JP2008535498A - 腫瘍の診断および治療のための組成物および方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、哺乳動物における腫瘍の診断および治療に有用な物質の組成物、および前記物質のこれら組成物の使用方法に関する。本発明は、(a)配列番号:2として示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列;(b)その付随するシグナルペプチドを欠いている、配列番号:2として示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列;(c)配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインをコードするヌクレオチド配列;(d)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列;(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域;または(f)(a)、(b)、(c)、(d)または(e)の相補体、を含む、単離核酸を提供する。

Description

関連出願
本願は、2002年6月19日に出願された米国特許出願第10/177,488号の一部継続出願であり、35 U.S.C §120の下で、米国特許出願第10/177,488号に対する優先権を主張する。米国特許出願第10/177,488号は、35 U.S.C §119の下で、2001年6月20日に出願された、米国仮特許出願第60/299,500号に対する優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、哺乳動物における腫瘍の診断および治療に有用な物質の組成物および前記物質のこれら組成物の使用方法に関する。
発明の背景
米国において悪性腫瘍(癌)は、心臓病に次いで第二位の死亡原因である(非特許文献1)。癌は、増殖して腫瘍塊を形成する正常組織由来の異常細胞数、または新生細胞数の増加、これら新生腫瘍細胞による隣接組織への侵襲、およびやがては血液またはリンパ系を介して転移と呼ばれる過程を経て局所リンパ節および遠隔部位に拡がる悪性細胞の発生を特徴とする。癌性状態では、正常細胞が増殖しない条件下で細胞は増殖する。癌は、種々の程度の侵襲性および攻撃性を特徴とする多種多様の形態で現れる。
癌の診断と治療に関する有効な細胞標的を発見する試みにおいて、研究者達は、1つまたは複数の正常な非癌性細胞と比較して、1つまたは複数のタイプの癌細胞の表面上に特異的に発現される膜貫通ポリペプチド類あるいは膜結合ポリペプチド類を同定しようと努めている。このような膜結合ポリペプチド類は、非癌性細胞の表面上と比較して、癌細胞の表面上に、より多量に発現することが多い。このような腫瘍結合細胞表面の抗原ポリペプチド類の同定により、抗体ベース治療による破壊に関して癌細胞を特異的に標的化する能力が高まっている。これに関して、抗体ベース治療は、ある一定の癌の治療に極めて有効であると証明されていることが注目されている。例えば、HERCEPTIN(登録商標)およびRITUXAN(登録商標)(双方ともGenentech社製、サウスサンフランシスコ、カリフォルニア州)は、それぞれ乳癌および非ホジキンリンパ腫を首尾よく治療するために使用されている抗体である。より具体的には、HERCEPTIN(登録商標)は、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)の前発癌遺伝子の細胞外ドメインに選択的に結合する組換えDNA由来ヒト化モノクローナルである。HER2タンパク質過剰発現は、原発性乳癌の25〜30%に見られる。RITUXAN(登録商標)は、正常および悪性Bリンパ球の表面上に見られるCD20抗原に対して方向付けられた遺伝子操作のキメラマウス/ヒトモノクローナル抗体である。これら交代の双方とも、CHO細胞において組換え的に産生される。
癌診断と治療に関する有効な細胞標的を発見するための他の試みにおいて、研究者達は、(1)1つまたは複数の特定のタイプの非癌性正常細胞によるものと比較して、1つまたは複数の特定のタイプの癌細胞により特異的に産生される非膜結合ポリペプチド類、(2)1つまたは複数の正常非癌性細胞よりも有意に高い発現レベルで癌細胞により産生されるポリペプチド類、または(3)癌性状態および非癌性状態(例えば、正常な前立腺組織および前立腺腫瘍組織)の双方において、発現が単一のみの(または極めて限定された数の異なる)組織タイプに特に限定されるポリペプチド類、を同定しようと努めてきた。このようなポリペプチド類は、細胞内に配置されたままであり得るか、または癌細胞により分泌され得る。さらにこのようなポリペプチド類は、癌細胞自身によってではなく、むしろ癌細胞に対して増強効果または促進効果を有するポリペプチド類を産生および/または分泌する細胞によって発現され得る。このような分泌ポリペプチド類は、しばしば、正常細胞よりも癌細胞に有利な増殖要因を提供し、例えば、血管新生因子、細胞接着因子、成長因子などのものを含むタンパク質である。このような非膜結合ポリペプチド類のアンタゴニストの同定により、このような癌の治療に有効な治療剤として役立つことが期待される。さらに、このようなポリペプチド類の発現パターンの同定は、哺乳動物における特定の癌の診断に有用となるであろう。
哺乳動物の癌療法において上記の確認された進展にもかかわらず、哺乳動物における腫瘍の存在を検出できるさらなる診断剤および治療剤の必要性、ならびに新生細胞増殖を有効に阻止する必要性がそれぞれ大である。したがって、(1)、正常細胞または他の異なる癌細胞上と比較して、1つまたは複数のタイプの癌細胞上に、より多量に発現する細胞膜結合ポリペプチド類、(2)1つまたは複数の特定のタイプの非癌性正常細胞によるのと比較して、1つまたは複数の特定のタイプの癌細胞により(または癌細胞の増殖に対して増強効果を有するポリペプチド類を産生する他の細胞により)特異的に産生される非膜結合ポリペプチド類、(3)1つまたは複数の非癌性細胞よりも有意に高い発現レベルで癌細胞により産生される非膜結合ポリペプチド類、または(4)癌性状態および非癌性状態(例えば、正常な前立腺組織および前立腺腫瘍組織)の双方において、発現が単一のみの(または極めて限定された数の異なる)組織タイプに特に限定されるポリペプチド類を同定すること、これらのポリペプチド類、およびそれらをコードする核酸を使用すること、哺乳動物における癌の治療処置および診断用検出に有用な物質の組成物を産生することが本発明の目的である。また、発現が、単一または極めて限定された数の組織に限定される細胞膜結合ポリペプチド類、分泌ポリペプチド類または細胞内ポリペプチド類を同定すること、これらのポリペプチド類、およびそれらをコードする核酸を使用すること、哺乳動物における癌の治療処置および診断用検出に有用な物質の組成物を産生することが本発明の目的である。
Boringら、CA Cancel J.Clin.43:7頁(1993)
発明の要旨
A. 実施形態
本明細書において、1つまたは複数のタイプの正常な非癌細胞の表面上またはそれらによる場合と比較して、1つまたは複数のタイプの癌細胞の表面上に、またはそれらにより、より高い程度に発現する種々の細胞ポリペプチド類(およびそれらをコードする核酸またはそれらの断片)の同定を、出願者は初めて記載する。あるいは、このようなポリペプチド類は、癌細胞に対して増強または増殖促進効果を有するポリペプチド類を産生および/または分泌する細胞によって発現される。あるいはまた、このようなポリペプチド類は、同一の組織タイプの正常細胞と比較して、腫瘍細胞により過剰発現されないかも知れないが、むしろ単一のみまたは極めて限定された数の組織タイプ(好ましくは、生命に必須でない組織、例えば、前立腺など)の腫瘍細胞および正常細胞により特異的に発現され得る。上記のポリペプチド類の全ては、本明細書において腫瘍結合抗原標的ポリペプチド類(「TAT」ポリペプチド類)と称され、哺乳類における癌療法および癌診断に有効な標的として役立つことが期待される。
したがって、本発明の一実施形態において、本発明は、腫瘍結合抗原標的ポリペプチドまたはその断片(「TAT」ポリペプチド)をコードするヌクレオチド配列を有する単離核酸分子を提供する。
一定の態様において、該単離核酸分子は、(a)本明細書に開示されたアミノ酸配列を有する完全長TATポリペプチドをコードするDNA分子、本明細書に開示されたシグナルペプチドを欠くTATポリペプチドのアミノ酸配列、本明細書に開示されたシグナルペプチドの有無による膜貫通TATポリペプチドの細胞外ドメイン、または本明細書に開示された完全長TATポリペプチドアミノ酸配列の任意の他の具体的に定義された断片、または(b)(a)のDNA分子の相補体に対して、少なくとも約80%の核酸配列同一性、あるいは、少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の核酸配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
他の態様において、該単離核酸分子は、(a)本明細書に開示された完全長TATポリペプチドcDNAのコード配列を含むDNA分子、本明細書に開示されたシグナルペプチドを欠くTATポリペプチドのコード配列、本明細書に開示されたシグナルペプチドの有無による膜貫通TATポリペプチドの細胞外ドメインのコード配列、または本明細書に開示された完全長TATポリペプチドアミノ酸配列の任意の他の具体的に定義された断片のコード配列、または(b)(a)のDNA分子の相補体に対して、少なくとも約80%の核酸配列同一性、あるいは、少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の核酸配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
さらなる態様において、本発明は、(a)本明細書に開示されたATCCにより寄託された任意のヒトタンパク質cDNA類の完全長コード領域によりコードされた同じ成熟ポリペプチドをコードするDNA分子、または(b)(a)のDNA分子の相補体に対して、少なくとも約80%の核酸配列同一性、あるいは、少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の核酸配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む単離核酸分子に関する。
本発明の別の態様は、膜貫通ドメインの欠失もしくは膜貫通ドメインの不活化であるか、またはこのようなコードヌクレオチド配列に相補的であるTATポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸分子を提供し、このようなポリペプチド類の膜貫通ドメインを本明細書に開示する。したがって、本明細書に記載されたTATポリペプチド類の可溶性細胞外ドメインが考慮されている。
他の態様において、本発明は、(a)本明細書に記載された完全長アミノ酸配列を有するTATポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、本明細書に記載されたシグナル配列を欠くTATポリペプチドアミノ酸配列、本明細書に記載されたシグナルペプチドの有無による膜貫通TATポリペプチドの細胞外ドメイン、または本明細書に開示された完全長TATポリペプチドアミノ酸配列の任意の他の具体的に定義された断片、または(b)(a)のDNA分子の相補体、にハイブリダイズする単離核酸分子に関する。これに関して、本発明の実施形態は、本明細書に記載された完全長TATポリペプチドコード配列の断片、またはそれらの相補体に関するものであり、それらは、例えば、診断用プローブ、PCR用プライマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド用プローブとして有用なハイブリダイゼーション用プローブとして使用できるか、または抗TATポリペプチド抗体、TAT結合オリゴペプチドまたはTATポリペプチドに結合する他の小型有機分子に関する結合部位を含むポリペプチドを任意にコードできる完全長TATポリペプチドの断片をコードするために使用できる。このような核酸断片は、通常、長さが少なくとも約5つのヌクレオチド、あるいは、長さが少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、または1000のヌクレオチドであり、この文脈において用語の「約」は、述べられたヌクレオチド配列の長さに、述べられたその長さのプラスまたはマイナス10%を意味する。さらに、このような核酸断片は、通常、TATポリペプチドまたはその相補体の完全長コード配列から誘導される連続ヌクレオチドからなる。TATポリペプチドコードヌクレオチド配列断片、またはその相補体の新規な断片は、多くの中で任意の周知の配列アラインメントプログラムのいずれかを用いてTATポリペプチドコードヌクレオチド配列を他の公知のヌクレオチド配列と整列化させ、どのTATポリペプチドコードヌクレオチド配列、またはその相補体が新規であるかを判定することにより、ルーチン様式で決定できることを注記する。TATポリペプチドコードヌクレオチド配列、またはそれらの相補体のこのような新規断片の全てが、本明細書で考慮されている。これらのヌクレオチド分子断片によってコードされるTATポリペプチド断片、好ましくは、抗TAT抗体、TAT結合オリゴペプチドまたはTATポリペプチドに結合する他の小型有機分子に対する結合部位を含むこれらのポリペプチド断片もまた考慮されている。
別の実施形態において、本発明は、上記に同定された任意の単離核酸配列によりコードされた単離TATポリペプチド類を提供する。
一定の態様において、本発明は、本明細書に開示された完全長アミノ酸配列を有するTATポリペプチド、本明細書に開示されたシグナルペプチドを欠くTATポリペプチドアミノ酸配列、本明細書に開示されたシグナルペプチドの有無による膜貫通TATポリペプチドタンパク質の細胞外ドメイン、本明細書に開示された任意の核酸配列によりコードされたアミノ酸配列、または本明細書に開示された完全長TATポリペプチドアミノ酸配列の任意の他の具体的に定義された断片に対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、あるいは、少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む単離TATポリペプチドに関する。
さらなる態様において、本発明は、本明細書に開示されたATCCにより寄託されたヒトタンパク質cDNA類のいずれかによりコードされたアミノ酸配列に対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、あるいは、少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む単離TATポリペプチドに関する。
よりさらなる態様において、本発明は、(a)本明細書に開示された完全長アミノ酸配列を有するTATポリペプチド、(b)本明細書に開示されたシグナルペプチドを欠くTATポリペプチドアミノ酸配列、(c)本明細書に開示されたシグナルペプチドの有無による膜貫通TATポリペプチドタンパク質の細胞外ドメイン、(d)本明細書に開示された任意の核酸配列によりコードされたアミノ酸配列、または(e)本明細書に開示された完全長TATポリペプチドアミノ酸配列の任意の他の具体的に定義された断片をコードするDNA分子の相補体にハイブリダイズする核酸配列によりコードされるアミノ酸配列を含む単離TATポリペプチドに関する。
具体的な態様において、本発明は、N末端シグナル配列がなく、および/または開始メチオニンなく、本明細書に先に記載されたようなアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によりコードされる単離TATポリペプチドを提供する。前記のものを製造するプロセスもまた本明細書に記載され、これらのプロセスは、TATポリペプチドの発現に好適な条件下で核酸分子を適切にコードすることを含むベクターを含む宿主細胞を培養すること、および細胞培養物からTATポリペプチドを回収することを含む。
本発明の別の態様は、膜貫通ドメインの欠失または膜貫通ドメインが不活化される単離TATポリペプチドを提供する。同一のものを製造するプロセスもまた本明細書に記載され、これらのプロセスは、TATポリペプチドの発現に好適な条件下で核酸分子を適切にコードすることを含むベクターを含む宿主細胞を培養すること、および細胞培養物からTATポリペプチドを回収することを含む。
他の態様において、本発明は、本明細書に記載された任意のポリペプチド類をコードするDNAを含むベクターを提供する。宿主細胞の例としては、CHO細胞、大腸菌細胞、または酵母細胞を挙げることができる。本明細書に記載されたポリペプチド類を製造するプロセスがさらに提供され、所望のポリペプチドの発現に好適な条件下で宿主細胞を培養すること、および細胞培養物から所望のポリペプチドを回収することを含む。
他の態様において、本発明は、異種(非TAT)ポリペプチドに融合した本明細書に記載されたTATポリペプチド類のいずれかを含む単離キメラポリペプチド類を提供する。このようなキメラ分子の例は、例えば、免疫グロブリンのエピトープタグ配列またはFc領域などの異種ポリペプチドに融合した、本明細書に記載されたTATポリペプチド類のいずれかを含む。
別の態様において、本発明は、任意の上記または下記ポリペプチド類に好ましくは特異的に結合する抗体を提供する。任意の抗体としては、モノクローナル抗体、抗体断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体または抗TATポリペプチド抗体の、そのそれぞれの抗原エピトープへの結合を競合的に阻止する抗体が挙げられる。本発明の抗体は、例えば、メイタンシノイドまたはカリキアミシン、抗体、放射性同位元素、核酸分解酵素など、増殖抑制剤または毒素などの細胞毒性剤に任意に結合できる。本発明の抗体は、CHO細胞または細菌細胞において任意に製造でき、それらが結合する細胞の成長または増殖を阻止するか、または細胞死を誘導することが好ましい。診断目的のために、本発明の抗体は、検出可能に標識でき、固体支持体などに結合できる。
本発明の他の実施形態において、本発明は、本明細書に記載された抗体のいずれかをコードするDNAを含むベクターを提供する。任意のこのようなベクターを含む宿主細胞もまた提供される。宿主細胞の例としては、CHO細胞、大腸菌細胞、または酵母細胞を挙げることができる。本明細書に記載された任意の抗体を製造するプロセスがさらに提供され、所望の抗体の発現に好適な条件下で宿主細胞を培養すること、および細胞培養物から所望の抗体を回収することを含む。
別の実施形態において、本発明は、上記または下記TATポリペプチド類のいずれかに好ましくは特異的に結合するオリゴペプチド類(「TAT結合オリゴペプチド類」)を提供する。本発明のTAT結合オリゴペプチド類は、例えば、メイタンシノイドまたはカリキアミシン、抗体、放射性同位元素、核酸分解酵素など、増殖抑制剤または毒素などの細胞毒性剤に任意に結合できる。本発明のTAT結合オリゴペプチド類は、CHO細胞または細菌細胞において任意に製造でき、それらが結合する細胞の成長または増殖を阻止するか、または細胞死を誘導することが好ましい。診断目的のために、本発明のTAT結合オリゴペプチド類は、検出可能に標識でき、固体支持体などに結合できる。
本発明の他の実施形態において、本発明は、本明細書に記載されたTAT結合オリゴペプチド類のいずれかをコードするDNAを含むベクターを提供する。任意のこのようなベクターを含む宿主細胞もまた提供される。宿主細胞の例としては、CHO細胞、大腸菌細胞、または酵母細胞を挙げることができる。本明細書に記載された任意のTAT結合オリゴペプチド類を製造するプロセスがさらに提供され、所望のオリゴペプチドの発現に好適な条件下で宿主細胞を培養すること、および細胞培養物から所望のオリゴペプチドを回収することを含む。
別の実施形態において、本発明は、上記または下記TATポリペプチド類のいずれかに好ましくは特異的に結合する小型の有機分子(「TAT結合有機分子」)を提供する。本発明のTAT結合有機分子は、例えば、メイタンシノイドまたはカリキアミシン、抗体、放射性同位元素、核酸分解酵素など、増殖抑制剤または毒素などの細胞毒性剤に任意に結合できる。本発明のTAT結合有機分子は、CHO細胞または細菌細胞において任意に製造でき、それらが結合する細胞の成長または増殖を阻止するか、または細胞死を誘導することが好ましい。診断目的のために、本発明のTAT結合有機分子は検出可能に標識でき、固体支持体などに結合できる。
また、さらなる実施形態において、本発明は、担体と組合わせて本明細書に記載されたTATポリペプチド、本明細書に記載されたキメラTATポリペプチド、本明細書に記載された抗TAT抗体、本明細書に記載されたTAT結合オリゴペプチド、または本明細書に記載されたTAT結合有機分子を含む物質の組成物に関する。該担体は、製薬的に許容できる任意の担体である。
また別の実施形態において、本発明は、容器および容器内に含まれた物質の組成物を含む製造品に関するものであり、該物質の組成物は、本明細書に記載されたTATポリペプチド、本明細書に記載されたキメラTATポリペプチド、本明細書に記載された抗TAT抗体、本明細書に記載されたTAT結合オリゴペプチド、または本明細書に記載されたTAT結合有機分子を含むことができる。さらに該製品は、容器に貼り付けられたラベル、または容器と共に含まれる、腫瘍の治療処置または診断用検出に関する物質の組成物の使用を記述している添付文書を任意に含むことができる。
本発明の別の実施形態は、TATポリペプチド、キメラTATポリペプチド、抗TAT抗体、TAT結合オリゴペプチド、またはTAT結合有機分子に応答性の病態の治療に有用な医薬品の調製のために、本明細書に記載されたTATポリペプチド、本明細書に記載されたキメラTATポリペプチド、本明細書に記載された抗TAT抗体、本明細書に記載されたTAT結合オリゴペプチド、または本明細書に記載されたTAT結合有機分子の使用に関する。
B. さらなる実施形態
本発明の別の実施形態は、TATポリペプチドを発現する細胞増殖を阻止する方法に関するものであり、該方法は、該細胞がTATポリペプチドに結合する抗体、オリゴペプチドまたは小型有機分子と接触することを含んでなり、抗体、オリゴペプチドまたは有機分子のTATポリペプチドへの結合は、TATポリペプチドを発現する細胞増殖を阻止させる。好ましい実施形態において、該細胞は、癌細胞であり、抗体、オリゴペプチドまたは有機分子のTATポリペプチドへの結合は、TATポリペプチドを発現する細胞を死滅させる。該抗体は、任意にモノクローナル抗体、抗体断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、または単鎖抗体である。本発明の方法に使用される抗体、TAT結合オリゴペプチド類およびTAT結合有機分子は、例えば、メイタンシノイドまたはカリキアミシン、抗体、放射性同位元素、核酸分解酵素など、増殖抑制剤または毒素などの細胞毒性剤に任意に結合できる。本発明の方法に使用される抗体およびTAT結合オリゴペプチド類は、CHO細胞または細菌細胞において任意に産生できる。
本発明のさらに別の実施形態は、TATポリペプチドを発現する細胞を含む癌性腫瘍を有する哺乳動物を治療的に処置する方法に関するものであり、該方法は、TATポリペプチドに結合する抗体、オリゴペプチドまたは小型有機分子の治療的有効量を哺乳動物に投与することを含んでなり、それによって、腫瘍の有効な治療的処置がもたらされる。該抗体は、任意にモノクローナル抗体、抗体断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、または単鎖抗体である。本発明の方法に使用される抗体、TAT結合オリゴペプチド類およびTAT結合有機分子は、例えば、メイタンシノイドまたはカリキアミシン、抗体、放射性同位元素、核酸分解酵素など、増殖抑制剤または毒素などの細胞毒性剤に任意に結合できる。本発明の方法に使用される抗体およびオリゴペプチド類は、CHO細胞または細菌細胞において任意に産生できる。
本発明のさらに別の実施形態は、TATポリペプチドを含有する疑いのあるサンプル中のTATポリペプチドの存在を判定する方法に関するものであり、該方法は、サンプルをTATポリペプチドに結合する抗体、オリゴペプチドまたは小型有機分子に曝露させること、および抗体、オリゴペプチドまたは有機分子のサンプル中のTATポリペプチドへの結合を判定することを含んでなり、このような結合の存在は、サンプル中にTATポリペプチドが存在していることを示す。任意に該サンプルは、TATポリペプチドを発現する疑いのある細胞(癌細胞であり得る)を含有し得る。この方法に使用される抗体、TAT結合オリゴペプチドまたはTAT結合有機分子は、任意に固体支持体などに結合された検出可能に標識できる。
本発明のさらなる実施形態は、哺乳動物における腫瘍の存在を診断する方法に関するものであり、該方法は、(a)前記哺乳動物から得られた組織細胞の試験サンプルにおいて、および(b)同じ組織源または同じタイプの既知の正常な非癌性細胞の対照サンプルにおいて、TATポリペプチドをコードする遺伝子の発現レベルを検出することを含んでなり、対照サンプルと比較して、試験サンプル中のTATポリペプチドのより高い発現レベルは、試験サンプルが得られた哺乳動物における腫瘍の存在を示している。
本発明の別の実施形態は、哺乳動物において腫瘍の存在を診断する方法に関するものであり、該方法は、(a)哺乳動物から得られた組織細胞を含む試験サンプルと、TATポリペプチドに結合する抗体、オリゴペプチドまたは小型有機分子とを接触させること、および(b)抗体、オリゴペプチドまたは小型有機分子と試験サンプル中のTATポリペプチドとの間での複合体の形成を検出することを含んでなり、複合体の形成は、哺乳動物に腫瘍の存在を示している。使用される抗体、TAT結合オリゴペプチドまたはTAT結合有機分子は、固体支持体などに結合された検出可能に標識でき、および/または組織細胞の試験サンプルは、癌性腫瘍を有する疑いのある個体から得られる。
本発明のさらに別の実施形態は、TATポリペプチドの変更された、好ましくは増加された発現または活性と関連する細胞増殖障害を治療するか、または予防する方法に関するものであり、該方法は、このような治療の必要な対象に、TATポリペプチドのアンタゴニストの有効量を投与することを含む。細胞増殖障害は癌であることが好ましく、TATポリペプチドのアンタゴニストは、抗TATポリペプチド抗体、TAT結合オリゴペプチド、TAT結合有機分子またはアンチセンスオリゴペプチドである。増殖障害の有効な治療または予防は、TATポリペプチドを発現する細胞の直接的死滅または増殖阻止、またはTATポリペプチドの細胞増殖増強活性にアンタゴナイズさせることによって結果を得ることができる。
本発明のさらに別の実施形態は、TATポリペプチドを発現する細胞に、抗体、オリゴペプチドまたは小型有機分子を結合させる方法に関するものであり、該方法は、抗体、オリゴペプチドまたは小型有機分子の前記TATポリペプチドへの結合に好適でそれらの間で結合を可能にする条件下、TATポリペプチドを発現する細胞と、前記抗体、オリゴペプチドまたは小型有機分子とを接触させることを含む。好ましい実施形態において、抗体は、細胞に対する抗体、オリゴペプチドまたは小型有機分子の結合位置および/または結合量を定量的に、および/または定量的測定に有用である分子または化合物により標識される。
本発明の他の実施形態は、(i)癌または腫瘍の治療的処置または診断的検出、
または(ii)細胞増殖障害の治療的処置または予防に有用な医薬品の調製において、(a)TATポリペプチド、(b)TATポリペプチドまたはベクターをコードする核酸、もしくはその核酸を含む宿主細胞、(c)抗TATポリペプチド抗体、(d)TAT結合オリゴペプチド、または(e)TAT結合小型有機分子の使用に関する。
本発明の別の実施形態は、前記癌細胞の増殖は、TATポリペプチド(TATポリペプチドは、癌細胞自体または癌細胞に対して増殖増強効果を有するポリペプチド類を産生する細胞により発現できる)の増殖増強効果に少なくとも部分的に依存する、癌細胞の増殖を阻止する方法に関するものであり、該方法は、TATポリペプチドと、TATポリペプチドに結合する抗体、オリゴペプチドまたは小型有機分子とを接触させること、それによってTATポリペプチドの増殖増強活性にアンタゴナイズさせること、次に癌細胞の増殖を阻止することを含む。癌細胞の増殖は、完全に阻止することが好ましい。抗体、オリゴペプチドまたは小型有機分子のTATポリペプチドへの結合は、癌細胞の死滅を誘導することがさらにより好ましい。該抗体は、任意にモノクローナル抗体、抗体断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、または単鎖抗体である。本発明の方法に使用される抗体、TAT結合オリゴペプチドまたはTAT結合有機分子は、例えば、メイタンシノイドまたはカリキアミシン、抗体、放射性同位元素、核酸分解酵素など、増殖抑制剤または毒素などの細胞毒性剤に任意に結合できる。本発明の方法に使用される抗体およびオリゴペプチド類は、CHO細胞または細菌細胞において任意に産生できる。
本発明のさらに別の実施形態は、前記癌腫瘍の増殖は、TATポリペプチドの増殖増強効果に少なくとも部分的に依存する、哺乳動物における腫瘍を治療的に処置する方法に関するものであり、該方法は、TATポリペプチドに結合する抗体、オリゴペプチドまたは小型有機分子の治療的有効量を、哺乳動物に投与すること、それによって前記TATポリペプチドの増殖増強活性をアンタゴナイズさせること、腫瘍の有効な治療的処置を生じさせることを含む。該抗体は、任意にモノクローナル抗体、抗体断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、または単鎖抗体である。本発明の方法に使用される抗体、TAT結合オリゴペプチドまたはTAT結合有機分子は、例えば、メイタンシノイドまたはカリキアミシン、抗体、放射性同位元素、核酸分解酵素など、増殖抑制剤または毒素などの細胞毒性剤に任意に結合できる。本発明の方法に使用される抗体およびオリゴペプチド類は、CHO細胞または細菌細胞において任意に産生できる。
C. さらに追加の実施形態
よりさらなる実施形態において、本発明は、本出願に関する以下の一連の可能性のある請求項に関する:
1. (a)配列番号:2として示されるアミノ酸配列をコードするDNA分子;
(b)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるアミノ酸配列をコードするDNA分子;
(c)その付随するシグナルペプチドを有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインをコードするDNA分子;
(d)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインをコードするDNA分子;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列;
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード配列;または
(g)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)の相補体、
に対して少なくとも80%の核酸配列同一性を有する単離核酸。
2. (a)配列番号:2として示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列;
(b)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列;
(c)その付随するシグナルペプチドを有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインをコードするヌクレオチド配列;
(d)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインをコードするヌクレオチド配列;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列;
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域;または
(g)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)の相補体、
を有する単離核酸。
3. (a)配列番号:2として示されるアミノ酸配列をコードする核酸;
(b)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるアミノ酸配列をコードする核酸;
(c)その付随するシグナルペプチドを有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインをコードする核酸;
(d)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインをコードする核酸;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列;
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域;または
(g)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f)の相補体、
にハイブリダイズする単離核酸。
4. 前記ハイブリダイゼーションが、ストリンジェント条件下で生じる請求項3に記載の核酸。
5. 長さが少なくとも約5つのヌクレオチドである請求項3に記載の核酸。
6. 請求項1、2または3の核酸を含む発現ベクター。
7. 前記核酸が、ベクターにより形質転換された宿主細胞により認識される制御配列に作動可能に結合されている請求項6に記載の発現ベクター。
8. 請求項7に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
9. CHO細胞、大腸菌細胞または酵母細胞である請求項8に記載の宿主細胞。
10. 前記ポリペプチドの発現に好適な条件下で請求項8に記載の宿主細胞を培養すること、および細胞培養から前記ポリペプチドを回収することを含むポリペプチドを産生するプロセス。
11. (a)配列番号:2として示されるポリペプチド;
(b)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチド;
(c)その付随するシグナルペプチドを有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(d)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチド;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたポリペプチド、
に対して少なくとも80%の核酸配列同一性を有する単離核酸。
12. (a)配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(b)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(c)その付随するシグナルペプチド配列を有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(d)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたアミノ酸配列、
を有する単離ポリペプチド。
13. 異種ポリペプチドに融合された請求項11または12に記載のポリペプチドを含むキメラポリペプチド。
14. 前記異種ポリペプチドが、免疫グロブリンのエピトープタグ配列またはFc領域である請求項13に記載のキメラポリペプチド。
15. (a)配列番号:2として示されるポリペプチド;
(b)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチド;
(c)その付随するシグナルペプチドを有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(d)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチド;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたポリペプチド、
に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドに結合する単離抗体。
16. (a)配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(b)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(c)その付随するシグナルペプチド配列を有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(d)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたアミノ酸配列、
を有するポリペプチドに結合する単離抗体。
17. モノクローナル抗体である請求項15または16に記載の抗体。
18. 抗体断片であるである請求項15または16に記載の抗体。
19. キメラ抗体またはヒト化抗体である請求項15または16に記載の抗体。
20. 増殖抑制剤に結合されている請求項15または16に記載の抗体。
21. 細胞毒性剤に結合されている請求項15または16に記載の抗体。
22. 前記細胞毒性剤が、毒素、抗体、放射性同位元素および核酸分解酵素よりなる群から選択される請求項21に記載の抗体。
23. 前記細胞毒性剤が、毒素である請求項21に記載の抗体。
24. 前記毒素が、メイタンシノイドおよびカリキアミシンである請求項23に記載の抗体。
25. 前記毒素が、メイタンシノイドである請求項23に記載の抗体。
26. 細菌中に産生される請求項15または16に記載の抗体。
27. CHO細胞中に産生される請求項15または16に記載の抗体。
28. 請求項15または16に記載の抗体であって、その抗体が結合する細胞の死を誘導する、抗体。
29. 検出可能に標識される請求項15または16に記載の抗体。
30. 請求項15または16に記載の抗体をコードするヌクレオチド配列を有する単離核酸。
31. ベクターによって形質転換された宿主細胞によって認識される制御配列に、作動可能に結合されている請求項30に記載の核酸を含む発現ベクター。
32. 請求項31に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
33. CHO細胞、大腸菌細胞または酵母細胞である請求項32に記載の宿主細胞。
34. 前記抗体の発現に好適な条件下で請求項32に記載の宿主細胞を培養すること、および細胞培養から前記抗体を回収することを含む抗体を産生するプロセス。
35. (a)配列番号:2として示されるポリペプチド;
(b)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチド;
(c)その付随するシグナルペプチドを有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(d)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチド;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたポリペプチド、
に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドに結合する単離オリゴペプチド。
36. (a)配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(b)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(c)その付随するシグナルペプチド配列を有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(d)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたアミノ酸配列、
を有するポリペプチドに結合する単離オリゴペプチド。
37. 増殖抑制剤に結合されている請求項35または36に記載のオリゴペプチド。
38. 細胞毒性剤に結合されている請求項35または36に記載のオリゴペプチド。
39. 前記細胞毒性剤が、毒素、抗体、放射性同位元素および核酸分解酵素よりなる群から選択される請求項38に記載のオリゴペプチド。
40. 前記細胞毒性剤が、毒素である請求項38に記載のオリゴペプチド。
41. 前記毒素が、メイタンシノイドおよびカリキアミシンよりなる群から選択される請求項40に記載のオリゴペプチド。
42. 前記毒素が、メイタンシノイドである請求項40に記載のオリゴペプチド。
43. 請求項35または36に記載のオリゴペプチドであって、そのオリゴペプチドが結合する細胞の死を誘導する、オリゴヌクレオチド。
44. 検出可能に標識される請求項35または36に記載のオリゴペプチド。
45. (a)配列番号:2として示されるポリペプチド;
(b)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチド;
(c)その付随するシグナルペプチドを有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(d)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチド;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたポリペプチド、
に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドに結合するTAT結合有機分子。
46. (a)配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(b)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(c)その付随するシグナルペプチド配列を有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(d)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたアミノ酸配列、
を有するポリペプチドに結合する請求項45に記載の有機分子。
47. 増殖抑制剤に結合されている請求項45または46に記載の有機分子。
48. 細胞毒性剤に結合されている請求項45または46に記載の有機分子。
49. 前記細胞毒性剤が、毒素、抗体、放射性同位元素および核酸分解酵素よりなる群から選択される請求項48に記載の有機分子。
50. 前記細胞毒性剤が、毒素である請求項48に記載の有機分子。
51. 前記毒素が、メイタンシノイドおよびカリキアミシンよりなる群から選択される請求項50に記載の有機分子。
52. 前記毒素が、メイタンシノイドである請求項50に記載の有機分子。
53. 請求項45または46に記載の有機分子であって、その有機分子が結合する細胞の死を誘導する、有機分子。
54. 検出可能に標識される請求項45または46に記載の有機分子。
55. 担体と組合わせて、
(a)請求項11に記載のポリペプチド;
(b)請求項12に記載のポリペプチド;
(c)請求項13に記載のキメラポリペプチド;
(d)請求項15に記載の抗体;
(e)請求項16に記載の抗体;
(f)請求項35に記載のオリゴペプチド;
(g)請求項36に記載のオリゴペプチド;
(h)請求項45に記載のTAT結合有機分子;または
(i)請求項46に記載のTAT結合有機分子、
を含む物質の組成物。
56. 前記担体が、製薬的に許容できる担体である請求項55に記載の物質の組成物。
57. (a)容器;および
(b)前記容器内に含まれた請求項55に記載の物質の組成物。
58. 前記容器に貼り付けられたラベル、または癌の治療的処置または診断的検出のために前記物質の組成物使用を言及する前記容器と共に含まれた添付文書をさらに含む請求項57に記載の製造品。
59. (a)配列番号:2として示されるポリペプチド;
(b)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチド;
(c)その付随するシグナルペプチドを有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(d)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチド;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたポリペプチド、
に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質を発現する細胞増殖を阻止する方法であって、前記細胞と、前記タンパク質に結合する抗体、オリゴペプチドまたは有機分子とを接触させること、それによって前記抗体、オリゴペプチドまたは有機分子の前記タンパク質への結合が前記細胞の増殖阻止を引き起こさせることを含む方法。
60. 前記抗体が、モノクローナル抗体である請求項59に記載の方法。
61. 前記抗体が、抗体断片である請求項59に記載の方法。
62. 前記抗体が、キメラ抗体またはヒト化抗体である請求項59に記載の方法。
63. 前記抗体、オリゴペプチドまたは有機分子が、増殖抑制剤に結合されている請求項59に記載の方法。
64. 前記抗体、オリゴペプチドまたは有機分子が、細胞毒性剤に結合されている請求項59に記載の方法。
65. 前記細胞毒性剤が、毒素、抗体、放射性同位元素および核酸分解酵素よりなる群から選択される請求項64に記載の方法。
66. 前記細胞毒性剤が、毒素である請求項64に記載の方法。
67. 前記毒素が、メイタンシノイドおよびカリキアミシンよりなる群から選択される請求項66に記載の方法。
68. 前記毒素が、メイタンシノイドである請求項66に記載の方法。
69. 前記抗体が、細菌中に産生される請求項59に記載の方法。
70. 前記抗体が、CHO細胞中に産生される請求項59に記載の方法。
71. 前記細胞が癌細胞である請求項59に記載の方法。
72. 前記癌細胞が、放射線治療または化学療法剤にさらに曝露される請求項71に記載の方法。
73. 前記癌細胞が、乳癌細胞、大腸癌細胞、肺癌細胞、卵巣癌細胞、中枢神経系癌細胞、肝癌細胞、膀胱癌細胞、膵癌細胞、子宮頚癌細胞、黒色腫細胞および白血病細胞よりなる群から選択される請求項71に記載の方法。
74. 前記タンパク質が、同じ組織源の正常細胞と比較して、前記癌細胞により、より豊富に発現される請求項71に記載の方法。
75. 細胞死を引き起こす請求項59に記載の方法。
76. 前記タンパク質が:
(a)配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(b)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(c)その付随するシグナルペプチド配列を有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(d)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたアミノ酸配列、
を有する請求項59に記載の方法。
77. (a)配列番号:2として示されるポリペプチド;
(b)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチド;
(c)その付随するシグナルペプチドを有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(d)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチド;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたポリペプチド、
に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質を発現する細胞を含む癌性腫瘍を有する哺乳動物を治療的に処置する方法であって、前記タンパク質に結合する抗体、オリゴペプチドまたは有機分子の治療的有効量を前記哺乳動物に投与すること、それによって前記哺乳動物を有効に処置することを含む方法。
78. 前記抗体が、モノクローナル抗体である請求項77に記載の方法。
79. 前記抗体が、抗体断片である請求項77に記載の方法。
80. 前記抗体が、キメラ抗体またはヒト化抗体である請求項77に記載の方法。
81. 前記抗体、オリゴペプチドまたは有機分子が、増殖抑制剤に結合されている請求項77に記載の方法。
82. 前記抗体、オリゴペプチドまたは有機分子が、細胞毒性剤に結合されている請求項77に記載の方法。
83. 前記細胞毒性剤が、毒素、抗体、放射性同位元素および核酸分解酵素よりなる群から選択される請求項82に記載の方法。
84. 前記細胞毒性剤が、毒素である請求項82に記載の方法。
85. 前記毒素が、メイタンシノイドおよびカリキアミシンよりなる群から選択される請求項84に記載の方法。
86. 前記毒素が、メイタンシノイドである請求項84に記載の方法。
87. 前記抗体が、細菌中に産生される請求項77に記載の方法。
88. 前記抗体が、CHO細胞中に産生される請求項77に記載の方法。
89. 前記腫瘍が、放射線治療または化学療法剤にさらに曝露される請求項77に記載の方法。
90. 前記腫瘍が、乳房腫瘍、大腸腫瘍、肺腫瘍、卵巣腫瘍、中枢神経系腫瘍、肝腫瘍、膀胱腫瘍、膵腫瘍、または子宮頚腫瘍である請求項77に記載の方法。
91. 前記タンパク質が、同じ組織源の正常細胞と比較して、前記腫瘍の癌性細胞により、より豊富に発現される請求項77に記載の方法。
92. 前記タンパク質が:
(a)配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(b)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(c)その付随するシグナルペプチド配列を有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(d)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたアミノ酸配列、
を有する請求項77に記載の方法。
93. 前記タンパク質が:
(a)配列番号:2として示されるポリペプチド;
(b)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチド;
(c)その付随するシグナルペプチドを有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(d)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチド;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたポリペプチド、
に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する前記タンパク質を含んでいる疑いのあるサンプル中のタンパク質の存在を判定する方法であって、前記サンプルを、前記タンパク質に結合する抗体、オリゴペプチドまたは有機分子に曝露させること、および前記抗体、オリゴペプチドまたは有機分子の前記サンプル中の前記タンパク質への結合を測定することを含んでなり、前記抗体、オリゴペプチドまたは有機分子の前記タンパク質への結合が、前記サンプル中のタンパク質の存在を示す方法。
94. 前記サンプルが、前記タンパク質を発現する疑いのある細胞を含む請求項93に記載の方法。
95. 前記細胞が癌細胞である請求項94に記載の方法。
96. 前記抗体、オリゴペプチドまたは有機分子が、検出可能に標識される請求項93に記載の方法。
97. 前記タンパク質が:
(a)配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(b)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(c)その付随するシグナルペプチド配列を有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(d)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたアミノ酸配列、
を有する請求項93に記載の方法。
98. 哺乳動物における腫瘍の存在を診断する方法であって、前記哺乳動物から得られた組織細胞の試験サンプルおよび同じ組織源の既知の正常細胞の対照サンプルにおいて、
(a)配列番号:2として示されるポリペプチド;
(b)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチド;
(c)その付随するシグナルペプチドを有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(d)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチド;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたポリペプチド、
に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する前記タンパク質をコードする遺伝子の発現レベルを測定することを含んでなり、対照サンプルと比較して、試験サンプルにおける前記タンパク質のより高い発現レベルは、試験サンプルが得られた哺乳動物における腫瘍の存在を示す方法。
99. 前記タンパク質をコードする遺伝子の発現レベルを測定するステップが、インサイチュハイブリダイゼーションまたはRT−PCR分析においてオリゴヌクレオチドを使用することを含む請求項98に記載の方法。
100. 前記タンパク質をコードする遺伝子の発現レベルを測定するステップが、免疫組織化学またはウェスタンブロット解析において抗体を使用することを含む請求項98に記載の方法。
101. 前記タンパク質が:
(a)配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(b)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(c)その付随するシグナルペプチド配列を有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(d)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたアミノ酸配列、
を有する請求項98に記載の方法。
102. 哺乳動物における腫瘍の存在を診断する方法であって、
(a)配列番号:2として示されるポリペプチド;
(b)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチド;
(c)その付随するシグナルペプチドを有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(d)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチド;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたポリペプチド、
に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質に結合する抗体、オリゴヌクレオチドまたは有機分子と、前記哺乳動物から得られた組織細胞の試験サンプルとを接触させること、および前記抗体、オリゴペプチドまたは有機分子と試験サンプル中のタンパク質との間の複合体の形成を検出することを含んでなり、複合体の形成が、哺乳動物における腫瘍の存在を示す方法。
103. 前記抗体、オリゴペプチドまたは有機分子が、検出可能に標識される請求項102に記載の方法。
104. 前記組織細胞の試験サンプルが、癌性腫瘍を有する疑いのある個体から得られる請求項102に記載の方法。
105. 前記タンパク質が:
