、0.1M 2−ME、0.5%(w/v)N−ラウリルサルコシン)中、ガラステフロン(登録商標)ホモジナイザー中での均質化によって調節される。5mlポリプロピレンチューブへのホモジネートの移動後、0.1mlの2M 酢酸ナトリウム、pH 4、1ml 水飽和フェノール、および0.2mlの49:1 クロロホルム/イソアミルアルコールを連続して加える。サンプルは、各成分の添加後に混合し、すべての成分の添加後、0〜4℃で15分間インキュベートする。このサンプルは、4℃にて10,000×g、20分間の遠心分離によって分離し、100%イソプロパノールを1ml添加によって沈殿し、−20℃にて30分間インキュベートし、そして4℃にて10,000×gで10分間の遠心分離によってペレット化する。得られるRNAペレットは、0.3ml変性溶液に溶解し、微量遠心チューブに移し、0.3mlの100%イソプロパノールの添加により−20℃で30分間沈殿し、そして4℃にて10,000×gで10分間遠心分離する。このRNAペレットは、70%エタノール中で洗浄し、乾燥させ、そして100〜200μl DEPC処理水またはDEPC処理0.5% SDS中に再懸濁する(ChomczynskiおよびSacchi,1987,Anal.Biochem.,162:156)。
好ましくは、組織サンプルは液体窒素下で微細に粉末化され、総RNAはTRIzol(登録商標)試薬(GIBCO/BRL)を使用して抽出される。
代替的には、RNAは血液から単離される。1つの実施形態において、RNAは、以下のプロトコールによって単離される。溶解緩衝液は、1部の血液に対して3部の溶解緩衝液の比率で、血液サンプルに加えられる(溶解緩衝液(1L)0.6g EDAT;1.0g KHCO、8.2g NHCl、pH 7.4に調整(NaOHを使用する))。試料は混合し、透明になるまで5〜10分間氷上に配置する。溶解したサンプルを、4℃にて1000rpmで10分間遠心分離し、上清を吸引する。ペレットは5ml 溶解緩衝液に再懸濁し、4℃にて1000rpmで10分間再度遠心分離する。ペレット化した細胞は、TRIzol(登録商標)(GIBCO/BRL)を元の血液サンプルの10ml毎に約6mlのTRIzol(登録商標)の割合で使用し、そして十分に渦状に掻き回してホモジナイズする。サンプルは室温で5分間放置する。RNAは1mlのTRIzol(登録商標)あたり1.2mlのクロロホルムを使用して抽出する。サンプルは4℃にて12,000×gで5分間遠心分離し、上層を回収する。上層に、イソプロパノールを、1mlのTRIzol(登録商標)あたり0.5mlの割合で加える。サンプルは−20℃にて一晩、または−20℃にて1時間放置する。RNAは公知の方法に従ってペレット化し、RNAペレットは風乾し、そしてペレットはDEPC処理ddHO中に再懸濁する。RNAサンプルはまた、75%エタノール中に保存することができ、ここで、サンプルは輸送のために室温では安定である。
代替的には、RNAは、上記のようにTRIzol(登録商標)(GIBCO/BRL)を使用して、滑液から単離される。
RNAの純度および完全性は、260/280nmにおける吸光度、およびアガロースゲル電気泳動、それに続く紫外光下での検査によって評価される。
5.3 本発明のバイオマーカー
1つの実施形態において、本発明は、バイオマーカーの産物の発現レベルの測定が軽度の膀胱癌の存在を示すバイオマーカーおよびバイオマーカーの組み合わせを提供する。別の実施形態において、本発明は、当該バイオマーカーの産物の発現レベルの測定が、個体が膀胱癌および/または早期の膀胱癌の存在を有するか否かを診断するために使用することができるバイオマーカーおよびバイオマーカーの組み合わせを提供する。
表1は、本発明のバイオマーカーについての遺伝子名および関連する遺伝子ID(以前には遺伝子座リンクID)のリストを提供し、ここで、バイオマーカーの発現レベルの測定が、個々にまたは組み合わせてかのいずれかで、膀胱癌を有するか、または膀胱癌を有さないかとして個体を診断するために使用することができる。当業者によって理解されるように、遺伝子IDは、列挙されたバイオマーカーに対応するすべてのRNA転写物、およびすべてのタンパク質の配列を決定するために使用することができる。
表2は、PCT出願番号PCT/US04/020836に開示されるバイオマーカーを提供し、これは、膀胱癌を診断するために、または膀胱癌を有する人もしくは膀胱癌を有さない人の間を区別するために、本明細書に教示されるような表1に開示される1種以上のバイオマーカーと組み合わせて使用することができる。
表3は、特に、表1に列挙されるバイオマーカーのRNA産物に対応する参照登録番号、およびバイオマーカーのタンパク質産物に対応する参照登録番号を示す。
表4は、本発明のバイオマーカーのための遺伝子名および付随する遺伝子IDのリストを提供し、ここで、バイオマーカーの発現レベルの測定は、個々にまたは組み合わせてかのいずれかで、早期の膀胱癌を有するか、または膀胱癌を有さないとして個体を診断するために使用することができる。当業者によって理解されるように、遺伝子IDは、本発明のバイオマーカーに対応するすべてのRNA転写物、およびすべてのタンパク質の配列を決定するために使用することができる。
表5は、PCT出願番号PCT/US04/020836に開示されるバイオマーカーを提供し、これは、早期の膀胱癌を診断するために、または早期の膀胱癌を有する人もしくは膀胱癌を有さない人の間を区別するために、本明細書に教示されるような表4に開示される1種以上のバイオマーカーと組み合わせて使用することができる。
表6は、特に、表4に列挙されるバイオマーカーのRNA産物に対応する参照登録番号、およびバイオマーカーのタンパク質産物に対応する参照登録番号を開示する。
表7は、特に、膀胱癌であるかそうでないかを区別する、本発明のバイオマーカーについての遺伝子名および付随する遺伝子IDのリストを開示する。
表10は、特に、膀胱癌であるかそうでないかを区別する、表1に同定されるバイオマーカーの選択のための遺伝子名および付随する遺伝子IDのリストを開示する。
表11は、本発明のバイオマーカーの選択のための遺伝子名および関連する遺伝子ID(以前には遺伝子座リンクID)のリストを提供し、ここで、バイオマーカーの発現レベルの測定が、個々にまたは組み合わせてかのいずれかで、膀胱癌を有するか;または膀胱癌を有さないかとして個体を診断するために使用することができる。当業者によって理解されるように、遺伝子IDは、列挙されたバイオマーカーに対応するすべてのRNA転写物、およびすべてのタンパク質の配列を決定するために使用することができる。
表12は、特に、表11に列挙されるバイオマーカーのRNA産物に対応する参照登録番号、およびバイオマーカーのタンパク質産物に対応する参照登録番号を開示する。
従って、本発明は、上記に概略された目的の各々のためのこれらのバイオマーカーおよびバイオマーカーの組み合わせの発現を測定するために、当業者に公知であり、かつ本明細書に概略された方法の使用を包含する。
5.4 バイオマーカーの組み合わせ
1つの実施形態において、本発明のバイオマーカーの組み合わせは、表1に列挙されたバイオマーカーの2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、10個、20個、30個、40個、50個、100個、125個、150個、175個、200個まで、またはすべての任意の数の任意の組み合わせを含む。本発明の別の実施形態において、本発明のバイオマーカーの組み合わせは、表2に列挙されたバイオマーカーの任意の1つ、または1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、10個、20個、30個、40個、50個、100個、250個、500個、750個、1000個、1500個、2000個、2500個、3000個、3500個、4000個まで、またはすべての任意の数と組み合わせた、表1に列挙されたバイオマーカーの任意の1つ、または1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、10個、20個、30個、40個、50個、100個、125個、150個、175個、200個まで、もしくはすべての任意の数の任意の組み合わせを含み、その産物の発現の測定は、個体が膀胱癌を有するかまたは膀胱癌を有さないかを診断するために使用することができる。別の実施形態において、本発明のバイオマーカーの組み合わせは、表3に列挙されたRNA産物および/またはタンパク質産物の2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、10個、20個、30個、40個、50個、100個、150個、200個、250個、300個、350個、400個、450個、500個、1000個、1250個、1500個、1750個、2000個、まで、またはすべての任意の数の任意の組み合わせを含む。別の実施形態において、本発明のバイオマーカーの組み合わせは、表4に列挙されたバイオマーカーの2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、10個、20個、30個、40個、50個、100個、125個、150個、175個、200個、250個、300個、350個、400個、450個、500個まで、またはすべての任意の数の任意の組み合わせを含む。別の本発明の実施形態において、本発明のバイオマーカーの組み合わせは、表5に列挙されたバイオマーカーの任意の1つ、または1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、10個、20個、30個、40個、50個、100個、150個、200個、250個、300個、350個、400個、450個、500個、1000個、1250個、1500個、1750個、2000個、2250個まで、もしくはすべての任意の数と組み合わせた、表4に列挙されたバイオマーカーの任意の1つ、または1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、10個、20個、30個、40個、50個、100個、125個、150個、175個、200個、250個、300個、350個、400個、450個、500個、まで、もしくはすべての任意の数の任意の組み合わせを含み、その産物の発現の測定は、個体が早期の膀胱癌を有するかまたは膀胱癌を有さないかを診断するために使用することができる。別の実施形態において、本発明のバイオマーカーの組み合わせは、表6に列挙されたRNA産物および/またはタンパク質産物の2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、10個、20個、30個、40個、50個、100個、150個、200個、250個、300個、350個、400個、450個、500個、1000個、1250個、1500個、1750個、2000個、2250個、2500個、2750個、3000個、3250個、まで、またはすべての任意の数の任意の組み合わせを含む。別の本発明の実施形態において、本発明のバイオマーカーの組み合わせは、表7に列挙されたバイオマーカーの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、10個、20個、30個、40個、50個、75個、100個、125個、150個、175個、200個、まで、またはすべての任意の数の任意の組み合わせを含む。別の実施形態において、本発明のバイオマーカーの組み合わせは、表10に列挙されたバイオマーカーの2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、まで、またはすべての任意の数の任意の組み合わせを含む。
例えば、n個の遺伝子のサブセットmの可能な組み合わせの数は、以下の一般式を使用して、Feller,確率理論の序論(Intro to Probability Theory)、第3版、第1巻、1968、J.Wiley編に記載されている:
m!/(n)!(m−n)!
1つの実施形態において、nが2でありmが19である場合、
19!/2!(19−2)!=19×18×17×16×15×14×13×12×11×10×9×8×7×6×5×4×3×2×1/(2×1)(19×18×17×16×15×14×13×12×11×10×9×8×7×6×5×4×3×2×1)=1.216 1017/7.11 1014=171
通りの固有の2個の遺伝子の組み合わせが存在する。これらの2個の遺伝子の組み合わせの各々の遺伝子発現の測定は、患者が膀胱癌を有するか否かを決定するために独立して使用することができる。mが19でありnが3である別の特定の例において、19!/3!(19−3)!通りの固有の3個の遺伝子組み合わせが存在する。これらの固有の3個の遺伝子の組み合わせの各々は、患者が膀胱癌を有するか否かを決定するためのモデルとして独立して働くことができる。
5.5 特に有用なバイオマーカーの組み合わせ
本発明の表1−7および表10−13のいずれかに列挙されたバイオマーカーの組み合わせは、それぞれ、膀胱癌および/または早期の膀胱癌を診断するために有用であるが、本発明はさらに、膀胱癌を診断するために特に有用であり得る、任意の特定の表または表の組み合わせからのバイオマーカーの組み合わせを選択および評価する手段を提供する。
バイオマーカーの有用な組み合わせを同定するために、バイオマーカーの組み合わせの各バイオマーカーの発現レベルを反映するデータを使用して、本発明の数学的モデルが、膀胱癌および/または早期の膀胱癌と、非膀胱癌の間を区別することが可能である分類子を発生するために使用され、ここで各バイオマーカーは、表1−7および表10−13の1つ以上において同定されるバイオマーカーから選択される。次いで、分類子は、膀胱癌および/または早期の膀胱癌を有するとして個体を診断することが最も可能である分類子(および従ってバイオマーカーの組み合わせ)を選択するために、膀胱癌および/または早期の膀胱癌と、非膀胱癌の間を区別するそれらの能力について、評価およびスコアリングされる。
分類子は、トレーニング集団内の各個体についての2つ以上の選択されたバイオマーカーの産物の発現レベルを表すデータを使用することによって、および数学的モデルを適用することによって作製される。得られる分類子が所望の有用性を有することを確実にするために、トレーニング集団の表現型特徴が重要である。例えば、1つの実施形態において、使用されるトレーニング集団は、2つの表現型亜集団−膀胱癌を有することが知られている個体、および膀胱癌を有さないことが知られている個体から構成され、バイオマーカーは、表1および/もしくは表2または表7または表10または表11および/もしくは表12から選択される。別の実施形態において、使用されるトレーニング集団は、2つの表現型亜集団−早期の膀胱癌を有することが知られている個体、および膀胱癌を有さないことが知られている個体から構成され、バイオマーカーは、表3および/もしくは表4から選択される。
数学的モデルへの入力であるデータは、評価されるバイオマーカーの組み合わせの各バイオマーカーの産物の発現レベルとして代表的な任意のデータであり得る。1つの実施形態において、各バイオマーカーについての数学モデルへのデータ入力は、バイオマーカーのRNA産物を測定すること、および/またはバイオマーカーのタンパク質産物を測定することを含む、遺伝子発現レベルを測定するために当業者に公知である任意の方法を使用して得られたデータである。好ましい実施形態において、数学的モデルへのデータ入力は、定量リアルタイムPCR(qRT−PCR)を使用して入手されたデータである。
バイオマーカーの特に有用な組み合わせを同定するために、表1、表2、表1および表2の組み合わせ、表4、表5、表4および表5の組み合わせ、表7または表10のいずれか1つについてのバイオマーカーのすべての可能な組み合わせについて分類子を発生することが可能であり、次いで、分類子をスコアリングして、膀胱癌または早期の膀胱癌を診断するために最も有用であるスコアリングされた分類子を選択することができる。
分類子を発生するために、数学的モデルが使用される。本発明に従って有用である数学的モデルは以下から選択することができる:回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、ニューラルネットワーク、クラスター化モデル、主成分分析、最近傍分類子分析、線形判別分析、二次判別分析、サポートベクタマシン、決定木、遺伝的アルゴリズム、バギングを使用する分類子最適化、ブースティングを使用する分類子最適化、ランダム部分空間法を使用する分類子最適化、射影追跡、および加重投票。
生成した分類子は、次に、5節において概説されるように、膀胱癌を有し、および/または早期膀胱癌を有するとして個体を診断するために、十分な感度および/または特異性の分類子を同定するために、スコアリングおよび/またはランク付けされる。分類子をスコアリングするために、分類子は、本明細書に記載されるようなトレーニング集団の各個体を正確に呼び出す分類子の能力を決定するために試験することができる。生成した分類子はまた、「スコアリング集団」の1つ以上の個体を正確に呼び出す分類子の能力を決定することによって、評価またはスコアリングすることができる。スコアリング集団は、以下の5.7節に記載されるトレーニング集団と類似しているが、しかし、スコアリング集団は、分類子を生成するために使用されない、1つ以上の個体を形成する。このようにして、スコアリング集団は、例えば、膀胱癌(第1の表現型亜群)を有するとすでに診断された個体(第1の表現型群)および膀胱癌を有さない個体(第2の表現型群)から構成される。1つの実施形態において、スコアリング集団は、トレーニング集団において使用されない1つ以上のメンバーに加えて、トレーニング集団のメンバーを含む。ある実施形態において、5パーセント以下、10パーセント以下、20パーセント以下、30パーセント以下、50パーセント以下、または90パーセント以下のトレーニング集団のメンバーが、スコアリング集団と共通である。
当業者によって理解されるように、このことは、その表現型の特徴付けが未知である個体を適切に特徴付けする分類子の能力を予測することを可能にする。
得られる分類子は、当該試験個体が膀胱癌および/または早期の膀胱癌を有するか否かを決定するために、未知のまたは試験個体を診断するために使用することができる。1つの実施形態において、2つ以上の分類子(「分類子群」)が試験個体の診断を決定するために使用することができる。例えば、ある実施形態において、上位10個にランク付けされた分類子、上位20個にランク付けされた分類子、または上位100個にランク付けされた分類子が選択される。ある実施形態において、上位1個〜上位500個にランク付けされた分類子のいずれかが選択される。分類子の群が診断のために使用される例において、1つの実施形態において、各分類子は、被験体の診断が分類子の組み合わせの結果として決定されるように、被験体の診断に一票を与える。他の実施形態において、異なる重み付けスキーマが各分類子に適用される。例えば、重み付けスキーマは、元の分類子のスコア、ログオッズ比(「ロジット」)、各分類子についての係数のサイズ、これらのいくつかの組み合わせなどのような要因に基づく重み付けを含み得る。
1つの実施形態において、分類子または分類子群は、上記のように診断することのために直接的に使用される。しかし、別の実施形態において、同定される組み合わせは、遺伝子を同定した分類子とは独立して使用することができる。例えば、10個の遺伝子から生じるプロフィールが試験個体を評価するためにモニターすることができ、ここで、試験個体の遺伝子発現プロフィールは、膀胱癌を有する個体からの10個の遺伝子のプロフィール、および膀胱癌を有さない個体からの10個の遺伝子のプロフィールと比較される。
5.6 膀胱癌および早期の膀胱癌の診断のために特に有用なバイオマーカーの組み合わせを選択するための数学的モデルへの入力のためのデータ
例えば、膀胱癌を有するか、または膀胱癌を有さない個体を診断する際に有用であるこれらのバイオマーカーを同定するために、表1および/または表2および/または表7および/または表10および/または表11のバイオマーカーの1つ以上のmRNA産物の発現レベルを反映するデータが、個体のトレーニング集団、膀胱癌を有する第1の表現型亜群、および膀胱癌を有さない個体の第2の表現型亜群の中で使用される。トレーニング集団を、指定された表現型亜群に特徴付けする目的のために、膀胱癌診断の任意の方法を使用することができる。好ましい実施形態において、細胞検査が利用されて、トレーニング集団の目的のための膀胱癌の診断を決定する。
別の実施形態において、早期の膀胱癌を有するか、または膀胱癌を有さないとして個体を診断する際に有用であるバイオマーカーを同定するために、トレーニング集団中の個体から、表4および/または表5のバイオマーカーの1つ以上のmRNA産物の発現レベルを反映するデータは、早期の膀胱癌を有する個体および膀胱癌を有さない個体から構成される。
別の実施形態において、表1および/または表2および/または表7および/または表10のバイオマーカーの1つ以上のタンパク質産物の発現レベルを反映するデータが、個体のトレーニング集団、膀胱癌を有する第1の表現型亜群、および膀胱癌を有さない個体の第2の表現型亜群の中で使用される。トレーニング集団を、指定された表現型亜群に特徴付けする目的のために、膀胱癌診断の任意の方法を使用することができる。
別の実施形態において、表1および/または表2および/または表7および/または表10および/または表11のバイオマーカーの1つ以上のタンパク質産物の発現レベルを反映するデータが、個体のトレーニング集団、膀胱癌を有する第1の表現型亜群、および膀胱癌を有さない個体の第2の表現型亜群の中で使用される。トレーニング集団を、指定された表現型亜群に特徴付けする目的のために、膀胱癌診断の任意の方法を使用することができる。
5.7 トレーニング集団
ある実施形態において、参照集団またはトレーニング集団は10から30例の被験体を含む。別の実施形態において、トレーニング集団は30から50例の被験体を含む。さらに別の実施形態において、参照集団は、50から100例、100から500例、500から1000例、または1000例より多くの被験体を各々含む2つ以上の集団を含む。
ある実施形態において、トレーニング集団の各表現型亜群のメンバー(すなわち、膀胱癌メンバーおよび非膀胱癌メンバー)は、好ましくは、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、1個から1000個の間の他の表現型に関して類似の分布を有する。例えば、年齢、性別、遺伝子バリエーションの情報(例えば、遺伝子SNP変異、制限フラグメント長多型、マイクロサテライトマーカー、制限フラグメント長多型、および短いタンデムリピートの存在、非存在または特徴)、治療レジメン;同時罹患率;代謝物の濃度、血中の化学物質の濃度、ならびに/または健康および/もしくは健康状態の他の指標である。
5.8 数学的モデル
5.8.1 回帰モデル
ある実施形態において、試験されるバイオマーカーの各々の組み合わせのための発現データは、回帰モデル、好ましくは、ロジスティック回帰モデルの中で使用される。このような回帰モデルは、試験されるバイオマーカーの各々の可能な組み合わせについての数式を決定し、各数式は、モデルによって提示される各個々のバイオマーカーの発現レベルを反映するデータによって乗算される係数を提供する。
一般的に、目的の重回帰の数式は以下のように書くことができる:
Y=α+β+β+・・・β+ε
ここで、従属変数Yは、第1の表現型形質(例えば、軽度の変形性関節症)の存在(Yがポジティブ)または非存在(Yがネガティブ)である。このモデルは、従属変数Yが、説明変数k(トレーニング集団の中の第1の表現型サブグループおよび第2の表現型サブグループ中の被験体からのk個の選択遺伝子についての目的の組織中での遺伝子産物のレベルに代表的な測定値)、プラス種々の特定されていない除外された因子を包含する誤差項に依存することを述べている。上記に同定されるモデルにおいて、パラメーターβは、従属変数に対する第1の説明変数Xの効果を測定し、他の説明変数は一定に保持する。同様に、βはYに対する説明変数Xの効果を与え、残りの説明変数は一定に保持する。
ロジスティック回帰モデルは、直線回帰の非線形変換である、ロジスティック回帰モデルは「ロジット」モデルと呼ばれ、以下のように表現することができる:
ln[p/(1−p)]=α+β+β+・・・β+ε または
[p/(1−p)]=expαexpβ1X1expβ2X2×・・・×expβkXkexpε
ここで、
lnは自然対数logexp、ここでexp=2.71828・・・であり、
pは事象Yが起こる確率、p(Y=1)であり、
p/(1−p)は「オッズ比」であり、
ln[p/(1−p)]はログオッズ比、または「ロジット」であり、そして
モデルのすべての他の成分は、上記の一般的な回帰方程式と同じである。αおよびεについての項が同じ定数にまとめられ得ることが当業者によって認識される。確かに、好ましい実施形態において、単一の項がαおよびεを表すために使用される。「ロジスティック」分布は、S字型分布の関数である。ロジット分布は、見積もられる確率(p)を0から1の間となるように制約する。
本発明のある実施形態において、ロジスティック回帰モデルは、最尤推定値(MLE)によってフィットされる。換言すると、係数(例えば、α、β、β、・・・)は、最尤によって決定される。尤度は、条件付き確率(例えば、P(Y|X)、Xを仮定したYの確率)である。尤度関数(L)は、サンプルデータセットの中で起こる従属変数の値(Y、Y、...、Y)の特定のセットを観察する確率を測定する。これは、従属変数の積の確率として書かれる:
L=Prob(Y*Y***Y
尤度関数が高いほど、サンプル中でYを観察する確率が高くなる。MLEは、可能な限り大きな尤度関数(LL<0)または可能な限り小さな尤度関数の−2倍log(−2LL)を生じる係数(α、β、β、...)を見出すことを含む。MLEにおいて、パラメーターα、β、β、...のある初期の見積もりが作成される。次いで、これらのパラメーターの見積もりを与えるデータの尤度が計算される。これらのパラメーターの見積もりは改善され、データの尤度が再計算される。このプロセスは、パラメーターの見積もりが大きく変化しなくなるまで(例えば、確率における.01または.001未満の変化)、反復される。ロジスティック回帰の例およびロジスティック回帰モデルのフィッティングは、その全体が本明細書に援用される、Hastie,統計学習の初歩(The Elements of Statistical Learning),Springer,ニューヨーク,2001,pp.95−100において見出される。
5.8.2 ニューラルネットワーク
別の実施形態において、本発明のバイオマーカーの各々について測定される発現は、ニューラルネットワークをトレーニングするために使用することができる。ニューラルネットワークは、2段階回帰または分類モデルである。ニューラルネットワークは、出力ユニットのレイヤーに重みのレイヤーによって接続された入力ユニットのレイヤー(およびバイアス)を含む、レイヤー構造を有する。回帰のために、出力単位のレイヤーは、典型的には、1つのみの出力ユニットを含む。しかし、ニューラルネットワークは、シームレスに複数の定量的応答を扱うことができる。このようにして、ニューラルネットワークは、2つより多くの集団の間を区別するバイオマーカーの同定を可能にするように適用することができる。1つの特定の例において、ニューラルネットワークは、膀胱癌を有さない個体と比較した場合に、膀胱癌に特異的であるバイオマーカーの組み合わせを同定するために、表3に記されるものを含む表1におけるバイオマーカーの産物からの発現データを使用してトレーニングすることができる。結果として、トレーニングしたニューラルネットワークは、段階特異的なバイオマーカーとして有用であるバイオマーカーの組み合わせを直接的に同定するために使用することができる。ある実施形態において、EasyNN-Plusバージョン4.0gソフトフェアパッケージ(Neural Planner Software Inc.)において見出される10個のニューロンの単一の隠れレイヤー(10個の隠れレイヤー)を含む、逆伝搬ニューラルネットワーク(例えば、Abdi,1994,「ニューラルネットワークプライマー(A neural network primer)」,J.Biol.System.2,247−283を参照のこと)が使用される。
ニューラルネットワークは、その全体が本明細書に援用されるDudaら、2001,Pattern Classification,第2版、John Wiley & Sons,Inc.,ニューヨーク;およびHastieら、2001,The Elements of Statistical Learning,Springer-Verlag,ニューヨークに記載されている。
5.8.3 他の数学的モデル
上記のパターン分類および統計学的技術は、膀胱癌分類のためのモデルを構築するために使用することができるモデルの型、例えば、以下の単なる例である:その全体が参照により本明細書に援用されるDudaおよびHart,パターン分析およびシーン分析(Pattern Classification and Scene Analysis),1973,John Wiley & Sons,Inc.,ニューヨークの211〜256頁に記載されるようなクラスタリング;主成分分析(参照により本明細書に援用される、Jolliffe,1986,主成分分析(Principal Component Analysis),Springer,ニューヨークを参照のこと);最近傍分類子分析(例えば、Duda,パターン分析(Pattern Classification)第2版、2001,John Wiley & Sons,Inc;およびHastie,2001,統計学習の初歩(The Elements of Statistical Learning),Springer,ニューヨークを参照のこと);線形判別分析(例えば、Duda,パターン分析(Pattern Classification),第2版、2001,John Wiley & Sons,Incを参照のこと);およびHastie,2001,統計学習の初歩(The Elements of Statistical Learning),Springer,ニューヨーク;VenablesおよびRipley,1997,s-plusを用いる現代の応用統計学(Modern Applied Statistics with s-plus),Springer,ニューヨーク);サポートベクタマシン(例えば、これらのすべてが参照により本明細書に援用される、CristianiniおよびShawe-Taylor,2000,サポートベクタマシンへの序論(An Introduction to Support Vector Machines),Cambridge University Press,Cambridge,Boserら、1992,「最適マージン分類子のためのトレーニングアルゴリズム(A training algorithm for optimal margin classifiers)」,コンピューター学習理論ACMワークショップ第5回年次総会議事録(Proceedings of the 5th Annual ACM Workshop on Computational Learning Theory),ACM Press, Pittsburgh,ペンシルヴェニア,pp.142−152;Vapnik,1998,統計学習理論(Statistical Learning Theory),Wiley,ニューヨークを参照のこと)。
5.9 分類子を選択するためのバイオマーカーの組み合わせの選択
続く節における使用のためのバイオマーカーのすべてを選択することが好ましい。従って、バイオマーカーのすべての可能な組み合わせが、バイオマーカーの各々の産物のレベルを表すデータを使用して評価される。ある実施形態において、すべての可能な組み合わせを選択することは不可能であり、そこでバイオマーカーのサブセットが最初に選択され、次いで、バイオマーカーのサブセットの組み合わせが使用される。理解されるように、選択されるバイオマーカーの所望の数に基づく選択の判断基準は、バイオマーカーの産物のレベルを表すデータを得るために利用可能である供給源、ならびに/または選択されるバイオマーカーの可能な組み合わせのすべてもしくは一部の分類子を計算および評価するために利用可能であるコンピューター資源に依存する。ある実施形態において、評価することができる選択されるバイオマーカーの所望の数は、4,000;3,000;2,000;1,000;900;800;700;600;500;400;300;200;190;180;170;160;150;140;130;120;110;100;90;80;70;60;50;40;30;20;10である。
本発明の1つの実施形態において、表1におけるバイオマーカーの各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、表1のバイオマーカーの2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、60個などの各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、表1のバイオマーカーのすべてのうちの2個および/または3個および/また4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、表1のバイオマーカーの一部の2個および/または3個および/また4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、評価される表1のバイオマーカーの一部は、表1のバイオマーカーの20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、125個、150個、175個、200個、225個、または250個である。本発明の別の実施形態において、選択される表1のバイオマーカーの一部は、個々のp値に基づいてランク付けされ、ここで、p値は、膀胱癌を有するメンバーと膀胱癌を有さないメンバーとを区別する各バイオマーカーの個々の能力を示し、次いで、上位の60個、50個、40個、30個、20個、または10個に個々にランク付けされたバイオマーカーが選択され、選択されたバイオマーカーのすべてのうちの2個および/または3個および/または4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個が分類子を作製するために利用され、この分類子は、膀胱癌を有するメンバーと膀胱癌を有さないメンバーとを区別する能力について評価される。さらに別の実施形態において、そのp値が、0.5未満;0.1未満;0.05未満;0.01未満;0.005未満;0.001未満;0.0005未満;0.0001未満;0.00005未満;0.00001未満;0.000005未満;0.000001未満などである、表1のバイオマーカーのサブセットが選択される。ある実施形態において、表1のバイオマーカーのサブセットは、2つ以上の形質の亜集団の間でバイオマーカー産物によって示されるディファレンシャルな発現レベルに基づいて選択される。血液中でディファレンシャルな倍数変化を測定する際に、倍数変化の違いは全く小さいことがあり得るので、ある実施形態においては、バイオマーカーの選択は、倍数変化が、1.2より大きい、1.3より大きい、1.4より大きい、1.5より大きい、1.6より大きい、1.7より大きい、1.8より大きい、1.9より大きい、2.0より大きい、2.1より大きい、2.2より大きい、2.3より大きい、2.4より大きい、2.5より大きい、2.6より大きい、2.7より大きい、2.8より大きい、2.9より大きい、3.0より大きい、3.1より大きい、3.2より大きい、3.3より大きい、3.4より大きい、3.5より大きい、4.0より大きいなどである、ディファレンシャルな倍数変化に基づくことが注目される。ある実施形態において、当業者によって理解されるように、p値と倍数変化の両方に基づいて、組み合わせを形成するためのバイオマーカーを選択しておくことが有益である。従って、ある実施形態において、バイオマーカーは、バイオマーカーデータから生じるp値に基づいて上記に概説されるように最初に選択され、次いでバイオマーカーデータから決定されるディファレンシャルな倍数変化に基づいて選択される。別の実施形態において、バイオマーカーは、ディファレンシャルな倍数変化に基づいて最初に選択され、次いで、下位選択がp値に基づいて行われる。ある実施形態において、選択判断基準およびその後のランク付けの1つ以上の使用は、分類子を形成する際の使用のために、上位の2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、30%、40%、50%またはそれ以上のランク付けされたバイオマーカーの選択を可能にする。別の本発明の実施形態において、表1および表2の組み合わせにおけるバイオマーカーの各々の可能な組み合わせは、表1からの少なくとも1つのバイオマーカーが評価される組み合わせに含まれるという条件で評価される。本発明の別の実施形態において、表2の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、60個などのバイオマーカーと組み合わせた、表1の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、60個などのバイオマーカーの各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、表1および表2の組み合わせにおけるバイオマーカーのすべての2個および/または3個および/または4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の組み合わせについての全数検索が評価される。本発明の別の実施形態において、表1および表2のバイオマーカーの一部の2個および/または3個および/または4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、評価される表1および表2のバイオマーカーの一部は、表2におけるバイオマーカーの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、75個、100個、150個、200個、300個などと組み合わせた、表1におけるバイオマーカーの20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、125個、150個、175個、200個、225個、または250個であり、これらが利用される。本発明のさらに別の実施形態において、選択される表1および表2のバイオマーカーの一部は、個々のp値に基づいて選択およびランク付けされ、ここで、p値は、膀胱癌を有するメンバーと有さないメンバーとを区別する各バイオマーカーの個々の能力を示す。さらに別の実施形態において、そのp値が、0.5未満;0.1未満;0.05未満;0.01未満;0.005未満;0.001未満;0.0005未満;0.0001未満;0.00005未満;0.00001未満;0.000005未満;0.000001未満などである、表1および表2のバイオマーカーのサブセットが選択される。ある実施形態において、表1および表2のバイオマーカーのサブセットは、バイオマーカー産物によって示されるディファレンシャルな発現レベルに基づいて選択される。血液中でディファレンシャルな倍数変化を測定する際に、倍数変化の違いは全く小さいことがあり得るので、ある実施形態においては、バイオマーカーの選択は、倍数変化が、1.2より大きい、1.3より大きい、1.4より大きい、1.5より大きい、1.6より大きい、1.7より大きい、1.8より大きい、1.9より大きい、2.0より大きい、2.1より大きい、2.2より大きい、2.3より大きい、2.4より大きい、2.5より大きい、2.6より大きい、2.7より大きい、2.8より大きい、2.9より大きい、3.0より大きい、3.1より大きい、3.2より大きい、3.3より大きい、3.4より大きい、3.5より大きい、4.0より大きいなどである、ディファレンシャルな倍数変化に基づくことが注目される。ある実施形態において、当業者によって理解されるように、p値と倍数変化の両方に基づいて、組み合わせを形成するためのバイオマーカーを選択しておくことが有益である。従って、ある実施形態において、バイオマーカーは、バイオマーカーデータから生じるp値に基づいて上記に概説されるように最初に選択され、次いで当該バイオマーカーの下位選択が、バイオマーカーデータから決定されるディファレンシャルな倍数変化に基づいて選択される。別の実施形態において、バイオマーカーは、ディファレンシャルな倍数変化に基づいて最初に選択され、次いで、下位選択がp値に基づいて行われる。ある実施形態において、選択判断基準およびその後のランク付けの1つ以上の使用は、上位の2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、30%、40%、50%またはそれ以上のランク付けされたバイオマーカーの選択が使用されることを可能にし、その結果、選択されたバイオマーカーのすべての2個および/または3個および/または4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の各々の可能な組み合わせが利用されて分類子を作製し、これらの分類子は、膀胱癌を有するメンバーと有さないメンバーとを区別する能力について評価される。
本発明の別の実施形態において、表4におけるバイオマーカーの各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、表4のバイオマーカーの2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、150個、200個、250個、300個、350個、400個、450個、500個などの各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、表4のバイオマーカーのすべてのうちの2個および/または3個および/また4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、表4のバイオマーカーの一部の2個および/または3個および/また4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、評価される表4のバイオマーカーの一部は、表4のバイオマーカーの20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、125個、150個、175個、200個、225個、250個、300個、350個、400個、450個、または500個である。本発明のさらに別の実施形態において、選択される表4のバイオマーカーの一部は、個々のp値に基づいてランク付けされ、ここで、p値は、膀胱癌を有するメンバーと有さないメンバーとを区別する各バイオマーカーの個々の能力を示し、次いで、上位の60個、50個、40個、30個、20個、または10個に個々にランク付けされたバイオマーカーが選択され、選択されたバイオマーカーのすべてのうちの2個および/または3個および/または4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個が分類子を作製するために利用され、この分類子は、膀胱癌を有するメンバーと有さないメンバーとを区別する能力について評価される。さらに別の実施形態において、選択される表4のバイオマーカーの一部は、そのp値が、0.5未満;0.1未満;0.05未満;0.01未満;0.005未満;0.001未満;0.0005未満;0.0001未満;0.00005未満;0.00001未満;0.000005未満;0.000001未満などであるものである。ある実施形態において、表4のバイオマーカーのサブセットは、バイオマーカー産物によって示されるディファレンシャルな発現レベルに基づいて、分類子への入力のために組み合わせを形成するように選択される。血液中でディファレンシャルな倍数変化を測定する際に、倍数変化の違いは全く小さいことがあり得るので、ある実施形態においては、バイオマーカーの選択は、倍数変化が、1.2より大きい、1.3より大きい、1.4より大きい、1.5より大きい、1.6より大きい、1.7より大きい、1.8より大きい、1.9より大きい、2.0より大きい、2.1より大きい、2.2より大きい、2.3より大きい、2.4より大きい、2.5より大きい、2.6より大きい、2.7より大きい、2.8より大きい、2.9より大きい、3.0より大きい、3.1より大きい、3.2より大きい、3.3より大きい、3.4より大きい、3.5より大きい、4.0より大きいなどである、ディファレンシャルな倍数変化に基づくことが注目される。ある実施形態において、当業者によって理解されるように、p値と倍数変化の両方に基づいて、組み合わせを形成するためのバイオマーカーを選択しておくことが有益である。従って、ある実施形態において、バイオマーカーは、バイオマーカーデータから生じるp値に基づいて上記に概説されるように最初に選択され、次いで当該バイオマーカーの下位選択が、バイオマーカーデータから決定されるディファレンシャルな倍数変化に基づいて選択される。別の実施形態において、バイオマーカーは、ディファレンシャルな倍数変化に基づいて最初に選択され、次いで、下位選択がp値に基づいて行われる。ある実施形態において、選択判断基準およびその後のランク付けの1つ以上の使用は、上位の2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、30%、40%、50%またはそれ以上のランク付けされたバイオマーカーの選択が使用されることを可能にし、その結果、選択されたバイオマーカーのすべての2個および/または3個および/または4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の各々の可能な組み合わせが利用されて分類子を作製し、これらの分類子は、膀胱癌を有するメンバーと有さないメンバーとを区別する能力について評価される。別の本発明の実施形態において、表4および表5の組み合わせにおけるバイオマーカーの各々の可能な組み合わせは、表4からの少なくとも1つのバイオマーカーが評価される組み合わせに含まれるという条件で評価される。本発明の別の実施形態において、表5の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、60個などのバイオマーカーと組み合わせた、表4の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、60個などのバイオマーカーの各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、表4および表5の組み合わせにおけるバイオマーカーのすべての2個および/または3個および/または4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の組み合わせについての全数検索が評価される。本発明の別の実施形態において、表4および表5のバイオマーカーの一部の2個および/または3個および/または4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、評価される表4および表5のバイオマーカーの一部は、表5におけるバイオマーカーの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、75個、100個、150個、200個、300個、500個、1000個、1250個、1500個、1750個、2000個、2250個などと組み合わせた、表4におけるバイオマーカーの20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、125個、150個、175個、200個、225個、または250個、300個、350個、400個、450個、500個であり、これらが利用される。本発明のさらに別の実施形態において、選択される表4のバイオマーカーの一部は、個々のp値に基づいてランク付けされ、ここで、p値は、膀胱癌を有するメンバーと有さないメンバーとを区別する各バイオマーカーの個々の能力を示し、次いで、上位の60個、50個、40個、30個、20個、または10個に個々にランク付けされたバイオマーカーが選択され、選択されたバイオマーカーのすべてのうちの2個および/または3個および/または4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の各々の可能な組み合わせが分類子を作製するために利用され、この分類子は、膀胱癌を有するメンバーと有さないメンバーとを区別する能力について評価される。本発明のさらに別の実施形態において、選択される表4および表5のバイオマーカーの一部は、そのp値が、0.5未満;0.1未満;0.05未満;0.01未満;0.005未満;0.001未満;0.0005未満;0.0001未満;0.00005未満;0.00001未満;0.000005未満;0.000001未満などであるものである。ある実施形態において、表4および表5のバイオマーカーのサブセットは、バイオマーカー産物によって示されるディファレンシャルな発現レベルに基づいて、分類子への入力のための組み合わせを形成するように選択される。血液中でディファレンシャルな倍数変化を測定する際に、倍数変化の違いは全く小さいことがあり得るので、ある実施形態においては、バイオマーカーの選択は、倍数変化が、1.2より大きい、1.3より大きい、1.4より大きい、1.5より大きい、1.6より大きい、1.7より大きい、1.8より大きい、1.9より大きい、2.0より大きい、2.1より大きい、2.2より大きい、2.3より大きい、2.4より大きい、2.5より大きい、2.6より大きい、2.7より大きい、2.8より大きい、2.9より大きい、3.0より大きい、3.1より大きい、3.2より大きい、3.3より大きい、3.4より大きい、3.5より大きい、4.0より大きいなどである、ディファレンシャルな倍数変化に基づくことが注目される。ある実施形態において、当業者によって理解されるように、p値と倍数変化の両方に基づいて、組み合わせを形成するためのバイオマーカーを選択しておくことが有益である。従って、ある実施形態において、バイオマーカーは、バイオマーカーデータから生じるp値に基づいて上記に概説されるように最初に選択され、次いでバイオマーカーデータから決定されるディファレンシャルな倍数変化に基づいて選択される。別の実施形態において、バイオマーカーは、ディファレンシャルな倍数変化に基づいて最初に選択され、次いで、下位選択がp値に基づいて行われる。ある実施形態において、選択判断基準およびその後のランク付けの1つ以上の使用は、上位の2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、30%、40%、50%またはそれ以上のランク付けされたバイオマーカーの選択が使用されることを可能にし、その結果、選択されたバイオマーカーのすべての2個および/または3個および/または4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の各々の可能な組み合わせが利用されて分類子を作製し、これらの分類子は、膀胱癌を有するメンバーと有さないメンバーとを区別する能力について評価される。
