JP2008529842A - 成形品の一次成形方法、及び一次成形により製造されたナット等の成形品 - Google Patents

成形品の一次成形方法、及び一次成形により製造されたナット等の成形品 Download PDF

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Abstract

開口部とこの開口部に形成された雌ねじとを有する成形品の一次成形について説明する方法において、開口部の2つの異なるセクタに配置されたねじ部分は、開口部に突出する成形コアにより形成される。型から外すために、成形コアは、雌ねじの縦方向軸に関して半径方向に成形品から引き出される。この方法により製造された成形品(1)は、開口部(5)と、この開口部に形成され、開口部の異なるセクタに配置されたねじ部分(10)を有する雌ねじ(9)とを有し、1つのコア開口部(11、12、13)は雌ねじの各々のねじ部分(10)の反対側にあり、この開口部は成形品の壁を半径方向外方に通る。

Description

本発明は、開口部とこの開口部内に形成された雌ねじとを有し、雌ねじは、少なくとも2つの、異なるセクタに配置されるねじ部分を有し、雌ねじのねじ部分が開口部に突出する成形コアにより形成される成形品の一次成形方法に関する。本発明は、さらに、こうした方法により製造された成形品、具体的にはナットに関する。
少量のプラスチック成形品の一次成形においては、雌ねじは、成形工程後に、成形品と併せて型から外される、射出成形ダイ内に配置されたロストコアにより形成できることが知られている。型から外に出ると、コアは、費用をかけて、成形品から逆ねじ方向に回転して外さなければならない。さらに、破壊可能コアを採用して、雌ねじを形成できることが知られている。この方法では、コアは、ねじ部分に分割され、ねじは、成形工程後、ねじ部分を半径方向に移動させることにより解放される。傾斜スライドをもつ容易に取り外し可能な成形コアは、部分に分割されたねじの製造に用いることができる。上述の解決法の両方は、複雑で費用のかかる成形コアを必要とするという不利を有する。
ドイツ特許出願公開第DE−A1−4,004,550号 欧州特許第EP−B1−0,554,094号 ドイツ特許出願公開第DE−A−2,058,316号 ドイツ実用新案登録第DE−U1−296 18 639号
DE−A1−4,004,550号により、雌ねじを有し、2つのベース本体から組み立てられた、分離平面が雌ねじの中央軸を貫通する成形品が知られている。分離平面が雌ねじの中央軸を貫通する結果、円筒形の、ベース本体の開放雌ねじは、型から外すことが容易である。しかし、ベース本体の組み立ては、付加的な費用及び強度問題を伴う。
上述の問題を避けるために、さらに、プラスチックの一次成形ナットに、内方に先細になる円錐状の引き込み区域を有する滑らかな内孔を設けることが知られている。孔の内径は、ねじ付きナット上へのナットのねじ留めがナットの孔の中にねじ山を形成するような大きさにされる。この性質のプラスチックナットは、EP−B1−0,554,094号により知られている。この既知のプラスチックナットは、さらに、滑らかな孔の引き込み区域における平行な複数の管状キャビティからなる回収ゾーンを有する。これらのキャビティは、ナットの孔の壁と交差して、ねじ込まれたスタッドの表面を削り取り、堆積物を除去することが意図される刃先を形成する。隣接するキャビティは、ねじスタッドから回収された材料を収容するキャビティを連結することにより接合される。滑らかな孔をもつプラスチックナットは、高い圧力を受け、組み付けにおいて高いトルクを必要とすという欠点を有する。軸方向の搭載量は、予め成形されたねじ山をもつプラスチックナットの場合におけるより少ない。
さらに、1つの端面に近い、対向する平らな部分から、2つの穴がナットに穿孔されてナットをねじ切りする、ねじ切り六角ナットがDE−A−2,058,316号により知られている。穴は、互いに平行に延び、ナットの中央軸からオフセットされており、これによって、穴とねじの交差部におけるねじ進路を切るための刃先が形成される。