(a)配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(b)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(c)その付随するシグナルペプチド配列を有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(d)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたアミノ酸配列、
を有する請求項102に記載の方法。
106. (a)配列番号:2として示されるポリペプチド;
(b)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチド;
(c)その付随するシグナルペプチドを有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(d)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチド;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたポリペプチド、
に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質の発現または活性の増加と関連する細胞増殖障害を治療または予防する方法であって、前記タンパク質のアンタゴニストの有効量を、このような治療を必要する対象に投与すること、それによって前記細胞増殖障害を有効に治療すること、または予防することを含む方法。
107. 前記細胞増殖障害が癌である請求項106に記載の方法。
108. 前記アンタゴニストが、抗TATポリペプチド抗体、TAT結合オリゴペプチド、TAT結合有機分子またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである請求項106に記載の方法。
109. (a)配列番号:2として示されるポリペプチド;
(b)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチド;
(c)その付随するシグナルペプチドを有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(d)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチド;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたポリペプチド、
に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質を発現する細胞に、抗体、オリゴペプチドまたは有機分子を結合させる方法であって、前記細胞と、前記タンパク質に結合する抗体、オリゴペプチドまたは有機分子とを接触させること、抗体、オリゴペプチドまたは有機分子の前記タンパク質への結合を生じさせること、それによって前記抗体、オリゴペプチドまたは有機分子を前記細胞に結合させることを含む方法。
110. 前記抗体が、モノクローナル抗体である請求項109に記載の方法。
111. 前記抗体が、抗体断片である請求項109に記載の方法。
112. 前記抗体が、キメラ抗体またはヒト化抗体である請求項109に記載の方法。
113. 前記抗体、オリゴペプチドまたは有機分子が、増殖抑制剤に結合されている請求項109に記載の方法。
114. 前記抗体、オリゴペプチドまたは有機分子が、細胞毒性剤に結合されている請求項109に記載の方法。
115. 前記細胞毒性剤が、毒素、抗体、放射性同位元素および核酸分解酵素よりなる群から選択される請求項114に記載の方法。
116. 前記細胞毒性剤が毒素である請求項114に記載の方法。
117. 前記毒素が、メイタンシノイドおよびカリキアミシンよりなる群から選択される請求項116に記載の方法。
118. 前記毒素が、メイタンシノイドである請求項116に記載の方法。
119. 前記抗体が、細菌中に産生される請求項109に記載の方法。
120. 前記抗体が、CHO細胞中に産生される請求項109に記載の方法。
121. 前記細胞が癌細胞である請求項109に記載の方法。
122. 前記癌細胞が、放射線治療または化学療法剤にさらに曝露される請求項121に記載の方法。
123. 前記癌細胞が、乳癌細胞、大腸癌細胞、肺癌細胞、卵巣癌細胞、中枢神経系癌細胞、肝癌細胞、膀胱癌細胞、膵癌細胞、子宮頚癌細胞、黒色腫細胞および白血病細胞よりなる群から選択される請求項121に記載の方法。
124. 前記タンパク質が、同じ組織源の正常細胞と比較して、前記癌細胞により、より豊富に発現される請求項123に記載の方法。
125. 細胞死を引き起こす請求項109に記載の方法。
126. 癌の治療的処置用または診断検出用医薬品の調製における請求項1から5または30のいずれかに記載の核酸の使用。
127. 腫瘍の治療用医薬品の調製における請求項1から5または30のいずれかに記載の核酸の使用。
128. 細胞増殖疾患の治療用または予防用医薬品の調製における請求項1から5または30のいずれかに記載の核酸の使用。
129. 癌の治療的処置用または診断検出用医薬品の調製における請求項6、7または31のいずれかに記載の発現ベクターの使用。
130. 腫瘍の治療用医薬品の調製における請求項6、7から5または31のいずれかに記載の発現ベクターの使用。
131. 細胞増殖疾患の治療用または予防用医薬品の調製における請求項6、7または31のいずれかに記載の発現ベクターの使用。
132. 癌の治療的処置用または診断検出用医薬品の調製における請求項8、9、32または33のいずれかに記載の宿主細胞の使用。
133. 腫瘍の治療用医薬品の調製における請求項8、9、32または33のいずれかに記載の宿主細胞の使用。
134. 細胞増殖疾患の治療用または予防用医薬品の調製における請求項8、9、32または33のいずれかに記載の宿主細胞の使用。
135. 癌の治療的処置用または診断検出用医薬品の調製における請求項11から14のいずれかに記載のポリペプチドの使用。
136. 腫瘍の治療用医薬品の調製における請求項11から14のいずれかに記載のポリペプチドの使用。
137. 細胞増殖疾患の治療用または予防用医薬品の調製における請求項11から14のいずれかに記載のポリペプチドの使用。
138. 癌の治療的処置用または診断検出用医薬品の調製における請求項15から29のいずれかに記載の抗体の使用。
139. 腫瘍の治療用医薬品の調製における請求項15から29のいずれかに記載の抗体の使用。
140. 細胞増殖疾患の治療用または予防用医薬品の調製における請求項15から29のいずれかに記載の抗体の使用。
141. 癌の治療的処置用または診断検出用医薬品の調製における請求項35から44のいずれかに記載のオリゴペプチドの使用。
142. 腫瘍の治療用医薬品の調製における請求項35から44のいずれかに記載のオリゴペプチドの使用。
143. 細胞増殖疾患の治療用または予防用医薬品の調製における請求項35から44のいずれかに記載のオリゴペプチドの使用。
144. 癌の治療的処置用または診断検出用医薬品の調製における請求項45から54のいずれかに記載のTAT結合有機分子の使用。
145. 腫瘍の治療用医薬品の調製における請求項45から54のいずれかに記載のTAT結合有機分子の使用。
146. 細胞増殖疾患の治療用または予防用医薬品の調製における請求項45から54のいずれかに記載のTAT結合有機分子の使用。
147. 癌の治療的処置用または診断検出用医薬品の調製における請求項55または56のいずれかに記載の物質の組成物の使用。
148. 腫瘍の治療用医薬品の調製における請求項55または56のいずれかに記載の物質の組成物の使用。
149. 細胞増殖疾患の治療用または予防用医薬品の調製における請求項55または56のいずれかに記載の物質の組成物の使用。
150. 癌の治療的処置用または診断検出用医薬品の調製における請求項57または58のいずれかに記載の製造品の使用。
151. 腫瘍の治療用医薬品の調製における請求項57または58のいずれかに記載の製造品の使用。
152. 細胞増殖疾患の治療用または予防用医薬品の調製における請求項57または58のいずれかに記載の製造品の使用。
153. 前記細胞の増殖が:
(a)配列番号:2として示されるポリペプチド;
(b)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチド;
(c)その付随するシグナルペプチドを有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(d)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチド;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたポリペプチド、
に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質の増殖増強作用に少なくとも部分的に依存する、細胞の増殖を阻止する方法であって、前記タンパク質と、前記タンパク質に結合する抗体、オリゴペプチドまたは有機分子とを接触させること、それによって前記細胞の増殖を阻止することを含む方法。
154. 前記細胞が癌細胞である請求項153に記載の方法。
155. 前記タンパク質が、前記細胞によって発現される請求項153に記載の方法。
156. 前記抗体、オリゴペプチドまたは有機分子の前記タンパク質への結合が、前記タンパク質の細胞増殖増強活性にアンタゴナイズする請求項153に記載の方法。
157. 前記抗体、オリゴペプチドまたは有機分子の前記タンパク質への結合が、前記細胞の死滅を誘導する請求項153に記載の方法。
158. 前記抗体が、モノクローナル抗体である請求項153に記載の方法。
159. 前記抗体が、抗体断片である請求項153に記載の方法。
160. 前記抗体が、キメラ抗体またはヒト化抗体である請求項153に記載の方法。
161. 前記抗体、オリゴペプチドまたは有機分子が、増殖抑制剤に結合される請求項153に記載の方法。
162. 前記抗体、オリゴペプチドまたは有機分子が、細胞毒性剤に結合される請求項153に記載の方法。
163. 前記細胞毒性剤が、毒素、抗体、放射性同位元素および核酸分解酵素よりなる群から選択される請求項162に記載の方法。
164. 前記細胞毒性剤が毒素である請求項162に記載の方法。
165. 前記毒素が、メイタンシノイドおよびカリキアミシンよりなる群から選択される請求項164に記載の方法。
166. 前記毒素が、メイタンシノイドである請求項164に記載の方法。
167. 前記抗体が、細菌中に産生される請求項153に記載の方法。
168. 前記抗体が、CHO細胞中に産生される請求項153に記載の方法。
169. 前記タンパク質が:
(a)配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(b)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(c)その付随するシグナルペプチド配列を有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(d)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたアミノ酸配列、
を有する請求項153に記載の方法。
170. 前記腫瘍の増殖が:
(a)配列番号:2として示されるポリペプチド;
(b)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチド;
(c)その付随するシグナルペプチドを有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(d)その付随するシグナルペプチドを欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメイン;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチド;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたポリペプチド、
に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質の増殖増強作用に少なくとも部分的に依存する、哺乳動物のける腫瘍を治療的に処置する方法であって、前記タンパク質と、前記タンパク質に結合する抗体、オリゴペプチドまたは有機分子とを接触させること、それによって前記腫瘍を有効に処置することを含む方方法。
171. 前記タンパク質が、前記腫瘍の細胞により発現される請求項170に記載の方法。
172. 前記抗体、オリゴヌクレオチドまたは有機分子の前記タンパク質への結合が、前記タンパク質の細胞増殖増強活性にアンタゴナイズする請求項170に記載の方法。
173. 前記抗体が、モノクローナル抗体である請求項170に記載の方法。
174. 前記抗体が、抗体断片である請求項170に記載の方法。
175. 前記抗体が、キメラ抗体またはヒト化抗体である請求項170に記載の方法。
176. 前記抗体、オリゴヌクレオチドまたは有機分子が、増殖抑制剤に結合される請求項170に記載の方法。
177. 前記抗体、オリゴヌクレオチドまたは有機分子が、細胞毒性剤に結合される請求項170に記載の方法。
178. 前記細胞毒性剤が、毒素、抗体、放射性同位元素および核酸分解酵素よりなる群から選択される請求項177に記載の方法。
179. 前記細胞毒性剤が毒素である請求項177に記載の方法。
180. 前記毒素が、メイタンシノイドおよびカリキアミシンよりなる群から選択される請求項179に記載の方法。
181. 前記トキシンがメイタンシノイドである請求項179に記載の方法。
182. 前記抗体が、細菌中に産生される請求項170に記載の方法。
183. 前記抗体が、CHO細胞中に産生される請求項170に記載の方法。
184. 前記タンパク質が:
(a)配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(b)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるアミノ酸配列;
(c)その付随するシグナルペプチド配列を有する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(d)その付随するシグナルペプチド配列を欠失する配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列;
(e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列;または
(f)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域によりコードされたアミノ酸配列、
を有する請求項170に記載の方法。
186. 表7に示された任意のハイブリドーマ細胞系によって産生された抗体により結合されたエピトープに結合する単離抗体。
187. モノクローナル抗体である請求項186に記載の抗体。
188. 抗体断片である請求項186に記載の抗体。
189. ヒト化抗体である請求項186に記載の抗体。
190. 増殖抑制剤に結合される請求項186に記載の抗体。
191. 細胞毒性剤に結合される請求項186に記載の抗体。
192. 前記細胞毒性剤が、毒素、抗体、放射性同位元素および核酸分解酵素よりなる群から選択される請求項191に記載の抗体。
193. 前記細胞毒性剤が毒素である請求項191に記載の抗体。
194. 前記毒素が、メイタンシノイドおよびカリキアミシンよりなる群から選択される請求項193に記載の抗体。
195. 前記トキシンがメイタンシノイドである請求項193に記載の抗体。
196. 細菌中に産生される請求項186に記載の抗体。
197. CHO細胞中に産生される請求項186に記載の抗体。
198. 請求項186に記載の抗体であって、その抗体が結合する細胞の死を誘導する、抗体。
199. 検出可能に標識される請求項186に記載の抗体。
200. 表7に示された任意のハイブリドーマ細胞系によって産生された任意の抗体領域を決定する少なくとも1つの相補性を含む請求項186に記載の抗体。
201. 表7に示された任意のハイブリドーマ細胞系によって産生されたモノクローナル抗体。
202. TAT113ポリペプチドに結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞。
203. 表7に示された任意のハイブリドーマ細胞系によって産生された抗体により結合されたエピトープに結合する抗体を同定する方法であって、第一の抗体が、表7に示された任意のハイブリドーマ細胞系によって産生された第二の抗体によりのTAT113ポリペプチドへの結合を遮断する能力を判定することを含んでなり、少なくとも40%および等しい抗体濃度で、前記第二の抗体の前記TAT113ポリペプチドへの結合を遮断する前記第一の能力により、前記第一の抗体が、前記第二の抗体によって結合されたエピトープに結合できることを示す方法。
本発明のよりさらなる実施形態は、本明細書を読むことによって当業者にとって明白になるであろう。
好ましい実施形態の詳細な説明
定義
本明細書に用いられ、直ぐに数値指定が続く場合、用語の「TATポリペプチド」および「TAT」は、種々のポリペプチドを称し、完全指定(すなわち、TAT/番号)は、本明細書に記載された特定のポリペプチド配列を称す。用語の「番号」が、本明細書に用いられる実際の数値指定として提供される用語の「TAT/番号ポリペプチド」および「TAT/番号」は、天然配列のポリペプチド類、ポリペプチド変異体ならびに天然配列のポリペプチド類およびポリペプチド変異体(本明細書にさらに定義される)の断片を包含する。本明細書に記載されたTATポリペプチド類は、ヒト組織タイプまたは別の起源からなど、種々の起源から単離でき、または組換え法もしくは合成法により調製できる。用語の「TATポリペプチド」とは、本明細書に開示された各々個々のTAT/番号ポリペプチドを称す。「TATポリペプチド」を称する本明細書中の全ての開示は、個々にならびに協同でポリペプチド類の各々を称す。例えば、疾患の治療を含む組成物の投与に対して、またはそれに備えて、抗体の形成、TAT結合オリゴペプチド類の形成、TAT結合有機分子の形成、それらの調製、精製、誘導化についての記載は、各々個々に本発明のポリペプチドに関係する。用語の「TATポリペプチド」はまた、本明細書に開示されたTAT/番号ポリペプチド類の変異体を含む。
「天然配列のTATポリペプチド」は、天然に由来する対応するTATポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。このような天然配列のTATポリペプチドは、天然から単離できるか、または組換え手段または合成手段により製造できる。用語の「天然配列のTATポリペプチド」は、特定のTATポリペプチド(例えば、細胞外ドメイン配列)の天然切断体または分泌体、天然変異体(例えば、あるいはスプライシング体)およびポリペプチドの天然の対立遺伝子変異体を特に包含する。本発明の一定の実施形態において、本明細書に開示された天然配列のTATポリペプチド類は、添付の図面に示された完全長アミノ酸配列を含む成熟または完全長天然配列のポロペプチド類である。出発および終止コドン(示される場合)は、図面の太字体の下線で示される。添付の図面で「N」または「X」として示された核酸残基は、任意の核酸残基である。しかしながら、添付の図面に開示されたTATポリペプチド類は、図面中の1位のアミノ酸として本明細書に指定されたメチオニン残基により開始することが示されているが、図面中の1位のアミノ酸から上流または下流に配置された他のメチオニン残基は、TATポリペプチド類に対して出発アミノ酸残基として使用し得ることが考えられる可能性がある。
TATポリペプチドの「細胞外ドメイン」または「ECD」とは、本質的に膜貫通および細胞質内ドメインの無いTATポリペプチドの形態を称す。通常、TATポリペプチドECDは、このような膜貫通および/または細胞質内ドメインの1%未満を有し、このようなドメインの0.5%未満が好ましい。当然のことながら、本発明のTATポリペプチド類に関して同定された膜貫通ドメインはいずれも、そのタイプの疎水性ドメインを同定するために当業界にルーチン的に使用されている評価基準に従って同定される。膜貫通ドメインの正確な境界は変化し得るが、本明細書で最初に同定されたドメインのいずれかの末端における約5つのアミノ酸以下の変化である可能性が高い。したがって任意に、TATポリペプチドの細胞外ドメインは、実施例または明細書に同定された膜貫通/細胞外ドメインの境界域のいずれかの側に約5つまたはそれ以下のアミノ酸を含有でき、付随するシグナルペプチドを有する、または有さないこのようなポリペプチド類、およびそれらをコードする核酸が、本発明により考慮されている。
本明細書に開示された種々のTATポリペプチド類の「シグナルペプチド類」のおおよその位置は、本明細書および/または添付の図面に示すことができる。しかしながら、シグナルペプチドのC−末端境界域は変わり得るが、本明細書に最初に同定されたシグナルペプチドのC−末端境界域のいずれかの側にわずか5つにすぎないアミノ酸によるのが最も相応しく、シグナルペプチドのC−末端境界域は、そのタイプのアミノ酸配列要素を同定するために当業界にルーチン的に使用されている評価基準に従って同定できる(例えば、Nielsenら、Prot.Eng.10:1−6頁(1997)およびvon Heinjeら、Nucl.Acids.Res.14:4683−4690頁(1986))。さらに、幾つかの場合、分泌ポリペプチドからシグナル配列の開裂は、1つ超の分泌種を生じて完全に均一でないこともまた認識される。該シグナルペプチドが、本明細書に同定されたシグナルペプチドのC−末端境界域のいずれかの側にわずか5つにすぎないアミノ酸内に開裂されるこれらの成熟ポリペプチド類、およびそれらをコードするポリヌクレオチド類は、本発明により考慮されている。
「TATポリペプチド変異体」とは、本明細書に開示された完全長天然配列のTATポリペプチド配列、本明細書に開示されたシグナルペプチドを欠失するTATポリペプチド配列、本明細書に開示されたシグナルペプチドの有無のTATポリペプチド細胞外ドメイン、または本明細書に開示された完全長TATポリペプチドの任意の他の断片(完全長TATポリペプチドに関する完全コード配列の部分だけを表す核酸によりコードされたものなど)と少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する本明細書に定義されたTATポリペプチド、好ましくは活性なTATポリペプチドを意味する。このようなTATポリペプチド変異体は、例えば、1つまたは複数のアミノ酸残基が、完全長天然アミノ酸配列のN−またはC−末端に付加されるか、または削除されるTATポリペプチドを含む。通常、TATポリペプチド変異体は、本明細書に開示された完全長天然配列のTATポリペプチド配列、本明細書に開示されたシグナルペプチドを欠失するTATポリペプチド配列、本明細書に開示されたシグナルペプチドの有無のTATポリペプチド細胞外ドメイン、または本明細書に開示された完全長TATポリペプチドの任意の他の具体的に定義された断片に対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、あるいは、少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性を有するであろう。通常、TAT変異体ポリペプチド類は、長さが少なくとも約10のアミノ酸、あるいは、長さが少なくとも約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600のアミノ酸、またはそれ以上である。任意に、TAT変異体ポリペプチド類は、天然TATポリペプチド配列と比較して、1つにすぎない保存アミノ酸置換を有し、あるいは、天然TATポリペプチド配列と比較して、2、3、4、5、6、7、8、9、または10にすぎない保存アミノ酸置換を有する。
本明細書に同定されたTATポリペプチドに関する「アミノ酸配列の同一性パーセント(%)」は、配列同一性の一部としていずれの保存置換を考慮することなく最大パーセント配列同一性を達成するために、必要ならば、配列および導入ギャップを整列化後、具体的なTATポリペプチド配列においてアミノ酸残基と同一である候補配列のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。アミノ酸配列の同一性パーセントを測定する目的のためのアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手できるコンピュータソフトウェアを用いて、当業技術の範囲内である種々の方法で達成できる。当業者は、比較される完全長配列上に最大アラインメントを達成するために必要とされる任意のアルゴリズムなど、アラインメントを測定するために適切なパラメータを決定できる。しかしながら、本明細書における目的のために、アミノ酸配列の同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を用いて生成され、ALIGN−2プログラムに関する完全原始コードは、下記の表1に提供される。ALIGN−2の配列比較コンピュータプログラムは、Genentech社により著作されており、下記の表1に示された原始コードは、米国著作権局、ワシントンD.C.、20559に、使用者の文書と共に出願されており、それは、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN−2プログラムは、Genentech社、サウスサンフランシスコ、カリフォルニア州により公的に入手できるか、または下記の表1に提供された原始コードからコンパイルできる。ALIGN−2プログラムは、UNIX(登録商標)操作システム、好ましくはデジタルUNIX(登録商標) V4.0Dに対する使用に関してコンパイルされるはずである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムにより設定され、変わらない。
ALIGN−2プログラムが、アミノ酸配列の比較に使用される状況において、所与のアミノ酸配列Bに対して、それと、またはそれに備えて、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列の同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bに対して、それと、またはそれに備えて、ある一定のアミノ酸配列の同一性%を有するか、または含む所与のアミノ酸配列Aとして表すことができる)は、以下のとおり算出される:
X/Y分率の100倍
式中Xは、AおよびBのそのプログラムのアラインメントにおいて、配列アラインメントプログラムALIGN−2により同一のマッチとしてスコア化されたアミノ酸残基数であり、Yは、Bにおける全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さが、アミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、A対Bのアミノ酸配列の同一性%は、B対Aのアミノ酸配列の同一性%と等しくないことが認識されるであろう。この方法を用いるアミノ酸配列の同一性%算出の例として、表2および表3は、「TAT」と指定されたアミノ酸配列に対して「比較タンパク質」と指定されたアミノ酸配列のアミノ酸配列の同一性%を算出する方法を示しており、「TAT」は、対象の仮想TATポリペプチドのアミノ酸配列を表し、「比較タンパク質」は、対象の「TAT」ポリペプチドが比較されるポリペプチドのアミノ酸配列を表し、「X」、「Y」および「Z」の各々は、仮想の異なるアミノ酸残基を表す。特に他に述べない限り、本明細書に用いられる全てのアミノ酸配列の同一性%値は、ALIGN−2コンピュータプログラムを用いて直前に記述された段落に記載されたとおりに得られる。
「TAT変異体ポリヌクレオチド」または「TAT変異体核酸配列」とは、本明細書に開示された完全長天然配列のTATポリペプチド配列、本明細書に開示されたシグナルペプチドを欠失する完全長天然配列のTATポリペプチド配列、本明細書に開示されたシグナルペプチドの有無のTATポリペプチド細胞外ドメイン、または本明細書に開示された完全長TATポリペプチドの任意の他の断片(完全長TATポリペプチドに関する完全コード配列の一部だけを表す核酸によりコードされたものなど)をコードする核酸配列と少なくとも約80%の核酸配列同一性を有する本明細書に定義されたTATポリペプチド、好ましくは活性なTATポリペプチドをコードする核酸分子を意味する。通常、TAT変異体ポリヌクレオチドは、本明細書に開示された完全長天然配列のTATポリペプチド配列、本明細書に開示されたシグナルペプチドを欠失する完全長天然配列のTATポリペプチド配列、本明細書に開示されたシグナルペプチドの有無のTATポリペプチド細胞外ドメイン、または本明細書に開示された完全長TATポリペプチドの任意の他の断片をコードする核酸配列と少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、あるいは、少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の核酸配列同一性を有するであろう。変異体は、天然ヌクレオチド配列を包含しない。
通常、TAT変異体ポリヌクレオチド類は、長さが少なくとも約5つのヌクレオチド、あるいは、長さが少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、または1000のヌクレオチドであり、この文脈において用語の「約」とは、述べられたヌクレオチド配列の長さに、述べられたその長さのプラスまたはマイナス10%を意味する。
本明細書に同定されたTATコード拡散配列に関する「核酸配列の同一性パーセント(%)」は、最大パーセント配列同一性を達成するために、必要ならば、配列および導入ギャップをアラインした後、対象のTAT核酸配列においてヌクレオチドと同一である候補配列のヌクレオチドのパーセンテージとして定義される。核酸配列の同一性パーセントを判定する目的のアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手できるコンピュータソフトウェアを用いて、当業技術の範囲内である種々の方法で達成できる。しかしながら、本明細書における目的のために、核酸配列の同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を用いて生成され、ALIGN−2プログラムに関する完全原始コードは、下記の表1に提供される。ALIGN−2の配列比較コンピュータプログラムは、Genentech社により著作されており、下記の表1に示された原始コードは、米国著作権局、ワシントンD.C.、20559に、使用者の文書と共に出願されており、それは、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN−2プログラムは、Genentech社、サウスサンフランシスコ、カリフォルニア州により公的に入手できるか、または下記の表1に提供された原始コードからコンパイルできる。ALIGN−2プログラムは、UNIX(登録商標)操作システム、好ましくはデジタルUNIX(登録商標) V4.0Dに対する使用に関してコンパイルされるはずである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムにより設定され、変わらない。
ALIGN−2プログラムが、核酸配列の比較に使用される状況において、所与の核酸配列Dに対する、それとの、またはそれと対照した、所与の核酸配列Cの核酸配列の同一性%(あるいは、所与の核酸配列Dに対して、それとの、またはそれと対照した、ある一定の核酸配列の同一性%を有するか、または含む所与の核酸配列Cとして表すことができる)は、以下のとおり算出される:
W/Z分率の100倍
式中Wは、CおよびDのそのプログラムのアラインメントにおいて、配列アラインメントプログラムALIGN−2により同一のマッチとしてスコア化されたヌクレオチド数であり、Zは、Dにおける全ヌクレオチド数である。核酸配列Aの長さが、核酸配列Bの長さと等しくない場合、C対Dの核酸配列の同一性%は、B対Aの核酸配列の同一性%と等しくないことが認識されるであろう。核酸配列の同一性%算出の例として、表4および表5は、「TAT−DNA」と指定された核酸配列に対して「比較DNA」と指定された核酸配列の核酸配列の同一性%を算出する方法を示しており、「TAT−DNA」は、対象の仮想TATコード核酸配列を表し、「比較DNA」は、対象の「TAT−DNA」核酸分子が比較される核酸分子のヌクレオチド配列を表し、「N」、「L」および「V」の各々は、仮想の異なるヌクレオチド類を表す。特に他に述べない限り、本明細書に用いられる全ての核酸配列の同一性%値は、ALIGN−2コンピュータプログラムを用いて直前に記述された段落に記載されたとおりに得られる。
他の実施形態において、TAT変異体ポリヌクレオチド類は、TATポリペプチドをコードし、好ましくはストリンジェントハイブリダイゼーションおよび洗浄条件下、本明細書に開示された完全長TATポリペプチドをコードするヌクレオチド配列にハイブリダイズできる核酸分子である。TAT変異体ポリペプチド類は、TAT変異体ポリヌクレオチド類によりコードされるものであり得る。
TATポリペプチドをコードする核酸に関して用いられる場合、用語の「完全長コード領域」とは、本発明の完全長TATポリペプチドをコードするヌクレオチド類の配列(添付の図面において、開始コドンと終止コドンを含め、それらの間にしばしば示される)を称す。ATCCに寄託された核酸に関して用いられる場合、用語の「完全長コード領域」とは、ATCCにより寄託されたベクターに挿入されるcDNAのTATポリペプチドコード部分(添付の図面において、開始コドンと終止コドンを含め、それらの間にしばしば示される)を称す。
本明細書に開示された種々のTATポリペプチド類を記載するために用いられる場合の「単離」とは、その天然環境の成分から同定、分離および/または回収されたポリペプチドを意味する。その天然環境の不純物成分は、該ポリペプチドに対して診断または治療使用を典型的に妨害すると思われる物質であり、酵素、ホルモン類、および他のタンパク質溶質または非タンパク質溶質を含み得る。好ましい実施形態において、該ポリペプチドは、(1)スピニングカップシークエネーターの使用により少なくとも15残基のN末端または内部アミノ酸配列を得るのに十分な程度に、または(2)クーマシーブルーまたは、好ましくは、銀染色を用いる非還元または還元条件下でSDS−PAGEによる均質性に、精製される。天然環境で少なくとも1種の成分のTATポリペプチドが存在しないことから、単離ポリペプチドは、インサイチュ組換え細胞内にポリペプチドを含む。しかしながら通常、単離ポリペプチドは、少なくとも1つの精製ステップにより調製される。
「単離」TATポリペプチドコード核酸または他のポリペプチドコード核酸は、通常、ポリペプチドコード核酸の天然源に関連する少なくとも1種の不純物核酸分子から同定され、分離される核酸分子である。単離ポリペプチドコード核酸分子は、天然に見られる形態または設定以外のものである。したがって、単離ポリペプチドコード核酸分子は、天然細胞に存在する特定のポリペプチドコード核酸分子とは区別される。しかしながら、単離ポリペプチドコード核酸分子は、通常、ポリペプチドを発現する細胞に含まれたポリペプチドコード核酸分子を含み、例えば、該核酸分子は、天然細胞のものとは異なる染色体位置にある。
用語の「対照配列」は、特定の宿主生物において操作的に結合されたコード配列の発現に必要なDNA配列を称す。原核生物に好適である対照配列としては、例えば、プロモーター、任意にオペレーター配列、およびリボソーム結合部位が挙げられる。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーを利用することが知られている。
核酸は、別の核酸配列と機能的関係に置かれる場合、「操作的に結合」される。例えば、シグナルペプチドまたは分泌リーダーに関するDNAは、ポリペプチドの分泌に関与する前タンパク質として発現される場合、ポリペプチドに係わるDNAに操作的に結合され;プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に操作的に結合され;またはリボソーム結合部位は、翻訳を促進するように配置される場合、コード配列に操作的に結合される。一般に、「操作的に結合される」とは、結合されるDNA配列が連続的であり、分泌リーダーの場合、連続的でリーディング相にあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは、連続的である必要はない。結合は、好適な制限部位での連結により達成される。このような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドのアダプターまたはリンカーを、慣例的な実践法に従って用いる。
ハイブリダイゼーション反応の「ストリンジェンシー」は、通常の当業者によって容易に判定でき、一般にプローブの長さ、洗浄温度、および塩濃度に依って経験的に算出される。一般に、より長いプローブは、適切なアニーリングのために高温を必要とするが、一方、より短いプローブは、低温を必要とする。ハイブリダイゼーションは一般に、相補鎖が、それらの融解温度以下の環境に存在する場合に再アニールするために変性DNA能力に依存する。プローブとハイブリダイズ可能な配列との間に所望の相同性が高くなると、使用できる相対温度が高くなる。その結果、より高い相対温度は、反応条件をよりストリンジェントにさせる傾向となり、一方、より低い温度では、それを、より低ストリンジェントにする傾向となる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーのさらなる詳細および説明に関して、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley Interscience Publishers、(1995)を参照されたい。
本明細書に定義される「ストリンジェント条件」または「高ストリンジェント条件」は、(1)洗浄のために低イオン強度および高温、例えば、50℃で0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウムを使用し;(2)ハイブリダイゼーション中にホルムアミドなどの変性剤、例えば、0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%ポリビニルピロリドン/750mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウムによりpH6.5で50mMのリン酸ナトリウム緩衝液を有する50%(v/v)ホルムアミドを40℃で使用し;または(3)50%ホルムアミド、5×SSC(0.75MのNaCl、0.75Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハート液、音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、および10%硫酸デキストランを42℃で使用する溶液中で一晩のハイブリダイゼーション、0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中42℃で10分の洗浄、次いで55℃でEDTAを含有する0.1×SSCよりなる10分の高ストリンジェンシーの洗浄、を使用することによって定義できる。
「中等度ストリンジェント条件」とは、Sambrookらによる、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、ニューヨーク:Cold Spring Harbor Press、1989年に記載されているように定義でき、上記のものよりも低ストリンジェントの洗浄液およびハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、イオン強度および%SDS)の使用を含む。中等度ストリンジェント条件の一例は、20%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート液、10%硫酸デキストラン、および20mg/mlの変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中、37℃で一晩のインキュベーション、次いで約37〜50℃で1×SSC中、フィルター洗浄である。当業技術者は、プローブ長などの因子に適応させるために必要な場合、温度、イオン強度などを調整する方法を認識している。
本明細書に用いられる用語の「エピトープタグ化」とは、「タグポリペプチド」に融合されたTATポリペプチドまたは抗TAT抗体を含むキメラポリペプチドを称す。タグポリペプチドは、抗体を作製できるエピトープを提供するのに十分な残基を有し、さらに融合されるポリペプチドの活性を妨害しないほど十分に短い。タグポリペプチドはまた、抗体が他のエピトープと実質的に交差反応しないようにユニークであることが好ましい。好適なタグポリペプチド類は一般に、少なくとも6つのアミノ酸残基を有し、通常は約8と50との間のアミノ酸残基(好ましくは、約10と20との間のアミノ酸残基)を有する。
本明細書の目的のために「活性な」または「活性」とは、未変性または天然TATの生物活性および/または免疫学的活性を保持するTATポリペプチドの形態を称し、「生物」活性とは、未変性または天然TATにより備えられた抗原性エピトープに対する抗体産生を誘導する能力以外に未変性または天然TATにより引き起こされる生物学的機能(抑制性または刺激性)を称し、「免疫学的」活性とは、未変性または天然TATにより備えられた抗原性エピトープに対する抗体産生を誘導する能力を称す。
用語の「アンタゴニスト」は、最も広い意味で用いられ、本明細書に開示された未変性TATポリペプチドの生物活性を、部分的または完全に遮断し、抑制し、または中和する任意の分子を含む。同様の様式で、用語の「アゴニスト」は、最も広い意味で用いられ、本明細書に開示された未変性TATポリペプチドの生物活性を模倣する任意の分子を含む。好適なアゴニスト分子またはアンタゴニスト分子としては、具体的にアゴニストまたはアンタゴニスト抗体もしくは抗体断片、未変性TATポリペプチドの断片またはアミノ酸配列変異体、小型有機分子などが挙げられる。TATポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストを同定する方法は、TATポリペプチドと、候補アゴニスト分子または候補アンタゴニスト分子とを接触させること、TATポリペプチドと通常関連する1つまたは複数の生物学的活性における検出可能な変化を測定することを含んでなり得る。
「治療」または「処置」あるいは「軽減」は、治療的処置および予防的または予防手段の双方を言い、その目的は、標的病態または疾患を予防するか、または遅速させる(減らす)ことである。処置の必要な人としては、既に障害を持つ人ならびに障害を有する傾向がある人または障害を予防すべき人が挙げられる。対象または哺乳動物は、本発明の方法による抗TAT抗体、TAT結合オリゴペプチドまたはTAT結合有機分子の治療量を受けた後、患者が、1つまたは複数の以下の観察可能なおよび/または測定可能な減少または不在:癌細胞数の減少または癌細胞の不在;腫瘍サイズの減少;軟組織および骨への癌の拡散など、癌細胞の周辺臓器への侵入抑制(すなわち、ある程度緩徐にし、好ましくは停止させる);腫瘍転移抑制(すなわち、ある程度緩徐にし、好ましくは停止させる);腫瘍増殖のある程度の抑制;および/または特定の癌に関連する1つまたは複数の症状のある程度の軽減;罹患率および死亡率の減少、および生活の質の問題の改善、を示す場合、TATポリペプチド発現癌に対して首尾よく「治療」されることになる。抗TAT抗体またはTAT結合オリゴペプチドが、増殖を予防し、および/または存在する癌細胞を死滅させ得る程度まで、それは、細胞増殖抑制性および/または細胞毒性であり得る。これらの徴候または症状の軽減もまた、患者により感じることができる。
疾患における成功した処置および改善を評価するための上記パラメータは、医師に精通したルーチン的手法により容易に測定可能である。癌療法に関して、有効性は、例えば、疾患進行時間を評価すること、および/または応答速度(RR)を判定することにより測定できる。転移は、ステージング試験および骨のスキャンならびにカルシウムレベル試験および骨への拡散を測定するために他の酵素により判定できる。CTスキャンもまた、骨盤およびその領域のリンパ節への拡散を探すために実施できる。胸部X線および公知の方法による肝酵素レベルの測定は、それぞれ肺および肝臓への転移を探すために使用される。疾患をモニターする他のルーチン的方法としては、経大腸超音波映像法(TRUS)および経直腸的針生体組織検査法(TRNB)が挙げられる。
より局在化された癌である膀胱癌に関して、疾患の進行を測定する方法としては、膀胱鏡検査による尿細胞学的評価、尿中血液の存在のモニタリング、断層撮影または静脈内腎盂X線像による尿路上皮性管の可視化、コンピュータ断層撮影(CT)および磁気共鳴画像法(MRI)が挙げられる。遠位転移の存在は、腹部のCT、胸部X線、または骨格の放射性核種画像により評価できる。
「慢性」投与とは、最初の治療効果を、時期を延長させて維持するための、急性様式に対する連続様式の薬剤投与を言う。「間欠」投与は、中断はしないが、連続的ではなく、したがって周期的に実施される処置である。
癌の症状を軽減する治療または診断目的のための「哺乳動物」とは、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギなどの家畜および飼育動物、および動物園、スポーツ、またはペット動物など、哺乳動物として分類された、いずれの動物をも称す。哺乳動物はヒトであることが好ましい。
1種または複数種のさらなる治療薬「との組合わせ」投与は、同時(並行)投与および任意の順序での連続投与を含む。
本明細書に用いられる「担体」としては、使用される投与量および濃度で、それに曝される細胞または哺乳動物に対して非毒性である製薬的に許容できる担体、賦形剤、または安定化剤が挙げられる。製薬的に許容できる担体は、pH緩衝水溶液であることが多い。製薬的に許容できる担体の例としては、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸などの抗酸化剤;低分子量(約10未満残基)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー類;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリンなどの炭糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール類;ナトリウムなどの塩形成対イオン類;および/またはTWEEN(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、およびPLURONICS(登録商標)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
「固相」または「固体支持体」とは、本発明の抗体、TAT結合オリゴペプチドまたはTAT結合有機分子が接着または結合できる非水性マトリックスを意味する。本明細書に包含された固相の例としては、ガラス(例えば、制御ポアガラス)、多糖類(例えば、アガロース)、ポリアクリルアミド類、ポリスチレン、ポリビニルアルコールおよびシリコーン類の部分的または全体的に形成されたものが挙げられる。一定の実施形態において、状況に依って固相は、アッセイプレートのウェルを含むことができ;他の実施例において、固相は、精製用カラム(例えば、アフィニティークロマトグラフィ用カラム)である。この用語はまた、米国特許第4,275,149号に記載されたものなど、離散粒子の不連続固相を含む。
「リポソーム」は、薬物(TATポリペプチド、それに対する抗体またはTAT結合オリゴペプチド)の哺乳動物への送達に有用である種々のタイプの脂質、リン脂質おおび/または界面活性剤から構成される小型の媒体である。リポソームの成分は、通常、生体膜の脂質整列と同様に二層形成で配置される。
「小型」分子または「小型」有機分子は、本明細書において約500ダルトン以下の分子量有すると定義される。
本明細書に開示されたポリペプチド、抗体、TAT結合オリゴペプチド、TAT結合有機分子またはそれらのアゴニストまたはアンタゴニストの「有効量」は、具体的に記述された目的を実施するのに十分な量である。「有効量」は、記述された目的に関して経験的かつルーチン的な様式で判定できる。
用語の「治療的有効量」とは、対象または哺乳動物における疾患または障害を「治療する」のに有効な抗体、ポリペプチド、TAT結合オリゴペプチド、TAT結合有機分子または他の薬物の量を称す。癌の場合、薬物の治療的有効量は、癌細胞数を減少でき;周辺臓器への癌細胞の侵入を阻止でき(すなわち、ある程度緩徐にし、好ましくは停止させる);腫瘍転移を阻止でき(すなわち、ある程度緩徐にし、好ましくは停止させる);腫瘍増殖をある程度阻止でき;および/または癌に関連する1つまたは複数の症状を、ある程度軽減できる。本明細書に定義の「治療」を参照されたい。薬物が、増殖を予防し、および/または存在する癌細胞を死滅させ得る程度に、それは細胞増殖抑制性および/または細胞毒性であり得る。
抗TAT抗体、TATポリペプチド、TAT結合オリゴペプチドまたはTAT結合有機分子の「増殖抑制量」は、細胞、特に腫瘍、例えば、インビトロまたはインビボでの癌細胞の増殖を阻止できる量である。新生細胞を阻止する目的のために抗TAT抗体、TATポリペプチド、TAT結合オリゴペプチドまたはTAT結合有機分子の「増殖抑制量」は、経験的かつルーチン的な様式で判定できる。
抗TAT抗体、TATポリペプチド、TAT結合オリゴペプチドまたはTAT結合有機分子の「細胞毒性量」は、細胞、特に腫瘍、例えば、インビトロまたはインビボでの癌細胞の破壊を引き起こすことができる量である。新生細胞増殖を阻止する目的のために抗TAT抗体、TATポリペプチド、TAT結合オリゴペプチドまたはTAT結合有機分子の「細胞毒性量」は、経験的かつルーチン的な様式で判定できる。
用語の「抗体」は、最も広い意味で用いられ、所望の生物活性または免疫学的な活性を示す限り、例えば、単一の抗TATモノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、および中和抗体)、ポリエピトープ特異性を有する抗TAT抗体組成物、ポリクローナル抗体、単鎖抗TAT抗体、および抗TAT抗体の断片(下記を参照)を具体的に包含している。用語の「免疫グロブリン」(Ig)は、本明細書に記載の抗体と交換可能に使用される。
「単離抗体」は、その天然環境の成分から同定、分離および/または回収されたものである。その天然環境の不純物成分としては、該抗体に係わる診断または治療使用を妨害し得る物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を挙げることができる。好ましい実施形態において、該抗体は、(1)ローリー法により測定された抗体が95重量%超に、最も好ましくは、99重量%超に、(2)スピニングカップシークエネーターの使用により少なくとも15残基のN末端または内部アミノ酸配列を得るのに十分な程度に、または(3)クーマシーブルーまたは、好ましくは、銀染色を用いる還元または非還元条件下でSDS−PAGEによる均質性に、精製される。抗体の天然環境の少なくとも1種の成分が存在しないことから、単離抗体は、インサイチュ組換え細胞内に抗体を含む。しかしながら通常、単離抗体は、少なくとも1つの精製ステップにより調製される。
塩基性4−鎖抗体単位は、2本の同一軽(L)鎖および2本の同一重(H)鎖から構成されるヘテロテトラマー糖タンパク質である(IgM抗体は、J鎖と呼ばれる追加のポリペプチドと共に5つの塩基性ヘテロテトラマーからなり、したがって10の抗原結合部位を含有するが、一方、分泌IgA抗体は、J鎖と共に2〜5つの塩基性4−鎖単位を含む多価集合を形成するために重合化できる)。IgG類の場合、4−鎖単位は、一般に約150,000ダルトンである。L鎖の各々は、1つのジスルフィド共有結合によりH鎖に結合され、一方、2本のH鎖は、H鎖イソタイプに依って1つまたは複数のジスルフィド結合により互いに結合されている。H鎖およびL鎖の各々はまた、規則正しく間隔を空けた鎖内ジスルフィド架橋を有する。H鎖の各々は、N末端の可変性ドメイン(V)、次いでアルファおよびガンマ鎖の各々に関して3つの一定ドメイン(C)およびμおよびεイソタイプに関して4つのCドメインを有する。各L鎖は、N末端に可変性ドメイン(V)、次いでその他の末端に定常ドメイン(C)を有する。Vは、Vとアラインされ、Cは、重鎖(C1)の第一の定常ドメインとアラインされる。特定のアミノ酸残基が、軽鎖可変性ドメインと重鎖可変性ドメインとの間に接合面を形成すると考えられている。VおよびVのペアリングは一緒に、単一の抗原結合部位を形成する。種々のクラスの抗体の構造および性質に関しては、例えば、Basic and Clinical Immunology、第8版、Daniel P.Stites、Abba I.TerrおよびTristram G.Parslow(編集者)、Appleton & Lange、ノーウォーク、コネチカット州、1994年、71頁および6章を参照されたい。
任意の脊椎動物種からのL鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいてカッパおよびラムダと呼ばれる2つの明確に異なるタイプの1つに帰属させることができる。重鎖(C)の定常ドメインのアミノ酸配列に依って、免疫グロブリンを、種々のクラスまたはイソタイプに帰属させることができる。5つのクラスの免疫グロブリン:それぞれα、δ、ε、γ、およびμと指定された重鎖を有するIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMである。γおよびαクラスは、C配列および機能において比較的小さな相違に基づいてサブクラスにさらに分けられ、例えば、ヒトは、以下のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2を発現する。
用語の「可変性」とは、可変性ドメインのある一定のセグメントが、抗体間で配列が広範囲にわたって異なるという事実を言う。Vドメインは抗原結合を媒介し、その特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を規定する。しかしながら、その可変性は、可変性ドメインの110−アミノ酸の範囲にわたって等しく分布されていない。その代わり、V領域は、各々9〜12のアミノ酸長である超可変性」と呼ばれる極度に可変性のより短い領域によって分離されている15〜30のアミノ酸のフレームワーク領域(FRs)と呼ばれる相対的に不変性の伸長よりなる。固有の重鎖および軽鎖の可変性ドメインは各々、4つのFRsを含んでなり、たいてい、3つの超可変性領域によって接続されたβ−シート配置を採用しており、それは、β−シート構造に接続し、ある場合においてはβ−シート構造の一部を形成しているループを形成する。各鎖における超可変性は、FRsにより近接して一緒に保持され、他の鎖の超可変性領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、ベセスダ、メリーランド州(1991)を参照)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与していないが、抗体依存細胞の細胞毒性(ADCC)における抗体の関与など、種々のエフェクター機能を示す。
本明細書に用いられる用語の「超可変性」とは、抗原結合を担う抗体のアミノ酸残基を称す。超可変性領域は一般に、「相補性決定領域」または「CDR」からのアミノ酸残基を含む(例えば、Vにおいて約24〜34(L1)、50〜56(L2)および89〜97(L3)の残基周辺、およびVにおいて約1〜35(H1)、50〜65(H1)および95〜102(H3)の残基周辺;Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、ベセスダ、メリーランド州(1991))および/または「超可変性ループ」からのこれらの残基(例えば、Vにおいて26〜32(L1)、50〜52(L2)および91〜96(L3)、ならびにVにおいて26〜32(H1)、53〜55(H2)および96〜101(H3)の残基;ChothiaおよびLesk J.Mol.Biol.196:901−917頁(1987))。