本発明の別の実施形態において、表7におけるバイオマーカーの各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、表7のバイオマーカーの2個、3個、4個、5個、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、125個、150個、175個、200個などの各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、表7におけるバイオマーカーは、個々のp値に基づいて(表1に記されるように)ランク付けされ、ここで、p値は、膀胱癌を有するメンバーと有さないメンバーとを区別する各バイオマーカーの個々の能力を示し、次いで、上位の60個、50個、40個、30個、20個、または10個に個々にランク付けされたバイオマーカーが、膀胱癌を有するメンバーと有さないメンバーとを区別することが最も可能である組み合わせを選択するように、すべての可能な組み合わせの中で評価される。さらに別の実施形態において、表7のバイオマーカーのすべてのうちの2個および/または3個および/また4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の組み合わせが、膀胱癌と非膀胱癌の間を区別可能である分類子を作製するために利用される。さらに別の実施形態において、表7のバイオマーカーの2個、3個、4個、5個、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、125個、150個、175個、または200個の組み合わせが、分類子を作製するために使用され、次いで、これらは、膀胱癌と非膀胱癌の間を区別可能であるそれらの能力について評価される。さらに別の実施形態において、表7の上位200個、175個、150個、125個、100個、90個、80個、70個、60個、50個、40個、30個、20個、または10個(p値に基づく)の2個および/または3個および/また4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の組み合わせが、分類子を作製するために使用され、次いで、これらは、膀胱癌と非膀胱癌の間を区別可能であるそれらの能力について評価される。本発明のさらに別の実施形態において、選択される表7のバイオマーカーの一部は、そのp値が、0.5未満;0.1未満;0.05未満;0.01未満;0.005未満;0.001未満;0.0005未満;0.0001未満;0.00005未満;0.00001未満;0.000005未満;0.000001未満などであるものである。ある実施形態において、表7のバイオマーカーのサブセットは、バイオマーカー産物によって示されるディファレンシャルな発現レベルに基づいて、分類子への入力のために組み合わせを形成するように選択される。血液中でディファレンシャルな倍数変化を測定する際に、倍数変化の違いは全く小さいことがあり得るので、ある実施形態においては、バイオマーカーの選択は、倍数変化が、1.2より大きい、1.3より大きい、1.4より大きい、1.5より大きい、1.6より大きい、1.7より大きい、1.8より大きい、1.9より大きい、2.0より大きい、2.1より大きい、2.2より大きい、2.3より大きい、2.4より大きい、2.5より大きい、2.6より大きい、2.7より大きい、2.8より大きい、2.9より大きい、3.0より大きい、3.1より大きい、3.2より大きい、3.3より大きい、3.4より大きい、3.5より大きい、4.0より大きいなどである、ディファレンシャルな倍数変化に基づくことが注目される。ある実施形態において、当業者によって理解されるように、p値と倍数変化の両方に基づいて、組み合わせを形成するためのバイオマーカーを選択しておくことが有益である。従って、ある実施形態において、バイオマーカーは、バイオマーカーデータから生じるp値に基づいて上記に概説されるように最初に選択され、次いで当該バイオマーカーの下位選択が、バイオマーカーデータから決定されるディファレンシャルな倍数変化に基づいて選択される。別の実施形態において、バイオマーカーは、ディファレンシャルな倍数変化に基づいて最初に選択され、次いで、下位選択がp値に基づいて行われる。ある実施形態において、選択判断基準およびその後のランク付けの1つ以上の使用は、上位の2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、30%、40%、50%またはそれ以上のランク付けされたバイオマーカーの選択が使用されることを可能にし、その結果、選択されたバイオマーカーのすべての2個および/または3個および/または4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の各々の可能な組み合わせが利用されて分類子を作製し、これらの分類子は、膀胱癌を有するメンバーと有さないメンバーとを区別する能力について評価される。
さらに別の実施形態において、表10のバイオマーカーのすべての2個および/または3個および/または4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個のすべての組み合わせが利用されて分類子を作製し、これらは、膀胱癌を有するメンバーと有さないメンバーとを区別することができる。
本発明の別の実施形態において、表11のバイオマーカーの2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、60個などの各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、表11のバイオマーカーのすべてのうちの2個および/または3個および/また4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、表11のバイオマーカーの一部の2個および/または3個および/また4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、評価される表11のバイオマーカーの一部は、表11におけるバイオマーカーの20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、125個、150個、175個、200個、225個、または250個である。本発明のさらに別の実施形態において、選択される表11のバイオマーカーの一部は、個々のp値に基づいてランク付けされ、ここで、p値は、膀胱癌を有するメンバーと有さないメンバーとを区別する各バイオマーカーの個々の能力を示し、次いで、上位の60個、50個、40個、30個、20個、または10個に個々にランク付けされたバイオマーカーが選択され、選択されたバイオマーカーのすべてのうちの2個および/または3個および/または4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の各々の可能な組み合わせが分類子を作製するために利用され、この分類子は、膀胱癌を有するメンバーと有さないメンバーとを区別する能力について評価される。本発明のさらに別の実施形態において、選択される表11のバイオマーカーの一部は、そのp値が、0.5未満;0.1未満;0.05未満;0.01未満;0.005未満;0.001未満;0.0005未満;0.0001未満;0.00005未満;0.00001未満;0.000005未満;0.000001未満などであるものである。ある実施形態において、表11のバイオマーカーのサブセットは、バイオマーカー産物によって示されるディファレンシャルな発現レベルに基づいて、分類子への入力のための組み合わせを形成するように選択される。血液中でディファレンシャルな倍数変化を測定する際に、倍数変化の違いは全く小さいことがあり得るので、ある実施形態においては、バイオマーカーの選択は、倍数変化が、1.2より大きい、1.3より大きい、1.4より大きい、1.5より大きい、1.6より大きい、1.7より大きい、1.8より大きい、1.9より大きい、2.0より大きい、2.1より大きい、2.2より大きい、2.3より大きい、2.4より大きい、2.5より大きい、2.6より大きい、2.7より大きい、2.8より大きい、2.9より大きい、3.0より大きい、3.1より大きい、3.2より大きい、3.3より大きい、3.4より大きい、3.5より大きい、4.0より大きいなどである、ディファレンシャルな倍数変化に基づくことが注目される。ある実施形態において、当業者によって理解されるように、p値と倍数変化の両方に基づいて、組み合わせを形成するためのバイオマーカーを選択しておくことが有益である。従って、ある実施形態において、バイオマーカーは、バイオマーカーデータから生じるp値に基づいて上記に概説されるように最初に選択され、次いでバイオマーカーデータから決定されるディファレンシャルな倍数変化に基づいて選択される。別の実施形態において、バイオマーカーは、ディファレンシャルな倍数変化に基づいて最初に選択され、次いで、下位選択がp値に基づいて行われる。ある実施形態において、選択判断基準およびその後のランク付けの1つ以上の使用は、上位の2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、30%、40%、50%またはそれ以上のランク付けされたバイオマーカーの選択が使用されることを可能にし、その結果、選択されたバイオマーカーのすべての2個および/または3個および/または4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の各々の可能な組み合わせが利用されて分類子を作製し、これらの分類子は、膀胱癌を有するメンバーと有さないメンバーとを区別する能力について評価される。本発明の別の実施形態において、表11および表2の組み合わせにおけるバイオマーカーの各々の可能な組み合わせは、表11からの少なくとも1つのバイオマーカーが評価される組み合わせに含まれるという条件で評価される。本発明の別の実施形態において、表2の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、60個などのバイオマーカーと組み合わせた、表11の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、60個などのバイオマーカーの各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、表1および表2の組み合わせにおけるバイオマーカーのすべての2個および/または3個および/または4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の組み合わせについての全数検索が評価される。本発明の別の実施形態において、表11および表2のバイオマーカーの一部の2個および/または3個および/または4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の各々の可能な組み合わせが評価される。本発明の別の実施形態において、評価される表11および表2のバイオマーカーの一部は、表2におけるバイオマーカーの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、75個、100個、150個、200個、300個などと組み合わせた、表11におけるバイオマーカーの20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、125個、150個、175個、200個、225個、または250個であり、これらが利用される。本発明のさらに別の実施形態において、選択される表11のバイオマーカーの一部は、個々のp値に基づいてランク付けされ、ここで、p値は、膀胱癌を有するメンバーと有さないメンバーとを区別する各バイオマーカーの個々の能力を示し、次いで、上位の60個、50個、40個、30個、20個、または10個に個々にランク付けされたバイオマーカーが選択され、選択されたバイオマーカーのすべてのうちの2個および/または3個および/または4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の各々の可能な組み合わせが分類子を作製するために利用され、この分類子は、膀胱癌を有するメンバーと有さないメンバーとを区別する能力について評価される。本発明のさらに別の実施形態において、選択される表11および表2のバイオマーカーの一部は、そのp値が、0.5未満;0.1未満;0.05未満;0.01未満;0.005未満;0.001未満;0.0005未満;0.0001未満;0.00005未満;0.00001未満;0.000005未満;0.000001未満などであるものである。ある実施形態において、表11および表2のバイオマーカーのサブセットは、バイオマーカー産物によって示されるディファレンシャルな発現レベルに基づいて、分類子への入力のための組み合わせを形成するように選択される。血液中でディファレンシャルな倍数変化を測定する際に、倍数変化の違いは全く小さいことがあり得るので、ある実施形態においては、バイオマーカーの選択は、倍数変化が、1.2より大きい、1.3より大きい、1.4より大きい、1.5より大きい、1.6より大きい、1.7より大きい、1.8より大きい、1.9より大きい、2.0より大きい、2.1より大きい、2.2より大きい、2.3より大きい、2.4より大きい、2.5より大きい、2.6より大きい、2.7より大きい、2.8より大きい、2.9より大きい、3.0より大きい、3.1より大きい、3.2より大きい、3.3より大きい、3.4より大きい、3.5より大きい、4.0より大きいなどである、ディファレンシャルな倍数変化に基づくことが注目される。ある実施形態において、当業者によって理解されるように、p値と倍数変化の両方に基づいて、組み合わせを形成するためのバイオマーカーを選択しておくことが有益である。従って、ある実施形態において、バイオマーカーは、バイオマーカーデータから生じるp値に基づいて上記に概説されるように最初に選択され、次いでバイオマーカーデータから決定されるディファレンシャルな倍数変化に基づいて選択される。別の実施形態において、バイオマーカーは、ディファレンシャルな倍数変化に基づいて最初に選択され、次いで、下位選択がp値に基づいて行われる。ある実施形態において、選択判断基準およびその後のランク付けの1つ以上の使用は、上位の2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、30%、40%、50%またはそれ以上のランク付けされたバイオマーカーの選択が使用されることを可能にし、その結果、選択されたバイオマーカーのすべての2個および/または3個および/または4個および/または5個および/または6個および/または7個および/または8個および/または9個および/または10個の各々の組み合わせが利用されて分類子を作製し、これらの分類子は、膀胱癌を有するメンバーと有さないメンバーとを区別する能力について評価される。
5.10 分類子の評価
一旦、1つ以上の分類子が数学的モデルを使用して計算されると、分類子は、いずれの分類子が所望の目的のために有効であるかを決定するために評価することができる。本発明の1つの好ましい実施形態において、、各分類子は、膀胱癌を有するかまたは膀胱癌を有さないとしてトレーニング集団の各個体を適切に特徴付けするその能力について、評価およびスコアリングされる。例えば、標準的であり、開示されている標準的な統計学的手法を使用する相互検証、リーブアウト相互検証、n−倍相互検証、ジャックナイフ解析を使用して、分類子を評価することができる。本明細書で使用される場合、分類子を評価するプロセスは「スコアリング」と呼ばれる。ある実施形態において、ある実施形態において、スコアリングはトレーニング集団を使用して行われる。別の実施形態において、スコアリングは本明細書に記載されるような「スコアリング集団」を使用して行われる。さらに別の実施形態において、スコアリングは「トレーニング集団」と「スコアリング集団」の両方を使用して行われる。1つの実施形態において、スコアリング集団には、トレーニング集団において使用されない1つ以上のメンバーに加えて、トレーニング集団のメンバーが含まれる。ある実施形態において、5パーセント以下、10パーセント以下、20パーセント以下、30パーセント以下、50パーセント以下、または90パーセント以下のトレーニング集団のメンバーがスコアリング集団に共通である。
ある実施形態において、割合補正予測の統計値が各分類子をスコアリングするために使用される。「割合補正予測」統計値は、推定のpが0.5以上である場合は、事象が起こることが予測され、そうでない場合は起こらないことが予測されると仮定する。これらの確率が0または1であることを仮定することによって、何パーセントのトレーニング集団が正確にサンプリングされたかを決定するために、トレーニング集団中のサンプルの値に対して、比較を行うことができる。
1つの実施形態において、トレーニング集団の個々の個体を適切に特徴付けるその能力について分類子を評価するために使用される方法は、分類子の感度(TPF、真の正の画分)および1−特異性(TNF、真の負の画分)を評価する方法である。例えば、1つの実施形態において、受信者動作特性(「ROC」)が利用される。ROCは、生成した方程式の診断結果の感度と特異性の両方を評価するためのいくつかのパラメーターを提供する。例えば、1つの実施形態において、ROC面積(曲線下面積)が、方程式を評価するために使用される。好ましい実施形態において、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9よりも大きなROC面積が好ましい。他方、1.0の完全なROC面積スコアは、100%感度と100%特異性の両方を有することを示す。
関連分野における当業者によって理解されるように、曲線下面積は、ROC曲線中に含まれる二次元情報を一次元情報に転換する。別の実施形態において、ROC曲線の二次元態様からの情報が直接的に利用される。例えば、ROC曲線はまた、分類子の感度および特異性に関する情報を提供する。ある実施形態において、分類子は、感度または特異性のいずれかに基づいて選択される。これは、重要なスコアリング指標であり得る。例えば、高い特異性(すなわち、より少ない数の偽陰性)を有する診断分類子は、人を正常であると誤って診断することよりもむしろ、個体が疾患を有すると誤って診断することが安全である状況において重要である可能性がある。そのため、ある実施形態において、カットオフは感度または特異性のいずれかについて設定することができ、そして分類子は残りの変数に基づいて等級付けまたはスコアリングすることができる。ある実施形態において、ROC曲線は、データを生成するために、任意の公知の方法を使用して、各分類子について生成される。ある実施形態において、データは、マイクロアレイを使用して生成される。ある実施形態において、データは、定量RT−PCRを利用して生成される。
ある実施形態において、分類子は、マルチカテゴリーロジットモデルによって特徴付けられた加重ロジスティック回帰モデルである。例えば、ある実施形態において、分類子は、2つの異なる形質群の間を区別する。別の実施形態において、分類子は、2つより多くの異なる形質群の間を区別する。マルチカテゴリーロジットモデルを含むロジットモデルは、Agresti,カテゴリーデータ分析の序説(An Introduction to Categorical Data Analysis),John Wiley & Sons,Inc.,1996,ニューヨーク,7章および8章において記載され、これは参照により本明細書に援用される。表10は、ロジット:
ln[p/(1−p)]=α+β+β+ε
を使用する数学的モデルに適用される発現データに基づくROC曲線を形成するために使用されるデータを例示する。
Figure 2008539728
表8における各行は、スコアリング集団における異なる標本に対応する。左の列は、サンプリングされた分類子についてのロジットの結果を表す。表8における標本は、左の列に列挙されたロジットスコアによってランク付けされる。右の列は、回帰方程式によって考慮される形質の存在または非存在について詳述する。表8はROC曲線を計算するために使用することができ、ここでは、表8における各行が、ROC曲線のデータ点を計算するために閾値のカットオフ値と見なされる。次いで、ROC曲線下の面積は、分類子の予測し得る質を評価するために計算することができる。
5.11 本明細書のバイオマーカーの産物
当業者によって理解されるように、膀胱癌と非膀胱癌との間でディファレンシャルに発現されるバイオマーカーの1つ以上の組み合わせの同定は、同定される組み合わせのバイオマーカー(遺伝子)の産物の発現を反映するデータを使用して、試験個体についての膀胱癌の診断を可能にする。
本発明のバイオマーカーの各々の産物は、RNAとタンパク質の両方を含む。本発明のバイオマーカーのRNA産物は本発明のバイオマーカーの転写産物であり、hnRNA、mRNA、およびmRNAの1つ以上のスプライシング変異体の集団を含む。本発明を実施するために、本発明のバイオマーカーのRNA産物の集団の1つ以上の測定は、診断の目的のために使用することができる。より特定には、膀胱癌および/または早期の膀胱癌と非膀胱癌との間でディファレンシャルに発現されるバイオマーカーのRNA産物の集団の測定が本発明に包含される。
本発明の1つの実施形態において、測定される本発明のバイオマーカーのRNA産物は、hnRNA、mRNA、およびmRNAのすべてのスプライシング変異体を含むRNA産物の集団である。別の実施形態において、測定される本発明のバイオマーカーのRNA産物はmRNAの集団である。本発明の別の実施形態において、測定される本発明のバイオマーカーのRNA産物は、血液中で発現されるmRNAの集団である。本発明のさらに別の実施形態において、測定される本発明のバイオマーカーのRNA産物は、mRNAの1つ以上のスプライシング変異体の集団である。本発明のさらに別の実施形態において、測定される本発明のバイオマーカーのRNA産物は、血液中で発現されるmRNAの1つ以上のスプライシング変異体の集団である。別の実施形態において、本発明のバイオマーカーのRNA産物は、表1−2、4−5、7および10のいずれか1つにおいて同定される遺伝子座リンク(遺伝子ID)に対応するすべてのmRNAである。本発明の別の実施形態において、測定される本発明のバイオマーカーのRNA産物は、表3および6のいずれか1つにおいて遺伝子座リンク(遺伝子ID)に対応するRNA産物である。本発明の別の実施形態において、測定される本発明のバイオマーカーのRNA産物は、血液中で発現される、遺伝子座リンク(遺伝子ID)に対応するRNA産物である。
本発明のバイオマーカーのタンパク質産物もまた本発明の範囲に含まれ、これは本発明のバイオマーカーから生じるタンパク質産物の全体の集団を含む。当業者によって理解されるように、本発明のバイオマーカーから生じるタンパク質の全体の集団には、タンパク質、mRNAスプライシング変異体から生じるタンパク質変異体、および翻訳後修飾されたタンパク質が含まれる。1つの実施形態において、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物は、表1−2、4−5、7および表10−11に同定される遺伝子座リンク(遺伝子ID)に対応するすべてのタンパク質である。本発明の別の実施形態において、測定される本発明のバイオマーカーのタンパク質産物は、表3および表6のいずれか1つにおける遺伝子座リンク(遺伝子ID)に対応するタンパク質である。本発明のさらに別の実施形態において、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物は、血液中で発現される、遺伝子座リンク(遺伝子ID)に対応するタンパク質である。本発明を実施するために、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物の1つ以上の集団の測定を、診断の目的のために使用することができる。より特定には、膀胱癌および/または早期の膀胱癌を有する個体と膀胱癌を有さない個体との間でディファレンシャルに発現されるバイオマーカーのタンパク質産物の集団の測定は、診断の目的のために有用であり、本発明に包含される。
本発明の1つの実施形態において、測定される本発明のバイオマーカーのタンパク質産物は、本発明のバイオマーカーのRNA産物から翻訳されるタンパク質産物の全体の集団である。別の実施形態において、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物は、血液中で発現されるタンパク質産物である。本発明のさらに別の実施形態において、本発明のバイオマーカーの任意の1種以上のタンパク質産物は、mRNAスプライシング変異体の任意の1つ以上から翻訳されるタンパク質産物の任意の1つ以上である。本発明のさらに別の実施形態において、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物は、血液中で発現されたmRNAスプライシング変異体の任意の1つ以上から翻訳されるタンパク質産物の任意の1つ以上である。
5.12 膀胱癌および/または早期の膀胱癌を診断するために同定される組み合わせの使用
本明細書に記載されるように、試験されたバイオマーカーの組み合わせの各バイオマーカーの発現レベルに対応するデータを使用する数学的モデル(例えば、ロジスティック回帰モデル)の適用は、分類子を作成する。分類子は、試験されたバイオマーカーの組み合わせの各々のバイオマーカーの発現レベルに代表的なデータを、個体が膀胱癌および/もしくは早期の膀胱癌を有するかまたは膀胱癌を有さないか診断的決定に転換するために数学的関数を使用する。分類子は、入力のための試験個体についてのデータを診断的決定をもたらす分類子または分類子の群の中の各々の分類子に提供することによって、膀胱癌および/もしくは早期の膀胱癌を有するかまたは膀胱癌を有さないかとして個体を診断するために、直接的に使用することができる。例えば、分類子がロジスティック回帰を使用して作成される場合、分類子は以下のような形態をとる:
Y=α+β+β+・・・+β+ε
ここで、この式のX1、X2、...Xkは、目的の組織中での遺伝子産物のレベルに代表的な測定値を表し、kは分類子を生成するために使用される組み合わせのバイオマーカーを選択する。従って、試験個体を診断するために、この式の各バイオマーカーについての測定値は入力であり、Yの値は当該試験個体の診断を決定する。
同定された組み合わせはまた、分類子とは独立して使用することができる。例えば、3個のバイオマーカーを使用する分類子が選択される場合は、(例えば、高い感度および高い特異性を示す0.9のROC曲線下面積スコアを有する)、試験個体における3個のバイオマーカーの各々についての産物の豊富さを測定することができ、そして試験個体の発現のパターンが、膀胱癌および/もしくは早期の膀胱癌を有する対照ならびに膀胱癌を有さない対照とより類似しているか否かを決定するために、3個のバイオマーカーの各々の豊富さの測定を、膀胱癌および/もしくは早期の膀胱癌を有する個体の対照集団からの1つ以上の個体と、ならびに/または膀胱癌を有さない個体の対照集団からの1つ以上の個体と比較することができる。好ましい実施形態において、個体を診断するために、例えば、分類子への入力のための、試験個体中で同定された組み合わせのバイオマーカーのRNAおよび/またはタンパク質の生成物の発現レベルの測定によって、生成した分類子を使用する。1つの実施形態において、試験個体を診断するために使用されるものと同じ方法が、数学的モデルを生成するために使用される発現データを生成するために使用される。
5.13 膀胱癌の回帰をモニターするために同定される組み合わせの使用
本発明は、早期の膀胱癌を有するか、または膀胱癌を有さないとして個体を診断する目的のための組み合わせについてのバイオマーカーおよび分類子の有用な組み合わせを同定する能力について教示している。膀胱癌を有さないものと比較して、早期の膀胱癌について診断する組み合わせおよび分類子もまた、例えば、治療に応答して、それらの膀胱癌の重度に関して、個体において症状が後退したか否かを決定する際に有用であることが当業者によって理解される。例えば、個体は、同定された組み合わせの1つ以上を使用する治療の前に早期の膀胱癌を有すると診断することができる。治療に続いて、個体は、当該個体がより早期の膀胱癌を有しているか否かを決定するために再度試験することができる。個体が治療の前の段階であると、もはや同定することができない事象において、このことはそれ自体、治療が有効であることを示唆し得る。加えて、治療は、個体が今や膀胱癌を有さないと診断されるように、膀胱癌の段階の後退に導き得る。
5.14 本発明のバイオマーカーの産物を測定するために使用されるポリヌクレオチド
本発明のバイオマーカーのRNA産物の発現を測定する手段として、本発明のサンプル中でRNA発現を測定するための1つ以上の方法と併用して、当業者によって理解されるような以下のものの1つ以上を使用することができる:オリゴヌクレオチド、cDNA、DNA、RNA、PCR産物、合成DNA、合成RNA、または本発明のバイオマーカーのRNA産物の1つ以上に特異的にハイブリダイズする天然に存在する修飾ヌクレオチドの別の組み合わせ。別の特定の実施形態において、オリゴヌクレオチド、cDNA、DNA、RNA、PCR産物、合成DNA、合成RNA、または本発明のバイオマーカーのRNA産物の1つ以上に選択的にハイブリダイズする天然に存在する修飾オリゴヌクレオチドの他の組み合わせが使用される。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチド、cDNA、DNA、RNA、PCR産物、合成DNA、合成RNA、または本発明のバイオマーカーのRNA産物の1つ以上に特異的と選択的の両方でハイブリダイズする天然に存在する修飾ヌクレオチド オリゴヌクレオチドの他の組み合わせが使用される。
5.15 本発明のバイオマーカーのRNA産物を測定するための技術
アレイハイブリダイゼーション
本発明の1つの実施形態において、本発明のRNA産物を測定するために使用されるポリヌクレオチドは、本発明の1つの態様に従うアレイを含むために、担体に安定して結合された核酸メンバーとして使用することができる。核酸メンバーの長さは、8〜1000ヌクレオチド長さの範囲であり得、本発明のバイオマーカーのRNA産物に特異的であるように選択される。1つの実施形態において、これらのメンバーは、本発明のバイオマーカーのRNA産物について特異的および/または選択的である。さらに別の実施形態において、これらのメンバーは、本発明のバイオマーカーのmRNA産物について特異的および/または選択的である。好ましい実施形態において、これらのメンバーは、本発明のバイオマーカーのmRNA産物のすべての変異体について特異的および/または選択的である。さらに別の好ましい実施形態において、これらのメンバーは、本発明のバイオマーカーのmRNA産物の1つ以上の変異体について特異的および/または選択的である。核酸メンバーは一本鎖および/もしくは二本鎖であってもよく、ならびに/またはオリゴヌクレオチドもしくはcDNAから増幅されたPCRフラグメントであってもよい。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、約20〜30ヌクレオチド長である。ESTは、好ましくは、100〜600ヌクレオチド長である。本発明のバイオマーカーの発現された領域の一部を、アレイ上のプローブとして利用できることが当業者によって理解される。より特定には、本発明の遺伝子および/または本発明の遺伝子から導き出されたcDNAもしくはESTに相補的であるオリゴヌクレオチドが有用である。本発明のある実施形態において、本発明のバイオマーカーのRNA産物に特異的および/または選択的にハイブリダイズすることが可能であるポリヌクレオチドは、本発明における使用のためにアレイにスポットすることができる。オリゴヌクレオチドベースのアレイのために、プローブとして有用である目的の遺伝子に対応するオリゴヌクレオチドの選択は、当該分野において十分に理解されている。より特定には、標的核酸へのハイブリダイズを可能にする領域を選択することが重要である。オリゴヌクレオチドのTm、CG含量パーセント、二次構造の程度および核酸の長さなどの因子は重要な因子である。例えば、米国特許第6,551,784号を参照のこと。1つの実施形態において、アレイは、表3ならびに表6および/または表12に記される特異的RNAおよび/またはタンパク質産物を含む、表1、表2、表4、表5ならびに表7および/または表10および/または表11に開示されるような本発明のバイオマーカーの各々の産物の1つ以上にハイブリダイズ可能である、10〜1000ヌクレオチドの間の配列から成る。
本発明のアレイにハイブリダイズし、かつこれを用いて分析される標的核酸サンプルは、好ましくは、ヒトの軟骨、血液、または滑液に由来する。この手順の限界は、標的核酸サンプルとしての使用のために利用可能であるRNAの量にある。好ましくは、少なくとも1マイクログラムの総RNAが本発明に従う使用のために得られる。より少ない量のRNAは、mRNAの亜種(例えば、ポリTオリゴヌクレオチド)に指向されるPCRおよびプライマーと組み合わせて使用することができる。
標的の調製
本発明に従うアレイのための標的は、好ましくは、ヒトの血液および/またはヒトの膀胱組織に由来する。
標的核酸は、1つ以上の型の化学結合、通常は、相補的塩基対形成を通して、通常は水素結合形成を通して、相補的配列の核酸プローブまたは核酸メンバーに結合可能である。
本明細書で使用される場合、「mRNA転写物に由来する核酸」または「mRNAに対応する核酸」とは、mRNA転写物またはそのサブ配列の合成が最終的にそのためのテンプレートとして働いている核酸をいう。従って、mRNAから逆転写されたcDNA、そのcDNAから転写されたRNA、cDNAから増幅されたDNA、増幅したDNAから転写されたRNAなどは、すべてmRNA転写物から誘導され、またはmRNA転写物に対応し、このような誘導された産物または対応する産物の検出は、サンプル中の元の転写物の存在および/または豊富さを示すか、またはそれに比例する。従って、適切な標的核酸サンプルには、遺伝子のmRNA転写物、mRNAから逆転写されたcDNA、cDNAから転写されたcRNA、遺伝子から増幅されたDNA、増幅されたDNAから転写されたRNAなどが含まれるがこれらに限定されない。本発明で使用される核酸標的は、好ましくは、ヒトの軟骨、血液、または滑液に由来する。好ましくは、標的は、ヒトの軟骨、血液、または滑液の抽出物に由来する核酸である。核酸は、当該分野において公知の方法、例えば、逆転写またはPCRを使用して、ヒトの軟骨、血液、または滑液のmRNA抽出物から合成された一本鎖または二本鎖のDNA、RNA、またはDNA−RNAハイブリッドであり得る。
最も単純な実施形態において、このような核酸標的は、組織または血液のサンプルから単離されたmRNA(例えば、cDNA)に対応する総mRNAまたは核酸のサンプルを含む。別の実施形態において、総mRNAは、例えば、酸グアニジウム−フェノール−クロロホルム抽出法を使用して所定のサンプルから単離され、ポリA+mRNAは、オリゴdTカラムクロマトグラフィーまたは(dT)n磁気ビーズを使用することによって単離される(例えば、Sambrookら、分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning,A Laboratory Manual)(第2版),1−3巻,Cold Spring Harbor Laboratory,(1989)、または分子生物学の現在のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology),F.Ausubelら編Greene Publishing and Wiley-Interscience,ニューヨーク(1987)を参照のこと)。好ましい実施形態において、総RNAは、TRIzol(登録商標)試薬(GIBCO/BRL,Invitrogen Life Technologies,カタログ番号15596)を使用して抽出される。RNAの純度および完全性は、260/280nmの吸収によって、およびアガロースゲル電気泳動、その後の紫外光下での検査によって評価される。
ある実施形態において、例えば、限られた量の組織が使用される場合に、ハイブリダイゼーションの前に標的核酸サンプルを増幅することが所望される。当業者は、いずれの増幅方法を使用するかに関わらず、定量的な結果が所望される場合には、増幅された核酸の相対的な頻度を維持または制御する方法を使用するための配慮がなされなくてはならないことを認識する。「定量的」増幅の方法は当業者に周知である。例えば、定量PCRは、同じプライマーを使用する既知量の対照配列の同時増幅を含む。このことは、PCR反応を較正するために使用されてもよい内部標準を提供する。次いで、高密度アレイは、増幅された核酸の定量のための内部標準に特異的なプローブを含んでもよい。定量PCRのための詳細なプロトコールは、PCRプロトコール、方法および応用のガイド(PCR Protocols,A Guide to Methods and Applications),Innisら、Academic Press,Inc. ニューヨーク州,(1990)に提供されている。
他の適切な増幅方法には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Innisら、PCRプロトコール、方法および応用のガイド(PCR Protocols,A Guide to Methods and Applications).Academic Press,Inc.San Diego,(1990))、リガーゼ連鎖反応(LCR)(WuおよびWallace,1989,Genomics,4:560;Landegrenら、1988,Science,241:1077ならびにBarringerら、1990,Gene,89:117を参照のこと)、転写増幅(Kwohら、1989,Proc.Natl.Acad.Set USA,86:1173)、および自律的(self-sustained)配列複製(Guatelliら、1990,Proc.Nat.Acad.Sci USA,87:1874)が含まれるがこれらに限定されない。
特に好ましい実施形態において、標的核酸サンプルのmRNAは、逆転写酵素、ならびにオリゴdTおよびファージT7プロモーターをコードする配列から成るプライマーを用いて逆転写され、一本鎖DNAテンプレートを提供する。第2のDNA鎖は、DNAポリメラーゼを使用して重合される。二本鎖cDNAの合成後、T7 RNAポリメラーゼが加えられ、RNAはcDNAテンプレートから転写される。各単独のcDNAテンプレートからの転写の逐次的なラウンドは、増幅RNAを生じる。インビトロ転写の方法は当業者に周知であり(例えば、Sambrook、前出を参照のこと)、この特定の方法は、Van Gelderら、1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:1663−1667によって詳細に記載されており、彼らは、この方法に従うインビトロ増幅が、種々のRNA転写物の相対的な頻度を保存することを実証している。さらに、Eberwineら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:3010−3014は、元の出発物質の10倍の増幅よりも多くを達成するために、インビトロ転写を介する2ラウンドの増幅を使用し、それによって、生物学的サンプルが制限されている場合でさえ、発現のモニタリングを可能にするプロトコールを提供する。
標的または核酸プローブの標識
標的またはプローブのいずれかを標識することができる。
分子に結合されるか、または分子に取り込まれる任意の分析的に検出可能なマーカーが、本発明において使用されてもよい。分析的に検出可能なマーカーとは、分析的に検出および定量される任意の分子、部分、または原子をいう。
本発明における使用のために適切な検出可能な標識には、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、または化学的な手段による、検出可能な任意の組成物が含まれる。本発明における有用な標識には、標識されたストレプトアビジンコンジュゲートを用いる染色のためのビオチン、磁気ビーズ(例えば、Dynabeads(商標))、蛍光色素(例えば、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質など)、放射性標識(例えば、H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびELISAにおいて一般的に使用される他の酵素)、およびコロイド金または着色ガラスもしくはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)のビーズなどの比色分析用ビーズが含まれる。このような標識の使用について教示している特許には、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号;および同第4,366,241号が含まれ、これらの全体は参照により本明細書に援用される。
このような標識を検出する手段は当業者に周知である。従って、例えば、放射性標識は、写真フィルムまたはシンチレーションカウンターを使用して検出されてもよく、蛍光マーカーは放射光を検出するための光検出器を使用して検出されてもよい。酵素標識は、典型的には、基質とともに酵素を提供すること、および基質に対する酵素の作用によって生じる反応生成物を検出することによって検出され、比色分析標識は、着色した標識を単に可視化することによって検出される。
標識は、当業者に周知である多数の手段のいずれかによって組み込まれてもよい。しかし、好ましい実施形態において、標識は、サンプル核酸の調製における増幅段階の間に同時に組み込まれる。従って、例えば、標識プライマーまたは標識ヌクレオチドを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、標識された増幅産物を提供する。好ましい実施形態において、上記のような転写増幅は、標識ヌクレオチド(例えば、フルオレセイン標識UTPおよび/またはCTP)を使用して、転写された核酸に標識を組み込む。
代替的には、標識は、元の核酸サンプル(例えば、mRNA、ポリA mRNA、cDNAなど)に、または増幅が完了した後で増幅産物に直接的に加えられてもよい。核酸に標識を結合させる手段は当業者に周知であり、これには例えば、ニックトランスレーション、または核酸のキナーゼ処理、続いてサンプル核酸を標識(例えば、蛍光団)に結合する核酸リンカーの結合(ライゲーション)による末端標識(例えば、標識RNAを用いる)が含まれる。
好ましい実施形態において、蛍光修飾は、シアニン色素、例えば、Cy−3/Cy−5 dUTP、Cy−3/Cy−5 dCTP(Amersham Pharmacia)またはalexa色素(Khanら、1998,Cancer Res. 58:5009−5013)による。
好ましい実施形態において、比較のために使用される2つの標的サンプルが、区別できる検出シグナルを生じる異なる蛍光色素を用いて標識され、例えば、正常軟骨から作られた標的はCy5で標識され、軽度の変形性関節症である軟骨から作られた標的はCy3で標識される。異なって標識される標的サンプルは、同じマイクロアレイに同時にハイブリダイズされる。好ましい実施形態において、標識された標的は、当該分野において公知の方法を使用して、例えば、エタノール沈殿またはカラム精製によって精製される。
好ましい実施形態において、標的は、マイクロアレイから生成するシグナルを標準化するために、マイクロアレイ上の対照プローブにハイブリダイズする1つ以上の対照分子を含む。好ましくは、標識された標準化標的は、上記のようにマイクロアレイにスポットされる対照オリゴヌクレオチドに完全に相補的である核酸配列である。ハイブリダイゼーション後に標準化対照から得られるシグナルは、ハイブリダイゼーション条件、標識の強度、「読み取り」効率、および完全なハイブリダイゼーションのシグナルをアレイ間で変動させ得る他の要因の変動についての対照を提供する。好ましい実施形態において、アレイ中の他のすべてのプローブから読み取られるシグナル(例えば、蛍光強度)は、対照プローブからのシグナル(例えば、蛍光強度)によって除算され、それによって測定を標準化する。
好ましい標準化標的は、サンプル中に存在する他の標的の平均長を反映するように選択されるが、しかし、これらは、一定の長さを網羅するように選択される。標準化対照はまた、アレイ中の他のプローブの(平均)塩基組成を反映するように選択することができるが、しかし、好ましい実施形態において、1つまたは数個のみの標準化プローブが使用され、これらのプローブは、これらが十分にハイブリダイズし(すなわち、二次構造を有さず、かつ自己ハイブリダイズしない)、かついかなる標的分子とも一致しないように選択される。
