JP2008534970A - 抗原の同定のための方法および系 - Google Patents

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Abstract

所定の抗体によって認識される抗原の同定のための方法が提供される。特に、この方法は、抗体によって認識されるエピトープの特徴付け、および抗原の物理化学的特性に基づく精製を提供する。この特徴は、同定プロセスのための抗原の引き続く分析を可能にする。

Description

発明の分野
本発明は、抗原の同定の分野に関する。より具体的には、本発明は、多次元分離および質量スペクトル分析を使用するタンパク質抗原の同定に関する。
関連出願の相互参照
本願は、「抗原の質量スペクトル分析同定のための方法および系(METHOD AND SYSTEM FOR MASS SPECTROMETRY IDENTIFICATION OF ANTIGEN)」という表題でありかつ2005年4月4日に出願された米国特許仮出願第60/667,687号、および「抗原の質量スペクトル分析同定のための方法および系(METHOD AND SYSTEM FOR MASS SPECTROMETRY IDENTIFICATION OF ANTIGEN)」という表題でありかつ2005年12月21日に出願された米国特許仮出願第60/751,967号に対する優先権を主張する。
発明の背景
腫瘍などの疾患組織中で差次的に発現されるか、または発現される抗原の同定は、発生および疾患の進行などの基本的な生物学的プロセスを理解するために非常に重要である。さらに、抗原の同定はまた、潜在的な薬物標的についての情報も提供することができる。
腫瘍抗原は、一般的に、1つまたは複数の膜貫通ドメインを有する膜タンパク質である。ある場合において、これらは、有効なシグナル伝達物質として働き、それゆえに、コンホメーションの変化を実証する傾向がある(Atassi and Smith, 1978. Immunochemistry, 15:609-610)。それらの同定をもたらす腫瘍抗原の分画および精製は、長い間難問であった。二次元ゲルアプローチが、等電点/分子量に基づいてタンパク質を分画するために広範に使用されてきた(O' Farrel, P.H. 1975. J. Biol. Chem. Vol: 250:4007(非特許文献1); Gorg, A., Obermaier, C, Soguth, G., Harder, A., Schiebe, B., Wildgruber, R. and Weiss, W. 2000: Electrophoresis Vol: 21 (6): 1037(非特許文献2); Santoni et al. Electrophoresis. 2000 Oct; 21 (16): 3329-44(非特許文献3))。
従来的な二次元液相分析(2D-LC)は、強力なカチオン交換カラム(SCX)上での分離、続いて疎水性に基づく分離を含むのに対して、ProteomeLab PF-2Dなどの他の系は一次元目としてクロマトフォーカシングを使用する(Xiang R. et al 2004. J Proteome Res. Nov-Dec;3(6):1278-83(非特許文献4); Fujii K, Nakano T, Hike H, Usui F, Bando Y, Tojo H, Nishimura T. 2004. J Chromatogr A. Nov 19; 1057(1-2): 107-13(非特許文献5))。
これらの技術は互いに補完し、従って、ある場合において成功することが判明したが、これらは、膜抗原などの特定のタンパク質の有効な分画および同定を促進する条件を満足しない。RP-HPLCおよびSDS-PAGEの組み合わせもまた、膜タンパク質分離のために示唆されてきた(O'Neil KA, Miller FR, Barder TJ, Lubman DM. 2003. Proteomics. Jul;3(7):1256-69(非特許文献6))。しかし、一般的にゲルベースのアプローチにおいて観察される疎水性、高分子量、翻訳後修飾および溶解性に起因する制限はなお、これらの手順を持続している。さらに、少量の関心対象のタンパク質のみが分離可能である。
それゆえに、より良好な抗原同定方法についての必要性が存在する。
O' Farrel, P.H. 1975. J. Biol. Chem. Vol: 250:4007 Gorg, A., Obermaier, C, Soguth, G., Harder, A., Schiebe, B., Wildgruber, R. and Weiss, W. 2000: Electrophoresis Vol: 21 (6): 1037 Santoni et al. Electrophoresis. 2000 Oct; 21 (16): 3329-44 Xiang R. et al 2004. J Proteome Res. Nov-Dec;3(6):1278-83 Fujii K, Nakano T, Hike H, Usui F, Bando Y, Tojo H, Nishimura T. 2004. J Chromatogr A. Nov 19; 1057(1-2): 107-13 O'Neil KA, Miller FR, Barder TJ, Lubman DM. 2003. Proteomics. Jul;3(7):1256-69
発明の概要
本発明の広範な局面において、生物学的試料などの試料中での1つまたは複数の抗原の同定のための方法が提供される。同種抗原が未知である抗体が提供される。試料は最初に抗原を含むものを同定するためにスクリーニングされ、次いで、抗原が同定されるように特徴付けされる。
1つの態様において、本発明の方法は、抗原のエピトープ特性に基づく前精製工程を含む。この前精製工程は、抗原の引き続く分析を有利に促進する。
1つの態様において、抗原はタンパク質であり、従って、タンパク質の同定を有利に改善する多次元タンパク質分離方法が提供される。1つの態様において、この方法は、二次元タンパク質分離に先行する前精製工程、および質量スペクトル分析による同定を含む。前精製は、1つまたは複数の標的タンパク質中のタンパク質画分の富化を許容し、それによって、引き続く(下流の)分離/同定工程の最適化を可能にする。この方法は、膜タンパク質、高分子量、翻訳後修飾、および限られた溶解性を有する疎水性タンパク質、および差次的に発現されているタンパク質などの細胞内区画中のタンパク質を同定するために特に有用である。
本発明の別の局面において、タンパク質が精製/分離プロセスの異なる段階において酵素的に消化され、引き続く(下流の)分離/同定工程の最適化を可能にするペプチドマップを生成する、多次元タンパク質分離方法が提供される。
なお別の局面において、抗原が富化された画分を提供するための前精製手段、画分中の他の成分から抗原を分離するための分離手段、および抗原を同定するための分析手段を備える、抗原を同定するための系もまた提供される。
別の態様において、抗原同定プロトコールを決定するための方法もまた提供され、この方法は、対応する抗原を同定することが所望されている抗体を提供する工程、抗原上の抗体のエピトープを特徴付けする工程;およびエピトープの1つまたは複数の特性に基づいてプロトコールを選択する工程を含む。
本願において、抗原とは、抗体の産生を生じる免疫応答を誘発可能である任意の生物学的高分子を意味する。このような抗原には、タンパク質、糖タンパク質、脂質、糖脂質、炭水化物、および核酸が含まれるがこれらに限定されない。好ましい態様において、抗原は、疾患に罹患している個体に存在する。より好ましい態様において、抗原は、疾患を有する細胞に存在するが正常細胞には存在しない。
本願において、エピトープ特性とは、エピトープの性質(炭水化物、アミノ酸など)、疎水性、グリコシル化の程度、抗体による接近性の程度(マスキング)、電荷などを含むがこれらに限定されない、抗原の精製のために利用可能であるエピトープの任意の特性を意味する。
発明の詳細な説明
本発明は、所定の抗体によって認識される抗原の同定のための方法を提供する。この抗体は、好ましくは、疾患に罹患している個体から得られ、その結果、同種抗原の同定が、例えば、薬物処理可能な標的を提供することによって治療的または診断的アプローチの開発を支援することができる。抗体は、特許出願WO2005121341において記載されるような種々のアプローチによって入手することができる。
第1の工程において、試料は、抗原の存在を検出するためにスクリーニングされる。スクリーニングは、当業者に公知であるように、標識された抗体を使用する結合アッセイ法によって、ブロッティングアッセイ法または他のアッセイ法によって、達成することができる。抗原を示さない試料は、抗原の同定の引き続く工程における対照として使用可能であることが認識される。一旦、試料が抗原を含むとして同定されると、試料は抗原の同定を提供するために分析される。
好ましい態様において、抗原は、抗体によって認識されるエピトープの特性に基づいて前精製される。この前精製は、引き続く分離および分析の工程を有利に改善しかつ容易にする。
抗原の特徴付けは、質量スペクトル分析、核磁気共鳴、配列決定などのような分析ツールによって分析されるために十分に純粋である抗原を提供するなどのために、試料の他の成分からの抗原の分離を含む。
本明細書に記載される抗原はタンパク質であるが、本発明の方法および系は、炭水化物、脂質などの他の型の抗原のために使用可能であることが認識される。
タンパク質抗原の分離および同定のための方法の1つの局面において、多次元分離および質量スペクトル分析(図1を参照されたい)が使用される。多次元分離とは、タンパク質の2つまたはそれ以上の異なる物理化学的特性に基づく2つまたはそれ以上の分離工程を含むタンパク質分離を意味する。
1つの態様において、多次元分離を使用して1つまたは複数のタンパク質抗原を同定することが所望されるタンパク質調製物は、関心対象のタンパク質が富化されているタンパク質画分を生成するための前精製工程に供される。この富化された画分は、マッピングされおよび/または同定される目的のために多次元分離を使用して引き続き分離される。