本明細書に用いられる用語の「モノクローナル抗体」とは、実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体を称す。すなわち、この集団を含む個々の抗体は、少量で存在し得る可能な天然の突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、単一の抗原部位に対して方向づけされており、高度に特異的である。さらに、種々の決定基群(エピトープ群)に対して方向づけられている種々の抗体を含むポリクローナル抗体調製と対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原に対して単一の決定基に対して方向づけられている。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体による汚染なしに合成できる利点がある。モディファヤー「モノクローナル」は、何らかの特定の方法による抗体の産生が必要なものとして解釈すべきではない。例えば、本発明に有用なモノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature、256:495頁(1975)により最初に記載されたハイブリドーマ方法論によって調製できるか、または細菌細胞、真核動物細胞または植物細胞における組換えDNA法を用いて作製できる(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)。「モノクローナル抗体」は、例えば、Clacksonら、Nature、352:624−628頁(1991)およびMarksら、J.Mol.Biol.、222:581−597頁(1991)に記載された技法を用いてファージ抗体ライブラリーからも単離できる。
本明細書のモノクローナル抗体としては、重鎖および/または軽鎖の部分が、特定の種に由来する抗体または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体において、対応する配列と同一か、またはそれに相同的である「キメラ」抗体が挙げられ、一方、所望の生物活性を示す限り、鎖の残基は、別の種に由来する抗体または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、ならびにこのような抗体の断片において、対応する配列と同一か、またはそれに相同的である(米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851−6855頁(1984)を参照)。本明細書において対象のキメラ抗体としては、非ヒト霊長類(例えば、旧大陸猿、類人猿など)に由来する可変性ドメイン抗原結合配列、およびヒトの定常領域配列を含む「霊長類」抗体が挙げられる。
「無処置」抗体は、抗原結合部位ならびにC、および少なくとも重鎖定常ドメイン、C1、C2ならびにC3を含むものである。該定常ドメインは、固有の配列定常ドメイン(例えば、ヒト固有の配列定常ドメイン)またはそれらのアミノ酸配列変異体であり得る。無処置抗体は、1つまたは複数のエフェクター機能を有することが好ましい。
「抗体断片」は、無処置抗体の一部、好ましくは、無処置抗体の抗原結合または可変性領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFv断片;ジア体;線形抗体(米国特許第5,641,870号、実施例2;Zapataら、Protein Eng.8(10):1057−1062頁[1995]を参照);単鎖抗体分子;および抗体断片から形成された多特異的抗体が挙げられる。
抗体のパパイン消化は、容易に結晶化する能力を反映する呼称である、「Fab」断片、および残存の「Fc」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片を生成する。Fab断片は、H鎖の可変性領域ドメイン(V)と一緒の全L鎖、および1本の重鎖の第一の定常ドメイン(C1)よりなる。Fab断片の各々は、抗原結合に関して一価である。すなわち、それは、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理により、二価の抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合Fab断片に凡そ相当し、依然として抗原を交差結合できる単一の大型F(ab’)断片が生成する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域から1つまたは複数のシステインを含むC1ドメインのカルボキシ末端にさらに2,3の残基を有することによってFab断片とは異なる。本明細書においてFab’−SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有するFab’に関する呼称である。元来、F(ab’)抗体断片は、それらの間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として生成された。抗体断片の他の化学的結合もまた知られている。
Fc断片は、ジスルフィドにおり共に保持された双方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域の配列により判定され、その領域はまた、ある一定のタイプの細胞上に見られるFc受容体(FcR)により認識される部分でもある。
「Fv」は、完全な抗原認識および抗原結合部位を含有する最小の抗体断片である。この断片は、密な非共有結合にある1本の重鎖および1本の軽鎖の可変領域ドメインの二量体よりなる。これら2つのドメインの折重ねにより、アミノ酸残基が抗原結合に寄与し、抗体に抗原結合特異性を付与する6つの超可変性ループ(H鎖およびL鎖から各々3つのループ)が出現する。しかしながら、単一の可変性ドメイン(または抗原に特異的な3つだけのCDRを含むFvの半分)であっても、抗原を認識し、結合する能力を有するが、結合部位全体よりも低いアフィニティーで結合する。
「sFv]または「scFv」としても略記される「単鎖Fv」は、単一ポリペプチド鎖に結合されたVおよびV抗体ドメインを含む抗体断片である。sFvポリペプチドは、抗原結合のためにsFvが所望の構造を形成できるVドメインとVドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含むことが好ましい。sFvのレビューに関しては、PluckthunのThe Pharmacology of Monoclonal Antibodies、113巻、RosenburgおよびMoore編集、Springer−Verlag、ニューヨーク、269−315頁(1994);Borrebaeck1995年、下記の文献、を参照されたい。
用語の「ジア体」とは、Vドメインの鎖内ではなくて鎖間ペアリングが達成され、二価の断片、すなわち2つの抗原結合部位を有する断片が生じるように、VドメインとVドメインとの間に短いリンカー(約5〜10の残基)によりsFVを断片(前述の段落を参照)を構築することによって調製された小型の抗体断片を称す。二重特異性ジア体は、2つの抗体のVドメインとVドメインとが異なるポリペプチド鎖上に存在する2つの「交差」sFv断片のヘテロ二量体である。ジア体は、例えば、例えば、欧州特許第404,097号;国際公開第93/11161号;およびHollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6444−6448頁(1993)に、より十分に記載されている。
非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体から誘導された最小の配列を含有するキメラ抗体である。大部分のヒト化抗体は、レシピエントの超可変性領域からの残基が、所望の抗体特異性、アフィニティー、および能力を有するマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類など、非ヒト種(ドナー抗体)の超可変性領域からの残基により置換される免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。幾つかの場合、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基により置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体に見られない残基を含むことができる。これらの修飾は、抗体性能をさらに改善するために成される。一般に、ヒト化抗体は、全てまたは実質的に全ての超可変性ループが、非ヒト免疫グロブリンのものに相当し、全てまたは実質的に全ての複数のFRが、ヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変性ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリンの一定領域(Fc)の少なくとも1つの部分、典型的にはヒト免疫グロブリンの部分を典型的に含む。さらなる詳細に関して、Jonesら、Nature321:522−525頁(1986);Riechmannら、Nature332:323−329頁(1988);およびPresta、Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596頁(1992)を参照されたい。
「種依存抗体」、例えば、哺乳動物の抗ヒトIgE抗体は、第二の哺乳動物種由来のその抗原の相同体に対する結合アフィニティーよりも、第一の哺乳動物種由来の抗原に対して強力な結合アフィニティーを有する抗体である。通常、種依存抗体は、ヒト抗原に「特異的に結合する」が(すなわち、約1×10−7M以下、好ましくは約1×10−8M以下、最も好ましくは約1×10−9M以下の結合アフィニティー(Kd)値)、ヒト抗原に対するその結合アフィニティーよりも、少なくとも約50倍、または少なくとも約500倍、または少なくとも約1000倍弱い第二の非ヒト哺乳動物種由来の抗原の相同体に対する結合アフィニティーを有する。種依存抗体は、上記に定義された任意の種々のタイプの抗体であり得るが、好ましくは、ヒト化抗体またはヒト抗体である。
「TAT結合オリゴペプチド」は、本明細書に記載されたTATポリペプチドに、好ましくは特異的に結合するオリゴペプチドである。TAT結合オリゴペプチド類は、公知のオリゴペプチド合成の方法論を用いて化学的に合成できるか、または調製でき、組換え技法を用いて精製できる。TAT結合オリゴペプチド類は、通常、長さが少なくとも約5つのアミノ酸、あるいは、長さが少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100、またはそれ以上のアミノ酸であり、このようなオリゴペプチド類は、本明細書に記載されたTATポリペプチドに、好ましくは特異的に結合できる。TAT結合オリゴペプチド類は、周知の技法を用いて、過度の実験をすることなく同定できる。この点において、ポリペプチド標的に特異的に結合できるオリゴペプチド類に関するオリゴペプチドライブラリーをスクリーニングする技法が、当業界に周知であることを注記する(例えば、米国特許第5,556,762号、米国特許第5,750,373号、米国特許第4,708,871号、米国特許第4,833,092号、米国特許第5,223,409号、米国特許第5,403,484号、米国特許第5,571,689号、米国特許第5,663,143号;PCT国際公開第84/03506号およびPCT国際公開第84/03564号;Geysenら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、81:3998−4002頁(1984);Geysenら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、82:178−182頁(1985);Geysenら、Synthetic Peptides as Antigens、130−149頁(1986);Geysenら、J.Immunol.Meth.、102:259−274頁(1987);Schoofsら、J.Immunol.、140:611−616頁(1988)、Cwirla,S.E.ら、(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:6378頁(1984);Lowman,H.B.ら(1991)Biochemistry、30:10832頁;Clackson,T.ら(1991)Nature、352:624頁;Marks,J.D.ら、(1991)、J.Mol.Biol.、222:581頁;Kang,A.S.ら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:8363頁、およびSmith,G.P.(1991)Current Opin.Biotechnol.、2:668頁を参照)。
「TAT結合有機分子」は、本明細書に記載されたTATポリペプチドに、好ましくは特異的に結合する本明細書に定義されたオリゴペプチドまたは抗体以外の有機分子である。TAT結合有機分子は、公知の方法論(PCT国際公開第00/00823号およびPCT国際公開第00/39585号を参照)を用いて同定でき、化学的に合成できる。TAT結合有機分子は、通常、サイズが約2000ダルトン未満、あるいは、サイズが約1500、750、500、250または200ダルトンであり、本明細書に記載されたTATポリペプチドに好ましくは特異的に結合できるこのような有機分子は、周知の技法を用いて、過度の実験をすることなく同定できる。この点において、ポリペプチド標的に結合できる分子に関する有機分子ライブラリーをスクリーニングする技法は、当業界に周知であることを注記する(PCT国際公開第00/00823号およびPCT国際公開第00/39585号を参照)。
抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子が、抗原を発現する細胞または組織を標的にする診断剤および/または治療剤として有用であり、他のタンパク質と有意に交差反応しないように、対象の抗原、例えば、腫瘍関連ポリペプチド抗原標的に「結合する」抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子は、十分なアフィニティーにより抗原に結合するものである。このような実施形態において、抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子の「非標的」タンパク質への結合の程度は、蛍光標示式細胞分取(FACS)分析または放射性免疫沈降(RIA)により測定された特定の標的タンパク質への抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子の結合の約10%未満である。抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子の標的分子への結合に関して、用語の「特異的結合」または「特異的に結合する」または特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド標的上のエピトープに「特異的である」とは、非特異的相互作用とは測定可能に異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、一般に結合活性を有さない同様の構造の分子である対照分子の結合と比較した分子の結合を測定することによって測定できる。例えば、特異的結合は、標的、例えば、過剰の非標識標的と類似する対照分子との競合により判定できる。この場合、標識標的のプローブへの結合が、過剰の非標識標的により競合的に阻止される場合は、特異的結合が示される。本明細書に用いられる用語の「特異的結合」または「特異的に結合する」または特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド標的上のエピトープに「特異的である」とは、例えば、少なくとも約10−4M、あるいは少なくとも約10−5M、あるいは少なくとも約10−6M、あるいは少なくとも約10−7M、あるいは少なくとも約10−8M、あるいは少なくとも約10−9M、あるいは少なくとも約10−10M、あるいは少なくとも約10−11M、あるいは少なくとも約10−12M、またはそれ以上の、標的に対するKdを有する分子により示すことができる。一実施形態において、用語の「特異的結合」とは、分子が、他のポリペプチドまたはポリペプチドエピトープのいずれにも実質的に結合することなく、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド標的上のエピトープに結合する結合を称す。
「TATポリペプチドを発現する腫瘍細胞の増殖を阻止する」抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子、または「増殖抑制」抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子は、適切なTATポリペプチドを発現するか、または過剰発現する癌細胞の測定可能な増殖阻止をもたらすものである。TATポリペプチドは、癌細胞の表面に発現される膜貫通ポリペプチドであり得るか、または癌細胞により産生または分泌されるポリペプチドであり得る。好ましい増殖抑制抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子は、適切な対照、典型的には、試験される抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子により処置されない腫瘍細胞である対照と比較して、20%超、好ましくは約20%から約50%、さらにより好ましくは、50%超(例えば、約50%から約100%)、TAT発現腫瘍細胞の増殖を阻止する。一実施形態において、増殖阻止は、細胞培養中に約0.1μg/mlから30μg/mlまたは約0.5nMから200nMの抗体濃度で測定でき、該増殖阻止は、腫瘍細胞の抗体への曝露1〜10日後に測定される。腫瘍細胞のインビボ増殖阻止は、下記の実験的実施例の節で記載されるような種々の方法で判定できる。約1μg/kgから約100mg/kg体重での抗TAT抗体の投与により、該抗体の最初の投与から約5日から3ヵ月以内、好ましくは約5日から30日以内で腫瘍サイズまたは腫瘍細胞増殖の減少が生じる場合に、該抗体はインビボで増殖抑制性である。
「アポトーシスを誘導する」抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子は、アネキシンの結合、DNAの断片化、細胞収縮、小胞体の拡大、細胞の断片化、および/または膜ベシクル(アポトーシス体と呼ばれる)の形成により測定されるプログラム細胞死を誘導するものである。該細胞は、通常、TATポリペプチドを過剰発現するものである。該細胞は、腫瘍細胞、例えば、前立腺、乳房、卵巣、胃、子宮内膜、肺、腎、大腸、膀胱の細胞であることが好ましい。アポトーシスと関連する細胞事象を評価するために種々の方法が利用できる。例えば、ホスファチジルセリン(PS)転座は、アネキシン結合により測定でき;DNA断片化は、DNAラダリングにより評価でき;DNA断片化と共に核/クロマチン縮合は、低二倍体細胞の増加により評価できる。好ましくは、アポトーシスを誘導する抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子は、アネキシン結合アッセイにおいて未処置細胞と比較して約2倍から50倍、好ましくは約5倍から50倍、最も好ましくは約10倍から50倍のアネキシン結合誘導を生じるものである。
抗体の「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(固有の配列Fc領域またはアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因し得るこれらの生物活性を称し、抗体のイソタイプにより変化する。抗体のエフェクター機能の例としては、C1q結合および補体依存細胞毒性;Fc受容体結合;抗体依存細胞媒介細胞毒性(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレーション;およびB細胞活性化が挙げられる。
「抗体依存細胞媒介細胞毒性」または「ADCC」とは、ある一定の細胞毒性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、マクロファージ)に存在するFc受容体(FcRs)上に結合した分泌Igが、これら細胞毒性エフェクター細胞を抗原担持標的細胞に特異的に結合させ、引き続き細胞毒により標的細胞を死滅させ得る細胞毒性の形態を称す。抗体は、細胞毒性細胞を「作動状態にさせ」、このような死滅には絶対に必要である。ADCC、NK細胞を媒介する主要細胞は、FcγRIIIのみを発現し、一方、単球は、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcR発現は、RavetchおよびKinet、Annu.Rev.Immunol.9:457−92頁(1991)中の464頁の表3に要約されている。対象の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または米国特許第5,821,337号に記載されているようなインビトロADCCアッセイを実施できる。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいは、またはさらに、対象の分子のADCC活性は、Clynesら(USA)95:652−656頁(1998)に開示されるような、例えば、動物モデルにおいてインビボ評価できる。
「Fc受容体」または「FcR」とは、抗体のFc領域に結合する受容体を言う。好ましいFcRは、天然配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、対立遺伝子変異体、あるいはこれらの受容体のスプライスされた形態など、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体を含む。FcγRII受容体としては、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻止性受容体」)が挙げられ、これらは、主としてそれらの細胞質ドメインが異なる同様のアミノ酸配列を有する。活性化受容体のFcγRIIAは、その細胞質ドメインにおいて免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含有する。阻止性受容体のFcγRIIBは、その細胞質ドメインにおいて免疫受容体チロシンベースの阻止モチーフ(ITIM)を含有する。(M.Daeron、Annu.Rev.Immunol.15:203−234頁(1997)のレビューを参照)。FcR類は、RavetchおよびKinet、Annu.Rev.Immunol.9:457−92頁(1991);Capelら、Immunomethods4:25−34(1994);およびde Haasら、J.Lab.Clin.Med.126:330−41頁(1995)にレビューされている。将来に同定されるものを含めて、他のFcR類も、本明細書の用語の「FcR」に包含される。この用語はまた、胎児への母親IgG類の移行の原因となる新生児受容体、FcRnを含む(Guyerら、J.Immunol.117:587頁(1976)およびKimら、J.Immunol.24:249頁(1994))。
「ヒトエフェクター細胞」は、1つまたは複数のFcRを発現し、エフェクター機能を発揮する白血球である。好ましくは、該細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を発揮する。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞毒性T細胞および好中球がが挙げられ;PBMC細胞およびNK細胞が好ましい。このエフェクター細胞は、天然源、例えば血液から単離できる。
「補体依存細胞毒性」または「CDC」とは、補体存在下、標的細胞の細胞溶解を称す。古典的補体経路の活性化は、補体系の第一の成分(C1q)の、同族抗原に結合している抗体(適切なサブクラスの)への結合により開始される。補体活性を評価するために、例えば、Gazzano−Santoroら、J.Immunol.Methods202:163頁(1996)に記載されたCDCアッセイを実施できる。
用語の「癌」および「癌性」とは、典型的に無制御細胞増殖を特徴とする哺乳動物における生理的病態を称するか、または言う。癌の例としては、限定はしないが、癌腫、リンパ腫、芽腫、肉腫、および白血病またはリンパ球悪性が挙げられる。このような癌のより具体的な例としては、扁平上皮癌(例えば、上皮性扁平上皮癌)、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の悪性線腫および肺の扁平上皮癌などの肺癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸管癌を含む胃腸癌または胃癌、膵癌、グリア芽腫、子宮頚部癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、尿管癌、肝細胞腫、乳癌、大腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮体癌または子宮癌、唾液腺癌、腎癌または腎性癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝性癌、肛門癌、陰茎癌、黒色腫、多発性骨髄腫およびB細胞リンパ腫、脳癌、ならびに頭頸部癌、および関連転移が挙げられる。
用語の「細胞増殖障害」および「増殖障害」とは、相当程度異常な細胞増殖に関連する障害を称す。一実施形態において、細胞増殖障害は癌である。
本明細書に用いられる「腫瘍」とは、悪性であろうとまたは良性であろうと、全ての新生細胞の成長および増殖、全ての前癌性および癌性の細胞ならびに組織を称す。
「細胞の死を誘導する」抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子は、生存細胞を生育不能にさせるものである。該細胞は、TATポリペプチドを発現するものであり、好ましくは、同じ組織タイプの正常な細胞と比較してTATポリペプチドを過剰発現する細胞である。TATポリペプチドは、癌細胞の表面に発現される膜貫通ポリペプチドであるか、または癌細胞により産生されるか、または分泌されるポリペプチドであり得る。好ましくは、該細胞は、癌細胞、例えば、乳房、卵巣、胃、子宮内膜、唾液腺、肺、腎、大腸、甲状腺、膵臓または膀胱の細胞であることが好ましい。インビトロの細胞死は、抗体依存細胞媒介細胞毒性(ADCC)または補体依存細胞毒性(CDC)により誘導された細胞死を識別するために補体および免疫エフェクター細胞の不在下で判定できる。したがって、細胞死に関するアッセイは、免疫エフェクター細胞の不在下、加熱不活化血清(すなわち、補体の不在下)を用いて実施できる。抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子が、細胞死を誘導できるかどうかを判定するために、ヨウ化プロピジウム(PI)、トリパンブルー(Mooreら、Cytotechnology17:1−11頁(1995)を参照)または7AADの取込みにより評価される膜完全性の喪失を、未処置細胞と比較して評価できる。好ましい細胞死誘導抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子は、BT474細胞におけるPI取込みアッセイにおいてPI取込みを誘導するものである。
「TAT発現細胞」は、細胞表面上または分泌形態で内因性または形質移入されたTATポリペプチドを発現する細胞である。「TAT発現癌」は、細胞表面上に存在するTATポリペプチドを有するか、またはTATポリペプチドを産生し、分泌する細胞を含む癌である。抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子が、それに結合でき、癌に対して治療効果を有するように、「TAT発現癌」は、任意にその細胞の表面に十分なレベルのTATポリペプチドを産生する。別の実施形態において、抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子が、それに結合でき、癌に対して治療効果を有するように、「TAT発現癌」は、任意に十分なレベルのTATポリペプチドを産生し、分泌する。後者に関して、アンタゴニストは、腫瘍細胞による分泌TATポリペプチドの産生および分泌を減少させ、阻止し、または予防するアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。TATポリペプチドを「過剰発現する」癌は、同じ組織タイプの非癌性細胞と比較して、その細胞表面に有意により高レベルを有し、または産生し、分泌するものである。このような過剰発現は、遺伝子増幅によるか、もしくは転写または翻訳の増加により引き起こし得る。TATポリペプチドの過剰発現は、細胞表面に存在するか、または細胞により分泌されたTATタンパク質のレベル増加を評価することにより診断アッセイまたは予後アッセイにおいて(例えば、TATポリペプチドをコードする単離核酸からの組換えDNA技術;FACS分析などを用いて調製できる単離TATポリペプチドに対して調製された抗TAT抗体を用いる免疫組織化学アッセイにより)判定できる。あるいは、またはさらに、TATポリペプチドコード核酸または細胞中のmRNAのレベルを、例えば、TATコード核酸またはその相補体に対応する核酸ベースのプローブを用いる蛍光インサイチュハイブリダイゼーション;(FISH;1998年10月に公開された国際公開第98/45479号を参照)、サザンブロット法、ノーザンブロット法、またはリアルタイムの定量的PCR(RT−PCR)などのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技法により測定できる。血清などの生体液中のシェッド抗体を、例えば、抗体ベースアッセイを用いて測定することによりTATポリペプチドの過剰発現もまた試験できる(例えば、1990年6月12日に発行された米国特許第4,933,294号;1991年4月18日に公開された国際公開第91/05264号;1995年3月28日に発行された米国特許第5,401,638号;およびSiasら、J.Immunol.Methods132:73−80頁(1990)も参照)。上記アッセイ以外に、種々のインビボアッセイが当業実践者に利用できる。例えば、患者の体内の細胞を、検出可能な標識、例えば、放射性同位元素で任意に標識されている抗体に曝露でき、該抗体の患者の細胞への結合は、例えば、放射活性に関して外部スキャニングによるか、または先に抗体に曝露された患者から採取された生検を分析することにより評価できる。
本明細書に用いられる用語の「免疫接着」とは、異種タンパク質の結合特異性(「接着」)と、免疫グロブリンの定常ドメインのエフェクター機能とを組合わせている抗体様分子を意味する。構造的に免疫接着は、抗体の抗原認識と結合部位以外の(すなわち、「異種」である)所望の結合特異性を有するアミノ酸配列と、免疫グロブリンの定常ドメイン配列との融合を含む。免疫接着分子の接着部分は典型的に、少なくとも受容体またはリガンドの結合部位を含む連続アミノ酸配列である。免疫接着において免疫グロブリンの定常ドメイン配列は、IgG−1、IgG−2、IgG−3、またはIgG−4のサブタイプ、IgA(IgA−1およびIgA−2など)、IgE、IgDまたはIgMなどの任意の免疫グロブリンから得ることができる。
本明細書に用いられる単語の「標識」とは、「標識された」抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子を生成するために、抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子に直接または間接的に結合させている検出可能な化合物または組成物を称す。標識は、それ自体が検出可能であるか(例えば、放射性同位元素標識または蛍光標識)、または酵素標識の場合、検出可能な基質化合物または組成物の化学的変化を触媒できる。
本明細書に用いられる用語の「細胞毒性剤」とは、細胞の機能を阻止するか、または防止し、および/または細胞破壊を引き起こす物質を称す。この用語は、放射性同位元素(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32およびLuの放射性同位元素)、化学療法剤、核酸分解酵素などの酵素およびそれらの断片、抗体、細菌、真菌、植物または動物起源の小型分子毒素または酵素活性毒素などの毒素類、それらの断片および/または変異体、および下記に開示された種々の抗腫瘍剤または抗癌剤を含むことが意図されている。他の細胞毒性剤は以下に記載される。殺腫瘍性剤は、腫瘍細胞の破壊を引き起こす。
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例としては、チオテパおおびCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのアルキルスルホネート類;ベンゾドーパ、カルボクオン、メツレドーパ、およびウレドーパなどのアジリジン類;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチルオロメラミンなどのエチレンイミン類およびメチルアメラミン類;アセトゲニン類(特にブルアタシンおよびブルアタシノン);デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ−ラパコーン;ラパコール;コルチシン類;ベツリン酸;カンプトテシン(合成類縁体トポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT−11(イリノテカン、CAMTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレシン、および9−アミノカンプトテシンなど);ブリオスタチン;コーリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシンの合成類縁体など);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポサイド;クリプトフィシン類(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類縁体、KW−2189およびCB1−TM1など);エロイテロビン;パンクラチスタチン;サルコディクチイン;スポンジスタチン;クロラムブシルなどのナイトロジェンマスタード、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロルエタミン、塩酸酸化メクロルエタミン、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチンなどのニトロス尿素類;エンジイン抗生物質(例えば、カリキアミシン、特にカリキアミシンガンマ1IおよびカリキアミシンオメガI1(例えば、Agnew、Chem Intl.Ed.Engl.、33:183−186頁(1994)を参照))などの抗生物質;ダイネミシンAなどのダイネミシン;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団および関連色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラチノマイシン類、アクチノマイシン、アウトラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンなど)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン類、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、プロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU)などの抗代謝物;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトトレキサートなどの葉酸類縁体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類縁体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類縁体;カルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗アドレナール類;フロリン酸などの葉酸補充液;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトラキサート;デホファミド;デメコールシン;ジアジクオン;エルホルニチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシンおよびアンサマイトシン類などのメイタンシノイド類;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモル;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロソキサントロン;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products、ユージーン、オレゴン州);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’、2’’−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(特にT−2トキシン、ベラクリンA、ロリジンAおよびアングイジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));デカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);チオテパ;タキソイド類、例えば、TAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol−Myers Squibb Oncology、プリンストン、ニュージャージー州)、ABRAXANETM Cremophorフリー、パクリタキセルのアルブミン工学的ナノ粒子形成(American Pharmaceutical Partners、シャウンバーグ、イリノイ州)、およびTAXOTERE(登録商標)ドキセタキセル(Rhone−Poulenic Rorere、アンントニー、仏国);クロランブシル;ゲンシタビン;(GEMZAR(登録商標));6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金類縁体;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボビン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ抑制剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド類;カペシタビン(XELODA(登録商標));任意の上記の製薬的に許容できる塩類、酸類または誘導体;ならびにシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ならびにプレドニゾロンの併用療法の略語、CHOP、および5−FUとロイコボビンとで組合わされたオキサリプラチン(ELOXATINTM)との治療措置に関する略語、FOLFOXなど、上記の2種以上の組合わせ、が挙げられる。
また、この定義に、癌の増殖を促進できるホルモン類の効果を制御、減少、遮断、または阻止するように作用し、しばしば全身処置または全身体処置の形態である抗ホルモン剤が含まれる。それらは、ホルモン自体であり得る。例としては、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンなど)、EVISTA(登録商標)ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびFARESTON(登録商標)トレミフェン;抗プロゲステロン類;エストロゲン受容体のダウンレギュレーター類(ERD);卵巣を抑制または閉鎖するために機能する薬剤、例えば、LUPRON(登録商標)およびELIGARD(登録商標)ロイプロリドアセテートなどの黄体化(leutinizing)ホルモン−放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、ゴセレリンアセテート、ブセレリンアセテートおよびトリプテレリン;フルタミド、ニルタミドおよびビカルタミドなどの他の抗アンドロゲン類;および、例えば、4(5)−イミダゾール類、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)メゲストロールアセテート、AROMASIN(登録商標)エクシームスタン、ホルメスタニー、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、およびARIMIDEX(登録商標)アナストロゾールなど、副腎におけるエストロゲン産生を制御する酵素アロマターゼを抑制するアロマターゼ抑制剤など、抗エストロゲン類および選択的エストロゲン受容体モジュレーターが挙げられる。さらに、このような化学療法剤の定義には、クロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標))、DIDROCAL(登録商標)エチドロネート、NE−58095、ZOMETA(登録商標)ゾールドロン酸/ゾールドロネート、FOSAMAX(登録商標)アレンドロネート、AREDIA(登録商標)パミドロネート、SKELID(登録商標)チルドロネート、またはACETONEL(登録商標)リセドロネートなどのビスホスホネート類;ならびにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類縁体);アンチセンスオリゴヌクレオチド類、特に例えば、PKC−アルファ、Raf、H−Ras、および上皮成長因子受容体(EGF−R)など、接着細胞増殖に関係するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を抑制するもの;THERATOPE(登録商標)ワクチンおよび遺伝子療法ヤクチン類、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)、およびVAXID(登録商標)ワクチンなどのワクチン類;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1抑制剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;ラパチニブジトシレート(GW572016としても知られているErbB−2およびEGFRデュアルチロシンキナーゼ小型分子抑制剤);および任意の上記の製薬的に許容できる塩類、酸類または誘導体を含む。
本明細書に用いられる「増殖抑制剤」とは、細胞、特にインビトロまたはインビボでTAT発現癌細胞の増殖を阻止する化合物または組成物を称す。したがって、該増殖抑制剤は、S期においてTAT発現細胞のパーセンテージを有意に減少させるものであり得る。増殖抑制剤の例としては、G1静止およびM期静止を誘導する薬剤など、細胞分裂周期進行(S期以外の位置で)を遮断する薬剤が挙げられる。古典的なM期ブロッカーとしては、ビンカ類(ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、タキサン類、およびドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、およびブレオマイシンなどのトポイソメラーゼII抑制剤が挙げられる。G1を静止させるこれらの薬剤、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、およびアラ−Cはまた、S期静止に溢出する。さらなる情報は、MendelsohnおよびIsrael編集のThe Molecular Basis of Cancer、1章、Murakamiらによる「Cell cycle regulation,oncogenes,and antineoplastic drugs」(WB Saunders:フィラデルフィア、1995年)、特に13頁、に見ることができる。タキサン類(パクリタキセルおよびドセタキセル)は、双方ともイチイの木に由来する抗癌薬物である。ヨーロッパイチイに由来するドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Ghone−Poulenic Rorer)は、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb)の半合成類縁体である。パクリタキセルおよびドセタキセルは、チューブリン二量体から微小管の組立てを促進し、細胞中の有糸分裂の阻害をもたらす脱重合を防ぐことにより微小管を安定化させる。
「ドキソルビシン」は、アントラサイクリン抗生物質である。ドキソルビシンの完全化学名は、(8S−シス)−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソ−ヘキサピラニシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(ヒドロキシアセチル)−1−メトキシ−5,12−ナフタセンジオンである。
用語の「サイトカイン」は、細胞間伝達物質として別の細胞に作用する1つの細胞集団により放出されるタンパク質に関する一般名である。このようなサイトカイン類の例は、リンホカイン類、モノカイン類、および伝統的ポリペプチドホルモン類である。サイトカイン類の中で、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモンなどの成長ホルモン;上皮小体ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;レラキシン;プロレラキシン;濾胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体化ホルモン(LH)などの糖タンパクホルモン類;肝成長因子;線維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子−αおよび−β;ミュラー抑制物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポイエチン(TPO);NGF−βなどの神経成長因子;血小板成長因子;TGF−αおよびTGF−βなどの形質転換成長因子(TGF);インスリン様成長因子−Iおよび−II;エリトロポイエチン(EPO);造骨誘導因子;インターフェロン−α、−β、および−γなどのインターフェロン類;およびマクロファージ−CSF(M−CSF)などのコロニー刺激因子(CSF);顆粒細胞−マクロファージ−CSF(GM−CSF);および顆粒細胞−CSF(G−CSF);IL−1、IL−1a、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−11、IL−12などのインターロイキン(IL)類;TNF−αまたはTNF−βなどの腫瘍壊死因子;およびLIFおよびキットリガンド(KL)などの他のポリペプチド因子が含まれる。本明細書に用いられる用語のサイトカインは、天然源または組換え細胞培養および固有の配列サイトカイン類の生物活性等価体からのタンパク質を含む。
使用される用語の「添付文書」とは、このような治療用製品の使用に関する、適応症、使用法、投与量、投与法、禁忌および/または警告についての情報を含む治療用製品の商業包装に慣例的に含まれる取扱説明書を称す。
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Figure 2008535498
Figure 2008535498
Figure 2008535498
アミノ酸配列同一性%=
(ALIGN−2により決定された2つのポリペプチド配列間に等しくマッチングするアミノ酸残基数)を(TATポリペプチドのアミノ酸残基の全数)で割る=
5を15で割る=33.3%
Figure 2008535498
アミノ酸配列同一性%=
(ALIGN−2により決定された2つのポリペプチド配列間に等しくマッチングするアミノ酸残基数)を(TATポリペプチドのアミノ酸残基の全数)で割る=
5を10で割る=50%
Figure 2008535498
核酸配列同一性%=
(ALIGN−2により決定された2つの核酸配列間に等しくマッチングするヌクレオチド数)を(TAT−DNA核酸配列のヌクレオチドの全数)で割る=
6を14で割る=42.9%
Figure 2008535498
核酸配列同一性%=
(ALIGN−2により決定された2つの核酸配列間に等しくマッチングするヌクレオチド数)を(TAT−DNA核酸配列のヌクレオチドの全数)で割る=
4を12で割る=33.3%
II. 本発明の組成物および方法
A. 抗TAT抗体
一実施形態において、本発明は、治療剤および/または診断剤として本明細書に使用できる抗TAT抗体を提供する。代表的な抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、およびヘテロ結合抗体が挙げられる。
1. ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体は、関連抗原およびアジュバントの複数回皮下注入(sc)または腹腔内(ip)注入により動物において増加させることが好ましい。関連抗原(特に合成ペプチド類が使用される場合)を、免疫化される種において免疫原性であるタンパク質に結合させることが有用であり得る。二官能性剤または誘導化剤、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介する結合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リシン残基を介して)、グルタールアルデヒド、無水コハク酸、SOCl、またはRおよびRが異なるアルキル基であるRN=C=NRを用いて、抗原は、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン、ウシチログロブリン、または大豆トリプシン抑制剤に結合できる。
動物は、例えば、100μgまたは5μgのタンパク質または複合体(それぞれウサギまたはマウスに関する)と3倍容量のフロイント完全アジュバントとを組合わせ、この溶液を複数部位に皮内注入することにより、抗原、免疫原性複合体、または誘導体に対して免疫化させる。1ヵ月後、動物は、フロイント完全アジュバント中、元の量の1/5から1/10のペプチドまたは複合体を用いて、複数部位で皮下注入により増強させる。7日から14日後、動物は放血され、血清は、抗体力価に関してアッセイされる。動物は、力価プラトーまで増強させる。複合体はまた、タンパク質融合として組換え細胞培養において作製できる。また、明礬などの凝集化剤は、免疫応答を増強させるために好適に使用される。
2. モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature、256:495頁(1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製できるか、または組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)により作製できる。
ハイブリドーマ法において、マウスまたはハムスターなどの他の適切な宿主動物は、免疫化に使用されるタンパク質に特異的に結合する抗体を産生するか、または産生できるリンパ球を誘発するために上記のとおり免疫化される。あるいは、リンパ球は、インビトロで免疫化できる。免疫化後、リンパ球は単離され、次いでハイブリドーマ細胞を形成するために、ポリエチレングリコールなどの好適な融合剤を用いて骨髄腫細胞系と融合化される(Goding、Monoclonal Antibodies:Principles and Practice、59−103頁(Academic Press、1986年))。
このように調製されたハイブリドーマ細胞は接種され、好ましくは、培地が、非融合、親の骨髄腫細胞(また融合パートナーと称される)の増殖または生存を阻止する1種または複数種の物質を含有する好適な培養培地中で増殖させる。例えば、親の骨髄腫細胞が、酵素ヒポキサンチングアニンのホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠失する場合、ハイブリドーマに選択的な培養培地は典型的に、物質がHGPRT欠損細胞の増殖を防ぐ、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(HAT培地)を含む。
好ましい融合パートナー骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベル産生を支持し、非融合親の細胞に対して選択する選択培地に感受性のものである。好ましい骨髄腫細胞系は、the Salk Institute Cell Distribution Center、サンディエゴ、カリフォルニア州、米国から入手できるMOPC−21およびMPC−11マウス腫瘍、ならびにSP−2および誘導体、例えば、American Type Culture Collection、マナサス、バージニア州、米国から入手できるX63−Ag8−653細胞に由来するものである。ヒト骨髄腫およびマウス−ヒト異種骨髄腫細胞系もまた、ヒトモノクローナル抗体の産生に関して記載されている(Kozbor、J.Immunol.、133:3001頁(1984);およびBrodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、51−63頁(Marcel Dekker社、ニューヨーク、1987年))。
ハイブリドーマ細胞が増殖する培養培地は、抗原に対して方向づけられるモノクローナル抗体の産生に関してアッセイされる。ハイブリドーマ細胞により産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によるか、または放射性免疫アッセイ(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などのインビトロ結合アッセイにより測定されることが好ましい。
モノクローナル抗体の結合アフィニティーは、例えば、Munsonら、Anal.Biochem.、107:220頁(1980)に記載されたスキャチャード解析により測定できる。
所望の特異性、アフィニティー、および/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が一旦同定されたら、そのクローンは、希釈法を限定することによりサブクローン化され、標準法(Goding、Monoclonal Antibodies:Principles and Practice、59−103頁(Academic Press,1986年))により増殖できる。この目的のための好適な培養培地としては、例えば、D−MEMまたはRPMI−1640培地が挙げられる。さらに、ハイブリドーマ細胞は、例えば、該細胞をマウスにi.p.注入することにより動物に腹水腫瘍としてインビボ増殖できる。
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えば、アフィニティークロマトグラフィ(例えば、タンパク質Aまたはタンパク質G−セファロースを用いて)またはイオン交換クロマトグラフィ、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析など、従来の抗体精製手法により、培養培地、腹水液、または血清から好適に分離される。
モノクローナル抗体をコードするDNAは、容易に単離され、従来の手法(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)を用いて配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として役立つ。単離されたら、DNAは、発現ベクターに入れることができ、次いで組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体の合成を得るために、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または他に抗体タンパク質を産生しない骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトする。抗体をコードするDNAの細菌中の組換え発現に関するレビュー文献としては、Skerraら、Curr.Opinion in Immunol.、5:256−262頁(1993)およびPluckthun、Immunol.Revs.130:151−188頁(1992)が挙げられる。