最初に述べた種類の方法及び成形品は、DE−U1−296 18 639号により知られている。一次成形品は、一様なピッチの単一のねじ進路の2つのねじ部分が形成された、本質的に円形の貫通開口部を有する。2つの対向するねじ部分の各々は、170°のスパン角度にわたり延びて、ほぼ完全なねじ進路を形成する。雌ねじには、ねじコアの表面に沿って互いに分離された2つの成形コアを用いて成形され、ねじ部分、並びに、開口部の2つの隣接する部分を形成する。型から外すためには、2つの成形コアは、反対の軸方向において、それほどの時間又は労力をかけずに取り外すことができる。この公知の方法は、2つ又はそれ以上の隣接するねじ部分を有する成形品の製造には適していない。
本発明の目的は、より大きい軸方向長さの雌ねじの一次成形に適した、最初に述べた種類の単純で経済的な方法を提供することである。本発明の別の目的は、一次成形により簡単に製造された雌ねじをもち、比較的高い荷重に適した成形品を製造することである。
本発明によれば、本方法に関する目的は、請求項1の特徴により実現され、成形品に関する目的は、請求項9の特徴により実現される。方法及び成形品の有利な実施形態は、これら特許請求の範囲の各々に関する従属項に示される。
本発明は、雌ねじの少なくとも2つのねじ部分が成形コアにより形成され、この成形コアは、前述の開口部の周方向壁を通して成形品における開口部に突出し、型から外すために、雌ねじの縦方向軸に関して半径方向に成形品から引き出される方法を提供する。本発明の成形コアの配置の結果、雌ねじのねじ進路又は多数のねじ進路の複数の隣接するねじ部分は、単純な方法により成形することができる。この内容においては、各々の成形コアは、セクタにおけるねじ進路の1つ又はそれ以上のねじ部分を形成することができ、1つ又はそれ以上の成形コアを設けてセクタのねじ進路を形成することができる。この方法により、雌ねじの進路がそれらの範囲内では連続的でないが、代わりに、各々のセクタにおいて、開口部の円周の一部のみにわたって延びるねじ部分に限られるという唯一の制限をもつ、多大な長さの雌ねじをもつ成形品を製造することが可能である。しかし、ねじ部分は、異なる、好ましくは開口部の対向するセクタに配置されるため、円周を360°カバーするねじ部分の範囲は、雌ねじの全体長さに関して実現でき、ねじスタッド又はスクリューは、雌ねじにより完全に取り囲まれて、大きな保持力を伝達することができる。
さらに、成形品を迅速に型から外すことができ、連続的な雄ねじを有するコアを逆ねじ方向に外すのに時間を必要としないことも有利である。コアのねじ外しメカニズムの除外は、成形工具をよりコンパクトにし、費用を抑える。さらに、半径方向の成形コアは、型の充填中に渦を生成し、それによって、流動線なしで、空隙のない構造の成形品を実現することを証明した。
本発明の別の提案では、雌ねじの軸方向に隣接するねじ部分を形成するための成形コアが、成形品の開口部の内側で互いに緊密に当接し合うことを提供する。このことは、成形工程の間、成形品の開口部区域内で、成形コア間に材料が貫通することを防ぐ。
本発明の別の提案では、成形コアを開口部の縦軸方向に区切る軸方向境界表面が、雌ねじのピッチ角度に対応する角度で、開口部の縦方向軸に対して傾斜される。このことは、成形コアの軸方向幅の最適な使用を実現して、雌ねじのねじ部分の最大可能全長を実現する。雌ねじの1つ又はそれ以上のねじ部分を形成する成形コアの領域は、雌ねじのセクタにわたり180°延びていることが好ましい。一次成形に用いられる材料が、わずかにアンダーカットされた領域の強制的な型の解放を可能にする場合には、例えば多くの熱可塑性物質がそうであるように、雌ねじの1つ又はそれ以上のねじ部分を形成する成形コアの領域は、雌ねじのセクタにわたり180°よりも大きく、具体的には230°〜250°延びるのが好ましい。
例えば、開口部の両側に配置される2つの隣接する成形コアのように、雌ねじの軸方向に隣接するねじ部分を形成する成形コアの各々が、雌ねじの異なるセクタに配置されることが有益である。型の分離平面が、成形コアのそのような配置において、成形コアの半径方向範囲に対して垂直である場合には、成形コアは、2つの半体に永久的に固定することができ、型が開かれたときに、型の半体と併せて成形品から除去することができる。型の異なる部分がある場合、又は、成形コアが例えば120°の角度間隔で配置されている場合には、成形コアは、型が開かれる前に成形品から引き出されるスライドとして設計されなくてはならない。