前精製工程は、抗原の1つまたは複数の物理化学的特徴、好ましくは、抗体によって認識されるエピトープの特徴に基づく。この特徴には、疎水性、分子量、電荷、親和性などが含まれ得るがこれらに限定されない。前精製工程は、1つまたは複数の親和性分離方法を利用してもよい。例えば、前精製工程は、タンパク質抗原に特異的な抗体を用いる免疫沈殿を含んでもよい。他の親和性タンパク質精製アプローチもまた使用されてもよい。例えば、エピトープが大部分は炭水化物である場合において、親和性マトリックスは、エピトープを特異的に結合するように設計することができる。他のアフィニティークロマトグラフィーアプローチは、例えば、リガンド交換であるがこれに限定されない。
タンパク質の同一性は、精製および同定の手順の前に知られている必要はない。例えば、前精製工程の前に抗体によって認識されるタンパク質の同一性を知る必要はない。実際、本発明の方法は、未知の抗原に対して惹起された抗体(または複数の抗体)によって認識されるタンパク質(または複数のタンパク質)を同定するために使用することができる。例えば、抗体は、癌細胞抗原に対して惹起される。
前精製工程はまた、特定の細胞内構造に局在化されるタンパク質の精製を容易にするためのその細胞内構造/(区画/オルガネラ)の単離を含んでもよい。1つの例において、細胞内構造は細胞膜である。
前精製工程の次に、いくつかの次元を含むことができる1つまたは複数のタンパク質分離工程が続く。一次元目は、第1の物理化学的特性に基づいてタンパク質を分離する。例えば、本発明のある態様において、タンパク質は、一次元目においてクロマトフォーカシング(等電点電気泳動を使用してタンパク質のpIに基づく)によって分離される。一次元目は、イオン排除、イオン交換、順相/逆相分配、サイズ排除、リガンド交換、液体/ゲル相等電点電気泳動、および吸着クロマトグラフィーを含むがこれらに限定されない任意の数の分離技術を利用してもよいことが認識される。
二次元目において、タンパク質は、一次元目において使用されるものとは異なる第2の物理化学的特性に基づいて分離される。1つの態様において、二次元目の分離は、例えば、逆相(RP)液体クロマトグラフィーを使用して、タンパク質の疎水性特性に基づく。1つの態様において、RPクロマトグラフィーは、非多孔性逆相(NP RP)クロマトグラフィーを使用して実施され、この液体クロマトグラフィーは高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して実施される。PIおよびNP RPを使用する他のタンパク質分離の例は、Buchanan et al. Electrophoresis. 2005 Jan;26(1):248-56; Wang et al. Proteomics. 2004 Aug;4(8):2476-95および米国特許出願第20040010126号において見い出すことができ、すべての参考文献は参照により本明細書に組み入れられる。
次いで、第2の相によって分離されるタンパク質は、例えば、液体クロマトグラフィー-質量スペクトル分析(LC-MS)、ナノ-エレクトロスプレーイオン化タンデム質量スペクトル分析(ESI-MS/MS)、タンデム質量スペクトル分析(MS/MS)などを使用して、質量スペクトル分析によって分析される(例えば、Protein Sequencing and Identification Using Tandem Mass Spectrometry, M. Kinter and N. Sherman, John Wiley & Sons D. Desiderio and M. Nibbering eds., 2000; The expanding role of Mass Spectrometry in Biotechnology, G. Siuzdak, MCC Press 2003および米国特許第6,656,690号を参照されたい、すべての参考文献は参照により本明細書に組み入れられる)。
任意の所定の段階におけるタンパク質の精製および分離は、次の(下流の)分離/同定工程と好ましく適合可能である緩衝液中の液相中で好ましく実施される。従って、1つの分離工程の生成物は、次の液相分離工程に直接的に供給可能であり、それゆえに、処理の自動化を容易にし、かつ高スループット処理を提供する。しかし、条件を次の工程と適合性であるように調整するために、試料が異なる精製/分離工程間でpH、イオン強度などのような液相のパラメーターを調整するように処理される必要があり得ることが認識される。緩衝液は質量スペクトル分析と好ましく適合性であることもまた認識される。液相で精製および分離を実施することはまた、画分のプールを可能にする。
本発明の方法は、膜タンパク質の同定に有利に適用することができる。膜タンパク質は、それらの疎水性に部分的に起因して、分離および同定のために処理することが困難である。本発明に従う膜タンパク質の多次元分離の前の前精製は、分離の効率を改善することができる。従って、1つの態様において、1つまたは複数の膜タンパク質は、例えば、免疫沈殿などの親和性精製を使用して前精製することができる。
二次元目から得られるタンパク質画分は、1つの特定の物理化学的特徴に基づく分離に対応する各次元を用いて、2-Dマップで示すことができる。当業者には公知であるように、このマップは特殊化されたソフトウェアを使用して生成することができる。
細胞間で1つまたは複数のタンパク質の発現を比較することがしばしば所望される。例えば、1つまたは複数のタンパク質が、例えば、疾患を有する組織中のような特定の細胞型中で、差次的に発現されるか、または特異的に発現される可能性がある。タンパク質発現の複雑さのために、2つの異なる細胞型の2D分離から生じるタンパク質マップは比較することが困難であり得、かつ1つまたは複数の差次的に発現されたタンパク質の同定を妨害し得る。本発明の方法は、2つまたはそれ以上の試料(例えば、癌細胞対正常細胞、未分化細胞対分化細胞、処理細胞対未処理細胞)の間のタンパク質プロファイルの比較を有利に容易にする。前精製工程は、1つまたは複数の標的タンパク質でタンパク質画分を富化するように設計することができ、それゆえに、引き続く工程のプロファイルを単純化する。
従って、比較される2つの試料は並行して実行することができる。各試料から得られるデータは、試料間でのタンパク質発現の違いを決定するために比較される。所定の細胞型についてのプロファイルは、未知の試料中の関心対象のタンパク質の存在または非存在を決定するための対照(標準)として使用されてもよい。試料は、質量スペクトル分析を使用して、発現パターンにおいて関心対象の1つまたは複数のタンパク質を同定することによってさらに特徴付けすることができる。異なる試料からのタンパク質もまた、同時に実行されてもよいことが認識される。この場合において、各試料からのタンパク質は、各試料からのタンパク質発現パターンが区別されかつ表示されることを可能にするために別々に標識されてもよい。
本発明の別の局面において、タンパク質は、ペプチドマッピングのための質量スペクトル分析の前に酵素的に消化される。本発明の1つの態様において、酵素的タンパク質分解は分離の間に実施される。すなわち、これは、多次元分離の前、一次元目の分離後、または二次元目の分離後のいずれかで実施することができる。精製/分離手順の異なる工程における包括的ペプチドマッピングは、タンパク質のより正確な同定を可能にし、それゆえに、引き続く分離/同定工程におけるより正確な処理を可能にする。処理の異なる段階におけるペプチド生成は、前精製工程を伴って、または伴わずに実施されてもよいことが認識される。質量スペクトル分析のためのタンパク質消化は、例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Protein Sequencing and Identification Using Tandem Mass Spectrometry, M. Kinter and N. Sherman, John Wiley & Sons D. Desiderio and M. Nibbering eds., 2000において一般的に記載されている。
前精製工程およびタンパク質の酵素的消化は、質量スペクトル分析による同定の前に、試料がさらに分離されることを有利に可能にする。例えば、2D分離後に得られた画分は、多孔性RPクロマトグラフィーを通して質量スペクトル分析器に注入することができる。この付加的な工程は、画分のより高い分解能を可能にし得、従って、タンパク質の同定を支援する。
本発明の方法はまた、1つまたは複数のタンパク質を含む試料から1つまたは複数のタンパク質を単離するために使用されてもよく、該1つまたは複数のタンパク質を前精製し、該1つまたは複数のタンパク質の少なくとも1つの既知の特性を使用して、タンパク質で富化されたタンパク質画分を産生し、および二次元(2D)液体クロマトグラフィーを使用してタンパク質画分中に含まれるタンパク質を分離する。
本発明の方法は、新規のタンパク質を同定するために使用されてもよく、このようなタンパク質は本発明の範囲内に含まれる。
本発明の別の局面において、抗原の特性に基づいている抗原同定プロトコールを決定するための方法もまた提供される。第1の工程において、エピトープの性質(N-/O-グリコシル化またはペプチド)が決定され、かつまた、抗原が「ブロット可能」かまたは「ブロット可能でない」か(抗原がゲルベースのアッセイ法によって検出できるか否か)もまた決定される。このことは、抗原の精製および同定のための適切な引き続く工程の選択を可能にする。
ブロット可能な抗原については、分離は、前精製工程に頼ることなく、2D-PAGEによって達成することができる。ブロット可能でない抗原については、「ブロット」することの不可能性がエピトープをマスクする抗原のグリコシル化に起因する場合、抗原(または抗原を含む膜)は、分離を実行する前に脱グリコシル化することができる。
抗原がブロット可能でなく、かつグリカンがエピトープの一部である場合には、レクチンベースのアフィニティークロマトグラフィーを使用する前精製工程を使用し、続いて分離および同定を行うことができる。
抗原が極度の疎水性の結果ブロット可能でない場合には、免疫沈殿前精製、続いて好ましくはPF-2Dを使用する分離を同定の前に使用することができる。
本発明のなお別の局面において、抗原を同定するための系もまた提供され、この系は、抗原で富化された画分についての前精製手段、試料の他の成分からの抗原を分離する分離手段、および抗原を同定するための分析手段を含む。1つの例において、多次元タンパク質分離/同定のための分離手段は、第1の物理化学的特性に基づいて前精製手段から受容したタンパク質画分を分離するための第1の分離手段、第2の物理化学的特性に基づいて第1の分離手段から受容したタンパク質画分を分離するための第2の分離手段、および第2の分離手段から収集したタンパク質を同定するための分析手段を含む。
