(詳細な説明)
参照番号は構造や構成要素を示す図全般、また特に図1を参照すると、患者に輸液剤を供給するための輸液供給システム10が示される。輸液供給システム10は、輸液セット12、輸液装置14、信号18を生成する検出装置16、制御装置20を含む。輸液セット12は、輸液剤源22、輸液剤源22から延びる輸液管24、およびスライドクランプ26を含む。
輸液装置14は、患者に流体をポンプで注入することが可能な当技術分野で一般に知られているいかなる医療装置であってもよい。かかる装置の例としては、カセットポンプや蠕動ポンプが挙げられるがこれらに限定されない。輸液装置14は、患者に流体を蠕動的に供給することが可能な医療装置であることが望ましい。かかる蠕動輸液装置の例は、米国特許第6,123,524号に記述されるが、これは参照により本開示に含まれる。輸液装置14は、スライドクランプ26を収容するためのポート15をさらに含む。
輸液剤28は、輸液剤源22に含まれる。輸液剤源22は、当技術分野で一般に知られたポリマー材料から成るガラスあるいは剛性または柔軟性の容器から成ってよい。輸液剤28は、輸液装置により投与されるいかなる流体あるいはいかなる流体薬剤であってもよい。輸液剤28の例としては、塩あるいはデキストロース溶液、栄養液、透析液、血液、血液成分、代用血液などが挙げられるが、これに限定されない。
輸液管24は、輸液剤源22から延び、輸液装置14に接続するよう適切に構成される遠位端30を有する。それにより輸液管24は、輸液剤28の輸液装置14への供給を可能とする経路あるいは流体接続を提供する。当業者には、輸液管24が折りたたみ可能で柔軟なポリマー材料から成ってよいことは明らかである。輸液管24の組成は、輸液剤源22の組成と同じであっても、あるいは異なってもよい。
輸液セット12は、輸液管24を収容するよう構成される開口32を有するスライドクランプ26をさらに含む。開口32は、幅広部34および幅狭部36を含む。当業者には、輸液管24が幅広部34に収容されているとき、輸液剤が輸液管24を通過してよく、一方輸液管24が幅狭部36に収容されているとき、輸液剤は輸液管24の通過を阻止されることは明らかである。スライドクランプ26は、本体40および周縁42をさらに含む。スライドクランプ26は、木材、金属、あるいはポリマー材料などを含むがこれに限定されない任意の剛性材料で作られてよいが、ポリマー材料が望ましい。
一実施形態では、スライドクランプ26は、ポリプロピレンなどのプラスティック材料から作られてよく、射出成形により製造される。スライドクランプ26は、PETGなどのグリコール化ポリエステル、コポリエステル、DELRIN(登録商標)などのアセチル樹脂、あるいは精密な製造公差を維持することが可能で、輸液管24内の圧力に耐えられ、スライドクランプ26の機能性を損なうことなくガンマ線滅菌やEtO滅菌を含む各種滅菌技術に耐えられる、その他の適切ないかなる材料から作られてもよい。一実施形態では、スライドクランプ26は、高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレンと、任意により、以下に詳細を記す添加剤から作られてよい。
信号要素38は、当技術分野でよく知られている任意の適切な配置によりスライドクランプ26上に配置される。従って、「配置される」とは、信号要素38がスライドクランプ26の上、中、内に、またはそれを通して設置されることを意味する。「配置される」という表現はさらに、前述の位置の組み合わせを含む位置を意味する。従って、信号要素38の一部はスライドクランプ26上に設置してよく、同時に信号要素38の別の部分はスライドクランプ26の内部に設置してよい。これについては、以下でさらに詳細を述べる。
信号要素38は、輸液セット12の投与プロトコルを識別する。投与プロトコルは、患者への輸液剤28の供給に関係する、関連する、あるいは対応するいかなる情報も含んでよい。従って、投与プロトコルは、輸液セット12および輸液装置14に関連付けられるいかなる指示、情報、パラメータ、指標、使用法、識別子、しるし、データ、あるいは指令を含んでもよい。
投与プロトコルにより識別される情報の非限定的な例としては、輸液経路の種類、輸液供給の形式、輸液供給温度、輸液剤の種類、輸液管の組成、輸液の流速、輸液剤の量、輸液剤投薬単位、輸液剤投薬時間、輸液剤投薬量、輸液期間、複数の輸液剤源、複数の輸液剤の混合、二次的輸液投与、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。投与プロトコルは、例えば患者の名前、性別、身長、体重、療法の種類、病気の種類、状態の種類などの患者情報も含んでよい。
輸液経路の種類の非限定的な例としては、静脈内、非経口、経腸、硬膜外皮下、筋肉内、あるいはその他の薬物投与経路が挙げられるが、これらに限定されない。輸液供給の形式は、持続輸液、交互輸液、連続輸液、漸減輸液、二次的輸液剤またはピギーバックのパラメータ、輸液剤滴下速度、および漸増輸液などの投薬情報を識別してもよい。輸液供給の形式は、輸液管の組成、および抗張力、弾性係数、融点または形状、サイズ、材料の種類、または特徴などの物理的特性、あるいは適当な薬液適合性または輸液の経路に係る管の要素に関する情報をさらに含んでよい。輸液剤の種類は、輸液剤流体または流体の組成を識別してよく、あるいはその輸液中に複数の輸液剤流体が供給されるかどうかを指示してよい。
さらに、投与プロトコルは診断情報を含んでよい。診断情報を使用して、輸液装置あるいはその他任意の輸液システムの要素で診断テストあるいは診断ルーチンをおこなってよい。例えば、診断的輸液セットは、テストで使用する特別な流体を含有する輸液剤源を含んでよく、その特別な流体に基づく輸液装置の予測される操作パラメータは、診断基準として使用してよい。
