JP2008533496A - プロトロンビン時間を決定する方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
本発明は、経口抗凝血療法及び肝細胞癌(HCC)をモニタするための試験に関する。具体的には、本発明は、ビタミンK欠乏性タンパク質(protein induced by vitamin K absence)又はアンタゴニスト(antagonists)(Pivka)の凝固時間及びINR結果に関する効果を考慮して、血漿又は全血試料のプロントロンビン時間を決定する方法を提供する。本発明の主な目的は、国際標準化率(INR)結果についてのプロトロンビン時間法を調整し、INRpivkaを測定することである。
【選択図】図1
Description
本発明は、経口抗凝固剤療法及び肝細胞癌(HCC)をモニタするINR単位に基づいた試験に関する。具体的には、本発明は、ビタミンK欠乏性タンパク質(protein induced by vitamin K absence)又はアンタゴニスト(antagonists)(Pivka)がINRに及ぼす影響を考慮して、血漿又は全血試料のプロトロンビン時間を決定する方法を提供する。本発明の目的は、国際標準比率(INR)結果に対してプロトロンビン時間を調整し、また、INR単位としてPivka効果(即ち、INRPivka)を測定することである。
プロトロンビン時間(PT)試験は、血栓性素因等の血栓疾患に罹患している患者を治療するのに用いられる経口抗凝固療法(OAT)を管理するために導入された。この療法は、肝臓の凝固因子(F II、F VII、F IX及びF X)の合成を阻害するワルファリン(又はクマリン)等のビタミンKアンタゴニストに基づいている。現在、OATの必要性は、世界的に高まってきている。例えば、フィンランドでは、2003年にはワルファリン投薬が人口の1.7%に処方され、患者の数は、高齢者人口によって増大している。OAT投与は、血栓症又は出血の深刻な影響を防ぐために継続した管理を必要とするので、毎年8億のPT試験が世界中で実施されていることは、驚くに値しない。最も一般的に用いられているPT試験は、Quick一段法(Quick’s one−stage PT)及びOwren法(Owren’s method)に基づくものである。後者は、日本と同様に北欧諸国やベネルクス諸国で広く用いられており、一方で、Quick PTは、他の国で用いられているアプローチであり、実施されている全PT試験の約95%を数える。
本発明は:
a)経口抗凝固剤療法(OAT)を受けている患者、又は肝細胞癌(HCC)を有する患者から得られた血漿又は全血試料の、又はキャリブレータ又は対照血漿試料の少なくとも2つの異なる希釈液のプロトロンビン時間を測定して、前記試料についてのtmin又はINRmin値を決定するステップと;
b)阻害剤の入っていない血漿又は全血試料の少なくとも2つの異なる希釈液のプロトロンビン時間を測定して、標準血漿についてのtmin又はINRmin値を決定するステップと;
c)ステップa)及びb)の結果からtPivka又はINRPivka値を計算するステップと;
d)ステップa)で測定されたプロトロンビン時間からステップc)で得られたtPivka又はINRPivka値を引くことによって、ステップa)の前記試料について前記Pivkaを補正したPTを決定するステップと;
を具える、プロトロンビン時間(PT)を補正したPivkaを決定する方法に関する。
本発明は:
a)経口抗凝固剤療法(OAT)を受けている患者、又は肝細胞癌(HCC)を有する患者から採取した血漿又は全血試料、又はキャリブレータ又は対照血漿試料の、少なくとも2つの異なる希釈液のプロトロンビン時間を測定して、前記試料についてのtmin又はINRmin値を決定するステップと;
b)阻害剤の入っていない血漿又は全血試料の少なくとも2つの異なる希釈液のプロトロンビン時間を測定して、標準血漿についてのtmin又はINRmin値を決定するステップと;
c)ステップa)及びb)の結果からtPivka又はINRPivka値を計算するステップと;
d)ステップa)で測定されたプロトロンビン時間からステップc)で得られたtPivka又はINRPivka値を引くことによって、ステップa)の前記試料について前記Pivkaを補正したPTを決定するステップと;
を具える、INR単位のPivka効果と、プロトロンビン時間(PT)を補正したPivkaを決定する方法を提供する。
INRPivka=INRmin(患者試料、キャリブレータ、又は対照)−INRmin(標準血漿)
又は
tPivka=tmin(患者試料、キャリブレータ、又は対照)−tmin(標準血漿)
を用いて計算される。
INRcorrected=INRpatient,calibrator,control−INRPivka
又は、
tcorrected=tpatient,calibrator,control−tPivka
ここで、式中、