この系はまた、前精製されたタンパク質画分を受容するための第1のタンパク質画分収集デバイス、第1の分離手段から分離された画分を受容するための第2の画分収集デバイス、および第2の分離手段から分離された画分を受容するための第3の画分収集デバイスを含んでもよい。この系は、任意に、第2の分離装置から収集された画分を分離し、かつ分析手段中に画分を導入するための第3の分離手段を含む。この系はまた、画分化プロファイルおよびタンパク質/ペプチドマップを分析および表示するためのプロセッサを含んでもよい。系の異なる部分が、タンパク質画分の自動収集/注入を提供するために連結可能であることが認識される。例えば、画分は、オートサンプラーを使用して自動サンプリングすることができる、96ウェルプレートなどのマルチウェルプレート中に自動的に収集されてもよい。このような標準化された収集/サンプリング配置は、2つの異なる試料からのタンパク質画分の直接的な比較を容易にすることができる。
1つの非限定的な例において、この系は、免疫沈殿キット、一次元目のクロマトフォーカシング装置および二次元目の逆相非多孔性HPLCを備えるPF-2D(商標)系などの二次元タンパク質分離装置、ならびに質量スペクトル分析器を含んでもよい。任意にこの系は、逆相非多孔性HPLCとインラインで接続された多孔性逆相装置を備える。画分は、高スループット分析のために微量オートサンプラーを備えたキャピラリーLCを使用して、多孔性逆相分離装置に注入されてもよい。
実施例
実施例1:抗原の富化、PF-2D分画および質量分析
1つの態様において、1つまたは複数の抗原について陽性である細胞、および抗原を発現しない細胞を提供する。1つの例において、HER-2-陽性細胞株およびHER-2-陰性細胞株からの細胞タンパク質調製物は、抗HER-2-抗体を用いる免疫沈殿に供する(詳細については以下を参照されたい)。精製された画分は、CF-開始(CF:クロマトフォーカシング)緩衝液およびRP-HPLC緩衝液で平衡化し、ならびにPF-2D装置を使用して、クロマトフォーカシングおよびRP-HPLCによって分画し、96ウェルプレート中で抗原の分離をもたらす。抗原は免疫沈殿によって富化されるので、分画プロファイル中で陽性細胞株と陰性細胞株の間の違いを可視化することはより容易である。これらのプロファイルは、DeltaVue(商標)ソフトウェアなどの特殊化されたソフトウェアを使用して、包括的なマップ上に可視化することができる。関心対象の抗原を発現しない細胞株とは明確に異なる特定の画分は、さらなる分析のために選択することができる。
1D-ピーク画分のトリプシン消化:
クロマトフォーカシングカラムから溶出した画分は、典型的には、1D溶出緩衝液中に存在する他のカオトロピック剤とともに大量の塩を含む。それゆえに、これらの画分は、既知の方法によって好ましく脱塩し、次いで、溶液中でのトリプシン消化に供する。得られるペプチドは、例えば、Ziptips(商標)を使用するμC18カラム分画を使用して濃縮することができる。μC18カラム分画から溶出された濃縮ペプチドは、タンパク質の同定のためにLC-MS/MSによって分析することができる。
2D-画分のトリプシン消化:
2D-カラムから溶出した画分は、YM-10マイクロコンフィルターを使用して濃縮して、画分中の過度のアセトニトリルを除去することができ、その後、LC-MS/MS分析のためのペプチドを得るために溶液中のトリプシン消化手順に進む。
免疫沈殿のトリプシン消化:
免疫精製タンパク質は、塩/溶出緩衝液を除去するためにアセトン沈殿し、10mM Tris、5mM CaCl2などの緩衝液中に再構成し、続いてトリプシン消化を行うことができる。ペプチドは、CF-開始緩衝液中で再構成し、分画して、1D画分および2D画分を得る。次いで、分画されかつ差次的に調節されたペプチドは再構成し、LC-MS/MSによって分析し、タンパク質IDを得る。
精製/分離プロセスの異なる段階においてトリプシン消化の上記のアプローチを使用して、より大きなタンパク質の一部である特定のペプチド抗原(例えば、膜タンパク質の表面抗原として)を分解することができ、包括的なペプチドマッピングを可能にする。
包括的マッピングプロファイルは、異なる細胞中で差次的に調節されるタンパク質のより正確な比較を可能にし、より正確な下流の処理もまた可能にする。
ペプチド消化は、多次元分離の最終工程の前に実施されてきたので、二次元分画(例えば、PF-2Dを用いる)およびMS分析の間の時間の空白を最小化することができる。このように生成されたペプチドフラグメントは、例えば、質量スペクトル分析のためのタンパク質消化(Protein digestion for mass spectrometry)において記載されるように、一般的には、例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Protein Sequencing and Identification Using Tandem Mass Spectrometry, M. Kinter and N. Sherman, John Wiley & Sons D. Desiderio and M. Nibbering eds., 2000において一般的に記載されるように、質量スペクトル分析を使用して翻訳後修飾の部位について分析可能であることが認識される。
質量スペクトル分析およびタンパク質ID
1Dおよび2D-LC分離後のLC-MS/MSを使用するタンパク質複合体の直接的分析は、非常に短い時間の間にタンパク質同定を生じることができる。MSスペクトルにおける最も強いイオン上でのMS/MSフラグメント化は、タンパク質IDを推定するために使用されてもよいアミノ酸配列情報を生じることができる。
タンパク質の消化が分画の初期段階にある場合において、同じPIまたは疎水性比率(同じ画分番号)で溶出する、抗原陽性細胞株および抗原陰性細胞株からのペプチドの群は、これらの特定の群において差次的に調節されるタンパク質(またはそこに由来するペプチド)を同定するために、セットとして分析し、結果を比較することが可能である。
材料および方法
腫瘍細胞株の増殖および維持
本研究における細胞株はATCCから購入し、ATCCのガイドラインおよび推奨に従って培養した。細胞は、>90%生存度を有する60〜70%コンフルエンスで収集した。SKBR-3およびHepG2はそれぞれ抗原陽性および抗原陰性の細胞株であり、かつ抗HER-2は試験抗体であった。
ミクロソーム膜調製物(原形質膜+小胞体夾雑物)
細胞を、2000RPMで3分間、4℃にて遠心分離し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し(2回)、1mLの250mMスクロース/1mM EDTA/20mM Hepes pH 8.0(1mL中100×106)+プロテアーゼインヒビター-0.6μg/mLに懸濁し、Wheatonホモジナイザーでホモジナイズし(15回)、2mL Eppendorfチューブ中で2000RPMで3分間遠心分離した。核成分を分画した後の上清(post-nuclear supernatant)を、氷上の標識したチューブに移した(PNS-1)。ペレットを再度1mLの抽出緩衝液でホモジナイズし、2000RPMで5分間遠心分離した。核成分を分画した後の上清を収集し(PNS-2)、最初の上清とともにプールし、およびペレットを廃棄した。PNSは5000RPM(8000×g)で10分間、4℃にて遠心分離し、ペレット(ミトコンドリア)を廃棄して上清(ミトコンドリア後の上清)を保持し、これを43,000〜55000RPM(70,000〜90,000×g)で45分間、4℃にて遠心分離した。得られる上清は細胞質ゾルであり、これは、タンパク質アッセイ法のために確保し(5〜10μl)、アリコートとし、および-80℃で保存することができる。
ミクロソーム膜画分に対応する収集したペレットは、20mM Hepes pH 8.0+オクチル-β-グルコシド(OBG)-500μL+プロテアーゼインヒビター-各ストックの10μL(ロイペプチン、ペプスタチン、ベスタチン、PMSFおよびアプロチニン)に再懸濁した。2分後、200μLの10% SDSを膜溶液に加え、ボルテックスして膜を安定化した。5〜10μLのアリコートをタンパク質決定のために確保し、残りはアリコートで-80℃に保存した。
免疫沈殿
腫瘍細胞または正常細胞からのミクロソーム膜調製物の0.5mgに、2μLのストックプロテアーゼインヒビター(ロイペプチン、ペプスタチン、ベスタチン、PMSFおよびアプロチニン)、続いて900μLの免疫沈殿緩衝液を2mL Eppendorfチューブに加えた。50μgの抗HER-2抗体を加え(加える正確な量は使用する抗体の親和性に依存する)、溶液をニューテーター(nutator)上に4℃で一晩配置した。80μLの50%スラリー、すなわち、抗ヒトIgM/IgA-アガロース/プロテインG-アガロース(Immunopure)を加え、ニューテーター上で室温にて2時間インキュベートした。次いで、試料を10,000RPMでBiofuge上で1分間または5000RPMで、3分間-4℃にて遠心分離した。上清-非結合画分-を、1mLアセトンを加えること、および-20℃で凍結すること(ゲル分析のためにタンパク質を沈殿させるため)によって確保することができる。
ペレットは1mL RIP-A緩衝液中に再懸濁し(抗ヒトIgM/IgA-アガロース/プロテインG-アガロース)、ニューテーター上で室温で5分間インキュベートし、5000RPMで3分間遠心分離し、および上清を廃棄した。次いで、試料を50μLの0.2Mグリシン pH 2.5を用いて室温で15分間、ニューテーター上で溶出し、続いて13,000RPMで15分間、4℃における遠心分離を行った。上清は除去し、チューブに2μLの1M TRIS pH 7.6を加え、-20℃で凍結した。
免疫沈殿希釈緩衝液(1:9希釈)
希釈 ストック
0.01 %SDS 0.25 mL 10%SDS
1.1% TritonX-100 13.8 mL 20% Triton X-100
1.2mM EDTA 0.6 mL 0.5 M EDTA