標準化プローブは、ハイブリダイゼーション効率の空間的な変動を制御するために、アレイ中の任意の位置に、またはアレイの全体を通して複数の位置に局在化される。好ましい実施形態において、標準化対照は、アレイの角または端、ならびに中央部に局在化される。
ハイブリダイゼーション条件
核酸ハイブリダイゼーションは、プローブまたは標的核酸メンバーおよびその相補的標的が、相補的塩基対形成を通して、安定なハイブリッド二重鎖を形成することができる条件下で、変性したプローブまたは標的核酸メンバーおよびその標的核酸を提供する工程を含む。次いで、ハイブリッド二重鎖を形成しない核酸は洗い流されて、代表的には、結合した検出可能な標識の検出を通して検出されるハイブリダイズした核酸を残す。核酸が、温度を上昇させること、または核酸を含む緩衝液の塩濃度を減少させることで変性されることは一般的に認識されている。低ストリンジェンシー条件(例えば、低温および/または高塩)下では、アニールした配列が完全に相補的ではない場合でさえ、ハイブリッド二重鎖(例えば、DNA:DNA、RNA:RNA、またはRNA:DNA)が形成する。従って、ハイブリダイゼーションの特異性は、より低いストリンジェンシーで減少する。逆に、より高いストリンジェンシー(例えば、高温または低塩)において、首尾よいハイブリダイゼーションはより少ないミスマッチを必要とする。
本発明は、Digハイブリダイゼーションミックス(Boehringer);または、例えば、Ausubelら、前出およびSambrookら、前出に記載されるようなホルムアミドベースのハイブリダイゼーション溶液を含むハイブリダイゼーション条件を提供する。
ハイブリダイゼーション条件を最適化する方法は当業者に周知である(例えば、生化学および分子生物学における実験室技術(Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology)、第24巻:核酸プローブを用いるハイブリダイゼーション(Hybridization With Nucleic acid Probes)P.Tijssen編、Elsevier, ニューヨーク州,(1993)を参照のこと)。
ハイブリダイゼーション後、ハイブリダイズしていない標識された核酸または未標識核酸は、洗浄によって便利に担体表面から除去され、それによって、基質表面上のハイブリダイズした標的核酸のパターンを生成する。種々の洗浄溶液は当業者に公知であり、使用されてもよい。標識され、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドおよび/または核酸の生じたハイブリダイゼーションパターンは、種々の方法で可視化または検出されてもよく、特定の検出の様式は試験核酸の特定の標識に基づいて選択され、ここで、代表的な検出手段には、シンチレーション計数、オートラジオグラフィー、蛍光測定、熱量分析、光放射測定などが含まれる。
画像の取得およびデータ分析
上記のようなハイブリダイゼーションならびに任意の洗浄工程および/またはその後の処理の後、生じたハイブリダイゼーションパターンが検出される。ハイブリダイゼーションパターンを検出または可視化する際に、標識の強度またはシグナルの値は、検出されるだけではなく定量され、それによって、ハイブリダイゼーションの各スポットからのシグナルが測定され、既知数の末端標識された標的核酸によって放出されるシグナルに対応する単位値に対して比較され、ハイブリダイゼーションパターンにおけるアレイ上の特定のスポットにハイブリダイズされる各末端標識された標的のコピー数の計数または絶対値を得ることが意味される。
アレイへのハイブリダイゼーションから収集されたデータを分析するための方法は当該分野において周知である。例えば、ハイブリダイゼーションの検出が蛍光標識を含む場合、データ分析は、収集したデータから基質の位置の関数として蛍光強度を決定する工程、異常値、すなわち、あらかじめ決定した統計学的分布から逸脱したデータを除外する工程、および残りのデータから試験核酸の相対的な結合親和性を計算する工程を含むことができる。得られるデータは、結合したオリゴヌクレオチドおよび/または核酸と試験核酸との間の結合親和性に従って変化する、各領域における強度を有する画像として表示される。
以下の検出プロトコールは、比較される2つの軟骨サンプルの同時分析のために使用され、ここで、各サンプルは、異なる蛍光色素を用いて標識される。
マイクロアレイの各エレメントは、第1の蛍光色についてスキャンされる。各アレイエレメントにおける蛍光の強度は、サンプル中の遺伝子の発現レベルに比例する。
スキャニング操作は第2の蛍光標識について反復する。2つの蛍光強度の比率は、2つの組織サンプルにおける相対的発現レベルの高度に正確かつ定量的な測定を提供する。
好ましい実施形態において、固定化された標的核酸配列の蛍光強度は、レーザー励起光源ならびにCy3蛍光およびCy5蛍光のために適切な干渉フィルターを備えた特注の共焦点顕微鏡を用いて得られた画像から決定した。個別のスキャンを、ピクセルあたり225μmの解像度および65,536グレーレベルで各蛍光について行った。ハイブリダイゼーションの領域を同定するための画像のセグメント化、2つの蛍光画像の間の強度の標準化、および各標的における標準化された平均蛍光値の計算は記載されている通りである(Khanら、1998,Cancer Res. 58:5009−5013.Chenら、1997,Biomed,Optics 2:364−374)。画像間の標準化は、標識の異なる効率および2つの異なる蛍光を用いる検出について調整するために使用される。これは、アレイ上にスポットされた一連の内部対照遺伝子の1つのシグナル強度の比率の値と釣り合わせることによって達成される。
別の好ましい実施形態において、アレイは、Cy3およびCy5のチャンネルでスキャンされ、個別の16ビットTIFF画像として保存される。これらの画像は取り込まれ、アレイ上の各スポットからのハイブリダイゼーション強度データをキャプチャするためのグリッド化プロセスを含むソフトウェアを使用して分析する。各スポットの蛍光強度およびバックグラウンドを差し引いたハイブリダイゼーション強度が収集され、Cy5対Cy3の測定された平均強度の比率が計算される。直線回帰アプローチが標準化のために使用され、測定されたCy5対Cy3の強度のスキャッタープロットは1の傾きを有するはずであることを前提とする。比率の平均が計算され、そして使用されて、データをリスケールし、傾きを1に調整する。1に等しくない発現の比率は、ディファレンシャルな遺伝子発現の表示として使用される。
特に好ましい実施形態において、サンプル中の1つ以上の核酸配列の転写レベル(およびそれによって発現)を定量することが所望される場合、標的核酸サンプルは、遺伝子のmRNA転写物の濃度またはmRNA転写物に由来する核酸の濃度が、その遺伝子の転写レベル(およびそれゆえに発現レベル)に比例するものである。同様に、ハイブリダイゼーションシグナル強度がハイブリダイズした核酸の量に比例することが好ましい。この比例は、比較的厳密であることが好ましいが(例えば、転写速度の倍加は、サンプル核酸プール中のmRNA転写物の倍加およびハイブリダイゼーションシグナルの倍加を生じる)、当業者は、比例がより緩和されおよび非線形でさえあり得、さらに有意な結果をもたらすことを認識する。従って、例えば、標的mRNAの濃度の5倍の違いがハイブリダイゼーション強度において3〜6倍の違いを生じるアッセイは、大部分の目的のために十分である。より正確な定量化が必要とされる場合、適切な対照は、本明細書に記載されるようなサンプル調製およびハイブリダイゼーションに導入されるバリエーションについて補正するために実行される。加えて、「標準」標的mRNAの段階的希釈は、当業者に周知である方法に従って較正曲線を準備するために使用される。当然、転写物の存在または非存在の単純な検出が所望される場合、複雑な対照または較正が必要とされない。
例えば、アレイ上の核酸メンバーがハイブリダイゼーション後に標識されない場合、このことは、この核酸メンバーを含む遺伝子が、いずれのサンプル中においても発現されないことを示す。核酸メンバーが単色で標識される場合には、これは、標識された遺伝子が1つのサンプル中でのみ発現されたことを示す。アレイを含む核酸メンバーの両方の色での標識は、その遺伝子が両方のサンプル中で発現されたことを示す。細胞あたり1回だけ発現された遺伝子さえもが検出される(100,000中1部の感度)。比較される2つのサンプル中での発現強度の違いは、ディファレンシャルな発現を示し、2つのサンプル中の強度の比率は1.0に等しくなく、好ましくは0.7未満または1.2より上、より好ましくは0.5未満または1.5より上である。
RT−PCR
本発明の態様において、本発明のバイオマーカーのRNA産物の発現レベルは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)との併用で逆転写(RT)を使用して、サンプルからのバイオマーカーのRNA産物を増幅することによって測定することができる。本発明の1つの実施形態に従って、RTは、当業者によって理解されるように定量的であり得る。
総RNA、またはサンプルからのmRNAがテンプレートとして使用され、本発明のバイオマーカーの転写される部分に特異的なプライマーが、逆転写を開始するために使用される。RNAをcDNAに逆転写する方法は周知であり、Sambrookら、1989、前出に記載されている。プライマー設計は、市販のソフトウェア(例えば、Primer Designer 1.0, Scientific Sofwareなど)を利用し、標準的かつ当該分野において周知である方法を使用して達成することができる。
本発明によって包含されるプライマーを設計および選択するために使用されるプロトコールの1つの実施形態は、SYBR-Greenアッセイを用いるリアルタイムPCRにおける使用のためのプライマーの設計に含まれる原理および工程を説明する。好ましくは、このプロトコールは、The National Center for Biotechnology Information(NCBI)のサーチエンジンおよびPrimerQuestプライマー設計ソフトウェアの適用を使用する。PrimerQuestは、Integrated DNA Technologies,Inc.(IDT)のために開発されたウェブベースのソフトウェアである。このソフトウェアは、Whitehead Institute for Biomedical Researchによって開発されたPrimer3に基づく。
1つの実施形態において、本発明によって包含されるプライマーを設計するために使用されるガイドラインは、産物またはアンプリコンの長さが、好ましくは100〜150塩基であること、最適Tmが好ましくは60℃であり、58〜62℃の範囲が許容し得ること、および最も好ましくはGC含量が50%であり、45〜55%の好ましい範囲もまた許容し得ることである。「プライマー−ダイマー」形成を減少させるために、各々のプライマーの3’末端の、それ自体または他のプライマーに対する、3塩基の相補的ストリングが回避されていることが有益である。プライマー配列の中およびプライマーの対の間の相補的配列が回避されていることも有益である。好ましくは、3’末端における3つ以上のGまたはCの連続は、3塩基より長い単一の塩基の反復と同様に回避される。バランスのとれていないG/CおよびA/Tリッチドメインの分布は好ましくは回避され、1つの特定の実施形態において、プライマーは、3’末端にGまたはCを有する。3’末端にTを有するプライマーはミスマッチに対してより高い耐容性を有するので、プライマーの3’末端がTになっていないことが有益である。とりわけ、3’末端におけるミスマッチが回避されていることが有益である;そして3’末端に少なくとも7個の固有の塩基を配置することが有用である。選択されるプライマーの自己相補性を回避することを補助するために、スコアリングスキームを使用して有用なプライマーを選択することもできる。従って、例えば、所定のマッチについての+1のスコア、ミスマッチについての−1、単一のpbギャップについての−2であり、次いで、可能な限り低いスコアを有するプライマーが選択され、しかし、1つの実施形態において、プライマーは5未満のスコアを有する。好ましくは、ゲノム増幅は回避され、このようにして、任意の1つのプライマーがイントロンに及ぶべきであることが好ましい。好ましくは、プライマーは、プライマーの半分または少なくとも7個のヌクレオチドが1つのエクソンの3’末端、および残りは隣接するエクソンの5’末端までハイブリダイズするように、設計されるべきである。加えて、さらなる選択される実施形態において、プライマーは、ゲノム配列の増幅を区別し、または妨害するように、エクソン−エクソン結合部を横切って設計される。別の選択される実施形態において、プライマーは、既知のSNPを回避するように設計される。
プライマーソフトウェアプログラムは、以下のウェブサイトリンク:biotools.idtdna.com/primerquest/を通して利用可能である「The Primer Questソフトウェア」などのように、本発明によって包含されるプライマーの設計および選択において補助するために使用することができる。
以下のウェブサイトリンクは、好ましくは、遺伝子または配列の説明、登録IDまたは配列ID、遺伝子記号、RefSeq番号、および/またはUniGene番号などの妥当なバイオマーカー情報を使用して、バイオマーカープライマー設計における使用のためにヒトゲノムデータベースからの配列情報を検索およびアップデートする際に有用である:1)the NCBI LocusLinkホームページ:www.ncbi.nlm.nih.gov/LocusLink/、および2)Ensemble Human Genome Browser:www.ensembl.org/Homo_sapiens。
一旦、プライマーがそこから生成される正確な標的DNA配列が得られたら、目的の遺伝子について、LocusLinkのリンクから、またはEnsembl Gene Browserから、Exon-Intron Boundariesに留意しておくことが好ましい。プライマー設計を最適化するための1つの好ましい手段は、PrimerQuestソフトウェアの中の基本(BASIC)、標準(STANDARD)および拡張(ADVANCE)の3つのオプションを使用することである。
PrimerQuestソフトウェアのBASIC関数の好ましい使用は、最初に、配列情報の下で、プライマーの名称を[Name]ボックスに入力し、そして標的配列を[Sequence]ボックスにカットアンドペーストし、リアルタイムPCRのパラメーター設定を使用してPCRプライマーを設計するように選択することである。標準的な配列設計の下では、返すプライマーセットの数として50を選択し、使用するミスプリンティングライブラリーとしてヒトを選択することが好ましい。標準プライマー設計の拡張機能(the Advanced Function of Standard Primer Design)の下では、以下の選択を入力しておくことが有益である:最適プライマーサイズ:20(nt)、最適プライマーTm:60(℃)、最適プライマーGC%:50(%)、産物サイズ範囲:100〜150。さらに、標準機能の下では、好ましくは以下のオプションが微調整され得る:プライマー選択;除外領域、含有領域および開始コドン位置。別の実施形態において。
一旦、必要とされるパラメーターが入力または選択されると、可能なプライマー選択のためのPrimer Quest検索が開始され、潜在的なフォワードプライマーおよびリバースプライマーに対する詳細な説明を生じ、これには、実際の配列、その開始位置、長さ、Tm、GC%、産物サイズペナルティー値、および二次構造を予測するための手段−mFoldが含まれる。以下の2つの判断基準が最も有用である:好ましくはΔGは−3.0 kcal.mol−1よりも大きい値となるべきであり、そして好ましくはTMは50℃未満、かつ55℃以下となるべきである。ドットプロットは解釈することがより少し困難となるが、一般的には、ドットプロット中の黒いドットの長い対角線を生じるプライマーを選択することは好ましくない。その理由は、ヘアピンを形成する可能性が高いからである。
好ましくは、プライマーは、標的遺伝子に対して固有であり、偽遺伝子に一致しないはずであり、これは、プライマーの特異性を調べるために[BLAST]を使用することによって確証することができる。好ましくは、IDT BioToolsによって提供されるOligo Analyzer 3.0は、自己ダイマーおよびヘテロダイマー形成の可能性を調べるために使用することができる。好ましくは、IDT BioToolsまたはPrimer 3によって提供される情報およびガイドラインは、本発明のバイオマーカーの研究のために最高の可能なプライマー対の選択のために使用することができる。融解曲線分析およびアガロースゲル電気泳動分離によって決定されるような、予測産物に一致するサイズを有する単一のアンプリコンを生成したプライマーのみが、バイオマーカー研究において使用されることが好ましい。
以下の関連する参考文献は、参照により本発明に援用される:Dieffenbach,C.W.,Lowe,T.M.J.,Dveksler,G.S.(1995)PCRプライマー設計のための一般的概念(General Concepts for PCR Primer Design).PCRプライマー、実験室マニュアル(PCR Primer, A Laboratory Manual)(Dieffenbach,C.W.およびDveksler,G.S.編)所収、Cold Spring Harbor Laboratory Press,ニューヨーク,133−155、Innis,M.A.およびGelfand,D.H.(1990)PCRの最適化(Optimization of PCRs).PCRプロトコール、方法および応用へのガイド(PCR protocols,A Guide to Methods and Applications)(Innis,M.A.,Gelfand,D.H.,Sninsky,J.J.およびWhite,T.J.編)所収、Academic Press,San Diego,3−12、Sharrocks,A.D.(1994)PCRのためのプライマーの設計(The design of primers for PCR).PCR技術、現在の技術革新(PCR Technology,Current Innovations)(Griffin,H.G.およびGriffin,A.M.編)所収CRC Press,London,5−11。
逆転写の産物は、引き続いて、PCRのためのテンプレートとして使用される。
PCRは、目的の標的配列を増幅するために、耐熱性のDNA−依存性DNAポリメラーゼによって触媒されるDNA複製の複数サイクルを使用することによって、特定の核酸配列を迅速に増幅するための方法を提供する。PCRは、増幅される核酸、増幅される配列に隣接する二本の単鎖オリゴヌクレオチドプライマー、DNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、緩衝液および塩の存在を必要とする。
PCRの方法は当該分野で周知である。PCRは、MullisおよびFaloona,1987,Methods Enzymol.,155:335に記載されるように実施され、これは参照により本明細書に援用される。PCRは、テンプレートDNA(少なくとも1 fg;より有用には、1〜1000ng)および少なくとも25pmolのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して実施される。典型的な反応混合液は以下を含む:2μlのDNA、25pmolのオリゴヌクレオチドプライマー、2.5μlの10H PCR緩衝液1(Perkin-Elmer,Foster City,カリフォルニア)、0.4μlの1.25μM dNTP、0.15μl(または2.5単位)のTaq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer,Foster City,カリフォルニア)および総量25μlまでの脱イオン水。ミネラルオイルを重層し、プログラム可能なサーマルサイクラーを使用してPCRを実施する。
PCRサイクルの各段階の長さおよび温度、ならびにサイクルの数は、効果におけるストリンジェンシーの要求に従って調整される。アニーリングの温度およびタイミングは、プライマーがテンプレートとアニールすることが予想される効率と、許容されるミスマッチの程度の両方によって決定される。プライマーアニーリング条件のストリンジェンシーを最適化する能力は、当業者の知識の十分に範囲内にある。30℃から72℃の間のアニーリング温度が使用される。テンプレート分子の最初の変性は、通常、92℃から99℃の間で4分間行われ、続いて、変性(94〜99℃で15秒間〜1分間)、アニーリング(上記に議論したように決定する温度;1〜2分間)、および伸長(72℃、1分間)から成る20〜40サイクルを行う。最終の伸長段階は、一般的に、72℃で4分間実行され、4℃での無期限(0〜24時間)段階が続いてもよい。
実際上定量的であるQRT−PCRもまた、遺伝子発現レベルの定量的測定を提供するために実施することができる。QRT−PCRにおいて、逆転写およびPCRは2段階で実行することができ、またはPCRと組み合わせた逆転写を同時に実施することができる。Taqman(Perkin Elmer,Foster City,カリフォルニア)などの市販のキットが存在するこれらの技術の1つは、転写物特異的アンチセンスプローブを用いて実施される。このプローブは、PCR産物(例えば、遺伝子に由来する核酸フラグメント)に特異的であり、オリゴヌクレオチドの5’末端に複合体化されたクエンチャーおよび蛍光レポータープローブとともに調製される。異なる蛍光マーカーが異なるレポーターに結合され、1つの反応中で2つの産物の測定を可能にする。Taq DNAポリメラーゼが活性化される場合、これは、その5’−から−3’のエキソヌクレアーゼ活性によって、テンプレートに結合したプローブの蛍光レポーターを切断する。クエンチャーの非存在下では、ここでレポーターは蛍光を発する。レポーター中の色の変化は、各々の特異的産物の量に比例し、フルオロメーターによって測定され、そのため、各色の量が測定され、PCR産物が定量される。PCR反応は、多くの個体に由来するサンプルが同時に処理および測定されるように、96ウェルプレート中で実施される。Taqmanシステムは、ゲル電気泳動を必要としないというさらなる利点を有し、標準曲線とともに使用するときには定量を可能にする。
PCR産物を定量的に検出するために有用な第2の技術は、市販のQuantiTect SYBR Green PCR(Qiagen,Valencia,カリフォルニア)などの挿入色素を使用することである。RT−PCRは、蛍光標識としてSYBR greenを使用して実施され、これは、PCR段階の間にPCR産物に組み込まれ、PCR産物の量に比例して蛍光を産生する。
TaqmanシステムとQuantiTect SYBRシステムの両方は、RNAの逆転写に続いて使用することができる。逆転写は、PCR段階と同じ反応混合液中で実施することができ(1段階プロトコール)、または逆転写は、PCRを利用する増幅の前に最初に実施することができる(2段階プロトコール)かのいずれかである。
加えて、mRNA発現産物を定量的に測定するための他のシステムが知られており、これには、分子ビーコン(Molecular Beacons(登録商標))が含まれ、これは、蛍光分子およびクエンチャー分子を有するプローブを使用し、このプローブは、ヘアピン型のときは蛍光分子がクエンチされ、ハイブリダイズされると蛍光が増加して遺伝子発現の定量的測定を与えるような、ヘアピン構造を形成することが可能である。
TaqMan(商標)、SybrGreen、Molecular Beacons(登録商標)などを使用するQRT−PCRは、増幅されるRNAのレベルを反映する定量値を決定するために使用することができる。蛍光は、設定された蛍光の閾値レベル(少なくともバックグラウンド蛍光よりも上)において測定され、閾値レベルに到達するサイクルが決定される(Ct値)。従って、Ct値は、増幅産物(アンプリコン)の蛍光があらかじめ設定した閾値レベルにある、濃度依存的なPCRサイクル数である。閾値は、蛍光がバックグラウンドを超えて区別可能になるレベル、またはより好ましくは、対数増幅を反映するレベルであり得る。数学モデルへの入力のための値を同定する目的のために、好ましくはΔCtが使用される。ΔCtは、測定される遺伝子の産物(すなわち、増幅されている)と対照遺伝子(時折、ハウスキーピング遺伝子と呼ばれる)との間で決定されるようなCt値の変化である。当業者によって理解されるように、対照遺伝子は、発現レベルが変化しない遺伝子と想定されている。典型的な対照遺伝子はB−アクチンまたはGAPDHである。
RNA発現を定量的に測定するためのさらなる技術には以下が含まれるがこれらに限定されない:ポリメラーゼ連鎖反応、リガーゼ連鎖反応、Qベータレプリカーゼ(例えば、国際出願第PCT/US87/00880号を参照のこと)、等温増幅法(例えば、Walkerら、(1992)PNAS 89:382−396を参照のこと)、鎖置換増幅(SDA)、修復鎖反応、非対称定量PCR(例えば、米国出願第US200330134307A1号を参照のこと)、およびFujaら、2004,Journal of Biotechnology 108:193−205において記載されている多重ミクロスフェアビーズアッセイ。
遺伝子発現レベルは、核酸配列増幅(NASBA)および3SRを含む、転写ベースの増幅システム(TAS)を使用して、サンプルからRNAを増幅することによって測定することができる。例えば、Kwohら、(1989)PNAS USA 86:1173;国際公開WO88/10315;および米国特許第6,329,179号を参照のこと。NASBAにおいては、核酸は、従来のフェノール/クロロホルム抽出、熱変性、溶解緩衝液を用いる処理、ならびにDNAおよびRNAの単離のためのミニスピンカラム、またはRNAの塩化グアニジニウム抽出を使用して、増幅のために調製されてもよい。これらの増幅技術は、標的特異的配列を有するプライマーをアニーリングする工程を含む。重合後、DNA/RNAハイブリッドはRNaseHで消化されるのに対し、二本鎖DNA分子は再度熱変性される。いずれの場合においても、一本鎖DNAは、第2の標的特異的プライマーの添加によって完全に二本鎖にされ、その後重合を行う。次いで、二本鎖DNA分子は、T7またはSP6などのポリメラーゼによって多重的に転写される。等温サイクル反応においては、RNAは、二本鎖DNAに逆転写され、T7またはSP6などのポリメラーゼによって1回転写される。得られる産物は、短縮型または完全型に関わらず、標的特異的配列を示す。
いくつかの技術が、増幅産物を分離するために使用されてもよい。例えば、増幅産物は、従来の方法を使用して、アガロース、アガロース/アクリルアミド、またはポリアクリルアミドのゲル電気泳動によって分離されてもよい。Sambrookら、1989を参照のこと。電気泳動なしでPCR産物を定量的に検出するためのいくつかの技術もまた、本発明に従って使用されてもよい(例えば、PCRプロトコール、方法および応用のガイド(PCR Protocols,A Guide to Methods and Applications)、Innisら、Academic Press,Inc. ニューヨーク州,(1990)を参照のこと)。例えば、クロマトグラフィー技術が、分離をもたらすために利用されてもよい。本発明において使用されてもよい、多くの種類のクロマトグラフィー:吸着、分配、イオン交換および分子ふるい、HPLC、ならびにカラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、およびガスクロマトグラフィーを含む、これらを使用するための多くの特定化された技術(Freifelder,生化学および分子生物学への物理生化学の応用(Physical Biochemistry Applications to Biochemistry and Molecular Biology)、第2版,Wm.Freeman and Co., New York,ニューヨーク州,1982)が存在する。
分離の方法論の別の例は、種々の型の小分子リガンドを用いて、PCR反応中に使用されるオリゴヌクレオチドプライマーを共有結合的に標識することによって行われる。1つのそのような分離において、異なるリガンドが各ヌクレオチド上に存在する。リガンドの1つに特異的に結合する分子、おそらく、リガンドがビオチンの場合は抗体またはアビジンが、96ウェルELISAプレートなどのプレートの表面をコートするために使用される。このような調製したプレートの表面へのPCR反応の適用に際して、PCR産物が、表面への特異性を伴って結合される。未結合の試薬を除去するためのプレートの洗浄後、第1のリガンドに結合する第2の分子を含む溶液が加えられる。第2の分子は、ある種のレポーター系と結び付けられている。第2の分子は、PCR産物が産生された場合にのみプレートに結合し、それによって、両方のオリゴヌクレオチドプライマーが最終PCR産物に取り込まれる。次いで、PCR産物の量が、ELISA反応が検出および定量されるものと同じだけ、市販のプレートリーダーにおいて検出および定量される。本明細書に記載されるものなどのELISA様システムは、商品名C-Trackで、Raggio Italgene社によって開発されている。
増幅産物は、目的の核酸配列の増幅を確認するために、可視化されなければならない。1つの典型的な可視化方法は、臭化エチジウムを用いるゲルの染色、およびUV光下での可視化を含む。代替的には、増幅産物が、放射性標識または蛍光定量標識されたヌクレオチドで全体的に標識される場合、増幅産物は、分離後に、適切な刺激的なスペクトル下で、X線フィルムに曝露されるか、または可視化されてもよい。
1つの実施形態において、可視化は間接的に達成される。増幅産物の分離後、標識された核酸プローブが、目的の増幅された核酸配列と接触される。プローブは、好ましくは、発色団とコンジュゲートされるが、放射性標識されてもよい。別の実施形態において、プローブは、抗体またはビオチンなどの結合パートナーにコンジュゲートされ、ここで、結合対の他のメンバーは検出可能な部分を有する。
別の実施形態において、検出は、サザンブロッティングおよび標識プローブを用いるハイブリダイゼーションによる。サザンブロッティングに含まれる技術は当業者に周知であり、分子プロトコールに関する多くの標準的な書籍の中に見つけることができる。Sambrookら、1989、前出を参照のこと。手短に述べると、増幅産物は、ゲル電気泳動によって分離される。次いで、このゲルはニトロセルロースなどのメンブレンと接触され、核酸の転写および非共有結合を可能にする。続いて、メンブレンは、標的増幅産物とハイブリダイズ可能である発色団コンジュゲートプローブとともにインキュベートされる。検出は、X線フィルムまたはイオン放射検出デバイスへのメンブレンの露出による。
前述の1つの例は、参照により本明細書に援用される米国特許第5,279,721号に記載されており、これは、自動化された電気泳動および核酸の転写のための装置および方法を開示する。この装置は、ゲルの外部的な操作なしで電気泳動およびブロッティングを可能にし、本発明に従う方法を実行するために理想的に適している。
ヌクレアーゼ保護アッセイ
本発明の別の実施形態において、ヌクレアーゼ保護アッセイ(リボヌクレアーゼ保護アッセイとS1ヌクレアーゼ保護アッセイの両方を含む)を、本発明のバイオマーカーのRNA産物を検出および定量するために使用することができる。ヌクレアーゼ保護アッセイにおいて、アンチセンスプローブ(例えば、放射性標識またはアイソトープ以外で標識される)は、溶液中でRNAサンプルにハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション後、一本鎖の、ハイブリダイズしていないプローブおよびRNAはヌクレアーゼによって分解される。残っている保護フラグメントを分離するために、アクリルアミドゲルが使用される。典型的には、溶液ハイブリダイゼーションは、メンブレンベースのハイブリダイゼーションよりも効率がよく、溶液ハイブリダイゼーションは、ブロットハイブリダイゼーションの最大20〜30μgと比較して、サンプルRNAの100μgまでに対応することができる。
最も一般的な形態のヌクレアーゼ保護アッセイであるリボヌクレアーゼ保護アッセイは、RNAプローブの使用を必要とする。オリゴヌクレオチドおよび他の一本鎖DNAプローブのみを、S1ヌクレアーゼを含むアッセイにおいては使用することができる。一本鎖のアンチセンスプローブは、典型的には、ヌクレアーゼによるプローブ:標的ハイブリッドの切断を防止するために、標的RNAに対して完全に相同でなければならない。
ノーザンブロット
標準的なノーザンブロットアッセイもまた、RNA転写物サイズを確認するため、選択的スプライシングRNAを同定するため、および本発明のバイオマーカーのRNA産物の相対量を同定するために、当業者に公知である従来のノーザンハイブリダイゼーション技術に従って使用することができる。ノーザンブロットにおいて、RNAサンプルは、最初に、変性条件下で、アガロースゲル中の電気泳動を介してサイズによって分離される。次いで、RNAは、メンブレンに転写され、架橋され、そして標識プローブとハイブリダイズされる。非アイソトープ性または高比活性の放射標識プローブを使用することができ、これには、ランダムプライミングされ、ニックトランスレーションされ、またはPCR生成されたDNAプローブ、インビトロ転写されたRNAプローブ、およびオリゴヌクレオチドが含まれる。加えて、部分的な相同性のみを有する配列(例えば、異なる種からのcDNAまたはエクソンを含む可能性があるゲノムDNAフラグメント)がプローブとして使用されてもよい。全長、一本鎖DNA、またはDNA配列のフラグメントのいずれかを含む標識プローブ、例えば、放射標識cDNAは、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも50個、または少なくとも100個までの任意の長さのヌクレオチド長であってもよい。プローブは、当業者に公知である任意の多くの異なる方法によって標識することができる。これらの研究のために最も一般的に利用される標識は、放射性元素、酵素、紫外光に曝露されたときに蛍光を発する化学物質その他である。多数の蛍光物質が公知であり、標識として利用することができる。これらには以下が含まれるがこれらに限定されない:フルオレセイン、ローダミン、オーラミン、テキサスレッド、AMCAブルー、およびルシファーイエロー。特定の検出物質は、ヤギにおいて調製され、イソチシアネートを通してコンジュゲートされた抗ウサギ抗体である。タンパク質もまた、放射性元素または酵素で標識することができる。放射活性標識は、現在利用可能な計数手段のいずれかによって検出することができる。アイソトープの非限定的な例には、H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、125I、131I、および186Reが含まれる。酵素標識も同様に有用であり、現在利用されている比色分析、分光光度法、蛍光分光光度法、電流測定法、またはガス定量法の技術のいずれかによって検出することができる。酵素は、カルボジイミド、ジイソシアネート、グルタルアルデヒドなどのような架橋分子との反応によって、選択した粒子にコンジュゲートされる。当業者に公知の任意の酵素を利用することができる。このような酵素の例には、ペルオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼおよびペルオキシダーゼ、ならびにアルカリホスファターゼが含まれるがこれらに限定されない。米国特許第3,654,090号、同第3,850,752号、および同第4,016,043号は、代替的な標識の材料および方法のそれらの開示について、一例として参照される。
5.16 本発明のバイオマーカーのタンパク質産物を測定するための技術
タンパク質産物
標準的な技術はまた、サンプル中に存在する目的のタンパク質の量を決定するために利用することができる。例えば、標準的な技術は、例えば、イムノアッセイ、例えば、ウェスタンブロット、免疫沈降とそれに続くドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)など、免疫組織化学などを使用して利用することができ、サンプル中に存在する関心対象のタンパク質の量を決定することができる。関心対象のタンパク質を検出するための好ましい薬剤は、関心対象のタンパク質に結合可能である抗体、好ましくは、検出可能な標識を有する抗体である。
このような検出方法のために、分析されるサンプルからのタンパク質は、当業者に周知である技術を使用して容易に単離することができる。タンパク質単離方法は、例えば、HarlowおよびLane(Harlow,E.およびLane,D.,抗体:実験室マニュアル(Antibodies:A Laboratory Manual),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,ニューヨーク(1988))に記載されるものなどであり得る。
目的のタンパク質の検出のために好ましい方法は、タンパク質特異的抗体との相互作用を介するそれらの検出を含む。例えば、目的のタンパク質を指向する抗体は、本明細書に記載されるように利用することができる。抗体は、当業者に周知である標準的な技術を利用して生成することができる。例えば、本願の5.19.1節、および参照により本明細書に援用される、このような抗体生成技術のより詳細な議論のための米国特許出願第20040018200号の5.2節を参照のこと。手短に述べると、このような抗体は、ポリクローナル抗体、より好ましくは、モノクローナル抗体であり得る。例えば、インタクトな抗体、または抗原結合フラグメント(例えば、FabまたはF(ab’))を使用することができる。好ましくは、抗体はヒト抗体またはヒト化抗体である。
例えば、目的のタンパク質に特異的な抗体または抗体のフラグメントは、タンパク質の存在を定量的または定性的に検出するために使用することができる。これは、例えば、免疫蛍光技術によって達成することができる。抗体(またはそのフラグメント)は、加えて、目的のタンパク質のインサイチュ検出のために、免疫蛍光または免疫電子顕微鏡法におけるように、組織学的に利用することができる。インサイチュ検出は、患者から組織学的試料(例えば、生検試料)を取り出すこと、およびタンパク質に指向されるそれに対する標識抗体をその試料に適用することによって達成することができる。抗体(またはフラグメント)は、好ましくは、標識抗体(またはフラグメント)を生物学的サンプルに重層することによって適用される。このような手順の使用を通して、目的のタンパク質の存在だけでなく、サンプル中の細胞(例えば、軟骨細胞およびリンパ球)におけるその分布、その存在もまた決定することが可能である。広範な種々の周知の組織学的方法(染色手順など)は、このようなインサイチュ検出を達成するために利用することができる。
目的のタンパク質についてのイムノアッセイは、典型的には、目的のタンパク質を同定することが可能である検出可能に標識された抗体の生物学的サンプルをインキュベートすること、および当該分野において周知である多数の技術のいずれかによって、結合した抗体を検出することを含む。以下により詳細に議論されるように、「標識された」という用語は、例えば、検出可能な物質を抗体にカップリングする(例えば、物理的に結合する)ことを介する、抗体の直接的な標識をいうことができ、直接的に標識される別の試薬との反応性による抗体の間接的な標識もまたいうことができる。間接的な標識の例には、蛍光標識された二次抗体を使用する一次抗体の検出が含まれる。
例えば、生物学的サンプルは、ニトロセルロースなどの相担体またはキャリア、または細胞、細胞粒子、もしくは可溶性タンパク質を固定化することが可能な他の担体に、接触させ、かつ固定化させることができる。次いで、担体は、適切な緩衝液で洗浄し、続いて、検出可能に標識したフィンガープリント遺伝子特異的抗体を用いる処理を行うことができる。次いで、相担体は、非結合抗体を除去するために緩衝液で2回めの洗浄を行うことができる。次いで、担体上の結合標識の量を、従来の手段によって検出することができる。
「相担体またはキャリア」は、タンパク質性因子の状況において、抗原または抗体を結合することが可能である任意の担体を意図する。周知の担体またはキャリアには、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、斑糲岩、およびマグネタイトが含まれる。キャリアの性質は、本発明の目的のために、ある程度可溶性であるか、または不溶性であるかのいずれかであり得る。担体材料は、結合した分子が抗原または抗体に結合可能である限り、実質的に任意の可能な構造配置を有することができる。従って、担体の配置は、ビーズにおけるように球状、または試験管の内部表面もしくはロッドの外部表面におけるように円筒形であり得る。代替的には、表面は、シート、試験ストリップなどのように平面であり得る。好ましい担体にはポリスチレンビーズが含まれる。当業者は、抗体もしく抗原を結合するための多くの他の適切なキャリアを知っており、または日常的な実験の使用によってこれらを確認することができる。
特異的抗体を検出可能に標識することができる1つの方法は、抗体を酵素に連結すること、およびエンザイムイムノアッセイ(EIA)(Voller,A.,「酵素結合免疫吸着アッセイ(The Enzyme Linked Immunosorbent Assay)(ELISA)」,1978,Diagnostic Horizons2:1−7,Microbiological Associates Quarterly Publication,Walkersville,メリーランド);Voller,A. ら、1978,J.Clin.Pathol. 31:507−520;Butler,J.E.,1981,Meth.Enzymol. 73:482−523;Maggio,E.(編),1980,エンザイムイムノアッセイ(Enzyme Immunoassay) ,CRC Press,Boca Raton,フロリダ;Ishikawa,E.ら(編),1981,エンザイムイムノアッセイ(Enzyme Immunoassay),Kgaku Shoin,東京)における使用による。抗体に結合される酵素は、例えば、分光光度法的、蛍光分析的、または視覚的な手段によって検出することができる化学部分を産生するような様式で、適切な基質、好ましくは、発色性基質と反応する。
抗体を検出可能に標識するために使用することができる酵素には、例えば、以下が含まれるがこれらに限定されない:リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、スタフィロコッカスヌクレアーゼ、Δ−5−ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α−グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼ。検出は、酵素についての発色性基質を利用する比色分析法によって達成することができる。検出はまた、同様に調製された標準物質と比較して、基質の酵素反応の程度の視覚的比較によって達成することができる。
検出はまた、種々の他のイムノアッセイのいずれかを使用して達成することができる。例えば、抗体または抗体フラグメントを放射性標識することによって、ラジオイムノアッセイ(RIA)の使用を通して目的のタンパク質を検出することが可能である(例えば、Weintraub,B.,ラジオイムノアッセイの原理、ラジオイムノアッセイ技術の第7回訓練課程(Principles of Radioimmunoassays,Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniquesを参照のこと、これは、参照により本明細書に援用される)。放射性同位元素(例えば、125I、131I、35SまたはH)は、ガンマカウンターもしくはシンチレーションカウンターの使用のような手段によって、またはオートラジオグラフィーによって検出することができる。
蛍光化合物で抗体を標識することもまた可能である。蛍光標識された抗体が適切な波長の光に曝露されるとき、その存在は、蛍光によって検出することができる。最も一般的に使用される蛍光標識化合物には、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、−フタルアルデヒド、およびフルオレスカミンである。
抗体はまた、152Euまたはランタニド系列のその他の金属などの蛍光放出金属を使用して検出可能に標識することができる。これらの金属は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの金属キレート基を使用して、金属に結合させることができる。
抗体はまた、それを化学発光化合物にカップリングすることによって検出可能に標識することができる。次いで、化学発光タグ化抗体の存在は、化学反応の過程の間に生じる化学発光の存在を検出することによって決定される。特に有用な化学発光標識化合物の例は、ルミノール、イソルミノール、セロマチック(theromatic)アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびシュウ酸エステルである。
同様に、生物発光化合物は、本発明の抗体を標識するために使用することができる。生物発光は、触媒性タンパク質が化学発光反応の効率を増加させる、生物学的系において見出される化学発光の型である。生物発光タンパク質の存在は、発光の存在を検出することによって決定される。標識の目的のための重要な生物発光化合物は、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、およびエクオリンである。
タンパク質アレイ
本発明のバイオマーカーのタンパク質産物に特異的および/または選択的に結合するポリペプチドは、タンパク質アレイ上に固定化することができる。タンパク質アレイは、例えば、本発明のバイオマーカーのポリペプチドタンパク質産物の存在について、医学的サンプル(膀胱組織および/または血液など)をスクリーニングするために、診断ツールとして使用することができる。タンパク質はまた、抗体ならびに他のリガンド、例えば、本発明のバイオマーカーによってコードされるポリペプチドに結合するリガンドを含むことができる。
ポリペプチドアレイを産生する方法は、例えば、以下に記載されている:De Wildtら、2000,Nature Biotech.18:989−994;Luekingら、1999,Anal.Biochem.270:103−111;Ge,2000,Nuc.Acids Res.28:e3;MacBeathおよびSchreiber,2000,Science 289:1760−1763;国際公開番号WO01/40803およびWO99/51773A1;ならびに米国特許第6,406,921号。アレイのためのポリペプチドは、例えば、市販のロボット装置、例えば、Genetic MicroSystemsおよびAffymetrix(Santa Clara,カリフォルニア、米国)またはBioRobotics(Cambridge,英国)からの装置を使用して、高速でスポットすることができる。アレイ基質は、例えば、ニトロセルロース、プラスチック、ガラス、例えば、表面修飾ガラスであり得る。アレイはまた、多孔質マトリックス、例えば、アクリルアミド、アガロース、または別のポリマーを含むことができる。
例えば、アレイは、例えば、De Wildt、前出に記載されるような抗体のアレイであり得る。ポリペプチドリガンドを産生する細胞は、アレイ形式でフィルター上で増殖させることができる。ポリペプチド産生が誘導され、発現された抗体が細胞の位置においてフィルターに固定化される。アレイの各アドレスにおける結合の程度に関する情報は、例えば、コンピュータデータベースの中に、プロフィールとして保存することができる。