システム10の検出装置16は、信号要素38を検出できる当技術分野で一般に知られているいかなる装置であってもよい。検出装置16は、信号要素38によって識別される投与プロトコルを検出、あるいは決定する。検出装置16は、輸液装置14の要素であっても、あるいは全体であってもよい。あるいは、検出装置16は、輸液装置14から遠隔位置に設置されてもよい。検出装置16は、移動可能な検出装置であってもよい。移動可能な検出装置として、検出装置16は輸液装置14の筐体から取外し可能であってよい。
信号要素38を検出すると、検出装置16は、信号要素によって識別される投与プロトコルに基づく信号18を生成する。検出装置16は、続いて信号18を制御装置20に送信する。信号18を受信すると、制御装置20は信号を読み取り、投与プロトコルを識別、解釈する。制御装置20は、輸液装置14に作動可能に接続され、輸液装置14が投与プロトコルに従って作動するように設定するようさらに構成される。
制御装置20は、信号18に含まれる投与プロトコル情報を処理する処理装置を含むことが望ましい。制御装置20は、輸液装置14の要素であってよい。あるいは、制御装置20は、輸液装置14から遠隔位置に設置してもよい。制御装置20は、投与プロトコルに関する情報を医療専門家あるいは患者に対し、表示および/または指示、あるいは告知する表示部21をさらに含んでよい。
投与プロトコルは、通常英数字によって表される既定の投与プロトコルであるが、バイナリコード、UPCコード、あるいは当技術分野で一般に知られているその他の設計されたコードなど、他の識別子によって表されてもよい。英数字は、輸液装置に送信される既定の一連の輸液剤投与パラメータを表す。信号18を受信すると、制御装置20は、英数字によって表される既定の投与プロトコルを認識するようプログラムされる。次に制御装置20は、既定のパラメータに従って輸液装置14を設定する。
例えば、標準非経口用生理食塩水500mlを流速2.6ml/分で供給するための投与プロトコルを識別するために、「12」という英数字表示を既定してよい。検出装置16が英数字表示「12」を検出し、続いて制御装置20が英数字表示「12」を伝える信号を受信すると、制御装置20は、信号から投与プロトコルを処理し、英数字「12」により示される既定の設定に輸液装置14を設定する(制御装置は非経口用の管のポートを起動し、ポンプおよびタイミング要素を流速2.6ml/分に設定する)。システム10は、1から約64以上の異なる既定の投与プロトコルから識別するよう構成されることが望ましい。
本開示の一つの局面によると、信号要素38は、図2〜11に示される光学信号要素である。適切な光学信号要素の例としては、バーコード、反射性材料、蛍光性または燐光性材料、反射箔、金属部品、カラー、半透明または透明材料、印刷、エッチング、インク、インクで印字したコード、紫外線(UV)インクまたは色素、赤外線(IR)インクまたは色素、接着インク、接着材、焼印、熱マーキング、レーザーマーキング、スライドクランプを貫いて延びる穴の配置、スライドクランプ表面から延びる突起の配置、スライドクランプ表面の一部に配置されるくぼみの配置、スライドクランプ表面上に配置される突起およびくぼみの配置が挙げられるがこれらに限定されない。光学信号要素の特定の実施形態にかかわらず、当然ながら、検出装置16は光学信号要素を検出するよう適切に構成される。
本開示の一つの局面によると、図2は光学信号要素44を示し、これはバーコード46であってよい。バーコード46は、当技術分野で一般に知られているように、投与プロトコル情報によってコード化することが可能ないかなるバーコードであってもよいが、統一商品コード(UPC)が望ましい。バーコード46は、既定の投与プロトコルを表す英数字を識別することが望ましい。バーコードリーダ48は、バーコード46を検出し、投与プロトコルに基づき信号を生成し、その信号を制御装置20に送信する。バーコードリーダ48は、輸液装置20の要素であっても、そうでなくてもよい。バーコードリーダ48は、制御装置20に電子的に接続される移動可能な装置であることが望ましい。
本開示の別の局面によると、光学信号要素50は、図3に示されるように、穴54の配置52である。一実施形態では、スライドクランプ26は、スライドクランプ本体40を貫いて延びる複数の穴54を備えるよう形成される。穴54は、当技術分野で一般に知られている任意の方法で、スライドクランプ26を貫いて形成されてよい。スライドクランプ26は、ポリマー材料から作られ、ポリマー材料の融点より高温に加熱したホットプローブなどの突起物を使用して、スライドクランプ26の本体40を完全に貫通させることが望ましい。あるいは、穴54は、穴開け機を使用して本体40を貫いてよく、あるいはレーザーにより形成しても、スライドクランプ26の成形中に形成してもよい。穴54は、同様の方法で、縁42のどの部分を貫いて形成してもよい。穴54は、多角形、楕円形、スロット形状など、穴に光を通過させるいかなる形状でもよいが、円形が望ましい。配置52は、希望する任意の穴54の形状、配置、または配置パターンを備えてよい。配置52は、図3に示すように、穴の長方形配置であってよい。あるいは、光学信号要素50は、図4に示すように、線状に並んだ穴54の配置52であってもよい。
穴54は、光がスライドクランプ26を透過できるよう形成される。配置52における穴54の位置が、投与プロトコルを決定してよい。あるいは、配置52における穴54の数が投与プロトコルを識別してもよい。さらに、配置52における穴54の位置と数が投与プロトコルを識別してもよい。配置52は、既定の投与プロトコルの英数字表示を識別することが望ましい。