さらなる実施形態において、モノクローナル抗体または抗体断片は、McCaffertyら、Nature、348:552−554頁(1990)に記載された技法を用いて生成された抗体ファージライブラリーから単離できる。Clacksonら、Nature、352:624−628頁(1991)およびMarksら、J.Mol.Biol.、222:581−597頁(1991)は、ファージライブラリーを用いて、それぞれマウス抗体およびヒト抗体の単離を記載している。引き続く刊行物により、鎖シャフリングによる高アフィニティー(nM範囲)ヒト抗体の産生(Marksら、Bio/Technology、10:779−783頁(1992))、ならびに極めて大型のファージライブラリーを構築する戦法として組合わせ感染およびインビボ組換え(Waterhouseら、Nuc.Acids.Res.21:2265−2266頁(1993))を記載している。したがって、これらの技法は、モノクローナル抗体の単離のための、伝統的モノクローナル抗体ハイブリドーマ技法に対して実行可能な代替技法である。
抗体をコードするDNAは、例えば、同種マウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖一定ドメイン(CおよびC)配列を用いることにより(米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851頁(1984))、または免疫グロブリンコード配列と、非免疫グロブリンポリペプチド(異種ポリペプチド)に関するコード配列の全部または一部と融合することにより、キメラまたは融合抗体ポリペプチドを産生させるために修飾できる。非免疫グロブリンポリペプチド配列は、抗体の一定ドメインの代わりに使用できるか、またはそれらは、1つの抗原組合わせ部位の可変性ドメインの代わりに用いて、抗体の抗原への特異性を有する1つの抗原組合わせ部位および異なる抗原への特異性を有する別の抗原組合わせ部位を含むキメラ二価抗体を創製する。
3. ヒトおよびヒト化抗体
本発明の抗TAT抗体は、ヒト化抗体またはヒト抗体をさらに含むことができる。非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するキメラ免疫グロブリン類、免疫グロブリン鎖またはそれらの断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)または抗体の他の抗原結合配列など)である。ヒト化抗体としては、ヒト免疫グロブリン類(レシピエント抗体)が挙げられ、レシピエントの相補性決定領域(CDR)からの残基は、所望の特異性、アフィニティーおよび能力を有するマウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基により置換される。幾つかの場合、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基により置換される。ヒト化抗体もまた、レシピエント抗体にも、移入CDRにも、またはフレームワーク配列にも見られない残基を含んでなり得る。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変性ドメインの実質的に全てを含んでなり、CDR領域の全てまたは実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリンのものに相当し、FR領域の全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリンの一定領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを典型的に含む[Jonesら、Nature、321:522−525頁(1986);Riechmannら、Nature、332:323−329頁(1988);およびPresta、Curr.Op.Struct.Biol.、2:593−596(1992)]。
非ヒト抗体をヒト化する方法は、当業界に周知である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からそれに導入される1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、典型的に「インポート」可変ドメイン由来の使用で「インポート」残基としばしば称される。ヒト化は、ヒト抗体の対応する配列の代わりに複数のげっ歯類CDRまたはCDR配列により、Winterおよび共同研究者[Jonesら、Nature、321:522−525頁(1986);Riechmannら、Nature、332:323−327頁(1988);Verhoeyenら、Science、239:1534−1536頁(1988)]に従って本質的に実施できる。したがって、このような「ヒト化」抗体は、キメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)、本質的に無処置ヒト可変性ドメイン未満は、非ヒト種から対応する配列により置換されている。実際、ヒト化抗体は典型的に、幾つかのCDR残基および可能性として幾つかのFR残基が、げっ歯類抗体における類縁部位からの残基により置換されるヒト抗体である。
ヒト化抗体を作製するために使用されるヒト可変性ドメイン、軽鎖および重鎖双方の選択は、該抗体がヒトの治療使用目的である場合、抗原性およびHAMA応答(ヒト抗マウス抗体)を減少させるために極めて重要である。いわゆる「ベストフィット」法によれば、げっ歯類抗体の可変性ドメインの配列は、公知のヒト可変性ドメイン配列の全ライブラリーに対してスクリーンされる。げっ歯類に最も近いヒトVドメイン配列が同定され、その中のヒトフレームワーク領域(FR)がヒト化抗体に受入れられる(Simsら、J.Immunol.151:2296頁(1993);Chothiaら、J.Mol.Biol.、196:901頁(1987))。別の方法は、軽鎖または重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワーク領域を使用する。この同じフレームワークは、数種の異なるヒト化抗体に対して使用できる(Carterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:4285頁(1992);Prestaら、J.Immunol.151:2623頁(1993))。
抗体は、抗原に対する高結合アフィニティーおよび他の好適な生物学的特性の保持と共にヒト化されることがさらに重要である。この目標を達成するために、好ましい方法によれば、ヒト化抗体は、親およびヒト化配列の三次元モデルを用いて親の配列および種々の概念的ヒト化産物の解析過程により調製される。三次元免疫グロブリンモデルは、一般に利用でき、当業者に精通している。選択された候補免疫グロブリン配列の推定三次元立体配置構造を図示し、ディスプレイするコンピュータプログラムを利用できる。これらディスプレイの検査は、候補免疫グロブリン配列の機能において残基の同様の役割解析、すなわち、その抗原に結合する候補免疫グロブリンの能力に影響を及ぼす残基の解析を可能にする。この方法で、FR残基を選択してレシピエントから組合わせることができ、標的抗原に対するアフィニティー増大など、所望の抗体特性が達成されるように配列を移入できる。一般に、超可変性領域残基は、直接かつ最も実質的に抗原結合に影響を及ぼすことに関与している。
種々の形態のヒト化抗TAT抗体が考慮されている。例えば、免疫化の際に、内因性免疫グロブリン産生が無く、ヒト抗体の完全レパートリーを産生できる形質転換動物(例えば、マウス)を生産することは現在可能である。例えば、キメラおよび生殖系列変異マウスにおいて抗体の重鎖結合領域(J)遺伝子のホモ接合欠失が、内因性抗体産生の完全阻止をもたらすことが記載されている。ヒトの生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイのこのような生殖系列変異マウスへの移入は、抗原誘発の際にヒト抗体の産生を生じる。例えば、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:2551頁(1993);Jakobovitsら、Nature、362:255−258頁(1993);Bruggemannら、Year in Immuno.7:33頁(1993);米国特許第5,545,806号、米国特許第5,569,825号、米国特許第5,591,669号(全てGenPharm);米国特許第5,545,807号;および国際公開第97/17852号を参照されたい。
あるいは、ファージディスプレイ技術(McCaffertyら、Nature、348:552−553頁[1990])は、非免疫化ドナーに由来の免疫グロブリン可変性(V)ドメイン遺伝子レパートリーからインビトロで、ヒト抗体および抗体断片を産生するために使用できる。この技法によれば、抗体Vドメイン遺伝子は、M13またはfdなどの糸状バクテリオファージの主要または副コートタンパク質遺伝子にインフレームでクローン化され、ファージ粒子の表面上の機能性抗体断片としてディスプレイされる。糸状粒子は、ファージゲノムの単鎖DNAコピーを含有することから、抗体の機能特性に基づく選択は、これらの特性を示す抗体をコードする遺伝子を選択することになる。したがって、該ファージは、B細胞の幾つかの特性を模倣する。ファージディスプレイは、例えば、Johnson、Kevin,SおよびChiswell,David J.、Current Opinion in Structural Biology3:564−571頁(1993)にレビューされた種々のフォーマットで実施できる。V遺伝子セグメントの幾つかの供給源は、ファージディスプレイのために使用できる。Clacksonら、Nature、352:624−628頁(1991)は、免疫化マウスの脾臓に由来のV遺伝子の小無作為組合わせライブラリーから種々のアレイの抗オキサゾロン抗体を単離した。非免疫化ヒトドナーに由来のV遺伝子のレパートリーを構築でき、種々のアレイの抗原(自己抗原を含む)に対する抗体は、Marksら、J.Mol.Biol.222:581−597頁(1991)、またはGriffithら、EMBO J.12:725−734頁(1993)により記載された技法に従って本質的に単離できる。また、米国特許第5,565,332号および米国特許第5,573,905号を参照されたい。
上記に検討されたように、ヒト抗体は、インビトロ活性化B細胞によっても生成できる(米国特許第5,567,610号および米国特許第5,229,275号を参照)。
4. 抗体断片
ある一定の状況において、抗体全体よりも抗体断片を用いる利点がある。断片のサイズがより小さいと、クリアランスを迅速にし、固形主要へのアクセスを改善させ得る。
抗体断片の製造のために種々の技法が開発されている。伝統的に、これらの断片は、無処置の抗体のタンパク分解酵素により誘導された(例えば、Morimotoら、Journal of Biochemical and Biophysical Methods24:107−117(1992);およびBrennanら、Science、229:81頁(1985)を参照)。しかしながら、これらの断片は、組換え宿主細胞により現在直接製造できる。Fab、FvおよびScFv抗体断片は全て発現でき、大腸菌から分泌できるので、これら断片の大量製造を容易にさせる。抗体断片は、上記の抗体ファージライブラリーから単離できる。あるいは、Fab’−SH断片は、大腸菌から直接回収でき、化学的に結合させてF(ab’)断片を形成できる(Carterら、Bio/Technology10:163−167頁(1992))。別のアプローチによれば、F(ab’)断片は、組換え宿主細胞培養から直接単離できる。回収受容体結合エピトープ残基を含むインビボ半減期を増大したFabおよびF(ab’)断片は、米国特許第5,869,046号に記載されている。抗体断片製造のための他の技法は、当業実務者にとって明白である。他の実施形態において、選択抗体は、単鎖Fv断片(scFv)である。国際公開第93/16185号;米国特許第5,571,894号;および米国特許第5,587,458号を参照されたい。FvおよびsFvは、一定領域が欠けている無処置組合わせ部位を有する唯一の種であり;したがって、それらは、インビボ使用時に非特異的結合の減少に好適である。sFv融合タンパク質は、sFvのアミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかにエフェクタータンパク質の融合を生成するために構築できる。編集者Borrebaeck、上記文献、Antibody Engineeringを参照されたい。抗体断片はまた、例えば、米国特許第5,641,870号に記載されている、「線形抗体」であり得る。このような線形抗体断片は、単特異性または二重特異性であり得る。
5. 二重特異性抗体
二重特異性は、少なくとも2種の異なるエピトープに結合特異性を有する抗体である。代表的な二重特異性抗体は、本明細書に記載されたTATタンパク質の2種の異なるエピトープに結合できる。他のこのような抗体は、TAT結合部位と別のタンパク質への結合部位とを組合わせることができる。あるいは、抗TATアームは、細胞防御機序をTAT発現細胞に焦点を合わせて集中させる目的で、T細胞受容体分子(例えば、CD3)などの白血球上のトリガリング分子、またはFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16)などのIgG(FcγR)に関するFc受容体に結合するアームと組み合わせることができる。二重特異性抗体はまた、TATを発現する細胞に細胞毒性剤を集中させるために使用できる。これらの抗体は、TAT結合アームおよび細胞毒性剤(例えば、サポリン、抗インターフェロン−α、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキサートまたは放射性同位元素ハプテン)に結合するアームを有する。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片(例えば、F(ab’)二重特異性抗体)として調製できる。
国際公開第96/16673号は、二重特異性抗ErbB2/抗FCγRIII抗体を記載しており、米国特許第5,837,234号は、二重特異性抗ErbB2/抗FCγRI抗体を開示している。二重特異性抗ErbB2/抗FCγRIII抗体は、国際公開第98/02463号に示されている。米国特許第5,821,337号は、二重特異性抗ErbB2/抗CD3抗体を教示している。
二重特異性抗体を作製する方法は、当業界に公知である。完全長二重特異性抗体の伝統的製造は、2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の共発現に基づいており、この2つの鎖は、異なる特異性を有する(Millsteinら、Nature、305:537−539頁(1983))。免疫グロブリン重鎖および軽鎖の無作為組合わせのため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10種の異なる抗体分子の可能性のある混合物を生成し、それらのうち1種だけが、正しい二重特異性構造を有する。通常、アフィニティークロマトグラフィステップにより実施される正しい分子の精製は、幾分厄介であり、生成物の収率は低い。同様の手法は、国際公開第93/08829号およびTrauneckerら、EMBO J、10:3655−3659頁(1991)に開示されている。
種々のアプローチによれば、所望の結合特異性を有する抗体可変性ドメイン(抗体−抗原組合わせ部位)は、免疫グロブリンの定常ドメイン配列に融合される。融合は、ヒンジ、CH、およびCH領域の少なくとも一部を含むIg重鎖定常ドメインとによることが好ましい。少なくとも1つの融合に存在する軽鎖結合に必要な部位を含有する第一の重鎖一定領域(C1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合、および所望ならば、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNA類を、個別の発現ベクターに挿入し、好適な宿主細胞に同時にトランスフェクトする。これは、この構築に使用される3本のポリペプチド鎖の不等な比率が、所望の二重特異性抗体の最適収率を提供する実施形態において、3つのポリペプチド断片の相互割合を調整して、より大きな適応性を提供する。しかしながら、等しい比率での少なくとも2本のポリペプチド鎖の発現が高収率をもたらす場合、またはこの比率が、所望の鎖の組合わせ収率に有意に影響を及ぼさない場合、2本または3本全てのポリペプチド鎖に関するコード配列を単一発現ベクターに挿入することが可能である。
このアプローチの好ましい実施形態において、二重特異性抗体は、1つのアームにおいて第一の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、および他のアームにおいてハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖対(第二の結合特異性を提供する)から構成される。この不斉構造は、二重特異性分子の半分だけに免疫グロブリンの軽鎖が存在することにより、分離方法を容易にするので、望ましくない免疫グロブリン鎖の組合わせから所望の二重特異性化合物の分離を容易にすることが見出された。二重特異性抗体の生成についてのさらなる詳細に関して、例えば、Sureshら、Methods in Enzymology121:210頁(1986)を参照されたい。
米国特許第5,731,168号に記載された別のアプローチによれば、抗体分子の対間の接合面は、組換え細胞培養から回収されるヘテロ二量体のパーセンテージを最大にするために操作できる。好ましい接合面は、C3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法において、第一の抗体分子の接合面から1つまたは複数の小型アミノ酸側鎖は、大型側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)により置換される。大型側鎖と同一または類似のサイズの代償的「空隙」は、大型アミノ酸側鎖を、より小型のもの(例えば、アラニンまたはトレオニン)で置換することにより第二の抗体分子の接合面上に創製される。これは、ホモ二量体などの他の望ましくないエンド産物よりもヘテロ二量体の収率を増加させる機序を提供する。
二重特異性抗体としては、交差結合または「ヘテロ複合体」抗体が挙げられる。例えば、ヘテロ複合体における抗体の1つは、アビジンと結合でき、他の抗体はビオチンと結合できる。このような抗体は、例えば、望ましくない細胞に対して免疫系細胞を標的とし(米国特許第4,676,980号)、HIV感染の治療(国際公開第91/00360号、国際公開第92/200373号、および欧州特許出願公開第03089号)のために提案されている。ヘテロ複合体抗体は、任意の好適な交差結合法を用いて作製できる。好適な交差結合剤は当業界に周知であり、多くの交差結合技法と共に米国特許第4,676,980号に開示されている。
抗体断片からの二重特異性抗体を生成する技法もまた、文献に記載されている。例えば、二重特異性抗体は、化学結合を用いて調製できる。Brennanら、Science229:81頁(1985)は、無処置抗体をタンパク質分解的に開裂してF(ab’)断片を生成する手法を記載している。これらの断片は、ジチオール錯化剤、亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元され、隣接ジチオールを安定化し、分子間ジスルフィド形成を防止する。次いで生成されたFab’断片は、チオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換される。次に、Fab’−TNB誘導体の1つは、メルカプトエチルアミンを用いる還元により再度Fab’−チオールに変換され、等モル量の他のFab’−TNB誘導体と混合して二重特異性抗体を形成する。生成された二重特異性抗体は、酵素の選択的免疫化用試剤として使用できる。
最近の進歩により、二重特異性抗体を形成するために化学的に結合できる、大腸菌からのFab’−SH断片の直接回収を容易にしている。Shalabyら、J.Exp.Med.175:217−225頁(1992)は、完全ヒト化二重特異性抗体F(ab’)分子の産生を記載している。各Fab’断片は、大腸菌から個別に分泌され、インビトロで直接的化学結合に供されて二重特異性抗体を形成した。このように形成された二重特異性抗体は、ErbB2受容体を過剰発現する細胞および正常なヒトT細胞に結合でき、ならびにヒト乳房腫瘍標的に対するヒト細胞毒性リンパ球の溶解活性を開始させる。組換え細胞培養から直接二重特異性抗体断片を作製し、単離するための種々の方法もまた記載されている。例えば、二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを用いて製造されている。Kostelnyら、J.Ummunol.148(5):1547−1553頁(1992)。FosおよびJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチド類は、遺伝子融合により2種の異なる抗体のFab’部分に結合された。抗体のホモ二量体は、ヒンジ領域で還元されてモノマーを形成し、次いで再度酸化されて抗体のヘテロ二量体を形成した。この方法は、抗体のホモ二量体の製造に利用できる。Hollingerらによる、Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444−6448頁(1993)に記載されている「ジア体」技術は、二重特異性抗体断片を作製するための代替機序を提供した。この断片は、同じ鎖上の2つのドメイン間に対合させるには短過ぎるリンカーにより、Vに結合されたVを含む。したがって、1つの断片のVおよびVドメインは、別の断片の相補性VおよびVドメインと対合させることにより、2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)二量体の使用による二重特異性抗体断片を作製するための別の方法もまた報告されている。Gruberら、J.Immunol.、152:5368頁(1994)を参照されたい。二価超の抗体が考慮されている。例えば、三重特異性抗体を調製できる。Tuttら、J.Immunol.、147:60頁(1991)。
6. ヘテロ複合体抗体
ヘテロ複合体抗体もまた、本発明の範囲内に入る。ヘテロ複合体抗体は、2つの共有結合抗体から構成される。このような抗体は、例えば、望ましくない細胞に対して免疫系細胞を標的とし(米国特許第4,676,980号)、HIV感染の治療(国際公開第91/00360号、国際公開第92/200373号、および欧州特許出願公開第03089号)のために提案されている。該抗体は、架橋剤を含むものなど、合成タンパク質化学の公知の方法を用いてインビトロで調製し得ることが考慮されている。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を用いるか、またはチオエーテル結合を形成することにより構築できる。この目的のための好適な試剤の例としては、イミノチオレートならびにメチル−4−メルカプトブチルイミデートおよび、例えば、米国特許第4,676,980号に開示されたものが挙げられる。
7. 多価抗体
多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞により二価抗体よりも速くインターナライズ(および/またはカタボライズ)できる。本発明の抗体は、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現により容易に産生できる3つ超の抗原結合部位(例えば、四価抗体)を有する多価抗体(IgMクラス以外である)の可能性がある。多価抗体は、二量化ドメインおよび3つ超の抗原結合部位を含んでなり得る。好ましい二量化ドメインは、Fc領域またはヒンジ領域を含む(または、よりなる)。このシナリオにおいて、抗体は、Fc領域およびFc領域に対してアミノ末端に3つ超の抗原結合部位を含む。本明細書の好ましい多価抗体は、3つから約8つであるが、好ましくは、4つの抗原結合部位を含む(または、よりなる)。多価抗体は、少なくとも1本のポリペプチド鎖(および好ましくは、2本のポリペプチド鎖)を含んでなり、該ポリペプチド鎖は、2つ超の可変性ドメインを含む。例えば、該ポリペプチド鎖は、VD1−(X1)−VD2−(X2)−Fcを含むことができ、式中、VD1は、第一の可変性ドメインであり、VD2は、第二の可変性ドメインであり、Fcは、Fc領域の1本のポリペプチド鎖であり、X1およびX2は、アミノ酸またはポリペプチドを表し、nは、0または1である。例えば、ポリペプチド鎖は:VH−CH1−可動性リンカー−VH−CH1−Fc領域鎖;またはVH−CH1−VH−CH1−Fc領域鎖を含むことができる。本明細書の多価抗体は、少なくとも2本(および好ましくは4本)の軽鎖可変性ドメインポリペプチドをさらに含むことが好ましい。例えば、本明細書の多価抗体は、約2本から約8本の軽鎖可変性ドメインポリペプチドを含む。本明細書に考慮された軽鎖可変性ドメインポリペプチドは、軽鎖可変性ドメインを含んでなり、任意に、CLドメインをさらに含む。
8. エフェクター機能工学
例えば、抗原依存細胞媒介細胞毒性(ADCC)および/または抗体の補体依存細胞毒性(CDC)を増強するように、エフェクター機能に対して本発明の抗体を修飾することが望ましいと言える。これは、抗体のFc領域に1つまたは複数のアミノ酸置換基を導入することによって達成される。あるいはまたはさらに、システイン残基をFc領域に導入し得ることによって、この領域における鎖間ジスルフィド結合形成を可能にする。このように生成されたホモ二量化抗体は、内部移行能力を改善し、および/または補体媒介細胞死滅および抗体依存細胞毒性(ADCC)を増加することができた。Caronら、J.Exp.Med.176:1191−1195(1992)およびShopes,B.J.Immunol.148:2918−2922頁(1992)を参照されたい。抗腫瘍活性が増強されたホモ二量化抗体はまた、Wolffら、Cancer Research53:2560−2565頁(1993)に記載されたヘテロ二官能性交差リンカーを用いて調製できる。Stevensonら、Anti−Cancer Drug Design3:219−230頁(1989)を参照されたい。抗体の血清中半減期を増加させるために、回収受容体結合エピトープを、例えば、米国特許第5,739,277号に記載された抗体(特に抗体断片)に取り込むことができる。本明細書に用いられる用語の「回収受容体結合エピトープ」とは、IgG分子のインビボ血清中半減期を増加させる原因となるIgG分子(例えば、IgG、IgG、IgG、またはIgG)のFc領域のエピトープを称す。
9. 免疫複合体
本発明はまた、化学療法剤、増殖抑制剤、毒素類(例えば、細菌、真菌、植物、または動物起源、もしくはそれらの断片の酵素活性毒素類)、または放射性同位元素(すなわち、放射性複合体)などの細胞毒性剤に結合された抗体を含む免疫複合体に関する。
このような免疫複合体の生成に有用な化学療法剤は、上部に記載されている。使用できる酵素活性毒素類およびそれらの断片としては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌から)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデッシンA鎖、アルファ−サルシン、アレウリテス−フォルジ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、フィトラカ−アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、モモルディカ−チャランチア(momordica charantia)抑制剤、クルシン、クロチン、サパオナリア−オフィシナリス(sapaonaria officinalis)抑制剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセン類が挙げられる。種々の放射性核種は、放射性複合化抗体の製造のために利用できる。例としては、212Bi、131I、131In、90Y、および186Reが挙げられる。抗体と細胞毒性剤との複合体は、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCLなど)、活性エステル類(ジスクシンイミジルスベレートなど)、アルデヒド類(グルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート類(トルエン2,6−ジイソシアネートなど)、およびビス−活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)などの種々の二官能性タンパク質−カップリング剤を用いて作製される。例えば、リシン免疫毒素は、Vitettaら、Science、238:1098頁(1987)に記載されているように調製できる。炭素−14−標識1−イソチオシアナートベンジル−3−メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX−DTPA)は、放射性核種の抗体への複合化用の代表的なキレート化剤である。国際公開第94/11026号を参照されたい。
抗体と、カリキアミシン、メイタンシノイド類、トリコテン、ならびにCC1065、および毒素活性を有するこれら毒素の誘導体など、1つまたは複数の小型分子毒素との複合体もまた、本明細書に考慮されている。
メイタンシンおよびメイタンシノイド類
好ましい一実施形態において、本発明の抗TAT抗体(完全長または断片)は、1つまたは複数のメイタンシノイド分子に結合される。
メイタンシノイド類は、チューブリン重合化を阻止することにより作用する有糸分裂抑制剤である。メイタンシンは、東アフリカ潅木のメイテヌス−セラータ (Maytenus serrata)から最初に単離された(米国特許第3,896,111号)。その後、ある一定の微生物もまた、メイタンシノールおよびC−3メイタンシノールエステル類(米国特許第4,151,042号)などのメイタンシノイド類を産生することが発見された。合成メイタンシノールおよびそれの誘導体ならびに類縁体は、例えば、米国特許第4,137,230号;米国特許第4,248,870号;米国特許第4,256,746号;米国特許第4,260,608号;米国特許第4,265,814号;米国特許第4,294,757号;米国特許第4,307,016号;米国特許第4,308,268号;米国特許第4,308,269号;米国特許第4,309,428号;米国特許第4,313,946号;米国特許第4,315,929号;米国特許第4,317,821号;米国特許第4,322,348号;米国特許第4,331,598号;米国特許第4,361,650号;米国特許第4,364,866号;米国特許第4,424,219号;米国特許第4,450,254号;米国特許第4,362,663号;米国特許第4,371,533号に開示されており、それらの開示は、参照として本明細書に明白に組み込まれている。
メイタンシノイド−抗体複合体
治療指数を改善する試みにおいて、メイタンシンおよびメイタンシノイド類は、腫瘍細胞抗原に特異的に結合する抗体に結合されている。メイタンシノイド類を含有する免疫複合体およびそれらの治療使用は、例えば、米国特許第5,208,020号、米国特許第5,416,064号、および欧州特許第0 425 235号に開示されており、それらの開示は、参照として本明細書に明白に組み込まれている。Liuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:8618−8623頁(1996)は、ヒトの結腸直腸癌に対して向けられたモノクローナル抗体C242に結合されたDM1と称されるメイタンシノイドを含む免疫複合体を記載した。該複合体は、培養大腸癌細胞に対して高度細胞毒性であることが見出され、インビボ腫瘍増殖アッセイにおいて抗腫瘍活性を示した。Chariら、Cancer Research52:127−131頁(1992)は、メイタンシノイドが、ヒト大腸癌細胞系上の抗原に対して結合するマウス抗体A7に、またはHER−2/neu発癌遺伝子に結合する別のマウスモノクローナル抗体TA.1に、ジスルフィドリンカーを介して結合した免疫複合体を記載している。TA.1−メイタンシノイド複合体の細胞毒性は、1細胞当り3×10HER−2表面抗原を発現するヒト乳癌細胞系SK−BR−3に対しインビトロで試験した。該薬物複合体は、抗体1分子当りメイタンシノイド分子数を増加させることにより増加し得る遊離のメイタンシノイド薬物と同様程度の細胞毒性を達成した。TA.1−メイタンシノイド複合体は、マウスにおいて全身細胞毒性が低いことを示した。
抗TATポリペプチド抗体−メイタンシノイド複合体(免疫複合体)
抗TAT抗体−メイタンシノイド複合体は、抗体またはメイタンシノイド分子の生物活性を有意に減ずることなく、抗TAT抗体をメイタンシノイド分子に化学結合させることにより調製される。1抗体分子当り結合される平均3〜4つのメイタンシノイド分子は、抗体の機能または溶解性に負の影響を及ぼすことなく、標的細胞の細胞毒性を増強させる効力を示したが、毒素/抗体の1分子でも、裸の抗体の使用よりも細胞毒性を増強することが予想される。メイタンシノイド類は当業界に周知であり、既知の技法により合成できるか、または天然供給源から単離できる。好適なメイタンシノイド類は、例えば、米国特許第5,208,020号、上記に参照される他の特許および非特許刊行物に開示されている。好ましいメイタンシノイド類は、メイタンシノールおよび芳香族環または種々のメイタンシノールエステル類など、メイタンシノール分子の他の位置で修飾されたメイタンシノール類縁体である。
例えば、米国特許第5,208,020号または欧州特許第0 425 235号、およびChariら、Cancer Research52:127−131頁(1992)に開示されたものなど、抗体−メイタンシノイド複合体を作製するために、当業界に公知の多くの結合基がある。該結合基としては、上記に確認された特許に開示されたジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定基、光不安定基、ペプチダーゼ不安定基、またはエステラーゼ不安定基が挙げられ、ジスルフィド基およびチオエーテル基が好ましい。
抗体とメイタンシノイドとの複合体は、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCLなど)、活性エステル類(ジスクシンイミジルスベレートなど)、アルデヒド類(グルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート類(トルエン2,6−ジイソシアネートなど)、およびビス−活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)などの種々の二官能性タンパク質カップリング剤を用いて作製できる。特に好ましいカップリング剤としては、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)(Carlssonら、Biochem.J.173:723−737頁[1978])およびN−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)が挙げられ、ジスルフィド結合を提供する。
該リンカーは、結合のタイプに依って種々の位置でメイタンシノイド分子に結合できる。例えば、エステル結合は、従来のカップリング技法を用いてヒドロキシル基との反応により形成できる。この反応は、ヒドロキシル基を有するC−3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC−14位、ヒドロキシ基で修飾されたC−15位、およびヒドロキシル基を有するC−20位で生じ得る。好ましい実施形態において、該結合は、メイタンシノールまたはメイタンシノール類縁体のC−3位で形成される。
カリキアミシン
別の対象の免疫複合体は、1つまたは複数のカリキアミシン分子に結合された抗TAT抗体を含む。抗生物質のカリキアミシンファミリーは、ピコモル以下の濃度で2本鎖DNAの切断を生じることができる。カリキアミシンファミリーの複合体調製に関して、米国特許第5,712,374号、米国特許第5,714,586号、米国特許第5,739,116号、米国特許第5,767,285号、米国特許第5,770,701号、米国特許第5,770,710号、米国特許第5,773,001号、米国特許第5,877,296号(全てAmerican Cyanamid社)を参照されたい。使用できるカリキアミシンの構造的類縁体としては、限定はしないが、γ 、α 、α 、N−アセチルγ 、PSAGおよびθI 1(Hinmanら、Cancer Research53:3336−3342頁(1993)、Lodeら、Cancer Research58:2925−2928頁(1998)およびAmerican Cyanamid社の前述の米国特許)が挙げられる。抗体が結合できる別の抗腫瘍薬物は、葉酸代謝拮抗薬であるQFAである。カリキアミシンおよびQFA双方は、細胞内作用部位を有し、細胞膜を容易に交差しない。したがって、抗体媒介内部移行を介するこれら薬剤の細胞取込みにより、それらの細胞毒性効果を大いに増強する。
他の細胞毒性剤
本発明の抗TAT抗体に結合できる他の抗腫瘍剤としては、BCNU、ストレプトゾイシン、ビンクリスチンおよび5−フルオロウラシル、米国特許第5,053,394号、米国特許第5,770,710号に記載された、LL−E33288複合体として集合的に知られた薬剤のファミリー、ならびにエスペラミシン類(米国特許第5,877,296号)が挙げられる。
使用できる酵素活性毒素およびそれらの断片としては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌から)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデッシンA鎖、アルファ−サルシン、アレウリテス−フォルジ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、フィトラカ−アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、モモルディカ−チャランチア(momordica charantia)抑制剤、クルシン、クロチン、サパオナリア−オフィシナリス(sapaonaria officinalis)抑制剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセン類が挙げられる。例えば、1993年10月28日公開の国際公開第93/21232号を参照されたい。
本発明は、抗体と核酸分解活性を有する化合物(例えば、デオキシリボヌクレアーゼ;DNアーゼなどのリボヌクレアーゼまたはDNAエンドヌクレアーゼ)との間で形成された免疫複合体を考慮している。
腫瘍の選択的破壊に関して、抗体は、高度放射性原子を含むことができる。種々の放射性同位元素は、放射性複合化抗TAT抗体の製造に利用できる。例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212およびLuの放射性同位元素が挙げられる。該複合体が、診断に用いられる場合、それは、シンチグラフィー試験用の放射性原子、例えばtc99mもしくはI123、または再度ヨウ素−123、ヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガンまたは鉄などの核磁気共鳴(NMR)画像(核磁気共鳴画像法、mriとしても知られている)用のスピン標識を含む。
放射性標識または他の標識は、公知の方法で複合体に取り込むことができる。例えば、ペプチドは生合成できるか、または、例えば、水素の代わりにフッ素−19を含む好適なアミノ酸前駆体を用いて化学的アミノ酸合成により合成できる。tc99mもしくはI123、Re186、Re188、およびIn111のような標識は、ペプチド中のシステイン残基を介して結合できる。イットリウム−90は、リシン残基を介して結合できる。IODOGEN法(Frakerら(1978)Biochem.Biophys.Res.Commun.80:49−57頁)は、ヨウ素−123に使用できる。「Monoclonal Antobodies in Immunoscintigraphy」(Chatal,CRC Press 1989年)は、詳細に他の方法を記載している。
抗体と細胞毒性剤の複合体は、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCLなど)、活性エステル類(ジスクシンイミジルスベレートなど)、アルデヒド類(グルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート類(トルエン2,6−ジイソシアネートなど)、およびビス−活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)などの種々の二官能性タンパク質カップリング剤を用いて作製できる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitettaら、Science、238:1098頁(1987)に記載されているように調製できる。炭素−14−標識1−イソチオシアナートベンジル−3−メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX−DTPA)は、放射性核種の抗体への複合化用の代表的なキレート化剤である。国際公開第94/11026号を参照されたい。該リンカーは、細胞内の細胞毒性剤の放出を促進する「開裂可能なリンカー」であり得る。例えば、酸不安定リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光不安定リンカー、ジメチルリンカーまたはジスルフィド含有リンカー(Chariら、Cancer Research52:127−131頁(1992;米国特許第5,208,020号)が使用できる。
あるいは、抗TAT抗体および細胞毒性剤を含む融合タンパク質は、例えば、組換え技法またはペプチド合成により作製できる。DNAの長さは、互いに隣接するか、または複合体の所望の性質を破壊しないリンカーペプチドをコードする領域により分離された複合体の2つの部分をコードするそれぞれの領域を含むことができる。
さらに別の実施形態において、抗体は、標的化前の腫瘍における利用のために「受容体」(ストレプトアビジンのような)に結合でき、抗体−受容体の複合体を患者に投与し、次いでクリアリング剤を用いて循環流動から未結合複合体を除去し、次いで細胞毒性剤(例えば放射性核種)に結合する「リガンド」(例えば、アビジン)を投与する。
10. 免疫リポソーム
本明細書に開示された抗TAT抗体は、免疫リポソームとしても製剤化できる。「リポソーム」は、哺乳動物への薬物送達に有用である種々のタイプの脂質、リン脂質および/または界面活性剤から構成される小胞である。リポソームの成分は、通常、生体膜の脂質配列と同様の二層形成で配列される。抗体を含有するリポソームは、Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA82:3688頁(1985);Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA77:4030頁(1980);米国特許第4,485,045号および米国特許第4,544,545号;および1997年10月23日に公開された国際公開第97/38731号に記載されているように当業界に公知の方法により調製される。循環流動時間が増強されたリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いて逆相蒸発法を用いることにより生成できる。リポソームは、規定されたポアサイズのフィルターを通して押出されて所望の直径を有するリポソームを得る。本発明の抗体のFab’断片は、ジスルフィド交換反応によりMartinら、J.Biol.Chem.257:286−288頁(1982)に記載されたようにリポソームに結合できる。化学療法剤は、リポソーム内に任意に含まれる。Gabizonら、J.National Cancer Inst.81(19):1484頁(1989)を参照されたい。
B. TAT結合オリゴペプチド類
本発明のTAT結合オリゴペプチドは、本明細書に記載されたTATポリペプチドに、好ましくは特異的に結合するオリゴペプチドである。TAT結合オリゴペプチド類は、公知のオリゴペプチド合成の方法論を用いて化学的に合成できるか、または調製でき、組換え技法を用いて精製できる。TAT結合オリゴペプチド類は、通常、長さが少なくとも約5つのアミノ酸、あるいは、長さが少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100、またはそれ以上のアミノ酸であり、このようなオリゴヌクレオチド類は、本明細書に記載されたTATポリペプチドに、好ましくは特異的に結合できる。TAT結合オリゴペプチド類は、周知の技法を用いて、過度の実験をすることなく同定できる。この点において、ポリペプチド標的に特異的に結合できるオリゴペプチド類に関するオリゴペプチドライブラリーをスクリーニングする技法は、当業界に周知であることを注記する(例えば、米国特許第5,556,762号、米国特許第5,750,373号、米国特許第4,708,871号、米国特許第4,833,092号、米国特許第5,223,409号、米国特許第5,403,484号、米国特許第5,571,689号、米国特許第5,663,143号;PCT国際公開第84/03506号およびPCT国際公開第PCT84/03564号;Geysenら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、81:3998−4002頁(1984);Geysenら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、82:178−182頁(1985);Geysenら、Synthetic Peptides as Antigens、130−149頁(1986);Geysenら、J.Immunol.Meth.、102:259−274頁(1987);Schoofsら、J.Immunol.、140:611−616頁(1988)、Cwirla,S.E.ら、(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:6378頁(1984);Lowman,H.B.ら(1991)Biochemistry、30:10832頁;Clackson,T.ら(1991)Nature、352:624頁;Marks,J.D.ら、(1991)、J.Mol.Biol.、222:581頁;Kang,A.S.ら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:8363頁、およびSmith,G.P.(1991)Current Opin.Biotechnol.、2:668頁を参照)。
この点において、バクテリオファージ(ファージ)ディスプレイは、ポリペプチド標的に特異的に結合できるこれらのライブラリーのメンバーを同定するために大きなオリゴペプチドライブラリーをスクリーンすることを可能にする1つの周知の技法である。ファージディスプレイは、可変性ポリペプチド類が、融合タンパク質としてバクテリオファージ粒子の表面上のコートタンパク質にディスプレイされる技法である(Scott,J.K.およびSmith,G.P.(1990)Science249:386頁)。ファージディスプレイの有用性は、選択的無作為化されたタンパク質変異体(または無作為的にクローン化されたcDNA類)の大きなライブラリーが、高アフィニティーを有する標的分子に結合するこれらの配列に対して迅速かつ効率的に分類できる事実に見出される。ファージに対するペプチド(Cwirla,S.E.ら、(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:6378頁(1984))またはタンパク質(Lowman,H.B.ら(1991)Biochemistry、30:10832頁;Clackson,T.ら(1991)Nature、352:624頁;Marks,J.D.ら、(1991)、J.Mol.Biol.、222:581頁;Kang,A.S.ら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:8363頁)ライブラリーのディスプレイは、特異的結合特性を有するものに関して多数のポリペプチド類またはオリゴヌクレオチド類をスクリーニングするために使用されている(Smith,G.P.(1991)Current Opin.Biotechnol.、2:668頁)。無作為変異体のファージライブラリーの分類は、多数の変異体を構築し、増殖させる方法、標的受容体を用いてアフィニティー精製のための手法、および結合の高濃度結果を評価する手段を必要とする。米国特許第5,223,409号、米国特許第5,403,484号、米国特許第5,571,689号、および米国特許第5,663,143号。
大抵のファージディスプレイ方法は、糸状ファージを使用しているが、ラムダ状ファージディスプレイシステム(国際公開第95/34683号;米国特許第5,627,024号)、T4ファージディスプレイシステム(Renら、Gene、215:439頁(1998);Zhuら、Cancer Research、58(15):3209−3214頁(1998);Jiangら、Infection & Immunity、65(11):4770−4777(1997);Renら、Gene、195(2):302−311頁(1997);Ren、Protein Sci.5:1833頁(1996);Efimovら、Virus Genes、10:173頁(1995))およびT7ファージディスプレイシステム(SmithおよびScott、Methods in Enzymology、217:228−257頁(1993);米国特許第5,766,905号)もまた知られている。
基本的なファージディスプレイ構想の多くの他の改善および変更が、現在開発されている。これらの改善により、選択された標的分子に結合するためのペプチドライブラリーをスクリーンし、所望の性質に関してこれらのタンパク質をスクリーニングする可能性を有する機能性タンパク質をディスプレーするために、ディスプレイシステムの能力が増強される。ファージディスプレイ反応のために組合わせ反応デバイスが開発され(国際公開第98/14277号)、ファージディスプレイライブラリーは、二分子相互作用(国際公開第98/20169号;国際公開第98/20159号)および固定されたらせん状ペプチドの性質(国際公開第98/20036号)を分析し、制御するために使用されている。国際公開第97/35196号は、ファージディスプレイライブラリーが一溶液と接触させるアフィニティーリガンドを単離する方法を記載しており、該リガンドは、標的分子および第二の溶液に結合し、結合リガンドを選択的に単離するために、該アフィニティーリガンドは標的分子に結合しない。国際公開第97/46251号は、無作為ファージディスプレイライブラリーとアフィニティー精製抗体とをバイオパニングする方法、次に結合ファージを単離し、次いで高アフィニティー結合ファージを単離するためにマイクロプレートウェルを用いてマイクロパニングするプロセスを記載している。アフィニティータグとして黄色ブドウ球菌タンパク質Aの使用もまた報告されている(Liら(1998)Mol Biotech.、9:187頁)。国際公開第97/47314号は、ファージディスプレイライブラリーであり得る組合わせライブラリーを用いて酵素特異性を区別するために基質減算ライブラリーの使用を記載している。ファージディスプレイを用いる界面活性剤の使用に好適な酵素を選択する方法は、国際公開第97/09446号に記載されている。特異的結合タンパク質を選択するさらなる方法は、米国特許第5,498,538号、米国特許第5,432,018号および国際公開第98/15833号に記載されている。
ペプチドライブラリーを生成し、これらのライブラリーをスクリーニングする方法もまた、米国特許第5,723,286号、米国特許第5,432,018号、米国特許第5,580,717号、米国特許第5,427,908号、米国特許第5,498,530号、米国特許第5,770,434号、米国特許第5,734,018号、米国特許第5,698,426号、米国特許第5,763,192号、および米国特許第5,723,323号に開示されている。
C. TAT結合有機分子
TAT結合有機分子は、本明細書に記載されているTATポリペプチドに、好ましくは特異的に結合する本明細書に定義されたオリゴペプチドまたは抗体以外の有機分子である。TAT結合有機分子を同定でき、公知の方法論(例えば、PCT公開の国際公開第00/00823号および国際公開第00/39585号)を用いて化学的に合成できる。TAT結合有機分子は、通常、サイズが約2000ダルトン未満、あるいは、サイズが約1500未満、750、500、250または200ダルトンであり、本明細書に記載されているTATポリペプチドに、好ましくは特異的に結合できるこのような有機分子は、周知の技法を用いて過度の実験をすることなく同定できる。この点において、ポリペプチド標的に結合できる分子に関する有機分子ライブラリーをスクリーニングする技法は、当業界に周知である(例えば、PCT公開の国際公開第00/00823号および国際公開第00/39585号を参照)ことを注記する。TAT結合有機分子は、例えば、アルデヒド類、ケトン類、オキシム類、ヒドラゾン類、セミカルバゾン類、カルバジド類、第一級アミン類、第二級アミン類、第三級アミン類、N−置換ヒドラジン類、ヒドラジド類、アルコール類、エーテル類、チオール類、チオエーテル類、二硫化物、カルボン酸類、エステル類、アミド類、尿素類、カルバメート類、カーボネート類、ケタール類、チオケタール類、アセタール類、チオアセタール類、ハロゲン化アリール類、スルホン化アリール類、ハロゲン化アルキル類、スルホン化アルキル類、芳香族化合物、ヘテロ環式化合物、アニリン類、アルケン類、アルキン類、ジオール類、アミノアルコール類、オキサゾリジン類、オキサゾリン類、チアゾリジン類、チアゾリン類、エナミン類、スルホンアミド類、エポキシド類、アジリジン類、イソシアネート類、塩化スルホニル類、ジアゾ化合物、酸クロリド類などであり得る。
D. 所望の性質を有する抗TAT抗体、TAT結合オリゴペプチド類およびTAT結合有機分子のスクリーニング
TATポリペプチド類に結合する抗体、オリゴペプチド類および有機分子を生成する技法は、上部に記載されている。さらに、所望のある一定の生物学的特徴を有する抗体、オリゴペプチド類および有機分子を選択できる。
本発明の抗TAT抗体、オリゴペプチドおよび有機分子の増殖抑制効果は、例えば、内因的またはTAT遺伝子のトランスフェクションに続いてTATポリペプチドを発現する細胞を用いる、当業界に公知の方法により評価できる。例えば、適切な腫瘍細胞系およびTAT−トランスフェクション細胞は、数日間(例えば、2日〜7日)種々の濃度で本発明の抗TATモノクローナル抗体、オリゴペプチドおよび他の有機分子で処置でき、クリスタルバイオレットもしくはMTTにより染色でき、または幾つかの他の比色アッセイにより分析できる。増殖を測定する別の方法は、本発明の抗TAT抗体、TAT結合オリゴペプチドおよびTAT結合有機分子の存在下または不在下で処置された細胞によるH−チミジン取込みを比較することによると考えられる。処置後、細胞を採取し、DNAに取り込まれた放射活性量をシンチレーションカウンターで定量化される。適切な陽性対照としては、その細胞系の増殖を阻止することが知られている、増殖抑制抗体による選択された細胞系の処置が挙げられる。インビボ腫瘍細胞の増殖抑制は、当業界に公知の種々の方法で測定できる。好ましくは、腫瘍細胞は、TATポリペプチドを過剰発現するものである。一実施形態において、0.5μg/mlから30μg/mlまでの抗体濃度で、抗TAT抗体、TAT結合オリゴペプチドおよびTAT結合有機分子は、未処置腫瘍細胞と比較して、好ましくは、約25〜100%、より好ましくは、約30〜100%、さらにより好ましくは、約60〜100%または70〜100%でインビトロまたはインビボのTAT発現腫瘍細胞増殖を阻止する。増殖抑制は、細胞培養時に約0.5μg/mlから30μg/mlまたは約0.5nMから200nMの抗体濃度で測定でき、増殖抑制は、抗体に対する腫瘍細胞の曝露1〜10日後に測定される。約1μg/kgから約100mg/kg体重での抗TAT抗体の投与が、抗体の最初の投与から約5日から3ヵ月以内、好ましくは、約5日から30日以内で腫瘍サイズの減少または腫瘍細胞増殖の減少をもたらす場合、該抗体はインビボで増殖抑制する。