1つの実施形態において、アレイは、本発明のバイオマーカーの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはすべての任意の数またはその任意の組み合わせから構成されるタンパク質産物のアレイである。別の実施形態において、アレイは、表1に列挙されたバイオマーカーの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはすべての任意の数またはその任意の組み合わせから本質的に構成されるタンパク質産物のアレイである。別の実施形態において、アレイは、表3に記述されるものを含む、表1に列挙されるバイオマーカーの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはすべての任意の数またはその任意の組み合わせ、および表2からの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個までの任意の数から本質的に構成されるタンパク質産物のアレイであり、ここで、当該組み合わせの少なくとも1つのバイオマーカーは表1から選択される。別の実施形態において、アレイは、表4に列挙されるバイオマーカーの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはすべての任意の数またはその任意の組み合わせから本質的に構成されるタンパク質産物のアレイである。別の実施形態において、アレイは、表6に記述されるものを含む、表4に列挙されるバイオマーカーの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはすべての任意の数またはその任意の組み合わせ、および表5からの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個までの任意の数から本質的に構成されるタンパク質産物のアレイであり、ここで、当該組み合わせの少なくとも1つのバイオマーカーは表4から選択される。別の実施形態において、アレイは、表7に列挙されるバイオマーカーの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはすべての任意の数またはその任意の組み合わせから本質的に構成されるタンパク質産物のアレイである。
1つの態様において、本発明は、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物に選択的に結合するアレイに結合される、抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
5.17 タンパク質産生
標準的な組み換え核酸法は、本発明のポリペプチドまたは抗体(例えば、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物)を発現するために使用することができる。一般的に、ポリペプチドをコードする核酸配列は、核酸発現ベクターにクローニングされる。当然、タンパク質が複数のポリペプチド鎖を含む場合、各鎖は、発現ベクター、例えば、同じかまたは異なる細胞で発現される、同じかまたは異なるベクターにクローニングされなくてはならない。タンパク質が十分に小さい、すなわち、タンパク質が、50アミノ酸未満のペプチドである場合、このタンパク質は、自動化有機合成方法を使用して合成することができる。本発明のバイオマーカーの5’領域、3’領域、または内部コード領域を含むポリペプチドは、本発明のバイオマーカーの5’領域、3’領域、または内部コード領域に対応するヌクレオチド配列のみを含む核酸発現ベクターから発現される。本発明のバイオマーカーのタンパク質産物、または本発明のバイオマーカーの5’領域、3’領域、もしくは内部コード領域によってコードされるポリペプチドに指向される抗体を産生するための方法。
ポリペプチドを発現するための発現ベクターは、ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするセグメントに加えて、目的の核酸に操作可能に連結された、例えば、プロモーターを含む調節配列を含むことができる。多数の適切なベクターおよびプロモーターが当業者に公知であり、本発明の組み換え構築物を生成するために市販されている。以下のベクターが例として提供される:細菌:pBs、phagescript、PsiX174、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene,La Jolla,カリフォルニア、米国);pTrc99A、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、およびpRIT5(Pharmacia,Uppsala,スウェーデン)。真核生物:pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXTI、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVL(Pharmacia)。好ましいライブラリーの1つの好ましいクラスは、以下に説明されるファージライブラリーである。
当業者に周知である方法は、本発明のポリヌクレオチドおよび適切な転写/翻訳制御シグナルを含むベクターを構築するために使用することができる。これらの方法には、インビトロ組み換えDNA技術、合成技術、およびインビボ組み換え/遺伝子組み換えが含まれる。例えば、Sambrook & Russell,分子クローニング:実験室マニュアル、第3版(Molecular Cloning,A Laboratory Manual)第3版、Cold Spring Harbor Laboratory,ニューヨーク州(2001)およびAusubelら、分子生物学の現在のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)Greene Publishing Associates and Wiley Interscience,ニューヨーク州(1989)に記載される技術を参照のこと。プロモーター領域は、CAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベクターまたは選択マーカーを有する他のベクターを使用して、任意の所望の遺伝子から選択することができる。2つの適切なベクターはpKK232−8およびpCM7である。特に指定される細菌プロモーターには、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、lambda P、およびtrcが含まれる。真核生物プロモーターには、CMV最早期プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、早期および後期SV40、レトロウイルスからのLTRプロモーター、マウスメタロチオネイン−Iプロモーター、および種々の当該分野で公知の組織特異的プロモーターが含まれる。特定の実施形態において、プロモーターは誘導可能なプロモーターである。別の実施形態において、プロモーターは構成的プロモーターである。さらに別の実施形態において、プロモーターは組織特異的プロモーターである。
一般的に、組み換え発現ベクターは、複製起点および宿主細胞の形質転換を可能にする選択マーカー、例えば、E.coliのアンピシリン耐性遺伝子およびS.cerevisiaeの栄養要求性マーカー(URA3遺伝子、LEU2遺伝子、HIS3遺伝子、およびTRPl遺伝子など)、ならびに下流の構造的配列の転写を方向付ける高度に発現される遺伝子に由来するプロモーターを含む。このようなプロモーターは、とりわけ、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)などの糖分解酵素、a−因子、酸性ホスファターゼ、または熱ショックタンパク質をコードするオペロンに由来し得る。本発明のポリヌクレオチドは、翻訳開始配列および終結配列、および好ましくは、細胞膜周辺腔または細胞外培地への翻訳されたタンパク質の分泌を方向付け可能なリーダー配列と、適切な段階でアセンブルされる。任意に、本発明の核酸は、所望の特性、例えば、発現された組み換え産物の安定化または簡単な精製を付与するN末端同定ペプチド(N−terminal identification peptide)を含む融合タンパク質をコードすることができる。細菌のための有用な発現ベクターは、任意に、機能的プロモーターとともに操作可能な読み枠において、適切な翻訳開始シグナルおよび終結のシグナルと一緒に本発明のポリヌクレオチドを挿入することによって構築される。ベクターは、ベクターの維持を確実にするため、および所望される場合、宿主中での増幅を提供するために、1つ以上の表現型選択マーカーおよび複製起点を含む。形質転換のための適切な真核生物宿主には、E.coli、Bacillus subtilis、Salmonella typhimurium、およびPseudomonas属、Streptomyces属、およびStaphylococcus属の中の種々の種が含まれるが、その他もまた、選択の問題として利用されてもよい。
代表的であるが非限定的な例として、細菌のための有用な発現ベクターは、周知のクローニングベクターpBR322(ATCC 37017)の遺伝因子を含む市販のプラスミドに由来する、選択マーカーおよび細菌の複製起点を含むことができる。このような市販のベクターには、例えば、pKK223−3(Pharmacia Fine Chemicals,Uppsala,スウェーデン)およびpGEM1(Promega, Madison,ウィスコンシン、米国)が含まれる。
本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むように遺伝子操作された宿主細胞を提供する。例えば、このような宿主細胞は、公知の形質転換、トランスフェクション、または感染の方法を使用して宿主細胞に導入された本発明の核酸を含むことができる。本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを発現するように遺伝子操作された宿主細胞を提供し、ここで、このようなポリヌクレオチドは、細胞中でポリヌクレオチドの発現を駆動する、宿主細胞に対して異種である調節配列と操作可能に結合されている。
本発明はさらに、本発明のベクターを含む宿主細胞を提供し、ここで、核酸は、公知の形質転換、トランスフェクション、または感染の方法を使用して宿主細胞に導入されている。宿主細胞は、哺乳動物細胞などの真核生物宿主細胞、酵母細胞などの下等真核生物宿主細胞であり得、または宿主細胞は、細菌細胞などの原核生物細胞であり得る。宿主細胞への組み換え構築物の導入は、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE、デキストラン媒介トランスフェクション、またはエレクトロポレーションによってもたらすことができる(Davis,L.ら、分子生物学の基本的方法(Basic Methods in Molecular Biology)(1986))。無細胞翻訳系もまた、本発明のDNA構築物に由来するRNAを使用してこのようなタンパク質を産生するために利用することができる。
任意の宿主/ベクター系を、表2に列挙される遺伝子またはスプライシング変異体の1つ以上を発現するために使用することができる。原核生物または真核生物の宿主を用いる使用のための適切なクローニングベクターおよび発現ベクターは、分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning,A Laboratory Manual)第2版、Cold Spring Harbor,ニューヨーク(1989)によって記載され、この開示は参照によりその全体が本明細書に援用される。最も好ましい宿主細胞は、通常は特定のポリペプチドを発現しないもの、または低い自然レベルでそのポリペプチドを発現するものである。
特定の実施形態において、宿主細胞は、誘導可能な調節エレメントの制御下で本明細書のポリヌクレオチドを含む内因性遺伝子を発現するように操作されており、この場合において、内因性遺伝子の調節配列は、相同組み換えによって置き換えられてもよい。本明細書に記載されるように、遺伝子ターゲッティングは、異なる遺伝子から単離された調節配列、または遺伝子操作法によって合成された新規な調節配列で、遺伝子の既存の調節領域を置き換えるためにために使用してもよい。このような調節配列は、プロモーター、エンハンサー、骨格結合領域(scaffold-attachment regions)、ネガティブ調節エレメント、転写開始部位、調節タンパク質結合部位、または当該配列の組み合わせから構成されてもよい。代替的には、産生されるRNAまたはタンパク質の構造または安定性に影響を与える配列は、置換、除去、付加、またそうでない場合はターゲッティングによって修飾されてもよく、これには、ポリアデニル化シグナル、mRNA安定性エレメント、スプライシング部位、タンパク質の輸送もしくは分泌特性を増強もしくは修飾するためのリーダー配列、またはタンパク質分子もしくはRNA分子の機能もしくは安定性を変化もしくは改善する他の配列が含まれる。
本発明の宿主はまた、酵母または他の真菌であってもよい。酵母において、構成的プロモーターまたは誘導可能なプロモーターを含む多数のベクターが使用されてもよい。書評としては以下を参照のこと:Ausubelら(編)、分子生物学の現在のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology),2巻,Greene Publish.Assoc. & Wiley Interscience,13章(1988);Grantら、1987,「酵母のための発現ベクターおよび分泌ベクター(Expression and Secretion Vectors for Yeast)」,Methods Enzymol.153:516−544;Glover,DNAクローニング(DNA Cloning),II巻,IRL Press,Wash.,D.C.,3章(1986);Bitter,1987,「酵母における異種遺伝子発現(Heterologous Gene Expression in Yeast)」,Methods Enzymol. 152:673−684;およびStrathernら(編),酵母サッカロミセスの分子生物学(The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces),Cold Spring Harbor Press,I巻およびII巻(1982)。
適切なものとなり得る酵母株には、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces株、Candida、または異種タンパク質を発現することが可能な任意の酵母株が含まれる。適切なものとなり得る細菌株には、Escherichia coli,Serratia marescansなどの腸内細菌科、Bacillus subtilisなどの桿菌、Salmonella typhimurium、シュードモナスまたは異種タンパク質を発現することが可能な任意の細菌株が含まれる。タンパク質が酵母または細菌の中で作られる場合、機能的タンパク質を得るために、例えば、適切な部位のリン酸化またはグリコシル化によって、そこで産生されたタンパク質を修飾することが必要な場合がある。このような共有結合は、公知の化学的または酵素的な方法を使用して達成されてもよい。
種々の哺乳動物細胞培養系もまた、組み換えタンパク質を発現するために利用することができる。哺乳動物発現系の例には以下が含まれる:Gluzman,1981,Cell 23:175(1981)によって記載されたサル腎臓線維芽細胞のCOS−7株などのサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト腎臓293細胞、ヒト上皮A431細胞、ヒトColo205細胞、3T3細胞、CV−1細胞、正常2倍体細胞、一次組織のインビトロ培養に由来する細胞株、一次外植片、HeLa細胞、マウスL細胞、BHK、HL−60、U937、HaK、C127、3T3、またはジャーカット細胞、および適合可能なベクターを発現可能な他の細胞株。哺乳動物発現ベクターは、複製起点、適切なプロモーター、ならびにまた、任意の必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライシングドナーおよびアクセプターの部位、転写終結配列、および5’隣接非転写配列を含む。
タンパク質の発現において利用される微生物細胞は、凍結−融解サイクリング、超音波処理、機械的破壊、または細胞溶解剤の使用を含む、任意の便利な方法によって破壊することができる。細菌培養において産生される組み換えポリペプチドは、通常、細胞ペレットからの初回抽出、続いて塩析、水性イオン交換、またはサイズ排除クロマトグラフィーの工程の1つ以上によって単離される。ある実施形態において、テンプレート核酸はまた、ポリペプチドタグ、例えば、ペンタ−またはヘキサ−ヒスチジンをコードする。
組み換えタンパク質は、当該分野で周知の技術を使用して単離することができる。例えば、Scopes(タンパク質精製:原理および実践(Protein Purification:Principles and Practice),Springer-Verlag,ニューヨーク(1994))は、組み換えタンパク質(および非組み換えタンパク質)を精製するための多数の一般的方法を提供する。これらの方法には、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、選択的沈殿、透析、および疎水性相互作用クロマトグラフィーが含まれる。
本明細書に記載されるもののバリエーション、改変、および他の実行は、本発明の技術思想および範囲から逸脱することなく、当業者によって行われる。
本明細書に記載される本発明がより完全に理解され得るために、以下の実施例が示される。本実施例は、例示的なものにすぎず、いかなる方法においても本発明を限定するものとして解釈されないことが理解されるべきである。
5.18 膀胱癌またはその症状の予防、治療、管理、または改善における使用のための化合物を同定するための方法
5.18.1 バイオマーカーの発現または活性を調節する化合物を同定するための方法
本発明は、本発明のバイオマーカーの産物に結合する化合物を同定する方法を提供する。本発明はまた、本発明のバイオマーカーの産物の発現および/または活性を調節する化合物を同定するための方法を提供する。このような方法を介して同定された化合物は、膀胱癌を研究するための1つ以上の動物モデルの開発のために有用である。さらに、このような方法を介して同定された化合物は、変形性関節症またはその症状の予防、治療、管理、および/または改善のための予防用組成物および治療用組成物の開発におけるリード化合物として有用である。このような方法は、インビボで予防剤および治療剤となり得る物質を試験する際に含まれる労力および莫大な費用が、本明細書に記載されるインビトロおよびエキソビボの方法を介して同定されたこれらの化合物に効率的に集中するという点で特に有用である。
本発明は、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善する能力について試験される化合物を同定するための方法を提供し、上記方法は、(a)本発明のバイオマーカーの1種以上のタンパク質産物もしくはそのフラグメント、または本発明のバイオマーカーの1つ以上のRNA産物もしくはそのフラグメントを発現する細胞を、試験化合物と接触させる工程;および(b)タンパク質産物、タンパク質フラグメント、RNA産物、またはRNA部分に結合する試験化合物の能力を決定し、その結果、化合物がタンパク質産物、タンパク質フラグメント、RNA産物、RNA部分に結合する場合に、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善する能力について試験される化合物が同定される工程を包含する。細胞は、例えば、酵母細胞または哺乳動物起源の細胞であり得る。タンパク質産物、タンパク質フラグメント、RNA産物、またはRNA部分に結合する試験化合物の能力を決定する工程は、例えば、試験化合物を放射性同位元素または酵素標識とカップリングすることによって達成することができ、その結果、タンパク質産物、タンパク質フラグメント、RNA産物、またはRNA部分への試験化合物の結合は、複合体中の標識化合物を検出することによって決定することができる。例えば、試験化合物は、直接的または間接的のいずれかで、125I、35S、14C、またはHで標識され、放射性同位元素は、放射能の放出の直接的計数によって、またはシンチレーション計数によって検出することができる。代替的には、試験化合物は、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼで酵素により標識され、そして酵素標識は、適切な基質の生成物への転換の測定によって検出することができる。特定の実施形態において、アッセイは、本発明の1種以上のバイオマーカーのタンパク質産物もしくはそのフラグメント、または本発明のバイオマーカーの1つ以上のRNA産物もしくはそのフラグメントを発現する細胞を、タンパク質産物、タンパク質フラグメント、RNA産物、またはRNA部分に結合する公知の化合物と接触させて、アッセイ混合液を形成する工程、アッセイ混合液を試験化合物と接触させる工程、およびタンパク質産物、タンパク質フラグメント、RNA産物、またはRNA部分と相互作用する試験化合物の能力を決定する工程を包含し、ここで、タンパク質産物、タンパク質フラグメント、RNA産物、またはRNA部分と相互作用する試験化合物の能力を決定する工程は、公知の化合物と比較して、タンパク質産物、タンパク質フラグメント、RNA産物、またはRNA部分に優先的に結合する試験化合物の能力を決定することを含む。
本発明は、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善する能力について試験される化合物を同定するための方法を提供し、当該方法は、(a)本発明の1種以上のバイオマーカーのタンパク質産物もしくはそのフラグメント、または本発明の1種以上のバイオマーカーのRNA産物もしくはその部分を、試験化合物と接触させる工程;および(b)タンパク質産物、タンパク質フラグメント、RNA産物、またはRNA部分に結合する試験化合物の能力を決定し、その結果、化合物がタンパク質産物、タンパク質フラグメント、RNA産物、RNA部分に結合する場合に、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善する能力について試験される化合物が同定される工程を包含する。タンパク質産物またはタンパク質フラグメントへの試験化合物の結合は、直接的または間接的のいずれかで決定することができる。特定の実施形態において、アッセイは、本発明の1種以上のバイオマーカーのタンパク質産物もしくはそのフラグメント、または本発明の1種以上のバイオマーカーのRNA産物もしくはその部分を、タンパク質産物、タンパク質フラグメント、RNA産物、またはRNA部分に結合する公知の化合物と接触させて、アッセイ混合液を形成する工程、アッセイ混合液を試験化合物と接触させる工程、およびタンパク質産物、タンパク質フラグメント、RNA産物、またはRNA部分と相互作用する試験化合物の能力を決定する工程を包含し、ここで、タンパク質産物、タンパク質フラグメント、RNA産物、またはRNA部分と相互作用する試験化合物の能力を決定する工程は、公知の化合物と比較して、タンパク質産物、タンパク質フラグメント、RNA産物、またはRNA部分に優先的に結合する試験化合物の能力を決定することを含む。当該分野で周知の技術を、試験化合物と、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物もしくはそのフラグメント、または本発明のバイオマーカーのRNA産物もしくはその部分との間の結合を決定するために使用することができる。
本発明の上記のアッセイ方法のある実施形態において、本発明のバイオマーカーのRNA産物もしくはその部分の非複合体化型、標的分子、またはその両方からの複合体化型の分離を容易にするために、ならびにアッセイの自動化を適合させるために、本発明のバイオマーカーのRNA産物もしくはその部分またはその標的分子を固定化することが所望されてもよい。本発明の上記のアッセイ方法の1つより多くの実施形態において、タンパク質の一方または両方の非複合体型からの複合体化型の分離を容易にするために、ならびにアッセイの自動化を適合させるために、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物もしくはそのフラグメントまたはその標的分子のいずれかを固定化することが所望されてもよい。本発明のバイオマーカーのタンパク質産物またはそのフラグメントへの試験化合物の結合は、反応物質を含むために適切な任意の容器中で達成することができる。このような容器の例には、マイクロタイタープレート、試験管、および微量遠心管が含まれる。1つの実施形態において、タンパク質の一方または両方がマトリックスに結合することを可能にするドメインを加える融合タンパク質を提供することができる。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical;St.Louis,ミズーリ)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレートに吸着させることができ、次いでこれらは、試験化合物、または試験化合物および非吸着標的タンパク質もしくは本発明のバイオマーカーのタンパク質産物もしくはそのフラグメントと合わされ、この混合物は、複合体形成に貢献する条件下で(例えば、塩およびpHについて生理学的条件下で)インキュベートされる。インキュベート後、ビーズまたはマイクロタイタープレートを洗浄して、あらゆる未結合成分を除去し、複合体形成は、例えば、上記のように、直接的または間接的のいずれかで測定される。代替的には、複合体は、マトリックスから解離させることができ、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物またはそのフラグメントの結合のレベルは、標準的な技術を使用して決定することができる。
マトリックス上にタンパク質を固定化するための他の技術はまた、本発明のスクリーニングアッセイにおいて使用することができる。例えば、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物もしくはそのフラグメント、または標的分子のいずれかを、ビオチンおよびストレプトアビジンのコンジュゲートを利用して固定化させることができる。ビオチン化された、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物または標的分子は、当該分野において周知の方法(例えば、ビオチン化キット(biotinylation kit)、Pierce Chemicals;Rockford,イリノイ)を使用してビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から調製され、そしてストレプトアビジンコートされた96ウェルプレート(Pierce Chemical)のウェルに固定化することができる。代替的には、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物またはそのフラグメントと反応性である抗体をプレートのウェルに誘導体化し、そしてタンパク質を、抗体のコンジュゲートによってウェル中でトラップすることができる。このような複合体を検出するための方法には、GST−固定化複合体について上記に記載したものに加えて、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物と反応性である抗体を使用する複合体の免疫検出、ならびに本発明のバイオマーカーのタンパク質産物もしくはそのフラグメント、または標的分子と関連する酵素活性を検出することに依存する酵素結合アッセイが含まれる。
試験化合物に対する、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物またはそのフラグメントの相互作用または結合もまた、ツーハイブリッドアッセイまたはスリーハイブリッドアッセイにおける「おとりタンパク質(bait protein)」としてこのようなタンパク質またはタンパク質フラグメントを使用して決定することができる(例えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら(1993)Cell 72:223−232;Maduraら(1993)J.Biol.Chem. 268:12046−12054;Bartelら(1993)Bio/Techniques 14:920−924;Iwabuchiら(1993)Oncogene 8:1693−1696;および国際公開番号WO94/10300を参照のこと)。
本発明は、変形性関節症またはその症状を予防、治療、管理、または改善する能力について試験される化合物を同定するための方法を提供し、当該方法は、(a)本発明の1種以上のバイオマーカーのタンパク質産物またはRNA産物を発現する細胞を試験化合物と接触させる工程;(b)インキュベーション時間の後、(a)に存在するタンパク質産物またはRNA産物の量を決定する工程;および(c)(a)における量を、試験化合物と接触させていない対応する対照細胞中に存在する量と比較し、その結果、タンパク質産物またはRNA産物の量が、対照中の量と比較して変化している場合、変形性関節症またはその症状を予防、治療、管理、または改善する能力について試験される化合物が同定される工程を包含する。特定の実施形態において、発現レベルは、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、マイクロアレイまたはRT−PCR)または当業者に周知のアッセイを利用することによって決定されるように、対照における発現レベルと比較して、5%、10%、15%、25%、30%、40%、50%、5〜25%、10〜30%、少なくとも1倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、4倍、5倍、10倍、25倍、1〜10倍、または5〜25倍変化する。代替的な実施形態において、このような方法は、細胞中に存在する、表1に列挙されるような本発明のバイオマーカー(表3に記される特異的な産物を含む)、または表2に列挙されるバイオマーカーの産物の任意の1つ以上と組み合わせた表1に列挙されるような本発明のバイオマーカー(表3に記される特異的な産物を含む)の、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、1〜5個、1〜10個、5〜10個、5〜25個、または10〜40個、すべて、またはその任意の組み合わせのいずれかのタンパク質産物またはRNA産物の量を決定する工程、およびこれらの量を対照中に存在する量と比較する工程を包含する。
さらに別の代替的な実施形態において、このような方法は、細胞中に存在する、表4に列挙されるような本発明のバイオマーカー(表6に記される特異的な産物を含む)、または表5に列挙されるバイオマーカーの産物の任意の1つ以上と組み合わせた表4に列挙されるような本発明のバイオマーカー(表6に記される特異的な産物を含む)の、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、1〜5個、1〜10個、5〜10個、5〜25個、または10〜40個、すべて、またはその任意の組み合わせのいずれかのタンパク質産物またはRNA産物の量を決定する工程、およびこれらの量を対照中に存在する量と比較する工程を包含する。
本発明に記載される細胞ベースのアッセイにおいて利用される細胞は、当該分野において公知である技術を利用して、本発明のバイオマーカーを発現するように操作することができる。例えば、参照により本明細書に援用される、「組み換え発現ベクターおよび宿主細胞(Recombinant Expression Vectors and Host Cells)」という表題の米国特許第6,245,527号のIII節を参照のこと。代替的には、本発明のバイオマーカーを内因的に発現する細胞を使用することができる。例えば、不死化膀胱組織細胞が使用されてもよい。
特定の実施形態において、軟骨細胞は、「正常」個体、または膀胱癌および/もしくは早期の膀胱癌を有する個体から単離され、そして種々の長さの時間(すなわち、30分間、1時間、5時間、24時間、48時間および96時間)、試験化合物の存在下および非存在下でインキュベートされる。予防薬剤または治療薬剤についてスクリーニングする場合、本発明のバイオマーカーの全長配列のクローン、またはその機能的部分は、不死化膀胱組織細胞をトランスフェクトするために使用される。トランスフェクトされた細胞は、種々の長さの時間(すなわち、1、2、3、5、7、10、または14日間)、試験化合物の存在下または非存在下で培養される。インキュベーション後、標的核酸サンプルが細胞から調製され、そして正常由来の細胞、膀胱癌由来の細胞または早期の膀胱癌由来の細胞においてディファレンシャルに発現される核酸配列に対応する核酸プローブにハイブリダイズされる。核酸プローブは、例えば、当該分野で周知でありかつ本明細書に記載される方法に従って、放射活性標識で標識される。ハイブリダイゼーションは、例えば、Ausubelら、前出またはSambrookら、前出において記載されるように、ノーザンブロットによって実行される。膀胱癌または早期の膀胱癌のいずれか1つからのRNAと比較して、正常からのアレイ上のサンプルに対する、標的の、本明細書に定義したようなディファレンシャルなハイブリダイゼーションは、ディファレンシャルに発現された細胞特異的核酸配列に対応するRNAの発現レベルを示す。試験化合物の存在下におけるインキュベーション工程の結果としての標的配列の発現レベルの変化は、対応する軟骨細胞特異的核酸配列の発現を増加または減少する化合物を示す。
本発明はまた、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善する能力について試験される化合物を同定するための方法を提供し、当該方法は、(a)無細胞抽出物を、本発明の1種以上のバイオマーカーのタンパク質産物またはRNA産物をコードする核酸配列、および試験化合物と接触させる工程;(b)(a)に存在するタンパク質産物またはRNA産物の量を決定する工程;ならびに(c)(a)における量を、試験化合物と接触させていない対応する対照と比較し、その結果、タンパク質産物またはRNA産物の量が、対照中の量と比較して変化している場合、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善する能力について試験される化合物が同定される工程を包含する。特定の実施形態において、発現レベルは、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、マイクロアレイまたはRT−PCR)または当業者に周知のアッセイを利用することによって決定されるように、対照サンプルにおける発現レベルと比較して、5%、10%、15%、25%、30%、40%、50%、5〜25%、10〜30%、少なくとも1倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、4倍、5倍、10倍、25倍、1〜10倍、または5〜25倍変化する。代替的な実施形態において、このような方法は、抽出物中に存在する本発明のバイオマーカーの、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、1〜5個、1〜10個、5〜10個、5〜25個、または10〜40個、すべて、またはその任意の組み合わせのタンパク質産物またはRNA産物の量を決定する工程、およびこれらの量を対照中に存在する量と比較する工程を包含する。
特定の実施形態において、本発明のバイオマーカーのRNA産物の量が決定され、別の実施形態において、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物の量が決定されるのに対して、さらに別の実施形態において、本発明のバイオマーカーのRNA産物およびタンパク質産物の量が決定される。本発明のバイオマーカーのRNA産物またはタンパク質産物の量を決定するために、標準的な方法および組成物を利用することができる。このような方法および組成物は、上記に詳細に記載されている。
特定の実施形態において、本明細書に記載されるスクリーニングアッセイにおいて、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物またはRNA産物の量はキットを利用して決定される。このようなキットは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、すべて、またはその任意の組み合わせの本発明のバイオマーカーの、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、またはそれ以上までの任意の数のタンパク質産物またはRNA産物の発現を測定するために必要とされる材料および試薬を含む。特定の実施形態において、このキットはさらに、種々の方法において利用される、以下のような1種以上のさらなる試薬を含んでもよい:(1)血液または組織からRNAを精製するための試薬;(2)試験核酸を生成するためのプライマー;(3)任意に1種以上の一意に標識されたdNTPおよび/またはrNTP(例えば、ビオチン化またはCy3もしくはCy5タグ化dNTP)を伴うdNTPおよび/またはrNTP;(4)合成後標識試薬、例えば、蛍光色素の化学的に活性な誘導体;(5)酵素、例えば、逆転写酵素、DNAポリメラーゼなど;(6)種々の緩衝媒体、例えば、ハイブリダイゼーション緩衝液および洗浄緩衝液;(7)スピンカラムなどのような標識プローブ精製試薬および成分;ならびに(8)タンパク質精製試薬;(9)シグナル生成および検出試薬、例えば、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼコンジュゲート、化学蛍光基質または化学発光基質など。特定の実施形態において、キットは、対照としての使用のための前標識され品質管理されたタンパク質およびまたはRNA転写物(好ましくは、mRNA)を含む。
ある実施形態において、キットはqRT−PCRキットである。別の実施形態において、キットは、核酸アレイおよびタンパク質アレイである。本発明に従うこのようなキットは、そのため、本発明の関連するタンパク質メンバーまたは核酸メンバーを有するアレイ、およびパッケージング手段を少なくとも含む。代替的には、本発明のタンパク質メンバーまたは核酸メンバーはアレイにあらかじめパッケージされてもよい。
特定の実施形態において、本発明のバイオマーカーのRNA産物を測定するためのキットは、RNA産物の発現を測定するために必要な材料および試薬を含む。例えば、マイクロアレイまたはRT−PCRキットが使用されてもよく、これは、本発明のバイオマーカーの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、またはすべての任意の数、またはその任意の組み合わせのRNA産物のレベルを測定するために必要な試薬および材料のみを含む。代替的には、ある実施形態において、キットは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはすべての本発明のバイオマーカーの任意の数、またはその任意の組み合わせのRNA産物のレベルを測定するために必要なものに限定されない試薬および材料を含むことができる。例えば、マイクロアレイキットは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、またはそれ以上までの任意の数の本発明のバイオマーカー以外の遺伝子のRNA産物のレベルを測定するために必要な試薬および材料に加えて、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはすべての本発明のバイオマーカーの任意の数、またはその任意の組み合わせのRNA産物のレベルを測定するために必要な試薬および材料を含んでもよい。特定の実施形態において、マイクロアレイまたはRT−PCRキットは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個までの任意の数、もしくは任意の組み合わせの本発明のバイオマーカーのRNA産物のレベル、ならびに1個、2個、3個、4個、5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、125個、150個、175個、200個、225個、250個、300個、350個、400個、450個、500個、1000個、5000個、15,000個、20,000個もしくはそれ以上までの任意の数の本発明のバイオマーカー以外の遺伝子、または1〜10個、1〜100個、1〜150個、1〜200個、1〜300個、1〜400個、1〜500個、1〜1000個、25〜100個、25〜200個、25〜300個、25〜400個、25〜500個、25〜1000個、100〜150個、100〜200個、100〜300個、100〜400個、100〜500個、100〜1000個または500〜1000個、1000〜5000個、5000〜10,000個、10,000〜20,000個もしくはそれ以上の任意の数の本発明のバイオマーカー以外の遺伝子のRNA産物のレベルを測定するために必要な試薬および材料を含む。
核酸マイクロアレイキットについては、このキットは、一般的に、担体表面に結合されたプローブを含む。プローブは、検出可能な標識で標識されてもよい。特定の実施形態において、プローブは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはすべての任意の数の本発明のバイオマーカー、またはその任意の組み合わせの、5’領域、3’領域、内部コーディング領域、エクソン、イントロン、エクソンジャンクション、またはエクソン−イントロンジャンクションに特異的である。マイクロアレイキットは、アッセイならびにアッセイの実施から得られるデータを解釈および分析するための方法を実施するための説明書を含んでもよい。キットはまた、ハイブリダイゼーション試薬、および/またはプローブが標的核酸配列にハイブリダイズするときに産生されるシグナルを検出するために必要な試薬を含んでもよい。一般的に、マイクロアレイキットのための材料および試薬は、1つ以上の容器の中にある。キットの各成分は、一般的に、それ自体が適切な容器の中にある。
RT−PCRおよび/またはqRT−PCRキットについては、このキットは、一般的に、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはすべての任意の数の本発明のバイオマーカー、またはその任意の組み合わせの特定のRNA産物(エクソン、イントロン、エクソンジャンクション、およびエクソン−イントロンジャンクション)に特異的である、あらかじめ選択されたプライマーを含む。RT−PCRキットはまた、核酸を逆転写および/または増幅するために適切である酵素(例えば、Taqなどのポリメラーゼ)、ならびに逆転写および増幅のための反応混合液のために必要であるデオキシヌクレオチドおよび緩衝液を含んでもよい。RT−PCRおよび/またはqRT−PCRキットはまた、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはすべての任意の数の本発明のバイオマーカー、またはその任意の組み合わせに特異的なプローブを含んでもよい。このプローブは、検出可能な標識(例えば、蛍光標識)で標識されてもよく、標識されなくてもよい。RT−PCRキットの各成分は、一般的に、それ自体が適切な容器の中にある。従って、これらのキットは、一般的に、各々個々の試薬、酵素、プライマーおよびプローブのために適切な別個の容器を含む。さらに、RT−PCRキットは、アッセイならびにアッセイの実施から得られるデータを解釈および分析するための方法を実施するための説明書を含んでもよい。
抗体ベースのキットについては、このキットは、例えば、以下を含むことができる:(1)目的のタンパク質(1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはすべての任意の数の本発明のバイオマーカー、またはその任意の組み合わせのタンパク質産物)に結合する第1の抗体(これは担体に結合してもよく、結合しなくてもよい);そして場合により、(2)タンパク質または第1の抗体のいずれかに結合し、そして検出可能な標識(例えば、蛍光標識、放射性同位元素または酵素)にコンジュゲートされている第2の異なる抗体。抗体ベースのキットはまた、免疫沈降を実行するためのビーズを含んでもよい。抗体ベースのキットの各成分は、一般的に、それ自体が適切な容器の中にある。従って、これらのキットは、一般的に、各抗体のために適切な別個の容器を含む。さらに、抗体ベースのキットは、アッセイならびにアッセイの実施から得られるデータを解釈および分析するための方法を実施するための説明書を含んでもよい。
レポーター遺伝子ベースのアッセイもまた、変形性関節症またはその症状を予防、治療、管理、または改善する能力について試験される化合物を同定するために行われてもよい。特定の実施形態において、本発明は、変形性関節症またはその症状を予防、治療、管理、または改善する能力について試験される化合物を同定するための方法を提供し、当該方法は、(a)本発明のバイオマーカーの調節エレメント(例えば、プロモーター/エンハンサーエレメント)に操作可能に連結されたレポーター遺伝子を含むレポーター遺伝子構築物を発現する細胞と、化合物を接触させる工程;(b)当該レポーター遺伝子の発現を測定する工程;および(c)(a)における量を、試験化合物と接触させていない対応する対照細胞に存在する量と比較し、その結果、発現したレポーター遺伝子の量が、対照細胞中の量と比較して変化している場合、変形性関節症またはその症状を予防、治療、管理、または改善する能力について試験される化合物が同定される工程を包含する。この実施形態に従って、細胞は、バイオマーカーを天然に発現してもよく、またはバイオマーカーを発現するように操作されてもよい。別の実施形態において、本発明は、変形性関節症またはその症状を予防、治療、管理、または改善する能力について試験される化合物を同定するための方法を提供し、当該方法は、(a)無細胞抽出物、および本発明のバイオマーカーの調節エレメント(例えば、プロモーター/エンハンサーエレメント)に操作可能に連結されたレポーター遺伝子を含むレポーター遺伝子構築物と、化合物を接触させる工程;(b)当該レポーター遺伝子の発現を測定する工程;ならびに(c)(a)における量を、試験化合物と接触させていない対応する対照に存在する量と比較し、その結果、発現したレポーター遺伝子の量が、対照における量と比較して変化している場合、変形性関節症またはその症状を予防、治療、管理、または改善する能力について試験される化合物が同定される工程を包含する。