一実施形態では、光学信号要素50aは、図5Aに示すように、複数あるいは一つの透明部55の配置を有するスライドクランプ26を含んでよい。透明部55は透明材料あるいは半透明材料であってよく、これには半透明ポリマー材料やガラスが例として挙げられるがこれに限定されない。図6Aに示すように、スライドクランプ本体の他の部分が不透明材料あるいは光の伝播が不可能な材料で作られているのに対し、透明部55は光の伝播を可能としてよい。スライドクランプの透明部55の数および/または位置が、投与プロトコルを識別してよい。透明部55を含むスライドクランプは、当技術分野で一般に知られている2ショット成形過程により形成してよい。最初の成形ショットは、スライドクランプ型に不透明材料を射出し、続いて透明ポリマー材料による2度目の成形ショットで透明部を形成してよい。
光学検出装置56は、図5に示すように、光学信号要素50を検出するために使用する。光学検出装置56は、スライドクランプポート15の隣接に配置される輸液装置14の要素であることが望ましいが、光学的検出装置は輸液装置14から遠隔に設置してもよい。光学検出装置56は、リニア光学アレイ、レーザー光源、あるいは当技術分野で一般に知られている類似の装置であってよい。検出装置56は、発光体58および受光体60を含む。スライドクランプ26がポート15にあるとき、図5および6に示すように、発光体58は穴54を通る光を放つ。受光体60は、スライドクランプ26上あるいは反対側に配置され、発光体58からの穴54を通過して光線62、64、66を形成する光を検出するよう位置付けられる。従って、既定の位置における穴の有無による光線62、64、66の数と配置(光線の有無)を利用して、特定の値を示してよい。光学検出装置56は、同様の方法で光学信号要素50a(図5Aおよび6A)を検出してよい。例えば、発光体58から放たれた透明部55を通る光は、受光体60によって検出されてよい。
例えば、光線62、64、66の受信/非受信は、図5に示すように、1、1、0、1の検出パターン(「1」は光線の受信、「0」は光線の非受信)に変換してもよい。かかるパターンは、1101の二進値などの数値表現を示してよい。追加光線67は、エラー検出のためのパリティービットとしての役割を果たしてよい。次に二進値の1101を利用して、制御装置20に既定の投与プロトコルを示してよい。上述の方法で、これにより光学的検出装置56は受光体60に受信された光線の数、光線の配置、あるいは光線の数と配置の組み合わせに基づき投与プロトコルを識別するよう構成される。
本開示の別の局面によると、光学信号要素68は、図7および8に示されるように、突起72の配置70であってよい。突起72は、スライドクランプ本体40の表面(図7)あるいは縁42の外面(図8)から延びる。光学的検出装置74は、当技術分野で一般に知られているように、突起72の存在、突起72の間隔を検出するように構成される。
配置52についての記述に類似して、配置70における突起72の数あるいは配置70における突起72の位置を利用して、投与プロトコルを識別してもよい。さらに、配置70における突起72の数と位置の組み合わせを利用して、投与プロトコルを識別してもよい。誤検出を避けるために、少なくとも一つの突起が、光学的検出装置にパリティービットを示す役割を果たすことが望ましい。
本開示の別の局面によると、光学信号要素76は、図9に示すように、くぼみ80の配置78を含む。くぼみ80は、本体40の表面あるいは縁42の表面から内側に延びるいかなるすき間、削り跡、空洞、圧痕、へこみ、陥没、孔であってもよい。光学的検出装置82は、スライドクランプ26上に光を放ち、スライドクランプ26のくぼみのない表面から反射される光の明帯と比較して、くぼみ80から反射される光の暗帯を検出、区別するよう構成される。スライドクランプ26は、くぼみ80から反射される暗い光とくぼみのないスライドクランプ表面から反射される光とのコントラストを強調させるために、白色であることが望ましい。光学的検出装置82は、ポート15に隣接する輸液装置14の要素であることが望ましい。光学的検出装置82は、スライドクランプポート15の同側に配置される発光体と受光体を備えるリニア光学アレイであることが最も望ましい。光学的信号要素76は、スライドクランプがポート15に固定されているときに光学的検出装置82によってスキャンされることが望ましい。
図9に示すように、くぼみ80は本体40の表面上にお互いに隣接して配置されてよい。あるいは、図10に示すように、くぼみ80はスライドクランプ26の角部に配置されてもよい。また図11に示すように、くぼみ80は周縁42の表面上に配置されてもよい。配置78におけるくぼみの数、くぼみの位置、あるいはくぼみの数と位置の組み合わせは、すでに述べたように、特定の投与プロトコルを識別してよい。一実施形態では、突起および/またはくぼみの一つ、一部、あるいは全ては、突起とくぼみとの間にさらにコントラストをつけるためにインクで塗装してもよい。さらなる実施形態では、突起は第一のインクを含み、くぼみは第一のインクを対照させる第二のインクを含んでよい。
一実施形態では、突起の配置および/またはくぼみの配置は、機械信号要素であってよい。突起および/またはくぼみは、前述のように、スライドクランプ上のどの位置に位置付けられてもよい(本体あるいは縁)。配置が単一の突起、単一のくぼみ、複数の突起、複数のくぼみ、また一つ以上の突起と一つ以上のくぼみとの組み合わせを含んでよいことは当然である。機械的検出装置などの検出装置を利用して、突起および/またはくぼみの有無を検出してよい。一実施形態では、図11Aに示すように、スライドクランプ326はその縁表面上に突起372およびくぼみ380を備える。突起およびくぼみはスライドクランプの縁上に示されているが、突起/くぼみがスライドクランプ上のどの位置に設置されてもよいことは明らかである。機械的検出装置316は、スライドクランプの縁342に物理的に接触するプローブ320a、320b、320c、320dを含む。プローブと突起との接触は、プローブ320bおよび320dの収縮動作により示されるように、プローブを収縮させてよい。この収縮動作により突起の検出を導き出すスイッチを入れてよい。同様に、プローブに隣接するくぼみの存在は、プローブ320cの伸展により示されるように、プローブを伸展させてよい。このプローブの伸展動作がそれによりくぼみの検出を導き出すスイッチを入れてよい。機械的に検出される突起/くぼみの外形は、対応する投与プロトコルを表す既定の外形と比較してよい。単一の突起またはくぼみ、あるいは複数の突起および/またはくぼみは、機械信号要素であってよいことは明らかである。