INRpatient,calibrator,control又はtpatient,calibrator,controlは、前記方法のステップa)で測定された試料のプロトロンビン時間であり、INRPivka又はtPivkaは、前記方法のステップc)で計算した値である。好ましくは、前記INRpatient,calibrator,control又はtpatient,calibrator,controlは、未希釈試料、即ち、それぞれINRtotal又はttotalのプロトロンビン時間である。
INR=(試料sec/標準sec)ISI
の式で計算される。ここで、式中、試料secは、秒単位で測定した患者試料(又はキャリブレータ、又は対照試料)のプロトロンビン時間であり、標準secは、秒単位で測定した標準血漿の試料のプロトロンビン時間であり、ISIは、PT試験で用いられる凝固試薬の相対感度である。ISI値は、試薬の製造者によって通常与えられているか、又はISIキャリブレータキットを用いて測定される。
全ての手順は、1975年のヘルシンキ宣言に従って、我々の機関の責任ある委員会によって承認された。我々は、病院及び医療センターの患者の中から無作為に選択した標準試料とOAT患者試料を分析した。0.2mLの0.109mol/L(3.2%)クエン酸溶液を含むクエン酸凝固管(Greiner Labortechnik GmbH社製、Vacuette cat.no.454322、9NC)内に、10人の標準患者及び10人のOAT患者から血液(1.8mL)を採取した。試料針(Terumo社製、Venoject needle、Quick Fit、cat.no.MN−2138MQ)は、0.8×40mmであった。試料管を1850g、20℃で10分間遠心分離して、血漿を分離した。全測定は、血液採取後8時間内に同時に開始した。
PT凝固時間を、完全自動BCS凝固分析器(独国マールブルク所在のDadebehring社製The Dadebehring Coagulation System)を用いて測定した。Quickを用いた一段階プロトロンビン時間用に、100μLの凝固試薬を50μLのクエン酸血漿に加えた。4つの試験試薬は:
(i) ネオプラスチンCLプラス(Neoplastine CL Plus)、cat.no.00376(Diagnostica Stago社製ウサギ脳トロンボプラスチン)、lot031581、ISI1.30(器具についての記載なし)、ISI値1.42;
(ii) PT−フィブリノゲン組み換え体、cat.no.20005000(イリノイ州所在のInstrumentation Laboratory製組み換え型ウサギ組織トロンボプラスチン)、lot NO 425869、ACL用にISI1.03、ISI値l.08;
(iii)PT−フィブリノゲンHSプラス、cat.no.08469810(イリノイ州所在のInstrumentation Laboratory製ウサギ脳トロンボプラスチン)、lot NO325729、ACL用にISI1.13、ISI値1.25;
(iv) デイドイノビン(Dade Innovin)cat.no.B4212−50(DadeBehring Marburg GmbH社製組み換え型ヒト組織トロンボプラスチン)、lot No.526987、BCS用にISI0.90、ISI値l.04;
であった。
(v) 25mmol/LのCaCl2(cat.no.GHI155)及びGHI社製希釈剤、lot C414F(Owrenの緩衝液、cat.no GHI150)を含むOwren’s PT、cat.no.GHI(Global Hemostasis Institute社)131−10(ウサギ脳トロンボプラスチン)、最適な方法についてISI1.09、ISI値1.17;
(vi) Nycotest PT、cat.no.1002488(ウサギ脳トロンボプラスチン)及びAxis−Shield as社製希釈剤(Nycotest PT、希釈液、cat.no.1002485)、lot10107353、トロンボトラックについてISI1.13、ISI値0.95;
(vii)SPA、50 cat.no.00105(組織トロンボプラスチン)及びDiagnostica Stago社製希釈剤(SPA緩衝液cat.no.00124)、lot022071、ISI0.98(器具についての記載なし)、ISI値0.93;
であった。
7つのPT試験の稼働中の不正確性を、治療範囲内のINR値、即ち、約2.2INRを有する1人の患者血漿試料(n=10回測定)を用いて測定した。各CVは:ネオプラスチンCLプラス(Neoplastine CL Plus)が2.3%、PT−ファブリノゲン組み換え体(PT−Fibrinogen Recombinant)が2.7%、PT−ファブリノゲンHSプラス(PT−Fibrinogen HS Plus)が1.1%、デイドイノビン(Dade Innovin)が2.6%、Owren’s PTが1.4%、Nycotest PTが1.6%、及びSPAが1.0%であった。
我々は、標準血漿及びOAT血漿について、y軸に凝固時間を、x軸に血漿希釈度をプロットした。一次方程式から、我々は、一の試料(3、11)についての無数の凝固因子を有するいわゆる最小凝固時間(tmin)と呼ばれるy軸上の線切片を得た。標準血漿とOAT血漿との間の切片(y軸)の差は、キャリブレーション効果のない秒単位のPivkaの作用を示す。我々は、INR単位で切片の差を計算した(OAT切片−標準血漿切片、図1)。