当業者に周知である任意のレポーター遺伝子が、本発明の方法に従って使用されるレポーター遺伝子構築物中で使用されてもよい。レポーター遺伝子とは、その存在(例えば、RT−PCR、ノーザンブロット、ウェスタンブロット、ELISAなどによる)または活性のいずれかによって容易に検出可能である、RNA転写物またはタンパク質をコードするヌクレオチド配列をいう。レポーター遺伝子の非限定的な例は、以下の表9に列挙されている。レポーター遺伝子は入手され、当業者に周知である任意の方法によってエレメントのヌクレオチド配列が決定されてもよい。レポーター遺伝子のヌクレオチド配列は、例えば、文献から、またはGenBankなどのデータベースから入手することができる。代替的には、レポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチド配列は、適切な供給源からの核酸から生成されてもよい。特定のレポーター遺伝子をコードする核酸を含むクローンが利用可能でないが、レポーター遺伝子の配列が公知である場合、レポーターをコードする核酸は化学合成されてもよく、または適切な供給源(例えば、cDNAライブラリー、またはレポーター遺伝子を発現する任意の組織もしくは細胞から生成したcDNAライブラリー、またはそこから単離した核酸、好ましくはポリA+RNA)からPCRによって入手してもよい。一旦、レポーター遺伝子のヌクレオチド配列が決定されると、レポーター遺伝子のヌクレオチド配列は、例えば、アミノ酸の置換、欠失、および/または挿入を作製するために、ヌクレオチド配列の操作のために当該分野で周知の方法、例えば、組み換えDNA技術、部位特異的変異誘発、PCRなど(例えば、Sambrookら、1990,分子クローニング、実験室マニュアル、第2版(Molecular Cloning,A Laboratory Manual),Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,ニューヨーク、およびAusubelら編、1998,分子生物学の現在のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology),John Wiley & Sons,ニューヨークに記載される技術を参照のこと、これらの両方はそれらの全体が参照により本明細書に援用される)を使用して操作され、異なるアミノ酸配列を有するレポーター遺伝子を生成してもよい。
Figure 2008539728
本発明に従って、本発明のバイオマーカーの1つ以上、すべて、または任意の組み合わせを天然にまたは正常に発現する細胞は、本明細書に記載される方法において使用することができる。代替的には、細胞は、当該分野で周知でありかつ本明細書に記載される方法において使用される技術を使用して、本発明のバイオマーカーの1つ以上、すべて、もしくは任意の組み合わせ、またはレポーター遺伝子を発現するように操作することができる。このような技術の例には、リン酸カルシウム沈殿(例えば、Graham & Van der Eb,1978,Virol.52:546を参照のこと)、デキストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、ポリブレン媒介トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム中での核酸のカプセル化、および核への核酸の直接的マイクロインジェクションが含まれるがこれらに限定されない。
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法において使用される細胞は、軟骨細胞、リンパ球(Tリンパ球またはBリンパ球)、単球、好中球、マクロファージ、好酸球、好塩基球、赤血球、または血小板である。好ましい実施形態において、本明細書に記載される方法において使用される細胞は膀胱細胞である。別の好ましい実施形態において、本明細書に記載される方法において使用される細胞はリンパ球である。別の好ましい実施形態において、本明細書に記載される方法において使用される細胞は白血球である。別の好ましい実施形態において、本明細書に記載される方法において使用される細胞は白血球である。別の好ましい実施形態において、本明細書に記載される方法において使用される細胞は血液中の全細胞である。別の実施形態において、本明細書に記載される方法において使用される細胞は、供給源、例えば、組織から誘導された不死化細胞株である。
核酸の翻訳を、そして場合により、しかし好ましくは、転写を可能にする任意の無細胞抽出物を、本明細書に記載される方法に従って使用することができる。無細胞抽出物は、任意の種起源の細胞から単離されてもよい。例えば、無細胞翻訳抽出物は、ヒト細胞、培養マウス細胞、培養ラット細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、アフリカツメガエルの卵母細胞、ウサギ網状赤血球、コムギ胚芽、またはライムギ胚芽から単離されてもよい(例えば、Krieg & Melton,1984,Nature 308:203およびDignamら、1990 Methods Enzymol.182:194−203を参照のこと)。代替的には、無細胞翻訳抽出物、例えば、ウサギ網状赤血球溶解物およびコムギ胚芽抽出物は、例えば、Promega,(Madison,ウィスコンシン)から購入することができる。好ましい実施形態において、無細胞抽出物は、ヒト細胞から単離された抽出物である。特定の実施形態において、ヒト細胞はHeLa細胞、リンパ球、または膀胱細胞である。
本発明のバイオマーカーのRNA産物および/またはタンパク質産物の発現レベルを調節する能力に加えて、少なくとも特定の例においては、化合物が本発明のバイオマーカーのタンパク質産物の活性を調節することが所望され得る。従って、本発明は、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善する能力について試験される化合物を同定する方法を提供し、これには、本発明の1種以上のバイオマーカーのタンパク質産物の活性を調節する化合物を同定するための方法が含まれる。このような方法は以下の工程を包含し得る:(a)本発明の1種以上のバイオマーカーのタンパク質産物を発現する細胞を試験化合物と接触させる工程;(b)インキュベーション時間後に、タンパク質産物の活性レベルを決定する工程;および(c)この活性レベルを、試験化合物と接触させていない対応する対照における活性と比較し、その結果、(a)における活性のレベルが、対照細胞における活性のレベルと比較して変化している場合、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善する能力について試験される化合物が同定される工程。特定の実施形態において、活性レベルは、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、マイクロアレイまたはRT−PCR)または当業者に周知のアッセイを利用することによって決定されるように、対照における発現レベルと比較して、5%、10%、15%、25%、30%、40%、50%、5〜25%、10〜30%、少なくとも1倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、4倍、5倍、10倍、25倍、1〜10倍、または5〜25倍変化する。代替的な実施形態において、このような方法は、細胞中に存在する本発明のバイオマーカーの、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、1〜5個、1〜10個、5〜10個、5〜25個、または10〜40個、またはすべての任意の数、またはその任意の組み合わせのタンパク質産物の活性レベルを決定する工程、およびこれらの活性レベルを対照中に存在するレベルと比較する工程を包含する。
本発明は、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善する能力について試験される化合物を同定する方法を提供し、この方法は以下の工程を包含する:(a)無細胞抽出物を、本発明の1種以上のバイオマーカーのタンパク質産物をコードする核酸および試験化合物と接触させる工程;(b)インキュベーション時間後に、タンパク質産物の活性レベルを決定する工程;ならびに(c)この活性レベルを、試験化合物と接触させていない対応する対照における活性と比較し、その結果、(a)における活性のレベルが、対照における活性のレベルと比較して変化している場合、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善する能力について試験される化合物が同定される工程。特定の実施形態において、活性レベルは、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、マイクロアレイまたはRT−PCR)または当業者に周知のアッセイを利用することによって決定されるように、対照における発現レベルと比較して、1%?5%、10%、15%、25%、30%、40%、50%、5〜25%、10〜30%、少なくとも1倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、4倍、5倍、10倍、25倍、1〜10倍、または5〜25倍変化する。代替的な実施形態において、このような方法は、サンプル中に存在する本発明のバイオマーカーの、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、1〜5個、1〜10個、5〜10個、5〜25個、または10〜40個、またはすべての任意の数、またはその任意の組み合わせのタンパク質産物の活性レベルを決定する工程、およびこれらの活性レベルを対照中に存在する活性レベルと比較する工程を包含する。
標準的な技術を、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物の活性のレベルを決定するために利用することができる。
5.18.2 化合物の生物学的活性
膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善する能力について試験される化合物(便宜上、本明細書では「リード」化合物と呼ぶ)の同定に際して、化合物をさらに調べることができる。例えば、本発明の方法を介して同定された化合物は、癌および好ましくは膀胱癌の受け入れられている動物モデルにおいてインビボでさらに試験することができる。さらに、これらの方法を介して同定された化合物は、それらの特異性に関して分析することができる。
1つの実施形態において、リード化合物の効果は、細胞増殖または標的細胞の生存度を測定することによってアッセイすることができる。このようなアッセイは、膀胱癌に関与する細胞型に代表的な細胞(例えば、膀胱管壁細胞)を用いて実行することができる。代替的には、患者からの細胞を培養することの代わりに、リード化合物は、細胞株の細胞を使用してスクリーニングされてもよい。
当該分野において周知の多くのアッセイが、リード化合物への曝露後に患者の細胞または細胞株の生存および/または増殖を評価するために使用することができ;例えば、細胞増殖は、ブロモデオキシウリジン(BrdU)取り込み(例えば、Hoshinoら、1986,Int.J.Cancer 38,369;Campanaら、1988,J.Immunol.Meth.107:79を参照のこと)または(H)−チミジン取り込み(Chen,J.,1996,Oncogene 13:1395−403;Jeoung,J.,1995,J.Biol.Chem.270:18367−73)を測定することによって、直接細胞計数によって、プロトオンコジーン(例えば、fos、myc)または細胞周期マーカー(Rb、cdc2、サイクリンA、D1、D2、D3、Eなど)などの公知の遺伝子の転写、翻訳、または活性の変化を検出することによって、アッセイすることができる。このようなタンパク質およびRNA(例えば、mRNA)および活性のレベルは、当該分野で周知の任意の方法によって決定することができる。例えば、タンパク質は、市販の抗体を使用して、ウェスタンブロッティングまたは免疫沈降などの公知の免疫診断法によって定量することができる。mRNAは、当該分野において周知でありかつ日常的な方法を使用して、例えば、ノーザン分析、RNase保護、逆転写と関連付けたポリメラーゼ連鎖反応を使用して、定量することができる。細胞生存度は、トリパンブルー染色または当該分野で公知の他の細胞死もしくは生存度マーカーを使用することによって評価することができる。特定の実施形態において、細胞ATPのレベルが、細胞生存度を決定するために測定される。分化は、例えば、形態学的変化に基づいて目視的に評価することができる。
動物モデル
化合物は、ヒトにおける使用の前に、適切な動物モデル系において試験することができる。このような動物モデル系には、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ブタ、イヌ、ウサギなどが含まれるがこれらに限定されない。当該分野で周知である任意の動物系が使用されてもよい。特定の実施形態において、化合物は、マウスモデルにおいて試験される。化合物は、反復して投与することができる。
受け入れられる動物モデルは、膀胱癌またはその症状の予防、治療、管理、または改善のために、上記の方法を介して同定された化合物の効力を決定するために利用することができる。
毒性
本発明に従って同定された化合物の毒性および/または効力は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するために、細胞培養または実験動物において標準的な薬学的手順によって決定することができる。本発明に従って同定される化合物の細胞毒性を評価するために使用することができる細胞または細胞株には、末梢血単核球(PBMC)、Caco−2細胞、およびHuh7細胞が含まれるがこれらに限定されない。毒性効果と治療効果との用量比が治療指数であり、これは比率LD50/ED50として表現することができる。大きな治療指数を示す、本発明に従って同定された化合物が好ましい。毒性の副作用を示す、本発明に従って同定された化合物が使用されてもよいが、罹患していない細胞に対する損傷の可能性を最小限に抑えるために、罹患した組織の部位にこのような薬剤を標的化する送達系を設計し、それによって副作用を減少させるという配慮がなされるべきである。
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用のために本発明に従って同定された化合物の一連の用量を処方する際に使用することができる。このような薬剤の用量は、好ましくは、ほとんど毒性がないかまたは全く毒性がない、ED50を含む一連の循環濃度にある。この用量は、利用される剤形および使用される投与経路に依存して、この範囲内で変動してもよい。本発明の方法において使用される任意の薬剤について、治療有効用量は、最初に細胞培養アッセイから見積もることができる。用量は、細胞培養において決定されるような、IC50(症状の最大半減阻害を達成する化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように動物モデルにおいて処方されてもよい。このような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定されてもよい。
コンジナーまたはアナログの設計
所望の生物学的活性を示す化合物は、有用な薬理学的活性を有するコンジナーまたはアナログの開発または設計のためのリード化合物として使用することができる。例えば、一旦リード化合物が同定されると、分子モデリング技術は、より有効であり得る化合物の変異体を設計するために使用することができる。分子モデリングシステムの例は、CHARMおよびQUANTAプログラム(Polygen Corporation,Waltham,マサチューセッツ)である。CHARMは、エネルギー最小化および分子動力学の関数を実行する。QUANTAは、構造、グラフィックモデリング、および分子構造の分析を実行する。QUANTAは、相互作用的な構成、修飾、可視化、および互いとの分子の振る舞いの分析を可能にする。
多くの論文が、特定のタンパク質と相互作用的である薬物のコンピュータモデリングを概説しており、これらは例えば以下である:Rotivinenら、1988,Acta Pharmaceutical Fennica 97:159−166;Ripka,1998,New Scientist 54−57;McKinaly & Rossmann,1989,Annu.Rev.Pharmacol.Toxiciol. 29:111−122;Perry & Davies,OSAR:薬物設計における定量的構造−活性関係(Quantitative Structure-Activity Relationships in Drug Design)pp.189−193(Alan R.Liss,Inc.1989);Lewis & Dean,1989,Proc.R.Soc.Lond. 236:125−140および141−162;Askewら、1989,J.Am.Chem.Soc.111:1082−1090。化学物質をスクリーニングしかつ図形的に描く他のコンピュータプログラムは、BioDesign,Inc.(Pasadena,カリフォルニア),Allelix,Inc.(Mississauga,Ontario,カナダ),およびHypercube,Inc.(Cambridge,オンタリオ)などの会社から利用可能である。これらは、最初に、特定のタンパク質に特異的である薬物への適用のために設計されるが、これらは任意の同定された領域に特異的である薬物の設計に適合させることができる。アナログおよびコンジナーは、生物学的活性についての上記のスクリーニングを使用して、関心対象のタンパク質(すなわち、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物)への結合について試験することができる。代替的には、スクリーニングにおいて確認されるように、ほとんど生物学的活性がないか、または全く生物学的活性がないリード化合物もまた、生物学的活性を有する化合物のアナログおよびコンジナーを設計するために使用することができる。
5.18.3 化合物
本明細書に記載される方法によって試験および同定することができる化合物には、以下を含む任意の販売元から入手できる化合物を含むことができるがこれらに限定されない:Aldrich(1001 West St.Paul Ave.,Milwaukee,ウィスコンシン、53233)、Sigma Chemical(P.O. Box 14508,St Louis,ミズーリ、63178)、Fluka Chemie AG(Industriestrasse 25,CH-9471 Buchs,スイス(Fluka Chemical Corp.980 South 2nd Street,Ronkonkoma,ニューヨーク、11779))、Eastman Chemical Company,Fine Chemicals(P.O Box 431,Kingsport,テネシー、37662)、Boehringer Mannheim GmbH(Sandhofer Strasse 116,D-68298 Mannheim)、Takasago(4 Volvo Drive,Rockleigh,ニュージャージー、07647),SST Corporation(635 Brighton Road,Clifton,ニュージャージー、07012)、Ferro(111 West Irene Road,Zachary,LA 70791)、Riedel-deHaen Aktiengesellschaft(P.O. Box D-30918,Seelze,ドイツ)、PPG Industries Inc.,Fine Chemicals(One PPG Place,34th Floor,Pittsburgh,ペンシルヴェニア、5272)。さらに、微生物、真菌、植物、または動物の抽出物を含む、任意の種類の天然産物が、本明細書の方法を使用してスクリーニングされてもよい。
合成または天然の化合物の大規模なライブラリーからの化合物をスクリーニングすることができる。サッカリド、ペプチド、および核酸ベースの化合物のランダムまたは指向性の合成のために、多数の手段が現在使用されている。合成化合物ライブラリーは、Maybridge Chemical Co.(Trevillet,Cornwall,英国)、Comgenex(Princeton,ニュージャージー)、Brandon Associates(Merrimack,ニューハンプシャー)、およびMicrosource(New Milford,コネティカット)を含む多くの会社から市販されている。珍しい化学ライブラリーはAldrich(Milwaukee,ウィスコンシン)から利用可能である。コンビナトリアルライブラリーが利用可能でありかつ調製される。代替的には、細菌、真菌、植物、または動物の抽出物の型である天然の化合物のライブラリーは、例えば、Pan Laboratories(Bothell,ワシントン州)もしくはMycoSearch(ノースカロライナ)から利用可能であり、または当該分野において周知の方法によって容易に製造可能である。加えて、天然および合成的に製造されたライブラリーおよび化合物は、従来の化学的、物理的、および生化学的な手段を通して容易に修飾される。
さらに、小分子試験化合物を含む、試験化合物の多様なライブラリーが利用されてもよい。本発明の方法を使用してスクリーニングされたライブラリーは、種々の型の化合物を含むことができる。本発明の方法に従ってスクリーニングすることができるライブラリーの例には以下が含まれるがこれらに限定されない:ペプトイド;ランダムバイオオリゴマー;ヒダンドイン、ベンゾジアゼピン、およびジペプチドなどのディバーソマー;ビニル性ポリペプチド;非ペプチド性ペプチド模倣物;オリゴカルバメート;ペプチジルホスホネート;ペプチド核酸ライブラリー;抗体ライブラリー;炭水化物ライブラリー;および小分子ライブラリー(好ましくは、有機小分子ライブラリー)。ある実施形態において、スクリーニングされるライブラリー中の化合物は核酸またはペプチド分子である。非限定的な例において、ペプチド分子は、ファージディスプレイライブラリー中に存在し得る。別の実施形態において、化合物の型には以下が含まれるがこれらに限定されない:天然に存在しないアミノ酸、例えば、D−アミノ酸、アミノ酸のリンアナログ、例えば、α−アミノリン酸およびα−アミノリン酸、または非ペプチド結合を有するアミノ酸を含むペプチドを含むペプチドアナログ、核酸アナログ、例えば、ホスホロチオエートおよびPNA、ホルモン、抗原、合成または天然に存在する薬物、鎮静剤、ドーパミン、セロトニン、カテコールアミン、トロンビン、アセチルコリン、プロスタグランジン、有機分子、フェロモン、アデノシン、スクロース、グルコース、ラクトース、およびガラクトース。ポリペプチドまたはタンパク質のライブラリーもまた、本発明のアッセイにおいて使用することができる。
特定の実施形態において、コンビナトリアルライブラリーは、ベンゾジアゼピン、イソプレノイド、チアゾリジノン、メタチアザノン、ピロリジン、モルホリノ化合物、およびベンゾジアゼピンを含むがこれらに限定されない小分子有機ライブラリーである。別の実施形態において、コンビナトリアルライブラリーは、ペプトイド;ランダムバイオ−オリゴマー;ベンゾジアゼピン;ヒダンドイン、ベンゾジアゼピンおよびジペプチドなどのディバーソマー;ビニル性ポリペプチド;非ペプチド性ペプチド模倣物;オリゴカルバメート;ペプチジルホスホネート;ペプチド核酸ライブラリー;抗体ライブラリー;または炭水化物ライブラリーを含む。コンビナトリアルライブラリーは、それ自体市販されている。例えば、ライブラリーは、例えば、SpecsおよびBioSpecs B.V.(Rijswijk,オランダ)、Chembridge Corporation(San Diego,カリフォルニア)、Contract Service Company(Dolgoprudny,Moscow Region,ロシア)、Comgenex USA Inc.(Princeton,ニュージャージー)、Maybridge Chemicals Ltd.(Cornwall PL34 OHW,英国)、Asinex(Moscow,ロシア)、ComGenex(Princeton,ニュージャージー)、Ru,Tripos,Inc.(St.Louis,ミズーリ)、ChemStar,Ltd(Moscow,ロシア)、3D Pharmaceuticals(Exton,ペンシルヴェニア)、およびMartek Biosciences(Columbia,メリーランド)から商業的に入手してもよい。
好ましい実施形態において、ライブラリーは、ライブラリーの化合物が、細胞の取り込みのためにより受け入れ可能であるようにあらかじめ選択される。例えば、化合物は、細胞に入る化合物の可能性を増強する、サイズ、親油性、疎水性、および水素結合などであるがこれらに限定されない特定のパラメーターに基づいて選択される。別の実施形態において、化合物は、三次元または四次元コンピューター計算プログラムによって分析される。
本発明の方法に従う使用のためのコンビナトリアル化合物ライブラリーが合成されてもよい。薬理学的、生物学的、または他の活性についてスクリーニングすることができる、有機小化合物の大きなコレクションまたはライブラリーの作製に向けた合成方法には大きな関心が存在する。巨大なコンビナトリアルライブラリーを作製するために適用される合成方法は、溶液中で、または相中で、すなわち、担体上で実施される。固相合成は、過剰量の試薬を容易に加え、各反応段階後に洗い流すことができるので、多段階反応を実行すること、および反応を高収率で完了させることをより容易にする。固相コンビナトリアル合成はまた、単離、精製、およびスクリーニングを改善する傾向がある。しかし、より旧来の液相化学は、固相化学よりもより広範な種々の有機反応を支援する。
本発明のコンビナトリアル化合物ライブラリーは、その全体が参照により本明細書に援用される、Kilcoinらへの米国特許第6,190,619号に記載される装置を使用して合成されてもよい。米国特許第6,190,619号は、複数の別個の化合物の並行した合成のため、または化合物のコンビナトリアルライブラリーのための複数の反応容器を保持することが可能である合成装置を開示している。
1つの実施形態において、コンビナトリアル化合物ライブラリーは、溶液中で合成することができる。その全体が参照により本明細書に援用される、Bogerらへの米国特許第6,194,612号に開示される方法は、コンビナトリアルライブラリーの溶液相合成のためのテンプレートとして有用である化合物を特徴とする。テンプレートは、液体/液体または固体/液体の抽出を使用して、反応産物が未反応の反応物質から容易に精製できるように設計される。テンプレートを使用してコンビナトリアル合成によって産生される化合物は、好ましくは、有機小分子である。ライブラリー中のある化合物は、非ペプチドまたはペプチドの効果を模倣してもよい。コンビナトリアル化合物ライブラリーの固相合成とは対照的に、液相合成は、多段階固相合成の個々の段階をモニターするために特定化されたプロトコールの使用を必要としない(Egnerら、1995,J.Org.Chem.60:2652;Andersonら、1995,J.Org.Chem.60:2650;Fitchら、1994,J.Org.Chem.59:7955;Lookら、1994,J.Org.Chem.49:7588;Metzgerら、1993,Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.32:894;Youngquistら、1994,Rapid Commun.Mass Spect.8:77;Chuら、1995,J.Am.Chem.Soc.117:5419;Brummelら、1994,Science 264:399;およびStevanovicら、1993,Bioorg.Med.Chem.Lett.3:431)。
本発明の方法のために有用なコンビナトリアル化合物ライブラリーは、固相担体上で合成することができる。1つの実施形態において、合成の間に担体を分離および混合するプロトコールである分割合成法は、固相担体上の化合物のライブラリーを合成するために使用される(例えば、Lamら、1997,Chem.Rev.97:41−448;Ohlmeyerら、1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10922−10926およびそこに引用される参考文献を参照のこと)。最終ライブラリーにおける各固相担体は、その表面に結合された実質的に1つの型の化合物を有する。1つの産物が各担体に結合されている、固相担体上でコンビナトリアルライブラリーを合成するための他の方法は、当業者に公知である(例えば、Nefziら、1997,Chem.Rev.97:449−472を参照のこと)。
本発明のある実施形態において、化合物は、リンカーを介して固相担体に結合させることができる。リンカーは、統合型でありかつ固相担体の一部であり得、または非統合型であり得、固相担体上で合成され、もしくは合成後にそこに結合されるかのいずれかである。リンカーは、固相担体への化合物の結合の点を提供するためだけではなく、リンカーの性質に依存して、異なる分子の基が異なる条件下で固相担体から切断されることを可能にするためにも有用である。例えば、リンカーは、とりわけ、求電子的に切断され、求核的に切断され、光切断可能であり、酵素切断され、金属によって切断され、還元条件下で切断され、または酸化条件下で切断されることが可能である。好ましい実施形態において、化合物は、化合物の高スループットスクリーニングの前に、固相担体から切断される。
ライブラリーが化合物のアレイまたはマイクロアレイを含み、ここで、各化合物がアドレスまたは識別子を有する場合、化合物は、例えば、個々の試験アッセイに適用された元の化合物リストに対してポジティブサンプルを相互参照することによって、逆重畳することができる。
ライブラリーがペプチドまたは核酸ライブラリーである場合、化合物の配列は、ペプチドまたは核酸の配列決定を方向付けることによって決定することができる。このような方法は当業者に周知である。
多数の物理化学的技術が、化合物を新規に特徴付けるために使用することができる。このような技術の例には、質量スペクトル分析、NMRスペクトル分析、X線結晶解析、および振動スペクトル分析が含まれるがこれらに限定されない。
5.19 膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するための同定された化合物の使用
本発明は、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善する方法を提供し、当該方法は、本発明の方法に従って同定された1種以上の化合物を、その必要がある被験体に投与する工程を包含する。好ましい実施形態において、被験体はヒトである。
1つの実施形態において、本発明は、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善する方法を提供し、当該方法は、本発明の方法に従って同定された1種以上の化合物の予防的または治療的有効量の1回の用量を、その必要がある被験体に投与する工程を包含する。特定の実施形態において、本発明の方法に従って同定された化合物は、このような化合物が膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するために以前に使用された場合には、膀胱癌またはその症状を予防、治療、または改善するために投与されない。別の実施形態において、本発明の方法に従って同定された化合物は、このような化合物が膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するために使用されることが示唆されている場合には、膀胱癌またはその症状を予防、治療、または改善するために投与されない。別の実施形態において、本発明の方法に従って同定された化合物が、本発明の1つのみのバイオマーカーのタンパク質産物またはRNA産物に特異的に結合し、ならびに/またはその発現および/もしくは活性のレベルを変化させる。さらに別の実施形態において、本発明の方法に従って同定された化合物は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、またはそれ以上までの任意の数の本発明のバイオマーカーのタンパク質産物またはRNA産物に特異的に結合し、ならびに/またはその発現および/もしくは活性のレベルを変化させる。
特定の実施形態において、本発明の方法に従って同定された化合物は、膀胱細胞または不死化膀胱癌の同化活性および/または異化活性を増加または減少する。好ましくは、このような化合物は、軟骨細胞の同化活性および/または異化活性を、未処理の膀胱細胞または不死化膀胱癌と比較して、1.0倍より多く、より好ましくは、1.5〜5倍、および最も好ましくは、5〜100倍、増加または減少する。別の実施形態において、本発明の方法に従って同定された化合物は、膀胱癌の症状を含む、膀胱癌に関連する症状および/または変化の少なくとも1つを改善する。特定の実施形態において、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するために投与される予防薬剤または治療薬剤は、合成化合物または天然産物(例えば、植物抽出物または培養上清)、または化合物の混合物である。
本発明はまた、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善する方法を提供し、当該方法は、本明細書に記載されるスクリーニング方法を利用して同定された1種以上の化合物、および1種以上の他の治療(例えば、予防薬剤または治療薬剤および外科手術)をその必要がある被験体に投与する工程を包含する。特定の実施形態において、このような治療は現在使用されているか、使用されてきたか、または膀胱癌またはその症状の予防、治療、管理、または改善において有用であることが知られている(本明細書以下の節に列挙される予防薬剤または治療薬剤を含むがこれらに限定されない)。本発明の併用療法(例えば、予防薬剤または治療薬剤)は、逐次的にまたは同時に投与することができる。特定の実施形態において、本発明の併用療法は、本発明に従って同定された化合物、および当該化合物と同じ作用のメカニズムを有する少なくとも1つの他の治療を含む。別の特定の実施形態において、本発明の併用療法は、本発明の方法に従って同定された化合物、および当該化合物とは異なる作用のメカニズムを有する少なくとも1つの治療(例えば、予防薬剤または治療薬剤)を含む。本発明の併用療法は、化合物とともに、相加効果または相乗効果を有するように機能させることにより、本発明の化合物の予防効果または治療効果を改善する。本発明の併用療法は、治療(例えば、予防薬剤または治療薬剤)に関連する副作用を減少する。
併用療法の予防薬剤または治療薬剤は、同じ医薬組成物中で被験体に投与することができる。代替的には、併用療法の予防薬剤または治療薬剤は、個別の医薬組成物中で同時に被験体に投与することができる。予防薬剤または治療薬剤は、同じまたは異なる投与経路によって被験体に投与されてもよい。
特定の実施形態において、本明細書に記載されるアッセイにおいて同定された1種以上の化合物を含む医薬組成物は、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するために、被験体、好ましくは、ヒトに投与される。本発明に従って、医薬組成物はまた、1種以上の予防薬剤または治療薬剤を含んでもよい。好ましくは、このような薬剤は、現在使用されているか、使用されてきたか、または膀胱癌またはその症状の予防、治療、管理、または改善において有用であることが知られている
本発明の方法に従って同定された化合物は、膀胱癌のための第1の、第2の、第3の、第4の、または第5の一連の治療として使用されてもよい。本発明は、膀胱癌のための従来の治療に対して不応性である被験体において、膀胱癌またはその症状を治療、管理、または改善するための方法を提供し、当該方法は、本発明の方法に従って同定された化合物の予防有効量または治療有効量の用量を上記被験体に投与する工程を包含する。
本発明は、膀胱癌のための既存の単独の薬剤治療に対して不応性である被験体において、膀胱癌またはその症状を治療、管理、または改善するための方法を提供し、当該方法は、本発明の方法に従って同定された化合物の予防有効量または治療有効量の用量、および1種以上の他の治療(予防薬剤または治療薬剤)の予防有効量または治療有効量の用量を当該被験体に投与する工程を包含する。本発明はまた、他の治療に対して不応性であることが判明したが、もはやその治療を受けていない患者に対して、任意の他の治療(例えば、外科手術)と併用して、本発明の方法に従って同定された化合物を投与することによって、膀胱癌を治療または管理するための方法を提供する。本発明はまた、膀胱癌を有し、かつ以前に他の治療を受けたという理由により免疫抑制された患者の治療または管理のための方法を提供する。本発明はまた、ホルモン療法および/または生物療法/免疫治療が毒性が強すぎることが判明したか、または毒性が強いと判明する可能性があり、すなわち、治療または管理される被験体にとって受け入れがたいまたは耐え難い副作用を生じる、膀胱癌の治療または管理のための代替方法を提供する。
5.19.1 膀胱癌またはその症状を治療、管理、または改善する際の使用のための化合物
膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、および/または改善するために、本発明の方法に従って使用することができる化合物の代表的な非限定的な例は、以下に詳細に記載される。
第1に、このような化合物は、例えば、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物またはRNA産物の発現または活性を下方制御することができる、アンチセンス、リボザイム、または三重らせん化合物を含むことができる。このような化合物は以下のサブセクションで詳細に説明される。
第2に、このような化合物は、例えば、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物もしくはRNA産物の発現、または本発明のバイオマーカーのタンパク質産物の活性を調節することができる抗体組成物を含むことができる。特定の実施形態において、この抗体組成物は、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物もしくはRNA産物の発現、または本発明のバイオマーカーのタンパク質産物の活性を下方制御する。このような化合物は、以下のサブセクションに詳細に記載される。
第3に、このような化合物は、例えば、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物を含むことができる。本発明は、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、および/または改善するために、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物を模倣するように選択されるペプチドまたはペプチド模倣物の使用を包含する。さらに、このような化合物は、例えば、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物もしくはRNA産物の発現、または本発明のバイオマーカーのタンパク質産物の活性を調節することができる、ドミナントネガティブポリペプチドを含むことができる。
本発明の方法はまた、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するための本発明のバイオマーカーのタンパク質産物の誘導体、アナログ、およびフラグメントの使用を包含する。特に、本発明は、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するためのこのようなタンパク質の1つ以上のドメインを含む本発明のバイオマーカーのタンパク質産物のフラグメントの使用を包含する。別の特定の実施形態において、本発明は、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物、または融合物として発現されるこのようなタンパク質のアナログ、誘導体、もしくはフラグメント、またはキメラタンパク質産物(ペプチドを介して異種タンパク質配列に結合された結合されたタンパク質、フラグメント、アナログ、または誘導体を含む)の使用を包含する。
特定の実施形態において、本発明のバイオマーカーの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、またはそれ以上のアンチセンスヌクレオチドは、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するために投与される。別の実施形態において、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物、またはそのフラグメント、アナログ、もしくは誘導体の1つ以上が、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するために投与される。別の実施形態において、本発明のタンパク質産物に特異的に結合する1つ以上の抗体は、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するために投与される。別の実施形態において、1つ以上のドミナントネガティブポリペプチドが、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するために投与される。
アンチセンス、リボザイム、三重らせん組成物
標準的な技術は、本明細書に記載される方法の一部としての使用のために、アンチセンス、三重らせん、またはリボザイム分子を産生するために利用することができる。最初に、標準的な技術は、アンチセンス核酸分子、すなわち、例えば、二本鎖cDNA分子のコード鎖に相補的であるかまたはmRNA配列に相補的である、目的のポリペプチドをコードするセンス核酸に相補的である分子の産生のために利用することができる。従って、アンチセンス核酸は、センス核酸に対して水素結合することができる。アンチセンス核酸は、全体のコード鎖、またはその一部のみ、例えば、タンパク質コード領域(またはオープンリーディングフレーム)のすべてまたは一部に相補的であり得る。アンチセンス核酸分子は、目的のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のコード鎖の非コード領域のすべてまたは一部に対するアンチセンスであり得る。非コード領域(「5’および3’非翻訳領域」)は、コード領域に隣接する5’および3’配列であり、アミノ酸に翻訳されない。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、または50個またはそれ以上までの任意の数のヌクレオチドの長さであり得る。本発明のアンチセンス核酸は、当該分野で公知の手順を使用して、化学合成および酵素的ライゲーションを使用して構築することができる。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチド、または分子の生物学的安定性を増加するようにもしくはアンチセンスとセンスの核酸との間に形成される二重鎖の物理的安定性を増加するように設計された様々に修飾されたヌクレオチドを使用して、化学的に合成することができ、例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドを使用することができる。アンチセンス核酸を生成するために使用することができる修飾ヌクレオチドの例には以下が含まれる:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルクエオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルクエオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキシン、シュドウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリン。代替的には、アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス方向でサブクローニングされた発現ベクターを使用して生物学的に産生することができる(すなわち、挿入された核酸から転写されたRNAは、目的の標的核酸に対してアンチセンス方向である)。
アンチセンス核酸分子は、これらが目的のポリペプチドをコードする細胞mRNAにハイブリダイズするかまたはこれに結合するように、被験体に投与され、またはインサイチュで生成されて、それによって、例えば、転写および/または翻訳を阻害することによって発現を阻害する。このハイブリダイゼーションは、安定な二重鎖を形成するために相補的な従来のヌクレオチドによってであり得、または例えば、DNA二重鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合には、二重らせんの大きな溝の中での特異的相互作用を通してであり得る。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例には、組織、例えば、関節(例えば、膝、腰、肘、および指関節)の部位における直接注射が含まれる。代替的には、アンチセンス核酸は、選択された細胞を標的とするように修飾し、次いで、全身投与することができる。例えば、全身投与のために、アンチセンス分子は、それらが、選択された細胞、例えば、T細胞または軟骨細胞の表面上で発現される受容体または抗原に特異的に結合するように、アンチセンス核酸分子を、細胞表面受容体または抗原に結合するペプチドまたは抗体に連結することによって、修飾することができる。アンチセンス核酸はまた、以下に記載されるベクター、例えば、遺伝子治療ベクターを使用して、細胞に送達することができる。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成するために、アンチセンス核酸分子が強力なpol IIまたはpol IIIプロモーターの制御下に配置されているベクター構築物が好ましい。
目的のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー性核酸分子であり得る。α−アノマー性核酸分子は、相補的RNAと特異的二本鎖ハイブリッドを形成し、ここでは、通常のα−単位とは反対に、鎖が互いに平行になっている(Gaultierら、1987,Nucleic Acids Res.15:6625−6641)。アンチセンス核酸分子はまた、2’−o−メチルリボヌクレオチド(Inoueら、1987,Nucleic Acids Res.15:6131−6148)またはキメラRNA−DNAアナログ(Inoueら、1987,FEBS Lett.215:327−330)を含むことができる。
リボザイムは、mRNAなどの一本鎖核酸を切断可能であるリボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNA分子であり、このリボザイムはこの一本鎖核酸に対する相補的領域を有し、そしてまた、標準的な技術を使用して生成することができる。従って、リボザイム(例えば、ハンマーヘッドリボザイム(HaselhoffおよびGerlach,1988,Nature 334:585−591において記載される))は、mRNA転写物を触媒的に切断し、それによって、mRNAによってコードされるタンパク質の翻訳を阻害することができる。目的のポリペプチドをコードする核酸分子についての特異性を有するリボザイムは、本明細書に開示されるcDNAのヌクレオチド配列に基づいて設計することができる。例えば、Tetrahymena L−19 IVS RNAの誘導体を構築することができ、ここでは、活性部位のヌクレオチド配列は、Cechら、米国特許第4,987,071号;およびCechら、米国特許第5,116,742号において切断されるヌクレオチド配列に相補的である。代替的には、目的のポリペプチドをコードするmRNAは、RNA分子のプールから、特異的リボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNAを選択するために使用することができる。例えば、BartelおよびSzostak,1993,Science 261:1411−1418を参照のこと。
三重らせん構造もまた、周知の技術を使用して生成することができる。例えば、目的のポリペプチドの発現は、ポリペプチドをコードする遺伝子の調節領域(例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列を標的とすることによって阻害され、標的細胞中で遺伝子の転写を防ぐ三重らせん構造を形成することができる。一般的には、Helene,1991,Anticancer Drug Des.6(6):569−84;Helene,1992,Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27−36;およびMaher,1992,Bioassays 14(12):807−15を参照のこと。
