JP2008534907A - 複合システム - Google Patents

Abstract

本発明は、熱可塑性材料の多壁断面形状物（１０）と断熱要素（２０）とを含む複合システムであって、多壁断面形状物（１０）は、少なくとも、透明な上部（１２）と放射を吸収する下部（１４）とを含み、それらは、平行なフローチャンネル（３０）が形成されるように、長手方向に延びるウェブ（１６）によって互いに接合されており、複合システムは、下部（１４）の外側が断熱要素（２０）と接合されていることを特徴とする。

Description

本発明は、多壁断面形状物（マルチウォールプロファイル、multi-wall profile）から形成された、太陽熱コレクタとして使用される複合システム（composite system：Verbundsystem）に関する。

ＤＥ２７４９４９０Ａ１は、屋根用及び壁部被覆用の材料、特に断熱住宅の壁及び屋根用のものを開示している。この材料は、長手方向に連続して延びる複数の断面形状チャンバー（profile chambers：profilkammern）を備えた板状のプラスチック中空断面形状物（plastic hollow profiles：Kunststoff-Hohlprofilen）と、互いにスライドする縁部断面形状物（edge profile：Randprofilen）とから構成されている。中空断面形状物は、屋根用の構成部品として役立つ。中空断面形状物を通って流動する、例えば空気のような熱媒体は、太陽熱放射からの熱を吸収し、そしてマニホルドを介して建物内に運ばれる。そのような熱の吸収は多壁断面形状物のデザインによって促進されている。

ＤＥ１０３０４５３６Ｂ３には、ＤＥ２７４９４９０Ａ１に記載された中空断面形状物の改良が開示されている。ＤＥ１０３０４５３６Ｂ３により太陽エネルギーを活用するための多壁断面形状物の上部は、その外側に、放射の紫外線の部分を吸収し、その他は透過するプラスチックから形成された外層を備えている。その結果、上部は、黄変と濁りに耐性を示し、長期間にわたって機械的強度を維持する。ＵＶ−吸収性の外層は、共押出し方による２部品押出し法（two-component extrusion：Zwei-Komponenten-Extrusion）の組み合わせによって、上部及び下部と共に形成される。

ＤＥ１０３０４５３６Ｂ３で認められる多壁断面形状物の不利な特徴は、下部を介した、太陽から離れた面での熱損失であり、この損失はコレクタの効率を低下させる。さらなる不利な特徴は、特に数メートルの長さでの中空断面形状物の低い剛性である。

よって、本発明の目的は、ＤＥ１０３０４５３６Ｂ３に記載されたタイプの多壁断面形状物であって、低い熱損失を示し、より高い剛性を有し、そして、特に、技術的に簡単な方法で製造及び設置できるものを提供することである。

本発明は、熱可塑性材料の多壁断面形状物と断熱要素とを含む複合システムであって、多壁断面形状物は、少なくとも、透明な上部と放射を吸収する下部とを含み、それらは、熱媒体用の平行なフローチャンネル（flow channel：stromungskanale）が形成されるように、長手方向に延びるウェブ（webs）によって互いに接合されており、下部の外側が断熱要素と接合されていることを特徴とする。

本発明の複合システムは、例えば屋根用及び住宅の壁用の太陽熱コレクタに適している。

好ましい熱媒体は、例えば気体であり、特に空気である。

例えばＤＥ１０３０４５３６Ｂ３で認められる多壁断面形状物は、本発明に係る複合システム用の多壁断面形状物に適している。熱可塑性材料（熱可塑性樹脂材料）から形成された多壁断面形状物（すなわち、中空チャンバー断面形状物（hollow chamber profile：Hohlkammerprofil））は、少なくとも、透明な上部と放射を吸収する下部とを含み、それらは、平行なフローチャンネルが形成されるように、長手方向に延びるウェブによって互いに接合されており、下部の外側が断熱要素と接合されている。

本発明に係る複合システムが使用されているとき、透明の上部は太陽の方向を向いている。太陽熱放射への長時間の集中した露出による黄変及び濁りを防止するために、上部の外側にはＵＶ吸収性の外層を備えており、好ましくは、ＤＥ１０３０４５３６Ｂ３による外層を備えている。外層は、可視光波長領域を透過する。さらに好ましい実施形態では、特にＤＥ１０３０４５３６Ｂ３に記載されているように、少なくとも１つのサーモトロピック層を備えており、それはＵＶ吸収性の外層の上又は中空断面形状物の上部の上に適用されている。サーモトロピック層の透明度は、温度が上昇すると透明度が低下するというように、温度に依存している。このように、中空断面形状物は、過度の高温への露出から保護することができる。

