JP2008537382A - メッセージの伝送方法及びこれに対応して装備された自動車 - Google Patents
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Abstract
多数のノードA,B,Cでも関連情報の確実な伝送を保証することになるアドホックシステムにおける移動体ノードA,B,Cの間でのメッセージの送信のための方法を提供するため、信号強度及び繰り返し周波数は、移動体ノードAの速度及び移動体ノードB,Cの数に基づいて制御される。さらに、対応して装備される自動車が規定される。
Description
本発明は、アドホックネットワークにおける移動体ノード間のメッセージの伝送のための方法及びこれに対応して装備された自動車に関する。
移動体ノードのアドホックネットワークにおいては、ノード間における情報の交換の目的で当該ネットワークが固定の制御装置を伴うことなく自己組織化するものであり、メッセージは、ラジオリンクを介して個々のノード間において無線にて交換される。このようなアドホックネットワークは、特に、所望のメッセージを評価し発生するための適切な送信/受信装置及び当業者に知られたその他の装置が取り付けられた道路交通における自動車によって形成される。各自動車は、ここではアドホックネットワークの移動体ノードとみなすことができる。このようなネットワークでは、例えば、救急サービス自動車が対応の情報を交換することによって交差点に近づいていることの実状について他の自動車に警報すること、及び当該交差点が当該救急サービス自動車の迅速な通過のために空間をあけさせておくことが可能である。同様に、車線変更又は車線進入のときの衝突を回避するために、各自動車は、それらそれぞれの速度に関する情報を交換することができる。この目的のため、特にIEEE802.11などの媒体アクセスプロトコルが用いられ、かかるプロトコルは、中央制御装置の使用を伴うことなく共有通信媒体へのアクセスを制御するものである。
中央制御装置を伴わない無線のアドホックネットワークにおいては、参加しているノードの数も、ノード間の接続の数も連続的に変化する。また、外部環境も絶えず変化するので、例えば、道路における高い交通密度では、互いに交換すべきメッセージの過剰な数が通信媒体の「輻湊」として知られているものを招くことになり、例えば事故に関する重要となりうる交通情報を、全ての移動体ノードに確実に伝送することができない。
例えば、多車線の幹線道路における交通の車の渋滞の列においては、自動車は殆ど動かず或いは非常に低速でしか動かないものであり、こうした静止した自動車の衝突は殆ど考えられないので当該渋滞列内での個々の自動車間で交換する必要のあるメッセージは事実上ないと言える。しかしながら、当該渋滞列の後尾では、接近する自動車は適切なメッセージの送信によって当該渋滞列の存在につき警報されるべきである。同様に、単一の低速走行する自動車は、恐らくは高速で走っている後続の自動車に、対応のメッセージを送信することによってその低速の自動車速度につき警報する必要がある。そこでもまた、高速走行している自動車は、前方を恐らくは比較的に低速で走る自動車に、その存在を警報する必要があるので、当該高速走行自動車は、そうした低速自動車を安全に追い越すことができる。
米国特許第6,121,896号は、自動車早期警報システムを記述しており、ここでは、各自動車の後方に送信装置が取り付けられ、各自動車の前方には受信装置が取り付けられる。この場合、例えば、1台の自動車がブレーキをかけると、対応の警報信号が後続の自動車に送信され、後続の自動車の運転手は、前方の自動車のブレーキ操作に対してより早く警報されるので、大規模な玉突き事故を防止することができる。同時に、1台の自動車により受信される警報信号は、後方の送信装置を介してそれに後続する他の自動車へ自動的に中継される。
複数の自動車の間のメッセージの交換のための、Fukui R.氏、Koike H.氏及びOkada H.氏による"Dynamic Integrated Transmission Control"と題された刊行物(Information Network Laboratory, Kansai University, Japan)からは、自動車の走行が高速になるほど高くなる送信周波数でメッセージパケットを送信することが知られている。この態様において、重なるメッセージの数が減り、通信媒体におけるそれらの衝突が回避される。
米国特許出願に係る文献の2002/0030611A1は、自動車間でデータパケットを伝送するための方法を記述しており、ここでは、伝送すべきデータのボリュームの関数として送信間隔が制御可能となっている。例えば、自動車が沢山のデータパケットを受信すると、データパケットは、データの送信におけるオーバラップを回避するために、その自動車から低めの反復レートで送信可能となる。