一実施形態では、プローブが伸展あるいは収縮する程度あるいは範囲は、別個の投与プロトコルの検出に対応してよい。従って、突起のサイズおよび/またはくぼみの深さを利用して、異なる投与プロトコルを識別してよい。例えば、大きい突起の検出は、第一の投与プロトコルに対応し、一方小さい突起の検出は、第二の投与プロトコルに対応してよい。同様の方法で、くぼみの浅さあるいは深さにより異なる投与プロトコルをそれぞれ識別または区別してよい。
代替実施形態では、機械的検出装置を利用して、突起および/またはくぼみのあらゆる組み合わせの存在および/または不在を検出してよい。
突起72あるいはくぼみ80から成る光学信号要素は、どちらもスライドクランプの製造過程で備えてもよいため有利である。例えば、スライドクランプの型は、突起あるいはくぼみのどちらかを含むよう構成されてよい。従って、突起あるいはくぼみのどちらかから成る信号要素は、スライドクランプの製造過程での段階を追加に対する必要性をなくす。
当業者には、その他様々な光学信号要素の実施形態が認められる。例えば、スライドクランプの色を既定の投与プロトコルに関連させてもよい。検出装置は、スライドクランプの多数の色を検出し、区別するよう構成されてよい。あるいは、スライドクランプは、検出装置により検出可能な複数の色、あるいは色の組み合わせであってよい。それぞれの色あるいは色の組み合わせは、対応する投与プロトコルを指示するために使用してよい異なる反射係数あるいは光波長を備えてよい。検出装置は、異なる色を付けたスライドクランプから反射される光の異なる反射係数および/または光波長を検出、区別するよう構成されてよい。実施形態では、検出装置はTAOS TCS230などのカラー感知装置であってよい。
さらなる実施形態では、例えば青、赤、黄、緑など4色以上を利用して、4つ以上の別個の投与プロトコルを識別してよい。これらの色のうち一つを含むスライドクランプ(青いスライドクランプ、赤いスライドクランプ、黄色のスライドクランプ、緑のスライドクランプ)は、カラー感知装置により検出されると、それぞれ別個の反射率プロファイルを提供してよい。色を信号要素として利用すると、スライドクランプの製造で成形の修正がほとんどあるいは全く必要なくなるため有利となる。スライドクランプの成形中に、ポリマー樹脂に適当な色素を添加することが必要となるだけである。さらに、従来の輸液システムに使用されるクランプストッパー要素に修正を加える必要がない。
さらなる実施形態では、信号要素はレーザーマーキングであってよい。スライドクランプを成形するために使用するポリマー樹脂材料に二酸化チタンを添加してよい。次にレーザーを利用して、スライドクランプにエッチングを施し、レーザーマーキングを形成してよい。レーザーマーキングは、スライドクランプ本体およびスライドクランプの端部あるいは周縁を含む、スライドクランプ上のどの位置に形成してもよい。さらに、スライドクランプあるいは二酸化チタンまたはその他の添加剤を含まないその他一連の要素にレーザーマーキングあるいはエッチングを施してもよい。
一実施形態では、スライドクランプの材料組成に二酸化チタンを加えることで、白色のスライドクランプが形成される、あるいはスライドクランプの色が薄くなる。レーザーエッチングは、スライドクランプ表面上にスライドクランプの色よりも濃い色のレーザーマーキングを一つ以上形成する。レーザーマーキングは、100以上もの別個のレーザーマーキングパターンを形成し、対応して100以上もの異なる投与プロトコルを識別することが可能なため有利となる。
一実施形態では、スライドクランプは、HDPEなどのポリエチレンから作られてよい。ポリエチレンに添加剤を加え、当技術分野で一般に知られている方法で、希望に応じてスライドクランプを硬化あるいは軟化させてよい。すでに述べたように、次にレーザーを利用して、スライドクランプ表面にエッチングを施してよい。一実施形態では、レーザーはUVレーザー、YAGレーザー、あるいはC02またはその他のレーザーであってよい。さらなる実施形態では、レーザーマーキングは、当技術分野で一般に知られているコールドレーザー過程によって形成されてよい。
一実施形態では、リニアフォトアレイなどの検出装置は、レーザーマーキングを検出するよう設定してよい。リニアフォトアレイは、リニアフォトダイオードアレイ、一つ以上のLEDまたは青色LED、そしてスライドクランプ上のレーザーマーキングあるいはレーザーパターンの画像を捕らえる光学レンズを備える統合センサーを含んでよい。次に画像を、各マークが投与プロトコルに対応する既定のマークのデータベースと比較してよい。
一実施形態では、スライドクランプ426は、図11Bに示されるように、二つ以上の材料を含んでよい。スライドクランプは、開口432を囲むあるいは実質的に囲む軟らかく滑らかな材料を有する内側部428を含んでよい。一実施形態では、内側部428は、HDPEなどのポリエチレン、ポリプロピレン、およびそれらの組み合わせであってよい。スライドクランプ426の外側部434は、より硬いあるいは堅い材料から成ってよい。一実施形態では、外側部434は、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、あるいはそれらの組み合わせであってよい。外側部434は、内側部428を囲むあるいは実質的に囲んでも、そうでなくてもよい。この形態では、軟らかい材料は開口を貫いて延びる管と適合性があり、それにより管に傷を付けることが避けられる。外側部434に硬質の外側の材料を使用すると、上述のように、信号要素438が、スライドクランプの外側部434上への印刷、ホットスタンプ、インク印刷またはコード、あるいはレーザーマーキングである場合、より適切な表面が得られ、よりよい結果が得られる。スライドクランプ426は、突起472およびくぼみ480を含んでも、含まなくてもよい。さらに、突起472、くぼみ480、あるいはその組み合わせを、当技術分野で知られる2ショット成形過程により形成してよい。検出装置は、ここで述べるいかなる検出装置であってもよい。一実施形態では、外側部は、前述のリニアフォトダイオードアレイにより検出可能であってよいレーザーマーキングを含む。