INR=(試料sec/標準sec)ISI
を用いて秒単位で計算した。
平均切片は、標準血漿については、0.03から0.14INRの範囲でQuick PTを用いて、また、0.01から0.03INRの範囲でOwren PTを用いて変化させる。平均切片は、OAT血漿については、0.40から1.46INRの範囲でQuick PTを用いて、また、0.20から0.28INRの範囲でOwren PTを用いて変化させる。Quick PT法及びOwren PTを用いた標準血漿(0.07INR)及びOAT血漿(0.72INR)についての切片の平均SDは、0.02INR;0.23INRであった。Quick PTのPivka効果の平均は、0.36INR(SD 0.43INR)(イノビン(Innovin)試薬0.15INRなしで;SD0.14)、Owren PTのPivka効果の平均は、0.36INR(SD0.24INR)である。Pivka補正を用いた、OAT血漿からの平均INR結果は、Quick PTについては2.58INR(SD0.11)であり、Owren PTについては2.51INR(SD0.16)であった(表1)。
INR結果の調和は、患者のケア及び科学文献の実用性を改善する点で実質的な目的である。患者のケアについてのINR単位の治療範囲が調和し、医師が容易に用いることができる。問題は、世界中のINR結果を統一することであり、これは、臨床検査室の課題である。実際には、検査室は、機器についての製造者のISI、製造者の又は「局地的」(ある国又は地域)キャリブレータキットを使用する。それでは、同じ試料からのINR結果は、同じであるべきである。ISIキャリブレーションは、INR結果を調和させる点で重要である。PT試薬の多様性(トロンボプラスチン、pH、イオン濃度、及び質、添加剤等)は世界的に考えることができ、これは、INRの調和を非常に困難なものにしている。
静脈血試料を、10人の標準対象と、経口抗凝固療法のモニタリングにPT時間試験が必要とされる210人の病院及び医療センターの患者から得た。我々の領域では、「P−INR」試験コードをこの目的に用いる。従って、患者試料は、抗凝固の起こり得る全ての相:(i)治療前、(ii)投与調整相、及び(iii)定状状態相を示した。全ての手順は、1975年のヘルシンキ宣言に従って、我々の機関の責任ある委員会によって承認された。0.2mLの0.109mol/L(3.2%)クエン酸溶液を含むクエン酸凝固管(Greiner Labortechnik GmbH社、Vacuette cat.no.454322、9NC)内に、血液(1.8mL)を採取した。試料針(Terumo社、Venoject needle、Quick Fit、cat.no.MN−2138MQ)は、0.8×40mmであった。試料管を1850g、20℃で10分間遠心分離して、血漿を分離した。血液採取後8時間以内に同時に全測定を開始した。
PT凝固時間を完全自動BCS凝固分析器(独国マールブルク所在のDadebehring社製The Dadebehring Coagulation System)を用いて測定した。Quickを用いた一段プロトロンビン時間について、100μLの凝固試薬を50μLのクエン酸血漿に加えた。また、希釈試料用に、100μL+25μL+25μL(Kabi社製生理食塩水、「Natriumklorid 9mg/mL」、500mL)を加えた。試験試薬は:デイドイノビン(Dade Innovin)cat.no.B4212−50(組み換え型ヒト組織トロンボプラスチン、DadeBehring Marburg GmbH社)、lot536928、ISI=0.92であった。
2つのローカルISIキャリブレータキット:(i)Equalis社製「Svensk nationell kalibrator for protrombinkomplexaktiviet」、lot11、12、Cal 1=0.85INR及びCal 2=3.19INR(主に瑞国及び諾国で用いられる)、(ii)Bioclin社製「ISI−kalibraattorikitti」、cat.no.B10000150、lot 8、Cal 1=2.07INR、Cal 2=3.52INR及びCal 3=1.0INR(主に芬国で用いられる)を用いた。
数秒で阻害を測定する手順を、Hemkerと協働者によって記載されたように実行した(1、2、3)。我々は、様々なキャリブレータついてと同様に、標準血漿及びOAT血漿についてのPT(秒)対D(D=血漿又はキャリブレータ希釈因子)プロットを構成した。これは、経口抗凝固剤を有する非拮抗阻害法則と調和する(18)。この一次方程式から、y軸切片を計算する。これは、所謂無数の凝固因子を有する最小凝固時間(tmin)である(3)。標準血漿とOAT血漿との間の切片(y軸)の差は、キャリブレーション効果のない数秒でのPIVKAの作用を示している。更に我々は、INR単位の切片の差を計算して全INRからそれを差し引いた:
INRCorrected=INRTotal−INRPivka