種々の実施形態において、核酸組成物は、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーション、または溶解性を改善するために、塩基部分、糖部分、またはリン酸バックボーンにおいて修飾することができる。例えば、核酸のデオキシリボースリン酸バックボーンは、修飾されて、ペプチド核酸を生成することができる(例えば、Hyrupら、1996,Bioorganic & Medicinal Chemistry 4(1):5−23を参照のこと)。本明細書で使用される場合、「ペプチド核酸」または「PNA」という用語は、デオキシリボースリン酸バックボーンがシュドペプチドバックボーンによって置き換えられ、4つの天然の核酸塩基のみが保持されている、核酸模倣物、例えば、DNA模倣物をいう。PNAの中性バックボーンは、低イオン強度の条件下で、DNAおよびRNAへの特異的ハイブリダイゼーションを可能にすることが示されてきた。PNAオリゴマーの合成は、Hyrupら、1996,前出;Perry-O’Keefeら、1996,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:14670−675において記載されるように、標準的な固相ペプチド合成プロトコールを使用して実施することができる。
PNAは、例えば、親油基または他の補助基をPNAに結合させることにより、PNA−DNAキメラの形成によって、またはリポソームもしくは当該分野で公知である他の薬物送達の技術の使用によって、例えば、PNAの安定性または細胞の取り込みを増強するために、修飾することができる。例えば、PNAおよびDNAの有利な特性を合わせ得るPNA−DNAキメラを生成することができる。このようなキメラは、DNA認識酵素、例えば、RNAse HおよびDNAポリメラーゼがDNA部分と相互作用することを可能にするのに対して、PNA部分は、高い結合親和性および特異性を提供する。PNA−DNAキメラは、塩基の重なり、核酸塩基間の結合の数、および配向によって選択される適切な長さのリンカーを使用して連結することができる(Hyrup,1996、前出)。PNA−DNAキメラの合成は、Hyrup,1996、前出およびFinnら、1996,Nucleic Acids Res.24(17):3357−63において記載されるように実施することができる。例えば、DNA鎖は、標準的なホスホルアミダイトカップリング化学および修飾ヌクレオシドアナログを使用して、固相担体上で合成することができる。5’−(4−メトキシトリチル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホルアミダイトなどの化合物は、PNAと、DNAの5’末端の間の連結に使用することができる(Magら、1989,Nucleic Acids Res.17:5973−88)。次いで、PNAプロモーターは、5’PNAセグメントおよび3’DNAセグメントを有するキメラ分子を産生するために、段階的な様式でカップリングされる(Finnら、1996,Nucleic Acids Res.24(17):3357−63)。代替的には、キメラ分子は、5’DNAセグメントおよび3’PNAセグメントを伴って合成することができる(Peterserら、1975,Bioorganic Med.Chem.Lett.5:1119−11124)。
別の実施形態において、ヌクレオチドは、ペプチドなどの他の付加基(例えば、インビボで宿主細胞受容体を標的とするため)、または細胞膜(例えば、Letsingerら、1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6553−6556;Lemaitreら、1987,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:648−652;国際公開番号WO88/09810を参照のこと)もしくは血液脳関門(例えば、国際公開番号WO89/10134を参照のこと)を横切る通過を容易にする因子を含んでもよい。加えて、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション誘発性切断剤(例えば、Krolら、1988,Bio/Techniques 6:958−976を参照のこと)または挿入剤(例えば、Zon,1988,Pharm.Res. 5:539−549を参照のこと)で修飾することができる。この目的のために、オリゴヌクレオチドは、別の分子、例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘発性架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション誘発性切断剤などにコンジュゲートされてもよい。
抗体組成物
1つの実施形態において、本発明の1種以上のバイオマーカーの1種以上のタンパク質産物に特異的に結合する抗体が、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するために、被験体、好ましくは、ヒトに投与される。別の実施形態において、本発明の1種以上のバイオマーカーの1種以上のタンパク質産物に特異的に結合する抗体の任意の組み合わせが、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するために、被験体、好ましくは、ヒトに投与される。特定の実施形態において、本発明の1種以上のバイオマーカーの1種以上のタンパク質産物に特異的に結合する1種以上の抗体が、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するために、他の型の治療と併用して、被験体、好ましくは、ヒトに投与される。特定の実施形態において、本発明の1種以上のバイオマーカーの1種以上のタンパク質産物に特異的に結合する当該分野で公知の抗体が、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するために、単独で、または他の型の治療と併用して、被験体、好ましくは、ヒトに投与される。別の実施形態において、本発明の1種以上のバイオマーカーの1種以上のタンパク質産物に特異的に結合する当該分野で公知の抗体が、膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するために、単独で、または他の型の治療と併用して、被験体、好ましくは、ヒトに投与されない。
本発明の1種以上のバイオマーカーの1種以上のタンパク質産物に特異的に結合する1種以上の抗体は、当業者に公知である種々の送達系を使用して、被験体、好ましくは、ヒトに投与することができる。例えば、このような抗体は、リポソーム、微粒子、またはマイクロカプセル中でのカプセル化によって投与することができる。例えば、米国特許第5,762,904号、米国特許第6,004,534号、および国際公開番号WO99/52563を参照のこと。加えて、このような抗体は、抗体を発現可能な組み換え細胞、またはレトロウイルス、他のウイルスベクター、もしくは抗体を発現可能な非ウイルスベクターを使用して投与することができる。
本発明の1種以上のバイオマーカーの1種以上のタンパク質産物に特異的に結合する抗体は、任意の公知の供給源から入手することができる。代替的には、本発明の1種以上のバイオマーカーの1種以上のタンパク質産物に特異的に結合する抗体は、抗体の合成のために当該分野で公知の任意の方法によって、特に、化学合成によって、または組み換え発現技術によって産生することができる。
抗体には以下が含まれるがこれらに限定されない:ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二特異的抗体、多特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、キメラ抗体、単鎖Fv(scFv)(Birdら、(1988)Science 242:423−426;およびHustonら、(1988)Proc.Natl.Acad.Sci USA 85:5879−5883)、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、ジスルフィド連結Fv(sdFv)、および抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、ならびに上記のいずれかの抗原結合フラグメントおよび/またはエピトープ結合フラグメント。「抗体」という用語は、本明細書に記載される場合、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性なフラグメント、すなわち、抗原決定部位を含む分子をいう。免疫グロブリン分子は、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(IgG、IgG、IgG、IgG、IgAおよびIgA)、またはサブクラスであり得る。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性なフラグメントの例には、F(ab)フラグメント(VL、VH、CLおよびCH1ドメインから成る一価のフラグメント)およびF(ab’)2フラグメント(ヒンジ領域におけるジスルフィド結合によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント)が含まれ、これらは、ペプシンまたはパパインなどの酵素を用いて抗体を処理することによって生成することができる。免疫学的に活性なフラグメントにはまた以下が含まれるがこれらに限定されない:Fdフラグメント(VHドメインおよびCH1ドメインから成る)、Fvフラグメント(抗体の単一アームのVLドメインおよびVHドメインから成る)、dAbフラグメント(VHドメインから成る;Wardら、(1989)Nature 341:544−546)、および相補性決定領域(CDR)。抗原に特異的に結合する抗体は、抗体の合成のために当該分野で公知の任意の方法によって、特に、化学合成によって、または組み換え発現技術によって産生することができる。
抗原に特異的に結合するポリクローナル抗体は、当該分野において周知の種々の手順によって産生することができる。例えば、ヒト抗原は、ウサギ、マウス、ラットなどを含むがこれらに限定されない種々の宿主動物に投与して、ヒト抗原に特異的なポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導することができる。種々のアジュバントが、宿主種に依存して、免疫学的応答を増加させるために使用されてもよく、これには以下が含まれるがこれらに限定されない:フロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲル、リゾレシチンなどの界面活性剤、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにBCG(カルメット−ゲラン杆菌)およびコリネバクテリウム パルバムなどの有用なものとなり得るヒトアジュバント。このようなアジュバントもまた当該分野で周知である。
「一特異性抗体」という用語は、特定の標的、例えば、エピトープについての単一の結合特異性および親和性を示す抗体をいう。この用語はモノクローナル抗体を含む。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組み換え、およびファージディスプレイ技術、またはそれとの併用を含む当該分野で公知である広範な種々の技術を使用して調製することができる。例えば、参照として援用される、米国特許RE32,011号、米国特許第4,902,614号、同第4,543,439号、同第4,411,993号および同第4,196,265号;Kennettら(編)、モノクローナル抗体、ハイブリドーマ:生物学的分析の新たな次元(Monoclonal Antibodies,Hybridomas:A New Dimension in Biological Analyses),Plenum Press(1980);ならびにHarlowおよびLane(編),抗体実験室マニュアル(Antibodies.A Laboratory Manual),Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988)を参照のこと。例えば、モノクローナル抗体は、当該分野で公知の技術を含むハイブリドーマ技術を使用して産生することができ、例えば、Harlowら、抗体:実験室マニュアル(Antibodies:A Laboratory Manual),第二版(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988);Hammerlingら、モノクローナル抗体およびT細胞ハイブリドーマ(Monoclonal Antibodies and T-CeIl Hybridomas)563−681所収(Elsevier,ニューヨーク州,1981)において教示されている(上記文献はその全体が参照により援用される)。組み換え技術を通して抗体の産生を可能にする他の技術(例えば、Stratacyte, La Jolla,カリフォルニア、から利用可能である市販の系を含む、William D. Huseら、1989,Science,246:1275−1281;L. Sastryら、1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:5728−5732;およびMichelle Alting-Meesら、Strategies in Molecular Biology,3:1−9(1990)によって記載される技術)もまた、モノクローナル抗体を構築するために利用されてもよい。「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、ハイブリドーマ技術を通して産生される抗体に限定されない。「モノクローナル抗体」という用語は、任意の真核生物、原核生物、またはファージクローンを含む単一クローンから誘導される抗体をいい、それが産生された方法には関わらない。
ハイブリドーマ技術を使用して特異的抗体を産生およびスクリーニングするための方法は、日常的でありかつ当該分野で周知である。手短に述べると、マウスは本発明のバイオマーカーのタンパク質産物で免疫することができ、一旦免疫応答が検出されると、例えば、タンパク質に特異的な抗体がマウス血清中で検出され、マウス脾臓が採取され、そして脾細胞が単離される。次いで、脾細胞が、周知の技術によって、任意の適切なミエローマ細胞、例えば、ATCCから利用可能である細胞株SP20からの細胞に融合される。ハイブリドーマは、限界希釈によって選択およびクローニングされる。加えて、RIMMS(反復免疫複数部位)技術が動物を免疫するために使用することができる(その全体が参照により援用される、Kilptrackら、1997,Hybridoma 16:381−9)。次いで、ハイブリドーマクローンは、本発明のポリペプチドを結合することが可能な抗体を分泌する細胞について、当該分野で公知の方法によってアッセイする。高レベルの抗体を一般的に含む腹水は、ポジティブハイブリドーマクローンを用いてマウスを免疫することによって生成することができる。
従って、本発明は、本発明の抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を培養することによって抗体を生成する方法を提供し、好ましくは、ハイブリドーマは、本発明のバイオマーカーのタンパク質産物で免疫したマウスから単離した脾細胞を、ミエローマ細胞と融合すること、次いで、タンパク質またはタンパク質フラグメントに結合することができる抗体を分泌するハイブリドーマクローンについての融合物から生じるハイブリドーマをスクリーニングすることによって生成される。
本発明のバイオマーカーのタンパク質産物の特異的エピトープを認識する抗体フラグメントは、当業者に公知である任意の技術によって生成されてもよい。例えば、本発明のFabおよびF(ab’)2フラグメントは、パパイン(Fabフラグメントを産生するため)またはペプシン(F(ab’)2フラグメントを産生するため)などの酵素を使用する、免疫グロブリン分子のタンパク質分解的切断によって産生されてもよい。F(ab’)2フラグメントは、可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含む。さらに、本発明の抗体はまた、当該分野で公知の種々のファージディスプレイ法を使用して生成することができる。
ファージディスプレイ法において、機能的抗体ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を有するファージ粒子の表面上に表示される。特に、VHドメインおよびVLドメインをコードするDNA配列が動物cDNAライブラリー(例えば、罹患した組織のヒトまたはマウスcDNAライブラリー)から増幅される。VHドメインおよびVLドメインをコードするDNAは、PCRによってscFvリンカーとともに組み換えられ、ファージミドベクターにクローニングされる。このベクターはE.coli中にエレクトロポレーションされ、このE.coliはヘルパーファージで感染される。これらの方法において使用されるファージは、典型的には、fdおよびM13を含む糸状ファージであり、VHドメインおよびVLドメインは通常、ファージの遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのいずれかへの組み換えにより融合される。特定の抗原に結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、例えば、標識抗原、または固体表面もしくはビーズに結合もしくは捕捉された抗原を使用して選択または同定することができる。本発明の抗体を作製するために使用することができるファージディスプレイ法の例には以下に開示されるものが含まれ、これらは各々その全体が参照により本明細書に援用される:Brinkmanら、1995,J.Immunol.Methods 182:41−50;Amesら、1995,J.Immunol.Methods 184:177−186;Kettleboroughら、1994,Eur.J.Immunol.24:952−958;Persicら、1997,Gene 187:9−18;Burtonら、1994,Advances in Immunology 57:191−280;PCT出願番号PCT/GB91/O1 134;国際出願番号WO90/02809、WO91/10737、WO92/01047、WO92/18619、WO93/1 1236、WO95/15982、WO95/20401、およびWO97/13844;ならびに米国特許第5,698,426号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,580,717号、同第5,427,908号、同第5,750,753号、同第5,821,047号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,516,637号、同第5,780,225号、同第5,658,727号、同第5,733,743号、および同第5,969,108号。
上記の参考文献に記載されるように、ファージ選択後、ファージからの抗体コード領域は、例えば、以下に記載されるように、単離され、ヒト抗体を含む全体の抗体または任意の他の所望の抗原結合フラグメントを生成するために使用され、そして哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌を含む任意の所望の宿主の中で発現される。Fab、Fab’およびF(ab’)2フラグメントを組み換えにより産生するための技術もまた、国際出願番号WO92/22324;Mullinaxら、1992,BioTechniques 12(6):864−869;Sawaiら、1995,AJRI 34:26−34;およびBetterら、1988,Science 240:1041−1043に開示されるものなどの当該分野で公知の方法を使用して利用することができる(当該参考文献はそれらの全体が参照により援用される)。
全体の抗体を生成するために、VHまたはVLヌクレオチド配列、制限部位、および制限部位を保護するための隣接配列を含むPCRプライマーが、scFvクローン中のVHまたはVL配列を増幅するために使用することができる。当業者に公知であるクローニング技術を利用して、PCR増幅されたVHドメインは、VH定常領域、例えば、ヒトγ4定常領域を発現するベクターにクローニングすることができ、そしてPCR増幅されたVLドメインは、VL定常領域、例えば、ヒトκまたはλ定常領域を発現するベクターにクローニングすることができる。好ましくは、VHドメインまたはVLドメインを発現するためのベクターは、EF−1αプロモーター、分泌シグナル、可変ドメイン、定常ドメイン、およびネオマイシンなどの選択マーカーのためのクローニング部位を含む。VHドメインおよびVLドメインはまた、必要な定常領域を発現する1つのベクターにクローニングされてもよい。次いで、重鎖転換ベクターおよび軽鎖転換ベクターが、当業者に公知の技術を使用して、細胞株に同時トランスフェクトされ、全長抗体、例えば、IgGを発現する安定なまたは一過性の細胞株を生成する。
ヒトにおける抗体のインビボ使用およびインビトロ検出アッセイを含む、ある使用において、ヒト抗体またはキメラ抗体を使用することが好ましい可能性がある。完全なヒト抗体は、ヒト被験体の治療的処置のために特に所望される。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列から誘導された抗体ライブラリーを使用して、上記のファージディスプレイ法を含む当該分野で公知である種々の方法によって作製することができる。米国特許第4,444,887号および同第4,716,111号;ならびに国際公開番号WO98/46645、同WO98/50433、同WO98/24893、同WO98/16654、同WO96/34096、同WO96/33735、および同WO91/10741もまた参照のこと。これらは各々その全体が参照により本明細書に援用される。
抗体はまた、トランスジェニック動物によって産生させることができる。特に、ヒト抗体は、機能的内因性免疫グロブリンを発現することが不可能であるが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用して産生することができる。例えば、重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、ランダムにまたは相同組み換えによって、マウス胚性幹細胞に導入されてもよい。代替的には、ヒト可変領域、定常領域、および多様な領域が、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えて、マウス胚性幹細胞に導入されてもよい。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同組み換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入とは個別に、またはそれと同時に、機能しないようにしてもよい。特に、J領域の同型の欠失は内因性抗体産生を妨害する。修飾された胚性幹細胞は増大され、胚盤胞に微量注入されてキメラマウスを産生する。次いで、キメラマウスは繁殖され、ヒト抗体を発現する同型の子孫を生じる。トランスジェニックマウスは、選択された抗原、例えば、本発明のポリペプチドのすべてまたは一部を用いて通常の様式で免疫される。抗原に対して指向されるモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を使用して、免疫したトランスジェニックマウスから得ることができる。トランスジェニックマウスによって保有されるヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の間に再編成し、続いてクラススイッチングおよび体細胞変異を受ける。従って、このような技術を使用して、治療的に有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を産生することが可能である。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概要を見る場合は、LonbergおよびHuszar(1995,Int.Rev.Immunol.13:65−93)を参照のこと。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術、およびこのような抗体を産生するためのプロトコールの詳細な議論については、例えば、国際公開番号WO98/24893、同WO96/34096、および同WO96/33735;ならびに米国特許第5,413,923号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,569,825号、同第5,661,016号、同第5,545,806号、同第5,814,318号、および同第5,939,598号を参照のこと。これらはそれらの全体が参照により本明細書に援用される。加えて、Abgenix,Inc.(Freemont,カリフォルニア)およびGenpharm(San Jose,カリフォルニア)などの会社が、上記のものと類似の技術を使用して、選択された抗原に対して指向されるヒト抗体を提供するために従事すること可能である。
米国特許第5,849,992号は、例えば、トランスジェニック動物の乳腺中で抗体を発現する方法を記載している。乳特異的プロモーター、および目的の抗体をコードする核酸、および分泌のためのシグナル配列を含む導入遺伝子が構築される。このようなトランスジェニック動物の雌によって産生される乳は、そこに分泌された目的の抗体を含む。この抗体は乳から精製することができ、またはある応用においては、直接的に使用することができる。
キメラ抗体は、抗体の異なる部分が異なる免疫グロブリン分子から誘導される分子である。キメラ抗体を産生するための方法は当該分野で公知である。例えば、Morrison,1985,Science 229:1202;Oiら、1986,BioTechniques 4:214;Gilliesら、1989,J.Immunol.Methods 125:191−202;ならびに米国特許第5,807,715号、同第4,816,567号、同第4,816,397号、および同第6,331,415号を参照のこと。これらはそれらの全体が参照により本明細書に援用される。
ヒト化抗体は、所定の抗原に結合可能であり、そしてヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク領域、および非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するCDRを含む、抗体またはその変異体またはフラグメントである。ヒト化抗体は、少なくとも1つ、および典型的には2つの可変ドメイン(Fab、Fab’、F(ab’)、Fabc、Fv)のすべてを実質的に含み、ここで、すべてまたは実質的にすべてのCDR領域は非ヒト免疫グロブリン(すなわち、ドナー抗体)のそれに対応し、そしてすべてまたは実質的にすべてのフレームワーク領域はヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のそれである。好ましくは、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれを含む。通常、抗体は、軽鎖ならびに少なくとも重鎖の可変ドメインの両方を含む。抗体はまた、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、およびCH4領域を含んでもよい。ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを含む免疫グロブリンの任意のクラス、IgG、IgG、IgGおよびIgGを含む任意のアイソタイプから選択することができる。通常、定常ドメインは、ヒト化抗体が細胞毒性活性を示すことが所望される場合、補体結合定常ドメインであり、そしてクラスは典型的にはIgGである。このような細胞毒性活性が所望されない場合、定常ドメインはIgGクラスであり得る。ヒト化抗体は、1つより多くのクラスまたはアイソタイプからの配列を含んでもよいが、所望のエフェクター機能を最適化するために特定の定常ドメインを選択することは、当業者の範囲内である。ヒト化抗体のフレームワークおよびCDR領域は、親の配列に対して正確に一致する必要はなく、例えば、ドナーCDRまたはコンセンサスフレームワークは、少なくとも1つの残基の置換、挿入、または欠失によって変異されてもよく、その結果、その部位におけるCDRまたはフレームワーク残基は、コンセンサスまたはインポート抗体のいずれにも一致しない。しかし、このような変異は広範囲ではない。通常、ヒト化抗体残基の少なくとも75%、より頻繁には90%、および最も好ましくは95%より多くが、親のFRおよびCDR配列のそれに一致する。ヒト化抗体は、以下を含むがこれらに限定されない、当該分野で公知である種々の技術を使用して産生することができる:CDR移植(欧州特許第EP239,400号;国際公開番号WO91/09967;および米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号、同第5,585,089号)、ベニアリングまたは再表面化(欧州特許第EP592,106号および同第EP519,596号;Padlan,1991,Molecular Immunology 28(4/5):489−498;Studmckaら、1994,Protein Engineering 7(6):805−814;およびRoguskaら、1994,PNAS 91:969−973)、チェーンシャッフリング(米国特許第5,565,332号)、ならびに例えば、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、WO9317105、Tanら、2002,J.Immunol.169:1119−25、Caldasら、2000,Protein Eng.13(5):353−60、Moreaら、2000,Methods 20(3):267−79、Bacaら、1997,J.Biol.Chem.272(16):10678−84、Roguskaら、1996,Protein Eng. 9(10):895−904、Coutoら、1995,Cancer Res. 55(23補遺):5973s−5977s、Coutoら、1995,Cancer Res. 55(8):1717−22、Sandhu JS,1994,Gene 150(2):409−10、およびPedersenら、1994,J.Mol.Biol.235(3):959−73に開示される技術。しばしば、フレームワーク領域中のフレームワーク残基は、抗原結合を変化させるため、好ましくは、改善するために、CDRドナー抗体から対応する残基で置換される。これらのフレームワーク置換は、当該分野で周知の方法によって、例えば、特定の位置における例外的なフレームワーク残基を同定するために、抗原結合のために重要なフレームワーク残基を同定するためのCDRおよびフレームワーク残基の相互作用のモデリングならびに配列比較によって同定される(例えば、Queenら、米国特許第5,585,089号;およびRiechmannら、1988,Nature 332:323を参照のこと、これらはそれらの全体が参照により本明細書に援用される)。
単一ドメイン抗体、例えば、軽鎖を欠く抗体は、当該分野で周知である方法によって産生することができる。Riechmannら、1999,J.Immuno.231:25−38;Nuttallら、2000,Curr.Pharm.Biotechnol. 1(3):253−263;Muylderman,2001,J.Biotechnol. 74(4):277302;米国特許第6,005,079号;ならびに国際公開番号WO94/04678、同WO94/25591、および同WO01/44301を参照のこと。これらは各々その全体が参照により本明細書に援用される。
さらに、抗原に特異的に結合する抗体は、次には、当業者に周知の技術を使用して抗原を「模倣する」抗イディオタイプ抗体を生成するために利用することができる(例えば、Greenspan & Bona,1989,FASEB J. 7(5):437−444;およびNissinoff,1991,J.Immunol.147(8):2429−2438を参照のこと)。このような抗体は、膀胱癌またはその症状の予防、治療、管理、または改善の際に、単独でまたは他の治療と併用して使用することができる。
本発明は、抗原に特異的に結合する抗体またはそのフラグメントをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む。本発明はまた、高ストリンジェンシー、中程度のストリンジェンシー、またはより低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む。
当該分野で公知である任意の方法によって、ポリヌクレオチドは入手され、そしてポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は決定されてもよい。公知の抗体をコードするヌクレオチド配列は、当該分野で周知である方法を使用して決定することができ、すなわち、特定のアミノ酸をコードすることが知られているヌクレオチドコドンは、抗体をコードするアミノ酸を生成するのと同様の方法でアセンブルされる。抗体をコードするこのようなポリヌクレオチドは、化学合成されたオリゴヌクレオチドからアセンブルされてもよく(例えば、Kutmeierら、1994,BioTechniques 17:242に記載されるように)、これは、手短に述べると、抗体、そのフラグメント、または変異体をコードする配列の一部を含む重複するオリゴヌクレオチドの合成、アニーリング、およびこれらのオリゴヌクレオチドのライゲーション、ならびに次いで、PCRによるライゲーションしたオリゴヌクレオチドの増幅を含む。
代替的には、抗体をコードするポリヌクレオチドは、適切な供給源からの核酸から生成されてもよい。特定の抗体をコードする核酸を含むクローンが利用可能でないが、しかし抗体分子の配列が知られている場合、免疫グロブリンをコードする核酸は、化学合成されてもよく、または、配列の3’末端および5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用するPCR増幅によって、もしくは例えば、抗体をコードするcDNAライブラリーからのcDNAクローンを同定するために特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用するクローニングによって、適切な供給源(例えば、抗体cDNAライブラリー、または抗体を発現する任意の組織もしくは細胞、例えば、本発明の抗体を発現するために選択されるハイブリドーマ細胞から生成されたcDNAライブラリー、もしくはそこから単離された核酸、好ましくはポリA+RNA)から入手してもよい。次いで、PCRによって生成された増幅された核酸は、当該分野において周知である任意の方法を使用して複製可能なクローニングベクターにクローニングされてもよい。
一旦、抗体のヌクレオチド配列が決定されると、抗体のヌクレオチド配列は、異なるアミノ酸配列を有する抗体を産生するために、例えば、アミノ酸の置換、欠失、および/または挿入を操作するために、ヌクレオチド配列の操作のために当該分野で周知である方法、例えば、組み換えDNA技術、部位特異的変異誘発、PCRなど(例えば、Sambrookら、1990,分子クローニング:実験室マニュアル、第2版(Molecular Cloning,A Laboratory Manual),Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,ニューヨークおよびAusubelら編、1998,分子生物学の現在のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology),John Wiley & Sons,ニューヨークに記載される技術を参照のこと、これらは両方ともそれらの全体が参照により本明細書に援用される)を使用して操作されてもよい。
一旦、本発明の抗体分子、抗体の重鎖もしくは軽鎖、またはそのフラグメント(好ましくは、しかし必須ではないが、重鎖または軽鎖の可変ドメインを含む)が得られると、抗体分子産生のためのベクターが、当該分野において周知である技術を使用する組み換えDNA技術によって産生されてもよい。
1つの好ましい実施形態において、モノクローナル抗体は哺乳動物細胞中で産生される。クローン抗体またはその抗原結合フラグメントを発現するために好ましい哺乳動物宿主細胞には、例えば、KaufmanおよびSharp(1982,Mol.Biol.159:601−621)において記載されるような、DHFR選択マーカーとともに使用されるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(UrlaubおよびChasin(1980,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216−4220)に記載されるdhfr−CHO細胞を含む)、リンパ球細胞株、例えば、NS0ミエローマ細胞およびSP2細胞、COS細胞、およびトランスジェニック動物、例えば、トランスジェニック哺乳動物からの細胞が含まれる。例えば、細胞は、哺乳動物の上皮細胞である。
多様な免疫グロブリンドメインをコードする核酸配列に加えて、組み換え発現ベクターは、さらなる配列、例えば、宿主細胞中のベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)および選択マーカー遺伝子配列を有してもよい。選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を容易にする(例えば、米国特許第第4,399,216号、同第4,634,665号、および同5,179,017号を参照のこと)。例えば、典型的には、選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞に、G418、ハイグロマイシン、またはメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を付与する。好ましい選択マーカー遺伝子には、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅を伴うdhfr宿主細胞における使用のため)およびneo遺伝子(G418選択のため)が含まれる。
本発明の抗体またはその抗原結合部分の組み換え発現のための例示的な系において、抗体重鎖と抗体軽鎖の両方をコードする組み換え発現ベクターが、リン酸カルシウム媒介トランスフェクションによって、dhfrCHO細胞に導入される。組み換え発現ベクターの中で、抗体重鎖および軽鎖遺伝子は、高いレベルの遺伝子の転写を駆動するために、各々、エンハンサー/プロモーター調節エレメント(例えば、SV40、CMV、アデノウイルスなどから誘導され、例えば、CMVエンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントまたはSV40エンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントである)に操作可能に連結される。組み換え発現ベクターはまたDHFR遺伝子を有し、これは、メトトレキサート選択/増幅を使用して、ベクターでトランスフェクトされたCHO細胞の選択を可能にする。選択された形質転換体宿主細胞は、抗体重鎖および軽鎖の発現を可能にするために培養され、インタクトな抗体が培養培地から回収される。標準的な分子生物学技術が、組み換え発現ベクターを調製し、宿主細胞をトランスフェクトし、形質転換体を選択し、宿主細胞を培養し、そして培養培地から抗体を回収するために使用される。例えば、ある抗体は、プロテインAまたはプロテインGを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって単離することができる。
Fcドメインを含む抗体については、抗体産生系は、好ましくは、Fc領域がグリコシル化されている抗体を合成する。例えば、IgG分子のFcドメインは、CH2ドメイン中のアスパラギン297においてグリコシル化される。このアスパラギンは、二分岐型オリゴサッカリドを用いる修飾のための部位である。このグリコシル化が、Fc□受容体および補体C1qによって媒介されるエフェクター機能のために必要とされることが実証されている(BurtonおよびWoof,1992,Adv.Immunol. 51:1−84;Jefferisら、1998,Immunol.Rev.163:59−76))。好ましい実施形態において、Fcドメインは、アスパラギン297に対応する残基を適切にグリコシル化する哺乳動物発現系中で産生される。Fcドメインはまた、他の真核生物翻訳後修飾を含むことができる。
一旦、抗体分子が組み換え発現によって産生されると、これは、免疫グロブリン分子の精製のための当該分野で公知である任意の方法によって、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、特にプロテインAに特異的である抗原についての親和性によるアフィニティー、およびサイズ分画カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度の違いによって、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準的な技術によって精製されてもよい。さらに、抗体またはそのフラグメントは、精製を容易にするために、当該分野で公知である異種ポリペプチド配列に融合されてもよい。
遺伝子治療技術
遺伝子治療は、発現されたか、または発現可能な核酸の被験体への投与によって実施される治療をいう。当該分野において利用可能な遺伝子治療のための任意の治療を、本発明に従って使用することができる。例示的な方法は以下に記載される。
特定の実施形態において、本発明の1種以上のバイオマーカーについての1種以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、遺伝子治療によって膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するために投与される。別の実施形態において、本発明の1種以上のバイオマーカーの1種以上のタンパク質産物に特異的に結合する1種以上の抗体をコードするヌクレオチドを含む1種以上の核酸分子は、遺伝子治療によって膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するために投与される。別の実施形態において、本発明の1種以上のバイオマーカーまたはそのアナログ、誘導体、もしくはフラグメントのタンパク質産物をコードするヌクレオチドを含む1種以上の核酸分子は、遺伝子治療によって膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するために投与される。さらに別の実施形態において、本発明の1種以上のバイオマーカーの1種以上のタンパク質産物の1種以上のドミナントネガティブポリペプチドをコードするヌクレオチドを含む1種以上の核酸分子は、遺伝子治療によって膀胱癌またはその症状を予防、治療、管理、または改善するために投与される。
遺伝子治療の方法の一般的な書評については、Goldspielら、1993,Clinical Pharmacy 12:488−505;WuおよびWu,1991,Biotherapy 3:87−95;Tolstoshev,1993,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol. 32:573−596;Mulligan,1993,Science 260:926−932;ならびにMorganおよびAnderson,1993,Ann.Rev.Biochem. 62:191−217;1993,5月、TIBTECH 11(5):155−215)を参照のこと。使用することができる組み換えDNA技術の分野において一般的に公知である方法は、Ausubelら(編)、1993,分子生物学の現在のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology),John Wiley & Sons,ニューヨーク;およびKriegler,1990,遺伝子移入および発現、実験室マニュアル(Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual),Stockton Press,ニューヨークに記載されている。
1つの態様において、本発明の組成物は、本発明の1種以上のバイオマーカーの1種以上のタンパク質産物に特異的に結合する1種以上の抗体をコードする核酸配列を含み、当該核酸配列は、適切な宿主の中で1種以上の抗体を発現する発現ベクターの一部である。特に、このような核酸配列は抗体に操作可能に連結されたプロモーターを有し、当該プロモーターは、誘導可能にまたは構成的、そして場合により組織特異的である。
別の態様において、本発明の組成物は、本発明の1種以上のバイオマーカーの1種以上のタンパク質産物のドミナントネガティブポリペプチドをコードする核酸配列を含み、当該核酸配列は、適切な宿主の中でドミナントネガティブポリペプチドを発現する発現ベクターの一部である。特に、このような核酸配列はドミナントネガティブポリペプチドに操作可能に連結されたプロモーターを有し、当該プロモーターは、誘導可能にまたは構成的、そして場合により組織特異的である。別の特定の実施形態において、ドミナントネガティブコード配列および任意の他の所望の配列が、ゲノム中の所望の位置において相同組み換えを促進する領域によって隣接されている核酸分子が使用され、従って、ドミナントネガティブ核酸の染色体内発現を提供する(KollerおよびSmithies,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:8932−8935;Zijlstraら、1989,Nature 342:435−438)。
患者への核酸の送達は、直接的であってもよく、この場合、患者は核酸または核酸保有ベクターに直接的に曝露され、または間接的であってもよく、この場合、細胞はインビトロで核酸において形質転換され、次いで患者に移植されるかのいずれかである。これらの2つのアプローチは、それぞれ、インビボまたはエキソビボ遺伝子治療として知られている。
特定の実施形態において、核酸配列は、インビボで直接的に投与され、ここでは核酸が発現されてコードされた産物を産生する。これは、当該分野で公知である任意の多数の方法によって、例えば、適切な核酸発現ベクターの一部としてこれを構築し、その結果、これらが細胞内になることによって、例えば、欠損性もしくは弱毒化レトロウイルスもしくは他のウイルスベクターを使用する感染によって(例えば、米国特許第4,980,286号を参照のこと)、または裸のDNAの直接的注入によって、または微粒子ボンバードメントの使用によって(例えば、遺伝子銃;Biolistic,Dupont)、または脂質もしくは細胞表面受容体もしくはトランスフェクション剤でコートすること、リポソーム、微粒子、もしくはマイクロカプセル中でのカプセル化、または核に入ることが知られているペプチドに連結させてこれを投与することによって、受容体媒介エンドサイトーシスを受けるリガンドに連結してこれを投与すること(例えば、WuおよびWu,1987,J.Biol.Chem.262:4429−4432を参照のこと)(これは、受容体を特異的に発現する細胞型を標的とするために使用することができる)によって、などによって達成することができる。別の実施形態において、リガンドがエンドソームを破壊するために融合性ウイルスペプチドを含み、核酸がリソソーム分解を回避することを可能にする核酸−リガンド複合体を形成することができる。さらに別の実施形態において、核酸は、特異的受容体を標的とすることによって、細胞特異的な取り込みおよび発現のためにインビボで標的化することができる(例えば、国際公開番号WO92/06180 1992年4月16日(Wuら);WO92/22635 1992年12月23日(Wilsonら);WO92/20316 1992年11月26日(Findeisら);WO93/14188 1993年7月22日(Clarkeら)、WO93/20221 1993年10月14日(Youngら)を参照のこと)。代替的には、核酸は、相同組み換えによって、発現のために、細胞内に導入され、そして宿主細胞DNA中に組み込まれることができる(KollerおよびSmithies,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:8932−8935;Zijlstraら、1989,Nature 342:435−438)。