一実施形態では、2成分スライドクランプは、当技術分野で一般に知られている2ショット成形過程によってよい。2ショット成形過程は、シングルプレスによる2つのキャビティを有する型の提供を含んでよい。内側部は第一のキャビティを定め、外側部は第二のキャビティを定めてよい。第一および第二のポリマー樹脂は、それぞれ第一および第二のキャビティに、希望に応じ同時あるいは順次に堆積させてよい。内側部と外側部との接合部分は、化学的結合、機械的結合、およびその組み合わせを含んでよい。
光学信号要素はインクであってよく、検出装置はインクを検出するよう構成されてよい。インクは、投与プロトコルを識別するのに適切な任意の形状のしるしとして、スライドクランプの表面に塗布されてよい。インクのしるしの例としては、線と空白のパターン、点とダッシュのパターン、あるいは英数字または文字が挙げられるが、これに限定されない。検出装置が、インクのしるしから投与プロトコルを検出、決定するよう適切に構成されてよいことは明らかである。一つの実施形態では、インクは、紫外線検出装置により検出可能な紫外線インクであってよい。さらに、光に曝されたときに異なる反射係数を備えるよう構成されてよい反射性材料が光学信号要素として使用されてよく、またこれは本開示の範囲内である。さらに、スライドクランプ26は、半透明材料あるいは半透明材料の組み合わせから成り、これらを利用して光学的検出装置にかけられたときに光波長吸収など複数の識別可能な材料特性を提供してよい。
一実施形態では、光学的検出装置はTAOS(Texas Advanced Optical Solutions)リニアアレイであってよい。リニアアレイは、光源、光導体、レンズアレイ、ピクセル読取機、および制御装置への電気的接続を含んでよい。光学バリアを使用して、光源および光導体をレンズアレイおよびピクセル読取機から分離してよい。光源を使用して、光学信号要素上に光を投影する光導体を貫く光を放ってよい。光は次に光学信号要素に反射し、レンズアレイを通過してピクセル読取機に達する。ピクセル読取機は、特定の光学信号要素(くぼみ、突起、バーコード、またはインク)に基づく光のプロファイルを受信し、制御装置によるさらに処理のために、受信した光のプロファイルに対応する信号を電気的接続に送信する。このように光学的検出は、光がスライドクランプの単一の側面上に放たれ、そこから反射した結果おこなわれる。これは、光学的検出装置が隣接に位置付けられる必要があるのはスライドクランプの単一の側面のみであるため有利となる。
図12は、信号要素が電子信号要素84であってよい、本開示の実施形態を示す。電気信号要素84は、電気抵抗を有するいかなる導電性材料から成ってもよい。別個の投与プロトコルは、対応する電子抵抗値により関連付けられる、あるいは識別される。その結果、検出装置が電子信号要素84の抵抗を検出すると、検出装置および/または制御装置を使用して抵抗値を変換するか、あるいは適当な投与プロトコルに関連付けることができる。電子信号要素は、約64以上の異なる投与プロトコルから識別するよう構成されてよい。これは、電子信号要素84の形状、サイズ、あるいは材料組成を変更し、それにより電子信号要素の抵抗を変更することによりおこなってよい。一実施形態では、スライドクランプは導電性材料からなり、その抵抗は検出装置によって検出、あるいは測定されてもよい。従って、検出装置は、電子信号要素84および/またはスライドクランプ26の電子抵抗を検出することができるいかなる装置であってもよい。
電子信号要素84は、図12に示すように、スライドクランプ26の表面に取り付けられる導電性材料の細長片であってよい。適切な導電性材料の例としては、任意の金属あるいは任意の半導体材料が挙げられるが、これらに限定されない。電子信号要素84は、脚86をさらに含んでよい。脚86は、スライドクランプの表面上に配置された対応する穴88に収まり、それにより電子信号要素84をスライドクランプ26に固定するよう構成される。脚86は、接着材、摩擦ばめ、リベット、ねじ、あるいはスエージ加工された連結材を使用して、脚が穴に挿入されてから脚を曲げることにより、穴88に固定されてよい。あるいは、脚86は、スライドクランプの材料を貫通する先の尖った突起物でもよい。当業者には、さらに電子信号要素84が、当技術分野で一般に知られている接着材料あるいはインサート成形によってスライドクランプ26に取り付けられてもよいことは明らかである。
代替実施形態では、電子信号要素90は、図13に示すように、スライドクランプ26内に配置される電子抵抗器91であってよい。電子信号要素90は、当技術分野で一般に知られている方法でスライドクランプ26内に設置してよいが、インサート成形が望ましい。電子信号要素は、検出装置との電気通信のための接点94の対を露出するスライドクランプ26の表面に延びるワイヤ92を含んでよい。従って、電子信号要素90の検出は、検出装置を接点94に接触させ、要素90の抵抗を判断することによっておこなわれる。