16.7mM Tris pH 8.1 4.2 mL 1 M Tris pH 8.1
167mM NaCl 8.35 mL 5M NaCl
-最終容量 10O mL。
RIP-A緩衝液;
25mM HEPES 5 mL 0.5M Hepes
15OmM NaCl 3.75mL 4M NaCl
0.5% デオキシコール酸Na 0.5g 化学ストック
1.5%SDS 1.5mL 10% SDS
10% グリセロール 1OmL 100% ストック
1 mM EDTA 20OμL 0.5M EDTA (RT)
3mM MgCl2 300μL 1M MgCl2
1 mM DTT 100μl 1 M DTT
0.6μg/mL-ロイペプチン、ペプスタチン、ベスタチン、アプロチニン 0.6mg/mL(-20℃)
SKBR-3およびHepG-2のPF-2D(商標)分画
免疫沈殿したタンパク質混合物/前分画抗原混合物は、PF-2D一次元目(クロマトフォーカシング)を実行するためにCF開始緩衝液で平衡化した。HER-2抗原混合物は、大部分が高度に疎水性でありかつ8.5よりも高いPiを有するタンパク質を含んだので、これらは、不溶性であることが判明し、クロマトフォーカシングの実行における最初のピーク(画分番号A2)として分画した。この画分は、高速遠心分離によってすべての粒子状物質を清澄化した。清澄な上清は、1:4の比率で溶媒A(0.1%TFA)と平衡化し、痕跡量のTFAを含む0〜100%アセトニトリルの勾配を用いてHPRPカラム上で分画した。
ProteoVue(商標)/DeltaVue(商標)ソフトウェアを使用する分画分析
HPRPカラム画分について得られたクロマトグラフィープロファイルは、DeltaVue(商標)上の最終分析のために受容可能なフォーマットにフォーマットされたProteoVue(商標)ファイルに読み込んだ。これらの分析は、陽性細胞株(SKBR-3)と陰性細胞株(HepG-2)の両方からの抗原画分について合わせ、ProteoVue(登録商標)ソフトウェアを使用してフォーマットして、各々の細胞株からの包括的な膜タンパク質マップを生成した。その後、差次的に調節されるタンパク質の比較プロファイリングを、DeltaVue(商標)ソフトウェア上で生成した(図2および3)。両方の細胞株からの画分のクロマトグラフィープロファイルは、ピークから、より容易に目に見える差次的な発現の面積を作製するバンドのパターンに転換した。陽性の細胞株において特に差次的に発現されるピーク/バンドはより良好な分解および分析のために焦点を当てることができる。図2は、HER-2陽性(SKBR-3)およびHER-2陰性(HEP G2)の分離の全体図を示す。左および右のスペクトルは、抗原プロファイルの違いを示す。図3は、HER-2-陽性のSKBR-3細胞においてのみ存在し、HER-2-陰性Hep G2細胞には存在しない、約27分、28分および29分で溶出する3つの別個のピークを示す。
ドットブロットアッセイ法
両方の細胞株からのHPRPカラムからの画分は、マイクロコンメンブレンを使用して濃縮し、ドットブロットマニホールドを使用してニトロセルロースメンブレン上にスポットした。分画したタンパク質は抗HER-2抗体でプローブし、反応はECLで測定した。
各細胞株について1つのブロット(34画分)を、陽性対照および陰性対照とともに処理した(図4を参照されたい)。陽性対照および陰性対照は、それぞれ、抗HER-2(陽性対照)およびマウスIgG(アイソタイプ一致対照)でプローブしたSKBR-3全体膜(5μg)であった。陽性画分は、引き続き、SDS-PAGEおよびウェスタンブロッティングによって分析した(図5)。HER-2陽性、SKBR-3において差次的に調節されたタンパク質画分は、濃縮し、SDS-PAGEおよびウェスタンブロッティングによってHER-2の存在についてスクリーニングした。画分27は、HER-2抗原の分子量である〜180kDaにおいて陽性シグナルを示した。
実施例2:VB1-050 Agの予備的特徴付け
VB1-050抗体によって認識される抗原は、脱グリコシル化の際に結合の58.62%(P値0.008)の増加を示した。脱グリコシル化の際に観察される抗原の結合のこの増加は、グリカン部分が細胞表面上の抗原部位を部分的にマスクしている可能性があること、および脱グリコシル化が抗原の同定における必須の工程であり得ることを示唆する。
免疫沈殿
4つの陽性細胞株(VB1-050抗体を結合することが示されている)、MCF-7、MDA-MB-435S、A-375、HepG2、ならびに3つの陰性細胞株(VB1-050抗体を結合しないことが示されている)、Panc-1、DaudiおよびC-33Aの各々からの等量の膜調製物は、N-グリカナーゼで脱グリコシル化し、40μg VB1-050およびアイソタイプの一致する対照抗体(4B5-IgG)とともに、インビボ条件を模倣する条件を用いて、プロテアーゼインヒビターの存在下で各々転頭運動させた。免疫複合体を遠心分離し、RIP-A溶解緩衝液で洗浄し、および0.2M グリシン pH 2.5で溶出した。
ゲルベースの分析およびウェスタンブロッティング
上述のすべての細胞株からの免疫沈殿物は、還元条件および非還元条件の試料調製に供し、SDS-PAGEおよびウェスタンブロッティングによって引き続き分析した。得られるブロットは、4B5-IgGおよびVB1-050で同時に、ならびにHRPに結合体化した対応する二次抗体でプローブし、化学発光によって免疫沈殿したタンパク質を可視化した。単一バンドを、すべての細胞株において1D-PAGE上でVB1-050免疫沈殿物から〜50kDaにおいて検出し、2D-PAGEはいかなる結果も生じなかった。4B5-IgGを用いるとバンドは検出されなかった。このアプローチはいかなる差次的に発現された抗原も示さなかったので、抗原同定のための代替方法を探索した。
ナノ-ESI-MS/MSとタンデムでProteomeLab(商標)PF-2Dを使用するHTP-抗原ID
HepG2、MCF-7、Panc-1およびC-33AのPF-2D分画
膜調製物からの前分画したVB1-050免疫沈殿物は、高速遠心分離によってすべての粒子物質を清澄化した。清澄な上清は開始緩衝液で平衡化し、一次元目でクロマトフォーカシングカラム上で分画した。pH=7.4〜7.6において溶出するピーク画分は1:4の比率で溶媒A(0.1%TFA)で平衡化し、痕跡量のTFAを含む0〜100%アセトニトリルの勾配を用いてHPRPカラム上で分画した。
クロマトフォーカシングカラム(CF)上での分画の際にHepG2およびMCF-7は、それぞれ、68分および65分の2つの画分(#B6およびB7を構成する)のようなpH 7.4〜7.6で溶出する単一の広いピークを示した。図6AおよびBにおいて観察されるように、HPRPカラムから溶出するHepG2およびMCF-7の膜は、VB1-050反応性抗原の存在に完全に依存して、異なる分離プロファイルを示した。2つのピークは、陽性細胞株において差次的に調節されることが観察され、これは、陰性細胞株、Panc-1およびC-33Aの膜において無視できるか、または全体として存在していないようであった。陽性細胞株(MCF-7およびHepG2)中に存在するタンパク質ピークの徹底的な分析に際して、ピークは、15分および18分の保持時間でそれぞれRP-HPLCカラムから溶出することが示された。これらのピークは、抗原陰性細胞株(Panc-1およびC-33A)においては観察されなかった。その代わりに、12分のより初期に溶出する単一のピークが陰性細胞株において観察された。
ProteoVue(商標)/DeltaVue(商標)ソフトウェアを使用する分画分析
HPRPカラム画分について得られたクロマトグラフィープロファイルは、DeltaVue(商標)上の最終分析のために受容可能なフォーマットにフォーマットされたProteoVue(商標)ファイルに読み込んだ。これらの分析は、陽性細胞株(HepG2およびMCF-7)と陰性細胞株(Panc-1およびC-33A)の両方からの抗原画分について合わせ、ProteoVue(登録商標)ソフトウェアを使用してフォーマットして、各々の細胞株からの包括的な膜タンパク質マップを生成した。その後、差次的に調節されるタンパク質の比較プロファイリングを、DeltaVue(商標)ソフトウェア上で生成した。両方の細胞株からの画分のクロマトグラフィープロファイルは、ピークから、より容易に目に見える差次的な発現の面積を作製するバンドのパターンに転換した。陽性の細胞株において特に差次的に発現されるピーク/バンドはより良好な分解および分析のために焦点を当てることができる。各実験において得られた陽性プロットおよび陰性プロットを重ね合わせることは、タンパク質の過剰発現が陽性細胞株(HepG2およびMCF-7)においてのみ見られ、これらの画分はペプチド抽出の目的のために使用した。
ピーク画分からのペプチド抽出
トリプシン消化は、20〜50nL/分の作動する流速を有するナノ供給源を備えた、QSTAR Pulsar-1(ESI-qTOF-MS/MS)上で分析したペプチドの抽出を最終的に生じる20時間のペプチド抽出プロセスにおいて配列決定グレードのトリプシンを用いて実施した。ペプチドはイオン化し、二重、三重または四重に荷電した分子として検出し、次いでこれらは、それらのそれぞれの質量まで絞り込む。同定したタンパク質のデノボ配列決定もまた、可能な場合はいつでも実施した。ペプチドは、陽性細胞株と陰性細胞株の両方から抽出し、これが正しい抗原であることを確実にした。質量スペクトルから抽出したペプチドの質量は、MASCOT検索エンジンを通してアクセス可能であるタンパク質データベース上で得られるMOWSEスコアに従って抗原を同定するために直接的に使用した。
ペプチドは、4つすべての試料(MCF-7、HepG2、Panc-1およびC-33A)から、15〜18分で溶出する画分であるピークからトリプシン消化後に抽出し、これらはMS分析に供した。15分、18分に溶出する画分に加えて、陽性細胞株および陰性細胞株から12分に溶出する画分もまた、同時に処理した。図7〜10は、細胞株から得られたペプチドのTOF-MSスキャンの結果を示す。図11に見られるように、1つの単一タンパク質は、グルコーストランスポーター8に対応する両方の陽性細胞株から同定されたが、陰性細胞株においては検出不可能であった。2つのピーク間の溶出の違い(15分対18分)は、グリコシル化または他の翻訳後修飾の変化に帰する可能性がある。
質量スペクトル分析
ペプチド分析は2つの方法で行った.