Wischhof L.氏、Ebner A.氏及びRohling H.氏による"Adaptive Broadcast for Travel and Traffic Information Distribution"と題された刊行物(Technische Universitat Hamburg-Haburg)は、ネットワークの移動体ノードの間の情報の交換のための方法を記述しており、ここでは、連続した2つのメッセージ送信間の時間が外部環境の作用により短縮可能である。
Sun M.氏、Feng W.氏、Lai T.氏による"GPS-Based Message Broadcasting for Inter-vehicle Communication"と題された刊行物(Honda R & D Americas Fundamental Research Laboratories)は、GPSシステムにおける情報を用いた新規なプロトコルがメッセージの送信のために用いられる方法を開示している。
本発明の目的は、アドホックネットワークにおける移動体ノードの間におけるメッセージを伝送する方法であって、道路の安全性を高めるために、特に交通密度の高い場合に、不適正な送信又は複数の送信メッセージの重複を排除する方法を規定することである。
こうした目的は、請求項1及び9に規定される特徴により達成される。
本発明の中心的思想は、移動体ノード間、すなわち特に異なる自動車間におけるトラフィックに関する情報を交換するために、それ自体は知られている態様で、例えばIEEE802.11プロトコルを用いて移動体ノード間にメッセージが伝送されることである。但し、ここでは、個々のメッセージが1つの移動体ノードから他のノードへ送信される場合の信号強度や、繰り返し周波数、すなわち2つの送信されるメッセージ又はデータパケットの間の時間間隔は、移動体ノードの走行速度及び他の移動体ノードの数又は面密度に基づいて制御される。
言うまでもなく、本方法は、好ましくは全ての機能を制御するための自動車の中央制御ユニットにおいてハードウェア及び/又はソフトウェアで実現され、移動体ノードすなわち自動車の速度信号は、当該自動車に既に存在するセンサから制御ユニットに供給されるので、自動車の現速度をメッセージ送信の制御に用いることができる。面密度すなわち移動体ノードの送信及び受信範囲における他の移動体ノードの数は、例えば、適切に構成された受信装置を用いて移動体ノードが受信する他のノードの「ハローメッセージ」として知られる如きものの数によって判定可能であり、当該他のノードは、メッセージにより情報の交換を可能とするために、こうした「ハローメッセージ」により送信及び受信範囲において自分の存在を通知する。
本発明の利点は、本方法が、例えば自動車の中央制御ユニットにおいて簡単に実行可能であるので、当該方法を実現するのに付加的な費用を殆どかける必要がないことである。信号強度及び繰り返し周波数を移動体ノードの速度に、そしてこれに伴い自己組織化するアドホックネットワークを形成する他の移動体ノードの数に調整することにより、渋滞の列の進展などの特に道路交通に関する情報を当該アドホックネットワークにおける全てのノードに確実に配信することができる。
本発明の有利な実施例は、従属請求項において特徴づけられる。
請求項2によれば、移動体ノードから送信されるメッセージの信号強度は、空間の異なる方向において変わるのが好ましい。これは、例えば、移動体ノードに相当する自動車の場合、移動方向の前方及び/又は当該移動方向に関して後方における信号強度は、例えば当該メッセージを送信する自動車の速度に関する情報を前方及び後方でそれぞれに走行する他の自動車に確実に供給するために相当に高いことを意味する。他方、移動方向において見て両側についての信号強度は、左又は右の情報がせいぜい隣接の車線の自動車へ送信する必要があるだけであり、ここでは狭い範囲で十分であるので、相当に低いものに選ばれることができる。言うまでもなく、この目的のため、自動車は、自動車の前部、後部及び各側部に配され、例えば異なる信号強度により各ケースにおいて中央制御ユニットにより動作可能な4つの送信及び/又は受信装置が設けられるのが好ましい。同様に、異なる方向における送信メッセージの繰り返し周波数は、例えば、当該側方に対して、隣接の車線を走る自動車だけが送信する自動車の存在を通知されなければならないのでその都度異なるものに選択されることが可能であり、これにより、かなり少ないデータ又はより少数のメッセージを後続の自動車に対して伝送するだけで済み、後者の自動車を例えば渋滞の列の前方につき警報するようにすることとなる。