本発明の方法の一次成形により製造された成形品は、開口部と、この開口部内に形成された雌ねじとを有し、雌ねじは、少なくとも2つの、異なるセクタに配置されたねじ部分を有し、コア開口部は、雌ねじの少なくとも2つのねじ部分の各々の反対側にあり、開口部を囲む壁を半径方向外方に貫通する。本発明により設計された成形品は、非常に単純に製造できるばかりでなく、多数の付加的な利点により特徴付けられる。従って、半径方向コア開口部の境界又は縁は、塗料、下塗り、ワックス又は汚れといったスタッド又はスクリューの表面に付着した材料を回収して、コア開口部に収容する役割を果たすことができるため、ねじ込み工程がこの材料により妨げられることなく、雌ねじへの損傷を避けることができる。回収作用は、コア開口部がねじのピッチと一致しているとき、特に効果的である。
本発明の成形品は、対称又は非対称に設計できる。本発明の成形品は、その外面、具体的には六角形の外面上に、雌ねじと同軸である工具係合領域を有するナットを構成することが好ましい。さらに、部品との接触が意図された、より大きい接触区域を生成するためのフランジをナットの側に成形することができる。
成形品が、溶接スタッドと組み立てられ、溶接されるナットとして、プラスチックから製造される場合には、半径方向コア開口部は、ナット内部の溶接スタッドにアクセスし、コア開口部に係合するトングの援助で、溶接スタッドに溶接電流を送給する有利な機会を提供する。
本発明によれば、開口部の1つの軸方向の縁と成形品の雌ねじとの間に、ねじスタッド又はスクリューの導入を容易にするため外方に増大する断面をもつ引き込み区域を提供することができる。引き込み区域は、内方に円錐形で先細になる円形又は楕円形の基本形状を有することができ、従って、溶接スタッドが上に溶接されたときに接合部で生成された溶接残留物を収容する自由空間を生成する。引き込み区域が真円でないように設計される場合には、例えば部品がプラスチックでできているようなときに、溶接接合部の余剰材料を成形品の材料に埋め込み易い。多角形の角錐台の形状もまた、引き込み区域を製造するのに有益とすることができる。
本発明の別の提案によれば、引き込み区域、又は引き込み区域と雌ねじとの間の心出し区域において、デテント隆起を設けることができ、これは、成形品にねじ込まれることが意図されるねじスタッド又はスクリューの雄ねじ上へのスナップ嵌め固定を生じさせるような形状にされる。これらのデテント隆起は、これらを軸方向に互いに押し付け合うことにより、スタッド又はスクリュー上に成形品を予め組み立てすることを可能にする。一様な周方向間隔を有するデテント隆起は、雌ねじのピッチに適合するように軸方向にオフセットされており、スタッド又はスクリューの雄ねじ上にスナップ嵌めされたときに、雌ねじの第1の進路における雄ねじの予心出し及び整合を生じさせるようにすることが好ましい。
引き込み区域の反対側の、成形品の開口部の他端は、閉鎖又は開放して設計できる。開口部のこの縁が開放設計である場合には、雌ねじは、雌ねじと同軸の円筒形又は柱形コア開口部により形成される自己ロック区域と隣接し、この中に雌ねじに関連するスタッド又はスクリューの雄ねじを切ることができる。縦方向に延びる少なくとも1つの溝をコア開口部の壁に設けて、ねじ外しの間、コア開口部を通るスタッド又はスクリューの雄ねじを清浄する剥離縁部を形成する。溝は、半径方向コア開口部で終端することが好ましく、この清浄工程の間に除去された材料は前述の開口部内に収容され、それを通して外に運ばれることができる。
成形品の雌ねじのねじ部分は、開口部のセクタにわたって180°だけ延びることが好ましい。成形品が、成形コアの強制解放を可能にする、例えばプラスチックといった材料で構成される場合には、雌ねじのねじ部分は、開口部のセクタにわたって180°よりも大きく、具体的には230°から250°にわたって延びることができる。
本発明は、図面に表される例示的な実施形態に基づいて以下に詳細に説明される。