回収し、それらの正しい質量に再構成されたすべてのペプチドは、タンパク質についてのIDを得るためのペプチド質量フィンガープリンティング工程において直接的に使用した。
豊富でありかつ十分にイオン化されたペプチドは、さらなるMS/MSイオンフラグメント化のために選択し、ここで、「y」および「b」イオンは、それらの一次構造を推定するために使用した。次いで、これらの配列を、タンパク質IDについてのタンパク質データベースの中で相同性について検索した。
ペプチドはイオン化し、かつ、例えばMALDIにおけるようなマトリックス支援イオン化の際に一重に荷電した場合の検出とは対照的に、二重、三重または四重に荷電した分子としてLC-MS/MS系上で検出される。その後、差次的に荷電したペプチドは、質量再構成工程において、それらのそれぞれの質量まで絞り込んだ。次いで、これらのペプチドの質量は、マトリックス科学に基づく抗原IDについてのmascot検索エンジンによって直接的に分析した。質量スペクトルから抽出されたペプチド質量は、MASCOT、SEQUEST、およびProspectorなどの検索エンジンを通してアクセス可能であるタンパク質データベース上で得られるMOWSEスコアに従って抗原を直接的に同定するために使用した。QSTAR-pulsar-Iの購入は、最新のタンパク質データベースの追加のためのPepseaサーバーからのライセンスの購入を含み、かつMASCOTと適合可能であるので、このサーチエンジンを、すべてのタンパク質検索のために選択した。
回収されたペプチドのリストおよびグルコーストランスポーター8からの配列にマッピングされたそれらの位置は、図11、12および表1において与えられるようなものである。表示されたすべてのペプチドはデノボ配列決定によって得た。図13は抗原としてのグルコーストランスポーター8を同定する。
4つのペプチドのMS/MSフラグメント化(1401.54 - 466.600000, 3+; 1070.785448 - 536.400000, 2+; 1998.272862 - 667.098230, 3+; 1176.185448 - 589.100000, 2+)は、グルコーストランスポーター8からのペプチドにマッピングされる、図14〜17に示されるフラグメントイオンを生じた。これらの2つのペプチドはTOF-MSにおいてすべて検出されたので、これらのペプチドは、質量フィンガープリンティングから誘導されるペプチドから離れたMS/MSイオンフラグメント化のために使用した。ナノ供給源上に設置された別個のナノスプレーヘッドをこの目的のために使用した。衝突エネルギーは48Vであり、カーテンガスおよびCADガスはそれぞれ25および6に維持し、試料は、安定な質量イオンフラグメント化を得るために1.667分(100サイクル)の間サイクルを割り当てた。スペクトルから誘導されたペプチドは、グルコーストランスポーター8の配列と明確に一致し、それゆえに、主要なヒットとして引き出した。イオンフラグメント化データはさらに、VB1-050についての同種抗原として、グルコーストランスポーター8の同一性を確証する。
抗原陽性画分のペプチド質量フィンガープリンティングおよびMS/MSフラグメント化は、VB1-050についての同種結合抗原としてのグルコーストランスポーター8/GLUTX1/SLC 2A8遺伝子産物の同一性を明らかにした。グルコーストランスポーター8は、〜50kDaのII型膜貫通タンパク質であり、細胞の内部にN末端を有する。34%の配列範囲を、施設内で回収されたペプチドから得た。フローによって陽性であると選択された細胞株は、免疫沈殿の際に抗原の存在を示す。2つのペプチドのMS/MS分析、二重荷電分子(536.40000, 2+)として現れる1070.785、三重荷電分子(466.60000, 3+)として現れる1401.54は2つのペプチド配列、SLASVVVGVIQ(292-303)およびKTLEQITAHFEGR(466-477)をそれぞれ同定し、グルコーストランスポーター8に対応するタンパク質配列に明確に一致した。
MCF-7から回収した2つのさらなるペプチドのMS/MS配列決定、1176.3547および1997.9992は、7つの位置、すなわち、7位、10位、12〜15位、18位においてアミノ酸の変化を有するGLUT8からの対応するペプチドに対して68.2%の相同性を有する配列をマッピングした。Glut-8は、一般的に、膜局在化のための潜在能力を有する細胞内タンパク質として認識されてきた。しかし、細胞質ゾルから膜までの移行の調節はまだ確立されていない。Shin et al. (2004, J. Neuro. Res. 75: 835)は、12位、13位においてLLからAAへの変異を導入し、この変異は、細胞質ゾルから原形質膜までのGLUT8の構成的局在化を生じたことを報告した。
実施例3
実験設計
黒色腫細胞株(A-375)、神経膠腫細胞株(U118MGおよびU87MG)、乳癌細胞株(MDA-MB 435S)、膵臓癌細胞株(PANC-1)およびT細胞株(Daudi)を本研究において使用した(表2)。これらの細胞株は、フローサイトメトリーによる腫瘍細胞株プロファイリングの結果に基づいて選択した。
腫瘍細胞株の増殖および維持
本研究における細胞株はATCCから購入し、ATCCのガイドラインおよび推奨に従って培養した。細胞は、>90%生存度を有する90%コンフルエンスで収集した。
VB3-011への抗原結合の予備的特徴付け
予備的特徴付けデータは、ドットブロットアッセイ法によるゲルベースのアプローチの実行可能性を評価するために設計された実験から;および抗原と関連するエピトープの性質を決定するために実施された実験から得た。
これらの実験からのデータは、VB3-011抗原を、グリカンエピトープを有する「ブロット可能でない」抗原として分類した。すなわち、抗原上のVB3-011への結合に関与するエピトープは明確にグリコシル化された。抗原は、結合部位以外の部位においても同様にグリコシル化可能であることに注目するべきである。
VB3-011 Ag富化および精製
ブロット可能性研究からの予備的データにより、レクチンベースの精製方法が、VB3-011抗体によって認識される抗原のための最高の抗原調製方法として規定された。細胞表面エピトープ決定に関する広範な実験は、VB3-011が少なくとも3つの可溶型のCS(コンドロイチン硫酸)と反応したことを示し;これらの内の2つ(CSBおよびCSE)は、限定された組織分布を有する。このようにして、抗体の反応性の大部分はCSAに起因し、より少ない程度ではヒアルロン酸に起因する可能性があり、それによって、抗原分子の鍵となる反応性部分としてCSAまたは関連するグリカンを同定した。
コンドロイチン硫酸A(CSA)は、D-ガラクトサミンおよびD-グルクロン酸を含む直鎖状反復単位から作られている。コンドロイチン硫酸Aの基本単位におけるガラクトサミンのアミノ基はアセチル化されており、N-アセチル-ガラクトサミンを生じ;N-アセチル-ガラクトサミンの4位にエステル化された硫酸基が存在する(図18A)(Suguhara K et al. Structural studies on sulfated glycoproteins from the carbohydrate protein linkage region of Chondroitin 4 sulfate proteoglycans of swarm rat chondrosarcoma. Demonstration of the structure Gal (4-O-sulfate) beta 1-3 Gal beta 1-4 XYL beta 1-O-Ser, 1988. J. Biol. Chem. Vol. 263:10168-10174; Suguhara K et al. Structural studies on sulfated oligosaccharides derived from the carbohydrate protein linkage region of chondroitin sulfate proteoglycans of wheat cartilage, 1991. Eur. J. Biochem. Vol. 202:805-811; Prydz K and Dalen KT. Synthesis and sorting of proteoglycans, 2000. J. Cell Sci. Vol. 113:193-205)。これらの直鎖状反復単位が、第2の炭素鎖のC2および第1の炭素鎖のC6における分枝点で架橋され(α2-6)、その結果、CSAの1つより多くの直鎖を表すグリカンの単一単位が、硫酸化を除いて存在する場合に、これは、HAによって認識されるグリカン、Neu5Ac(α2→6)Gal(β1→4)グルクロン酸に類似する(図18B)。
2つまたはそれ以上のCSA分子は、一緒に架橋された場合に、ヘマグルチニン(HA)によって認識され、エピトープ、CSAの同一性をなお保持している、グリカン-Neu5Ac(α2→6)Gal(β1→4)グルクロン酸に類似する。Azumi et al.,(1991)は、ホヤ類のマボヤ(Halocynthia roretzi)の血球から単離したヘマグルチニンの活性が、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、およびリポポリサッカリド(LPS)によって阻害されたが、N-アセチル-ガラクトサミン、ガラクトース、およびメリビオースなどのモノサッカリドおよびジサッカリドによっては阻害されなかったことを示した。ヘマグルチニンは、ヘパリンセルロースクロマトグラフィーおよび遠心分離実験によってそれぞれ実証されるように、ヘパリン、コンドロイチン硫酸およびLPSへの結合能力を示した(Ajit Varki et al. 1998. Essentials of Glycobiology)。同様に、ミコバクテリアからのヘマグルチニンはヘパリン硫酸に結合することが示され、インフルエンザ菌(Hemophilius influenzae)からのヘマグルチニンは、さらなるα2-6結合を有するCSAに結合する(Azumi K et al. A novel LPS binding hemagglutinin isolated from hemocytes of the solitary ascidian, Halocynthia roretzi: it can agglutinate bacteria, 1991. Dev. Comp. Immunol. Vol. 15(1-2):9-16; Menozzi FD et al. Identification of a heparan-binding hemagglutinin present in Mycobacteria, 1996. J. Exp. Med., Vol. 184(3):993-1001)。ヘパラン硫酸およびコンドロイチン硫酸AはC5エピマー化が異なる。それゆえに、レクチンベースの精製を可能にする新規の試薬は以下のように生成した。IP剤として使用した場合に、HAが細胞表面上の抗原性エピトープを認識するように、組換えHAは、ジメチルピメリミデート(DMP)とカップリングすることによって、抗HA抗体に固定化した。膜調製物は固定化HAを用いて親和性精製し、溶離物はSDS-PAGEおよびWB分析に供し、続いてVB3-011抗体でプローブした。
レクチンベースの精製
グリカン-Neu5Ac(α2→6)Gal(b1→4)Glcに特異的に結合する組換えHA分子は、ニューテーター上で室温にて2時間、抗HA抗体に結合するように作製し、続いて、プロテインGセファロースへのHA-抗HA複合体の結合を行った。これに続いて、未結合画分を除去するために遠心分離工程を行った。次いで、固定化複合体をジメチルピメリミデート(DMP)を使用して架橋した。これは、密接した近接に存在する既知の架橋タンパク質である。過度のまたは未使用の架橋剤および未結合の物質は手短な遠心分離工程によって除去した。架橋工程の副産物として生じる可能性がある非特異的なアミン基は、室温で2時間、トリエタノールアミンを用いて中和した。このように作製したレクチンベースの試薬は、PBSで徹底的に洗浄し、0.05% NaN3を含むPBSとともに2〜8℃で保存した。HA-試薬は別として、Con-A-試薬およびWGA-アガロースもまた、より良好な抗原回収を検出するための親和性精製試薬として使用した。