PT試験の同時正確性を、治療範囲、即ち、ほぼ2.2INRでのINR値を有する一の患者血漿試料(n=10回測定)を用いて測定した。各CVは:デイドイノビン(Dade Innovin)が2.6%、Nycotest PTが1.6%であった。これは、試薬のスペクトラムがより幅広い我々の以前の観察と調和する(9)。Microsoft Excel 5.0プログラムを用いて、最小二乗法を用いて相関関数及びINR結果を得た。
PIVKA阻害は、1より大きいINR値を有する全てのキャリブレータで実証できた。期待されているように、この阻害は、キャリブレータINR値の増加と共に増加した(表2)。しかしながら、PIVKA阻害はキャリブレータキット間で変動し、2つの異なるPT法で異なっていたことは、注目に値する。
この新しい方法は、一の患者試料について、2つのPT測定と数学的計算:INRcorrected=INRpatient,calibrator,control−INRPivkaを必要とする。様々な種類の機器に容易に適合する。試薬にかかる費用は、自動機器が、非常に小さい液体体積をピペットで取ることができるので、PT測定に半分の体積を用いるのと同じである。
a増加するINR値に応じてアレンジする。
b製造者によって与えた通り。
c各キャリブレータについてのINR(y軸):C(C=キャリブレータ希釈因子)(x軸)プロットを構築した。より高い値を有するキャリブレータ、即ち、PIVKAを含むキャリブレータから最も低いINR値の各キャリブレータのy切片(INR)値を順次減じることによって、阻害率を計算した。詳しくは、材料及び方法、及び図1を参照。
dINR対1/C線のy軸切片:即ち、阻害剤不存在での理論上の凝固時間、又はINRCorrectedを表す
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Claims (11)
- Pivka−補正プロトロンビン時間(PT)の決定方法において:
a)経口抗凝固剤療法(OAT)を受けている患者、又は肝細胞癌(HCC)を有する患者から採取した血漿又は全血試料、又はキャリブレータ又は対照血漿試料の少なくとも2つの異なる希釈液のプロトロンビン時間を測定して、前記試料についてのtmin又はINRmin値を決定するステップと;
b)阻害剤の入っていない血漿又は全血試料の少なくとも2つの異なる希釈液のプロトロンビン時間を測定して、標準血漿についてのtmin又はINRmin値を決定するステップと;
c)ステップa)及びb)の結果からtPivka又はINRPivka値を計算するステップと;
d)ステップa)で測定したプロトロンビン時間からステップc)で得られたtPivka又はINRPivka値を引くことによって、ステップa)の前記試料について前記Pivkaを補正したPTを決定するステップと;
を具えることを特徴とする方法。 - 請求項1に記載の方法において、ステップa)の前記試料について前記Pivkaを補正したPTを、以下の式:
INRcorrected=INRpatient,calibrator,control−INRPivka
又は
tcorrected=tpatient,calibrator,control−tPivka
ここで、式中、
INRpatient,calibrator,control又はtpatient,calibrator,controlは、前記方法のステップa)で測定した試料のPTであり、INRPivka又はtPivkaは、前記方法のステップc)で計算した値である、
のうちの1つを用いて、ステップd)で決定することを特徴とする方法。 - 請求項1に記載の方法において、前記方法を試料パターンと前記方法の実行に必要である計算を実行するようにプログラムされた完全自動凝固分析器で実行することを特徴とする方法。
- 請求項1に記載の方法において、ステップb)が、ある種の凝固試薬(即ち、トロンボプラスチン)について一度実施されて、得られた結果を、同じ試薬で試験された複数の患者、キャリブレーション、又は対照試料について、ステップc)で用いることを特徴とする方法。
- 請求項1に記載の方法を実施するようにプログラムされたことを特徴とするデバイス。
- 請求項5に記載のデバイスにおいて、前記デバイスが、凝固分析器又はポイントオブケア機器(POCT)であることを特徴とするデバイス。
- 請求項1に記載の方法の前記ステップc)及びd)を実施するようにプログラムされたことを特徴とするデバイス。
- 請求項1に記載の方法を実施するためのデバイスの使用。
- 請求項8に記載の使用において、前記デバイスが、凝固分析器又はポイントオブケア機器(POCT)であることを特徴とする使用。
- 請求項1に記載の方法のステップa)及びb)の結果からtPivka又はINRPivkaを計算し、前記ステップa)で測定したプロトロンビン時間から請求項1に記載の前記方法のステップc)で得たtPivka又はINRPivka値を引くことによって前記ステップa)の前記試料についての前記Pivkaを補正したPTを決定するためのデバイスの使用。
- 請求項10に記載の使用において、前記デバイスがコンピュータであることを特徴とする使用。
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