図1乃至図7に表されるナット1は、射出成形工程の一次成形によるプラスチック製の一体成形品である。ナット1は、六角柱形状の外形をもつ本体2を有し、工具係合領域3を形成する。本体2の端面上には、円盤形状のフランジ4が形成される。雄ねじスタッドを収容する中央の貫通開口部5は、六角柱の縦方向においてナット1を貫通貫通開口部5は、異なる形状の多数の領域に、さらに分割される。
フランジ側では、開口部5は、相対的に大きい入口断面から、より小さい接続断面へと内方に先細になる楕円形の引き込み開口部の形態で引き込み区域6を形成する。引き込み区域6の勾配境界表面は、ナット1の縦方向軸に対しておよそ45°の角度を有する。
内側に向かうと、引き込み区域6は、半径方向内方に突出するデテント隆起8をもつ円筒形心出し区域7と隣接する。心出し区域7の直径は、収容されるスタッドの外径とほぼ同じであるか又はわずかに大きい。デテント隆起8は、らせん状ラインのピッチがスタッドのねじ山のピッチと同じになるように、周方向において、互いに一定の間隔でらせん状ラインに沿って配置される。デテント隆起8の大きさと数は、ナット1にねじ込まれることが意図されるスタッドの自由端が、軸方向の動きによって心出し区域7に押し付けられることができるように選択され、この工程において、デテント隆起8がねじ進路の頂部を飛び越えて、次のねじ溝にはめ込まれ、それによって、ナット1の心出し区域7にスタッドを保持するようになる。さらに、デテント隆起8は、スタッドの雄ねじを心出し区域7に位置合わせし、雄ねじが、心出し区域7に隣接するナット1の雌ねじ9に容易にねじ込まれるようにする。
開口部5における雌ねじ9は、製造上の理由のために、互いに分離された3つのセクション、9a、9b、9cを有する。各セクション9a、9b、9cは、単一のねじ部分10を含み、開口部5のセクタにわたりおよそ230°の範囲に延びている。セクション9a及び9cのねじ部分10は、開口部5の同じセクタに配置される。一方、セクション9bのねじ部分10は、セクション9a、9bのセクタと直径方向に相対貫通開口部5のセクタに配置される。セクション9a、9b、9cのねじ部分10の各々の反対側には、本体2の壁を半径方向に通るコア開口部11、12、13が配置される。フランジ4に隣接するコア開口部11は台形の断面を有し、他の2つのコア開口部12、13は、平行四辺形の形状の断面を有する。ナット1の縦方向軸に対して傾斜するこれらの断面の表面の傾斜は、雌ねじ9のピッチと一致する。コア開口部11、12、13は、一定であるか又は内側から外側へわずかに拡がる断面を有して、ナット1の一次成形の間、中に配置された成形コアを型から容易に取り外すことができるようにする。コア開口部11、12、13と開口部5との交点は剥離縁部を形成し、ねじ込まれるときに、スタッド又はスクリューの表面に付着した塗料又は汚れといった材料をスタッドから剥離して、その材料がねじねじ部分に到達しないようにする。ここで、コア開口部11、12、13は、剥離された材料を収容するチャンバとしての機能を果たす。
フランジと反対側のナット1の側面では、雌ねじ9は自己ロック区域15に隣接する。自己ロック区域15は、内径がスタッド又はスクリューねじの外径よりも小さい、滑らかな円筒形の孔を有する。さらに、孔壁には、120°の分離をもって3つの縦方向溝16が配置されており、孔壁との交点において、軸に対して平行な剥離縁部17を形成する。スタッド又はスクリューの雄ねじは、自己ロック区域15に切り込み、その工程中に、自己ロック区域を囲む本体2の一部は、わずかに弾性膨張をする。弾性膨張の結果、自己ロック区域15は、半径方向の前負荷によりスタッド又はスクリューの雄ねじに載り、これによって摩擦係合を生成して、ナット1がスタッドから緩まないように保持する。剥離縁部17をもつ縦方向溝16の目的は、ナット1がねじり外されたときに、ナット1から突出するスタッド又はスクリューの端部を清浄することである。