最小限で500μg膜タンパク質をレクチンベースの精製のために使用した。プロテインGセファロース単独を使用する前洗浄工程は、試薬の添加の前の抗原の精製における最初の段階であった。全体で15〜20μLの試薬を、混合物中の沈殿試薬として使用した。抗原-レクチン混合物は、生理学的条件を模倣した緩衝液条件(すなわち、pHおよび塩濃度は生理学的条件に類似するように調整した)を使用して一晩、4℃で転頭運動した。抗原単離プロセスのすべての工程においてプロテアーゼインヒビターが使用されたことを確実にするために注意を払った。
抗原-レクチン複合体は、遠心分離し、RIP-A溶解緩衝液で洗浄し、および0.2MグリシンpH 2.5で溶出した。未結合画分を表す上清は、親和性精製によって単離されなかったタンパク質を試験するために保存した。この手順は、2つの神経膠腫細胞株(U118MGおよびU87MG)、1つの黒色腫細胞株(A-375)、1つの上皮細胞株(MDA-MB-435S)および2つの陰性細胞株(Panc-1およびDaudi)に対して実行した。
ゲルベースの分析およびウェスタンブロッティング
1D-PAGE
精製タンパク質は還元条件の試料調製に供し、続いてSDS-PAGE/ウェスタンブロッティングによって分析した。還元条件が使用される場合、単離した抗原は1% β-メルカプトエタノールを含む試料緩衝液で、65℃で15分間処理した。得られるブロットは、VB3-011、およびHRPに結合体化した対応する二次抗体でプローブし、化学発光によって免疫精製タンパク質を可視化した。
2D-PAGE
精製タンパク質は、1D-PAGE分析において生じた可能性がある任意のタンパク質スタッキング効果を解決するために、二次元電気泳動によって分離した。2D-ゲル電気泳動は、一次元目においてそれらの等電点(pI)に従って、および二次元目においてそれらの分子量に基づいてタンパク質を分離した。このようにして分離したタンパク質は、ニトロセルロースメンブレンに一晩転写し、1D-PAGEの場合と同様に処理した。ウェスタンブロットは、VB3-011および化学発光によって可視化される反応性タンパク質でプローブした。
ペプチド抽出および抗原ID
ゲル中および溶液中の画分からのペプチド抽出
トリプシン消化は、配列決定グレードのトリプシンを用いて、20〜50nL/分の作動する流速を有するナノ供給源を備えた、QSTAR Pulsar-1(ESI-qTOF-MS/MS)上で分析したペプチドの抽出を最終的に生じる20時間のペプチド抽出プロセスにおいて配列決定グレードのトリプシンを用いて実施した。ペプチドはイオン化し、二重、三重または四重に荷電した分子として検出し、次いでこれは、それらのそれぞれの質量まで絞り込む。同定したタンパク質のデノボ配列決定もまた、可能な場合はいつでも実施した。ペプチドは、これが正しい抗原であることを確実にするために、陽性細胞株と陰性細胞株の両方から抽出した。質量スペクトルから抽出したペプチドの質量は、MASCOT検索エンジンを通してアクセス可能であるタンパク質データベース上で得られるMOWSEスコアに従って抗原を同定するために直接的に使用した。ペプチドは、ゲル切片からと溶液中の両方から抽出し(U118MG、U87MG、A-375、436S)、これらはMS分析に供した。
結果
HA試薬固定化
組換えHA分子は、抗体ではなく、それゆえに固定化パートナーとして直接的にプロテインGセファロースには結合しない。この抗体が抗原精製プロセスにおいて機能的であることを可能にするために、HAは、HAに特異的に結合する抗HA抗体に結合され、この分子は、連続的な様式で、プロテインGセファロースを使用して固定化した。これは、図19に図式的に示されるように、複合体を固定化するのみならず、抗HAの存在から生じ得る任意の非特異的相互作用をブロックする。その後、HA-抗HA複合体は、種々の反応剤の近接性を維持した架橋剤である、ジメチルピメリミデートを使用して安定化した。最終的な複合体は、HA分子上の反応性結合部位以外である、処理におけるいくつかの反応性アミンを生成した。これらの反応基は、1Mトリエタノールアミンを使用して永続的にブロックし、従って、HA分子上の反応部位の最大の曝露を確実にする。
レクチン-精製
すべての沈殿反応は、前洗浄タンパク質を用いて実施した。より長いインキュベーション時間を使用して、レクチン-抗原複合体の非特異性を最小化し、その安定性を増強した。6つの細胞株(A-375、U118MG、U87MG、MDA-MB-435S、Panc-1およびDaudi)を本研究において使用した。試料調製のための還元条件は、SDS-PAGE上で単離される抗原の分離の前に利用した。ウェスタンブロットは、精製した抗原がVB3-011についての同種結合パートナーであることを確実にするために、VB3-011を用いてプローブした。
1D-PAGE/ウェスタン分析
HA試薬が使用される場合、1つの特異的バンドのみを、抗原陽性細胞株(A-375)において、還元条件下の〜50kDaにおいて1D-PAGE上での分離後に検出し(図20A)、これは、陰性細胞株(Panc-1)においては存在しなかった。非特異的相互作用はCon-AおよびWGAレクチンを用いて観察した。このことは、VB3-011抗原上に存在するグリカンがHAによって認識されるものであったことを示す。神経膠腫細胞株(U118MGおよびU87MG)もまた、HA試薬を使用して精製した場合に、〜50kDaにおいて単一バンドの存在を示した(図20B)。試料がSDS-PAGE上でのそれらの分離の前に室温で1時間の間放置された場合、〜36kDaにおける優勢なバンドおよびかすかな50kDaバンドが抗原陽性細胞株(A-375、U118MGおよびU87MG)において観察され、抗原のペプチド成分が〜36kDaであり得ることを示した(図21)。
2D-PAGE分析
等電点(pI)を決定し、かつ1D-PAGE分析におけるタンパク質のスタッキングの可能性を評価するために、HAによって精製した抗原を二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2D-PAGE)上で分離した。ここで、一次元目の分離はpIに基づき、二次元目の分離は分子量に基づく。次いで、ゲルをニトロセルロースメンブレンに転写し、標準的なウェスタンブロッティング処理に供した。2Dゲル上のタンパク質の検出のために必要とされる量は、1Dゲルのための必要量の〜4倍多いので、4回の別々の免疫沈殿反応からの精製抗原を、1回の2D-PAGE分析のために一緒にプールした。2枚の別々のゲルをウェスタンブロット分析のために同時に処理して、クマシー染色されたゲル上で検出されるタンパク質がウェスタンブロットにおいて観察されるタンパク質と同じであることを確実にした。2DウェスタンブロットはVB3-011でプローブし、ECL(化学発光)によって検出した。図22において見ることができるように、1つの単一スポットが、〜36kDa/pI=9.7±0.2において検出された。
ペプチド抽出およびタンパク質分析
A-375、U87MGおよびU118の膜を、VB3-011に特異的に結合する抗原を免疫精製するために使用した。〜50kDaバンドを、図20において示されるように3つすべての細胞株において観察した。タンパク質バンドを、クマシー染色されたゲルから切除し、MS分析のためのペプチドを抽出するためにゲル内消化において使用した。
1D-ゲルバンドおよび2D-スポットからのタンパク質を、ゲルからそれらを遊離させるためにトリプシンで消化し、逆相LC-MS/MS系で分析した。タンパク質の同一性は、バイオインフォマチックスのツールを使用して、データベース分析によって明らかにした。生データは、TOF-MSスペクトル、MS/MSフラグメント化データ、および単離されたタンパク質のpIまたは分子量に一致しない夾雑物を含む示唆されるタンパク質のリストにおいて、列挙されるように得られたペプチドを含んだ。分析を達成するために、MS/MSスペクトルは、www.Matrixscience.comにおいて利用可能であるMascot検索エンジンに直接的に提示した。
質量スペクトル分析
ペプチド分析は2つの方法で行った。
回収しかつそれらの正しい質量に再構成したすべてのペプチドは、タンパク質についてのIDを得るために、ペプチド質量フィンガープリンティング工程において直接的に使用した。
豊富にありかつ十分にイオン化されたペプチドは、さらなるMS/MSイオンフラグメント化のために選択し、ここで、「y」および「b」イオンは、それらの一次構造を推定するために使用した。次いで、これらの配列を、タンパク質IDについてのタンパク質データベースの中で相同性について検索した。
ペプチドはイオン化し、かつ、例えばMALDIにおけるようなマトリックス支援イオン化の際に一重に荷電した場合の検出とは対照的に、二重、三重または四重に荷電した分子としてLC-MS/MS系上で検出される。その後、差次的に荷電したペプチドは、質量再構成工程において、それらのそれぞれの質量まで絞り込んだ。次いで、これらのペプチドの質量は、マトリックス科学に基づく抗原IDについてのmascot検索エンジンによって直接的に分析した。質量スペクトルから抽出されたペプチド質量は、MASCOT、SEQUEST、およびProspectorなどの検索エンジンを通してアクセス可能であるタンパク質データベース上で得られるMOWSEスコアに従って抗原を直接的に同定するために使用した。QSTAR-pulsar-Iはすべてのタンパク質の同定のために使用および検索した。なぜなら、これは、Pepseaからの最新のタンパク質データベースの追加がMASCOTと適合可能であることを含むからである。
2Dスポットの分析
2D-ゲルから切除したタンパク質スポットは、スクラッチ(Scratch)に対して高度に相同であることを見い出した。pIおよび分子量は、哺乳動物Scratchに明確に一致した。各々のペプチドがもともとのタンパク質に対して100%の相同性を示す、15個の一致するペプチドを有する全体で37%の配列の範囲を回収した(図23を参照されたい)。
神経膠腫細胞株および黒色腫細胞株から精製された50kDaバンドの分析
3つすべての細胞株(U87MG、U118MGおよびA375)の質量スペクトルから得たデータは、VB3-011に結合する抗原として哺乳動物スクラッチ(を指し示す。スクリーニングしたすべての細胞株のうちで、神経膠腫細胞株(U87MGおよびU118MG)は、最高のスコアリング同一性を示した。黒色腫細胞株であるA-375もまた、抗原の過剰発現を示した。上述の細胞株は別として、MDA-MB-435S、PC-3、A-549およびCFPAC-1などの上皮細胞株もまた、同じ様式でスクリーニングしたが、もともとのスクラッチ分子の配列158〜366に対して100%の相同性を有する、スクラッチの短縮バージョン、すなわち、17.823kDaタンパク質gi|15928387の存在を示したMDA-MB-435Sは例外であった。これらの各細胞株の各々からの膜調製物は、HA試薬を使用してVB3-011抗原を親和性精製するために使用した。他の試験した上皮細胞株は検出可能なタンパク質を示さなかった。
TOF-MSスキャンは、有意なIDのためのペプチドの最大数を回収するために、手動モードとIDAモードの両方で得た。図24〜26を参照されたい。
回収したペプチドのリストおよび哺乳動物スクラッチからの配列に対してそれらのマッピングした位置は、図27および表3に示す通りである。表されたすべてのペプチドは、デノボ配列決定によって得た。