本開示の別の局面では、信号要素は高周波(RF)信号要素であってよい。高周波信号要素は、図14に示すように、高周波識別(RFID)タグ96であることが望ましい。RFIDタグ96は、当技術分野で一般に知られているように、情報を受信、保存、送信することが可能である。RFIDタグ96は、アンテナ、RF信号を処理するための回路、マイクロプロセッサ、メモリ、および任意により電力供給装置を含んでよい。RFIDタグ96は、当技術分野で一般に知られているように、投与プロトコル情報あるいは既定の投与プロトコルにより事前にプログラムされてもよい。さらなる実施形態では、RFIDタグはチップレスRFIDタグであってよい。チップレスRFIDタグは、スライドクランプの表面に印刷された、あるいはスライドクランプ内部に埋め込まれたアンテナを含んでもよい。
RFIDタグ96は、当技術分野で一般に知られている接着材料あるいは熱接合により、スライドクランプ26の表面に付着させてよい。RFIDタグ96は、脚98を含むことが望ましいが、図15に示すように、脚98を本体40上に配置される対応する穴100に挿入し、RFIDタグ96をスライドクランプ26に付着させてよい。接着材料、摩擦ばめ、リベット、ねじ、あるいはスエージ加工による構成により脚98を穴100に固定し、穴100に挿入してから脚98を曲げてもよい。あるいは、タグ96はスライドクランプ26の内部にインサート成形されてもよい。
RFIDタグ96は、受動装置あるいは能動装置であってよい。受動装置としては、RFIDタグはRF質問信号の受信時にのみ、RF質問器から生成される作動電力を利用して信号を送信する。能動装置としては、RFIDタグはそれ自体の電力供給を備えて設定され、それにより信号を独力で送信することができる。受動RFIDタグは、能動RFIDタグより小型で軽量であり、RFIDタグ96は受動RFID装置であることが望ましい。
本開示の本実施形態では、検出装置はRFIDタグ98を検出するよう構成されるRF検出器である。RF検出器は、図14に示すように、RF質問器102であることが望ましい。通常、RF質問器102はアンテナ、RFIDタグに質問信号を送信し、またRFIDタグから応答信号を受信するトランシーバ、RFIDタグからの信号に含まれるコード化された情報を読み取るデコーダを含む。RF質問器102は、所定周波数で電磁界103を生成する。RFIDタグ96がその電磁界に入ると電流が生じ、RFIDタグ96に電力を供給し、電磁界を変調させてRFIDタグ96のメモリに保存される事前にプログラムされた投与プロトコルのデータをRF質問器102に返送する。RF質問器102は、次にこのデータを解読し、投与プロトコルのデータを信号18とともに制御装置20に送信する。
RFIDタグ96およびRF質問器102を含むシステム10にはいくつか有利な点がある。信号要素96とRF質問器102との視線配置は、検出をおこなうために必要とされない。従って、RF質問器102は制御装置20から遠隔に設置される、あるいは移動可能なまたは携帯の検出装置として機能するのに適している。ただし、RF質問器102が輸液装置14の要素であってよいことは当然である。
さらに、検出をおこなうために信号要素96とRF質問器102との接触が必要とされないので、そうでなければ信号要素の正しい検出に対して有害となる状態を解消できる。例えば、濡れたスライドクランプまたは流体、埃、汚れ、あるいはスライドクランプに起こるその他のいかなる物理的障害も、RF質問器102によるRFIDタグ96の正しい検出に影響を与えない。
当業者には、RFIDタグのメモリ容量が大きければ、RFIDタグ96によるより多くの情報の運搬、そしてRF質問器102への伝達が可能となることがさらに認められる。その結果、RFIDタグ96に事前にプログラムされた投与プロトコルは、相当量の詳細および/または高度な情報を含むことができる。例えば、通常RFIDタグ96は、上述のいくつかの信号要素と比較して、より多くの輸液装置14に対する投与指示および/または動作パラメータを運搬する。
本開示の別の局面では、図16に示すように、信号要素は超音波信号要素104であってよい。超音波信号要素104は、スライドクランプ26上/内での材料密度、形状、配置、および配向の特性を有する。これらの特性あるいはこれらの特性の組み合わせを変更あるいは改変することで、超音波信号要素は別個の超音波検出パターンを有するよう形成されてよい。超音波信号要素104の適切な材料には、金属、木材、ガラス、あるいはポリマー材料が含まれるがこれに限定されない。超音波信号要素104の望ましい形状には、任意の多角形、円形、あるいは楕円形が含まれる。超音波信号要素104は、超音波検出パターンを提供できるいかなる物体であってもよい。適切な超音波信号要素の例には、高密度金属あるいはポリマー材料による小型のチップまたは細長片が挙げられるが、これらに限定されない。
検出装置は、超音波検出装置であってよく、当技術分野で一般に知られている超音波トランスデューサが望ましい。通常超音波トランスデューサは、対象に音響エネルギーあるいは音波を送信する。音波は、対象から反射して超音波トランスデューサへと戻ってくる。反射した音波の特徴は、対象の特性に基づいている。
超音波検出装置は、スライドクランプ26に配置される超音波信号要素104の密度、形状、配置、あるいは配向を検出するよう構成されることが望ましい。超音波検出装置は、超音波信号要素104の検出パターンに基づいて別個の投与プロトコルあるいは既定の投与プロトコルを識別するよう設定されることがさらに望ましい。例えば、超音波検出装置は、第一の既定の投与プロトコルを有する正方形の超音波信号要素を識別するよう設定されてよく、一方超音波検出装置は第二の既定の投与プロトコルを有する密度3.7g/mlの超音波信号要素を識別してよい。