例えば、レトロウイルスベクターを使用することができる。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムへのパッケージングのため、および宿主細胞DNAへの組み込みのために必要ではないレトロウイルス配列を除外するように改変されている。遺伝子治療において使用される、目的の抗体、または目的のタンパク質もしくはそのフラグメントをコードする核酸配列が、患者への遺伝子の送達を容易にする、1種以上のベクターにクローニングされる。レトロウイルスベクターに関するさらなる詳細は、Boesenら、1994,Biotherapy 6:291−302において見出すことができ、これは、造血幹細胞を化学療法に対してより抵抗性にするために、その幹細胞にmdr1遺伝子を送達するためのレトロウイルスベクターの使用を記載する。遺伝子治療におけるレトロウイルスベクターの使用を例示している他の参考文献は以下である:Clowesら、1994,J.Clin.Invest.93:644−651;Kiemら、1994,Blood 83:1467−1473;SalmonsおよびGunzberg,1993,Human Gene Therapy 4:129−141;ならびにGrossmanおよびWilson,1993,Curr.Opin.in Genetics and Devel. 3:110−114。
アデノウイルスは、遺伝子治療において使用することができる他のウイルスベクターである。アデノウイルスは、呼吸上皮に遺伝子を送達するためにとりわけ魅力的な媒体である。アデノウイルスは、天然で呼吸上皮に感染し、そこで軽度の疾患を引き起こす。アデノウイルスベースの送達系についての他の標的は肝臓、中枢神経系、内皮細胞、および筋肉である。アデノウイルスは、分裂していない細胞に感染することができる利点を有する。KozarskyおよびWilson,1993,Current Opinion in Genetics and Development 3:499−503は、アデノウイルスベースの遺伝子治療の書評を提示する。Boutら、1994,Human Gene Therapy 5:3−10は、アカゲザルの呼吸上皮に遺伝子を移入するためのアデノウイルスベクターの使用を実証した。遺伝子治療におけるアデノウイルスの使用の他の例は、Rosenfeldら、1991,Science 252:431−434;Rosenfeldら、1992,Cell 68:143−155;Mastrangeliら、1993,J.Clin.Invest.91:225−234;PCT公開WO94/12649;およびWangら、1995,Gene Therapy 2:775−783において見出すことができる。好ましい実施形態において、アデノウイルスベクターが使用される。
アデノ関連ウイルス(AAV)もまた、遺伝子治療における使用について提案されてきた(Walshら、1993,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.204:289−300;米国特許第5,436,146号)。
遺伝子治療に対する別のアプローチは、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、またはウイルス感染のような方法によって、組織培養中の細胞に遺伝子を移入することを含む。通常、移入の方法は、細胞への選択マーカーの移入を含む。次いで、細胞は、移入された遺伝子を取り込みかつそれを発現する細胞を単離するための選択下に配置される。次いで、これらの細胞は患者に送達される。
この実施形態において、核酸は、得られる組み換え細胞のインビボでの投与の前に細胞に導入される。このような導入は、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、核酸配列を含むウイルスまたはバクテリオファージベクターでの感染、細胞融合、染色体媒介遺伝子移入、マイクロセル媒介遺伝子移入、スフェロプラスト融合などを含むがこれらに限定されない、当該分野で公知である任意の方法によって実行することができる。細胞への外来性遺伝子の導入のための多数の技術が公知であり(例えば、LoefflerおよびBehr,1993,Meth.Enzymol. 217:599−618;Cohenら、1993,Meth.Enzymol. 217:618−644;Cline,1985,Pharmac.Ther. 29:69−92を参照のこと)、レシピエント細胞の必要な発生的および生理学的機能が破壊されていない場合は、本発明に従って使用されてもよい。これらの技術は、細胞への核酸の安定な移入を提供するはずであり、その結果、核酸は、細胞によって発現可能であり、好ましくは遺伝性であり、その細胞子孫によって発現可能である。
得られる組み換え細胞は、当該分野で公知である種々の方法によって患者に送達することができる。組み換え血液細胞(例えば、造血幹細胞または前駆細胞)および/または軟骨細胞は、好ましくは、静脈内投与される。使用のために想定される細胞の量は、所望の効果、患者の状態などに依存し、当業者によって決定することができる。
核酸を遺伝子治療の目的のために導入することができる細胞には、任意の所望される、利用可能な細胞型が含まれ、これには以下が含まれるがこれらに限定されない:上皮細胞、内皮細胞、ケラチノサイト、軟骨細胞、線維芽細胞、筋肉細胞、肝細胞;Tリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球などの血液細胞;例えば、骨髄、臍帯血、末梢血、胎児肝臓などから得られるような種々の幹細胞または前駆細胞、特に造血幹細胞または前駆細胞。
好ましい実施形態において、遺伝子治療のために使用される細胞は、患者において自己由来のものである。
組み換え細胞が遺伝子治療において使用される1つの実施形態において、目的の抗体、または目的のタンパク質またはそのフラグメントをコードする核酸配列は、これらが細胞またはそれらの子孫によって発現可能であるように細胞に導入され、次いで、組み換え細胞が治療効果を得るためにインビボで投与される。特定の実施形態において、幹細胞または前駆細胞が使用される。単離することができ、かつインビトロで維持することができる任意の幹細胞および/または前駆細胞が、本発明のこの実施形態に従って使用できる可能性を有している(例えば、国際公開番号WO94/08598、1994年4月28日;StempleおよびAnderson,1992,Cell 71:973−985;Rheinwald,1980,Meth.Cell Bio. 21A:229;およびPittelkowおよびScott,1986,Mayo Clinic Proc. 61:771を参照のこと)。
目的の抗体、目的のタンパク質またはそのフラグメントをコードする核酸配列の発現を制御するために使用されてもよいプロモーターは、構成的、誘導可能、または組織特異的であってもよい。非限定的な例には以下が含まれる:SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon,1981,Nature 290:304−310)、ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復に含まれるプロモーター(Yamamotoら、1980,Cell 22:787−797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら、1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1441−1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら、1982,Nature 296:39−42);β−ラクタマーゼプロモーターなどの原核生物発現ベクター(Villa-Kamaroffら、1978,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:3727−3731)、またはtacプロモーター(DeBoerら、1983,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:21−25);以下もまた参照のこと:「組み換え細菌からの有用なタンパク質(Useful proteins from recombinant bacteria)」Scientific American,1980,242:74−94所収;ノパリンシンテターゼプロモーター領域を含む植物発現ベクター(Herrera-Estrellaら、Nature 303:209−213)またはカリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーター(Gardnerら、1981,Nucl.Acids Res.9:2871)、および光合成酵素リブロース二リン酸カルボキシラーゼのプロモーター(Herrera-Estrellaら、1984,Nature 310:115−120);Gal 4プロモーターのような酵母もしくは他の真菌からのプロモーターエレメント、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーター、およびトランスジェニック動物において組織特異性を示し、かつ利用されてきた以下の動物転写制御領域:膵腺房細胞において活性であるエラスターゼI遺伝子制御領域(Swiftら、1984,Cell 38:639−646;Ornitzら、1986,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol. 50:399−409;MacDonald,1987,Hepatology 7:425−515);膵臓β細胞において活性であるインスリン遺伝子制御領域(Hanahan,1985,Nature 315:115−122)、リンパ細胞において活性である免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedlら、1984,Cell 38:647−658;Adamesら、1985,Nature 318:533−538;Alexanderら、1987,Mol.Cell.Biol.7:1436−1444)、精巣、乳房、リンパ、および肥満細胞において活性であるマウス乳房腫瘍ウイルス制御領域(Lederら、1986,Cell 45:485−495)、肝臓において活性であるアルブミン遺伝子制御領域(Pinkertら、1987,Genes and Devel.1:268−276)、肝臓において活性であるα−フェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlaufら、1985,Mol.Cell.Biol. 5:1639−1648;Hammerら、1987,Science 235:53−58);肝臓において活性であるα1−アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelseyら、1987,Genes and Devel. 1:161−171)、骨髄細胞において活性であるβ−グロビン遺伝子制御領域(Mogramら、1985,Nature 315:338−340;Kolliasら、1986,Cell 46:89−94);脳の乏突起膠細胞において活性であるミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readheadら、1987,Cell 48:703−712);骨格筋において活性であるミオシン軽鎖−2遺伝子制御領域(Sani,1985,Nature 314:283−286)、および視床下部において活性である性腺刺激ホルモン放出ホルモン制御領域(Masonら、1986,Science 234:1372−1378)。
特定の実施形態において、遺伝子治療の目的のために導入される核酸は、核酸の発現が転写の適切なインデューサーの存在または非存在を制御することによって制御可能であるように、コード領域に操作可能に連結された誘導可能なプロモーターを含む。
5.20 医薬組成物
本発明の方法を使用して同定される生物学的に活性な化合物またはその医薬的に許容し得る塩は、膀胱癌に罹患している被験体、好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、ヒトに投与することができる。特定の実施形態において、化合物またはその医薬的に許容し得る塩は、以下の膀胱癌および/または早期の膀胱癌に罹患している患者、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに投与される。別の実施形態において、化合物またはその医薬的に許容し得る塩は、膀胱癌に対する予防的手段として、患者、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに投与される。これらの実施形態に従って、患者は子供、成人、または高齢者であってもよく、ここで「子供」は24ヶ月齢から18歳の齢の被験体、「成人」は18歳以上の年齢の被験体、および「高齢者」は65歳以上の年齢の被験体である。
患者に投与されるとき、化合物またはその医薬的に許容し得る塩は、好ましくは、任意に医薬的に許容し得る媒体を含む組成物の成分として投与される。この組成物は、経口で、または任意の他の便利な経路によって、例えば、注入またはボーラス注射によって、上皮または皮膚粘膜裏層(例えば、口腔粘膜、直腸、および腸粘膜など)を通しての吸収によって投与されてもよく、そして別の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与されてもよい。投与は、全身性または局所的であり得る。種々の送達系、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、カプセルなどの中でのカプセル化が公知であり、化合物およびその医薬的に許容し得る塩を送達するために使用することができる。
投与の方法には、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、経口、舌下、鼻内、脳内、膣内、経皮、直腸、吸入により、または局所的に、特に、耳に、鼻に、眼に、もしくは皮膚に、が含まれるがこれらに限定されない。投与の様式は、実務者の裁量に任されている。多くの例において、投与は、化合物またはその医薬的に許容し得る塩の血流への放出を生じる。
特定の実施形態において、化合物またはその医薬的に許容し得る塩を局所的に投与することが所望され得る。これは、例えば、しかし限定ではなく、手術の際の局所的注入、局所的適用、例えば、手術後に創傷包帯とともに、注射によって、カテーテルによって、坐剤によって、または移植物によって達成されてもよく、当該移植物は、シアラスティック(sialastic)メンブレンなどのメンブレンまたは繊維を含む、多孔性、非多孔性、またはゼラチン質材料である。
特定の実施形態において、化合物またはその医薬的に許容し得る塩を、脳室内、くも膜下腔内、および硬膜外の注射を含む任意の適切な経路によって、中枢神経系に導入することが所望され得る。脳室内注射は、例えば、Ommayaリザーバーなどのリザーバーに接続した脳室内カテーテルによって容易にされてもよい。
肺投与もまた、例えば、吸入器または噴霧器、およびエアロゾル剤を有する製剤の使用によって、またはフルオロカーボンもしくは合成肺界面活性物質中での灌流を介して、利用することができる。特定の実施形態において、化合物およびその医薬的に許容し得る塩は、旧来の結合剤および媒体、例えば、トリグリセリドを用いて、坐剤として製剤化することができる。
別の実施形態において、化合物およびその医薬的に許容し得る塩は、ベシクル中で、特にリポソーム中で送達することができる(以下を参照のこと:感染性疾患および癌の治療におけるリポソーム(Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer),Lopez-BeresteinおよびFidler(編),Liss,ニューヨーク,pp.353−365(1989)所収;Lopez-Berestein,同上pp.317−327;一般的には同上を参照のこと)。
さらに別の実施形態において、化合物およびその医薬的に許容し得る塩は、制御放出系において送達することができる(例えば、Goodson,制御放出の一般的適用(Medical Applications of Controlled Release),前出,2巻,pp.115−138(1984)所収を参照のこと)。Langer,1990,Science 249:1527−1533の書評において議論されている他の制御放出系が使用されてもよい。1つの実施形態において、ポンプが使用されてもよい(Langer,前出;Sefton,1987,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng. 14:201;Buchwaldら、1980,Surgery 88:507;Saudekら、1989,N.Engl.J.Med.321:574を参照のこと)。別の実施形態において、ポリマー材料を使用することができる(以下を参照のこと:制御放出の医学的応用(Medical Applications of Controlled Release),LangerおよびWise(編),CRC Pres.,Boca Raton,フロリダ(1974);薬物の生物学的利用能、薬物製品設計、および性能の制御(Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance), SmolenおよびBall(編), Wiley,ニューヨーク(1984); RangerおよびPeppas; 1983,J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem. 23:61;以下もまた参照のこと:Levyら、1985,Science 228:190;Duringら、1989,Ann.Neurol.25:351;Howardら、1989,J.Neurosurg.71:105)。さらに別の実施形態において、制御放出系は、化合物のRNA標的またはその医薬的に許容し得る塩に近接させて配置することができ、従って、全身用量の一部分のみを必要とする。
本明細書に記載される化合物は、投与のために適切な医薬組成物に取り込むことができる。このような組成物は、典型的には、活性化合物および医薬的に許容し得るキャリアを含む。本明細書で使用される場合、「医薬的に許容し得るキャリア」という言葉は、薬学的投与と適合可能である任意のおよびすべての、溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含むことが意図される。医薬品として活性な物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は当該分野において周知である。従来の媒体または薬剤が活性化合物と適合可能でない場合を除いて、組成物中でのその使用が意図される。補助的な活性化合物もまた、組成物中に取り込むことができる。
本発明は、目的のポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調節するための医薬組成物を調製するための方法を含む。このような方法は、目的のポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調節する薬剤とともに、医薬的に許容し得るキャリアを製剤化する工程を包含する。このような組成物は、さらなる活性薬剤をさらに含むことができる。従って、本発明はさらに、目的のポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調節する薬剤、および1種以上のさらなる活性化合物とともに、医薬的に許容し得るキャリアを製剤化することによって、医薬組成物を調製するための方法を包含する。
本発明の医薬組成物は、その意図された投与経路と適合するように製剤化される。投与経路の例には、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所的)、経粘膜、および直腸の投与が含まれる。静脈内投与が好ましい。非経口、経皮、または皮下適用のために使用される溶液または懸濁液は以下の成分を含むことができる:滅菌希釈液、例えば、注射のための水、生理食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗微生物剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸;緩衝剤、例えば、酢酸、クエン酸、またはリン酸、および張度の調整のための薬剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース。pHは酸または塩基、例えば、塩酸または水酸化ナトリウムで調整することができる。非経口調製物は、アンプル、使い捨てシリンジ、またはガラスもしくはプラスチック製の複数用量バイアルの中に密封することができる。
注射用途のために適切な医薬組成物は、滅菌水溶液(水溶性である場合)または分散液、および滅菌注射液または分散液の即席調製のための滅菌粉末を含む。静脈内投与のために、適切なキャリアは、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF;Parsippany,ニュージャージー)またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を含む。すべての場合において、組成物は滅菌でなくてはならず、シリンジを容易に通過する程度に流動性であるべきである。これは、製造および保存の条件下で安定でなくてはならず、細菌および真菌などの微生物の夾雑作用に対抗して保存されなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびこれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の妨害は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チロメサールなどによって達成することができる。多くの場合において、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを組成物中に含めることが好ましい。注射組成物の吸収の延長は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸マグネシウムおよびゼラチンを組成物中に含めることによってもたらすことができる。
滅菌注射溶液は、必要とされる量で、活性化合物(例えば、ポリペプチドまたは抗体)を上記に列挙した成分の1つまたは組み合わせとともに適切な溶媒中に取り込むこと、および必要とされる場合、その後の濾過滅菌によって調製することができる。一般的に、分散液は、基本的な分散媒体および上記に列挙したものからの必要とされる他の成分を含む滅菌媒体に、活性化合物を取り込むことによって調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製の方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これは、以前に滅菌濾過したその溶液から、活性成分および任意のさらなる所望の成分の粉末を生じる。
経口組成物は、一般的に、不活性希釈剤または可食性キャリアを含む。これらは、ゼラチンカプセル中に密封し、または錠剤に圧縮することができる。経口治療投与の目的のために、活性化合物は、賦形剤とともに取り込み、そして錠剤、トローチ、またはカプセルの剤形で使用することができる。経口組成物はまた、うがい薬としての使用のために流体キャリアを使用して調製することができ、ここで、流体キャリア中の化合物は、経口で投与され、そして口の中をすすぎ、そして吐き出されまたは飲み込まれる。
薬学的に適合する結合剤および/またはアジュバント材料は、組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸薬、カプセル、トローチなどは、以下の成分のいずれか、もしくは類似の性質の化合物を含むことができる:結合剤、例えば、微結晶セルロース、トラガカントガムもしくはゼラチン;賦形剤、例えば、デンプンもしくはラクトース、崩壊剤、例えば、アルギン酸、Primogel、もしくはコーンスターチ;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotes;流動促進剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素;甘味料、例えば、スクロースもしくはサッカリン;または香料、例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ香料。
吸入による投与のために、化合物は、適切な噴霧剤、例えば、二酸化炭素などのガスを含む加圧容器もしくは分配器、または噴霧器からのエアロゾルスプレーの剤形で送達される。
全身投与はまた、経粘膜または経皮手段によってであり得る。経粘膜または経皮投与のために、浸透される障壁に対して適切な浸透剤が製剤中で使用される。このような浸透剤は、当該分野で一般的に公知であり、そして例えば、経粘膜投与のために、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻スプレーまたは坐剤の使用を通して達成することができる。経皮投与のために、活性化合物は、当該分野で一般的に公知であるように、軟膏剤(ointments)、軟膏(salves)、ゲル、またはクリームに製剤化される。
化合物はまた、直腸送達のための坐剤(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を用いる)または保持浣腸剤の剤形で調製することができる。
1つの実施形態において、活性化合物は、身体からの迅速な放出に対して化合物を保護するキャリア、例えば、移植物およびマイクロカプセル化送達系を含む、制御放出製剤とともに調製される。生物分解性、生体適合性のポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸を使用することができる。このような製剤の調製のための方法は、当業者には明らかである。材料はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から市販品されている。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細胞に標的化されるリポソームを含む)もまた、医薬的に許容し得るキャリアとして使用することができる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されるように、当業者に公知である方法に従って調製することができる。
投与の容易さおよび用量の均一性のために単位剤形で経口または非経口組成物を製剤化することがとりわけ有利である。単位剤形とは、本明細書で使用される場合、投与される被験体のための単位となる用量として適している物理的に別個の単位をいい;各単位は、必要とされる薬学的キャリアと共同して、所望の治療的効果を生じるために計算された活性化合物の所定の量を含む。本発明の単位剤形についての詳細は、活性化合物の固有の特性、および達成される特定の治療効果、および個体の治療のためにこのような活性化合物を化合物化することの当該分野における固有の制限によって、およびこれらに直接的に依存して指示される。
抗体については、好ましい用量は、体重の0.1mg/kg〜100mg/kg(より好ましくは、0.1〜20mg/kg、0.1〜10mg/kg、または0.1〜1.0mg/kg)である。抗体が脳において作用する場合は、50mg/kg〜100mg/kgの用量が通常適切である。一般的に、部分的なヒト抗体および完全なヒト抗体は、他の抗体よりもヒトの身体中でより長い半減期を有する。従って、より低い用量およびより低い頻度の薬剤投与がしばしば可能である。脂質化などの修飾は、抗体を安定化するため、ならびに取り込みおよび組織浸透(例えば、脳への)を増強するために使用することができる。抗体の脂質化のための方法は、Cruikshankら、(1997,J.Acquired Immune Deficiency Syndromes and Human Retrovirology 14:193)によって記載されている。
ある一定の実施形態において、タンパク質またはポリペプチドの有効量(すなわち、有効用量)は、0.001〜30mg/kg体重、好ましくは、0.01〜25mg/kg体重、より好ましくは、約0.1〜20mg/kg体重、およびさらにより好ましくは、約0.1〜1.0mg/kg、1〜10mg/kg、2〜9mg/kg、3〜8mg/kg、4〜7mg/kg、または5〜6mg/kg体重の範囲である。
当業者は、疾患または障害の重度、過去の治療歴、全体的健康状態および/または被験体の年齢、および存在する他の疾患を含むがこれらに限定されない特定の要因が、被験体を有効に治療するために必要とされる用量に影響を与える場合があることを認識する。さらに、タンパク質、ポリペプチド、または抗体の治療有効量を用いる被験体の治療は、一連の治療を含むことができる。
上記の化合物に加えて、本発明は、目的の核酸またはポリペプチドの発現または活性を調節する小分子の使用を包含する。小分子の非限定的な例には以下が含まれる:ペプチド、ペプチド模倣物、アミノ酸、アミノ酸アナログ、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドアナログ、ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、モルあたり約10,000グラム未満の分子量を有する有機化合物または無機化合物(すなわち、ヘテロ有機化合物および有機金属化合物)、モルあたり約5,000グラム未満の分子量を有する有機化合物または無機化合物、モルあたり約1,000グラム未満の分子量を有する有機化合物または無機化合物、モルあたり約500グラム未満の分子量を有する有機化合物または無機化合物、ならびにこのような化合物の塩、エステル、および他の医薬的に許容し得る形態。
小分子薬剤の適切な用量は、通常の技能を有する医師、獣医、または研究者の知識の範囲内にある多数の要因に依存することが理解される。小分子の用量は、例えば、治療される被験体またはサンプルの同一性、サイズ、および状態に依存して、さらに組成物が投与される経路、および適用可能である場合、実務者が小分子に所望する、本発明の核酸またはポリペプチドに対して有する効果に依存して変化する。例示的な用量は、被験体またはサンプル重量のキログラムあたりの、小分子のミリグラムまたはマイクログラム量を含む(例えば、約1マイクログラム/キログラム〜約500ミリグラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム〜約5ミリグラム/キログラム、または約1マイクログラム/キログラム〜約50マイクログラム/キログラム)。さらに、小分子の適切な用量は、調節される発現または活性に関する小分子の効力に依存することが理解される。このような適切な用量は、本明細書に記載されるアッセイを使用して決定されてもよい。本発明のポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調節するために、1種以上のこれらの小分子が被験体(例えば、ヒト)に投与される場合、医師、獣医、または研究者は、例えば、最初は比較的低用量で処方し、引き続いて、適切な応答が得られるまで、用量を増加させてもよい。加えて、任意の特定の動物被験体についての特定の用量レベルは、利用される特定の化合物の活性、被験体の齢、体重、全体的健康、性別、および食事、投与の時間、投与経路、排出速度、任意な薬物の組み合わせ、および調節される発現または活性の程度を含む種々の要因に依存することが理解される。
医薬組成物は、投与のための指示書とともに、容器、パック、またはディスペンサーに含めることができる。
5.21 キット
本発明は、本発明のバイオマーカーの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、すべて、またはその任意の組み合わせのタンパク質およびRNA産物の発現を測定するためのキットを提供する。このようなキットは、このようなタンパク質およびRNA産物の発現を測定するために必要とされる材料および試薬を含む。特定の実施形態において、このキットは、例えば、以下のような、種々の方法において利用される1種以上のさらなる試薬をさらに含んでもよい:(1)血液または組織からのRNAを安定化および/または精製するための試薬;(2)試験核酸を生成するためのプライマー;(3)任意に1種以上の一意に標識されたdNTPおよび/またはrNTP(例えば、ビオチン化またはCy3もしくはCy5タグ化dNTP)を伴うdNTPおよび/またはrNTP(あらかじめ混合するかまたは個別のいずれか);(4)合成後標識試薬、例えば、蛍光色素の化学的に活性な誘導体;(5)酵素、例えば、逆転写酵素、DNAポリメラーゼなど;(6)種々の緩衝媒体、例えば、反応緩衝液、ハイブリダイゼーション緩衝液および洗浄緩衝液;(7)標識プローブ精製試薬および成分、例えば、スピンカラムなど;ならびに(8)タンパク質精製試薬;(9)シグナル生成および検出試薬、例えば、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼコンジュゲート、化学蛍光基質または化学発光基質など。特定の実施形態において、このキットは、対照としての使用のための、サンプル(例えば、血液または軟骨細胞または滑液)から単離された、前標識され品質管理されたタンパク質およびまたはRNAを含む。
ある実施形態において、キットはRT−PCRキットまたはqRT−PCRキットである。別の実施形態において、キットは、核酸アレイおよびタンパク質アレイである。本発明に従うこのようなキットは、そのため、関連する本発明のタンパク質メンバーまたは核酸メンバーを有するアレイ、およびパッケージング手段を少なくとも含む。代替的には、本発明のタンパク質メンバーまたは核酸メンバーはアレイにあらかじめパッケージされてもよい。
ある実施形態において、キットは定量RT−PCRキットである。1つの実施形態において、定量RT−PCRキットは以下を含む:(a)本発明のバイオマーカーの各々の組み合わせを増幅するために使用されるプライマー;(b)緩衝液および逆転写酵素を含む酵素;(c)1種以上の耐熱性ポリメラーゼ;ならびに(d)Sybr(登録商標)Green。別の実施形態において、本発明のキットはまた、(a)参照対照RNAおよび(b)スパイク対照RNAを含む。
本発明は、(a)個体を膀胱癌および/または早期の膀胱癌を有すると診断することのために有用であるキットを提供する。例えば、本発明の特定の実施形態において、このキットは、フォワードプライマーおよびリバースプライマーを含み、ここで、フォワードプライマーおよびリバースプライマーは、個体が膀胱癌および/または早期の膀胱癌を有するか否かを決定する際に有用である、本発明に従って同定されるようなバイオマーカーの各々に対応するmRNA種のすべての発現を定量するように設計される。特定の実施形態において、少なくとも1種のプライマーが、エクソンジャンクションにまたがるように設計される。
本発明は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、すべての数の、サンプル中の本発明のバイオマーカー、またはその任意の組み合わせのタンパク質産物またはRNA産物の発現に基づいて膀胱癌を検出、診断、モニタリング、および予後診断するために有用であるキットを提供する。特定の実施形態において、このようなキットは、膀胱癌と関連していることが先行技術によって示唆されている本発明のバイオマーカーのタンパク質産物またはRNA産物の発現を測定するための材料および試薬を含まない。別の実施形態において、このようなキットは、膀胱癌と関連していることが先行技術によって示唆されている本発明のバイオマーカー、および少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、またはそれ以上の本発明のバイオマーカー以外の遺伝子のタンパク質産物またはRNA産物の発現を測定するための材料および試薬を含む。
本発明は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、またはすべての任意の数の、サンプル中の本発明のバイオマーカー、またはその任意の組み合わせのタンパク質産物またはRNA産物の発現に基づいて被験体が受ける1つ以上の治療の効力をモニターするために有用であるキットを提供する。特定の実施形態において、このようなキットは、膀胱癌と関連していることが先行技術によって示唆されている本発明のバイオマーカーのタンパク質産物またはRNA産物の発現を測定するための材料および試薬を含まない。別の実施形態において、このようなキットは、膀胱癌と関連していることが先行技術によって示唆されている本発明のバイオマーカー、および少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、またはそれ以上までの任意の数の本発明のバイオマーカー以外の遺伝子のタンパク質産物またはRNA産物の発現を測定するための材料および試薬を含む。
本発明は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、またはすべての任意の数の、サンプル中の本発明のバイオマーカー、またはその任意の組み合わせのタンパク質産物またはRNA産物の発現に基づく治療に対して、被験体が応答性であるか否かを決定するために使用するキットを提供する。特定の実施形態において、このようなキットは、膀胱癌と関連していることが先行技術によって示唆されている本発明のバイオマーカーのタンパク質産物またはRNA産物の発現を測定するための材料および試薬を含まない。別の実施形態において、このようなキットは、膀胱癌と関連していることが先行技術によって示唆されている本発明のバイオマーカー、および少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、またはそれ以上までの任意の数の本発明のバイオマーカー以外の遺伝子のタンパク質産物またはRNA産物の発現を測定するための材料および試薬を含む。
本発明は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、またはすべての任意の数の、サンプル中の本発明のバイオマーカー、またはその任意の組み合わせのRNA産物の発現を測定するためのキットを提供する。特定の実施形態において、このようなキットは、本発明のバイオマーカーのRNA産物の発現を測定するために必要な材料および試薬を含む。例えば、膀胱癌についてのマイクロアレイまたはRT−PCRキットが製造されてもよく、これは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、またはすべての任意の数の本発明のバイオマーカー、またはその任意の組み合わせのRNA産物のレベルを測定するために必要な試薬および材料のみを含む。代替的には、ある実施形態において、このキットは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはすべての任意の数の本発明のバイオマーカー、またはその任意の組み合わせのRNA産物のレベルを測定するために必要なものに限定されない試薬および材料を含むことができる。例えば、マイクロアレイキットは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、またはすべての任意の数の本発明のバイオマーカー、またはその任意の組み合わせのRNA産物のレベルを測定するために必要な試薬および材料に加えて、膀胱癌と必ずしも関連しないか、またはそれを示さないRNA産物のレベルを測定するために必要な試薬および材料を含んでもよい。特定の実施形態において、マイクロアレイまたはRT−PCRキットは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個までの任意の数、もしくはその任意の組み合わせの本発明のバイオマーカーのRNA産物のレベル、ならびに1個、2個、3個、4個、5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、125個、150個、175個、200個、225個、250個、300個、350個、400個、450個、もしくはそれ以上までの任意の数の本発明のバイオマーカー以外の遺伝子、または1〜10個、1〜100個、1〜150個、1〜200個、1〜300個、1〜400個、1〜500個、1〜1000個、25〜100個、25〜200個、25〜300個、25〜400個、25〜500個、25〜1000個、100〜150個、100〜200個、100〜300個、100〜400個、100〜500個、100〜1000個、500〜1000個の本発明のバイオマーカー以外の遺伝子のRNA産物のレベルを測定するために必要な試薬および材料を含む。
核酸マイクロアレイキットについては、このキットは、一般的に、固相担体表面に結合されたプローブを含む。プローブは、検出可能な標識で標識されてもよい。特定の実施形態において、プローブは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはすべての任意の数の本発明のバイオマーカー、またはその任意の組み合わせのRNA産物の、エクソン、イントロン、エクソンジャンクション、またはエクソン−イントロンジャンクションに特異的である。マイクロアレイキットは、アッセイならびにアッセイの実施から得られるデータを解釈および分析するための方法を実施するための説明書を含んでもよい。特定の実施形態において、このキットは膀胱癌を診断するための説明書を含んでもよい。このキットはまた、ハイブリダイゼーション試薬および/またはプローブが標的核酸配列にハイブリダイズするときに産生されるシグナルを検出するために必要な試薬を含んでもよい。一般的に、マイクロアレイキットのための材料および試薬は、1つ以上の容器の中にある。キットの各成分は、一般的に、それ自体が適切な容器の中にある。
RT−PCRキットについては、このキットは、一般的に、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはすべての任意の数の本発明のバイオマーカー、またはその任意の組み合わせの特定のRNA産物(エクソン、イントロン、エクソンジャンクション、およびエクソン−イントロンジャンクション)に特異的である、あらかじめ選択されたプライマーを含む。このRT−PCRキットはまた、核酸を逆転写および/または増幅するために適切である酵素(例えば、Taqなどのポリメラーゼ)、ならびに逆転写および増幅のための反応混合液のために必要であるデオキシヌクレオチドおよび緩衝液を含んでもよい。このRT−PCRキットはまた、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはすべての任意の数の本発明のバイオマーカー、またはその任意の組み合わせのRNA産物に特異的なプローブを含んでもよい。このプローブは、検出可能な標識(例えば、蛍光標識)で標識されてもよく、標識されなくてもよい。RT−PCRキットの各成分は、一般的に、それ自体が適切な容器の中にある。従って、これらのキットは、一般的に、各々個々の試薬、酵素、プライマーおよびプローブのために適切な別個の容器を含む。さらに、このRT−PCRキットは、アッセイならびにアッセイの実施から得られるデータを解釈および分析するための方法を実施するための説明書を含んでもよい。特定の実施形態において、このキットは、膀胱癌を診断するための説明書を含む。
特定の実施形態において、キットはリアルタイムRT−PCRキットである。このようなキットは、96ウェルプレート、ならびにSYBR Green検出において必要である試薬および材料を含んでもよい。このキットは、β−アクチンが結果を標準化するために使用することができるような試薬および材料を含んでもよい。このキットはまた、水、リン酸緩衝化生理食塩水、およびファージMS2 RNAなどの対照を含んでもよい。さらに、このキットは、アッセイならびにアッセイの実施から得られるデータを解釈および分析するための方法を実施するための説明書を含んでもよい。特定の実施形態において、説明書は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはすべての任意の数の本発明のバイオマーカー、またはその任意の組み合わせのRNA産物のレベルが、例えば、5倍〜10倍異なる2つの濃度で試験されるべきであることを述べる。
抗体ベースのキットについては、このキットは、例えば、以下を含むことができる:(1)目的のタンパク質(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはすべての任意の数の本発明のバイオマーカー、またはその任意の組み合わせのタンパク質産物)に結合する第1の抗体(これは担体に結合してもよく、結合しなくてもよい);そして場合により、(2)タンパク質または第1の抗体のいずれかに結合し、そして検出可能な標識(例えば、蛍光標識、放射性同位元素または酵素)に結合体化されている第2の異なる抗体。抗体ベースのキットはまた、免疫沈降を実行するためのビーズを含んでもよい。抗体ベースのキットの各成分は、一般的に、それ自体が適切な容器の中にある。従って、これらのキットは、一般的に、各抗体のために適切な別個の容器を含む。さらに、抗体ベースのキットは、アッセイならびにアッセイの実施から得られるデータを解釈および分析するための方法を実施するための説明書を含んでもよい。特定の実施形態において、このキットは、膀胱癌を診断するための説明書を含む。
以下の実施例は非限定的であり、本発明の種々の態様および特徴を単に代表するものである。
実施例1
マイクロアレイの構築
本発明の1つの態様に従うアレイを以下のように構築した。
増幅のために使用したのと同じ96ウェルチューブ中のOA軟骨cDNAライブラリーからのcDNAクローンのPCR産物(約40μl)を、4μl(1/10体積)の3M 酢酸ナトリウム(pH 5.2)および100μl(2.5体積)のエタノールを用いて沈殿させ、−20℃で一晩保存した。次いで、これらを3,300rpmで1時間、4℃にて遠心分離した。得られたペレットを50μl氷冷70%エタノールで洗浄し、再度30分間遠心分離した。次いでペレットを空気乾燥し、そして50%ジメチルスルホキシド(DMSO)または20μl 3×SSC中で一晩十分に再懸濁した。次いで、サンプルを、γアミノプロピルシラン(Gamma Amino Propyl Silane)(Corning CMT−GAPSまたはCMT−GAP2、カタログ番号40003、40004)またはポリリジン−コートスライド(Sigmaカタログ番号P0425)の上に、単独でまたは二連でのいずれかで、ロボットGMS417または427アレイヤー(Affymetrix,カリフォルニア)を使用して沈降させた。マイクロアレイ上のDNAスポットの境界は、ダイアモンドスクライバーを用いてマークする。本発明は、10〜20,000個のPCR産物が、アレイを調製するために固相担体にスポットされているアレイを提供する。