請求項3において提案される構成に関し、送信メッセージの繰り返し周波数は、移動体ノードの速度に比例したものとされる。特に、移動体ノードにより発せられたハローメッセージは、自動車速度に比例した繰り返し周波数で送信されるので、例えば、この高速走行する自動車の送信及び受信範囲内の移動体ノードの数の著しい変化をもたらす比較的に高い自動車速度では、他の移動体ノードは、当該自動車の存在を常に知らされる。自動車が比較的に低速でしか走行していない場合、当該送信及び受信範囲における移動体ノードの数も、実質的にかなり不変なままであるので、この場合に移動体ノードの数は、長い時間間隔でのみ更新されることを必要とする。
請求項4によれば、最小繰り返し周波数は、移動体ノードの可能な最大速度に比例したものとするのが良い。このような最大速度は、例えば、幹線道路での速度制限により規定することが好ましい。それ故、低速で走行すべき道路では、高い繰り返し周波数でハローメッセージを送信する必要がない。何故なら、自動車は、低速でしか走行せず、これにより送信及び受信範囲における移動体ノードの数は、比較的に一定なままである。より高い最大許容速度では、例えばハローメッセージの繰り返しの最小レートはそれ相応に増大させられる。
請求項5において特徴づけられる特に有利な実施例において、繰り返し周波数は、移動体ノードの送信及び受信範囲における移動体ノードの密度に反比例する。これは、送信及び受信範囲内に移動体ノードが多く存在するほど、各移動体ノードによって伝送されるメッセージ又はハローメッセージは少なくなり、もって全ての移動体ノードにより伝送されるメッセージの総数を減らすようにしている。したがって、2つのメッセージ間の重なり、すなわち通信媒体の渋滞の可能性は減る。
請求項6は、メッセージが移動方向における前方に向かって移動体ノードから発せられるときの信号強度を自動車速度に比例させ、後方に向かって発せられるメッセージの信号強度をそれに反比例させることを提案するものである。したがって、例えば、前方で走行する低速の自動車の背後から近づいてくる高速走行の自動車は、走行方向において前方に向けた高い信号強度により適時にこうした他の移動体ノードにアドバイスすることができ、この移動体ノードは、迅速に近づくことができるので、これら他の移動体ノードは車線を開ける必要があれば可能になる。但し、後方へ発せられた信号の場合、かなり低い信号強度で十分である。何故ならば、かなり高速に移動するノードは、背後から近づくことになる可能性は低いので、この移動体ノードの運転状態を知らされなければならないことになる後続の移動体ノードが実際上ないからである。
そのため、請求項7は、移動方向に関して後方に送信される信号強度は、例えば道路における許容最大速度に少なくとも比例させることを規定する。したがって、ルートが低速でカバーされるべきものである場合には、低信号強度の信号だけが発生されることが保証される。何故なら、ノードが低速であるため、ブレーキは常に可能であるので、この自動車の直後で運転する他の自動車だけがその運転状態を知らされなければならないからである。但し、運転の速い幹線道路では、当該自動車の後の幾人かの他の道路ユーザに知らせるべきである。より高い信号強度は、その目的に適う。当業者であれば、GPSシステムの位置信号は、瞬時許容最大速度を判定するために用いられ、記憶したルート特定情報から許容最大速度を判定するようにすることができることは明らかである。
極めて低速に移動する移動体ノード、或いは静止したノードの場合、請求項8によれば、当該ノードの移動方向において見たときに後方にのみ信号が発せられるようにしている。例えば、幾つかの自動車が渋滞の列の中にある場合、そうした自動車は静止しているか、或いは少ししか前へ移動しないものである。このような場合、自動車の運転手は、自分でその行列に気づいているので、さらに前方の自動車に関する情報を必要としない。ここで関心の唯一のファクタは、例えば渋滞列の後尾に近づいている後続の道路ユーザの通知であるので、ドライブ方向に対して後方に向かう信号しか発せられない。勿論、最低の速度は、その速度まで移動方向に対して後方へ向けた信号だけが発生されるものであり、例えば5km/hに調整可能とされるのが好ましいものとなりうる。同様に当該側方に発せられる信号の信号強度を減らすことができる。
本発明のこれらの態様及びその他の態様は、以下に説明する実施例に基づいて詳しく説明する。
図1,図2及び図3の各々は、各々自己組織化をなすアドホックネットワークのそれぞれの移動体ノードA,B,Cを形成する種々の自動車を示している。ノードA,B及びCは、多車線幹線道路における渋滞列の後尾に位置しており、ノードAは、高速でこの渋滞列の後尾に近づいている。