ペプチド2402.1206および2134.9614のMS/MSフラグメント化
ナノ供給源上に設置された別個のナノスプレーヘッドをこの目的のために使用した。衝突エネルギーは48Vであり、カーテンガスおよびCADガスはそれぞれ25および6に維持し、試料は、安定な質量イオンフラグメント化を得るために1.667分(100サイクル)の間サイクルを割り当てた。2つのペプチドのMS/MSフラグメント化(2402.978172 - 802.00000, 3+; 2134.985448 - 1068.500000, 2+)は、図30および32に示されるフラグメントイオンを生じた。ペプチド質量2402.97812からの1つのペプチド
Figure 2008534970
はスクラッチからの配列に対して100%マッピングされたのに対して、ペプチド質量2134.985448からのペプチド
Figure 2008534970
は、隣接する配列においては100%の相同性を示したが、中央部の配列とは相同性を示さず、新規の配列の同定を示した。この配列の存在は、タンパク質上で利用可能である唯一の膜貫通ドメインの原因となる。データベースにおいて利用可能である哺乳動物スクラッチ配列は、概念的な翻訳の結果であり、配列中にいかなる膜貫通ドメインも有さない。回収されたタンパク質配列は、データベース中で利用可能であり、膜貫通ドメインがあるため細胞表面に存在することを示すスクラッチタンパク質に対して67%の相同性を示す。スペクトルから誘導された残りのペプチドは、哺乳動物スクラッチからの配列と明確に一致し、それゆえに、主要なヒットとして引き出された。イオンフラグメント化データはさらに、VB3-011についての同種抗原として、新規の型のスクラッチの同一性を確証する。
図28および29は、抗原として哺乳動物スクラッチを同定する。
考察
IgG MAbであるVB3-011は、Hybridomics(商標)およびImmunoMine(商標)Viventiaの独自仕様プラットフォーム技術(WO97/044461を参照されたい)を使用して、II級の星状細胞腫と診断された患者から単離された末梢血リンパ球(PBL)から生成した。この抗体は、その各々が異なる癌の徴候を表す他の細胞株の宿主に対して反応性を示す。広範な腫瘍-細胞型反応性のこの実証にも関わらず、VB3-011は、正常組織への限定された結合を示す。VB3-011は、少なくとも3つの可溶型のコンドロイチン硫酸と反応することが示され;これらのうちの2つ(CSBおよびCSE)は限定された組織分布を有する。それゆえに、抗体の反応性の大部分はCSAに起因し、より少ない程度ではヒアルロン酸に起因し、それによって、抗原分子の鍵となる反応性部分としてCSAまたは関連するグリカンを同定する。CSA分子は(1-4)GlcNAc/グルクロン酸構造によって特徴付けられるので、これらはまた、ヘマグルチニン(HA)によって認識されるレクチン-Neu5Ac(α2→6)Gal(β1→4)グルクロン酸に類似する。それゆえに、レクチンベースの精製を可能にする新規の試薬は以下のように生成した。IP剤として使用した場合に、HAが細胞表面上の抗原性エピトープを認識するように、組換えHAは、ジメチルピメリミデート(DMP)とカップリングすることによって、抗HA抗体に固定化した。膜調製物は固定化HAを用いて親和性精製し、溶離物はSDS-PAGEおよびWB分析に供し、続いてVB3-011抗体でプローブした。VB3-011でプローブした溶離物のウェスタンブロットは、1D-PAGEで〜50kDaタンパク質を検出し、これはさらに、2D-PAGE分析で〜36kDaバンドに分離した。1Dおよび2DスポットのLC-MS/MS分析は、(1D-PAGEのWB分析によって観察された〜50kDaの)分子量36kDaを有する抗原として哺乳動物スクラッチを同定し、従って、残りはグリカン、4-硫酸化、Neu5Ac(α2→6)Gal(β1→4)グルクロン酸の存在にあるとした。2D-PAGEにおける36kDaスポットの検出は、哺乳動物スクラッチに特徴的である分子量および等電点[(pI)、すなわち、9.7±0.2]に一致した。
MS/MSフラグメントイオン分析からのデノボ配列決定によって回収したタンパク質配列は、データベースにおいて見い出される哺乳動物スクラッチ配列(gi|13775236)に対して100%の相同性を示す17個のペプチドのうちの16個で67%の範囲を生じた。ペプチド質量2134.985448からの1つのペプチド、
Figure 2008534970
は、隣接する配列においては100%の相同性を示したが、中央部の配列とは相同性を示さず、新規の配列の同定を示した。この配列の存在は、タンパク質上で利用可能である唯一の膜貫通ドメインの原因であり、細胞質ゾルとは対照的に、細胞表面にスクラッチを配置する。これは、細胞表面の腫瘍抗原としてScrtを示す最初の報告である。従って、CSAと結合するスクラッチは、VB3-011についての完全な抗原を構成する。
実施例4:抗原同定プロトコール
最初に、予備的特徴付け工程を、(a)エピトープの性質(N-/O-グリコシル化またはペプチド)、および(b)抗原が「ブロット可能である」かまたは「ブロット可能でない」か(これがゲルベースのアッセイ法によって検出するすることができるか否か)を決定するために実施する。
ブロット可能な抗原について:
1. 予備的免疫沈殿/ウェスタンブロット
(a)アイソタイプが一致した対照との比較(抗体への抗原の結合が特異的であることを確実にするため)
(b)陽性細胞株と陰性細胞株の間の発現の比較
2. ストリンジェントIP/ウェスタンブロット
(a)特異性を確実にするため、および各抗体についての抗原精製のための条件を樹立するための、2×/3×前洗浄などのストリンジェントな条件
(b)研究におけるアイソタイプが一致した対照およびMabを用いるWB分析
3. 細胞-パネルスクリーニング
(a)少なくとも6個の細胞株(4個は陽性、2個は陰性)の選択、および研究におけるMabを使用するこれらの各々についてのIP/WB分析
(b)陽性および陰性における抗原バンドの発現の一貫性
4. 2D-PAGE
(a)1Dによる等電点(pI)の決定および2D分析による分子量の決定
(b)PVDFメンブレンへの転写および同種抗体を用いてプローブすること
5. MSのためのペプチド抽出
(a)1Dバンドおよび2Dスポットのゲル内消化
(b)μC18カラムを用いる脱塩および濃縮
(c)MS適合可能な緩衝液への再構築
6. MS分析
(a)陽性細胞株および陰性細胞株についてのナノスプレーを使用するTOF-MS分析
(b)質量再構成およびPMF分析
(c)豊富なペプチドイオンのMS/MSフラグメント化
(d)配列IDに導くデノボ配列決定
(e)低検出ペプチドについて静的なIDA
7. 抗原の確認
(a)同定したタンパク質が細胞表面タンパク質であるかまたは偽陽性であるかをチェックするためにタンパク質配列を分析する
(b)pIおよび分子量を、アミノ酸配列、膜貫通ドメインなどに対して比較する
8. 確証
(a)既知の抗原である場合、市販の抗体がIPおよびWBのために使用されてもよい
9. エピトープID
(a)潜在的なHLA結合モチーフの潜在的なエピトープ配列を同定する
(b)好ましくは重複するこれらの配列を化学合成する
(c)結合を検出するためのペプチドELISA
(d)特異性を確認するための競合アッセイ法
ブロット可能でない抗原について−グリコシル化がエピトープをマスクしている場合:
脱グルコシル化およびIP
(a)N/Oグリカン結合の場合−N/Oグリカナーゼ消化によってグリカンを除去する
(b)IPのための脱グリコシル化メンブレンおよび上述の工程1〜9を使用する
ブロット可能でない抗原について−グリカンが抗原複合体の一部である場合:
グリカン指向性精製
(a)グリカンを同定する
(b)グリカンを結合する特異的レクチンを同定する
(c)グリカン結合タンパク質を特異的に精製するために固定化レクチンを生成する
(d)上記の工程1〜9を継続する
極度の疎水性に起因してブロット可能でない抗原について:
HTP抗原ID法
(a)免疫沈殿−前分画
(b)PF-2D分離
(c)Cap-LC-MS分離および分析
(d)LC-IDAおよびMS/MSイオンフラグメント化
(表1)回収したペプチドのリスト
Figure 2008534970
(表2)本研究において使用した各細胞株についてのアイソタイプが一致する対照に対するVB3-011についてのメジアン蛍光の増加
Figure 2008534970
(表3)再構成工程が上記の表において与えられる後で得られたそれらのそれぞれの計算質量を伴う、ペプチドのリスト
Figure 2008534970
本発明はその特定の態様と関連して説明されてきたが、これはさらなる改変が可能であること、および本願が本発明の任意のバリエーション、用途、または適合を網羅することを意図することが理解される。これらは、一般的に、本発明の原理に従い、かつ本開示からの逸脱を含み、この逸脱は、本発明が属する当技術分野において公知のまたは慣例的な実務の中に含まれ、および以前に本明細書において示した本質的な特徴に応用されてもよく、ならびに添付の特許請求の範囲の範囲に従う。
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面と組み合わせた以下の詳細な説明から明らかになる。図面の説明は以下の通りである。
本発明のある態様の概略図である。 SKBR-3およびHepG2細胞抽出物のProteomeLab(商標)PF-2D分画の溶出プロファイルである。 27分、28分および29分周辺で溶出するピークを示すSKBR-3およびHepG2細胞抽出物のProteomeLab(商標)PF-2D分画の溶出プロファイルである。 HepG2およびSKBR-3からのProteomeLab(商標)PF-2D画分のドットブロットである。 SKBR-3およびHepG2からのPF-2D画分のウェスタンブロットである。 PF-2D系上での2つの陽性細胞株HepG2およびMCF-7ならびに2つの陰性細胞株Panc-1およびC-33Aの分画プロファイルを示す。この図は、10分間から25分間までのクロマトグラフィーファイルを表す。 試料中のすべてのペプチドイオンの存在を検出するためのHepG2細胞株から得られたペプチドのTOF-MSスキャンを示す。この図は、静的ナノスプレー上での100〜1200amuの範囲での1200〜1400Vにおける53回のスキャンからの結果を示す。 試料中のすべてのペプチドイオンの存在を検出するためのPanc-1細胞株から得られたペプチドのTOF-MSスキャンを示す(静的ナノスプレー上での100〜1200amuの範囲での1200〜1400Vにおける30回のスキャン)。 試料中のすべてのペプチドイオンの存在を検出するためのMCF-7細胞株から得られたペプチドのTOF-MSスキャンを示す(静的ナノスプレー上での100〜1200amuの範囲での1200〜1400Vにおける27回のスキャン)。 試料中のすべてのペプチドイオンの存在を検出するためのC-33A細胞株から得られたペプチドのTOF-MSスキャンを示す(静的ナノスプレー上での100〜1200amuの範囲での1200〜1400Vにおける30回のスキャン)。 表1に列挙されるような質量スペクトル分析から回収されたペプチドの配列の範囲を示す。下線を付した配列は回収されたペプチド配列を表し、太字の配列は、相同性が100%未満であったアミノ酸配列を示す。 VB1-050抗原から回収されたペプチドについてのペプチド質量フィンガープリンティングの結果を示す。64より大きなタンパク質スコアが有意であると見なされた。 タンパク質データベース検索から取り出されたアクセッション番号、質量およびMS/MSフラグメント化のスコア、ならびにタンパク質の名称を示す。 三重に荷電した分子として現れる(466.60000、3+)、中性ペプチド分子量1401.54のMS/MSイオンフラグメント化を示す。このペプチド配列は、グルコーストランスポーター8からのペプチドと100%の相同性を示した。 