図8は、本発明の方法を用いた、プラスチックナットの一次成形のための成形工具18の断面を表す。成形工具は、上部分19と下部分20とからなり、製造のために表される配置では、成形品は、互いに緊密に当接し合って、図示されていない保持手段によって、互いにしっかりと保持される。上部分19は、ナットの本体2の外形に対応する型開口部21を有する。上述のものから型開口部21に突出するのはコア部品22であり、ナットを貫通開口部の上端、例えば自己ロック区域を形成する。また、両側から型開口部21に突出するのは成形コア23であり、ナットの雌ねじの個別ねじ部分を形成する機能を果たす。成形コア23は、長方形の断面を有し、型開口部21に関して半径方向に可動であるように、上部分19の壁開口部に可動に取り付けられる。成形コア23は、型開口部21の縦方向軸の方向において、互いにオフセットして配置され、それらの内端では、各々の場合において、縦方向軸と交わる表面が互いに直接当接し合い、片側の成形コアが反対側の成形コアと交互になる。成形コア23の内端は、半円筒形の基本形状を有し、雌ねじのねじ部分24が設けられる。ねじ部分24の各々は180°でセクタにわたって延びる。下部分20は、ナットの本体に隣接するフランジを成形する機能を果たす凹部25を有する。凹部25の中央には、コア部品26が配置されており、円錐台形態のセクション及び円筒形セクションを有し、ナット開口部の引き込み区域及び心出し区域を形成する。コア部品22及び26は、それらに隣接する成形コア23に直接当接する。
ナット27は、成形工具18によって囲まれたキャビティに、軟化プラスチックを射出することにより形成される。型からナット27を外すために、成形コア23は、型開口部21の外へ半径方向外方に引っ張られる。成形工具の下部分20は上部分19から分離され、次いで、ナット27は、詳細に図示されていない手段を用いて、上部分19から取り出される。この方法により、説明される製造工程は、上述の利点を特徴とする、予め成形された雌ねじをもつプラスチックナットの迅速かつ経済的な製造を可能にする。
図9乃至図12は、射出成形工程を用いて、プラスチックで一次成形された単体の固定具30を表す。固定具30は、シャンク31を有し、縦方向軸33をもつ円筒型開口部32が縦方向に貫通する。シャンク31は、部品の角穴に、固定具30を挿入及び取り付けることが意図された正方形の外形を有する。外形は、シャンク31の中央領域34に、その最大の半径範囲を有する。固定具30の中央領域34と挿入端35の間において、外形の表面及び角部36、37、38、39は、シャンク31が挿入端35の方向に先細になるように縦方向軸33に対して傾斜する。挿入端35の反対側のシャンク31の端部は、スロット41、42によって2つの半体40a、40bに分割される、外形を超えて突出するフランジ40を有する。フランジ40は、円形の外形を有するが、代わりに、多角形の形状、例えば正方形又は六角形であってもよい。中央領域34とフランジ40との間では、シャンク31の外形は、同様に、縦方向軸33に対するその表面43、44、45、46の傾斜により、フランジ40の方向に先細になり、部品内にこの目的のために設けられた穴において、固定具のより良い固定を実現する。開口部32へのスクリューの挿入を容易にするために、フランジ40の近傍の開口部壁は、外方に拡がる円錐の横方向表面と重なる表面セクション47a、47bに隣接する。
スロット41、42は、中央領域34を越えて、挿入端35の近傍までシャンク31の縦方向に延び、シャンク31のスロットのある部分を2つの半体に分割して、スロットのない挿入端35を弾性変形により互いの方向に移動させることができるようにして中央領域34の断面よりも狭い穴に容易に固定具を挿入できるようにする。
フランジ40により近いスロット41、42の領域は、成形コアが固定具30の一次成形中に配置されるコア開口部としても機能する。これらの成形コアは、開口部32内に延び、開口部32の壁セクション48、49を形成し、壁セクション48、49に、ねじ進路の凹んだねじ部分50、51を形成する。このために、スロット41、42は、断面X−Xの両側に配置されて、境界表面52又は53にそれぞれ隣接する。この手段により、成形コアが開口部セクションの内部で互いに緊密に当接し合っており、接触表面が断面X−Xに沿って延びる状態で、ねじ部分の一次成形のための2つの成形コアを開口部32の同じ断面内に配置することができる。型から外すためには、成形コアは、断面X−Xに沿った半径方向において、開口部セクション及び隣接するスロット41、42から引き出される。開口部32が、ねじ部分をもたない場合には、軸方向に取り外し可能な円筒形の成形コアにより形成することもできる。