細胞死を誘導する抗TAT抗体、TAT結合オリゴペプチドおよびTAT結合有機分子を選択するために、例えば、ヨウ化プロピジウム(PI)、トリパンブルーまたは7AADの取込みにより示された膜完全性の喪失が、対照と比較して評価できる。PI取込みアッセイは、補体および免疫エフェクター細胞の不在下で実施できる。TATポリペプチド発現腫瘍細胞は、培地単独または適切な抗TAT抗体(例えば、約10μg/ml)、TAT結合オリゴペプチドおよびTAT結合有機分子を含有する培地を用いてインキュベートする。この細胞を3日間インキュベートする。各々の処置後、細胞を洗浄し、細胞凝集塊の除去のため35mmのスレーナ−キャップ12×75チューブ(1本のチューブ当り1ml、1処置群当り3本のチューブ)に一定分割する。次にチューブは、PI(10μg/ml)を受ける。サンプルは、FACSCAN(登録商標)フローサイトメーターおよびFACSCONVERT(登録商標)CellQuestソフトウェア(Becton Dickinson)を用いて分析できる。PI取込みにより測定された細胞死の統計的に有意なレベルを誘導するこれらの抗TAT抗体、TAT結合オリゴペプチドまたはTAT結合有機分子は、細胞死誘導抗TAT抗体、TAT結合オリゴペプチドまたはTAT結合有機分子として選択できる。
対象の抗体により結合されたTATポリペプチドに対するエピトープに結合する抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子をスクリーンするために、Antibodies,A Laboratory Mannual、Cold Spring Harbor Laboratory、編集者Karlow及びDavid Lane(1988)に記載されているようなルーチン的交差遮断アッセイを実施できる。このアッセイは、試験抗体、オリゴペプチドまたは他の有機分子が、公知の抗TAT抗体と同一の部位またはエピトープに結合するかどうかを判定するために使用できる。あるいは、またはさらに、エピトープマッピングは、当業界に公知の方法により実施できる。例えば、抗体配列は、接触残基を同定するためにアラニンスキャニングによるなどで変異誘発できる。変異抗体は、適切な折りたたみを確保するためにポリクローナル抗体と結合させるために最初に試験する。異なる方法において、TATポリペプチドの種々の領域に対応するペプチド類は、複数の試験抗体または試験抗体および特性化または公知のエピトープを有する抗体との競合アッセイに使用できる。
E. 抗体依存酵素媒介プロドラッグ療法(ADEPT)
本発明の抗体はまた、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤、国際公開第81/01145号)を活性抗癌薬物に変換させるプロドラッグ活性酵素に対して、抗体を結合させることによるADEPTにおいて使用できる。例えば、国際公開第88/07378号および米国特許第4,975,278号を参照されたい。
ADEPTに有用な免疫複合体の酵素成分としては、そのより活性な細胞毒性形態に変換させるような方法で、プロドラッグに作用できる任意の酵素を含む。
本発明の方法に有用である酵素としては、限定はしないが、ホスフェート含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なアルカリホスファターゼ;スルフェート含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なアリールスルファーゼ;抗癌薬物、非毒性5−フルオロシトシンを5−フルオロウラシルに変換するのに有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用であるセラチアプロテアーゼ、テルモリシン、ズブチリシン、カルボキシペプチダーゼ類およびカテプシン類(カテプシンBおよびLなど)などのプロテアーゼ;D−アミノ酸置換基を含有するプロドラッグを変換するのに有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ類;グリコシル化プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なβ−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼなどの炭水化物開裂酵素;β−ラクタム類により誘導化された薬物を遊離薬物に変換するのに有用なβ−ラクタマーゼ;およびアミン窒素がフェノキシアセチル基またはフェニルアセチル基により誘導化された薬物を遊離薬物に変換するために有用なペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼなどのペニシリンアミダーゼ類、が挙げられる。あるいは、また「アブザイム類」として知られている酵素活性を有する抗体は、本発明のプロドラッグを遊離活性薬物に変換するために使用できる(例えば、Massey、Nature328:457−458頁(1987)を参照)。抗体−アブザイム複合体は、アブザイムの腫瘍細胞集団への送達のため、本明細書に記載されているように調製できる。
本発明の酵素は、上記に検討されたヘテロ二官能性交差試剤に使用など、当業界に周知の技法により抗TAT抗体に共有結合できる。あるいは、本発明の酵素の少なくとも1つの官能的に活性な部分に結合された本発明の抗体の少なくとも抗原結合領域を含む融合タンパク質は、当業界に周知の組換えDNA技法を構築できる(例えば、Neubergerら、Nature312:604−608頁(1984)を参照)。
F. 完全長TATポリペプチド類
本発明はまた、本出願においてTATポリペプチド類と称されるポリペプチド類をコードする新たに同定され、単離されたヌクレオチド配列を提供する。特に、種々のTATポリペプチド類をコードするcDNA類(部分長および完全長)は、下記の実施例においてさらに詳細に開示されているように同定され、単離されている。
下記の実施例に開示されているように、種々のcDNAクローンは、ATCCにより寄託されている。これらのクローンの実際のヌクレオチド配列は、当業界においてルーチン的な方法を用いて、熟練技術者による寄託されたクローンの配列決定によって容易に決定できる。予測されたアミノ酸配列は、ルーチン的な技術を用いてヌクレオチド配列から決定できる。幾つかの場合において、本明細書に記載されたTATポリペプチド類およびコード核酸に関して、出願者は、この時点で利用できる配列情報により同定できる最良のリーディングフレームであると思われるものを同定した。
G. 抗TAT抗体およびTATポリペプチド変異体
本明細書に記載された抗TAT抗体および完全長の固有配列のTATポリペプチド類に加えて、抗TAT抗体およびTATポリペプチド変異体を調製できることが考慮されている。抗TAT抗体およびTATポリペプチド変異体は、コードDNAに適切なヌクレオチド変化を導入することにより、および/または所望の抗体またはポリペプチドの合成により調製できる。アミノ酸の変化が、グリコシル化部位数または位置を変えるか、または膜固定特性を変えるような、抗TAT抗体またはTATポリペプチドの翻訳後プロセスを変えることができることを、当業者は認識するであろう。
本明細書に記載された抗TAT抗体およびTATポリペプチド類における変異は、例えば、米国特許第5,364,934号に記載されている、例えば、任意の技法および保存的および非保存的変異に関するガイドラインを用いて作製できる。変異は、固有の配列抗体またはポリペプチドと比較して、アミノ酸配列における変化を生じる抗体またはポリペプチドをコードする1つまたは複数のコドンの置換、削除または挿入であり得る。任意に変異は、抗TAT抗体およびTATポリペプチドの1つまたは複数のドメインにおいて、少なくとも1つのアミノ酸の任意の他のアミノ酸による置換によるものである。アミノ酸残基が、所望の活性に有害な影響を与えることなく挿入、置換または削除できる決定におけるガイダンスは、抗TAT抗体およびTATポリペプチドと、相同的な既知のタンパク質分子とを比較すること、および高い相同性の領域に作製されたアミノ酸配列の変化数を最少化することに見ることができる。アミノ酸置換は、1つのアミノ酸を、セリンによるロイシンの置換、すなわち保存的アミノ酸置換など、同様の構造的および/または化学的性質を有する別のアミノ酸により置換する結果であり得る。挿入または削除は、任意に約1つから5つのアミノ酸の範囲であり得る。許容される変異は、配列中のアミノ酸を系統的に挿入、削除または置換させることにより、および生じた変異体を、完全長または成熟した固有配列により示された活性に関して試験することにより判定できる。
抗TAT抗体およびTATポリペプチド断片は、本明細書に提供されている。このような断片は、N末端またはC末端で切断できるか、または、例えば、完全長固有の抗体またはタンパク質と比較した場合、内部残基を欠如することができる。ある一定の断片は、抗TAT抗体またはTATポリペプチドの所望の生物活性に必須ではないアミノ酸残基を欠如している。
抗TAT抗体およびTATポリペプチド断片は、多くの従来法のいずれによっても調製できる。所望のペプチド断片は、化学的に合成できる。代替アプローチとしては、例えば、特定のアミノ酸残基により規定された部位でタンパク質を開裂することが知られている酵素によるタンパク質の処理による酵素的消化、または好適な制限酵素を用いるDNAの消化、ならびに所望の断片の単離により抗体またはポリペプチド断片を生成することを含む。さらに別の好適な技法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、所望の抗体またはポリペプチド断片をコードするDNA断片を単離し、増幅することを含む。DNA断片の所望の末端を規定するオリゴヌクレオチドは、PCRにおいて5’および3’プライマーとして使用される。抗TAT抗体およびTATポリペプチド断片は、本明細書に開示された固有の抗TAT抗体またはTATポリペプチドによる少なくとも1つの生物活性および/または免疫学的活性を共有していることが好ましい。
特定の実施形態において、対象の保存的置換は、好ましい置換基の略字により表6に示されている。このような置換基が、生物活性の変化をもたらす場合、表6の代表的な置換基と称されるか、またはアミノ酸クラスに関してさらに下記のより実質的な変化が導入され、生成物がスクリーニングされる。
Figure 2008535498
抗TAT抗体またはTATポリペプチドの官能基の実質的修飾または免疫学的同一性は、(a)例えば、シートまたはらせん状立体配座として置換領域におけるポリペプチド主鎖の構造、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、または(c)側鎖の嵩高さ、の維持に対するそれらの効果が有意に異なる置換基を選択することにより達成される。天然の残基は、共通の側鎖特性に基づいて以下のグループに分類される:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr;Asn;Gln
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換基は、別のクラスに関するこれらクラスの1つのメンバーを交換することを必要とする。このように置換された残基はまた、保存的置換部位または、より好ましくは、残存(非保存)部位に導入できる。
変異体は、オリゴヌクレオチド媒介(部位方向)変異誘発、アラニンスキャニング、およびPCR変異誘発など、当業界に公知の方法を用いて作製できる。部位方向変異誘発[Carterら、Nucl.Acids Res.、13:4331頁(1986);Zollerら、Nucl.Acids Res.、10:6487頁(1987)]、カセット変異誘発[Wellsら、Gene、34:315頁(1985)]、制限選択変異誘発[Wellsら、Philos.Trans.R.Soc.London SerA、317:415頁(1986)]または他の公知の技法は、抗TAT抗体またはTATポリペプチド変異体DNAを生成するためにクローン化されたDNA上で実施できる。
スキャニングアミノ酸分析はまた、連続配列に沿って1つまたは複数のアミノ酸を同定するために使用できる。スキャニングアミノ酸の中で、比較的小型の中性アミノ酸が好ましい。このようなアミノ酸としては、アラニン、グリシン、セリン、およびシステインが挙げられる。アラニンは、ベータ−炭素を以上の側鎖を開裂し、変異体の主鎖の立体配座を変えにくいことから、この基のなかで典型的に好ましいスキャニングアミノ酸である[CunninghamおよびWells、Science、244:1081−1085頁(1989)]。アラニンは、最も共通するアミノ酸であることからも典型的に好ましい。さらに、アラニンは、埋め込み位置および曝露位置の双方に見られることが多い[Creighton、The Proteins、(W.H.Freeman & Co.、ニューヨーク州);Chothia、J.Mol.Biol.、150:1頁(1976)]。アラニン置換が、適切な量の変異体を生成しない場合、アイソテリック(isoteric)アミノ酸を使用できる。
抗TAT抗体またはTATポリペプチドの適切な立体配座の維持に関与しない任意のシステイン残基もまた、一般にセリンにより置換されて分子の酸化的安定性を改善し、異常な交差結合を防止できる。逆に、システイン結合を、抗TAT抗体またはTATポリペプチドに付加するとその安定性を改善できる(特に該抗体が、Fv断片などの抗体断片である場合)。
特に好ましいタイプの置換変異体は、親抗体(例えば、ヒト化またはヒト抗体)の1つまたは複数の超可変性領域の残基を置換することを含む。一般に、さらに開発のために選択されて生じた変異体は、変異体が生成される親抗体に比べて生物学的性質を改善するであろう。このような置換変異体の生成に好適な方法は、ファージディスプレイを用いてアフィニティー成熟を含む。手短に言えば、幾つかの超可変性領域の部位(例えば、6〜7つの部位)は、各部位で全て可能なアミノ置換を生成するために変異される。このように生成された抗体変異体は、各粒子内にパッケージされたM13の遺伝子III産物に対する融合として糸状ファージ粒子から一価様式でディスプレイされる。次にファージディスプレイされた変異体は、本明細書に開示された生物活性(例えば、結合アフィニティー)についてスクリーンされる。修飾に関して候補超可変性領域の部位を確認するために、アラニンスキャニング変異誘発は、抗原結合に有意に寄与する超可変性領域の残基を同定するために実施できる。あるいは、またはさらに、抗体とヒトTATポリペプチドとの間の接触点を確認するために抗原−抗体複合体の結晶構造を分析することは有利となり得る。このような接触残基と隣接残基とは、本明細書において合成された技法に従って置換のための候補物である。このような変異体が生成されると、変異体パネルは、本明細書に記載されたスクリーニングに供され、1つまたは複数の関連アッセイにおいて優れた性質を有する抗体は、さらなる開発のために選択できる。
抗TAT抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当業界に公知の種々の方法により調製される。これらの方法としては、限定はしないが、天然源(天然アミノ酸配列変異体の場合)からの単離、またはオリゴヌクレオチド媒介(または部位方向)変異誘発による調製、PCR変異誘発、および抗TAT抗体の早期に調製された変異体または非変異体版のカセット変異誘発が挙げられる。
H. 抗TAT抗体およびTATポリペプチドの修飾
抗TAT抗体およびTATポリペプチドの共有結合修飾は、本発明の範囲内に含まれる。一タイプの共有結合修飾は、抗TAT抗体またはTATポリペプチドの標的化されたアミノ酸残基と、抗TAT抗体またはTATポリペプチドの選択された側鎖またはN−またはC−末端残基と反応できる有機誘導化剤とを反応させることを含む。二官能性剤との誘導化は、例えば、抗TAT抗体またはTATポリペプチドを、抗TAT抗体およびその逆を生成するのに使用のために、水不溶性支持体マトリックスまたは表面に交差結合させるのに有用である。通常使用される架橋剤としては、例えば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル類、例えば、4−アジドサリチル酸とのエステル類、3,3’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)などのジスクシンイミジルエステル類を含むホモ二官能性イミドエステル類、ビス−N−マレイミド−1,8−オクタンなどの二官能性マレイミド類およびメチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデートなどの試剤が挙げられる。
他の修飾としては、グルタミニルおよびアスパラギニル残基の、それぞれ対応するグルタミルおよびアスパルチル残基への脱アミノ化、プロリンおよびリシンのヒドロキシル化、セリルまたはトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、およびヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化[T.E.Creighton、Proteins:Structure and Molecular Properties、W.H.Freeman & Co.サンフランシスコ、79−86頁(1983)]、N−末端アミンアセチル化、およびC−末端カルボキシル基のアミド化、が挙げられる。
本発明の範囲内に含まれる抗TAT抗体またはTATポリペプチドの別のタイプの共役結合修飾は、抗体またはポリペプチドの固有のグリコシル化パターンを変えることを含む。「固有のグリコシル化パターンを変えること」とは、本明細書の目的のために、固有の配列の抗TAT抗体またはTATポリペプチドに見られる1つまたは複数の炭水化物を削除すること(基礎をなすグリコシル化部位を除去することによるか、または化学的および/または酵素的手段によりグリコシル化を削除することによる)、および/または固有の配列の抗TAT抗体またはTATポリペプチドに存在しない1つまたは複数のグリコシル化部位を付加することを意味することが意図されている。さらに、この語句は、存在する種々の炭水化物部分の性質および割合の変化を含む、固有のタンパク質のグリコシル化における質的な変化を含む。
抗体および他のポリペプチド類のグリコシル化は、典型的にはN−結合またはO−結合のいずれかである。N−結合とは、アスパラギン残基の側鎖に対する炭水化物部分の結合を称す。Xがプロリン以外の任意のアミノ酸であるトリペプチド配列のアスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−トレオニンは、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的結合のための認識配列である。したがって、ポリペプチドにおけるこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在によって、グリコシル化部位として可能なものが生じる。O−結合グリコシル化とは、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはトレオニンに対する糖類のN−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースの中の1つの糖との結合を称するが、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシルリシンもまた使用できる。
抗TAT抗体またはTATポリペプチドへのグリコシル化部位の付加は、1つまたは複数の上記のトリペプチド配列(N−結合グリコシル化部位に関して)を含有するようにアミノ酸配列を変えることによって都合よく達成される。この変化はまた、元の抗TAT抗体またはTATポリペプチドの配列(O−結合グリコシル化部位)への1つまたは複数のセリンまたはトレオニン残基による付加、または置換によって成すことができる。抗TAT抗体またはTATポリペプチドのアミノ酸配列は、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンが生成されるように予め選択された塩基で抗TAT抗体またはTATポリペプチドをコードするDNAを変異させることによって、DNAレベルでの変化を介して任意に変えることができる。
抗TAT抗体またはTATポリペプチド上の炭水化物部分数を増加させる別の手段は、該ポリペプチドへのグリコシド類の化学的または酵素的結合による。このような方法は、当業界において、例えば、1987年9月11日に公開された国際公開第87/05330号、およびAplinおよびWriston、CRC Crit.Rev.Biochem.、259−306頁(1981)に記載されている。
抗TAT抗体またはTATポリペプチドに存在する炭水化物部分の除去は、化学的もしくは酵素的またはグリコシル化の標的として役立つアミノ酸残基をコードするコドンの変異的置換によって達成できる。化学的脱グリコシル化技法は、当業界に公知であり、例えば、Hakimuddinらによる、Arch.Biochem.Biophys.、259:52頁(1987)およびEdgeらによる、Anal.Biochem.、118:131頁(1981)に記載されている。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的開裂は、Thotakuraらによる、Meth.Enzymol.、138:350頁(1987)に記載されている種々のエンド−およびエキソ−グリコシダーゼの使用により達成できる。
抗TAT抗体またはTATポリペプチドの別のタイプの共有結合修飾は、米国特許第4,640,835号;米国特許第4,496,689号;米国特許第4,301,144号;米国特許第4,670,417号;米国特許第4,791,192号または米国特許第4,179,337号に記載されている様式で、種々の非タンパク質様ポリマー類、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレン類のうちの1つに抗体またはポリペプチドを結合させることを含む。抗体またはポリペプチドはまた、例えば、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、ミクロ乳濁液、ナノ粒子およびナノカプセル)中、またはマクロ乳濁液中、コアセルベーション技法または界面重合(例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)により調製されたマイクロカプセル内に混入させることができる。このような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Oslo,A編集者(1980)に開示されている。
本発明の抗TAT抗体またはTATポリペプチドは、別の異種ポリペプチドまたはアミノ酸配列に融合された抗TAT抗体またはTATポリペプチドを含むキメラ分子を形成する方法でも修飾できる。
一実施形態において、このようなキメラ分子は、抗TAT抗体またはTATポリペプチドと、抗タグ抗体が選択的に結合できるエピトープを提供するタグポリペプチドとの融合を含む。エピトープタグは一般に、抗TAT抗体またはTATポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシル末端に置かれる。抗TAT抗体またはTATポリペプチドのこのようなエピトープタグ化形態の存在は、タグポリペプチドに対する抗体を用いて検出できる。また、エピトープタグの提供により、抗TAT抗体またはTATポリペプチドを、エピトープタグに結合する抗タグ抗体または別のタイプのアフィニティーマトリックスを用いるアフィニティー精製により容易に精製できる。種々のタグポリペプチド類およびそれぞれの抗体は、当業界に周知である。例としては、ポリ−ヒスチジン(ポリ−his)またはポリ−ヒスチジン−グリシン(ポリ−his−gly)タグ;flu HAタグポリペプチドおよびその抗体12CA5[Fieldら、Mol.Cell.Biol.、8:2159−2165頁(1988)];c−mycタグおよびそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7および9E10抗体[Evanら、Molecular and Cellular Biology、5:3610−3616頁(1985)];および単純ヘルペスウィルス糖タンパク質D(gD)タグおよびその抗体[Paborskyら、Protein Engineering、3(6):547−553頁(1990)]が挙げられる。他のタグポリペプチド類としては、フラグ−ペプチド[Hoppら、BioTechnology、6:1204−1210頁(1988)];KT3エピトープペプチド[Martinら、Science、255:192−194頁(1992)];α−チューブリンエピトープペプチド[Skinnerら、J.Biol.Chem.、266:15163−15166頁(1991)];およびT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ[Lutz−Freyermuthら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:6393−6397頁(1990)]が挙げられる。
代替の実施形態において、キメラ分子は、抗TAT抗体またはTATポリペプチドと、免疫グロブリンまたは免疫グロブリンの特定の領域との融合を含むことができる。キメラ分子(「免疫アドヘシン(immunoadhesin)」とも称される)の二価形態に関して、このような融合は、IgG分子のFc領域にあり得る。Ig融合は、Ig分子内の少なくとも1つの可変性領域の代わりに抗TAT抗体またはTATポリペプチドの溶解性(削除または不活化された膜貫通ドメイン)形態の置換を含むことが好ましい。特に好ましい実施形態において、免疫グロブリン融合は、ヒンジ、CHおよびCH、またはIgG1分子のヒンジ、CH、CHおよびCH領域を含む。免疫グロブリン融合の生成に関しては、また1995年6月27日発行の米国特許第5,428,130号を参照されたい。
I. 抗TAT抗体またはTATポリペプチド類の調製
下記の説明は、抗TAT抗体コード核酸またはTATポリペプチドコード核酸を含有するベクターにより形質転換されたか、またはそれをトランスフェクトした細胞を培養することによる、主として抗TAT抗体またはTATポリペプチド類の製造に関する。もちろん、当業界に周知である代替法は、抗TAT抗体またはTATポリペプチドを調製するために使用できることが考慮されている。例えば、適切なアミノ酸配列、またはそれの部分は、固相法[例えば、Stewartら、Solid−Phase Peptide Synthesis、W.H.Freeman Co.、サンフランシスコ、カリフォルニア州(1969);Merrifield、J.Am.Chem.Soc.、85:2149−2154頁(1963)を参照]を用いる直接ペプチド合成により製造できる。インビトロタンパク質合成は、手動技法を用いるか、または自動化により実施できる。自動化合成は、例えば、製造元の取扱説明書を用い、Applied Biosystems Peptide Synthesizer(フォスターシティ、カリフォルニア州)を用いて実施できる。抗TAT抗体またはTATポリペプチド種々の部分は、個々に化学的に合成でき、化学的または酵素的方法を組合わせて所望の抗TAT抗体またはTATポリペプチドを製造できる。
1. 抗TAT抗体またはTATポリペプチドをコードするDNAの単離
抗TAT抗体またはTATポリペプチドをコードするDNAは、抗TAT抗体またはTATポリペプチドのmRNAを有し、検出可能なレベルで発現すると考えられている組織から調製されたcDNAライブラリーから得ることができる。したがって、ヒト抗TAT抗体またはTATポリペプチドDNAは、ヒト組織から調製されたcDNAライブラリーから都合よく得ることができる。抗TAT抗体コード遺伝子またはTATポリペプチドコード遺伝子は、ゲノムライブラリーまたは既知の合成法(例えば、自動化核酸合成)からも得ることができる。
ライブラリーは、対象の遺伝子、またはそれによりコードされたタンパク質を同定するために設計されたプローブ(少なくとも約20〜80の塩基のオリゴヌクレオチドなど)でスクリーンできる。選択されたプローブによるcDNAまたはゲノムライブラリーのスクリーニングは、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Mannual(ニューヨーク:Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989年)に記載されたように標準的な手法を用いて実施できる。抗TAT抗体またはTATポリペプチドをコードする遺伝子を単離するための代替手段は、PCR方法論を使用することである[Sambrookら、上記文献;Dieffenbachら、PCR Primer:A Laboratory Mannual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1995年)]。
cDNAライブラリーをスクリーニングする技法は、当業界に周知である。プローブとして選択されたオリゴヌクレオチド配列は、長さが十分であり、偽陽性が最少になるように十分に明瞭である必要がある。オリゴヌクレオチドは、スクリーンされるライブラリーにおけるDNAにハイブリダイゼーションの際に検出できるように標識されることが好ましい。標識方法は、当業界に周知であり、32P標識ATP、ビオチニル化または酵素標識の使用を含む。中等度ストリンジェンシーおよび高度ストリンジェンシーなど、ハイブリダイゼーション条件は、Sambrookら、上記文献に提供されている。
このようなライブラリースクリーニング法で同定された配列は比較でき、寄託された他の公知の配列と整列させ、GenBankまたは他の私的な配列のデータベースなどの公的なデータベースが利用できる。分子の規定領域内または完全長配列を交差した配列同一性は、当業界に公知で本明細書に記載された方法を用いて決定できる。
タンパク質コード配列を有する核酸は、最初に本明細書に開示された推測アミノ酸配列を用い、cDNAに逆転写されたことがないと考えられるmRNAの前駆体および処理中間体を検出するために、必要ならば、Sambrookら、上記文献に記載された従来のプライマー伸長法を用いて、選択されたcDNAまたはゲノムライブラリーにより得ることができる。
2. 宿主細胞の選択および形質変換
宿主細胞は、抗TAT抗体またはTATポリペプチド産生のために本明細書に記載された発現またはクローン化ベクターをトランスフェクトされるか、または形質変換され、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅させるために適切に修飾された従来の栄養培地中で培養する。培地、温度、pHなどの培養条件は、過度に実験することなく熟練技術者により選択できる。一般に、細胞培養の生産性を最大にするために原理、プロトコル、および実用的技法は、Mammalian Cell Biotechnology:a Practical Approach、M.Butler編集者(IRL Press、1991年)およびSambrookら、上記文献に見ることができる。
真核細胞のトランスフェクション法および原核細胞の形質転換法は、例えば、CaCl、CaPO、リポソーム媒介および電気穿孔など、通常の熟練技術者に知られている。用いられる宿主細胞に依って、形質転換は、このような細胞に適切な標準的技法を用いて実施される。Sambrookら、上記文献に記載された塩化カルシウム使用するカルシウム処理、または電気穿孔は、原核細胞に一般に使用される。アグロバクテリウムチュメファシエンスによる感染は、Shawらによる、Gene、23:315頁(1983)および1989年6月29日に公表された国際公開第89/05859号に記載されているように、ある一定の植物細胞の形質転換に使用される。このような細胞壁のない哺乳動物細胞に関して、Grahamおよびvan der Eb、Virology、52:456−457頁(1978)のリン酸カルシウム沈殿法が使用できる。哺乳動物の宿主細胞系のトランスフェクションの一般態様は、米国特許第4,399,216号に記載されている。酵母への形質転換は、Van Solingenら、J.Bact.、130:946頁(1977)およびHsiaoら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)、76:3829頁(1979)の方法に従って典型的に実施される。しかしながら、核ミクロ注入、電気穿孔、無処置細胞との細菌原形質との融合、またはポリカチオン類、例えば、ポリブレン、ポリオルニチンによるなど、細胞にDNAを導入する他の方法もまた使用できる。哺乳動物細胞を形質転換する種々の技法に関して、Keownら、Methods in Enzymology、185:527−537頁(1990)およびMansourら、Nature、336:348−352(1988)を参照されたい。
本明細書のベクターにDNAをクローン化するか、または発現するのに好適な宿主細胞としては、原核細胞、酵母細胞、または高等真核細胞が挙げられる。好適な原核細胞としては、限定はしないが、グラム陰性またはグラム陽性生物などの真正細菌、例えば、大腸菌などの腸内細菌科が挙げられる。種々の大腸菌株は、大腸菌K12株MM294(ATCC31,446);大腸菌X1776(ATCC31,537);大腸菌株W3110(ATCC27,325)およびK5772(ATCC53,635)など公的に入手できる。他の好適な原核宿主細胞としては、エシェリキア属などの腸内細菌科、例えば、大腸菌、エンテロバクター属、エルウィナ属、クレブシエラ属、プロテウス属、サルモネラ属、例えば、サルモネラ菌、セラチア属、例えば、霊菌、およびシゲラ属、ならびに枯草菌およびリケニホルミス菌(例えば、1989年4月12日に公開されたDD266,710に開示されたリケニホルミス菌41P)、緑膿菌などのシュードモナス属、およびストレプトミセス属が挙げられる。これらの例は、限定するのではなく説明のためである。W3110株は、組換えDNA産物発酵に関して共通の宿主株であることから、特に好ましい宿主または親の宿主のものである。宿主細胞は、最少量のタンパク分解酵素を分泌することが好ましい。例えば、W3110株は、完全遺伝子型tonAを有する大腸菌W3110株1A2;完全遺伝子型tonA ptr3を有する大腸菌W3110株9E4;完全遺伝子型tonA ptr3 phoA E15(argF−lac)169 degP ompTkanを有する大腸菌W3110株27C7(ATCC55,244);完全遺伝子型tonA ptr3 phoA E15(argF−lac)169 degP ompT rbs7 ilvG kanを有する大腸菌W3110株37D6;非カナマイシン耐性degP欠失変異を有する37D6株である大腸菌W3110株40B4;および1990年8月7日に発行された米国特許第4,946,783号に開示された変異体ペリプラズムプロテアーゼを有する大腸菌株など、このような宿主の例により宿主に内因性のタンパク質をコードする遺伝子において遺伝子変異を達成させるために修飾できる。あるいは、インビトロクローン化法、例えば、PCRまたは他の核酸ポリメラーゼ反応は好適である。
治療用抗体が、細胞毒性剤(例えば、毒素)に結合し、それ自体による免疫複合体が、腫瘍細胞破壊の効力を示す場合など、特にグリコシル化およびFcエフェクター機能が必要でない場合、完全長抗体、抗体断片、および抗体融合タンパク質は細菌中に産生できる。完全長抗体は、循環流動中、より大きな半減期を有する。大腸菌中の産生は、より速く、よりコスト効率的である。細菌中の抗体断片およびポリペプチド類の発現に関して、例えば、米国特許第5,648,237号(Carterら)、米国特許第5,789,199号(Jolyら)、および発現および分泌を最適化するための翻訳開始部位(TIR)およびシグナル配列を記載している米国特許第5,840,523号(Simmonsら)を参照されたい。これらの特許は、参照として本明細書に組み込まれている。発現後、抗体は、溶液フラクションにおいて大腸菌細胞ペーストから単離され、例えば、イソタイプに依ってタンパク質AまたはGカラムを通して精製できる。最終精製は、例えば、CHO細胞において発現される抗体を精製するためのプロセスと同様に実施できる。
原核微生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物は、抗TAT抗体コードベクターまたはTATポリペプチドコードベクターに関する好適なクローニング宿主または発現宿主である。酵母は、通常使用される下等真核宿主微生物である。他のものとしては、分裂酵母ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)’BeachおよびNurse、Nature、290:140頁[1981];1985年5月2日公開の欧州特許第139,383号);例えば、K.lactis(MW98−8C、CBS683、CBS4574;Louvencourtら、J.Bacteriol.、154(2):737−742頁[1983])、K.fragilis(ATCC12,424)、K.bulgaicus(ATCC16,045)、K.wickeramii(ATCC24,178)、K.waltii(ATCC56,500)、K.drosophilarum(ATCC36,906;Van den Bergら、Bio/Technology、8:135(1990))、K.thermotolerans、およびK.marxianusなどのKluyveromyces宿主(米国特許第4,943,529号;Fleerら、Bio/Technology、9:968−975頁(1991));yarrowia(欧州特許第402,226号);Pichia pastoris(欧州特許第183,070号;Streekrishnaら、J.Basic Microbiol.、28:265−278頁[1988]);カンジダ属;トリコデルマ属リーシア(reesia)(欧州特許第244,234号);アカパンカビ(Caseら、Pro.Natl.Acad.Sci.USA、76:5259−5263頁[1979]);Schwanniomyces occidentalisなどのSchwanniomyces(1990年10月31日公開の欧州特許出願公開第394,538号);および、例えば、アカパンカビ属、ペニシリウム属、トリポクラジウム属(1991年1月10日公開の国際公開第91/00357号)などの糸状菌、、偽巣性コウジ菌(Ballanceら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、112:284−289頁[1983];Tilburnら、Gene、26:205−221頁[1983];Yeltonら、Pro.Natl.Acad.Sci.USA、81:1470−1474頁[1984])およびクロカビ(KellyおよびHynes、EMBO J.4:475−479頁[1985])などのアスペルギルス属宿主が挙げられる。メチロトロピック(methylotropic)酵母は、本明細書において好適であり、限定はしないが、ハンゼヌラ属、カンジダ属、クロエッケラ属(Kloeckera))、ピチア属(Pichia)、サッカロミセス属、トルロプシス属およびロドトルラ属(Rhodotorula)よりなる属から選択されたメタノールに対して増殖できる酵母が挙げられる。このクラスの酵母について代表的な特定種のリストは、C.Anthony、The Biochemistry of Methylotrophs、269(1982)に見ることができる。
グリコシル化抗TAT抗体またはTATポリペプチドの発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物に由来する。無脊椎動物細胞の例としては、ショウジョウバエS2およびスポドプテラ(Spodoptera)Sf9などの昆虫細胞、ならびに綿、トウモロコシ、ジャガイモ、大豆、ツクバネアサガオ、トマト、およびタバコの細胞培養などの植物細胞が挙げられる。多数のバキュロウィルス株ならびに変異体およびSpodoptera frugiperda(イモムシ)、ネッタイシマカ(蚊)、セスジヤブカ(蚊)、キイロショウジョウバエ(ミバエ)、およびカイコなどの宿主からの対応する許容昆虫細胞が同定されている。トランスフェクションのための種々のウィルス株、例えば、オウトグラファカリフォルニアNPVのL−1変異体およびカイコNPVのBm−5株は公的に入手でき、このようなウィルスは、特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのため、本発明による本明細書のウィルスとして使用できる。
しかしながら、脊椎動物細胞が最大の対象となっており、培養(組織培養)における脊椎動物細胞の増殖は、現在ではルーチン的手法となっている。有用な哺乳動物の宿主細胞系の例は、SV40(COS−7、ATCC CRL 1651)により形質転換されたサルの腎臓CV1系;ヒトの胎生腎臓系(懸濁培養における増殖に対してサブクローン化された293または293細胞、Grahamら、J.Gen.Virol.36:59頁(1977));ベビーハムスターの腎細胞(BHK ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO、Urlaubら、Pro.Natl.Acad.Sci.USA77:4216頁(1980));マウスセルトリ細胞(TM4、Mather、Biol.Reprod.23:243−251頁(1980));さる腎細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカグリーンモンキーの腎細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587);ヒト子宮頚部癌細胞(HELA、ATCC CCL2);イヌ腎細胞(MDCK、ATCC CCL34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳癌(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Matherら、Annals N.Y.Acad.Sci.383:44−68頁(1982));MRC5細胞;FS4細胞;およびヒト肝癌系(Hep G2)である。
宿主細胞は、抗TAT抗体またはTATポリペプチド産生のために上記の発現またはまたはクローン化ベクターにより形質転換され、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅させるのに適切に修飾された従来の栄養培地中で培養する。
3. 複製可能なベクターの選択および使用
抗TAT抗体またはTATポリペプチドをコードする核酸(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)は、クローン化(DNAの増幅)または発現のために複製可能なベクターに挿入できる。種々のベクターは、公的に入手できる。例えば、該ベクターは、プラスミド、コスミド、ウィルス粒子、またはファージの形態であり得る。適切な核酸配列を、種々の手法によりベクターに挿入できる。一般に、DNAは、当業界に公知の技法を用いて適切な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入される。ベクター成分としては一般に、限定はしないが、1つまたは複数のシグナル配列、複製源、1つまたは複数のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーター、および転写終結配列が挙げられる。1つまたは複数のこれら成分を含有する好適なベクターの構築は、熟練技術者に知られている標準的な連結法を使用する。
TATは、組換え的に直接的のみならず、ポリペプチドと、シグナル配列または成熟タンパク質またはポリペプチドのN末端で特異的な開裂部位を有する他のポリペプチドであり得る異種ポリペプチドとの融合としても生成できる。一般に、シグナル配列は、ベクターの成分であり得るか、またはベクターに挿入される抗TAT抗体コードDNAまたはTATポリペプチドコードDNAの一部であり得る。シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ipp、または耐熱性エンテロトキシンIIリーダーよりなる群から選択される原核細胞のシグナル配列であり得る。酵母分泌に関して、シグナル配列は、例えば、酵母インベルターゼリーダー、アルファ因子リーダー(サッカロミセスおよびクルイベロミセスのα−因子リーダーなど、後者は米国特許第5,010,182号に記載されている)、または酸ホスファターゼリーダー、カンジダアルビカンスグルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日公開の欧州特許出願公開第362,179号)、または1990年11月15日公開の国際公開第90/13646号に記載されたシグナルであり得る。哺乳動物細胞の発現において、哺乳動物のシグナル配列は、同種または関連種の分泌ポリペプチド類、ならびにウィルス分泌リーダーからのシグナル配列など、タンパク質の直接分泌に使用できる。
発現ベクターおよびクローン化ベクターの双方は、1つまたは複数の選択された宿主細胞中でベクターが複製できる核酸配列を含有する。このような配列は、種々の細菌、酵母、およびウィルスに対して周知である。プラスミドpBR322からの複製起源は、大部分のグラム陰性菌に好適であり、2μプラスミドの起源は、酵母に好適であり、種々のウィルス起源(SV40、ポリオーマ、アデノウィルス、VSVまたはBPV)は、哺乳動物細胞のクローン化ベクターに好適である。
発現およびクローン化ベクターは、選択可能なマーカーとも称される選択遺伝子を典型的に含有する。典型的な選択遺伝子は、(a)抗体または他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、またはテトラサイクリンに耐性を付与し、(b)栄養要求性欠乏を補完し、または(c)複雑な培地から利用できない重要な栄養源、例えば、桿菌に関してD−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子を供給する、タンパク質をコードする。
哺乳動物細胞に好適な選択性マーカーの例は、DHFRまたはチミジンキナーゼなどの抗TAT抗体コード核酸またはTATポリペプチドコード核酸を取り上げる能力があって細胞の同定を可能にするものである。野生型DHFRが使用される場合の適切な宿主細胞は、DHFR活性を欠いたCHO細胞系であり、Urlaubらによる、Pro.Natl.Acad.Sci.USA、77:4216頁(1980)に記載されたとおりに調製され、増殖される。酵母に使用に好適な選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である[Stinchcombら、Nature、282:39頁(1979);Kingsmanら、Gene、7:141頁(1979);Tschemperら、Gene,10:157頁(1980)]。trp1遺伝子は、トリプトファン中増殖する能力を欠く酵母の変異体株、例えば、ATCC番号44076またはPEP4−1に対して選択マーカーを提供する[Jones、Genetics、85:12頁(1977)]。
発現およびクローン化ベクターは、通常、mRNA合成を方向づけるために抗TAT抗体コード核酸またはTATポリペプチドコード核酸配列に操作的に結合されたプロモーターを含有する。種々の可能性のある宿主細胞により認識されたプロモーターは周知である。原核生物宿主との使用に好適なプロモーターとしては、β−ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系[Changら、Nature、275:615頁(1978);Goeddelら、Nature、281:544(1979)]、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系[Goeddel、Nucleic Acids Res.8:4057頁(1980);欧州特許第36,776号]、tacプロモーターなどのハイブリッドプロモーター[deBoerら、Pro.Natl.Acad.Sci.USA、80:21−25頁(1983)]が挙げられる。細菌系に使用のためのプロモーターはまた、抗TAT抗体またはTATポリペプチドをコードするDNAに操作的に結合されたShine−Dalgarno(S.D.)配列を含有する。
酵母宿主との使用に好適なプロモーティング配列の例としては、3−ホスホグリセレートキナーゼ[Hitzemanら、J.Biol.Chem.255:2073頁(1980)]またはエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルベートデカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−ホスフェートイソメラーゼ、3−ホスホグリセレートムターゼ、ピルベートキナーゼ、トリオセホスフェートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼなどの他の解糖酵素(Hessら、J.Adv.Enzyme Reg.、7:149(1968);Holland、Biochemistry、17:4900(1978))が挙げられる。
増殖条件により制御されるさらなる利点の転写を有する誘導性プロモーターである他の酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ−2、イソチトクロームC、酸ホスファターゼ、窒素代謝と関連する分解酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、およびマルトースならびにガラクトースの利用の原因となる酵素に関するプロモーター領域である。酵母発現の使用に好適なベクターおよびプロモーターは、欧州特許第73,657号にさらに記載されている。
哺乳動物宿主細胞における、ベクターからの抗TAT抗体またはTATポリペプチドの転写は、以下のプロモーターが宿主細胞系に適合性であるという条件で、例えば、ポリオーマウィルス、鶏痘ウィルス(1989年7月5日公開の英国特許第2,211,504号)、アデノウィルス(アデノウィルス2など)、ウシパピローマウィルス、トリ肉腫ウィルス、サイトメガロウィルス、レトロウィルス、B型肝炎ウィルスおよびサルウィルス40(SV40)などのウィルスのゲノムから、異種哺乳動物プロモーター、例えば、アクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーターから、および熱ショックプロモーターから得られるプロモーターにより制御される。
高等真核生物による抗TAT抗体またはTATポリペプチドをコードするDNAの転写は、該ベクター内へ、エンハンサー配列を挿入することによって増大できる。エンハンサーは、プロモーターに作用してその転写を増大させる、DNAのシス作用性要素であり、通常、約10bpから300bpである。哺乳動物遺伝子(グロブリン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトタンパク質、およびインスリン)の多くのエンハンサー配列が現在知られている。しかし、典型的には、真核生物細胞ウィルスのエンハンサーが用いられる。例としては、複製源の遅発側上のSV40エンハンサー(bp100〜270)、サイトメガウィルス初期プロモーターエンハンサー、複製源の遅発側上のポリオーマエンハンサー、およびアデノウィルスエンハンサーが挙げられる。該エンハンサーは、抗TAT抗体またはTATポリペプチドをコードする配列に対して5’または3’の位置で、ベクター内にスプライスできるが、好ましくは、該プロモーターから5’の位置にある。
真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、または他の多細胞生物の有核細胞)に用いられる発現ベクターは、転写の終結およびmRNAの安定化に必要な配列もまた含有する。このような配列は、真核生物またはウィルスのDNAまたはcDNAの5’および、時には3’非翻訳領域から一般に入手可能である。これらの領域は、複製源の遅発側上の抗TAT抗体またはTATポリペプチドをコードするmRNAの非翻訳部分内のポリアデニル化断片として転写されたヌクレオチドセグメントを含有する。
組換え脊椎動物細胞の培養において、複製源の遅発側上の抗TAT抗体またはTATポリペプチドの合成への適合に好適なさらに他の方法、ベクター、および宿主細胞は、Gethingら、Nature、293:620−625頁(1981);Manteiら、Nature、281:40−46頁(1979);欧州特許第117,060号;および欧州特許第117,058号に記載されている。
4.宿主細胞の培養
本発明の抗TAT抗体またはTATポリペプチドの生産に用いられる宿主細胞は、種々の培地において培養できる。Ham’sF10(Sigma)、Minimal Essential Medium((Mem)、(Sigma)、RPMI−1640(Sigma)、およびダルベッコー修飾イーグル培地((DMEM)Sigma)などの市販の培地が、宿主細胞の培養に好適である。また、Hamら、Meth.Enz.58:44(1979)、Barnesら、Anal.Biochem.102:255(1980)、米国特許第4,767,704号;第4,657,866号;第4,927,762号;第4,560,655号;または第5,122,469号、国際公開第90/03430号;国際公開第87/00195号;または米国再発行特許第30,985号に記載されている培地のいずれかを、宿主細胞の培養培地として使用できる。これらの培地のいずれかに、適宜、ホルモン類および/または他の成長因子(インスリン、トランスフェリン、または上皮成長因子など)、塩類(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩など)、緩衝液(HEPESなど)ヌクレオチド(アデノシンおよびチミジンなど)、抗生物質(GENTAMYCOIN(商標)薬)、微量元素(マイクロモル範囲で最終濃度において通常存在する無機化合物として定義される)、およびグルコースまたは等価エネルギー源を添加できる。任意の他の必要なサプリメントもまた、当業者に知られていると考えられる適切な濃度で含めることができる。温度、pHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞で先に用いられたものであり、通常の当業者には明らかであろう。
5.遺伝子増幅/発現の検出
遺伝子増幅および/または発現は、本明細書に提供された配列に基づき、適切な標識プローブを用いて、例えば、mRNAの転写を定量化するためには、慣例的なサザンブロッティング、ノーザンブロッティング〔Thomas、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:5201−5205(1980)〕、ドットブロッティング(DNA分析)、またはインサイチュハイブリダイゼーションによって、サンプル中で直接測定できる。あるいは、DNA二重鎖、RNA二重鎖、およびDNA−RNAハイブリッド二重鎖またはDNA−タンパク質二重鎖などの特定の二重鎖を認識できる抗体が使用できる。次いで、該抗体を標識化でき、アッセイを実施できるが、このアッセイでは、表面上に二重鎖が形成された際に、その二重鎖に結合した抗体の存在が検出できるように、表面に二重鎖が結合している。
あるいは、細胞または組織切片の免疫組織化学的染色などの免疫学的方法および遺伝子産物の発現を直接定量化するための細胞培養物または体液のアッセイにより、遺伝子発現を測定できる。免疫組織化学的染色および/またはサンプル液のアッセイに有用な抗体は、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意の動物において調製できる。該抗体は、天然配列TATポリペプチドに対して、または本明細書に提供されたDNA配列に基づいた合成ペプチドに対して、またはTAT DNAに融合させ、特定の抗体エピトープをコードする外因性配列に対して、便利に調製できる。
6.抗TAT抗体およびTATポリペプチドの精製