アレイは、粒子を含まない温かいddHOのディッシュの上にスライドを約1分間浮かせることによって再水和し(スポットはわずかに膨潤するが互いに混ざることはない)、70〜80℃の逆さにしたヒーティングブロック上で3秒間、瞬間的に乾燥させる。次いで、DNAをスライドにUV架橋させ(Stratagene,Stratalinker、65mJ−650×100μJである「650」にディスプレイを設定)、または2〜4時間、80℃でベーキングする。アレイはスライドラックに配置する。空のスライドチャンバーを準備し、以下の溶液で満たす:3.0グラムの無水コハク酸(Aldrich)を189mlの1−メチル−2−ピロリドン(試薬の迅速な添加が極めて重要である)に溶解する;無水コハク酸の最後のフレークが溶解した直後に、21.0mlの0.2Mホウ酸ナトリウムを混合し、溶液をスライドチャンバーに注ぐ。スライドラックを迅速かつ均一にスライドチャンバーに浸し、数秒間激しく上下に振盪し、必ずスライドと溶液が離れないようにし、次いで、15〜20分間、軌道シェーカー上で混合する。次いで、スライドラックを、2分間、95℃ddHOに穏やかに浸し、続いて、95%エタノールに5回浸す。次いで、過剰のエタノールをペーパータオルに滴下させて、スライドを空気乾燥させる。次いで、アレイは使用するまで室温にてスライドボックスに保存する。
実施例2
未分画全血からのRNA単離
(a)溶解血液
10mlの末梢全血をEDTAバキュテイナー(Vacutainer)チューブ(Becton Dickinson,Franklin Lakes,ニュージャージー)中に採取し、処理するまで氷上に保存した(6時間以内)。遠心分離の際に、血液サンプルは、血漿、バフィコート、および赤血球の層に分離された。血漿を除去し、低張緩衝液(1.6mM EDTA、10mM KHCO、153mM NHCl、pH7.4)を3:1の体積比で加えて、赤血球を溶解した。この混合物を遠心分離して細胞ペレットを得、これを、製造業者の説明書に従って、1.0mlのTRIzol(登録商標)試薬(Invitrogen Corp.,Carlsbad,カリフォルニア)および0.2mlのクロロホルム中に溶解しかつホモジナイズした。遠心分離後、イソプロパノールを水相に1:1の比率で加え、−20℃で沈殿させた。その後遠心分離によりRNAペレットを得、これを実験的使用のために水に再懸濁した。RNAの品質は、製造業者によって指示されるように、Agilent 2100 Bioanalyzer RNA 6000 Nano Chips上で評価し、RNAの量は、Beckman-Coulter DU640 Spectrophotometerにおいて、260nmにおける吸収によって決定した。
(b)遠心分離した溶解血液
10ml全血をバキュテイナーに取り、4℃にて2,000rpm(800g)で5分間遠心分離し、そして血漿上清を除去する。溶解緩衝液を、1部の血液に対して3部の溶解緩衝液の比率で血液サンプルに加える(溶解緩衝液(1L)0.6g EDTA;1.0g KHCO、8.2g NHCl、pH7.4に調整(NaOHを使用))。サンプルを混合し、透明になるまで5〜10分間、氷上に配置する。溶解したサンプルを、4℃にて1000rpmで10分間遠心分離し、上清を吸引する。ペレットを5ml溶解緩衝液に再懸濁し、再度、4℃にて1000rpmで10分間遠心分離する。ペレット化した細胞を、元の血液サンプルの10ml毎に約6mlのTRIzol(GIBCO/BRL)の比率でTRIzolを使用して、ホモジナイズし、十分に渦状にかき回す。サンプルを室温で5分間放置する。RNAは、1mlのTRIzolあたり1.2mlのクロロホルムを使用して抽出する。サンプルは、4℃にて12,000×gで5分間遠心分離し、上層を回収する。この上層に、イソプロパノールを、1mlのTRIzolあたり0.5mlの比率で加える。サンプルを、−20℃で一晩または−20℃で1時間静置する。RNAを、公知の方法に従ってペレット化し、RNAペレットを空気乾燥し、そしてペレットをDEPC処理ddHOに再懸濁する。RNAサンプルはまた、75%エタノール中で保存することができ、この条件ではサンプルは輸送のための室温では安定である。
(c)無血清全血から
10ml全血をバキュテイナーに取り、4℃にて2,000rpm(800g)で5分間遠心分離し、そして血漿層を除去する。ペレット化した細胞を、元の血液サンプルの10ml毎に約6mlのTRIzol(登録商標)の比率でTRIzol(GIBCO/BRL)を使用して、ホモジナイズし、十分に渦状に掻き回す。サンプルを室温で5分間放置する。RNAは、1mlのTRIzolあたり1.2mlのクロロホルムを使用して抽出する。サンプルは、4℃にて12,000×gで5分間遠心分離し、上層を回収する。この上層に、イソプロパノールを、1mlのTRIzolあたり0.5mlの比率で加える。サンプルを、−20℃で一晩または−20℃で1時間静置する。RNAを、公知の方法に従ってペレット化し、RNAペレットを空気乾燥し、そしてペレットをDEPC処理ddH2Oに再懸濁する。RNAサンプルはまた、75%エタノール中で保存することができ、この条件ではサンプルは輸送のための室温では安定である。
(d)PAXGENE(商標)を使用して全血から
2.5ml全血をPAXgene Blood RNAチューブに回収し、PAXgene(商標)Blood RNAキットプロトコールの説明書に従って処理する。手短に述べると、PAXgene(商標)チューブ中での少なくとも2時間の血液の保存後、血液サンプルを遠心分離し、上清を廃棄する。残りのサンプルに、360μlの供給された緩衝液BR1を加え、サンプルをスピンカラムにピペットし、そして遠心分離し、次いで、多数の洗浄段階で洗浄し、最後に溶出および保存する。
(e)PAXGENE(商標)およびその後にグロビン減少を使用して全血から
上記の(d)に記されるようにPAXgene(商標)から単離されたRNAは、引き続いて、「グロビン減少プロトコール(Globin Reduction Protocol)」という表題のAffymetrix(登録商標)テクニカルノートに記載されているように、グロビンmRNAを選択的に除去するように処理される。α1、α2およびβグロビン種に特異的なオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション緩衝液とともにインキュベートされ、RNAse HがグロビンmRNAの分解を特異的に標的とするために使用され、そしてcRNAが、グロビンmRNAを除去するために使用されたAffymetrixからのカラムを洗浄する。
実施例3
標的核酸の調製およびハイブリダイゼーション
mRNAからの蛍光DNAプローブの調製
RNAの蛍光標識標的核酸サンプルは、本発明のアレイを用いる分析のために調製する。
1μgオリゴ−dTプライマーは、膀胱癌を有すると診断された患者の未分画全血から単離した10μgの総RNAに、総量10μlで、70℃で10分間加熱し、そして氷上で冷却することによってアニールした。患者は、登録医によって膀胱癌に関して陽性または陰性を診断された。陽性結腸の病理診断の次に切除した組織の組織学的試験を行った。mRNAは、最終濃度の50mM Tris−HCl(pH8.3)、75mM KCl、3mM MgC1、25mM DTT、25mM 未標識dNTP、400単位のSuperscript II(200U/μL,Gibco BRL)、および15mMのCy3またはCy5(Amersham)を含む25μl容量中で、42℃にて40分間サンプルをインキュベートすることによって逆転写した。反応は、2.5μlの500mM EDTAおよび5μlの1M NaOHの添加ならびに65℃で10分間のインキュベーションにより停止した。反応混合液は、12.5μlの1M TrisHCl(pH7.6)の添加により中和する。
標識した標的核酸サンプルは、セントリコン(Centricon)−30微量濃縮器(Amicon)中での遠心分離によって精製した。
標識核酸は、100℃で2分間加熱することによって変性させ、37℃で20〜30分間インキュベートし、その後22mm×22mmガラスカバースリップの下の核酸アレイ上に配置した。ハイブリダイゼーションは、3×SSCの小さなリザーバーによって湿度維持された特注のスライドチャンバー中で、65℃で14〜18時間実行した。アレイは、2×SSCおよび0.1%SDS、続いて1×SSCおよび0.1×SSCを用いて、浸漬および2〜5分間の攪拌によって洗浄した。最後に、アレイは、Microplus carriersにおけるBeckman GS−6卓上遠心分離機中のスライドラック中で、650RPMにて2分間の遠心分離によって乾燥させた。
総RNA(5μg)は、製造業者の説明書に従って、標識し、膀胱癌を有する個体または膀胱癌を有さない個体からの他の同様に調製したサンプルとともに、Affymetrix U133 Plus 2.0遺伝子チップ(Affymetrix;Santa Clara,カリフォルニア)にハイブリダイズした。手短に述べると、ハイブリダイゼーションシグナルは、各アレイについて全体トリム平均シグナル強度値(the global trimmed mean signal intensity value)を500に調整することによって決定された倍率を使用して、Affymetrix GCOSソフトウェア(バージョン1.1.1)の中で倍率を変え、そしてGeneSpringバージョン7.2(Silicon Genetics;Redwood City,カリフォルニア)にインポートした。次いで、シグナル強度を、各チップの50パーセンタイル値に、そして各個々の遺伝子について、全体のサンプルセットのメジアン強度に中心を置いた。サンプルの各群の少なくとも80%でGCOSソフトウェアによって存在または境界として呼び出された遺伝子のみをさらなる分析のために使用した。ディファレンシャルに発現された遺伝子は、1)ノンパラメトリックWilcoxon-Mann-Whitneyノンパラメトリック検定(P<0.05)、2)パラメトリックt検定(P<0.05)、および3)監視なしの分析方法(14)を使用して同定した。監視されていない分析方法において、シグナル強度でふるいにかけた遺伝子は、サンプルの少なくとも15%において、平均から離れた、少なくとも2倍の発現レベルの変化(上昇または下降)を有する遺伝子を選択するために使用した。階層的クラスター分析は、GeneSpring v6.0における平均重心連鎖を用いる類似性測定として、各々同定された遺伝子セットについてのサンプル間でのSpearman相関を使用して相関分析を評価するために各々の比較において実施した。膀胱癌を有する個体を膀胱癌を有さない個体と比較する実験からの結果は表1に提供される。早期の膀胱癌を有する個体を膀胱癌を有さない個体と比較する実験からの結果は表4に提供される。膀胱癌を有する個体を、精巣癌または腎細胞癌を有する個体と比較する実験からの結果は表11に提供される。膀胱癌のバイオマーカーとしての表1に同定される遺伝子の選択は以下の表10に示される。これらの遺伝子は、これらが有意なp値を伴う有意な倍数変化を実証するため、特に有用である。
Figure 2008539728
Figure 2008539728
実施例4
定量リアルタイムPCR
Affymetrix U133 Plus 2.0遺伝子チップを使用して同定され、かつ以下の表13に記される表1からの遺伝子の選択は定量リアルタイムPCR(QRT−PCR)を使用して定量した。表13は選択されたバイオマーカーのリストを提供する。表14は、表13に記されるバイオマーカーの産物のリストを提供する。表15に記されるプライマーを使用する定量リアルタイムPCRの結果の要約は表16に示す。QRT−PCRは、QiagenからのSYBR(登録商標)Greenキット(製品番号204143)および/またはApplied Biosystems PCR試薬キット(カタログ番号4334973)のいずれかを使用して行った。アンプリコンは、Prism 7500装置(Applied Biosystems)を使用してリアルタイムで検出した。
逆転写は、Applied BiosystemsからのHigh-Capacity cDNA Archiveキット(製品番号4322171)を使用して最初に実施し、そこで利用されるプロトコールに従った。
より詳細には、精製したRNAは、本明細書で以前に記載されたように、逆転写酵素緩衝液、dNTP、ランダムプライマーおよび逆転写酵素とともにインキュベートし、そして25℃で10分間インキュベートし、続いて37℃で2時間インキュベートし、そして得られた混合物は定量PCRのための出発産物として利用した。
逆転写から得られるcDNAは、提供されるようなQuantiTect SYBR(登録商標)Green PCR Master Mixとともにインキュベートし、そしてマグネシウム濃度については調整を行わなかった。ウラシル−N−グリコシラーゼは加えなかった。本発明の遺伝子に特異的なフォワードプライマーとリバースプライマーの両方の5μlを加え、反応をインキュベートし、そしてABI PRISM 7700/ABI GeneAmp 5700/iCycler/DNA Engine Opticonを利用して標準的なプロトコールに従ってモニターした。候補バイオマーカーについてのフォワードプライマーおよびリバースプライマーは「PrimerQuest」を使用して設計した。これは、http://biotoo1s.i.dtdna.com/primerquest(Integrated DNA Technologies,Coralville,IA)において見出されるツールである。ハウスキーピング遺伝子(β−アクチン)と比較した各々の遺伝子についてのΔCt測定は、熱解離における融解温度[Tm]を決定し、そしてアガロースゲル上での検査は、特異的PCR増幅の確認および各反応ウェル中でのプライマー−ダイマー形成の欠如を提供した。個々の標的遺伝子分子について、各遺伝子とβ−アクチンハウスキーピング遺伝子との間のCt値の変化は、ΔCt=Ct(標的遺伝子)−Ct(ハウスキーピング遺伝子)として計算した。
QRT PCRはまた、例えば、QiagenからのSYBR(登録商標)Greenキット(製品番号204143)を使用して、表3に記される産物に対して、表1に開示された残りのバイオマーカーのRNA産物に対して実施することができる。
1段階(逆転写およびPCRを合わせる)または2段階(最初に逆転写、次いでその後のPCR)のいずれかを使用することができる。2段階プロトコールの場合において、逆転写は、最初にApplied BiosystemsからのHigh-Capacity cDNA Archiveキット(製品番号4322171)を使用して実施し、そこで利用されるプロトコールに従った。
より詳細には、以前に本明細書に記載された精製RNAを、逆転写酵素緩衝液、dNTP、ランダムプライマー、および逆転写酵素とともにインキュベートし、そして25℃で10分間、続いて37℃で2時間インキュベートし、得られる混合物を定量PCRのための出発産物として利用した。
逆転写酵素から得られるcDNAは、提供されるようなQuantiTect SYBR(登録商標)Green PCR Master Mixとともにインキュベートすることができ、マグネシウム濃度については調整を行わない。ウラシル−N−グリコシラーゼは任意である。本発明の遺伝子に特異的なフォワードプライマーとリバースプライマーの両方の5μlを加え、反応をインキュベートし、そしてABI PRISM 7700/ABI GeneAmp 5700/iCycler/DNA Engine Opticonを利用して標準的なプロトコールに従ってモニターする。
表13
表1のバイオマーカーの選択。表は、Hugo遺伝子名(遺伝子記号)、Entez遺伝子ID(以前には遺伝子座リンク)および遺伝子の説明を示す。
Figure 2008539728
表14
表13に記されるバイオマーカーの産物。Genbankからの参照配列についてのヒトRNA受託番号およびヒトタンパク質受託番号とともに、Enrez 遺伝子IDが列挙される。
Figure 2008539728
表15 表13に記されるバイオマーカーの定量リアルタイムRT−PCRのために利用されるプライマー。プライマーが増幅される参照配列が、5’および3’プライマーならびにアンプリコンサイズとともに示される。
Figure 2008539728
Figure 2008539728
表16 20例の膀胱癌患者を14例の膀胱癌を有さない個体と比較する、表13に記されるバイオマーカーの定量リアルタイムRT−PCRの結果を要約する。
Figure 2008539728
表17 表13に記される本発明のバイオマーカーのタンパク質産物に対する市販の抗体
Figure 2008539728
Figure 2008539728
実施例5
TAQMAN(登録商標)QRT PCRは、QiagenからのQuantiTect(商標)Probe RT−PCRシステム(製品番号204343)を、TAQMAN(登録商標)二重標識プローブおよび目的の遺伝子に対応するプライマーとともに使用して実施することができる。TAQMAN(登録商標)プローブおよびプライマーは、Applied Biosystems Assays-On-Demand(商標)に注文することができる。
二重標識プローブは、蛍光団とクエンチャー分子の両方を含む。クエンチャーとの蛍光レポーターの近接性は、レポーターが蛍光の発生を妨害するが、PCR伸長段階の間にTaqポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレアーゼ活性が蛍光団を遊離し、このことは蛍光団が蛍光を発することを可能にする。このようにして、蛍光の量は生成したPCR産物の量と相関する。本発明および表13において開示される選択されたバイオマーカーの産物に従って利用可能であるTAQMAN(登録商標)プローブの例は、表18に示される。
Figure 2008539728
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実施例6
リアルタイムRT−PCRの統計学的解析
膀胱癌(またはその段階)を有するか、または膀胱癌を有さないと分類された個体から単離された血液サンプルに対するリアルタイムPCRは、トレーニング集団における本発明のバイオマーカーの豊富さのレベルに対応するデータを得るために公知の方法を使用して統計学的に解析した。
膀胱癌を有する個体および膀胱癌を有さない個体の集団を選択する。例えば、年齢、性別、肥満度指数(BMI)などの表現型について類似の分布の個体を選択した。年齢およびBMIに基づいて比較を行うことができるサンプルの選択は、当業者によって理解されるように、順位に関するKW一元分散分析を使用して決定する。
実施例7
表1に記載されるバイオマーカーの産物を使用する、正常個体からの遺伝子発現プロフィールと比較した、膀胱癌を有する個体からの血液サンプルの遺伝子発現プロフィールの分析
本実施例は、健常患者から採取した血液サンプルと比較して、膀胱癌を有する患者から採取した血液サンプルにおけるディファレンシャルな遺伝子発現を検出することによって本発明の個々のバイオマーカーを同定するための、特許請求された発明の使用を実証する。
血液サンプルは、本明細書に定義されたような膀胱癌を有すると臨床的に診断された患者;本明細書に定義されたような膀胱癌を有さないと臨床的に診断された患者および1例以上の試験患者から採取する。次いで、本発明のバイオマーカーの組み合わせの遺伝子発現プロフィールを分析し、試験個体プロフィールを2つの対照プロフィールと比較する。
溶解した全血からの総mRNAを各患者から採取し、TRIzol(商標)試薬(GIBCO)を使用して最初に単離し、次いで、各血液サンプルについて蛍光標識したプローブを、生成し、変性させ、そして表1に記載されるような遺伝子の各々に対応するオリゴヌクレオチドを含むAffymetrix(登録商標)U133 バージョン2.0マイクロアレイにハイブリダイズさせる。次いで、アレイに対する特異的ハイブリダイゼーションの検出は、GMSスキャナー418を用いるスキャニング、およびScanalyzerソフトウェア(Michael Eisen,スタンフォード大学)を用いる実験データの処理、続いてGeneSpringソフトウェア(Silicon Genetics,カリフォルニア)分析によって測定する。2つの対照集団および試験個体の間の、バイオマーカーに対応する血液サンプル中のRNAのディファレンシャルな発現は、Wilcox Mann Whitney順位和検定(Glantz SA.Primer of Biostatistics.5th ed. ニューヨーク,米国:McGraw-Hill Medical Publishing Division,2002)を使用する統計学的解析によって決定される。
実施例8
膀胱癌または膀胱癌の段階を非膀胱癌から区別する際に有用な分類子および組み合わせを同定するためのロジスティック回帰の適用
表10および/または表13におけるバイオマーカーについてのRNA産物のレベルに対応するデータは、QiagenのQuantiTest(商標)Green PCRキットを使用する定量リアルタイムRT−PCR(QRT−PCR)を使用して、参照(トレーニング集団)に対して決定することができる。1つの場合において、参照集団は、膀胱癌を有する個体(膀胱癌の段階には関係ない)および膀胱癌を有さない個体から成る。別の例において、参照集団は、膀胱癌の段階を有する個体(例えば、早期の膀胱癌)および膀胱癌を有さない個体から成る(早期の膀胱癌のスクリーニング/診断のために有用な組み合わせを同定するため)。各遺伝子の参照集団中の個体の各々からのΔCt値(すなわち、ハウスキーピング遺伝子からのCtに対して、表10のバイオマーカーのRNA産物のCtを比較する)から成る参照データセットは、あるものは膀胱癌を有し、あるものは膀胱癌を有さない個体の集団を横切ってQRT−PCRから生成したデータを使用して作製することができる。ハウスキーピング遺伝子は、その名称が暗示するように、膀胱癌を有する個体と膀胱癌を有さない個体との間で統計学的な違いを伴って変化しないものであることに留意のこと。本発明者らは、GAPDHまたはβ−アクチンのいずれもハウスキーピング遺伝子として有用ではないことに気付き、そのため、別のハウスキーピング遺伝子、例えば、RPLP0、B2M、RPS18などが利用されるべきである。ロジスティック回帰モデルは、生成したΔCt値を使用して、10個の遺伝子の各々の可能な組み合わせに適用することができる。このようにして、以下の数式1の型である得られる分類子が生成される。
X=ロジット(P)=ln(P/(1−P))=b+bΔCt+bΔCt+...+bΔCt (式1)
ここで、P=患者サンプルが「疾患である」(例えば、膀胱癌を有する)と診断される確率である。このようにして、X=ロジットは上記のように定義することができる。
X≧閾値である場合、Y=1(診断=「疾患を有する」、例えば、膀胱癌を有する)であり、X<閾値である場合、Y=0(診断=「対照」)である。理解されるように、閾値は、必要とされる所望の特異性または感度を設定するために選択される。得られるROC面積および残りの感度または特異性が決定され、従って、生成された診断が真の陽性または偽陽性の結果である確率の尺度を提供する。
相互検証
上記のような方法を使用して、これらの組み合わせに特異的な有用なバイオマーカーおよび分類子の組み合わせを同定したら、公知の1つ以上の方法を使用するトレーニングセットを使用して、結果を相互検証できる。例えば、WEKA(http://wwww.cs.waikato.ac.nz/〜ml/weka/index.html)(22)を使用して、得られる分類子を相互検証できる。1つの実施形態において、2つの異なる相互検証スキームが使用可能である。例えば、WEKA MetaAnalysis関数は、単純ロジスティックモデルを使用して、トレーニングデータセットおよび解析された各々の新たに解析されたデータセットの100個のブートストラップの複製を構築するために使用することができる。次いで、得られるロジスティック式(分類子)の各々を、10倍の相互検証によって解析し、すべての数式についての結果を平均することができる(「ブートストラップ集合」)。
予測(ブラインド)試験
1つ以上の得られる分類子をさらに確証および選択するために、臨床サンプルのブラインドセットを試験することができる。対照および膀胱癌を有する被験体から成る試験セットを使用する。好ましくは、ブラインド試験セット個体の誰も、参照データセットを作製する際に使用されなかった。各ブラインドサンプルについての測定値は、トレーニングセットによって定義され、かつ相互検証された得られる分類子の1つ以上を使用して評価することができる。加えて、得られる分類子の2つ以上を使用する投票スキームもまた使用できる。例えば、初期計算、バイナリロジックゲート、および「コミッティマシン」投票から成るアルゴリズムを使用することができる。初期計算:ロジット関数Xiは参照データセットに対して、ROC面積>例えば、0.6、0.7、0.8、または0.9を与えた数式(I=1〜N)の各々について計算することができる。ロジックゲート:Xi<jの閾値である場合、(ここで、jは数式の数を示す)、ブラインドサンプルは、数式番号jについてスコアSi=−1を与えられる。Xi≧jの閾値である場合は、これは数式番号jについてスコアSi=+1を与えられる。コミッティマシンによる投票(23):次いで、投票は、診断のために使用される10個以上のロジット式からのスコアに対して取ることができる。定義により、投票=Σ Siである。投票≦0である場合、サンプルは「前立腺癌なし」と呼ばれるのに対して、投票>0である場合、サンプルは「疾患を有するかまたは膀胱癌を有する」と呼ばれる。
実施例9
非膀胱癌から膀胱癌を区別する際に有用である、分類子を生じる数学的モデルとしての選択されたバイオマーカーの2つの遺伝子の「比率」の適用
ハウスピーピング遺伝子を同定する必要性を回避するために、2つの発現された遺伝子のディファレンシャルな発現を直接的に比較するストラテジーが実行され、驚くべきことに、ハウスキーピング遺伝子を利用する場合よりも有益であることが判明した。(血液からではなく)組織からのc−DNAアレイデータを使用する、疾患群の区別のための対様遺伝子比率の使用は以前に記載されている(16、17)。この技術は、生物学的因子および技術的因子によって引き起こされる個体間の変動を減少し、また、データの獲得のための発現測定プラットフォームとは独立している。対様遺伝子法の他の利点は、この方法が、サンプル量の入力とは比較的に独立しており、ハウスキーピング遺伝子を負荷対照として使用することを不要にし、そしてこの方法は少量のRNAのみを必要とするという事実を含む。最後に、下方制御された遺伝子に対する、上方制御された遺伝子の比率の使用はシグナルを増幅し、従って、アッセイをより高感度にする。
表10に示されるように、5つのバイオマーカーが、膀胱癌患者と対照患者との間で上方制御され、そして5つのバイオマーカーが下方制御されたとして同定された。本実施例において、2つのバイオマーカーの組み合わせ(1つは上方制御され、1つは下方制御される(ここで、上方制御されるとは、膀胱癌を有さない患者と比較して、膀胱癌を有する患者においてより高いレベルの発現を有する遺伝子をいい、下方制御されるとは、膀胱癌を有さない患者と比較して、膀胱癌を有する患者においてより低いレベルの発現を有する遺伝子をいう))は、表10に列挙されたバイオマーカーからの異なる対の組み合わせの診断能力を決定するために、ロジスティック回帰への入力のために選択した。多数の組み合わせが最大確率ロジスティック回帰において評価され、「膀胱癌」対「対照」の区別能力を決定した(ROC面積>0.5)。
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試験された対のうち、IGFBP7とCHD2との比率ΔCtから成るトレーニング集団を使用することが、膀胱癌患者(n=20)を正常患者(n=14)から区別する際に最高の性能であった。この対のスコアリングは、0.907のAUC、80.0%の感度(95% CI 56.3〜94.1%)、および92.9%の特異性(95% CI 66.1〜98.8%)を生じる。IGFBP7とNELL2の間のΔCtは2番目によいとランク付けられ、0.879のAUC、90.0%の感度(95% CI 68.3〜98.5%)、および85.7%の特異性(95% CI 57.2〜97.8%)であった。
この比率は、引き続いて、より多くの個体から成る第2のトレーニング集団に対して試験され、すなわち、このコホートにおいて生じるアッセイの感度は83%であり、40例の膀胱癌の症例のうちの34例が正確に予測された。注目すべきものとして、このアッセイによって膀胱癌を有さないと誤って予測された6例の膀胱癌の患者のうちの3例が、切除された表在性膀胱癌を有する患者であった。このことは、患者の予後診断を決定する際に有用であり得る。アッセイの特異性は93%であり、27例の健常対照のうちの2例のみが膀胱癌を有するとして誤って予測された。
実施例9
膀胱癌であるかそうでないかを区別する際に有用である分類子を生じる数学的モデルとしての選択されたバイオマーカーの2つの遺伝子の「比率」の適用
表13からのマーカーのサブセットを、膀胱癌を有する患者をスクリーニングおよび/または診断するためのバイオマーカーの使用のための遺伝子の比率の有用な組み合わせをより徹底的に同定するために選択した。膀胱癌を有する20例の個体および膀胱癌を有さない14例の個体から成る参照トレーニング集団を選択した。参照データセットは、選択されたバイオマーカーSNX16、CSPG6、IGFBP7、およびCTSDおよびTNFRSF7、NELL2、およびCHD2のRNA産物の比率のΔCtに対応する。従って、ΔCt比率は、QiagenのQuantiTect(商標)SYBR(登録商標)Green PCRキットを使用する定量リアルタイムRT−PCR(QRT−PCR)を使用して、CHD2/CTSD、CHD2/SNX16、CHD2/CSPG6、CHD2/IGFBP7、CHD2/TNFRSF7、CHD2/NELL2、NELL2/SNX16、NELL2/CSPG6、NELL2/IGFBP7、NELL2/CTSD、NELL2/TNFRSF7、TNFRSF7/SNX16、TNFRSF7/CSPG6、TNFRSF7/IGFBP7、TNFRSF7/CSTD、CTSD/SNX16、CTSD/CSPG6、CTSD/IGFBP7、IGFBP7/SNX16、IGFBP7/CSPG6、およびCSPG6/SNX16について決定した。ここで、各対のCtは、Ct値のより良好な比較を可能にするために、単一の96ウェルプレート中で測定した(当業者によって理解されるように、類似の結果が、異なる色の蛍光を用いて、多重プローブおよびTaqManプローブを使用して得ることが可能な点に留意すること)。この様式で対を同定することは、単一項として遺伝子の対の発現レベルを表示するために、値の項をロジスティック回帰に入力することを可能にする。それゆえに、1つの比率、2つの比率、3つの比率、4つの比率、5つの比率、6つの比率、またはすべての比率の組み合わせを作製することができ、その結果、以下の数式のロジスティック回帰式(分類子)が得られる:
X=ロジット(P)=ln(P/(1−P))=b+bΔCt+bΔCt+...+bΔCt (式1)
P=患者サンプルが「疾患である」(例えば、膀胱癌を有する)と診断される確率である場合、以下のように、単一の比率の組み合わせについての型を取る:
X=ロジット(P)=ln(P/(1−P))=b+bΔCt (式2)
ここで、ΔCtは上記に記された比率のいずれか1つに対応するデータである。
または、以下のように、2つの比率の組み合わせについての型を取る:
X=ロジット(P)=ln(P/(1−P))=b+bΔCt+ΔCt (式3)
ここで、ΔCtは上記に記された比率のいずれか1つに対応するデータであり、ΔCtもまた上記に記された比率のいずれかに対応するデータである。
同様に、すべての3つの比率の組み合わせ、4つの比率の組み合わせ、および5つの比率の組み合わせを試験した。
ROC面積>0.5、0.55より上、0.6より上、0.65より上、0.7より上、0.75より上、0.8より上、0.85より上、0.9より上または0.95より上を有する各々の得られる分類子は、膀胱癌を有する試験個体または膀胱癌を有さない試験個体を診断またはスクリーニングするために使用することができる。単一の比率、2つの比率、3つの比率、および4つの比率の組み合わせから生じる分類子のグラフの結果を表1−4に示す。
代表的な分類子は、膀胱癌を有する40例の個体および27例の対照個体の拡大されたトレーニング集団を使用する4つの比率であり、表19に示され、3つの比率の代表的な分類子は表20に示され、2つの比率の代表的な分類子は表21に示され、そして単一の比率の代表的な分類子は以下の表22に示される。
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本願を通して引用されるすべての参考文献、特許、および特許出願(公開された特許出願を含む)の内容は、参照により本明細書に援用される。
等価物
当業者は、本明細書に記載された本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を、日常的な実験を超えないものを使用して、認識するか、または確認する。このような等価物は添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
実施例9に記述される7個のバイオマーカーの比率の21通りのすべての可能な組み合わせを示す本発明の1つの実施形態のグラフ表示である。各々の可能なバイオマーカーの組み合わせから生じるロジスティック回帰の各分類子についてのROCは青で記している。各々の得られる分類子について、感度は赤で記し、ここで特異性は90%に設定されている。感度が90%に設定されている各分類子についての特異性は緑色で記している。 実施例9に記す7個のバイオマーカーの2つの比率の210通りのすべての可能な組み合わせを示す本発明の1つの実施形態のグラフ表示である。各々の可能なバイオマーカーの組み合わせから生じるロジスティック回帰の各分類子についてのROCは青で記している。各々の得られる分類子について、感度は赤で記し、ここで特異性は90%に設定されている。感度が90%に設定されている各分類子についての特異性は緑色で記している。 実施例9に記す7個のバイオマーカーの3つの比率の1330通りの可能な組み合わせのうちの1295通りを示す本発明の1つの実施形態のグラフ表示である(全数検索を行うことは可能であるが、しかしこの場合は完了しなかったことに注意のこと)。各々の可能なバイオマーカーの組み合わせから生じるロジスティック回帰の各分類子についてのROCは青で記している。各々の得られる分類子について、感度は赤で記し、ここで特異性は90%に設定されている。感度が90%に設定されている各分類子についての特異性は緑色で記している。 実施例9に記す7個のバイオマーカーの4つの比率の5985通りの可能な組み合わせのうちの5250通りを示す本発明の1つの実施形態のグラフ表示である(分析のためのコンピューターの時間の長さを単に増加させることで、全数検索を行うことは可能であることに注意のこと)。各々の可能なバイオマーカーの組み合わせから生じるロジスティック回帰の各分類子についてのROCは青で記している。各々の得られる分類子について、感度は赤で記し、ここで特異性は90%に設定されている。感度が90%に設定されている各分類子についての特異性は緑色で記している。

Claims (32)

  1. 被験体において膀胱癌または膀胱癌の段階をスクリーニングする方法であって:
    (a)該被験体の単離された血液サンプル中で、表13に示されるバイオマーカーの群から選択される第1のバイオマーカーのRNA産物のレベル;および該バイオマーカーの群から選択される第2のバイオマーカーのRNA産物のレベルを決定する工程;ならびに
    (b)該第1のバイオマーカーおよび第2のバイオマーカーの各々について、該RNA産物の対照レベルを、該バイオマーカーによってコードされ、かつ1例以上の対照被験体からの単離された血液サンプル中で検出されるRNAの対照レベルと比較する工程であって、ここで、該バイオマーカーの各々について、工程(a)のRNAの該レベルと該対照レベルとの統計学的に有意な違いの決定が、該被験体における膀胱癌、または該膀胱癌の段階を示す、工程
    を包含する、方法。
  2. 被験体において膀胱癌または膀胱癌の段階をスクリーニングする方法であって:
    (a)該被験体の単離された血液サンプル中で、表13に示されるバイオマーカーの群から選択されるバイオマーカーによってコードされるRNAのレベルを決定する工程;ならびに
    (b)該レベルを対照レベルと比較する工程であって、該対照レベルは該バイオマーカーによってコードされ、かつ1例以上の対照被験体の単離された血液サンプル中で検出されるRNA産物のレベルであり、ここで、工程(a)の該レベルと該対照レベルとの違いが、該被験体における膀胱癌、または該膀胱癌の段階を示す、工程
    を包含する、方法。
  3. 該バイオマーカーの群がSNX16、CSPG6、IGFBP7、CTSDおよびTNFRSF7、NELL2、ならびにCHD2に限定される、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
  4. 該単離された血液サンプルが全血から成る、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
  5. 該単離された血液サンプルが一滴の血液から成る、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
  6. 該バイオマーカーの各々についての工程(a)の該RNAのレベルの決定が、該被験体の血液サンプルからRNAを最初に単離することによってもたらされる、請求項1に記載の方法。
  7. 該バイオマーカーの各々についての工程(a)の該RNAのレベルの決定が、定量リアルタイムRT−PCR(QRT−PCR)を使用してもたらされる、請求項1に記載の方法。
  8. 該バイオマーカーの各々についての工程(a)の該RNAのレベルの決定が、該バイオマーカーの各々のRNA産物に相補的な少なくとも1つのプローブを含むアレイに、該バイオマーカーの各々によってコードされる該RNA産物をハイブリダイズすることによってもたらされる、請求項1に記載の方法。
  9. 該バイオマーカーの各々についての工程(a)の該RNAのレベルの決定が、該RNA産物に由来するcDNA、PCR産物、またはESTを、該バイオマーカーの各々のcDNA、PCR産物、またはESTに相補的な少なくとも1種のプローブを含むアレイにハイブリダイズさせることでもたらされる、請求項1に記載の方法。
  10. 対照レベルが膀胱癌を有さない1例以上の個体に由来する、請求項1に記載の方法。
  11. 被験体において膀胱癌または膀胱癌の段階をスクリーニングする方法であって:
    (a)該被験体の単離された血液サンプル中で、表13に示されるバイオマーカーの群から選択される第1のバイオマーカーのタンパク質産物のレベル;および該バイオマーカーの群から選択される第2のバイオマーカーのタンパク質産物のタンパク質発現レベルを決定する工程;ならびに
    (b)該第1のバイオマーカーおよび第2のバイオマーカーの各々について、該タンパク質産物のレベルを、該バイオマーカーによってコードされ、かつ1例以上の対照被験体からの単離された血液サンプル中で検出されるタンパク質産物の対照レベルと比較する工程であって、ここで、該バイオマーカーの各々について、工程(a)のタンパク質産物の該レベルと該対照レベルとの統計学的に有意な違いの決定が、該被験体における膀胱癌、または膀胱癌の段階を示す、工程
    を包含する、方法。
  12. 被験体において膀胱癌または膀胱癌の段階をスクリーニングする方法であって:
    (a))該被験体の単離された血液サンプル中で、表13に示されるバイオマーカーの群から選択されるバイオマーカーによってコードされるタンパク質産物のレベルを決定する工程;ならびに
    (b)該レベルを対照レベルと比較する工程であって、該対照レベルは該バイオマーカーによってコードされ、かつ1例以上の対照被験体の単離された血液サンプル中で検出されるタンパク質産物のレベルであり、ここで、工程(a)の該レベルと該対照レベルとの違いの決定が、該被験体における膀胱癌、または膀胱癌の段階を示す、工程
    を包含する、方法。
  13. 少なくとも2種の固有のバイオマーカーのタンパク質産物に選択的に結合する2種以上の単離されたタンパク質のコレクションを含む組成物であって、ここで、該固有のバイオマーカーの各々が表13に列挙されるバイオマーカーの群から選択される、組成物。
  14. バイオマーカー特異的プライマーの2つ以上のセットのコレクションを含む組成物であって、ここで、各セットが1つの固有のバイオマーカーに相補的な二本鎖DNAを選択的に増幅し、該固有のバイオマーカーの各々が表13に列挙されるバイオマーカーの群から選択される、組成物。
  15. バイオマーカー特異的プライマーの3つ以上のセットのコレクションを含む組成物であって、ここで、各セットが1つの固有のバイオマーカーに相補的な二本鎖DNAを選択的に増幅し、該固有のバイオマーカーの各々が表13に列挙されるバイオマーカーの群から選択される、組成物。
  16. バイオマーカー特異的プライマーの4つ以上のセットのコレクションを含む組成物であって、ここで、各セットが1つの固有のバイオマーカーに相補的な二本鎖DNAを選択的に増幅し、該固有のバイオマーカーの各々が表13に列挙されるバイオマーカーの群から選択される、組成物。
  17. バイオマーカー特異的プライマーの5つ以上のセットのコレクションを含む組成物であって、ここで、各セットが1つの固有のバイオマーカーに相補的な二本鎖DNAを選択的に増幅し、該固有のバイオマーカーの各々が表13に列挙されるバイオマーカーの群から選択される、組成物。
  18. バイオマーカー特異的プライマーの2つ以上のセットのコレクションを含む組成物であって、ここで、各セットが1つの固有のバイオマーカーに相補的な二本鎖DNAを選択的に増幅し、該固有のバイオマーカーの各々が、SNX16、CSPG6、IGFBP7、ならびにCTSDおよびTNFRSF7、NELL2およびCHD2から成るバイオマーカーの群より選択される、組成物。
  19. バイオマーカー特異的プライマーの3つ以上のセットのコレクションを含む組成物であって、ここで、各セットが1つの固有のバイオマーカーに相補的な二本鎖DNAを選択的に増幅可能であり、該固有のバイオマーカーの各々が、SNX16、CSPG6、IGFBP7、ならびにCTSDおよびTNFRSF7、NELL2およびCHD2から成るバイオマーカーの群より選択される、組成物。
  20. 少なくとも2種の固有のバイオマーカーのタンパク質産物に選択的に結合する2種以上の単離されたタンパク質のコレクションを含む組成物であって、ここで、固有のバイオマーカーの各々が、SNX16、CSPG6、IGFBP7、ならびにCTSDおよびTNFRSF7、NELL2およびCHD2から成るバイオマーカーの群より選択される、組成物。
  21. 該単離されたタンパク質が抗体である、請求項20に記載の組成物。
  22. 単離された生物学的サンプル中で、その各々が固有のバイオマーカーによってコードされる少なくとも2種の別個のタンパク質の存在を選択的に結合するための、請求項13に記載の組成物の使用であって、ここで、該固有のバイオマーカーの各々が表13に示されるバイオマーカーから成る群から選択される、使用。
  23. 単離された生物学的サンプル中で、少なくとも2種の固有のバイオマーカーに相補的な二本鎖DNAを選択的に増幅するための、請求項14に記載の組成物の使用であって、ここで、該固有のバイオマーカーの各々が表13に列挙されるバイオマーカーから成る群から選択される、使用。
  24. 単離された生物学的サンプル中で、少なくとも3種の固有のバイオマーカーに相補的な二本鎖DNAを選択的に増幅するための、請求項15に記載の組成物の使用であって、ここで、該固有のバイオマーカーの各々が表13に列挙されるバイオマーカーから成る群から選択される、使用。
  25. 単離された生物学的サンプル中で、少なくとも4種の固有のバイオマーカーに相補的な二本鎖DNAを選択的に増幅するための、請求項16に記載の組成物の使用であって、ここで、該固有のバイオマーカーの各々が表13に列挙されるバイオマーカーから成る群から選択される、使用。
  26. 単離された生物学的サンプル中で、少なくとも5種の固有のバイオマーカーに相補的な二本鎖DNAを選択的に増幅するための、請求項17に記載の組成物の使用であって、ここで、該固有のバイオマーカーの各々が表13に列挙されるバイオマーカーから成る群から選択される、使用。
  27. 単離された生物学的サンプル中で、少なくとも2種の固有のバイオマーカーに相補的な二本鎖DNAを選択的に増幅するための、請求項18に記載の組成物の使用であって、ここで、該固有のバイオマーカーの各々がSNX16、CSPG6、IGFBP7、ならびにCTSDおよびTNFRSF7、NELL2およびCHD2から成るバイオマーカーの群より選択される、使用。
  28. 単離された生物学的サンプル中で、少なくとも3種の固有のバイオマーカーに相補的な二本鎖DNAを選択的に増幅するための、請求項19に記載の組成物の使用であって、ここで、該固有のバイオマーカーの各々がSNX16、CSPG6、IGFBP7、ならびにCTSDおよびTNFRSF7、NELL2およびCHD2から成るバイオマーカーの群より選択される、使用。
  29. 被験体から単離された血液サンプル中で、膀胱癌または膀胱癌の段階についてスクリーニングするための、請求項13、14、15、16、17、18または19のいずれか一項に記載の組成物の使用。
  30. 請求項1に記載の方法を実施するためのキットであって、該キットは、バイオマーカー特異的プライマーの各セットが固有のバイオマーカーに相補的な二本鎖DNAを生じ、固有のバイオマーカーは各々該バイオマーカーの群から選択される、バイオマーカー特異的プライマーの少なくとも2つのセット;
    (b)逆転写酵素活性を有する酵素;
    (c)耐熱性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素、および
    (d)標識手段
    を含み;
    ここで、該プライマーセットの各々は、被験体中での該固有のバイオマーカーの定量的発現レベルを検出するために使用される、キット。
  31. 請求項1に記載の方法を実施するためのキットであって、該キットは、バイオマーカー特異的プライマーの各セットが固有のバイオマーカーに相補的な二本鎖DNAを生じ、各固有のバイオマーカーはSNX16、CSPG6、IGFBP7、CTSD、TNFRSF7、NELL2、CHD2から成るバイオマーカーの群より選択される、バイオマーカー特異的プライマーの少なくとも2つのセット;
    (b)逆転写酵素活性を有する酵素;
    (c)耐熱性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素、および
    (d)標識手段
    を含み;
    ここで、該プライマーセットの各々は、被験体中での該固有のバイオマーカーの定量的発現レベルを検出するために使用される、キット。
  32. キットであって、
    (a)請求項14、15、16、17、18または19のいずれか一項に記載の組成物;
    (b)逆転写酵素活性を有する酵素;
    (c)耐熱性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素、および
    (d)標識手段
    を含み;
    ここで、バイオマーカー特異的プライマーのセットの各々が、被験体中で固有のバイオマーカーの定量的発現レベルを検出するために使用される、キット。
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