図10に明白であるように、各ねじ部分50、51は、スロットを外方に誘導する直線溝54に隣接し、直線溝54は、成形コアにより製造されて、ねじ部分50、51を形成する成形コアのリブを型から外すのに必要な自由空間を生成する機能を果たす。
スロット41、42に共通する断面X−Xは、シャンク31の外形の正方形の形態に対して、対角線上に配置されることもまた注目すべきである。その結果、断面X−Xに対して垂直な対角面上にあるシャンク31の角部が完全に形成され、片側の角部に隣接する壁表面43、45の周方向幅は完全に手が付けられていないままである。この手段により、固定具は、角穴の中で特に良好に支えられ、角穴の縁に、比較的高トルクを伝達することができる。
これまで説明された例示的な実施形態のように、固定具30は、さらに、単純な成形工具を用いて、迅速かつ経済的に製造することもできる。開口部の同じセクションにおいて互いに反対側に配置されたねじ部分の設計は、本発明の方法を用いて、軸方向長さが短い部品にも、十分に長いねじ部分を与えることが可能であるという利点を有する。さらに、上述の固定具が実証するように、スロットの周方向膨張が縮小され、それは多くの部品にとって非常に有利である。
雌ねじのねじ部分の一次成形について説明された方法は、説明した例示的な実施形態に加え、幾多の付加的な適用例にも好適である。従って、クリップ、パイプ及びケーブル・クランプ、及び雌ねじをもつ他のファスナを、説明された様式で有利に製造することができる。
プラスチック製の六角ナットの側面図である。 図4に類似した、図1のナットの平面図である。 図2の断面III―IIIに沿ったナットの断面である。 図1でAと表示されたナットの側面図である。 図2のナットの断面V−Vの断面図である。 図1でBと表示されたナットの側面図である。 図2のナットの断面VII―VIIの断面図である。 本発明による、ナットの一次成形の型を通した断面図である。 プラスチック固定具のフランジ側の図である。 図9の固定具の断面X−Xの断面図である。 図10の固定具の断面XI―XIの断面図である。 図9の固定具の断面XII−XIIの断面図である。

Claims (24)

  1. 開口部と前記開口部内に形成された雌ねじとを有する成形品であって、前記雌ねじは少なくとも2つの、異なるセクタに配置されたねじ部分を有し、前記ねじ部分が前記開口部に突出する成形コアにより形成される、前記成形品の一次成形方法において、
    前記雌ねじの前記ねじ部分を形成するのに用いられる前記成形コアが、前記開口部の周方向壁を通して前記成形品内の前記開口部に突出し、型から外すために、前記雌ねじの縦方向軸に対して半径方向に前記成形品から引き出される、
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記雌ねじの軸方向に隣接するねじ部分を形成するための前記成形コアは、前記成形品の前記開口部内で互いに緊密に当接することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記成形コアの前記軸方向の境界表面は、前記雌ねじのピッチ角度に対応する角度で、前記開口部の前記縦方向軸に対して傾斜することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 前記雌ねじの前記ねじ部分を形成する前記成形コアの領域は、前記開口部のセクタにわたって180°延びていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記雌ねじの前記ねじ部分を形成する前記成形コアの前記領域は、前記開口部のセクタにわたって180°よりも大きく、具体的には230°〜250°延びていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記成形コアは、前記開口部の両側に配置されることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の方法。