図16は、スライドクランプ26の本体40内に配置される超音波信号要素104を示す。超音波信号要素104は、当技術分野で一般に知られている方法で本体40に設置されてよいが、打ち込みあるいはインサート成形が望ましい。超音波信号要素の密度あるいは形状は、前述のように異なる超音波検出パターンを提供するために変更してよい。図16は、スライドクランプ26内で縦方向に配向した超音波信号要素104をさらに示す。超音波信号要素104がスライドクランプ26内で横方向に配向して、さらに多様な検出パターンを提供してよいことは明らかである。さらに、超音波信号要素の配向は、超音波信号をより区別するよう、スライドクランプ26内あるいは上での超音波信号要素104の位置あるいは深さを改変することによって変更してもよい。スライドクランプ材料のすき間により、超音波信号をさらに区別化してもよい。超音波信号要素104は、例えば打ち込まれた金属ピンあるいはインサート成形されたピンとしてスライドクランプ26内に配置されてよい。
代替実施形態では、超音波信号要素106は、図17に示すようにスライドクランプ26の表面上に配置してよい。超音波信号要素106は、高密度密度材料(金属が望ましい)から作られることが望ましい。超音波信号要素106(スライドクランプの縦軸に対し、縦方向あるいは横方向に配置された信号要素)の長さ、材料組成、および配向は、異なる超音波検出パターンを提供するために変更してよい。超音波信号要素106は、接着付着、熱接合、超音波溶接、圧入締まりばめ、あるいはスエージ加工された連結材による手段を含む当技術分野で一般に知られている方法で、スライドクランプ26の表面に取り付けてよい。
本開示の別の局面では、信号要素は、図18に示す磁気信号要素140であってよい。対応する磁気的検出装置(図示しない)は、当技術分野で一般に知られているように、磁気信号要素140を検出するために使用してよい。磁気信号要素140は、金属含有材料あるいは金属酸化物などの磁気検出パターンを提供する磁気材料であってよい。スライドクランプ26上/内における磁気信号要素の組成、形状、サイズ、配置、あるいは配向を改変、修正、あるいは変更して、磁気信号要素検出パターンのために磁気検出パターンの区別をしてよい。この場合、磁気的検出装置は金属探知機と類似の方法で磁気信号を検出する。別個の磁気検出パターンは、前述のようにそれぞれ対応する投与プロトコルに関連付けられてよい。
また、磁気信号要素は、希望する投与プロトコルに対応する既定の磁気信号を有する磁気テープの細長片あるいは断片であってもよい。特定の投与プロトコルは、独特な磁気検出パターンによって関連付けあるいは識別されてよい。磁気的検出装置は、異なる検出パターンをそれぞれ検出し、別個の磁気信号要素それぞれに対応する別個の投与プロトコルを制御装置に関連付けあるいは識別するよう設定されてよい。
磁気検出装置140は、上述のように、スライドクランプ36の本体40あるいは縁42のどちらかに取り付けてよい。一実施形態では、磁気信号要素140は、縁42の穴144に挿入してよい脚142を含んでよい。挿入したのち、脚142を穴144にスエージ加工で取り付け、磁気信号要素140とスライドクランプ26とを永久結合してよい。あるいは、磁気的検出装置140は、前述のようにスライドクランプ26内に配置してもよい。
本開示は、検出装置16が図1に点線で示す輸液装置14の要素であってよいことを意図する。この場合、検出装置16はポート15の隣接に設置され、スライドクランプ26がポート15に固定されているときに信号要素38を検出するよう構成されることが望ましい。あるいは、検出装置16は、輸液装置14から遠隔位置に設置に設置される遠隔検出装置であってもよい。遠隔検出装置として、検出装置16は当技術分野で一般に知られている任意の適切な接続により、輸液装置14に作動可能に接続されてよい。これには赤外線接続、マイクロ波接続、高周波接続、電気的接続、ブルートゥース接続、LANネットワーク接続、WANネットワーク接続、インターネット接続、ユニバーサルシリアルバス接続、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。遠隔検出装置は、例えば携帯情報端末などの携帯検出装置であってよい。
本開示の別の実施形態では、輸液システム110は、図19に示すように、輸液セット112、輸液装置114、および信号要素116を含む。輸液セット112は、輸液剤源要素118、輸液剤源要素118から延びる輸液管要素120、および輸液管要素120を収容するよう構成される開口124を備えるスライドクランプ要素122を含む。
信号要素116は、輸液セット112の少なくとも一つの要素上に配置されてよい。信号要素116は、前述したように、輸液セット112の投与プロトコルを示す情報を含む。輸液装置114は、信号要素116を検出し、信号要素116によって識別される投与プロトコルを決定するよう構成される。輸液装置114は、次に選択的に作動してよく、あるいは検出した投与プロトコルに従って設定されてよい。輸液装置114は、投与プロトコルに従って作動するよう自動的に設定されることが望ましい。輸液装置114が、識別した投与プロトコルを表示し、投与プロトコルに従って操作者が手動で動作パラメータを選択あるいは調整できるようにする、コントロールパネルあるいは類似のユーザインターフェースを含んでよいことは明らかである。
信号要素116は、輸液セット112のどの要素上に配置されてもよい。従って、信号要素116は、図19に示すように、輸液剤源要素118、輸液管要素120、あるいはスライドクランプ要素122上に配置されてよい。信号要素116は、輸液セット要素が輸液剤源要素118あるいは輸液管要素120である、輸液セット要素の表面上に配置されることが望ましい。信号要素116は、前述のように、光学信号要素、電気信号要素、磁気信号要素、高周波信号要素、および超音波信号要素などのいかなる形式の信号要素を含んでもよい。
輸液装置114は、信号要素116を検出するよう構成される検出装置126を含むことが望ましい。検知装置126は、輸液装置114の外面上に配置されてよい。これにより、どの輸液セット要素が信号要素116を運搬しているかにかかわらず、医療専門家あるいは輸液患者は、検出装置126の検出帯内に信号要素116を設置することができる。