抗TAT抗体またはTATポリペプチドの形態は、培養培地から、または宿主細胞ライセートから回収できる。それが膜に結合している場合は、好適な洗浄溶液(例えば、トリトンX− 100)を用いて、または酵素的開裂によって膜から遊離させることができる。抗TAT抗体およびTATポリペプチドの発現に使用された細胞は、凍結−解凍サイクリング、音波処理、機械的破壊、または細胞溶解剤などの種々の物理的または化学的手段で破壊できる。
抗TAT抗体およびTATポリペプチドを、組換え細胞のタンパク質またはポリペプチドから精製することが所望され得る。以下の操作は、好適な精製操作の例である:イオン交換カラム上での分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ上またはDEAEなどのカチオン交換樹脂上でのクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS−PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えば、SephadexG−75を用いたゲルろ過;IgGなどの混入物を除去するためのタンパク質Aセファロースカラム;および抗TAT抗体およびTATポリペプチドのエピトープタグ化形態を結合する金属キレート化カラム。タンパク質精製の種々の方法が使用でき、このような方法は当業界に知られており、例えば、Deutcher、Methods in Enzymology、182(1990);Scopes、Protein Purification:Principles and Practice、Springer−Verlag、ニューヨーク(1982)に記載されている。選択される精製ステップ(1つまたは複数)は、例えば、用いられる産生法の性質および産生される具体的な抗TAT抗体またはTATポリペプチドに依存する。
組換え法を用いる場合、該抗体は、細胞内の細胞周辺腔に産生され得るか、または培地内へ直接分泌され得る。該抗体が細胞内に産生される場合、第1のステップとして、宿主細胞または溶解断片、いずれかの粒子デブリは、例えば、遠心分離または限外ろ過によって除去される。Carterら、Bio/Technology 10:163−167頁(1992)は、大腸菌の細胞周辺腔に分泌される抗体を単離するための操作を記載している。簡単に述べると、酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、およびフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)の存在下、約30分にわたって細胞ペーストを解凍する。細胞デブリは遠心分離により除去できる。該抗体が培地に分泌される場合、そのような発現系からの上澄み液は、一般に先ず、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外ろ過ユニットを用いて濃縮する。タンパク質分解を抑制するために、先のステップのいずれかにおいて、PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤を含めることができ、有害な混入物の増殖を防止するために、抗生物質を含めることができる。
細胞から調製された抗体組成物は、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、およびアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製することができ、アフィニティークロマトグラフィーが好ましい精製法である。アフィニティーリガンドとしてのタンパク質Aの好適性は、該抗体に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種およびアイソタイプに依存する。タンパク質Aは、ヒトγ1、γ2またはγ4重鎖に基づいている抗体の精製に使用できる(Lindmarkら、J.Immunol.Meth.62:1−13頁(1983))。タンパク質Gは、マウスの全てのアイソタイプおよびヒトγ3に対して推薦されている(Gussら、EMBO J.5:15671575頁(1986))。アフィニティーリガンドが結合するマトリックスは、アガロースであることが最も多いが、他のマトリックスも利用できる。制御ポアガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの機械的に安定なマトリックスにより、アガロースで達成されるよりも高い流速および短い処理時間が可能になる。該抗体がC3ドメインを含む場合、精製には、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J.T.Baker、フィリップスバーグ、ニュージャージー州)が有用である。イオン交換カラム上の分画、エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ上のクロマトグラフィー、ヘパリン上のクロマトグラフィーアニオンまたはカチオン交換樹脂(ポリアスパラギン酸カラムなど)上でのSEPHAROSE(商標)クロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS−PAGE;および硫酸アンモニウム沈殿もまた、回収される抗体に依存して利用できる。
任意の予備的精製ステップの後、対象の抗体および混入物を含む混合物を、約2.5〜4.5の間のpHにおける溶出緩衝液を用いて、低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに供することができ、好ましくは、低塩濃度(例えば、約0M〜0.25Mの塩)で実施する。
J.製薬製剤
本発明に従って用いられる抗TAT抗体、TAT結合オリゴペプチド、TAT結合有機分子および/またはTATポリペプチドは、凍結乾燥製剤または水性溶液の形態で、所望の精製度を有する該抗体、ポリペプチド、オリゴペプチドまたは有機分子を、任意の製薬的に許容できる担体、賦形剤または安定化剤(Remington’sPharmaceutical Sciences 第16版、Osol,A.編(1980))と混合することにより、貯蔵用に調製される。許容できる担体、賦形剤または安定化剤は、投与量および使用される濃度において、レシピエントに対して非毒性であり、挙げられるものとしては、酢酸塩、トリス、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンなどの抗酸化剤;保存剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド;フェニル、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルパラベンまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリンなどの単糖、二糖および他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;トレハロースおよび塩化ナトリウムなどの張性化剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖;ポリソルベートなどの界面活性剤;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属複合体(例えば、Zn−タンパク質複合体);および/またはTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤がある。該抗体は、5mg/ml〜200mg/mlの間、好ましくは、10mg/ml〜100mg/mlの間の濃度の抗体を含むことが好ましい。
本明細書における製剤はまた、治療されている特定の適応症に必要な場合、1つ超の活性化合物、好ましくは、互いに有害な影響を与えない相補的活性を有するものを含有できる。例えば、抗TAT抗体、TAT結合オリゴペプチド、またはTAT結合有機分子に加えて、1つの製剤中に、さらなる抗体、例えば、TATポリペプチド上の異なるエピトープに結合する二次抗TAT抗体、または特定の癌の増殖に影響を与える成長因子などのいくつかの他の標的に対する抗体を含むことが望ましいことがあり得る。代替として、または追加して、該組成物は、化学療法剤、細胞毒性剤、サイトカイン、成長阻害剤、抗ホルモン剤、および/または心臓保護剤をさらに含んでなり得る。このような分子は、意図された目的にとって有効な量で組み合わされて好適に存在する。
該活性成分はまた、例えば、コアセルベーション法により、または界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えば、コロイド薬剤送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、ミクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)における、またはマクロエマルジョンにおける、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに捕捉できる。このような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol,A.編(1980)に開示されている。
持続放出製剤を調製できる。持続放出製剤の好適な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、該マトリックスは形状化製品、例えば、薄膜、またはマイクロカプセルの形態であり得る。持続放出マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン−ビニルアセテート、LUPRONDEPOT(登録商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーおよびロイプロライド(leuprolide)アセテートからなる注射用ミクロスフェア)、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸などの分解性乳酸−グリコール酸コポリマーが挙げられる。
インビボ投与に用いられる製剤は滅菌されていなければならない。これは、滅菌ろ過膜を通すろ過によって容易に達成される。
K.抗TAT抗体、TAT結合オリゴペプチドおよびTAT結合有機分子による診断および治療
癌におけるTAT発現の判定には、種々の診断アッセイが利用できる。一実施形態において、TATポリペプチドの過剰発現を、免疫組織化学(IHC)によって分析できる。腫瘍生検からのパラフィン埋め込み組織切片をIHCアッセイに供し、以下のTATタンパク質染色強度基準と合せることができる:
スコア0 −染色が見られないか、または、10%未満の腫瘍細胞に膜染色が見られる。
スコア1+ −10%超の腫瘍細胞に、かすかに/わずかに認められる膜染色が検出される。細胞は膜の一部のみが染色されている。
スコア2+ −10%超の腫瘍細胞に、弱から中等度の完全な膜染色が見られる。
スコア3+ −−10%超の腫瘍細胞に、中等度から強の完全な膜染色が見られる。
TATポリペプチド発現に関して、スコア0またはスコア1+を有する腫瘍は、TATを過剰発現していないとして特性化できるが、スコア2+からスコア3+を有する腫瘍は、TATを過剰発現しているとして特性化できる。
代替として、または追加して、腫瘍におけるTAT過剰発現の程度(存在する場合は)を判定するために、INFORM(登録商標)(Ventana、アリゾナ州により販売)またはPATHVISION(登録商標)(Vysis、イリノイ州)などのFISHアッセイを、ホルマリン固定、パラフィン埋め込み腫瘍組織について実施できる。
TAT過剰発現または増幅は、インビボ診断アッセイを用いて、例えば、検出される分子に結合し、検出可能な標識(例えば、放射性同位元素または蛍光標識)でタグ化される分子(抗体、オリゴペプチドまたは有機分子など)を投与し、該標識の局在化に関して親を外部走査することによって評価できる。
上記のとおり、本発明の抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子は、種々の非治療的適用を有する。本発明の抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子は、TATポリペプチドを発現する癌の診断およびステージング(例えば、放射線画像化)に有用であり得る。該抗体、オリゴペプチドまたは有機分子はまた、細胞からTATポリペプチドを精製または免疫沈降するために、他の細胞の精製における一工程として、例えば、ELISAまたはウェスタンブロットで、インビトロでTATポリペプチドを検出および定量化して、混合細胞の集団からTAT発現細胞を死滅させ、除去するために有用である。
現在、癌の病期に依存して、癌治療は以下の療法の1つまたは組み合わせを含む:癌組織を除去するための外科手術、放射線療法、および化学療法。抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子療法は、化学療法の毒性および副作用を十分忍容できない高齢の患者において、および放射線療法の有用性が限定されている転移性疾患において特に望ましいと考えられる。本発明の腫瘍標的抗TAT抗体、オリゴペプチドおよび有機分子は、該疾患の初期診断時または再発時のTAT発現性癌の緩和に有用である。治療的適用では、抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子は、単独で、または、例えば、ホルモン、抗抗原、または放射性標識化号物との、または外科手術、寒冷療法、および/または放射線療法との併用療法において使用できる。抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子処置は、他の形態の慣例的療法と関連させ、慣例的療法に連続して、その前に、またはその後に、投与することができる。TAXOTERE(登録商標)(ドセタキセル)、TAXOL(登録商標)(パリクタキセル)、エストラムスチンおよびミトキサントロンなどの化学療法剤が、癌の治療に、特に危険性の十分な患者に使用される。癌の治療または緩和のための当該方法において、一種または複数種の先行化学療法剤による治療と関連させて、抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子を癌患者に投与することができる。特に、パリクタキセルおよび修飾誘導対(例えば、欧州特許第0600517号参照)との併用療法が考慮されている。抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子は、治療的に有効用量の化学療法剤と共に投与される。他の実施形態において、抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子は、化学療法剤、例えば、パクリタキセルの活性および有効性を増強するために化学療法と関連させて投与される。医薬品集(PDR)は、種々の癌の治療に用いられてきたこれらの薬剤の投与量を開示している。治療的に有効なこれらの前記化学療法剤の用法および用量は、治療される具体的な癌、該疾患の程度および当業界の医師によく知られた他の因子に依存し、医師により決定することができる。
特定の一実施形態において、細胞毒性剤と結合させた抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子を含む複合体が患者に投与される。TATタンパク質に結合させた免疫複合体が該細胞によって内部移行し、それが結合する癌細胞死滅における免疫複合体の治療的有効性の増加をもたらすことが好ましい。好ましい一実施形態において、該細胞毒性剤は、癌細胞内の核酸を標的にするか、または妨害する。このような細胞毒性剤の例は、上に記載されており、メイタンシノイド(maytansinoids)、カリケアミシン(calicheamicins)、リボヌクレアーゼおよびDNAエンドヌクレアーゼが挙げられる。
抗TAT抗体、オリゴペプチド、有機分子またはそれらの毒素複合体は、静脈内投与により、例えば、ボーラスとして、またはある期間にわたる連続的注入により、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、関節滑液嚢内、くも膜下腔内、経口、局所、または吸入経路などの公知の方法によって、ヒト患者に投与される。該抗体、オリゴペプチドまたは有機分子の静脈内または皮下投与が好ましい。
他の治療法を該抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子の投与と組み合わせることができる。併用投与としては、別個の製剤、または単独の製薬製剤を用いる同時投与、および双方の(または全ての)活性剤がそれらの生物学的活性を同時に発揮するが時間の存在する、いずれかの順序における連続的投与が挙げられる。このような併用療法は、相乗的な治療効果をもたらすことが好ましい。
また、抗TAT抗体(一種または複数種)、オリゴペプチドまたは有機分子の投与を、特定の癌に関連した他の腫瘍抗原に特異的な抗体の投与と組み合わせることが望ましい。
他の実施形態において、本発明の治療的処置方法は、抗TAT抗体(一種または複数種)、オリゴペプチドまたは有機分子と、種々の化学療法剤のカクテルの同時投与など、一種または複数種の化学療法剤または増殖阻害剤との併用投与を含む。化学療法剤としては、エストラムスチンホスフェート、プレドニムスチン、シスプラチン、5−フルオロウラシル、メルファラン、シクロホスファミド、ヒドロキシウレアおよびヒドロキシウレアタキサン(パクリタキセルおよびドキセタキセルなど)および/またはアントラサイクリン抗生物質が挙げられる。このような化学療法剤の調製および投与スケジュールは、製造元の支持により、または当業実施者により経験的に決定されたとおり使用できる。このような化学療法のための調製および投与スケジュールはまた、Chemotherapy Service Ed.、M.C.Perry、Williams&Wilkins、バルチモア、メリーランド州(1992)にも記載されている。
該抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子は、抗ホルモン化合物、例えば、タモキシフェンなどの抗エストロゲン化合物;オナプリストン(欧州特許第616812号を参照)などの抗プロゲステロン;またはフルタミドなどの抗アンドロゲンを、このような分子に関して公知の投与量で組み合わせることができる。治療される癌がアンドロゲン非依存性癌の場合、患者を先に抗アンドロゲン療法に供し、癌がアンドロゲン非依存性になった後に、該患者に抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子(および任意に、本明細書に記載された他の薬剤)を投与できる。
時には、心臓保護剤(該療法に関連した心筋機能不全を防止するか、または減少させるため)または一種または複数種のサイトカインを患者に同時投与することが有益であり得る。上記の治療法に加えて、患者を、抗体、オリゴペプチドまたは有機分子療法の前に、同時に、または後に、癌細胞の外科手術による除去および/または放射線療法に供することができる。上記の同時投与薬剤の好適な投与量は、現在用いられているものであるか、または該薬剤と抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子との併用作用(相乗作用)のために低下させることができる。
疾患の予防または治療に関して、投与量および投与様式は、公知の基準に従って医師により選択される。抗体、オリゴペプチドまたは有機分子の適切な投与量は、上記で規定した治療される疾患のタイプ、該疾患の重症度および経過、該抗体、オリゴペプチドまたは有機分子の投与が、予防目的か治療目的か、先行療法、患者の臨床歴および該抗体、オリゴペプチドまたは有機分子に対する応答、および担当医師の裁量に依存する。該抗体、オリゴペプチドまたは有機分子は、一度に、または一連の治療にわたって患者に好適に投与される。該抗体、オリゴペプチドまたは有機分子は、静脈内注射または皮下注射によって投与されることが好ましい。疾患のタイプまたは重症度に依存して、例えば、1回または複数回の別個の投与によるにせよ、連続的注射によるにせよ、約1μg/kg体重から約50mg/kg体重(例えば、約0.1mg/kg/投与〜15mg/kg/投与)の抗体が、患者への投与の最初の候補投与量であり得る。投与方法は、こうTAT抗体の約4mg/kgの最初の負荷用量、引き続いて、約2mg/kgの1週間に1回の維持用量の投与を含んでなり得る。しかし、他の投与方法も有用であり得る。典型的な1日投与量は、上記の因子に依存して、約1μg/kgから100mg/kg以上の範囲であり得る。数日またはそれ以上にわたる反復投与では、病態に依り、疾患症状の所望の抑制が生じるまで、該処置が持続される。この療法の進行は、慣例的な方法およびアッセイにより、医師または当業界の他の者に知られている基準に基づいて、容易にモニターすることができる。
患者への抗体タンパク質の投与以外に、当該適用では、遺伝子療法による該抗体の投与が考慮されている。該抗体をコードする核酸のこのような投与は、「治療的有効量の抗体の投与」という表現に包含されている。例えば、細胞内抗体を作出するための遺伝子療法の使用に関する、1996年3月14日公開の国際公開第96/07321号を参照されたい。
核酸(任意にベクター内に含有されている)を患者の細胞内に入れるには、2つの主要な方法:インビボおよびエクスビボがある。インビボ送達では、核酸は、患者に、通常は、抗体が必要とされている部位に、直接注入される。エクスビボ治療では、患者の細胞を取り出し、これらの単離細胞内に核酸を導入し、修飾された細胞を直接、または、例えば、患者に移植される多孔膜内に封入して(例えば、米国特許第4,892,538号および第5,283,187号を参照)、患者に投与する。生存可能な細胞に核酸を導入する種々の技法が利用できる。該核酸が、インビトロで培養細胞内に転移されるか、それとも目的の宿主の細胞内にインビボで転移されるかに依って、該技法は変わってくる。インビトロでの哺乳動物細胞内への核酸の転移に好適な技法としては、リポソーム、電気穿孔、ミクロ注入、細胞融合、DEAE−デキストラン、リン酸カルシウム沈降法などの使用が挙げられる。遺伝子のエクスビボ送達のために一般に用いられるベクターは、レトロウィルスベクターである。
現在、好ましいインビボ核酸転移法としては、ウィルスベクター(アデノウィルス、単純疱疹Iウィルス、またはアデノ関連ウィルスなど)および脂質ベース系(遺伝子の脂質媒介転移に有用な資質は、例えば、DOTMA、DOPEおよびDC−Chol)によるトランスフェクションが挙げられる。現在知られている遺伝子作製および遺伝子療法のプロトコルのレビューに関しては、Andersonら、Science 256:808−813頁(1992)を参照されたい。また、国際公開第93/25673号およびそれに引用された参考文献を参照されたい。
本発明の抗TAT抗体は、本明細書における「抗体」の定義により包含される種々の形態であり得る。したがって、該抗体としては、完全長または完全抗体、抗体断片、天然配列抗体またはアミノ酸変異体、ヒト化、キメラまたは融合抗体、免疫複合体、およびそれらの機能的断片が含まれる。融合抗体において、抗体配列は異種ポリペプチド配列に融合している。所望のエフェクター機能を提供するために、抗体をFc領域において修飾することができる。本発明のいくつかの節でより詳細に検討されるように、適切なFc領域により、細胞表面上に結合した裸の抗体は、例えば、抗体依存細胞障害性(ADCC)を介し、または補体依存性細胞障害性における補体の動員により、またはいくつかの他の機構により、細胞障害性を誘起し得る。あるいは、副作用または治療的合併症を最少化するために、エフェクター機能を除去または低下させることが望ましい場合、一定の他のFc領域が使用できる。
一実施形態において、該抗体は、本発明の抗体と同一のエピトープに対する結合に関して競合するか、またはそれに実質的に結合する。本発明の当該抗TAT抗体の生物学的特徴、特に、インビボ腫瘍標的性および何らかの細胞増殖阻害性または細胞障害性などの特徴を有する抗体もまた考慮されている。
上記の抗体を作製する方法は、本明細書に詳述されている。
当該抗TAT抗体、オリゴペプチドおよび有機分子は、TAT発現性癌の治療または哺乳動物における癌の1つまたは複数の症状の緩和に有用である。このような癌としては、前立腺癌、尿路の癌、肺癌、乳癌、大腸癌および卵巣癌、より具体的には、前立腺腺癌、腎細胞癌、結腸直腸腺癌、肺腺癌、肺扁平上皮細胞癌、および胸膜中皮腫がが挙げられる。該癌は、先述のいずれかの転移癌を包含する。該抗体、オリゴペプチドまたは有機分子は、哺乳動物において、TATポリペプチドを発現する癌細胞の少なくとも一部に結合することができる。好ましい一実施形態において、該抗体、オリゴペプチドまたは有機分子は、該細胞上のTATポリペプチドに結合した際に、インビトロまたはインビボで、TAT発現腫瘍細胞を破壊または死滅させる上で、またはこのような腫瘍細胞の増殖を阻害する上で有効である。このような抗体としては、裸の抗TAT抗体(いずれの試剤にも結合していない)が挙げられる。細胞毒性または細胞増殖阻害性を有する裸の抗体を細胞毒性剤と結びつけて、腫瘍細胞の破壊において、それらをより強力にすることができる。例えば、抗TAT抗体に細胞毒性剤を結合し、本明細書に記載された免疫複合体を形成することによって、該抗体に細胞毒性を付与することができる。該細胞毒性剤または増殖阻害剤は小型分子であることが好ましい。カリケアミシン(calicheamicin)またはメイタンシノイド(maytansinoid)およびそれらの類縁体または誘導体が好ましい。
本発明は、本発明の抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子を含む組成物および担体を提供する。癌治療を目的として、そのような治療を必要としている患者に、免疫複合体として、または裸の抗体として存在する一種または複数種の抗TAT抗体を含む組成物を投与することができる。さらなる一実施形態において、該組成物は、化学療法剤を含め、細胞毒性剤または増殖阻害剤などの他の治療薬と組み合わせたこれらの抗体、オリゴペプチドまたは有機分子を含んでなり得る。本発明はまた、本発明の抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子、および担体を含む製剤を提供する。一実施形態において、該製剤は、製薬的に許容できる担体を含む治療的製剤である。
本発明の他の態様は、抗TAT抗体をコードする単離核酸である。H鎖とL鎖の双方および特に高頻度可変領域残基をコードする核酸、天然配列抗体をコードする鎖、ならびに該抗体の変異体、修飾型およびヒト化型が包含される。
本発明はまた、治療的有効量の抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物におけるTATポリペプチド発現性の癌の治療または前記癌の1つまたは複数の症状を緩和するために有用な方法を提供する。該抗体、オリゴペプチドまたは有機分子の治療的組成物は、医師に指示されたとおり、短期(急性)または長期、または間欠的に投与できる。TATポリペプチド発現細胞の増殖を阻害する方法および該細胞を死滅させる方法もまた提供される。
本発明はまた、少なくとも1種の抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子を含むキットおよび製品を提供する。抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子を含有するキットは、例えば、TAT細胞死アッセイに、細胞からのTATポリペプチドの精製または免疫沈降に使用される。例えば、TATの単離および精製のために、該キットは、ビーズ(例えば、セファロースビーズ)に結合させた抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子を含有することができる。例えば、ELISAまたはウェスタンブロットにおいて、インビトロでのTATの検出および定量化のために、該抗体、オリゴペプチドまたは有機分子を含有するキットを提供することができる。検出に有用なこのような抗体、オリゴペプチドまたは有機分子は、蛍光標識または放射性標識などの標識をつけて提供できる。
L.製品およびキット
本発明の他の実施形態は、抗TAT発現性の癌の治療に有用な材料を含有する製品である。該製品は、容器および該容器上の、または該容器に付随させた標識または添付文書を含む。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジが挙げられる。該容器は、ガラスまたはプラスチックなどの種々の材料から形成できる。該容器は、癌の病態の治療に有効な組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、該容器は、皮下注射の針によって貫通可能な栓を有する静脈内溶液またはバイアルであり得る)。該組成物中の少なくとも1種の活性剤は、本発明の抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子である。該標識または添付文書は、該組成物が癌の治療に使用されることを示す。該標識または添付文書は、癌患者への該抗体、オリゴペプチドまたは有機分子の組成物の投与に関する使用説明書をさらに含む。また、該製品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液などの製薬的に許容できる緩衝液を含む第2の容器をさらに含む。それはさらに、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、および注射器などの、商業および使用者の立場から望ましい他の物質を含み得る。
種々の目的、例えば、TAT発現細胞死滅アッセイのため、細胞からのTATポリペプチドの精製または免疫沈降のために有用なキットもまた提供される。TATポリペプチドの単離および精製のために、該キットは、ビーズ(例えば、セファロースビーズ)に結合させた抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子を含有することができる。例えば、ELISAまたはウェスタンブロットにおいて、インビトロでのTATポリペプチドの検出および定量化のために、該抗体、オリゴペプチドまたは有機分子を含有するキットを提供することができる。該製品に関し、該キットは、容器および該容器上の、または該容器に付随させた標識または添付文書を含む。該容器は、本発明の少なくとも1種の抗TAT抗体、オリゴペプチドまたは有機分子を含む組成物を保持する。例えば、希釈剤および緩衝液、対照抗体を含有する追加の容器を含み得る。該標識または添付文書は、該組成物の説明ならびに目的のインビトロまたは診断用の使用に関する使用説明を提供できる。
M.TATポリペプチドおよびTATポリペプチドをコードする核酸の使用
TATポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(またはそれらの相補体)は、染色体および遺伝子マッピング、および抗センスRNAおよびDNAプローブの作出におけるハイブリダイゼーションプローブとしての使用など、分子生物学業界において、種々の適用を有する。TATをコードする核酸はまた、TATポリペプチドが、例えば、本明細書に記載されたTAT抗体の調製において使用できる、本明細書に記載された組換え法によるTATポリペプチドの調製にも有用である。
完全長の天然配列TAT遺伝子、またはその一部は、完全長TATcDNAを単離するための、またはさらに、本明細書に開示された天然配列に所望の配列同一性を有する、他のcDNA(例えば、TATまたは他の種のTATの天然変異体をコードするもの)を単離するためのcDNAライブラリー用ハイブリダイゼーションプローブとして使用できる。任意に、該プローブの長さは、約20塩基から約50塩基である。該ハイブリダイゼーションプローブは、完全長天然ヌクレオチド配列の少なくとも部分的に新規な領域由来であり得、これらの領域は、過度の実験なしに、または天然配列TATのプロモーター、エンハンサー要素およびイントロンなどのゲノム配列から決定できる。例えば、スクリーニング法は、公知のDNA配列を用いてTAT遺伝子のコード領域を単離し、約40塩基の選択されたプローブを合成することを含む。ハイブリダイゼーションプローブは、32Pまたは35Sなどの放射性ヌクレオチド、またはアビジン/ビオチン結合系によりプローブに結合させたアルカリホスファターゼなどの酵素標識などの種々の標識により標識できる。ヒトのcDNA、ゲノムDNAまたはmRNAのライブラリーをスクリーンし、このようなライブラリーのどのメンバーに該プローブがハイブリダイズするかを判定するために、本発明のTAT遺伝子の配列に相補的な配列を有する標識プローブが使用できる。ハイブリダイゼーション法は、下記の実施例においてさらに詳細に記載されている。本出願に開示された任意のEST配列が、本明細書に開示された方法を用い、プローブとして同様に使用できる。
TATをコードする核酸の他の有用な断片としては、標的のTATmRNA(センス)またはTAT DNA(アンチセンス)配列に結合することのできる一本鎖核酸配列(RNAまたはDNA)を含むアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる。本発明によるアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、TAT DNAのコード領域の断片を含む。このような断片は一般に、少なくとも14ヌクレオチド、好ましくは、約14から30のヌクレオチドを含む。所与のタンパク質をコードするcDNA配列に基づいたアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを誘導する能力は、例えば、Stein and Cohen(Cancer Res.48:2659頁、1988年)およびvan der Krol.ら(BioTechniques6:958頁、1988年)に記載されている。
標的核酸配列に対するアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドの結合によって、二重鎖の分解増強、転写または翻訳の早期終止などのいくつかの手段のうちの1つにより、または他の手段により標的配列の転写または翻訳を阻止する二重鎖の形成がもたらされる。このような方法は本発明に包含されている。したがって、該アンチセンスオリゴヌクレオチドは、哺乳動物における癌の誘導にある役割を演じていると考えられるTATタンパク質の発現を阻止するために使用できる。アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、内因性ヌクレアーゼに抵抗性の、修飾糖−ホスホジエステル主鎖(または、国際公開第91/06629号に記載されたものなどの他の糖結合)を有するオリゴヌクレオチドをさらに含む。抵抗性の糖結合を有するこのようなオリゴヌクレオチドは、インビボで安定(すなわち、酵素的分解に抵抗することができる)であるが、標的ヌクレオチド配列に結合できる配列特異性を保持している。
アンチセンス結合のための好ましい遺伝子内部位としては、該遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の翻訳開始/出発コドン(5’−AUG/5’−ATG)または終止/停止コドン(5’−UAA、5’−UAGおよび5−UGA/5’−TAA、5’−TAGおよび5’−TGA)を組み込んでいる領域が挙げられる。これらの領域は、翻訳開始コドンまたは翻訳終止コドンからいずれかの方向(すなわち、5’または3’)における約25から約50の連続ヌクレオチドを含むmRNAまたは遺伝子の一部にある。アンチセンス結合のための他の好ましい領域としては:イントロン;エキソン;イントロン−エキソン結合体;オープンリーディングフレーム(ORF)または翻訳開始コドンと翻訳終止コドンとの間の領域である「コ−ド領域」;5’−5’三リン酸結合を介してmRNAの最5’残基に結合したN7−メチル化グアノシン残基を含むmRNAの5’キャップならびに該キャップに隣接した最初の50のヌクレオチド;5’−非翻訳領域(5’UTR)、翻訳開始コドンから5’方向にあり、したがって、mRNAの5’キャップ部位と翻訳開始コドンとの間のヌクレオチドまたは該遺伝子上の対応するヌクレオチドを含むmRNAの一部;および3’非翻訳領域(3’UTR)、翻訳終止コドンから3’方向にあり、したがって、mRNAの翻訳終止コドンと3’端との間のヌクレオチドまたは該遺伝子上の対応するヌクレオチドを含むmRNAの一部が挙げられる。
TATタンパク質の発現抑制に有用な好ましいアンチセンス化合物の具体的な例としては、修飾主鎖または非天然ヌクレオシド間結合を含有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。修飾主鎖を有するオリゴヌクレオチドには、該主鎖にリン原子を保持するものおよび該主鎖にリン原子を保持しないものが含まれる。本明細書の目的に関して、および時には当業界で引用される場合、ヌクレオシド間主鎖内にリン原子を有さない修飾オリゴヌクレオチドもまた、オリゴヌクレオシドであると考えることができる。好ましい修飾オリゴヌクレオチド主鎖としては、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリ−エステル、3’−アルキレンホスホネート、5’−アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートなどのメチルおよび他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’−アミノホスホルアミデートおよびアミノアルキル ホスホルアミデートなどのホスホルアミデート、チオノホスホルアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、通常の3’−5’結合を有するセレノホスフェートおよびボラノホスフェート、これらの2’−5’結合類縁体、および1つまたは複数のヌクレオチド間結合が3’対3’結合、5’対5’結合または2’対2’結合である反転極性を有するものが挙げられる。反転極性を有する好ましいオリゴヌクレオチドは、最3’ヌクレオチド間結合における単一の3’対3’結合、すなわち、アベーシック(核酸塩基がその位置でヒドロキシル基を失っているまたは有する)であり得る単一の反転ヌクレオシド残基を含む。種々の塩、混合塩および遊離の酸形態もまた含まれる。リン含有結合の調製を教示している代表的な米国特許としては、限定はしないが、米国特許第3,687,808号;第4,469,863号;第4,476,301号;第5,023,243号;第5,177,196号;第5,188,897号;第5,264,423号;第5.,276,019号;第5,278,302号;第5,286,717号;第5,321,131号;第5,399,676号;第5,405,939号;第5,453,496号;第5,455,233号;第5,466,677号;第5,476,925号;第5,519,126号;第5,536,821号;第5,541,306号;第5,550,111号;第5,563,253号;第5,571,799号;第5,587,361号;第5,194,599号;第5,565,555号;第5,527,899号;第5,721,218号;第5,672,697号および第5,625,050号が挙げられ、これらの各々は参照として本明細書に組み込まれている。
リン原子を含まない好ましい修飾オリゴヌクレオチド主鎖は、短鎖アルキルまたはシクロアルキルのヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子およびアルキルまたはシクロアルキルのヌクレオシド間結合、または1つまたは複数の短鎖ヘテロ原子またはヘテロ環式のヌクレオシド間結合によって形成される主鎖を有する。これらには、モルホリノ結合(一部はヌクレオシドの糖部分から形成);シロキサン主鎖;スルフィド、スルホキシドおよびスルホン主鎖;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル主鎖;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル主鎖;リボアセチル主鎖;アルケン含有主鎖;スルファメート主鎖;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ主鎖;スルホネートおよびスルホンアミド主鎖;アミド主鎖;およびN、O、SおよびCH.sub.2混合要素部分を有する他のものが含まれる。このようなオリゴヌクレオシドの調製を教示している代表的な米国特許としては、限定はしないが、米国特許:第5,034,506号、第5,166,315号、第5,185,444号、第5,214,134号、第5,216,141号、第5,235,033号、第5,264,562号、第5,264,564号、第5,405,938号、第5,434,257号、第5,466,677号、第5,470,967号、第5,489,677号、第5,541,307号、第5,561,225号、第5,596,086号、第5,602,240号、第5,610,289号、第5,602,240号、第5,608,046号、第5,610,289号、第5,618,704号、第5,623,070号、第5,663,312号、第5,633,360号、第5,677,437号、第5,792,608号、第5,646,269号および第5,677,439号が挙げられ、これらの各々は、参照として本明細書に組み込まれている。
他の好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは、糖結合とヌクレオシド間結合の双方とも、すなわち、ヌクレオチド単位の主鎖が、新規の基により置換される。塩基単位は適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションに関して維持される。このようなオリゴマー化合物の1つ、優れたハイブリダイゼーション性を有することが示されているオリゴヌクレオチド模倣物は、ペプチド核酸(PNA)と称される。PNA化合物において、オリゴヌクレオチドの糖主鎖は、アミド含有主鎖、特に、アミノエチルグリシン主鎖により置換される。核酸塩基は保持されて、該主鎖のアミド部分のアザ窒素原子に直接または間接に結合する。PNA化合物の調製を教示している代表的な米国特許としては、限定はしないが:米国特許第5,539,082号;第5,714,331号;および第5,719,262号が挙げられ、これらの各々は参照として本明細書に組み込まれている。PNA化合物のさらなる教示は、Nielsenら、Science、1991年、254、1497−1500頁に見ることができる。
好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート主鎖および/またはヘテロ原子主鎖および特に、上記に引用した米国特許第5,489,677号に記載された−CH−NH−O−CH−、CH−N(CH)−O−CH−〔メチレン(メチルイミノ)またはMMI主鎖として知られている〕、CH−O−N(CH)−CH、CH−N(CH)−N(CH)−CH、および−O−N(CH)−CH−CH−〔天然ホスホジエステル主鎖は−O−P−O−CH−として表される〕、および上記に引用した米国特許第5,602,240号のアミド主鎖を組み込む。上記に引用した米国特許第5,034,506号のモルホリノ主鎖構造を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドもまた好ましい。
修飾オリゴヌクレオチドはまた、1つまたは複数の置換糖部分も含有できる。好ましいオリゴヌクレオチドは、2’位に以下:OH;F;O−アルキル、S−アルキル、またはN−アルキル;O−アルケニル、S−アルケニル、またはN−アルケニル;O−アルキニル、S−アルキニルまたはN−アルキニル;またはO−アルキル−O−アルキルのうちの1つを含んでなり、ここで、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、置換または非置換のCからC10アルキルまたはCからC10アルケニルおよびアルキニルであり得る。O〔(CHO〕CH、O(CHOCH、O(CHNH、O(CHOCH、O(CHONH、およびO(CHON〔(CHCH)〕、が特に好ましく、ここで、nおよびmは、1から約10である。他の好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’位に、以下のうちの1つを含む:CからC10低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリール、アラルキル、O−アルカリールまたはO−アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SO、CH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA開裂基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物速度論特性を改善する基、またはオリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善する基、および同様な特性を有する他の置換基。好ましい修飾としては、2’−O−(2’−メトキシエチル)または2’−MOEとしても知られている2’−メトキシエトキシ(2’−O−CHCHOCH、)(Martinら、Helv.Chim.Acta、1995年、78、486−504頁)すなわち、アルコキシアルコキシ基が挙げられる。さらなる好ましい修飾としては、2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち、本明細書下記の実施例に記載されている2’−DMAOEとしても知られているO(CHON(CH基、および2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(当業界で、2’−O−ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’−DMAEOE)、すなわち、2’−O−CH−O−CH−N(CH)が挙げられる。
好ましいさらなる修飾としては、2’ヒドロキシル基が糖環の3’または4’の炭素原子に結合し、それによって二環式糖部分を形成しているロックド核酸(LNAs)が挙げられる。該結合は、2’酸素原子と4’炭素原子を架橋している、nが1または2であるメチレン(−CH−)基であることが好ましい。LNAsおよびそれらの調製は、国際公開第98/39352号および国際公開第99/14226号に記載されている。
他の好ましい修飾としては、2’−メトキシ(2’−O− CH)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCHCHCH NH)、2’−アリル(2’− CH−CH=CH)、2’−O−アリル(2’−O−CH−CH=CH)および2’−フルオロ(2’−F)が挙げられる。2’−修飾は、アラビノ(アップ)位またはリボ(ダウン)位におけるものであり得る。好ましい2’−アラビノ修飾は、2’−Fである。該オリゴヌクレオチド上の他の位置、特に、3’末端ヌクレオチド上の糖の、または2’−5’結合オリゴヌクレオチドにおける3’位および5’末端ヌクレオチドの5’位にも同様な修飾を行うことができる。また、オリゴヌクレオチドは、ペントフラノシル糖の替わりにシクロブチル部分などの糖部分を有することもできる。このような修飾糖構造の調製を教示している代表的な米国特許としては、限定はしないが、米国特許:第4,981,957号、第5,118,800号、第5,319,080号、第5,359,044号、第5,393,878号、第5,446,137号、第5,466,786号、第5,514,785号、第5,519,134号、第5,567,811号、第5,576,427号、第5,591,722号、第5,597,909号、第5,610,300号、第5,627,053号、第5,639,873号、第5,646,265号、第5,658,873号、第5,670,633号、第5,792,747号、および第5,700,920号が挙げられ、これらの各々は、参照として本明細書に組み込まれている。
また、オリゴヌクレオチドは、核酸塩基(当業界では、単に「塩基」と称されることが多い)の修飾および置換を含み得る。本明細書に用いられる「非修飾」または「天然」核酸塩基としては、プリン塩基のアデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基のチミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)が挙げられる。修飾核酸塩基としては、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6−メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2−プロピルおよび他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニル(−C≡C−CHまたはCH−C≡CH)ウラシルおよびシトシンならびにピリミジン塩基の他のアルキニル誘導体、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルならびに他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ、特に、5−ブロモ、5−トリフルオロメチルならびに他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、2−F−アデニン、2−アミノアデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニン、7−デアザアデニンならびに3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンなどの他の合成および天然核酸塩基が挙げられる。さらなる修飾核酸塩基としては、フェノキサジンシチジン(1H−ピリミド〔5,4−b〕〔1,4〕ベンゾキサジン−2(3H)−オン)、フェノチアジンシチジン(1H−ピリミド〔5,4−b〕〔1,4〕ベンゾチアジン−2(3H)−オン)、置換フェノキサジンシチジン(例えば、9−(2−アミノエトキシ)−H−ピリミド〔5,4−b〕〔1,4〕ベンゾキサジン−2(3H)−オン)などのG−クランプ、カルバゾールシチジン(2H−ピリミド〔4,5−b〕インドール−2−オン)、ピリドインドールシチジン(H−ピリド〔3’,2’:4,5〕ピロロ〔2,3−d〕ピリミジン−2−オン)が挙げられる。修飾核酸塩基にはまた、プリン塩基またはピリミジン塩基が他のヘテロ環、例えば、7−デアザ−アデニン、7−デアザグアノシン、2−アミノピリジンおよび2−ピリドンにより置換されているものも含まれる。さらなる核酸塩基としては、米国特許第3,687,808号に開示されているもの、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering、858−859頁、Kroschwitz,J.I.編、John Wiley & Sons、1990年に開示されているもの、およびEnglishら、Angewandte Chemie、International Edition、1991年、30、613頁により開示されているものが挙げられる。これらの核酸塩基のうちの一定のものは、本発明のオリゴマー化合物の結合親和性の増加に特に有用である。これらには、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジンならびに、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンなどのN−2、N−6およびO−6置換プリンが含まれる。5−メチルシトシン置換により、核酸二重鎖の安定性が、0.6〜1.2程度増加することが示されておりC.(Sanghviら、Antisense Research and Applications、CRC Press、Boca Raton、1993年、276−278頁)、好ましい塩基置換であり、特に、2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わせた場合はさらに好ましい。修飾核酸塩基の調製を教示している代表的な米国特許としては、限定はしないが、米国特許第3,687,808号、ならびに、米国特許第4,845,205号、米国特許第5,130,302号、米国特許第5,134,066号、米国特許第5,175,273号、米国特許第5,367,066号、米国特許第5,432,272号、米国特許第5,457,187号、米国特許第5,459,255号、米国特許第5,484,908号、米国特許第5,502,177号、米国特許第5,525,711号、米国特許第5,552,540号、米国特許第5,587,469号、米国特許第5,594,121号、米国特許第5,596,091号、米国特許第5,614,617号、米国特許第5,645,985号、米国特許第5,830,653号、米国特許第5,763,588号、米国特許第6,005,096号、米国特許第5,681,941号、および米国特許第5,750,692号が挙げられ、これらの各々は、参照として本明細書に組み込まれている。
オリゴヌクレオチドの1つまたは複数の部分に化学的に結合しているアンチセンスオリゴヌクレオチドの他の修飾またはオリゴヌクレオチドの活性、細胞分散または細胞取込みを増強する複合体。本発明の化合物は、第一級または第二級ヒドロキシル基などの官能基に共有結合した複合基を含み得る。本発明の複合基には、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、オリゴマーの薬物動態特性を増強する基、およびオリゴマーの薬物速度論的特性を増強する基が含まれる。典型的な複合基としては、コレステロール、脂質、カチオン脂質、リン脂質、カチオン性リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸塩、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、および色素が挙げられる。本発明の脈絡における薬物動態特性を増強する基としては、オリゴマーの取込みを改善し、オリゴマーの耐分解性を増強し、および/またはRNAとの配列特異的ハイブリダイゼーションを増強する基が挙げられる。本発明の脈絡における薬物速度論的特性を増強する基としては、オリゴマーの取込み、分散、代謝または排泄を改善する基が挙げられる。複合体部分としては、限定はしないが、コレステロ^ル部分などの脂質部分(Letsingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1989年、86、6553−6556頁)、コール酸(Manoharanら、Bioorg.Med.Chem.Let.、1994年、4、1053−1060頁)、チオエーテル、例えば、ヘキシル−S−トリチルチオール(Manoharanら、Ann.N.Y.Acad.Sci.、1992年、660、306−309頁;Manoharanら、Bioorg.Med.Chem.Let.、1993年、3、2765−2770頁)、チオコレステロール(Oberhauserら、Nucl.Acids Res.、1992年、20、533−538頁)、脂肪鎖、例えば、ドデカンジオールまたはウンデシル残基(Saison−Behmoarasら、EMBO J.、1991年、10、1111−1118頁;Kabanovら、FEBS Lett.、1990年、259、327−330頁;Svinarchukら、Biochimie、1993年、75、49−54頁)、リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−ラク−グリセロールまたはトリエチル−アンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−ラク−グリセロ−3−H−ホスホネート(Manoharanら、Tetrahedron Lett、1995年、36、3651−3654頁;Sheaら、Nucl.Acids Res.、1990年、18、3777−3783頁)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharanら、Nucleosides & Nucleotides、1995年、14、969−973頁)、またはアダマンタン酢酸(Manoharanら、Tetrahedron Lett、1995年、36、3651−3654頁)、パルミチル部分(Mishraら、Biochem.Biophys.Acta、1995年、1264、229−237頁)、またはオクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分がが挙げられる。本発明のオリゴヌクレオチドはまた、活性薬剤物質、例えば、アスピリン、ワーファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、(S)−(+)−プラノプロフェン、カルプロフェン、ダンシルサルコシン、2,3,5−トリヨード安息香酸、フルフェナミン酸、フォリン酸、ベンゾチアジアジド、クロロチアジド、ジアゼピン、インドメチシン、バルビツール酸塩、セファロスポリン、サルファ剤、抗糖尿病剤、抗菌剤または抗生物質に結合させることができる。オリゴヌクレオチド−薬剤複合体およびそれらの調製は、米国特許出願第09/334,130号(1999年6月15日出願)ならびに,米国特許第4,828,979号、米国特許第4,948,882号、米国特許第5,218,105号、米国特許第5,525,465号、米国特許第5,541,313号、米国特許第5,545,730号、米国特許第5,552,538号、米国特許第5,578,717号、米国特許第5,580,731号、米国特許第5,580,731号、米国特許第5,591,584号、米国特許第5,109,124号、米国特許第5,118,802号、米国特許第5,138,045号、米国特許第5,414,077号、米国特許第5,486,603号、米国特許第5,512,439号、米国特許第5,578,718号、米国特許5,608,046号、米国特許第4,587,044号、米国特許第4,605,735号、米国特許第4,667,025号、米国特許第4,762,779号、米国特許第4,789,737号、米国特許第4,824,941号、米国特許第4,835,263号、米国特許第4,876,335号、米国特許第4,904,582号、米国特許第4,958,013号、米国特許第5,082,830号、米国特許第5,112,963号、米国特許第5,214,136号、米国特許第5,082,830号、米国特許第5,112,963号、米国特許第5,214,136号、米国特許第5,245,022号、米国特許第5,254,469号、米国特許第5,258,506号、米国特許第5,262,536号、米国特許第5,272,250号、米国特許第5,292,873号、米国特許第5,317,098号、米国特許第5,371,241号、米国特許第5,391,723号、米国特許第5,416,203号、米国特許第5,451,463号、米国特許第5,510,475号、米国特許第5,512,667号、米国特許第5,514,785号、米国特許第5,565,552号、米国特許第5,567,810号、米国特許第5,574,142号、米国特許第5,585,481号、米国特許第5,587,371号、米国特許第5,595,726号、米国特許第5,597,696号、米国特許第5,599,923号、米国特許第5,599,928号および米国特許第5,688,941号に記載されており、これらの各々は、参照として本明細書に組み込まれている。