ノードAがこの渋滞列の後尾へ走り込むのを避けるため、ノードA,B及びCの間で交通関連メッセージを送信する必要がある。図1の描写から、ノードAは、ノードB,Cが矢印Fで示されるそれらの移動方向Fに対して後方へ向かって有するものよりも当該移動方向における前方へ向けて大きな送信範囲rを有することが分かる。この、より大なる送信範囲rは、その信号において達成され、例えばそれ自体は既知のハローメッセージがノードAから比較的に高い信号強度をもって移動方向Fにおける前方へ向けて送信される。したがってノードAは、かなり早めに自分の接近を警告することができ、そこでは、ノードAは渋滞列の後尾に近づくと、自分が現在自分の速度を落とさなければならない旨の対応の情報をその当事者に通信することができる。同様に、メッセージを当該移動方向における前方に向けてノードAから送信することのできる繰り返し周波数は、相応にしてより頻繁に送信及び受信範囲におけるノードの数の更新をなすために、ノードAの移動速度に比例して増大させることができる。
図2は、ノードBを表す低速走行自動車と、矢印により示される走行方向Fにおいてより高速に移動する2つの自動車A,Cを示している。低速移動ノードBは、より高い信号強度をもって後方に向け信号を送信し、特に高速移動の、つまりは高速接近する他の道路ユーザにその低速の自動車速度につき警報することになる。したがって、ノードBは、その後部に対しより大きな送信範囲rを有する。
図3は、多車線幹線道路における平均的な追い越しの列を示しており、高速走行自動車Aは、ここでは上部に示されている左車線に位置づけられる移動方向Fにおいて前方に向かう大なる送信範囲rを有している。この自動車Aから後方に向かって何らメッセージを送信する必要がない。何故なら、それほど高速な自動車はその中に走り込むことになる可能性は低いからである。同様に、他の車線における他の道路ユーザが追い越されるだけに過ぎないので、横方向におけるメッセージの交換も殆ど必要がない。通常のハローメッセージを、アドホックネットワークにおける自動車Aの存在を知らせるために横方向に伝送するだけで済む。
図4は、自動車Aを示しており、種々の送信範囲rにより示されるように、移動方向Fに対して前後にも左右の横方向にも、異なる信号強度の信号を送信することを可能としている。このため、この自動車は、互いに独立して制御可能な送信及び/又は受信装置を具備するのが好ましい。同様に、異なる方向における繰り返し周波数は、所望の態様で互いに独立して調整可能である。
A,B,C…ノード
r…送信範囲
F…移動方向
r…送信範囲
F…移動方向
Claims (10)
- アドホックネットワークにおける移動体ノードの間でメッセージを伝送するための方法であって、
前記移動体ノードの速度及び前記移動体ノードの数に応じて信号強度及び繰り返し周波数を制御する方法。 - 請求項1に記載の方法であって、前記信号強度及び/又は繰り返し周波数は、各ケースにおいて各様に異なる方向で調整される、方法。
- 請求項1又は2に記載の方法であって、選択される繰り返し周波数は、前記移動体ノードの速度に比例する、方法。
- 請求項1,2又は3に記載の方法であって、前記移動体ノードの許容最大速度に比例した最小繰り返し周波数が選択される、方法。
- 請求項1ないし4のうちいずれか1つに記載の方法であって、送信及び受信範囲における移動体ノードの数に反比例した繰り返し周波数が選択される方法。
- 請求項1ないし5のうちいずれか1つに記載の方法であって、前記移動体ノードの速度に比例した当該移動方向における前方に向かう信号強度及び/又は前記移動体ノードの速度に反比例した当該移動方向に対して後方に向かう信号強度が選択される方法。
- 請求項1ないし6のうちいずれか1つに記載の方法であって、許容最大速度に比例した当該移動方向に対して後方に向かって発せられる信号強度の最小値が選択される方法。
- 請求項1ないし7のうちいずれか1つに記載の方法であって、制限速度以下のとき又は前記移動体ノードが静止しているとき、前記移動方向に対して後方に向けてのみハローメッセージが発せられる方法。
- アドホックネットワークにおいて他の自動車にメッセージを伝送するための送信及び受信装置が取り付けられた自動車であって、当該移動方向で見たときに独立した4つの送信及び受信装置に、前方及び後方と左右の横方向とにそれらの信号を発生させる自動車。
- 請求項9に記載の自動車であって、前記送信及び受信装置の各々の信号強度及び/又は繰り返し周波数は、互いに独立して各ケースにおいて調整可能である、自動車。
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