  7. 2つの成形コアが、前記雌ねじの回転軸が含まれる平面の両側において、前記雌ねじの同じ軸方向セクションに配置されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 雌ねじのない前記開口部の軸方向端セクションが、軸方向に解放可能なねじなしの成形コアによって製造されることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の方法。
  9. 開口部(5)と前記開口部内に形成された雌ねじ(9)とを有し、前記雌ねじは、少なくとも2つの、異なるセクタに配置されたねじ部分(10)を有する、一次成形により製造された成形品(1)であって、
    前記雌ねじの前記ねじ部分(10)の各々の反対側には、前記開口部を囲む壁を半径方向外方に貫通するコア開口部(11、12、13)がある、
    ことを特徴とする成形品。
  10. 前記成形コア(11、12、13)を、前記開口部(5)の前記縦方向軸の方向に区切る軸方向境界表面が、前記雌ねじの前記ピッチ角度に対応する角度で、前記縦方向軸に対して傾斜することを特徴とする請求項9に記載の成形品。
  11. 前記雌ねじ(9)の前記ねじ部分(10)が、前記開口部のセクタにわたって180°延びていることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の成形品。
  12. 前記雌ねじ(9)の前記ねじ部分(10)が、前記開口部(5)のセクタにわたって180°よりも大きく、具体的には230°〜250°延びていることを特徴とする請求項9から請求項11までのいずれか1項に記載の成形品。
  13. 前記コア開口部(11、12、13)が前記開口部(5)の両側に配置されることを特徴とする請求項9から請求項12までのいずれか1項に記載の成形品。
  14. 前記コア開口部が、前記開口部(32)の同じ軸方向セクションで終端することを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の成形品。
  15. 前記コア開口部が、軸方向に開放したスロット(41、42)からなることを特徴とする請求項9から請求項14までのいずれか1項に記載の成形品。
  16. 外周上に前記雌ねじ(9)と同軸の工具係合領域(3)を有するナット(1)として具現されることを特徴とする請求項9から請求項15までのいずれか1項に記載の成形品。
  17. 前記開口部(5)の入口端部における、ねじの引き込み区域(6)が、外方に増大する断面を有するようになったことを特徴とする請求項9から請求項16までのいずれか1項に記載の成形品。
  18. 前記引き込み区域(6)が楕円形の基本形状を有することを特徴とする請求項17に記載の成形品。
  19. 心出し区域(7)が、前記引き込み区域(6)と前記雌ねじ(9)との間に設けられることを特徴とする請求項17又は18に記載の成形品。
  20. 前記成形品と関連するねじスタッド又はスクリューの雄ねじ上へのスナップ嵌め固定を生じさせる形状及び大きさのデテント隆起(8)が、前記引き込み区域(6)又は前記心出し区域(7)に設けられることを特徴とする請求項17から請求項19までのいずれか1項に記載の成形品。
  21. 前記デテント隆起(8)が周方向において、互いに一定の間隔のらせん状ラインに沿って配置されて、前記らせん状ラインのピッチは前記雌ねじ(9)のピッチと同じであることを特徴とする請求項20に記載の成形品。
  22. 自己ロック区域(15)が、前記開口部(5)の前記雌ねじ(9)に隣接することを特徴とする請求項9から請求項21までのいずれか1項に記載の成形品。
  23. 前記自己ロック区域(15)が、剥離縁部を形成する縦方向に延びる溝(16)を有することを特徴とする請求項22に記載の成形品。
  24. 前記溝(16)が、半径方向のコア開口部(13)で終端することを特徴とする請求項23に記載の成形品。
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