放射を吸収する下部は、太陽熱コレクタとして使用される複合システムの、特に３００〜８００ｎｍの可視光波長範囲において少なくとも吸収度８０％を示す吸収表面を形成する。太陽熱コレクタが使用されている時に、比較的高い吸収度の下部は、太陽光の可能な限り多くの部分の吸収できなくてはならない。この目的を達成するために、下部は、着色され及び／又は例えば黒色の化合物でコーティングされる。黒色は、例えば、黒色インクで印刷する、黒色クロム又は黒色アルミニウムでコーティングする、又はプラスチック配合物を適切な着色剤、好ましくはカーボンブラックで直接着色することにより達成できる。

多壁断面形状物に適した熱可塑性材料（熱可塑性樹脂材料）は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、及び／又はポリ塩化ビニルである。ポリカーボネートが好ましく利用できる。中空断面形状物は、好ましくは、１種類のプラスチック原料から全て製造される。

本発明によれば、断熱要素は下部の外側に結合される。断熱要素は、鉱物性の、熱可塑性（熱可塑性樹脂）の、熱硬化性（熱硬化性樹脂）の若しくはゴム状の断熱材料、又はそれらの材料の混合物をベース（基材）にしているのが好ましく、ミネラルウール系、ロックウール系、ポリスチレン系、特にポリスチレンフォーム系、及び／又は、ポリウレタン系、特にポリウレタンフォーム系が特に好ましく、特にポリウレタンフォーム系が非常に好ましい。

断熱要素は、断熱要素の材料の性質、建物のタイプ及び形状、法律上の条件、及び望まれる断熱特性に依存して、１〜５０ｃｍの厚さにすることができる。もし使用される断熱材料がポリウレタンフォームであれば、好ましい実施形態における厚さの総計は１０〜２０ｃｍである。ポリウレタンを用いた実施形態では、断熱材のラムダ値（λ値）は、０．０１５〜０．０５Ｗ／ｍ・Ｋが好ましく、０．０１５〜０．０４０Ｗ／ｍ・Ｋがより好ましい。

好ましい実施形態では、断熱層は、追加のシート、フィルム、又はシートとフィルムとの組み合わせによって、中空断面形状物と反対側の境界を定められている。このシート又はフィルムは、木材、熱可塑性材料（熱可塑性樹脂材料）、熱硬化性（熱硬化性樹脂の）若しくはゴム状の材料、鉱物材料、ガラス、金属、又は原料材料（started materials：genannten Materialien bestehen）の組み合わせから成る。シート又はフィルムは、材料、非連結式、又は連結式のジョイントにより、断熱層と結合されてもよい。これは、例えば接着促進剤、接着剤、面ファスナー、挿入システム、凝集接着（cohesion-adhesion：Kohaesion-Adhaesion）により行うことができる。このシート及び／又はフィルムは、例えば、防湿シール、及び／又は複合システムの機械的な安定性の向上を提供するのに役立つ。

有利なことに、断熱要素は多壁断面形状物の下部からの熱損失を低減し、そして太陽熱コレクタとして使用される複合システムの効率を高める。断熱要素は、さらに、剛性を高めて複合システムを自立できる状態にする補強を提供する。この複合システムは、簡単な設置が可能である。

好ましい実施形態では、凸部−凹部結合（tongue-and-groove joint：Nut-Feder Steckverbindung）を形成するために、凹部（grooves：Nute）と凸部（tongues：Federn）が長手方向の側部のそれぞれに備えられており、その中に、例えば屋根や壁の構造物に接続される設置角度用の部品（installation angle pieces：Montagecorner）をクランプしてもよい。

多壁断面形状物は、押出し法、特に、共押出し法と多部品押出し法（multi-component extrusion：Mehrkomponentenextrusion）の組み合わせで製造できる。多壁断面形状物の押出し成形の後、下部はその外側で、断熱要素と、機械的、化学的又は物理的に結合される。断熱要素は、材料、非連結式の又は連結式のジョイントにより、下部と結合されてもよい。これは、例えば接着促進剤、接着剤、面ファスナー、挿入システム、凝集接着により行うことができる。

多壁断面形状物の形成、並びに、多壁断面形状物と断熱要素及び任意で存在する中空断面形状物から離れた面上のシート及び／又はフィルムとの結合は、連続したプロセスで行われるか、又は好ましくは２つ以上の工程による不連続のプロセスで行われる。不連続のプロセスでは、多壁断面形状物は、断熱システムに上向きに対面している下部の裏側、すなわち外側で覆われ、そして、任意でシート又はフィルムを備えている。もし断熱要素がポリウレタンから製造されているなら、ポリウレタン反応混合物がノズルによって多壁断面形状物の上に適用されもよく、その後に反応を完了させて断熱層（例えば、硬質なフォーム）を得る。

しかしながら、複合システムは、例えば、多壁断面形状物の押出し成形の下流で、押出しダイの出口又は押出しダイから適切な距離において、直接供給された断熱要素と結合して製造してもよい。