所与の化合物における全ての位置が均一に修飾される必要はなく、実際、前記修飾の1つ超を、単一の化合物、またはさらに、オリゴヌクレオチド内の単一のヌクレオシドに組み込むことができる。本発明にはまた、キメラ化合物であるアンチセンス化合物が含まれる。本発明の脈絡における「キメラ」アンチセンス化合物または「キメラ」は、各々が少なくとも1つのモノマー単位、すなわち、オリゴヌクレオチド化合物の場合はヌクレオチドから作製された2つ以上の化学的に異なる領域を含有するアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、該オリゴヌクレオチドにヌクレアーゼ分解に対する耐性の増加、細胞取込みの増加、および/または標的核酸に対する結合親和性の増加を付与するために、該オリゴヌクレオチドが修飾されている少なくとも1つの領域を典型的に含有する。該オリゴヌクレオチドのさらなる領域は、RNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドを開裂することのできる酵素に対する基質として役立つ。例えば、RNアーゼHは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を開裂する細胞エンドヌクレアーゼである。したがって、RNアーゼHn活性化によって、標的RNAの開裂がもたらされ、それにより、遺伝子発現のオリゴヌクレオチド阻害の効率が大きく高まる。その結果、キメラオリゴヌクレオチドを用いた場合、同一の標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシオリゴヌクレオチドに比較して、より短いオリゴヌクレオチドで、しばしば同等の結果を得ることができる。本発明のキメラアンチセンス化合物は、2種以上の上記オリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシドおよび/またはオリゴヌクレオチド模倣物の複合構造として形成できる。好ましいキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ耐性を付与するために、3’末端に、少なくとも1つの2’修飾糖(好ましくは、2’−O−(CH−O−CH)、およびRNアーゼH活性を付与するために、少なくとも4つの連続的な2’−H糖を有する領域を組み込んでいる。このような化合物は、当業界においてハイブリッドまたはギャップマーとも称される。好ましいギャップマーは、3’末端および少なくとも4つの連続的な2’−H糖を有する少なくとも1つの領域によって分離されている5’末端に、2’修飾糖(好ましくは、2’−O−(CH−O−CH)の領域を有し、好ましくは、ホスホロチオエート主鎖結合を組み込んでいる。このようなハイブリッド構造の調製を教示している代表的な米国特許としては、限定はしないが、米国特許第5,013,830号;米国特許第5,149,797号;米国特許第5,220,007号;米国特許第5,256,775号;米国特許第5,366,878号;米国特許第5,403,711号;米国特許第5,491,133号;米国特許第5,565,350号;米国特許第5,623,065号;米国特許第5,652,355号;米国特許第5,652,356号;および米国特許第5,700,922号が挙げられ、これらの各々は、参照として、その全体が本明細書に組み込まれている。
本発明により用いられるアンチセンス化合物は、固相合成の周知の技法により、簡便に、および慣例的に作製できる。このような合成のための装置は、例えば、Applied Biosystems(フォスターシティー、カリフォルニア州)などの供給業者によって販売されている。このような合成のための当業界に知られている任意の他の手段も追加して、または代替として使用できる。ホスホロチオエートおよびアルキル化誘導体などのオリゴヌクレオチドを調製するために同様な技法を用いることはよく知られている。本発明の化合物はまた、取り込み、分散および/または吸収を補助するために、例えば、リポソーム、受容体標的分子、経口製剤、経直腸製剤、局所製剤または他の製剤として、他の分子、分子構造体または化合物の混合物と混合、封入化、複合化、または結合させることができる。このような取り込み、分散および/または吸収補助製剤調製を教示している代表的な米国特許としては、限定はしないが、米国特許第5,108,921号;米国特許第5,354,844号;米国特許第5,416,016号;米国特許第5,459,127号;米国特許第5,521,291号;米国特許第5,543,158号;米国特許第5,547,932号;米国特許第5,583,020号;米国特許第5,591,721号;米国特許第4,426,330号;米国特許第4,534,899号;米国特許第5,013,556号;米国特許第5,108,921号;米国特許第5,213,804号;米国特許第5,227,170号;米国特許第5,264,221号;米国特許第5,356,633号;米国特許第5,395,619号;米国特許第5,416,016号;米国特許第5,417,978号;米国特許第5,462,854号;米国特許第5,469,854号;米国特許第5,512,295号;米国特許第5,527,528号;米国特許第5,534,259号;米国特許第5,543,152号;米国特許第5,556,948号;米国特許第5,580,575号;および米国特許第5,595,756号が挙げられ、これらの各々は、参照として本明細書に組み込まれている。
センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドの他の例としては、国際公開第90/10048号に記載されたものなどの、有機部分、およびポリ−(L−リシン)などの標的核酸配列に対するオリゴヌクレオチドの親和性を増加させる他の部分、に共有結合しているオリゴヌクレオチドが挙げられる。さらに、標的ヌクレオチド配列に対するアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドの結合特異性を変更するために、エリプチシンなどのインターカレート剤、およびアルキル化剤または金属複合体を、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドに結合させることができる。
例えば、CaPO媒介DNAトランスフェクション、電気穿孔などの任意の遺伝子転移法により、またはエプスタインバルウィルスなどの遺伝子転移ベクターの使用により、アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを、標的核酸配列を含有する細胞内に導入することができる。好ましい一操作において、アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、好適なレトロウィルスベクター内に挿入される。標的核酸配列を含有する細胞を、インビボで、またはエクスビボで、組換えレトロウィルスベクターに接触させる。好適なレトロウィルスベクターとしては、限定はしないが、マウスレトロウィルスM−MuLV,N2(M−MuLV由来のレトロウィルス)由来のもの、またはDCT5A、DCT5BおよびDCT5Cと称される二重コピーベクター(国際公開第90/13641号を参照)が挙げられる。
また、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、国際公開第91/04753号に記載されているようなリガンド結合分子との複合体の形成により、標的ヌクレオチド配列を含有する細胞に導入することができる。好適なリガンド結合分子としては、限定はしないが、細胞表面受容体、成長因子、他のサイトカイン、または細胞表面受容体に結合する他のリガンドがが挙げられる。リガンド結合分子の結合が、リガンド結合分子の対応する分子または受容体に結合する能力を実質的に妨害しないか、または細胞内へのセンスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその結合型の進入を実質的に妨害しないことが好ましい。
あるいは、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、国際公開第90/10448号に記載されているようなオリゴヌクレオチド−脂質複合体の形成により、標的ヌクレオチド配列を含有する細胞に導入することができる。該センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチド−脂質複合体は、内因性リパーゼによって細胞内で解離することが好ましい。
アンチセンスまたはセンスRNAまたはDNA分子は一般に、少なくとも約5つのヌクレオチド、あるいは、長さが少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、または1000のヌクレオチドであり、この文脈において用語の「約」は、述べられたヌクレオチド配列の長さに、述べられたその長さのプラスまたはマイナス10%を意味する。
また、該プローブは、密接に関連したTATコード配列の同定のための配列プールを作出するために、PCR法において使用できる。
また、TATをコードするヌクレオチド配列は、TATをコードする遺伝子のマッピング用ハイブリダイゼーションプローブを構築するために、および遺伝子疾患に罹っている個体の遺伝子分析に使用できる。本明細書に提供されたヌクレオチド配列は、インサイチュハイブリダイゼーション、既知の染色体マーカーに対する結合分析、およびライブラリーによるハイブリダイゼーションスクリーニングなどの公知の技法を用いて、染色体および染色体の特定領域にマップできる。 TATコード配列が、他のタンパク質に結合するタンパク質をコードする場合(例えば、TATが受容体の場合)、該結合相互作用に関与する他のタンパク質または分子を同定するためのアッセイに、TATを使用できる。このような方法により、受容体/リガンド結合相互作用の阻害剤を同定できる。また、このような結合相互作用に関与するタンパク質を、該結合相互作用のペプチドまたは小型分子阻害剤またはアゴニストをスクリーンするために使用できる。また、受容体TATを、関連リガンド(1つまたは複数)を単離するために使用できる。天然TATまたはTATの受容体の生物学的化性を模倣する主要化合物を見出すために、スクリーニングアッセイをデザインできる。このようなスクリーニングアッセイは、化学物質ライブラリーのハイスループットスクリーニングに供することのできるアッセイを含み、小型分子の薬物候補の同定に特に好適となる。考慮される小型分子には、合成の有機または無機化合物が含まれる。該アッセイは、タンパク質−タンパク質結合アッセイ、生化学的スクリーニングアッセイ、免疫アッセイおよび細胞ベースのアッセイなど、種々の様式で実施でき、これらは当業界において十分に特性化されている。
また、TATまたはその修飾形態をコードする核酸は、遺伝子導入動物または「ノックアウト」動物の創製に使用でき、次いで、これらは、治療的に有用な試薬の開発およびスクリーニングに有用である。遺伝子導入動物(例えば、マウスまたはラット)は、出生前、例えば、胚形成期に該動物または該動物の祖先に導入された導入遺伝子を含有する細胞を有する動物である。導入遺伝子は、遺伝子導入動物が発生する細胞のゲノムに組み込まれるDNAである。一実施形態において、TATをコードするcDNAは、確立された技法によって、TATをコードするゲノムDNAのクローン化に使用でき、該ゲノム配列は、TATをコードするDNAを発現させる細胞を含有する遺伝子導入動物の創製に使用される。
遺伝子導入動物、特にマウスまたはラットなどの動物を創製する方法は、当業界で慣例的となっており、例えば、米国特許第4,736,866号および第4,870,009号に記載されている。典型的には、組織特異的エンハンサーにより、TAT導入遺伝子組み込みのために特定の細胞が標的化されることになる。
TATをコードするDNAの発現増強の効果を調べるために、 胚形成期に動物の胚系に導入された、TATをコードする導入遺伝子のコピーを含む遺伝子導入動物を使用することができる。このような動物を、例えば、その過剰発現に関連した病態からの防御を付与すると考えられる試薬に対するテスター動物として用いることができる。本発明のこの事実により、動物を該試薬で処置し、導入遺伝子を担持する非処置動物と比較して、該病態の発生が減少すれば、該病態に対する治療的処置の可能性が示されることになる。
あるいは、TATをコードする内因性遺伝子と動物の胚性幹細胞に導入されたTATをコードする変更ゲノムDNAとの間での相同的組換えの結果、TATをコードする欠失遺伝子または変更遺伝子を有するTAT「ノックアウト」動物を構築するために、TATの非ヒト相同体を用いることができる。例えば、確立された技法に従って、TATをコードするゲノムDNAをクローン化するために、TATをコードするcDNAを用いることができる。TATをコードするゲノムDNAの一部を、欠失させるか、または、組込みをモニターするために使用できる選択性マーカーをコードする遺伝子などの他の遺伝子と置き換えることができる。典型的には、非変更のフランキングDNAの数キロ塩基(5’端および3’端双方での)をベクター内に含ませる(相同的組換えベクターの説明に関しては、例えば、ThomasおよびCapecch、Cell、51:503(1987)を参照)。該ベクターを胚性幹細胞系に導入し(例えば、電気穿孔により)、導入遺伝子が内因性DNAと相同的に組み換わった細胞を選択する〔例えば、Liら、Cell、69:915(1992)を参照)〕。次いで、選択された細胞を動物(例えば、マウスまたはラット)の胚盤胞内に注入し、凝集キメラを形成する〔例えば、Teratocarcinomas and Embryonic Stem CellsにおけるBradley、E.J.Robertson編(IRL、オックスフォード、1987年)、113−152頁を参照〕。次いで、キメラ胚を好適な偽妊娠メスフォスター動物に移植し、該胚を「ノックアウト」動物を創製する時期に至らしめることができる。生殖細胞に相同的組換えDNAを有する後代を標準的技法により同定し、動物の全ての細胞が相同的組換えDNAを含有する動物を作出するために用いることができる。ノックアウト動物は、例えば、一定の病態に対するそれらの防御能力に関し、およびTATポリペプチドの不在による病態の発現に関して特性化できる。
TATポリペプチドをコードする核酸もまた、遺伝子療法に使用できる。遺伝子療法の適用において、例えば、欠失遺伝子の置換に関して、治療的に有効な遺伝子産物のインビボ合成を達成するために、遺伝子を細胞内に導入する。「遺伝子療法」には、1回の処置により持続的な効果が達成される慣例的な遺伝子療法、および治療的に有効なDNAまたはmRNAの単回投与または反復投与を含む遺伝子治療薬の投与の双方が含まれる。インビボで一定の遺伝子の発現を阻止するための治療薬として、アンチセンスRNAsおよびDNAsを使用できる。短いアンチセンスオリゴヌクレオチドが、細胞膜による取込み制限に起因するそれらの低い細胞内濃度にかかわらず、それらが阻害剤として作用する細胞内に移入できることがすでに示されている(Zamecnikら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:4143−4146頁〔1986〕)。該オリゴヌクレオチドは、例えば、それらの負に荷電したホスホジエステル基を非荷電基により置換することによって、それらの取込み増強のために修飾することができる。
生存可能細胞内へ核酸を導入するために利用できる種々の技法がある。該核酸がインビトロで培養細胞に転移されるのか、それともインビボで目的の宿主の細胞に転移されるのかに依って、該技法は変わってくる。インビトロで哺乳動物細胞内へ核酸を転移するのに好適な技法としては、リポソーム、電気穿孔、ミクロ注入、細胞融合、DEAE−デキストラン、リン酸カルシウム沈降法などの使用が挙げられる。現在好ましいインビボ遺伝子転移法としては、ウィルス(典型的にはレトロウィルス)ベクターによるトランスフェクションおよびウィルスコートタンパク質-リポソーム媒介トランスフェクション(Dzauら、Trends in Biotechnology 11、205−210頁〔1993〕)が挙げられる。いくつかの場合、細胞表面膜タンパク質または標的細胞に特異的な抗体、標的細胞上の受容体に対するリガンドなどの標的細胞を標的にする物質と共に核酸源を提供することが望ましい。リポソームが用いられる場合、例えば、特定の細胞型に向性のカプシドタンパク質またはその断片、サイクリングにおいてインターナリゼーションを受けるタンパク質に対する抗体、細胞内局在化を目的とし、細胞内半減期を増加させるタンパク質を、標的化するために、および/または取込みを促進するために、エンドサイトーシスに関連した細胞表面膜タンパク質に結合するタンパク質が使用できる。受容体媒介エンドサイトーシスの技法は、例えば、Wuら、J.Biol.Chem.262、4429−4432頁(1987);およびWagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87、3410−3414頁(1990)により記載されている。遺伝子マーキングおよび遺伝子療法プロトコルのレビューに関しては、Andersonら、Science 256、808−813頁(1992)を参照されたい。
本明細書に記載された、TATポリペプチドをコードする核酸分子またはその断片は、染色体の同定に有用である。これに関して、実際の配列データに基づいた染色体マーキング試薬は、現在利用できるものが比較的少ないため、新規の染色体マーカーを同定する必要性が存続している。本発明のTAT核酸分子各々を染色体マーカーとして使用することができる。
また、本発明のTATポリペプチドおよび核酸分子は、組織分類のために診断的に使用することもでき、この場合、本発明のTATポリペプチドは、他の組織に比較して、ある組織において、好ましくは、同じ組織タイプの正常組織に比較して疾患組織において、異なる発現をすることができる。TAT核酸分子は、PCR、ノーザン分析、サザン分析およびウェスタン分析のためのプローブの作出に使用される。
本発明は、TATポリペプチドを模倣するもの(アゴニスト)またはTATポリペプチドの作用を防止するもの(アンタゴニスト)を同定するために、化合物をスクリーニングする方法を包含する。本明細書で特定した遺伝子によってコードされたTATポリペプチドに結合する、もしくは複合体化する、または例えば、細胞からのTATポリペプチドの発現抑制など、コードされたポリペプチドと他の細胞タンパク質との相互作用を妨害する化合物を同定するために、アンタゴニスト薬剤候補のスクリーニングアッセイがデザインされる。このようなスクリーニングアッセイには、化学物質ライブラリーのハイスループットスクリーニングに供することのできるアッセイが含まれ、小型分子の薬剤候補の同定に特に好適となる。
該アッセイは、当業界で十分特性化されている、タンパク質−タンパク質結合アッセイ、生化学的スクリーニングアッセイ、免疫アッセイ、細胞ベースアッセイなどの種々の様式で実施できる。
アンタゴニストに関するアッセイは全て、薬剤候補を本明細書で特定された核酸にコードされたTATポリペプチドに、これらの2つの成分の相互作用が可能になる条件下で十分な時間、接触させることを要する点が共通である。
結合アッセイにおいて、相互作用は結合であり、形成された複合体は、反応混合物中で単離または検出できる。特定の一実施形態において、本明細書で特定化された遺伝子によりコードされたTATポリペプチドまたは薬剤候補は、共有または非共有結合により、固相上、例えば、マイクロタイタープレート上に固定される。非共有結合は一般に、固体表面をTATポリペプチドの溶液でコーティングし、乾燥することにより達成される。あるいは、固定化抗体、例えば、固定化されるTATポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体を用いてそれを固体表面に係留できる。該アッセイは、固定成分、例えば、係留した成分を含有するコーティング表面に、検出可能な標識によって標識できる非固定成分を加えることによって実施される。反応が完了したら、非反応成分を、例えば、洗浄により除去し、固体表面に係留された複合体を検出する。もともと非固定成分が検出可能な標識を担持している場合は、表面に固定された標識の検出により、複合体化が生じたことが示される。もともと非固定成分が標識を担持していない場合、複合体化は、例えば、固定された複合体に特異的に結合する標識抗体を用いることによって検出できる。
候補化合物が、本明細書で特定された遺伝子によりコードされた特定のTATポリペプチドと相互作用はするが、それに結合しない場合、該候補化合物とそのポリペプチドとの相互作用は、タンパク質−タンパク質相互作用を検出するための周知の方法によってアッセイできる。このようなアッセイには、例えば、架橋、共免疫沈降、および勾配またはクロマトグラフィカラムによる共精製などの伝統的な方法が含まれる。また、タンパク質−タンパク質相互作用は、Fieldsおよび共同研究者(FieldsおよびSong、Nature(London)、340:245−246頁(1989);Chienら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:9578−9582頁(1991))によって記載されている酵母ベースの遺伝子系を用いて、ChevrayおよびNathans、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:5789−5793頁(1991)に開示されているように、モニターできる。酵母GAL4などの多くの転写活性化因子は、2つの物理的に異なるモジュラードメインからなり、1つは、DNA結合ドメインとして働き、他方は、転写活性化ドメインとして働く。先行の刊行物に記載された酵母発現系(一般に、「二ハイブリッド系」と称される)は、この性質を利用し、2種のハイブリッドタンパク質を用い、その1つでは、標的タンパク質がGAL4のDNA結合ドメインに融合しており、他方では、候補活性化タンパク質が活性化ドメインに融合している。GAL4活性化プロモーターの制御下、GAL1−lacZレポーター遺伝子の発現は、タンパク質−タンパク質相互作用によるGAL4活性の復元に依存する。相互作用しているポリペプチドを含有するコロニーは、β−ガラクトシダーゼに対する色素生成基質により検出される。ツーハイブリッド法を用いて2つの特異的タンパク質間のタンパク質−タンパク質相互作用を確認するための完全キット(MATCHMAKER(商標))は、Clontechから市販されている。また、この系は、特定のタンパク質相互作用に関与しているタンパク質ドメインをマップするために、ならびに、これらの相互作用にとって重要なアミノ酸残基の位置を決めるために拡張することができる。
本明細書で特定されたTATポリペプチドをコードする遺伝子の相互作用を妨害する化合物および他の細胞内または細胞外成分は、以下のとおり試験することができる:通常、該遺伝子の産物および細胞内または細胞外成分を含有する反応混合物を、2つの産物の相互作用および結合を可能にする条件下と時間で調製する。結合を阻害する候補化合物の能力を試験するために、該反応液を、試験化合物の不在下および存在下で操作する。さらに、陽性対照として役立つプラセボを第3の反応混合物に添加できる。試験化合物と該混合物に存在する細胞内または細胞外成分との間の結合(複合体形成)を、本明細書の上記のとおりモニターする。対照反応液(1つまたは複数)中に複合体が形成され、試験化合物を含有する反応混合物中に形成されないことは、該試験化合物が、該試験化合物とその反応相手との相互作用を妨害することを示す。
アンタゴニストに関するアッセイでは、TATポリペプチドを、特定の活性に関してスクリーンされる化合物と共に細胞に添加でき、TATポリペプチドの存在下、対象となっている活性を阻害する該化合物の能力は、該化合物がTATポリペプチドに対するアンタゴニストであることを示す。あるいは、競合的阻害アッセイのために、適切な条件下、TATポリペプチドおよび可能性のあるアンタゴニストを、膜結合TATポリペプチド受容体または組換え受容体と組み合わせることによって検出できる。TATポリペプチドは、受容体に結合したTATポリペプチド分子の数を、可能性のあるアンタゴニストの有効性を判定するために使用できるように、放射能などにより標識できる。該受容体をコードする遺伝子は、当業者に知られた多数の方法、例えば、リガンドパンニングおよびFACS選別により同定できる。Coliganら、Current Protocols in Immun.、1(2):第5章(1991)。ポリアデニル化RNAがTATポリペプチドに応答性の細胞から調製される発現クローニングを用いることが好ましく、このRNAから創製されたcDNAライブラリーはプールに分割され、TATポリペプチドに応答性でないCOS細胞または他の細胞のトランスフェクトに用いられる。ガラススライド上で増殖させたトランスフェクト細胞を、標識TATポリペプチドに曝露させる。TATポリペプチドはヨード化または部位特異的タンパク質キナーゼに対する認識部位の包含などの種々の手段によって標識化できる。固定化および培養の後、該スライドをオートラジオグラフ分析に供する。陽性のプールを同定し、サブプールを調製し、相互作用的サブプーリングおよび再スクリーニング法を用いて再トランスフェクトし、その結果、推定上の受容体をコードする単一クローンが得られる。
受容体同定の代替法として、標識TATポリペプチドを、受容体分子を発現する細胞膜または抽出調製物に光親和結合させることができる。架橋物質をPAGEによって分析し、X線フィルムに曝露する。該受容体を含有する標識複合体を切除し、ペプチド断片に分解し、タンパク質マイクロシークエンシングに供する。マイクロシークエンシングから得られたアミノ酸配列を用いて、推定上の受容体をコードする遺伝子同定のためのcDNAライブラリーをスクリーンする縮合オリゴヌクレオチドプローブのセットをデザインする。
アンタゴニストに関する他のアッセイにおいて、該受容体を発現する哺乳動物細胞または膜調製物を、候補化合物の存在下で標識TATポリペプチドと共に培養する。次いで、この相互作用を増強または阻害する該化後の能力を測定できる。
可能性のあるアンタゴニストのより具体的な例としては、免疫グロブリンとTATポリペプチドとの融合体に結合するオリゴヌクレオチド、特に、限定はしないが、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体などの抗体および抗体断片、一本鎖抗体、抗イディオタイプ抗体、およびこのような抗体または断片のキメラ型またはヒト型、ならびにヒト抗体および抗体断片が挙げられる。あるいは、アンタゴニストとして可能性のあるものは、密接に関連したタンパク質、例えば、該受容体を認識はするが作用はしないことから、TATポリペプチドの作用を競合的に阻害するTATポリペプチドの変異体であり得る。
TATポリペプチドアンタゴニストとして可能性のある他のものは、例えば、アンチセンスRNAまたはDNA分子が標的mRNAにハイブリダイズしてタンパク質翻訳を阻止することにより、mRNAの翻訳を直接阻止するように作用するアンチセンス法を用いて調製された、アンチセンスRNAまたはDNA構築体である。アンチセンス法は、三重らせんの形成、またはアンチセンスDNAまたはRNAにより遺伝子発現を制御するために使用でき、これらの方法は双方とも、DNAまたはRNAに対するポリヌクレオチドに結合に基づいている。例えば、本明細書における成熟TATポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の5’コード部分は、約10から40塩基の長さのアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドのデザインに用いられる。転写に関与する遺伝子の領域に相補的であるようにDNAオリゴヌクレオチドがデザインされ(三重らせん−Leeら、Nucl.Acids Res.、6:3073頁(1979);Cooneyら、Science、241:456頁(1988);Dervanら、Science、251:1360(1991)を参照)、それにより、TATポリペプチドの転写および産生が阻止される。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドはインビボでmRNAにハイブリダイズし、TATポリペプチドへのmRNA分子の翻訳を阻止する(antisense−Okano、Neurochem.、56:560(1991);Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression(CRC Press:ボカレートン、フロリダ州、1988年)。上記のオリゴヌクレオチドはまた、アンチセンスRNAまたはDNAがインビボ発現してTATポリペプチドの産生を阻害できるように細胞に送達できる。アンチセンスDNAが用いられる場合、翻訳開始部位、例えば、標的遺伝子ヌクレオチド配列の約−10位と+10位との間から誘導されたオリゴデオキシリボヌクレオチドが好ましい。
アンタゴニストとして可能性のあるものとしては、活性部位、受容体結合部位、または成長因子もしくはTATポリペプチドの他の関連結合部位に結合し、そのことによって、TATポリペプチドの通常の生物学的活性を阻止する小型分子が挙げられる。小型分子の例としては、限定はしないが、小型ペプチドまたはペプチド様分子、好ましくは可溶性ペプチド、および合成非ペプチジル有機または無機化合物が挙げられる。
リボザイムは、RNAの特異的開裂を触媒することのできる酵素的RNA分子である。リボザイムは、相補的標的RNAに対する配列特異的ハイブリダイゼーション、引き続いて、ヌクレオチド鎖切断開裂により作用する。RNA標的として可能性のあるものの内部での特異的リボザイム開裂部位は、公知の技法によって同定できる。さらなる詳細に関しては、例えば、Rossi、Current Biology、4:469−471頁(1994)、およびPCT国際公開第97/33551号(1997年9月18日公開)を参照されたい。
転写の阻止に用いられる三重らせん形成における核酸分子は、一本鎖で、デオキシヌクレオチドからなる必要がある。これらのオリゴヌクレオチドの塩基組成は、二重鎖の一本上にプリンまたはピリミジンの相当な長さの伸長を一般に必要とするフーグスティーン(Hoogsteen)塩基対則により、三重らせんの形成を促進するようにデザインされる。さらなる詳細に関しては、例えば、PCT国際公開第97/33551号、上記を参照されたい。
これらの小型分子は、本明細書の上記で検討されたいずれか1つまたは複数のスクリーニングアッセイにより、および/または当業者によく知られている他の任意のスクリーニング法により同定することができる。
TATポリペプチドの組換え生産のために、TATポリペプチドをコードする単離核酸を、当業界の知られている技法を用い、本明細書に記載されているとおり、本明細書で使用できる。次いで、生産されたTATポリペプチドを、当業界によく知られている技法を用い、本明細書に記載されているとおり、抗TAT抗体を作出するために使用することができる。
本明細書で特定された、TATポリペプチドに特異的に結合する抗体、ならびに、本明細書で先に開示したスクリーニングアッセイによって特定した他の分子を、製薬組成物の形態で、癌などの種々の障害の治療に投与することができる。 TATポリペプチドが細胞内のものであり、抗体全体が阻害剤として用いられる場合、内部移行抗体が好ましい。しかしながら、該抗体、または抗体断片を細胞内に送達するために、リポフェクションまたはリポソームもまた使用できる。抗体断片が用いられる場合、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最小の阻害性断片が好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、標的タンパク質配列に結合する能力を保持するペプチド分子をデザインできる。このようなペプチドは、化学的に合成でき、および/または組換えDNA法によって生産できる。例えば、Marascoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:7889−7893頁(1993)を参照されたい。
また、本明細書における製剤は、処置されている具体的な適応症のために、適宜、1種超の活性化合物、好ましくは、互いに悪影響を与えない相補的活性を有するものを含有することもできる。あるいは、またはそれに加えて、該組成物は、その機能を増強する、例えば、細胞障害剤、サイトカイン、化学療法剤、または成長阻害剤などの薬剤を含んでなり得る。このような分子は、意図された目的にとって有効な量で組み合わされて好適に存在する。
以下の実施例は、例示のみを目的として提供されており、決して本発明の範囲を限定する意図はない。
本明細書に引用された全ての特許参考文献は、参照として、それらの全体が本明細書に組み込まれている。
本実施例に述べられた市販の試薬は、別に指示されない限り、製造元の指示に従って使用した。以下の実施例、および本明細書を通して特定された、ATCC登録番号による細胞の出所は、American Type Culture Collection、マナサス、バージニア州である。
実施例1:GeneExpress(登録商標)を用いた組織発現プロファイリング
他のヒト腫瘍(1つまたは複数)および/または正常なヒト組織に比較して、対象となっている特定のヒト腫瘍組織(1つまたは複数)において、有意に、および検出可能にその発現がアップレギュレートされるポリペプチド(およびそれらをコードする核酸)を同定する目的で、遺伝子発現情報を含む登録商標データベース(GeneExpress(登録商標)Gene Logic社、ガイサーズバーグ(Gaithersburg、メリーランド州)を、解析した。具体的には、GeneExpress(登録商標)データベースと共に使用するための、Gene Logic社、ガイサーズバーグ(Gaithersburg)、メリーランド州)を介して入手できるソフトウェアを用いて、またはGeneExpress(登録商標)データベースと共に使用するためにGene Tech社で書込みが行われ、開発された登録商標ソフトウェアと共に、GeneExpress(登録商標)データベースの解析が行われた。解析における陽性適合の評価は、例えば、組織特異性、腫瘍特異性および正常な基本的および/または正常な増殖性組織における発現レベルなどのいくつかの基準に基づいて行われる。以下の分子(一種または複数種)は、他のヒト腫瘍(1つまたは複数)および/または正常なヒト組織に比較して、特定のヒト腫瘍(1つまたは複数)において、高い組織発現、および有意で再現性を有する検出可能な発現のアップレギュレーション、および任意に、正常な基本的および/または正常な増殖性ヒト組織における比較的低い発現を示す組織発現プロフィルを示す。
上記の発現解析を用いて、本明細書において配列番号:2で示されているTAT113ポリペプチドをコードするmRNAは、それぞれ、対応する正常なヒト結腸組織および直腸組織に比較して、ヒトの癌性結腸および直腸腫瘍の一定のタイプにおいて、有意に、再現性を有して、検出可能に過剰発現されると判定された。
A.結腸
第1の実験において、237の独立した正常なヒト結腸組織サンプルの群において、TAT113の発現を解析した。解析された正常なヒト結腸組織サンプルの全てにおいて、TAT113mRNA発現のレベルには著しく一貫性があり、きわめて狭い分布内に入り、サンプル群全体の平均TAT113発現レベルに比較して、TAT113発現で2倍超の増加を明白に示す正常なヒト結腸組織サンプルはないことが、これらの解析の結果により示された。
定量的比較を目的として、種々の独立した異なるタイプの癌性ヒト結腸組織サンプルもまた、TAT113発現に関して解析した。これらの解析から得られた結果により、癌性サンプルにおけるTAT113の発現レベルはきわめて可変的であり、解析した正常な結腸組織サンプルの群に関するTAT113発現の平均レベルに比較して、有意な数の癌性サンプルが、TAT113発現において、少なくとも2倍(から約16倍まで)の増加を示すことが実証された。より具体的には、正常な結腸に比較して、以下の結腸癌タイプに関して、検出可能な、再現性を有するTAT113過剰発現が見られた(各々の癌のタイプに関して括弧内に示された数は、解析された正常な結腸組織サンプルの群に関するTAT113発現の平均レベルに比較した場合に、TAT113発現において少なくとも2倍の増加を示した独立したサンプルの数/解析された独立した腫瘍サンプルの総数を表している):非特定位置の結腸腺癌(4/9)、盲腸および右上行結腸の腺癌(25/35)、横行結腸の腺癌(5/6)および左下行結腸およびS字結腸の腺癌(21/34)。追加の実験を行い、これらの結果を確認した。
B.直腸
他の実験において、TAT113の発現を、46の独立した正常ヒト直腸組織サンプルの群において解析した。解析された正常なヒト直腸組織サンプルの全てにおいて、TAT113mRNA発現のレベルには著しく一貫性があり、きわめて狭い分布内に入り、サンプル群全体の平均TAT113発現レベルに比較して、TAT113発現で2倍超の増加を明白に示す正常なヒト直腸組織サンプルはないことが、これらの解析の結果により示された。
定量的比較を目的として、25の独立したヒト直腸腺癌組織サンプルもまた、TAT113発現に関して解析した。これらの解析から得られた結果により、癌性サンプルにおけるTAT113の発現レベルはきわめて可変的であり、解析した正常な直腸組織サンプルの群に関するTAT113発現の平均レベルに比較して、試験した25のサンプルのうち15が、TAT113発現において、少なくとも2倍(から約13倍まで)の増加を示すことが実証された。
上記のことを考慮すると、本明細書に配列番号:2で示されたTAT113ポリペプチドおよびそのポリペプチドをコードする核酸は、種々の哺乳動物組織サンプルにおける、本明細書に配列番号:2で示されたTAT113ポリペプチドおよびそれをコードするmRNAの発現レベルを、定量的および定性的に判定するために利用できる優れた標的であり、それらの間を定量的および定性的に比較することが可能になる。したがって、本明細書に配列番号:2で示されたTAT113ポリペプチドおよびそのポリペプチドをコードする核酸は、ユニークな発現プロファイルを上記の哺乳動物における一定のタイプの癌性腫瘍の診断に利用できる分子である。さらに、この解析によって、TATポリペプチドが、対応する正常なヒト組織に比較して、一定のヒト腫瘍において、有意に、再現性を有し、検出可能に過剰発現することが実証されたため、TAT113ポリペプチドは、哺乳動物におけるこのような腫瘍の治療的処置に利用できるすぐれた標的として役立つ。
実施例2:癌性腫瘍におけるTATポリペプチドのアップレギュレーションを検出するためのマイクロアレイ分析
数千の遺伝子配列を含有していることの多い核酸マイクロアレイは、正常な対応組織に比較して疾患組織において差異的に発現した遺伝子の同定に有用である。核酸マイクロアレイを用いて、試験および対照の組織サンプルからの試験および対照のmRNAサンプルを逆転写して、標識化し、cDNAプローブを作出する。次いで、該cDNAプローブを、固体支持体に固定した核酸のアレイにハイブリダイズさせる。該アレイは、該アレイの各メンバーの配列および位置が分かるように構成される。例えば、一定の疾患状態において発現することが知られている選択された遺伝子を、固体支持体上に配置する。標識プローブと特定のアッレイメンバーとのハイブリダイゼーションにより、該プローブを誘導したもとになるサンプルがその遺伝子を発現することが示される。試験(疾患組織)サンプルからのプローブのハイブリダイゼーションシグナルが、対照(正常組織サンプル)からのプローブのハイブリダイゼーションシグナルよりも大きい場合は、その疾患組織において過剰発現した遺伝子(1つまたは複数)が同定される。この結果の意味するところは、疾患組織における過剰発現タンパク質は、疾患状態の存在に関する診断的マーカーとしてのみならず、その疾患状態の治療に関する治療的標的としても有用であるということである。
核酸のハイブリダイゼーションおよびマイクロアレイ法の方法論は、当業界に十分知られている。本実施例において、ハイブリダイゼーションおよびプローブのための核酸の具体的な調製、スライド、ならびにハイブリダイゼーション条件は全て、2001年3月30日出願の国際出願PCT/US01/10482号に詳述されており、これは参照として本明細書に組み込まれている。
本実施例において、特定の癌性腫瘍(1つまたは複数)で過剰発現しているポリペプチドを同定する目的で、種々のヒト組織由来の癌性腫瘍を、種々の組織タイプからの癌性腫瘍および/または非癌性ヒト組織に比較してアップレギュレートした遺伝子発現に関して試験した。一定の実験において、同一の組織タイプ(同一の患者からのものが多い)の癌性ヒト腫瘍組織および非癌性ヒト腫瘍組織を得て、TATポリペプチド発現に関して分析した。さらに、種々の異なるヒト腫瘍のうちのいずれかの癌性ヒト腫瘍組織を得て、肝臓、腎臓および肺などの上皮性出所の非癌性ヒト組織をプールすることによって調製した「ユニバーサル」上皮対照サンプルと比較した。プール上皮組織から単離されたmRNAは、種々の異なる上皮組織からの発現遺伝子産物の混合物となっており、そのため、上皮性出所の腫瘍における遺伝子発現レベルを定量的に比較するための優れた陰性対照を提供する。プール対照サンプルを用いたマイクロアレイハイブリダイゼーション実験により、2色分析における線形プロットが作出される。次いで、2色分析で作出された線の勾配を用いて、各実験内の比率(試験検出:対照検出)を正規化した。次いで、種々の実験からの正規化した比率を比較して、遺伝子発現のクラスタ化の同定に用いた。したがって、プール「ユニバーサル対照」サンプルによって、単純な2サンプル比較における有効な相対的遺伝子発現の判定が可能であるのみならず、いくつかの実験にわたる多サンプル比較も可能である。
本実験において、本明細書に記載されたTATポリペプチドをコードする核酸配列から誘導された核酸プローブをマイクロアレイの創製に用い、それに対するハイブリダイゼーションに、種々の腫瘍組織からのRNAを用いた。正規化された比率:実験比率に基づいた値を、「カットオフ比」と称した。このカットオフ比以上の値のみを有意と判定した。各実験に関連したノイズまたはばらつきの量から比率の有意性を予測したが、腫瘍サンプル中における、対応する正常組織および/またはプール正常上皮ユニバーサル対照と比較して相対的に過剰発現した候補遺伝子を同定するために、典型的には、1.8倍〜2倍高いカットオフ比を用いた。この方法で、腫瘍サンプルにおいて相対的に過剰発現していると確認された遺伝子に関する比率は、2倍から40倍、またはさらに大きく変動する。それに比較した、同一のRNAを各々の色に標識し、それ自体にハイブリダイズさせた対照実験においては、バックグラウンド以上のシグナルを有する実際上全ての遺伝子に関して、観察された比率は、1.8倍をかなり下回る。このことから、1.8倍の比率以上の実験ノイズは、きわめて低いこと、および観察された1.8倍以上の倍数変化は有意であることが示され、分析されたサンプル間の発現における、実質的で検出可能で再現性を有する差異を表しており、比較されることが予測される。
本出願において配列番号:2で示されたTAT113ポリペプチドをコードするmRNAは、正常なヒト結腸組織およびプール上皮対照サンプルの双方に比較した場合、試験された75の独立したヒト結腸腫瘍サンプルの50%超で有意に過剰発現する(すなわち、少なくとも2倍)ことが、これらの実験の結果により実証された。また、観察された過剰発現は、正常な対応ヒト結腸サンプルならびにプールヒト上皮結腸サンプルの双方に比較した場合、複数のヒト結腸腫瘍サンプルにわたって有意で、検出可能で、再現性を有することが、これらのデータにより実証されている。上記のとおり、本発明のTAT113ポリペプチド、およびコードする核酸は、ヒト結腸腫瘍の存在に関する診断的マーカーとして有用であるのみならず、ヒトにおけるこれらの腫瘍の治療に関する治療的標的の可能性のあるものとして役立つことを、これらのデータは実証している。
実施例3:TATmRNA発現の定量的分析
本アッセイにおいて、癌性腫瘍(1つまたは複数)における、他の癌性腫瘍または正常な非癌性組織に比較して有意に過剰発現する遺伝子を見出すために、5’ヌクレアーゼアッセイ(例えば、TaqMan(登録商標)およびリアルタイム定量的PCR(例えば、ABI Prizm7700 Sequence Detection System(登録商標)(Perkin Elmer、Applied Biosystems Division、フォスターシティー、カリフォルニア州)を用いた。5’ヌクレアーゼアッセイ反応は、リアルタイムで遺伝子発現をモニターするためにTaq DNAポリメラーゼ酵素の5’エキソヌクレアーゼ活性を利用する蛍光PCRベースの技法である。PCR反応に典型的なアンプリコンを作出するために、2種のオリゴヌクレオチドプライマー(それらの配列は対象となっている遺伝子またはEST配列に基づく)を用いる。2種のPCRプライマー間に位置するヌクレオチド配列を検出するために第3のオリゴヌクレオチド、またはプローブがデザインされる。該プローブは、Taq DNAポリメラーゼ酵素により非伸長性であり、レポーター蛍光色素およびクエンチャー蛍光色素によって標識化される。2種の色素がプローブ上にある時に近接して位置している場合、レポーター色素からの任意のレーザー誘導発光が、消光色素によって消光される。PCR増幅反応時、Taq DNAポリメラーゼ酵素は、テンプレート依存様式でプローブを開裂する。得られたプローブ断片は溶液中に解離し、放出されたレポーター色素からのシグナルは、第2の蛍光体の消光作用を免れている。合成された新たな分子各々に対し、1分子のレポーター色素が遊離し、非消光レポーター色素の検出により、該データの定量的および定量的解釈の基礎が提供される。本アッセイは、当業界によく知られており、2種の異なるヒト組織サンプル間の遺伝子発現の差異を定量的に確認するために、ルーチンに使用されている。例えば、Higuchiら、Biotechnology 10:413−417頁(1992);Livakら、PCR Methods Appl.、4:357−362頁(1995);Heidら、Genome Res.6:986−994頁(1996);Pennicaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95(25):14717−14722頁(1998);Pittiら、Nature 396(6712):699−703(1998)およびBiecheら、Int.J.Cancer 78:661−666頁(1998)を参照されたい。
ABI Prism7700TM Sequence Detectionなどのリアルタイムの定量的PCRデバイス上で5’ヌクレアーゼの操作を行う。該システムは、サーモサイクラー、レーザー、チャージカプルドデバイス(CCD)カメラおよびコンピュータからなる。該システムは、サーモサイクラー上の96ウェル型式におけるサンプルを増幅する。増幅中に、レーザー誘導蛍光シグナルを96ウェル全てに関して、光ファイバーケーブルによりリアルタイムで採取し、CCDで検出する。該システムには、機器の操作およびデータ解析のためのソフトウェアが含まれている。
選別のための出発物質は、種々の異なる癌性組織から単離したmRNAである。該mRNAは、例えば蛍光分析により、正確に定量的化される。陰性対照として、試験されている癌性組織と同じ組織タイプの種々の正常組織からRNAを単離した。多くの場合、腫瘍サンプル(1つまたは複数)は、同じ組織タイプの「対応した」正常サンプル(1つまたは複数)と直接比較され、これは、腫瘍サンプルと正常サンプル(1つまたは複数)が同一個体から得られていることを意味している。
5’ヌクレアーゼアッセイデータは、最初、Ct、または閾値サイクルとして表される。これは、レポーターシグナルがバックグラウンドレベルの蛍光以上に蓄積するサイクルとして定義される。ΔCt値は、癌のmRNA結果を正常なヒトmRNA結果と比較する場合に、核酸サンプルにおける特定標的配列の出発コピーの相対数の定量的測定値として用いられる。1Ct単位は、1PCRサイクルまたは正常に比較しておよそ2倍の相対的増加に相当し、2単位は、4倍の相対的増加、3単位は、8倍の相対的増加に相当するなど、2種以上の異なる組織間のmRNA発現における相対的増加倍数を、定量的に、および定量的に測定することができる。この点で、このアッセイは、正常対照に比較してのヒト腫瘍サンプルにおけるmRNA発現の少なくとも2倍の増加を、再現性を持って検出する上で技術的に十分感受性であることが、当業界で十分認められている。
この技法を用いて、異なるヒト組織ドナーからの正常なヒト結腸サンプルならびに腫瘍サンプル(1つまたは複数)を誘導した同一のヒト組織ドナーから誘導された種々の「対応した」正常なヒト結腸腫瘍サンプルの双方に比較した場合、9つの独立したヒト結腸腫瘍サンプルのうち9つ全てにおいて、本出願に配列番号:2で示されたTAT113ポリペプチドをコードするmRNAは、有意に、および再現性を有して過剰発現する(すなわち、少なくとも2倍)と判定された。したがって、上記のとおり、本発明のTAT113ポリペプチド、およびコードする核酸は、ヒト結腸腫瘍の存在に関する診断的マーカーとして有用であるのみならず、ヒトにおけるこれらの腫瘍の治療に関する治療的標的の可能性のあるものとして役立つことを、これらのデータは実証している。
実施例4:インサイチュハイブリダイゼーション
インサイチュハイブリダイゼーションは、細胞または組織の調製物内の核酸配列の検出および位置確認のための強力な多目的技法である。それは、例えば、遺伝子の発現部位の確認、転写の組織分散の分析、ウィルス感染の確認および位置確認、特定のmRNA合成における変化の追跡および染色体マッピングの補助に有用であり得る。
インサイチュハイブリダイゼーションは、PCR作出33P標識リボプローブを用い、LuおよびGillett、Cell Vision 1:169−176頁(1994)によるプロトコルの最適化版に従って実施した。簡単に述べると、ホルマリン固定し、パラフィン埋め込みしたヒト組織を切片化し、脱パラフィン化し、プロテイナーゼK(20g/ml)中、37℃で15分間、除タンパクし、LuおよびGillett、上記に記載されたとおり、インサイチュハイブリダイゼーションのためにさらに処理した。PCR産物から、〔33 P〕UTP標識アンチセンスリボプローブを作出し、55℃で一晩ハイブリダイズした。該スライドをKodak NTB2原子核乳剤中に浸漬し、4週間曝露した。
33P−リボプローブの合成
6.0μl(125mCi)の33P−UTP(Amersham BF 1002、SA<2000Ci/mmol)を高速真空乾燥した。乾燥33P−UTPを含有する各試験管に、以下の成分を加えた:
2.0μl 5×転写緩衝液
1.0μl DTT(100mM)
2.0μl NTP混合物(2.5mM:10μ:各10mMのGTP
CTP&ATP+10μl HO)
1.0μl UTP(50μM)
1.0μl Rnasin
1.0μl DNAテンプレート(1μg)
1.0μl H
1.0μl RNAポリメラーゼ(PCR産物用、通常、T3=AS、T7=S)
該試験管を37℃で1時間インキュベートした。1.0μlのRQ1 DNアーゼを加え、引き続き、37℃で15分間インキュベートした。90μlのTE(10mMのトリス pH7.6/1mMのEDTA pH8.0)を加え、混合物をピペットでDE81紙上に取った。残留溶液をMicrocon−50限外ろ過ユニットに装填し、プログラム10を用いて回転させた(6分間)。該ろ過ユニットを第2の試験管上で反転させてプログラム2を用いて回転させた(3分間)。最後の回収回転後、100μlのTEを加えた。1μlの最終産物をDE81紙上に取り、6mlのBiofluor II中でカウントした。
該プローブをTBE/尿素ゲル上で操作した。1〜3μlのプローブまたは5μlのRNA Mrk IIIを、3μlの充填緩衝液に加えた。95℃のヒートブロック上で3分間加熱後、該プローブを直ちに氷上に置いた。ゲルのウェルをフラッシュし、サンプルを装填し、180〜250ボルトで45分間操作した。該ゲルをサランラップでラップし、−70℃の冷凍庫で1時間から一晩、増感スクリーンを有するXARフィルムに曝露した。
33Pハイブリダイゼーション
A.凍結切片の予備処理
該スライドを冷凍庫から取り出し、アルミニウムトレイ上に乗せ、室温で5分間解凍させた。該トレイを55℃のインキュベーター内に5分間置いて、結露を減らした。該スライドを換気フード内の氷上で4%のパラホルムアルデヒド中、10分間固定し、室温で5分間、0.5×SSC中で洗浄した(25ml 20×SSC+975mlSQ HO)。0.5μg/mlのプロテイナーゼK中、室温で5分間、徐タンパクし(250mlの予備加温したRNアーゼ緩衝液中、12.5μlの10mg/ml 貯蔵液)、該切片を、室温で0.5×SSC中、10分間洗浄した。該切片を70%、95%、100%のエタノール中、各2分間、脱水した。
B. パラフィン埋め込み切片の予備処理
該スライドを脱パラフィンし、SQ HO中に入れ、室温で2×SSC中、各5分間ずつ、2回すすいだ。該切片を、20μg/mlのプロテイナーゼK(250mlのRNアーゼを含まないRNアーゼ緩衝液中、500μlの10mg/ml;37℃、15分間)−ヒト胚、または8×プロテイナーゼK(250mlのRnアーゼ緩衝液中100μl、37℃、30分間)−ホルマリン組織中、徐タンパクした。引き続き、0.5×SSC中でのすすぎおよび脱水を、上記のとおり実施した。
C. プレハイブリダイゼーション
Boxバッファ(4×SSC、50%ホルムアルデヒド)で飽和させたフィルター紙で裏張りしたプラスチックボックス内に、該スライドを配置した。
D. ハイブリダイゼーション