二重に荷電した分子として現れる(536.40000、2+)、中性ペプチド分子量1070.785のMS/MSイオンフラグメント化を示す。このペプチド配列は、グルコーストランスポーター8からのペプチドと100%の相同性を示した。 三重に荷電した分子として現れる(667.098230、3+)、中性ペプチド分子量1997.9992のMS/MSイオンフラグメント化を示す。このペプチド配列は、グルコーストランスポーター8からの相同ペプチドと比較して、7位、10位、12位、13位、14位、15位および18位においてアミノ酸の変化を示した。 二重に荷電した分子として現れる(589.100000、2+)、中性ペプチド分子量1176.3547のMS/MSイオンフラグメント化を示す。このペプチド配列は、グルコーストランスポーター8からの相同ペプチドと比較して、7位、10位、12位、13位、14位および15位においてアミノ酸の変化を示した。 VB3-011抗体によって認識されるグリカン構造を示す。コンドロイチン-4-硫酸(4位における硫酸分子の存在に起因する)としてもまた知られるコンドロイチン硫酸Aは、D-ガラクトサミンおよびグルクロン酸の反復の直鎖状分子である(A)。このような2つのCSA分子が2-6α結合を介して架橋される場合、グリカン単位は、ヘマグルチニン(HA)によって認識されるものを表す(B)。 抗原のレクチンベースの精製のためのHA試薬固定化の模式図である。 U87MG、U118MG、A375、Panc-1およびDaudiからのタンパク質のレクチンベースの精製から得られたタンパク質のSDS-PAGE/ウェスタンブロットを示す。レクチンはCon-A、WGAおよびHAであった。 SDS-PAGEが室温で1時間インキュベートしたタンパク質を用いて実行された際の、前精製されたタンパク質型のA375およびU118MGのSDS-PAGE/ウェスタンブロットである。 細胞タンパク質のHAベースの精製から得られた2D-PAGEのウェスタンブロットプロファイルを示す。ブロットはVB3-011抗体を用いてプローブした。 得られたペプチドの完全なマッピングおよびスクラッチ分子、アクセッション番号gi|13775236の配列範囲を示す。下線を付したアミノ酸は、MS分析から同定されたアミノ酸の配列を表す。 試料中のすべてのペプチドイオンの存在を検出するためのA-375細胞株から得られたペプチドのTOF-MSスキャンを示す。静的ナノスプレー上での100〜1200amuの範囲での1200〜1400Vにおける100回のスキャンは顕著な数のペプチドの回収を生じ、これはタンパク質の同定のために分析された。図24Aはすべての複数の電荷を有するペプチドイオンを用いるTOF-MSスキャンを表し、図24Bは単一の電荷を有するペプチドイオンを用いる逆重畳積分スペクトルを表す。 試料中のすべてのペプチドイオンの存在を検出するためのU87MG細胞株から得られたペプチドのTOF-MSスキャンを示す。静的ナノスプレー上での100〜1200amuの範囲での1200〜1400Vにおける300回のスキャンは顕著な数のペプチドの回収を生じ、これはタンパク質の同定のために分析された。図25Aはすべての複数の電荷を有するペプチドイオンを用いるTOF-MSスキャンを表し、図25Bは単一の電荷を有するペプチドイオンを用いる逆重畳積分スペクトルを表す。 試料中のすべてのペプチドイオンの存在を検出するためのU87MG細胞株から得られたペプチドのTOF-MSスキャンを示す。静的ナノスプレー上での100〜1200amuの範囲での1200〜1400Vにおける27回のスキャンは顕著な数のペプチドの回収を生じ、これはタンパク質の同定のために分析された。図26Aは、すべての複数の電荷を有するペプチドイオンを用いるTOF-MSスキャンを表し、図26Bは単一の電荷を有するペプチドイオンを用いる逆重畳積分スペクトルを表す。 表3に列挙されるような質量スペクトル分析から回収されたペプチドの配列の範囲を示す。下線を付した配列は回収されたペプチドを表す。太字の配列は相同性が100%未満である配列であり、斜字体の配列は哺乳動物スクラッチペプチドに対して100%相同である配列を表す。 VB1-011Agから回収されたペプチドについてのペプチド質量フィンガープリンティングの結果を示す。77より大きなタンパク質スコアが有意であると見なされた。 タンパク質データベース検索から取り出されたアクセッション番号、質量およびMS/MSフラグメント化のスコア、ならびにタンパク質の名称を示す。 三重に荷電した分子として現れる(802.00000、3+)、中性ペプチド分子量2402.978172のMS/MSイオンフラグメント化を示す。このペプチド配列は、スクラッチからのペプチドと100%の相同性を示す。 二重に荷電した分子として現れる(1068.500000、2+)、中性ペプチド分子量2134.985448のMS/MSイオンフラグメント化を示す。回収されたペプチドの隣接領域はスクラッチからのペプチドと相同であり;残りの配列はスクラッチからのペプチドと40%以下の相同性である。

Claims (43)

  1. a)抗体を提供する工程;
    b)該抗体の特異的結合を示す少なくとも1つの試料を検出するために試料をスクリーニングし、それによって抗原の存在を示す工程;
    c)該抗原を同定するために該抗原を特徴付けする工程
    を含む、所定の抗体に特異的な抗原を同定するための方法。
  2. 特徴付けする工程が、抗原のエピトープ特性に基づいて該抗原を前精製する工程を含む、請求項1記載の方法。
  3. 特徴付けする工程が、前精製した抗原を試料の他の成分から分離する工程をさらに含む、請求項2記載の方法。
  4. 特徴付けする工程が、ブロッティングアッセイ法において抗体に対する抗原の反応性を決定する工程をさらに含む、請求項2または3記載の方法。
  5. 前精製する工程が、1つの分子についてのエピトープの親和性に基づく、請求項2〜4のいずれか一項記載の方法。
  6. 前精製する工程が、1種または複数の抗原を抗体と免疫沈殿させる工程を含む、請求項5記載の方法。
  7. 前精製する工程が、アフィニティークロマトグラフィーを使用する工程を含む、請求項5記載の方法。
  8. 抗原がタンパク質またはそのフラグメントである、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
  9. タンパク質またはそのフラグメントが糖タンパク質である、請求項8記載の方法。
  10. 前精製する工程がレクチンベースのアフィニティークロマトグラフィーである、請求項9記載の方法。
  11. 分離する工程が2Dクロマトグラフィーである、請求項3〜10のいずれか一項記載の方法。
  12. 2Dクロマトグラフィーが一次元目のクロマトフォーカシングおよび二次元目の疎水性ベースのクロマトグラフィーを含む、請求項11記載の方法。
  13. 疎水性ベースのクロマトグラフィーが逆相クロマトグラフィーである、請求項12記載の方法。
  14. 逆相クロマトグラフィーが非多孔性逆相クロマトグラフィーである、請求項14記載の方法。
  15. 前精製されたタンパク質またはそのフラグメントが、2Dクロマトグラフィーもしくは電気泳動の前、一次元目の(1-D)クロマトグラフィーもしくは電気泳動の後、または2Dクロマトグラフィーもしくは電気泳動の後に、酵素消化に供されてペプチドを生成する、請求項8〜14のいずれか一項記載の方法。
  16. ペプチドが、2Dクロマトグラフィーの後で多孔性逆相クロマトグラフィー(多孔性RPC)を使用してさらに精製される、請求項15記載の方法。
  17. ペプチドが、多孔性RPC中に注入されて、以前の分離工程からの溶出プロファイル情報の維持などを行う、請求項16記載の方法。
  18. ペプチドが、高スループット分析のためにキャピラリーLC微量オートサンプラーを使用して多孔性RPC中に注入される、請求項17記載の方法。
  19. 特徴付けする工程が質量スペクトル分析を含む、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
  20. 質量スペクトル分析が、液体クロマトグラフィー-質量スペクトル分析(LC-MS)、ナノ−エレクトロスプレーイオン化タンデム質量スペクトル分析(ESI-MS/MS)およびタンデム質量スペクトル分析(MS/MS)から選択される、請求項19記載の方法。
  21. 質量スペクトル分析が、質量スペクトル分析データをタンパク質/ペプチドデータベースと比較する工程を含む、請求項19または20記載の方法。
  22. 質量スペクトル分析がタンパク質についての分子量を得る工程を含む、請求項21記載の方法。
  23. 前精製する工程が、抗原を含む細胞内構造/オルガネラを単離する工程を含む、請求項2〜22のいずれか一項記載の方法。
  24. 細胞内構造が膜であり、タンパク質が膜タンパク質である、請求項23記載の方法。
  25. 膜タンパク質が関心対象の細胞上で発現され、関心対象の細胞を含む試料からの膜タンパク質および参照細胞を含む試料からの膜タンパク質が細胞特異的抗原を同定するために比較される、請求項24記載の方法。
  26. 関心対象の細胞が癌細胞である、請求項25記載の方法。
  27. 抗原が脱グリコシル化されている、請求項1〜26のいずれか一項記載の方法。
  28. a)抗原が豊富な画分を提供するための前精製手段;
    b)該画分中の他の成分から該抗原を分離するための分離手段;および
    c)該抗原を同定するための分析手段
    を備える、抗原を同定するための系。
  29. 試料中の抗原の存在を検出するためのスクリーニング手段をさらに含む、請求項28記載の系。
  30. 分離手段が2D分離手段である、請求項28または29に記載の系。
  31. a)前精製抗原画分を受容するための第1の収集デバイス;および
    b)分離手段から分離された画分を受容するための第2の収集デバイス
    をさらに備える、請求項28〜30のいずれか一項記載の系。
  32. 第2の収集デバイスが、2D分離手段の一次元目および二次元目の分離からの収集のための部分を含む、請求項31記載の系。
  33. 分離手段または分析手段に収集された画分を注入するための注入手段をさらに備える、請求項28〜32のいずれか一項記載の系。
  34. 収集手段および注入手段を操作して接続するための接続手段をさらに備える、請求項33記載の系。
  35. 分析手段が、抗原を同定するために分析手段からのデータを分析するためのプロセッサ手段を備える、請求項28〜34のいずれか一項記載の系。
  36. 抗原がタンパク質である、請求項28〜35のいずれか一項記載の系。
  37. 分離手段が2Dクロマトグラフィーであり、分析手段が質量スペクトル分析器である、請求項36記載の系。
  38. 分析手段による分析の前に分離手段から収集された画分をさらに分離するためのクロマトグラフィーデバイスをさらに備える、請求項37記載の系。
  39. 実質的に自動化されている、請求項28〜38のいずれか一項記載の系。
  40. a)対応する抗原を同定することが所望される抗体を提供する工程;
    b)該抗原上の該抗体のエピトープを特徴付けする工程;および
    c)該エピトープの1つまたは複数の特性に基づいてプロトコールを選択する工程
    を含む、抗原同定プロトコールを決定するための方法。
  41. 特徴付けする工程が、ブロッティングアッセイ法において抗体に対する抗原の反応性を決定する工程を含む、請求項40記載の方法。
  42. 特徴付けする工程が抗原の疎水性の程度を決定する工程を含む、請求項40または41記載の方法。
  43. 特徴付けする工程がエピトープに対する抗体の接近性の程度を決定する工程を含む、請求項40〜42のいずれか一項記載の方法。
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