本発明は、添付の図１に極めて詳細に図解されている。

＜実施例＞
複合システム１００は、多壁断面形状物１０と断熱要素２０を含んでいる。多壁断面形状物１０は、透明な上部１２と、放射を吸収する下部１４とを含んでいる。上部１２と下部１４とは、長手方向に延びるウェブ１６によって互いに結合されている。ウェブ１６は連続しており、長手方向に延びる連続的なフローチャンネルが形成されるように上部１２と下部１４とを結合している。複合システムが太陽熱コレクタとして使用されるとき、例えば空気などの熱媒体（図示せず）は、フローチャンネル３０を通って流れる。フローチャンネル３０内で暖められた空気は、外部の熱交換器に入る。得られた熱は、建物の暖房に使用することができる。代わりに、暖められた空気は、建物の屋内の暖房に直接使用してもよい。断熱要素２０は下部１４の外側１５に配置される。下部１４からの熱損失を低減するために、断熱要素２０は多壁断面形状物１０の全幅及び全長にわたって延びている。複合システム１００が、例えば屋根で太陽熱コレクタとして使用されるとき、上部１２は屋根の表面の外側に形成され、そして太陽に面している。太陽熱放射は、透明な上部１２を通って下部１４の内面１３に到達する。下部１４自身又はその内面１３は、太陽熱コレクタの吸収表面を形成する。言い換えれば、下部１４、又は下部１４の内面１３のコーティングは、例えばカーボンブラックにより例えば黒色に着色した材料により、放射吸収性を有する。図示した実施形態では、上部１２及び下部１４は、互いに凹状にカーブしている。代わりに、上部１２及び／又は下部１４は、カーブなしで提供されてもよい。図示した実施形態では、断熱要素２０は、金属シート２０によって中空断面形状物１０と反対側の境界を定められている。

図示された実施形態では、２つの複合システム１００を互いに結合するために、凸部−凹部結合４０が備えられている。図示されていない実施形態では、並んで配置された２つ以上の中空断面形状物は、１つ以上の一般的な断熱要素で中空断面形状物を互いに発泡させることにより、互いに結合してもよい。

＜実施例１＞
複合システムは、ポリカーボネート（ドイツのバイエル・マテリアルサイエンス社のマクロロン（Makrolon）（登録商標））の多壁断面形状物１０と、ポリウレタンフォームの原材料（ドイツのバイエル・マテリアルサイエンス社の、ＶＰ．ＰＵ ２８ ＨＳ８８／デスモジュール（Desmodur）４４Ｖ２０Ｌ及びポリオールシステム ２８ＨＳ８８）から製造された。多壁断面形状物１０は、透明な上部１２と放射を吸収する下部１４とから成り、長手方向に延びるウェブ１６によって互いに接合されている。下部１４は、カーボンブラックで着色されており、３００〜８００ｎｍの可視光波長範囲において少なくとも吸収度８０％を示す吸収表面を有していた。断熱要素２０は、厚さが５ｃｍであった。

多壁断面形状物は、共押出し法と多部品押出し法により製造された。断熱要素は、接着力で接合された。

多壁断面形状物１０及び断熱要素２０を含む複合システムは、断熱層のない多壁断面形状物に比べて、４０倍に向上した断熱性を示す。

図１は、本発明に係る複合システムの実施形態の断面図を示している。

Claims (6)

1. 熱可塑性材料の多壁断面形状物（１０）と断熱要素（２０）とを含む複合システムであって、
   多壁断面形状物（１０）は、少なくとも、透明な上部（１２）と放射を吸収する下部（１４）とを含み、それらは、熱媒体用の平行なフローチャンネル（３０）が形成されるように、長手方向に延びるウェブ（１６）によって互いに接合されており、
   下部（１４）の外側が断熱要素（２０）と接合されていることを特徴とする複合システム。
2. 断熱要素（２０）は、鉱物性、熱可塑性、熱硬化性若しくはゴム状の断熱材料、又はそれらの材料の混合体をベースにしていることを特徴とする請求項１に記載の複合システム。
3. 断熱要素（２０）は、ミネラルウール、ロックウール、ポリスチレン、及び／又はポリウレタンをベースにしており、好ましくはポリスチレンフォーム及び／又はポリウレタンフォームをベースにしていることを特徴とする請求項２に記載の複合システム。
4. 多壁断面形状物（１０）は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、及び／又はポリ塩化ビニルをベースにしていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載の複合システム。
5. 断熱要素（２０）は、多壁断面形状物（１０）から離れた面で、シート及び／又はフィルムと接合されていることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載の複合システム。
6. シート及び／又はフィルムは、木材、熱可塑性材料、熱硬化性若しくはゴム状のプラスチック材料、ガラス、金属、鉱物、又はそれらの材料の組み合わせから成ることを特徴とする請求項５に記載の複合システム。

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