1.0×10cpmのプローブおよびスライド1枚当たり1.0μlのtRNA(50mg/ml原液)を、95℃で3分間加熱した。該スライドを氷上で冷却し、スライド1枚当たり48μlのハイブリダイゼーション緩衝液を加えた。攪拌後、スライド上の50μlのプレハイブリダイゼーションに50μlの33P混合物を加えた。該スライドを55℃で一晩インキュベートした。
E. 洗浄
洗浄は、室温で、2×SSC、EDTAにより、2×10分間(400mlの20×SSC+16mlの0.25M EDTA、V=4L)行い、引き続き、37℃で30分間、RNアーゼA処理(250mlのRNアーゼ緩衝液中、500μlの10mg/ml=20μg/ml)を行った。該スライドを、室温で、2×SSC、EDTAにより、2×10分間洗浄した。ストリンジェンシー洗浄条件は以下のとおりであった:55℃で2時間、0.1×SSC、EDTA(20ml 20×SSC+16mlのEDTA、V=4L)。
F. オリゴヌクレオチド
本明細書に開示された種々のDNA配列について、インサイチュ分析を実施した。これらの分析のために用いられたオリゴヌクレオチドは、添付の図に示された核酸(またはそれらの相補体)に相補的になるように得られた。
G. 結果
本明細書に配列番号:2で示されたTAT113ポリペプチドをコードする核酸について、インサイチュハイブリダイゼーション分析を実施した。分析した10/22の独立した原発性ヒト結腸癌サンプルおよび6/9の独立した転移性結腸癌サンプルにおいて、TAT113遺伝子の強力な発現が、これらの分析結果によって示された。反対に、分析した全ての正常な結腸組織サンプルにおいては、TAT113の検出可能な発現は見られなかった(または、見られた発現は著しく低いものだった)。
実施例5:GEPISによる差異的TATポリペプチド発現の検証および解析
上記の実施例の1つまたは複数に記載された腫瘍抗原として同定できたと考えられるTATポリペプチドを、以下のとおり解析し、検証した。表された配列タグ(EST)DNAデータベース(LIFESEQ(登録商標)、Incyte Pharmaceuticals、パロアルト、カリフォルニア州)を探索し、対象となるEST配列をGEPISにより同定した。インシリコ遺伝子発現プロファイリング(GEPIS)は、新規の癌治療標的に関して対象となっている遺伝子を特性化する、Genentech社で開発されたバイオインフォーマティックス手段である。GEPISは、遺伝子発現プロフィル判定のために大量のEST配列およびライブラリー情報を利用する。GEPISは、ESTデータベースにおける発生数とのその比例的関連に基づいた遺伝子の発現プロフィルを判定することができ、それは、LIFESEQ(登録商標)ESTの合理的なデータベースおよびGenentechの所有権を有する情報を、ストリンジェントで統計的に有意味の方法に組み込むことによって働く。本実施例で、GEPISは、新規な腫瘍抗原を同定し交差検証するために用いられるが、GEPISは、きわめて特異的な分析または広範なスクリーニング作業のいずれかを実施するために構成することができる。最初のスクリーンで、GEPISは、特定の組織または対象となっている組織(対象となっている腫瘍組織であることが多い)における発現に関連するLIFESEQ(登録商標)データベースからのEST配列を同定するために用いられる。次いで、この最初のスクリーンで同定されたEST配列(または最初のスクリーンから得られた複数の関連し、重なっているEST配列をアラインさせることから得られたコンセンサス配列)を、コードされたタンパク質における少なくとも1つの膜貫通ドメインの存在を確認することを目的としたスクリーンに供した。最後に、対象となっている種々の配列に関する完全な組織発現プロフィルを作出するためにGEPISを使用した。このタイプのスクリーニングバイオインフォーマティックスを用い、種々のTATポリペプチド(およびそれらをコードする核酸分子)が、特定のタイプの癌または一定の癌で、他の癌および/または正常な癌性組織に比較して有意に過剰発現していると確認された。GEPISの適合の評価は、例えば、組織特異性、腫瘍特異性および正常な基本的および/または正常な増殖性組織における発現レベルなどのいくつかの基準に基づく。
上記のGEPIS発現解析を用いて、本明細書において配列番号:2で示されたTAT113ポリペプチドをコードするmRNAは、ヒト結腸腫瘍サンプルにおいて、対応する正常な結腸組織に比較して、有意に、再現性を有して、検出可能に過剰発現すると判定された。したがって、本明細書において配列番号:2で示されたTAT113ポリペプチド、およびそのポリペプチドをコードする核酸は、種々の哺乳動物組織サンプルにおける、本明細書において配列番号:2で示されたTAT113ポリペプチド、およびそれをコードするmRNAの発現レベルを定量的および定量的に判定するために利用できる優れた標的であり、そのことによって、それらの間の定量的および定量的比較を行うことを可能にする。したがって、本明細書において配列番号:2で示されたTAT113ポリペプチドおよびそのポリペプチドをコードする核酸は、哺乳動物における腫瘍の診断に利用できる優れた標的である。さらに、TAT113ポリペプチドが、一定のヒト腫瘍において、それらの対応する正常なヒト組織に比較して、有意に、再現性を有して、検出可能に過剰発現することが、この解析によって実証されているため、TAT113ポリペプチドは、哺乳動物におけるこのような腫瘍の治療的処置のために利用できる優れた標的として役立つ。
実施例6.TAT113に結合する抗体の調製
モノクローナル抗体を作製する技法は当業界に知られており、例えば、上記、Godingに記載されている。使用できる免疫原としては、精製TATポリペプチド、TATポリペプチドを含有する融合タンパク質、および細胞表面上に組換えTATポリペプチドを発現する細胞が挙げられる。免疫原の選択は、過剰な実験なしに、当業者により行うことができる。
Balb/cなどのマウスを、フロインド完全アジュバント中に乳化させたTAT免疫原により免疫化し、1〜100マイクログラムの量で、比較してまたは腹腔内に注射する。代替として、該免疫原を、MPL−TDMアジュバント(Ribi Immunochemical Reseach、ハミルトン、モンタナ州)中に乳化させ、動物の後足裏に注射する。次いで、免疫化したマウスを、10日から12日後に、選択されたアジュバント中に乳化させた追加免疫原によってブーストする。該マウスはまた、その後数週間、さらなる免疫化注射によってブーストすることができる。抗TAT抗体を検出する目的で、ELISAアッセイにおける試験用に、該マウスから血清サンプルを逆眼窩放血により定期的に得ることができる。
好適な抗体力価の検出後、抗体に「陽性」な動物に、TATの最終静脈内注射をすることができる。3日から4日後、該マウスを殺処置し、脾臓細胞を採取する。次いで、該脾臓細胞をATCC登録番号CRL 1597から入手可能なP3X63AgU.1などの選択されたマウス骨髄腫細胞系に融合させる(35%ポリエチレングリコールを用いて)。融合により、ハイブリドーマが細胞が作出され、次いでこれらを、非融合細胞、骨髄腫ハイブリッド、および脾臓細胞ハイブリッドの」増殖を阻害するためにHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン)培地を含有する96ウェルの組織培養プレートに平板培養できる。
ハイブリドーマ細胞を、TATに対する反応性に関してELISA中でスクリーンする。TATに対する所望のモノクローナル抗体を分泌する「陽性」ハイブリドーマ細胞の判定は、当業技術の範囲内にある。
陽性ハイブリドーマ細胞を同系のBalb/cマウスに腹腔内注射し、抗TATモノクローナル抗体を含有する腹水を産生させることができる。あるいは、該ハイブリドーマ細胞を組織培養フラスコまたはローラーボトル内で増殖させることができる。腹水中に産生されたモノクローナル抗体の精製は、硫酸アンモニウム沈降、引き続いて、ゲル排除クロマトグラフィを用いて達成できる。あるいは、タンパク質Aまたはタンパク質Cに対する抗体の結合に基づいたアフィニティークロマトグラフィーが使用できる。
上記の技法を用いて、各々が配列番号:2で示されたTAT113ポリペプチドに結合するモノクローナル抗体を産生する、12の別個の異なるハイブリドーマ細胞系が作出された。これらの12のハイブリドーマ細胞系は、本明細書で、12E5.1.1(モノクローナル抗体12E5を産生)、6G10.1.1(モノクローナル抗体6G10を産生)、17C12.7.8(モノクローナル抗体17C12を産生)、1B5.1.3(モノクローナル抗体1B5を産生)、6H10.3.11(モノクローナル抗体6H10を産生)、17H5.25.1(モノクローナル抗体17H5を産生)、15B6.4.1(モノクローナル抗体15B6を産生)、11A12.3.2(モノクローナル抗体11A12を産生)、13A7.1.8(モノクローナル抗体13A7を産生)、4D1.1.2.1(モノクローナル抗体4D1を産生)、14A3.1.1(モノクローナル抗体14A3を産生)および10F11.11.11.11(モノクローナル抗体10F11を産生)と称される。これらの12のハイブリドーマ系によって産生されたモノクローナル抗体は、TAT113ポリペプチドを発現する細胞のウェスタンブロット、ELISA分析、FACS選別分析および/または免疫組織化学的分析などの周知の、ルーティンに使用される技法を用いて、配列番号:2で示されるTAT113ポリペプチドに結合することが示された。機能的抗TAT113モノクローナル抗体を産生する12のハイブリドーマ系のうち、2つ(ハイブリドーマクローン12E5.1.1および6G10.1.1)が、下記に詳述されているとおり、American Tissue Type Collection、マナサス、バージニア州とのブダペスト条約により寄託された。
実施例7:競合的結合分析およびエピトープマッピング
記載されたモノクローナル抗体によって結合したTAT113エピトープを、標準的な競合的結合分析(Fendlyら、Cancer Research 50:1550−1558頁(1990))によって判定した。蛍光を定量化するために、PANDEX(商標)Screen Machineを用いて、TAT113を発現するように操作した完全PC3細胞に対する直接蛍光により交叉ブロッキング試験を抗体に実施した。確立された操作を用いて、各モノクローナル抗体をフルオレセインイソチオシアネート(FITC)に結合させた(Wofsyら、Selected Metods in Cellular Immunology、287頁、MishelおよびSchiigi(編)、サンフランシスコ:W.J.Freeman社(1980))。TAT113発現PC3細胞の集密単層をトリプシン化し、1回洗浄し、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)および0.1%NaNを含有する冷PBS中、1.75×10細胞/mlで再懸濁させた。PANDEX(商標)プレート膜の目詰まりを減少させるために、最終濃度1%のラテックス粒子(IDC、ポートランド、オレゴン州)を加えた。懸濁液中の細胞、20μl、および20μlの精製モノクローナル抗体(100μg/mlから0.1μg/ml)を、PANDEX(商標)プレートウェルに加え、氷上で30分間インキュベートした。20μl中、FITC標識モノクローナル抗体の予め測定された希釈液を各ウェルに加え、30分間インキュベートし、洗浄し、PANDEX(商標)Screen Machineにより、蛍光を定量化した。各々が他の結合を、無関連のモノクローナル抗体対照に比較して、同じ抗体濃度で、40%以上阻止するならば、モノクローナル抗体はエピトープを共有していると考えられた。本実験において、モノクローナル抗体12E5、17C12、1B5、6H10、17H5、15B6、11A12、13A7、4D1、14A3および10F11は、それぞれ、TAT113エピトープB、A、D、E、F、A、B、A、A、AおよびCに帰属された。このアッセイを用いて、通常の当業者は、上記のものと同一のエピトープに結合する他のモノクローナル抗体を同定することができる。
実施例8:TAT113に結合する毒素結合抗体の調製
細胞毒性または細胞増殖抑制性の薬剤、すなわち、癌の治療において、腫瘍細胞を殺す、または阻害する薬剤の局所送達のために、抗体−薬剤複合体(ADC)、すなわち、免疫複合体の使用(Payne(2003)Cancer Cell 3:207−212頁;SyrigosおよびEpenetos(1999)Anticancer Research 19:605−614頁;Niculescu−DuvazおよびSpringer(1997)Adv.Drug Del.Rev.26:151−172頁;米国特許第4,975,278号)は、腫瘍への薬剤部分の標的送達、および腫瘍中の細胞内蓄積を可能にするが、これらの非結合薬剤の全身投与は、排除しようとしている腫瘍細胞と同様に、正常な細胞に対して許容できないレベルの毒性をもたらし得る(Baldwinら(1986)Lancet(1986年3月15日)603−05頁;Monoclonal Antibodies 1984年:Biological And Clinical Applications、Pincheraら(編)、475−506頁におけるThorpe、(1985)「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review」)。最小の毒性での最大の効力は前記のものによって求められる。ADCをデザインし、精製する努力は、モノクローナル抗体(mAbs)の選択性ならびに薬剤結合性および薬剤放出性に焦点を当ててきた。ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体の双方がこれらの戦略に有用であると報告されている(Rowlandら(1986)Cancer Immunol.Immunother.、21:183−87頁)。これらの方法に用いられる薬剤としては、ダウノマイシン、ドキソルビシン、メトトレキサート、およびビンデシン(Rowlandら(1986)上記)が挙げられる。抗体−毒素複合体に用いられる毒素としては、ジフテリア毒素などの細菌毒素、リシンなどの植物毒素、ゲルダナマイシンなどの小型分子毒素(Mandlerら(2000)J.of the Nat.Cancer Inst.92(19):1573−1581頁;Mandlerら(2000)Bioorganic & Med.Chem.Letters 10:1025−1028頁;Mandlerら(2002)Bioconjugate Chem.13:786−791頁)、メイタンシノイド(maytansinoids)(欧州特許第1391213号;Liuら、(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:8618−8623頁)、およびカリケアマイシン(calicheamicin)(Lodeら(1998)Cancer Res.58:2928頁;Hinmanら(1993)Cancer Res.53:3336−3342頁)が挙げられる。
精製抗体への毒素の結合による抗体−薬剤複合体を作製するための技法は、当業界に十分知られており、ルーチンに用いられている。例えば、毒素DM1に対する精製モノクローナル抗体の結合は以下のとおり達成できる。ジチオピリジル基を導入するために、精製抗体を、N−スクシニミジル−4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエートにより誘導体化する。NaCl(50mM)およびEDTA(1mM)を含有する50mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)の44.7ml中の抗体(376.0mg、8mg/mL)を、SPP(2.3mlのエタノール中、5.3モル当量)で処理する。周囲温度でアルゴン下、90分間のインキュベーション後、35mMのクエン酸ナトリウム、154mMのNaClおよび2mMのEDTAによって平衡化したSephadex G25カラムを通して、該反応混合物をゲルろ過する。次いで、フラクションを含有する抗体をプールしアッセイする。抗体−SPP−Py(放出可能な2−チオピリジン基を有する337.0mg)を、上記の35mMのクエン酸ナトリウム緩衝液、pH6.5、により、2.5mg/mlの最終濃度に希釈する。次に、3.0mMのジメチルアセトアミド(DMA、最終反応混合物中、3%v/v)中、DM1(1.7当量、16.1モル)を抗体溶液に加える。アルゴン下、周囲温度で20時間、反応を進行させる。35mMのクエン酸ナトリウム、154mMのNaCl、pH6.5により平衡化したSephacryl S300ゲルろ過カラム(5.0cm×90.0cm、1.77L)上に該反応物を装填する。流速は5.0ml/分で、65の(各20.0ml)フラクションを回収した。フラクションをプールし、アッセイし、252nmおよび280nmにおける吸光度を測定することによって、抗体分子1個当たりに結合したDM1薬剤分子の数(p’)を判定する。
例示を目的として、毒素DM1に対する精製モノクローナル抗体の結合はまた、以下のとおり達成することもできる。SMCCリンカーを導入するために、精製抗体を、(スクシニミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC、Pierce Biotechnology社)により誘導体化する。50mMのリン酸カリウム/50mMの塩化ナトリウム/2mMのEDTA、pH6.5中、20mg/mlでの抗体を、7.5モル当量のSMCC(DMSO中、20mM、6.7mg/ml)により処理する。アルゴン下、周囲温度で2時間攪拌後、該反応混合物を、50mMのリン酸カリウム/50mMの塩化ナトリウム/2mMのEDTA,pH6.5により平衡化したSephadex G25カラムを通してろ過する。フラクションを含有する抗体をプールし、アッセイする。次いで、抗体−SMCCを、50mMのリン酸カリウム/50mMの塩化ナトリウム/2mMのEDTA,pH6.5により、10mg/mlの最終濃度に希釈し、ジメチルアセトアミド中、DFM1(5SMCC/抗体想定の1.7当量、7.37mg/ml)の10mM溶液と反応させる。該反応物をアルゴン下、周囲温度で16.5時間攪拌する。次いで、pH6.5の1×PBSにより、Sephadex G25ゲルろ過カラム(1.5×4.9cm)を通して、該結合反応混合物をろ過する。次に、252nmおよび280nmにおける吸光度により、DM1/抗体比(p)を測定する。
細胞毒性剤は、典型的に、抗体のしばしば多数であるリシン残基を介して抗体に結合している。対象の抗体に存在するか、または操作して入れたチオール基を介した結合もまた達成されている。例えば、リガンドに対する共有結合部位を形成するために遺伝子操作法によって、システイン残基がタンパク質内に導入されている(Betterら(1994)J.Biol.Chem.13:9644−9650頁;Bernhardら(1994)Bioconjugate Chem.5:126−132頁;Greenwoodら(1994)Therapeutic Immunology 1:247−255頁;Tuら(1999)Proc.Natl.Acad.Sci USA 96:4862−4867頁;Kannoら(2000)J.of Biotechnology、76:207−214頁;Chmuraら(2001)Proc.Natl.Acad.Sci USA 98(15):8480−8484頁;米国特許第6,248,564号)。遊離のシステイン残基が対象の抗体に存在すると、毒素はその部位に結合することができる。例えば、薬剤リンカー試薬、DMSO中に溶解させた、マレイミドカプロイル−モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、すなわち、MC−MMAE、マレイミドカプロイル−モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、すなわち、MC−MMAF、MC−val−cit−PAB−MMAEまたはMC−val−cit−PAB−MMAFを、アセトニトリルおよび水の中に既知濃度で希釈し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の冷システイン誘導体化抗体に加える。約1時間後、過剰のマレイミドを加えて反応をクエンチし、未反応の抗体チオール基をキャップする。該反応混合物を、遠心分離限外ろ過により濃縮し、毒素結合抗体を、PBS中G25樹脂を通した溶出により精製、脱塩し、滅菌条件下、0.2mフィルターを通してろ過し、保存のため凍結する。
さらに、選択抗体上の遊離システインを、ビスマレイミド試薬、BM(PEO)4(Pierce Chemical)によって修飾して、抗体の表面上の未反応マレイミド基を残すことができる。これは、50%エタノール/水混合液中に10mMの濃度までBM(PEO)4を溶解させ、リン酸緩衝生理食塩水中におよそ1.6mg/ml(10ミクロモル)の濃度で抗体を含有する溶液に10倍モル過剰を加え、1時間反応させることによって達成できる。150mMのNaCl緩衝液を有する30mMのクエン酸塩、pH6中、ゲルろ過によって、過剰なBM(PEO)4を除去する。およそ10倍モル過剰のDM1をジメチルアセトアミド(DMA)中に溶解し、抗体−BMPEO中間体に加える。薬剤部分試薬を溶解させるために、ジメチルホルムアミド(DMF)もまた使用できる。該反応混合物を一晩反応させてから、PBS中にゲルろ過または透析をして、未反応の薬剤を除去する。PBS中S200カラム上でのゲルろ過を用いて、高分子量の凝集物を除去し、精製された抗体−BMPEO−DM1複合体を得る。
本明細書および他に記載された周知のルーチンに使用される技法を用いて、抗TAT113モノクローナル抗体12E5(上記実施例6に記載されたとおりに調製され、下記に記載されるATCCにより寄託されている)を、MC−val−cit−PAB−MMAEに結合させた。
実施例9:インビトロ細胞死アッセイ
対象のTATポリペプチドを発現する哺乳動物細胞は、標準的な発現ベクターおよびクローニング法によって得ることができる。あるいは、対象のTATポリペプチドを発現する多くの腫瘍細胞系が、例えばATCCを介して公共的に入手でき、標準的なELISA分析またはFACS分析を用いてルーチンに同定できる。次いで、インビトロでTATポリペプチド発現細胞を死滅させる抗体の能力を判定するために、抗TATポリペプチドモノクローナル抗体(およびその毒素結合誘導体)をアッセイに使用できる。
特に本発明に関して、細胞表面上にTAT113ポリペプチドを安定して発現するPC3由来の細胞系(本明細書でPC3−gD−MDPと称される)を標準的技法を用いて操作して、PC3−gD−MDP細胞によるTAT113ポリペプチドの発現を、標準的なFACS細胞選別、ELISAおよび免疫組織化学的分析を用いて確認した。PC3−gD−MDP細胞を死滅させるMMAE化合物モノクローナル抗体12E5−MMAEの能力を、以下のプロトコル(Promega Corp.Technical Bulletin TB288;Mendozaら(2002)Cancer Res.62:5485−5488頁)を使用するインビトロ細胞死アッセイを用いて判定した:
1.増殖培地中、約10細胞(PC3−gD−MDP細胞またはTAT113を発現しない非トランスフェクトPC3細胞)を含有する細胞培養物の50μlのアリコートを96ウェルの不透明壁プレートの各ウェルに置く。さらに、細胞なしの増殖培地50μlを含有する対照ウェルを準備する。
2.抗体12E5−MMAEまたはTAT113に結合しないMMAE結合抗インターロイキン−8モノクローナル抗体を50μlの容量、および0.0001μg/mlから100μg/mlの範囲の種々の濃度で各ウェルに加え、該プレートを37℃、5%COで3〜5日間インキュベートする。
3.該プレートを、およそ30分間室温に平衡化する。
4.各ウェルに存在する細胞培養培地の容量に等しい容量の、Promega社からのCellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Reagentを加え、プレートをオービタルシェイカー上で2分間振とうさせ、細胞溶解物を誘導する。
5.該プレートを室温で10分間インキュベートし、発光シグナルをを安定化させる。
6.RLU=相対発光単位として報告されるTropix Winglow Programandにより、ルミノメータ上で発光を記録する。
上記のアッセイから得られた結果は、12E5−MMAE抗体は、抗体依存様式で、TAT113ポリペプチド発現細胞の死を誘導できることを実証している。より具体的には、12E5−MMAE抗体も、IL−8−MMAE抗体も1μg/ml以下の抗体濃度では、非トランスフェクトPC3細胞の有意な死を誘導しない。1μg/ml以上の抗体濃度では、非トランスフェクトPC3細胞の死滅量は、抗体濃度と共に直線的に増加し、それは抗体に独立した様式である。したがって、1μg/ml以上の抗体濃度における非トランスフェクトPC3細胞の死は、反応混合物中に存在するMMAE毒素の増加濃度の非特定的な結果であり、使用される抗体の結合特異性の関数ではないと考えられる。しかし、TAT113ポリペプチドを安定して発現するPC3−gD−MDP細胞に関して、IL−8−MMAEは、非トランスフェクトPC3細胞を死滅させるその抗体の能力と同じパターンを有する細胞死を誘導するが、12E5−MMAEは、0.001μg/mlという低い抗体濃度で有意な細胞死を誘導する。実際、1μg/mlの抗体濃度(この濃度で、非TAT113特異的IL−8−MMAE抗体は有意な細胞死を示さない)で、事実上全てのPC3−gD−MDP細胞が、12E5−MMAEによって死滅する。このように、これらのデータは、モノクローナル抗体12E5は、細胞の表面に発現しているTAT113ポリペプチドに結合し、結合しているそれらの細胞の死を誘導できることを実証している。
第2の実験において、インビトロで結腸癌由来COLO205細胞(出願者がFACS細胞選別分析により、TAT113ポリペプチドを発現することを示した細胞)を死滅させるモノクローナル抗体12E5−MMAEの能力を判定するために、上記のアッセイを使用した。PC3由来細胞系に関して上記に提示された結果に一致して、IL−8−MMAEは約1μg/ml以上の抗体濃度になるまで、有意なCOLO205細胞死を示し始めることなく、この細胞死のレベルは、抗体濃度と共に直線的に増加し、および抗体に独立した様式である。しかし、モノクローナル抗体12E5−MMAEは、約0.1μg/mlという低い抗体濃度で有意なCOLO205細胞死を誘導し始める。実際、1μg/mlの抗体濃度(この濃度で、非TAT113特異的IL−8−MMAE抗体は有意な細胞死を示さない)で、きわめて著しいレベルの12E5−MMAE誘導COLO205細胞死が見られる。このように、これらのデータもまた、モノクローナル抗体12E5は、細胞の表面に発現しているTAT113ポリペプチドに結合し、結合しているそれらの細胞の死を誘導できることを実証している。
実施例10:インビボ腫瘍細胞死アッセイ
インビボで腫瘍細胞の死を誘導する能力に関して、毒素結合または非結合の抗TATポリペプチドモノクローナル抗体の有効性を試験するために、以下のプロトコルを使用できる。
無胸腺ヌードマウスの一群に、5×10のTATポリペプチド発現腫瘍促進細胞を、脇腹に皮下接種する。腫瘍が100〜200mm間の平均腫瘍容量に達したら、該マウスを5群に等しく分け、以下のとおり処置した:
第1群−1週に1回、4週間、PBS対照媒体を投与;
第2群−1週に1回、4週間、1mg/kgで非特異的対照抗体を投与;
第3群−1週に1回、4週間、3mg/kgで非特異的対照抗体を投与;
第4群−1週に1回、4週間、1mg/kgで特異的抗TATポリペプチド抗体を投与;
第5群−1週に1回、4週間、3mg/kgで特異的抗TATポリペプチド抗体を投与。
次いで、定期的間隔で書く処置群のマウスにおける平均腫瘍容量を判定し、抗体の有効性を判定できる。
実施例11:ハイブリダイゼーションプローブとしてのTATの使用
以下の方法では、ハイブリダイゼーションプローブとして、すなわち、哺乳動物における腫瘍の存在の診断のための、TATをコードするヌクレオチド配列の使用を記載する。
本明細書に開示されている完全長または成熟TATのコード配列を含むDNAはまた、ヒト組織cDNAライブラリーまたはヒト組織ゲノムライブラリーにおける相同性DNA(TATの天然変異体をコードするものなど)をスクリーンするプローブとしても使用できる。
いずれかのライブラリーのDNAを含有するフィルターのハイブリダイゼーションおよび洗浄は、以下の高ストリンジェンシー条件下で実施される。該フィルターに対する放射性標識TAT誘導プローブのハイブリダイゼーションを、50%のホルムアミド、5×SSC、0.1%のSDS、0.1%のピロリン酸ナトリウム、50mMのリン酸ナトリウム、pH6.8、2×デンハート液、および10%の硫酸デキストラン中、42℃で20時間実施する。該フィルターの洗浄は、0.1×SSCおよび0.1%のSDSの水性溶液中、42℃で実施する。
次いで、完全長天然配列TATをコードするDNAと所望の配列同一性を有するDNAを、当業界に知られている標準的な技法を用いて同定することができる。
実施例12:大腸菌におけるTATの発現
本実施例では、大腸菌における組換え発現によるTATの非グリコシル化形態の調製を例示する。
先ず、TATをコードするDNA配列を、選択されたPCRプライマーを用いて増幅する。該プライマーは、選択された発現ベクター上の制限酵素部位に対応する制限酵素部位を含有する必要がある。種々の発現ベクターを使用することができる。好適なベクターの一例は、アンピシリン耐性およびテトラサイクリン耐性に関する遺伝子を含有するpBR322(大腸菌由来;Bolivarら、Gene、2:95(1977)を参照)である。該ベクターは制限酵素によって消化され、脱リン酸化される。次いで、PCR増幅配列をベクター内に結合させる。該ベクターは、抗生物質耐性遺伝子をコードする配列、trpプロモーター、ポリhisリーダー(最初の6つのSTIIコドン、ポリhis配列、およびエンテロキナーゼ開裂部位を含む)、TATコード領域、ラムダ転写ターミネーター、およびargU遺伝子を含むことが好ましい。
次いで、Sambrookら、上記に記載された方法を用い、該結合混合物を使用して選択された大腸菌株を形質転換する。LBプレート上で増殖する能力により形質転換体を同定し、次いで、抗生物質耐性コロニーを選択する。プラスミドDNAを単離し、制限分析およびDNA配列決定により確認することができる。
選択されたクローンは、抗生物質を添加したLBブロスなどの液体培養培地中で一晩増殖できる。この一晩の培養物を、引き続き大規模培養の接種に使用できる。次いで該細胞を所望の視覚密度まで増殖させるが、その間に発現プロモーターが働く。
該細胞をさらに数時間培養した後、該細胞を遠心分離により採取する。遠心分離により得られた細胞ペレットは、当業界に知られている種々の薬剤を用いて可溶化でき、次いで可溶化したTATタンパク質は、該タンパク質の緊密な結合を可能にする条件下、金属キレート化カラムを用いて精製することができる。
以下の操作を用いて、TATを、ポリ−Hisタグ化形態で、大腸菌において発現させることができる。先ず、選択されたPCRプライマーを用いて、TATをコードするDNAを増幅する。該プライマーは、選択された発現ベクター上の制限酵素部位に対応する制限酵素部位、ならびに、効率的で信頼性を有する翻訳開始、金属キレート化カラム上での迅速な精製、およびエンテロキナーゼによるタンパク質分解性除去を提供する他の有用な配列を含有する。次いで、PCR増幅、ポリHisタグ化配列を、52(W3110fuhA(tonA)lon galE rpoHts(htpRts)clpP(lacIq)株に基づいた宿主大腸菌を形質転換するために用いられる発現ベクター内に結合する。先ず、形質転換体を、50mg/mlのカルベニシリンを含有するLB中、30℃で振とうしながら、3〜5のO.D.600になるまで増殖させる。次いで、培養物をCRAP培地(500mLの水中、3.57g(NHSO、0.71gのクエン酸ナトリウム・2H2O、1.07gのKCl、5.36gのDifco酵母抽出物、5.36gのSheffield hycase SF、ならびに110mMのMPOS、pH7.3、0.55%(w/v)のグルコースおよび7mMのMgSOを混合することにより調製)中に50〜100倍に希釈し、30℃で振とうしながらおよそ20〜30時間増殖させる。サンプルを取り出し、SDS−PAGE分析により発現を検証し、バルク培養物を遠心分離して、細胞をペレット化する。精製およびリフォールディングまで、細胞ペレットを凍結させる。
0.5Lから1Lの発酵物(6〜10gのペレット)からの大腸菌ペーストを、7Mのグアニジン、20mMのトリス、pH8緩衝液中、10容量(w/v)に再懸濁させる。固体亜硫酸ナトリウムおよびテトラチオン酸ナトリウムを加えて、最終濃度をそれぞれ、0.1Mおよび0.02Mにし、該溶液を4℃で一晩攪拌する。このステップにより、全てのシステイン残基が亜硫酸化によりブロックされて、タンパク質の変性がもたらされる。該溶液を、Beckman超遠心分離機において、40,000rpmで30分間、遠心分離する。上澄み液を3〜5容量の金属キレートカラム緩衝液(6Mのグアニジン、20mMのトリス、pH7.4)により希釈し、0.22ミクロンのフィルターを通してろ過し、清澄化する。清澄化した抽出物を、金属キレートカラム緩衝液で平衡化した5mlのQiagen Ni−NTA金属キレートカラムに充填する。該カラムを、50mMのイミダゾール(Calbiochem、ウトロール(Utrol)グレード)、pH7.4を含有する追加緩衝液により洗浄する。該タンパク質は、250mMのイミダゾールを含有する緩衝液により溶出する。所望のタンパク質を含有するフラクションをプールし、4℃で保存する。タンパク質濃度は、アミノ酸配列に基づいて算出された吸光係数を用い、280nmにおける吸光度により予測する。
20mMのトリス、pH8.6、0.3MのNaCl、2.5Mの尿素、5mMのシステイン、20mMのグリシンおよび1mMのEDTAから構成された、新鮮調製リフォールディング緩衝液内に、該サンプルを徐々に希釈することによって、該タンパク質をリフォールドする。最終タンパク質濃度が、50マイクログラム/mlから100マイクログラム/mlの間になるように、リフォールディング容量を選択する。リフォールディング溶液を、4℃で12〜36時間、静かに攪拌する。0.4%(pHおよそ3)の最終濃度にTFAを添加することによって、リフォールディング反応をクウェンチする。該タンパク質をさらに精製する前に、0.22ミクロンのフィルターを通して該溶液をろ過し、アセトニトリルを、2〜10%の最終濃度まで添加する。0.1%TFAの移動性緩衝液を用い、10%から80%のアセトニトリル勾配での溶出により、リフォールドされたタンパク質を、Poros R1/H逆相カラム上でクロマトグラフィにかける。A280吸光度を有するフラクションのアリコートを、SDSポリアクリルアミドゲル上で分析し、均一なリフォールドタンパク質を含有するフラクションをプールする。一般に、大抵のタンパク質の適切にリフォールドされた種は、最もコンパクトであり、それらの疎水性内部が逆相樹脂との相互作用から遮蔽されているため、最も低い濃度のアセトニトリルで溶出する。凝集した種は、通常、より高いアセトニトリル濃度で溶出する。逆相ステップは、所望の形態から誤ってリフォールドされた形態のタンパク質を分離することに加えて、サンプルから内毒素も除去する。
所望のフォールドTATポリペプチドを含有するフラクションをプールし、該溶液に向けた窒素の緩流を用いてアセトニトリルを除去する。タンパク質を、0.14Mの塩化ナトリウムおよび4%のマンニトールと共に20mMのHepes、pH6.8中に、透析により、または処置緩衝液中で平衡化したG25 Superfine(Pharmacia)樹脂を用いたゲルろ過により処置し、滅菌ろ過する。
実施例13:哺乳動物におけるTATの発現
本実施例では、哺乳動物細胞における組換え発現によるTATのグリコシル化形態の可能性のあるものの調製を例示する。
ベクター、pRK5(1989年3月15日公開の欧州特許第307,247号を参照)を、発現ベクターとして用いる。任意に、TAT DNAを、選択された制限酵素によりpRK5内に結合し、Sambrookら、上記、に記載された結合方法などを用いて、TAT DNAの挿入を可能にする。得られたベクターは、pRK5−TATと称される。
一実施形態において、選択された宿主細胞は293細胞であり得る。ヒト293細胞(ATCC CCL 1573)を、ウシ胎仔血清および任意に、栄養成分および/または抗生物質を添加したDMEMなどの培地中で組織培養プレートに集密になるまで増殖させる。約10μgのpRK5−TATDNAを、VA RNA遺伝子をコードするや1μgのDNAと混合し〔Thimmappayaら、Cell、31:543頁(1982)〕、500μlの1mM トリス−HCl、0.1mMのEDTA、0.227MのCaClに溶解させる。この混合物に、500μlの50mM HEPES(pH7.35)、280mMのNaCl、1.5mMのNaPOを滴下して加え、25℃で10分間、沈殿を形成させる。沈殿物を懸濁させ、293細胞に加え、37℃で約4時間、沈降させる。該培養培地を吸引除去し、PBS中、2mlの20%グリセロールを30秒間加える。次いで、該293細胞を無血清培地で洗浄し、新鮮培地を加えて、該細胞を約5日間インキュベートする。
トランスフェクションのおよそ24時間後、該培養培地を除去し、培養培地(単独)または200μCi/mlの35S−システインおよび200μCi/mlの35S−メチオニンを含有する培養培地により置換する。12時間のインキュベーション後、馴化培地を採取し、スピンフィルター上で濃縮し、15%SDSゲル上に充填する。処理したゲルを乾燥し、選択された時間、フィルムに曝露し、TATポリペプチドの存在を明らかにすることができる。トランスフェクトした細胞を含有する培養物をさらにインキュベーション(無血清培地中)して、該培地を、選択されたバイオアッセイにおいて試験することができる。
代替技法において、TATを、Somparyracら、Proc.Natl.Acad.Sci.、12:7575頁(1981)に記載された硫酸デキスオラン法を用いて293細胞内に一時的に導入できる。293細胞を、スピナーフラスコ内で最高密度まで増殖させ、700μgのpRK5−TAT DNAを加える。該細胞を先ず、遠心分離によりスピナーフラスコから濃縮し、PBSで洗浄する。DNA−デキストラン沈殿物を、細胞ペレット上で4時間インキュベートする。該細胞を20%グリセロールで90秒間処理し、組織培養培地で洗浄し、組織培養培地、5μg/mlのウシインスリンおよび0.1μg/mlのウシトランスフェリンを含有するスピナーフラスコ内へ再導入する。約4日後、該馴化培地を遠心分離し、ろ過して、細胞およびデブリを除去する。次いで、発現TATを含有するサンプルを濃縮し、透析および/またはカラムクロマトグラフィーなどの任意の選択された方法により精製することができる。
他の実施形態において、TATをCHO細胞内に発現させることができる。pRK5−TATを、CaPOまたはDEAE−デキストランなどの公知の試薬を用いてCHO細胞内にトランスフェクトできる。上記のとおり、該細胞培養物をインキュベートし、該培地を、培養培地(単独)または35S−メチオニンなどの放射性標識を含有する培地により置換することができる。TATポリペプチドの存在を判定後、培養培地を、無血清培地により置換できる。好ましくは、外培養物は約6日間インキュベートし、次いで、該馴化培地を採取する。次いで、発現TATを含有する培地を濃縮し、任意の選択された方法により精製することができる。
エピトープ−タグ化TATもまた、宿主のCHO細胞内に発現させることができる。TATは、pRK5ベクターからサブクローン化できる。サブクローン挿入体はPCRを受けて、フレーム内に、ポリ−hisタグなどの選択されたエピトープタグと、バキュロウィルス発現ベクター内へ融合できる。次いで、安定なクローン選択のために、DHFRなどの選択マーカーを含有するSV40駆動ベクター内へ、ポリ−hisタグ化TAT挿入体をサブクローン化できる。最後に、CHO細胞にSV40駆動ベクターをトランスフェクトできる(上記のとおり)。発現を検証するために、上記のとおり標識化を実施できる。次に、発現ポリ−Hisタグ化TATを含有する培養培地を、濃縮し、Ni2+−キレートアフィニティークロマトグラフィーなどの任意の選択された方法により精製できる。
TATはまた、一時的発現操作によりCHOおよび/またはCOS細胞において、または他の安定な発現操作によりCHO細胞において発現させることもできる。
CHO細胞における安定な発現は、以下の操作を用いて実施される。該タンパク質は、それぞれのタンパク質の可溶性形態をコードする配列(例えば、細胞外ドメイン)が、ヒンジ、CH2およびCH2度目を含有するIgG1定常領域配列に融合し、および/またはポリ−Hisタグ化形態であるIgG構築体(免疫アドヘシン)として発現する。
PCR増幅後、Ausubelら、Current Protocols of Molecular Biology、Unit3.16、John WileyおよびSons(1997)に記載されている標準的技法を用いて、それぞれのDNAを、CHO発現ベクター内にサブクローン化する。CHO発現ベクターは、対象のDNAの適合性制限部位5’および3’を有するように構築され、cDNAの簡便なシャットリングを可能にする。CHO細胞におけるベクター使用発現は、Lucasら、Nucl.Acids Res.24:9(1774−1779頁(1996)に記載されているとおりであり、対象のcDNAの発現を駆動するためのSV40初期プロモーター/エンハンサーおよびジヒドロフォレートレダクターゼ(DHFR)が用いられる。DHFR発現により、トランスフェクション後のプラスミドの安定維持のための選択が可能になる。
市販のトランスフェクション試薬、SUPERFECT(登録商標)(Quiagen)、DOSPER(登録商標)またはFUGENE(登録商標)(Boehringer Mannheim)を用いて、12マイクログラムの所望プラスミドDNAを、およそ1000万のCHO細胞に導入する。該サンプル簿は、Lucas,上記、に記載されているとおり増殖させる。下記のさらなる増殖および生産のために、およそ3×10細胞をアンプルに凍結する。
プラスミドDNAを含有するアンプルを、水浴に入れて攪拌することにより解凍する。該内容物を10mLsの培地を含有する遠心分離管にピペットで入れ、1000rpmで5分間、遠心分離する。上澄み液を吸引し、該細胞を、10mLの選択培地(5%の0.2μmダイアフィルトレートしたウシ胎仔血清を有する0.2μmろ過したPS20)に再懸濁する。次いで該細胞を、90mLの選択培地を含有する100mLのスピナー内に分割する。1〜2日後、該細胞を、150mLの選択増殖培地を充填した250mLスピナー内に移し、37℃でインキュベートする。さらに2〜3日後、250mL、500mLおよび2000mLのスピナーに、3×10細胞/mLを接種する。該細胞培地を、遠心分離および生産培地における再懸濁により、新鮮培地と交換する。任意の好適なCHO培地が使用できるが、1992年6月16日発行の米国特許第5,122,469号に記載された生産培地が実際に使用できる。3Lの生産スピナーに、1.2×10細胞/mLで接種する。0日目に、細胞数pHie判定される。1日目に、スピナーをサンプリングし、ろ過空気によるスパージングを開始する。2日目に、スピナーをサンプリングし、温度を33℃に移し、30mLの500g/Lグルコースおよび0.6mLの10%消泡剤(例えば、35%ポリジメチルシロキサンエマルション、Dow Corning 365 Medical Grade Emulsion)を使用する。生産を通して、pHは、7.2付近に維持するように、適宜調整する。10日後、または生存度が70%以下に低下するまで、該細胞培養物を、遠心分離および0.22μmフィルターを通して採取する。ろ液は、4℃で保存するか、または精製のため、直ちにカラム上に装填した。
ポリ−Hisタグ化構築体に関して、該タンパク質は、Ni−NTAカラム(Qiagen)を用いて精製する。精製前、馴化培地に、イミダゾールを5mMの濃度まで加える。該馴化培地を、20mMのHepes、pH7.4で平衡化した6mlのNi−NTAカラム上にポンプ装入し、緩衝液は0.3MのNaClおよび5mMのイミダゾールを含有し、4℃で4〜5ml/分の流速である。充填後、該カラムを、追加の平衡緩衝液で洗浄し、該タンパク質を、0.25Mのイミダゾールを含有する平衡緩衝液で溶出させる。高精製タンパク質を、引き続き、25mlのG25 Superfine(Pharmacia)カラムにより、10mMのHepes、0.14MのNaClおよび4%のマンニトール、pH6.8を含有する貯蔵緩衝液内に脱塩し、−80℃で保存する。
免疫アドヘシン(Fc含有)構築体を、以下のとおり馴化培地から精製する。該馴化培地を、20mMのリン酸Na緩衝液、pH6.8中で平衡化した5mlのProtein Aカラム(Pharmacia)上にポンプ装入する。充填後、該カラムを平衡緩衝液により徹底的に洗浄してから、100mMのクエン酸、pH3.5により溶出させる。溶出したタンパク質を直ちに、275μLの1M トリス緩衝液、pH9を含有する試験管内へ、1mlのフラクションを採取することにより中和する。高精製タンパク質を引き続き、ポリ−Hisタグ化タンパク質に関して上記したとおり、貯蔵緩衝液中に脱塩する。均一性をSDSポリアクリルアミドゲルおよびエドマン分解によるN末端アミノ酸配列決定によって評価する。
実施例14:酵母におけるTATの発現
以下の方法で、酵母における組換えTATの発現を記載する。
先ず、ADH2/GAPDHプロモーターからのTATの細胞内産生または分泌のために、酵母発現ベクターを構築する。TATの細胞内発現を指示するために、TATをコードするDNAおよびプロモーターを、選択されたプラスミド内の好適な制限酵素部位内に挿入する。TAT発現のための、ADH2/GAPDHプロモーター、天然TATシグナルペプチドまたは他の哺乳動物シグナルペプチド、または、例えば、酵母アルファ因子またはインベルターゼ分泌シグナル/リーダー配列およびリンカー配列(適宜)をコードするDNAと共に、分泌のために、TATをコードするDNAを分泌プラスミド内にクローン化できる。
次いで、酵母株AB110などの酵母細胞を、上記の発現プラスミドにより形質転換し選択された発酵培地中で培養できる。形質転換した酵母上澄み液を、10%トリクロロ酢酸による沈降およびSDS−PAGEによる分離、引き続き、クーマシーブルー染色によるゲルの染色によって分析できる。
組換えTATは、引き続き、遠心分離による発酵培地からの酵母細胞の除去、次いで、選択されたカートリッジフィルターを用いた培地の濃縮により、単離し精製することができる。TATを含有する濃縮物は、選択されたカラムクロマトグラフィー樹脂を用いてさらに精製できる。
実施例15:バキュロウィルス感染昆虫細胞におけるTATの発現
以下の方法では、バキュロウィルス感染昆虫細胞におけるTATの組換え発現を記載する。
TATをコードする配列を、バキュロウィルス発現ベクター内に含有されるエピトープタグの上流に融合させる。このようなエピトープタグは、ポリ−hisタグおよび免疫グロブリンタグ(IgGのFc領域のような)を含む。pVL1393(Novagen)などの市販のプラスミドから誘導されたプラスミドなど、種々のプラスミドが使用できる。簡単の述べると、TATをコードする配列、または、膜貫通タンパク質の細胞外ドメインをコードする配列、もしくは、タンパク質が細胞外である場合は、成熟タンパク質をコードする配列などのTATをコードする配列の所望の部分を、5’および3’領域に相補的なプライマーと共に、PCRにより増幅させる。5’プライマーは、フランキング(選択された)制限酵素部位を組み込むことができる。次いで、該産物を、それらの選択された制限酵素により消化し、発現ベクター内にサブクローン化する。
組換えバキュロウィルスは、上記のプラスミドおよびBACULOGOLD(商標)ウィルスDNA(Pharmingen)を、Spodoptera frugiperda(「Sf9」)細胞内に共トランスフェクトすることによって作出される。28℃で4〜5日間インキュベーションした後、放出されたウィルスを採取し、さらなる増幅に用いる。ウィルス感染およびタンパク質発現は、O’Reileyら、Baculovirus expression vectors:A Laboratory Manual、オクスフォード:オクスフォード大学出版(1994)により記載されたとおりに実施する。
次に、発現したポリ−hisタグ化TATを、以下のとおり、Ni2+−キレートアフィニティークロマトグラフィーにより精製できる。Rupertら、Nature、362:175−179頁(1993)により記載されたとおり、組換えウィルス感染Sf9細胞から調製する。簡単に述べると、Sf9細胞を洗浄し、音波処理緩衝液(25mLのHepes、pH7.9;12.5mMのMgCl;0.1mMのEDTA;10%のグリセロール;0.1%のNP−40;0.4MのKCl)中に再懸濁し、氷上で20秒間、2回音波処理する。音波処理物を遠心分離により清澄化し、上澄み液を充填緩衝液(50mMのリン酸塩、300mMのNaCl、10%のグリセロール、pH7.8)中、50倍に希釈し、0.45μmのフィルターを通してろ過する。Ni2+−NTAアガロースカラム(Qiagenから市販されている)を、5mLのベッド容量で調製し、25mLの水で洗浄し、25mLの充填緩衝液で平衡化する。ろ過した細胞抽出物を、1分当たり0.5mLでカラムに充填する。該カラムを充填緩衝液により、ベースラインA280まで洗浄し、その時点でフラクションの採取を開始する。次に、該カラムを第二次洗浄緩衝液(50mMのリン酸塩;300mMのNaCl、10%のグリセロール、pH6.0)で洗浄し、非特異的結合タンパク質を溶出させる。やはり、ベースラインA280に達したら、該カラムを、第二次緩衝液中、0mMから500mMのイミダゾール勾配によって展開させる。1mLのフラクションを採取し、SDS−PAGEおよび銀染色またはアルカリホスファターゼ(Qiagen)に対するNi2+−NTA−複合体によるウェスタンブロットによって分析する。溶出したHis10−タグ化TATを含有するフラクションをプールし、充填緩衝液に対して透析する。
代替として、IgGタグ化(またはFcタグ化)TATの精製は、例えば、タンパク質Aまたはタンパク質Gカラムクローニングなどの公知のクロマトグラフィ法を用いて実施できる。
実施例16:特異的抗体を用いたTATポリペプチドの精製
天然または組換えTATポリペプチドは、タンパク質精製業界における種々の標準的な技法によって精製できる。例えば、プロTATポリペプチド、成熟TATポリペプチド、またはプレTATポリペプチドは、対象のTATポリペプチドに特異的な抗体を用いて免疫アフィニティークロマトグラフィーによて精製される。一般に、免疫アフィニティーカラムは、活性化クロマトグラフィー樹脂に対する抗TATポリペプチド抗体の共有結合により構築される。
ポリクローナル免疫グロブリンは、硫酸アンモニウムによる沈殿、または固定化タンパク質A上での精製(Pharmacia LKB Biotechnology、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)により、免疫血清から調製される。同様に、モノクローナル抗体は、硫酸アンモニウム沈殿、または固定化タンパク質A上でのクロマトグラフィーにより、マウス腹水から調製される。部分的精製免疫グロブリンは、CnBr活性化SEPHAROSE(商標)(Phrmacia LKB Biotechnology)などのクロマトグラフィー樹脂に共有結合する。該抗体を該樹脂に結合させ、該樹脂をブロックし、該誘導樹脂を製造元の指示に従って洗浄する。
このような免疫アフィニティーカラムは、可溶性形態でのTATポリペプチドを含有する細胞からフラクションを調製することによりTATポリペプチドの精製に利用される。この調製物は、洗浄剤の添加、または当業界に知られた他の方法により、分画遠心分離を介して得られた細胞全体または細胞成分フラクションの可溶化によって誘導される。あるいは、シグナル配列を含有する可溶性TATポリペプチドを、該細胞を増殖させる培地に有用な量で分泌させることができる。
可溶性のTATポリペプチド含有調製物は、免疫アフィニティーカラム上を通過させ、該カラムを、TATポリペプチドの優先的な吸収を可能にする条件下(例えば、洗浄剤の存在下、高イオン強度の緩衝液)で洗浄する。次いで該カラムを、抗体/TATポリペプチド結合を破壊する条件下(例えば、およそpH2〜3などの低pH化し、または、尿素またはチオシアネートイオンなどのカオトロピック高濃度)で溶出させ、TATポリペプチドを採取する。
材料の寄託
以下の材料を、American Type Culture Collection、10801、University Blvd、マナサス、VA20110−2209、USA(ATCC)に寄託した:
Figure 2008535498
これらの寄託は、特許手続きおよびその下での規則を目的とした微生物寄託の国際的承認についてのブダペスト条約(Budapest Treaty)の規定の下になされた。これによって、寄託月日から30年間、寄託物の生存可能な培養維持が保証される。寄託物は、ブダペスト条約の期間、ATCCにより入手可能となり、Genetech社とATCCとの間の同意に供され、関連米国特許の発行の際、または任意の米国もしくは外国の特許出願の公開の際、いずれが先になっても、寄託培養物の後代の永久的および無制限の入手可能性を保証し、米国特許商標庁長官により、35USC§122およびそれに準ずる長官規則(886OG638への具体的リファレンスを有する37CFR§1.14を含む)に従ってそれに資格が与えられると決定された者に該後代の入手可能性を保証する。
本出願の譲受人は、寄託された材料の培養物が、好適な条件下で培養した場合に、死滅するか、失われるか、または破壊されたならば、通告した上で、その材料が直ちに他の同一なものと取り替えられることに同意した。寄託材料の入手可能性は、その特許法に従っていずれかの政府機関の下で認可された権利に違反して本発明を実施する許可として考えるべきではない。
先に記された明細書は、当業者が本発明を実施することを可能にする上で十分であると考えられる。寄託された実施形態は、本発明の一定の態様の単なる例示として意図されているため、本発明は、寄託された構築体によって範囲が限定されるものではなく、機能的に等価な任意の構築体が本発明の範囲内にある。本明細書における材料の寄託は、本明細書に含まれる記述が本発明の態様の最良の様式を含めて、本発明のいずれかの態様の実施を可能にする上で不十分であるとの承認を構成するものではなく、特許請求の範囲を、それが表示する特定の図に限定するものとして考えるべきでもない。実際、本明細書に示され説明されたものに加えて、本発明の種々の改変が先の説明から当業者に明らかであろうし、添付の特許請求の範囲内に入る。
図1は、TAT113cDNAのヌクレオチド配列(配列番号:1)を示しており、配列番号:1は、本明細書において「DNA215609」と指定されたクローンである。 図2は、図1に示された配列番号:1の完全長コード配列から誘導されたアミノ酸配列(配列番号:2)を示す。

Claims (6)

  1. (a)配列番号:2として示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列;
    (b)その付随するシグナルペプチドを欠いている、配列番号:2として示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列;
    (c)配列番号:2として示されるポリペプチドの細胞外ドメインをコードするヌクレオチド配列;
    (d)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列;
    (e)配列番号:1として示されるヌクレオチド配列の完全長コード領域;または
    (f)(a)、(b)、(c)、(d)または(e)の相補体、
    を含む、単離核酸。
  2. 請求項1に記載の核酸を含む、発現ベクター。
  3. 前記核酸が、前記ベクターによって形質転換された宿主細胞により認識される制御配列に作動可能に結合されている、請求項2に記載の発現ベクター。
  4. 請求項2に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
  5. CHO細胞、大腸菌細胞または酵母細胞である、請求項4に記載の宿主細胞。
  6. ポリペプチドを産生する方法であって、該ポリペプチドの発現に好適な条件下で請求項4に記載の宿主細胞を培養すること、および該細胞培養物から該ポリペプチドを回収することを含む、方法。
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