また、検出装置126は、前述のように遠隔および/または携帯検出装置であってもよい。遠隔/携帯検出装置は、輸液セット112の任意の要素周辺内をそこに配置される信号要素を検出するために移動するのに十分な程度移動可能であることが望ましい。検出装置126は、上述のように、制御装置128にあるいは直接輸液ポンプ130に作動可能に接続されてよい。
本開示のさらなる実施形態では、輸液システム210は、図20に示すように、複数の輸液セット212a、212b、212c、および輸液装置214を含む。輸液装置214は、いかなる形式の輸液ポンプあるいは例えばシリンジポンプでよい。一実施形態では、輸液装置214は、プログラム可能で、ポンプの動作を容易にする制御装置を含む輸液ポンプである。輸液装置214は、その中にソフトウェアを保存できる記憶装置をさらに含んでよい。
各輸液セットは、対応する輸液剤217a、217b、217cを含む対応する輸液剤源要素216a、216b、216cを有する。輸液管要素218a、218b、218cはそれぞれ、各輸液剤源要素から延びる。輸液管要素218a〜cは、輸液装置214の各輸液剤源要素216a〜cそれぞれの内容物との流体連通を可能とする。輸液セット212a〜cおよび輸液217a〜cが同一であっても異なってもよいことは明らかである。図20は、3つの輸液セットを有する輸液システム210を示すが、1つだけあるいは5つ以上もの輸液セットを有する輸液システムも本開示の範囲内である。輸液装置214は、様々な投与プロトコルを介して、患者に一種類以上の流体を供給してよい。適切な輸液経路の種類の例としては、静脈内、動脈内、硬膜外、液腔洗浄などが挙げられるがこれに限定されない。輸液装置214により供給されてよい輸液剤の種類の例としては、非経口流体、薬物またはその他の薬剤、電解液、血液、血液製剤などが挙げられるがこれに限定されない。
輸液装置214は、3つの通路220、222、224を含み、各通路は対応する輸液管要素218a〜cを収容するよう設定される。通路220〜224は、流体を各輸液剤源要素から、輸液管要素を経由して、患者に供給するよう作動する。すでに述べたように、各輸液管要素に関連付けられるのは対応するスライドクランプ226a、226b、226cである。各通路は、それぞれの通路に各スライドクランプを支持あるいは保持するスライドクランプリテーナ228a、228b、228cをそれぞれ含む。
各スライドクランプは、前述のように信号要素を含む。一実施形態では、検出装置は、各スライドクランプリテーナの隣接に設置され、各スライドクランプ226a〜cそれぞれにおいて、信号要素の投与プロトコルを検出、識別することができる。従って、検出装置は輸液装置218の要素であってよい。制御装置は次に、検出された投与プロトコルに従って作動するよう輸液装置214を設定する。
一実施形態では、輸液装置214は、記憶装置に事前に取り込まれた情報あるいはデータに基づき設定されてよい。この場合、制御装置は検出装置を通して信号要素から投与プロトコル情報を受信する。制御装置は、次に検出された投与データを記憶装置に保存されたデータと比較する。検出されたデータが保存されたデータに適合すると、制御装置は投与データに従って輸液装置を設定する。適合基準は、多数の方法で定義される。例えば、特定の検出された投与パラメータと保存された投与パラメータとの間の関連性がある場合、適合としてよい。あるいは、検出された投与プロトコル値が記憶装置に保存された値の範囲内にある場合も適合としてよい。保険施設は、事前に取り込まれる情報あるいは適合基準を希望どおりに定義することによって、制御装置をカスタマイズしてよい。
さらなる実施形態では、輸液装置214は、表示画面232およびキー234を備えるユーザインターフェース230を含んでよい。輸液装置214の設定により、画面232は投与プロトコルの設定あるいは値の一部あるいは全てに関する図あるいは文字による追加情報を提供してよい。例えば、輸液装置214が特定の薬物を供給するよう設定されると、画面232はその薬物の投与に関連する政府あるいは保健施設のガイドラインを表示してよい。システム210は、保健医療提供者がこれらのガイドラインに目を通したことを示すキー234を選択したあとにのみ作動するよう設定されてよい。当業者には、投与プロトコルに関連する多種の情報が画面232に表示されてよいことは明らかである。ユーザインターフェース230は、特定の投与イベントが医療専門家により対応されていない場合、段階的に変化する警報機能(音声または画像、あるいは両方)も含んでよい。
ユーザインターフェース230を使用して、輸液装置214の作動を設定するために使用される投与プロトコルのパラメータの一部あるいは全てを調整してもよい。キー234を使用して、当技術分野で一般に知られているように、低レベル表示を選択、および/または操作パラメータを調整してよい。従って、インターフェース230により、ユーザは投与プロトコルおよびシステム210のその他の操作パラメータを手動で入力および/または調整することができる。
一実施形態では、信号要素は、静的あるいは動的に検出されてよい(スライドクランプは、検出装置を通過して移動するときに検出されてよい)。動的検出の場合、タイミングマークをスライドクランプ上に配置してよい。タイミングマークは、検出装置に対してスライドクランプが移動している速度あるいは速さを示すように、検出装置(あるいは類似の速度検出装置)によって検出可能であってよい。スライドクランプの移動速度の検知(タイミングマークに対する)をおこなうことにより、検知装置は信号要素の投与プロトコル情報を正しく識別、検出、解釈、あるいは解読することが可能となる。
さらなる実施形態では、輸液装置はモーターを備える自動管装填器を含んでよい。管装填器の動作は、スライドクランプの移動速度(タイミングマークによって検出される)に対応するよう調整されてよい。すなわち、管を装填するために使用されるモーターの速度あるいは速さは、スライドクランプが検出装置を通過して移動する速度あるいは速さに合わせてよい。